JP6123300B2 - クロマトグラフ用データ処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)などのクロマトグラフ装置で収集されたデータを処理するデータ処理装置に関し、特に、灯油、軽油、重油等の原油由来試料の分析に用いられる蒸留ガスクロマトグラフで収集されたデータを処理する際に好適なデータ処理装置に関する。
GCやLCなどのクロマトグラフ分析では、予め設定された分析条件の下でクロマトグラフ装置により試料に対するクロマトグラムデータを収集し、次いで、予め設定された波形処理パラメータに従ってそのクロマトグラムデータに対する波形処理を行うことでピークを検出したり定量等を目的としてピーク面積を計算したりするのが一般的である。
近年の一般的なGCシステムやLCシステムでは、クロマトグラフ装置の制御や該装置で得られたデータの処理或いは解析にはパーソナルコンピュータが用いられており、例えば特許文献1などに記載されたシステムでは、GC分析実行時の分析条件(例えばキャリアガス流量や線速度、カラムオーブン温度など)はメソッドファイルと名付けられたファイルに格納され、或る分析実行時に使用するメソッドファイル名が指示されるとコンピュータの内部では対応するメソッドファイルが読み出され、該ファイル中の分析条件に従ってクロマトグラム装置の動作が制御される。
また一般的なGCシステムやLCシステムでは、クロマトグラムに対する波形処理を行う際に使用される、ピーク検出用のスロープ値や最小ピーク面積値などの波形処理パラメータ(例えば特許文献2参照)も、処理対象であるクロマトグラムを取得する際に使用されるメソッドファイル中に保存される。また、定量分析を行う際に使用される検量線などのキャリブレーション情報も同じメソッドファイル中に保存されるようになっている。このように或る一つの試料に対する分析条件、その分析により得られたクロマトグラムに対する波形処理のパラメータ、さらにはそのクロマトグラムに基づく定量分析のためのキャリブレーション情報などを、まとめて一つのメソッドファイル中に格納しておくことで、メソッドファイルの管理の煩雑さが軽減され、誤った波形処理パラメータで波形処理を実行してしまうといった解析ミスも軽減できる。
ところで、GC分析の一手法として蒸留GC分析が知られている。蒸留GC分析は一般に、複数種類の炭化水素の混合物である灯油、軽油、重油などの石油由来試料の蒸留特性を求める際に用いられる手法であり、ASTM(米国試験材料協会)、ISO(国際標準化機構)、EN(欧州統一規格)、JIS(日本工業規格)など各種の規格が定められている。
蒸留GC分析では、まず、沸点が既知である複数種類の炭化水素を含む標準試料を昇温分析することで、各炭化水素成分の保持時間を測定する。そして、この測定により得られた各炭化水素成分の保持時間とそれぞれの既知の沸点とから、保持時間と沸点との関係を示す保持時間-沸点変換線を作成する。次に、分析対象である未知試料を標準試料測定時と同じ昇温条件の下でGC分析してクロマトグラムを作成する。そして、このクロマトグラムの全面積Saを一定の時間間隔で分割し、それぞれの時間範囲までのクロマトグラム面積の累積値Stを算出し、St/Saから各時間範囲における留出量(%)を求める。クロマトグラム上の保持時間は上記標準試料による保持時間-沸点変換線を用いて沸点(留出温度)に対応付けることができるから、これにより留出量(%)と沸点との関係を示す蒸留性状曲線を作成することができる。この蒸留性状曲線を解析することで、未知試料の温度特性、例えば着火性や揮発性等を把握することができる(非特許文献1など参照)。
上述したように蒸留GC分析では、標準試料と未知試料とを同一の分析条件の下で分析してそれぞれクロマトグラムデータを取得する。一方、そうして得られたクロマトグラムデータに対する波形処理自体は標準試料と未知試料とでは全く異なるため、当然のことながら、波形処理パラメータも全く異なる。
即ち、標準試料に対して得られるクロマトグラムは、例えば図3に示すように、ベースラインはほぼ平坦で、標準試料に含まれる炭化水素成分毎に鋭いピークを有した形状となる。こうしたクロマトグラムから各炭化水素の保持時間を求めるために、各ピークを漏れなく検出した上で、そのピークの最大強度を示す保持時間を検出するべく波形処理のパラメータは設定される。
一方、未知試料に対して得られるクロマトグラムには通常、例えば図4に示すように、未知試料に含まれる多くの成分が重なった全体として山形状の大きなピークが現れることが多い。波形処理によって、こうした大きなピークの全面積を正確に求めた上で、細かく分割した各時間範囲までのクロマトグラムの面積の累積値を計算し、全面積値に対する比率を求める必要があるので、当然、標準試料由来のクロマトグラムの波形処理に用いた波形処理パラメータとは異なるパラメータで波形処理を実施する必要がある。
上述したように従来のクロマトグラムシステムでは、一つのメソッドファイル中に分析条件のパラメータと波形処理パラメータとがいわば対で格納されている。そのため、従来の蒸留GC分析において、標準試料のGC分析→未知試料のGC分析→標準試料に対するクロマトグラムデータの解析(波形処理)→未知試料に対するクロマトグラムデータの解析(波形処理)を一連で実施する際に、GC分析の際の分析条件は標準試料と未知試料とで同一であるにも拘わらず、互いに異なる波形処理パラメータがそれぞれ格納された、標準試料用のメソッドファイルと未知試料用メソッドファイルとの二種類のメソッドファイルを使い分ける必要があった。そのため、分析者にとっては作業が煩雑で効率が悪かった。また、複数のメソッドファイルの使い分けは、誤ったファイルを使用する一因となり、分析ミスや解析ミスを引き起こし易いという問題もある。
特開2010−230639号公報 特開平11−218530号公報
「蒸留ガスクロマトグラフシステム」、[online]、株式会社島津製作所、[平成25年1月8日検索]、インターネット<URL: http://www.an.shimadzu.co.jp/gc/dst/index.htm>
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、蒸留GC分析において蒸留性状曲線を求める場合のように、複数の試料に対するGC分析又はLC分析を同一条件の下で行いながら、各試料に対して得られたクロマトグラムの波形処理を異なる波形処理パラメータを用いて行う必要があるような場合であっても、従来に比べて分析者の作業負担が軽減され、メソッドファイルの管理等も容易になるクロマトグラフ用データ処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、標準試料及び解析対象である未知試料について同一の分析条件の下で分析してそれぞれ得られたクロマトグラムデータに対して互いに異なる波形処理パラメータに従った波形処理を行うクロマトグラフ用データ処理装置であって、
a)前記標準試料及び未知試料に対するクロマトグラフ分析を遂行する際の共通の分析条件と、該標準試料及び未知試料について得られたクロマトグラムデータをそれぞれ波形処理するために使用される異なる内容の複数種類の波形処理パラメータ情報とが併せて一つのメソッドファイルに格納されたファイルを記憶するメソッドファイル記憶部と、
b)クロマトグラムデータに対する波形処理を実施する際に、その処理対象の試料の種類に応じて前記メソッドファイル記憶部に記憶されているメソッドファイル中の複数種類の波形処理パラメータ情報を選択して、その選択された波形処理パラメータ情報に基づく波形処理を実行する波形処理部と、
を備えることを特徴としている。
ここで「クロマトグラフ」はガスクロマトグラフ又は液体クロマトグラフである。ガスクロマトグラフの場合、「分析条件」とは、キャリアガス流量又は線速度、試料注入量、スプリット比、試料気化室温度、カラム温度プロファイル、カラム種類、カラムのディメンジョンなどである。一方、「波形処理パラメータ情報」とは、例えばクロマトグラム上でピーク検出を行うためのスロープ値や最小面積値(又は最小高さ値)など、或いは、ピーク面積値を計算するためのピーク開始点や終了点の決定手法、などである。
従来のこの種のデータ処理装置では、一つのメソッドファイル中には一種類の波形処理パラメータ情報(厳密にいえば一種類の波形処理パラメータ情報の組)しか格納され得なかった。これに対し、本発明に係るデータ処理装置では、一つのメソッドファイル中に二種類以上の波形処理パラメータ情報を格納することが可能である。ただし、或るクロマトグラムデータの波形処理を実施する際にいずれの波形処理パラメータ情報を使用するかを選択する必要があるから、例えば試料の種類(例えば成分が既知の標準試料、成分が未知の未知試料など)に応じて、それぞれ波形処理パラメータ情報の対応付けが可能となっている。それによって、波形処理部は、クロマトグラムデータに対する波形処理を実施する際に、その処理対象の試料の種類に応じてメソッドファイル記憶部に記憶されているメソッドファイル中の複数種類の波形処理パラメータ情報を適宜選択して、その選択された波形処理パラメータ情報に基づく波形処理を実行することができる。
本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置の一実施態様は、石油由来試料を解析するための蒸留ガスクロマトグラフ分析用のデータ処理装置において、
前記標準試料は沸点が既知である複数の炭化水素成分を含む標準試料であり、
前記波形処理部は、前記標準試料から得られたクロマトグラムデータに対して各炭化水素成分の保持時間を求めるための波形処理を実行し、前記未知試料から得られたクロマトグラムデータに対してはクロマトグラムの略全体の面積値を求めるための波形処理を実行することを特徴としている。
既に述べたように蒸留GC分析において、標準試料から得られたクロマトグラムデータに対する波形処理と、未知試料から得られたクロマトグラムデータに対する波形処理とはその内容が全く相違する。その場合であっても、それぞれの波形処理に適した波形処理パラメータ情報を分析者が予め設定しておくことで、一つのメソッドファイルを使用しながら未知試料の蒸留性状曲線を高い精度で算出することができる。
本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置によれば、標準試料と未知試料とで波形処理が異なる場合に、処理対象のクロマトグラムが標準試料によるものであるか未知試料によるものであるかを分析者が意識することなく、同一のメソッドファイルを用いて適切なデータ処理や解析を行うことができる。これにより、従来のように、分析者が、標準試料用メソッドファイルと未知試料用メソッドファイルとの二種類のメソッドファイルを使い分ける必要がなくなり、一連のバッチ分析を一つのメソッドファイルのみを用いて完了させることができるため、分析者の煩雑な作業が軽減される。また、メソッドファイルを使い分ける際のファイル名の入力誤りなどによる不適切な分析や解析の発生を減らすことができる。
本発明に係るデータ処理装置を用いた蒸留GCシステムの一実施例の概略構成図。 本実施例の蒸留GCシステムにおける未知試料分析のための一連の処理手順を示すフローチャート。 標準試料に対して得られるクロマトグラムの一例を示す図。 未知試料に対して得られるクロマトグラムの一例を示す図。 標準試料に対するクロマトグラムの波形処理パラメータ入力設定画面の一例を示す図。 未知試料に対するクロマトグラムの波形処理パラメータ入力設定画面の一例を示す図。 一連の分析を実行する際に作成される分析バッチテーブルの一例を示す図。 標準試料に対するクロマトグラムの波形処理及び演算処理により作成される保持時間-沸点変換線のグラフ及びテーブルの一例を示す図。 未知試料に対するクロマトグラムの波形処理及び演算処理により作成される蒸留性状曲線のグラフ及びテーブルの一例を示す図。
本発明に係るクロマトグラフ用データ処理装置の一実施例について、該装置を用いた蒸留GCシステムの一例を挙げて添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例の蒸留GCシステムの概略構成図である。この蒸留GCシステムは、大別して、試料に対し蒸留GC分析を行ってデータを収集する分析部1と、分析部1の動作を制御する機能と分析部1で得られたデータを処理するデータ処理の機能とを有する制御・処理部2、とから成る。
分析部1においては、図示しないヒータが付設されたカラムオーブン16内に設置されたカラム17の入口に試料気化室12が設けられ、カラム17の出口には検出器18が接続されている。試料気化室12には、フロー制御部(図示せず)が設けられたキャリアガス流路13と、抵抗管(又はニードルバルブなど)15が設けられたパージ流路14が接続されている。フロー制御部により所定流量に制御されたキャリアガス(例えばヘリウムHe)がキャリアガス流路13を通して試料気化室12に送られ、その一部は、試料気化室12を密封するためのセプタムから出る不所望のガスを伴ってパージ流路14を経て排出される。その残りのキャリアガスは試料気化室12からカラム17内に送り込まれる。
制御・処理部2の分析制御部24の指示に基づく所定のタイミングでインジェクタ11より試料気化室12内に微量の液体試料が注入されると、該液体試料は短時間で気化しキャリアガスの流れに乗ってカラム17内に送り込まれる。恒温分析の場合にはカラム17はカラムオーブン16により一定温度に維持され、昇温分析の場合にはカラムオーブン16内の温度は所定の昇温プログラムに従って昇温制御される。蒸留GC分析の場合には後者の昇温分析が実施される。カラム17に送り込まれた気化試料中に含まれる各種化合物はカラム17を通過する間にその長手方向に分離され、時間的にずれてカラム17の出口から溶出して検出器18により検出される。
検出器18は時間経過に伴って順次到達する化合物を検出し、その量に応じた検出信号を出力する。この検出信号は図示しないアナログデジタル変換器により所定のサンプリング時間毎にデジタルデータに変換され、制御・処理部2のクロマトグラムデータ格納部25に一旦保存される。制御・処理部2は、上述した分析制御部24やクロマトグラムデータ格納部25のほか、メソッドファイル作成部21、メソッドファイル格納部22、分析バッチテーブル作成部23、蒸留GC解析処理部26などの機能ブロックを含む。これらについてはあとで詳しく説明する。また、制御・処理部2に接続されている入力部3は分析者が各種の指示を与えたり条件を設定したりするためのものであり、表示部4はデータ解析結果などを表示するためのものである。制御・処理部2の機能の多くは、例えばパーソナルコンピュータをハードウエア資源とし、該コンピュータに予めインストールした専用の制御・処理ソフトウエアを動作させることにより具現化することができる。この場合、入力部3はキーボードやマウスなどのポインティングデバイス、表示部4はパーソナルコンピュータのモニタである。
分析部1の基本的な構成は蒸留GC分析に特有のものでなく、通常のGC分析に共通する構成である。蒸留GC分析の場合には、その分析の規格に応じて、シリコーン系の無極性液相が内面に塗布されたキャピラリカラムやパックドカラムなどの適宜のカラムがカラム17として選定され、検出器18としては水素炎イオン化検出器が用いられる。また上述したように、カラムオーブン16は所定の昇温プログラムに従って昇温制御される。
本実施例の蒸留GCシステムを用いて試料の解析を行う際には、それに先立って、分析部1において試料を分析する際に用いられる分析条件パラメータと、蒸留GC解析処理部26においてクロマトグラムの波形処理を実行する際に用いられる波形処理パラメータとを分析者が設定しておく必要がある。未知試料の蒸留性状曲線を求めるためには、複数の既知の炭化水素を含む標準試料と実際の解析対象である未知試料とをそれぞれGC分析する必要があるが、そのときの分析条件パラメータは共通(つまりパラメータ値が同一)である。したがって、一連の分析に際して設定すべき分析条件パラメータは一種類でよい。なお、分析条件パラメータには、キャリアガス流量(流速)、試料注入量、試料気化室の温度、カラムの種類やディメンジョン、カラム昇温プロファイル、などが含まれる。
分析者が入力部3で所定操作を行うと、メソッドファイル作成部21は分析条件パラメータ設定画面を表示部4の画面上に表示する。分析者はこの分析条件パラメータ設定画面上で上記のような各項目についてそれぞれ適宜の数値を入力したり或いは用意された選択肢の中から適当なものを選択したりすればよい。そうして設定された分析条件パラメータは、メソッドファイル格納部22に格納される一つのメソッドファイル30の中の共通分析条件パラメータ情報領域31に保存される。
さらに分析者が入力部3で所定操作を行うと、メソッドファイル作成部21は図5に示すような標準試料用波形処理パラメータ設定画面50を表示部4の画面上に表示する。この標準試料用波形処理パラメータは、標準試料に対して得られたクロマトグラムに現れる多数のピークを検出し、各ピークの保持時間を求めるために使用されるパラメータである。
標準試料用波形処理パラメータ設定画面50内の主たる設定項目について説明すると、「Width(W)」は検出するピークの幅の最小値であり、図5の例でいえばピーク幅が3sec以上であるピークのみを検出することを意味する。「Slope(S)」はピーク開始点及び終了点を判断する際のピークカーブの傾斜の閾値であり、図5の例でいえば傾斜が2000μV/min以上であるときにピーク開始点と判断し傾斜が2000μV/min以下になったときにピーク終了点と判断することを意味する。また、「最小面積/高さ(M)」はピークであるとみなす面積値又は高さ値の閾値であり、図5の例では「使用データ(L)」として面積が選択されているから、ピーク面積が1e+006カウント以上である場合にこれが実際にピークであると判断することを意味する。なお、それ以外の項目については、ここではあまり重要でないので説明を略す。分析者により設定された標準試料用波形処理パラメータは、上記一つのメソッドファイル30の中の標準試料用波形処理パラメータ情報領域32に保存される。
また分析者が入力部3で別の所定操作を行うと、メソッドファイル作成部21は図6に示すような未知試料用波形処理パラメータ設定画面60を表示部4の画面上に表示する。この未知試料用波形処理パラメータは、未知試料に対して得られたクロマトグラムに現れる大きな且つブロードな一つのピークを検出し、蒸留GC分析の様々な規格で定められている手法で、留出開始点及び留出終了点を求めるために使用されるパラメータである。
未知試料用波形処理パラメータ設定画面60内の主たる設定項目について説明すると、「スライスレート」は、後述するように未知試料の蒸留性状曲線を求めるに際し、留出量(%)を計算する時間間隔(時間幅)である。「面積計算区間」は一つの大きなピークの全面積を計算するための開始点及び終了点を示す値であり、図6の例のように「自動」が選択されている場合には、分析が実行された全ての時間範囲のピーク面積の積算値が計算されることになる。
「留出開始点」及び「留出終了点」は上述したように蒸留GC分析の様々な規格で定められている手法をドロップダウン等により選択するものであり、図6の例では、時間経過に従ってクロマトグラムカーブの連続2スライス変化率が0.00001%以上になった時点をピーク全面積のうちの面積値0.5%であるとみなし、その時点を留出開始点として定義する。さらに時間が経過してクロマトグラムカーブの連続2スライス変化率が0.00001%以下になった時点をピーク全面積のうちの面積値99.5%であるとみなし、その時点を留出終了点として定義する。なお、それ以外の項目については、ここではあまり重要でないので説明を略す。分析者により設定された未知試料用波形処理パラメータは、上記一つのメソッドファイル30の中の未知試料用波形処理パラメータ情報領域33に保存される。
このように、標準試料に対するクロマトグラムと未知試料に対するクロマトグラムとではそもそも波形処理の目的とするところが全く異なり、波形処理パラメータも全く異なる。本実施例の蒸留GCシステムでは、二種類の全く異なる波形処理パラメータが一つのメソッドファイル30中に格納されていることが大きな特徴の一つである。なお、図1では、メソッドファイル30中にキャリブレーション結果領域34が設けられており、この領域34には標準試料の分析結果に基づいて作成される検量線などが格納可能となっているが、後述する蒸留GC分析の解析処理では検量線は不要であるので、この場合にはキャリブレーション結果領域34は空白である。
図2は本実施例の蒸留GCシステムにおける未知試料分析のための一連の処理手順を示すフローチャートである。この図2に従って、蒸留GC分析の一例を説明する。
分析者が入力部3上で所定の操作を行うと、分析バッチテーブル作成部23は図7に示すような分析の手順を規定する分析バッチテーブル70の入力設定画面を表示部4の画面上に表示する。分析バッチテーブル70の一行は一つの試料に対する分析に相当する。「サンプルタイプ」の「1:標準」、「0:未知」はそれぞれ「サンプル名」で示されるサンプルが標準試料であるか未知試料であるはを示す。また、「メソッドファイル」は各サンプルに対して分析を行う際及び蒸留GC解析処理を実行する際に使用されるメソッドファイルのファイル名である。従来の蒸留GC分析では標準試料と未知試料とで使用するメソッドファイルを異なるものとする必要があったが、本実施例の蒸留GCシステムでは、一つのメソッドファイル中に標準試料用と未知試料用の二種類の波形処理パラメータが格納されているので、使用するメソッドファイルは同一でよい。図7の例では、ファイル名が「D2887_DEMO.gcm」であるメソッドファイルが設定されている。
分析者が分析バッチテーブルを適宜作成して(ステップS1)、分析の実行開始を指示すると、分析制御部24は分析バッチテーブルで指定された各サンプルについて、指定されたメソッドファイル30中の共通分析条件パラメータ情報領域31に保存されている分析条件パラメータに従って分析部1の各部を制御することにより、サンプル毎のクロマトグラムデータを収集する(ステップS2)。収集されたクロマトグラムデータはサンプル毎に、分析バッチテーブルで指定されたファイル名のデータファイルに格納され、クロマトグラムデータ格納部25に保存される。
分析バッチテーブルで指定されている全てサンプルに対するクロマトグラムデータが取得されると、蒸留GC解析処理部26が各クロマトグラムの波形処理及び演算処理を開始する(ステップS3)。蒸留GC解析処理部26は分析バッチテーブルの1行目に指定されているデータファイル中のクロマトグラムデータを読み出し、クロマトグラムを作成する。標準試料に対するクロマトグラムは例えば図3に示すような形状になる。
蒸留GC解析処理部26は分析バッチテーブルの1行目のサンプルタイプが「1:標準」であるか否かを判定する(ステップS4)。いま図7の例では、サンプルタイプは「1:標準」であるので、ステップS5へと進み、指定されたメソッドファイル30中の標準試料用波形処理パラメータ情報領域32に保存されている図5に示したような波形処理パラメータを読み出し、該パラメータに従ってクロマトグラムに対する波形処理を実行して各炭化水素成分に対応するピークを検出し、保持時間を求める。図3中には、ピークとして検出されたピーク開始点及びピーク終了点が「↑」及び「↓」の記号で示されている。
また蒸留GC解析処理部26は、得られた各炭化水素成分の保持時間と、既知の情報として予め与えられている各炭化水素の沸点とから、保持時間と沸点との関係を示す沸点変換線を求める(ステップS6)。図8は保持時間-沸点変換線のグラフ(a)及びテーブル(b)の一例である。
蒸留GC解析処理部26は分析バッチテーブルで指定された全てのサンプルの処理が終了したか否かを判定し(ステップS9)、未終了であれば分析バッチテーブルで次の行に指定されているサンプルに対する解析処理を行う。図7の例では、分析バッチテーブルの2行目に指定されているサンプルも標準試料であるので、上述したステップS4、S5、S6、S9の処理が実行される。
蒸留GC解析処理部26が分析バッチテーブルの3行目に指定されているサンプルの処理に進むとき、サンプルタイプは「0:未知」であるから、ステップS4からS7へと進む。未知試料に対するクロマトグラムは例えば図4に示すような形状になる。蒸留GC解析処理部26は指定されたメソッドファイル30中の未知試料用波形処理パラメータ情報領域33に保存されている図6に示したような波形処理パラメータを読み出し、該パラメータに従ってクロマトグラムに対する波形処理を実行して、全体で大きな山形状のピークを検出し、留出開始点及び留出終了点をそれぞれ求める。
この留出開始点及び留出終了点が、蒸留性状曲線を求める際にピークの全面積(面積値100%)を計算するピークの開始点及び終了点となる。そこで、蒸留GC解析処理部26はこの留出開始点から留出終了点までの時間範囲のピーク面積をピーク全面積として求め、さらにそのクロマトグラムピークを所定の時間幅で区切った各時間帯までのピークの累積面積を求める。そして、各時間帯における留出量(%)を累積面積/全面積により計算する。図8(a)に示した保持時間-沸点変換線から各保持時間に対応する沸点が得られるから、上記区切った各時間帯の保持時間を沸点に変換し、各時間帯における留出量(%)と沸点との関係を示す蒸留性状曲線を作成する(ステップS8)。図9は蒸留性状曲線のテーブル(a)及びグラフ(b)の一例である。
以上のようにしてサンプル名が「light oil-Std」である一つの未知試料に関する蒸留性状曲線が得られる。そのあと、蒸留GC解析処理部26は分析バッチテーブルで指定された全てのサンプルの処理が終了したか否かを再び判定し(ステップS9)、未終了であれば分析バッチテーブルで次の行に指定されているサンプルに対する解析処理を行う。図7の例では、分析バッチテーブルの4行目に指定されているサンプルも未知試料であるので、上述したステップS4→S7→S8→S9の処理が実行され、サンプル名が「light oil-Unk」である一つの未知試料に関する蒸留性状曲線も得られ、そのあとにステップS9でYesと判定されて全ての処理が終了する。
以上のように、本実施例の蒸留GCシステムによれば、例えば灯油、軽油、重油などを含む石油由来である未知試料の蒸留性状曲線を求める際に、標準試料のクロマトグラムに対する波形処理と未知試料のクロマトグラムに対する波形処理とが相違するにも拘わらず、両者の波形処理パラメータを一つのメソッドファイルで指定することができる。それにより、波形処理対象であるクロマトグラムが標準試料のクロマトグラムであるか未知試料のクロマトグラムであるかで異なるメソッドファイルを使い分ける必要がない。これによって、標準試料に対する分析と未知試料に対する分析とを含む一連のバッチ分析を一つのメソッドファイルを使用するだけで実施することができ、分析者の負担が大きく軽減される。また、メソッドファイルの管理も容易になる。
上記実施例は本発明に係るデータ処理装置を蒸留GCシステムに適用した例であるが、本発明に係るデータ処理装置は蒸留GC分析用データ処理装置に限るものではなく、複数の試料を同一の分析条件の下で分析してそれぞれクロマトグラムデータを収集し、各試料に対するクロマトグラムをそれぞれ別の波形処理パラメータを用いて波形処理するようなGCシステムやLCシステム全般に適用することが可能である。例えば、標準試料に対するクロマトグラムと未知試料に対するクロマトグラムとに対し同様にピーク検出を行い、検出されたピークの面積値を求める場合であっても、例えば夾雑成分の影響が大きくピークの検出が困難である未知試料に対するクロマトグラムについては、ピーク検出のための波形処理パラメータを変えることが考えられる。また、同じ未知試料に対するクロマトグラムであっても、その試料の由来によって波形処理パラメータを変えることも考え得る。
また、上記実施例では一つのメソッドファイルの中に二つの波形処理パラメータ情報領域を設けていたが、これを三以上としてもよい。つまり、一つのメソッドファイルによって三以上の異なる波形処理パラメータを使い分けることが可能な構成としてもよい。
さらにまた、上記実施例は本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜修正や変更、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…分析部
11…インジェクタ
12…試料気化室
13…キャリアガス流路
14…パージ流路
16…カラムオーブン
17…カラム
18…検出器
2…制御・処理部
21…メソッドファイル作成部
22…メソッドファイル格納部
23…分析バッチテーブル作成部
24…分析制御部
25…クロマトグラムデータ格納部
26…蒸留GC解析処理部
3…入力部
4…表示部
30…メソッドファイル
31…共通分析条件パラメータ情報領域
32…標準試料用波形処理パラメータ情報領域
33…未知試料用波形処理パラメータ情報領域
34…キャリブレーション結果領域
50…標準試料用波形処理パラメータ設定画面
60…未知試料用波形処理パラメータ設定画面
70…分析バッチテーブル

Claims (2)

  1. 標準試料及び解析対象である未知試料について同一の分析条件の下で分析してそれぞれ得られたクロマトグラムデータに対して互いに異なる波形処理パラメータに従った波形処理を行うクロマトグラフ用データ処理装置であって、
    a)前記標準試料及び未知試料に対するクロマトグラフ分析を遂行する際の共通の分析条件と、該標準試料及び未知試料について得られたクロマトグラムデータをそれぞれ波形処理するために使用される異なる内容の複数種類の波形処理パラメータ情報とが併せて一つのメソッドファイルに格納されたファイルを記憶するメソッドファイル記憶部と、
    b)クロマトグラムデータに対する波形処理を実施する際に、その処理対象の試料の種類に応じて前記メソッドファイル記憶部に記憶されているメソッドファイル中の複数種類の波形処理パラメータ情報を選択して、その選択された波形処理パラメータ情報に基づく波形処理を実行する波形処理部と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ用データ処理装置。
  2. 請求項1に記載のクロマトグラフ用データ処理装置であって、石油由来試料を解析するための蒸留ガスクロマトグラフ分析用のデータ処理装置において、
    前記標準試料は沸点が既知である複数の炭化水素成分を含む標準試料であり、
    前記波形処理部は、前記標準試料から得られたクロマトグラムデータに対して各炭化水素成分の保持時間を求めるための波形処理を実行し、前記未知試料から得られたクロマトグラムデータに対してはクロマトグラムの略全体の面積値を求めるための波形処理を実行することを特徴とするクロマトグラフ用データ処理装置。
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