JP2005008526A - 2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸およびその製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】300μm未満の粒子の割合が20重量%以下であって、且つ、300〜600μmの範囲に粒径分布のピークを有する2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸、および、2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の溶液から2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸を晶析する際に2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸結晶を添加する2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸およびその製造法に関し、詳しくは、微紛が少なく且つ流動性に優れた2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸(以下、ジメチロールアルカン酸と言う)及びその製造法に関する。ジメチロールアルカン酸は、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド樹脂などの製造原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
ジメチロールアルカン酸の製造法としては、ジメチロールアルカナールの生成からジメチロールアルカン酸の回収までの一環したプロセスとして、水媒体中において炭酸ナトリウムの存在下にプロピオンアルデヒドとホルムアルデヒドとを反応させた後、過酸化水素で処理し、得られた反応液から炭酸ナトリウムに由来する無機物をスルホン酸型陽イオン交換樹脂で除去し、蒸発処理した後、冷却してジメチロールプロピオン酸の固体をろ別する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第3,312,736号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法で得られるジメチロールアルカン酸の粒子は、流動性が悪く、粉塵爆発の危険性も高いため工業的に取り扱い難い。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、微紛が少なく且つ流動性に優れたジメチロールアルカン酸およびその製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の晶析手段を採用することにより、粒径分布が新規なジメチロールアルカン酸が得られ、これにより、上記の目的を達成し得るとの知見を得、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち、本発明の第1の要旨は、300μm未満の粒子の割合が20重量%以下であって、且つ、300〜600μmの範囲に粒径分布のピークを有することを特徴とする2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸に存する。
【0008】
そして、本発明の第2の要旨は、2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の溶液から2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸を晶析する際に2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸を添加することを特徴とする2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
先ず、説明の便宜上、本発明に係るジメチロールアルカン酸の製造法について説明する。本発明が対象とするジメチロールアルカン酸としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールヘキサン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールオクタン酸、ジメチロールノナン酸などが挙げられるが、これらの中では、ジメチロールプロピオン酸が好ましい。
【0010】
本発明の製造方法は晶析法に特徴がある。すなわち、本発明においては、ジメチロールアルカン酸の溶液からジメチロールアルカン酸を晶析する際にジメチロールアルカン酸を添加する。従って、使用するジメチロールアルカン酸それ自体は、公知の方法、例えば、前述の米国特許明細書や特開平11−228490号公報に記載の方法により製造することが出来る。ジメチロールアルカン酸の溶液の調製に使用する溶媒としては、特に限定されないが、水が好適に使用される。
【0011】
本発明においては、過飽和状態のジメチロールアルカン酸の溶液にジメチロールアルカン酸結晶(種晶)を添加して冷却する。具体的に晶析条件は、ジメチロールアルカン酸の種類や溶媒によって異なるが、通常、ジメチロールプロピオン酸の水晶析の場合で例示すれば、次の通りである。すなわち、50〜95℃の温度(常圧)における過飽和水溶液を調製し、5〜20℃/Hrの降温速度で0〜25℃まで冷却する。因に、水100gに対するジメチロールプロピオン酸の50℃の溶解度は約40gである。
【0012】
添加するジメチロールアルカン酸(種晶)は、通常、晶析対象と同一のものが使用される。例えば、ジメチロールプロピオン酸を晶析させる場合は前述の過飽和状態の溶液にジメチロールプロピオン酸の結晶が添加される。種晶の使用量は、溶液から析出する結晶全量に対し、通常30重量%以下、好ましくは5重量%以下であり、その下限は通常0.01重量%である。また、種晶としては、通常10〜600μm、好ましくは50〜400μm、更に好ましくは100〜200μmの範囲に粒径分布のピークが存在するジメチロールプロピオン酸結晶が使用される。
【0013】
上記の晶析プロセスの装置としては、例えばジャケット付撹拌槽を使用することが出来る。そして、晶析後の固液分離で回収された溶液(母液)は晶析プロセスにリサイクルすることが出来る。
【0014】
次に、本発明のジメチロールアルカン酸について説明する、本発明のジメチロールアルカン酸は粒径分布に特徴を有する。すなわち、本発明のジメチロールアルカン酸は、300μm未満の粒子の割合が20重量%以下であって、且つ、300〜600μmの範囲に粒径分布のピークを有することを特徴とする。そして、本発明の好ましい態様においては、600μm以上の粒子の割合が20重量%以下である。
【0015】
上記の特徴を備えたジメチロールアルカン酸は、流動性が良く且つ粉塵爆発の危険性が低く工業的に取り扱い易い。また、粒径が600μm以上の粒子の割合が20重量%以下であるとの条件を満足することにより、溶剤への溶解時間が微細な粒径分布を有するジメチロールアルカン酸に比較して劣らないという優れた特徴を有する。本発明においては1000μm以上の粒子が1重量%以下であることが最も好ましい。
【0016】
上記の様な粒径および粒径分布の測定方法としては、一般的に使用されているJIS K 0069に準拠した乾式ふるい分け試験を採用することが出来る。具体的には、目開きの大きい篩が上段になる様に必要な篩いを数個重ね、振とうさせて篩い分けを行い、粒径範囲に対応する篩い残分を求める。
【0017】
また、本発明のジメチロールアルカン酸はその安息角が50°以下であることが好ましい。安息角が50°以下であることにより、ジメチロールアルカン酸の流動性が一層高められる。上記の安息角は、好ましくは48°以下、更に好ましいくは45°以下である。安息角の測定方法としては、一般的に使用されている三輪式円筒回転法を採用することが出来る。具体的には、円筒形の容器に試料を投入し、毎分2回転の等速低回転で回し、静的平衡状態で水平面に対してなす最大角度を測定する。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例において、「部」とあるのは「重量部」を意味する。
【0019】
実施例1
プロピオンアルデヒドとホルマリンの反応により得られたジメチロールプロパナールを過酸化水素で酸化し、ジメチロールプロピオン酸を含む液を得た。この液から不純物を含むジメチロールプロピオン酸の粗結晶を取り出し、この粗結晶114.2部に晶析溶媒として水357.2部を添加し、80℃に加温して溶解した。平均降温速度10℃/Hrで10℃まで冷却晶析を行い、その間、51℃において、種晶としてジメチロールプロピオン酸(平均粒径240μmの結晶)1.0部を添加した。得られたジメチロールプロピオン酸結晶を遠心分離で分離した。得られた結晶の粒径分布とその安息角を表1に示す。粒径分布のピークは355〜500μmの範囲に存在していた。得られた結晶は、特異な粒径分布を示し、安息角が非常に小さく、高い流動性を示した。
【0020】
比較例1
実施例1において、種晶の添加を省略した以外は、実施例1と同様に操作し、ジメチロールプロピオン酸結晶を得た。得られた結晶の粒径分布と安息角を表1に示す。粒径分布のピークは106〜212μmに存在してたいた。
【0021】
【表1】
【0022】
表1に示す結果から明らかな通り、本発明の製造法により得られる結晶は特異な粒径分布を示す。斯かる粒径分布を有するジメチロールアルカン酸は、高い流動性を有し、しかも、溶剤への溶解速度は微細な粒径分布を示す結晶に劣らない性質を有する。
【0023】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、微紛が少なく且つ流動性に優れたジメチロールアルカン酸およびその製造法を提供され、本発明の工業的価値は顕著である。
Claims (6)
- 300μm未満の粒子の割合が20重量%以下であって、且つ、300〜600μmの範囲に粒径分布のピークを有することを特徴とする2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸。
- 600μm以上の粒子の割合が20重量%以下である請求項1に記載の2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸。
- 安息角が50度以下である請求項1又は2に記載の2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸。
- 2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸が2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸である請求項1〜3の何れかに記載の2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸。
- 2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の溶液から2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸を晶析する際に2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸結晶を添加することを特徴とする2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造法。
- 2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸が2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸である請求項5に記載の製造法。
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JP2003171180A JP2005008526A (ja) | 2003-06-16 | 2003-06-16 | 2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸およびその製造法 |
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WO2015152127A1 (ja) * | 2014-03-31 | 2015-10-08 | 東レ株式会社 | 乳酸の製造方法 |
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JPWO2015152127A1 (ja) * | 2014-03-31 | 2017-04-13 | 東レ株式会社 | 乳酸の製造方法 |
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