JP2008256652A - クロマトグラフ分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】異なる分離条件の分析データの処理が容易で、かつ分析時間の増大を抑制できるクロマトグラフ分析方法を提供する。
【解決手段】複数のカラムのそれぞれを使用カラムとして選択して、分離状態をそれぞれ設定するステップと、同一の試料を異なる分離条件でそれぞれの使用カラムに注入して分析するステップと、得られた分析結果を1つの分析データとして記録するステップとを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、クロマトグラフを用いた分析技術に係り、特に複数の分離条件を用いた場合のクロマトグラフ分析方法に関する。
クロマトグラフ法(クロマトグラフィ)は、ガスや液体移動相に含まれる試料をカラムと呼ばれる分離管に注入し、試料がカラムを通過する時間を解析する分析手法である。試料をカラムに注入した時点から分離された成分がピークを示す時点までの時間を「保持時間」という。しかし、保持時間の一致のみにより試料を同定する場合、他の成分と誤同定するおそれがある。そのため、ガスクロマトグラフ(GC)と質量分析計(MS)を一体化したガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)や、液体クロマトグラフ(LC)と質量分析計(MS)を一体化した液体クロマトグラフ質量分析計(LC−MS)等の、クロマトグラフ質量分析計を用いた選択性の高い検出法の利用が増えている。
したがって、多成分一斉分析においては、もっぱらクロマトグラフ質量分析計を用いた質量分析検出法が採用される。しかし、食品中の農薬分析において、食品という複雑なマトリックス中の微量かつ多種の農薬を分析する場合等に、選択性の高い質量分析法を用いても、夾雑成分の重なりが認められ、分析が困難になっている。
従来、クロマトグラフィでは、分析対象化合物の保持時間にピークが出現した場合に、このピークが対象化合物であるか否かを確認するために、異なる分析条件(分離条件)を用いた複数の分析を実施し、それぞれのピークが対象化合物と同じ保持時間を示すかどうかの分析を実施している。この方法は、検出器の選択性を用いた質量分析検出法等の確認方法に対して、分離選択性を用いた確認方法といえる。分離選択性を用いた確認方法では、分析条件(分離条件)を変更することで通常のクロマトグラフで複数の分析を実施できるが、分析条件の変更、安定化、検証にかなりの時間を必要とする。そのため、分析者は、有効な方法と知りつつ、分離選択性を用いた確認方法を敬遠する傾向がある。また、原則として分析結果に問題があった場合に分離選択性を用いた確認方法は行われることが多いが、残留農薬分析等において再分析の準備を行っている間でも、前処理を施した試験溶液中の農薬の分解、変形等が生じるという問題がある。
これに対して、予め設定した複数の分析条件により、同一の装置で略同時に試料を分析する方法(以下において、「マルチ分析方法」という。)がある。
しかしながら、上記マルチ分析方法では、それぞれの分析条件(分離条件)で得られたデータが別個に出力されるため、
(1)それぞれの分析条件で得られた独立した複数のデータを照らし合わせねばならない、
(2)複数の分析条件と複数のデータとの対応を間違える可能性がある、
(3)複数の分析条件でそれぞれ分析を行うため、時間の浪費につながる、
(4)複数のデータを総合的に評価できない、
等の欠点があり、分析に時間がかかり、更に、分析データの処理が煩雑であるという問題があった。
上記問題点を鑑み、本発明は、多成分一斉分析に際し、異なる分離条件の分析データの処理が容易で、かつ分析時間の増大を抑制できるクロマトグラフ分析方法を提供することを目的とする。
本発明の態様は、(イ)複数のカラムを用意し、同一の試料を、異なる分離条件でそれぞれのカラムに順次、注入して分析するステップと、(ロ)異なる分離条件でそれぞれ得られた分析結果を、単一の分析のデータとして記録するステップとを含むクロマトグラフ分析方法であることを特徴とする。
本発明によれば、多成分一斉分析に際し、異なる分離条件の分析データの処理が容易で、かつ分析時間の増大を抑制できるクロマトグラフ分析方法を提供できる。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法は、異なる分離条件で同一の試料を分析可能な多成分一斉分析方法であって、複数のカラム(分析カラム)のうちのいずれかを使用カラムとして選択して分離条件を設定し、カラムスイッチ技術により、同一の試料を複数の分離条件でカラムに注入して逐次分析し、それぞれの分析結果を1つの分析データとして記録する方法である。
図1に示したマルチ分析方法は、例えば図2に示す分析装置1及び分析装置1を制御する制御装置2によって実行可能である。分析装置1は、クロマトグラフ10及び質量分析計50を備える。クロマトグラフ10は、第1〜2の送出ユニット11〜12、第1〜2のスイッチングバルブ21〜22、サンプラ30、及び第1〜2のカラム41〜42を有する。第1〜2の送出ユニット11〜12は、例えばグラジエント溶出等により、複数の分離条件でそれぞれ使用される複数の移動相を送出する。第1のスイッチングバルブ21及び第2のスイッチングバルブ22はラインの切り替えができるバルブであり、図2では六方バルブの例を示している。サンプラ30は試料を移動相に導入する。試料が導入された移動相は第1のカラム41或いは第2のカラム42に注入され、異なる分離条件で試料の各成分が分離されて複数の保持時間のピークが出現する。質量分析計50は、質量スペクトルを測定して、この分離されたピークを有する各成分がどのような化合物であるかを分析する。
図2に示す分析装置1を用いた場合の、本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法の概略は、図1のフローチャートに示すように、
(イ)ステップS1において、複数の分析条件を選択し、
(ロ)ステップS2において、分析装置1の複数のカラムのうちいずれかを使用カラムとして、選択された複数の分析条件のうちの1つの分析条件で試料を複数の成分に分離し、
(ハ)ステップS3において、分離した各成分を質量分析計50によって分析し、
(ニ)ステップS4において、選択された分析条件のうち、試料の分離を実施していない分析条件があればステップS2に戻り、全ての選択された分析条件による分離が終了していればステップS5に進み、逐次複数の分離条件での分析を単一の分析として実行し、
(ホ)ステップS5において、全ての分析結果を1つの分析データとして記録する、
の各ステップが実行される。より具体的な動作は後述する。なお、図2では、使用カラムが第1〜第2のカラム41〜42とする分析装置1の例を示したが、使用カラムの数は2個に限定されるものではなく、適宜増やすことができることは勿論である。
分析装置1においては、移動相として液体又は気体が採用される。つまり、分析装置1がLC−MSの場合に移動相は液体であり、分析装置1がGC−MSの場合に移動相は気体である。図2は分析装置1がLC−MSである場合を例示しているが、分析装置1がGC−MSの場合でも、LC−MSの場合と同様に、異なる複数の分析条件を用いて順次同一試料の分析を行い、分析結果は1つの分析データとして記録される。そのため、分析者は、分析装置1がGC−MSであってもLC−MSであっても、1つの分析データを解析するだけでよい。
図2に示すように、第1のスイッチングバルブ21のポートP1が第1のカラム41の注入口に接続され、ポートP2が第1の送出ユニット11の送出口に接続される。そして、ポートP3がサンプラ30の送入口に接続され、ポートP4が第2の送出ユニット12の送出口に接続される。更に、ポートP5が第2のカラム42の注入口に接続され、ポートP6がサンプラ30の送出口に接続される。
一方、第2のスイッチングバルブ22のポートP1が第1のカラム41の排出口に接続され、ポートP2とポートP4が接続される。更に、ポートP5が第2のカラム42の排出口に接続され、ポートP6が質量分析計50の送入口に接続される。そして、ポートP3から質量分析計50に送られない移動相が排出される。
図2では、第1〜2のスイッチングバルブ21〜22のそれぞれにおいて、ポートP1とポートP6、ポートP2とポートP3、及びポートP4とポートP5がそれぞれ連通した状態である。ここで、図2に示した状態を、「第1の分離条件の状態」という。第1の分離条件の状態において、第1の送出ユニット11から送出された移動相が、第1のスイッチングバルブ21のポートP2及びポートP3を経由して、サンプラ30に送られる。サンプラ30から送出された移動相は、第1のスイッチングバルブ21のポートP6及びポートP1を経由して、第1のカラム41に注入される。そして、第1のカラム41で分離された試料の各成分が、第2のスイッチングバルブ22のポートP1及びポートP6を経由して、質量分析計50に送られる。
一方、第2の送出ユニット12から送出された移動相は、第1のスイッチングバルブ21のポートP4及びポートP5を経由して、第2のカラム42に注入される。第2のカラム42で分離された試料の各成分は、第2のスイッチングバルブ22のポートP5、ポートP4、ポートP2及びポートP3を経由して、排出される。
つまり、第1の分離条件では、第1の送出ユニット11から送出された移動相が第1のカラム41に注入され、第1のカラム41及び質量分析計50によって試料の分析が行われる。
図3に、第1〜2のスイッチングバルブ21〜22の設定を変更した状態を示す。以下において、図3に示した状態を「第2の分離条件の状態」という。第2の分離条件の状態は、第1〜2のスイッチングバルブ21〜22のポートP1とポートP2、ポートP3とポートP4、及びポートP5とポートP6がそれぞれ連通した状態である。第2の分離条件の状態においては、第2の送出ユニット12から送出された移動相が、第1のスイッチングバルブ21のポートP4及びポートP3を経由して、サンプラ30に送られる。サンプラ30から送出された移動相は、第1のスイッチングバルブ21のポートP6及びポートP5を経由して、第2のカラム42に注入される。そして、第2のカラム42で分離された試料の各成分が、第2のスイッチングバルブ22のポートP5及びポートP6を経由して、質量分析計50に送られる。
一方、第1の送出ユニット11から送出された移動相は、第1のスイッチングバルブ21のポートP2及びポートP1を経由して、第1のカラム41に注入される。第1のカラム41で分離された試料の各成分は、第2のスイッチングバルブ22のポートP1、ポートP2、ポートP4及びポートP3を経由して、排出される。
つまり、第2の分離条件では、第2の送出ユニット12から送出された移動相が第2のカラム42に注入され、第2のカラム42及び質量分析計50によって試料の分析が行われる。
分析装置1の動作は、制御装置2によって制御される。制御装置2は、中央演算処理装置(CPU)210、記憶装置220、入力装置230及び出力装置240を備える。
CPU210は、第1〜2のスイッチングバルブ21〜22の連通する状態を変更する等して、第1の分離条件の状態と第2の分離条件の状態を切り替える。また、分析実行者によって指定されたメソッドファイルに従って、分析装置1に試料の分析を実行させる。
記憶装置220は、分析条件等が登録されたメソッドファイルを格納するメソッドファイル記憶領域221、化合物テーブルを格納する化合物テーブル記憶領域222、及び分析結果を格納する分析結果記憶領域223等を備える。化合物テーブルには、第1〜2のカラム41〜42によって分離される各成分である化合物の特性データの情報(以下において、「化合物情報」という。)が登録される。
入力装置230はキーボード、マウス、ライトペン又はフレキシブルディスク装置等で構成される。入力装置230より分析実行者は、分析に使用するメソッドファイルの指定やメソッドファイルの修正ができる。更に、入力装置230より分析結果の出力データの形態等を設定することも可能で、また、分析の実行や中止等の指示の入力も可能である。又、出力装置240としては、分析結果を表示するディスプレイやプリンタ等が使用可能である。
図4に、本発明のマルチ分析方法と比較するための、分析条件(分離条件)A及び分析条件(分離条件)Bを使用した参考例(第1の参考例)を示す。第1の参考例においても、グラジエント溶出を採用しており、図4に示すように、分析条件Aでの分析を時刻t11〜t12で行った後にカラム平衡化時間が必要であり、次の分析は時刻t13から開始される。つまり、実際には分析を行っていない時刻t12〜t13のカラム平衡化時間も、実質的に分析時間に含まれる。
図5に、カラムスイッチング技術を使用して、分析条件(分離条件)A及び分析条件(分離条件)Bを切り替える参考例(第2の参考例)を示す。カラムスイッチング技術を用いることで、一方のカラムを使用して分析を行っている間に、他方のカラムを平衡化することができる。つまり、第2の参考例では、図5に示すように、一方のカラムを使用して分析条件Aでの分析を時刻t21〜t22で行った直後に、時刻t22から他方のカラムを使用して分析条件Bでの分析を開始できる。そして、時刻t22から分析条件Bでの分析が終了する時刻t23までの間に、分析条件Aでの分析に使用されるカラムを平衡化し、時刻t23から分析条件Aでの分析を開始できるため、分析時間を短縮できる。
しかし、カラムスイッチング技術を用いた場合でも、1回の分析で1回しか試料をカラムに注入できない分析装置(以下において、「単注入分析装置」という。)では、分析条件(分離条件)A、Bがそれぞれ登録された異なるメソッドファイルを用いて、独立したカラムへの注入と分析を交互に実行しなければならない。そのため、メソッドファイルを取り違える等の人為的なミスが発生しやすく、また、分析条件A、Bでそれぞれ得られたデータを照らし合わせねばならず、データの対応を間違える可能性がある。
以下に、図2に示した分析装置1及び制御装置2を用いて、本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法を実行する例を、図6に示したフローチャートを参照しながら説明する。ここで、第1の分離条件に使用する移動相Aが第1のカラム41に注入され、第2の分離条件に使用する移動相Bが第2のカラム42に注入されるとする。また、第1の分離条件と第2の分離条件を合わせた複合分析条件が、メソッドファイル記憶領域221に格納されたメソッドファイルに登録されているとする。更に、第1の分離条件及び第2の分離条件での定量作業で利用される化合物情報が登録された化合物テーブルが化合物テーブル記憶領域222に格納されているとする。以下では、制御装置2が、メソッドファイルに登録された複合分析条件に従って分析装置1に試料を分析させる場合を例示的に説明する。
(イ)ステップS10において、CPU210が分析装置1を制御して、分析装置1の状態を第1の分離条件の状態に設定する。具体的には、図2に示すように、第1〜2のスイッチングバルブ21〜22のそれぞれにおいて、ポートP1とポートP6、ポートP2とポートP3、及びポートP4とポートP5がそれぞれ連通する。
(ロ)ステップS20において、CPU210により分析装置1が制御され、第1の送出ユニット11から移動相Aが送出され、第1のスイッチングバルブ21を経由して、サンプラ30に搬送される。そして、試料が注入され、サンプラ30によって移動相Aに試料が導入される。
(ハ)ステップS30において、サンプラ30によって試料を導入された移動相Aは、第1のスイッチングバルブ21を経由して第1のカラム41に注入される。更に、第1のカラム41によって分離された試料の各成分は、第2のスイッチングバルブ22を経由して質量分析計50に送られ、質量分析が行われる。
(ニ)ステップS40において、CPU210が分析装置1を制御して、分析装置1の状態を第2の分離条件の状態に設定する。具体的には、図3に示すように、第1〜2のスイッチングバルブ21〜22のそれぞれにおいて、ポートP1とポートP2、ポートP3とポートP4、及びポートP5とポートP6がそれぞれ連通する。
(ホ)ステップS50において、CPU210により分析装置1が制御され、第2の送出ユニット12から移動相Bが送出され、第1のスイッチングバルブ21を経由して、サンプラ30に搬送される。そして、試料が注入され、サンプラ30によって移動相Bに試料が導入される。
(ヘ)ステップS60において、サンプラ30によって試料を導入された移動相Bは、第1のスイッチングバルブ21を経由して第2のカラム42に注入される。更に、第2のカラム42によって分離された試料の各成分は、第2のスイッチングバルブ22を経由して質量分析計50に送られ、質量分析が行われる。
(ト)ステップS70において、分析装置1による分析結果のデータが分析結果記憶領域223に格納される。具体的には、第1のカラム41により分離された試料の各成分の保持時間及び各成分の質量分析結果、及び第2のカラム42により分離された試料の各成分の保持時間及び試料の各成分の質量分析結果が、一つのファイルとして分析結果記憶領域223に格納される。
複合分析条件での分析は、設定された回数だけ実行される。なお、第1のカラム41を用いた分析が実行されている間に第2のカラム42が平衡化され、第2のカラム42を用いた分析が実行されている間に第1のカラム41が平衡化される。
分析結果記憶領域223に格納された分析結果のデータは出力装置240に出力され、分析実行者は分析結果を確認できる。
上記に説明したマルチ分析方法によれば、1つの分析データを得るまでの1回の分析中に、複数回にわたって試料をカラムに注入できる。そのため、第1の分離条件と第2の分離条件を合わせた複合分析条件を設定して、図7に示すように複合分析条件での分析を繰り返し実行できる。図7では、時刻t31〜t32において第1のカラム41を用いた分析が実行され、時刻t32〜t33において第2のカラム42を用いた分析が実行される。その結果、メソッドファイルを交互に実行する場合に比べて、メソッドファイルを取り違える等の人為的なミスは非常に少なくなる。更に、図5に示した第2の参考例に係る分析方法では、2個の分析データの対応をつける必要があるが、本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法によれば、2種の分離条件を合わせた一つの複合分析条件での分析データが1つにまとまっているため、分析データを取り違えるミスは発生しない。
また、第2の参考例に係る分析方法では、定量作業を実施する場合、少なくとも2個の分析データを照らし合わせて保持時間のピーク確認及び化合物の定量値を求める。つまり、任意の化合物に対して、保持時間とモニタイオンの質量電荷比(m/z)に基づき、標的化合物の有無が判断される。例えば、図8に示す分析条件Aで得られた分析データと、図9に示す分析条件Bで得られた分析データを照らし合わせて、標的化合物の有無を判断する必要がある。図8(a)、図9(a)の縦軸はカラムにより分離された各成分の検出量であり、横軸は保持時間である。通常、単注入分析装置は、図8(b)、図9(b)に示すような、保持時間及び質量電荷比m/z等の化合物情報を有する化合物テーブルを、分析条件毎に備える。例えば、分析条件Aでは保持時間5分、質量電荷比m/zが300であり、分析条件Bでは保持時間6分、質量電荷比m/zが300である化合物1が、分析条件Aで得られた分析データと分析条件Bで得られた分析データを照らし合わせることにより、検出される。
一方、本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法では、異なる分離条件を合わせた一つのメソッドファイルによる分析データが同一時間軸で1つにまとめられている。そのため、一つの化合物に対して保持時間とモニタイオン質量電荷比m/zの組み合わせが少なくとも2個以上、同一時間軸上の分析データに存在する。図6のフローチャートで例示したマルチ分析方法によれば、例えば図10(a)に示すように、ピークプロファイルを並べて、或いは重ねて出力装置240に表示することができる。図10(a)は、複合分析条件が、1回目の注入による第1のカラム41を用いた分析の開始後20分してから、2回目の注入による第2のカラム42を用いた分析が開始された場合の、ピークプロファイル(クロマトグラム)を同一の時間軸上に表示した例である。つまり、第2の分離条件での保持時間の始点を、第1の分離条件での保持時間の始点に対して20分遅らせて、第1及び第2の分離条件でのピークプロファイルを並べて表示したことになる。したがって、図6に示したマルチ分析方法によれば、試料に含まれる化合物の定量作業のための保持時間のピークを抽出して、並べて判断できる。
また、図6のフローチャートで例示したマルチ分析方法では、図10(b)に示す複合分析条件における複数の化合物の保持時間及び質量電荷比m/z等の化合物情報が登録した化合物テーブルを、分析データと共に出力装置240に表示できる。この化合物テーブルは、第1の分離条件と第2の分離条件において第1〜第2のカラム41〜42によってそれぞれ分離される各成分の化合物情報を合わせた特性データを、複合分析条件の化合物情報として登録したテーブルである。例えば、複合分析条件において、第1のカラム41を用いる分析と、第2のカラム42を用いる分析の開始が20分ずらして設定されている場合、図10(b)に示すように、第1のカラム41での保持時間と、第2のカラム42での保持時間を20分ずらせた保持時間とが、各化合物の複合分析条件の化合物テーブルに登録され、複合分析条件での定量作業において使用可能である。
一般に、検量線を用いて定量作業が行われるため、夾雑成分の妨害を受けるか、誤同定をしない限り、第1の分離条件での分析データと第2の分離条件での分析データは、図11(a)、(b)に示すように、第1の分離条件の指定した保持時間tA1と第2の分離条件の指定した保持時間tB1とで同じ定量値を示す。しかし、図12(a)、(b)に示すように、第1の分離条件では指定した保持時間tB1にピークが出現するが、第1の分離条件では指定した保持時間tA1と異なる保持時間tA2にピークが出現する場合は、標的化合物は試料に含まれていないと判断される。
また、図13(a)、(b)に示すように、第1の分離条件の指定した保持時間tA1と第2の分離条件の指定した保持時間tB1とでそれぞれピークが出現するが、そのピークで検出量が大きく異なる場合は、例えば、以下のようないくつの処理が可能である:
(1)すくなくとも低い方の定量値の小さい量だけ標的化合物は存在するとし、低い定量値を分析データとする、
(2)2つの定量値の平均値を分析データとする、
(3)2つの定量値に重み付けを行い、分析データを算出する、
等の処理が、分析実行者に可能である。
図6に示した一連の分析操作は、図6と等価なアルゴリズムのプログラムにより、図2に示した制御装置2を制御して実行できる。このプログラムは、図2に示した制御装置2を構成する記憶装置220に記憶させればよい。又、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に保存し、この記録媒体を図2に示した記憶装置220に読み込ませることにより、本発明の一連の分析操作を実行することができる。ここで、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、例えばコンピュータの外部メモリ装置、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等のプログラムを記録することができるような媒体等を意味する。具体的には、フレキシブルディスク、CD−ROM、MOディスク等が「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」に含まれる。
以上に説明したように、本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法によれば、質量分析検出による選択性だけでなく、クロマトグラフィによる分離選択性を加味したマルチ分析方法において、複数の分離条件を合わせた複合分析条件を単一のメソッドファイルとして設定し、1回の分析において同一試料を異なる分離条件でそれぞれのカラムに注入できる。その結果、複数の異なる分離条件による分析データを1つのファイルとして格納することができる。そして、分析データを1つのグラフ、及び化合物テーブルに並べて表示でき、更に、複数の分離条件による分析データに重み付けする等の処理が容易にできる。そのため、分析に要する時間が短縮されると共に、複数の分離条件による分析データが個々に得られる場合に比べて、分析データを評価する際に、それぞれの分離条件で得られた複数のデータを照らし合わす必要がなく、また、分離条件とデータとの対応を間違えるという問題を回避できる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
既に述べた実施の形態の説明においては、第1の分離条件と第2の分離条件の2つの分離条件を合わせた複合分析条件での定量作業を行う例を示したが、図2においてカラムの数を増やし、3種以上の移動相を使用することによって、3種類以上の分離条件を合わせて分析を実行することができる。また、質量分析計50に代えて、紫外可視吸光検出器(UV−VIS)、蛍光検出器(RF)、示差屈折率検出器(RID)、電気伝導度検出器(CDD)、蒸発光散乱検出器(ELSD)等を、目的に応じて使い分けることができる。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法を実行する分析装置の設定状態を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法を実行する分析装置の他の設定状態を示す模式図である。 第1の参考例による分析方法の例を示す模式図である。 第2の参考例による分析方法の例を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法を示す模式図である。 第1の参考例に係る分析データの例を示すグラフであり、図8(a)は保持時間、図8(b)は化合物テーブルを示す。 第2の参考例に係る分析データの例を示すグラフであり、図9(a)は保持時間、図9(b)は化合物テーブルを示す。 本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法による分析データの例を示すグラフであり、図10(a)は保持時間、図10(b)は化合物テーブルを示す。 本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法による分析データの例を示すグラフであり、図11(a)は第1の分離条件による保持時間、図11(b)は第2の分離条件による保持時間を示す。 本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法による分析データの他の例を示すグラフであり、図12(a)は第1の分離条件による保持時間、図12(b)は第2の分離条件による保持時間を示す。 本発明の実施の形態に係るマルチ分析方法による分析データの他の例を示すグラフであり、図13(a)は第1の分離条件による保持時間、図13(b)は第2の分離条件による保持時間を示す。
符号の説明
1…分析装置
2…制御装置
10…クロマトグラフ
11…第1の送出ユニット
12…第2の送出ユニット
21…第1のスイッチングバルブ
22…第2のスイッチングバルブ
30…サンプラ
41…第1のカラム
42…第2のカラム
50…質量分析計
210…CPU
220…記憶装置
221…メソッドファイル記憶領域
222…化合物テーブル記憶領域
223…分析結果記憶領域
230…入力装置
240…出力装置

Claims (3)

  1. 複数のカラムを用意し、同一の試料を、異なる分離条件でそれぞれのカラムに順次、注入して分析するステップと、
    前記異なる分離条件でそれぞれ得られた分析結果を、単一の分析のデータとして記録するステップ
    とを含むことを特徴とするクロマトグラフ分析方法。
  2. 前記分析データが、前記複数のカラムを用いてそれぞれ得られるクロマトグラムが、連続した時間軸上において単一のデータとして記録されることを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフ分析方法。
  3. 前記複数のカラムにそれぞれ応じた複数の分離条件を合わせた複合分析条件を登録したメソッドファイルに従って分析が実行されることを特徴とする請求項1又は2に記載のクロマトグラフ分析方法。
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