JP6130701B2 - (2rs)−1−ジメチルアミノ−3−{2−[2−(3−メトキシフェニル)エチル]フェノキシ}プロパン−2−イルコハク酸水素塩酸塩の工業的製造方法 - Google Patents

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本発明は、サルポグレラート塩酸塩を、化学純度および多形純度が高く、且つ、高収率で製造する、新規な溶媒型再結晶化処理、および、固体結晶転移による非溶媒型再結晶化を用いた、安全で、環境に優しく、経済的で、且つ、再現可能な工業的製造方法に関する。サルポグレラート塩酸塩は、様々な薬剤用途および医薬用途に用いられる製剤原料である。
(2RS)-1-ジメチルアミノ-3-{2-[2-(3-メトキシフェニル)エチル]フェノキシ}プロパン-2-イル コハク酸水素塩酸塩またはサルポグレラート塩酸塩は、特許文献1の実施例2の記載に基づいて製造される公知の化合物である。サルポグレラート塩酸塩は、特許文献1に、血小板凝集抑制作用を有することが示されている。さらに、上述の化合物は、特許文献2に、セロトニンへの拮抗作用を有することが示されている。
サルポグレラート塩酸塩は、顕著な5−HT拮抗作用を有している。サルポグレラート塩酸塩は、様々な虚血症状の改善に効果的な薬剤として、主に用いられている。虚血症状としては、例えば、潰瘍を伴う慢性動脈閉鎖病、痛み、および、冷感が挙げられる。サルポグレラート塩酸塩は、下記化学式により表される。
Figure 0006130701
上記化学式(I)は、(2RS)-1-ジメチルアミノ-3-{2-[2-(3-メトキシフェニル)エチル]フェノキシ}プロパン-2-イル コハク酸水素塩酸塩である、サルポグレラート塩酸塩(JAN)である。この化合物は、CAS番号135159-51-2で登録されており、分子量は465.97である。薬学的な製剤原料の各条が、第十六改正日本薬局方に提供されている。サルポグレラート塩酸塩のオリジナル生成物は、商品名ANPLAGで市販され、錠剤および細粒の形状で広く販売されている。サルポグレラート塩酸塩の製造方法として、特に下記化学反応式の製造方法が、特許文献1に示されている。
Figure 0006130701
化学式(IV)の化合物は、化学式(III)の無水コハク酸を化学式(II)のアミノ化合物に反応させることによって生成され、塩酸塩化される。そして、この塩酸塩の粗結晶をアセトンから得ている(特許文献1を参照のこと)。
従来の特許文献(特許文献3〜5)は、サルポグレラート塩酸塩の2つの異なる結晶型について記載している。この両方の結晶型の物理化学特性は、赤外吸収スペクトル、示差走査熱量測定、C−NMRスペクトル、および、粉末X線回折スペクトルを用いて特徴づけられている。これらの文献に記載されているように、II型は、示差走査熱量測定において、約157℃近傍に吸熱ピークを有し、赤外吸収スペクトルにおいて、1593**2.0、1163**2.0、1040**2.0、または792**2.0-cm-1の吸収ピークを有している。一方、I型は、約152℃近傍に吸熱ピークを有し、赤外吸収スペクトルにおいて、1612**2.0、1585**2.0、1434**2.0、1054**2.0、932**1.0、918**2.0、または、780**2.0-cm-1の吸収ピークを有している。さらに、上記文献には、この結晶を有効成分とする医薬組成物において、特にII型結晶およびI型結晶それぞれの含有比は限定されないことが記載されている。そして、これらの文献には、バルク薬剤を用いて製造された、その医薬組成物は、例えば、好ましくは約75%以上、より好ましくは約85%以上、最も好ましくは約98%以上のII型結晶を含むことが記載されている。また、上記文献においては、両方の結晶型の化学的および物理学的安定性が評価されている。上記文献において、この発明に関係するII型結晶が、結晶混合物と比較して、より高い化学的安定性を有することが報告されている。また、物理的安定性については、I型結晶は、25℃未満の温度において物理的に安定であり、II型結晶は、35℃より高い温度において物理的に安定型であることが報告されている。
特許文献7には、I型結晶の製造方法が記載されている。
特許文献8および特許文献9には、サルポグレラート塩酸塩のII型結晶およびI型結晶の混合結晶の製造方法が記載されており、当該製造方法は、粗サルポグレラート塩酸塩のケトン溶液(水を含んでいる)を、予め冷却したケトン溶液中に浸漬する工程、および、濾過によって沈殿した結晶を回収する工程からなる。
特許文献10には、アセトニトリルを用いてサルポグレラート塩酸塩を再結晶および懸濁することによって、I型結晶とII型結晶との混合結晶を形成することが記載されている。
特許文献11には、塩化水素とサルポグレラート遊離塩基とを混合することによって、結晶混合物を得る種々の方法が記載されている。
特開昭58−32847号公報 特開平2−304022号公報 特開2006−160764号公報 特開2006−160765号公報 特開2006−160766号公報 特開2010−077155号公報 特開2007−217333号公報 特開2008−255065号公報 特開2008−285445号公報 特開2008−285446号公報 特開2010−126447号公報 韓国特許公開公報20100120558号 韓国特許公報100911720号 韓国特許公開公報20080097708号 中国特許公開公報101239920号 米国特許公開公報5314506号
Journal: Crystal growth and Design, 2006, Vol. 6, No. 6, 1291-1303, Simulation of Mixing effects in anti-solvent crystallization.
しかしながら、従来の技術は、以下に示す問題点を有しており、この問題点は本発明により提供される解決法により解決される。
特許文献1の実施例2に記載された、再結晶化溶媒としてアセトンを用いた方法は、量産効果が悪い。サルポグレラート塩酸塩は、アセトンへの溶解性が低いため、溶質の300倍を超える非常に多くの量のアセトンが、生成物を溶解するために必要である。したがって、当該方法は、工業規模における効果的な製造方法ではない。
特許文献8および特許文献9においては、逆添加としても知られている、逆溶媒への飽和溶液の添加によって、結晶化が達成される。逆添加は、API溶液を逆溶媒に添加することによる、逆溶媒再結晶化の変種である。結果として起こる過飽和の急速な増加は、迅速な核生成を導くと共に、非常に細かい微粒子の沈殿物をもたらす。逆添加のこの方法は、小粒子を結晶化するために、製薬産業において広く用いられている。非特許文献1および特許文献16にも、同様のことが記載されている。非特許文献1には、逆添加中に、高い逆溶媒組成物が得られた結果、多数の核が形成され、且つ、平均成長速度がより緩やかになり、結果として、結晶産物の最終的な粒度分布において、非常に小さいサイズの結晶がより多くなることが記載されている。したがって、この方法の技術的問題点の1つは、得られる粒度が非常に小さく、この生成物を用いて生成される医薬剤形の溶解性、操作性、流動性等に影響し得ることである。別の技術的問題点は、得られた結晶の濾過時に、微粒子がフィルターを通過して濾液に入ることに起因する、収量のロスである。また、冷却、撹拌、添加速度等の条件が変化するために、バッチ処理からバッチ処理への間、または、操作のスケールアップの間に、粒度分布の非再現性が高いというリスクがある。
特許文献16には、逆添加技術において、初期の結晶形成の間、濃度勾配は避けられないことが記載されている。撹拌容器中の逆溶媒に対する供給溶液の導入では、結晶形成前に2つの流体を完全に混合することはできないからである。濃度勾配の存在、および、それによる初期結晶形成時点での不均質流体環境は、最適な結晶構造形成を妨げ、不純物の混入を増大させる。それゆえに、添加速度、撹拌速度、冷却等に、極度の制御が要求される。
特許文献8および特許文献9においては、粗結晶を、0.08〜0.25倍の水を用いて、1.1〜3.6倍のアセトンまたはメチルエチルケトンに溶解させることが提案されている。ここで、使用する水の割合(0.25倍)がより多い場合、収量をよりロスするという制限がある。さらに、このようなロスを避けるまたは低減するために、少なくとも8〜10倍程度の多くの予冷却された溶媒が必要である。そして、上述した場合と同様に、生成溶液に大量の溶媒が添加される場合、高度で急な飽和環境になり、結晶の質が非常に低下する上に、収量のロスが生じる。特許文献8の段落〔0026〕には、水の含有量の増加が収量の減少を引き起こすこと、および、これが好ましくないことが当然に記載されている。同様に、サルポグレラート塩酸塩の乾燥結晶を、1倍、2.5倍、3.6倍に量を変化させたアセトン(含水率2%未満)を用いて、アセトンの0.10倍の量の水中に維持することによる溶解が図られた。これにより、還流温度で3時間以上撹拌した場合であっても、全ての場合において、生成物を完全に溶解できないことが見出された。全溶媒量の制限に伴って水の量を制限した場合、生成物の溶解を維持するために、好ましくは還流温度のように高温に維持する必要があることを、同様に導くことができる。これは、特許文献8および特許文献9の明細書、実施例または特許請求の範囲の何れにも、ケトンの総量(生成溶液のために使用するケトンおよび予冷却されたケトン)が記載されていないことの固有の理由である。また、特許文献8および特許文献9には、明細書、実施例または特許請求の範囲の何れにも、予冷却溶媒の理想的な体積または量が提案されていない。それゆえに、この方法は、工業規模では効果的でなく、且つ、実行できない。
また、溶液中に生成物を維持するために、継続した加熱が必要であることが見出される。さらに、上述した特許文献の明細書によれば、使用する水および総溶液量を制限するために、50℃よりも高い還流温度近傍にまで、反応物質を加熱し、且つ、全ての添加が終了するまで継続した加熱下に同様に維持することが重要である。また、特許文献8および特許文献9の段落〔0035〕、実施例1には、添加はゆっくりおよび滴状に行うことが好ましく、好ましくは1時間以上かけて添加することが記載されている。このような生成溶液の1時間以上の継続した加熱は、不純物および分解生成物を増大させる結果となる。
この処理の別の要求および制限は、予冷却された溶媒を−10℃〜−15℃の温度に維持しなければならず、加熱した生成溶液を添加するとき、添加中の全体の温度が、5℃を超えないことである。特許文献8および特許文献9の段落〔0035〕、実施例1にも同様に記載されている。この制限は、特許文献3〜6に記載されているように、I型結晶の形成および結晶転移温度に注意を向けさせる。特許文献3〜6の段落〔0050〕には、I型結晶の製造における好ましい態様が、−10℃から20〜25℃の結晶転移温度までの温度における、溶液の溶解、冷却、および、結晶化の実行を含むことが記載されている。また、段落〔0081〕、実施例6には、物理的安定型の調査を行い、25℃以下の温度での撹拌が、II型結晶からI型結晶への転移を引き起こすことが記載されている。10℃未満の結晶化温度は、I型結晶の成長に確実に好ましく、処理の生成物においてI型結晶の含有量がより高いことが容易に予想される。このことは、特許文献8および特許文献9において、請求項に記載された多形混合物の比率が、II型結晶:I型結晶=7:3〜9:1(最大10%〜30%のI型結晶)の間であることに矛盾する。また、シーディングがこのような一貫した多形比を達成するために重要であるのか否か、または、シーディングすることなく一貫してこのような多形比が得られるのか否かについて、全く記載されていない。これらの文献には、記載された技術を実施した場合の、このような混合物のDSCグラフがどこにも記載されていない。全てのシーディングが開示されていない要素になると予想した場合、どの処理によりこのような種晶が得られるのかに関して、高い関心が向けられる。このように高いII型含有量(70%〜90%)を達成することは、特許文献8および特許文献9に記載された制御および条件の下では疑わしい。
特許文献8および特許文献9に記載された処理の制限は、工業規模において機能せず、且つ、効果がないためであり、以下の技術的問題点を含む。
大量の原料をゆっくりと添加すること、添加速度を制御すること、および、生成溶液を還流温度近傍に加熱し続けながら、同一且つ同時に添加すること等のように、工業規模での全体的な処理が複雑であること。
最小限の水および溶媒への溶解を維持するために、1時間を超える長期間の持続時間、45℃を超える温度において生成溶液を継続して加熱することによって、分解生成物および不純物が形成されること。
得られる結晶の性質の純度が低く、微細な粒度分布を有し、且つ、濾過中に通過してしまうほど粒子が小さいために、収量のロスに繋がること。
10℃よりも低い温度において結晶化が始まるため、結晶条件が、I型結晶の成長に非常に適していると共にII型結晶からI型結晶への転移にも適していること。これにより、II型結晶の含有量を高く生成または維持することが、元来できないこと。
請求項に記載された7:3〜9:1の間の多形比が、好ましくない条件であるにも関わらず、どれぐらい一貫して維持されているのかに関して全く記載がないこと。シーディングのような制御が全く記載されていないこと。
添加速度、非常に低温の溶媒(−10℃を下回る)に高温の溶液(45℃を超える)を添加することに起因して生じる温度変動および濃度勾配、生成溶液(加熱)の温度制御および予冷却溶媒(冷却)の温度制御において引き起こされる変動、におけるバッチ間でのばらつきに起因して、処理産物が再現可能ではないこと。これらの条件は全て、性質、大きさ、および、形成される結晶中に取り込まれる不純物に影響し得る。
特許文献3〜5には、I型結晶およびII型結晶の両方を得るための方法が記載されている。
これらの文献には、溶液中に懸濁したときの、両型の結晶の結晶転移温度が報告されている。特許文献3〜5の段落〔0049〕、および、段落〔0056〕〜〔0062〕の実施例には、II型結晶の製造方法が、いくつかの実施例として記載されている。これらの全ての実施例において、溶媒中に生成物を懸濁し、高温に加熱することによって、または、冷却結晶化の前に、高温において種晶を添加することによって、II型結晶の含有量が高いものを得ている。技術的な問題点は、高温での溶媒媒介型の結晶転移を用いずに、または、種晶を添加せずに、II型結晶を得る実施例または実施形態が全くないことである。また、このような種晶はいずれも、溶媒中に懸濁すること、および、高温で加熱することによってのみ、再び得られる。別の問題点は、両方の結晶型(I型およびII型)の間の物理的安定性を決定するための調査および一連の基準に関する。このような調査は、段落〔0081〕に記載されており、結晶混合物の懸濁および撹拌を種々の温度の溶媒中で行い、物理的安定性を決定している。これらの文献においては、I型結晶は、25℃より低い温度で物理的により安定である一方、II型結晶は、35℃を超える温度で物理的により安定であることが報告されている。技術的な問題点は、製剤原料を製造する場合と同様に、薬剤を剤形に変換する場合に一般的な、粉砕、圧縮、摩砕、または同様の操作等の、機械的手段または流体エネルギー手段による物理的衝撃に供されるときの、結晶型または結晶混合物の固体状態の転移または物理的安定性に関して、さらなる研究が報告されていないことである。このような応力条件の下、特定の結晶型の1つが好ましい場合、製剤原料の多形型または多形比は、意図せずに変化する可能性がある。さらに、物理的応力または衝撃に対して変化しない、好ましい結晶型は、物理的により安定な型と考えられる。また、バルク製剤原料の製造後、剤形の要求または指定の一環として、特定の粒度分布を得ることが必要であり得ることが、よく知られている。このような特定の粒度分布を得るために、最も一般的に用いられる工業技術は、粉砕、エアージェットミリング等の粉砕技術である。また、剤形を製造するとき、薬剤には、封入されるまで、圧縮、湿式造粒、造粒等の処理中の物理的応力が加えられる。したがって、本発明においては、挽砕および粉砕等の物理的応力条件下における影響を実験し、より物理的に安定な結晶型を製造する、より好ましい方法を報告する。
特許文献10の段落〔0003〕には、医薬用途に用いられる製品を得るために溶媒を用いた場合に、溶媒の毒性が品質の点で重要であることを、発明者自身が認識していることが記載されている。ここで、残留溶媒が医薬とともに体内に摂取されるため、結晶化に用いられる溶媒が、乾燥処理によって容易に除去されること、および、溶媒自体の毒性が低いことが第一に要求される。しかしながら、これに矛盾して、当該文献においては、サルポグレラート塩酸塩の再結晶化のために、最も有毒な溶液の1つであるアセトニトリルを用いる構成が請求項に記載されている。アセトニトリルの最大許容量は、最終生成物中、たった410ppm以下である。当該特許文献の段落〔0017〕、実施例1には、再結晶化処理において用いられた有毒なアセトニトリル溶液のほぼ15倍の使用が記載されている。また、減圧下でサンプルを乾燥させた後、残留する溶液を、ヘッドスペース・ガス・クロマトグラフィーにより測定し、およそ200ppmであったことが記載されている。さらに、特許文献10に記載された全ての請求項に、サルポグレラート塩酸塩の再結晶化および懸濁を目的としたアセトニトリルの使用が含まれている。それゆえに、特許文献10に記載された技術の技術的問題点は、以下の通りである。
サルポグレラート塩酸塩の再結晶化および懸濁の目的で有毒なアセトニトリル溶液を使用することである。ICHガイドラインに規定された、最終生成物の残留溶媒としてのアセトニトリルの限界量は、410ppmであり、クラス2溶媒に分類されている。ICHガイドラインには、クラス2溶媒は、重要である一方で毒性があると推測される溶媒として記載されている。第十六改正日本薬局方には、サルポグレラートの各条において、製剤原料の純度を試験するための、残留溶媒試験が記載されている。したがって、5000ppmまでの限界量を有しているクラス3溶媒と比較して、アセトニトリルは、同様の理由に起因して、最も使用される頻度が少ないものの1つとしてとどまる。そのため、このように高い毒性を有するアセトニトリルは、実質的に製剤原料の最終段階である再結晶化のための溶媒として好ましくない。
アセトニトリルによって再結晶化されたサルポグレラート塩酸塩の乾燥は、非常に危険であり得る。長時間60℃を超える温度で乾燥させると、不純物および分解生成物の増大を引き起こし得るからである。
ほぼ15倍のアセトニトリルを使用した特許文献10の段落〔0017〕、実施例1に記載されているように、アセトニトリルを用いた再結晶化は、量産効果が悪いことである。さらに、溶解は約80℃の還流温度において達成される。同様に、段落〔0010〕を参照すると、使用した溶媒の量は1〜20倍であることが確認されている。また、アセトニトリルは高価な溶媒であり、このような量を使用することは経済的ではない。
高温における溶解に起因して、不純物および分解生成物が形成される。
特許文献10の段落〔0018〕、請求項2、実施例2、および、段落〔0014〕、実施形態に記載されているように、結晶混合物中のII型結晶の含有量を高めるために、高温での溶液媒介型の結晶転移に頼っており、それゆえに、サルポグレラート塩酸塩の懸濁を高温のアセトニトリル中で行うことである。段落〔0017〕、実施例1に記載されているように、高温で種晶を添加した後でさえ、得られる多形比は36:64(I型:II型)である。実施例2において、結晶混合物をアセトニトリルに懸濁したとき、II型結晶の含有量が増加し、得られた多形比は20:80である。また、どのように種晶が得られるのか、および、どの種晶比が好ましいのか、について全く記載されていない。
サルポグレラート塩酸塩の粗結晶は、液体クロマトグラフィーによる純度が99.8%より高いことが必須であることである。同様の制限が、特許文献10の段落〔0008〕に発明のベストモードとして、さらに段落〔0017〕、実施例1に記載されており、99.8%純度の粗結晶が用いられている。粗結晶がこのように高い純度を有することは通常ではないが、サルポグレラート塩酸塩の粗結晶の質のために予め要求されて作製されており、その詳細な説明は提供されていない。また、このような高い純度の粗結晶を得る方法は記載されていない。さらに、もし99.8%より高い純度の結晶を得ることができる方法があったとしても、再結晶化または精製の要求とは異なり、証明されていない。
特許文献11には、気体、溶液等の形態での添加のような種々の方法で、サルポグレラート遊離塩基溶液に塩化水素を添加し、サルポグレラート塩酸塩の混合結晶を得ることが記載されている。この文献の、段落〔0010〕、実施例25、段落〔0050〕、実施例26、段落〔0051〕、比較例4、段落〔0055〕等の種々の箇所には、サルポグレラートの前の中間生成物を遊離塩基化する工程と、その後有機溶媒を用いてそれを抽出する工程とからなる方法が記載されており、さらに、抽出したものを、サルポグレラート遊離塩基を形成するために、無水コハク酸と反応させる。このサルポグレラート遊離塩基に塩化水素を種々の方法で添加することによって、結晶混合物が得られる。また、この文献の段落〔0026〕〜〔0049〕、実施例1〜24には、塩化水素を種々の方法でサルポグレラート遊離塩基に添加し、結晶混合物を形成することが記載されている。
しかしながら、この特許文献の重大な技術的問題点は、記載された種々の方法で形成されたサルポグレラート塩酸塩の結晶から取り込まれた不純物を精製するための条件または方法が全く記載されていないことである。この発明における重大な技術的問題点は以下の通りである。
基本的に再結晶化処理ではないことである。サルポグレラート遊離塩基の沈殿または塩析処理のみであり、特許文献1において特にサルポグレラート遊離塩基について記載された方法と同様である。薬学的に許容される遊離塩基の塩化水素塩を形成するための非常に一般的な方法であり、工業用に広く使用される方法である。しかしながら、どんな薬学的な塩型であっても、再結晶化処理による精製を行わずに、剤形処方のために直接使用されることは非常にまれである。再結晶化は、混じりけのない白い結晶(黄白色でないまたは茶色がかっていない)を得るため、粗生成物の沈殿中に混入する不純物のない結晶を得るため等のように、純度の高い薬学的な型を得るために重要で必然な多くの機能を有するからである。
特許文献11の段落〔0017〕、〔0018〕および〔0019〕には、塩化水素の添加時の温度が、それぞれ、30℃〜60℃、40℃、および30℃〜60℃が好ましいことが記載されている。これは、塩化水素の添加が発熱反応であるという事実を考慮すると、極めて異常である。さらに、もし、このような添加を、10℃を超える温度で実施すると、塩化水素ガスが揮発する可能性が非常に高い。また、反応マス内の温度変動も技術的問題点になる。このような温度変動は、質の良い結晶を成長させるために好ましくない。高温が分解生成物を増大させる原因となるため、添加のためにこのような高温を採用する理由もまた証明または説明されていない。
25例を超える実施例により示された、このような方法で得られた粗結晶の液体クロマトグラフィー純度が、99.7%〜99.9%に達していることは非現実的である。
結晶を溶解させ、活性炭で処理することによって生成物の色を向上させる方法が、得られた結晶の色を向上させる可能性を有するものではない。第十六改正日本薬局方ではサルポグレラート塩酸塩の色を「白」と特定されているため、このような生成物は、薬学的用途に適していない。
特に、高温下において、塩化水素をゆっくりと添加することに起因して、不純物および分解生成物が形成される。
この文献においては、この技術分野における先行技術に存在するこのような問題を無視していることが明白である。それゆえに、工業規模でこの文献に記載された技術を実行することは問題である。
したがって、高い多形純度および化学純度のサルポグレラート塩酸塩を、特に再結晶化の方法によって製造する方法が要求されている。これにより、安全で、経済的な、工業的に実行可能で、工業規模の、再現可能な、毒性が低い、且つ、環境への影響が少ない方法で、医薬用途を有するサルポグレラート塩酸塩が得られる。
上記課題を解決するために、発明者らは、再結晶化法を用いて、高い多形純度、化学純度、高い収率のサルポグレラート塩酸塩を得る、より効率的なプロセスを提供するために、大規模な研究を行い、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の手段によって解決される。
1. 毒性がより低い任意の溶媒または溶媒混合物からなる溶媒混合物を用いることによるサルポグレラート塩酸塩の再結晶化であって、サルポグレラート塩酸塩の多形混合物(I型およびII型)を得るために、ギ酸(メタン酸)、酢酸(エタン酸)、プロピオン酸(プロパン酸)から選択される、毒性がより低い脂肪族モノカルボン酸またはそれらの混合物の添加によって溶解が達成される。
2. 毒性がより低い任意の脂肪族ケトンまたはそれらの混合物、好ましくはアセトン(プロパノン)、メチルエチルケトン(ブタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチルペンタン−2−オン)からなる溶媒混合物を用いたサルポグレラート塩酸塩の再結晶化であって、サルポグレラート塩酸塩の多形混合物(I型およびII型)を得るために、毒性がより低い脂肪族モノカルボン酸またはそれらの混合物、好ましくはギ酸(メタン酸)、酢酸(エタン酸)、プロピオン酸(プロパン酸)の添加によって溶解が達成される。
3. サルポグレラート塩酸塩の多形混合物(I型およびII型)を得るために、毒性がより低い脂肪族モノカルボン酸またはそれらの混合物、好ましくはギ酸(メタン酸)、酢酸(エタン酸)、プロピオン酸(プロパン酸)を用いることによる、毒性がより低い任意のアルコールまたはそれらの混合物、好ましくはメタノール、エタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、エチレングリコールからなる溶媒混合物を用いたサルポグレラート塩酸塩の再結晶化。
4. サルポグレラート塩酸塩の多形混合物(I型およびII型)を得るために、毒性がより低い脂肪族モノカルボン酸またはそれらの混合物、好ましくはギ酸(メタン酸)、酢酸(エタン酸)、プロピオン酸(プロパン酸)を用いることによる、毒性がより低い任意のエステルまたはそれらの混合物、好ましくは酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピルからなる溶媒混合物を用いたサルポグレラート塩酸塩の再結晶化。
5. サルポグレラート塩酸塩の再結晶化は、サルポグレラート塩酸塩の多形混合物(I型およびII型)を得るために、毒性がより低いエステルおよび/またはアルコールおよび/または脂肪族ケトンからなる溶媒混合物を、毒性がより低い脂肪族モノカルボン酸またはそれらの混合物、好ましくはギ酸(メタン酸)、酢酸(エタン酸)、プロピオン酸(プロパン酸)と共に用いて行われる。
6. 最小限の溶媒を用いるために、最大で8倍(溶質とのw/w)の脂肪族ケトンもしくはアルコールもしくはエステル、またはこれらの混合物を、最大で2倍(溶質とのw/w)の脂肪族モノカルボン酸と共に用い、それによって全溶媒体積を10倍(溶質とのw/w)未満に制限する、サルポグレラート塩酸塩の再結晶化。
7. 溶質の溶解を促進するために、または全溶媒体積を減らすために、または溶媒混合物の酸性度を制御するために、または生成物中のI型結晶の含有量を増加させるために、上記(1)〜(6)で言及した溶媒混合物を用いるサルポグレラート塩酸塩の再結晶化。あるいは、より高い収率を達成するために、または加水分解による不純物を最小限にするために、または生成物中のII型結晶のより高い含有量を達成するために、乾燥剤に通過させることによって、(1)〜(6)に記載の任意の溶媒混合物からの水含有量を制限すること。
8. 上記(1)〜(7)に記載の溶媒混合物を用いて、サルポグレラート塩酸塩の多形混合物(I型およびII型)を得るために、サルポグレラート塩酸塩の精製または再結晶化を達成するための、以下の非限定的な工程のセットが行われ得る:
(a)エステルおよび/またはアルコールおよび/または脂肪族ケトンからなる溶媒または溶媒混合物に、粗結晶を懸濁および撹拌すること。
(b)撹拌下で、脂肪族モノカルボン酸の特定のものまたは混合物を漸進的に添加することによる。
(c)溶解させるために反応マスを漸進的に加熱すること。
(d)逆溶媒と比較して高い割合の溶媒を用いることによって40℃未満で反応マスの溶解を達成すること、および、この工程における後期に、逆溶媒を添加することによって当該物を補正すること。
(e)精製を促進するために、スラリー状の活性炭を添加すること。
(f)活性炭および他の懸濁物を保持するが濾液を通過させるフィルターから溶液を濾過すること。
(g)特定の温度において、または規定の段階において、種晶または懸濁液を添加すること。
(h)冷却結晶化法によって、高収率において結晶を得るために、反応マスの冷却速度を制御し、その後10℃未満に冷やすこと。
(i)より高い含有量のII型結晶を得るために、撹拌下、所定の温度または温度範囲における反応マスへの逆溶媒の制御された添加によって、反応マスの飽和および結晶化速度を制御すること。上述の結晶は逆溶媒結晶化法を用いて得られる。
(j)エステル/アルコール/脂肪族ケトンのうちの任意の2つが、脂肪族モノカルボン酸を用いた溶解を達成する、3成分の溶媒混合物。さらに、飽和および結晶化を達成するために、再結晶化の間に、エステル/アルコール/脂肪族ケトンのうちの1つの溶媒が、真空によりまたは真空によらずに蒸留される。蒸発結晶化として知られる上述のプロセスを最適化すること。
(k)結晶を、好ましくは10℃未満で、成長させること。
(l)結晶を単離するために反応マスを濾過すること。
(m)毒性が最も低い溶媒または溶媒混合物を用いて、得られた結晶を洗浄すること。
(n)得られた結晶を、好ましくは減圧下および好ましくは60℃未満において、乾燥すること。
(o)生成物を、好ましくは粉砕機またはエアージェットミルを用いて、粉砕すること。
9. 上記(1)〜(7)に記載の任意の溶媒混合物を用い、上記(8)および(9)に記載の製造プロセスを用いることによって、サルポグレラート遊離塩基に塩化水素を添加すること。サルポグレラート塩酸塩の多形混合物(I型およびII型)を得るために、上述の塩化水素の添加は、無水塩化水素ガスのパージ等の任意の手段によって、または塩化水素を富ませた溶媒をチャージすることによって、なされ得る。
10. サルポグレラート塩酸塩の非溶媒型再結晶化プロセスを行い、機械的な衝撃または流体の衝撃によって固体状態の結晶転移(I型およびII型の両方の多形比が当該技術を用いて変化する)を引き起こすこと。当該結晶転移を、空気または窒素を用いた粉砕機およびエアージェットミル等の低温における機械的な衝撃または流体の衝撃のうちの薬学的に好ましい形態によって行うこと。および所望の粒度分布を得るために当該方法と分粒システムとを組み合わせること。および(1)〜(10)に記載された手段を用いて、または任意の他の手段もしくはプロセスによって達成される、サルポグレラート塩酸塩への上述のプロセスの適用。同様に、薬学的剤形調合物の一部としての他の薬学的賦形剤と共にサルポグレラート塩酸塩が粉砕される、上述のプロセスの適用。
11. 機械的な衝撃または流体の衝撃によって固体状態の結晶転移を引き起こす、サルポグレラート塩酸塩の非溶媒型再結晶化プロセスであって、好ましくは75%より高い、より好ましくは85%より高い、最も好ましくは98%より高い最終生成物中のII型の含有量を達成するように、結晶のII型の含有量が上述のプロセスに起因して増加する、非溶媒型再結晶化プロセスによる。上述の結晶転移プロセスは、空気または窒素を用いた粉砕機およびエアージェットミル等の低温における機械的な衝撃または流体の衝撃のうちの薬学的に好ましい形態によって行われる。および所望の粒度分布を得るために当該方法と分粒システムとを組み合わせること。および(1)〜(10)に記載された手段を用いて、または任意の他の手段もしくはプロセスによって達成される、サルポグレラート塩酸塩への上述のプロセスの適用。同様に、薬学的剤形調合物の一部としての他の薬学的賦形剤と共にサルポグレラート塩酸塩が粉砕される、上述のプロセスの適用。
12. II型の結晶の含有量を70%より高い量に増加させるように、および、同時に、D(0.1)<5μm、D(0.5)<25μm、およびD(0.9)<50μmを有する粒度分布、またはD(0.1)<2μm、D(0.5)<5μm、およびD(0.9)<10μm等のさらに細かい粒度分布を達成するように、機械的な衝撃または流体の衝撃によって固体状態の結晶転移を引き起こす、サルポグレラート塩酸塩の非溶媒型再結晶化プロセスによる。上述の結晶転移プロセスは、空気または窒素を用いた粉砕機およびエアージェットミル等の低温における機械的な衝撃または流体の衝撃のうちの薬学的に好ましい形態によって行われる。および所望の粒度分布を得るために当該方法と分粒システムとを組み合わせること。および(1)〜(11)に記載された手段を用いて、または任意の他の手段もしくはプロセスによって達成される、サルポグレラート塩酸塩への上述のプロセスの適用。同様に、薬学的剤形調合物の一部としての他の薬学的賦形剤と共にサルポグレラート塩酸塩が粉砕される、上述のプロセスの適用。
13. 最終生成物のII型の含有量において5%より多い増加を引き起こす(粉砕前の生成物におけるII型の含有量と比較して)ように、機械的な衝撃または流体の衝撃によって固体状態の結晶転移を引き起こし、それゆえ、そのようにして得られた最終生成物はII型における5%より多い増加に起因して最初の生成物よりも安定である、サルポグレラート塩酸塩の非溶媒型再結晶化プロセスによる。上述の結晶転移プロセスは、空気または窒素を用いた粉砕機およびエアージェットミル等の低温における機械的な衝撃または流体の衝撃のうちの薬学的に好ましい形態によって行われる。および所望の粒度分布を得るために当該方法と分粒システムとを組み合わせること。および(1)〜(12)に記載された手段を用いて、または任意の他の手段もしくはプロセスによって達成される、サルポグレラート塩酸塩への上述のプロセスの適用。同様に、薬学的剤形調合物の一部としての他の薬学的賦形剤と共にサルポグレラート塩酸塩が粉砕される、上述のプロセスの適用。
14. サルポグレラート塩酸塩のスラリーが湿式グラインディングミルを用いて挽砕され、それによってII型のより高い含有量(粉砕前の生成物におけるII型の含有量と比較して)を達成する、溶媒型の固体状態の結晶転移のプロセスを用いることによる。および手段(1)〜(13)を用いて、または任意の他の手段もしくはプロセスによって達成される、サルポグレラート塩酸塩への上述のプロセスの適用。同様に、薬学的剤形調合物の一部としての他の薬学的賦形剤と共にサルポグレラート塩酸塩が粉砕される、上述のプロセスの適用。
15. 手段(1)〜(14)に記載のプロセス制御またはプロセス装置が、要求される結果に対するより高い効果を達成するために強化される、サルポグレラート塩酸塩の再結晶化プロセスによる;例えば、
(a)強化されたプロセス制御:冷却速度、加熱速度、撹拌速度、添加速度、飽和速度、溶解速度、シーディング速度、窒素ブランケッティング速度、粉砕温度、冷却の程度、など、
(b)強化されたプロセス装置:高真空乾燥、噴霧乾燥、窒素下での粉砕または挽砕、など。
16. 種晶または種晶の混合物もしくは懸濁液もしくは溶液を、手段(1)〜(15)に記載のプロセスの任意の特定のものまたは組み合わせから得ることによる。および所望の結果を達成するために、手段(1)〜(15)に記載のサルポグレラート塩酸塩の製造方法と同様のものを使用すること(例えば、所望の多形体もしくは多形体比もしくは所望の粒度分布を達成する、またはより高い収率を達成する、またはより高い重度を達成するために、シーディングすることによる、等)。
17. 最終生成物における主な不純物および分解生成物BP984(分解物質Aとして記載されるものであり、第十六改正日本薬局方に従うところ、標準溶液の1/5のピーク面積の不純限度およびhplc保持時間0.82を有する)が減少し、標準溶液の1/15未満のピーク面積(第十六改正日本薬局方のサルポグレラート塩酸塩の各条に記載されたhplcによる関連物質試験の限度(1/5の面積)よりもかなり低い)に制御されるように、手段(1)〜(16)に記載のサルポグレラート塩酸塩の製造方法の特定のものまたは組み合わせを用いることによる。
18. 最終生成物の全関連物質不純物が減少し、標準溶液の1/5未満のピーク面積(第十六改正日本薬局方のサルポグレラート塩酸塩の各条に記載されたhplcによる関連物質試験の限度(1/2の面積)よりもかなり低い)に制御される、手段(1)〜(17)に記載のサルポグレラート塩酸塩の製造方法の特定のものまたは組み合わせを用いることによる。
19. II型(155〜157℃のDSC吸熱、および、792、1163、1040、1464、1406、1742、1497、1603のうちの少なくとも2つにおけるIR吸収ピーク)の、最も高い含有量(好ましくは75%より高い、より好ましくは85%より高い、最も好ましくは98%より高い)が、最終生成物において一貫して達成される、手段(1)〜(18)に記載のサルポグレラート塩酸塩の製造方法の特定のものまたは組み合わせを用いることによる。
20. クラス3溶媒のみが用いられ、そのため最終生成物における当該溶媒の存在量が、限界値である5000ppm(ICHガイドライン−残留溶媒によって設定された)よりもかなり少ないものである500ppm未満に制御されている、手段(1)〜(19)に記載のサルポグレラート塩酸塩の製造方法の特定のものまたは組み合わせを用いることによる。
21. 得られる最終生成物における水含有量が、一貫して、限界値である0.5%(第十六改正日本薬局方のサルポグレラート塩酸塩の各条に記載されている)よりもかなり少ないものである0.2%未満である、手段(1)〜(20)に記載のサルポグレラート塩酸塩の製造方法の特定のものまたは組み合わせを用いることによる。
22. I型およびII型の多形混合物が得られ、最終生成物における多形比が一貫して7:3〜9:1(II型:I型)を達成する、手段(1)〜(21)に記載のサルポグレラート塩酸塩の製造方法の特定のものまたは組み合わせを用いることによる。
23. 生成物の分解を回避するために、溶解および/または再結晶化が60℃未満の温度において行われる、手段(1)〜(22)に記載のサルポグレラート塩酸塩の製造方法の特定のものまたは組み合わせを用いることによる。
サルポグレラート塩酸塩は薬学的用途を有しており、現時点で、15年より長い間薬学的な目的で使用されてきた。
本発明において、粗結晶の再結晶化および精製を含むサルポグレラート塩酸塩の製造方法が説明され、それによってサルポグレラート塩酸塩のI型およびII型の多形混合物が得られる。
本発明および特許請求の範囲に記載された製造方法は、以下の通り、先行の実施よりも優れている。
工業規模において効率的である、全体的な再結晶化の操作の簡素化。
脂肪族モノカルボン酸からなる溶媒を用いて再結晶化における溶解が達成されるがゆえの、より少ない全溶媒体積を用いた高まった収率。
プロセスは、最も少ない、再結晶化に要求される全溶媒体積を使用する。
再結晶化の操作全体にかかる、最小限の処理時間。
塩化水素の添加による遊離塩基の沈殿のみを含むプロセスによって得られるものと比べて、色が優れて白い結晶を提供する。同様に、一旦結晶が形成されれば、再結晶化法による再溶解、濾過について何の条件も有さないプロセスと比べて、白色の結晶を提供する。
偶発的な手段に起因して、いくらかの不純物または異物が最終生成物において検出される場合に、再結晶化法による再溶解の範囲を提供する。したがって、結晶の再溶解および濾過について何の条件も有さないプロセスと比べた有利なプロセス。
性質上さらさらしている結晶を提供する。
50℃未満の温度において種晶を添加する範囲と共に、II型多形体の含有量がより高い結晶を提供する。そのため、向上した温度(60℃を超過)におけるシーディングの必要性が回避される。
機械的なエネルギー源および流体エネルギー源によって引き起こされる衝撃によって固体状態の結晶転移を引き起こす非溶媒型再結晶化法によって、75%より多いサルポグレラート塩酸塩のII型多形体を得るための新規で簡素なアプローチを提供する。そのような固体状態の転移の好ましい手段は、粉砕機または流体ジェットミルを用いて粉砕または挽砕することである。
固体状態の結晶転移プロセスを用いて、要求されるサルポグレラート塩酸塩のI型およびII型の多形比を改変するまたは得るための新規で簡素なアプローチを提供する。
溶媒を介した結晶転移を引き起こすためにより高い温度において結晶の懸濁および加熱する(先行技術に記載されているような)必要性なしに、より高い含有量のII型多形体を有するサルポグレラート塩酸塩を提供する。
固体状態の転移を用いてより高い含有量のII型多形体を得るための上述のプロセスは、溶媒を介した結晶転移プロセスである特許文献3、4、5、6に記載されている先行技術のプロセスに対して、いくつかの利点を有している。
−生成物は溶媒へ懸濁される必要がなく、そのため溶媒フリーなプロセス。
−多形変化が起きている間に、粒度分布が同時に得られうる。
−溶媒プロセスと比べて収率が高く、迅速なプロセスである。
−溶媒における懸濁およびその後の乾燥の必要性なしに、バッチ全体を処理できる可能性。
−目下の生成物の不純物プロファイル(50℃より高い溶媒を介した転移に起因して引き起こされ得る)を損なわない。
−40℃より高い温度において加熱することに起因して結晶の色を悪くすることがなく、むしろ白さの点において結晶の色を向上させる。
粒度分布が粗く、より高い見掛け密度を有する結晶を提供し、そのとき、逆溶媒結晶化を説明するプロセスによる。
サルポグレラート塩酸塩の製剤原料において、および、本発明によって製造されたサルポグレラート塩酸塩を用いた剤形において、最も低い毒含有量を提供する。毒含有量は剤形に先立って行われる残留溶媒に関して最小限である。本発明はクラス3溶媒(ICHガイドラインによって記載されるものであり、5000ppmの上限値を有する)のみを使用するからである。それによってクラス2溶媒等のより有毒な溶媒の使用を回避する。残留溶媒は、日本薬局方におけるサルポグレラート塩酸塩の各条に規定された試験である。
プロセスは、最小限の残留溶媒および水の含有基準値を達成するために、延長された乾燥時間または特別な乾燥技術を必要としない。なせなら、プロセスは、有毒な溶媒を少しも用いず、水を少しも用いないからである。そのゆえ、より高い温度での延長された乾燥に起因する分解生成物の増加の余地が回避される。
ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによって、本発明を用いて製造された典型的なバッチを、残留溶媒について試験したところ、クラス3溶媒の存在のみが500ppm未満のレベルにおいて検出されたが、それはICHガイドラインによって規定されるように5000ppmレベルである国際的に受け入れられている限界値よりもかなり低い。
プロセスは、日本薬局方のサルポグレラート塩酸塩の各条の関連物質試験において不純物A(相対保持時間0.82)として記載される分解生成物の形成を回避する。
プロセスの生産物は、乾燥した結晶における水の含有量(日本薬局方におけるサルポグレラート塩酸塩の各条に規定された試験である)が最小限である。
再結晶化工程における冷却または加熱時間の如何なる延長も有していないプロセス、それによって、工業規模におけるプロセスの収率、経済性および効率を維持することによって純粋な生成物が得られる。
加水分解による分解生成物および不純物の形成の原因であるプロセスにおける水の使用を避ける。また、水は、製薬上の問題である微生物汚染の重大な原因である。
非常に純度の高い最終生成物を得るために、再結晶化プロセスは、非常に純度の高い粗結晶(液体クロマトグラフィー純度)または純度の高いサルポグレラート遊離塩基(前のプロセス工程の精製によって達成される)を予め有する必要がない。純度の高い粗結晶を得る上述の工程はまた、最終的なプロセス段階の間に重大な収率ロスを招き得るからである。
サルポグレラート塩酸塩の粗結晶の再結晶化の目的において適切で優れた溶媒としての、脂肪族モノカルボン酸の新規な使用を提供する。脂肪族モノカルボン酸は毒性が最も低く、抗菌特性を有し、防腐剤として食品産業において広く使用されている。
毒性が最も低くて且つ最も好ましい薬学的溶媒(脂肪族ケトン、アルコールおよびエステル等)を用いることによる、サルポグレラート塩酸塩の溶解、再結晶化および精製を促進するための脂肪族モノカルボン酸の新規な使用を提供する。
物理的応力(粉砕または挽砕等の薬学的製造プロセスの間に非意図的に起こり得る)下においてII型が最も好ましい形態であることを確立する。
実施例1において得られた多形混合物(53:47=II型:I型)の示差走査熱量測定曲線である。 実施例1において得られた多形混合物(53:47=II型:I型)の赤外吸収スペクトルである。 実施例2において得られた多形混合物(70:30=II型:I型)の示差走査熱量測定曲線である。 実施例2において得られた多形混合物(70:30=II型:I型)の赤外吸収スペクトルである。 実施例3において得られた多形混合物(96:04=II型:I型)の示差走査熱量測定曲線である。 実施例3において得られた多形混合物(96:04=II型:I型)の赤外吸収スペクトルである。 実施例4において得られた100%純粋なII型多形体の示差走査熱量測定曲線である。 実施例4において得られた100%純粋なII型多形体の赤外吸収スペクトルである。 実施例1において得られ、表1にロット1として記載されたサンプルの粒度分布曲線である。 実施例2において得られ、表1にロット2として記載されたサンプルの粒度分布曲線である。 実施例3において得られ、表1にロット3として記載されたサンプルの粒度分布曲線である。 実施例4において得られ、表1にロット4として記載されたサンプルの粒度分布曲線である。 表1にロット5として記載されたサンプルの粒度分布曲線である。 表1にロット6として記載されたサンプルの粒度分布曲線である。
本発明を実施する形態について、詳細な説明を以下に与える。
本発明において、サルポグレラート塩酸塩の粗結晶は、従来の方法および先行技術(特許文献1および2等)において説明されているものによって得られる。当該粗結晶は真空を用いて乾燥されることが好ましい。当該粗結晶が高純度(液体クロマトグラフィー)であるという前要件はないが、より高い質を達成するために粗結晶を調製するプロセスを最適化することは通常有利であり得る。
再結晶化のために用いられる望ましい溶媒混合物は、以下から選択され得る。
脂肪族モノカルボン酸および脂肪族ケトンからなる溶媒混合物は、脂肪族モノカルボン酸の群から、好ましくは毒性が最も低く且つ広く使用されているもの(酢酸、ギ酸およびプロピオン酸等)から選択され、脂肪族ケトンは毒性が最も低く且つ広く使用されているもの(アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等)から選択される。限定されるわけではないが、発明者らの経験に基づくと、溶媒混合物は理想的には、最大で8倍(溶質とのw/w)の脂肪族ケトンを有することが望ましく、最大で2倍(溶質とのw/w)の脂肪族モノカルボン酸を有することが望ましい。
脂肪族モノカルボン酸およびエステルからなる溶媒混合物は、脂肪族モノカルボン酸の群から、好ましくは毒性が最も低く且つ広く使用されているもの(酢酸、ギ酸およびプロピオン酸等)から選択され、エステルは毒性が最も低く且つ広く使用されているもの(酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピルおよび酢酸プロピル等)から選択され得る。限定されるわけではないが、発明者らの経験に基づくと、溶媒混合物は理想的には、最大で8倍(溶質とのw/w)のエステルを有することが望ましく、最大で2倍(溶質とのw/w)の脂肪族モノカルボン酸を有することが望ましい。
脂肪族モノカルボン酸およびアルコールからなる溶媒混合物は、脂肪族モノカルボン酸の群から、好ましくは毒性が最も低く且つ広く使用されているもの(酢酸、ギ酸およびプロピオン酸等)から選択され、アルコールは毒性が最も低く且つ広く使用されているもの(メタノール、エタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノールおよびエチレングリコール等)から選択され得る。限定されるわけではないが、発明者らの経験に基づくと、溶媒混合物は理想的には、最大で8倍(溶質とのw/w)のアルコールを有することが望ましく、最大で2倍(溶質とのw/w)の脂肪族モノカルボン酸を有することが望ましい。
さらに、溶解を促進するために、または再結晶化の目的で必要な全溶媒体積を最小限にするために、上記で調製される混合物に対して、任意の毒性が低い極性の溶媒または極性溶媒の混合物(水、アルコール、エステル、ケトン、エーテル等)が添加され得る。
また、本発明において、水は溶媒混合物の望ましい構成要素ではないが、任意のプロセスが、プロセスを経験することに起因するような利益(それによって、最小限の水が最初に添加され、その後収率ロスが逆溶媒の添加によって相殺される)をもたらすのであれば、水は付加的な構成要素として、選択された溶媒混合物へ組み入れられ得る。
また、逆溶媒として作用することによって溶解を制限するように、任意の非極性溶媒または非極性溶媒の混合物(ハロカーボン、芳香族ハロカーボンまたはアルカン等)が添加され得る。
ギ酸の等級を選択するとき、商業的に入手可能な2つの等級が、98%および85%として入手できる。任意の等級またが等級の混合物の使用に制限されないが、本発明の実施例に用いた等級は98%である。
溶媒混合物のために選択するとき、毒性、広汎な使用、溶解度、揮発度、引火点、沸点、商業的な入手可能性、作業者の安全性等が、重要な基準とみなされることが望ましい。
以下の工程に限定されないが、サルポグレラート塩酸塩の粗結晶を用いた再結晶化のプロセスは、以下の工程のうちの任意の特定のものまたは組み合わせを用いて行われ得る。
選択された溶媒混合物から、ケトン/エステル/アルコール、またはそれらの混合物は、まず反応器へ投入されることが望ましい。理想的には、プロセスの経済性および量産効率を達成するために、それらは最大で溶質の8倍のw/wであることが望ましく、理想的には溶質の3〜5倍のw/wであることが望ましい。
その後、粗結晶は溶媒中へ必ず懸濁され、撹拌を再開することが望ましい。
選択された脂肪族モノカルボン酸は、好ましくは室温より低い温度において、漸進的に添加されることが望ましく、その後、生成物の溶解が加熱および撹拌によって達成される。限定されるわけではないが、脂肪族モノカルボン酸の比率は、最大で溶質の2倍のw/w、理想的には溶質の0.6〜1.4倍のw/wであることが望ましい。
限定されるわけではないが、溶解を達成するためには60℃未満の温度が好ましい。そのような温度はプロセスの経験および選択された溶媒混合物を用いて最適化されることが望ましい。
活性炭等の精製促進物(好ましくはスラリーの形態において調製される)が反応マスへ添加され、撹拌が続けられる。
反応マス溶液は、次いで、活性炭および他の不要な懸濁物を保持するが生成物溶液を通過させることが可能なフィルターまたはフィルターの組を用いて濾過される。理想的には、ジャケット形加圧フィルターまたはスパークラーフィルター、続いてターミナルミクロンフィルターが好ましい。
濾液は、次いで、最終的な結晶化のためにきれいな反応器に回収される。
より良質な結晶を得るため、および結晶における不純物の取込みを最小限にするために、濾液の冷却は漸進的に行われることが好ましい。そのような冷却速度は、プロセスの経験および選択される溶媒混合物を用いて最適化されることが望ましい。
次いで、本発明を用いて得られる適当な種晶またはその懸濁物が、好ましくは室温より高い温度において、濾液へ添加される。飽和または核形成に起因する溶液の濁りは、シーディングの時点を選択するための可視的な基準として設定され得る。そのようなシーディングの時点は、プロセスの経験および選択される溶媒混合物を用いて最適化されることが望ましい。
次いで、最大限の収率を達成するため、および撹拌下で結晶を成長させるために、反応マスは10℃未満に冷却される。そのような冷却温度および成長させる時間は、特定のプロセスの経験および選択される溶媒混合物を用いて最適化されることが望ましい。
溶液の飽和を達成し、それによって結晶化の速度を制御するために、逆溶媒は結晶化の任意の時点において添加され得る。そのような逆溶媒は、好ましくは脂肪族ケトンまたはエステルまたはアルコールであり得る。
また、本発明において、水は溶媒混合液の望ましい構成要素ではないが、任意のプロセスを経験することに起因するような、量産効率または酸性度(pH)制御等の利益(それによって、最小限の水が最初に添加され、その後収率のロスが逆溶媒の添加によって相殺される)をもたらすのであれば、そのような工程は当該プロセスに組み入れられ得る。
次いで、遠心濾過等の効率的な濾過方法を用いて反応マスは濾過され、毒性が最も低い溶媒(好ましくは脂肪族ケトン、エステル、アルコール、またはそれらの混合物)を用いて濾過ケークが洗浄される。
濾過ケークの乾燥は、好ましくは、真空下で60℃未満の温度において行われる。乾燥の時間および温度は、プロセスの経験および選択される溶媒混合物を用いて最適化されることが望ましい。プロセスにおいて、乾燥におけるロスの試験または残留溶媒の試験が、乾燥の時間および温度を調べて最適化するために組み込まれ得る。限定されるものではないが、好ましい乾燥装置としては、回転式円錐型真空乾燥器、箱型真空乾燥器および流動床乾燥器が挙げられる。
次いで、乾燥した結晶は、特定の粒度分布が必要である場合には、挽砕または粉砕に供され得る。挽砕装置または粉砕装置は、当該プロセスの間に熱が発生し得、生成物を分解させ得るという事実から重要である。そのため、最も適当で且つ広く使用されている粉砕技術のうちでは、粉砕機およびエアージェットミルであり、それらは、熱を発生させずに粉砕を行うといわれているため、上述のプロセスの間の結晶の分解を回避する。
[固体状態の結晶転移を引き起こすことによる非溶媒型再結晶化]
先行技術(特許文献1〜16)は何れも、固体状態の結晶転移に関して、および、機械的手段または流体エネルギー手段によって引き起こされる物理的衝撃下でのサルポグレラート塩酸塩の多形変化に関して、記載も報告もしていない。したがって、発明者らは、そのことを全面的に研究し、固体状態の結晶転移を達成する、または粉砕もしくは挽砕を用いた再結晶化を行う、より簡便で、効率的で、且つ工業規模にできるプロセスが存在することを見出した。
固体状態の結晶転移は、非溶媒型再結晶化法である。当該プロセスは、機械的手段または流体エネルギー手段によってもたらされる衝撃を用いた結晶転移を含んでいる。
限定されるわけではないが、固体状態の再結晶化技術は、本発明に記載される手段を用いて得られるサルポグレラート塩酸塩の純粋な結晶にも適用され得る。また、本発明に記載されていない任意の他の手段を用いて得られるサルポグレラート塩酸塩にも適用可能である。
現在確立されていて且つ薬学的な粉末の挽砕のために広く用いられている、挽砕および粉砕の技術のうちでは、粉砕機および流体ジェットミルである。これらの技術は熱の発生を最小限にして結晶へ物理的応力をもたらし得るからである。そのため、限定されるわけではないが、そのような技術が、固体状態の結晶転移による再結晶化を行うための好ましい形態として、本発明において記載されている。
粉砕機およびエアージェットミルを用いた挽砕および粉砕の結果は、多形II型における増加を示した。そのため、生成結晶混合物が上述の固体状態の結晶転移の手順にさらされる場合に、II型が物理的に安定な好ましい多形体であることが確認された。また、上述の安全な技術を用いてサルポグレラート塩酸塩が微粉状にされる、粉砕される、または挽砕されるときに、生成物の分解がないことが確認された。むしろ生成物の色がより白く改良される。
生成物がエアージェット粉砕に供される場合、粒子同士の摩耗が結晶混合物の転移を引き起こし、より安定なII型が好ましい。そのため、より高いII型の含有量が達成され得る。サルポグレラート塩酸塩のエアージェット粉砕のいくつかの実験の間に、空気圧における増加および挽砕槽中の生成物の保持における増加が粒子同士の摩耗をより頻繁なものにし、それによってより安定なII型の形成が促進されたことを観察した。また、所定の空気圧において粒子径を制御するために、保持時間および/または空気圧は減らされ得ることがわかった。そのため、より速いII型への変化のためには、より高い空気圧がより長い保持時間と共に好ましい。より遅いII型への変化のためには、より低い空気圧がより短い保持時間と共に用いられる。そのため、粒度分布と多形転移との最適な組み合わせが達成され得る。
粉砕がI型からII型への結晶転移を引き起こすことは、発明者によって、いくつかの実験を行うことによって確立されている。多形転移および粒子径に減少の効果が注意深く研究され、その結果が表1に要約されている。
Figure 0006130701
ロット1〜ロット6の結果は、図9〜14に示されている粒度解析結果(体積による粒子のパーセンテージがミクロン(μm=マイクロメートルまたはミクロン)における粒子径に対してプロットされている粒度分布についての度数曲線を示す)によってサポートされている。分布の統計は、英国規格 BS2955:1993に従って、得られた直径D[m,n](国際的に合意された、粒子径の平均およびモーメントを規定する方法)を用いた結果から計算されている。D(0.1)、D(0.5)およびD(0.9)は、解析からの標準百分位数の読み取りである。
そのとき、D(0.5)は、サンプルのうちの50%が小さい方となり且つ50%が大きい方となるサイズ(ミクロンにおける)である。この値は、質量平均径(MMD)として知られている。
D(0.1)は、サンプルのうちの10%がそれ未満に存在する粒子のサイズである。
D(0.9)は、サンプルのうちの90%がそれ未満に存在する粒子のサイズである。
したがって、本発明において得られ且つ示されるサイズ分布は、体積に基づくものである。
微粉砕が多形体のII型における増加に直接関係することは、上述から非常によく理解され得る。また、粉砕のおかげで、多形変化が微粉砕と共に同時に達成され得る。同様に、上述の粉砕された物質のシーディングが多形体のII型における増加を引き起こすことが示される。
また、粉砕することによって達成される粒度分布がロット3およびロット5(それぞれ図11および図13にも描かれている)の場合のようにD(0.1)<5μm、D(0.5)<25μm、およびD(0.9)<50μmであるということが観測される。
一方、粉砕せずに達成される粒度分布がロット1、ロット2およびロット6(それぞれ図9、図10および図14にも描かれている)の場合のようにD(0.1)>5μm、D(0.5)>25μm、およびD(0.9)>50μmであるということが観測される。
同様に、上述のプロセスが、容易にII型の含有量を5%より多く(粉砕前に生成物におけるII型の含有量と比較して)増加させることが推論され得る。
本欄に示されている、並びに表1および本発明の実施例によって実証されている、様々な技術を組み合わせることによって、所望の多形比を微粉砕と共に達成し得る。
そのような微粉砕における増加が、生成物の溶解度を向上し得ることは知られているが、微粉砕と共にII型における直接的な増加があるため、得られる生成物は、この薬を用いた治療を受ける患者から主に構成される最終使用者による最終的な消費に至るまで販売した後だけでなく、その製造ライフサイクルの間、物理的により安定であり得る。同様に、薬学的な有効成分の粒度分布のムラのない平均が、固形剤形(錠剤、カプセル、細粒等)を作るとき、より良質な混合物を与えることが知られている。
限定されるわけではないが、本発明は機械的エネルギーまたは流体エネルギーの何れかを用いた衝撃による微粉砕または多形変化を説明する。薬学応用のために広く使用されている機械的な衝撃式ミルの例は、ピンミル、フィッツミル、マイクロ粉砕機、コニカルミル等である。一方、流体ミルの例としては、螺旋式ジェットミル、ループ式ジェットミル、流動床式ジェットミル等が挙げられる。機械的な衝撃式ミルは、よりしばしば、特定の篩サイズを用いて操作される。同様に、湿式挽砕がサルポグレラート塩酸塩の調製されたスラリーにとってこのように必須である場合であれば、挽砕は湿式挽砕ミル(同様に粉塵の低減を保証するであろう)を用いて行われ得る。そのため、本発明を乾式挽砕だけに限定してはならず、湿式挽砕の範囲も包含する。
概して、サルポグレラート塩酸塩を挽砕する目的に関して、選択される粉砕装置は、一貫した結果を与え、熱の発生がなく、粉塵の発生が最小限で、清掃が容易で、生成物の汚染または分解を引き起こすことなく、窒素を用いた不活性処理の選択肢がある、ことが望ましい。
上述の例のうちで、粉砕の好ましい形態の1つは流体ジェットミルであり、それは、生成物の分解(制御不可の摩擦熱に起因する、他のミルにおけるケースである)を引き起こすことなく低い温度において処理するという最も大きな利点があるため、製薬処理において広く使用されている。ジェットミルにおいて、ジェットから出る空気(流体)の温度は、ジュールトンプソン効果に起因して、華氏約マイナス(−)200度に冷却され、生成物は挽砕のために用いられる空気より暖かくならないからである。そのようなミルにおいて、挽砕槽との摩擦の形態の衝突および接触は、膨張する空気の冷却効果によって相殺される。機械的な力または空気の力を用いた分粒システムと組み合わされたときの上述のミルは、ばらつきがなく且つ狭い粒度分布を生み出し得る。必要な画分または粒度分布を得るために、または粗大なものを除去するために、または生成物から微細なものを除去するために、分粒システムは概して、微粉砕技術と組み合わされ得る。
本発明において使用される用語「機械的衝撃または流体衝撃を用いて固体状態の結晶転移を引き起こすこと」または「機械的衝撃または流体衝撃の形態」は、何れの箇所においても、そのサイズを減少させるために外部応力を加えることによって固体を破壊または崩壊させるプロセスを包含する。ここでは、4種類の力(「圧縮」、「剪断」、「衝撃」および「磨滅」)のうちの任意の力が用いられる。
〔本発明を実施するための最良の形態〕
乾燥したサルポグレラート塩酸塩の粗結晶を、脂肪族ケトン(好ましくはメチルエチルケトン)と脂肪族モノカルボン酸(好ましくはギ酸(98%等級))との溶媒混合物に溶解すること、濾過、結晶化、洗浄および純粋な結晶の真空乾燥によって、再結晶化および精製が非常に効率的に行われ得ることが明らかになった。メチルエチルケトンは溶質の3〜5倍のw/wであることが好ましく、ギ酸は溶質の0.8〜1.2倍のw/wであることが好ましい。溶解は、撹拌および漸進的な加熱(好ましくは60℃未満)によって達成される。活性炭が添加され、撹拌が続けられて、その後活性炭および懸濁物を除去するために濾過される。さらに、反応マスが漸進的に冷却され、種晶または種晶混合物が室温より高い温度で添加され、続いて冷却および10℃未満での結晶の成長が行われる。この方法に従うと、I型およびII型の多形混合物を含むサルポグレラート塩酸塩の結晶が得られ、その多形比は7:3〜9:1(II型:I型)である。典型的には、上述のプロセスを用いた実験での産物は、非常に高い液体クロマトグラフィー純度を示した。HPLC法による関連物質試験(第十六改正日本薬局方に記載された手順に従った)は、99.8%より高い純度を示したが、それは0.01%〜0.06%の範囲で、特定の分解生成物−不純物A(不純物BP984、保持時間0.82、限界値0・2%)を有していた。一方、他の個々の不純物は全て、0.1%の限界値よりもかなり少なかった。典型的な収率は90%を超えていた。生成物結晶は純白であり、性質上さらさらしていた。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーを用いた残留溶媒含有量試験は、500ppm未満のレベルのメチルエチルケトンの存在を示した。一方、ギ酸は検出(報告)限界値未満であった。上述の全てのバッチについて測定された水含有量は、0.2%未満のレベルであった。上述の実験の産物は、第十六改正日本薬局方におけるサルポグレラート塩酸塩の各条の規定に従ったものであった。高収率および所望の多形混合物を得ることに加えて、高純度の最終生成物が得られることが明らかとなった。
本発明を用いて行われた典型的な実験は、上記結果を繰り返し再現可能であることを証明するものであった。
本発明の間に行われた種々の実験の結果は、第十六改正日本薬局方に記載されたサルポグレラート塩酸塩の規定および分析法を用いてモニターされた。
本発明において引用される以下の試験は、第十六改正日本薬局方におけるサルポグレラート塩酸塩の各条に記載された方法を用いて行われた。
赤外吸収スペクトル−各条における確認試験に従った試験。
液体クロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー−HPLC)−各条に記載された関連物質試験に従った試験。
水−含有量。
図面に示されている示差走査熱量測定(DSC)グラフは、以下の方法を用いて得られた:
加熱速度:10℃/分
雰囲気:窒素についての部分 40mL/分
測定温度:30〜200℃。
〔粒度測定の方法〕
以下の採用された特定の方法が、本発明における結果を分析および説明するために用いられる。しかしながら、粒度測定法は同一のものに限定されず、第十六改正日本薬局方<3.04>粒度測定法に記載された光学顕微鏡に基づく、または<G−2>物性に記載された粒子径のレーザー回折測定に基づく、粒度分析のためのより適当な方法を使用および開発し得る。上述の採用された異なる方法は、他の方法による結果と相関させることによってそれらの適切性を証明すること、および同一のものについての分析的方法の確認を行うことが望ましい。
装置:Malvern Mastersizer 2000
主要:レーザー回折技術
得られた結果は体積を基準とする。
範囲:0.02〜2000μm;サンプル分散ユニット:Scirocco 2000 Dry dispersion;粒子RI:1.529;吸収:0.01;分散剤RI:1.0;計算:汎用;感度:ノーマル;粒形:不等;測定時間:12秒;測定スナップ:12000;オブスキュレーションリミット;0.5%〜6.0%、振動供給速度:40%;分散空気圧:3.0バール。
本発明において、サルポグレラート塩酸塩のI型結晶は、以下に記載された特徴の両方を同時に示す結晶である:
(1)示差走査熱量測定において、149℃〜153℃の間に吸熱ピークを有する。
(2)赤外吸収スペクトルにおいて、1245**1.0、1404**1.0、1495**1.0、1585**1.0、2936**1.0、1152**1.0、1054**1.0、および、780**1.0-cm-1から選択される少なくとも2つにおける吸収ピークを有する。
本発明において、サルポグレラート塩酸塩のII型結晶は、以下に記載された特徴の両方を同時に示す結晶である:
(1)示差走査熱量測定において、154℃〜157℃の間に吸熱ピークを有する。
(2)赤外吸収スペクトルにおいて、792**1.0、1163**1.0、1040**1.0、1464**1.0、1742**1.0、1406**1.0、1497**1.0、および、1603**1.0-cm-1から選択される少なくとも2つにおける吸収ピークを有する。
次に、本発明を以下の非限定的な実施例によって例証する。以後、実施例および実験例は本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。本発明が関連する技術分野における当業者は、所望の結果を得るために、例証された調製を変更する方法を容易に理解し得る。
〔実施例1〕
サルポグレラート塩酸塩の粗結晶25gを、125mLのメチルエチルケトンに添加した。ギ酸(98%等級:20mL)を、撹拌しながら徐々に添加し、60℃より低い温度で溶質の完全な溶解が達成された。反応生成物に活性炭を添加し、撹拌した。濾過により、活性炭および他の不要な懸濁物を除去した。濾液を徐々に冷やし、10℃より低い温度に冷却した。結晶の成長を3時間許容した。結晶を濾過し、25mLのメチルエチルケトンで洗浄した。湿った結晶を、60℃より低い温度および減圧下で乾燥させた。得られた収率は92%であった。得られた多形比は、53:47(II型:I型)であった。液体クロマトグラフィー純度は99.85%であり、検出された不純物Aは0.02%であると算出された。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによって検出された残留溶媒であるメチルエチルケトンは、440ppmであった。乾燥結晶の含水量は0.14%であった。
〔実施例2〕
サルポグレラート塩酸塩の粗結晶120gを、600mLのメチルエチルケトンに添加した。ギ酸(98%等級:95mL)を、撹拌しながら徐々に添加し、60℃より低い温度で溶質の完全な溶解が達成された。反応生成物に活性炭を添加し、撹拌した。濾過により、活性炭および他の不要な懸濁物を除去した。濾液を回収し、撹拌状態を維持した。溶液の濁り(不透明)に関して、実施例1で得られた種晶混合物を入れ、その後反応生成物を徐々に冷やし、10℃より低い温度に冷却した。結晶の成長を3時間許容した。結晶を濾過し、100mLのメチルエチルケトンで洗浄した。湿った結晶を、60℃より低い温度および減圧下で乾燥させた。得られた収率は94%であった。得られた多形比は、70:30(II型:I型)であった。液体クロマトグラフィー純度は99.87%であり、検出された不純物Aは0.03%であると算出された。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより検出された残留溶媒であるメチルエチルケトンは、460ppmであった。乾燥結晶の含水量は0.12%であった。
〔実施例3〕
実施例2において得られたサルポグレラート塩酸塩の乾燥純粋結晶100gを、エアージェットミルを用いて粉砕した。得られた収率は99.6%であった。得られた多形比は、96:04(II型:I型)であった。液体クロマトグラフィー純度は99.88%であり、検出された不純物Aは0.03%であると算出された。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより検出された残留溶媒であるメチルエチルケトンは、230ppmであった。乾燥結晶の含水量は0.11%であった。結晶の色は、白色度の点で向上していた。
〔実施例4〕
25gの粗結晶を、実施例3に従って得られた結晶を用いてシーディングを行う実施例2の方法で処理した。23.4gの乾燥結晶を得た。得られた結晶はII型結晶のみの存在が見られた。最終生成物のII型含有量は、DSCによると100%であった。液体クロマトグラフィー純度は99.86%であり、検出された不純物Aは0.02%であると算出された。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより検出された残留溶媒であるメチルエチルケトンは、360ppmであった。乾燥結晶の含水量は0.14%であった。
〔実施例5〕
25gの粗結晶を、55mLのメチルエチルケトンおよびギ酸(98%等級:20mL)を用いて溶解した。活性炭で処理し、濾過した。濾液を回収するために、25℃〜45℃の温度で撹拌しながら70mLのアセトンを徐々に添加し、生成溶液を飽和させ、逆溶媒添加晶析として知られる結晶化を行った。さらに、反応溶液を徐々に冷やし、10℃より低い温度に冷却した。結晶の成長を3時間許容した。結晶を濾過し、25mLのアセトンで洗浄した。湿った結晶を、60℃より低い温度および減圧下で乾燥させた。得られた収率は93%であった。得られた多形比は、58:42(II型:I型)であった。液体クロマトグラフィー純度は99.87%であり、検出された不純物Aは0.03%であると算出された。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより検出された残留溶媒であるメチルエチルケトンは、500ppmであった。乾燥結晶の含水量は0.12%であった。
〔実施例6〕
サルポグレラート塩酸塩の粗結晶20gを、100mLの酢酸エチルに添加した。ギ酸(98%等級:20mL)を、撹拌しながら徐々に添加し、60℃より低い温度で溶質の完全な溶解が達成された。活性炭処理および濾過を行った。実施例1に従って得られた種晶混合物を添加し、冷却結晶化させるために、濾液を徐々に冷やし、10℃より低い温度に冷却した。結晶の成長を3時間許容した。結晶を濾過し、25mLの酢酸エチルで洗浄した。湿った結晶を、60℃より低い温度および減圧下で乾燥させた。得られた収率は93%であった。得られた多形比は、83:17(II型:I型)であった。液体クロマトグラフィー純度は99.87%であり、検出された不純物Aは0.02%であると算出された。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより検出された残留溶媒である酢酸エチルは、420ppmであった。乾燥結晶の含水量は0.11%であった。
〔実施例7〕
サルポグレラート塩酸塩の粗結晶20gを、120mLのイソプロピルアルコールに添加した。ギ酸(98%等級:20mL)を、撹拌しながら徐々に添加し、60℃より低い温度で溶質の完全な溶解が達成された。活性炭処理および濾過を行った。実施例1に従って得られた種晶混合物を添加し、冷却結晶化させるために、濾液を徐々に冷やし、10℃より低い温度に冷却した。結晶の成長を3時間許容した。結晶を濾過し、25mLのイソプロピルアルコールで洗浄した。湿った結晶を、60℃より低い温度および減圧下で乾燥させた。得られた収率は94%であった。得られた多形比は、76:24(II型:I型)であった。液体クロマトグラフィー純度は99.88%であり、検出された不純物Aは0.03%であると算出された。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより検出された残留溶媒であるイソプロピルアルコールは、390ppmであった。乾燥結晶の含水量は0.12%であった。
〔実施例8〕
サルポグレラート塩酸塩の粗結晶20gを、100mLのメチルイソブチルケトン(MIBK)に添加した。50mLのメタノールを、撹拌しながら添加し、約60℃で溶質の完全な溶解が達成された。活性炭処理および濾過を行った。メタノールを溶液から蒸留して除去し、蒸発結晶化を引き起こした。濾液を徐々に冷やし、10℃より低い温度に冷却した。結晶の成長を3時間許容した。結晶を濾過し、25mLのアセトンで洗浄した。湿った結晶を、60℃より低い温度および減圧下で乾燥させた。得られた収率は95.5%であった。得られた多形比は、79:21(II型:I型)であった。液体クロマトグラフィー純度は99.83%であり、検出された不純物Aは0.05%であると算出された。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより検出された残留溶媒であるアセトン、メタノール、および、MIBKは、500ppm以下であった。乾燥結晶の含水量は0.14%であった。
本発明は、臨床および医薬の目的で使用されるサルポグレラート塩酸塩の工業的生産に適用することができる。本発明は、サルポグレラート塩酸塩の製造コスト全体を削減することに役立つ。

Claims (5)

  1. 酢酸エチルおよびギ酸を使用してサルポグレラート塩酸塩を溶解し、次いでそこに、メチルエチルケトンおよびギ酸中でサルポグレラート塩酸塩を再結晶化することによって得られたサルポグレラート塩酸塩の種晶混合物を添加して、II型:I型が7:3〜9:1の割合になっている多形混合物を得る、サルポグレラート塩酸塩の再結晶化のための冷却結晶化を行うことを特徴とする、サルポグレラート塩酸塩の多形混合物の製造方法。
  2. メチルエチルケトンおよびギ酸を使用してサルポグレラート塩酸塩を溶解し、次いでそこに、メチルエチルケトンおよびギ酸中でサルポグレラート塩酸塩を再結晶化することによって得られたサルポグレラート塩酸塩の種晶混合物を添加して、II型:I型が7:3〜9:1の割合になっている多形混合物を得る、サルポグレラート塩酸塩の再結晶化のための冷却結晶化を行うことを特徴とする、サルポグレラート塩酸塩の多形混合物の製造方法。
  3. 2−プロパノールおよびギ酸を使用してサルポグレラート塩酸塩を溶解し、次いでそこに、メチルエチルケトンおよびギ酸中でサルポグレラート塩酸塩を再結晶化することによって得られたサルポグレラート塩酸塩の種晶混合物を添加して、II型:I型が7:3〜9:1の割合になっている多形混合物を得る、サルポグレラート塩酸塩の再結晶化のための冷却結晶化を行うことを特徴とする、サルポグレラート塩酸塩の多形混合物の製造方法。
  4. サルポグレラート塩酸塩の粉砕を実施して、薬学的有効成分であるサルポグレラート塩酸塩の多形比を7:3〜9:1(II型:I型)に達成させる方法。
  5. サルポグレラート塩酸塩の粉砕を実施して、薬学的有効成分であるサルポグレラート塩酸塩の多形体混合物におけるII型の含有率を70%より高い割合に達成させる方法。
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