(本発明の基礎となった知見)
照明用光源に用いられる駆動回路では、照明用光源の消灯時において、漏れ電流により光源のちらつきなどの誤作動が発生する場合がある。以下、図1を用いて誤作動の発生原理について説明する。
図1は、従来の照明用光源の駆動回路の回路構成を示す図である。
図1に示される駆動回路40aでは、第1の整流回路110から所定値の入力電圧Vinがインバータ制御回路130aに入力された場合、コンデンサC3に電流が流れ込み、コンデンサC3の両端に動作電圧が保持される。これによりトリガダイオードTDは、ブレークオーバーして導通状態となる。トリガダイオードTDは、インバータ120の制御端子であるスイッチング素子Q2のベースに接続されているため、トリガダイオードTDが導通状態となることによってインバータ120の動作が開始する。すなわち、LED22が発光する。
一方、消灯時には、通常、コンデンサC3の両端に保持される電圧が動作電圧に達しない。このため、トリガダイオードTDは、導通状態にはならず、インバータ120の動作が開始されないため、LED22は発光しない。
しかしながら、漏れ電流が第1の整流回路に流れ込むことにより、第1の整流回路110から所定値よりも小さい電圧がインバータ制御回路130aに入力され、コンデンサC3の両端の電圧が動作電圧に達してしまう場合がある。このような場合は、トリガダイオードTDが導通状態となることによってインバータ120の動作が開始し、LED22が発光するが、同時にインバータ制御回路130aに入力される電圧が低下するため、LED22は消灯する。これらの繰り返しが、消灯時における照明用光源のちらつきの誤作動となる。
このような誤作動の原因となる漏れ電流は、特に、図1に示される、いわゆるホタルスイッチ(半導体スイッチ)などからなるスイッチ回路160が接続されている場合に発生しやすい。また、従来の電球形蛍光灯は、始動電圧が高いため漏れ電流によるちらつきは生じにくいが、LEDなどの発光素子では始動電圧が低いために漏れ電流によるちらつきは生じやすい傾向にある。
そこで本発明は、消灯時にちらつきなどの誤作動が発生することを防止し、光源を確実に消灯することができる誤作動防止回路等を提供する。
以下、本実施の形態に係る誤作動防止回路が適用された照明用光源及び照明装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置や接続形態、及び、工程(ステップ)や工程の順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
以下の実施の形態では、照明用光源の一例として、電球形LEDランプ(LED電球)について説明する。
(実施の形態1)
(電球形ランプの全体構成)
まず、実施の形態1に係る電球形ランプ1の全体構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、実施の形態1に係る電球形ランプの側面図である。また、図3は、実施の形態1に係る電球形ランプの断面図である。
図2に示すように、実施の形態1に係る電球形ランプ1は、電球形蛍光灯又は白熱電球の代替品となる電球形LEDランプであって、グローブ10と筐体60と口金70とによって外囲器が構成されている。
図3に示すように、電球形ランプ1は、グローブ10と、LEDモジュール20と、LEDモジュール20を支持する支持台30と、LEDモジュール20(LED22)を駆動する駆動回路40と、駆動回路40を保持する回路ホルダ50と、駆動回路40を囲むように構成された筐体60と、外部から電力を受電する口金70とを備える。
なお、図3において、紙面上下方向に沿って描かれた一点鎖線は電球形ランプのランプ軸J(中心軸)を示しており、実施の形態1において、ランプ軸Jは、グローブ軸と一致している。また、ランプ軸Jとは、電球形ランプ1を照明装置(不図示)のソケットに取り付ける際の回転中心となる軸であり、口金70の回転軸と一致している。
(グローブ)
図3に示すように、グローブ10は、LEDモジュール20を覆う透光性カバーであって、LEDモジュール20から放出される光をランプ外部に取り出すように構成されている。したがって、グローブ10の内面に入射したLEDモジュール20の光は、グローブ10を透過してグローブ10の外部へと取り出される。
グローブ10は、開口部を有する中空の回転体であり、実施の形態1では、開口部が絞られた略半球状に構成されている。図3に示すように、グローブ10の開口部は支持台30に当接している。開口部と支持台30と筐体60とは、シリコーン樹脂等の接着剤(不図示)によって固着される。
グローブ10は、内部のLEDモジュール20を視認できるように透明であってもよく、また、グローブ10に光拡散機能を持たせて透明でなくてもよい。グローブ10に光拡散機能を持たせる場合、例えば、シリカや炭酸カルシウム等の光拡散材を含有する樹脂や白色顔料等をグローブ10の内面又は外面の全面に塗布することによって乳白色の光拡散膜を形成すればよい。
グローブ10の材質としては、シリカガラス等のガラス材、又は、アクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)等の樹脂材等を用いることができる。なお、グローブ10の形状としては、白熱電球と同様のものを用いてもよい。
(LEDモジュール)
LEDモジュール20は、発光素子を有する発光モジュールであって、白色等の所定の色(波長)の光を放出する。図3に示すように、LEDモジュール20は、支持台30に載置されており、駆動回路40から供給される電力によって発光する。
図3に示すように、LEDモジュール20は、基板21と、基板21に実装されたLED22とを備える。実施の形態1におけるLEDモジュール20は、SMD(Surface Mount Device)型のLED22を用いて構成されている。
基板21は、LED22を実装するための実装基板である。基板21は、例えば、アルミナ等のセラミックスからなるセラミックス基板、樹脂基板又はメタルベース基板であり、平面視形状が略矩形又は円形の板状基板を用いることができる。
基板21は、裏面が支持台30の表面と面接触するようにして支持台30に取り付けられる。なお、図示されていないが、基板21の表面には、複数の電極端子が設けられ、電極端子の各々には、駆動回路40から導出されるリード線が半田接続される。また、基板21の表面には、電極端子と複数のLED22とを電気的に接続するための金属配線がパターン形成されている。
各LED22は、発光素子の一例であって、所定の電力により発光する。実施の形態1におけるLED22は、SMD型の発光素子であり、例えば、凹部を有する樹脂製の容器と、凹部の中に実装されたLEDチップと、凹部内に封入された封止部材(蛍光体含有樹脂)とを備える。
LEDチップとしては、例えば、通電されれば青色光を発する青色LEDチップを用いることができる。この場合、封止部材としては、YAG系の黄色蛍光体粒子が含有されたシリコーン樹脂を用いることができる。これにより、LEDチップが発した青色光の一部は封止部材に含まれる黄色蛍光体粒子によって黄色光に波長変換され、黄色蛍光体粒子に吸収されなかった青色光と黄色蛍光体粒子によって波長変換された黄色光とが混ざって白色光となって出射される。
(支持台)
支持台30(モジュールプレート)は、LEDモジュール20を支持する支持部材であり、LEDモジュール20が載置される。また、支持台30は、グローブ10の開口部を塞ぐように構成されている。支持台30は、LEDモジュール20(LED22)で発生する熱を放熱させるための放熱部材(ヒートシンク)としても機能する。なお、効率良く熱伝導させるために、支持台30は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)又は鉄(Fe)等を主成分とする金属材料又は熱伝導率の高い樹脂材料によって構成することが好ましい。実施の形態1において、支持台30は、アルミニウムによって構成されている。支持台30は、筐体60に固定される。
(駆動回路)
駆動回路(回路ユニット)40は、LEDモジュール20(LED22)を発光(点灯)させるための点灯回路であって、LEDモジュール20に所定の電力を供給する。駆動回路40は、例えば、口金70から供給される交流電力を直流電力に変換し、当該直流電力をLEDモジュール20に供給する。
駆動回路40は、LEDモジュールを駆動させるための複数の回路素子(不図示)によって構成され、回路基板41の主面上に設けられる。なお、以下の説明では、回路素子を回路部品とも記載する。
回路基板41は、一方の面(半田面)に銅箔等の金属配線がパターニングされたプリント基板(PCB基板)である。回路基板41に実装された複数の回路素子は、金属配線によって互いに電気的に接続されている。また、回路基板41には、回路素子のリード線(脚)が挿入される貫通孔が複数形成されている。
実施の形態1において、回路基板41は、当該回路基板41の主面の法線がランプ軸Jと略直交する姿勢(縦置き配置)で回路ホルダ50に取り付けられている。なお、実施の形態1における回路基板41は、回路ホルダ50にのみ接触しており、回路ホルダ50によってのみ保持されている。
回路素子(回路部品)は、例えば、電解コンデンサやセラミックコンデンサ等の容量素子、抵抗器等の抵抗素子、整流回路素子、コイル素子、チョークコイル(チョークトランス)、ノイズフィルタ、ダイオード又は集積回路素子等の半導体素子等である。回路素子の多くは、回路基板41の一方の主面に実装されている。なお、駆動回路の回路構成の詳細については、後述する。
駆動回路40とLEDモジュール20とは、一対のリード線(出力側リード線)によって電気的に接続されている。また、駆動回路40と口金70とは、一対のリード線(入力側リード線)によって電気的に接続されている。これら4本のリード線は、例えば合金銅リード線であり、合金銅からなる芯線と当該芯線を被覆する絶縁性の樹脂被膜とからなる。
(回路ホルダ)
回路ホルダ50は、駆動回路40を保持するための保持部材であり、少なくとも一部が支持台30と駆動回路40との間に配置されるように構成されている。回路ホルダ50は、筐体60に固定されている。
実施の形態1における回路ホルダ50は、キャップ状の絶縁部材(絶縁キャップ部材)によって構成される。回路ホルダ50は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の絶縁性樹脂材料等を用いて、樹脂成型によって一体成形されている。
(筐体)
図3に示すように、筐体60は、駆動回路40、支持台30及び回路ホルダ50を囲むように構成されており、筐体60の内部に所定の空間領域が存在する。実施の形態1における筐体60は、外郭部材(外郭筐体)であり、筐体60の外面はランプ外部(大気中)に露出している。60は、例えばPBT等の絶縁性樹脂材料等を用いて、樹脂成型によって一体成形されている。
(口金)
口金70は、LEDモジュール20(LED22)を発光させるための電力をランプ外部から受電する受電部である。口金70は、例えば、照明器具のソケットに取り付けられる。これにより、口金70は、電球形ランプ1を点灯させる際に、照明器具のソケットから電力を受けることができる。口金70には、例えば商用の交流電力が供給される。実施の形態1における口金70は二接点によって交流電力を受電し、口金70で受電した電力は、一対の入力側リード線を介して駆動回路40の電力入力部に入力される。
口金70は、金属製の有底筒体形状であって、例えば、外周面が雄ネジとなっているシェル部と、シェル部に絶縁部を介して装着されるアイレット部とによって構成することができる。口金70の外周面には、照明器具のソケットに螺合させるための螺合部が形成されている。また、口金70の内周面には、筐体60の螺合部に螺合させるための螺合部が形成されている。
口金70の種類は、特に限定されるものではないが、実施の形態1では、ねじ込み型のエジソンタイプ(E型)の口金を用いている。例えば、口金70として、E27形等が挙げられる。
(駆動回路の回路構成)
次に、実施の形態1に係る駆動回路40の回路構成について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態1に係る駆動回路40の回路構成を示す図である。
図4に示すように、実施の形態1に係る駆動回路40は、LED22を点灯させるためのLED用駆動回路(LED点灯回路)であって、第1の整流回路110と、インバータ120と、インバータ制御回路130と、第2の整流回路140と、誤作動防止回路150とを備える。なお、同図には、駆動回路40に商用電源を供給するAC電源と、スイッチ回路160と、駆動回路40から直流電源が供給されるLED22も示されている。
駆動回路40は、交流電圧の入力を受けるための入力端子P1及びP2を有している。入力端子P1及びP2は、AC電源に接続されるとともに、第1の整流回路110の入力端に接続されている。例えば、駆動回路40の入力端子P1及びP2には、壁スイッチを通じて商用の交流電源が接続される。なお、商用の交流電源とは、商用100Vの交流電源、つまり家庭用のAC電源である。また、入力端子P1及びP2は、例えば、交流電源が供給されるソケットに取り付けられる、図2及び図3に示した電球形ランプ1の口金70等である。
また、駆動回路40は、直流電圧を出力するための出力端子P3及びP4を有している。出力端子P3及びP4は、LED22に接続されるとともに、第2の整流回路140の出力端に接続されている。高電位側の出力端子P3は、LED22のアノード側に接続されており、低電位側の出力端子P4は、LED22のカソード側に接続されている。LED22は、駆動回路40から供給される直流電圧によって点灯する。なお、実施の形態1において、LED22と並列にコンデンサC9及び抵抗器R13が接続されている。
以下、実施の形態1に係る駆動回路40の各構成要素について、詳細に説明する。
まず、第1の整流回路110について説明する。第1の整流回路110(DB1)は、4つのダイオードで構成されるブリッジ型全波整流回路であって、入力側の2端子は入力端子P1及びP2を介してAC電源に接続され、出力側の2端子は平滑コンデンサC1及びC2等に接続されている。なお、平滑コンデンサC1及びC2は、第1の整流回路110の出力電圧を安定化させるために設けられており、例えば、電解コンデンサである。なお、ここでは、2つの平滑コンデンサC1及びC2が用いられている例を示すが、一つの平滑コンデンサが、第1の整流回路110の2つの出力側の端子の間に接続されていてもよい。
AC電源と第1の整流回路110とを接続する配線には、電流ヒューズ素子FS(15Ω)が直列に挿入されている。また、AC電源と第1の整流回路110とを接続する配線には、スイッチ回路160が直列に挿入されている。また、第1の整流回路110の電圧出力端の負極とインバータ制御回路130とを接続する配線には、スイッチングノイズを除去するノイズフィルタNF(1mH)が挿入されている。
第1の整流回路110は、例えば壁スイッチを通じて、商用の交流電源から交流電圧(例えば、50又は60Hz)を受けて、当該交流電圧を全波整流して直流電圧を出力する。第1の整流回路110から出力される直流電圧は、平滑コンデンサC1及びC2によって平滑化されて直流の入力電圧Vinとなる。入力電圧Vinは、インバータ120及びインバータ制御回路130に供給される。
スイッチ回路160は、スイッチS1と、補助LED23とを備える。
スイッチS1は、壁スイッチがONのときにONとなり、壁スイッチがOFFのときにOFFとなるスイッチである。すなわち、スイッチS1は、電球形ランプ1の点灯時にONとなり、消灯時にOFFとなるスイッチである。スイッチS1は、具体的には、例えば、半導体スイッチである。
補助LED23は、壁スイッチ部分に設けられるLEDである。補助LED23は、電球形ランプ1の点灯時には、スイッチS1がONとなるため発光しないが、電球形ランプ1の消灯時には、スイッチS1がOFFとなるため発光する。
すなわち、スイッチ回路160(スイッチS1及び補助LED23)は、電球形ランプ1が消灯して室内が暗いときに、壁スイッチ付近を照らすために発光する、いわゆるホタルスイッチである。なお、図4においてスイッチ回路160の回路図は模式的に示され、必ずしも正確に図示されていない。
次に、インバータ120について説明する。インバータ120(INV)は、LED22を駆動するための電力を出力する。実施の形態1では、インバータ120は、直流電圧を交流電圧に変換する。例えば、インバータ120は、直流電圧を数十kHzの交流電圧に変換する。
このインバータ120は、スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1に直列に接続されたスイッチング素子Q2と、カレントトランスCTと、インダクタL1と、コンデンサC5、C6及びC8と、抵抗器R5、R6、R7及びR8と、ダイオードD2及びD3とを備える。
実施の形態1において、インバータ120は、ハーフブリッジ形の自励インバータであって、交互にスイッチング動作を行うスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とからなる直列回路が第1の整流回路110に接続されて構成されている。また、実施の形態1において、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2は、バイポーラ形トランジスタである。なお、実施の形態1において、自励インバータとは、カレントトランス及び複数のスイッチング素子を用いて、フィードバックのかかるインバータをいう。
スイッチング素子Q1のコレクタは、第1の整流回路110の直流電圧出力端の正極及びコンデンサC5に接続されている。スイッチング素子Q1のエミッタは、抵抗器R5を介して、スイッチング素子Q2のコレクタ及びカレントトランスCTのコイルに接続されている。また、スイッチング素子Q1のベースは、抵抗器R7を介してカレントトランスCTのコイルに接続されている。
スイッチング素子Q2のコレクタは、抵抗器R5を介してスイッチング素子Q1のエミッタ及びカレントトランスCTのコイルに接続されている。スイッチング素子Q2のエミッタは、抵抗器R6を介して、第1の整流回路110の直流電圧出力端の負極と、カレントトランスCTのコイルと、コンデンサC6及びC8とに接続されている。また、スイッチング素子Q2のベースは、抵抗器R8を介してカレントトランスCTのコイルに接続されている。
カレントトランスCT(駆動トランス)は、一次巻線(入力巻線)及び二次巻線(出力巻線)からなる巻線コイルによって構成されている。
インダクタL1は、チョークインダクタであって、一端がカレントトランスCTの出力側に接続されており、他端が第2の整流回路140の入力側に接続されている。また、コンデンサC5は、一端が第1の整流回路110の直流電圧出力端の正極に接続され、他端が第2の整流回路140の入力側に接続されている。コンデンサC6は、一端が第1の整流回路110の直流電圧出力端の負極に接続され、他端が第2の整流回路140の入力側に接続されている。コンデンサC8は、一端が第1の整流回路110の直流電圧出力端の負極に接続され、他端がインダクタL1の他端に接続されている。
ダイオードD2は、カソードが第1の整流回路110の直流電圧出力端の正極及びコンデンサC5に接続され、アノードがカレントトランスCTのコイルと、抵抗器R5を介してスイッチング素子Q1のエミッタとに接続されている。ダイオードD3は、カソードがカレントトランスCTのコイルに接続され、アノードが第1の整流回路110の直流電圧出力端の負極と、抵抗器R6を介してスイッチング素子Q2のエミッタと、カレントトランスCTのコイルと、コンデンサC6及びC8とに接続されている。
このように構成されるインバータ120は、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2の直列回路の両端間に(インバータ120の入力端に)所定の入力電圧Vinが印加されるとともに、インバータ制御回路130から起動制御信号(トリガ信号)が供給されることによって動作する。具体的には、カレントトランスCTの誘起に基づく自励発振によってスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とが交互にオンオフ動作を行うことにより、インダクタL1とコンデンサC8との直列共振による交流の二次電圧が誘起され、この電圧が第2の整流回路140に供給される。
次に、インバータ120を起動するためのインバータ制御回路130について説明する。インバータ制御回路130(TRG)は、インバータ120を起動するように構成されている。実施の形態1において、インバータ制御回路130は、インバータ120の動作を開始した後、停止する。インバータ制御回路130により動作を開始したインバータ120は、カレントトランスCTとインバータ120を構成する各素子により動作を維持する。具体的には、磁気飽和カレントトランスであるカレントトランスCTが、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2のオンオフに応じて磁気飽和することにより、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を制御する。よって、インバータ120は、インバータ制御回路130により動作を開始した後、当該動作を維持する。
インバータ制御回路130は、抵抗器R2と、当該抵抗器R2に直列に接続されたコンデンサC3と、抵抗器R2とコンデンサC3との接続点に接続されたトリガダイオードTDとを有する。
抵抗器R2は、第1の整流回路110の直流電圧出力端の正極に接続されるとともに、コンデンサC3を介して第1の整流回路110の直流電圧出力端の負極に接続されている。コンデンサC3は、トリガダイオードTDの導通を制御するためのコンデンサであって、高電位側が抵抗器R2に接続され、低電位側が第1の整流回路110の直流電圧出力端の負極に接続されている。なお、以下では、第1の整流回路110の直流電圧出力端の正極を第1の整流回路110の正の出力端子と記載し、第1の整流回路110の直流電圧出力端の負極を第1の整流回路110の負の出力端子と記載する場合がある。
また、トリガダイオードTDは、トリガ素子であって、規定の電圧(動作電圧、ブレークオーバー電圧)を超える電圧がかかった場合に導通してコンデンサC3の電荷をスイッチング素子Q2のベースに放電して短時間スイッチング素子Q2をオンさせる。実施の形態1では、トリガダイオードTDは、コンデンサC3に保持される電圧値によってブレークオーバーして導通状態となる。そして、トリガダイオードTDは、インバータ120の制御端子であるスイッチング素子Q2のベースに接続されており、トリガダイオードTDが導通状態となることによってインバータ120の動作が開始する。
すなわち、スイッチング素子Q2がインバータ制御回路130によってオンすることにより初めてインバータ120に電流が流れ始める。スイッチング素子Q2がターンオンのときに流れた負荷電流によって、カレントトランスCTの二次コイルに電圧が誘起され、スイッチング素子Q2がオンを維持するとともにスイッチング素子Q1のオフを維持する。
スイッチング素子Q2がオンを維持しているときには、第1の整流回路110の高電位側直流電圧出力端からノイズフィルタNF、コンデンサC5、第2の整流回路140、LED22、インダクタL1、カレントトランスCTの1次巻線、スイッチング素子Q2、及び、抵抗器R6を介して、インダクタL1で制限された電流が流れる。この電流によってカレントトランスCTのコアが磁気飽和し、その2次巻線出力電圧がゼロになる。そのため、スイッチング素子Q2のベース・エミッタ間蓄積電荷が放電する。この蓄積電荷がなくなると、スイッチング素子Q2がターンオフする。
スイッチング素子Q2がターンオフすると、インダクタL1に流れていた電流によってインダクタL1に蓄積されていたエネルギーがダイオードD2を介してC5とLED22に放電される。その放電電流によって、カレントトランスCTの磁気飽和は解除され、また、カレントトランスCTのスイッチング素子Q1側2次巻線にスイッチング素子Q1のベース電位を正にする電圧が発生するとともに、カレントトランスCTのスイッチング素子Q2側2次巻線にスイッチング素子Q2のベースを負にする電圧が発生する。
インダクタL1の蓄積エネルギーがなくなると、ダイオードD2に流れる電流がなくなるとともに、コンデンサC5及びC6の蓄積エネルギーがスイッチング素子Q1を介して放電する。また、第1の整流回路110の高電位側直流電圧出力端から、ノイズフィルタNFと、スイッチング素子Q1と、カレントトランスCTと、インダクタL1と、コンデンサC8、LED22及びコンデンサC6とを介して、第1の整流回路110の低電位側直流電圧出力端に電流が流れる。
この電流により、インダクタL1及びコンデンサC8にエネルギーが蓄積されるとともに、カレントトランスCTの2次巻線にスイッチング素子Q1をオンに維持し、スイッチング素子Q2をオフに維持する電圧が発生する。
その後、カレントトランスCTの磁気飽和が発生すると、スイッチング素子Q1の蓄積電荷が放電される。この放電が終わると、スイッチング素子Q1がターンオフする。スイッチング素子Q1がターンオフした瞬間のインダクタL1の蓄積エネルギーは、カレントトランスCT、ダイオードD3、コンデンサC8、及び、LED22と、コンデンサC6、C5とを介して放電されるとともに、カレントトランスCTの磁気飽和を解除し、スイッチング素子Q2のベースを正に、スイッチング素子Q1のベースを負にする電圧を発生させる。そして、インダクタL1の蓄積エネルギーがなくなると、以後、上記のように、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とが交互にオンオフを繰り返すとともに、インダクタL1とコンデンサC8との直列共振を発生させ、発振を維持する定常動作となる。
なお、トリガダイオードTDとしては、例えば、電圧ブレークオーバーが28〜36Vのダイアックを用いることができる。
このように、インバータ制御回路130は、インバータ120を起動するための回路であって、抵抗器R2によりコンデンサC3の両端にかかる電圧を調整する回路と、コンデンサC3の電圧値によってブレークオーバーするトリガダイオードTDとを有する。そして、インバータ制御回路130からインバータ120に対してトリガ信号が入力されることによって、インバータ120の自励発振が開始する。
さらに、実施の形態1において、インバータ制御回路130は、抵抗器R2と並列接続されたダイオードD1を有する。ダイオードD1は、整流用ダイオードであって、ダイオードD1のアノード側は、抵抗器R2とコンデンサC3との接続点、及び、トリガダイオードTDに接続されている。また、ダイオードD1のカソード側は、インバータ120におけるスイッチング素子Q1(エミッタ)とスイッチング素子Q2(コレクタ)との接続点、及び、コンデンサC4に接続されている。なお、コンデンサC4は、高電位側が第1の整流回路110の直流電圧出力端の正極及びスイッチング素子Q1のコレクタに接続されており、低電位側がダイオードD1のカソードに接続されている。コンデンサC4は、スナバコンデンサであり、スイッチング素子Q1及びQ2の電圧変化スピードを遅くして、スイッチング損失を少なくするために適宜用いられる。
次に、第2の整流回路140について説明する。第2の整流回路140(DB2)は、第1の整流回路110と同様に、4つのダイオードで構成されるブリッジ型全波整流回路であって、入力側の2つの端子はインバータ120の出力側の2つの端子に接続され、出力側の2つの端子については高電位側が出力端子P3を介してLED22のアノード側に接続され、低電位側が出力端子P4を介してLED22のカソード側に接続されている。
第2の整流回路140は、インバータ120からの交流電圧を受けて、この交流電圧を全波整流した電圧を出力し、当該電圧をLED22に供給する。
なお、第2の整流回路140としては、例えば、2つのショットキーダイオードが直列接続された半導体部品を2つ組み合わせることによって構成することができる。また、この第2の整流回路140は、インダクタL1に2つに分割した2次巻線を設けて、その出力に1つずつ設けられたスタック構成にしてもよい。
次に、実施の形態1に係る駆動回路40の特徴構成である、誤作動防止回路150について説明する。
誤作動防止回路150は、インバータ制御回路130と並列に、第1の整流回路110の正の出力端子及び負の出力端子の間に接続される。
誤作動防止回路150は、抵抗器R3、R9、R10、R11、及びR12と、スイッチング素子Q3(第2のスイッチング素子)と、スイッチング素子Q4(第1のスイッチング素子)とを備える。
スイッチング素子Q3は、バイポーラ形のトランジスタである。スイッチング素子Q3のエミッタは、第1の整流回路110の負の出力端子に接続される。スイッチング素子Q3のベースは、抵抗器R10の他端及びスイッチング素子Q4のコレクタに接続される。スイッチング素子Q3のコレクタは、抵抗器R3の他端に接続される。
抵抗器R3の一端は、第1の整流回路110の正の出力端子に接続され、抵抗器R3の他端は、スイッチング素子Q3のコレクタに接続される。
抵抗器R3と、スイッチング素子Q3とは、第2の電流パスを構成する。言い換えれば、第2の電流パスは、抵抗器R3を有し、一端が第1の整流回路110の正の出力端子に接続され、他端が第1の整流回路110の負の出力端子に接続される。ここで、第2の電流パスは、第1の整流回路110の正の出力端子から負の出力端子へ向かう電流経路である。
スイッチング素子Q4は、バイポーラ形のトランジスタである。スイッチング素子Q4のエミッタは、第1の整流回路110の負の出力端子に接続される。スイッチング素子Q4のベースは、抵抗器R11と抵抗器R12との接続点(抵抗器R11の他端及び抵抗器R12の一端)に接続される。スイッチング素子Q4のコレクタは、抵抗器R10の他端及びスイッチング素子Q3のベースに接続される。
抵抗器R9の一端は、第1の整流回路110の正の出力端子に接続され、抵抗器R9の他端は、抵抗器R10の一端及び抵抗器R11の一端に接続される。
抵抗器R10の一端は、抵抗器R9の他端に接続され、抵抗器R10の他端は、スイッチング素子Q3のベース及びスイッチング素子Q4のコレクタに接続される。
抵抗器R11の一端は、抵抗器R9と抵抗器R10の接続点(抵抗器R9の他端及び抵抗器R10の一端)に接続され、抵抗器R11の他端は、抵抗器R12の一端及びスイッチング素子Q4のベースに接続される。
抵抗器R12の一端は、抵抗器R11の他端及びスイッチング素子Q4のベースに接続され、抵抗器R12の他端は、第1の整流回路110の負の出力端子に接続される。
抵抗器R9及びR10と、スイッチング素子Q4とは、第1の電流パスを構成する。言い換えれば、第1の電流パスは、抵抗器R9及びR10と、スイッチング素子Q4とを有し、一端が第1の整流回路110の正の出力端子に接続され、他端が第1の整流回路110の負の出力端子に接続される。つまり、第1の電流パスは、第1の整流回路110の正の出力端子から負の出力端子へ向かう電流経路であって、第2の電流パスとは異なる電流経路である。
なお、実施の形態1では、抵抗器R2の抵抗値は、1MΩであり、抵抗器R3の抵抗値は、36kΩである。また、実施の形態1では、抵抗器R9の抵抗値は、470kΩであり、抵抗器R10の抵抗値は、560kΩであり、抵抗器R11の抵抗値は、820kΩであり、抵抗器R12の抵抗値は、15kΩである。
以上のようにして、実施の形態1に係る駆動回路40が構成されている。
なお、第1の整流回路110は、直流電源回路に相当する。インバータ制御回路130は、制御回路に相当する。また、スイッチング素子Q4は、第1のスイッチング素子に相当し、スイッチング素子Q3は、第2のスイッチング素子に相当する。
抵抗器R3は、第2の抵抗に相当し、抵抗器R9は、第1の抵抗に相当する。抵抗器R10は、第3の抵抗に相当し、抵抗器R11は、第4の抵抗に相当し、抵抗器R12は、第5の抵抗に相当する。
また、図4の回路図では、駆動回路40により、発光素子の一例である1つのLED22が点灯するが、発光素子として複数のLED22が設けられてもよい。この場合、複数のLED22は、直列接続されてもよいし、並列接続されてもよいし、あるいは、複数のLED22は、直列接続と並列接続とを組み合わせて構成されてもよい。
(回路動作)
次に、実施の形態1に係る駆動回路40の動作について説明する。
例えば、LED22を点灯させるためにユーザが壁スイッチをオン操作すると、入力端子P1及びP2に交流電源が供給され、第1の整流回路110により平滑化された直流の入力電圧Vinが生成される。入力電圧Vinは、インバータ120の入力端間、及び、インバータ制御回路130の入力端間に供給される。なお、このとき、スイッチS1は、ON状態である。
これにより、インバータ制御回路130及びインバータ120が動作する。すなわち、入力電圧Vinがインバータ制御回路130に供給されることにより、インバータ制御回路130のコンデンサC3が充電されて、トリガダイオードTDがブレークオーバーする。この結果、トリガダイオードTDが導通状態となり、トリガ信号(トリガパルス)がインバータ120のスイッチング素子Q2のベースに供給され、当該スイッチング素子Q2がオンする。
トリガ信号によってスイッチング素子Q2がオンすると、インバータ120が起動し、カレントトランスCTの誘起に基づく自励発振によりスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2が交互にオンオフ動作を行い、交流の二次電圧が誘起される。これにより、当該二次電圧がインダクタL1とコンデンサC8との直列共振により高められた交流電圧が第2の整流回路140に供給される。そして、第2の整流回路140によって交流電圧が全波整流され、出力端子P3及びP4を介して所定の直流電圧(順方向電圧VF)がLED22に供給される。これにより、LED22が所望の明るさで点灯する。
次に、LED22を消灯させるためにユーザが壁スイッチをオフ操作すると、入力端子P1及びP2への交流電源の供給が停止するのでLED22は消灯する。このとき、スイッチS1は、OFF状態であり、壁スイッチに設けられた補助LED23は、発光して壁スイッチ付近を照らす。
(誤作動防止回路の動作)
次に、実施の形態1に係る駆動回路40の特徴構成である誤作動防止回路150の動作について説明する。
なお、以下の説明では、「誤作動防止回路150の抵抗値」とは、駆動回路40から誤作動防止回路150のみを取り出したときに、誤作動防止回路150の、第1の整流回路110の正の出力端子に接続される端から、第1の整流回路110の負の出力端子に接続される端までの抵抗値を意味する。
また、以下の説明では、「インバータ制御回路130の抵抗値」とは、駆動回路40からインバータ制御回路130のみを取り出したときに、インバータ制御回路130の、第1の整流回路110の正の出力端子に接続される端から、第1の整流回路110の負の出力端子に接続される端までの抵抗値(抵抗成分)を意味する。つまり、実施の形態1では、インバータ制御回路130の抵抗値は、抵抗器R2の抵抗値である1MΩである。
まず、LED22の点灯時の動作について説明する。
図5は、LED22の点灯時における誤作動防止回路150の動作を説明するための図である。
上述のように、LED22の点灯時には、第1の整流回路110によって入力電圧Vinが、誤作動防止回路150の両端及び、インバータ制御回路130の入力端間に供給される。なお、実施の形態1では、入力電圧Vinは、140Vである。
このとき、図5の(a)に示されるように、スイッチング素子Q4のエミッタ−ベース間の電圧、すなわち抵抗器R12の両端の電圧は、140Vが抵抗器R9(470kΩ)、R11(820kΩ)、及びR12(15kΩ)によって分圧されるため、約1.6Vとなる。
これにより、スイッチング素子Q4のエミッタ−ベース間の電圧が閾値電圧0.6Vを越えるため、スイッチング素子Q4はON状態となる。一方、スイッチング素子Q3のエミッタ−ベース間の電圧は、ほぼ0Vになるので、スイッチング素子Q3はOFF状態である。
したがって、図5の(b)に示されるように、LED22の点灯時には、主に第1の電流パス(抵抗器R9、抵抗器R10、及びスイッチング素子Q4)と、抵抗器R2に電流が流れる。このときの誤作動防止回路150の状態を第1の抵抗状態とすると、第1の抵抗状態における誤作動防止回路150の抵抗値は、約805kΩである。なぜなら、誤作動防止回路150の抵抗値とは、図5の(b)の場合は、抵抗器R10と、抵抗器R11及びR12との並列接続に、抵抗器R9を直列接続した合成抵抗の抵抗値を意味するからである。
一方、抵抗器R2の抵抗値は、1MΩであるため、抵抗器R2には十分に電流が流れ、コンデンサC3が充電される。よって、トリガダイオードTDがブレークオーバーし、インバータ120は、発振を開始する。
以上説明したように、誤作動防止回路150は、LED22の点灯を妨げない。すなわち、誤作動防止回路150は、入力電圧Vinが印加された場合に第1の抵抗状態となり、インバータ制御回路130を作動させる。この結果、インバータ120が動作を開始し、LED22が発光する。
なお、図5の例では、誤作動防止回路150が第1の抵抗状態であるときの抵抗値(約805kΩ)は、インバータ制御回路130の抵抗値(1MΩ)よりも小さい。
しかしながら、誤作動防止回路150が第1の抵抗状態であるときの抵抗値は、インバータ制御回路130の抵抗値よりも大きいことが望ましい。これにより、誤作動防止回路150において生じる消費電力を低減することができるからである。
次に、LED22の消灯時の動作について説明する。
図6は、LED22の消灯時における誤作動防止回路150の動作を説明するための図である。
以下では、上述のスイッチS1がOFF状態で、スイッチS1から漏れ電流が第1の整流回路110に流れ出し、第1の整流回路110の出力が通常点灯時の140Vよりも低い30Vとなる場合について説明する。
図6の(a)に示されるように、上記漏れ電流の影響による直流電圧30Vは、抵抗器R9、R11、R12によって分圧される。スイッチング素子Q4のエミッタ−ベース間の電圧、すなわち抵抗器R12の両端の電圧は、約0.34Vとなり、スイッチング素子Q4の閾値電圧0.6Vを越えないため、スイッチング素子Q4はOFF状態となる。
一方、図6の(a)に示されるように、スイッチング素子Q3のベースには、抵抗器R10を介して電流が流れ込むため、スイッチング素子Q3はON状態になる。
ここで、抵抗器R3の抵抗値は、36kΩであり、抵抗器R2の抵抗値1MΩの20分の1以下の非常に小さい値である。したがって、図6の(b)に示されるように、LED22の点灯時には、主に第2の電流パス(抵抗器R3、及びスイッチング素子Q3)に電流が流れる。
このときの誤作動防止回路150の状態を第2の抵抗状態とすると、第2の抵抗状態における誤作動防止回路150の抵抗値は、抵抗器R9、R11及びR12との直列接続に、抵抗器R3を並列接続した合成抵抗の抵抗値であるから、約35kΩであり、インバータ制御回路130の抵抗値(抵抗器R2の抵抗値:1MΩ)の20分の1以下の非常に小さい値である。
なお、第2の抵抗状態における誤作動防止回路150の抵抗値は、第1の抵抗状態における誤作動防止回路150の抵抗値(約805kΩ)よりも小さく、第1の抵抗状態における誤作動防止回路150の抵抗値の20分の1以下である。
したがって、抵抗器R2(インバータ制御回路130)にはほとんど電流が流れず、コンデンサC3に電荷が蓄積されないため、インバータ120は発振することなく停止状態が維持される。したがって、LED22は点灯しない。
なお、抵抗器R3の抵抗値は、抵抗器R2の抵抗値よりも小さいことが望ましいが、抵抗器R2の抵抗値よりも大きくても、コンデンサC3に流れる電流を抑制し、インバータ制御回路を作動させなければよい。
なお、抵抗器R11及び抵抗器R12は、第1の整流回路110から供給される電圧をモニタし、第1の電流パスを導通させるか、第2の電流パスを導通させるかの制御を行う、制御用電流パスを構成しているといえる。制御用電流パスは、具体的には、抵抗器R12の両端に印加される電圧に応じて、第1の電流パスを導通させるか、第2の電流パスを導通させるかの切替制御を行っている。
以上説明したように、誤作動防止回路150は、LED22の消灯時に、誤作動によるLED22の点灯を防止する。言い換えれば、誤作動防止回路150は、入力電圧Vin(140V)よりも小さい所定の電圧(上記の例では、30V)が印加された場合に、第1の抵抗状態よりも抵抗値が小さい第2の抵抗状態となる。さらに、誤作動防止回路150は、第1の整流回路110からインバータ制御回路130に供給される電流の少なくとも一部を引き込んでインバータ制御回路130を作動させない(作動を停止させる)。
なお、実施の形態1では、誤作動防止回路150が第2の電流パス導通させるための閾値電圧が約50Vに設定されている。言い換えれば、第1の整流回路110から供給される電圧が約50V以上のときに、スイッチング素子Q4のエミッタ−ベース間に印加される電圧が0.6V以上になり、スイッチング素子Q4がON状態となる。つまり、第1の整流回路110から供給される電圧が約50V以上のときに、誤作動防止回路150は、第2の電流パスを非導通にするとともに、第1の電流パスを導通させて第1の抵抗状態となる。
また、第1の整流回路110から供給される電圧が約50V未満のときに、スイッチング素子Q4のエミッタ−ベース間に印加される電圧が0.6V未満になり、スイッチング素子Q3がON状態となる。つまり、第1の整流回路110から供給される電圧が約50V未満のとき(入力電圧よりも小さい所定の電圧のとき)に、誤作動防止回路150は、第2の電流パスを導通させて第2の抵抗状態となる。
なお、上記閾値電圧は、50Vに限られるわけではない。閾値電圧は、インバータ制御回路130の構成や第1の整流回路(直流電源回路)の特性に応じて設定されることが望ましい。また、閾値電圧は、スイッチ回路160等による漏れ電流や微少電流等の流量、及び通常点灯時の入力電圧Vinの変動状況等を考慮して設定されることが望ましい。
以上説明したように、誤作動防止回路150によれば、照明用光源の消灯時における誤作動を防止し、照明用光源を確実に消灯させることができる。
なお、実施の形態1に係る誤作動防止回路150では、第2の電流パスが抵抗器R3を有するが、抵抗器R3の値を調節することにより、電球形ランプ1の消灯時にスイッチ回路160の補助LED23に流れる電流の量を調整することができる。
なお、実施の形態1に係る誤作動防止回路150は、本発明の誤作動防止回路の一例であり、本発明の誤作動防止回路は、このような構成に限定されるものではない。本発明の誤作動防止回路は、消灯時に制御回路(インバータ制御回路130)に所定値未満の入力電圧が供給される場合に低抵抗状態となり、直流電源回路(第1の整流回路110)から制御回路に供給される電流の少なくとも一部を引き込んで制御回路を停止させれば、その他の回路構成であってもよい。
また、誤作動防止回路が適用される、直流電源回路(第1の整流回路110)、及び制御回路(インバータ制御回路130)についても実施の形態1のような構成に限定されるものではない。
例えば、直流電源回路は、第1の整流回路110のような構成に限定されず、AC−DCコンバータICなどであってもよい。また、直流電源回路は、その他の回路構成であってもよく、例えば、交流電源を含むような構成であってもよい。
また、制御回路は、実施の形態1のような回路構成であるときは、インバータ制御回路130とインバータ120とが含まれるICなどであってもよい。すなわち、制御回路は、インバータ制御回路130とインバータ120とを備えてもよい。また、制御回路は、その他の回路構成であってもよい。
(実施の形態2)
また、実施の形態1では、インバータ120の一例としてハーフブリッジ形の自励インバータを用いたが、これに限らない。例えば、ハーフブリッジ形以外の構成のインバータを用いても構わない。
実施の形態2では、他励インバータを用いた駆動回路の例について説明する。
図7は、実施の形態2に係る駆動回路の回路構成を示す図である。
図7に示される駆動回路40bは、実施の形態1に係る駆動回路40と基本的な構成は同じであり、図7において、図4に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付しており、その詳しい説明は省略する。
図7に示す駆動回路40bが、図4に示す駆動回路40と異なる点は、インバータの構成である。
駆動回路40bのインバータ120bは、1つのスイッチング素子Q5と、1つのダイオードD4と、インダクタL2とを有する。
スイッチング素子Q5は、バイポーラ形のトランジスタである。スイッチング素子Q5のコレクタは、インダクタL2の一端に接続されているとともに、ダイオードD4のアノード側に接続されている。さらに、スイッチング素子Q5のコレクタは、インバータ制御回路130のダイオードD1のカソード側に接続されている。また、スイッチング素子Q5のエミッタは、第1の整流回路110の負の出力端子に接続されている。また、スイッチング素子Q5のベースは、インバータ制御回路130のトリガダイオードTDに接続されている。
ダイオードD4のカソード側は、第1の整流回路110の正の出力端子に接続されている。また、ダイオードD4のアノード側は、インダクタL2とスイッチング素子Q5との接続点に接続されている。
なお、インダクタL2は、一端がスイッチング素子Q5とダイオードD4との接続点に接続されており、他端が第2の整流回路140の入力側に接続されている。
このように構成されるインバータ120bは、第1の整流回路110から出力される入力電圧Vinが印加されると、インバータ制御回路130からの起動制御信号に基づいて動作する。これにより、インバータ120bから第2の整流回路140に交流電圧が供給される。
次に、駆動回路40bの動作について説明する。
例えば、LED22を点灯させるためにユーザが壁スイッチをオン操作すると、実施の形態1と同様に、所定値の入力電圧Vin(140V)が供給され、インバータ制御回路130とインバータ120bが動作する。
すなわち、インバータ制御回路130のコンデンサC3が充電されて、トリガダイオードTDが導通状態となり、トリガ信号(トリガパルス)がインバータ120bのスイッチング素子Q5のベースに供給され、スイッチング素子Q5がオン状態となる。
トリガ信号によってスイッチング素子Q5がオン状態となると、入力電圧Vinによって、第2の整流回路140、LED22、第2の整流回路140、インダクタL2、スイッチング素子Q5の順に電流が流れて、LED22が点灯する。
すると、ダイオードD1及びスイッチング素子Q5のベースを介してコンデンサC3の電荷が放出され、やがてスイッチング素子Q5及びトリガダイオードTDがオフ状態となる。そして、インダクタL2に蓄えられたエネルギーがダイオードD4を介して平滑コンデンサC1へ帰還すると同時にコンデンサC3を充電し始める。そして、上記の帰還電流が流れきったときに再びトリガダイオードTDがオン状態となってスイッチング素子Q5がオンする。なお、スイッチング素子Q5のオン時間を変えるために、コンデンサC3とダイオードD1の間に抵抗が付加されてもよい。
次に、LED22を消灯させるためにユーザが壁スイッチをオフ操作すると、LED22は消灯する。
このようなインバータ120bに対しても、誤作動防止回路150の閾値電圧を適切に設定することにより、消灯時の誤作動を防止することができる。
(実施の形態3)
また、本発明は、実施の形態1及び2のような電球形ランプとして実現することができるだけでなく、電球形ランプを備える照明装置としても実現することができる。以下、実施の形態3では、このような照明装置について、図8を用いて説明する。図8は、実施の形態3に係る照明装置の概略断面図である。
図8に示すように、実施の形態3に係る照明装置2は、例えば、室内の天井に装着されて使用され、上記の実施の形態1または2に係る電球形ランプ1と、点灯器具3とを備える。
点灯器具3は、電球形ランプ1を消灯及び点灯させる機能を有し、天井に取り付けられる器具本体4と、電球形ランプ1を覆う透光性のランプカバー5とを備える。
器具本体4は、ソケット4aを有する。ソケット4aには、電球形ランプ1の口金70がねじ込まれる。このソケット4aを介して電球形ランプ1に電力が供給される。
なお、照明器具としては、図8に示す構成のものに限らず、ダウンライトやスポットライトのように天井に埋込配設された天井埋込型の照明器具等を用いることもできる。
(その他)
以上、本実施の形態に係る電球形ランプ及び照明装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
また、上記の実施の形態では、LED22としてパッケージ化されたSMD型のLED素子を用いたが、これに限らない。例えば、LED22としてベアチップを用いて、基板21上に複数のLED22(ベアチップ)を直接実装することで構成されたCOB(Chip On Board)構造のLEDモジュール20を用いても構わない。なお、この場合、複数のベアチップは蛍光体含有樹脂によって一括封止される。
また、上記の実施の形態において、LEDモジュール20は、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって白色光を放出するように構成したが、これに限らない。例えば、演色性を高めるために、黄色蛍光体に加えて、さらに赤色蛍光体や緑色蛍光体を混ぜても構わない。また、黄色蛍光体を用いずに、赤色蛍光体及び緑色蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂を用いて、これと青色LEDチップとを組み合わせることによりに白色光を放出するように構成することもできる。
また、上記の実施の形態において、LEDチップは、青色以外の色を発光するLEDチップを用いても構わない。例えば、紫外線発光のLEDチップを用いる場合、蛍光体粒子としては、三原色(赤色、緑色、青色)に発光する各色蛍光体粒子を組み合わせたものを用いることができる。さらに、蛍光体粒子以外の波長変換材を用いてもよく、例えば、波長変換材として、半導体、金属錯体、有機染料、顔料など、ある波長の光を吸収し、吸収した光とは異なる波長の光を発する物質を含んでいる材料を用いてもよい。
また、上記の実施の形態において、発光素子としてLEDを例示したが、半導体レーザ等の半導体発光素子、又は、有機EL(Electro Luminescence)や無機EL等のEL素子等その他の固体発光素子を用いてもよい。
また、上記の実施の形態では、本発明を電球形ランプ及びこれを備える照明装置として実現したが、本発明は、他の照明用光源や、照明装置としても実現可能である。
例えば、本発明は、ダウンライトやスポットライト等のLED照明装置に用いられる照明用光源である、フラット薄形構造のLEDユニットとしても実現可能である。また、本発明は、照明用光源である、直管形のLEDランプ又は環状のLEDランプとしても実現可能である。
また、上記回路図に示す回路構成は、一例であり、本発明は上記回路構成に限定されない。つまり、上記回路構成と同様に、本発明の特徴的な機能を実現できる回路も本発明に含まれる。例えば、上記回路構成と同様の機能を実現できる範囲で、ある素子に対して、直列又は並列に、スイッチング素子(トランジスタ)、抵抗素子、又は容量素子等の素子を接続したものも本発明に含まれる。言い換えると、上記実施の形態における「接続される」とは、2つの端子(ノード)が直接接続される場合に限定されるものではなく、同様の機能が実現できる範囲において、当該2つの端子(ノード)が、素子を介して接続される場合も含む。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。