以下、本発明に係る移動型X線撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
[FPDカセッテについて]
ここで、本発明に係る移動型X線撮影装置について説明する前に、移動型X線撮影装置で用いられるFPDカセッテ1について説明する。図1は、FPDカセッテの外観を示す斜視図である。
本実施形態では、FPDカセッテ1は、図示しないセンサーパネルがカーボン板等で形成された筐体2内に収納されて構成されている。そして、筐体2の一方の側面には、電源スイッチ25や切替スイッチ26、コネクター27、インジケーター28等が配置されている。また、図示を省略するが、本実施形態では、筐体2の例えば反対側の側面等に、外部と無線通信を行うためのアンテナ装置29(後述する図2参照)が設けられている。
なお、FPDカセッテ1は、外部と無線方式で通信を行う場合にはアンテナ装置29を用い、また、外部と有線方式で通信を行う場合には、コネクター27に図示しないケーブルを接続させて通信するようになっている。
また、本実施形態では、FPDカセッテ1として、市販の最小サイズの10×12インチと、市販の最大サイズの17×17インチの2種類のFPDカセッテ1を用いる場合について説明するが、FPDカセッテ1はこのサイズに限定されず、適宜のサイズのFPDカセッテ1を用いることが可能である。
図2は、FPDカセッテの等価回路を表すブロック図である。図2に示すように、FPDカセッテ1には、図示しないセンサー基板上に複数の変換素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されている。各変換素子7は、後述するX線源57(図5参照)から照射され図示しない被写体を透過したX線に応じて電気信号を発生させるようになっている。
各変換素子7には、バイアス線9が接続されており、バイアス線9は結線10を介してバイアス電源14に接続されている。そして、バイアス電源14からバイアス線9等を介して各変換素子7に逆バイアス電圧が印加されるようになっている。各変換素子7には、スイッチ素子として薄膜トランジスター(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8が接続されており、TFT8は信号線6に接続されている。
走査駆動手段15では、配線15cを介して電源回路15aからゲートドライバー15bにオン電圧とオフ電圧が供給されるようになっており、ゲートドライバー15bで走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間でそれぞれ切り替えるようになっている。
そして、各TFT8は、走査線5を介してオン電圧が印加されるとオン状態になって、変換素子7と信号線6とが導通する状態になり変換素子7内の電気信号が読み出される。また、各TFT8は、走査線5を介してオフ電圧が印加されるとオフ状態になって、変換素子7と信号線6との導通を遮断するようになっている。
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
そして、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されており、また、外部と無線通信するためのアンテナ装置29が接続されている。さらに、制御手段22には、走査駆動手段15や読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各機能部に必要な電力を供給するバッテリー24が接続されている。
制御手段22は、後述するX線源52から図示しない被写体を介してX線が照射された後に行われる画像信号Dの読み出し処理の際には、ゲートドライバー15bからいずれか一本の走査線5にオン電圧を順次印加させ、当該走査線5に接続されている各TFT8をオン状態にする。
そして、各TFT8がオン状態になると、各変換素子7と各信号線6とが導通し、各変換素子の電気信号が読み出しIC16内に設けられた各読み出し回路17で読み出される。具体的には、変換素子7から読み出し回路17の増幅回路18に流れ込んだ電荷の量に応じて増幅回路17から電圧値が出力される。
相関二重サンプリング回路(図2では「CDS」と記載されている。)19は、各変換素子7から電荷が流れ込む前後に増幅回路18から出力された電圧値の差分をアナログ値の画像信号Dとして下流側に出力する。そして、出力された各画像信号Dをアナログマルチプレクサー21を介してA/D変換器20に順次送信し、A/D変換器20でデジタル値の画像信号Dに順次変換して記憶手段23に出力して順次保存するようになっている。
FPDカセッテ1の制御手段22は、X線撮影が行われて上記のようにして各変換素子7から画像信号Dがそれぞれ読み出されると、1フレーム分の各画像信号Dの中から所定の割合で画像信号Dを抽出し、それらをプレビュー画像用信号として後述する移動型X線撮影装置50のコンソール60(後述する図5参照)に送信する。
また、FPDカセッテ1の制御手段22は、上記のようにしてプレビュー画像用信号を送信すると、それ以外の他の画像信号D等、或いはプレビュー画像用信号を含む全ての画像信号等をコンソール60に送信するようになっている。
[FPDカセッテ自体でX線の照射開始を検出する場合の構成等について]
一方、FPDカセッテ1は、後述する移動型X線撮影装置50の本体部55(後述する図5参照)側から信号を受信する等してX線の照射が開始されたことを認識するのではなく、FPD自体でX線源57からのX線の照射が開始されたことを検出するように構成される場合がある。
このようにFPDカセッテ1自体でX線の照射開始を検出するための構成としては、例えば、FPDカセッテ1に図示しないX線センサー等のセンサー類を設け、センサー類が検知した信号に基づいてX線の照射開始を検出するように構成することが可能である。
また、FPDカセッテ1にX線が照射されると、前述したバイアス線9やその結線10中を流れる電流が増加することを利用して、バイアス線9や結線10に電流検出手段を設け、電流検出手段が検出する電流の量が例えば閾値以上になった時点でX線の照射開始を検出するように構成することも可能である(例えば特開2009−219538号公報等参照)。
さらに、FPDカセッテ1で、X線の照射開始前からリークデータdleakを読み出したり画像データdを読み出したりするように構成し、読み出したリークデータdleakや画像データdが閾値以上になった時点でX線の照射開始を検出するように構成することも可能である(例えば国際公開第2011/135917号パンフレット、国際公開第2011/152093号パンフレット等参照)
これらの方式は、患者のベットサイドでの撮影が多様なポジショニング(従い、多様なコリメータ(照射野)設定)をとることが想定される撮影環境下では、コリメータ設定の影響を受け難く、好ましい。
ここで、読み出したリークデータdleakに基づいてX線の照射開始を検出する場合について簡単に説明する。詳しくは国際公開第2011/135917号パンフレット等を参照されたい。
FPDカセッテ1にX線が照射される前から、ゲートドライバー15b(図2参照)から各走査線5にオフ電圧を印加した状態で各読み出し回路17で読み出し動作を行わせる。ゲートドライバー15bから各走査線5にオフ電圧を印加して各TFT8をオフ状態とした状態では、図3に示すように、オフ状態になっている各TFT8を介して各変換素子7からリークする電荷qが読み出し回路17の増幅回路18に流れ込む。
増幅回路18には、信号線6に接続されている各TFT8を介して各変換素子7からリークした電荷qがそれぞれ流れ込むため、この状態で読み出し回路17に読み出し動作を行わせると、各TFT8を介してリークした電荷qの合計値に相当するデータが読み出される。このようにして読み出されたデータがリークデータdleakである。
そして、このように構成した場合、FPDカセッテ1にX線の照射が開始されると、上記では説明を省略した図示しないシンチレーターでX線から変換された電磁波(光)がオフ状態の各TFT8に照射される。すると、各TFT8を介して各変換素子7内から信号線6にリークする電荷qの電荷量が増加する。
そのため、FPDカセッテ1に放射線の照射が開始された時点で(例えば図4の時刻t1参照)、読み出されるリークデータdleakの値が急激に増加する。そこで、このリークデータdleakの値が増加することを利用して、例えば図4に示すように、読み出されたリークデータdleakが設定された閾値dleak_th以上になったことを検出することで、FPDカセッテ1自体で放射線の照射開始を検出するように構成することが可能である。
なお、読み出したリークデータdleakそのものを用いる代わりに、リークデータdleakから算出される種々の値に基づいてX線の照射開始を検出するように構成することも可能であり、そのような改良は適宜行われる。また、FPDカセッテ1自体でX線の照射開始を検出するように構成する場合、検出方法は上記の各方法に限定されない。
[X線源の本体部と同期をとりながらX線撮影を行う場合の構成等について]
一方、FPDカセッテ1は、後述する移動型X線撮影装置50の本体部55(後述する図5参照)と信号のやり取りを行い、本体部55側と同期をとりながらX線撮影を行うように構成されている場合もある。
この場合、まず、FPDカセッテ1で、各変換素子7内に残存する電荷を除去するリセット処理等のX線撮影に向けた準備処理を行う。そして、放射線技師等の操作者が曝射スイッチ62を操作してX線源57からX線を照射する旨の指示を入力すると、本体部55(正確には本体部55内の制御部55a(後述する図6参照))は、FPDカセッテ1に無線方式や有線方式で照射信号を送信する。
FPDカセッテ1は、移動型X線撮影装置50の本体部55から照射信号を受信すると、準備処理を終了して、走査駆動手段15(図2参照)から各走査線5にオフ電圧を印加させる。そして、このようにして各TFT8をオフ状態として、各変換素子7内に電荷を蓄積させることができる状態にすると、移動型X線撮影装置50の本体部55にインターロック解除信号を送信する。
移動型X線撮影装置50の本体部55は、FPDカセッテ1からインターロック解除信号を受信した時点で初めてX線源57(後述する図5参照)からFPDカセッテ1にX線を照射させる。
FPDカセッテ1が移動型X線撮影装置50の本体部55と同期をとりながらX線撮影を行うように構成される場合には、例えば上記のように構成される。なお、例えば、FPDカセッテ1が、上記のように自らX線の照射開始を検出するモードと、移動型X線撮影装置50の本体部55と同期をとりながらX線撮影を行うモードとの間で、モードを切り替えることができるように構成することも可能である。例えば、低照射線量の撮影を行う場合においては同期モードとし、照射開始の判断に必要とされる照射線量分を診断用の画像情報に変換して画質を優先することが可能である。
[FPDカセッテの電力供給モードについて]
また、FPDカセッテ1は、例えば電源スイッチ25(図1参照)をオンされると、内蔵バッテリー24から制御手段22や走査駆動手段15、読み出しIC16等(図1参照)の各機能部に電力供給して、X線撮影に使用できる状態にするようになっている。以下、このようなFPDカセッテ1の電力供給モードを覚醒(wake up)モードという。
しかし、電源スイッチ25をオンされても、すぐにはFPDカセッテ1がX線撮影に使用されない場合がある。本実施形態では、FPDカセッテ1は、そのような場合には、電源オンの状態のままで、電力供給モードをスリープ(sleep)モードに遷移させるようになっている。
すなわち、FPDカセッテ1は、電源スイッチ25がオンされてから所定時間が経過しても当該FPDカセッテ1を用いたX線が行われない場合には、自動的に電力供給モードをスリープモードに遷移させる。
本実施形態では、FPDカセッテ1は、スリープモードでは、アンテナ装置29(図2参照)等の、外部からの覚醒信号等を受信するために必要な最低限の機能部にのみバッテリー24から電力を供給し、他の機能部には電力を供給しないようになっている。なお、FPDカセッテ1はスリープモードではX線撮影に用いることができない。
しかし、FPDカセッテ1は、切替スイッチ26(図1参照)を操作されたり、或いは後述するコンソール60から覚醒信号が送信されてきたりすると、電力供給モードをスリープモードから覚醒モードに遷移させるようになっている。そして、本実施形態では、FPDカセッテ1は、電力供給モードを覚醒モードに遷移させると、前述した変換素子7のリセット処理等を開始するなど所定の撮影準備動作を行うようになっている。
[CRカセッテについて]
一方、CRカセッテ40(後述する図5参照)についてはよく知られているため、構成等の説明を省略するが、例えば、図示しない輝尽性蛍光体シートを内蔵するカセッテとして構成され、撮影後、図示しない画像読取装置に装填して、輝尽性蛍光体シートから画像信号Dが読み出されるような公知のCRカセッテを用いることが可能である。
なお、本実施形態および下記の第2の実施形態においては、CRカセッテ40はJIS規格(JIS Z 4905)、或いは、対応する国際規格であるIEC60406に準拠した外形サイズを有しており、FPDカセッテ1も同様である。
[移動型X線撮影装置について]
次に、本発明に係る移動型X線撮影装置について説明する。
前述したように、移動型X線撮影装置としては、主に、予めFPDカセッテを使用することを前提に設計された移動型X線撮影装置と、従来のCRカセッテやスクリーン/フィルム方式を用いる移動型X線撮影装置をFPDカセッテも使用できるように改変された移動型X線撮影装置とが想定されるが、下記の第1の実施形態では前者について、また、第2の実施形態では後者について説明する。
[第1の実施の形態]
[移動型X線撮影装置の構成等について]
以下、本発明の第1の実施形態に係る移動型X線撮影装置50の構成等について説明する。図5は、本実施形態に係る移動型X線撮影装置の外観を示す斜視図であり、図6は、本実施形態に係る移動型X線撮影装置の各部の接続関係を示すブロック図である。
なお、以下では、移動型X線撮影装置50の支柱56が設けられた側を移動型X線撮影装置50の前側、ハンドルバー61が設けられた側を移動型X線撮影装置50の後ろ側として説明する。
本実施形態では、図5に示すように、カバー51で覆われた移動型X線撮影装置50の基台52の前方には前輪53が、基台52の後方には後輪54がそれぞれ2輪ずつ設けられている。すなわち4輪構造とされている。例えば、前輪53を1輪構造(後輪54と合わせて3輪構造)とすることも可能であるが、安定性の点から4輪構造であることが好ましい。
また、本実施形態では、病室等に至るまでの例えば廊下等では、移動型X線撮影装置50を直進性が優れるように移動させ、一方、病室のベッドサイド等では移動型X線撮影装置50の細かな位置調整等ができるようにするために、後輪駆動とされている。そして、カバー51で覆われた本体部55内に、図6に示すように、後輪54を回転駆動させるためのモーター等の駆動部55bが内蔵されている。
図6に示すように、本体部55内には、移動型X線撮影装置50の各部の動作等を制御する制御部55aや、上記の駆動部55b、外部との通信I/F等の機能を有する通信部55c、電源部55d等が内蔵されている。そして、制御部55aを介して電源部55dから本体部55内の駆動部55bや通信部55cのほか、後述するX線源57の管球等の各部に必要に応じて電力が供給されるようになっている。
また、後述するようにカセッテ保持部63に装填されたFPDカセッテ1を充電するように構成する場合には、電源部55dから、FPDカセッテ1を充電するための充電部63a(後述する図7参照)にも電力が供給される。なお、移動型X線撮影装置50の側面のカバー51等には、この電源部55dを壁コン(例えば100Vの商用電源コンセント)と接続して充電するための充電用コネクター部C(図6参照)が設けられている。
移動型X線撮影装置50の基台52の前側には、支柱56が略垂直方向に立設されており、支柱56にはX線を照射可能なX線源57が昇降自在に取り付けられている。また、X線源57は、支柱56を中心として回動させることができるようになっている。そして、X線を照射する際には、X線源57を図5の状態から例えば図中の矢印方向に回動させ、その状態でX線源57に内蔵されている図示しないX線管球からX線を照射するようになっている。
すなわち、図5では、移動型X線撮影装置50を移動する際にX線源57が格納されている状態が示されており、この状態ではX線源57からはX線は照射できないようになっている(いわゆるインターロック状態)。そして、X線源57をこの状態から支柱56を中心に回動させた状態で初めてX線源57からX線を照射することができるようになっている。
また、X線源57の下側には、X線源57から図示しない被写体を介してFPDカセッテ1やCRカセッテ40にX線を照射する際に、照射されるX線の照射野を絞るための照射野絞り部(コリメータ部ともいう。)58が取り付けられている。
一方、移動型X線撮影装置50のカバー51の上面部には、後述する撮影オーダー情報や画像等を表示する表示部60aを備えるコンソール60が配置されている。なお、本実施形態では、コンソール60は、移動型X線撮影装置50の操作部の機能をも備えている。コンソール(操作部)60での処理については後でまとめて説明する。
また、移動型X線撮影装置50の後ろ上部には、放射線技師等の操作者が移動型X線撮影装置50を動かす際などに握るハンドルバー61が設けられており、また、移動型X線撮影装置50の後方の側方には、本体部55内の制御部55a(図6参照)に、X線源57からX線を照射させることを指示するための有線接続タイプの曝射スイッチ62が着脱可能に取り付けられている。なお、無線接続タイプの曝射スイッチを採用しても良い。
本実施形態では、移動型X線撮影装置50の最後方の位置には、FPDカセッテ1やCRカセッテ40を装填可能なカセッテ保持部63が設けられており、FPDカセッテ1については、前述した例えば10×12インチと17×17インチの2種類のFPDカセッテ1を装填して保管することができるように2個のカセッテ装填用スロットが設けられている。さらに、グリッドや、カセッテハウジングの強度アップや操作性改善のためのアダプター(取っ手付き)や、グリッド保持も兼ねるアダプター等を装填するスロットを追加しても良い。
その際、カセッテ保持部63における10×12インチのFPDカセッテ1用のカセッテ装填用スロットと17×17インチのFPDカセッテ1用のカセッテ装填用スロットの深さを同じ深さにすると、10×12インチのFPDカセッテ1が取り出しにくくなる等の問題がある。そのため、本実施形態のカセッテ保持部63では、両方のFPDカセッテ1が装填された場合にそれらの上端の位置が同じような高さになるように、各カセッテ装填用スロットの深さが適宜調整されている。
また、本実施形態では、図7に示すように、カセッテ保持部63の内部に充電部63aが設けられている。そして、充電部63aは、10×12インチと17×17インチの各FPDカセッテ1がカセッテ保持部63内に装填されると、各FPDカセッテ1内に設けられたカセッテ充電部1aと対向する状態になり、この状態で、カセッテ保持部63の充電部63aからFPDカセッテ1のカセッテ充電部1aに電力が供給されて、FPDカセッテ1のバッテリー24(図2参照)を充電することができるようになっている。
なお、FPDカセッテ1のバッテリー24を的確に充電することが可能であれば、上記の際の充電方式として種々の充電方式を採用することが可能である。また、非接触充電方式であれば、カセッテ保持部63の充電部63aとFPDカセッテ1のカセッテ充電部1aとが接触しなくても充電することが可能となり、好ましい。
また、図7に示したように、カセッテ保持部63の充電部63aを、各FPDカセッテ1のカセッテ装填用スロットの底面ではなく側面部に設けることで、充電部63aに外部からの異物が堆積する等の問題が生じることがなくなり、好ましい。
一方、上記の方式では、各カセッテ装填用スロットに装填されるべきカセッテサイズが限定されることになる問題もある。また,FPDカセッテの角部(コーナー部)から充電用接続部までの寸法が、各サイズで異なることになり、これらのFPDカセッテを撮影室で使用する際にクレードルに装填して充電する際には、カセッテの充電口を合わせて装填する操作が困難になり好ましくない。或いは、特開2009−237293号公報に記載されたような特殊な電極構造が必要となり構造が複雑化するとともに、異物進入による短絡等の信頼性も懸念される。
各サイズともに角部(コーナー部)から充電用接続部までの寸法は一定とし、当該充電用接続部が設けられた辺を下方にして、各カセッテ装填用スロットに挿入し、移動型X線撮影装置50の充電接続部は各カセッテ装填用スロットともに同一位置に設け、サイズフリーの装填が可能となる。小サイズのハンドリング性(取り出し易さ)対応としては、最も前側に設けたカセッテ装填用スロットはカセッテ装填用ガイド部分の一部を切欠き、技師等の操作者の手が入る空間を確保し、小サイズは当該スロットに装填することで前述する課題は解決できる。
或いは、小サイズについては、国際公開第2013/039569号パンフレットに記載されているように、アダプターを介した装填方式(充電方式)とすることで、取り出し操作性の問題は解決される。また、塵進入に対しては、ヒンジ開閉可能なシャッター等を付設すれば良い。
さらに、図5に示したように、カセッテ保持部63には、特殊撮影用や、FPDカセッテ1のバックアップ用として、スクリーン/フィルムカセッテやCRカセッテ40も同時に装填することができるように構成することが好ましい。
一方、図6に示すように、移動型X線撮影装置50は、本体部55の制御部55aやコンソール60等と、FPDカセッテ1を含む外部装置との間で、無線方式で通信を行うための無線通信手段であるアクセスポイント64や、有線方式で通信を行うための有線通信手段であるLANケーブル等の接続ポート65を側面部に備えている。
有線のポート数は、院内LAN用、FPDカセッテ用、後述する外部ディスプレイ用の3ポートが望ましいが、2ポート設けておくことが経済的で、最も有効である。
また、移動型X線撮影装置50には、アクセスポイント64やLAN等の接続ポート65を介して本体部55の制御部55aやコンソール60(移動型X線撮影装置50の操作部として機能する場合を含む。以下同じ。)等と院内ネットワークに接続されたRIS、HIS、PACS等の外部装置との間で行われる通信を中継するための中継器66が設けられている。
そして、本実施形態では、中継器66はCPU等で構成された制御手段67を備えている。そして、制御手段67は、移動型X線撮影装置50の制御部55aやコンソール60が有線通信手段である接続ポート65を介して通信を行っている際には無線通信手段であるアクセスポイント64を介した通信ができないように制御する。また、制御手段67は、アクセスポイント64を介して通信を行っている際には接続ポート65を介した通信ができないように制御するようになっている。
具体的には、本実施形態では、制御手段67は、アクセスポイント64を介した無線通信を基本とするため、例えば接続ポート65にLAN接続されても直ちに有線通信に切り替えることはない。そして、例えば接続ポート65にLAN接続され、コンソール60等から有線方式で通信を行う旨の指示等があった場合にのみ接続ポート65を介した通信を可能とし、以後のアクセスポイント64を介した通信を行うことができないように制御するようになっている。
なお、移動型X線撮影装置50の前方部分等に、収納スペース部68(図5参照)を設け、収納スペース部68に、例えば、使い捨てのカセッテ袋(カセッテ内に患者体液等が入り込むことを防止するためにFPDカセッテ1に被せられて用いられ、患者ごとに取り換えられて破棄される。)や、消毒液ボトル、使い捨て手袋、紙に印刷したオーダーシート、撮影方向を表す「L」や「R」、「AP」、「PA」等の鉛マーカー等の小型の撮影補助具を保管するように構成してもよい。
また、グリッド(特に17×17インチサイズ対応品)は大型であり、重量も比較的大きいため、上記の収納スペース部68に収納するのではなく、移動型X線撮影装置50の側面のカバー51部分等にグリッド保持部(必要に応じてカセッテ固定用のアダプターを含む。)を設けるように構成することも可能である。
[コンソールでの処理について]
以下、移動型X線撮影装置50上に設けられたコンソール60での処理について説明する。なお、前述したように、コンソール60が移動型X線撮影装置50の操作部として機能する場合も「コンソール60が…」という形で説明する。
コンソール60では、X線撮影に関する患者情報や撮影条件等が指定された撮影オーダー情報を取得するようになっている。撮影オーダー情報の取得の仕方等の詳細については後で説明するとして、ここでは、その概要について説明する。
本実施形態では、コンソール60は、後述するように、外部装置の1つであるRIS(Radiology Information System;放射線科情報システム)から撮影オーダー情報を取得するようになっている。
撮影オーダー情報は、例えば図8に例示するように、患者情報としての「患者ID」P2や「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5、「診療科」P6や、撮影条件としての「撮影部位」P7や「撮影方向」P8等を指定して設定されるようになっている。そして、撮影オーダーが登録された順に、各撮影オーダー情報に対して「撮影オーダーID」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
そして、コンソール60上でこれから行うX線撮影に関する撮影オーダー情報を選択すると、コンソール60から移動型X線撮影装置50の本体部55の制御部55aに、選択された撮影オーダー情報に指定された撮影条件等の情報が送信される。そして、移動型X線撮影装置50の制御部55aはその撮影条件等の情報に基づいて管電流や管電圧、照射時間等を自動設定するようになっている。
なお、コンソール60上で管電流等を設定したり、移動型X線撮影装置50の制御部55aが自動設定した管電流等を微調整したりすることができるように構成することも可能である。すなわち、コンソール60が、移動型X線撮影装置50のいわゆるジェネレータ制御機能を有し、FPDカセッテ1の制御機能とジェネレータ制御機能の両方を有するように構成されることも可能である。
また、この場合、後述するように、FPD制御用GUIとジェネレータ制御用GUIとが撮影ワークフローに従って自動的にウインドウ表示されたり、或いは、技師等の操作者の指示に応じてマニュアルでウインドウ表示したりすることができる。
一方、前述したように、X線撮影後、FPDカセッテ1からプレビュー画像用信号が送信されてくると、コンソール60は、そのプレビュー画像用信号等に基づいてプレビュー画像を生成し、図9に示すように、表示部60a(図5等参照)上に、生成したプレビュー画像p_preを表示するようになっている。
その際、例えばプレビュー画像p_preの近傍にOKボタンアイコン60bやNGボタンアイコン60cを表示するように構成する。そして、被写体が画像中の的確な位置に撮影されていない等して放射線技師等の操作者がNGボタンアイコン60cをクリックした場合には、再撮影が行われることになる。
また、FPDカセッテ1から画像信号が送信されてくると、コンソール60は、それらに基づいてオフセット補正やゲイン補正、欠陥画素補正、撮影部位に応じた階調処理等の画像処理を行って診断提供用医用画像を生成するようになっている。コンソール60は、この場合も、診断提供用医用画像を生成すると、生成した診断提供用医用画像を、例えば図9に示したプレビュー画像p_pre上に上書きして表示する。
そして、表示された診断提供用医用画像を見た放射線技師等の操作者が、「ON」ボタンをクリックして承認すると、診断提供用医用画像がそれに対応する撮影オーダー情報に対応付けられて確定されるようになっている。また、移動型X線撮影装置50が照射線量測定機能を有している場合には、撮影オーダー情報に画像と当該線量データとが対応付けられる。
コンソール60は、このようにして診断提供用医用画像が確定されると、それを撮影オーダー情報とともに、外部装置の1つであるPACS(Picture Archiving and Communication System)に送信するようになっている。そして、医師からの要求に応じて診断提供用医用画像がPACSから各コンピューター等に送られる等して、医師による診断の用に供せられるようになっている。
[実際の使用環境に適した移動型X線撮影装置の構成等について]
次に、上記のように構成された移動型X線撮影装置50を実際に病院等の施設内でX線撮影に使用するに際して、実際の使用環境に適した移動型X線撮影装置の構成等について説明する。また、本実施形態に係る移動型X線撮影装置50の作用についてもあわせて説明する。
移動型X線撮影装置50を、病院等の施設内で使用する場合、例えば、以下のような観点を考慮する必要がある。
[観点1]移動型X線撮影装置50に搭載されたコンソール60が外部装置と信号等の送受信を行う場合に、無線方式で行うか、有線方式で行うか。
例えば、移動型X線撮影装置50を病室等に持ち込んでX線撮影を行う場合、FPDカセッテ1からコンソール60に画像信号Dを送信したり、コンソール60とFPDカセッテ1との間で信号等の送受信が行われるが、その際、病室内の電波状況が悪い場合がある。また、FPDカセッテ1とコンソール60間で無線方式で通信を行うと、病室内の他の電子機器(例えば、患者のペースメーカ)等に悪影響を及ぼしてしまう虞れがある。
そのため、このように病室等に移動型X線撮影装置50を持ち込んでFPDカセッテ1を使ってX線撮影を行うような場合は、FPDカセッテ1と移動型撮影装置50とをケーブル等で接続し、FPDカセッテ1とコンソール60との間で信号やデータ等を有線方式で通信する方がよい。
また、移動型X線撮影装置50に搭載されたコンソール60は、上記のように、病院等の施設内に配設された無線LAN(Local Area Network)や有線LANに接続されているRISから撮影オーダー情報を取得したり、或いは、X線撮影後、無線LANや有線LANに接続されているPACSに確定された診断提供用医用画像と撮影オーダー情報とを送信したりする。
そして、このような場合に、移動型X線撮影装置50と有線LANとをいちいちケーブルで接続してデータ等の送受信を行うのでは、放射線技師等の操作者にとってデータ等の送受信作業が面倒なものとなる。そこで、このような場合には、データ等の送受信を無線方式で行うように構成した方がよい。
しかし、上記のように電波状態が悪くなる可能性や、FPDカセッテ1とコンソール60間の無線通信が他の電子機器等に悪影響を及ぼす可能性がなかったり、或いは、少ない場合は、外部装置と移動型X線撮影装置50とをわざわざケーブル等で接続して有線通信するよりも、無線通信する方が、放射線技師等の操作者にとっては都合がよい。
[観点2]データや情報の送受信をどのようなタイミングでどのようにして行うか。
前述したように、コンソール60は、FPDカセッテ1から送信されてきた画像信号Dに基づいて診断提供用医用画像を生成し、放射線技師等の操作者により承認されて確定されると、それを撮影オーダー情報とともにPACSに送信する。
しかし、X線撮影を行うごとに、病室内の移動型X線撮影装置50から、生成して確定された診断提供用医用画像をPACSに送信するように構成すると、やはり、電波状態が悪かったり、或いは診断提供用医用画像等を送信するごとに病室内の他の電子機器等に悪影響を及ぼしてしまう虞れがある。
そのため、確定された診断提供用医用画像の送信は、病室等で撮影ごとに行うのではなく、後でまとめて送信する方がよい。
また、移動型X線撮影装置50に搭載されたコンソール60のRISからの撮影オーダー情報の取得(受信)は、通常は、撮影前にまとめて行われるが、撮影オーダー情報の追加がある場合には、随時、追加取得が行われるように構成した方が放射線技師等の操作者にとっては都合がよい。
[観点3]コンソール60の表示部60a(図5等参照)上にプレビュー画像p_pre(図9参照)等の、患者の個人情報に関する事柄を表示するか否か。
上記のように、移動型X線撮影装置50を使用したX線撮影の際、移動型X線撮影装置50に搭載されたコンソール60の表示部60a上には、撮影オーダー情報(図8参照)やプレビュー画像p_pre、或いはそれに基づいて生成された診断提供用医用画像など、患者の個人情報に関する事柄が表示される機会が多い。
しかし、移動型X線撮影装置50が病室まで移動する間など、移動型X線撮影装置50でX線撮影を行っていない場合には、コンソール60の表示部60a上に何も表示せず、或いはX線撮影には関係ない画像を表示するように構成し、少なくとも表示部60a上に患者の個人情報に関する事柄を表示しないように構成する方が好ましい。
例えば、前述したように、本実施形態では、移動型X線撮影装置50は、支柱56を中心としてX線源57(図5参照)を回動させる等してX線源57をX線撮影のポジションに移動させることで初めてX線撮影を行うことができるようになっている。そこで、X線源57がX線撮影のポジションに移動されたことをもって、コンソール60の表示部60a上の表示を、撮影に関係のない表示から、撮影オーダー情報等の撮影に関係する表示に切り替えるように構成することが可能である。
以下、上記のような観点を考慮しながら、本実施形態に係る移動型X線撮影装置50を病院等の施設内で実際に使用する場合の具体例について説明する。
移動型X線撮影装置50を放射線科の置き場からX線撮影を行う病室等に移動させる途中で、移動型X線撮影装置50が病院内の無線LANエリアに進入した際に、移動型X線撮影装置50に搭載されたコンソール60は、無線通信手段であるアクセスポイント64を介してRISから撮影オーダー情報を取得する。
撮影オーダー情報を受信するまでは、コンソール60の表示部60a上には何も表示しない状態、或いは表示部60a上に撮影に関係のない表示をする状態とする。そして、RISから撮影オーダー情報を取得すると、表示部60a上に撮影オーダー情報を表示する状態に切り替える。
放射線技師等の操作者が、コンソール60の表示部60aに表示された撮影オーダー情報の中からこれから行うX線撮影に関する撮影オーダー情報を選択し、それを完了する間は、表示部60a上に受信した各撮影オーダー情報のリスト(例えば図8参照)が表示される。
撮影オーダー情報の選択が終了し、移動型X線撮影装置50の駆動部55b(図6参照)が駆動され、後輪54および前輪53の回転が始まると、コンソール60の表示部60a上の表示は、撮影オーダー情報等の患者の個人情報に関する事柄を表示しない状態に切り替えられる。これにより、移動中にすれちがう人々の視線に、撮影オーダー情報等の個人情報が触れることがなくなる。
なお、移動型X線撮影装置50は、車輪駆動して移動している間は、撮影オーダー情報の取得以外、少なくともX線撮影に関する事項を行わない。そのため、例えばFPDカセッテ1において電力供給モードをスリープモードに遷移させるのと同様に、移動型X線撮影装置50が移動している間、コンソール60を省エネモードに切り替え、表示部60aに何も表示されないブラックアウト状態にするように構成することも可能である。
また、上記のように、コンソール60には、RISからの撮影オーダー情報の追加取得(受信)が随時行われるが、撮影オーダー情報が追加取得された場合には、コンソール60は、例えば音声や部分的表示等で新たに撮影オーダー情報を追加取得したことを放射線技師等の操作者に告知する。
そのために、例えば移動型X線撮影装置50に図示しないLEDを設けておき、移動型X線撮影装置50の制御手段67(図6参照)は、一定時間(または距離)ごとに無線LANに対してポーリングを行い、通信経路が確立されると当該LEDを点灯させる。また、通信経路が確立されない場合にはLEDを消灯させる。そして、例えば撮影オーダー情報を取得している間はLEDを点滅させるように構成することも可能である。
そして、これを見た放射線技師等の操作者が、移動型X線撮影装置50を停止させると、コンソール60は、表示部60a上の表示を、患者の個人情報に関する事柄を表示しない状態(ブラックアウト状態を含む。以下同じ。)から、撮影オーダー情報のリストが表示される状態に切り替える。
そして、操作者が追加された撮影オーダー情報を確認して、再度駆動部55bを駆動させて移動型X線撮影装置50の移動を再開すると、コンソール60は、表示部60a上の表示を、撮影オーダー情報等の患者の個人情報に関する事柄を表示しない状態に切り替える。
病室等の撮影場所に到着し、移動型X線撮影装置50の移動が停止されると、コンソール60は、表示部60a上の表示を、撮影オーダー情報のリスト等が表示される状態に切り替える。或いは、X線源57がX線撮影のポジションに移動された時点で、コンソール60の表示部60a上の表示を、撮影に関係のない表示から、撮影オーダー情報等の撮影に関係する表示に切り替えるように構成することが可能である。
なお、放射線技師等の操作者が、移動型X線撮影装置50のコンソール60上で撮影オーダー情報を選択すると、選択された撮影オーダー情報の情報が、無線LAN等を通じてRIS等に通知され、他の移動型X線撮影装置50のコンソール60では当該撮影オーダー情報を選択できないように管理される。重複して撮影されることを防止するためである。
一方、撮影に先だち、撮影室と回診とで共通使用されるFPDカセッテ1の場合、使用するFPDカセッテ1に、移動型X線撮影装置50のアクセスポイント64(図6参照)のSSIDを設定する必要がある。FPDカセッテ1にSSIDを設定する方法としては、例えば特開2012−139258号公報や特開2012−105787号公報に記載された方法等を採用することが可能である。また、ペアとなる移動型X線撮影装置50が変更される場合も、同様である。
その際、SSID設定のためには、例えば一旦FPDカセッテ1と移動型X線撮影装置50とを図示しないケーブルを接続し、例えば中継器66の制御手段67からFPDカセッテ1にSSIDをダウンロードするように構成される。なお、この作業は、移動型X線撮影装置50を移動させる前に行っておくことが好ましい。
上記のように複数のFPDカセッテ1を搭載する場合には、各FPDカセッテ1をそれぞれケーブル接続して移動型X線撮影装置50のアクセスポイント64のSSIDがダウンロードされる。その際、各FPDカセッテ1には共通のSSIDが設定される。
或いは、病院等の施設が保有する各移動型X線撮影装置50のアクセスポイント64の各SSIDを予めFPDカセッテ1にインプットしておくことも可能である。この場合、放射線技師等の操作者がFPDカセッテ1を操作して各SSIDを使用したポーリングを繰り返し、通信が確立されたSSIDを使用することとしてもよい。
次に、X線撮影を行う際には、放射線技師等の操作者は、移動型X線撮影装置50に搭載されたコンソール60上で、これから行うX線撮影に関する撮影オーダー情報を選択する。そして、撮影オーダー情報が選択されると、撮影オーダー情報中に指定されている撮影条件が移動型X線撮影装置50の制御部55a(図6参照)に通知され、照射条件等がジェネレータ側で自動設定される。
そして、操作者によりコンソール60上で使用するFPDカセッテ1が選択されると、コンソール60は、選択されたFPDカセッテ1に覚醒信号を送信して当該FPDカセッテ1の電力供給モードをスリープモードから覚醒モードに遷移させる。この時点で、FPDカセッテ1は変換素子7のリセット処理を開始する。
なお、放射線技師等の操作者が、FPDカセッテ1自体でX線の照射開始を検出するか、FPDカセッテ1とX線源57の制御部55aとが同期をとりながらX線撮影を行うかを選択するように構成することも可能である。また、デフォルトとしていずれの方法を設定するかを予め決めておくように構成することも可能である。
そして、操作者は、移動型X線撮影装置50のカセッテ保持部63(図5参照)から、使用するFPDカセッテ1を取り出す。その際、FPDカセッテ1が充電中であれば、FPDカセッテ1がカセッテ保持部63から取り出される時点で充電は停止される。
そして、放射線技師等の操作者は、FPDカセッテ1を患者の身体にあてがう等してセットし、X線源57の位置調整をしたうえで、移動型X線撮影装置50の所に戻って曝射スイッチ62(図5参照)を操作してX線源57からX線を照射する。
このようにしてX線撮影が行われると、前述したように、FPDカセッテ1からコンソール60にプレビュー画像用信号(間引き信号)が送信される。コンソール60は、プレビュー画像用信号等に基づいてプレビュー画像を生成し、表示部60a上に生成したプレビュー画像p_preを表示する(図9参照)。
続いて、FPDカセッテ1から全画像信号、およびX線撮影の前または後に行われるダーク読取処理で読み取られたダーク読み取り信号が送信されてくると、コンソール60は、それらに基づいてオフセット補正やゲイン補正、欠陥画素補正、撮影部位に応じた階調処理等の画像処理を行って診断提供用医用画像を生成し、生成した診断提供用医用画像をプレビュー画像p_pre上に上書きして表示する。なお、オフセット補正、ゲイン補正、欠陥補正等はFPDカセッテ1側で実施されてもよい。
そして、表示された診断提供用医用画像を見た放射線技師等の操作者が、「ON」ボタンをクリックする等して承認すると、コンソール60は、診断提供用医用画像をそれに対応する撮影オーダー情報に対応付けて確定する。
しかし、病室等では診断提供用医用画像のPACSへの送信は撮影毎には行われず、一或いは複数の患者に係る一、或いは、複数のX線撮影が終了して、移動型X線撮影装置50を所定の無線LANの位置に移動させた時点で、無線方式で無線LANに送信される。そして、診断提供用医用画像は撮影オーダー情報に対応付けられた状態で、無線LANを介してPACSに送信される。
なお、上記の診断提供用医用画像の確定操作は患者単位でまとめて行うことも可能である。例えば、一の患者の複数撮影を行う際には、患者を早期に撮影用の拘束状態から解放することが好ましいため、放射線技師等の操作者は撮影ごとにプレビュー画像p_preの確認のみを行う。
このようにすれば、直ちに次の撮影のポジショニングに取りかかることが可能となり、一連の撮影を速やかに行うことが可能となる。また、最後に纏めて一の患者に係る複数の診断提供用医用画像を並べてコンソール60上に表示させれば、各医用画像間の濃度整合性等を確認できるため、画質安定化につながり好ましい。
[効果]
以上のように、本実施形態に係る移動型X線撮影装置50によれば、例えば、病室等では移動型X線撮影装置50に搭載されたコンソール60とFPDカセッテ1と間の通信を有線方式で行うことで、病室内の電波状態が悪い場合でもFPDカセッテ1で読み出された画像信号Dが的確にコンソール60に送信されるようにする。また、FPDカセッテ1からコンソール60への画像信号Dの送信等を無線通信で行うと、病室内の他の電子機器等に悪影響を及ぼしてしまう虞れがあるが、有線方式で通信を行うことでこのような事態が生じることを防止することが可能となる。
また、移動型X線撮影装置50を移動させる途中で病院等の施設内の無線LANエリアに進入した際に、移動型X線撮影装置50に搭載されたコンソール60が、無線通信手段であるアクセスポイント64を介してRISから撮影オーダー情報を取得する。そのため、放射線技師等の操作者が撮影オーダー情報を取得するためにいちいちケーブルを有線LANのポートに接続する必要がなくなり、撮影オーダー情報の取得を容易に行うことが可能となる。そのため、移動型X線撮影装置50が操作者にとって使い勝手がよいものとなる。
なお、移動型X線撮影装置50が無線LANエリアに進入した際の技師による入力操作(例えば、図示せぬボタン操作等)があった場合にのみ制御部55aがアクセスポイントへの給電開始して無線通信機能を有効化し、無線LANエリアからの退避を示す入力操作で給電停止して無線通信機能を無効化することで、不要な定期的ポーリング等の無線通信を移動中に繰返すことによる病院内の他の電子機器等へ悪影響を与えるリスクを低減可能となるので好ましい。
また、制御部55aは、車輪駆動している(即ち移動中でありX線撮影を行わない)ことを判断して、アクセスポイントへの給電を停止させて無線通信を中断することでも、上記と同様の効果が得られる。尚、この方式の場合には、移動型X線撮影装置50を一旦、停車する(駆動部55bを停止する)ことで、無線通信部への給電が再開され、撮影オーダー情報の取得が可能となる。
また、その際、例えば、移動型X線撮影装置50の接続ポート65(図6参照)にケーブルが接続される等して移動型X線撮影装置50(コンソール60を含む。)が有線通信を行っている場合には有線通信のみを行い、無線通信を行えないように構成し、また、接続ポート65にケーブルが接続されていない場合は無線通信のみを行うように構成する。
このように、本実施形態に係る移動型X線撮影装置50では、有線通信を行う場面と無線通信を行う場面とを的確に分けるように制御すること可能となる。そのため、移動型X線撮影装置50を用いて、電波状態が種々異なる状態の病室等でも的確にX線撮影を行うことが可能となり、病室等内の他の電子機器等に悪影響を及ぼすことなく、FPDカセッテ1からコンソール60に画像信号Dを送信したり、コンソール60からRISに確定された診断提供用医用画像を送信したりすることが可能となる。
そのため、移動型X線撮影装置50は、撮影環境が整った撮影室ではなく、病室等に持ち込んでX線撮影を行う場合でも、移動型X線撮影装置50を現実的な使用環境に的確に適合させてX線撮影を行うことが可能となり、放射線技師等の操作者にとって、実際の使用環境に適合した使い勝手のよい装置とすることが可能となる。
また、例えば、X線撮影を行っている場合や、RISから撮影オーダー情報を取得している場合以外の場合には、コンソール60はその表示部60a上に患者の個人情報に関する事柄を表示しないように構成されている。
そのため、移動型X線撮影装置50は、X線撮影に必要な撮影オーダー情報やプレビュー画像p_pre等の患者のプライバシーに関する個人情報が、放射線技師等の操作者以外の目に触れることが極力避けられた状態でX線撮影を行うことが可能となり、この点でも、移動型X線撮影装置50を現実的な使用環境に的確に適合させることが可能となり、実際の使用環境に適合した使い勝手のよい装置とすることが可能となる。
[変形例1−1]
なお、RISやPACS等と移動型X線撮影装置50との間で有線LANを介して通信を行うように構成することも可能である。
また、RISやPACS等と無線LANや有線LANを介して通信を行い、撮影オーダー情報を取得したり、診断画像を送信したりする機能は、移動型X線撮影装置50の電源部55d(図6参照)を充電するために病院等の施設の建物等の交流電源(100Vの商用電源)とつながっている際にも、移動型X線撮影装置50が移動している間にも、通信可能とすることが好ましい。
移動型X線撮影装置50は待機時に充電しておく場合が多く、その間にデータ送受信すると放射線技師の作業の効率アップにつながる。また、移動型X線撮影装置50が移動している最中に送受信を行えば、放射線技師等の操作者が移動する等している間に信号やデータ等がやり取りされるため、操作者の作業の効率アップにつながるメリットがある。
また、移動型X線撮影装置50の電源部55dを充電中に、コンソール60とRIS等の外部装置との間の通信を可能とすることが望ましい。移動型X線撮影装置50の充電中にRIS等と通信を行うことにより撮影オーダー情報を取得することが可能となり、放射線技師等の操作者の撮影オーダー情報取得のための待機時間が減り、作業効率がアップする。
[変形例1−2]
一方、前述したように、病室等でX線撮影を行う際にFPDカセッテ1と移動型X線撮影装置50とを図示しないケーブルで接続して有線方式で画像信号Dの送信等を行う場合、FPDカセッテ1とケーブル接続する接続ポート65(図6参照)は、X線源57の支柱56(図5参照)が設けられた移動型X線撮影装置50の前方のカバー51部に設けられることが好ましい。
また、その際、できるだけ上方に配置することが好ましい。これは、患者撮影時に当該ケーブルを伝って患者の体液や点滴液等の水分が流れる可能性があり、これらが接続ポート65に達してショートさせることがないようにするためである。また、ケーブルが短いと、FPDカセッテ1がケーブルで引っ張られる等して患者の身体に対するFPDカセッテ1の位置がずれる等する虞れがあるため、ケーブルは長い方が好ましい。
さらに、衛生上、或いは、ケーブルが移動型X線撮影装置50の車輪53、54で踏まれないようにするために、ケーブルが、病室等の床面に触れないように接続されることが好ましい。また、撮影時にケーブルが外れることを防止するために、接続ポート65にロック機能が設けられていることが好ましい。
[変形例1−3]
また、図示を省略するが、保管していたCRカセッテを実際の撮影に使用するに際しては、撮影オーダー情報とCRカセッテの対応付けを行い、患者間での撮影取り違えを防止するため、例えば、撮影前後にCRカセッテのバーコードを、移動型X線撮影装置50本体に設けたバーコードリーダーで読み取り、CRカセッテを撮影オーダー情報と対応付けるように構成することが好ましい。
CRシステムでは、一度撮影に使用したCRカセッテに重複曝射を行わないようにするため、一度撮影オーダー情報と対応付けられたCRカセッテは他の撮影オーダー情報と対応付けることができないように構成され、撮影後、画像読取装置でCRカセッテから画像信号が読み取られ、プレート消去等を終えた後で、初めて、他の撮影オーダー情報との対応付けができるように構成される。
この点については、本実施形態に係る移動型X線撮影装置50においても同様に構成されている。
なお、RISとのネットワーク連携を行わず、RISから発行された撮影オーダー情報が、紙に印刷したオーダーシートの形で使用される場合もあり、バーコードリーダーは、紙にバーコード印刷された撮影オーダー情報のコンソール60等への入力手段として使用される場合もある。
また、バーコードリーダーは移動型X線撮影装置50本体に対して着脱自在に構成し、CRカセッテのバーコードを読み取るだけでなく、紙に印刷された患者情報を表すバーコードを読み取る処理等にも使用することができる。また、患者に付された患者IDを読み取り、撮影オーダー情報中の患者情報との一致(或いは不一致)の確認に使用することも可能である。また、移動型X線撮影装置50本体とケーブル等で接続せずに、バーコードリーダーが、Bluetooth(登録商標)方式で移動型X線撮影装置50と無線通信を行うように構成することも可能である。
[変形例1−4]
また、上記の実施形態では、プレビュー画像p_pre(図9参照)をコンソール60の表示部60a上に表示する場合について説明したが、この他にも、例えば図10に示すように、放射線技師等の操作者EにPDA(Personal Digital Assistants)やiPad(登録商標)等の携帯端末70を首からぶら下げる等して携帯させ、移動型X線撮影装置50に搭載されたコンソール60から生成したプレビュー画像p_preの情報を携帯端末Eに送信させる。そして、携帯端末70の表示部71にプレビュー画像p_pre等を表示させる。
このように構成すれば、放射線技師等の操作者が、次のX線撮影に向けて患者HやFPDカセッテ1のポジショニング等を行って撮影準備を行っている間に、移動型X線撮影装置50の所まで戻ることなく、患者Hのそばでプレビュー画像p_preを確認することが可能となり、好ましい。
[変形例1−5]
また、移動型X線撮影装置50のいわゆるリモートメンテナンスを行うように構成することも可能である。
移動型X線撮影装置50に、例えば後輪54の車軸に取り付けたエンコーダーのカウント数や、駆動部55bの駆動状態を検知する図示しない検知手段を設け、その検知手段からの情報を無線方式で通信して移動型X線撮影装置50が走行中であるか非走行中(すなわち停止中)であるかを検出する。
そして、移動型X線撮影装置50が停止中である際に、移動型X線撮影装置50の制御部55a等から必要なデータを無線方式で収集し、或いは制御部55aにデータを送信する等してデータ書き込みを行わせてバージョンアップする等、移動型X線撮影装置50の自動メンテナンスを行う。
このように構成することで、移動型X線撮影装置50が走行中にリモートメンテナンスを行って無線通信が切れてしまいデータ収集の失敗や書き込みエラーになってリモートメンテナンスを行うことができなくなる事態を回避することが可能となる。そして、移動型X線撮影装置50が停止中であることを確認しながらリモートメンテナンスを行うことが可能となり、リモートメンテナンスを的確かつ確実に行うことが可能となる。
また、この場合は、無線方式で行うように構成することで、有線方式で行って移動型X線撮影装置50の走行によってケーブルが切断される等の事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
なお、無線方式でリモートメンテナンスを行う場合も、移動型X線撮影装置50が走行を開始したことを検出した時点で、リモートメンテナンスを終了するように構成することが好ましい。このように構成すれば、例えば放射線技師等の操作者がリモートメンテナンス中であることに気付かず、或いは失念して、移動型X線撮影装置50を走行させた場合でもトラブルが生じることを防止することが可能となる。
また、無線方式でリモートメンテナンスを行う場合、移動型X線撮影装置50周囲の電波強度を測定する手段を設け、ある一定以上の強度の時に、リモートメンテナンスを実行可能とするように構成することも可能である。このように構成すれば、電波強度の低下によるトラブルを防止することができる。
さらに、電波強度の測定と、移動型X線撮影装置50の走行状態検出とを組み合わせて使用することも可能である。電波強度がある一定以上の強度である状態で、移動型X線撮影装置50が停止時に、リモートメンテナンスを的確に行うことが可能となり、トラブルが生じることを的確に防止することが可能となる。
[変形例1−6]
上記の実施形態では、コンソール60上で撮影オーダー情報が選択されると、コンソール60から移動型X線撮影装置50の本体部55の制御部55aに、選択された撮影オーダー情報に指定された撮影条件等の情報が送信され、移動型X線撮影装置50の制御部55aがその撮影条件等の情報に基づいて管電流や管電圧、照射時間等を自動設定する場合について説明した。
しかし、これ以外にも、図示を省略するが、例えば、コンソール60の表示部60a上に、各撮影部位ごとの撮影条件キーを表示するように構成し、各撮影条件キーに照射条件(すなわち管電流や管電圧、照射時間等)を予め対応付けておく。そして、放射線技師等の操作者が一の撮影条件キーをクリックする等して選択すると、コンソール60から移動型X線撮影装置50の制御部55aに照射条件が送信されてそれらが自動設定されるように構成することも可能である。
また、このように構成する代わりに、例えば、コンソール60の表示部60a上に、各撮影部位ごとの撮影条件の一覧を表示するように構成し、また、コンソール60の表示部60上にジェネレータ制御用のウインドウを開くことができるように構成する。
そして、放射線技師等の操作者が上記の一覧の中からある照射条件を選び、コンソール60の表示部60上に開いたジェネレータ制御用のウインドウに当該照射条件をコピーアンドペーストするように構成することも可能である。或いは、放射線技師等の操作者が、ジェネレータ制御用のウインドウ上に、管電流等の数値を直接入力するように構成することも可能である。
なお、上記のいずれかの方法で設定された照射条件を修正してX線撮影を行った場合には、撮影後に、修正後の照射条件を撮影オーダー情報や診断提供用医用画像とに対応付けるように構成する必要がある。修正がない場合には、移動型X線撮影装置50の制御部55aにダウンロードした照射条件が、撮影直後、自動的にコンソール60に送信され、コンソール60が自動的に撮影オーダー情報や診断提供用医用画像に対応付けるようになっている。
CRカセッテ40とPFDカセッテ1では同一の撮影部位に対する最適照射条件が異なる。例えば、X線源57から照射するX線の線量率(単位時間あたりの線量)は、一般的に、CRカセッテ40に照射する場合の方がFPDカセッテ1に照射する場合よりも大きくなる。
そして、FPDカセッテ1を用いる撮影からCRカセッテ40を用いる撮影への変更、或いはその逆の場合には、基本的には、照射条件の設定を変更する必要が生じる。なお、患者の被曝線量低減の観点からは必須だが、画像生成という観点から言うと、FPDカセッテ1の変換素子7やCRカセッテ40の輝尽性蛍光体プレートが、線量に対してそれぞれ飽和していなければ、画像処理の際にデジタル処理で各画素の信号値を修正することは可能なので、設定変更が不要となるケースもあり得る。
FPDカセッテ1を用いる当初の予定が、FPDカセッテ1の故障やバッテリー切れ等で当該FPDカセッテ1を用いた撮影ができなくなり、CRカセッテ40に変更する場合には、例えば国際公開2011/142157号パンフレットに公開されたワークフローを採用することができる。
また、例えば、コンソール60の表示部60a(図5等参照)や携帯端末70の表示部71(図10参照)の画面中に『CRボタン』アイコンを表示し、これがクリックされたりタッチされたりすると、移動型X線撮影装置50の制御部55aが、照射条件を、FPDカセッテ1に対する照射条件からCRカセッテ40に対する照射条件に自動的に変更するように構成してもよい。
なお、FPDカセッテ1を前述した同期方式で使用している場合には、上記のCRカセッテ40への変更が行われると、CRカセッテ40では同期確認のためのインターロック処理等の処理は不要になるため、インターロック処理は解除される。
また、CRボタンアイコンが操作されると、この後にバーコードリーダーから入力されるCRカセッテのバーコード情報が撮影オーダー情報と対応付けられる。そして、CRカセッテ40から画像信号を読み取る画像読取装置は移動型X線撮影装置50には搭載されていないため、撮影後、画像読取装置の所にCRカセッテ40を持って行き、CRカセッテ40を装填して、画像信号を読み取る。そして、読み取られた画像信号は、CRカセッテ40のバーコード情報に基づいて移動型X線撮影装置50のコンソール60に送信されて、撮影オーダー情報と対応付けられる。
本実施形態の移動型X線撮影装置50では、デフォルトの状態がFPDカセッテ1を用いた撮影を行うモードに設定されているため、CRカセッテ40を用いたX線撮影の終了時は、次の撮影に向けて、FPDカセッテ1を用いたことを前提とした照射条件の設定等が行われる。
なお、移動型X線撮影装置50にCRカセッテ40を選択する専用のハードボタンを設けることとしてもよい。この場合、これから撮影しようとしている一の撮影に対してのみ有効とし、以後、継続してCRカセッテ40を用いてX線撮影を行う場合には、その都度、CRボタンを押すように構成される。
また、CRボタンの長押しで、FPDカセッテ1からCRカセッテ40への変更を行うこととしてもよい。この場合、改めてCRボタンを押さなくても、以後の撮影は全てCRカセッテ40が用いられることが前提となる。また、再度長押しすることで、今度は、CRカセッテ40を用いる状態からFPDカセッテ1を用いる状態に戻るように構成することも可能である。この時、同時にビープ音を発声させる等して、放射線技師等の操作者にモードが変更されたことを認識させることが好ましい。
さらに、CRカセッテ40を用いる撮影を行う場合、使用するCRカセッテ40のバーコード情報の入力がないとX線源57からX線を照射できないようにするインターロック制御が行われることが好ましい。このように構成することで、1枚のCRカセッテ40にX線が多重に照射されるリスクを回避することが可能となる。
[変形例1−7]
移動型X線撮影装置50を用いたX線撮影では、病室R1内での患者HのベッドB単位での撮影になる(例えば図10参照)。そのため、バーコードリーダー等で患者IDがバーコード入力されると、コンソール60が、撮影オーダー情報のリストから当該患者に係る全ての撮影オーダー情報を抽出し、例えば、表示部60a上に、抽出された各撮影オーダー情報の一覧や、それらに対応する各アイコンを表示するように構成することが可能である。
この場合、撮影数が多いほど、撮影オーダー情報の一覧において1つの撮影オーダー情報を表示する行を狭くしたり、各アイコンが小さくなるように表示させるように構成することが可能である。このように構成すると、放射線技師等の操作者が、コンソール60の表示部60a上の表示を見て、直感的に、これから撮影しようとする撮影数が多いか少ないかを把握することが可能となり、好ましい。
また、例えば、各撮影オーダー情報に対応する各アイコン上に、生成したプレビュー画像p_preや診断提供用医用画像を上書き表示していくように構成することも可能である。このように構成すれば、画像が上書き表示されていないアイコンの数だけ、今後撮影を行うことが必要になるため、放射線技師等の操作者がそのような表示を見て、あと何回撮影を行うかを容易に認識することが可能となる。また、撮影し忘れや超過撮影が生じることを的確に防止することが可能となる。
[変形例1−8]
また、移動型X線撮影装置50のハンドルバー61(図5参照)の高さを調整できるように構成することが可能である。また、移動型X線撮影装置50のカバー51上面に対するコンソール60やその表示部60aの角度を調整できるように構成することも可能である。
これらを調整可能とすることで、例えば身長が異なる放射線技師等の操作者が移動型X線撮影装置50を使用しても、自分の身長にあわせてハンドルバー61の高さやコンソール60の角度を調整することが可能となり、好ましい。
また、例えば、ハンドルバー61の高さを調整すると、その調整量に応じてコンソール60やその表示部60aの角度が自動的に変わるように構成することも可能である。例えば、背の低い操作者の場合はハンドルバー61の高さを低くするが、それに応じてコンソール60やその表示部60aの角度をより立てる方向に変えることで、操作者のハンドルバー61の操作性やコンソール60の表示部60aの視認性を向上させることが可能となる。
[変形例1−9]
なお、上記の実施形態では、移動型X線撮影装置50のカセッテ保持部63(図5参照)を、移動型X線撮影装置50の最後方の位置に配置する場合について説明した。そして、この場合、FPDカセッテ1やCRカセッテ40の面が移動型X線撮影装置50の前後方向を向くように、FPDカセッテ1等がいわば横置きされた状態でカセッテ保持部63に装填されて保管される状態になる。
しかし、この他にも、図示を省略するが、カセッテ保持部を、例えば移動型X線撮影装置50の本体部55の側壁と側面カバー51との間に空間を利用して設けるように構成することも可能である。そして、この場合は、FPDカセッテ1やCRカセッテ40の面が移動型X線撮影装置50の左右方向を向くように、FPDカセッテ1等がいわば縦置きされた状態でカセッテ保持部に装填されて保管される状態になる。
また、これらを組み合わせて、例えば、17×17インチ等の大きなサイズのFPDカセッテ1やCRカセッテ40等を移動型X線撮影装置50の本体部55の側壁と側面カバー51との間に空間に設けられたカセッテ保持部に縦置き状態に装填し、10×12インチ等の小さいFPDカセッテ1等を移動型X線撮影装置50の最後方の位置に設けられたカセッテ保持部63に横置き状態に装填するように構成することも可能である。
[変形例1−10]
また、手術室等で使用される移動型X線撮影装置50の場合には、手術室内の複数の医師等で撮影画像を共有閲覧可能とすべく、大画面モニターや高精細モニター(通常の12ビット諧調に対し16ビット諧調)に撮影画像を表示することもあり、無線、或いは、有線でこれのモニターに接続可能とされることがこの好ましい。また、この場合、接続ポート65を、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia interface)専用ポートに構成することも可能である。
また、RIS自動連携ではなく、RISから発行された撮影オーダーシートに基づく撮影を行う場合で、バーコードリーダーを備えていないような場合には、患者情報や照射条件をはじめとする撮影に付帯する情報を、撮影毎に、或いは、一の患者の全撮影終了時に、技師等が入力操作を行うこととなる。
移動型X線撮影装置50に設けられた操作部(コンソール)60は19インチのタッチパネル付きであるので、ソフトキーボードを使用した入力操作となる。入力操作が多い場合にはかなりの工数(時間)を要するが、一般的な技師は、通常のキー配列を有するハードキーボードでの入力操作に慣れている場合が多く、いわゆるブラインドタッチで短時間に入力操作を終えることができるので、ハードキーボード(必要に応じてはマウス含む)を接続使用可能に構成されていることが好ましい。
[第2の実施の形態]
上記の第1の実施形態では、移動型X線撮影装置50を製造する当初の段階から、FPDカセッテ1を用いたX線撮影が想定され、コンソール60等が予め搭載された、いわばFPDカセッテ1を用いたX線撮影用の移動型X線撮影装置50について説明した。
しかし、例えば、前述したように、CRカセッテ40を用いたX線撮影を想定した既存の移動型X線撮影装置50*(この装置にはFPD制御機能及びジェネレータ制御機能の両方を司る操作部であるコンソール60等は搭載されておらず、ジェネレータ制御用の操作部のみが搭載されている。)に、新たなFPD制御用コンソール60等(一般的にはPC)を搭載させる等して、FPDカセッテ1を用いたX線撮影も行えるように移動型X線撮影装置50*を改変させて使用する場合もある。
この場合、既存の移動型X線撮影装置50*に、例えば、FPDカセッテ1や、無線通信機能を有し、有線通信機能をも有するコンソール60等を搭載するように構成することで、改変された移動型X線撮影装置50*を、第1の実施形態における移動型X線撮影装置50と同様に用いることが可能となる。
そして、このような改変された移動型X線撮影装置50*においても、第1の実施形態で説明した移動型X線撮影装置50における有線通信と無線通信との切り替えや、RISからコンソール60への撮影オーダー情報の入手、或いはコンソール60の表示部60a上に患者の個人情報に関する事柄を表示するかしないかの切り替え等を同じ仕方で行うことで、第1の実施形態に係る移動型X線撮影装置50と全く同様の有益な効果を得ることが可能となる。
なお、第2の実施形態においては、移動型X線撮影装置50*の制御部55aは、そもそもFPDカセッテ1と同期をとりながらX線撮影を行うようには構成されていない。そのため、移動型X線撮影装置50*にFPDカセッテ1を搭載するように改変しても、移動型X線撮影装置50*の制御部55aとFPDカセッテ1とが同期をとりながら(すなわちインターロック処理を行いながら)X線撮影を行うということにはならない。
そのため、移動型X線撮影装置50*に搭載するFPDカセッテ1としては、上記のようにリークデータdleak等に基づいてFPDカセッテ1自体でX線の照射開始を検出するタイプのFPDカセッテ1を導入することが望ましい。
[変形例2−1]
なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態で説明した[変形例1−1]〜[変形例1−10]をそれぞれ適用することが可能である。そして、これらを適用することで、第2の実施形態においてもそれぞれの実用上の有益な効果を奏することが可能となる。
[変形例2−2]
また、第2の実施形態の場合には、移動型X線撮影装置50*の制御部55aとFPDカセッテ1との間では、基本的に信号等のやり取りが行われないため、FPDカセッテ1に対するX線の誤照射が生じる可能性が高くなる。そこで、例えば、下記のように構成することで、対誤曝射フェールセーフを行うように構成することが好ましい。
例えば、特開2012−095822号公報等に記載されているように、移動型X線撮影装置50*の曝射スイッチ62にカバーを追加し、カバーが開かれると初めて曝射スイッチ62を操作することができるように構成する。そして、カバーに開閉を検知する検知手段を取り付ける。また、特開2010−104398号公報に記載されているように、曝射スイッチ62にそのボタンのストロークを検知するストローク検知手段を外付けするように構成することが可能である。
これらの改変は、いずれも小規模であり、薬事法等の法例に対しても遵法であるので、改変を行うことは可能である。そして、新たに追加される改変部分の電源は、例えば新たに搭載されたコンソール60から供給するように構成し、検知手段で検知された信号がコンソール60に入力されるように構成する。
そして、既存の移動型X線撮影装置50*の曝射スイッチ62は、いわゆる半押しと全押しの2段階ストローク構造が採用されているものがほとんどであり、1段目の半押し操作がなされると、X線源57の図示しない陽極が回転を始める等してスタンバイ状態になる。そして、2段目の全押し操作が行われると、X線源57からX線が照射される。
そして、1段目の操作と2段目の操作との間には1秒前後のタイムラグが設けられており、仮に1段目の操作と2段目の操作を連続して行っても、通常、1段目操作と2段目操作との間に1秒前後のタイムラグが生じるように構成される。
そこで、FPDカセッテ1を、この曝射スイッチ62における1秒前後のタイムラグの間に、スリープ状態から撮影を行うことができる状態に遷移させるように構成することも可能である。このように構成すれば、上記のようなX線の誤照射が生じることを的確に回避することが可能となる。
また、FPDカセッテ1は、患者の身体にぶつかったり圧力を受けたりして衝撃や振動等が加わると、上記のようにして読み出されるリークデータdleakの値が大きくなり、FPDカセッテ1にX線が照射されていないにもかかわらず、読み出されるリークデータdleakが閾値dleak_th(図4参照)以上に大きくなってX線の照射が開始されたと誤検出してしまう場合がある。
そこで、上記のようにカセッテ自体でX線の照射開始を検出することが可能なFPDカセッテ1を用いるとしても、FPDカセッテ1のポジショニングの最中にはX線の照射開始の検出処理を行わず、ポジショニングが決まった後、衝撃や振動等が加わる可能性が低くなった状態でリークデータdleak等の読み出し処理を開始してX線の照射開始の検出処理を開始するように構成することが好ましい。
そのために、上記の曝射スイッチ62のカバーの開動作検知や曝射スイッチ62の1段目の操作検知をトリガーとして、X線の照射開始の検出処理等を開始するように構成することが可能である。そして、このように構成すれば、X線の照射開始の誤検出が生じることを防止する(或いはその可能性を低減する)ことが可能となり、好ましい。
具体的には、FPDカセッテ1のポジショニング等を完了して、放射線技師等の操作者が曝射スイッチ62を操作しようとしてそのカバーを開く動作を行ったことが検知された時点、或いは、曝射スイッチ62に対して1段目の半押し操作を行ったことが検知された時点で、コンソール60からFPDカセッテ1に覚醒信号を送信する。
FPDカセッテ1は覚醒信号を受信すると、電力供給モードをスリープモードから覚醒モードに遷移させるとともに、各変換素子7のリセット処理を例えば予め決められた回数だけ行う。そして、リークデータdleakの読み出し処理を開始する等してX線の照射開始の検出処理に移行する。ここまでの処理は、通常、1秒もかからずに終了する。
このように処理を行うことができるため、上記のように構成すれば、衝撃や振動によるX線の照射開始の誤検出が的確に防止された状態で、実際に移動型X線撮影装置50のX線源57から被写体を介してFPDカセッテ1にX線が照射された場合には、FPDカセッテ1でそれを的確に検出することが可能となる。
[変形例2−3]
上記の第1の実施形態の[変形例1−9]では、移動型X線撮影装置50のカセッテ保持部を、移動型X線撮影装置50の最後方の位置ではなく、或いは、その位置にカセッテ保持部63を設けるとともに、例えば移動型X線撮影装置50の本体部55の側壁と側面カバー51との間に空間に設けることについて説明した。
しかし、既存の移動型X線撮影装置50*では、カセッテ保持部63が移動型X線撮影装置50の最後方の位置にしか設けられておらず、その他の位置に設けることが困難な場合も少なくない。そこで、このような場合には、移動型X線撮影装置50の最後方の位置に設けられたカセッテ保持部63にFPDカセッテ1、及び、無線アクセスポイントやカセッテ充電用電源部等の必要な周辺機器を装填することになる。
そして、FPDカセッテ1をカセッテ保持部63から引き出す際、FPDカセッテ1の表面すなわち放射線入射面R(図1参照)に傷がつくと画像に現れてしまうため、FPDカセッテ1の放射線入射面Rに傷がつかないように構成することが好ましい。
図11に、開放された状態のカセッテ保持部63にFPDカセッテ1が装填された状態を上側から見た概略図を示す。図11に示すように、カセッテ保持部63の内側の、装填されたFPDカセッテ1の前後の位置には、カセッテ保持部63を閉じた場合にFPDカセッテ1を前後方向から所定の圧力で与圧して保持する緩衝材63bがそれぞれ設けられる。緩衝材63は、例えばゴムや発泡クッション等で形成される。
また、各緩衝材63bの内側表面、すなわち装填されたFPDカセッテ1に当接する面には、PET(polyethylene terephthalate)等の低い摩擦係数を有する滑りシート63cが設けられる。また、滑りシート63cの表面は導電性加工されていることが好ましく、例えば移動型X線撮影装置50*のGNDに接続されることが好ましい。このように構成すれば滑りシート63cやFPDカセッテ1の表面等に静電気が蓄積することを防止することが可能となる。
このように構成すれば、緩衝材63bからの与圧でFPDカセッテ1がカセッテ保持部63に的確に保持されるようになるとともに、FPDカセッテ1をカセッテ保持部63に装填したりカセッテ保持部63から引き出す際に、FPDカセッテ1の表面、特に放射線入射面Rがカセッテ保持部63に擦れて傷がつくことを的確に防止することが可能となる。
なお、緩衝材63bは、装填されるFPDカセッテ1の前または後ろのいずれか一方で、装填されたFPDカセッテ1の放射線入射面Rと当接する側にのみ設けるように構成することも可能である。しかし、FPDカセッテ1は表裏を間違え易く、特にCRカセッテと互換サイズを有するFPDカセッテ1は表裏を間違え易く、FPDカセッテ1の放射線入射面Rが必ず前向き或いは後ろ向きに装填されるとは限らない。そのため、いずれの向きで装填されてもよいように、緩衝材63bは、装填されるFPDカセッテ1の前側と後ろ側の両方にそれぞれ設けることが好ましい。
また、大サイズと小サイズの2個のFPDカセッテをカセッテ保持部に収納保持する場合、各スロットには前述する緩衝材及び滑りシートを備えることが好ましい。また小サイズは、カセッテ保持部を揺動させて開放した際に、技師の取出し操作用の空間が作り易い63c側とすることが好ましい。この場合、一対の緩衝材及び滑りシートのうち、一方は、回診車本体構造側に残され、他方は揺動移動されるカセッテ保持部側とともに移動せしめる構造とすることで、取出し操作性が改善される。
また、空間余裕があれば、グリッドや前述したアダプタ用の第3のスロットを設けても良い。
また、図11では図示を省略したが、緩衝材63bを、カセッテ保持部63の底部にも設けるように構成することが好ましい。
なお、図11では、カセッテ保持部63の外側にコンソール60等を装填することが可能なポケット63dが設けられている場合が示されている。既存の移動型X線撮影装置50*が、例えばノートパソコン型PCであるコンソール60等をカバー51の上面等に固定するように構成されていない場合には、移動型X線撮影装置50*が病室等に移動する際などに、搭載されたコンソール60が移動型X線撮影装置50*から落下する等の問題が生じ得るが、上記のようにカセッテ保持部63にポケット63dを設ければ、そこにコンソール60を装填し、コンソール60が安定した状態で移動型X線撮影装置50*を病室等まで移動させることが可能となり好ましい。
また、当該ポケット63dにも緩衝材等を設け、回診車本体からの振動、衝撃の伝搬を和らげる構造とすることが望ましい。
尚、当該ポケットに最小サイズのFPDカセッテを間違えて装填し、移動中に充電されるとの技師の思い込みを防ぐ為、ポケットの深さを、最小サイズのFPDカセッテが沈み込まずに一部がポケットから露呈する深さとし、一方、前記スロットは、最小サイズのFPDカセッテが沈み込む深さとすることが好ましい。
[変形例2−4]
また、上記の第2の実施形態では、既存の移動型X線撮影装置50*に無線通信機能や有線通信機能をも有するコンソール60等を搭載するように構成する場合について説明したが、この他にも、既存の移動型X線撮影装置50*に、コンソール60や中継器66、制御手段67、アクセスポイント64(図6参照)、アクセスポイント64等に給電する図示しないバッテリー等を搭載するように構成して、既存の移動型X線撮影装置50*を、FPDカセッテ1を用いたX線撮影も行えるように改変することも可能である。
この場合、アクセスポイント64やバッテリー等は、他に適切な搭載場所がない場合が多いため、カセッテ保持部63に搭載されることになることが想定される。
しかし、バッテリーは、使用に伴って発熱するため、カセッテ保持部63内に収納されたバッテリーが例えば図11に示した本体部55の壁面と接触するように構成し、本体部55の壁面に熱が伝達して、本体部55表面からから熱を発散させて冷却するように構成することが好ましい。
また、カセッテ保持部63にFPDカセッテ1を装填している間にFPDカセッテ1の充電を行うことも想定される。この場合には、例えば、FPDカセッテ1のコネクター27(図1参照)が上向きになるようにFPDカセッテ1をカセッテ保持部63に装填し、また、バッテリーの充電口も上向きになるようにバッテリーをカセッテ保持部63内に収納する。
そして、カセッテ保持部63内で、FPDカセッテ1のコネクター27とバッテリーの充電口とを図示しない充電用ケーブルで接続して、FPDカセッテ1の充電を行うように構成することが好ましい。その際、このようにFPDカセッテ1のコネクター27とバッテリーの充電口とが充電用ケーブルで接続された状態とし、カセッテ保持部63が閉じられた時点で初めて充電が開始されるように構成すれば、充電の際に感電する危険性が低減し、安全性が高まるため好ましい。
[変形例2−5]
また、撮影中にFPDカセッテ1に内蔵されたバッテリー24(図2参照)に電力不足が生じた場合には、カセッテ保持部63に収納されたバッテリーから図示しない延長ケーブル等を介してFPDカセッテ1に有線方式で電力を供給するように構成することが可能である。
この場合、カセッテ保持部63を開放し、カセッテ保持部63に収納されたバッテリーを操作することでFPDカセッテ1に給電するように構成すれば、FPDカセッテ1を操作することでFPDカセッテ1の位置がずれてしまう等の問題が生じることを防止しつつ、FPDカセッテ1に的確に電力を供給してX線撮影を続行することが可能となり、好ましい。
なお、カセッテ保持部63を開放した状態で、カセッテ保持部63に収納されたバッテリーと病院等の施設の壁面に設けられた商用電源口とを専用ケーブル等を介して接続することで、当該バッテリーを充電することが可能である。
[変形例2−6]
また、第1の実施形態の場合と同様に、本実施形態においても、カセッテ保持部63のポケット63d等に収納されたコンソール60で、無線方式によるRIS等からの撮影オーダー情報の追加を常時受け付けている。しかし、移動型X線撮影装置50*の移動中に、カセッテ保持部63を閉じてしまうと、コンソール60のRIS等からの無線方式による撮影オーダー情報の取得が困難になる。
そこで、このような場合には、放射線技師等の操作者に、図10に示したような携帯端末70を携帯させ、RIS等からの撮影オーダー情報の追加を当該携帯端末70で受けるように構成することも可能である。この場合、移動型X線撮影装置50*が病室R1等の撮影場所に到着して、カセッテ保持部63が開放された時点で、コンソール60の無線通信機能を通じ、或いはアクセスポイント64や接続ポート65等を介して、携帯端末70からコンソール60に無線方式または有線方式で最新の撮影オーダー情報をダウンロードするように構成することも可能である。
この携帯端末70では、表示部71上に撮影オーダー情報のリスト等が表示されていても、不特定多数の人の目に入ることがほとんどないため、個人情報漏えいの観点から、上記のように構成することが好ましい。そして、この場合も、撮影オーダー情報の追加があった場合には、携帯端末70が、例えば音声や表示等で新たに撮影オーダー情報を追加取得したことを放射線技師等の操作者に告知するように構成することが好ましい。
また、上記のように、コンソール60には、RISからの撮影オーダー情報の追加取得(受信)が随時行われるが、撮影オーダー情報が追加取得された場合には、コンソール60は、例えば音声や表示等で新たに撮影オーダー情報を追加取得したことを放射線技師等の操作者に告知する。
また、X線撮影に関連しそうな患者個人の情報(例えば感染症疑い等)についても、個人情報が他の人に見られないようにするために、コンソール60ではなく、携帯端末70に表示することが好ましい。
また、病室等でのX線撮影中、コンソール60をオフラインで使用する場合には、携帯端末70で取得した最新の撮影オーダー情報を有線方式でコンソール60にダウンロードし、X線撮影が終了した後、コンソール60をLAN等に接続して、撮影オーダー情報とそれに対応する診断提供用医用画像とをアップロードするように処理することも可能である。このように構成すれば、無線方式の通信を使用しないため、患者や周辺機器への電波障害や干渉が生じることを防止することが可能となる。
なお、本発明が上記の各実施形態や変形例等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。