JP6132148B2 - 施工支援システム、部材情報読取装置、クレーン、施工支援方法、部材情報読取方法及びプログラム - Google Patents
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Description
特許文献1には、吊り荷用のフックブロック(クレーンフックの上部に設けられ、ワイヤによって支持される動滑車を収容する部分)にリーダライタ(読取装置)を取り付けて、当該リーダライタが、ある部材の玉掛け作業(作業者が部材に取り付けられたワイヤをフックにかける作業)時において、その部材に付されたICタグと無線通信を確立し、当該ICタグに登録された部材の識別情報を読み取る方法が記載されている。このようにすることで、所定の管理装置(データサーバ等)により、上述の基礎データを部材ごとに識別管理することができ、当該基礎データをさらに有効活用することができる。
例えば、特許文献1では、玉掛けを行った部材を識別することで、作業改善や計画立案のための基礎データとして蓄積されるものの、クレーンのオペレータへの施工支援(例えば部材のナビゲーション)のためには利用されていない。つまり、部材の識別による情報収集方法が施工支援のために有効に活用されていないという課題があった。
以下、本発明の第1の実施形態に係る施工支援システムを、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る施工支援システムの全体概要を示す図である。この図において、符号1は施工支援システムである。
図1に示すように、本実施形態による施工支援システム1は、クレーン10による建設作業、特に部材5の運搬作業に用いられ、建設現場において、クレーン10のオペレータ9aの施工作業を支援するシステムである。具体的には、本実施形態に係る施工支援システム1は、クレーン10によって釣り上げて運搬される部材5ごとに予め記憶された目標配置情報を取得するとともに、当該目標配置情報に基づいて、建設中の建設物において部材5の取り付けられるべき位置(目標位置)及び方位(目標方位)をクレーン10のオペレータ9aに通知する。ここで「目標配置情報」とは、建設中の建設物において部材5が取り付けられるべき目標位置及び目標方位を示す情報のことである。目標配置情報に含まれる「目標位置」及び「目標方位」の詳細については後述する。
また施工支援システム1は、部材5の目標位置及び目標方位と同時に、クレーン10による運搬中の部材5の現時点における位置(現在位置)及び方位(現在方位)をリアルタイムでオペレータ9aに通知する。つまり施工支援システム1は、オペレータ9aに対し、現在運搬中の部材5の現在位置及び現在方位と、部材5についての目標位置及び目標方位と、を同時にオペレータ9aに通知することで、オペレータ9aが当該部材5を目標地点まで迅速かつ正確に運搬できるようにナビゲートする施工支援を可能とする。
以下、本実施形態に係る施工支援システム1を構成する各機能部の機能構成について、図1を参照しながら説明する。
まず、クレーン10の機能構成について説明する。なお本実施の形態に係るクレーン10として、タワークレーンを一例としている。
クレーン10は、所定の建設現場に設置される重機であって、建設物(例えば高層ビル等)の建設資材(部材5、例えば鉄骨)を吊り上げながら、旋回、起伏、巻き上げ等の種々の動作を行い、建設物の所望の位置にまで運搬する重機である。
図1に示すように、クレーンフック11のフック本体部11cは、フック回転軸O2を軸として水平方向(地表面に平行な方向)に回転可能な構成となっている。したがって、フック本体部11cに玉掛けされた部材5は、フック本体部11cの回転に応じて回転可能となる。このようにすることで、部材5の建設物への取り付け時において、建設物に待機する取り付け作業者が部材5を自在に回転させることができるので、施工効率を向上させることができる。
オペレータ9aは、操作室14におけるクレーン10の操作に基づいて、ジブ13の傾斜角φを変化させることができる(起伏)。そうするとジブヘッド13aの高さが変化して、オペレータ9aはクレーンフック11に玉掛け(後述)された部材5を吊り上げて、建設物の高所にまで部材5を釣り上げることができる。
またオペレータ9aは、旋回軸O1(図1参照)を軸としてジブ13を水平方向に旋回させることができる。このようにすることで、オペレータ9aは、釣り上げた部材5を旋回方向に移動させることができる。なお、旋回時においてクレーンフック11及び玉掛けされた部材5は、図1に示す作業半径r(旋回軸O1からフック回転軸O2までの水平方向の距離)の円周に沿って移動する。作業半径rは、起伏によるジブ傾斜角度φによって調整可能である。以下の説明では、ジブ旋回軸O1を軸としてジブ13が、所定の基準位置からどの程度旋回したかをジブ旋回角度αで表すこととする。
またオペレータ9aは、ワイヤ12の長さを変化させることができる(巻上げ、巻下げ)。この動作は、部材5を所望する位置にまで上げたり下ろしたりする場合の調整等に用いられる。
図1に示すように、玉掛け作業者9bは、玉掛け作業場Tに待機し、クレーンフック11のフック本体部11cに部材5を玉掛けする作業を行う。このとき部材5には、吊り上げ用ワイヤ5bが取り付けられており、作業者は吊り上げ用ワイヤ5bをフック本体部11cにかけることで玉掛け作業を行う。なお玉掛け作業は、玉掛けされてクレーン10の起伏動作により吊り上げられたときに部材5が水平を維持しつつ、その重心5nがフック回転軸O2と重なるように行われる。
ここで図1に示すように、施工支援システム1は、フック角度取得部20、部材用IC(Integrated Circuit)タグ21、部材情報読取装置22、施工支援装置23で構成される。以下、図1を参照しながら施工支援システム1の各機能構成の概要を説明する。
また、「部材5の向くべき(向いている)方位」とは、部材5における一固定点(重心5nを除く)が、重心5nに対して向くべき(向いている)方位とする。なお以下の説明においては、部材5が柱状の鉄骨材料であるものとし、この場合において「部材5が向くべき(向いている)方位」とは、柱状の鉄骨である部材5が延在する長手方向に平行な一の方位とする。
部材情報読取装置22は、この「取り付けられるべき方位」に対する「吊り上げ前に向いている方位」の相違(ずれ)角度を初期ずれ角度情報として取得し、上記部材識別情報、目標配置情報とともに施工支援装置23に送信する。なお、初期ずれ角度情報の具体的な取得手段については後述する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る部材情報読取装置の機能構成を示す図である。
次に図2を参照して、部材情報読取装置22の機能構成について説明する。本実施形態に係る部材情報読取装置22は、上述したように、スマートフォン等の携帯型端末装置であって、タッチアクセスにより部材用ICタグ21と所定の無線通信を確立するとともに、部材用ICタグ21から取得した情報等を施工支援装置23に送信する装置である。
操作入力部226は、例えばタッチパネル等から構成され、各種操作の入力を受け付ける。画像表示部227は、液晶ディスプレイ等であって、読取用アプリケーション実行中において玉掛け作業者9bに必要な各種情報画像を表示する。
CPU220の別の機能であるずれ角度取得部221bは、タッチアクセスがあったことを検知するとともに、その時点において地磁気センサ228が検知する「北」の方位に対する部材情報読取装置22本体が向いている方位のずれ角度を算出して、これを本体方位情報として取得する。そしてその内容を、無線通信モジュール223を介して施工支援装置23に送信する処理を行う。
CPU220のさらに別の機能であるタグ情報書込部221cは、部材用ICタグ21内の記憶部に所望の部材識別情報、目標配置情報等のタグ情報を書き込む。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る施工支援装置の機能構成を示す図である。
次に図3を参照して、施工支援装置23の機能構成について説明する。本実施形態に係る施工支援装置23は、上述したように、汎用のパーソナルコンピュータであって、PLC14a、フック角度取得部20及び部材情報読取装置22から種々の情報を入力、受信して、クレーン10のオペレータ9aに施工支援のためのナビゲーション情報を表示する装置である。
またHDD234には、部材管理データベース234aが格納されている。部材管理データベース234aは、建設中の建設物に用いられる複数の部材5ごとの種々の情報(形状、重心位置、重量等)が、部材識別情報に対応付けられながら記憶されるデータベースである。
なおクレーン10は、例えば、無線LAN用の信号発信源(いわゆるアクセスポイント、図1には不図示)をクレーンフック11に備え、無線通信モジュール232が、ワイヤ12及びジブ13等に引き回された通信ケーブルを介して、当該信号発信源と有線接続されている態様であってもよい。この場合、部材情報読取装置22の無線通信モジュール223は、クレーンフック11に備えられた上記信号発信源を経由することで各種情報を施工支援装置23に送信する。
操作入力部226は、例えばマウス、キーボード、タッチパネル等から構成され、各種操作の入力を受け付ける。画像表示部227は、液晶ディスプレイ等であって、施工支援アプリケーション実行中において玉掛け作業者9bに必要な各種情報画像を表示する。画像表示部227は、具体的には、目標配置情報に基づいて、部材5の建設物において取り付けられるべき位置(目標位置)及び方位(目標方位)を表示するとともに、ジブ状態情報、フック角度情報及び初期ずれ方位情報に基づいて、運搬中の部材5の現在位置及び現在方位をリアルタイムで表示して、オペレータ9aの操作をナビゲートする。
外部インターフェイス237は、外部装置との通信を行うための通信インターフェイスである。本実施形態に係る外部インターフェイス237は、特に、PLC14aと有線接続され、PLC14aからジブ状態情報を入力して取得するためのジブ状態取得手段として機能する。
施工支援アプリケーション231が実行されたCPU230の機能の一つである目標位置方位演算部231aは、無線通信モジュール232を介して受信した部材識別情報、目標配置情報に基づいて、部材5が建設物において取り付けられるべき目標位置及び目標方位を算出して、当該目標位置及び目標方位を示す目標部材画像P(後述)を画像表示部236に表示する処理を行う。
また現在位置方位演算部231bは、初期ずれ角度情報及びジブ状態情報に基づいて、釣り上げ前、または運搬中における部材5の現在位置及び現在方位を算出して、当該現在位置及び現在方位を示す現在部材画像Q(後述)を画像表示部236に表示する処理を行う。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る部材用ICタグに記憶される情報の例を示す図である。
図4に示すように部材用ICタグ21には、部材識別情報及び目標配置情報が記憶される。部材識別情報は、部材用ICタグ21が付される部材5固有の識別情報であり、この部材識別情報を受信した施工支援装置23は、部材5の種別を特定することができる。また部材用ICタグ21には、部材5ごとに予め設定された目標配置情報が記憶される。目標配置情報は、図4に示すように、部材5について建設物に取り付けられるべき位置を示す目標位置(x1,y1,z1)、及び、部材5が建設物に取り付けられた際に向く方位を特定する目標方位θ1で構成される。ここで目標位置(x1,y1,z1)は、部材5の取り付けられるべき重心位置を示しており、建設中の建設物を構成する壁や柱の中心線(通り芯という)の名称と、その通り芯からの偏差で表す。例えば、目標位置(X5+1300,Y3−3500)であれば、通り芯X5と通り芯Y3の交点からそれぞれx軸方向に1300mm、y軸方向に−3500mmの地点が部材5の重心位置となる。z1(高さ方向)も同様に、例えばz1=5F+300であれば、建設物5階の床の高さを基準としてz軸方向(地表面に垂直な方向)に+300mmの位置を示すこととなる。
また、タグ情報書込部221cは、さらに、予め登録された部材識別情報、通り芯名(例えば“X5”、“Y3”等)、階数(例えば“5F”等)の中から任意の情報を選択できる機能を備えていてもよい。このようにすることで、書込み作業者による情報入力作業の手間を軽減することができる。
図5は、本発明の第1の実施形態に係るフック角度取得部の機能構成を示す第1の図である。また図6は、本発明の第1の実施形態に係るフック角度取得部の機能構成を示す第2の図である。
次に、図5、図6を参照して、フック角度取得部20の機能構成について説明する。本実施形態に係るフック角度取得部20は、上述したように、部材5を釣り上げるフック本体部11cの水平回転角度(フック角度β)を示すフック角度情報を取得する。
角度読取装置20aは、対向する一のフック用ICタグ20bから読み取ったフック角度情報を、無線通信モジュール201を介して施工支援装置23に逐次送信する。
例えば、フック本体部11cとフック用ICタグ20bの間に所定の厚さの下地を設ける態様であってもよい。このようにすることで、金属で形成されるフック本体部11cにフック用ICタグ20bが直接付され、電磁界による無線通信が困難となることを防止することができる。なお上記下地は、誘電体(絶縁体)、より好ましくは、透磁率の高い磁性材料で形成されるものとする。
また、上記の例では、フック角度30°ごとに12枚のフック用ICタグ20bを貼付する態様として説明したが、本実施形態においてはこの態様に限定されない。例えば、フック用ICタグ20bの枚数Nは、[N=フック直径A×π/ICタグ幅I]で決定されるものであってもよい。ここで、フック直径Aは、フック本体部11cの回転軸O2に垂直な断面円の直径である(図6)。ただし、上記下地を有する場合はその下地の厚さを含むものとする。ICタグ幅Iは、フック本体部11cの円周方向についてのフック用ICタグ20bの幅である(図6)。例えば、A=90mmのフック本体部11cに対し、I=18mmのフック用ICタグ20bを貼付する場合、上記の式によりN≒16とすることができる。
また、フック角度取得部20は、フック本体部11cの角速度をセンシングする所定の加速度センサを備え、当該加速度センサから検知される角速度情報からフック本体部11cの水平回転角度(フック角度β)を特定し、フック角度情報として取得する手法を用いてもよい。フック角度取得手段としてはその他、水平回転可能なフック本体部11cのフック角度βを特定し、フック角度情報として取得できる種々の手法が適用されてよい。
また、フック角度取得部20は、フックブロック11a、11bに、二つ以上の角度読取装置20aを備える態様であってもよい。このようにすれば、施工支援装置23は、複数の角度読取装置20a各々から、フック角度情報を受信するため、冗長性が増して、より正確なフック角度情報を取得することができる。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る初期ずれ角度情報の取得方法を示す第1の図である。また図8は、本発明の第1の実施形態に係る初期ずれ角度情報の取得方法を示す第2の図である。なお図8は、図7の要部を拡大して示している。
以下、図7、図8を参照しながら、初期ずれ角度情報の取得方法を具体的に説明する。
なお部材基準方位Q0は、具体的には、部材用ICタグ21が付される際などにおいて、予め作成された設計情報に基づいて手書きで記されるものであってよい。
また上述の説明では、部材5に北の方位を予め記し、この方位に合わせてタッチアクセスすることで、部材5の初期ずれ角度情報を取得する方法を説明したが、本実施形態においてはこの方法に限定されない。例えば、部材5には、当該部材5が建設物に取り付けられた場合における、建設物の通り芯のx軸の方位またはy軸の方位が記されていてもよい。なおこの場合は、通り芯の各軸の方位と、実際の北の方位との対応関係が予め部材情報読取装置22に記録されているものとする。そして読取用アプリケーション220は、地磁気センサ228を介して取得する実際の北の方位を基準として、通り芯の各軸の実際の方位を求めた上で、部材5の現時点における各軸の方位とのずれ角度を算出する処理を行うものとする。
まず玉掛け作業者9bは、自身が所有する部材情報読取装置22において、読取用アプリケーション221を実行する。読取用アプリケーション221は、タッチアクセスモジュール222の機能を有効にして、部材用ICタグ21へのタッチアクセスを待ち受ける状態にする。またこのとき、読取用アプリケーション221は、部材情報読取装置22の画像表示部227に、地磁気センサ228が検知する絶対基準方位(実際の北の方位)を玉掛け作業者9bに通知する画像22aを表示してもよい。
なお、タグ情報取得部221aは、上記タッチアクセスにより部材用ICタグ21から取得した部材識別情報及び目標配置情報を、直ちに施工支援装置23に送信する処理を行う。
このようにすることで、建設現場に複数台のクレーン10が存在する場合において、実際に部材5を釣り上げるクレーン10にのみ、当該部材5についての部材識別情報、目標配置情報、並びに初期角度ずれ情報を送信することができる。なお、クレーンフック11に上述した無線LAN用のアクセスポイントが備えられている場合において、部材情報読取装置22が、異なる複数のアクセスポイントの通信可能範囲が重複するエリア内に存在しない場合には、通信可能な一のアクセスポイントと無線通信を確立することで、クレーン識別IDの選択操作を省略できるようにしてもよい。
例えば、本来、クレーン10(2号機)が吊り上げるべき部材5へのタッチアクセスに際し、部材情報読取装置22が、クレーン10(1号機)に備えられている施工支援装置23と無線通信を確立した場合には、クレーン10(1号機)に備えられた施工支援装置23は、以下のような処理を行う。
すなわち、クレーン10(1号機)に備えられた施工支援装置23の上記クレーン特定手段は、タッチアクセス後に部材情報読取装置22から受信した部材5についての部材識別情報と、自身が備える部材管理データベース234aに予め記憶された部材情報とを照らし合わせて、この部材5を吊り上げるべきクレーン10を特定する。そして、クレーン10(1号機)に備えられた施工支援装置23は、上記クレーン特定手段の処理に基づき、自機(1号機)ではなくクレーン10(2号機)が吊り上げるべき部材であると特定した場合には、部材情報読取装置22から受信した各種情報を、そのクレーン10(2号機)に備えられた施工支援装置23に向けて転送する処理を行う。この転送処理は、例えば、複数のクレーン10の各々を接続するクレーン間LANを介して成される。
このようにすることで、タッチアクセスによって部材情報読取装置22が送信する部材5についての各種情報がいずれのクレーン10に対して送信された場合であっても、最終的に、実際に部材5を釣り上げるべきクレーン10に、当該部材5についての部材識別情報、目標配置情報、並びに初期角度ずれ情報を伝達することができる。
なお、上記の場合において、部材管理データベース234aは、予め各部材5がいずれのクレーン10によって吊り上げられるべきかを示すクレーン識別IDを、部材識別情報と関連付けて記憶しているものとする。
また、上記クレーン判定手段は、受信した部材識別情報ではなく、玉掛け作業者9bの操作によって選択されたクレーン識別IDに基づいて、部材5がいずれのクレーン10が吊り上げるべき部材かを判定してもよい。
図9、図10、図11は、本発明の第1の実施形態に係る施工支援装置の画像表示部に表示される画像を示す第1の図、第2の図、第3の図である。
施工支援装置23は、部材情報読取装置22、フック角度取得部20及びPLC14aから受信(入力)して取得する種々の情報に基づいて、運搬中におけるジブ13、クレーンフック11及び部材5の状態(位置、方位)と、部材5の建設物において取り付けられるべき状態(目標位置、目標方位)を、クレーン10のオペレータ9aに通知する。以下、部材5の実際の運搬作業が進められる工程において、画像表示部236に表示される表示画像の例を、順を追って説明する。なお施工支援装置23のCPU230では、所定の施工支援アプリケーション231が実行されている状態であるとする。
施工支援装置23の目標位置方位演算部231aは、部材情報読取装置22から受信した目標配置情報(目標位置x1,y1,z1、目標方位θ1)に基づいて、玉掛けされた部材5が建設物において取り付けられるべき状態を示す目標部材画像Pを画像表示部236に表示する(図9)。なお、座標(x1,y1,z1)の原点は建設現場の地表面における所定地点とし、目標方位θ1の基準は北の方位を0°とする。また目標位置方位演算部231aは、部材5の具体的な形状(大きさ、長さ、重心位置等)についての情報を、受信した部材識別情報に基づき、HDD234内に格納される部材管理データベース234aから取得して、目標部材画像Pに反映させてもよい。なおこの場合において、部材用ICタグ21に、予め部材5の具体的な形状に関する情報が記憶されており、部材情報読取装置22がこれを取得して送信するようにしてもよい。
オペレータ9aは、起伏・巻上げにより作業半径r及び部材5の揚程を調整した後、ジブ13を旋回させて部材5を建設物の所望する位置にまで運搬する。ここで現在位置方位演算部231bは、ジブ13の起伏・旋回に応じたジブ状態情報をPLC14aから逐次入力しながら、ジブ13の状態を示す現在ジブ画像R、及び、部材5の現在位置、現在方位を示す現在部材画像Qを更新する。オペレータ9aは、起伏・旋回に伴って逐次更新される表示画像を確認することで、部材5の重心5nが目標位置(x1,y1)に一致するように、適切にジブ13の起伏・旋回を実行することができる(図10)。なお初期ジブ旋回角度α1に対する現時点のジブ旋回角度αの差分を差分旋回角度Δα(=α−α1)で表す。
オペレータ9aは、部材5の現在位置(x0,y0)が、目標位置(x1,y1)に一致するように部材5を運搬した後、建設物に待機する部材取り付け作業者が、クレーンフック11から吊り上げ用ワイヤ5bを取り外し、建設物に部材5を取り付ける作業を行う。ここで部材取り付け作業者は、取り外しを行う前に、部材5が取り付けられるべき方位を向くように、部材5を水平回転させて、部材5が向く方位を調整する。部材5を吊り下げているフック本体部11cは、フック回転軸O2を軸として回転可能であるから、取り付け作業者は、部材5をフック本体部11cとともに回転させることができる。
なお図10の時点において、部材5の方位は、本来建設物に取り付けられるべき方位からΔθ+Δαずれていたので、取り付け作業者は、差分回転Δβ=−(Δθ+Δα)となるように部材5の方位を調整すればよいことになる。
図12は、本発明の第1の実施形態に係る部材情報読取装置の処理フローを示す図である。
次に、部材情報読取装置22のCPU220の処理フローについて、図12を参照しながら順を追って説明する。
一方、ずれ角度取得部221bは、地磁気センサ228が検知する絶対基準方位(実際の北の方位)に対して、部材情報読取装置22本体が向いている方位のずれ角度Δθを算出する(ステップS223)。上述した通り、玉掛け作業者9bは、部材情報読取装置22本体が向く方位を、部材5に記された部材基準方位Q0に一致させた状態でタッチアクセスを行う(図8参照)ので、ここで取得されたずれ角度Δθは、部材5が建設物に取り付けられた際の方位に対する、部材5が玉掛け作業場Tに配置されている時点における方位のずれ角度に一致する。
次に、読取用アプリケーション221は、玉掛け作業者9bから終了処理を受け付けたか否かを判定する(ステップS224)。ここで、読取用アプリケーション221は、終了処理を受け付けていない場合(ステップS224にて“NO”)は、ステップS221に戻って、再びタッチアクセスを待ち受ける。一方、読取用アプリケーション221は、終了処理を受け付けた場合(ステップS224にて“YES”)は、自身の処理を終了する。
図13は、本発明の第1の実施形態に係る施工支援装置の処理フローを示す図である。
次に、施工支援装置23のCPU230の処理フローについて、図13を参照しながら順を追って説明する。
一方、現在位置方位演算部231bは、PLC14aから入力するジブ状態情報に基づいて、現時点におけるジブ13の状態を示す現在ジブ画像Rを画像表示部236に表示する。また、現在位置方位演算部231bは、部材情報読取装置22から受信した初期ずれ角度情報及びジブ状態情報に基づいて、現時点(釣り上げ前)における部材5の状態(現在位置、現在方位)を示す現在部材画像Qを画像表示部236に表示する(ステップS232)。
施工支援アプリケーション231は、部材5の運搬完了の通知を入力しない場合(ステップS237にて“NO”)は、ステップS234に戻って、運搬中において逐次変化するジブ13の状態、部材5の位置、方位を示す画像(Q、R)を更新する。一方、施工支援アプリケーション231は、運搬完了の通知を入力した場合(ステップS237にて“YES”)は、自身の処理を終了する。なお、施工支援アプリケーション231は、この後にステップS230に戻って、次に運搬しようとする新たな部材5についての情報の受信を待ち受けるようにしてもよい。
また本実施形態に係る施工支援装置23は、部材情報読取装置22から受信する初期ずれ角度情報、及び、フック角度取得部20から受信するフック角度情報に基づいて、運搬中の部材5の向く方位を特定し、これをオペレータ9aに通知することができる。したがって、オペレータ9aは、さらに部材5が正しい方位を向いた状態で建設物に取り付けられているか否かの判断をすることができる。
以上、本発明の第1の実施形態に係る施工支援システム1によれば、部材の取り付け間違いをより確実に防止することができる。
例えば、本実施形態に係る施工支援システム1は、フック角度取得部20、部材情報読取装置22並びに施工支援装置23が、互いに、無線通信モジュール223、232、201(無線LAN)による無線通信に基づいて、種々の情報を送受信することとした。しかし、他の実施形態に係る施工支援システム1は、フック角度取得部20、部材情報読取装置22、施工支援装置23間における情報の送受信が、例えば、所定の通信ケーブルを介した有線接続で実現されるものであってもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
次に、本発明の第2の実施形態に係る施工支援システムを、図面を参照して説明する。
図14は、本発明の第2の実施形態に係る施工支援システムの機能構成を示す図である。なお、第2の実施形態に係る施工支援システムの機能構成のうち、第1の実施形態と共通する機能構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図14に示すように、本実施形態に係るクレーン10のクレーンフック11には、スピーカ202、音声マイク203及び撮影カメラ204が備えられている。
このようにすることで、玉掛け作業者9bは、部材情報読取装置22を用いて確実にタッチアクセスできたか否か、さらに、玉掛けを行った部材5の種別に誤りがないかを認知することができる。
このようにすれば、クレーン10が複数存在する場合に、部材情報読取装置22がいずれのクレーン10と無線通信を行ったかに関わらず、部材5を実際に釣り上げるべきクレーン10が備えるスピーカ202からアナウンスがされることとなる。したがって、玉掛け作業者9bは、クレーン10が複数存在する場合において、タッチアクセスした部材5が、いずれのクレーン10によって釣り上げられるべきものかを認知することができる。
例えば、玉掛け作業場Tにおける部材5のずれ角度Δθにジブ旋回角度Δαを加味した角度(Δθ+Δα)が45°であったとする。この場合、玉掛け作業者9bが部材情報読取装置22本体の方位を部材基準方位Q0に揃えながらタッチアクセスすると、施工支援装置23は、受信した初期ずれ角度情報に基づいてΔθ+Δαを45°と算出し、その角度情報を示す再生情報をスピーカ202に送信する。そして、スピーカ202は、受信した再生情報に基づいて、玉掛け作業者9bに、Δθ+Δαの角度が45°である旨を通知する。玉掛け作業者9bは、通知された角度45°に応じて、部材5がクレーンフック11によって運搬される前(持ち上げられた直後)に、角度(−45°)だけ予め回転させておく、という作業を行う。
このようにすれば、クレーン10による部材5の建設物への運搬が完了した際に、部材5がちょうど取り付けられるべき方位を向いていることとなるので、部材5の取り付け間違いを防止するとともに、取り付け作業の効率化を図ることができる。
また、施工支援装置23は上記機能に加え、クレーン10による部材5の建設物への運搬が完了した際に、建設物に待機する取り付け作業者に向けて、スピーカ202を介して、その時点におけるずれ角度Δθ’(式(1))をアナウンスする機能を有していてもよい。この場合、例えばオペレータ9aは、部材5をその目標位置にまで運搬する操作を終えた後、施工支援装置23の操作入力部235を介して所定の通知操作を行う。施工支援装置23はこの通知操作を受け付けると、その時点におけるずれ角度Δθ’を示す再生情報をスピーカ202に送信する処理を行う。
このようにすることで、施工支援装置23は、取り付け作業者に対して、部材5をどの方向にどの程度回転させればよいかを認知させることができる。
このようにすることで、建設物に待機する部材取り付け作業者は、運搬中の部材5の現在位置、現在方位が、部材5について予め定められていた目標位置、目標方位に一致したことを認知することができる。
ただし、配置完了通知手段は、スピーカ202を用いる態様に限定されない。他の変形例として、例えば、クレーンフック11に備えられたランプの点灯をもって、部材取り付け作業者等に通知してもよい。また施工支援装置23は、スピーカ202(及び上記ランプ)と、クレーン10に備えられた通信ケーブルをもって有線接続による通信を行ってもよい。
このようにすることで、オペレータ9aは、玉掛け作業者9b及び部材取り付け作業者に対して自身の音声で指示、連絡を行うことができる。
このようにすることで、オペレータ9a及び玉掛け作業者9bまたは部材取り付け作業者は、音声で双方向に連絡を取り合うことが可能となる。
このようにすれば、操作室14に待機するオペレータ9aは、玉掛け作業者9bによる玉掛け作業、部材取り付け作業者による部材5の取り付け作業の様子を、画像表示部236を介して逐次確認しながらクレーン10を操作することができる。したがってオペレータ9aは、より正確、迅速かつ安全に運搬作業を遂行することができる。
10・・・クレーン
11・・・クレーンフック
12・・・ワイヤ
13・・・ジブ
14・・・操作室
14a・・・PLC
15・・・マスト
20・・・フック角度取得部
21・・・部材用ICタグ
22・・・部材情報読取装置
23・・・施工支援装置
5・・・部材
9a・・・オペレータ
9b・・・玉掛け作業者
Claims (11)
- クレーンによる部材の運搬作業に用いられる施工支援装置であって、
前記クレーンで運搬しようとする前記部材の一を特定するとともに、当該部材に対して予め定められた目標配置情報を取得する目標配置取得手段と、
前記クレーンに備えられるジブの状態を示すジブ状態情報を取得するジブ状態取得手段と、
前記目標配置情報に基づいて、前記部材の取り付けられるべき目標位置を示すとともに、前記ジブ状態情報に基づいて、運搬中における前記部材の現在位置を示す画像表示部と、
を備える施工支援装置と、
クレーンに運搬される部材ごとに付される部材用ICタグに記憶された情報を読み取る部材情報読取装置であって、
前記部材用ICタグに記憶された前記部材の一を特定する部材識別情報と、当該部材に対して予め定められた目標配置情報と、を読み取って取得するタグ情報取得部と、
地磁気に基づいた普遍の方位である絶対基準方位を検知する地磁気センサと、
前記絶対基準方位に対する、吊り上げ前の前記部材ごとに記された所定の部材基準方位のずれ角度を算出して、前記部材の取り付けられるべき方位に対する、当該部材が吊り上げ前に向いている方位のずれ角度を示す初期ずれ角度情報を取得するずれ角度取得部と、
を備える部材情報読取装置と、
を備える施工支援システム。 - 前記施工支援装置は、
さらに、前記部材の取り付けられるべき方位に対する、当該部材が吊り上げ前に向いている方位のずれ角度を示す初期ずれ角度情報を取得する初期ずれ角度取得手段と、
前記部材を釣り上げるクレーンフックの水平回転角度を示すフック角度情報を取得するフック角度取得手段と、
を備え、
前記画像表示部は、さらに、
前記目標配置情報に基づいて、前記部材の取り付けられるべき目標方位を示すとともに、前記ジブ状態情報、前記フック角度情報及び前記初期ずれ角度情報に基づいて、運搬中における前記部材の現在方位を示す
ことを特徴とする請求項1に記載の施工支援システム。 - 前記画像表示部は、
前記目標位置及び前記目標方位に基づいて、前記部材の取り付けられるべき状態を示す目標部材画像を表示するとともに、前記現在位置及び前記現在方位に基づいて、運搬中における前記部材の状態を示す現在部材画像を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の施工支援システム。 - 前記施工支援装置は、
前記部材の前記現在位置、前記現在方位がそれぞれ、前記目標位置、前記目標方位に一致した場合に、これらが一致したことを通知する配置完了通知手段
を更に備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の施工支援システム。 - 前記施工支援装置は、
複数の前記クレーンの中から、前記部材を吊り上げるべきクレーンを特定するクレーン特定手段を更に備え、
当該特定されたクレーンが、自装置を備える前記クレーン以外のクレーンであった場合には、前記目標配置取得手段が取得した情報を、前記クレーンに向けて転送する処理を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の施工支援システム。 - クレーンに運搬される部材ごとに付される部材用ICタグに記憶された情報を読み取る部材情報読取装置であって、
前記部材用ICタグに記憶された前記部材の一を特定する部材識別情報と、当該部材に対して予め定められた目標配置情報と、を読み取って取得するタグ情報取得部と、
地磁気に基づいた普遍の方位である絶対基準方位を検知する地磁気センサと、
前記絶対基準方位に対する、吊り上げ前の前記部材ごとに記された所定の部材基準方位のずれ角度を算出して、前記部材の取り付けられるべき方位に対する、当該部材が吊り上げ前に向いている方位のずれ角度を示す初期ずれ角度情報を取得するずれ角度取得部と、
を備えることを特徴とする部材情報読取装置。 - 請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の施工支援システムの前記施工支援装置と、
前記クレーンフックの水平回転方向に沿ってその本体に複数配列されるとともに、当該クレーンフックの水平回転に伴って回転移動するフック用ICタグと、
前記クレーンフックの水平回転角度に応じた前記フック用ICタグの一と対向して、当該一のフック用ICタグに記憶された前記フック角度情報を読み取る角度読取装置と、
を備えることを特徴とするクレーン。 - クレーンによる部材の運搬作業に用いられる施工支援方法であって、
目標配置取得手段が、前記クレーンで運搬しようとする前記部材の一を特定するとともに、当該部材に対して予め定められた目標配置情報を取得し、
ジブ状態取得手段が、前記クレーンに備えられるジブの状態を示すジブ状態情報を取得し、
画像表示手段が、前記目標配置情報に基づいて、前記部材の取り付けられるべき位置を示すとともに、前記ジブ状態情報に基づいて、運搬中における前記部材の現在位置を示し、
地磁気センサが、地磁気に基づいた普遍の方位である絶対基準方位を検知し、
初期ずれ角度取得手段が、前記絶対基準方位に対する、吊り上げ前の部材ごとに記された所定の部材基準方位のずれ角度を算出して、前記部材の取り付けられるべき方位に対する、当該部材が吊り上げ前に向いている方位のずれ角度を示す初期ずれ角度情報を取得する
ことを特徴とする施工支援方法。 - 地磁気センサが、地磁気に基づいた普遍の方位である絶対基準方位を検知し、
初期ずれ角度取得手段が、前記絶対基準方位に対する、吊り上げ前の部材ごとに記された所定の部材基準方位のずれ角度を算出して、前記部材の取り付けられるべき方位に対する、当該部材が吊り上げ前に向いている方位のずれ角度を示す初期ずれ角度情報を取得する
ことを特徴とする部材情報読取方法。 - クレーンによる部材の運搬作業に用いられる施工支援装置であって、
前記クレーンで運搬しようとする前記部材の一を特定するとともに、当該部材に対して予め定められた目標配置情報を取得する目標配置取得手段と、
前記クレーンに備えられるジブの状態を示すジブ状態情報を取得するジブ状態取得手段と、
を備える施工支援装置のコンピュータを、
前記目標配置情報に基づいて、前記部材の取り付けられるべき位置を示すとともに、前記ジブ状態情報に基づいて、運搬中における前記部材の現在位置を示す画像表示手段、
として機能させ、
地磁気に基づいた普遍の方位である絶対基準方位を検知する地磁気センサを備えた部材情報読取装置のコンピュータを、
前記絶対基準方位に対する、吊り上げ前の部材ごとに記された所定の部材基準方位のずれ角度を算出して、前記部材の取り付けられるべき方位に対する、当該部材が吊り上げ前に向いている方位のずれ角度を示す初期ずれ角度情報を取得する初期ずれ角度取得手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。 - 地磁気に基づいた普遍の方位である絶対基準方位を検知する地磁気センサを備えた部材情報読取装置のコンピュータを、
前記絶対基準方位に対する、吊り上げ前の部材ごとに記された所定の部材基準方位のずれ角度を算出して、前記部材の取り付けられるべき方位に対する、当該部材が吊り上げ前に向いている方位のずれ角度を示す初期ずれ角度情報を取得する初期ずれ角度取得手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
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