JP6132200B2 - 印刷方法および印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、反転印刷を実施するための印刷方法および印刷装置に関する。
微細なパターンを基材に形成する方法として、従来、フォトリソグラフィー法が用いられている。しかしながら、フォトリソグラフィー法においては、成膜工程、露光工程および現像工程が、対象となる材料ごとに実施される。このため工数が大きくなり、この結果、製造コストが高くなってしまう。このような課題を解決するため、近年、印刷法を用いて微細なパターンを基材に形成する研究が進められている。
微細なパターンを形成することができる印刷法として、例えば特許文献1,2において、反転印刷法が提案されている。反転印刷法においては、はじめに、ブランケット胴の表面にインキの膜を形成し、次に、ブランケット胴を、凸版および凹部を有する印刷版に接触させる。この印刷版の凸部および凹部はそれぞれ、基材などの被印刷体の領域のうち、インキが転写されない領域およびインキが転写される領域に対応するよう構成されている。従って、ブランケット胴の表面のインキを印刷版の凸部に接触させて転移させることにより、不要なインキをブランケット胴から取り除くことができる。その後、ブランケット胴の表面に残っているインキを被印刷体に転写することにより、インキから構成される微細なパターンを被転写体に形成することができる。
特開2007−253344号公報 特開2011−73264号公報
反転印刷法においては、上述のようにブランケット胴の表面の不要なインキが印刷版の凸部上に付着するため、その都度凸部上のインキを除去する必要がある。従って、量産のために反転印刷法を繰り返し実施するためには、印刷版の凸部上に付着したインキを効率的に除去することができる除去工程や除去機構が求められる。このような課題を考慮して、例えば上述の特許文献1,2においては、印刷版に対して撥インキ処理を実施した後に印刷版にインキを転移させることにより、除去工程の際に印刷版からインキを除去し易くすることが提案されている。具体的には、シランカップリング剤を印刷版の表面に固定させ、これによって印刷版に撥インキ性を付与することが提案されている。
しかしながら、シランカップリング剤を印刷版の表面に固定させるためには、印刷版の事前処理や加熱といった工程が必要となり処理時間を要する。なぜなら、シランカップリング剤を固定する処理では、はじめに紫外線照射等にて表面処理を実施し、OH基を形成させて表面を清浄化する。次に、シランカップリング剤を含む溶液を印刷版に塗工あるいは浸漬させる。次に熱処理によって溶液中の溶媒を蒸発させるという工程が実施され、さらに、印刷版を加熱した場合には安定した印刷が可能な温度まで冷却するといった工程を要する。このため、上記の処理工程に要する時間が長く、例えば5分以上の時間を要する。シランカップリング剤を固定するその他の処理例では、はじめに上記と同様な紫外線による表面処理を実施した後、印刷版をシランカップリング剤の蒸気に晒すことが行われる。この場合においても処理時間に5分以上を要する。従って、シランカップリング剤によって印刷版に撥インキ性を付与する場合、撥インキ性のために除去工程が容易化されたとしても、印刷工程全体に要する時間が長くなり、印刷の効率が低下してしまうことが考えられる。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る印刷方法および印刷装置を提供することを目的とする。
本発明は、凸部および凹部を有する印刷版にシリコーンゴムを押し当てる前処理工程と、ブランケット胴の表面にインキの膜を形成する工程と、前記ブランケット胴を前記印刷版に接触させ、前記ブランケット胴の表面のインキを印刷版の前記凸部上に転移させる転移工程と、前記ブランケット胴の表面に残っているインキを被印刷体に転写する転写工程と、前記印刷版の前記凸部上に付着しているインキを除去する除去工程と、を備える、印刷方法である。
本発明による印刷方法において、前記ブランケット胴の表面は、シリコーンゴムを含む表面層によって構成されており、前記前処理工程は、表面にインキの膜が形成されていない状態にある前記ブランケット胴を前記印刷版に押し当てることによって実施されてもよい。
本発明による印刷方法において、前記除去工程は、フィルムによって支持されているプライマー層を前記印刷版の前記凸部上のインキに接触させる接触工程と、前記凸部上のインキに接触している前記プライマー層を硬化させる硬化処理工程と、前記フィルムおよび前記プライマー層を前記印刷版の前記凸部から引き離す剥離工程と、を有していてもよい。
本発明による印刷方法において、前記プライマー層は、電離放射線を照射されることによって硬化する電離放射線硬化性樹脂材料を含んでいてもよい。
本発明による印刷方法において、前記除去工程は、フィルムによって支持されている粘着層を前記印刷版の前記凸部上のインキに接触させる接触工程と、前記フィルムおよび前記粘着層を前記印刷版の前記凸部から引き離す剥離工程と、を有していてもよい。
本発明は、ブランケット胴の表面のインキを被転写体に転写する印刷装置であって、前記ブランケット胴と、前記ブランケット胴の表面にインキの膜を形成する塗膜機構と、前記被転写体の上流側に設けられ、前記ブランケット胴の表面の前記インキに接触することができる凸部と、前記凸部の間に位置する凹部と、を有する印刷版と、前記印刷版の前記凸部上に付着しているインキを除去する除去機構と、を備え、前記印刷装置は、前記印刷版の前記凸部がインキに接触する前に、前記印刷版にシリコーンゴムを押し当てる前処理を実施する前処理機構をさらに備える、印刷装置である。
本発明による印刷装置において、前記印刷版は、平板状のものであってもよい。この場合、前記ブランケット胴の表面は、シリコーンゴムを含む表面層によって構成されており、前記前処理機構による前記前処理は、表面にインキの膜が形成されていない状態にある前記ブランケット胴を前記印刷版に押し当てることによって実施されてもよい。
本発明による印刷装置において、前記印刷版は、回転するロール状のものであってもよい。この場合、前記前処理機構は、前記印刷版の回転方向に関して前記ブランケット胴よりも上流側に配置され、前記印刷版に押し当てられる前処理ロールを有し、前記前処理ロールの表面は、シリコーンゴムを含む表面層によって構成されていてもよい。
本発明による印刷装置において、前記除去機構は、フィルムと、フィルムの両面のうち前記印刷版側の面に設けられたプライマー層と、
前記プライマー層が前記印刷版上のインキに接触するよう、前記フィルムおよび前記プライマー層を含む積層体を保持する保持部と、前記インキに接触している前記プライマー層を硬化させる硬化処理部と、を有していてもよい。
本発明による印刷装置において、前記プライマー層は、電離放射線を照射されることによって硬化する電離放射線硬化性樹脂材料を含んでいてもよい。
本発明による印刷装置において、前記除去機構は、フィルムと、フィルムの両面のうち前記印刷版側の面に設けられた粘着層と、前記粘着層が前記印刷版上のインキに接触するよう、前記フィルムおよび前記粘着層を含む積層体を保持する保持部と、を有していてもよい。
本発明によれば、印刷版に付着しているインキを効率的に除去することができる。
図1(a)(b)は、本発明の実施の形態において、印刷版に撥インキ性を付与するための前処理工程を示す図。 図2(a)(b)(c)(d)は、本発明の実施の形態における印刷方法を示す図。 図3(a)(b)(c)(d)は、図2(c)に示す除去機構を用いて印刷版に残っているインキを除去する方法を示す図。 図4(a)(b)は、印刷版に残っているインキが除去機構によって除去される様子を示す図。 図5は、本発明の実施の形態による印刷方法を用いて製造された導電性基材の一例を示す平面図。 図6は、本発明の実施の形態の変形例における印刷装置を示す図。 図7は、シリコンブランケットをガラスに接触させる回数に応じて、ガラスに対する純水の接触角が変化する様子を示す図。
以下、図1乃至図5を参照して、本発明の実施の形態について説明する。はじめに、ブランケット胴12の表面のインキ13を被転写体30に所定のパターンで転写する印刷装置10について説明する。図2(a)(b)(c)(d)は、印刷装置10を用いた印刷方法の一例を示す図である。
(印刷装置)
図2(a)(b)(c)(d)に示すように、印刷装置10は、ブランケット胴12と、ブランケット胴12の表面にインキ13の膜を形成する塗膜機構14と、被転写体30の上流側に設けられた平板状の印刷版16Aと、を備えている。印刷版16Aは、ブランケット胴12の表面のインキ13に接触することができる複数の凸部17aと、凸部17aの間に位置する複数の凹部17bと、を有している。印刷版16Aの凸部17aおよび凹部17bはそれぞれ、被転写体30の領域のうち、インキ13が転写されない領域およびインキ13が転写される領域に対応するよう構成されている。例えば後述するように、印刷装置10を用いてタッチパネルセンサを製造する場合、凹部17bは、タッチパネルセンサのセンサパターンおよび周縁パターンに対応するよう構成されている。また凸部17aは、センサパターンおよび周縁パターンが存在しない領域に対応するよう構成されている。
〔インキ〕
ブランケット胴12の表面に塗布されて膜を形成することができる限りにおいて、インキ13を構成する材料が特に限られることはなく、被転写体30に形成されるパターンの特性に応じて適宜選択される。例えば後述するように、印刷装置10を用いて被転写体30にタッチパネルセンサのセンサパターンおよび周縁パターンを形成する場合、インキ13として、金属などの導電性材料から構成された導電性粉末を含む金属分散液が用いられる。またインキ13として、導電性粉末がバインダー樹脂内に分散されたインキが用いられてもよい。また、インキ13の流動性を確保するため、溶剤が含まれていてもよい。導電性粉末、バインダー樹脂および溶剤としては、例えば、特許第4436441号公報に記載の導電性組成物を構成するための導電性粉末、バインダー樹脂および溶剤を用いることができる。
〔印刷版〕
印刷版16Aを構成する材料は、所望の精度で凸部17aおよび凹部17bを形成することができるよう選択され、例えばガラスや金属材料が用いられる。なお印刷版16Aがガラスなどの光透過性を有する材料から構成される場合、ガラスを透過した光を後述する除去機構のプライマー層に照射することができるため、除去機構の硬化処理部の配置の自由度を高めることができる。
〔ブランケット胴〕
ブランケット胴12としては、その表面が撥インキ性を有するものが用いられる。具体的には、ブランケット胴12とインキ13との間の密着力が、印刷版16Aの凸部17aとインキ13との間の密着力、および、被転写体30とインキ13との間の密着力よりも小さくなるよう、ブランケット胴12の表面が構成されている。このようなブランケット胴12の具体的な構成は特には限られないが、例えばブランケット胴12は、ロール状の本体部12bと、本体部12bに巻き付けられ、撥インキ性を備えた表面層12aと、を有している。表面層12aは、撥インキ性を有する物質を含んでおり、例えばシリコーンゴムを含んでいる。この結果、ブランケット胴12の表面の、25℃の純水に対する接触角は、80°以上になっており、例えば120°程度になっている。
ブランケット胴12の表面層12aには、ブランケット胴12の撥インキ性を高めるための撥インキ性物質が浸み込んでいる。例えば、表面層12aに含まれるシリコーンゴムが撥インキ性物質を含むことによって、ブランケット胴12の表面の撥インキ性が高められている。撥インキ性物質としては、例えば、シリコーンゴムを生成するための重合反応を進行させる際に同時に生成されてシリコーンゴムの隙間に入る低分子量ポリシロキサンが挙げられる。低分子量ポリシロキサンとは、例えば、分子量が100〜10000の範囲内にあるポリシロキサンのことである。低分子量ポリシロキサンの例としては、例えば特開2004−17310号公報に記載されているような、ジメチルシリコーンオイルなどのシリコーンオイルが挙げられる。なお表面層12aのシリコーンゴムの隙間に浸み込んでいる撥インキ性物質が、シリコーンゴムを生成するための重合反応を進行させる際に同時に生成されたものに限られることはなく、重合反応の後に外部から供給されたものであってもよい。
なお簡略化のため、表面層12aおよび本体部12bを有するブランケット胴12を図に示す際、表面層12aおよび本体部12bの表示が省略されることもある。
(除去機構)
図2(c)に示すように、印刷装置10は、印刷版16Aの凸部17a上に付着しているインキ13を除去する除去機構20をさらに備えている。以下、除去機構20について説明する。図3(a)(b)(c)(d)は、除去機構20を用いて凸部17a上のインキ13を除去する方法の一例を示す図である。
除去機構20は、プライマー層22を印刷版16Aの凸部17a上のインキ13に接触させ、インキ13をプライマー層22側に転移させることによって、凸部17a上のインキ13を除去するものである。除去機構20は、図3(a)(b)(c)(d)に示すように、フィルム21と、フィルム21の両面のうち印刷版16A側の面に設けられたプライマー層22と、フィルム21およびプライマー層22を含む積層体を保持する保持部24と、を有している。また除去機構20は、インキ13に接触しているプライマー層22を硬化させる硬化処理部24をさらに有している。
〔フィルム〕
フィルム21は、プライマー層22を支持するためのものである。フィルム21を構成する材料としては、ロール・トゥ・ロールによる搬送が可能な程度の可撓性、および、プライマー層22との間での適切な密着性を有する材料が選択される。なお、後述する硬化処理工程においてフィルム21側からプライマー層22に向けて紫外線が照射される場合、フィルム21の材料として、光透過性を有する材料、例えばPETなどが用いられる。
〔プライマー層〕
プライマー層22は、電離線照射や加熱など、外部から与えることができる要因に応じて硬化することができるよう構成された層である。プライマー層22としては、例えば、電離線を照射されることによって硬化する電離線硬化性樹脂材料や、加熱されることによって硬化する熱硬化性樹脂材料が用いられる。また、流動性を確保するための溶剤がさらに含まれていてもよい。なお電離放射線は、代表的には紫外線または電子線であるが、可視光線、X線、γ線などの電磁波であってもよく、あるいはα線などの荷電粒子線であってもよい。
電離線硬化性樹脂材料としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー、あるいはプレポリマーやオリゴマーが用いられ得る。モノマー、プレポリマーやオリゴマーの例としては、例えば、特許第4436441号公報に記載の電離線硬化性樹脂として用いられるものが挙げられる。プライマー層22に要求される性能、塗布適性等に応じて、モノマーやプレポリマーを1種類単独で用いてもよく、若しくは、モノマーを2種類以上混合して、プレポリマーを2種類以上混合して、あるいはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いてもよい。
熱可塑性樹脂材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
フィルム21にプライマー層22を設ける方法が特に限られることはない。例えば、フィルム21の両面のうち印刷版16A側の面に予めプライマー層22が設けられた積層体が除去機構20に提供されてもよい。この場合、一般には、インキ13に対するプライマー層22の密着性を維持するためにプライマー層22は剥離シートなどで覆われており、このため除去機構20は、この剥離シートを取り除く手段を有している。また図3(a)(b)(c)(d)に示すように、除去機構20は、プライマー層22を構成するための樹脂材料を、フィルム21の両面のうち印刷版16A側の面に塗工する塗工部23をさらに有していてもよい。この場合、塗工によってプライマー層22が形成されてから、当該プライマー層22が印刷版16Aの凸部17aに接触するまでの時間や周囲環境を制御することができる。このため、凸部17aに接触する際のプライマー層22の特性、例えば流動性を調整することが可能になる。
除去機構20に上述の塗工部23が設けられており、かつ、プライマー層22を構成する材料に溶剤が含まれている場合、塗工部23の下流側に、プライマー層22中の溶剤を除去するための乾燥部がさらに設けられていてもよい。これによって、塗工部23によって塗工される際の塗工性能を高めながら、印刷版16Aの凸部17aに到達する際のプライマー層22の流動性を適切に調整することができる。なお、このような乾燥処理を不要にするため、プライマー層22を構成する材料が、少なくとも1種類のモノマーを含んでいてもよい。これによって、プライマー層22に溶剤が含まれていない場合であっても、プライマー層22の十分な塗工性能および適切な流動性を確保することができる。すなわち、いわゆる無溶剤のプライマー層22を採用することが可能となる。この結果、乾燥処理が不要になるため、工数および設備数を削減することができ、これによって製造コストを削減することができる。
〔保持部〕
保持部24は、プライマー層22が印刷版16A上のインキ13に接触するよう、フィルム21およびプライマー層22を含む積層体を保持するものである。プライマー層22を所定の圧力で印刷版16Aの凸部17a上のインキ13に接触させることができる限りにおいて、保持部24の構成は特には限定されない。例えば保持部24は、図3(c)に示すように、フィルム21およびプライマー層22の積層体を印刷版16Aに沿って搬送する一対のガイドローラー26と、上記積層体をフィルム21側から印刷版16Aに向けて押圧する押圧ローラー25と、を含んでいる。なお平板状の印刷版16Aを用いる印刷法では、繰り返し実施する印刷の精度を高く維持するため、後述する転移工程や除去工程の際に印刷版16Aが静止していることが好ましい。従って、保持部24の押圧ローラー25は、一対のガイドローラー26の間で回転移動しながらフィルム21を印刷版16Aに向けて押圧するよう構成されていてもよい。これによって、印刷版16Aが静止状態にある場合であっても、凸部17a上のインキ13をプライマー層22に転移させることができる。
〔硬化処理部〕
硬化処理部27は、印刷版16Aの凸部17a上のインキ13に接触しているプライマー層22を硬化させるものである。プライマー層22が、紫外線や電子線などの電離放射線を照射されることによって硬化する電離放射線硬化性樹脂材料を含む場合、硬化処理部27は、プライマー層22に向けて電離放射線を照射する照射手段として構成されている。一方、プライマー層22が、加熱されることによって硬化する熱硬化性樹脂材料を含む場合、硬化処理部27は、プライマー層22を加熱するヒーターなどの加熱手段として構成されている。照射手段や加熱手段の配置は、フィルム21や印刷版16Aの構成に応じて適切に設定される。例えば、光透過性を有するガラスなどによって印刷版16Aが構成される場合、照射手段は、印刷版16Aを介して電離放射線をプライマー層22に照射するよう配置されていてもよい。また、光透過性を有するPETなどによってフィルム21が構成される場合、照射手段は、フィルム21を介して電離放射線をプライマー層22に照射するよう構成されていてもよい。また、照射手段または加熱手段は、一対のガイドローラー26の間で押圧ローラー25に続いて移動しながら、プライマー層22に向けて電離放射線を照射し、またはプライマー層22を加熱してもよい。なお一般に、電離放射線に起因する硬化は、加熱に起因する硬化よりも迅速に完了することができる。従って、後述する除去工程のスループットを高める上では、電離放射線を照射する照射手段を硬化処理部27として採用することが有利である。
ところで、除去機構20を用いて印刷版16Aの凸部17a上のインキ13を効率的に除去するためには、凸部17aとインキ13との間の密着力が小さいことが好ましい。この点を考慮して、本実施の形態においては、図2(a)(b)(c)に示すように、印刷版16Aの凸部17aがインキ13に接触するよりも前に、撥インキ性を有する撥インキ性物質15を凸部17a上に設けるという方法が採用されている。以下、図1(a)(b)を参照して、撥インキ性物質を凸部17a上に設けるための前処理機構19について説明する。
(前処理機構)
前処理機構19は、印刷版16Aの凸部17aがインキ13に接触する前に、印刷版16Aにシリコーンゴムを押し当てる前処理を実施するよう構成されたものである。本実施の形態において、前処理機構19による前処理は、図1(a)(b)に示すように、表面にインキ13の膜が形成されていない状態にあるブランケット胴12を印刷版16Aの凸部17aに押し当てることによって実施される。ここで上述のように、ブランケット胴12の表面は、シリコーンゴムを含む表面層12aによって構成されており、またシリコーンゴムの隙間には、低分子量ポリシロキサンなどの撥インキ性物質が浸み込んでいる。このため、ブランケット胴12を印刷版16Aの凸部17aに押し当てることにより、撥インキ性物質15を凸部17a上に転移させることができる。このように本実施の形態においては、被転写体30にインキ13を転写するためのブランケット胴12が、同時に、印刷版16Aに撥液性を付与するための前処理機構19を構成している。
(印刷方法)
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、印刷装置10を用いて、インキ13を被転写体に所定のパターンで転写する印刷方法について説明する。
〔前処理工程〕
はじめに、図1(a)に示すように、印刷版16Aと、前処理機構19として利用されるブランケット胴12と、を準備する。このとき前処理機構19のブランケット胴12は、印刷版16Aの両端部のうち被転写体30に近接する側の端部の近傍に配置される。
次に図1(b)に示すように、ブランケット胴12が被転写体30から遠ざかる方向において、ブランケット胴12を印刷版16A上で走行させ、これによって、印刷版16Aの凸部17aにブランケット胴12の表面層12aのシリコーンゴムを押し当てる。この結果、表面層12aに浸み込んでいる撥インキ性物質15が、凸部17a上に転移される。なお、ブランケット胴12の表面層12aが凸部17aだけでなく凹部17bにも当接するようにブランケット胴12を印刷版16A上で走行させ、これによって、凹部17bの内部に撥インキ性物質を設けてもよい。
その後、図2(a)に示すように、印刷版16Aの端部のうち被転写体30から遠位にある端部の近傍において、塗膜機構14を用いて、ブランケット胴12の表面にインキ13の膜を形成する。
〔転移工程〕
次に、図2(b)に示すように、被転写体30に向かう方向においてブランケット胴12を印刷版16A上で走行させ、これによって、印刷版16Aの凸部17aにブランケット胴12の表面を接触させる。この結果、図2(b)に示すように、ブランケット胴12の表面のインキ13のうち印刷版16Aの凸部17aに接触したインキ13が、凸部17aに転移される。一方、ブランケット胴12の表面上のインキ13のうち、印刷版16Aの凹部17bに対応する領域にあるインキ13は、ブランケット胴12の表面に残ったままとなっている。
ところで、インキ13の膜が形成されたブランケット胴12を印刷版16A上で走行させる際、凸部17a上には撥インキ性物質15が設けられている。すなわち、印刷版16Aには撥インキ処理が施されている。しかしながら、印刷版16Aは一般に、密な構造を有する材料によって構成されており、例えば上述のようにガラスや金属から構成されている。一方、ブランケット胴12の表面層12aのシリコーンゴムは、撥インキ物質を含有することによって膨潤したものとなっている。このため、ブランケット胴12の表面および凸部17aの表面のいずれにも撥インキ性物質が存在してはいるが、凸部17aとインキ13との間の密着力は、ブランケット胴12とインキ13との間の密着力よりも大きくなっている。従って、インキ13の膜が形成されたブランケット胴12を印刷版16A上で走行させることにより、上述のようにインキ13を凸部17aに転移させることができる。この結果、図2(b)に示すように、凸部17aとインキ13との間に撥インキ性物質15が介在された状態を実現することができる。
〔転写工程〕
その後、図2(c)に示すように、ブランケット胴12を被転写体30上で走行させ、これによって、ブランケット胴12の表面に残っているインキ13を被転写体30に転写する。このようにして、被転写体30上に所定のパターンでインキ13を転写することができる。また、除去機構20を用いて凸部17aに付着しているインキ13を除去する除去工程を実施する。以下、除去工程について図3(a)(b)(c)(d)を参照して説明する。
〔除去工程〕
はじめに、図3(a)に示すように、プライマー層22を構成するための樹脂材料を、塗工部23を用いて、フィルム21の両面のうち印刷版16Aと対向する側の面に塗工する。塗工は、図3(b)に示すように、フィルム21のうち少なくとも印刷版16Aと対向する領域にプライマー層22が行き渡るまで実施する。その後、塗工部23からの樹脂材料の吐出を停止してもよい。
〔接触工程〕
次に、フィルム21によって支持されているプライマー層22が印刷版16Aの凸部17a上のインキ13に接触するまで、保持部24を用いて、プライマー層22を印刷版16Aに向けて移動させる。例えば保持部24の一対のガイドローラー26の少なくとも一方が、印刷版16Aに向かって移動する。その後、図3(c)に示すように、押圧ローラー25が、フィルム21およびプライマー層22の積層体をフィルム21側から印刷版16Aに向かって押圧する。これによって、プライマー層22が印刷版16Aの凸部17a上のインキ13に密着する。
図4(a)は、接触工程の際のインキ13およびプライマー層22を拡大して示す図である。図4(a)に示すように、インキ13の表面には一般に、インキ13を構成する上述の導電性粉末などに起因した凹凸が存在している。また凸部17a上のインキ13はブランケット胴12の表面から転移してきたものであるため、この除去工程の際には一般にインキ13の流動性が大きく損なわれてしまっている。これに対して、除去機構20は、所望の流動性が維持されている状態のプライマー層22を凸部17a上のインキ13に接触させるよう構成されている。このため図4(a)に示すように、プライマー層22は、インキ13の表面の凹凸形状に応じて変形し、これによって、インキ13に対してほぼ隙間無く密着することができる。
〔硬化処理工程〕
その後、凸部17a上のインキ13に接触しているプライマー層22を硬化させる硬化処理工程を実施する。例えば、プライマー層22に向けて電離放射線を照射する。若しくは、プライマー層22を加熱する。これによって、プライマー層22をインキ13に対して強固に密着させることができる。例えば、プライマー層22とインキ13との間の密着力を、凸部17aとインキ13との間の密着力よりも高くすることができる。
〔剥離工程〕
その後、フィルム21およびプライマー層22を含む積層体を印刷版16Aの凸部17aから引き離す。この際、図3(d)および図4(b)に示すように、凸部17aに付着していたインキ13が、凸部17aから引き離されてプライマー層22側に転移する。これによって、凸部17a上に付着しているインキ13を除去することができる。この際、図3(d)および図4(b)に示すように、インキ13とともに撥インキ性物質15がプライマー層22側に転移してもよい。若しくは、図示はしないが、撥インキ性物質15は、その全てが、若しくはその一部分が印刷版16A側に残ったままとなっていてもよい。
除去工程が完了した後、図2(d)に示すように、ブランケット胴12を印刷版16Aに向けて移動させる。その後、図1(a)(b)に示す上述の前処理工程を再び実施して、次に実施される転移工程に備える。このように、ブランケット胴12を往復移動させながら、上述の前処理工程、転移工程、転写工程および除去工程を繰り返すことにより、反転印刷を効率的に短時間で実施することができる。
ここで本実施の形態によれば、凸部17aとインキ13との間には撥インキ性物質15が介在されている。このため、上述の除去工程の剥離工程において、印刷版16Aの凸部17aに付着していたインキ13を凸部17aから容易に引き離してプライマー層22側に転移させることができる。このため、除去工程に要する時間を短縮することができる。また、凸部17aからのインキ13の除去が不完全になることを抑制することができる。すなわち、印刷版16Aを清浄に保つことができる。
また本実施の形態においては、撥インキ性物質を印刷版16Aの凸部17aに設ける方法として、撥インキ性物質が浸み込んだシリコーンゴムを凸部17aに押し当てるという方法が採用されている。
このため、撥インキ性物質の流動性が低い場合であっても、撥インキ性物質をシリコーンゴムから凸部17aに転移させることができる。例えば、溶媒を用いることなく、若しくはわずかな溶媒を用いるだけで、撥インキ性物質を凸部17aに転移させることができる。従って、凸部17aに転移された撥インキ性物質を短時間で凸部17aに固定させることができる。例えば、例えば、熱処理などの乾燥工程を実施することなく、若しくは短時間の熱処理を行うだけで、撥インキ性物質を凸部17aに固定させることができる。
また、シリコーンゴムが印刷版16Aの凹部17bには押し当てられないようにすることによって、凹部17bの内部に撥インキ性物質が設けられてしまうことを容易に防ぐことができる。このため、凹部17bの深さが小さい印刷版16Aが用いられる場合であっても、撥インキ処理を高い位置精度で実施することができる。このことにより、印刷の品質を安定に維持することができる。
このように本実施の形態によれば、従来の反転印刷方法に比べて、除去工程や撥インキ処理に要する時間を短縮することができる。従って、微細なパターンを形成することができるという反転印刷法の利点を享受しながら、工数および製造コストを削減できる印刷方法を提供できる。
また本実施の形態によれば、反転印刷方法全体に要する時間や工数を大きく増大させることなく、印刷版16Aに対する撥インキ処理を印刷の度に毎回実施することが可能になる。このため、印刷版16Aを常に清浄に保つことができ、これによって、印刷の品質を安定に維持することができる。
(導電性基材の製造方法)
次に、上述の印刷方法を用いて、複数の導電性配線43が形成された導電性基材40を製造する方法について説明する。ここでは、導電性基材40が、外部導体の接近を検出するタッチパネルセンサである例について説明する。図5は、タッチパネルセンサを示す平面図である。
タッチパネルセンサなどの導電性基材40を製造する場合、インキ13としては、導電性配線43を構成するための導電性材料を含むものが用いられる。例えば、金属などの導電性材料から構成された導電性粉末を含むインキが用いられる。なおインキ13には、バインダー樹脂が含まれていてもよい。また上述の印刷版16Aの凹部17bは、導電性配線43に対応したパターンで形成されている。このため、上述の転写工程によって、複数の導電性配線43を被転写体30上に形成することができる。なお被転写体30としては、導電性配線43を適切に支持することができ、かつ、光透過性を有する材料、例えばPETなどが用いられる。
図5に示すように、タッチパネルセンサは、画像が表示される画像領域41と、画像領域41の周縁に位置する周縁領域42と、に区画されている。周縁領域42は、映像が表示されない領域であり、いわゆる額縁領域とも称される領域である。図5においては、画像領域41が二点鎖線によって表されている。タッチパネルセンサは、画像領域41に配置され、人間の指などの外部導体の接近を検出するセンサパターン44と、周縁領域42に配置されるとともに導電性配線43に接続され、導電性配線43から構成される周縁パターン45と、を有している。周縁パターン45は、センサパターン44からの信号をタッチパネルセンサの端部近傍まで低抵抗で伝導させ、これによって、センサパターン44からの信号を外部に取出し易くするためのものである。
センサパターン44は、互いに間隔を空けて網目状に配置された複数の導電性配線43から構成されている。導電性配線43の寸法や配置は、センサパターン44に求められる特性に応じて適切に設定されるが、例えば導電性配線43の幅が3μ〜10μmの範囲内となっており、隣接する2つの導電性配線43の間の間隔が200μ〜900μmの範囲内となっている。図5において、複数の導電性配線43から構成されるセンサパターン44の輪郭が一点鎖線で表されている。図5に示すように、各センサパターン44は、その輪郭が一方向に延びるよう構成されている。
センサパターン44において、隣接する2つの導電性配線43の間には所定の間隔が空けられているので、導電性配線43が金属などの遮光性を有する導電性材料から構成されている場合であっても、液晶パネルなどの表示装置から放射された映像光の大部分がセンサパターン44を透過することができる。また本実施の形態によれば、各導電性配線43が、印刷装置10を用いた反転印刷法によって作製されている。このため、各導電性配線43の幅やピッチを微細に設定することができる。また、印刷版16Aの凸部17a上に付着しているインキ13を、除去機構20を用いて効率的に除去することができる。このため、微細な導電性配線43から構成されたセンサパターン44を含むタッチパネルセンサを、小さな工数およびコストで製造することができる。
好ましくは、センサパターン44を構成する各導電性配線43と、周縁パターン45を構成する各導電性配線43とは、同一の印刷工程において同時に作製される。これによって、タッチパネルセンサの製造に要する工数を小さくすることができる。また、センサパターン44と周縁パターン45との間の位置合わせが不要になるため、タッチパネルセンサの製造工程を簡略化することができる。
なお図5において点線で示すように、タッチパネルセンサなどの導電性基材40において、被転写体30の一方の面だけでなく被転写体30の他方の面にもセンサパターン44や周縁パターン45が形成されていてもよい。他方の面に形成されるセンサパターン44および周縁パターン45は、一方の面の場合と同様に、反転印刷法によって形成される導電性配線43から構成されていてもよい。また図5に示すように、他方の面に形成されるセンサパターン44は、一方の面に形成されるセンサパターン44に対して直交するよう延びていてもよい。なお図5においては、図面が煩雑になるのを防ぐため、他方の面に形成されるセンサパターン44を1つのみ表しているが、しかしながら、一方の面の場合と同様に、他方の面にも複数のセンサパターン44が設けられていてもよい。
変形例
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
(前処理機構の変形例)
本実施の形態において、被転写体30にインキ13を転写するためのブランケット胴12が、印刷版16Aに撥液性を付与するための前処理機構19を構成している例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、印刷版16Aに押し当てられる前処理機構19のシリコーンゴムは、被転写体30にインキ13を転写するためのブランケット胴12とは別個のロールに設けられたものであってもよい。
(ロール・トゥ・ロールの例)
また本発明による前処理機構19が、図6に示すようにロール・トゥ・ロールの反転印刷法において用いられてもよい。図6に示す変形例においては、印刷版としてロール状の印刷版16Bが用いられる。ロール状の印刷版16Bは、ブランケット胴12の表面のインキ13に接触することができる複数の凸部17aと、凸部17aの間に位置する複数の凹部17bと、を有している。また前処理機構19は、印刷版16Bの回転方向に関してブランケット胴12よりも上流側に配置され、印刷版16Bに押し当てられる前処理ロール19cを有している。この前処理ロール19cの表面は、シリコーンゴムを含む表面層19aによって構成されている。また除去機構20の保持部24は、フィルム21およびプライマー層22を含む積層体がロール状の印刷版16Bに少なくとも部分的に巻き付けられるように上記積層体を保持するガイドローラー26を含んでいる。
以下、本変形例における印刷装置10を用いた印刷方法について説明する。はじめに、印刷版16Bの凸部17aに前処理ロール19cの表面層19aを押し当てる。この結果、図6に示すように、表面層19aに浸み込んでいる撥インキ性物質15が、凸部17a上に設けられる。また塗膜機構14を用いて、ブランケット胴12の表面にインキ13の膜を形成する。
次に、回転するブランケット胴12が印刷版16Bに接触する。これによって、ブランケット胴12の表面のインキ13のうち印刷版16Bの凸部17aに接触したインキ13が、凸部17a側に転移される。ここで、凸部17a上には撥インキ性物質15が前もって設けられている。このため図6に示すように、凸部17aとインキ13との間に撥インキ性物質15が介在された状態を実現することができる。
その後、回転するブランケット胴12の表面に残っているインキ13が、圧胴18によって搬送される被転写体30に接触し、これによってインキ13が被転写体30に転写される。
また除去機構20においては、図6に示すように、プライマー層22を構成するための樹脂材料を、塗工部23を用いて、フィルム21の両面のうち印刷版16Bと対向する側の面に塗工する。次に、保持部24を用いて、フィルム21によって支持されているプライマー層22を印刷版16Bの凸部17a上のインキ13に接触させる。なお図示はしないが、フィルム21およびプライマー層22の積層体をフィルム21側から印刷版16Bに向かって押圧する押圧ローラーが設けられていてもよい。次に、硬化処理部27を用いて、凸部17a上のインキ13に接触しているプライマー層22を硬化させる。これによって、プライマー層22をインキ13に対して強固に密着させることができる。その後、フィルム21およびプライマー層22の積層体が例えば保持部24のガイドローラー26に沿って搬送され、これによって、上記積層体が印刷版16Bの凸部17aから引き離される。この際、図6に示すように、凸部17aに付着していたインキ13が、凸部17aから引き離されてプライマー層22側に転移する。これによって、凸部17a上に付着しているインキ13を除去することができる。
ここで本変形例においても、上述の本実施の形態の場合と同様に、凸部17aとインキ13との間には撥インキ性物質15が介在されている。このため、上述の除去工程の剥離工程において、凸部17aに付着していたインキ13を凸部17aから容易に引き離してプライマー層22側に転移させることができる。このため、除去工程に要する時間を短縮することができる。
また本変形例においても、撥インキ性物質を印刷版16Bの凸部17aに設ける方法として、撥インキ性物質が浸み込んだシリコーンゴムを凸部17aに押し当てるという方法が採用されている。このため、凸部17aに撥インキ性物質を固定するという処理を短時間で実施することができる。
このように本変形例においても、従来の反転印刷方法に比べて、除去工程や撥インキ処理に要する時間を短縮することができる。
また本変形例によれば、印刷版16Bに撥液性を付与する前処理工程と、ブランケット胴12の表面のインキ13を部分的に印刷版16Bに転移させる転移工程と、ブランケット胴12の表面に残っているインキ13を被転写体30に転写する転写工程と、印刷版16Bの凸部17a上に付着しているインキ13を除去する除去工程と、を平行して実施することができる。このため、反転印刷法を連続的に実施することが可能になる。従って、微細なパターンを形成することができるという反転印刷法の利点を享受しながら、工数および製造コストを削減できる印刷方法を提供できる。
(除去機構の変形例)
また上述の本実施の形態および変形例において、プライマー層22を利用することによって印刷版16A,16Bの凸部17a上に付着しているインキ13が除去される例を示した。しかしながら、凸部17a上に付着しているインキ13を除去するために用いられる手段が特に限られることはない。例えば、プライマー層22の代わりに粘着層を利用して、凸部17a上に付着しているインキ13を除去してもよい。具体的には、除去機構20は、フィルム21と、フィルム21の両面のうち印刷版16A,16B側の面に設けられた粘着層と、粘着層が印刷版16A,16B上のインキ13に接触するよう、フィルム21および粘着層を含む積層体を保持する保持部24と、を有していてもよい。この場合、フィルム21によって支持されている粘着層を印刷版16A,16Bの凸部17a上のインキ13に接触させる接触工程と、フィルム21および粘着層を印刷版16Aの凸部17aから引き離す剥離工程と、を実施することによって、凸部17a上に付着しているインキ13を除去する除去工程を行うことができる。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下、実施例を挙げることにより、本発明について具体的に説明する。
(実施例1)
〔前処理工程〕
深さ約3μmの凹凸が形成されたガラスからなる印刷版を準備した。この印刷版に対して、金陽社製のシリコンブランケットを押し当て、これによって、印刷版の表面に撥液性を付与した。このときの25℃の純水に対する接触角を測定したところ、80°であった。
参考までに、シリコンブランケットをガラスに対して接触させる回数に応じて、25℃の純水に対するガラスの接触角がどのように推移するかを測定した結果を図7に示す。なおガラスとしては、5分間にわたってUVオゾン処理が施されたものを使用した。シリコンブランケットが接触される前のガラスの、25℃の純水に対する接触角は10°以下であった。ガラスに撥液性を付与する工程においては、ハンドローラーを用いて金陽社製のシリコンブランケットをガラスに対して接触させた。
図7に示すように、接触回数の増加に伴って、25℃の純水に対する接触角が向上することが確認された。すなわち、ガラスに撥液性が付与されることを確認できた。
〔転移工程〕
金陽社製のシリコンブランケット上に、Cuナノ粒子が分散されたインクをスピンコートすることによって、シリコンブランケットの全面にインクを塗布した。インキとしては、Cuナノ粒子が分散され、かつ、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート、いわゆるPGMEAが35wt%の濃度で分散され、さらに、インキの表面張力を調整するためのDIC製のフッ素系界面活性剤F−555が0.5wt%の濃度で添加されたものを用いた。
次に、上述の印刷版に、インキが塗布されたシリコンブランケットを接触させ、印刷版の凸部にシリコンブランケット上のインキを転移させた。これによって、シリコンブランケット上のインキをパターニングした。
〔転写工程〕
その後、パターニングされたシリコンブランケットのインキを、PETフィルム上に転写した。これによって、PETフィルム上に、厚み約350nmのCuパターンを得た。
〔除去工程〕
印刷版の凸部に転移されたインキを除去するためのプライマー層を構成するプライマーインキとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなるアクリルモノマーに2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドからなる光開始剤を2wt%の濃度で分散させたものを準備した。次に、厚み100μmの東洋紡製の透明PETA4100からなるフィルムに、準備したプライマーインキをバーコート法を用いて塗布し、フィルム上に膜厚約20μmのプライマー層を形成した。プライマー層の粘度は25℃で約5250mPa・sであり、従って、プライマーインキの塗膜がフィルムから流れ落ちることはなかった。
次に、プライマー層を、インキが付着している印刷版の凸部に接触させ、その後、透明PETからなるフィルムを介して紫外線をプライマー層に照射し、プライマー層を硬化させた。紫外線の照射量は、UV−Aにおける約400mJ/cm、および、UV−Bにおける約300mJ/cmとした。次に、印刷版からプライマー層を剥離した。結果、硬化したプライマー層および凸部上のインキがいずれもフィルム側に転移した。すなわち、印刷版の凸部からインキを除去することができた。
(実施例2)
インキが付着している印刷版の凸部に、厚み35μの粘着層が設けられた日東電工製のポリイミドテープNo.360ULを、ハンドローラーを用いて接触させたこと以外は、実施例1と同様にして、印刷版の凸部上のインキを除去するための除去工程を実施した。凸部からポリイミドテープを剥離させたところ、凸部上のインキがポリイミドテープ側に転移した。すなわち、印刷版の凸部からインキを除去することができた。
(比較例1)
印刷版の表面に撥液性を付与するための前処理工程を実施しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、印刷版の凸部上のインキを除去するための除去工程を実施した。凸部からポリイミドテープを剥離させたところ、凸部上のインキをポリイミドテープ側十分に転移させることができなかった。すなわち、凸部上にインキが部分的に付着したままとなっていた。
10 印刷装置
12 ブランケット胴
12a 表面層
12b 本体部
13 インキ
14 塗膜機構
15 撥インキ性物質
16A 平板状の印刷版
16B ロール状の印刷版
17a 凸部
17b 凹部
19 前処理機構
19a 表面層
19c 前処理ロール
20 除去機構
21 フィルム
22 プライマー層
24 保持部
27 硬化処理部
30 被転写体

Claims (12)

  1. 凸部および凹部を有する印刷版にシリコーンゴムを押し当てる前処理工程と、
    ブランケット胴の表面にインキの膜を形成する工程と、
    前記ブランケット胴を前記印刷版に接触させ、前記ブランケット胴の表面のインキを印刷版の前記凸部上に転移させる転移工程と、
    前記ブランケット胴の表面に残っているインキを被印刷体に転写する転写工程と、
    前記印刷版の前記凸部上に付着しているインキを除去する除去工程と、を備える、印刷方法。
  2. 前記ブランケット胴の表面は、シリコーンゴムを含む表面層によって構成されており、
    前記前処理工程は、表面にインキの膜が形成されていない状態にある前記ブランケット胴を前記印刷版に押し当てることによって実施される、請求項1に記載の印刷方法。
  3. 前記除去工程は、
    フィルムによって支持されているプライマー層を前記印刷版の前記凸部上のインキに接触させる接触工程と、
    前記凸部上のインキに接触している前記プライマー層を硬化させる硬化処理工程と、
    前記フィルムおよび前記プライマー層を前記印刷版の前記凸部から引き離す剥離工程と、を有する、請求項1または2に記載の印刷方法。
  4. 前記プライマー層は、電離放射線を照射されることによって硬化する電離放射線硬化性樹脂材料を含む、請求項3に記載の印刷方法。
  5. 前記除去工程は、
    フィルムによって支持されている粘着層を前記印刷版の前記凸部上のインキに接触させる接触工程と、
    前記フィルムおよび前記粘着層を前記印刷版の前記凸部から引き離す剥離工程と、を有する、請求項1または2に記載の印刷方法。
  6. ブランケット胴の表面のインキを被転写体に転写する印刷装置であって、
    前記ブランケット胴と、
    前記ブランケット胴の表面にインキの膜を形成する塗膜機構と、
    前記被転写体の上流側に設けられ、前記ブランケット胴の表面の前記インキに接触することができる凸部と、前記凸部の間に位置する凹部と、を有する印刷版と、
    前記印刷版の前記凸部上に付着しているインキを除去する除去機構と、を備え、
    前記印刷装置は、前記印刷版の前記凸部がインキに接触する前に、前記印刷版にシリコーンゴムを押し当てる前処理を実施する前処理機構をさらに備える、印刷装置。
  7. 前記印刷版は、平板状のものである、請求項6に記載の印刷装置。
  8. 前記ブランケット胴の表面は、シリコーンゴムを含む表面層によって構成されており、
    前記前処理機構による前記前処理は、表面にインキの膜が形成されていない状態にある前記ブランケット胴を前記印刷版に押し当てることによって実施される、請求項7に記載の印刷装置。
  9. 前記印刷版は、回転するロール状のものであり、
    前記前処理機構は、前記印刷版の回転方向に関して前記ブランケット胴よりも上流側に配置され、前記印刷版に押し当てられる前処理ロールを有し、
    前記前処理ロールの表面は、シリコーンゴムを含む表面層によって構成されている、請求項6に記載の印刷装置。
  10. 前記除去機構は、
    フィルムと、
    フィルムの両面のうち前記印刷版側の面に設けられたプライマー層と、
    前記プライマー層が前記印刷版上のインキに接触するよう、前記フィルムおよび前記プライマー層を含む積層体を保持する保持部と、
    前記インキに接触している前記プライマー層を硬化させる硬化処理部と、を有する、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の印刷装置。
  11. 前記プライマー層は、電離放射線を照射されることによって硬化する電離放射線硬化性樹脂材料を含む、請求項10に記載の印刷装置。
  12. 前記除去機構は、
    フィルムと、
    フィルムの両面のうち前記印刷版側の面に設けられた粘着層と、
    前記粘着層が前記印刷版上のインキに接触するよう、前記フィルムおよび前記粘着層を含む積層体を保持する保持部と、を有する、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の印刷装置。
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