JP6123985B2 - 半割りスラスト軸受 - Google Patents
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Description
半割りスラスト軸受は、例えばクランク軸のスラスト面に当接してスラスト荷重を受け止めるようになっており、上記油溝内の油は、クランク軸のスラスト面の回転に伴なって、該油溝の側壁面を流動して軸受面に流出してその部分を潤滑するようになる。
そして上記油溝は、樹脂コーティング層と軸受合金層とを貫通して裏金に至る深さを有しており、したがって油溝の側壁面は、裏金と軸受合金層と樹脂コーティング層の各露出面から構成されることになる。
その結果として、油溝内の油は滑らかに軸受面に流出しておらず、従来、充分な油量を軸受面に供給するには油溝を大きくしたり供給油量を増大させていた。
本発明はそのような事情に鑑み、油溝内の油が滑らかに軸受面に流出することができるようにして、油溝を大きくしたり供給油量を増大させる必要性を低減することができるようにした半割りスラスト軸受を提供するものである。
上記油溝の側壁面は軸受面に向かって拡開する傾斜面となっており、かつ上記樹脂コーティング層は上記軸受面から側壁面にかけて、該側壁面を構成する裏金の露出面と軸受合金層の露出面との両者を滑らかに覆う被覆部を有しており、
上記樹脂コーティング層は、少なくとも油溝に隣接した箇所において、半割りスラスト軸受の半径方向の中央部分が両端部分に比較して軸方向に突出した中高形状となっていることを特徴とするものである。
したがって油溝を大きくしたり供給油量を増大させることなく、充分な量の油を軸受面に供給することが可能となる。
上記半円リング形状となっている軸受面2の中央側の2箇所に略半径方向の油溝3を形成してあり、また半円リング形状の円周方向両側に上記軸受面2から周方向端4に向って下降する、すなわち軸受面2から半割りスラスト軸受1の裏面側に向かって傾斜するスラストリリーフ5を形成してある。
上記油溝3の両側の側壁面3aは、それぞれ軸受面2に向かって拡開する傾斜面となっており、かつ上記樹脂コーティング層9は、上記軸受面2から側壁面3aにかけて両者を滑らかに覆う被覆部9aを有しており、両被覆部9aは上記油溝3の底面3bの全域を覆っている。つまり樹脂コーティング層9の被覆部9aは、油溝3の全面を覆っている。
なお、樹脂コーティング層9を中高形状とする他の製造方法としては、塗料の粘度を調整し表面張力を利用して中高形状としたり、塗装後表面を削って中高形状としてもよい。
また、上記樹脂コーティング層9に含有される固体潤滑剤としては、例えばグラファイト、カーボンなどの炭素系固体潤滑剤、MoS2などを用いることができる。また耐磨耗性向上を目的として窒化物、酸化物、硬質粒子などを用いることができる。
さらに上記樹脂コーティング層9の厚さは、半径方向の中央部分X1が最も厚く3〜20μmとなっており、半径方向の両端部分X2、X3で1μm程度となっている。
したがって図示しないクランク軸のスラスト面が図2の矢印A方向に回転された際には、油溝3内の油は特に図2の左側の被覆部9aにより滑らかに側壁面3aから軸受面2に流出して、軸受面2とクランク軸のスラスト面との間を効果的に潤滑するようになる。これに対し、例えば軸受合金層8における軸受面2側表面と側壁面3a側表面との連続部分に存在する角部Cで例示するように、油溝3内の油が軸受面2に流出する流路にそのような角部Cが存在する場合には、その角部Cは油溝3内の油が軸受面2側に流出するのを阻害するようになる。
しかるにそのような角部Cがなく、軸受面2から側壁面3aにかけて両者を滑らかに覆っている被覆部9aは、油溝3を大きくしたり供給油量を増大させることなく、充分な量の油を軸受面3に供給することに寄与する。
さらに本実施例においては、樹脂コーティング層9の被覆部9aは、油溝3の底面3bを含めてその全面を覆っているので、底面3bが露出している場合に比較して、気泡が付着するのを抑え、キャビテーションエロージョンを防止できる。
また上記樹脂コーティング層9は固体潤滑材を含有しているので、接触時のフリクション低減にも効果がある。
また上記実施例では油溝3の両側の側壁面3aをそれぞれ軸受面2に向かって拡開する傾斜面とし、かつ樹脂コーティング層9の被覆部9aによって軸受面2から側壁面3aにかけて両者を滑らかに覆わせているが、図2における回転方向の前方側(図2の左側)のみに傾斜面と被覆部9aとを設けてもよい。
3 油溝 3a 側壁面
3b 底面 5 スラストリリーフ
7 裏金 8 軸受合金層
9 樹脂コーティング層 9a 被覆部
X1 中央部分 X2、X3 両端部分
Claims (3)
- 半円リング形状の裏金上に軸受合金層と樹脂コーティング層とが順次積層されて該樹脂コーティング層の表面が軸受面となっており、かつ該軸受面に略半径方向の油溝が形成された半割りスラスト軸受において、
上記油溝の側壁面は軸受面に向かって拡開する傾斜面となっており、かつ上記樹脂コーティング層は上記軸受面から側壁面にかけて、該側壁面を構成する裏金の露出面と軸受合金層の露出面との両者を滑らかに覆う被覆部を有しており、
上記樹脂コーティング層は、少なくとも油溝に隣接した箇所において、半割りスラスト軸受の半径方向の中央部分が両端部分に比較して軸方向に突出した中高形状となっていることを特徴とする半割りスラスト軸受。 - 上記被覆部は、上記油溝の全面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の半割りスラスト軸受。
- 上記被覆部は、上記軸受合金層8を覆って油溝の底面に隣接した位置まで伸びていることを特徴とする請求項1に記載の半割りスラスト軸受。
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