JP2014034566A - ブリンゾラミドの精製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (R)−3,4−ジヒドロ−4−エチルアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2−e]−1,2−チアジン−6−スルホンアミド−1,1−ジオキシドの粗体を、エタノールを用いた再結晶によって精製し、ブリンゾラミドの結晶を製造する方法において、活性炭処理工程に続いて、種晶を使用した結晶化工程を行うことを特長とする方法である。
【選択図】なし
Description
即ち、本発明は、(R)−3,4−ジヒドロ−4−エチルアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2−e]−1,2−チアジン−6−スルホンアミド−1,1−ジオキシド(ブリンゾラミド)の粗体とエタノールとを混合し、当該粗体のエタノール溶液からなる第一溶液を調整する工程、前記第一溶液と活性炭とを、液温60〜80℃に保ちながら混合した後に活性炭を分離して第二溶液を得る活性炭処理工程、前記第二溶液から種晶を用いて(R)−3,4−ジヒドロ−4−エチルアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2−e]−1,2−チアジン−6−スルホンアミド−1,1−ジオキシド(ブリンゾラミド)の結晶を析出させる結晶化工程を含んでなることを特徴とする方法である。
また、本発明において、上記結晶化工程は2〜4回行うことが好ましく、上記再結晶操作において、45〜55℃にて種晶を加えることが好ましい。
以下、本発明の詳細について、順を追って説明する。
本発明で使用するブリンゾラミド粗体は、特に制限されるものではなく、公知の方法、例えば特許文献1に記載の方法で製造されたものが使用され、下記製造方法で製造されたものを使用することもできる。下記製造方法では純度が97〜99%のブリンゾラミドを安定して得ることができ、これを本発明のブリンゾラミド粗体として使用することによって、より高純度のブリンゾラミド結晶を安定して製造することができる。以下、該製造方法の詳細を説明する。
該製造方法において、ブリンゾラミド粗体は、前記スルホンアミド体から、反応工程、分離工程、単離工程を経て製造される。以下、各工程の詳細を説明する。
反応工程では、前記スルホンアミド体のC(4)部位に結合した水酸基を活性化した後エチルアミノ化して前記目的物を含む反応混合物を得る。すなわち、原料化合物のC(4)部位に結合した水酸基を活性化する活性化工程、活性化された水酸基をエチルアミンで置換して、目的化合物を生成するアミノ化工程を含んでなる方法により好適に行うことができる。また、必要に応じて活性化工程前に原料化合物のC(6)部位に結合したスルホンアミド基を保護して、保護された原料化合を生成する保護工程を行っても良い。保護工程を行った場合、活性化工程実施後、アミノ化工程の前後いずれかに脱保護工程を入れても良い。
分離工程では、前記工程で得られた反応混合物から前記目的化合物の粗体を分離する。ここでいう分離とは、反応混合物中の反応溶媒および水溶性不純物と、有機系不純物を含む目的化合物からなる粗体とを分離することを意味する。また、目的化合物の粗体とは、主たる不純物として有機系不純物(有機系副生物や残存有機溶媒など)を含む目的化合物を意味し、通常も目的化合物の純度が65〜85%程度の固体状若しくは粘稠な液状のものを意味する。反応混合物からの粗体の分離は、反応混合物である反応溶液に炭酸水素ナトリウムなどの塩基を添加して中和した後に、酢酸エチルなどの有機溶媒(抽出溶媒)を用いて有機成分を分離し、必要に応じて水洗、乾燥(水分除去)を行い、抽出溶媒を留去して濃縮することにより好適に行うことができる。
単離工程では、得られた目的化合物を有機溶媒へ溶解させ該当混合溶液から目的化合物を結晶化させる。用いる溶媒は単一溶媒でも混合溶媒でも良いが、アルコールと非極性溶媒の混合溶液、またはアルコールが良い。得られる目的化合物の純度、収率が高くなることから2−プロパノールが特に好ましい。このとき使用する溶媒量は、通常、粗体1質量部に対して1〜50質量部である。バッチ収量及びろ過工程の操作性向上を考慮すると2〜10質量部が好ましい。このようにして調製された溶液から目的化合物を結晶化させるには、溶液を冷却すればよい。なお、溶液を調製する際の温度にもよるが、アルコールに粗体を溶解させてから非極性溶媒を添加する場合には、非極性溶媒の添加に伴い目的物の結晶化が起ることもある。通常は、粗体を含む溶液を50℃〜100℃に加熱して粗体を完全に溶解せしめてから溶液を−10℃〜20℃に冷却して結晶化を行うことが好ましい。
本発明では、まず、ブリンゾラミド粗体とエタノールとを混合し、当該粗体のエタノール溶液からなる第一溶液を調整する。
本発明において、上記第一溶液を調整する方法は特に限定されず、具体的には、ブリンゾラミド粗体とエタノールとを混合し、必要に応じて加熱することによって、当該粗体を溶解させて上記第一溶液を得ることができる。加熱する際の温度は、当該粗体が溶解する温度であれば特に限定されないが、60〜80℃とすることによって、次の活性炭処理工程をそのまま行うことができるため好ましい。
また、本発明で溶媒として使用されるエタノールの量は、精製能力、操作性等を考慮すると、ブリンゾラミド粗体1質量部に対して、4〜16質量部であることが好ましく、8〜12質量部であることがより好ましい。
本発明の活性炭処理工程は、前記第一溶液と活性炭とを、液温を60〜80℃に保ちながら混合した後に活性炭を分離して第二溶液を得る工程である。本発明において、下記結晶化工程の前に当該工程を実施することによって、下記結晶化工程では除去されない不純物が効果的に除去され、さらに下記結晶化工程で種晶を使用することによって、融点が131℃で高純度のブリンゾラミド結晶を得ることができる。
本発明の活性炭処理工程では、具体的には、前記第一溶液と活性炭とを混合し、この混合液を熱時濾過することによって活性炭を除去して第二溶液を得る。当該工程においては、混合液を撹拌することが好ましい。また、除去された活性炭を70〜80℃のエタノールで洗浄し、得られた洗浄液を、熱時濾過で得られた濾液とあわせて第二溶液とすることが好ましい。
さらに、当該活性炭処理工程は、長時間実施することによってブリンゾラミドが分解する恐れがあることから、第一溶液と活性炭とを混合して、5分〜2時間撹拌することが好ましく、10〜20分間撹拌することがさらに好ましい。
当該活性炭処理工程で得られた第二溶液を用い、そのまま次の結晶化工程を行うことができる。
本発明の結晶化工程は、前記第二溶液から種晶を用いてブリンゾラミドの結晶を析出させる工程である。
本発明の結晶化工程は、具体的には、前記第二溶液を45〜55℃まで冷却して種晶を添加し、ブリンゾラミドの結晶を析出させる。また、種晶を添加した後、混合液を攪拌しながら毎時6〜60℃、好ましくは毎時25〜35℃にて溶液の温度を下げ、0〜20℃さらに好ましくは0〜5℃で1時間以上保持して、結晶を析出させることが好ましい。この混合液を濾過してエタノールを除去し、得られた結晶を0〜25℃のエタノールで1〜3回洗浄し、ブリンゾラミド結晶を得ることができる。当該結晶化工程1回における収率は90〜95%となる。
当該結晶化工程で使用される種晶は、ブリンゾラミドの結晶であれば特に限定されず、使用される種晶の量は、ブリンゾラミド粗体1質量部に対して、0.0001〜0.001質量部であることが種晶の分散性等の点で好ましい。また、上記洗浄で使用されるエタノールの量は、0.8〜2質量部であることが好ましい。
また、本発明においては、当該結晶化工程を2〜4回行うことが好ましい。当該結晶工程を2回行うことによって、ブリンゾラミド結晶の純度を99.8%以上とすることができ、3〜4回行うことによって純度を99.9%以上とすることができる。
なお、実施例、比較例で得られたブリンゾラミドの純度測定は、以下のように行った。
装置:WATERS社製 Alliance 型式e2695−2489
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
カラム:ジーエルサイエンス株式会社製 商品名 Inertsil CN−3、粒径5μm、内径4.6mm、長さ25cm、
カラム温度:40℃ 一定温度
移動相:n−ヘキサン/エタノール=80/20
流量:1.0ml/分
測定時間:45分
ブリンゾラミド粗体(純度98.25%)1gにエタノール8gを加え70℃で加熱溶解して得られた第一溶液に、活性炭0.2g加え10分間攪拌した後、濾過操作によって活性炭を除去し、70℃のエタノール4gで活性炭を洗浄し、濾液と洗浄液を合わせて第二溶液を得た(活性炭処理工程)。第二溶液を攪拌しながら50℃まで徐冷し、種晶0.001gを添加した後、100分間で0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール0.8gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶0.9g(純度99.64%)を得た(結晶化工程1回目)。この結晶にエタノール10.7gを加え、70℃で加熱溶解した。溶液を攪拌しながら50℃まで徐冷し、種晶0.0009g添加した後100分間で0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール0.71gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶0.82g(純度99.88%)を得た(結晶化工程2回目)。この結晶にエタノール9.7gを加え、70℃で加熱溶解した。溶液を攪拌しながら50℃まで徐冷し、種晶0.0008g添加した後100分間で0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール0.65gで2回洗浄し、乾燥後、ブリンゾラミド結晶0.75g(純度99.93%)を得た(結晶化工程3回目)。得られたブリンゾラミド結晶の融点は131℃であり、光学純度は100.0%ee.であった。
ブリンゾラミド粗体(純度98.66%)38.02gにエタノール300gを加え70℃で加熱溶解して得られた第一溶液に、活性炭7.6g加え10分間攪拌した後、濾過操作によって活性炭を除去し、70℃のエタノール150gで活性炭を洗浄し、濾液と洗浄液を合わせて第二溶液を得た(活性炭処理工程)。第二溶液を攪拌しながら50℃まで徐冷し、種晶0.038gを添加した後、100分間で0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール30gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶34.2g(純度99.68%)を得た(結晶化工程1回目)。この結晶にエタノール405gを加え、70℃で加熱溶解した。溶液を攪拌しながら50℃まで徐冷し、種晶0.034g添加した後100分間で0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール27gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶31.5g(純度99.81%)を得た(結晶化工程2回目)。この結晶にエタノール249gを加え、70℃で加熱溶解した。溶液を攪拌しながら50℃まで徐冷し、種晶0.031g添加した後100分間で0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール25gで2回洗浄し、乾燥後、ブリンゾラミド結晶29.0g(純度99.95%)を得た(結晶化工程3回目)。得られたブリンゾラミド結晶の融点は131℃であり、光学純度は100.0%ee.であった。
ブリンゾラミド粗体(純度98.25%)1gにエタノール12gを加え70℃で加熱溶解して得られた第一溶液を、攪拌しながら徐冷し、0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール0.8gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶0.9g(純度99.51%)を得た。得られたブリンゾラミド結晶の融点は127℃であり、光学純度は99.9%ee.であった。
ブリンゾラミド粗体(純度98.24%)15.07gにエタノール40gを加え70℃で加熱溶解して得られた第一溶液に、活性炭1.3g加え10分間攪拌した後、濾過操作によって活性炭を除去し、70℃のエタノール10gで活性炭を洗浄し、濾液と洗浄液を合わせて第二溶液を得た(活性炭処理工程)。第二溶液を攪拌しながら0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール10gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶12.83g(純度99.34%)を得た(結晶化工程1回目)。この結晶にエタノール45gを加え、70℃で加熱溶解した。0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール9.5gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶11.2g(純度99.57%)を得た(結晶化工程2回目)。この結晶にエタノール44gを加え、70℃で加熱溶解した。0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール9gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶10.7g(純度99.79%)を得た(結晶化工程3回目)。得られたブリンゾラミド結晶の融点は129℃であり、光学純度は99.9%ee.であった。
ブリンゾラミド粗体(純度98.24%)12.49gにエタノール197gを加え70℃で加熱溶解して得られた第一溶液を、攪拌しながら50℃まで徐冷し、種晶0.012gを添加した後、100分間で0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール9.9gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶11.24g(純度98.46%)を得た(結晶化工程1回目)。この結晶にエタノール177gを加え、70℃で加熱溶解した。溶液を攪拌しながら50℃まで徐冷し、種晶0.011g添加した後100分間で0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール8.9gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶10.15g(純度99.25%)を得た(結晶化工程2回目)。この結晶にエタノール130gを加え、70℃で加熱溶解した。溶液を攪拌しながら50℃まで徐冷し、種晶0.010g添加した後100分間で0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃のエタノール8gで2回洗浄し、乾燥後、ブリンゾラミド結晶9.14g(純度99.39%)を得た(結晶化工程3回目)。得られたブリンゾラミド結晶の融点は128℃であり、光学純度は99.8%ee.であった。
ブリンゾラミド粗体(純度98.64%)17.12gに2−プロパノール135gを加え70℃で加熱溶解して得られた第一溶液を、攪拌しながら0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃の2−プロパノール14gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶16.75g(純度98.95%)を得た(結晶化工程1回目)。この結晶に2−プロパノール107gを加え、70℃で加熱溶解した。溶液を攪拌しながら0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃の2−プロパノール11gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶15.61g(純度99.02%)を得た(結晶化工程2回目)。この結晶に2−プロパノール98gを加え、70℃で加熱溶解した。溶液を攪拌しながら0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃の2−プロパノール12gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶15.53g(純度99.21%)を得た(結晶化工程3回目)。得られたブリンゾラミド結晶の融点は125℃であり、光学純度は99.8%ee.であった。
ブリンゾラミド粗体(純度99.21%)15.53gに2−プロパノール100gを加え70℃で加熱溶解して得られた第一溶液に活性炭5g加え10分間攪拌した後、濾過操作によって活性炭を除去し、70℃の2−プロパノール20gで活性炭を洗浄し、濾液と洗浄液を合わせて第二溶液を得た(活性炭処理工程)。第二溶液を攪拌しながら0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃の2−プロパノール12gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶10.19g(純度99.84%)を得た(結晶化工程1回目)。この結晶に2−プロパノール120gを加え、70℃で加熱溶解した。溶液を攪拌しながら0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃の2−プロパノール13gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶8.09g(純度99.86%)を得た(結晶化工程2回目)。この結晶に2−プロパノール99gを加え、70℃で加熱溶解した。溶液を攪拌しながら0℃まで冷却して1時間攪拌した。析出結晶を濾過操作により取得し、0℃の2−プロパノール9gで2回洗浄し、ブリンゾラミド結晶7.44g(純度99.88%)を得た(結晶化工程3回目)。得られたブリンゾラミド結晶の融点は127℃であり、光学純度は99.9%ee.であった。
Claims (3)
- (R)−3,4−ジヒドロ−4−エチルアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2−e]−1,2−チアジン−6−スルホンアミド−1,1−ジオキシドの粗体とエタノールとを混合し、当該粗体のエタノール溶液からなる第一溶液を調製する工程、前記第一溶液と活性炭とを、液温を60〜80℃に保ちながら混合した後に活性炭を分離して第二溶液を得る活性炭処理工程、前記第二溶液から種晶を用いて(R)−3,4−ジヒドロ−4−エチルアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2−e]−1,2−チアジン−6−スルホンアミド−1,1−ジオキシドの結晶を析出させる結晶化工程を含んでなることを特徴とする、(R)−3,4−ジヒドロ−4−エチルアミノ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2−e]−1,2−チアジン−6−スルホンアミド−1,1−ジオキシドの製造方法。
- 前記結晶化工程を2〜4回行う請求項1に記載の方法。
- 前記結晶化工程において、45〜55℃にて種晶を加える請求項1又は2に記載の方法。
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