JP6130237B2 - フローセルおよび送液方法 - Google Patents

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本発明は、試料溶液を移送する流路を備えたフローセルおよびこのフローセルを用いた送液方法に関する。
「MicroTAS(Micro Total Analysis Systems)」および「Lab on a Chip」の分野では、μmオーダーの流路(以下、マイクロ流路)を用い、複数の溶液の混合・反応やセンシングに関する研究が進められている。溶液の混合については、効率よく混合するための様々な流路構造が提案されている。特に、安定かつ均一に反応させる手法としては、溶液と溶液を積極的に混合するのではなく、溶液と溶液を接触させ、接触させている界面で反応させる方法がある(非特許文献1参照)。特にマイクロ流路内では、接触領域の面積が制限できるとともに、接触界面を流す(移動させる)ことで、接触界面の形状を変化させ、反応効率を変化させることも可能である(非特許文献1参照)。このような技術は、例えば、血液凝固能の検査への応用が検討されている(非特許文献1参照)。
K. Hayashi, S. Inoue, Y. Iwasaki, M. Seyama, T. Horiuchi, E. Tamechika, "BLOOD COAGULATION TESTING METHOD BASED ON FLOW VELOCITY MEASUREMENT USING A SURFACE PLASMON RESONANCE (SPR)-BASED MICROFLUIDIC DEVICE",16th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences, pp.1318-1320, 2012.
ところで、上述した技術では、反応などが起こる液−液の接触領域が流路内を移送している状態で測定を行っている。この場合、移送(送液)による対流によって2つの溶液の混合が生じるため、反応の進行に伴う流路内の濃度勾配の変化など、反応の解析に必要な動的変化を、例えば上述の対流などと区別して捉えるのが難しいという課題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、2液の反応の動的変化などが、マイクロ流路を備えるフローセルを用いて容易に観測できるようにすることを目的とする。
本発明に係るフローセルは、基板の上に形成され、内壁が対象となる第1液に対して90度より小さい接触角を有して毛管力が作用する管径とされた第1流路と、基板の上に形成されて第1流路の一端に接続された第1導入部と、基板の上に形成されて第1流路の他端に接続された排出部と、基板の上に形成され、内壁が対象となる、第1液と異なる第2液に対して90度より小さい接触角を有して毛管力が作用する管径とされ、一端が第1導入部と排出部との間の接続部で第1流路に接続された第2流路と、第2流路の他端に接続された第2導入部と、第2流路の一端が接続する第1流路内から第2流路の第2導入部の側の所定の位置にかけて設けられた測定領域とを備え、第1流路は、第1導入部と排出部との間の管径が一定であり、排出部は、基板の平面の法線方向に延在し、第1流路の流路幅より大きな径を有する筒状の開口部であり、第2流路は、第1導入部に導入された第1液が接続部を通過して第一流路の他端まで充填できるように、基板の平面の法線方向の流路高さが第1流路より低くされている。
上記フローセルにおいて、測定領域では、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率の測定が行われるようにすればよい。
また、上記フローセルにおいて、第2流路内の液体に接触可能な状態で第2流路の内部に設けられた対向電極と、第2流路内の液体に接触可能な状態で第2流路の内部に設けられた参照電極と、第2流路内の液体に接触可能な状態で第2流路の延在方向に配列して測定領域に設けられた複数の作用電極とを備えるようにしてもよい。
また、本発明に係る送液方法は、基板の上に形成され、内壁が対象となる第1液に対して90度より小さい接触角を有して毛管力が作用する管径とされた第1流路と、基板の上に形成されて第1流路の一端に接続された第1導入部と、基板の上に形成されて第1流路の他端に接続された排出部と、基板の上に形成され、内壁が対象となる、第1液と異なる第2液に対して90度より小さい接触角を有して毛管力が作用する管径とされ、一端が第1導入部と排出部との間の接続部で第1流路に接続された第2流路と、第2流路の他端に接続された第2導入部と、第2流路の一端が接続する第1流路内から第2流路の第2導入部の側の所定の位置にかけて設けられた測定領域とを備え、第1流路は、第1導入部と排出部との間の管径が一定であり、排出部は、基板の平面の法線方向に延在し、第1流路の流路幅より大きな径を有する筒状の開口部であり、第2流路は、第1導入部に導入された第1液が接続部を通過して第一流路の他端まで充填できるように、基板の平面の法線方向の流路高さが第1流路より低くされているフローセルの第1流路に第1液を供給し、第2流路に第2液を供給することによる送液方法であって、第2導入部より第2液を導入し、第2流路の内部を、接続部における第2流路第1流路との流路接続面まで第2液で充填する第1工程と、第2流路を充填した第2液の先端が流路接続面に到達した後、第1導入部より第1液を導入し、第1流路の内部を、第1流路の他端の排出部に接続する排出部接続面まで第1液で充填し、流路接続面で第1液と第2液とを接触させる第2工程とを備える。
以上説明したことにより、本発明によれば、2液の反応の動的変化などが、マイクロ流路を備えるフローセルを用いて容易に観測できるようになるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態におけるフローセルの構成を示す平面図(a)および断面図(b),(c)である。 図2Aは、血漿サンプルと凝固試薬とを接触させたときに、排出部接続面121において、SPR装置で測定されたSPR角度の時間変化を示す特性図である。 図2Bは、本発明の実施の形態におけるフローセルの測定領域112におけるSPR装置で測定する箇所を説明する説明図である。 図3は、図2Bの測定箇所(b)で行った、コアグピア用キャリブレーターN(凝固活性化率86%)の測定結果(a)、およびコアグピア用コントロールII(凝固活性化率33%)の測定結果(b)を示す特性図である。 図4は、測定領域112の位置毎に、設定した測定時間内に測定された最小のSPR角度をプロットした結果を示す特性図である。 図5は、電気化学的な検出を可能とする本発明における実施の形態のフローセルにおける一部構成を示す構成図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるフローセルの構成を示す平面図(a)および断面図(b),(c)である。図1(b)は、図1(a)のbb’線の断面を示し、図1(c)は、図1(a)のcc’線の断面を示している。
このフローセルは、第1流路102および第2流路105を備える。第1流路102は、内壁が対象となる液体に対して90度より小さい接触角を有して毛管力が作用する管径とされている。また、第1流路102には、一端に第1導入部103が接続され、他端に、排出部104が接続されている。第1導入部103および排出部103は、各流路が形成されている基板101の平面の法線方向に延在している筒状の開口部である。
第2流路105は、内壁が対象となる液体に対して90度より小さい接触角を有して毛管力が作用する管径とされている。また、第2流路105は、この一端が第1導入部103と排出部104との間の第1流路102に接続されている。従って、第2流路105の一端の流路接続面151により、第1流路102の途中の側部に開口が形成されていることになる。加えて、第2流路105は、基板101の平面の法線方向の流路高さが第1流路102より低くされている。また、第2流路105の他端には、第2導入部106が接続されている。第2導入部106は、第1導入部103と同様に、基板101の平面の法線方向に延在している筒状の開口部である。
なお、この実施の形態では、第3流路107も備えている。第3流路107は、第2流路106と同様に、内壁が対象となる液体に対して90度より小さい接触角を有して第1流路102より小さい管径とされている。例えば、第3流路107は、第2流路106と同じ径(流路高さ,流路幅)とされている。
また、第3流路107は、この一端が第1導入部103と排出部104との間の第1流路102に接続されている。従って、第3流路107の一端の流路接続面171により、第1流路102の途中の側部に開口が形成されていることになる。また、第3流路107も、基板101の表面の法線方向の流路高さが第1流路102より低くされている。例えば、第3流路107は、第2流路105と同一の断面形状とされている。また、第3流路107の他端には、第3導入部108が接続されている。第3導入部108は、第1導入部103,第2導入部106と同様に、基板101の平面の法線方向に延在している筒状の開口部である。ただし、第3流路107,第3導入部108はなくてもよい。
本実施の形態では、第1流路102の途中において、流路接続面151と流路接続面171とが向き合って配置されている。また、第2流路105と第3流路107とは、同じ直線上に配置されている。このため、第2流路105と第3流路107とにより、第1流路102に交差する1本の流路が構成されている状態となっている。
また、このフローセルは、例えば、第2流路105の一端が接続する第1流路102内から第2流路105の第2導入部106の側の所定の位置にかけて設けられた測定領域112を備え、測定領域112では、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率の測定が行われるものとしている。本実施の形態では、測定領域112を、第2流路105の途中から第3流路107の途中までの間に設けている。この実施の形態では、基板101の上に、Auからなる金属層111を備え、この上に、各流路が形成することで、上述した表面プラズモン共鳴に基づく測定を可能としている。
例えば、基板101は、板厚1mmのBK7ガラスから構成され、この上に、スパッタリング法もしくは蒸着法などにより、厚さ50nmのAuからなる金属層111を形成している。また、各流路は、流路基板101aに形成された溝であり、各導入部および排出部104は、流路基板101aに形成された貫通穴である。このような構造を備えた流路基板101aは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いて成型すればよい。
基板101および流路基板101aは、例えば、平面視16mm×16mmの大きさである。基板101の金属層111形成面に、上述したように構成した流路基板101aの溝開口面を貼り合わせればよい。例えば、オゾン照射装置で貼り合わせ面を浄化処理した後で貼り合わせればよい。各流路の基板101の側の内壁は、金属層111の表面となる。また、各流路は、例えば、断面矩形とすればよい。
例えば、第1流路102は、断面が幅0.5mm,高さ50μmの矩形管であり、流路長(管長)が10mmとされている。また、第2流路105は、断面が幅5mm,高さ5μmの矩形管であり、流路長(管長)が5mmとされている。第3流路107も、断面が幅5mm,高さ5μmの矩形管であり、流路長(管長)が5mmとされている。上述した寸法であれば、各流路は、対象となる液体に対して毛管力が作用する管径となっている。なお、例えば、断面矩形の流路の場合、一方の組の対面する2つの内壁の距離が数cm以上に離れていても、他方の組の対面する2つの内壁の距離が十分に小さい状態であれば、毛管力が作用する状態にすることができる。この状態も含めて、「対象となる液体に対して毛管力が作用する管径」とする。
また、第1導入部103,第2導入部106,第3導入部108は、穴径1mmとされている。これらは、接続する流路の幅より大きな穴径とされていればよい。また、各導入部の穴径は、対象とする液体が供給可能な状態となっていればよい。例えば、対象とする液体は、ピペットなどにより供給するので、この供給の際に妨げとならない穴径となっていればよい。
また、排出部104は、穴径2mmとされている。排出部104は、接続する第1流路102の流路幅より大きな穴径とされていればよい。ここで、排出部104は、例えば、流路接続面151の位置より流路方向1mm程度の距離で第1流路102に接続していればよい。
次に、上述したフローセルを用いた送液方法について説明する。このフローセルでは、第1流路102に、第1液を導入し、第2流路105(第3流路107)に第2液を導入し、流路接続面151(流路接続面171)において、第1液と第2液とを接触させるようにしている。
まず、第2導入部106より第2液を導入し、第2流路105の内部を、第2流路105の一端の第1流路102に接続する流路接続面151まで第2液で充填する(第1工程)。同様に、第3導入部108より第2液を導入し、第3流路107の内部を、第3流路107の一端の第1流路102に接続する流路接続面171まで第2液で充填する。
第2流路105は、内壁が対象となる第2液に対して90度より小さい接触角を有し、第2液に対して毛管力(毛細管力)が作用する管径とされている。このため、第2流路105に導入された第2液は、流路接続面151に到達すると、第2液が接触していた第2流路105の内壁が存在しなくなり、ここに到達した第2液の先端面(メニスカス)は、これ以上進行できない状態となる。なお、これは、第2導入部106より供給した第2液の量により働く重力が、流路接続面151に形成される第2液の先端面により発生する毛管力を超えない範囲の場合である。上述した寸法程度の小さなフローセルでは、第2導入部106より供給できる液量には大きな制限があり、これにより発生する重力が、上記毛管力を超えることはないものと考えられる。
同様に、第3流路107は、内壁が対象となる第2液に対して90度より小さい接触角を有し、第2液に対して毛管力(毛細管力)が作用する管径とされている。このため、第3流路107に導入された第2液は、流路接続面171に到達すると、第2液が接触していた第3流路107の内壁が存在しなくなり、ここに到達した第2液の先端面は、これ以上進行できない状態となる。
以上のようにして、第2流路105(第3流路107)に第2液を導入し、第2液の先端が流路接続面151(流路接続面171)まで到達した後、第1導入部103より第1液を導入し、第1流路102の内部を、第1流路102の他端の排出部104に接続する排出部接続面121まで第1液で充填する。
第1流路102では、内壁が対象となる第1液に対して90度より小さい接触角を有し、第1液に対して毛管力が作用する管径とされている。このため、第1流路102に導入された第1液は、排出部接続面121に向けて移送されるが、排出部接続面121に到達すると、第1液が接触していた第1流路102の内壁が存在しなくなり、ここに到達した第1液の先端面は、これ以上進行できない状態となる。
以上のように第2液および第1液を導入すると、流路接続面151(流路接続面171)において、流路接続面151で第1液と第2液とが接触する。これにより、第2流路105(第3流路107)の流路接続面151(流路接続面171)に形成されていた第2液の先端面(気液界面)はなくなり、この気液界面に働いていた力がなくなる。この結果、第2液は第1流路102の中(第1液中)に移動(拡散)可能な状態となり、第2液は第1液中に拡散する。また、第2液が第1液に拡散可能となっているので、第1流路102中の第1液も、第2流路105(第3流路107)の第2液中に移動(拡散)する。
このように、流路接続面151(流路接続面171)で第1液と第2液とを接触させることで、流路接続面151(流路接続面171)において、第1液と第2液とを混合させることができる。また、前述したように第2流路105(第3流路107)において、第2液が移送されずに流動していない状態で、流路接続面151(流路接続面171)に、第1液が供給される状態としている。
ここで、流路接続面151(流路接続面171)と排出部接続面121との距離を、前述したように1mm程度としておけば、第1導入部103より供給した第1液は、流路接続面151(流路接続面171)に到達した後、直ちに排出部接続面121で停止し、流動が停止された状態となる。
従って、本実施の形態におけるフローセルによれば、流路接続面151(流路接続面171)において、第1液と第2液とが、流動していない状態で接触して混合する状態になるので、例えば、2液の反応の動的変化などが容易に観測できるようになる。例えば、測定領域112において、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率の測定を行えば、流路接続面151(流路接続面171)において混合が開始された第1液と第2液との反応に起因する測定領域112における屈折率の変化が測定できる。このとき、各液の流動はないので、液が流れている状態を考慮する必要がない。なお、上述した説明から明らかなように、上述した送液方法は、第3流路107がなくても実現できる。ただし、第3流路107を用いることで、より多くの2液接触領域が形成できるようになる。
上述したフローセルによれば、第1液を血漿とし、第2液を凝固試薬とすれば、これらを混合(接触)させることによる血液凝固能などの測定ができる。この例について、実施例を用いて以下に説明する。
[実施例]
本実施例では、屈折率変化を捉えることのできる表面プラズモン共鳴(SPR)装置(SMART SPR:NTTアドバンステクノロジ株式会社)を使用した。また血漿サンプル(第1液)としてコアグピア用キャリブレーターN(積水メディカル)を使用し、凝固試薬としてコアグピアPT−N(積水メディカル)を使用した。
はじめに、凝固試薬を37℃の湯浴中で温めた後に、ピペットを用いて第2導入部106(第3導入部108)に滴下し、毛細管力により第2流路105(第3流路107)に導入した。このとき、凝固試薬は、第1流路102に入っていかず、流路接続面151(流路接続面171)で停止した。
次に、37℃湯浴中で温めた血漿サンプルを第1導入部103に滴下し、第1流路102に導入した。血漿サンプルは毛細管力によって排出部104に向かって流れていくが、排出部104には入っていかず、排出部接続面121で停止した。このようにして第1流路102に導入した血漿サンプルは、流路接続面151(流路接続面171)で凝固試薬と接触し、凝固反応が開始された。
上述したようにして血漿サンプルと凝固試薬とを接触させたときに、排出部接続面121において、SPR装置で測定されたSPR角度(屈折率に相当)の時間変化を図2Aに示す。なお、図2Aの(a)は、図2Bの(a)に示す測定箇所の測定結果を示している。また、図2Aの(b)は、図2Bの(b)に示す測定箇所の測定結果を示している。図2Aの(c)は、図2Bの(c)に示す測定箇所の測定結果を示している。なお、測定領域112は、第1流路102と第2流路105(第3流路107)との交差点を中心として配置され、流路幅方向の幅が0.3mmであり、流路方向の長さが4.8mmとされている。
図2Aの(c)の変化から分かるように、測定開始から約50秒後に、第1流路102に対して血漿サンプルが導入されていることが分かる。図2Bに示す測定箇所(a)の測定では、図2Aの(a)に示すように、SPR角度が250から徐々に変化しているが、ほぼ安定していることが分かる。SPR角度が徐々に増加する原因は、37℃に温められた凝固試薬が流路内で徐々に冷却され、屈折率が増加しているためと考えられる。
図2Bに示す測定箇所(b)は、血漿サンプルと凝固試薬とが混合する流路接続面151から、第2導入部106側に約100μm離れた地点である。この測定箇所の測定では、図2Aの(b)に示すように、血漿サンプルが導入されるとSPR角度が低下し、この後で徐々に増加する傾向が認められた。
図2Bに示す測定箇所(c)は、血漿サンプルと凝固試薬とが混合する流路接続面151(流路接続面171)の箇所の、第1流路102内の中央部の地点である。この測定箇所の測定では、図2Aの(c)に示すように、血漿サンプル温度の低下による上昇が認められるものの、血漿サンプルを導入した後、200秒後までは、温度低下による変化以外の変化は認められない。しかし、200秒後から、フィブリン形成によると考えられる屈折率の増加が認められた。
次に、同様な方法で血漿の凝固能が異なる血漿サンプル(コアグピア用コントロールII;積水メディカル)を用いて測定を行った。この測定は、図2Bの測定箇所(b)で行った。ここで、凝固能を活性化率で表すと、コアグピア用キャリブレーターNの活性化率は86%であり、コアグピア用コントロールIIの活性化率は33%である。コアグピア用キャリブレーターNの方が凝固しやすい。
図3は、図2Bの測定箇所(b)で行った各血漿サンプルを用いた測定結果を示し、(a)がコアグピア用キャリブレーターN(凝固活性化率86%)の測定結果を示し、(b)がコアグピア用コントロールII(凝固活性化率33%)の測定結果を示す。
図3に示すように、凝固活性化率が高いコアグピア用キャリブレーターNの方が、SPR角度の減少量が大きいことが分かる。このことから、流路接続面151に近い測定箇所で測定されるSPR角度の血漿導入前から導入後の減少量を指標とすることで、凝固検査が可能であることが確認された。上述した例では、「流路接続面151に近い測定箇所」を流路接続面151から100μmの距離としたが、これに限るものではない。対象とする血漿および凝固試薬の組み合わせに対応させ、上記変化が最も顕著に観測される箇所を、「流路接続面151に近い測定箇所」として適宜に設定すればよい。
上述したSPR角度の時間変化について考察すると、まず、血漿サンプルと凝固試薬とが接触して反応した後、これら2液の接触領域においてフィブリンが形成される。これにより、血漿サンプルおよび凝固試薬に含まれるタンパク質などがフィブリンに包含される。この結果、タンパク質などの濃度が低い部分が形成されてフィブリンが不溶化し、この過程で脱水縮合が起こる。これらの過程で水分子が生成され、水分子が生成された結果、タンパク質などの濃度が低い成分が形成される。これらの濃度の変化により、屈折率が変化するものと考えられる。
次に、図4に、測定領域112の位置毎に、上述した測定時間内に測定された最小のSPR角度をプロットした結果を示す。図4において、(a)がコアグピア用キャリブレーターN(凝固活性化率86%)の測定結果を示し、(b)がコアグピア用コントロールII(凝固活性化率33%)の測定結果を示す。
図4に示すように、凝固活性化率が86%の場合でも33%の場合でも、SPR角度の減少量は大きく異なっていないが、最小値を示した観測位置が86%の場合の方が、流路接続面151の位置(210pixel)から遠いことが分かる。血漿サンプルと凝固試薬とが接触する位置から、SPR角度の最小値を示す観測位置までの距離が、凝固検査の指標となることが確認された。
ところで、測定方法は、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率測定に限るものではない。測定領域における状態を電気化学的に検出するようにしてもよい。電気化学的に検出する場合、例えば、凝固試薬に電気化学活性を有する生体由来の分子を混合しておけばよい。例えば、使用可能な電気化学活性を有する分子としては、L−アスコルビン酸および尿酸などがあるが、この限りではない。
電気化学的な検出では、よく知られているように、対向電極,作用電極,参照電極を用い、例えば、作用電極の電位を参照電極に対して一定にした状態で、作用電極と対向電極との間の電流を測定している。
図5は、電気化学的な検出を可能とする本発明における実施の形態のフローセルの一部構成を示す構成図である。図5では、第1流路102および第2流路105の流路接続面151近傍を拡大して示し、他の領域は省略している。他の領域は、金属層111を用いない以外、図1を用いて説明したフローセルと同様である。電気化学的に検出使用とする場合、図5に示すように、まず、第2流路105に対向電極501および参照電極502を設ける。対向電極501および参照電極502は、第2流路105内の液体に接触可能な状態で設ける。
また、第2流路105の一端が接続する第1流路102内から第2流路105の第2導入部(不図示)の側の所定の位置にかけて設けられた測定領域512に、複数の作用電極503を設ける。複数の作用電極503は、第2流路105の延在方向に配列させる。また、第2流路105内の測定領域512に設けた作用電極503は、第2流路105内の液体に接触可能な状態で設ける。この例では、第1流路102内の測定領域512にも作用電極503を設けており、この作用電極503は、第1流路102内の液体に接触する状態で設ける。例えば、各流路の下面となる基板を貫通させて上述した各電極を構成するプラグを形成すればよい。各電極の流路内に露出する部分は、直径10μm程度の円形とすればよい。また、各電極は、50μm間隔とすればよい。なお、この構成では、前述したように金属層を設けない。
このように構成したフローセルにおいて、第2流路105の内部を流路接続面151まで凝固試薬で充填する。次いで、第1流路102に、血漿サンプルを導入し、第1流路102の他端の排出部接続面(不図示)まで血漿サンプルで充填する。これにより、流路接続面151で血漿サンプルが凝固試薬に接触する。この状態で、上述した各電極を、一般的に用いられている10chのポテンシオスタット(ALS)に接続し、アンペロメトリーを行った。
上述したように、流路接続面151で、血漿サンプルと凝固試薬とが接触して凝固反応が開始すると、接触領域(流路接続面151)から、第2流路105の第2導入部(不図示)側に約100μm離れた作用電極503で電流値の減少が認められた。血漿サンプルを導入した第1流路102においても、血漿サンプルを導入して流路接続面151で両者が接触した直後から、この領域に配置された作用電極503において、電流値の低下が認められた。
このように、凝固試薬には電気化学活性を有する分子を混合しておくことにより、凝固試薬を導入する第2流路105に配置された作用電極503において、凝固反応に起因すると考えられる電流値の低下を観測することが可能である。また、血漿サンプル中には、電気化学活性を有する分子が含まれていることから、血漿サンプルを導入する第1流路102に配置された作用電極503においても、凝固反応に起因すると考えられる電流値の低下を観測することが可能である。
以上に説明したように、本発明によれば、第1流路の途中に、第1流路より流路高さが低い第2流路の一端を接続したので、この接続部で、液の流動がない状態で、第1流路の第1液と第2流路の第2液とを接触させることができるようになり、2液の反応の動的変化などが、マイクロ流路を備えるフローセルを用いて容易に観測できるようになる。
本発明によれば、溶液を静止させた状態で溶液の粘性に影響されることなく、2つの液の接触領域における反応状態の追跡や、接触領域における2液の反応を利用したバイオセンシングなどが行える。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、各流路は、断面矩形に限るものではなく、断面円形の流路であってもよい。
101…基板、101a…流路基板、102…第1流路、103…第1導入部、104…排出部、105…第2流路、106…第2導入部、107…第3流路、108…第3導入部、111…金属層、112…測定領域、121…排出部接続面、151…流路接続面、171…流路接続面。

Claims (4)

  1. 基板の上に形成され、内壁が対象となる第1液に対して90度より小さい接触角を有して毛管力が作用する管径とされた第1流路と、
    前記基板の上に形成されて前記第1流路の一端に接続された第1導入部と、
    前記基板の上に形成されて前記第1流路の他端に接続された排出部と、
    前記基板の上に形成され、内壁が対象となる、前記第1液と異なる第2液に対して90度より小さい接触角を有して毛管力が作用する管径とされ、一端が前記第1導入部と前記排出部との間の接続部で前記第1流路に接続された第2流路と、
    前記第2流路の他端に接続された第2導入部と
    前記第2流路の一端が接続する前記第1流路内から前記第2流路の前記第2導入部の側の所定の位置にかけて設けられた測定領域と
    を備え、
    前記第1流路は、前記第1導入部と前記排出部との間の管径が一定であり、
    前記排出部は、前記基板の平面の法線方向に延在し、前記第1流路の流路幅より大きな径を有する筒状の開口部であり、
    前記第2流路は、前記第1導入部に導入された前記第1液が前記接続部を通過して前記第一流路の他端まで充填できるように、前記基板の平面の法線方向の流路高さが前記第1流路より低くされていることを特徴とするフローセル。
  2. 請求項1記載のフローセルにおいて
    記測定領域では、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率の測定が行われることを特徴とするフローセル。
  3. 請求項1記載のフローセルにおいて
    記第2流路内の液体に接触可能な状態で前記第2流路の内部に設けられた対向電極と、
    前記第2流路内の液体に接触可能な状態で前記第2流路の内部に設けられた参照電極と、
    前記第2流路内の液体に接触可能な状態で前記第2流路の延在方向に配列して前記測定領域に設けられた複数の作用電極と
    を備えることを特徴とするフローセル。
  4. 基板の上に形成され、内壁が対象となる第1液に対して90度より小さい接触角を有して毛管力が作用する管径とされた第1流路と、
    前記基板の上に形成されて前記第1流路の一端に接続された第1導入部と、
    前記基板の上に形成されて前記第1流路の他端に接続された排出部と、
    前記基板の上に形成され、内壁が対象となる、前記第1液と異なる第2液に対して90度より小さい接触角を有して毛管力が作用する管径とされ、一端が前記第1導入部と前記排出部との間の接続部で前記第1流路に接続された第2流路と、
    前記第2流路の他端に接続された第2導入部と
    前記第2流路の一端が接続する前記第1流路内から前記第2流路の前記第2導入部の側の所定の位置にかけて設けられた測定領域と
    を備え、
    前記第1流路は、前記第1導入部と前記排出部との間の管径が一定であり、
    前記排出部は、前記基板の平面の法線方向に延在し、前記第1流路の流路幅より大きな径を有する筒状の開口部であり、
    前記第2流路は、前記第1導入部に導入された前記第1液が前記接続部を通過して前記第一流路の他端まで充填できるように、前記基板の平面の法線方向の流路高さが前記第1流路より低くされているフローセルの前記第1流路に前記第1液を供給し、前記第2流路に前記第2液を供給することによる送液方法であって、
    前記第2導入部より前記第2液を導入し、前記第2流路の内部を、前記接続部における前記第2流路前記第1流路との流路接続面まで前記第2液で充填する第1工程と、
    前記第2流路を充填した前記第2液の先端が前記流路接続面に到達した後、前記第1導入部より前記第1液を導入し、前記第1流路の内部を、前記第1流路の他端の前記排出部に接続する排出部接続面まで前記第1液で充填し、前記流路接続面で前記第1液と前記第2液とを接触させる第2工程と
    を備えることを特徴とする送液方法。
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