JP6956971B2 - 排水からのマンガンの除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マンガンを含有する排水からのマンガンの除去方法に関する。さらに詳しくは、ニッケル酸化鉱を原料とする湿式製錬プロセスにおける、マンガンを含有する排水を処理する方法に関する。
ニッケル酸化鉱を原料とする湿式製錬プロセスにおいては、特許文献1に示すような操業が行われる。すなわち、ニッケル酸化鉱石に硫酸などの酸を加えてニッケルなどの有価物を浸出し、得た硫酸酸性の浸出液にアルカリを添加して含有された鉄、アルミニウム、マンガン、マグネシウム、カルシウムなどの不純物の大部分を中和物として分離し、次いで中和後の液に硫化剤を添加してニッケルなどの有価物を硫化物として分離し回収する。
このプロセスを用いた場合、硫化後の硫酸酸性を呈する排水(「硫化後液」あるいは単に「貧液」とも呼ばれる)の一部は、浸出工程などの系内に繰り返して利用されるものの、大部分は排水処理工程に送り、アルカリを添加して残留する酸を中和し、同時に含有する不純物等を除去し、その後海域等に放出する処理が行われる。
前記の排水処理工程において、除去する必要がある不純物としては、浮遊粒子として存在する鉄や、イオンとして溶解しているアルミニウムやマンガンがある。
上記の不純物の中で、鉄は、排水をシックナー等に送ることで浮遊粒子を沈降させて分離し、更にテーリングダム等を通過させることで実用上完全に沈降させ、さらに必要に応じてフィルタープレスなどの濾過手段を併用することで排水から除去できる。アルミニウムについては、アルカリを添加して、pHを比較的低く維持することで中和され、水酸化物の澱物として排水から除去できる。
ところが、マンガンについては、排水中に溶解した状態で存在するため、排水にアルカリなどを添加して調整するpHが9を上回るアルカリ領域にまで調整しなければ、マンガンの澱物を生成させることはできない。このため、前述の排水からマンガンを除去するには、きわめて手間とコストがかかるという問題があった。
また、pHを上げるためにアルカリを添加した場合、pHが9を超えると、排水中に上述した不純物とともに含有されるマグネシウムが、マンガンよりも先に水酸化物を形成するという問題もあった。
ところで、マグネシウムは、特段の排水基準もなく環境への影響もないので、排水からの除去が不要であるが、マンガンを除去するために添加したアルカリがマグネシウム水酸化物の生成に消費されるため、目的のマンガンを水酸化するのに必要な量以上のアルカリが必要となり、余計なコストがかかる。さらにマグネシウムが澱物化されることから発生する物量が増加するなど好ましくない。
そこで、マンガンとマグネシウム両方の澱物が生成するpH9まで排水のpHを上げずに、マグネシウムの澱物が生成せずに、少量のマンガンが水溶液として残るpH8.6以下に排水のpHを調整し、そのpHの差だけアルカリの添加量を下げる操作が行われてきた(特許文献2参照)。
この方法では、排水に残留する低濃度のマンガンについては、排水を積極的に酸化させて除去するので、澱物の増加が防げ、アルカリのコストを低減する効果がある。しかし取り扱う酸化剤の量や反応に要する設備などの点でコストがかかる課題があった。
とくに、工業的なニッケル酸化鉱の湿式処理では、せいぜい1〜2%かそれ以下の品位のニッケルを分離して回収するために、膨大な量の鉱石を処理することが多い。このため発生する排水量も膨大な量になる。さらに前述のようにニッケル等の有価物を還元雰囲気下で析出させて回収した後の排水を処理するため、マンガンを酸化して除去するため還元雰囲気から酸化雰囲気まで変化させなければならず、短時間で処理を進めるためには、次亜塩素酸ソーダや、オゾンなどの強力な酸化剤を大量に付与しなければならない。このため、酸化剤のコストが必要となるという問題があった。
そこで、酸化に要するコストと手間を省く方法として、マンガン酸化細菌を用いた処理方法が試みられてきた。
マンガン酸化細菌を利用してマンガンを除去するには、一定量のマンガン酸化細菌を増殖し、増殖したマンガン酸化細菌がマンガンを酸化して沈殿させ、澱物を形成する除去能力を高めなければならない。
特に前述するようにニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法では、大量の排水を取り扱う場合があり、このような環境下でマンガン酸化細菌を効果的に増殖させ利用に適することは難しく、より確実に排水処理に適用する方法が望まれていた。
特開2005−350766号公報 特開2010−207674号公報
本発明は、上記事情に鑑み、マンガン酸化細菌を用いて排水中に含まれるマンガンを酸化して除去する方法を提供することを目的とする。
第1発明の排水からのマンガンの除去方法は、自然に繁殖している場所から採取したマンガン酸化細菌を、マンガンを含む排水に添加してマンガンを除去する方法であって、
90以上の分子量をもつアミノ酸と、グルコースを添加し、前記アミノ酸の添加量が、排水中のマンガンのモル濃度の1.6倍〜2.2倍のモル濃度となる量であり、前記グルコースの添加量が、排水中のマンガンのモル濃度の0.2倍〜0.6倍のモル濃度となる量であることを特徴とする
第2発明の排水からのマンガンの除去方法は、予備工程として、マンガンを含む排水に予めアルカリを添加してpHを調整し、マンガン濃度を65mg/L以下に低減しておき、該予備工程で得られた排水を上記請求項1記載の処理に供することを特徴とする。
第1発明によれば、つぎの効果を奏する。
a)マンガン酸化細菌を増殖させると共に細胞構成成分としての炭素源およびエネルギー源を供給することで、多大なアルカリを投入することなく、マンガン酸化細菌によってマンガンを十分に酸化させて、これを沈殿させて除去することができる。
b)アミノ酸分子量が好適な範囲なので、マンガン酸化能力が低すぎることもなく、過剰なアミノ酸により雑菌が増殖することもなく、マンガンを低減させることができる。
c)グルコース添加量が好適な範囲なので、マンガン酸化細菌の活動が弱くなることもなく、過剰のグルコースによって雑菌が増殖することもなく、マンガンを低減させることができる。
発明によれば、予備工程において、マンガン濃度を下げておくので過剰なアルカリ添加を必要とせず、反応時間も短くできるので、コスト的および設備的に有利となる。
本発明に係るマンガン除去方法の説明図である。 添加アミノ酸分子量とマンガン除去濃度の関係を示すグラフである。 アミノ酸添加量とマンガン除去濃度の関係を示すグラフである。 グルコース量とマンガン除去濃度の関係を示すグラフである。
(本発明の技術原理)
本発明に係る排水からのマンガンの除去方法は、マンガンを含む排水からマンガン酸化細菌によりマンガンを除去する方法であって、90以上の分子量をもつアミノ酸と、グルコースを添加して行う。グルコースを添加する目的は増殖したマンガン酸化細菌に細胞構成成分としての炭素源およびエネルギー源を供給するためであり、アミノ酸を添加する目的は、炭素源・エネルギー源、また、その他窒素源などの微量栄養元素を供給するためである。
マンガン酸化細菌を増殖させると共に細胞構成成分としての炭素源およびエネルギー源を供給すれば、多大なアルカリを投入することなく、マンガン酸化細菌によってマンガンを十分に酸化させて、これを沈殿させて除去することができる。このマンガン除去効果は強力なので、pH9未満となる低いpH領域の排水であってもマンガン除去は可能である。
(マンガン酸化細菌)
マンガン酸化細菌は、排水中に含まれている例が多いが、含まれていなかったり、極く微量の場合は、予め保存しておいたマンガン酸化細菌を排水中に添加する。
マンガン酸化細菌にはさまざまな種類のものが知られているが、単一の菌種だけで酸化させるよりも実際の排水処理場所などマンガン酸化細菌が自然に繁殖している場所から採取した菌を一括して取り扱うことがコストも抑えられ、工業的には実用的である。しかしながら、現場で採取した様々な菌種をまとめて取扱うような場合、有用なマンガン酸化細菌の他にも様々な無役のいわゆる雑菌も含まれている。
既述のように、多種多様な菌種があるマンガン酸化細菌を、精密に分析して菌種を特定したり、あるいは特定の菌のみを増殖させたりすることは一般に困難である。そのため、本発明では、同一条件で採取し培養した菌種をまとめて扱い、様々な菌種が全体としてマンガンを除去することに利用する。このため、本明細書では、マンガンを酸化する能力がある細菌を一括して「マンガン酸化細菌」と定義し、マンガンの酸化に関与しない細菌を「雑菌」と定義する。
また、本発明では後述するようにフィリピン国パラワン島で操業する製錬所の排水処理設備の排水路配管から採取したマンガン酸化細菌を培養して試験に付したが、特定の産出地に限定されるものではない。
(本発明の適用対象となる排水)
本発明によるマンガン除去は、マンガン濃度が概ね60mg/Lとなる排水を対象とし、それ以下にマンガン濃度を低減させる場合に好適である。
上記マンガン濃度を対象とする理由は、下記(1)、(2)のとおりである。
(1)アルカリを添加してpHを上昇させる従来からのマンガン除去方法を用いた場合、pHが9未満となる領域であっても排水のマンガン濃度は概ね60mg/Lまでは低減できるが、さらにマンガンを低減しようとする場合には当量を上回る過剰量のアルカリ添加や過大な反応時間が必要となる。このため、マンガン濃度が65mg/L以下、好ましくは60mg/L程度になるように中和した後、この中和後の排水に対してマンガン酸化細菌を利用した処理を行ってマンガン濃度を1mg/L以下まで低減するのが、コスト的にまた設備的にも有利である。
(2)過剰の中和剤を使用した場合、排水中のpHが上がりすぎ、マンガンを除去した後の排水を放流するために再度酸を添加して放流に適したpHに調整する必要があるなど手間とコストを要する。
(マンガン除去能力を保持するための条件)
以下に本発明によるマンガン酸化細菌を用いたマンガン除去方法を実施するに当って、必要とされるマンガン除去能力を保持するための条件を説明する。
供試液として、ニッケル酸化鉱の湿式製錬する現場の排水処理工程において採取したマンガン酸化細菌を含んだ培養液を用意した。排水処理工程では前述のようにマンガンが含有されるため、これに適応した細菌が適量存在することが多い。
(アミノ酸)
添加するアミノ酸の役割は、炭素源・エネルギー源、また、その他窒素源などの栄養源となってマンガン酸化細菌の増殖を助けるところにある。
上記培養液に、低濃度のマンガン及びそのマンガン量に対して0.01倍から5倍までの間のモル量の分子量100以上のアミノ酸を加えて供試の水溶液とした。
アミノ酸には、例えばセリン(分子量105.1)、ロイシン(分子量131.2)、アスパラギン酸(分子量133.1)、グルタミン酸(分子量147.1)などの種類がある。またこれらのアミノ酸は、ナトリウム塩の形態で添加しても良い。
水溶液に添加するアミノ酸の分子量と低減できるマンガン量、すなわちマンガンの酸化能力を図2に示す。図2では、アミノ酸の分子量が増加するにつれてマンガン低減量も高くなっている。
そして、60mg/Lの濃度差のマンガンを除去するには、添加するアミノ酸の分子量として概ね90程度以上が必要であることがわかる。分子量が75のグリシンのように、分子量が90未満となるようなアミノ酸を用いた場合はマンガン低減量は60mg/L未満にしかならない。
分子量が133のアスパラギン酸を用いてアミノ酸添加量とマンガン低減量を比較すると、図3に示すように、マンガン濃度を60mg/L以上低減するためには3mMol/L以上のアミノ酸を添加する必要がある。
アミノ酸を過剰に添加すると、これら雑菌の栄養源にも寄与して雑菌の増殖を助けることになる。したがって目的とするマンガン酸化細菌の増殖が阻害されてしまうので好ましくない。
具体的には、マンガンが1.8mMol/L(100mg/L)の濃度で含まれた排水に対して、アミノ酸の添加量が概ね4mMol/Lを超えると。過剰なアミノ酸によって雑菌の増殖が加速されてしまい、さらに次亜塩素酸ソーダを添加してマンガンを酸化してきた場合のコストに匹敵するためマンガン酸化細菌を用いるメリットがなくなる。そのため、図3に示すように、アミノ酸は3〜4mMol/Lを添加することが好ましい。
つまり、マンガンのモル数に対して、アミノ酸を1.6倍以上2.2倍以下の範囲となる量で添加することがよい。
また、元液のマンガン濃度が異なる場合は、同じ倍数の範囲となるアミノ酸濃度を添加すればよい。具体的には、例えばマンガンが50mg/L(0.91mMol/L)含有された排水に対しては、アミノ酸は1.4mMol/L〜2mMol/Lの範囲で添加する。
なお、更に分子量の大きいアミノ酸やさらにはタンパク質を加えてもよいと考えられるが、分子量が大きすぎるとマンガン酸化細菌が栄養素として取り込むのが困難になる傾向がある上に、これら分子量の大きなアミノ酸は一般に効果で、工業的な排水処理などの用途に用いるには、コストがかかりすぎるため現実的ではない。
(グルコース)
マンガン酸化細菌を含む培養液には、マンガン酸化細菌に細胞構成成分としての炭素源および活動するためのエネルギー源としてグルコース(分子量180)もしくは相当する炭化水素を添加することがよい。
図4に示すように、グルコースの添加量とマンガン低減量とは線形の関係にある。グルコース添加量が0.4mMol/Lのときにマンガン低減量は約60△Mn(mg/L)であり、グルコース添加量が1mMol/Lのときにマンガン低減量は約75△Mn(mg/L)である。
上記から明らかなように、グルコースは0.4mMol/L以上の量を添加する必要がある。上記のアミノ酸の場合と同じように含有するマンガンのモル濃度に対しては、0.2倍となる。
グルコースの濃度が0.4mMol/Lを下回るなど低すぎると、マンガン酸化細菌の活動が弱くなり、増殖に寄与しなくなり、その結果マンガン低減量は低下する。
一方、グルコース濃度が高すぎると、過剰のグルコースが雑菌の栄養源にもなって雑菌が必要以上に増殖し、その結果マンガン酸化細菌の増殖を阻害することになるため好ましくない。特にグルコースの添加量が1mMol/Lを超えると、必要なコストは次亜塩素酸ソーダを用いて酸化する場合のコストを超えてしまう。このため添加量は1mMol/L以下とすることが好ましい。マンガンのモル濃度に対しては、0.6倍となる。
つまりマンガンのモル濃度の0.2倍〜0.6倍のモル濃度となる量のグルコースを添加することが好ましい。
(予備工程)
マンガン濃度が60mg/Lを超える高濃度の排水に対してマンガン酸化細菌を利用してマンガンを酸化することも可能である。しかし、処理に必要な多量のマンガン酸化細菌を培養して確保し、マンガン酸化細菌が処理するのに必要な反応時間を確保できる設備の大きさを勘案すると、予備工程として60mg/Lの濃度までアルカリによってマンガン濃度を低減しておき、その次に本発明を適用してマンガン酸化細菌を用いてマンガン除去する方法が効率的である。
<実施例1>
フィリピン国パラワン島バタラザ,リオツバ(Rio Tuba,Bataraza,Palawan 5306,Philippines)に所在するコーラルベイニッケルコーポレーション社(Coral Bay Nickel Corporation)のニッケル酸化鉱の湿式製錬プラントの排水処理設備の排水路配管から採取したマンガン酸化細菌を含むスラッジを水分込みで約1g採取し、これを250mlの純水中に懸濁させた。
次に、栄養素としてグルコースを1mMol/L(マンガンの0.6倍)、およびアミノ酸として分子量が133.1のアスパラギン酸のナトリウム塩を4mMol/L(同2.2倍)添加し、溶液を撹拌した。
次にこの溶液にマンガン濃度が1.8mMol/L相当となる量に相当する硫酸マンガンを添加し、混合して始液とした。始液のマンガン濃度は100mg/Lとなる。
この始液を温度30℃に維持し、14日間撹拌を継続した。
始液に含まれたマンガン濃度は、撹拌を開始してから1時間程度の初期時間で急激に1.8から1.4mMol/L(76mg/L)まで低下する初期状態を呈し、その後は14日間かけて検出下限すなわち事実上0mMol/Lまで低下した。
つまり14日間でマンガン酸化細菌によりマンガンを1.4mMol/Lだけ低減させることができた。
(実施例1に基づくマンガン酸化細菌の活動の評価)
上記実施例1の結果は添加したマンガン酸化細菌が増殖活動し、溶液中のマンガンを酸化除去したためと考えられる。
<実施例2>
アミノ酸としてアスパラギン酸の代わりに分子量が141のグルタミン酸のナトリウム塩4mMol/Lを添加した以外は、実施例1と同じ条件で14日間撹拌を実施した。この時のマンガン濃度の変化は初期期間で1.8から1.5mMol/L(84mg/L)まで低下し、その後14日経過後は検出下限、すなわち事実上0mMol/Lとなった。
<比較例1>
アミノ酸としてアスパラギン酸の代わりに分子量が75のグリシン4mMol/Lを添加した以外は、実施例1と同じ条件で14日間撹拌を実施した。この時のマンガン濃度の変化は初期状態で1.8から1.3mMol/Lに低下し、その後14日経過後には0.2mMol/Lとなった。この時の変化量は1.1mMol/L(60mg/L)だった。
(実施例1、2と比較例1に基づくアミノ酸分子量の評価)
実施例1、2と比較例1の対比から、分子量が大きすぎるアミノ酸は製造が難しいことや経済的に妥当でなく、アミノ酸としては分子量が概ね90以上のアラニンやグルタミン酸ナトリウムなどを用いるのが望ましいことがわかる。
<比較例2>
アミノ酸としてアスパラギン酸を1mMol/Lとなる量を添加した以外は実施例1と同じ条件で14日間撹拌実施した。この時のマンガン濃度は初期状態で1.8から1.4mMol/Lに低下し、その後14日経過後には0.9mMol/Lとなった。0.5mMol/L(27mg/L)しかマンガン濃度は低下せず、マンガン酸化細菌の活性化が不十分で濃度の下がり方は実施例1と比較すると鈍くなった。
(実施例1と比較例2に基づくアミノ酸添加量の評価)
図3に示したアミノ酸添加量の関係から、マンガン低減量(ΔMn)を60mg/L以上確保するには、アミノ酸は概ね3mMol/L以上の量を添加することが望ましいことがわかる。
マンガンの初期の濃度1.8mMol/Lと比較すると、マンガン濃度に対して1.6倍以上のモル濃度量の添加が望ましいこととなる。
<比較例3>
栄養素としてグルコースを全く添加しなかったこと以外は実施例1と同じ条件で 14日間撹拌を継続した。この時のマンガン濃度の変化は初期状態で1.8から1.4mMol/Lまで低下し、その後14日経過後には0.4mMol/Lとなった。この時の変化量は0.9mMol/L(濃度52mg/L)だった。
(実施例1と比較例3に基づくグルコース添加の評価)
比較例3を実施例1と対比すると、マンガン濃度の低下は認められるが、マンガン酸化細菌の活性化が不十分で、マンガン濃度の下がり方は実施例1と比較すると鈍く、グルコースを添加することの有効性が確認された。
(まとめ)
図4に示したグルコースの添加量の関係から、マンガン低減量(ΔMn)を60mg/L以上とするためには、グルコースを概ね0.4mMol/L程度添加することが必要となる。しかし過剰に添加しても前述のように雑菌の繁殖によってマンガン酸化細菌の活性化が鈍化するなど逆効果であり、上限は1mMol/Lとすることが好ましい。
マンガン濃度は1.8mMol/Lから低減していくので、グルコースはマンガンの0.2倍当量以上、0.6倍当量以下の量を添加することが効果的となる。
本発明のマンガン除去方法はあらゆる排水からマンガンを除去することに適用できるが、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける排水のような大量の排水中からのマンガンの除去に好適である。

Claims (2)

  1. 自然に繁殖している場所から採取したマンガン酸化細菌を、マンガンを含む排水に添加してマンガンを除去する方法であって、
    90以上の分子量をもつアミノ酸と、グルコースを添加し、
    前記アミノ酸の添加量が、排水中のマンガンのモル濃度の1.6倍〜2.2倍のモル濃度となる量であり、
    前記グルコースの添加量が、排水中のマンガンのモル濃度の0.2倍〜0.6倍のモル濃度となる量である
    ことを特徴とする排水からのマンガンの除去方法
  2. 予備工程として、マンガンを含む排水に予めアルカリを添加してpHを調整し、マンガン濃度を65mg/L以下に低減しておき、該予備工程で得られた排水を上記請求項1記載の処理に供する
    ことを特徴とする排水からのマンガンの除去方法。
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