JP2015004540A - 流速測定方法および装置ならびに測定チップおよびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】2つの液を直列的に移送させている流路内で2つの液の接触領域の流速が変化する状態が測定できるようにする。【解決手段】屈折率境界算出部102が、屈折率測定部101により得られた屈折率指標値配列より屈折率境界を求め、屈折率境界関数算出部103が、屈折率境界算出部102が求めた屈折率境界より屈折率境界関数を求め、流速関数算出部104が、屈折率境界関数算出部103が求めた屈折率境界関数から流速関数を求める。【選択図】 図1
Description
本発明は、2つの液を直列的に移送させている流路内で2つの液の接触領域の流速を測定する流速測定方法および装置ならびに測定チップおよびプログラムに関する。
流路内の液体の流速を測定し、測定された流速の圧力依存性から、液体の粘度などの液体の物性値を求めることができる(非特許文献1参照)。流路内を液体が移動する速度(流速)は、流路内面壁での、化学反応,電気化学反応,吸着反応,脱離反応,および触媒反応において反応速度に影響する制御指標である。よって、上述した流速の変化を測定することにより、例えば、順次流路に導入された複数の液体の混合の状態、化学反応の進行状態などを判定(検査)することができる。
このような流路内の液体の流速の測定では、従来より、流路の途中に挿入した流速センサーを用いる方法や、専用の光学機器と試料にマーカーを混入する方法などが知られている(非特許文献2参照)。例えば、マイクロ流路内に、測定対象の液体とともに粒子または、顕微鏡観察で識別できる色素などを混入し、粒子や色素の動きから、画像処理によって流速を測定するPIV(Particle Image Velocimetry)法が知られている。しかしながら、この方法では、試料の状態を変えず、試料における本来の化学反応に影響を与えることなく測定をすることが容易ではない。
上述した方法に対し、マーカーフリーな流速測定方法として、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance;SPR)を用いた流速測定技術がある(特許文献1参照)。この測定技術では、特に、微小体積サンプルの流速測定を、マイクロ流路を用いて行う場合に有用である。この技術では、流路の途中にSPRによる測定面を設けるが、この測定面に垂直な方向の流路の寸法が、400nmまでは、測定の感度を落とさずに短くできる。これは、SPRの屈折率感度が測定面に局在しているためである。
表面プラズモン共鳴(SPR)法では、金や銀などの基板表面から数百nmの範囲の屈折率変化を選択的に検出するので、金属薄膜表面に厚さ数百nmの分子認識膜があると、この薄膜の屈折率を選択的に測定できる。また、多重反射法と異なり、特定の反射面の位置で1回の反射で微小体積の測定でもバルク測定と同じ感度で測定でき、位置分解能が高いという利点がある。
ところで、一般に、マイクロ流路中の流れは層流になり、流速分布は断面形状から予想することができる(非特許文献3参照)。また、マイクロ流路は、流れの方向である長手方向に垂直な面の長さ(流路高さ)が短く(小さく)、特にこの面のアスペクト比が大きな場合に、流路高さは典型的には100μm以下である。このようなマイクロ流路を、液体が層流で流れる場合、流路断面の中心では最高線流速になり、壁面では非常に小さな線流速になる。
屈折率の異なる2種類の混ざり合う液体を連続してマイクロ流路に流すと、2種類の液体が層流で流れる場合、2つの液体は流路を通過中に拡散により混合を起こしながら流れる。断面が矩形で直線流路の場合、特許文献1の方法で、上述した2液の接触する領域(屈折率境界)の移動速度から求めた流速は、混合のためSPRで測定される壁面近傍の線流速が(ノイズとの識別が困難になる非常に遅い流速ではなく)中心線流に近い速度になるために、容易に測定が可能で、体積流速に変換することができる。
P. A. Longwell著, 大谷寛治訳、「化学技術者のための流れ学」、共立出版、37頁,134頁、1970年。
Nam-Trung Nguyen, Steven T. Wereley, "Fundamentals and applications of microfluidics", Artech House, Chapter 8, page 344, Figure 8.1, 2002.
Kenneth S. Breuer, "Microscale DiagnosticTechniques", Springer-Verlag Berlin Heidelberg, page 81, 93, 2005.
しかしながら、特許文献1の方法では、屈折率境界の移動時間を計測しているために、マイクロ流路を流れる流速は、測定時間内で一定である必要があり、一定でない場合には誤差が生じる。
さらに、マイクロ流路内で化学反応が進行して粘度が変化する場合、マイクロ流路を流れる間に変化する流速を測定することが重要となる。例えば、血漿の凝固反応では、凝固の進行に伴う流路内の物質の粘性変化のために、流速が変化する。この流速変化から血液凝固能を測定することができるので、血液凝固能を測定するためには、流速変化を測定することが必要となる。
特許文献1では、SPR測定で一般的な表面での反応を測定する方法で流れる2液は反応しない条件であるため、流路内の場所によらず相関の高い屈折率変化を対象にしていた。しかしこの場合でも、マイクロ流路の内では拡散が支配的であるために、マイクロ流路内を液体が上流から下流に流れるに従って、屈折率分布が変化していくため、実際には、流路内の屈折率分布は、流路の位置により相関が低くなる。
さらに、マイクロ流路の中で2種類の溶液が反応する場合は、一般には、流路内で不均一に起こるために、屈折率分布は時間的に変化する。
従って、マイクロ流路内の各位置における流速、および測定している時間内で時間的に変化している流速の状態を測定することが、2つの液体の接触領域における物性値を求めるためには非常に重要となる。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、2つの液を直列的に移送させている流路内で2つの液の接触領域の流速が変化する状態が測定できるようにすることを目的とする。
本発明に係る流速測定方法は、流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して流路を流れる状態に、第1液および第2液をこの順に一定の圧力で流路に導入して流路を流れる状態とする試料導入ステップと、流路を流れる第1液と第2液とが接触する接触領域が、流路内の流路方向に配列された複数の測定箇所を通過する過程で、複数の測定箇所で流路内を通過する液体の屈折率を設定された時間間隔の複数の測定時刻で時系列に測定し、測定箇所毎および測定時刻毎に測定された複数の屈折率値からなる屈折率指標値配列を得る屈折率測定ステップと、得られた屈折率指標値配列より、各々の測定箇所において測定時刻の変位に対応して変化する屈折率値の中より求められる接触領域に対応する屈折率境界時刻、および各々の測定時刻において測定箇所の変化に対応して変化する屈折率の中より求められる接触領域に対応する屈折率境界位置のいずれかを求める屈折率境界算出ステップと、求めた屈折率境界時刻を測定箇所の配列順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界時刻関数、および求めた屈折率境界位置を測定時刻の順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界位置関数のいずれかを求める屈折率境界関数算出ステップと、求めた屈折率境界時刻関数の時間微分または屈折率境界位置関数の時間微分から、測定時刻における測定時刻流速関数または測定箇所における測定箇所流速関数を求める流速関数算出ステップと、求めた測定時刻流速関数または測定箇所流速関数より、設定した測定時刻における接触領域の速度、および設定した測定箇所における接触領域の速度のいずれかを求める流速算出ステップとを備える。
上記流速測定方法において、屈折率境界算出ステップでは、変化する屈折率の変化速度の極大値を与える測定時刻または測定箇所より屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求める最大変化速度検出ステップ、第1液および第2液の中間の屈折率値を与える測定時刻または測定箇所より屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求めるレベルクロス検出ステップ、変化する屈折率を示す曲線の曲率の絶対値が最大になる測定時刻または測定箇所より屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求める曲率検出ステップのいずれかにより屈折率境界時刻または屈折率境界位置を算出するようにすればよい。
上記流速測定方法において、流路内の流路方向に配列された複数の測定箇所は、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率変化を測定する第1測定箇所と全反射測定による屈折率変化を測定する第2測定箇所とが交互に配列され、複数の第1測定箇所および複数の第2測定箇所毎に、屈折率指標値配列を求め、求めた2つの屈折率指標値配列をもとに、設定した測定箇所における接触領域の速度または設定した測定時刻における接触領域の速度を求めるようにしてもよい。
本発明に係る流速測定装置は、流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して流路を流れる状態に、第1液および第2液をこの順に一定の圧力で流路に導入して流路を流れる状態として第1液と第2液とが接触する接触領域の流速を求める流速測定装置であって、複数の測定箇所で流路内を通過する液体の屈折率を設定された時間間隔の複数の測定時刻で時系列に測定し、測定箇所毎および測定時刻毎に測定された複数の屈折率値からなる屈折率指標値配列を得る屈折率測定手段と、屈折率測定手段により得られた屈折率指標値配列より、各々の測定箇所において測定時刻の変位に対応して変化する屈折率値の中より求められる屈折率境界時刻、および各々の測定時刻において測定箇所の変化に対応して変化する屈折率の中より求められる屈折率境界位置のいずれかを求める屈折率境界算出手段と、屈折率境界算出手段が求めた屈折率境界時刻を測定箇所の配列順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界時刻関数、および求めた屈折率境界位置を測定時刻の順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界位置関数のいずれかを求める屈折率境界関数算出手段と、屈折率境界関数算出手段が求めた屈折率境界時刻関数の時間微分または屈折率境界位置関数の時間微分から、測定時刻における測定時刻流速関数または測定箇所における測定箇所流速関数を求める流速関数算出手段と、流速関数算出手段が求めた測定時刻流速関数または測定箇所流速関数より、設定した測定時刻における接触領域の速度または設定した測定箇所における接触領域の速度を求める流速算出手段とを備え、屈折率境界算出手段は、変化する屈折率の変化速度の極大値を与える測定時刻または測定箇所より屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求める最大変化速度検出手段、第1液および第2液の中間の屈折率値を与える測定時刻または測定箇所より屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求めるレベルクロス検出手段、変化する屈折率を示す曲線の曲率の絶対値が最大になる測定時刻または測定箇所より屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求める曲率検出手段の少なくとも1つを備える。
また、本発明に係る測定チップは、上記流速測定装置で用いる流路が形成された測定チップであり、流路内の流路方向に配列された複数の測定箇所は、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率変化を測定する第1測定箇所と、全反射測定による屈折率変化を測定する第2測定箇所とが交互に配列されている。
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータに前述した流速測定方法の各ステップを実行させるためのプログラムである。
以上説明したことにより、本発明によれば、2つの液を直列的に移送させている流路内で2つの液の接触領域の流速が変化する状態が測定できるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における流速測定装置の構成を示す構成図である。この装置は、流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して流路を流れる状態に、第1液および第2液をこの順に一定の圧力で流路に導入して流路を流れる状態として第1液と第2液とが接触する接触領域の流速を求める流速測定装置であり、屈折率測定部101,屈折率境界算出部102,屈折率境界関数算出部103,流速関数算出部104,流速算出部105,およびフィルター部106を備える。
屈折率測定部101は、複数の測定箇所で流路内を通過する液体の屈折率を設定された時間間隔の複数の測定時刻で時系列に測定し、測定箇所毎および測定時刻毎に測定された複数の屈折率値からなる屈折率指標値配列を得る。
屈折率境界算出部102は、屈折率測定部101により得られた屈折率指標値配列より、各々の測定箇所において測定時刻の変位に対応して変化する屈折率値の中より求められる屈折率境界時刻、および各々の測定時刻において測定箇所の変化に対応して変化する屈折率の中より求められる屈折率境界位置のいずれかを求める。
屈折率境界関数算出部103は、屈折率境界算出部102が求めた屈折率境界時刻を測定箇所の配列順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界時刻関数、および求めた屈折率境界位置を測定時刻の順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界位置関数のいずれかを求める。
流速関数算出部104は、屈折率境界関数算出部103が求めた屈折率境界時刻関数の時間微分または屈折率境界位置関数の時間微分から、測定時刻における測定時刻流速関数または測定箇所における測定箇所流速関数を求める。
流速算出部105は、流速関数算出部104が求めた測定時刻流速関数または測定箇所流速関数より、設定した測定時刻における接触領域の速度または設定した測定箇所における接触領域の速度を求める。
また、屈折率境界算出部102は、最大変化速度検出部121,レベルクロス検出部122,曲率検出部123を備える。例えば、屈折率測定部101の測定により得られた屈折率指標値の特性により、屈折率境界算出部102では、最大変化速度検出部121,レベルクロス検出部122,曲率検出部123のいずれかを選択し、屈折率境界時刻または屈折率境界位置を算出する。
最大変化速度検出部121は、変化する屈折率の変化速度の極大値を与える測定時刻または測定箇所より屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求める。レベルクロス検出部122は、第1液および第2液の中間の屈折率値を与える測定時刻または測定箇所より屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求める。曲率検出部123は、変化する屈折率を示す曲線の曲率の絶対値が最大になる測定時刻または測定箇所より屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求める。
なお、フィルター部106は、屈折率測定部101の測定により得られた屈折率指標値配列をフィルター処理し、ノイズを除去する。フィルター部106は、例えば、フーリエフィルター、多項式フィルターなどにより、屈折率指標値配列よりノイズを除去する。
次に、本発明の実施の形態における流速測定装置の動作(流速測定方法)について、図2のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS201で、流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して流路を流れる状態に、第1液および第2液をこの順に一定の圧力で流路に導入して流路を流れる状態とする(試料導入ステップ)。
次に、ステップS202で、屈折率測定部101が、流路を流れる第1液と第2液とが接触する接触領域が、流路内の流路方向に配列された複数の測定箇所を通過する過程で、複数の測定箇所で流路内を通過する液体の屈折率を設定された時間間隔の複数の測定時刻で時系列に測定し、測定箇所毎および測定時刻毎に測定された複数の屈折率値からなる屈折率指標値配列を得る(屈折率測定ステップ)。
次に、ステップS203で、屈折率境界算出部102が、屈折率測定部101で測定されてフィルター部106によりノイズ除去された屈折率指標値配列より、各々の測定箇所において測定時刻の変位に対応して変化する屈折率値の中より求められる接触領域に対応する屈折率境界時刻、および各々の測定時刻において測定箇所の変化に対応して変化する屈折率の中より求められる接触領域に対応する屈折率境界位置のいずれかを求める(屈折率境界算出ステップ)。
次に、ステップS204で、屈折率境界関数算出部103が、屈折率境界算出部102で求めた屈折率境界時刻を測定箇所の配列順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界時刻関数、および求めた屈折率境界位置を測定時刻の順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界位置関数のいずれかを求める(屈折率境界関数算出ステップ)。
次に、ステップS205で、流速関数算出部104が、屈折率境界関数算出部103で求めた屈折率境界時刻関数の時間微分または屈折率境界位置関数の時間微分から、測定時刻における測定時刻流速関数または測定箇所における測定箇所流速関数を求める(流速関数算出ステップ)。屈折率境界位置関数の時間微分は、流速に比例し、屈折率境界時刻関数の時間微分は、この逆数が流速に比例する。
次に、ステップS206で、流速算出部105が、流速関数算出部104で求めた測定箇所流速関数または測定時刻流速関数より、設定した測定箇所における接触領域の速度または設定した測定時刻における接触領域の速度を求める(流速算出ステップ)。
ここで、ステップS203では、最大変化速度検出ステップ,レベルクロス検出ステップ,曲率検出ステップのいずれかにより、屈折率境界時刻または屈折率境界位置を算出する。最大変化速度検出ステップでは、変化する屈折率の変化速度の極大値を与える測定時刻または測定箇所より、屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求める。レベルクロス検出ステップでは、第1液および第2液の中間の屈折率値を与える測定時刻または測定箇所より、屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求める。曲率検出ステップでは、変化する屈折率を示す曲線の曲率の絶対値が最大になる測定時刻または測定箇所より、屈折率境界時刻または屈折率境界位置を求める。
ここで、屈折率境界算出部102における屈折率境界算出について説明する。前述したように、屈折率境界算出では、最大変化速度の検出,レベルクロスの検出,曲率の検出のいずれかにより屈折率境界時刻または屈折率境界位置を算出する。
最大変化速度の検出は、屈折率変化が微小で多段階の場合であっても屈折率境界時刻および屈折率境界を計算することができるが、そのノイズは比較的大きい。
レベルクロスの検出は、屈折率変化が1段階である場合にはノイズの少ない良好なデータを与えるが、2つの液の屈折率が接近している場合には不適である。
曲率の検出は、2つの液の接触領域における反応の進行状況によらず、後から送流した液の到達の検出には有効であるが、接触領域における混合が速く、屈折率変化が急峻に始まらない場合や、拡散で変化が緩やかになる下流ではノイズが増大する。
従って、得られた屈折率指標値の状態により、上述した各検出手段の特性を考慮していずれかを選択して屈折率境界時刻または屈折率境界位置を算出する。
ところで、同一の測定箇所で、屈折率境界が複数の時刻(時間)で存在する場合には、屈折率境界が連続するように選択する。このようにすることで、流路中で複数の化学反応または、化学反応ステップがあっても、各化学反応,各化学感応ステップを分離して測定できる。
一方、特定の時刻での流路中の屈折率境界は、流路中での混合と化学反応の条件によって特徴的な形状になる(特願2013−108947,特願2013−108949)。前述したように、屈折率境界の算出アルゴリズムによっては、複数の境界を検出する。例えば、複数のピークまたはバレーのある屈折率境界の形状の場合、前述した各々の屈折率境界計算法では、ピークまたはバレーの前縁と後縁部分を境界として検出する。このように検出された境界位置または時刻は、特徴量として、反応に関与する物質の濃度に関連づけることができる。
屈折率境界関数は、多項式または区分的多項式、あるいは関数が予測される場合は、この予測を記述するパラメーターを含む任意の関数を用いることができる。多項式は、流路内で粘度の1段階の変化など、単純な反応が進行する場合に適する。区分的多項式は、流路内で多段階の化学反応が進行する場合、例えば血液の凝固反応が起こる場合に適する。
屈折率境界は、値の変化が小さい場合や緩慢な変化では、ノイズが大きくなる。また、流路の汚染、光路に入ったごみなどにより、局所的なグリッジが入ることがある。屈折率境界関数は、大域的なノイズや局所的に入ったグリッジに対して、あらかじめ流路内の反応をモデル化し、少ないパラメーターで表現できる関数を選択することによって、ノイズの影響を受けにくい測定ができる。
例えば、粘度の異なる液体を順次流路に流し、これら液体の間には流れに垂直な境界面が形成され、流路内の2種類の液体の体積分率に比例する流速で流れる場合、単調に変化する関数になる。従って、この場合の屈折率境界関数は、3個程度のパラメーターで記述できる。また、例えば、凝固試薬と血漿とを、流路の両端を一定の圧力にして流す場合には、複雑な境界形状になるが、3次程度の多項式で近似でき、4個のパラメーターで記述できる。このようなパラメーターを用いると、反応に関与する濃度と、液体の粘度とを分離して測定することができる(特願2013−104736)。
マイクロ流路を流れるなかで化学反応するサンプルは、拡散しながら流れる。このため、反応に関与する分子の濃度分布は、反応速度と拡散係数によって異なる。反応が、多反応、多段階反応の場合には、上記濃度分布から、どの反応に関与する分子の移動を観測しているかに関する情報を得ることができる。
本実施の形態における流速測定装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)と主記憶装置と外部記憶装置とネットワーク接続装置となどを備えたコンピュータ機器であり、主記憶装置に展開されたプログラムによりCPUが動作することで、上述した各機能が実現される。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させるようにしてもよい。
以下、実施例を用いてより詳細に説明する。
[実施例1]
実施例1では、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率変化を測定する場合を例に説明する。
実施例1では、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率変化を測定する場合を例に説明する。
まず、用いる測定チップについて説明する。図3の(a),(b),(c)に示すように、測定チップ301は、BK7ガラスからなる基板311の上に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる流路基板312を備える。また、流路基板312に形成した溝により、マイクロ流路313が形成されている。また、マイクロ流路313の一端には、導入口314が接続し、マイクロ流路313の他端には、排出口315が接続している。導入口314および排出口315は、流路基板312に形成された貫通穴である。
また、マイクロ流路313の途中における基板311の表面上には、表面をAu層とした金属層316が形成されている。また、測定チップ301は、ハウジング302に収容されている。また、排出口315には、廃液チューブ303が接続されている。
上述した測定チップ301の製造について簡単に説明する。まず、BK7ガラスからなる基板311を用意する。用意した基板311の主表面に、上述した金属層316を形成する領域を露出させ、他の領域を覆い隠すようにマスキングテープを貼り付ける。この状態で、スパッタ法により、まず、Tiを堆積し、引き続いてAuを堆積する。この後、マスキングテープを剥離する。これにより、表面をAu層とする金属層316が形成される。
次に、化薬マイクロケム株式会社製の「SU−8」などのネガ型のフォトレジストを用い、Si基板の上に流路型などを備える鋳型を形成する。この鋳型に、東レダウコーニング社製PDMSのモノマーを注入して硬化させ、これを離型することで、流路基板312とする。流路基板312は、流路長さ6mmで、幅1mm,高さ75μmの断面矩形のマイクロ流路313となる溝部を備える。また、流路基板312に、貫通穴を形成することで、溝部の一端に接続する導入口314および溝部の他端に接続する排出口315を形成する。これらの貫通穴は、カイインダストリーズ社製生研トレパンを用いて加工した。
次に、アネルバ社製RIE装置DEM451を用い、基板311の主表面および流路基板312の溝形成面にプラズマを照射して活性化させ、これらの面を当接して接着する。この結果、基板311と流路基板312との間に、流路長さ6mmで、幅1mm,高さ75μmの断面矩形のマイクロ流路313が形成された状態となる。また、排出口315には、内径1/16インチ(約1mm)のFEPチューブ(アップチャーチ製)からなる廃液チューブ303を挿入した。
上述した測定チップ301は、図3の(d)に示すNTTAT社製スマートSPR(SPR装置)に固定して用いる。また、廃液チューブ303を介した吸引を行う定圧ポンプには、「Fluigent」社製の「MFCS−VAC」を用いた。定圧ポンプ「MFCS−VAC」は、設定した大気圧よりも低い圧力に気液分離装置内の圧力を一定にすることができる。廃液チューブ303は、定圧ポンプ「MFCS−VAC」に付属の流路計に接続し、気液分離装置を経て、定圧ポンプ「MFCS−VAC」に接続した。
上述した装置構成において、定圧ポンプの動作条件を大気圧下10mbarに設定し、マイクロ流路313に、導入口314から水およびグルコース水溶液を順次送液した。この状態で、金属層316が形成されている測定領域における屈折率を、上述した特許文献1と同様のSPR装置で測定した。なお、SPR装置の受光部を構成しているCCDイメージセンサーのフレームレートは150FPSとした。
マイクロ流路313に2種類の粘度の異なる液体が順次流れる場合、粘度が高い方が流速は遅くなるので、マイクロ流路313中を、上述した2液が混合しながら流れる場合、流れている間に流速が変化する。
実施例1では、マイクロ流路313をまず水で満たし、この後、濃度を調節したグルコース溶液を流す。流れ始めは、水の粘度で決まる流速で流れる。また、マイクロ流路313の内部がグルコース溶液で置換されると、グルコース溶液の粘度で決まる流速で流れる。この間の時間では、流速が徐々に遅くなる。
上述したSPR測定の結果、SPR装置から、図4に示す屈折率指標値配列(SPR角度)を得た。屈折率指標値配列は、変化が濃淡で示される屈折率値(屈折率指標値)が、流路長手方向の位置と時間(時刻)との2次元に配列されている。この配列に対し、プログラミング言語「octave」と、このライブラリーを用いて以下の操作を行った。
まず、得られた屈折率指標値配列の各場所で、時間方向に「Savitzky−Golay」の方法で数値微分する。これにより、図5に示す配列が得られる。図5に示す配列は、濃淡で示される屈折率値の時間微分値が、流路長手方向の位置と時刻との2次元に配列されている。次いで、図5に示した配列の各場所で、微分値の絶対値が最小の配列インデックスの前後を、1次関数でフィッティングし、この値が0になる時刻を求め、屈折率境界時刻とする(屈折率境界算出ステップ)。
次に、得られた各位置での屈折率境界時刻を並べ、図6に示す屈折率境界配列とする。次いで、求めた屈折率境界配列を3次の多項式で近似し、図7に示す状態となる屈折率境界時刻関数とする(屈折率境界関数算出ステップ)。なお、この例では、後述するように、2液を順次流す単純な例を示しており、屈折率境界配列と屈折率境界時刻関数とが同様の状態となる。
次に、算出した屈折率境界時刻関数の微分の逆数を取って、図8に示す状態となる測定時刻流速関数とする(流速関数算出ステップ)。図8に示す状態は、マイクロ流路313の両端に一定の圧力がかかっている状態で、粘度の低い水から、粘度の高いグルコース溶液にマイクロ流路313の内部が置き換わる過程で、流速が次第に低下することを示している。
上述したように、実施例1によれば、流路内で変化する流速を測定することができた。この場合、水およびグルコース溶液の2液を順次流す単純な場合であり、屈折率境界関数とこの傾きの逆数である流速関数は、ほぼ単調な曲線になった。また、屈折率境界時刻(位置)を計算する方法によらず、ほぼ同様の傾向を示した。なお、上述では、屈折率境界時刻,屈折率境界時刻関数,測定時刻流速関数を求める例を示したが、屈折率境界位置,屈折率境界位置関数,測定箇所流速関数を求めるようにしても同様である。この場合、屈折率境界位置関数の微分を取れば、測定箇所流速関数となる。
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。実施例2では、全反射測定で屈折率変化を測定する場合を例に説明する。上述したSPR測定で用いた測定チップで金属層が形成されていない場合、マイクロ流路の下面となるガラスからなる透明な基板で全反射が起きる。全反射が起きる入射角度(臨界角)を屈折率指標値とすることができる。この測定は、SPRを実現する光学系およびマイクロ流路の形状を変更することなく行うことができる。
次に、実施例2について説明する。実施例2では、全反射測定で屈折率変化を測定する場合を例に説明する。上述したSPR測定で用いた測定チップで金属層が形成されていない場合、マイクロ流路の下面となるガラスからなる透明な基板で全反射が起きる。全反射が起きる入射角度(臨界角)を屈折率指標値とすることができる。この測定は、SPRを実現する光学系およびマイクロ流路の形状を変更することなく行うことができる。
ここで、SPRによる屈折率(SPR角度)の測定と、全反射測定による屈折率(臨界角度)の測定との比較について説明する。
SPR角度と臨界角度では、屈折率変化を検出できる感度の反射面(流路内測定面)からの距離依存性が異なる。SPR角度の場合、Auからなる金属層の上に2μmの屈折率の変化しないP層があり、P層の上にバルク層がある。バルク層の屈折率が変化する場合の反射率の入射角度依存性を計算し、P偏光反射率を等高線で表示すると、図9に示す状態となる。
バルク層は金属層表面から2μm離れているために、バルク層の屈折率が変化しても、SPRの効果がおよばない。このため、反射率の谷の入射角度であるSPR角度は、バルク層における屈折率の変化が検出できない。一方、直接屈折率の変化しないP層が2μm形成された場合は、バルク層の屈折率変化に伴って、図10に示すように臨界角度が変化する。このように、反射面から2μm離れている流路中の屈折率指標値は、臨界角度を用いると変化を検出できるが、SPR角度では検出されない。言い換えると、反射面から2μm離れている流路中の屈折率指標値は、臨界角度を用いると変化を検出できるが、SPR角度では検出されない。
逆に、反射面(検出面)から200nmのP層の屈折率が変化し、バルク層の屈折率が変化しない場合、図11に示すようにSPR角度は変化するが、臨界角度は、図12に示されているように変化しない。従って、SPR角度と臨界角では、検出できる屈折率変化の流路の壁面からの距離依存性が異なる。
上述した違いを確認するために、実施例2では、全反射測定で屈折率変化を測定する。実施例2では、実施例1で用いた測定チップ301において、金属層316を形成しない構成の測定チップを用いた。
はじめに、前述した実施例1と同様に、測定チップのマイクロ流路をより薄い濃度のグルコース溶液で満たし、この後、より高い濃度のグルコース溶液を流す。流れ始めは、低濃度のグルコース溶液の粘度で決まる流速で流れる。また、マイクロ流路の内部が高濃度グルコース溶液で置換されると、高濃度グルコース溶液の粘度で決まる流速で流れる。この間の時間では、流速が徐々に遅くなる。実施例2では、上述したように、濃度の異なる2つのグルコース溶液を流した。SPR角度に比べて臨界角度は小さな入射角度になるので、2つの液の屈折率を上げ、実施例1の場合と同じ光学系(測定装置)で測定できるように設定した。
実施例2では、まず、図13に示すように屈折率指標値配列(臨界角度)が得られる。屈折率指標値配列は、濃淡で示される屈折率値(屈折率指標値)が、流路長手方向の位置と時間との2次元に配列されている。この配列より、図14に示す配列を得る。図14に示す配列では、濃淡で示される屈折率値の時間微分値が、流路長手方向の位置と時間との2次元に配列されている
次に、図14に示した配列の各場所で、微分値の絶対値が最小の配列インデックスの前後を、1次関数でフィッティングし、この値が0になる時間を求め、屈折率境界時刻とする。次いで、得られた各位置での屈折率境界時刻を並べ、図15の(a)に示す屈折率境界配列とする。次いで、求めた屈折率境界配列を3次の多項式で近似し、図15の(b)に示す状態となる屈折率境界関数とする。この例においても、2液を順次流す単純な例を示しており、屈折率境界配列と屈折率境界時刻関数とが同様の状態となる。
実施例2においても、濃度が異なる2つのグルコース溶液を順次流す単純な場合であり、屈折率境界関数とこの傾きの逆数である流速関数は、ほぼ単調な曲線になる。また、屈折率境界時刻(位置)を計算する方法によらず、ほぼ同様の傾向を示した。
臨界角を用いて屈折率境界を求める場合、SPRでの測定に比して全反射面から流路中央まで濃度の変化がない必要がある。この測定で得られた流速と体積流速の比は、同じ流路で構成した測定チップを用いた実施例1の方法で得られた流速と体積流速との比と同じであった。従って、実施例2によれば、流路断面方向に、SPRで測定される感度領域(200nm)よりも広い範囲に比較的均一な濃度分布を持つことがわかる。
グルコースの水溶液中での拡散係数は1e-5cm2/sオーダーなので、実施例2で用いたマイクロ流路の寸法と測定時間(約1秒)では、この時間内での流れによる物質移動に比して拡散が支配的であることと一致する。
[実施例3]
次に、実施例3について説明する。実施例3では、実施例1と同様の装置構成としたSPRによる測定で、2つの液として血漿と凝固試薬とを対象とした。実施例3では、マイクロ流路313をまず凝固活性剤で満たし、この後、血漿を流す(特許文献2参照)。
次に、実施例3について説明する。実施例3では、実施例1と同様の装置構成としたSPRによる測定で、2つの液として血漿と凝固試薬とを対象とした。実施例3では、マイクロ流路313をまず凝固活性剤で満たし、この後、血漿を流す(特許文献2参照)。
実施例3においても、測定により得られた屈折率指標値配列より屈折率境界(屈折率境界時刻または屈折率境界位置)を求める。ここで、実施例3では、屈折率境界を求める3つの計算方法(最大変化速度検出,レベルクロス検出,曲率検出)で、図16に示すように、異なる屈折率境界が検出された。図16において、(a)は、最大変化速度検出により算出された屈折率境界、(b)は、レベルクロス検出により算出された屈折率境界、(c)は、曲率検出により算出された屈折率境界を示す。また、これらの結果は、血漿をバッファーで希釈すると、希釈率に従って変化した。
また、算出した屈折率境界関数は、希釈率に従って、検出される時間の平均、および関数の形状が変化した。また、上述した屈折率境界の計算方法によっても、異なる形状の屈折率境界が得られた。さらに凝固開始剤を変えると、屈折率境界の形状が、凝固反応のカスケード経路に依存して変化した。
[実施例4]
次に、本発明の実施例4について説明する。実施例4では、流路内の流路方向に配列された複数の測定箇所が、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率変化を測定する第1測定箇所(金属層が形成されている)と、全反射測定による屈折率変化を測定する第2測定箇所(金属層がない)とを交互に配列して構成した測定チップを用いている。例えば、図17の平面図に示すように、BK7ガラスからなる基板511の上に形成されているマイクロ流路513に、所定の間隔を開けて複数の金属層516を形成すればよい。他の構成は、図3を用いて説明した測定チップ301と同様である。
次に、本発明の実施例4について説明する。実施例4では、流路内の流路方向に配列された複数の測定箇所が、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率変化を測定する第1測定箇所(金属層が形成されている)と、全反射測定による屈折率変化を測定する第2測定箇所(金属層がない)とを交互に配列して構成した測定チップを用いている。例えば、図17の平面図に示すように、BK7ガラスからなる基板511の上に形成されているマイクロ流路513に、所定の間隔を開けて複数の金属層516を形成すればよい。他の構成は、図3を用いて説明した測定チップ301と同様である。
上述した構成とすることで、図18の(a)に示す金属層516の部分では、図18の(b)に示すようにSPRが観測でき、図18の(a)に示す金属層516以外の部分では、図18の(b)に示すように全反射が観測できる。図18の(b)では、濃淡で測定値の高低を示している。前述した実施例3と同様に、2種類の液体を順次送液し、同様に測定した。この測定で、SPR測定による反射率低下と全反射測定による臨界角が、1つのマイクロ流路513で実施できるように、抗体溶液を用いて2種類の液体の屈折率を調整した。なお、前述したように、SPR角度に比べて臨界角度は小さな入射角度になるので、両者による測定が可能とする広い範囲の入射角が設定できる測定装置を用いることが重要となる。
上述した測定により、金属層516の部分とこれ以外の部分とは、反射率の値から見分けることができた。金属層516と、BK7からなる基板511が露出している部分に対し、各々SPR角度と臨界角を求め、屈折率指標値配列とした。屈折率指標値配列より上述した実施例と同様に屈折率境界関数を求め、流速を計算することができた。実施例4では、1つのマイクロ流路513を用い、同じサンプルに対して、1回の測定でSPRと全反射による流速の測定を行うことができ、屈折率境界関数を2セット得ることができる。
実施例4の測定によって、流れがマイクロ流路の壁近傍に偏在するか、マイクロ流路内でより均一に流れているかを見分けることができるという特別な効果が得られる。この効果は、マイクロ流路中の2種類の液体境界で化学反応が進行する場合に、2セットの屈折率境界関数と、反応条件の相関をあらかじめ求めておくことで、反応に関与する分子の濃度や、活量をより正確に測定できるようになる。
以上に説明したように、本発明では、得られた屈折率指標値配列より屈折率境界(屈折率境界時刻または屈折率境界位置)を求め、求めた屈折率境界時刻をより屈折率境界関数(屈折率境界時刻関数または屈折率境界位置関数)を求め、求めた屈折率境界関数から流速関数(測定箇所流速関数または測定時刻流速関数)を求め、求めた所流速関数より、設定した測定箇所における接触領域の速度または設定した測定時刻における接触領域の速度を求めるようにした。この結果、本発明によれば、2つの液を直列的に移送させている流路内で2つの液の接触領域の流速が変化する状態が測定できるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…屈折率測定部、102…屈折率境界算出部、103…屈折率境界関数算出部、104…流速関数算出部、105…流速算出部、106…フィルター部、121…最大変化速度検出部、122…レベルクロス検出部、123…曲率検出部。
Claims (6)
- 流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して前記流路を流れる状態に、第1液および第2液をこの順に一定の圧力で前記流路に導入して前記流路を流れる状態とする試料導入ステップと、
前記流路を流れる前記第1液と前記第2液とが接触する接触領域が、前記流路内の流路方向に配列された複数の測定箇所を通過する過程で、複数の前記測定箇所で前記流路内を通過する液体の屈折率を設定された時間間隔の複数の測定時刻で時系列に測定し、測定箇所毎および測定時刻毎に測定された複数の屈折率値からなる屈折率指標値配列を得る屈折率測定ステップと、
得られた屈折率指標値配列より、各々の前記測定箇所において前記測定時刻の変位に対応して変化する屈折率値の中より求められる前記接触領域に対応する屈折率境界時刻、および各々の前記測定時刻において前記測定箇所の変化に対応して変化する屈折率の中より求められる前記接触領域に対応する屈折率境界位置のいずれかを求める屈折率境界算出ステップと、
求めた屈折率境界時刻を前記測定箇所の配列順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界時刻関数、および求めた屈折率境界位置を前記測定時刻の順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界位置関数のいずれかを求める屈折率境界関数算出ステップと、
求めた屈折率境界時刻関数の時間微分または屈折率境界位置関数の時間微分から、前記測定時刻における測定時刻流速関数または前記測定箇所における測定箇所流速関数を求める流速関数算出ステップと、
求めた測定時刻流速関数または測定箇所流速関数より、設定した測定時刻における前記接触領域の速度、および設定した測定箇所における前記接触領域の速度のいずれかを求める流速算出ステップと
を備えることを特徴とする流速測定方法。 - 請求項1記載の流速測定方法において、
屈折率境界算出ステップでは、
変化する屈折率の変化速度の極大値を与える測定時刻または測定箇所より前記屈折率境界時刻または前記屈折率境界位置を求める最大変化速度検出ステップ、
前記第1液および前記第2液の中間の屈折率値を与える測定時刻または測定箇所より前記屈折率境界時刻または前記屈折率境界位置を求めるレベルクロス検出ステップ、
変化する屈折率を示す曲線の曲率の絶対値が最大になる測定時刻または測定箇所より前記屈折率境界時刻または前記屈折率境界位置を求める曲率検出ステップ
のいずれかにより前記屈折率境界時刻または前記屈折率境界位置を算出することを特徴とする流速測定方法。 - 請求項1または2記載の流速測定方法において、
前記流路内の流路方向に配列された複数の測定箇所は、表面プラズモン共鳴に基づく屈折率変化を測定する第1測定箇所と全反射測定による屈折率変化を測定する第2測定箇所とが交互に配列され、
複数の前記第1測定箇所および複数の前記第2測定箇所毎に、前記屈折率指標値配列を求め、求めた2つの前記屈折率指標値配列をもとに、設定した測定箇所における前記接触領域の速度または設定した測定時刻における前記接触領域の速度を求める
ことを特徴とする流速測定方法。 - 流路の延在方向に直列に配列して隣り合う部分が接触して前記流路を流れる状態に、第1液および第2液をこの順に一定の圧力で前記流路に導入して前記流路を流れる状態として前記第1液と前記第2液とが接触する接触領域の流速を求める流速測定装置であって、
複数の測定箇所で前記流路内を通過する液体の屈折率を設定された時間間隔の複数の測定時刻で時系列に測定し、測定箇所毎および測定時刻毎に測定された複数の屈折率値からなる屈折率指標値配列を得る屈折率測定手段と、
前記屈折率測定手段により得られた屈折率指標値配列より、各々の前記測定箇所において前記測定時刻の変位に対応して変化する屈折率値の中より求められる屈折率境界時刻、および各々の前記測定時刻において前記測定箇所の変化に対応して変化する屈折率の中より求められる屈折率境界位置のいずれかを求める屈折率境界算出手段と、
前記屈折率境界算出手段が求めた屈折率境界時刻を前記測定箇所の配列順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界時刻関数、および求めた屈折率境界位置を前記測定時刻の順に並べた配列を連続に接続する屈折率境界位置関数のいずれかを求める屈折率境界関数算出手段と、
前記屈折率境界関数算出手段が求めた屈折率境界時刻関数の時間微分または屈折率境界位置関数の時間微分から、前記測定時刻における測定時刻流速関数または前記測定箇所における測定箇所流速関数を求める流速関数算出手段と、
前記流速関数算出手段が求めた測定時刻流速関数または測定箇所流速関数より、設定した測定時刻における接触領域の速度または設定した測定箇所における前記接触領域の速度を求める流速算出手段と
を備え、
屈折率境界算出手段は、
変化する屈折率の変化速度の極大値を与える測定時刻または測定箇所より前記屈折率境界時刻または前記屈折率境界位置を求める最大変化速度検出手段、
前記第1液および前記第2液の中間の屈折率値を与える測定時刻または測定箇所より前記屈折率境界時刻または前記屈折率境界位置を求めるレベルクロス検出手段、
変化する屈折率を示す曲線の曲率の絶対値が最大になる測定時刻または測定箇所より前記屈折率境界時刻または前記屈折率境界位置を求める曲率検出手段
の少なくとも1つを備えることを特徴とする流速測定装置。 - 請求項4記載の流速測定装置で用いる前記流路が形成された測定チップであって、
前記流路内の流路方向に配列された複数の測定箇所は、
表面プラズモン共鳴に基づく屈折率変化を測定する第1測定箇所と、
全反射測定による屈折率変化を測定する第2測定箇所と
が交互に配列されていることを特徴とする測定チップ。 - コンピュータに請求項1記載の流速測定方法の各ステップを実行させるためのプログラム。
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JP2017015424A (ja) * | 2015-06-29 | 2017-01-19 | 日本電信電話株式会社 | 分子量分布測定方法および分子量分布測定装置 |
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---|---|---|---|---|
JP2007240501A (ja) * | 2006-03-13 | 2007-09-20 | Canon Inc | 流速測定装置及び流速測定方法 |
JP2013007701A (ja) * | 2011-06-27 | 2013-01-10 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 流速測定装置および流速測定方法 |
-
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- 2013-06-19 JP JP2013128859A patent/JP2015004540A/ja active Pending
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