JP6123856B2 - 排水からのマンガンの除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ニッケル酸化鉱石等のマンガンを含有する鉱石を原料とする湿式製錬プロセス等から排出される排水からのマンガンの除去方法に関する。
原料であるニッケル酸化鉱石に硫酸等の酸を添加し、高温加圧下で鉱石中のニッケルを酸溶液中に浸出して回収するHPALプロセス等の湿式製錬プロセスは、従来から行われてきた高温の炉を用いる乾式製錬プロセスに比べると、鉱石中に低品位なニッケルやコバルト等の有価物を効率よく回収できるというメリットがある。
しかしながら、HPALプロセス等による湿式製錬プロセスを用いてニッケルやコバルトを回収した後の排水となる溶液には、乾式製錬プロセスではスラグとして効率よく分離できる鉄、アルミニウム、マンガン、マグネシウム、カルシウム等の不純物が高濃度に共存するという短所もある。
これらの不純物は、工業的にはコストをかけて回収するほどのメリットはないが、そのまま海域に放流するには環境面で問題となる。また、水資源の有効利用のためには、排水をHPALの処理工程に繰り返して使うことも行われており、繰り返し利用に伴って次第に不純物の濃度も増加し、鉄やカルシウムが析出して配管閉塞の原因となったりするといった問題点もある。このため、排水の一部を抜き出して排水処理工程に送り、排水に中和剤を添加してpHを調整して不純物を水酸化物や酸化物の形態で沈降させて分離し、処理後の濾液を放流する等の方法がとられることが多い。
ここで、排水に含まれる除去対象の成分としては、一般に、浮遊粒子として存在する鉄のほかに、アルミニウム、マンガンがある。
この中で、アルミニウムは、比較的低いpHで中和されて水酸化物となって除去される。鉄は、浮遊粒子をシックナー等で静置させて沈降処理し、その後にテーリングダムに送って通過することで有効に沈降除去することができる。
しかしながら、マンガンは、排水中に溶解状態で存在するため、pHを9以上のアルカリ領域に調整するか、あるいはpHを調整した後に酸素や次亜塩素酸ソーダ、オゾン等の酸化剤を加えることで、二酸化マンガンの形で固形化させて除去することが行われる。特にマンガンは、排水中に数mg/l程度の微量で存在する場合であっても、その排水を着色するなど好ましくない。そのため、実用上は、1mg/l未満、好ましくは0.5mg/l未満の濃度まで除去することが必要となる。
一方で、工業的なニッケル酸化鉱石のHPALプロセスでは、原料に含まれる低品位のニッケルを回収するために、取り扱う液量が多大となり、その結果として発生する排水の量も多大な量となる。また、HPALプロセスでは、ニッケルを効率的に、かつ不純物と分離して回収するために、硫化剤を添加する等、還元雰囲気で処理されることが多い。このため、還元性雰囲気で存在するマンガンを酸化除去するためには、次亜塩素酸ソーダやオゾン等の酸化剤が大量に必要となり、コストや手間の点でも好ましくない。
そのため、消石灰等のアルカリを中和剤として添加し、排水中のpHを9乃至9.2以上にまで増加させ、マンガンを水酸化マンガンとして沈降除去することが行われる。
ところが、排水のpHを上げるために中和剤を添加していくと、その排水中に含まれるマグネシウムがマンガンよりも先に水酸化物になり、マンガン水酸化物の形成に添加したアルカリが優先的に消費される。そのため、存在するマンガン当量以上の中和剤添加が必要となり、より一層にコストが増加する原因となる問題があった。
ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収した際に残るマンガンを分離する方法として、例えば特許文献1に示す方法が知られている。この方法は、ニッケル、コバルト、亜鉛、マンガン、マグネシウム、鉄、アルミニウム、クロム等の金属を含有する酸化鉱石から、有価金属であるニッケル、コバルト、亜鉛、マンガンを回収するにあたり、[1]あらかじめスラリー化した酸化鉱石を、工程(b)で得られた加圧浸出液により硫酸酸性下で常圧浸出し、常圧浸出液と常圧浸出残留物を得る工程(a)と、[2]工程(a)で得られた常圧浸出残留物を、加圧浸出液を形成するに十分な高温、高圧の下で硫酸と反応させて加圧浸出液を得る工程(b)と、[3]工程(a)で得られた常圧浸出液に中和剤を加え、常圧浸出液中の鉄及びアルミニウムを沈殿物として、常圧浸出液から分離する工程(c)と、[4]工程(c)で鉄及びアルミニウムを分離した常圧浸出液に、中和剤を加えて常圧浸出液中のニッケル、コバルト、亜鉛を水酸化物あるいは炭酸塩として沈殿せしめ、回収する工程(d)と、[5]工程(d)でニッケル、コバルト、亜鉛を分離した常圧浸出液に中和剤と酸化剤を加えて、常圧浸出液中のマンガンを酸化物と水酸化物あるいは酸化物と炭酸塩として沈殿させ、回収する工程(e)とからなる酸化鉱石から有価金属を回収する方法である。
この特許文献1に開示の方法では、調整するpHは9未満の比較的低い値で済むという利点がある。しかしながら、この方法では、中和剤の他に酸化剤も必要となり、設備投資や薬剤コストがかさむ問題がある。
上述したように、特にHPALプロセスでは、取り扱う排水量が膨大なため、調整するpH値の違いがわずかであっても使用する中和剤や酸化剤のコストに大きく影響してしまう。このため、効率よくマンガンを分離して除去する方法が求められていた。
特開2000−234130号公報
本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、湿式製錬プロセス、特に排水量の多いHPALプロセス等を経て排出される、マンガンを含有する排水から、中和剤等の薬剤の使用量を抑えながら、効率的にマンガンを除去する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、マンガンを含有する排水のpHを所定の範囲に調整し、pH調整後の排水を、マンガン酸化細菌が存在する所定の長さの排水路内に通液させることで、効率的にマンガンを除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、マンガンを含有する排水から該マンガンを除去するマンガンの除去方法であって、前記排水のpHを8.0以上9.2以下の範囲に調整し、得られたpH調整後の液を、マンガン酸化細菌が存在する長さ3km以上の排水路に供給して、1時間以上の滞留時間をかけて通液させる、マンガンの除去方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記排水のpHを調整するに際しては、pH調整後の液中のマンガン濃度が操業開始後1ヶ月毎に1mg/lずつ増加するように調整するpH値を低下させていき、pH調整後の液中のマンガン濃度が10mg/lに達した時点に調整したpH値を維持させる、マンガンの除去方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記排水は、ニッケル酸化鉱石に酸を添加し加圧浸出してニッケルを回収する湿式製錬プロセスにおいて排出される排水である、マンガンの除去方法である。
本発明によれば、HPALプロセス等の湿式製錬プロセスを経て排出された、マンガンを含有する排水から、中和剤等の薬剤の使用量を抑えながら、効率的にマンガンを分離除去することができる。
排水が供給される入り口からの排水路の距離に対して、各地点でサンプリングした排水中のマンガン濃度の測定結果を示すグラフ図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
本実施の形態に係るマンガンの除去方法は、マンガンを含有する排水からそのマンガンを除去する方法である。マンガンを含有する排水としては、例えば、各種の金属製錬プロセスを経て排出される排水が挙げられる。
具体的に、その排水としては、例えば、ニッケル酸化鉱石に硫酸等の酸を添加し加圧浸出してニッケルを回収する湿式製錬プロセス(以下、「HPALプロセス」という)における、ニッケルを分離回収した後に排出される排水が挙げられる。
ここで、HPALプロセスにおいては、ニッケル酸化鉱石を硫酸等の酸で浸出して得られた浸出液が、中和剤を添加しつつ浸出残渣からなるスラリーと固液分離され、次いで中和剤が添加されて不純物が分離される。さらに、その中和処理後に浸出液(ニッケル回収母液)に硫化剤が添加されて硫化処理が施され、硫化物としてニッケルが回収される。硫化処理後の硫化後液には、マンガンやアルミニウム、マグネシウム等の回収対象外の不純物成分が存在しており、排水処理工程に移送されて沈澱物として分離されて、排水となる。しかしながら、この排水には、排水処理で除去できなかったマンガンが残留している。なお、HPALプロセスにおいて、このような各種の工程を経るものであるため、取り扱う排水量も膨大となる。
具体的に、このマンガンの除去方法は、HPALプロセスから排出される排水のpHを8.0以上9.2以下の範囲に調整する工程(pH調整工程)と、得られたpH調整後の液を、マンガン酸化細菌が存在する排水路に供給して、所定の滞留時間をかけて通液させる工程(排水路通液工程)とを有することを特徴としている。
このマンガンの除去方法は、HPALプロセスの排水等のマンガンが存在する排水からマンガンを効率的に且つ効果的に分離するために、先ず、従来よりも排水のpHを低めに調整してそのpH値で分離できるマンガンを大まかに分離した後で、次に、マンガン酸化細菌を利用することでマンガンを実用上完全に除去するものである。
[pH調整工程]
pH調整工程では、排水路内での排水中のマンガンの除去に先立ち、排水路への供給前の排水のpHを調整する。本実施の形態に係るマンガンの除去方法では、上述したように、処理対象であるマンガンを含有する排水に対してpH調整を行うことにより、排水のpH調整のみによって分離できるマンガンを分離除去する。
具体的に、このpH調整工程では、マンガンを実用上完全に分離できるpH9.2を超える範囲まで中和するのではなく、あえて少量のマンガンが排水中に残るpH8.0以上9.2以下の間に調整制御する。このようなpH範囲であれば、少量の中和剤を添加することによって容易に制御することができ、適度にマンガンを除去することもできる。
排水のpHが9.2を超えるように調整すると、マンガンを完全に分離除去できる一方で、従来のように多量の中和剤が必要となり、効率的なマンガン除去処理を行うことができなくなる。一方で、排水のpHが8.0未満となるように調整すると、中和剤の必要量は減少するものの、pH調整後の排水を排水路内でマンガン酸化細菌により分離する際に、そのマンガン酸化細菌による除去能を超えた濃度まで排水中のマンガンが増加する可能性があり、排水中のマンガンを十分に除去できない可能性がある。
pH調整においては、例えば中和剤を添加して行うことができる。具体的に、中和剤としては、消石灰や石灰石等を用いることができる。本実施の形態においては、pHの調整範囲を8.0以上9.2以下としていることにより、従来よりも中和剤の使用量を効果的に低減させることができ、効率的な処理を行うことができる。
[排水路通液工程]
排水路通液工程では、pH調整後の排水を、マンガン酸化細菌が存在する排水路(放流配管)に供給して、その排水路内を所定の滞留時間をかけて通液させる。
上述したように、pH調整工程では、比較的少量の中和剤を用いてpH調整しながら大まかにマンガンを分離除去したのみであるため、pH調整後の排水にはマンガンが濃度数mg/l程度の割合で残留している。排水路通液工程では、このようなpH調整によっては分離除去できずに残留した濃度数mg/l程度のマンガンを、排水路内に繁殖させたマンガン酸化細菌を利用して除去する。具体的には、その排水を、所定の長さの排水路内に、所定の滞留時間をかけて通過させる。
排水路にて排水を通過させるに際しては、排水と、排水路の表面、すなわちマンガン酸化細菌が存在する排水路内表面との接触面積を確保することが重要であり、その観点から、排水路内での排水の滞留時間を1時間以上とする。
また、排水路の路長(排水経路)としては、3km以上の距離とする。このように、3km以上の距離の排水路内を滞留時間として1時間以上かけて排水を流すことにより、マンガン酸化細菌と、マンガンを含有する排水とを十分に接触させることができる。
なお、排水路は一直線となる構造とする必要はなく、例えば途中で何度も折り返す等の構造であってもよい。また、排水路は、マンガン酸化細菌の生息に好ましい条件によって、例えば暗渠や開口構造等の適宜妥当な構造とすることができる。また、マンガン酸化細菌が繁殖し易い路壁との排水の接触機会が増えるように、排水が流れる途中に適宜障害物等を設けるようにしてもよい。
ここで、マンガン酸化細菌とは、マンガンを酸化する能力を有する微生物の総称である。具体的に、そのマンガン酸化細菌としては、特に限定されるものではなく、例えば、Hyphomicrobium属、Magnetospirillum属、Geobacter属、Bacillus属、Pseudomonas属等を挙げることができる。また、マンガン酸化細菌の排水路内での存在割合(濃度)についても、排水中のマンガンを効果的に分離除去できる濃度であれば特に限定されないが、例えば100mg/L〜1000mg/L程度の高濃度であることが好ましい。
なお、排水路内には、マンガン酸化細菌が効率的に増殖し得るように、マンガン酸化細菌にとっての必須栄養塩類等を含ませておくことが好ましいが、HPALプロセスを経てニッケル回収後に排出された貧液等の排水には、種々の塩類が含まれており、そのような排水を排水路内に通液させることで、その排水路内はマンガン酸化細菌が良好に増殖し得る環境になっている。
また、本実施の形態に係るマンガンの除去方法において、マンガン酸化細菌が十分に増殖していない通液初期や排水中のマンガン負荷を増加させるようなときなどには、排水のpH設定値を9.2から少しずつ低下させることによって、排水路に供給する排水中のマンガン濃度を概ね1ヶ月に1mg/lずつ増加させ、排水路内に存在するマンガン酸化細菌に対して徐々にマンガン負荷をかけていくようにすることが好ましい。
このようにすることで、排水路内のマンガン酸化細菌を効率的に増殖させて、排水路の内壁表面にマンガン酸化を行うマンガン酸化細菌の膜、いわゆる生物膜を生成させることができる。そして、生物膜が生成した後は、マンガンを含む排水がその配管を通過することで有効にマンガンを酸化除去することができるため、より一層効率的に、マンガン酸化細菌によって排水中のマンガンを酸化させることができる。
具体的に、排水路の入り口での排水中のマンガン濃度としては、その排水のpHを8.0程度まで低下させて調整して、マンガンが排水中に残留する10mg/lまでを限度に増加させることができる。つまり、排水路に通液させる排水中のマンガン濃度をこのような濃度まで徐々に上昇させることで、排水路内でマンガン酸化を行うマンガン酸化細菌の生物膜が徐々に生成していくようになる。そのため、濃度10mg/lまで上昇したマンガンを含む排水を排水路に導入した場合でも、その排水を、3km以上の距離を1時間以上の滞留時間をかけて流すことで、増殖したマンガン酸化細菌によって排水中のマンガンを分離除去して、実用上十分な濃度にまで低減させることができる。
なお、マンガン濃度の調整速度が速すぎると、つまり、pHを急速に低下させてしまう、マンガンを酸化して除去する配管表面の生物膜が十分に成長する前にマンガン濃度が上昇してしまい、その結果として十分な除去効果が発揮されなくなってしまう。このため、マンガン濃度の上昇度合としては、1ヶ月に1mg/lの割合の速度以下で上昇させることが好ましい。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
ニッケル酸化鉱石を公知のHPALプロセスを用いてニッケルを回収した後の湿式製錬の排水処理において、内径が0.26m、長さが10kmの鉄製の管からなる排水路を用意した。その排水路には、流れる液をサンプリングできる場所を数か所設けた。
数か所に設けた各サンプリング口から配管内壁を採取し、排水路内にはマンガン酸化細菌が存在していることが確認された。
具体的には、配管内壁の試験サンプルを用いてDNA解析を行ったところ、検出された既知の塩基配列の数3,776のうち、マンガン酸化細菌である可能性が高いバクテリアの塩基配列の数は975であり、その他のバクテリアの塩基配列の数は2,801であり、識別できたDNAのうちの少なくとも1/4はマンガン酸化細菌であり、配管内壁にマンガン酸化細菌が存在していることが確認された。マンガン酸化細菌としては、Hyphomicrobium属、Magnetospirillum属、Geobacter属、Bacillus属、Pseudomonas属のバクテリアの存在が確認された。なお、既知の塩基配列とは、DNA解析に際してデータベースに登録されていたバクテリアの塩基配列をいう。
先ず、排水路に流す排水に対して、あらかじめ中和剤として消石灰を添加することによって排水のpHを9.0〜9.2の範囲に調整した。次いで、pH調整後の排水をシックナーと沈殿池に通して、鉄、アルミニウム、及びマンガンのかなりの部分を除去した。この処理後のマンガン濃度は0.16mg/lであった。つまり、このような濃度のマンガンを含む排水を、そのまま放流することはできない。
次に、この排水を、上述した内径0.26m、長さ10kmであって、内壁にマンガン酸化細菌が存在する排水路に供給して、その排水路内を通過させた。このとき、この排水路に流す排水の送液量を調整することで、排水路内の液の滞留時間を3.3時間、つまり配管3kmを1時間で通過するように制御した。
排水路内を通液させ、その排水路の入り口から所定の距離で排水をサンプリングしてマンガン濃度を測定した結果、入り口から5kmの距離となる位置での排水中のマンガン濃度は0.01mg/lの検出下限以下となった。
図1は、排水が供給される入り口からの排水路の距離に対して、各地点でサンプリングした排水中のマンガン濃度の測定結果を示すグラフ図である。図1のグラフ図から分かるように、濃度0.16mg/lでマンガンを含有する排水を排水路に通液させて、例えば濃度0.04mg/lにまで低減させるために、3kmの長さの排水路があればよいことが分かる。
以上のことから、マンガン酸化細菌が存在する排水路に、マンガンを含有する排水を通液させることで、マンガンを効果的に分離除去できることが分かる。また、その排水路への通液に先立ち、少量の中和剤を添加して排水のpHをわずかに調整することで、ある程度のマンガンを除去でき、その後、排水路に通液させることで、安価なコストで確実にマンガンを分離除去することができる。
[実施例2]
実施例1で用いた同一の排水路を用い、供給する排水のpHを、実施例1でのpH9.0〜9.2から徐々にpH8.0まで低下するように中和剤の添加量を次第に減少させながら調整し、排水路に供給される排水のマンガン濃度を徐々に増加させた。その結果、排水のマンガン濃度は1ヶ月に1mg/lのペースで上昇していった。
この場合でも、排水路の入り口から3km地点でサンプリングした排水のマンガン濃度の上昇は見られず、排水路内で効果的にマンガンが除去されていることが確認できた。
なお、pHを8.0に調整したときの排水中のマンガン濃度は、最大で10mg/lまで上昇したが、この排水を排水路内に通液させた場合でも、入り口から3km地点でのマンガン濃度は0.5mg/l未満に低減されており、安定的にマンガンを除去できた。
つまり、この実施例2の結果から、最大で濃度10mg/lのマンガンを含有する排水を通液しても、排水路内でのマンガン酸化細菌を利用した方法により、そのマンガンを実用上問題ないレベルまで除去できることが分かった。また、それだけ低いpHに調整しても十分処理できることから、必要な中和剤量を大幅に低減できることが確かめられた。
[比較例1]
実施例2で用いた同一の排水路に供給する排水に対して、添加する中和剤を減らしてpHを9.0〜9.2から徐々にpH7.0まで低下させ、排水路に供給するマンガン濃度を1ヶ月に1.5mg/l以上となるペースで上昇させた。
しかしながら、排水路の入り口から3km地点でサンプリングした排水のマンガン濃度は、当初の0.2mg/lから徐々に上昇傾向を示し、排水路内でのマンガン除去能力の増強が追い付かないことが分かった。

Claims (3)

  1. マンガンを含有する排水から該マンガンを除去するマンガンの除去方法であって、
    前記排水のpHを8.0以上9.2以下の範囲に調整し、
    得られたpH調整後の液を、マンガン酸化細菌が存在する長さ3km以上の排水路に供給して、1時間以上の滞留時間をかけて通液させる
    ことを特徴とするマンガンの除去方法。
  2. 前記排水のpHを調整するに際しては、
    pH調整後の液中のマンガン濃度が操業開始後1ヶ月毎に1mg/lずつ増加するように調整するpH値を低下させていき、pH調整後の液中のマンガン濃度が10mg/lに達した時点に調整したpH値を維持させる
    ことを特徴とする請求項1に記載のマンガンの除去方法。
  3. 前記排水は、ニッケル酸化鉱石に酸を添加し加圧浸出してニッケルを回収する湿式製錬プロセスにおいて排出される排水である
    請求項1又は2に記載のマンガンの除去方法。
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