JP6711709B2 - エゼチミブの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エゼチミブ(化学名称:(3R,4S)−1−(4−フルオロフェニル)−[3(S)−ヒドロキシ−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン)の新規な製造方法に関する。
下記式(1)
で示される(3R,4S)−1−(4−フルオロフェニル)−[3(S)−ヒドロキシ−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン)(以下、エゼチミブとする場合もある。)は、小腸における胆汁性及び食事性コレステロールの吸収を選択的に阻害し、血中のコレステロールを低下させる治療薬として知られている。このような治療薬として用いられるエゼチミブは、非常に高純度であることが望まれることから、製造過程において不純物の生成を抑制することが極めて重要である。
エゼチミブの製造方法としては、下記式(2)
で示される(3R,4S)−1−(4−フルオロフェニル)−[3(S)−ヒドロキシ−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−[4−(フェニルメトキシ)フェニル]−2‐アゼチジノンを、水素添加反応によってベンジル基の脱保護を行い製造する方法が知られている(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1参照)。
エゼチミブのような原薬においては、純度が非常に重要となる。しかしながら、上記方法で記載されている精製方法では、以下の点で改善の余地があった。例えば、特許文献1には、ジクロロメタンで再結晶する方法が記載されているが、再結晶溶媒は結晶中に残存し易いため、特に最終工程に近い工程においては、より安全な溶媒により再結晶することが求められていた。
国際公開第2008/032338号パンフレット 国際公開第2007/144780号パンフレット 特許第3155759号公報 国際公開第2010/071358号パンフレット 国際公開第2010/113182号パンフレット
J. Org. Chem., Vol. 64, 1999, p. 3714−3718
その他のエゼチミブの精製方法として、安全性の高い水系の再結晶溶媒を使用してエゼチミブを精製する方法も知られている。例えば、特許文献4には、アセトニトリル/水の系で再結晶する方法について記載されており、特許文献3、及び5には、エタノール又はイソプロピルアルコール/水の系で再結晶する方法が記載されており、特許文献2、及び非特許文献1には、メタノール/水の系で再結晶する方法について記載されている。これらの系において、水はエゼチミブに対して貧溶媒である。そのため、加熱等の処理を行って再結晶することが一般的であった。
本発明者等の検討によれば、上記の水の系での再結晶では、以下の点で改善の余地があることが分かった。すなわち、上記方法においては、下記式(3)
で示される化合物が不純物として多く含まれる場合があることが判明した(以下、前記式(3)で示される化合物を単に「開環体」とする場合もある。)。
したがって、本発明の目的は、高純度のエゼチミブを製造する方法、特に、前記開環体を効率よく低減することができ、高純度のエゼチミブを製造する方法を提供することにある。また、加えて、粒度分布幅の狭いエゼチミブを製造できる方法、および粒度分布幅が狭いエゼチミブを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った。そして、前記開環体は、再結晶等を行う際に、主にエゼチミブが加水分解して生じたものであることが考えられた。そのため、溶液等に含まれる状態においてエゼチミブが加水分解し難い条件等の検討を行った。その結果、アルコール、及び水の系において酸を配合してエゼチミブを結晶化(エゼチミブの結晶を析出)させることにより、エゼチミブの加水分解を効果に抑制でき、開環体をより低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。また、該方法を用いて得られるエゼチミブは、粒度分布幅が狭いものとなることを見出した。さらに、そのエゼチミブを少なくとも気流粉砕機により粉砕することにより、粒度が調整された粒度分布の狭いエゼチミブを容易に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、
アルコール、水、及び酸を含む混合溶媒中で下記式(1)
で示されるエゼチミブの結晶を析出させるエゼチミブの製造方法であって、
混合溶媒中で結晶として析出させる前のエゼチミブ1g当たり、アルコールの使用量が5g以上20g以下、水の使用量が3g以上10g以下、酸の使用量が0.005g以上0.5g以下であり、
エゼチミブがアルコールに溶解した第一溶液に、水、及び酸を加えて第二溶液とした後、該第二溶液中でエゼチミブの結晶を析出させることにより、前記混合溶媒中でエゼチミブの結晶を析出させることを特徴とするエゼチミブの製造方法である。

また、0℃以上30℃以下の温度である前記第一溶液に、水、及び酸を混合した後、得られた混合物の温度を50℃以上70℃以下として第二溶液とし、該第二溶液の温度を−10℃以上30℃以下とすることにより、前記混合溶媒中でエゼチミブの結晶を析出させることが好ましい。このような方法によれば、より高純度のエゼチミブを得ることができる。なお、当然のことではあるが、前記混合物は、エゼチミブ、アルコール、水、及び酸を含むものである。
さらに、より高純度のエゼチミブを得るためには、前記第一溶液と活性炭とを接触させた後、第二溶液として再結晶することが好ましい。
そして、第一の本発明の方法によれば、不純物を効率よく低減できるため、精製の対象となるエゼチミブが、下記式(2)
で示される(3R,4S)−1−(4−フルオロフェニル)−[3(S)−ヒドロキシ−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−[4−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−アゼチジノンを、水素添加反応によってベンジル基の脱保護を行うことで得られる、粗エゼチミブである場合に優れた効果を発揮する。また、より純度の高いエゼチミブを製造するためには、前記水素化反応において、水素源としてギ酸及びギ酸塩を使用することが好ましい。
第二の本発明は、体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる体積平均粒子径(D50)が10.0〜25.0μmであって、分布累積値が84%となる粒子径(D84)と分布累積値が16%となる粒子径(D16)との差を2で除した値((D84−D16)/2)が10.0〜25.0であるエゼチミブである。このエゼチミブは、第一の本発明の方法により容易に得ることができる。
さらに、第三の本発明は、体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる体積平均粒子径(D50)が1.0〜3.0μmであって、分布累積値が84%となる粒子径(D84)と分布累積値が16%となる粒子径(D16)との差を2で除した値((D84−D16)/2)が0.5〜2.5であるエゼチミブである。このエゼチミブは、第二の本発明のエゼチミブを、少なくとも気流式粉砕機により粉砕することにより、容易に得ることができる。この第三の本発明のエゼチミブは、粒子径幅が非常に狭く、均一に溶解できるものと考えられる。
なお、当然のことではあるが、D16、D50、D84の分布累積値は、小粒子径側から累積した値である。
本発明によれば、不純物を容易に低減することができ、高純度のエゼチミブを得ることができる。特に、高い収率でエゼチミブを得ることができ、かつ、エゼチミブと構造が類似している開環体を低減することができるため、工業的に優れた方法である。
また、容易に粒度分布幅が狭いエゼチミブ結晶を製造することができる。そのため、本発明によれば、原薬として均一に溶解し易いものを容易に製造することができる。
本発明は、アルコール、水、及び酸を含む混合溶媒中でエゼチミブの結晶を析出させることを特徴とする発明である。つまり、本発明は、該混合溶媒中でエゼチミブを晶析させることを特徴とするものである。先ず、該混合溶媒中で結晶として析出させる前のエゼチミブ(以下、単に、「対象エゼチミブ」とする場合もある)について説明する。
(対象エゼチミブ)
本発明において、対象エゼチミブは、特に制限されるものではなく、公知の方法で製造したものを使用することができる。例えば、特許文献1〜5、及び非特許文献1に記載の方法で製造したもの、及び精製したものを対象エゼチミブとすることができる。そのため、対象エゼチミブは、高速液クロマトグラフィー(HPLC)分析で95.0%以上99.9%以下の純度のエゼチミブであってもよい(以下、本発明において、純度、不純物の割合(%)は、HPLCで測定した際の面積%の値である。)。また、本発明による方法を用いることで、エゼチミブの光学純度も高くすることができる。そのため、高光学純度のエゼチミブを得ることを目的として、高純度のエゼチミブを対象エゼチミブとすることもできる。
本発明によれば、高度に開環体を低減することができ、加えてその他の不純物も低減することができる。そのため、対象エゼチミブは、以下の方法で製造した粗エゼチミブを対象エゼチミブとすることが好ましい。
具体的には、下記式(2)
で示される(3R,4S)−1−(4−フルオロフェニル)−[3(S)−ヒドロキシ−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−[4−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−アゼチジノン(以下、単に、式(2)で示される化合物とする場合もある)を、水素添加反応によってベンジル基の脱保護を行うことで得られる、粗エゼチミブを対象エゼチミブとすることが好ましい。
(対象エゼチミブである粗エゼチミブ)
(エゼチミブの原料化合物;式(2)で示される化合物)
前記式(2)で示される化合物は、特に制限されるものではなく、公知の方法で製造することができる。例えば、特許文献1〜5、及び非特許文献1に記載の方法で製造することができる。具体的には、下記式(4)
で示される(3R,4S)−1−(4−フルオロフェニル)−[3−オキソ−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−[4−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−アゼチジノン(以下、式(4)で示される化合物とする場合もある。)から不斉還元反応により得ることができる。
該不斉還元反応は、下記式(5)
(式中、Rは任意のアルキル基又はアリル基である)
で示される化合物の存在下、ボランを用いて前記式(4)で示される化合物を前記化合物(2)にする反応である(例えば、特許文献1〜5、及び非特許文献1参照)。この反応において、前記式(2)で示される化合物を製造する場合には、特に制限されるものではないが、不純物、特に水酸基の向きが異なる光学異性体をより低減させるためには、以下の方法で不斉還元反応を実施することが好ましい。
具体的には、触媒量の前記式(5)で示される化合物及び使用するボランの量の一部が存在する反応系中に、前記式(4)で示される化合物を添加して不斉還元反応を行い、その後、ボランの残部を添加し不斉還元反応を再進行させることが好ましい。このような方法(ボランを多段階で反応させる方法)を採用することにより、式(2)で示される化合物の水酸基の向きが異なる光学異性体の生成を極力低減することができる。
(粗エゼチミブの製造方法)
粗エゼチミブは、前記の通り、式(2)で示される化合物を水素添加反応によってベンジル基の脱保護を行うことで得られる。水素添加反応は、特に制限されるものではなく、公知の方法を採用できる。具体的には、水素源として、水素ガスを使用する方法、ギ酸等を使用する方法等を採用することができる。
(水素ガスを使用した場合の粗エゼチミブの製造方法)
例えば、還元触媒であるパラジウム炭素存在下、水素ガスを用いて、式(2)で示される化合物を水素添加反応によってベンジル基の脱保護を行うことにより、粗エゼチミブを得ることができる(例えば、特許文献1〜3参照)。このような水素ガスを使用する場合には、反応溶媒中に式(2)で示される化合物を溶解し、触媒量のパラジウム炭素存在下、水素ガスを反応系中に入れ、ベンジル基の脱保護反応を行えばよい。この際、特に、粗エゼチミブにおける開環体、及び下記式(6)
で示される(3R,4S)−1−(4−フルオロフェニル)−[3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン(以下、「脱ヒドロキシ体」とする場合もある)を低減するためには、該反応溶媒のpHを5以下とすることが好ましい。pHを5以下にすることにより、粗エゼチミブを製造する際に生じる開環体、及び脱ヒドロキシ体の量をより低減することができる。つまり、対象エゼチミブ(粗エゼチミブ)に元々含まれる、開環体の量、及びエゼチミブと類似した化合物である脱ヒドロキシ体を低減することができ、最終的に得られるエゼチミブの純度を高くすることができる。
反応溶媒のpHを5以下にする場合、パラジウム炭素は水素化反応に用いられるものであればよく、公知のものが使用できる。具体的には、パラジウムの担持量が5%から20%のものが使用することができ、含水品であってもよい。反応性や安全性を考慮すると、パラジウムの担持量が5%、または10%のものが好ましく、40%から60%程度水を含んでいるものが好ましい。当該パラジウム炭素の使用量は、ベンジル保護体1gに対して0.01g以上0.5g以下であればよく、0.02g以上0.3g以下であることが好ましい。
反応溶媒のpHを5以下にするためには、酸を使用すればよい。使用する酸は、反応溶媒に溶解するものであればよく、有機酸、および/又は無機酸が好適に使用される。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、シュウ酸等の有機酸、および/又は塩酸(塩化水素)、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸等を用いることができる。これらの有機酸、無機酸は、水に溶解して使用することもできる。例えば、塩化水素を水で希釈した塩酸として使用することもできるし、水で希釈した硫酸を使用することもできる。これらの中でも、臭気や除去の容易さを考慮すると酢酸を使用することが好ましい。これらの酸は単独で使用することも複数種混合して使用することもできる。当該酸の使用量は、反応溶媒のpHが5以下になるまで添加すればよい。
pHを5以下で反応させる場合には、反応溶媒は、炭素数1〜4のアルコールを使用することが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールが挙げられる。中でも、操作性や反応性、この反応で得られた反応液をそのまま結晶の析出に用いることができることを考慮すると、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、特にエタノールが好ましい。これらは単独で使用することも複数種混合して使用することもできる。また、本反応溶媒の使用量は、使用する反応溶媒の種類や反応条件、後述する析出で使用する貧溶媒の使用量等によって適宜決定すれば良く、反応後に生成するエゼチミブが溶解する量を用いれば良い。操作性や反応性を考慮すると、式(2)で示される化合物1gに対して、2g以上50g以下であることが好ましく、3g以上40g以下であることがより好ましく、4g以上30g以下であることが特に好ましい。
pHを5以下にして反応する場合には、式(2)で示される化合物、酸、触媒であるパラジウム炭素、及び反応溶媒を予め混合し、最後に反応器内の空気を水素に置換することが好ましい。具体的には、式(2)で示される化合物と反応溶媒とを混合し、撹拌、分散させておいたところに、酸、及びパラジウム炭素を加え、水素置換する方法が好ましい。本反応において、反応温度は反応性やエゼチミブの溶解度を考慮すると、10℃以上60℃以下であればよく、15℃以上55℃以下であることが好ましく、18℃以上50℃以下であることがより好ましい。また、反応時間は、反応の進行状況に応じて適宜決定すればよく、通常は1時間以上48時間以下である。
以上のような反応により得られる反応液は、以下のように処理することが好ましい。先ず、濾過によってパラジウム炭素触媒を濾去以してエゼチミブを含む溶液を得、当該溶液中でエゼチミブの結晶を析出させる。次いで、得られた結晶を分別濾過して、必要に応じて洗浄・乾燥を行い、粗エゼチミブを取得することが好ましい。
(ギ酸等を使用した粗エゼチミブの製造方法)
粗エゼチミブは、水素源を水素ガスに代えてギ酸等を使用して製造することもできる。中でも、触媒量のパラジウム炭素存在下、水素源としてギ酸とギ酸塩とを併用することが好ましい。ギ酸とギ酸塩とを併用することにより、前記水素ガスの使用で説明した脱ヒドロキシ体、下記式(7)
で示される(3R,4S)−3−((S)−3−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)−4−(4‐ヒドロキシフェニル)−1−フェニルアゼチジン−2−オン(以下、脱フルオロ体とする場合もある)、及び開環体の量が低減された粗エゼチミブを対象エゼチミブとすることができる。
パラジウム炭素のパラジウム担持量、使用量等は、水素ガスを使用する方法と同じであることが好ましい。また、反応溶媒の種類、使用量も、水素ガスを使用する方法と同じであることが好ましい。
使用するギ酸の使用量は、特に制限されるものではないが、式(2)で示される化合物1.0モルに対して2.0モル以上20.0モル以下であればよく、3.0モル以上10.0モル以下であることが好ましい。
使用するギ酸塩としては、ギ酸アンモニウム、アルカリ金属ギ酸塩が挙げられる。アルカリ金属ギ酸塩としては、具体的にはギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸ルビジウム、ギ酸セシウムを挙げることができる。反応性や前記反応溶媒に対する溶解度を考慮すると、ギ酸アンモニウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウムを用いることが好ましく、ギ酸アンモニウムを用いることが特に好ましい。これらのギ酸塩は、単独で用いても良いし、複数種を併せて用いることもできる。また、当該ギ酸塩の形態は、特に制限されるものではなく、使用するギ酸塩に固有の態様そのままを用いることができる。
また、ギ酸塩の使用量は、式(2)で示される化合物1.0モルに対して0.2モル以上2.0モル以下であれば良く、0.3モル以上1.0モル以下であることが好ましい。ギ酸塩の使用量が、式(2)で示される化合物1.0モルに対して0.2モル未満の場合は、反応液のpHが低下して反応が進行せず、2.0モルより多い場合は脱フルオロ体の生成量が増加するため好ましくない。
なお、ギ酸とギ酸塩との総量は、式(2)で示される化合物1モルに対して3.0モル以上22.0モル以下であれば良い。ギ酸とギ酸塩の使用量の比は、ギ酸塩1モルに対してギ酸が1モル以上20モル以下であることが好ましく、2モル以上15モル以下であることがより好ましい。
反応方法としては、具体的には、式(2)で示される化合物、パラジウム炭素及び溶媒を予め混合し、この混合液にギ酸及びギ酸塩を加えれば良い。ギ酸及びギ酸塩の添加順序に制限はなく、ギ酸及びギ酸塩の混合物を添加しても良い。反応工程において、反応温度は反応性やエゼチミブの溶解度を考慮すると、10℃以上60℃以下であればよく、15℃以上55℃以下であることが好ましく、20℃以上50℃以下であることがより好ましい。また、反応時間は、反応の進行状況に応じて適宜決定すればよく、通常は1時間以上48時間以下である。
以上のような反応により得られる反応液は、以下のように処理することが好ましい。先ず、濾過によってパラジウム炭素触媒を濾去以してエゼチミブを含む溶液を得、当該溶液中でエゼチミブの結晶を析出させる。次いで、得られた結晶を分別濾過して、必要に応じて洗浄・乾燥を行い、粗エゼチミブを取得することが好ましい。
(粗エゼチミブの純度)
以上のような方法で粗エゼチミブを製造することができる。最終的に高純度のエゼチミブを得るためには、粗エゼチミブ自体の純度が高い方がよい。そのため、特に制限されるものではないが、上記水素ガスを使用した場合には、エゼチミブの純度は98.3%以上99.3%以下であり、開環体、及び脱ヒドロキシ体等の不純物の総量が0.7%以上1.7%以下である粗エゼチミブを対象エゼチミブとすることができる。一方、ギ酸及びギ酸塩を使用した場合には、エゼチミブの純度は98.8%以上99.8%以下であり、開環体、脱ヒドロキシ体、及び脱フルオロ体等の不純物の総量が0.2%以上1.2%以下である粗エゼチミブを対象エゼチミブとすることができる。
(エゼチミブの結晶を析出させる方法)
本発明の最大の特徴は、対象エゼチミブをアルコール、水、及び酸を含む混合溶媒中で結晶化させて、その結晶を取り出すことにより、高純度のエゼチミブを得るという点にある。
高純度のエゼチミブの結晶を析出させるには、以下の方法を採用することができる。例えば、対象エゼチミブを、アルコール、水、及び酸を含む混合溶媒中で一旦溶解させ、その後、温度調整、又は溶媒除去等の方法により、エゼチミブの結晶を析出させることができる。その他、エゼチミブに対して良溶媒であるアルコールに対象エゼチミブを溶解させ、その後、酸、及び水を加え、必要に応じて加温してエゼチミブの結晶を溶解させた後、アルコール、水、酸を含む混合溶媒中でエゼチミブの結晶を析出させることもできる。本発明によれば、酸を含む混合溶媒を使用するため、加温したとしても、開環体の増加を抑制することができる。
また、前記方法で粗エゼチミブを使用した場合には、以下の方法でエゼチミブの結晶を析出させることが好ましい。例えば、水素ガス、並びにギ酸及びギ酸塩を使用して粗エゼチミブを製造した際に、反応溶媒にアルコールを使用した場合には、以下の方法によりエゼチミブを結晶化させることが好ましい。すなわち、先ず、パラジウム炭素を濾過等により分別する。得られたアルコールを含む溶液に酸(ギ酸を含む)が含まれる場合には、該溶液に水を加え、混合溶媒中にエゼチミブが溶解した溶液を準備し、次いで、エゼチミブを該混合溶媒中で析出させる。こうすることにより、純度の高いエゼチミブの結晶(以下、この方法で得られるエゼチミブを第一エゼチミブとする場合もある)を得ることができる。なお、この方法を採用することにより、条件によっては、第一エゼチミブは、純度を99.00%以上99.80%以下、開環体0.02%以上0.20%以下、脱ヒドロキシ体0.01%以上0.30%以下、脱フルオロ体0.02%以上0.10%以下、他の不純物0.10%以上0.50%以下とすることができる。
本発明において、使用するアルコールは、前記反応溶媒と同じく、炭素数1〜4のアルコールが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールが挙げられる。中でも、操作性や反応性、この反応で得られた反応液をそのまま結晶の析出に用いることができることを考慮すると、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、特にエタノールが好ましい。
本発明において、使用する酸は、有機酸、無機酸のどちらも使用することができる。有機酸を使用する場合、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、シュウ酸などから選択すればよく、無機酸を使用する場合、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などから選択すればよい。また、これら有機酸、無機酸が固体の場合は、アルコール、および/又は水に溶解させて使用することもできる。また、塩化水素のような無機酸は、水に溶解して塩酸として使用することが好ましい。なお、酸を使用する場合において、アルコール、および/又は水と混合して使用した場合には、使用したアルコール、および/又は水の量は、アルコールの使用量、水の使用量に含めるものとする。このような酸の中でも、その後の除去操作を考慮すると無機酸を使用することが好ましく、さらに塩酸(塩化水素が25質量%以上40質量%以下の濃度となるように水で希釈した塩酸)を使用することが特に好ましい。
また、水は、当然のことながら純度の高いものを使用することが好ましく、蒸留水、イオン交換水、精製水等の公知の水を使用することができる。
対象エゼチミブをアルコール、水、及び酸を含む混合溶媒中で結晶化させる場合、アルコール、水、及び酸の使用量は、使用するアルコール、酸の種類、混合溶媒の温度、エゼチミブの純度、不純物の種類・量等に応じて最適値が異なるため、一概に限定できるものではないが、以下の割合とすることが好ましい。具体的には、対象エゼチミブに含まれるエゼチミブ1g当たり、アルコールを3g以上30g以下、水を1g以上20g以下、酸を0.001g以上2g以下とすることが好ましい。この範囲を満足することにより、開環体の生成を抑制できると共に、十分に開環体を除去することができる。より開環体を低減するためには、さらに、対象エゼチミブに含まれるエゼチミブ1g当たり、アルコールを4g以上25g以下、水を2g以上15g以下、酸を0.003g以上1g以下とすることが好ましく、特に、アルコールを5g以上20g以下、水を3g以上10g以下、酸を0.005g以上0.5g以下とすることが好ましい。
また、純度の高いエゼチミブを得るためには、混合溶媒の温度を50℃以上70℃以下とし、対象エゼチミブに含まれるエゼチミブを一旦溶解し、その後、混合溶媒の温度を−10℃以上30℃以下として、エゼチミブの結晶を析出させることが好ましい。なお、混合溶媒中にエゼチミブ以外の不溶物が存在する場合には、濾過等により除去すればよい。以上のような方法の中でも、より高純度のエゼチミブを効率よく得るための好適な方法について説明する。
(エゼチミブの好適な結晶化方法)
エゼチミブの製造全体を考慮すると、先ず、対象エゼチミブは、前記粗エゼチミブを使用することが好ましい。その中でも、ギ酸及びギ酸塩を使用して得られる粗エゼチミブであって、かつ該粗エゼチミブから得られる第一エゼチミブを、さらに、アルコール、水、及び酸を含む混合溶媒中で結晶化させることが好ましい。以下、第一エゼチミブを使用した場合の結晶化の方法を具体的に例示する。ただし、当然のことながら、対象エゼチミブは、第一エゼチミブに限定されるものではない。
より高純度のエゼチミブをより効率よく得るためには、特に、以下の方法を採用することが好ましい。先ず、第一エゼチミブをアルコールに溶解させ、該アルコールにエゼチミブが溶解した第一溶液を準備する。次いで、第一溶液に水、及び酸を混合して第二溶液とした後、該第二溶液中でエゼチミブの結晶を析出させることにより、アルコール、酸、及び水を含む混合溶媒中でエゼチミブの結晶を析出させることが好ましい。以下、これら方法について具体的に説明する。
(第一溶液)
第一溶液は、第一エゼチミブがアルコールに溶解している溶液である。この第一溶液において、アルコールの使用量は、特に制限されるものではないが、第一エゼチミブ中のエゼチミブ1gに対して、3g以上30g以下とすることが好ましい。この濃度範囲とすることにより、過剰な加熱を避けることができ、開環体の生成をより低減することができる。さらに開環体をより低減し、より純度の高いエゼチミブを得るためには、第一エゼチミブ中のエゼチミブ1gに対して、アルコールの使用量を4g以上25g以下とすることがより好ましく、5g以上20g以下とすることがさらに好ましい。
また、前記第一溶液の温度(水、及び酸を混合する前の温度)は、0℃以上30℃以下であることが好ましい。30℃以上の温度で長時間保持した場合には、開環体が生成する可能性が高くなる。さらに、この温度範囲でエゼチミブが溶解した溶液とすることにより、収率よく、かつ高純度のエゼチミブを得ることができる。より収率を高め、高純度のものを得るためには、第一溶液の温度は、10℃以上30℃以下とすることがさらに好ましい。
このように準備された第一溶液は、そのまま、水、及び酸を混合して第二溶液、又は混合物とすることもできるが、活性炭と接触させることにより、最終的に得られるエゼチミブの純度をより高くすることができる。次に、第一溶液と活性炭とを接触させる方法について説明する。
(活性炭との接触)
第一溶液は、そのまま第二溶液、又は一旦、エゼチミブの結晶が析出した混合物とした後、温度、アルコール量等を調節して第二溶液とすることができる。ただし、前記式(4)で示される化合物を原料として対象エゼチミブを製造した場合には、該式(4)で示される化合物の不斉還元反応が進行せず、下記式(8)
で示される(3R,4S)−1−(4−フルオロフェニル)−3−(3−(4−フルオロフェニル)−3−オキソプロピル−4−(4‐ヒドロキシフェニル)アゼチジン−2−オン(以下、ケト体とする場合もある)が対象エゼチミブに含まれる場合がある。このケト体を効率よく除去するためには、第一溶液を活性炭と接触させることが好ましい。
使用する活性炭は、特に制限されるものではなく、炭素物質を高温で炭化、賦活(活性化)する際に、水蒸気を使用して製造された水蒸気炭、又は塩化亜鉛を使用して製造された塩化亜鉛炭を使用することができる。
使用する活性炭は、特に制限されるものではないが、ガス吸着法で測定した細孔径分布が15Å以上40Å以下であることが好ましく、15Å以上25Å以下であることが特に好ましい。ここで、細孔径分布とは、細孔の大きさと細孔容積の関係を意味する値である。
前記活性炭として、水蒸気炭としては、例えば、白鷺A、白鷺C、白鷺M、白鷺P(以上、大阪ガスケミカル製)、太閤Kタイプ、太閤Pタイプ(以上、二村化学製)、大平梅峰印、大平MA印(太平化学産業製)を挙げることが出来る。また、塩化亜鉛炭としては、例えばカルボラフィン、強力白鷺、精製白鷺、特製白鷺 (以上、大阪ガスケミカル製)を挙げることが出来る。このような活性炭の中でも、ケト体をより低減するためには、水蒸気炭を使用することが好ましい。
活性炭と第一溶液とを接触させる場合、特に制限されるものではないが、活性炭の使用量は、第一エゼチミブ中のエゼチミブ1gに対して、0.01g以上0.5g以下であることが好ましく、0.03g以上0.3g以下であることが特に好ましい。また、第一溶液の温度も、特に制限されるものではなく、0℃以上30℃以下とすることが好ましく、10℃以上30℃以下とすることがより好ましい。第一溶液と活性炭とを接触させるには、両者を混合して攪拌することが好ましい。接触させる時間も、特に制限されるものではなく、0.5時間以上10時間以下であれば十分である。
なお、活性炭で処理する場合、下記の第二溶液、又は混合物とする前に、活性炭を濾過等により除去して、第一溶液に戻すことが好ましい。濾過は、公知の方法を採用することができる。
(第二溶液の準備、又は第二溶液)
次いで、必要に応じて活性炭処理した前記第一溶液に、水、及び酸を混合し、アルコール、水、及び酸を含む混合溶媒とする。ただし、水は、エゼチミブに対して貧溶媒であるため、アルコール、及び水の使用量、混合溶媒の温度によっては、一部のエゼチミブが析出した混合物となる場合がある。エゼチミブが析出しない場合には、第二溶液となるが、収率よく、かつ高純度のエゼチミブを得るためには、一旦、混合物とすることが好ましい。
この混合物において、アルコールの使用量は、第一溶液と同じである。そして、収率よく、かつ高純度のエゼチミブを得るためには、第一エゼチミブに含まれるエゼチミブ1gに対して、水の使用量は1g以上20g以下、酸の使用量は0.001g以上2g以下とすることが好ましく、さらに水の使用量は2g以上15g以下、酸の使用量は0.003g以上1g以下とすることが好ましく、特に水の使用量は3g以上10g以下、酸の使用量は0.005g以上0.5g以下とすることが好ましい。また、混合物の温度は、第一溶液と同じであることが好ましく、具体的には、0℃以上30℃以下とすることが好ましく、10℃以上30℃以下であることがより好ましい。
前記混合物とした場合、一旦、その混合物の温度を50℃以上70℃以下として、エゼチミブの結晶が溶解した第二溶液とすることが好ましい。第二溶液の温度が、上記範囲を満足することにより、高収率で、かつ高純度のエゼチミブを得ることができる。この後、第二溶液の温度を−10℃以上30℃以下とすることにより、前記混合溶媒中でエゼチミブの結晶を析出させることが好ましい。
以上の方法においては、第一エゼチミブを対象エゼチミブとして説明したが、対象エゼチミブは、第一エゼチミブに限定されるわけではない。すなわち、上記記載の方法において、第一エゼチミブの代わりに、その他、粗エゼチミブ、他の方法で得られる不純物を含むエゼチミブを対象エゼチミブとして使用することも当然可能である。
(その他の操作)
第二溶液中で析出したエゼチミブは、公知の方法で処理することができる。通常であれば、濾過によりエゼチミブの結晶を取り出し、洗浄・乾燥を行うことが好ましい。また、より純度の高いエゼチミブを得ることを目的とする場合には、繰り返し得られたエゼチミブを対象エゼチミブとして混合溶媒中で結晶化させることが好ましい。
本発明によれば、析出したエゼチミブの結晶は濾過性が良く、濾過や遠心分離等の方法により容易に固液分離され、得られた固体を自然乾燥、送風乾燥、真空乾燥等にて乾燥することによって、エゼチミブの結晶を得ることができる。
(得られるエゼチミブ)
本発明で得られたエゼチミブは、不純物が大きく低減された非常に高純度のものとなる。特性制限されるものではないが、具体的には、99.5%以上99.9%以下(好ましくは99.6%以上99.9%以下)の純度であり、不純物の総量が0.01%以上0.5%以下のものとすることができる。そのため、医薬品用途とし得る高純度のエゼチミブを製造することができる。
前記方法で得られるエゼチミブは、純度、および光学純度が高いだけでなく、粒子径分布の狭いエゼチミブとすることができる。具体的には、
体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる体積平均粒子径(D50)が10.0〜25.0μmであって、
分布累積値が84%となる粒子径(D84)と分布累積値が16%となる粒子径(D16)との差を2で除した値((D84−D16)/2)が10.0〜25.0であるエゼチミブとすることができる。
本発明においては、アルコール、水、及び酸を含む混合溶媒中でエゼチミブの結晶を析出して、その結晶を濾過等により分取した後、篩等を用いて粒度の調整をすることもできる。ただし、本発明によれば、アルコール、水、及び酸を含む混合溶媒中でエゼチミブの結晶を析出して、その結晶を濾過等により分取した時点で、D50が10.0〜25.0μmであって、(D84−D16)/2が10.0〜25.0であるエゼチミブ(結晶)を得ることができる。
また、結晶として析出させる条件をより調整すれば、D50が12.0〜24.0μmであって、(D84−D16)/2が11.0〜24.0であるエゼチミブとすることができる。さらには、D50が15.0〜23.0μmであって、(D84−D16)/2が12.0〜23.0であるエゼチミブとすることができる。
このエゼチミブは、そのまま使用することもできるが、粉砕して使用することができる。結晶を析出して得られる前記エゼチミブの結晶は、比較的、粒度分布幅(ここでは(D84−D16)/2で評価した)が狭いため、容易に粒度分布幅の狭い、小粒子径のエゼチミブとすることができる。
(粉砕して得られるエゼチミブ)
(粉砕方法)
本発明においては、D50が10.0〜25.0μmであって、(D84−D16)/2が10.0〜25.0であるエゼチミブ(結晶)を粉砕することが好ましい。粉砕する手段、条件等は、特に制限されるものではないが、気流式粉砕機を少なくとも使用して粉砕することが好ましい。気流式粉砕機とは、粉砕する対象物(エゼチミブ)を気流に乗せて互いに衝突させることにより、粉砕を行うものである。具体的には、ジェットミルが挙げられる。気流式粉砕機の条件は、粉砕するエゼチミブの量、装置の大きさ・形状等により最適条件を適宜決定すればよい。通常であれば、粉砕時の気流は、空気またはヘリウムや窒素等の不活性ガスであり、粉砕圧0.3〜0.9MPa、対象物の供給速度1〜15kg/hであることが好ましい。
気流式粉砕機で粉砕する場合、1回のみの粉砕に限定されるわけではなく、複数回粉砕することもできる。ただし、本発明においては、D50が10.0〜25.0μmであって、(D84−D16)/2が10.0〜25.0である対象物(エゼチミブ)を気流式粉砕機で粉砕するため、多くても2回の粉砕により、小粒子径で粒度分布幅の狭いエゼチミブとすることができる。好ましくは、1回の粉砕により、小粒子径で粒度分布幅の狭いエゼチミブとすることができる。
気流式粉砕機で粉砕した小粒子径のエゼチミブは、篩等により粒度の調整をすることもできる。ただし、本発明においては、篩等の粒度調整処理を行わなくても、D50が1.0〜3.0μmであって、D84とD16との差を2で除した値((D84−D16)/2)が0.5〜2.5であるエゼチミブを製造することができる。粉砕時の条件をより調整すれば、D50が1.1〜2.9μmであって、(D84−D16)/2が0.65〜2.4であるエゼチミブを製造することができ、さらにD50が1.2〜2.8μmであって、(D84−D16)/2が0.8〜2.3であるエゼチミブを製造することができる。
本発明においては、D50が10.0〜25.0μmであって、(D84−D16)/2が10.0〜25.0であるエゼチミブ(結晶)は、そのまま気流式粉砕機により粉砕してもよいが、先に衝撃式粉砕機で粉砕することもできる。つまり、先ず、衝撃式粉砕機で粉砕した後、次いで、気流式粉砕機で粉砕することもできる。先ず、衝撃式粉砕機で粉砕することにより、効率よく、小粒子径のエゼチミブを得ることができる。
衝撃式粉砕機とは、対象物(エゼチミブ)をピン、ハンマー状のもので粉砕するものであり、ピンミル、パワーミル、ハンマーミルが使用できる。中でも、ピンミルが好ましい。衝撃式粉砕機の条件は、粉砕するエゼチミブの量、装置の大きさ・形状等により最適条件を適宜決定すればよい。ピンミルを使用する場合には、回転速度を5000〜15000rpmとすることが好ましく、さらに7000〜12000rpmとすることが好ましい。なお、この場合、メッシュ径が0.3〜1.5mmのメッシュを排出口に設けることもできる。
衝撃式粉砕機を使用する場合、衝撃式粉砕機、および気流式粉砕機による粉砕をそれぞれ1回のみ実施することに限定されるわけではなく、それぞれ複数回粉砕することもできる。ただし、本発明においては、D50が10.0〜25.0μmであって、(D84−D16)/2が10.0〜25.0である対象物(エゼチミブ)を、衝撃式粉砕機、および気流式粉砕機で粉砕するため、多くてもそれぞれの粉砕を2回実施することにより、小粒子径で粒度分布幅の狭いエゼチミブとすることができる。好ましくは、それぞれの粉砕を1回の実施することにより、小粒子径で粒度分布幅の狭いエゼチミブとすることができる。
衝撃式粉砕機、および気流式粉砕機で粉砕した小粒子径のエゼチミブは、篩等により粒度の調製をすることもできる。ただし、本発明においては、篩等の粒度調整処理を行わなくても、D50が1.0〜3.0μmであって、D84とD16との差を2で除した値((D84−D16)/2)が0.5〜2.2であるエゼチミブを製造することができる。粉砕時の条件をより調整すれば、D50が1.1〜2.9μmであって、(D84−D16)/2が0.65〜2.1であるエゼチミブを製造することができ、さらにD50が1.2〜2.8μmであって、(D84−D16)/2が0.8〜2.0であるエゼチミブを製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
本実施例において、エゼチミブの純度、及び不純物量の測定は、以下のように高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行なった。なお、本発明において、溶液の体積は25℃におけるものとする。
また、得られるエゼチミブの粒子径等の測定方法を記した。
<純度及び不純物量測定方法>
装置:高速液体クロマトグラフ装置(ウォーターズ社製)。
検出器:紫外吸光光度検出器(ウォーターズ社製)。
測定波長:230nm。
カラム:ZORBAX SB‐C18、内径4.6mm、長さ150mm(アジレント・テクノロジー社製)。
カラム温度:25℃付近の一定温度。
緩衝液:リン酸二水素ナトリウム2.4gを水1000mLに溶解させた水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えて液性をpH5.0としたもの。
移動相A:緩衝液/アセトニトリル=800/200(体積比)。
移動相B:緩衝液/アセトニトリル=200/800(体積比)。
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を表1のように変えて濃度勾配制御する。
流速:毎分1.0mL。
測定時間:45分。
上記条件において、エゼチミブは約9分、式(2)で示される化合物は約22分、脱フルオロ体は約8分、開環体は約11分、ケト体は約12分、脱ヒドロキシ体は約17分にピークが確認される。以下の実施例、比較例において、上記化合物の純度または含有量は、上記条件で測定される全ピークの面積値(溶媒由来のピークを除く)の合計に対する各化合物のピークの面積値の割合である。
<光学純度及び異性体量測定方法>
装置:高速液体クロマトグラフ装置(ウォーターズ社製)。
検出器:紫外吸光光度検出器(ウォーターズ社製)。
測定波長:240nm。
カラム:ChiralPak IC、内径4.6mm、長さ250mm(ダイセル社製)。
カラム温度:35℃付近の一定温度。
移動相:ヘキサン/イソプロピルアルコール/トリフルオロ酢酸=85/15/0.1(体積比)。
流速:毎分1.0mL
測定時間20分。
上記条件において、エゼチミブ(S,R,S)は約11分、(R,R,S)異性体は約12分、(S,S,R)異性体は約14分、(R,S,R)異性体は約16分に検出される。以下の実施例、比較例において、上記化合物の光学純度または含有量は、上記条件で測定される全ピークの面積値(溶媒由来のピークを除く)の合計に対する各化合物のピークの面積値の割合である。
<エゼチミブの粒子径等の測定>
装置:レーザー回折方式粒度分布計。
機種:Helos&Rodos system(Sympatec社製)。
計算:Windox5.2 HRLD。
分散圧:1.5bar(粉砕していないエゼチミブ)、2.5bar(衝撃式、気流式粉砕機により粉砕したエゼチミブ)。
引圧:0。
回転:なし。
レンジ:350μm(粉砕していないエゼチミブ)、175μm(衝撃式、気流式粉砕機により粉砕した小粒子径のエゼチミブ)。
以上の条件により、体積基準の粒子径分布において、分布累積値が16%となる体積平均粒子径(D16)、分布累積値が50%となる体積平均粒子径(D50)、分布累積値が84%となるD84を求めた。(D84−D16)/2はD84とD16との差を2で除した値であり、粒子径分布幅の一指標となる。当然のことではあるが、分布累積値は、小粒子径側からの累積値である。
製造例1(式(2)で示される化合物の合成)
直径25cmの2枚撹拌翼を備えた10L四つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、テトラヒドロフラン4000g、(R)−5,5−ジフェニル−2−メチル−3,4−プロパノ−1,3,2−オキサザボロリジン25.1g、ジメチルスルフィドボラン(10M)7.0gを投入し、20℃で30分間撹拌混合した。反応液を−10℃まで冷却し、(3R,4S)−1−(4−フルオロフェニル)−[3−オキソ−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−[4−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−アゼチジノン(式(4)で示される化合物)450gを内温が0℃以上にならないようにしながら添加し、同温で30分間撹拌した。−5℃でジメチルスルフィドボラン49.0gを30分間隔で7回に分割して添加した後、同温にて1時間撹拌した。反応液にメタノール357gを加え、30分間撹拌し、1M塩酸1000gを加え、さらに30分間撹拌した。反応液を25℃付近まで昇温し、酢酸エチル1800g及び10%食塩水800gを加え、有機層を抽出した。得られた有機層を10%食塩水800gで洗浄した後、有機層中の溶媒を減圧下で濃縮した。得られた残渣にイソプロピルアルコール1570gを加え、75℃に加熱し固体を溶解させた後、ヘプタン1370gを加え、2℃付近まで冷却し、3時間撹拌した。析出した結晶を減圧濾過によって濾取し、イソプロピルアルコール312gとヘプタン274gの混合溶液で洗浄し、減圧乾燥して、(3R,4S)−1−(4−フルオロフェニル)−[3(S)−ヒドロキシ−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−[4−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−アゼチジノン(式(2)の化合物)322.3g(式(2)で示される化合物の純度98.7%、式(4)で示される化合物の含有量0.07%)を得た(収率80.3%)。
製造例2(第一エゼチミブの合成;ギ酸及びギ酸塩を使用した方法)
直径9.0cmの2枚撹拌翼を備えた1L四つ口フラスコに、製造例1で得られた式(2)の化合物50g(純度98.7%)を投入し、イソプロピルアルコール390g、パラジウム炭素2.5g、ギ酸18.4g、ギ酸アンモニウム6.3gを加えて、40℃で3時間撹拌して反応を行った(粗エゼチミブ純度98.2%、脱フルオロ体0.04%、開環体0.15%、ケト体0.07%、脱ヒドロキシ体0.04%)。得られた反応液を濾過して不溶物を除去した後、ろ液に水350gを加えた。析出した固体を70℃に加温して完全に溶解した後、3℃まで冷却して8時間撹拌した。析出した第一エゼチミブの結晶を減圧濾過によって濾取し、イソプロパノール47gと水40gの混合溶液で洗浄し、減圧乾燥して、第一エゼチミブ34.0g(第一エゼチミブ純度99.8%、脱フルオロ体含有量0.02%、開環体0.02%、ケト体0.05%、脱ヒドロキシ体含有量0.02%)を得た(収率82.9%)。
製造例3(第一エゼチミブの合成;水素ガスを使用した方法)
直径9.0cmの2枚撹拌翼を備えた1L四つ口フラスコに、製造例1で得られた式(2)の化合物30g(純度98.7%)を投入し、エタノール213gを加え撹拌混合し、さらに酢酸31.5gを加え、反応溶媒のpHを3に調整した。反応液にパラジウム炭素1.5gを分散させ、反応器内を水素置換し、25℃で4時間撹拌して反応を行った(粗エゼチミブ純度98.4%、脱フルオロ体0.08%、開環体0.12%、ケト体0.07%、脱ヒドロキシ体0.33%)。反応液を濾過して不溶物を除去し、ろ液に水150gを加えた。析出した固体を70℃に加温して完全に溶解した後、3℃まで冷却して8時間撹拌した。析出した第一エゼチミブの結晶を減圧濾過によって濾取し、イソプロパノール15.6gと水10gの混合溶液で洗浄し、減圧乾燥して、第一エゼチミブ21.0g(第一エゼチミブ純度99.3%、脱フルオロ体含有量0.06%、開環体0.04%、ケト体0.06%、脱ヒドロキシ体含有量0.20%)を得た(収率85.4%)。
実施例1(第一エゼチミブの精製;エタノール/塩酸/水)
直径3.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコに、製造例2で得られた第一エゼチミブ5g、エタノール40gを加えて、20℃で撹拌しながら溶解した(第一溶液の作製)。得られた第一溶液に活性炭(製品名;白鷺P、細孔径分布15Å以上40Å以下)0.25gを加えた後、20℃で1時間撹拌した。活性炭、および不溶物を濾過して得られた第一溶液(エゼチミブ純度99.8%、脱フルオロ体0.02%、開環体0.03%、ケト体0.02%、脱ヒドロキシ体0.02%)に市販の濃塩酸(37質量%;塩化水素0.185g/水0.315g)0.5g、水25gを加えた。得られた混合物中に析出した固体を70℃に加温して完全に溶解して第二溶液とした後、該第二溶液を3℃まで冷却して8時間撹拌し、エタノール、水、および塩化水素(塩酸)を含む混合溶媒中にエゼチミブの結晶を析出させた。析出したエゼチミブの結晶を減圧濾過によって濾取し、エタノール5.1gと水3.5gの混合溶液で洗浄し、減圧乾燥して、精製エゼチミブの結晶4.5g(エゼチミブ純度99.9%、脱フルオロ体含有量0.02%、開環体未検出、ケト体0.02%、脱ヒドロキシ体含有量未検出、光学純度99.85%)を得た(収率90.1%)。結果を表2にまとめた。
また、この方法で最終的に得られたエゼチミブの結晶は、体積平均粒子径(D50)が18.1μmであり、D16が7.8μmであり、D84が41.0μmであり、(D84−D16)/2は16.6であった。
実施例3(第一エゼチミブの精製;エタノール/リン酸/水)
実施例1において、濃塩酸(37質量%;塩化水素0.185g/水0.315g)を市販のリン酸(85質量%;リン酸0.425g/水0.075g)に変更した以外は同様の操作を行い、精製エゼチミブの結晶4.3g(エゼチミブ純度99.9%、脱フルオロ体含有量0.02%、開環体0.01%、ケト体0.03%、脱ヒドロキシ体含有量未検出)を得た(収率86.4%)。結果を表2にまとめた。
実施例4(第一エゼチミブの精製;エタノール/塩酸/水)
実施例1において、濃塩酸(37質量%;塩化水素0.185g/水0.315g)0.5gを濃塩酸5g(37質量%;塩化水素1.85g/水3.15g)に変更した以外は同様の操作を行い、精製エゼチミブの結晶4.0g(エゼチミブ純度99.9%、脱フルオロ体含有量0.02%、開環体未検出、ケト体0.02%、脱ヒドロキシ体含有量未検出)を得た(収率80.8%)。結果を表2にまとめた。
実施例5(第一エゼチミブの精製;活性炭処理なし)
直径3.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコに、製造例3で得られた第一エゼチミブ5g、エタノール40gを加えて、20℃で撹拌しながら溶解した(第一溶液の作製)。得られた第一溶液に市販の濃塩酸(37質量%;塩化水素0.185g/水0.315g)0.5g、水25gを加えた。得られた混合物中に析出した固体を70℃に加温して完全に溶解して第二溶液とした後、該第二溶液を3℃まで冷却して8時間撹拌し、エタノール、水、および塩化水素(塩酸)を含む混合溶媒中にエゼチミブの結晶を析出させた。析出したエゼチミブの結晶を減圧濾過によって濾取し、エタノール5.1gと水3.5gの混合溶液で洗浄し、減圧乾燥して、精製エゼチミブの結晶4.6g(エゼチミブ純度99.7%、脱フルオロ体含有量0.02%、開環体未検出、ケト体0.05%、脱ヒドロキシ体含有量0.10%)を得た(収率92.0%)。結果を表2にまとめた。
実施例6(第一エゼチミブの精製;メタノール/塩酸/水)
実施例5において、エタノール40gをメタノール30gに変更し、さらに、混合物の中に析出した固体の溶解温度を70℃から60℃に変更した以外は同様の操作を行い、精製エゼチミブの結晶4.3g(エゼチミブ純度99.8%、脱フルオロ体含有量0.02%、開環体未検出、ケト体0.05%、脱ヒドロキシ体含有量0.09%)を得た(収率86.3%)。結果を表2にまとめた。
比較例1(第一エゼチミブの精製;エタノール)
直径3.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコに、製造例3で得られた第一エゼチミブ5g、エタノール25gを加えて、還流条件下で撹拌しながら溶解した(第一溶液の作製;本実験においては第二溶液となる)。得られた第二溶液を3℃まで冷却して10時間撹拌し、エタノール中にエゼチミブの結晶を析出させた。析出したエゼチミブの結晶を減圧濾過によって濾取し、エタノール7gで洗浄し、減圧乾燥して、精製エゼチミブの結晶3.9g(エゼチミブ純度99.4%、脱フルオロ体含有量0.02%、開環体0.14%、ケト体0.06%、脱ヒドロキシ体含有量0.12%)を得た(収率78.2%)。結果を表2にまとめた。
また、この方法で最終的に得られたエゼチミブの結晶は、体積平均粒子径(D50)が38.6μmであり、D16が15.7μmであり、D84が78.7μmであり、(D84−D16)/2は31.5であった。
比較例2(第一エゼチミブの精製;エタノール/水)
直径3.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコに、製造例3で得られた第一エゼチミブ5g、エタノール40gを加えて、20℃で撹拌しながら溶解した(第一溶液の作製)。得られた第一溶液に水25gを加えた。得られた混合物中に析出した固体を70℃に加温して完全に溶解して第二溶液とした後、3℃まで冷却して9時間撹拌し、エタノール、水の混合溶媒中にエゼチミブの結晶を析出させた。析出したエゼチミブの結晶を減圧濾過によって濾取し、エタノール5.1gと水3.5gの混合溶液で洗浄し、減圧乾燥して、精製エゼチミブの結晶4.5g(エゼチミブ純度98.9%、脱フルオロ体含有量0.02%、開環体0.25%、ケト体0.05%、脱ヒドロキシ体含有量0.11%)を得た(収率91.0%)。結果を表2にまとめた。
比較例3(第一エゼチミブの精製;エタノール/シュウ酸)
直径3.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコに、製造例3で得られた第一エゼチミブ5g、エタノール25gを加えて、還流条件下で撹拌しながら溶解した(第一溶液の作製)。得られた第一溶液に市販のシュウ酸(無水物)1gを加え、第二溶液とした。得られた第二溶液を3℃まで冷却して12時間撹拌し、エタノール、シュウ酸の混合溶媒中にエゼチミブの結晶を析出させた。析出したエゼチミブの結晶を減圧濾過によって濾取し、エタノール8gで洗浄し、減圧乾燥して、エゼチミブ3.6g(エゼチミブ純度99.5%、脱フルオロ体含有量0.02%、開環体0.07%、ケト体0.05%、脱ヒドロキシ体含有量0.07%)を得た(収率72.2%)。結果を表2にまとめた。

実施例7(精製エゼチミブの再精製;エタノール/塩酸/水)
実施例1で得られた精製エゼチミブ2.0gを対象エゼチミブとした以外は実施例1と同様の操作を行い、再精製エゼチミブの結晶1.8g(エゼチミブ純度99.9%、脱フルオロ体含有量0.02%、開環体未検出、ケト体0.01%、脱ヒドロキシ体含有量未検出、光学純度99.99%)を得た(収率90.0%)。
比較例4(精製エゼチミブの再精製;エタノール/水)
実施例1で得られた精製エゼチミブ2.0gを対象エゼチミブとした以外は比較例2と同様の操作を行い、再精製エゼチミブの結晶1.8g(エゼチミブ純度99.8%、脱フルオロ体含有量0.02%、開環体0.15%、ケト体0.01%、脱ヒドロキシ体含有量未検出、光学純度99.98%)を得た(収率92.0%)。
実施例8
実施例1と同様の操作を行い、体積平均粒子径(D50)が18.1μmであり、D16が7.8μmであり、D84が41.0μmであり、(D84−D16)/2は16.6であるエゼチミブの結晶を18.5g準備した。
このエゼチミブの結晶 18.5gを、日本ニューマチック社製ジェットミル粉砕機(PJM80SP)を用い粉砕した。粉砕条件は供給速度2kg/h、粉砕圧;空気圧0.6MPaとした。エゼチミブの結晶(小粒子径)を17.3g得た(回収率93.5%)。得られた小粒子径のエゼチミブの結晶は、D50が1.7μm、D16が0.8μm、D84が3.2μm、(D84−D16)/2が1.2であった。
なお、最終的に得られたエゼチミブの結晶の純度(光学純度を含む)、不純物量は、粉砕前と変わらなかった。
実施例9
実施例8と同じく、実施例1と同様の操作を行い、体積平均粒子径(D50)が18.1μmであり、D16が7.8μmであり、D84が41.0μmであり、(D84−D16)/2は16.6であるエゼチミブの結晶を20.0g準備した。
このエゼチミブの結晶 20.0gを、奈良機械製作所製ピンミル粉砕機(SCM−2型)を用い粉砕した。粉砕条件は回転速度9000rpm、メッシュ径0.5mmとした。エゼチミブの結晶を19.5g得た(回収率97.5%)。得られたエゼチミブの結晶は、D50が11.3μm、D16が3.7μm、D84が20.8μm、(D84−D16)/2が8.6であった。
次いで、前記ピンミル粉砕機で粉砕したエゼチミブ19.5gを、日本ニューマチック社製ジェットミル粉砕機(PJM80SP)を用い粉砕した。粉砕条件は供給速度10kg/h、粉砕圧;空気圧0.6MPaとした。エゼチミブの結晶(小粒子径)を17.2g得た(回収率88.2%)。得られた小粒子径のエゼチミブの結晶は、D50が1.6μm、D16が0.8μm、D84が3.2μm、(D84−D16)/2が1.2であった。
なお、最終的に得られたエゼチミブの結晶の純度(光学純度を含む)、不純物量は、粉砕前と変わらなかった。
参考例1
比較例1と同様の操作を行い、体積平均粒子径(D50)が38.6μmであり、D16が15.7μmであり、D84が78.7μmであり、(D84−D16)/2は31.5であるエゼチミブの結晶を21.5g準備した。
このエゼチミブの結晶 21.5gを、日本ニューマチック社製ジェットミル粉砕機(PJM80SP)を用い粉砕した。粉砕条件は供給速度2kg/h、粉砕圧;空気圧0.6MPaとした。エゼチミブの結晶(小粒子径)を19.8g得た(回収率92.1%)。得られた小粒子径のエゼチミブの結晶は、D50が3.1μm、D16が1.4μm、D84が8.2μm、(D84−D16)/2が3.4であった。
なお、最終的に得られたエゼチミブの結晶の純度(光学純度を含む)、不純物量は、粉砕前と変わらなかった。

Claims (7)

  1. アルコール、水、及び酸を含む混合溶媒中で下記式(1)
    で示されるエゼチミブの結晶を析出させるエゼチミブの製造方法であって、
    混合溶媒中で結晶として析出させる前のエゼチミブ1g当たり、アルコールの使用量が5g以上20g以下、水の使用量が3g以上10g以下、酸の使用量が0.005g以上0.5g以下であり、
    エゼチミブがアルコールに溶解した第一溶液に、水、及び酸を加えて第二溶液とした後、該第二溶液中でエゼチミブの結晶を析出させることにより、前記混合溶媒中でエゼチミブの結晶を析出させることを特徴とするエゼチミブの製造方法
  2. 0℃以上30℃以下の温度である前記第一溶液に、水、及び酸を混合した後、得られた混合物の温度を50℃以上70℃以下として前記第二溶液とし、該第二溶液の温度を−10℃以上30℃以下とすることにより、前記混合溶媒中でエゼチミブの結晶を析出させることを特徴とする請求項1に記載のエゼチミブの製造方法。
  3. 前記第一溶液と活性炭とを接触させた後、前記第二溶液とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のエゼチミブの製造方法。
  4. 前記混合溶媒中のエゼチミブが、下記式(2)
    で示される(3R,4S)−1−(4−フルオロフェニル)−[3(S)−ヒドロキシ−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−[4−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−アゼチジノンを、水素添加反応によってベンジル基の脱保護を行うことで得られるものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のエゼチミブの製造方法。
  5. 前記水素化反応において、水素源としてギ酸及びギ酸塩を使用することを特徴とする請求項4に記載のエゼチミブの製造方法。
  6. 請求項1に記載の方法によって、
    体積基準の粒子径分布において、分布累積値が50%となる体積平均粒子径(D50)が10.0〜25.0μmであって、分布累積値が84%となる粒子径(D84)と分布累積値が16%となる粒子径(D16)との差を2で除した値((D84−D16)/2)が10.0〜25.0であるエゼチミブを製造する方法。
  7. 請求項1に記載の方法によって、
    体積基準の粒子径分布において、体積平均粒子径(D50)が10.0〜25.0μmであって、分布累積値が84%となる粒子径(D84)と分布累積値が16%となる粒子径(D16)との差を2で除した値((D84−D16)/2)が10.0〜25.0であるエゼチミブを製造した後、
    該エゼチミブを、気流式粉砕機を少なくとも使用して粉砕することにより、分布累積値が50%となる体積平均粒子径(D50)が1.0〜3.0μmであって、分布累積値が84%となる粒子径(D84)と分布累積値が16%となる粒子径(D16)との差を2で除した値((D84−D16)/2)が0.5〜2.5であるエゼチミブを製造する方法。
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