JP5650599B2 - 流速測定装置および流速測定方法 - Google Patents

流速測定装置および流速測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5650599B2
JP5650599B2 JP2011141772A JP2011141772A JP5650599B2 JP 5650599 B2 JP5650599 B2 JP 5650599B2 JP 2011141772 A JP2011141772 A JP 2011141772A JP 2011141772 A JP2011141772 A JP 2011141772A JP 5650599 B2 JP5650599 B2 JP 5650599B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractive index
sample solution
measurement
flow path
flow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011141772A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013007701A (ja
Inventor
弦 岩崎
弦 岩崎
倫子 瀬山
倫子 瀬山
勉 堀内
勉 堀内
達 三浦
達 三浦
鈴代 井上
鈴代 井上
林 剛
剛 林
為近 恵美
恵美 為近
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2011141772A priority Critical patent/JP5650599B2/ja
Publication of JP2013007701A publication Critical patent/JP2013007701A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5650599B2 publication Critical patent/JP5650599B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Measuring Volume Flow (AREA)

Description

本発明は、微小な流路を流れる試料流体の流速を測定する流速測定装置に関するものである。
従来より、基板表面に設けられた金や銀などの金属薄膜表面から数百[nm]の範囲における屈折率変化を選択的に検出する表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)測定法(以下、「SPR法」と言う。)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このSPR法では、その金属薄膜表面に数百[nm]分子認識膜があると、その薄膜の屈折率を選択的に測定することができる。また、微小体積の測定でもバルク測定と同じ感度で測定することができる。このため、SPR法は、例えば、分子認識分子とこの分子認識分子に特異的に結合する分子(以下、「特異結合分子」と言う。)との反応を測定する際に用いられている。この測定では、マイクロ流路の壁面に分子認識分子を固定しておき、特異結合分子をマイクロ流路の上流側から供給して、特異結合分子が分子認識分子を固定した部分を通過させることによりそれらを反応させて、特異結合分子が分子認識分子に結合する速度、すなわち吸着速度を測定している。
そのようなマイクロ流路内を液体が移動する速度は、その流路の内壁面で、化学反応、電気化学反応、吸着反応、反発反応などが行われる際、その反応速度を左右する重要な制御指標である。特に微小なスケールでの合成や微小なサンプルの体積を測定するためのマイクロ流路では、流路内の単位長さ当りの体積Vとその単位長さにおける流路壁面の面積Sとの比(S/V)が大きいため、壁面の影響が大きく現れるので、流路壁面近傍の流速を測定することが重要である。
上述したような分子認識分子と特異結合分子との反応を測定する場合、一般にマイクロ流路内の流体の流れは層流になるので、分子認識分子が固定された壁面に対して垂直な方向には拡散によって、その流れに平行な方向には流れによって、特異結合分子が供給される。したがって、その反応は、流速が十分に速い場合には結合速度律速になるが、流速が遅い場合には物質供給律速や拡散律速になる。このため、SPR法により屈折率の変化として測定される吸着速度がどのような律速過程に支配されているかは、流速に依存することとなる。特に壁面から1[μm]以下の範囲では、拡散、物質供給および吸着の全ての反応を考慮する必要があるので、その範囲における流速を測定することは、その分子認識分子と特異吸着分子の反応測定と制御に重要である。
上述したように、マイクロ流路中の流体の流れは層流になるので、一般的には、その流速分布は流路の断面形状から推定することができる(例えば、非特許文献1参照。)。ところが、マイクロ流路の壁面付近では、分子が有限な大きさを有するためにその壁面の平滑性の影響を受けるので、壁面から1[μm]以下の流速は連続流体と考えて推定することができない。
そこで、屈折率の異なる2つの液体を順次流路に流して、流路内に屈折率の空間分布を形成することにより、SPR法を用いて流速を測定することが提案されている。このようなマイクロ流路を備えたフローセルの一例を図17に示す。
図17に示すフローセルは、SPR法による測定用の金薄膜を形成した透明基板上に、両面テープを加工して作成した流路パターンを貼り付け、この上にアクリル平板を接着することにより形成されたマイクロ流路1001を備える。ここで、マイクロ流路1001の高さを規定する両面テープの厚さは70[μm]である。また、マイクロ流路1001は、幅1mm、長さ5mmであり、一端にはチューブが接続される供給部1002が設けられている。この供給部1002には、異なる液体を連続して供給できるように、FEP(Fluorinated Ethylene Propylene)チューブを介して2台のシリンジポンプ1003,1004(CMA社 CMA−20)が接続されている。この2台のシリンジポンプ1003,1004は、RS232Cインターフェースを介して制御装置1005に接続されており、この制御装置1005により同期して流量を調整するプログラムで制御されている。
このようなマイクロ流路1001に対して、まず、図18に示すように、シリンジポンプ1003から5[μL/min]の体積流速で免疫実験用ブロッキング剤(DSファーマバイオメディカル株式会社製、濃度10%のBlockAce溶液)(以下、「ブロッキング剤」と言う。)を送液した。SPR法により屈折率を確認した後、シリンジポンプ1003を停止するとともにシリンジポンプ1004から送液を開始した。このシリンジポンプ1004からは、抗原が1[μL/min]溶解している牛乳を送液した。このときの屈折率をSPR法により測定した結果を図19に示す。この図19に示すように、マイクロ流路1001に沿った方向における屈折率の時間変化は、屈折率、位置および時刻の3軸からなる3次元形状で表される。
この図19からわかるように、シリンジポンプ1003からのブロッキング剤を流した後、シリンジポンプ1004からブロッキング剤よりも屈折率が低い牛乳を流したことにより、図中のa−a’で示すように上流から下流に移動する屈折率の境界を観測することができる。この図19に示す屈折率を時間で微分すると、図20に示すように、屈折率の境界で絶対値が大きな値をとり、それ以外の場所と時刻では0に近い値をとる屈折率変化速度の二次元分布図が得られる。この図20における屈折率変化速度の最大値を結ぶ線分の傾きを測ると、200[pixel/sec]であった。この実験で用いたSPR法による測定装置では、1ピクセルが10[μm]に相当するので、線流速は2[mm/sec]であることが測定された。このような方法により流速を測定すると、シリンジポンプ1003,1004の駆動状態など、その流速を実現したときのフローセルの各構成要素の状態を記録しておく。そして、上述したような分子認識分子と特異結合分子との反応を測定する際に、その記録しておいた状態と同じ状態を再現してフローセルに試料溶液を流して特定の流速を実現することにより、その反応測定や制御を実現することができる。
国際公開第2009/090985号
Kenneth S. Breuer, Microscale Diagnostic Techniques" Springer-Verlag Berlin Heidelberg 2005, page 81, 93
しかしながら、上述したようなマイクロ流路では、供給部1002に異なる溶液を順次供給するため、供給部1002内部で2つの試料溶液が混ざり合うことによりそれらの界面に乱れが生じるので、SPR法により測定された屈折率の境界に誤差が生じてしまい、結果として、流速の測定精度を向上させることが困難であった。
そこで、本発明は、流速の測定精度を向上させることができる流速測定装置および流速測定方法を提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明に係る流速測定装置は、試料溶液が供給される供給部と、この供給部に一端が接続され、供給部に供給された試料溶液が移送される流路と、この流路の途中に設けられた検出領域と、供給部と検出領域との間に設けられ、通過する試料溶液の屈折率を変化させる屈折率変化部と、検出領域における屈折率の分布の時間変化を測定する測定部と、屈折率変化部により屈折率が変化させられた試料溶液の屈折率変化領域に対する測定部による測定結果から、試料溶液の流速を演算する演算部とを備えたことを特徴とするものである。
上記流速測定装置において、屈折率変化部は、供給部に供給される試料溶液と屈折率が異なる他の試料溶液を流路に導入する導入機構から構成されるようにしてもよい。
また、上記流速測定装置において、屈折率変化部は、試料溶液に対して電気化学反応を生じさせる電極から構成されるようにしてもよい。
また、上記流速測定装置において、屈折率変化部は、試料液体の温度を変化させるヒータから構成されるようにしてもよい。
また、上記流速測定装置において、検出領域は、流路中の試料溶液の流れる方向に対して直交する方向に沿って設けられ、演算部は、検出領域の各部において屈折率変化領域が検出領域を通過した時刻に基づいて、試料溶液の流速を演算するようにしてもよい。
また、上記流速測定装置において、演算部は、屈折率変化領域が検出領域を通過した時刻の分布に基づいて流路を流れる試料溶液の相対的な流速分布を演算するようにしてもよい。
また、本発明に係る流速測定方法は、試料溶液が供給される供給部と、この供給部に一端が接続され、供給部に供給された試料溶液が移送される流路と、この流路の途中に設けられた検出領域と、供給部と検出領域との間に設けられ、通過する試料溶液の屈折率を変化させる屈折率変化部とを備えた流速測定装置における流速測定方法であって、検出領域における屈折率の分布の時間変化を測定する測定ステップと、屈折率変化部により屈折率が変化させられた試料溶液の屈折率変化領域に対する測定ステップによる測定結果から、試料溶液の流速を演算する演算ステップとを有することを特徴とするものである。
上記流速測定方法において、検出領域は、流路中の試料溶液の流れる方向に対して直交する方向に沿って設けられ、演算ステップは、検出領域の各部において屈折率変化領域が検出領域を通過した時刻に基づいて、試料溶液の流速を演算するようにしてもよい。
本発明によれば、通過する試料溶液の屈折率を変化させる屈折率変化部を供給部と検出部との間に設けることにより、2つの試料溶液が混ざり合うことによりそれらの界面に乱れが生じるのを防ぎ、試料溶液における屈折率の境界部分に誤差が発生するのを抑制できるので、試料溶液の流速の測定精度を向上させることができる。
図1は、本発明の第1の参考例に係る送液装置の構成を模式的に示す図である。 図2は、図1におけるフローセルのI-I線による断面図である。 図3は、本発明の第1の参考例に係る送液装置の動作を説明するための図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る送液装置の構成を模式的に示す図である。 図5は、図4におけるフローセルのII-II線による断面図である。 図6は、作用電極に印加される電圧を説明するための図である。 図7は、本発明の第2の参考例に係る送液装置の構成を模式的に示す図である。 図8は、図7におけるフローセルのIII-III線による断面図である。 図9は、ヒータの構成を説明するための要部拡大図である。 図10は、ヒータに供給される電流を説明するための図である。 図11は、本発明の第3の参考例に係る送液装置の構成を模式的に示す図である。 図12は、図12におけるフローセルのIV-IV線による断面図である。 図13は、図12のフローセルに送液した際のSPR法による測定結果を示す図である。 図14は、図13における屈折率の境界部分のみを抽出した図である。 図15は、図13の測定結果に対する時間微分の演算結果を示す図である。 図16は、図15における最大時間傾斜をプロットした図である。 図17は、マイクロ流路を備えたフローセルの構成を模式的に示す図である。 図18は、図17のフローセルへの送液動作を説明するための図である。 図19は、図17のフローセルに送液した際のSPR法による測定結果を示す図である。 図20は、図19の測定結果に対する時間微分の演算結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の参考例
まず、本発明の第1の参考例について説明する。
<流速測定装置の構成>
図1,図2に示すように、本参考例に係る流速測定装置1は、試料溶液が移送される流路を備えたフローセル11と、このフローセル11に試料溶液を供給する第1供給ポンプ12および第2供給ポンプ13と、フローセル11の流路を移送された試料溶液を吸引する第1吸引ポンプ14および第2吸引ポンプ15と、これらのポンプの動作制御およびフローセル11を流れる試料溶液の流速測定を行う制御装置16とから構成される。
≪フローセルの構成≫
フローセル11は、例えばガラスやアクリル樹脂などの光を透過する材料から構成され、上面にSPR法による測定用の金薄膜が形成された下部基板11aと、例えば両面テープなどから構成され、所定のパターンが形成されて下部基板11a上に設けられた中間部材11bと、例えばアクリルなどの板から構成され、中間部材11b上に設けられた上部基板11cとから構成される。
これらの下部基板11a、中間部材11bおよび上部基板11cには、上部基板11cに形成され、試料溶液が供給される第1供給口111と、中間部材11bに形成され、第1の方向(以下、「X方向」と言う。)に延在し第1供給口111に一端が接続された第1流路112と、上部基板11cに形成され、第1流路112の他端が接続された第1排出口113と、上部基板11cに形成され、試料溶液が供給される第2供給口114と、中間部材11bに形成され、第1の方向に直交する第2の方向(以下、「Y方向」と言う。)に延在し、一端が第2供給口114、他端が第1流路112に接続された第2流路115と、中間部材11bにおける第1流路112を挟んで第2流路115と反対側に形成され、Y方向に延在して一端が第1流路112に接続された第3流路116と、上部基板11cに形成され、第3流路116の他端が接続された第2排出口117とが形成されている。また、第1流路112において、第3流路116の一端が接続された部分と、第1排出口113との間には、SPR法による測定が行われる測定領域118が設定されている。この測定領域118は、検出部として機能する。また、第1流路112、第2流路115および第3流路116は、導入機構として機能する。
便宜上、X方向において、第1供給口111から第1排出口113に向かう側を「正」の側とする。また、Y方向において、第2供給口114から第1流路112に向かう側、言い換えると、第1流路112から第2排出口117に向かう側を「正」の側とする。さらに、X方向およびY方向に直交する方向、すなわち、下部基板11a、中間部材11bおよび上部基板11cの積層方向をZ方向とする。このZ方向において、下部基板11aから上部基板11cに向かう側を「正」の側または上とし、逆に上部基板11cから下部基板11aに向かう側を「負」の側または下とする。
ここで、第2流路115と第3流路116は、X方向およびY方向にずれた位置に形成されている。すなわち、第3流路116の方が第2流路115よりもX方向の正の側(下流側)に設けられている。また、第1流路112に対して、第2流路115がY方向の負の側、第3流路116がY方向の正の側に設けられている。
第1供給口111は、上部が上部基板11cから開口する凹部からなる。この第1供給口111には、FEPチューブ等を介して第1供給ポンプ12が接続されている。
第1流路112は、下部基板11aの上面、中間部材11bに形成された流路パターンおよび上部基板11cの下面により構成される管状の空間から構成される。この第1流路112は、X方向に延在しており、X方向における負の側の端部が第1供給口111に接続され、X方向における正の側の端部が第1排出口113に接続されている。
第1排出口113は、上部が上部基板11cから開口する凹部からなる。この第1排出口113には、FEPチューブ等を介して第1吸引ポンプ14が接続されている。
第2供給口114は、上部が上部基板11cから開口する凹部からなる。この第2供給口114には、FEPチューブ等を介して第2供給ポンプ13が接続されている。
第2流路115は、下部基板11aの上面、中間部材11bに形成された流路パターンおよび上部基板11cの下面により構成される管状の空間から構成される。この第2流路115は、Y方向に延在しており、Y方向の負の側の端部が第2供給口114に接続され、Y方向の正の側の端部が第1流路112に接続されている。
第3流路116は、下部基板11aの上面、中間部材11bに形成された流路パターンおよび上部基板11cの下面により構成される管状の空間から構成される。この第2流路115は、Y方向に延在しており、Y方向の負の側の端部が第1流路112に接続され、Y方向の正の側の端部が第2排出口117に接続されている。
第2排出口117は、上部が上部基板11cから開口する凹部からなる。この第2排出口117には、第2吸引ポンプ15が接続されている。
参考例において、第1流路112,第2流路115および第3流路116の高さを規定する両面テープからなる中間部材11bの厚さは70[μm]とした。また、第1流路112,第2流路115および第3流路116は、幅1mm、長さ5mmとした。
≪第1,第2供給ポンプおよび第1,第2吸引ポンプの構成≫
第1供給ポンプ12、第2供給ポンプ13、第1吸引ポンプ14および第2吸引ポンプ15は、それぞれ公知のシリンジポンプ(例えば、CMA社 CMA−20)から構成され、制御装置16からの制御信号に基づいて動作することにより、所定量の試料溶液の供給または吸引を行う。
≪制御装置の構成≫
制御装置16は、駆動制御部16aと、測定部16bと、演算部16cとを備えている。
駆動制御部16aは、流速測定装置1の構成要素に対して制御信号を送出することにより、流速測定装置1の駆動を制御する機能部である。具体的には、RS232Cインターフェース等を介して接続された第1供給ポンプ12、第2供給ポンプ13、第1吸引ポンプ14および第2吸引ポンプ15に対して制御信号を送信することにより、それらのポンプを同期させて駆動させる。
測定部16bは、特許文献1に記載されたような公知のSPR法により、測定領域118における屈折率の分布の時間変化を測定する機能部である。本参考例において、測定部16bは、試料流体の流れ方向に沿った測定領域118における屈折率を測定する。具体的には、第1流路112の延在方向、すなわち、X軸に沿った中心軸上の所定の区間における屈折率の分布を測定する。この測定を所定時間行うことにより、屈折率の分布の時間変化が測定結果として出力される。
演算部16cは、測定部16bの測定結果に基づいて、測定領域118を通過する試料溶液の流速を演算する機能部である。
このような制御装置16は、CPU等の演算装置と、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置と、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、タッチパネル等の外部から情報の入力を検出する入力装置と、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信回線を介して各種情報の送受信を行うI/F装置と、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。すなわちハードウェア装置とソフトウェアとが協働することによって、上記のハードウェア資源がプログラムによって制御され、駆動制御部16a、測定部16b、演算部16cが実現される。なお、上記プログラムは、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体に記録された状態で提供されるようにしてもよい。
<流速測定装置の動作>
次に、図3を参照して、本参考例に係る流速測定装置の動作について説明する。
初めに、予め第1流路112,第2流路115および第3流路116の内部を、第1供給ポンプ12から供給される試料溶液で満たし、その内部に含まれる気泡を取り除いておく。
次に、制御装置16の駆動制御部16aは、第1供給ポンプ12および第1吸引ポンプ14を動作させるとともに、第2供給ポンプ13および第2吸引ポンプ15を停止させた状態とする(ステップS1,S2)。これにより、第1供給ポンプ12から供給される試料溶液は、第1供給口111から第1流路112を通り、第1排出口113から第1吸引ポンプ14に吸引される。本参考例では、第1供給ポンプ12から供給される試料溶液として牛乳を用い、この牛乳を5[μL/min]の体積流速で送液した。この状態において、測定部16bにより測定を行うと、図18の時刻10[sec]以前のように、時間によらず一定の屈折率を示すデータを得ることができた。
次に、駆動制御部16aは、第1供給ポンプ12および第1吸引ポンプ14を停止させるとともに、第2供給ポンプ13および第2吸引ポンプ15を駆動させる(ステップS3,S4)。これにより、第2供給ポンプ13から供給される試料溶液は、第2供給口114から第2流路115を通り、第1流路112の一部を通過して第3流路116を流れ、第2排出口117から第2吸引ポンプ15に吸引される。本参考例においては、第2供給ポンプ13から供給される試料溶液として免疫実験用ブロッキング剤(DSファーマバイオメディカル株式会社製、濃度10%のBlockAce溶液)(以下、「ブロッキング剤」と言う。)を用い、このブロッキング剤が第2排出口117に到達する時間だけ、第2供給ポンプ13および第2吸引ポンプ15を駆動させた。これにより、第1流路112は、第2流路115が接続された部分と、第3流路116が接続された部分との間の領域に、ブロッキング剤が導入された状態となる。すなわち、第1流路112において、牛乳の間にブロッキング剤が挟まれた状態となる。このとき、ブロッキング剤は、第2流路115から第1流路112の一部を通過して第3流路116に流れ込んでいるので、第2流路115内部の牛乳とほとんど混ざり合っていない状態である。したがって、第2流路115内部の牛乳とブロッキング剤とは、その界面にほとんど乱れが生じていない状態となっている。
ブロッキング剤が第2排出口117に到達すると、駆動制御部16aは、上述した場合と同様に、再び第1供給ポンプ12および第1吸引ポンプ14を動作させるとともに、第2供給ポンプ13および第2吸引ポンプ15を停止させる(ステップS5,S6)。すると、第1流路112の、第2流路115が接続された部分と、第3流路116が接続された部分との間の領域に位置するブロッキング剤は、屈折率変化領域として機能し、牛乳に挟まれた状態で測定領域118を通過する。このとき、測定部16bにより、測定領域118の屈折率の時間変化を測定し、演算部16cにより、その測定結果に基づいて測定領域118を通過した試料溶液の流速を背景技術の欄において図19を参照して説明した方法と同様の方法により演算した。すなわち、測定部16bの測定結果における屈折率を時間で微分することにより屈折率変化速度の二次元分布図を取得し、この分布図における屈折率変化速度の最大値を結ぶ線分の傾きを求め、この傾きにその二次元分布図における画素と実際の長さとの比を乗ずることにより、流速を演算した。すると、流速2[mm/sec]という結果を得ることができた。
このような流速の測定において、図17に示したフローセルでは、供給部1002に異なる溶液を順次供給するため、供給部1002内部で2つの液体が混ざり合うことによりそれらの界面に乱れが生じていた。これに対して、本参考例では、上述したように、第1の流路102の途中をブロッキング剤が通過するようにしたので、牛乳とブロッキング剤との界面の乱れが少ないため、測定誤差を小さくすることができた。
以上説明したように、本参考例によれば、第2流路115および第3流路116から構成される導入機構を設けることにより、2つの試料溶液が混ざり合うことによりそれらの界面に乱れが生じるのを防ぎ、試料溶液における屈折率の境界部分に誤差が発生するのを抑制できるので、試料溶液の流速の測定精度を向上させることができる。
また、本参考例によれば、上述した構成を備えることにより、第1流路112中の400[nm]壁面近傍の流速の測定を実現することができる。
なお、本参考例では、第2流路115と、第3流路116とが、第1流路112に対してY方向の異なる側に設ける場合を例に説明したが、第1流路112に対してY方向の同じ側に設けるようにしてもよい。
[本発明の実施の形態]
次に、本発明の実施の形態について説明する。
<流速測定装置の構成>
図4,図5に示すように、本実施の形態に係る流速測定装置2は、試料溶液が移送される流路を備えたフローセル21と、このフローセル21に試料溶液を供給する供給ポンプ22と、フローセル21の流路を移送された試料溶液を吸引する吸引ポンプ23と、供給ポンプ22および吸引ポンプ23の動作を制御する制御装置24とから構成される。
≪フローセルの構成≫
フローセル121は、例えばガラスやアクリル樹脂などの光を透過する材料から構成され、上面にSPR法による測定用の金薄膜が形成された下部基板21aと、例えば両面テープなどから構成され、所定のパターンが形成されて下部基板21a上に設けられた中間部材21bと、例えばアクリルなどの板から構成され、中間部材21b上に設けられた上部基板21cとから構成される。
これらの下部基板21a、中間部材21bおよび上部基板21cには、上部基板11cに形成され、試料溶液が供給される供給口211と、中間部材21bに形成され、X方向に延在し供給口211に一端が接続された流路212と、上部基板21cに形成され、流路212の他端が接続された排出口213とが形成されている。また、流路212内部には、供給口211に近傍に設けられた補助電極214と、この補助電極214に並設された作用電極215とがさらに設けられており、この作用電極215と排出口213との間に測定領域216が設定されている。この測定領域216は、検出部として機能する。
供給口211は、上部が上部基板21cから開口する凹部からなる。この供給口211には、FEPチューブ等を介して供給ポンプ22が接続されている。
流路212は、下部基板21aの上面、中間部材21bに形成された流路パターンおよび上部基板21cの下面により構成される管状の空間から構成される。この流路212は、X方向に延在しており、X方向の負の側の端部が供給口211に接続され、X方向の正の側の端部が排出口213に接続されている。
排出口213は、上部が上部基板21cから開口する凹部からなる。この排出口213には、FEPチューブ等を介して吸引ポンプ23が接続されている。
補助電極214は、金属からなり、下部基板21a上においてY軸方向に延在する矩形の板の形状を有する。このような補助電極214には、制御装置24により電圧が印加される。
作用電極215は、金属からなり、下部基板21a上においてY軸方向に延在する矩形の板の形状を有する。このような作用電極215には、制御装置24により電圧が印加される。
本実施の形態において、補助電極214および作用電極215は、スパッタ法およびリフトオフ法によって下部基板21a上面に所定の形状の白金を設けることにより形成されている。補助電極214は、X方向の長さすなわち幅が1[mm]、作用電極215は、幅が10[μm]に形成されている。ここで、補助電極214の方が作用電極215よりも電流密度が小さい方が望ましい。
≪供給ポンプおよび吸引ポンプの構成≫
供給ポンプ22および吸引ポンプ23は、それぞれ公知のシリンジポンプ(例えば、CMA社 CMA−20)から構成され、制御装置24からの制御信号に基づいて動作することにより、所定量の試料溶液の供給または吸引を行う。
≪制御装置の構成≫
制御装置24は、駆動制御部24aと、測定部24bと、演算部24cとを備えている。
駆動制御部24aは、流速測定装置2の構成要素に対して制御信号を送出することにより、流速測定装置2の駆動を制御する機能部である。具体的には、RS232Cインターフェース等を介して接続された供給ポンプ22および供給ポンプ22に対して制御信号を送信することにより、それらのポンプを同期させて動作させる。また、補助電極214および作用電極215に対して電圧を印加することにより、それらの電極間に電位差を生じさせて、作用電極215の周囲に存在する試料溶液に電気化学的作用を与える。
測定部24bは、特許文献1に記載されたような公知のSPR法により、測定領域216における屈折率の分布の時間変化を測定する機能部である。本実施の形態において、測定部24bは、試料溶液の流れ方向に沿った測定領域216における屈折率の分布を測定する。具体的には、測定領域216における流路212の延在方向、すなわち、X軸に沿った中心軸における所定の区間の屈折率の分布を測定する。この測定を所定時間行うことにより、屈折率の分布の時間変化が測定結果として出力される。
演算部24cは、測定部24bの測定結果に基づいて、測定領域216を通過する試料溶液の流速を演算する機能部である。
このような制御装置24は、上述した第1の実施の形態における制御装置16と同様、コンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。
<流速測定装置の動作>
次に、本実施の形態に係る流速測定装置の動作について説明する。
まず、制御装置24の駆動制御部24aは、供給ポンプ22および吸引ポンプ23を駆動させ、試料溶液を供給口211に供給して、その試料溶液を流路212内部に流通させる。本実施の形態においては、試料溶液としてブロッキング剤を用い、供給ポンプ22から1[μL/min] で供給口211に供給した。
次に、図6に示すように、駆動制御部24aにより、作用電極215に平衡電位から100[mV]のパルスを2秒間印加させた。一般に、電気化学反応では、電極の電位に応じて酸化物と還元物の濃度比が決まる。このとき、電荷の中性を保つために、正負のイオン濃度の偏りが生じ、電極近傍のイオン濃度プロファイルが変化する。この濃度変化は、屈折率の変化としてSPR法により測定される。また、酸化還元反応が起こらない場合でも、電位に応じて電気二重層が形成される。SPR法では、その電気二重層が形成される領域に高い感度があり、電極部分で形成されたイオン濃度勾配が電極外部に流れ出てイオンの再配置が起こる間に屈折率の変化として測定することができる。そこで、本実施の形態では、作用電極215に電位を与えることによって、試料溶液中に屈折率の変化が生じた領域(以下、「屈折率変化領域」と言う。)に基づいて、試料溶液の線流速を測定する。
作用電極215にパルスが印加されることにより生じた屈折率変化領域は、供給ポンプ22から供給されるブロッキング剤の流れにより、作用電極215近傍から測定領域216へと流れてゆく。測定部24bは、SPR法により、その測定領域216における屈折率を測定する。この測定結果に基づいて、演算部24cは、その測定領域216を通過した試料溶液の流速を、上述した第1の参考例における演算部16cと同様の方法により演算する。すると、上述した第1の参考例と同様の測定データを得ることができた。この測定において、図17に示したフローセルでは、供給部1002に異なる溶液を順次供給するため、供給部1002内部で2つの液体が混ざり合うことによりそれらの界面に乱れが生じていた。これに対して、本実施の形態では、屈折率変化領域を1つの試料溶液で形成できるので、そのような界面の乱れが生じないため、測定誤差が小さくすることができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、作用電極215を設けることにより、2つの試料溶液が混ざり合うことによりそれらの界面に乱れが生じるのを防ぎ、試料溶液における屈折率の境界部分に誤差が発生するのを抑制できるので、試料溶液の流速の測定精度を向上させることができる。また、屈折率が異なる部分を有する空間分布を1種類の試料溶液で形成することもできる。
第2の参考例
次に、本発明の第2の参考例について説明する。なお、本参考例は、上述した本実施の形態における補助電極214および作用電極215の代わりにヒータを設けたものである。したがって、本参考例において、本発明の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付して適宜説明を省略する。
<流速測定装置の構成>
図7〜図9に示すように、本参考例に係る流速測定装置3は、試料溶液が移送される流路を備えたフローセル21’と、このフローセル21’に試料溶液を供給する供給ポンプ22と、フローセル21の流路を移送された試料溶液を吸引する吸引ポンプ23と、供給ポンプ22および吸引ポンプ23の動作を制御する制御装置24’とから構成される。
ここで、流路212内部には、供給口211と測定領域216との間にヒータ31が設けられている。このヒータ31の平面形状は、図9に示すように、流路212内部の方が流路212外部よりもX方向の幅が細く形成されている。これにより、ヒータ31の流路212内部の方が抵抗が高くなるように設定されている。本参考例において、ヒータ31は、スパッタ法およびリフトオフ法によって下部基板21a上面に所定の形状の白金を設けることにより形成されている。このヒータ31を構成する白金は、水溶液による劣化が小さいので、ヒータ材料として好ましい。なお、ヒータ31の材料としては、白金に限定されず、例えば、金などの貴金属やカーボンを用いるようにしてもよい。
また、制御装置24’は、駆動制御部24a’と、測定部24bと、演算部24cとを備えている。
駆動制御部24a’は、流速測定装置3の構成要素に対して制御信号を送出することにより、流速測定装置3の駆動を制御する機能部である。具体的には、RS232Cインターフェース等を介して接続された供給ポンプ22および供給ポンプ22に対して制御信号を送信することにより、それらのポンプを同期させて動作させる。また、ヒータ31に対して電圧を印加することにより、そのヒータ31周囲の試料溶液の温度を変化させる。
<流速測定装置の動作>
次に、本参考例に係る流速測定装置の動作について説明する。
まず、制御装置24’の駆動制御部24a’は、供給ポンプ22および吸引ポンプ23を駆動させ、試料溶液を供給口211に供給して、その試料溶液を流路212内部に流通させる。本参考例においては、試料溶液としてブロッキング剤を用い、供給ポンプ22から1[μL/min] で供給口211に供給した。
次に、図10に示すように、駆動制御部24a’により、ヒータ31に10[mA]のパルスを2秒間印加した。水溶液の屈折率は温度依存性があるので、ヒータ31に電流を流すことにより加熱して、そのヒータ31周囲の試料溶液の温度を上昇させることにより、この温度変化より試料溶液中に屈折率の変化が生じた領域(以下、「屈折率変化領域」と言う。)を形成することができる。なお、試料溶液に加える温度変化は、SPR方により屈折率の変化を検出できるのであれば、小さな方が望ましい。
ヒータ31にパルス電流が印加されることにより生じた屈折率変化領域は、供給ポンプ22から供給されるブロッキング剤の流れにより、ヒータ31近傍から測定領域216へと流れてゆく。測定部24bは、SPR法により、その測定領域216における屈折率を測定する。この測定結果に基づいて、演算部24cは、その測定領域216を通過した試料溶液の流速を、上述した第1の参考例における演算部16cと同様の方法により演算する。すると、上述した第1の参考例と同様の測定データを得ることができた。この測定において、図17に示したフローセルでは、供給部1002に異なる溶液を順次供給するため、供給部1002内部で2つの液体が混ざり合うことによりそれらの界面に乱れが生じていた。これに対して、本参考例では、屈折率変化領域を1つの試料溶液で形成できるので、そのような界面の乱れが生じないため、測定誤差が小さくすることができる。
以上説明したように、本参考例によれば、ヒータ31を設けることにより、2つの試料溶液が混ざり合うことによりそれらの界面に乱れが生じるのを防ぎ、試料溶液における屈折率の境界部分に誤差が発生するのを抑制できるので、試料溶液の流速の測定精度を向上させることができる。また、屈折率が異なる部分を有する空間分布を1種類の試料溶液で形成することもできる。
[第3の参考例
次に、本発明に係る第3の参考例について説明する。
図11,図12に示すように、本参考例に係る流速測定装置4は、試料溶液が移送される流路を備えたフローセル41と、このフローセル41に試料溶液を供給する第1供給ポンプ42および第2供給ポンプ43と、これらのポンプの動作制御およびフローセル41を流れる試料溶液の流速測定を行う制御装置44とから構成される。
≪フローセルの構成≫
フローセル41は、例えばガラスやアクリル樹脂などの光を透過する材料から構成され、上面にSPR法による測定用の金薄膜が形成された下部基板41aと、例えば両面テープなどから構成され、所定のパターンが形成されて下部基板41a上に設けられた中間部材41bと、例えばアクリルなどの板から構成され、中間部材41b上に設けられた上部基板41cとから構成される。
これらの下部基板41a、中間部材41bおよび上部基板41cには、上部基板41cに形成され、試料溶液が供給される第1供給口411および第2供給口412と、中間部材11bに形成され、X方向に延在し第1供給口411および第2供給口412に一端が接続された接続流路413と、中間部材11bに形成され、一方の対角線がX方向、他方の対角線がY方向に沿った平面視略矩形に形成され、その一方の対角線の一端部が接続流路413に接続された流路414と、上部基板11cに形成され、流路414のその一方の対角線の他端部が接続された排出口415とが形成されている。また、流路414において、Y方向に沿った他方の対角線上に、SPR法による測定が行われる測定領域416が設定されている。この測定領域416は、検出部として機能する。
第1供給口411は、上部が上部基板41cから開口する凹部からなる。この第1供給口411には、FEPチューブ等を介して第1供給ポンプ42が接続されている。
第2供給口412は、上部が上部基板41cから開口する凹部からなる。この第2供給口114には、FEPチューブ等を介して第2供給ポンプ43が接続されている。
接続流路413は、下部基板41aの上面、中間部材41bに形成された流路パターンおよび上部基板41cの下面により構成される管状の空間から構成される。この接続流路413は、X方向に延在しており、X方向の負の側の端部が第1供給口411および第2供給口412に接続され、X方向の正の側の端部が流路414に接続されている。
流路414は、下部基板41aの上面、中間部材41bに形成された流路パターンおよび上部基板41cの下面により構成される平面視略矩形の空間から構成される。この流路414は、一方の対角線がX方向、他方の対角線がY方向に沿うように形成されている。また、X方向に沿った対角線におけるX方向の負の側の端部が接続流路413に接続され、X方向の正の側の端部が排出口415に接続されている。
排出口415は、上部が上部基板41cから開口する凹部からなる。この第1排出口113には、FEPチューブ等を介して吸引ポンプ(図示せず)が接続されるようにしてもよい。
なお、本参考例において、接続流路413および流路414の高さを規定する両面テープからなる中間部材41bの厚さは70[μm]とした。また、平面視略矩形の流路414における対角線の長さを500[μm]とした。
≪第1,第2供給ポンプの構成≫
第1供給ポンプ42および第2供給ポンプ43は、それぞれ公知のシリンジポンプ(例えば、CMA社 CMA−20)から構成され、制御装置44からの制御信号に基づいて動作することにより、所定量の試料溶液の供給または吸引を行う。本参考例においては、第1供給ポンプ42はブロッキング剤を供給し、第2供給ポンプ43は牛乳を供給する。
≪制御装置の構成≫
制御装置44は、駆動制御部44aと、測定部44bと、演算部44cとを備えている。
駆動制御部44aは、流速測定装置4の構成要素に対して制御信号を送出することにより、流速測定装置1の駆動を制御する機能部である。具体的には、RS232Cインターフェース等を介して接続された第1供給ポンプ42および第2供給ポンプ43に対して制御信号を送信することにより、それらのポンプを同期させて駆動させる。
測定部44bは、特許文献1に記載されたような公知のSPR法により、測定領域416における屈折率の分布の時間変化を測定する機能部である。本参考例において、測定部44bは、試料流体の流れ方向に対して垂直な方向に延在する測定領域416における屈折率の分布を測定する。この測定を所定時間行うことにより、屈折率の分布の時間変化が測定結果として出力される。また、本参考例において、測定領域416は、流路414の幅全体、すなわち、Y方向に沿った流路414の対角線全体に亘って設定される。これにより、後述するように、測定した流速を積分して体積流速に換算することが可能となる。
演算部44cは、測定部44bの測定結果に基づいて、測定領域416を通過する試料溶液の流速を演算する機能部である。
このような制御装置44は、上述した第1の参考例における制御装置16と同様、コンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。
<流速測定装置の動作>
次に、本参考例に係る流速測定装置の動作について説明する。
まず、制御装置44の駆動制御部44aは、第2供給ポンプ43を停止させた状態で第1供給ポンプ42を動作させ、5[μL/min]の体積流速でブロッキング剤を送液させる。続いて、駆動制御部44aは、第1供給ポンプ42を停止させるとともに、第2供給ポンプ43を駆動させ、5[μL/min]の体積流速で牛乳を送液した。この状態において、測定部44bにより測定領域416に対してSPR法により測定を行うと、図13に示すように、流路414の幅方向の各部での屈折率の時間変化を得ることができた。この図13から屈折率の分布の境界部分(屈折率変化領域)を示す放物線の領域のみを抽出した状態を図14に示す。図13,図14からわかるように、流路414を流れる試料溶液は、流路414の中央部付近が最も流速が速く、この中央部から離れた部分よりも先に屈折率の境界が測定領域416に到達している。このように、流路414では、屈折率の境界が測定領域416を通過した時刻が場所によって異なるので、図13,図14に示すように、流路414の中央部付近が凸になる放物線状のプロファイルが得られる。この放物線状の部分は、屈折率の時間変化が速い部分に相当する。
測定部44bにより図13に示すような、屈折率変化領域が測定領域416を通過した時刻の分布が測定されると、演算部44cは、まず、その屈折率の境界部分を時間で微分することにより、図15に示すような屈折率の最大時間傾斜(変化)を取得する。この図15において、時刻200〜250[sec]に示される曲線が、最大時間傾斜を表している。なお、時刻200[sec]付近の水平な線は、第1供給ポンプ42と第2供給ポンプ43との試料溶液の切替に伴うインジェクションショックである。
測定領域416を通過した屈折率変化領域の空間形状(以下、「空間パターン」と言う。)は、この空間パターンが形成された後に流路414を進行する距離が短ければ、流速によらず一定と考えられる。そこで、本参考例では、空間パターンの特徴点として、屈折率の境界部分のうち最も速く測定領域416に到達した位置、すなわち最大傾斜点を採用した。この空間的な最大傾斜点は、屈折率の境界部分に対して時間微分を行った図15においても最大値をとる。さらに、図15におけるその最大値は、最大傾斜点が測定領域416を通過する速度に比例する。したがって、演算部44cは、図15における最大時間傾斜を、その最大値(=1とする)と測定領域416上の位置とに沿ってプロットする。これにより、図16に示すような測定領域416を通過した屈折率変化領域の相対的な流速分布を得ることができる。
図16に示される流速は、屈折率の境界が測定領域416を通過する時間の平均値となる。図16では測定領域416上の相対流速であるが、マイクロ流路に流れる体積流速がわかっている場合には、全ての流速を積分することにより、絶対流速に換算することができる。
従来では、マイクロ流路内を流れる試料溶液の流れに対して垂直な方向の流速分布を測定することが困難であった。これに対して、本参考例では、測定領域416を通過する試料溶液の時間分布を求めることにより、その垂直な方向の流速分布を容易に測定することができる。このとき、空間分布の特徴点が時間微分と一致していると仮定するので、上述した第1,第2の参考例および本発明の実施の形態で説明した第2流路115および第3流路116からなる導入機構、ヒータ31、作用電極215などの屈折率変化部として機能する構成を用いることにより、試料溶液の界面が乱れることを防ぐことができるので、空間分布の特徴点が時間微分と一致することとなり、結果として、測定精度を向上させることができる。
なお、本参考例において、流路414が平面視略矩形に形成される場合を例に説明したが、測定領域416が試料溶液の流れ方向に対して垂直な方向に設けられるのであれば流路414の形状は平面視略矩形に限定されず、適宜自由に設定できる。したがって、本参考例は、上述した第1,第2の参考例および本発明の実施の形態に適用することもできることは言うまでもない。すなわち、それぞれのフローセルにおいて、測定領域を試料溶液の流れ方向に対して垂直な方向に設定し、演算部において上述したような演算を行うようにすればよい。このようにすることにより、本参考例と同等の作用効果を実現することができる。
また、本参考例では、第1供給口411および第2供給部412という2つの供給口を設ける場合を例に説明したが、供給口の数量は1つにしてもよい。
本発明は、マイクロ流路を用いた各種装置に適用することができる。
1〜3…流速測定装置、11,21,21’…フローセル、11a,21a,41a…下部基板、11b,21b,41b…中間部材、11c,21c,41c…上部基板、12,41…第1供給ポンプ、13,42…第2供給ポンプ、14…第1吸引ポンプ、15…第2吸引ポンプ、16,24,24’,44…制御装置、16a,24a,24a’,44a…駆動制御部、16b,24b、44b…測定部、16c,24c、44c…演算部、22…供給ポンプ、23…吸引ポンプ、31…ヒータ、111,411…第1供給口、112…第1流路、113…第1排出口、114,412…第2供給口、115…第2流路、116…第3流路、117…第2排出口、118…測定領域、211…供給口、212…流路、213…排出口、214…補助電極、215…作用電極、216…測定領域、415…排出口、416…測定領域。

Claims (1)

  1. 試料溶液が供給される供給部と、
    この供給部に一端が接続され、前記供給部に供給された前記試料溶液が移送される流路と、
    この流路の途中に設けられた検出領域と、
    前記供給部と前記検出領域との間に設けられ、通過する前記試料溶液の屈折率を変化させる屈折率変化部と、
    前記検出領域における屈折率の分布の時間変化を測定する測定部と、
    前記屈折率変化部により屈折率が変化させられた前記試料溶液の屈折率変化領域に対する前記測定部による測定結果から、前記試料溶液の流速を演算する演算部と
    を備え
    前記屈折率変化部は、前記試料溶液に対して電気化学反応を生じさせる電極から構成される
    ことを特徴とする流速測定装置。
JP2011141772A 2011-06-27 2011-06-27 流速測定装置および流速測定方法 Active JP5650599B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011141772A JP5650599B2 (ja) 2011-06-27 2011-06-27 流速測定装置および流速測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011141772A JP5650599B2 (ja) 2011-06-27 2011-06-27 流速測定装置および流速測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013007701A JP2013007701A (ja) 2013-01-10
JP5650599B2 true JP5650599B2 (ja) 2015-01-07

Family

ID=47675160

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011141772A Active JP5650599B2 (ja) 2011-06-27 2011-06-27 流速測定装置および流速測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5650599B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6130237B2 (ja) * 2013-06-14 2017-05-17 日本電信電話株式会社 フローセルおよび送液方法
JP2015004540A (ja) * 2013-06-19 2015-01-08 日本電信電話株式会社 流速測定方法および装置ならびに測定チップおよびプログラム
JP6763743B2 (ja) * 2016-10-24 2020-09-30 積水化学工業株式会社 マイクロ流体の送液方法
JP2019113470A (ja) * 2017-12-26 2019-07-11 アイシン精機株式会社 流体供給装置および燃料電池システム

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3383572B2 (ja) * 1998-03-12 2003-03-04 矢崎総業株式会社 流量計
JP4032808B2 (ja) * 2002-04-19 2008-01-16 松下電工株式会社 バリカン刃の製造方法
JP2009097931A (ja) * 2007-10-15 2009-05-07 Yokogawa Electric Corp 微小流路流体可視化方法及びこれを用いた装置
JP2009109392A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Konica Minolta Holdings Inc 流量計測装置およびそれを用いる分析装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013007701A (ja) 2013-01-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10222314B2 (en) Flow channel device, complex permittivity measuring apparatus, and dielectric cytometry system
US6213354B1 (en) System and method for dispensing fluid droplets of known volume and generating very low fluid flow rates
JP5650599B2 (ja) 流速測定装置および流速測定方法
Escobedo et al. Optofluidic concentration: plasmonic nanostructure as concentrator and sensor
US8263025B2 (en) Flow cell
EP2230504B1 (en) Capillary pump unit and flow cell
Gillespie et al. Separation of ions in nanofluidic channels with combined pressure-driven and electro-osmotic flow
Di Novo et al. Support-material-free microfluidics on an electrochemical sensors platform by aerosol jet printing
US9052262B2 (en) Control of particle flow in an aperture
JP4683066B2 (ja) 液体混合機構
Heinrich et al. Automated, high-resolution micropipet aspiration reveals new insight into the physical properties of fluid membranes
US20090107907A1 (en) Droplet-based digital microdialysis
CN106694065B (zh) 基于固液摩擦的微流控液体或者气泡检测装置和方法
Li et al. Faradaic ion concentration polarization on a paper fluidic platform
EP2722663B1 (en) Sensor chip used in specimen detection device and specimen detection device using sensor chip
Maleki et al. On the Landau− Levich Transition
Duval et al. Quasi-reversible faradaic depolarization processes in the electrokinetics of the metal/solution interface
JP4657867B2 (ja) マイクロリアクター及びマイクロリアクターシステム
Hossein-Babaei et al. Transient molecular diffusion in microfluidic channels: Modeling and experimental verification of the results
An et al. Reaction-Free concentration gradient generation in spatially nonuniform AC electric fields
CN100385208C (zh) 一种电化学微流量测量方法及电化学微流量传感器
CN101782412A (zh) 微量液体体积测量的方法及装置
Kang Assessment of blood biophysical properties using pressure sensing with micropump and microfluidic comparator
JP4543994B2 (ja) マイクロ総合分析システム
WO2015119072A1 (ja) フローセルおよび送液システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130806

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140421

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5650599

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150