以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。実施例1は、送信装置が、伝送する複数のトランスポートストリーム(以下、TSという。)を入力し、スーパーフレーム内の所定のスロット位置にTSのパケットを割り当ててTSを多重化し、搬送波毎にスーパーフレームを生成し、それぞれの搬送波によりスーパーフレームを送信し、受信装置が、受信したスーパーフレーム間の時間差を吸収し、所望のTSのクロック(送信装置が入力するTSと同じクロック)を再生し、再生したクロックによって、所望のTSを出力する例である。また、実施例2は、伝送するTSがMPEG−2 TSの場合に、受信装置のクロック再生を単純化するために、送信装置が、合成後の信号を考慮してTSのPCRを書き換え、スーパーフレーム内の所定のスロットの位置にTSのパケットを割り当ててTSを多重化し、受信装置が、パケットを合成した後の信号にてクロックを再生し、合成後の信号に対して所望のTS以外のパケットをヌルパケットに置き換え、再生したクロックによって、ヌルパケットを含む所望のTSを出力する例である。また、実施例3は、伝送するTSがMPEG−2 TSの場合に、既存のSTBとの互換性をもたせるために、送信装置が、追加したヌルパケットを含むTSのレート変換を行ってPCRを書き換え、毎フレーム同じスロットの位置にTSのパケットを割り当て、受信装置が、実施例2と同様の処理、すなわち、パケットを合成した後の信号にてクロックを再生し、合成後の信号に対して所望のTS以外のパケットをヌルパケットに置き換え、再生したクロックによって、ヌルパケットを含む所望のTSを出力する例である。
まず、実施例1について説明する。実施例1は、前述のとおり、送信装置が、伝送する複数のTSを入力し、スーパーフレーム内の所定のスロット位置にTSのパケットを割り当ててTSを多重化し、搬送波毎にスーパーフレームを生成し、それぞれの搬送波によりスーパーフレームを送信し、受信装置が、受信したスーパーフレーム間の時間差を吸収し、所望のTSのクロック(送信装置が入力するTSと同じクロック)を再生し、再生したクロックによって、所望のTSを出力する例である。
〔送信装置/実施例1〕
実施例1の送信装置について説明する。図1は、実施例1による送信装置の概略構成を示すブロック図である。この送信装置1−1は、フレーム・スロット割当部10、ヘッダ生成部11、多重化部12、QAM変調部13−1〜13−N及び送信部14−1〜14−Nを備えている。送信装置1−1は、M個のTS1〜Mを入力し、生成したスロット割当情報に基づいて、TS1〜Mのパケットをスーパーフレームに格納し、搬送波1〜N毎のスーパーフレームを生成し、所定の変調方式にて変調を行い、搬送波1〜Nによりスーパーフレームをそれぞれ送信する。
図2は、スーパーフレームの構成を示す図である。このスーパーフレームは、複数のフレーム(多重フレーム)により構成され、1フレームあたり1個のヘッダスロット及び52個のデータスロットからなる。このフレーム構造は、前述の日本CATV技術協会標準規格(JCTEA STD−002−5.0)に準拠している。スーパーフレームを構成する複数のフレームのヘッダスロットには、多重フレームヘッダが格納され、データスロットには、複数のTSのパケットが多重されて格納される。
図1に戻って、フレーム・スロット割当部10は、予め設定されたTS1〜Mの容量(スーパーフレームの1周期にて伝送するTS1〜Mのスロット数)、及び搬送波1〜Nの伝送速度情報(搬送波1〜Nにおける1シンボルあたりの伝送ビット数)を入力し、系統(QAM変調部13−1〜13−N及び送信部14−1〜14−Nにより送信されるスーパーフレームにおける搬送波1〜Nの系統)毎に、スーパーフレームの周期が同じになるように、搬送波1〜Nの伝送速度情報に基づいて、スーパーフレーム中のフレーム数及びフレーム位置を決定し、TS1〜Mの容量に基づいて、各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数及びスロット位置を決定する。
以下、フレーム・スロット割当部10により決定された、各系統におけるスーパーフレーム中のフレーム数及びフレーム位置、並びに、各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数及びスロット位置を、スロット割当情報という。スロット割当情報は、各系統において生成されるスーパーフレームを構成する複数のフレームのデータスロットに対し、TS1〜Mのそれぞれのパケットを格納するための割当情報である。したがって、後述する多重化部12は、スロット割当情報に基づいて、入力したTS1〜Mのパケットを、各系統のスーパーフレームを構成する各フレームのデータスロットに格納することで、系統毎のスーパーフレームを生成することができる。
ここで、各搬送波1〜Nのシンボル速度は、位相ズレ(クロック周波数のズレ)がなく常に一定であり、同期しているものとする。また、TS1〜Mの伝送速度もシンボル速度に同期しているものとする。つまり、TS1〜Mの伝送速度は、位相ズレ(クロック周波数のズレ)がなく、シンボル速度の有理数倍であり一定であるものとする。
フレーム・スロット割当部10は、決定したスロット割当情報をヘッダ生成部11及び多重化部12に出力する。フレーム・スロット割当部10によるスロット割当情報の決定処理の詳細については後述する。
ヘッダ生成部11は、フレーム・スロット割当部10からスロット割当情報を入力し、各系統のスーパーフレームを構成する全てのフレーム毎に、スロット割当情報を含む多重フレームヘッダを生成し、生成した全ての多重フレームヘッダを多重化部12に出力する。
ここで、スロット割当情報は、既存のSTBの処理に影響を与えないように、多重フレームヘッダにおける拡張情報の領域に格納される。既存のSTBは、日本CATV技術協会標準規格(JCTEA STD−002−5.0)のフレーム構造で伝送されるTSを復元する装置をいう。
多重化部12は、TS1〜Mを入力すると共に、フレーム・スロット割当部10からスロット割当情報を入力し、ヘッダ生成部11から多重フレームヘッダを入力する。そして、多重化部12は、系統毎に、入力した多重フレームヘッダを、スーパーフレームを構成するフレーム内のヘッダスロットに格納し、スロット割当情報に基づいて、入力したTS1〜Mのパケットを、スーパーフレームを構成するフレーム内のデータスロットに格納する。すなわち、多重化部12は、スロット割当情報に基づいて、多重フレームヘッダ及びTS1〜Mのパケットを、系統毎のスーパーフレーム内の各フレームに多重化し、系統毎のスーパーフレームを生成する。そして、多重化部12は、生成した系統毎のスーパーフレームを、対応する系統のQAM変調部13−1〜13−Nにそれぞれ出力する。ここで、多重化部12は、入力したTS1〜Mのパケットをフレーム内のデータスロットに格納する際に、フレーム内のデータスロットに空きスロットができる場合は、その空きスロットにヌルパケットを格納する。
また、多重フレームヘッダ及びTS1〜Mのパケットをスロットに多重化する順序については、送信装置1−1から送信されるスーパーフレーム中の時刻が早いスロットから順番に、多重フレームヘッダ及びTS1〜Mのパケットを多重化するものとする。例えば、送信される時刻が、搬送波1における1番目の多重フレームヘッダ(後述する図4のTSMF Hdr0)及び搬送波2における1番目の多重フレームヘッダ(TSMF Hdr0)のように同じときには、先に、搬送波1における1番目の多重フレームヘッダを多重化し、次に、搬送波2における1番目の多重フレームヘッダを多重化するように、多重化順序の情報を予め設定しておく。つまり、多重化部12は、予め設定された多重化順序情報を用いて、同じタイミングの多重フレームヘッダまたはTS1〜Mのパケットを多重化する。この多重化順序情報は、後述する受信装置2−1に備えた合成・分離部23のパケット合成部231において、複数のTSのパケットを合成する際に用いられる。尚、ヘッダ生成部11は、多重化順序情報を多重フレームヘッダに格納し、多重化部12は、多重フレームヘッダに格納された多重化順序情報を用いて、多重化の処理を行うようにしてもよい。また、後述する受信装置2−1に備えた合成・分離部23のパケット合成部231は、多重フレームヘッダに格納された多重化順序情報を用いて、複数のTSのパケットを合成するようにしてもよい。
QAM変調部13−1〜13−Nは、多重化部12から系統毎のスーパーフレームを入力し、入力したスーパーフレームを、予め設定された変調方式でQAM変調し、系統毎の変調信号を生成して送信部14−1〜14−Nにそれぞれ出力する。
送信部14−1〜14−Nは、対応する系統の変調信号をそれぞれ入力し、変調信号の周波数を伝送用の周波数に変換し、搬送波1〜Nを用いて各系統のスーパーフレームを送信する。
(フレーム・スロット割当部)
次に、図1に示した送信装置1−1のフレーム・スロット割当部10の処理について詳細に説明する。図3は、フレーム・スロット割当部10の処理を示すフローチャートである。送信装置1−1は、TSを多重化したスーパーフレームを、伝送速度の異なる複数の搬送波によって伝送する場合、各系統のスーパーフレームの周期を同一にする。シンボル速度が等しいシングルキャリア変調方式による複数の搬送波を用いる場合、以下のように、スロット割当情報を決定する。
まず、フレーム・スロット割当部10は、予め設定されたTS1〜Mの容量及び搬送波1〜Nの伝送速度情報を入力する(ステップS301)。そして、フレーム・スロット割当部10は、系統毎(搬送波1〜Nの系統毎)の搬送波1〜Nの伝送速度情報から、搬送波1〜Nにおける1シンボルあたりの伝送ビット数の最大公約数を計算し(ステップS302)、系統毎に、搬送波1〜Nにおける1シンボルあたりの伝送ビット数を、ステップS302にて計算した最大公約数で除算する(ステップS303)。そして、フレーム・スロット割当部10は、系統毎に、ステップS303における除算結果の整数値、または除算結果の整数値に所定の整数値を乗算した結果を、スーパーフレーム中のフレーム数に決定し(ステップS304)、すなわち、各系統のスーパーフレームの周期が同じになるように、スーパーフレーム中のフレーム数を決定し、系統毎に、スーパーフレーム中のフレーム数から、スーパーフレーム中のフレーム位置を任意に決定する(ステップS305)。
フレーム・スロット割当部10は、TS1〜Mの容量から、TS1〜Mの各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数を、TS1〜Mの容量に合わせるように任意に決定する(ステップS306)。そして、フレーム・スロット割当部10は、各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数から、TS1〜Mの各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット位置を、任意に決定する(ステップS307)。
フレーム・スロット割当部10は、ステップS304にて決定したスーパーフレーム中のフレーム数、ステップS305にて決定したスーパーフレーム中のフレーム位置、ステップS306にて決定したTS1〜Mの各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数、及び、ステップS307にて決定したTS1〜Mの各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット位置を、スロット割当情報としてヘッダ生成部11及び多重化部12に出力する(ステップS308)。
(具体例)
次に、フレーム・スロット割当部10の処理について、具体例を挙げて説明する。この具体例では、シンボル速度が同一であり、シンボルが同期している64QAMの変調方式の搬送波1及び256QAMの変調方式の搬送波2を用いて、TS1,2を多重化したスーパーフレームをそれぞれ伝送する場合を示す。フレーム・スロット割当部10は、TS1の容量として294スロット、TS2の容量として50スロット、搬送波1の伝送速度情報として伝送ビット数6、及び、搬送波2の伝送速度情報として伝送ビット数8を入力するものとする。すなわち、入力するTSの種類は2個であるからM=2であり、搬送波は2種類であるから系統数も2(N=2)であり、送信装置1−1の多重化部12は、TS1,2を入力し、QAM変調部13−1は、入力したスーパーフレームを64QAMの変調方式により変調し、QAM変調部13−2は、入力したスーパーフレームを256QAMの変調方式により変調する。
フレーム・スロット割当部10は、図3に示したステップS302において、搬送波1の伝送速度情報である伝送ビット数6及び搬送波2の伝送速度情報である伝送ビット数8から、伝送ビット数6,8の最大公約数2を求める。そして、フレーム・スロット割当部10は、ステップS303において、系統1の伝送ビット数6を最大公約数2で除算し、系統2の伝送ビット数8を最大公約数2で除算し、ステップS304において、それぞれの除算結果の整数値3,4から、系統1のスーパーフレーム中のフレーム数を3に決定し、系統2のスーパーフレーム中のフレーム数を4に決定する。また、フレーム・スロット割当部10は、ステップS305において、系統1について、スーパーフレーム中の3個のフレームに対しフレーム位置を決定し、系統2について、スーパーフレーム中の4個のフレームに対しフレーム位置を決定する。
図4は、スーパーフレームのフレーム構成例を説明する図である。TSMF Hdrは、多重フレームヘッダを示し、各フレームのヘッダスロットに割り当てられる。また、1フレームは、前述のとおり、日本CATV技術協会標準規格(JCTEA STD−002−5.0)に準拠した、1個のヘッダスロット及び52個の割り当てスロット(データスロット)から構成され、合計53スロットからなる。
フレーム・スロット割当部10は、前述のとおり、系統1のスーパーフレーム中のフレーム数を3に決定し、系統2のスーパーフレーム中のフレーム数を4に決定したから、図4に示すように、系統1における64QAM方式の搬送波1のスーパーフレームの合計スロット数は、53スロット(1フレームのスロット数)×3フレーム(64QAM方式の搬送波1のスーパーフレーム中のフレーム数)=159となる。また、系統2における256QAM方式の搬送波2のスーパーフレームの合計スロット数は、53スロット(1フレームのスロット数)×4フレーム(256QAM方式の搬送波2のスーパーフレーム中のフレーム数)=212となる。また、系統1,2のスーパーフレームの合計スロット数は、159+212=371となる。尚、スーパーフレーム中のフレームの位置(系統1では3個のフレームの位置、系統2では4個のフレームの位置)は、図4に示したとおりであり、各フレームは、スーパーフレーム中のフレーム数に応じて、スーパーフレーム内の開始スロット位置から終了スロット位置までの間で、順番に位置付けされる。
また、フレーム・スロット割当部10は、図3に示したステップS306において、TS1の容量294及びTS2の容量50から、TS1,2の各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数を、TS1〜Mの容量に合わせるように任意に決定する。系統1のスーパーフレームにおけるデータスロット数は52×3=156であり、系統2のスーパーフレームにおけるデータスロット数は52×4=208である。したがって、2個のスーパーフレームのデータスロットに格納可能なパケット数は156+208=364であり、格納すべきTS1,2のパケット数は294+50=344であるから、TS1,2の容量のパケットを2個のスーパーフレームに格納することができ、その際に、364−344=20個の空きスロットが生じることになる。そして、フレーム・スロット割当部10は、ステップS307において、各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数から、各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット位置を、任意に決定する。
図5は、スーパーフレームのフレーム多重化例を説明する図である。この例は、図4に対応しており、多重フレームヘッダTSMF Hdr、TS1及びTS2のパケットを、系統1,2の2個のスーパーフレーム内のフレームに多重化する例である。フレーム・スロット割当部10は、多重化部12が図5に示すスーパーフレームを生成するために、スロット割当情報として、TS1,2の各パケットを割り当てるスーパーフレームのフレーム中のスロット数及びスロット位置を決定する。この場合、フレーム・スロット割当部10は、各フレームのスロットに割り当てるTS1のパケット数294及びTS2のパケット数50(合計344)が、2個のスーパーフレームの合計データスロット数364に一致するように、任意のスロット位置を決定する。図5では、系統1について、スーパーフレーム内の最初のフレームのデータスロットに、TS2,1の順にパケットを配置するように、スロット位置を決定する。このときに、TS2のパケットが格納されるスロットの所定位置にヌルパケットを配置するように、ヌルパケットの位置も決定する。また、次のフレーム及び最後のフレームのデータスロットに、TS1,2の順にパケットを配置するように、スロット位置を決定し、ヌルパケットの位置も決定する。系統2について、スーパーフレーム内の全てのフレームのデータスロットに、TS1のパケットを配置するように、スロット位置を決定し、ヌルパケットの位置も決定する。
図5に示すように、フレーム・スロット割当部10は、TS1のパケットを割り当てる系統1のスーパーフレームにおける第1,2,3のフレーム中のスロット数35,35,34及びスロット位置を決定し、TS1のパケットを割り当てる系統2のスーパーフレームにおける第1,2,3,4のフレーム中のスロット数48,48,47,47及びスロット位置を決定し、TS2のパケットを割り当てる系統1のスーパーフレームにおける第1,2,3のフレーム中のスロット数16,17,17及びスロット位置を決定する。
つまり、TS1のパケットは、系統1について、スーパーフレーム中の104のデータスロットに割り当てられ、系統2について、スーパーフレーム中の190のデータスロットに割り当てられる。また、TS2のパケットは、系統1について、スーパーフレーム中の50のデータスロットに割り当てられ、系統2のスーパーフレーム中には割り当てられない。
尚、空きスロットは、図5に示したように、系統1について2個が割り当てられ、系統2について18個が割り当てられ、多重化部12によって、多重フレームヘッダ及びTS1,2のパケットが格納されない空きスロットの位置に、ヌルパケットが格納される。
以上のように、実施例1の送信装置1−1によれば、フレーム・スロット割当部10が、予め設定された搬送波1〜Nの伝送速度情報から、伝送ビット数の最大公約数を計算し、伝送ビット数を最大公約数でそれぞれ除算し、除算結果の整数値、または除算結果の整数値に所定の整数値を乗算した結果を、系統毎のスーパーフレーム中のフレーム数に決定し、スーパーフレーム中のフレーム数から、スーパーフレーム中のフレーム位置を任意に決定するようにした。また、フレーム・スロット割当部10が、予め設定された伝送すべきTS1〜Mの容量から、TS1〜Mの各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数を、TS1〜Mの容量に合わせるように任意に決定し、各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数から、各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット位置を、任意に決定するようにした。そして、多重化部12が、このようにして決定されたスロット割当情報に基づいて、多重フレームヘッダ及びTS1〜Mのパケットを多重化してスーパーフレームを生成するようにした。このようにして生成された各系統のスーパーフレームは、変調された後、異なる搬送波1〜Nにより送信される。
これにより、単一の搬送波の伝送容量を超える容量のTS1〜Mを分割してフレームに多重化し、複数の搬送波を用いて伝送する場合に、全てのフレームを同期させることが可能となる。また、送信装置1−1から搬送波1〜Nを用いて送信されたスーパーフレームを受信する受信装置2−1は、同期した複数のスーパーフレームから所望のTSを取得することが可能となる。
〔受信装置/実施例1〕
次に、実施例1の受信装置について説明する。図6は、実施例1による受信装置の概略構成を示すブロック図である。この受信装置2−1は、チューナ20−1〜20−N、QAM復調部21−1〜21−N、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22及び合成・分離部23を備えている。
受信装置2−1は、所望のTSがユーザによって指定されると、搬送波1〜Nの中から、そのTSが伝送される(そのTSを含むスーパーフレームが伝送される)1つまたは複数の搬送波を選択する。所望のTSと、そのTSが伝送される搬送波(1つまたは複数の搬送波)との関係については、予め設定されており、テーブルとして図示しないメモリに格納されている。ここで、所望のTSが伝送される搬送波を、搬送波1〜Nとする。受信装置2−1の図示しない選択部は、ユーザによって指定された所望のTSが伝送される搬送波1〜Nを、メモリに格納されたテーブルを用いて選択し、選択した搬送波1〜Nに関する情報をチューナ20−1〜20−Nに出力する。
チューナ20−1〜20−Nは、送信装置1−1から搬送波1〜Nを用いて送信されたスーパーフレームを受信し、図示しない選択部から選択した搬送波1〜Nに関する情報を入力し、搬送波1〜Nのうちの対応する搬送波1〜Nを選択してIF信号に変換し、QAM復調部21−1〜21−Nにそれぞれ出力する。例えば、チューナ20−1は搬送波1を選択し、チューナ20−2,・・・,20−Nは搬送波2,・・・,Nをそれぞれ選択する。
QAM復調部21−1〜21−Nは、対応する系統のチューナ20−1〜20−NからIF信号を入力し、予め設定された変調方式(送信装置1−1のQAM変調部13−1〜13−Nの系統に対応する変調方式)で復調してスーパーフレームを生成し、スーパーフレームを多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22にそれぞれ出力する。また、QAM復調部21−1〜21−Nは、入力したIF信号に基づいてシンボルクロックを生成し、合成・分離部23にそれぞれ出力する。
多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22は、QAM復調部21−1〜21−Nからスーパーフレームを入力し、入力したそれぞれのスーパーフレームの多重フレームヘッダを検出し、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報からスーパーフレーム中のフレーム位置を取り出し、フレーム位置から先頭フレームの多重フレームヘッダTSMF Hdr0を特定して、スーパーフレーム毎の多重フレームヘッダTSMF Hdr0の到着時間差を求め、最も遅く到着したスーパーフレームに合わせてその到着時間差が0になるように、それ以外のスーパーフレームを遅延させ、各スーパーフレーム(搬送波1〜N)の到着時刻の差(到着時間差)を吸収し、スーパーフレームの1周期のタイミングを合わせる。そして、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22は、到着時間差が吸収された同じタイミングの複数のスーパーフレームを合成・分離部23に出力する。尚、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22は、1個のスーパーフレームのみを入力した場合、入力したスーパーフレームをそのまま合成・分離部23に出力する。
図7は、スーパーフレームの到着時間差を吸収する処理例を説明する図である。図7に示すように、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22は、入力した系統1,2のスーパーフレームから多重フレームヘッダを検出し、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報から取り出したスーパーフレーム中のフレーム位置が先頭フレームを示している多重フレームヘッダTSMF Hdr0を特定し、系統1の多重フレームヘッダTSMF Hdr0と系統2の多重フレームヘッダTSMF Hdr0との間の到着時間差を求め、最も遅く到着した系統2のスーパーフレームに合わせてその到着時間差が0になるように、系統1のスーパーフレームをその到着時間差分のみ遅延させる。これにより、系統1,2のスーパーフレーム(搬送波1,2)の到着時間を吸収することができる。
図6に戻って、合成・分離部23は、パケット合成部231、パケット取り出し部232、バッファメモリ233及びPLL回路234を備えている。合成・分離部23のパケット合成部231は、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22から、到着時間差が吸収された複数のスーパーフレームを入力し、複数のスーパーフレームから多重フレームヘッダを取り出し、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報、及び予め設定された多重化順序情報または多重フレームヘッダに含まれる多重化順序情報に基づいて、複数のスーパーフレームからTSのパケットを取り出し、取り出した多重フレームヘッダ及びTSのパケットを並べて合成し、合成後の信号内におけるパケットの位置情報(合成後位置情報)を生成し、合成後の信号及び合成後位置情報をパケット取り出し部232に出力する。また、パケット合成部231は、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報に基づいて、ユーザにより指定された所望のTSのパケット数を系統毎に計算し、所望のTSの容量(系統毎の容量)及びスーパーフレーム中のフレーム数(系統毎のフレーム数)をPLL回路234に出力する。
パケット取り出し部232は、パケット合成部231から合成後の信号及び合成後位置情報を入力し、合成後位置情報に基づいて、合成後の信号から所望のTSのパケットのみを取り出し、バッファメモリ233に蓄積する。これにより、合成後の信号から所望のTSを分離することができる。
PLL回路234は、QAM復調部21−1〜21−Nからシンボルクロックをそれぞれ入力すると共に、パケット合成部231から所望のTSの容量(系統毎の容量)及びスーパーフレーム中のフレーム数(系統毎のフレーム数)を入力し、所望のTSのレートを計算し、TSレートに基づいた読み出しクロックをバッファメモリ233に出力する。
これにより、バッファメモリ233に蓄積された所望のTSのパケットが読み出され、受信装置2−1は、所望のTSのパケットを、送信装置1−1が入力した所望のTSと同じレートにて出力することができ、所望のTSを復元することができる。
(合成・分離部)
次に、図6に示した受信装置2−1の合成・分離部23の処理について詳細に説明する。図8は、合成・分離部23の処理を示すフローチャートである。まず、合成・分離部23のパケット合成部231は、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22から、到着時間差が吸収された複数のスーパーフレーム(所望のTSのパケットを含むスーパーフレーム)を入力し(ステップS801)、複数のスーパーフレームから多重フレームヘッダを取り出し、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報、及び予め設定された多重化順序情報または多重フレームヘッダに含まれる多重化順序情報(送信装置1−1の多重化部12において使用する多重化順序情報と同じ情報)に基づいて、複数のスーパーフレームからパケットを1個ずつ取り出し、多重フレームヘッダ及びTSのパケットを順番に並べて合成する(ステップS802)。そして、パケット合成部231は、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報、及び予め設定された多重化順序情報または多重フレームヘッダに含まれる多重化順序情報に基づいて、合成後の信号における多重フレームヘッダ及びTSのパケットの位置を示す合成後位置情報を生成し(ステップS803)、合成後の信号及び合成後位置情報をパケット取り出し部232に出力する。合成後の信号のパケット位置は、送信装置1−1の多重化部12においてスーパーフレームにTSのパケットを多重化する順序に対応している。
パケット合成部231は、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報に基づいて、ユーザにより指定された所望のTSのパケット数(容量)を系統毎に計算し(ステップS804)、所望のTSの容量(系統毎の容量)及びスーパーフレーム中のフレーム数(系統毎のフレーム数)をPLL回路234に出力する。
パケット取り出し部232は、パケット合成部231から合成後の信号及び合成後位置情報を入力し、合成後位置情報に基づいて、合成後の信号から所望のTSのパケットを取り出し、所望のTSのパケットのみをバッファメモリ233に蓄積する(ステップS805)。
PLL回路234は、QAM復調部21−1〜21−Nからシンボルクロックをそれぞれ入力すると共に、パケット合成部231から所望のTSの容量(系統毎の容量)及びスーパーフレーム中のフレーム数(系統毎のフレーム数)を入力し、入力したシンボルクロックからシンボルレート(シンボル速度)を計算し、以下の式により、系統毎にTSレートを計算する(ステップS806)。
<数式1>
系統のTSレート=シンボルレート×{当該系統における所望のTSの容量/(スーパーフレーム中のフレーム数×フレーム内のスロット数(53))}×当該系統の伝送ビット数 ・・・(1)
PLL回路234は、以下の式により、系統のTSレートを合計し、合計したTSレートから読み出しクロックを生成する(ステップS807)。
<数式2>
TSレート=Σ(系統のTSレート) ・・・(2)
合成・分離部23は、PLL回路234により生成された読み出しクロックにて、バッファメモリ233から所望のTSのパケットを読み出して出力する(ステップS808)。これにより、PLL回路234にて所望のTSのレートを再生することができ、バッファメモリ233から所望のTSのパケットが読み出され、所望のTSが復元される。つまり、受信装置2−1は、所望のTSを、送信装置1−1が入力した所望のTSと同じレートにて出力することができる。
(具体例)
次に、合成・分離部23の処理について、具体例を挙げて説明する。まず、所望のTSがTS1の場合について具体的に説明する。図9は、実施例1において、図5のスーパーフレームからTS1を合成及び分離する処理例を説明する図である。図9において、所望のTSはTS1であり、TS1が含まれるスーパーフレームの系統は、64QAM方式の搬送波1の系統1及び256QAM方式の搬送波2の系統2であるとする。また、Piは合成後の信号におけるi番目のパケット位置、TSMF Hdr0は先頭フレームの多重フレームヘッダ、Nはヌルパケット、Tはスーパーフレームの周期を示す。
合成・分離部23のパケット合成部231は、図8に示したステップS801において、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22から、系統1のスーパーフレーム及び系統2のスーパーフレームを入力する。これらの系統1,2のスーパーフレームは、図5に示した系統1,2のスーパーフレームと同じである。パケット合成部231は、ステップS802において、系統1のスーパーフレームから取り出した多重フレームヘッダTSMF Hdr0,1,2及び系統2のスーパーフレームから取り出した多重フレームヘッダTSMF Hdr0,1,2,3に含まれるスロット割当情報、及び予め設定された多重化順序情報に基づいて、系統1,2のスーパーフレームからパケットを1個ずつ取り出し、多重フレームヘッダ及びTS1,2パケットを順番に並べて合成し、合成後の信号を生成する。また、パケット合成部231は、ステップS803において、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報及び予め設定された多重化順序情報に基づいて、合成後の信号における多重フレームヘッダ及びTS1,2のパケットの格納位置を示す合成後位置情報を生成する。
この合成後位置情報は、図9に示すように、合成後の信号の第1番目の位置P1に、系統1のスーパーフレームにおける多重フレームヘッダTSMF Hdr0が格納されており、第2番目の位置P2には、系統2のスーパーフレームにおける多重フレームヘッダTSMF Hdr0が格納されており、第3番目の位置P3には、系統2のスーパーフレームにおける第1フレームの最初のTS1パケットが格納されており、第4番目の位置P4には、系統1のスーパーフレームにおける第1フレームの最初のTS2パケットが格納されており、同様に、第371番目の位置P371には、系統2のスーパーフレームにおける第4フレームの最後のTS1パケットが格納されていることを示している。尚、P1〜P371の371という数値は、系統1のスーパーフレームを構成するスロット数159と系統2のスーパーフレームを構成するスロット数212を合計した値である(図4を参照)。尚、合成後位置情報は、前述のとおり、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報及び予め設定された多重化順序情報に基づいて生成され、合成後位置情報の示すパケット位置は、到着時間差が吸収された系統1,2のスーパーフレームにおいて、パケットの到着時間が早い順番に決定される。系統1のTSMF Hdr0のパケットと系統2のTSMF Hdr0のように、送信装置1−1から送信されたタイミングが同じ場合には、送信装置1−1及び受信装置2−1にて予め設定された共通の多重化順序情報により、その順番が決定される。図9の具体例では、系統1のパケットの次に系統2のパケットを並べるように、多重化順序情報によって決められている。
パケット取り出し部232は、ステップS805において、合成後位置情報に基づいて、合成後の信号から所望のTS1のパケットのみを取り出し、合成後の信号からTS1を分離する。図9の具体例では、合成後位置情報には、TS1のパケットがP3,P5,・・・,P369,P371に格納されていることが示されているから、合成後の信号のこれらの位置から、294個のTS1のパケットのみを取り出すことができる。また、合成・分離部23は、ステップS808において、PLL回路234により生成された読み出しクロックにて、バッファメモリ233から所望のTS1のパケットを読み出し、スーパーフレーム周期Tにおいて、294個のTS1のパケットを出力する。尚、受信装置2−1から出力される294個のTS1のパケットの時間は、スーパーフレーム周期Tであり、送信装置1−1が294個のTS1のパケットを入力する時間と同じである。これにより、所望のTS1を復元することができる。
次に、所望のTSがTS2の場合について具体的に説明する。図10は、実施例1において、図5のスーパーフレームからTS2を合成及び分離する処理例を説明する図である。図10において、所望のTSはTS2であり、TS2が含まれるスーパーフレームの系統は、64QAM方式の搬送波1の系統1のみであるとする。また、Pi、TSMF Hdr0等については図9と同様である。
合成・分離部23のパケット合成部231は、図8に示したステップS801において、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22から、系統1のスーパーフレームを入力する。パケット合成部231は、ステップS802において、スーパーフレームの数が1個であるから、系統1のスーパーフレームを合成後の信号として生成し、ステップS803において、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報に基づいて、合成後の信号における多重フレームヘッダ及びTSのパケットの格納位置を示す合成後位置情報を生成する。
この合成後位置情報は、図10に示すように、合成後の信号の第1番目の位置P1に、系統1のスーパーフレームにおける多重フレームヘッダTSMF Hdr0が格納されており、第2番目の位置P2には、系統1のスーパーフレームにおける第1フレームの最初のTS2パケットが格納されており、第3番目の位置P3には、系統1のスーパーフレームにおける第1フレームの2番目のTS2パケットが格納されており、同様に、第159番目の位置P159には、系統1のスーパーフレームにおける第3フレームの最後のTS2パケットが格納されていることを示している。尚、P1〜P159という数値は、系統1のスーパーフレームを構成するスロット数159の値である(図4を参照)。
パケット取り出し部232は、ステップS805において、合成後位置情報に基づいて、合成後の信号から所望のTS2のパケットのみを取り出し、合成後の信号からTS2を分離する。図10の具体例では、合成後位置情報には、TS2のパケットがP2,P3,・・・,P159に格納されていることが示されているから、合成後の信号のこれらの位置から、50個のTS2のパケットのみを取り出すことができる。また、合成・分離部23は、ステップS808において、PLL回路234により生成された読み出しクロックにて、バッファメモリ233から所望のTS2のパケットを読み出し、スーパーフレーム周期Tにおいて、50個のTS2のパケットを出力する。尚、受信装置2−1から出力される50個のTS2のパケットの時間は、スーパーフレーム周期Tであり、送信装置1−1が50個のTS2のパケットを入力する時間と同じである。これにより、所望のTS2を復元することができる。
以上のように、実施例1の受信装置2−1によれば、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22が、所望のTSを含む1つまたは複数の系統のスーパーフレームから多重フレームヘッダを検出し、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報からスーパーフレーム中のフレーム位置を取り出し、それぞれのフレーム位置に基づいて、先頭フレームの多重フレームヘッダTSMF Hdr0の到着時間差を求め、最も遅く到着したスーパーフレームに合わせてその到着時間差が0になるように、それ以外のスーパーフレームを遅延させ、複数のスーパーフレームの到着時間差を吸収して同じタイミングになるようにした。そして、合成・分離部23が、所望のTSを含む1つまたは複数の系統のスーパーフレームから、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報、及び予め設定された多重化順序情報または多重フレームヘッダに含まれる多重化順序情報に基づいて、複数のスーパーフレームからパケットを取り出し、取り出したパケットを並べて合成し、合成後の信号内におけるTSのパケットの位置情報(合成後位置情報)を生成し、合成後位置情報に基づいて、合成後の信号から所望のTSのパケットのみを取り出し、バッファメモリ233に蓄積し、各系統のシンボルクロック、所望のTSの容量(系統毎の容量)及びスーパーフレーム中のフレーム数(系統毎のフレーム数)からTSレートを計算し、TSレートに基づいた読み出しクロックをバッファメモリ233に出力するようにした。
これにより、バッファメモリ233に蓄積された所望のTSのパケットが読み出され、受信装置2−1は、所望のTSのパケットを、送信装置1−1が入力した所望のTSと同じレートにて出力することができ、所望のTSを復元することができる。したがって、単一の搬送波の伝送容量を超える容量のTS1〜Mを分割してフレームに多重化し、複数の搬送波を用いて伝送する場合に、送信装置1−1において、複数の搬送波1〜Nを用いて伝送するそれぞれのスーパーフレームを同期させることができ、受信装置2−1において、同期した複数のスーパーフレームから所望のTSを取得し、送信装置1−1が入力した所望のTSと同じレートにて、所望のTSを出力し、所望のTSを復元することができる。
次に、実施例2について説明する。実施例2は、前述のとおり、伝送するTSがMPEG−2 TSの場合に、受信装置のクロック再生を単純化するために、送信装置が、合成後の信号を考慮してTSのPCRを書き換え、スーパーフレーム内の所定のスロットの位置にTSのパケットを割り当ててTSを多重化し、受信装置が、パケットを合成した後の信号にてクロックを再生し、合成後の信号に対して所望のTS以外のパケットをヌルパケットに置き換え、再生したクロックによって、ヌルパケットを含む所望のTSを出力する例である。これにより、受信装置において、所望のTSが割り当てられたスロット数に関わらず、一定のレートにて所望のTSを出力することができ、クロックを再生するためのPLL回路等の処理が簡単になる。尚、送信装置に入力された所望のTSのPCRと、受信装置により出力される所望のTSのPCRとが整合しなくなるので、補正が必要になる。
〔送信装置/実施例2〕
実施例2の送信装置について説明する。図11は、実施例2による送信装置の概略構成を示すブロック図である。この送信装置1−2は、フレーム・スロット割当部10、ヘッダ生成部11、多重化部12、QAM変調部13−1〜13−N、送信部14−1〜14−N及びPCR書き換え部15−1〜15−Mを備えている。図11に示す実施例2の送信装置1−2において、図1に示した実施例1の送信装置1−1と共通する部分には図1と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
実施例1の送信装置1−1と実施例2の送信装置1−2とを比較すると、送信装置1−1,1−2共に、フレーム・スロット割当部10、ヘッダ生成部11、多重化部12、QAM変調部13−1〜13−N及び送信部14−1〜14−Nを備えている点で同一である。これに対し、送信装置1−2は、送信装置1−1の構成に加え、PCR書き換え部15−1〜15−Mを備えている点で、送信装置1−1と相違する。
フレーム・スロット割当部10は、前述した同様の処理によりスロット割当情報を生成し、生成したスロット割当情報を、ヘッダ生成部11、多重化部12及びPCR書き換え部15−1〜15−Mに出力する。
PCR書き換え部15−1〜15−Mは、MPEG−2 TS1〜Mを入力すると共に、フレーム・スロット割当部10からスロット割当情報を入力し、後述する受信装置2−2において、当該TSを含むスーパーフレームを合成し、合成後の信号に含まれる当該TS以外のパケットをヌルパケットに置き換え、当該TSを含む合成後の信号を出力することを想定した場合に、入力したTS1〜MのPCRを補正して新たなPCRを計算し、パケットの所定位置に格納する。そして、PCR書き換え部15−1〜15−Mは、新たなPCR(補正後のPCR)を含むTS1〜Mを多重化部12にそれぞれ出力する。
(PCR書き換え部)
次に、図11に示した送信装置1−2のPCR書き換え部15−1〜15−Mの処理について詳細に説明する。後述の受信装置2−2により出力される所望のTSは、送信装置1−2に入力される所望のTSと比較すると、ヌルパケットが挿入されているため、後述する受信装置2−2において、パケット到着時刻のゆらぎが発生する。そのため、パケット到着時刻に対してPCRの値が正しくならない。そこで、受信装置2−2により出力される所望のTSにおける時刻(タイミング)のズレに応じて、送信装置1−2のPCR書き換え部15−1〜15−Mにおいて、PCRの値を予め補正しておく。受信装置2−2において発生する時間のズレについては後述する。
図12は、PCR書き換え部15−1の処理を示すフローチャートである。PCR書き換え部15−2〜15−MもPCR書き換え部15−1と同様の処理を行う。まず、PCR書き換え部15−1は、TS1を入力すると共に、フレーム・スロット割当部10からスロット割当情報を入力する(ステップS1201)。そして、PCR書き換え部15−1は、スロット割当情報に基づいて、所望のTSをT1とし、後述する受信装置2−2により生成される、TS1を含む合成後の信号を想定し、以下の式に示すPi、N、j、n及びTを求め(ステップS1202)、合成後の信号に含まれるTS1のパケット毎に、以下の式により、PCR補正値ΔPCRjを計算する(ステップS1203)。
<数式3>
ΔPCRj={(Pi−1)/N−(j−1)/n)}×T ・・・(3)
ここで、Piは、後述する受信装置2−2により生成される合成後の信号において、最初の位置からカウントしたスロット位置を示す。例えば、図9ではPi=1〜371である。Nは、後述する受信装置2−2により生成される、TS1を含む合成後の信号のスロット数、すなわち、TS1を含むスーパーフレームのスロット数の合計を示す。例えば、図9では159+212=371である。jは、合成後の信号において、TS1が格納されているスロットをカウントした値(TS1が格納されているスロットを最初の位置からカウントしたシリアル番号)を示す。例えば、図9ではj=1,2,・・・,293,294である。nは、jの最大値であり、TS1の容量、すなわちスーパーフレーム周期Tにて伝送されるTS1のパケット数であり、後述する受信装置2−2において合成後の信号に含まれるTS1のパケット数を示す。例えば、図9ではn=294である。Tは、スーパーフレームの周期であり、予め設定される。尚、前記式ΔPCRjの詳細については、特許4374107号公報の段落13,31等に記載されているので、ここでは説明を省略する。
PCR書き換え部15−1は、入力したTS1に含まれるPCRに、対応するパケットのPCR補正値ΔPCRjを加算し、新たなPCRに書き換える(ステップS1204)。そして、PCR書き換え部15−1は、新たなPCR(補正後のPCR)を含むTS1を多重化部12に出力する(ステップS1205)。
以上のように、実施例2の送信装置1−2によれば、フレーム・スロット割当部10が、予め設定されたTS1〜Mの容量及び搬送波1〜Nの伝送速度情報に基づいて、スロット割当情報を決定するようにした。そして、PCR書き換え部15−1〜15−Mが、スロット割当情報に基づいて、後述する受信装置2−2において、当該TSを含むスーパーフレームを合成し、合成後の信号に含まれる当該TS以外のパケットをヌルパケットに置き換え、当該TSを含む合成後の信号を出力することを想定した場合に、入力したTS1〜MのPCRに対するPCR補正値ΔPCRjを計算し、元のPCRに加算して新たなPCRを求め、新たなPCRを含むTS1〜Mを出力するようにした。そして、多重化部12が、スロット割当情報に基づいて、多重フレームヘッダ、及び新たなPCRを含むTS1〜Mのパケットを多重化し、スーパーフレームを生成するようにした。このようにして生成された各系統のスーパーフレームは、変調された後、異なる搬送波1〜Nにより送信される。
これにより、実施例1の送信装置1−1と同様に、単一の搬送波の伝送容量を超える容量のTS1〜Mを分割してスーパーフレームに多重化し、複数の搬送波を用いて伝送する場合に、全てのスーパーフレームを同期させることが可能となる。また、送信装置1−2から搬送波1〜Nを用いて送信されたスーパーフレームを受信する受信装置2−2は、同期した複数のスーパーフレームから所望のTSを取得することが可能となる。
また、送信装置1−2のPCR書き換え部15−1〜15−Mが、受信装置2−2により出力される所望のTSのレート(合成後の信号に対し、所望のTS以外のパケットをヌルパケットに置き換えた場合のレート)を考慮したPCRに予め書き換えるから、受信装置2−2において、所望のTSが割り当てられたスロット数に関わらず、一定のレートにて所望のTSを出力することができる。
〔受信装置/実施例2〕
次に、実施例2の受信装置について説明する。図13は、実施例2による受信装置の概略構成を示すブロック図である。この受信装置2−2は、チューナ20−1〜20−N、QAM復調部21−1〜21−N、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22及び合成・分離部24を備えている。図13に示す実施例2の受信装置2−2において、図6に示した実施例1の受信装置2−1と共通する部分には図6と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
実施例1の受信装置2−1と実施例2の受信装置2−2とを比較すると、受信装置2−1,2−2共に、チューナ20−1〜20−N、QAM復調部21−1〜21−N、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22を備えている点で同一である。これに対し、受信装置2−2は、受信装置2−1の合成・分離部23とは異なる合成・分離部24を備えている点で、受信装置2−1と相違する。
受信装置2−2は、実施例1の受信装置2−1と同様に、所望のTSがユーザによって指定されると、搬送波1〜Nの中から、所望のTSが伝送される1つまたは複数の搬送波を選択する。所望のTSと、そのTSが伝送される搬送波(1つまたは複数の搬送波)との関係については、予め設定されており、テーブルとして図示しないメモリに格納されている。受信装置2−2の図示しない選択部は、所望のTSが伝送される搬送波1〜Nを、メモリに格納されたテーブルを用いて選択するものとする。
合成・分離部24は、パケット合成部241、ヌルパケット置換部242、バッファメモリ243及びPLL回路244を備えている。合成・分離部24のパケット合成部241は、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22から、到着時間差が吸収された複数のスーパーフレームを入力し、複数のスーパーフレームから多重フレームヘッダを取り出し、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報、及び予め設定された多重化順序情報または多重フレームヘッダに含まれる多重化順序情報に基づいて、複数のスーパーフレームからTSのパケットを取り出し、取り出した多重フレームヘッダ及びTSのパケットを並べて合成し、合成後の信号内におけるパケットの位置情報(合成後位置情報)を生成し、合成後の信号及び合成後位置情報をヌルパケット置換部242に出力する。また、パケット合成部241は、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報に基づいて、系統毎の信号の容量(系統毎のスーパーフレームを構成する多重フレームヘッダ及びTSのパケットの数)及びスーパーフレーム中のフレーム数(系統毎のフレーム数)をPLL回路244に出力する。
ヌルパケット置換部242は、パケット合成部241から合成後の信号及び合成後位置情報を入力し、合成後位置情報に基づいて、合成後の信号に対し、所望のTS以外のパケットをヌルパケットに置き換え、所望のTSのパケット及び置き換えたヌルパケットを含む合成後の信号を、バッファメモリ243に蓄積する。これにより、合成後の信号から所望のTSを分離することができる。
PLL回路244は、QAM復調部21−1〜21−Nからシンボルクロックをそれぞれ入力すると共に、パケット合成部241から系統毎の信号の容量(系統毎のスーパーフレームを構成する多重フレームヘッダ及びTSのパケットの数)及びスーパーフレーム中のフレーム数(系統毎のフレーム数)を入力し、合成後の信号のレートを計算し、合成後の信号のレートに基づいた読み出しクロックをバッファメモリ243に出力する。
これにより、バッファメモリ243に蓄積された、所望のTSのパケット及びヌルパケットを含む合成後の信号のパケットが読み出され、受信装置2−2は、所望のTSのパケットを、所望のTSのパケット及びヌルパケットを含む合成後の信号のパケットとして、合成後の信号(送信装置1−2により伝送される所望のTSを含むスーパーフレームを合成した後の信号)のレートにて出力することができる。この場合、受信装置2−2により出力される所望のTSのパケットにおけるPCRは、送信装置1−2のPCR書き換え部15−1〜15−Mにおいて、送信装置1−2が入力した所望のTSのPCRに対し、合成後の信号に整合するように、補正した値に書き換えられている。したがって、受信装置2−2において、整合したPCRを含む所望のTSを復元することができる。
(合成・分離部)
次に、図13に示した受信装置2−2の合成・分離部24の処理について詳細に説明する。図14は、合成・分離部24の処理を示すフローチャートである。まず、パケット合成部241は、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22から、到着時間差が吸収された複数のスーパーフレーム(所望のTSのパケットを含むスーパーフレーム)を入力し(ステップS1401)、複数のスーパーフレームから多重フレームヘッダを取り出し、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報、及び予め設定された多重化順序情報または多重フレームヘッダに含まれる多重化順序情報(送信装置1−2の多重化部12において使用する多重化順序情報と同じ情報)に基づいて、複数のスーパーフレームからパケットを1個ずつ取り出し、多重フレームヘッダ及びパケットを順番に並べて合成する(ステップS1402)。そして、パケット合成部241は、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報、及び予め設定された多重化順序情報または多重フレームヘッダに含まれる多重化順序情報に基づいて、合成後の信号における多重フレームヘッダ及びTSのパケットの格納位置を示す合成後位置情報を生成し(ステップS1403)、合成後の信号及び合成後位置情報をヌルパケット置換部242に出力する。合成後の信号のパケット位置は、送信装置1−2の多重化部12においてスーパーフレームにTSのパケットを多重化する順序に対応している。
パケット合成部241は、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報に基づいて、系統毎の信号の容量(系統毎のスーパーフレームを構成する多重フレームヘッダ及びTSのパケットの数)を計算し(ステップS1404)、系統毎の信号の容量及びスーパーフレーム中のフレーム数(系統毎のフレーム数)をPLL回路244に出力する。
ヌルパケット置換部242は、パケット合成部241から合成後の信号及び合成後位置情報を入力し、合成後位置情報に基づいて、合成後の信号に対し、所望のTS以外のパケットをヌルパケットに置き換え、所望のTSのパケット及び置き換えたヌルパケットを含む合成後の信号を、バッファメモリ243に蓄積する(ステップS1405)。
PLL回路244は、QAM復調部21−1〜21−Nからシンボルクロックをそれぞれ入力すると共に、パケット合成部241から系統毎の信号の容量(系統毎のスーパーフレームを構成する多重フレームヘッダ及びTSのパケットの数)及びスーパーフレーム中のフレーム数(系統毎のフレーム数)を入力し、入力したシンボルクロックからシンボルレートを計算し、以下の式により、系統のTSレートを計算する(ステップS1406)。
<数式4>
系統のTSレート=シンボルレート×{当該系統の信号の容量/(スーパーフレーム中のフレーム数×フレーム内のスロット数(53))}×当該系統の伝送ビット数=シンボルレート×当該系統の伝送ビット数 ・・・(4)
PLL回路244は、以下の式により、系統のTSレートを合計し、合計したTSレートから読み出しクロックを生成する(ステップS1407)。
<数式5>
TSレート=Σ(系統のTSレート) ・・・(5)
合成・分離部24は、PLL回路244により生成された読み出しクロックにて、バッファメモリ243から所望のTSのパケット(合成後の信号のパケット)を読み出して出力する(ステップS1408)。これにより、PLL回路244にて合成後の信号のレートを再生することができ、バッファメモリ243から所望のTSのパケット(合成後の信号のパケット)が読み出される。一方で、送信装置1−2は、入力した所望のTSのPCRを、合成後の信号に整合するPCRに書き換えている。つまり、受信装置2−2は、所望のTSを含む合成後の信号を、合成後の信号のレートにて出力することができる。
(具体例)
次に、合成・分離部24の処理について、具体例を挙げて説明する。まず、所望のTSがTS1の場合について具体的に説明する。図15は、実施例2において、図5のスーパーフレームからTS1を合成及び分離する処理例を説明する図である。図15において、所望のTSはTS1であり、TS1が含まれるスーパーフレームの系統は、64QAM方式の搬送波1の系統1及び256QAM方式の搬送波2の系統2であるとする。また、Piは合成後の信号におけるi番目のパケット位置、TSMF Hdr0は先頭フレームの多重フレームヘッダ、Nはヌルパケット、Tはスーパーフレームの周期を示す。
合成・分離部24のパケット合成部241は、図14に示したステップS1401において、図9に示した実施例1の具体例と同様に、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22から、系統1のスーパーフレーム及び系統2のスーパーフレームを入力する。これらの系統1,2のスーパーフレームは、図5に示した系統1,2のスーパーフレームと同じである。パケット合成部241は、ステップS1402及びステップS1403において、図9に示した実施例1の具体例と同様に、合成後の信号及び合成後位置情報を生成する。尚、図15の具体例では、図9に示した実施例1の具体例と同様に、合成後位置情報は、パケットが同じタイミングの場合に、系統1のパケットの次に系統2のパケットを並べるように、多重化順序情報によって決められている。
ヌルパケット置換部242は、ステップS1405において、合成後の信号に対し、TS1以外のパケットをヌルパケットに置き換え、合成後の信号からTS1を分離する。図15の具体例では、合成後位置情報には、TS1のパケットがP3,P5,・・・,P369,P371に格納されていることが示されているから、これらの位置以外にTS1以外のパケットが格納されており、TS1以外のパケットがヌルパケットに置き換えられる。これにより、合成後の信号は、294個のTS1のパケット及び77個のヌルパケットからなる371個のパケット群となる。
また、合成・分離部24は、ステップS1408において、PLL回路244により生成された読み出しクロックにて、バッファメモリ243から、所望のTS1のパケット及びヌルパケットを含む合成後の信号のパケットを読み出し、スーパーフレーム周期Tにおいて、294個のTS1のパケット及び77個のヌルパケットを出力する。
受信装置2−2から出力される294個のTS1のパケット及び77個のヌルパケットの時間は、スーパーフレーム周期Tであり、送信装置1−2において、294個のTS1のパケットが入力される時間と同じである。この場合、受信装置2−2により出力されるTS1のPCRと、送信装置1−2により入力されるTS1のPCRとが整合しなくなる。すなわち、受信装置2−2が、不要なパケットをヌルパケットに置き換えて出力する場合、送信装置1−2において複数の系統に分割する前の元のTS1では一定であったパケット間隔が、各パケットに割り当てるフレームのスロット位置の違いにより、受信装置2−2では受信後に変動し、パケット間隔のズレが発生する。このパケット間隔のズレが、PCRが整合しなくなる原因である。送信装置1−2のPCR書き換え部15−1は、TS1のパケット毎に、時間のズレに応じたPCRの補正値を求め、PCRの値を書き換える。
図15を参照して、TS1を分離してヌルパケットに置き換えた合成後の信号が、受信装置2−2により出力される信号であり、分割前のTS1が、送信装置1−2により入力される信号である。送信装置1−2のPCR書き換え部15−1は、前記式(3)により、例えば、P3の位置に存在するTS1のパケット(j=1)に対し、PCR補正値ΔPCR1を計算する。つまり、前記式(3)により、図15に示すΔPCR1〜ΔPCR294を計算する。
次に、所望のTSがTS2の場合について具体的に説明する。図16は、実施例2において、図5のスーパーフレームからTSを合成及び分離する処理例を説明する図である。図16において、所望のTSはTS2であり、TS2が含まれるスーパーフレームの系統は、64QAM方式の搬送波1の系統1のみであるとする。また、Pi、TSMF Hdr0等については図15と同様である。
合成・分離部24のパケット合成部241は、図14に示したステップS1401において、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22から、系統1のスーパーフレームを入力する。パケット合成部241は、ステップS1402及びステップS1403において、スーパーフレームの数が1個であるから、系統1のスーパーフレームを合成後の信号として生成し、合成後位置情報を生成する。
ヌルパケット置換部242は、ステップS1405において、合成後の信号に対し、TS2以外のパケットをヌルパケットに置き換え、合成後の信号からTS2を分離する。図16の具体例では、合成後位置情報には、TS2のパケットがP2,P3,・・・,P159に格納されていることが示されているから、これらの位置以外にTS2以外のパケットが格納されており、TS2以外のパケットがヌルパケットに置き換えられる。これにより、合成後の信号は、50個のTS2のパケット及び109個のヌルパケットからなる159個のパケット群となる。
また、合成・分離部24は、ステップS1408において、PLL回路244により生成された読み出しクロックにて、バッファメモリ243から、所望のTS2のパケット及びヌルパケットを含む合成後の信号のパケットを読み出し、スーパーフレーム周期Tにおいて、50個のTS2のパケット及び109個のヌルパケットを出力する。
受信装置2−2から出力される50個のTS2のパケット及び109個のヌルパケットの時間は、スーパーフレーム周期Tであり、送信装置1−2において、50個のTS2のパケットが入力される時間と同じである。この場合、受信装置2−2により出力されるTS2のPCRと、送信装置1−2により入力されるTS2のPCRとが整合しなくなる。送信装置1−2のPCR書き換え部15−2は、これらのPCRを整合させるために、TS2のパケット毎にPCRの補正値を求め、PCRの値を書き換える。
図16を参照して、TS2を分離してヌルパケットに置き換えた合成後の信号が、受信装置2−2により出力される信号であり、分割前のTS2が、送信装置1−2により入力される信号である。送信装置1−2のPCR書き換え部15−2は、前記式(3)により、例えば、P2の位置に存在するTS2のパケット(j=1)に対し、PCR補正値ΔPCR1を計算する。つまり、前記式(3)により、図16に示すΔPCR1〜ΔPCR50を計算する。
以上のように、実施例2の受信装置2−2によれば、多重フレームヘッダ検出・時差吸収部22が、所望のTSを含む1つまたは複数の系統のスーパーフレームから多重フレームヘッダを検出し、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報からスーパーフレーム中のフレーム位置を取り出し、それぞれのフレーム位置に基づいて、先頭フレームの多重フレームヘッダTSMF Hdr0の到着時間差を求め、最も遅く到着したスーパーフレームに合わせてその到着時間差が0になるように、それ以外のスーパーフレームを遅延させ、複数のスーパーフレームの到着時間差を吸収して同じタイミングになるようにした。そして、合成・分離部24が、所望のTSを含む1つまたは複数の系統のスーパーフレームから、多重フレームヘッダに含まれるスロット割当情報、及び予め設定された多重化順序情報または多重フレームヘッダに含まれる多重化順序情報に基づいて、複数のスーパーフレームからパケットを取り出し、取り出したパケットを並べて合成し、合成後の信号内におけるTSのパケットの位置情報(合成後位置情報)を生成し、合成後位置情報に基づいて、合成後の信号に対し、所望のTS以外のパケットをヌルパケットに置き換え、バッファメモリ243に蓄積し、各系統のシンボルクロック、系統毎の信号の容量(系統毎のスーパーフレームを構成する多重フレームヘッダ及びTSのパケットの数)及びスーパーフレーム中のフレーム数(系統毎のフレーム数)から、合成後の信号のTSレートを計算し、このTSレートに基づいた読み出しクロックをバッファメモリ243に出力するようにした。
これにより、実施例1の受信装置2−1と同様に、バッファメモリ243に蓄積された所望のTSのパケット及びヌルパケットを含む合成後の信号のパケットが読み出され、受信装置2−2は、所望のTSのパケットを、合成後の信号(送信装置1−2により伝送される所望のTSを含むスーパーフレームを合成した後の信号)のレートにて出力することができ、所望のTSを復元することができる。したがって、単一の搬送波の伝送容量を超える容量のTS1〜Mを複数の搬送波1〜Nに分割して伝送する場合に、送信装置1−2において、複数の搬送波1〜Nを用いて伝送するそれぞれのスーパーフレームを同期させることができ、受信装置2−2において、同期した複数のスーパーフレームから、所望のTSのパケット及びヌルパケットを含む合成後の信号を生成し、送信装置1−2が所望のTSを入力したときとは異なる合成後の信号のレートにて、所望のTSを出力し、所望のTSを復元することができる。
また、実施例2の受信装置2−2によれば、合成・分離部24のPLL回路244が、送信装置1−2が入力する所望のTSのレートに関わらず、所望のTSが伝送される系統の数(搬送波数)及び各系統の変調方式(伝送ビット数)等に基づいて、受信装置2−2により出力される所望のTSを含む合成後の信号のレートを決定するようにした。この場合、PLL回路244において使用するクロックの数(周波数の数)が少なくて済み、処理負荷を低減することができる。
以下、PLL回路244が使用するクロックの数(周波数の数)が、実施例1のPLL回路234の場合に比べ少なくて済むことについて、具体的に説明する。図4に示したスーパーフレームの構成において、TSを、1搬送波または複数の搬送波に分割して伝送(1搬送波または複数の搬送波により伝送)する場合について説明する。TSの最大分割数(同一のTSを含むスーパーフレームの数、同一のTSを含む系統数)を4とする。
実施例1の場合、PLL回路234は、52(フレーム内の割り当てスロット数)×4(伝送速度が最も速い変調方式のスーパーフレーム内のフレーム数。図4の場合、系統2の256QAM方式なのでフレーム数は4)×4(TSの最大分割数)=832通りの周波数に対応する必要がある。これに対し、実施例2の場合、PLL回路244は、2(TSを1搬送波で伝送する場合の周波数の種類)+3(TSを2搬送波に分割する場合の周波数の種類)+4(TSを3搬送波に分割する場合の周波数の種類)+5(TSを4搬送波に分割する場合の周波数の種類)=14通りの周波数に対応する必要がある。
したがって、実施例2の受信装置2−2におけるPLL回路244では、使用するクロックの数(周波数の数)が実施例1に比べて少なくて済み、処理負荷を低減することができる。
次に、実施例3について説明する。実施例3は、前述のとおり、伝送するTSがMPEG−2 TSの場合に、既存のSTBとの互換性をもたせるために、送信装置が、追加したヌルパケットを含むTSのレート変換を行ってPCRを書き換え、毎フレーム同じスロットの位置にTSのパケットを割り当て、受信装置が、実施例2と同様の処理、すなわち、パケットを合成した後の信号にてクロックを再生し、合成後の信号に対して所望のTS以外のパケットをヌルパケットに置き換え、再生したクロックによって、ヌルパケットを含む所望のTSを出力する例である。ここで、既存のSTBでTSを受信するためには、例えば、単一の64QAM方式の搬送波または単一の256QAM方式の搬送波によりTSを伝送し、スーパーフレーム中のフレーム位置に関わらず、フレーム中の同じ位置のスロットにパケットを割り当てる必要がある。TSのスロット割り当てを、スーパーフレーム中のフレーム位置に関わらず同じスロット位置になるようにするには、スーパーフレーム中で当該TSに割り当てるスロット数がスーパーフレーム中の総フレーム数で割り切れることが必要になる。この場合、割り当てるスロット数をスーパーフレーム中のフレーム数の整数倍に変換するために、フレーム内の空きスロットを利用して、入力するTSのレート変換を行う必要がある。但し、情報の欠落なしにレート調整を行うためには、レートを増加させることになるが、レート増加分のパケットをフレームに配置するために十分な空きスロットがない場合には、既存のSTBとの互換性を持たせることができない。尚、実施例3では、送信装置に複数のTSが入力される場合に適用があり、実施例1,2では、1つまたは複数のTSが入力される場合に適用がある。
〔送信装置/実施例3〕
実施例3の送信装置について説明する。図17は、実施例3による送信装置の概略構成を示すブロック図である。この送信装置1−3は、ヘッダ生成部11、多重化部12、QAM変調部13−1〜13−N、送信部14−1〜14−N、PCR書き換え部15−1〜15−M、フレーム・スロット割当部16及びレート変換部17−1〜17−Mを備えている。図17に示す実施例3の送信装置1−3において、図11に示した実施例2の送信装置1−2と共通する部分には図11と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
実施例2の送信装置1−2と実施例3の送信装置1−3とを比較すると、送信装置1−2,1−3共に、ヘッダ生成部11、多重化部12、QAM変調部13−1〜13−N、送信部14−1〜14−N及びPCR書き換え部15−1〜15−Mを備えている点で同一である。これに対し、送信装置1−3は、送信装置1−2の構成には存在しないレート変換部17−1〜17−M、及び、送信装置1−2のフレーム・スロット割当部10とは異なるフレーム・スロット割当部16を備えている点で、送信装置1−2と相違する。
フレーム・スロット割当部16は、予め設定されたTS1〜Mの容量及び搬送波1〜Nの伝送速度情報を入力し、系統毎に、搬送波1〜Nの伝送速度情報に基づいて、スーパーフレーム中のフレーム数及びフレーム位置を決定し、TS1〜Mの容量に基づいて、スーパーフレーム中でフレーム毎に同じスロット数及びスロット位置に配置されるように、すなわち、同じTSのスロット数がスーパーフレーム中のフレーム数の整数倍になり、かつ、同じTSがスーパーフレーム中でフレーム毎に同じスロット位置に配置されるように、各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数及びスロット位置を決定する。また、フレーム・スロット割当部16は、各パケットに割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数及びスロット位置を決定する際に、同じTSのスロット数がスーパーフレーム中のフレーム数の整数倍にならない場合には、整数倍にしたときに生じる不足分の空きスロットをそのTSに含めるようにする。つまり、フレーム・スロット割当部16は、整数倍にしたときに生じる不足分の空きスロットの数を、そのTSのパケットに割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数に追加する。これにより、所定のTSの合計スロット数が、スーパーフレーム中のフレーム数の整数倍になり、かつ、そのTSがスーパーフレーム中でフレーム毎に同じスロット位置に配置されるように、スロット割当情報が生成される。ここで、TS1〜Mは、実施例1,2と同様に、搬送波のシンボル速度と同期しているものとする。
フレーム・スロット割当部16は、決定したスロット割当情報をヘッダ生成部11、多重化部12及びPCR書き換え部15−1〜15−Mに出力し、TSの容量(元のスロット数)及び追加スロット数を含む容量情報を、対応するレート変換部17−1〜17−Mに出力する。例えば、TS2のスロット数50に対して1個のスロット数を追加した場合、フレーム・スロット割当部16は、TS2の容量50(元のスロット数50)及び追加スロット数1を含む容量情報を、TS2に対応するレート変換部17−2(TS2を入力するレート変換部17−2)に出力する。フレーム・スロット割当部16によるスロット割当情報の決定処理の詳細については後述する。
レート変換部17−1〜17−Mは、対応するTS1〜Mをそれぞれ入力すると共に、フレーム・スロット割当部16から対応するTS1〜Mの容量情報(TSのスロット数及び追加スロット数)を入力する。そして、レート変換部17−1〜17−Mは、容量情報に含まれる追加スロット数が0であると判定した場合、入力したTS1〜Mに対して何ら処理を施すことなく、対応するPCR書き換え部15−1〜15−Mに出力する。一方、レート変換部17−1〜17−Mは、追加スロット数が0でないと判定した場合、入力したTS1〜Mに対して追加スロット数分のヌルパケットを挿入(追加)してレートを変換し、ヌルパケットを追加してレートを変換した新たなTS1〜Mを生成し、対応するPCR書き換え部15−1〜15−Mに出力する。例えば、レート変換部17−2は、フレーム・スロット割当部16からTS2の容量情報(TSのスロット数50及び追加スロット数1)を入力した場合、入力する50個のTS2のパケットに対して1個のヌルパケットを挿入し、ヌルパケットを挿入したTS2をPCR書き換え部15−2に出力する。
(フレーム・スロット割当部)
次に、図17に示した送信装置1−3のフレーム・スロット割当部16の処理について詳細に説明する。図18は、フレーム・スロット割当部16の処理(1)を示すフローチャートであり、図19は、図18の続きの処理(2)を示すフローチャートである。
図18に示すステップS1801〜ステップS1805は、図3に示したステップS301〜ステップS305と同じであるから、説明を省略する。フレーム・スロット割当部16は、ステップS1805の後、各TSの容量がスーパーフレーム中のフレーム数(ステップS1804にて決定したフレーム数)の整数倍であるか否かを判定し(ステップS1806)、整数倍であると判定した場合(ステップS1806:Y)、0を追加スロット数に設定する(ステップS1807)。一方、フレーム・スロット割当部16は、ステップS1806において、整数倍でないと判定した場合(ステップS1806:N)、スーパーフレーム中のフレーム数の整数倍に対する不足分の数である不足スロット数を、追加スロット数に設定する(ステップS1808)。尚、フレーム・スロット割当部16は、ステップS1806において、各TSの容量がスーパーフレーム中のフレーム数の整数倍であるか否かの判定を、ステップS1804にて決定した全てのフレーム数に対して行い、整数倍であると判定した場合、かつ、後述するステップS1810においてSTB対応のTSであると判定した場合には、ステップS1901〜ステップS1903において、そのスーパーフレームに対して当該TSを割り当てるようにする。
フレーム・スロット割当部16は、ステップS1807,S1808から移行して、各TSの容量に追加スロット数を加算した合計数のパケットを、ステップS1806において整数倍であると判定した1スーパーフレームにて伝送可能であるか否かを判定する(ステップS1809)。フレーム・スロット割当部16は、ステップS1809において、伝送可能であると判定した場合(ステップS1809:Y)、その合計数を、当該TSの新たな容量に設定し、当該TSをSTB対応のTSに設定し(ステップS1810)、ステップS1901へ移行する。一方、フレーム・スロット割当部16は、ステップS1809において、伝送可能でないと判定した場合(ステップS1809:N)、当該TSをSTB対応でないTSに設定し(ステップS1811)、ステップS1901へ移行する。
フレーム・スロット割当部16は、TS1〜Mの容量(ステップS1810において、新たに設定した容量を含む)から、TS1〜Mの各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数を、TS1〜Mの容量に合わせるように任意に、かつ、STB対応のTSの場合はフレーム毎に同じスロット数になるように決定する(ステップS1901)。そして、フレーム・スロット割当部16は、各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数から、各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット位置を任意に、かつ、STB対応のTSの場合はフレーム毎に同じスロット位置になるように決定する(ステップS1902)。
フレーム・スロット割当部16は、ステップS1804にて決定したスーパーフレーム中のフレーム数、ステップS1805にて決定したスーパーフレーム中のフレーム位置、ステップS1901にて決定した各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数、及び、ステップS1902にて決定した各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット位置を、スロット割当情報としてヘッダ生成部11、多重化部12及びPCR書き換え部15−1〜15−Mに出力すると共に、ステップS1801にて入力したTSの容量(元のスロット数)及びステップS1807,S1808にて設定した追加スロット数を含む容量情報を、対応するレート変換部17−1〜17−Mに出力する(ステップS1903)。
(具体例)
次に、フレーム・スロット割当部16の処理について、具体例を挙げて説明する。この具体例では、シンボル速度が同一であり、シンボルが同期している64QAMの変調方式の搬送波1及び256QAMの変調方式の搬送波2を用いて、TS1,2を多重化したスーパーフレームを搬送波1により伝送し、TS1を含むスーパーフレームを搬送波2により伝送する場合であって、TS2をSTB対応にて伝送する場合を示す。フレーム・スロット割当部16は、実施例1と同様に、TS1の容量として294スロット、TS2の容量として50スロット、搬送波1の伝送速度情報として伝送ビット数6、及び、搬送波2の伝送速度情報として伝送ビット数8を入力するものとする。
フレーム・スロット割当部16は、実施例1の具体例と同様に、ステップS1801〜ステップS1805において、系統1のスーパーフレーム中のフレーム数を3に決定し、系統2のスーパーフレーム中のフレーム数を4に決定し、それぞれのフレーム位置を決定する。
図20は、既存のSTBとの互換性を考慮したスロットへの配置例を説明する図である。図20のスロット配置例では、TS1を既存のSTBで受信することができない。これは、TS1を既存のSTBで選局した場合、TS1が、2つの搬送波の系統に分割して伝送されており、スーパーフレーム中のフレーム毎にスロット配置が同一でなく、TS1を復元することができないからである。これに対し、図20のスロット配置例では、TS2を既存のSTBで受信することができる。これは、TS2を既存のSTBで選局した場合、TS2が、単一の64QAM方式の搬送波1の系統のみで伝送されており、スーパーフレーム中のフレーム毎にスロット配置(フレーム末尾17個のスロット位置)が同一であり、TS2を復元することができるからである。
図20を参照して、TS1のパケットは、64QAM方式の搬送波1により伝送される系統1のスーパーフレーム内で、104個のデータスロットに割り当てられ、256QAM方式の搬送波2により伝送される系統2のスーパーフレーム内で、190個のデータスロットに割り当てられる。
TS2のパケットは、系統1のスーパーフレーム内で、50個のデータスロットに割り当てられると、2個の空きスロットが生じる。このうちの1個の空きスロットをTS2に含めることにより、TS2に割り当てる合計スロット数を、スーパーフレーム中のフレーム数の整数倍である51スロットに設定することができる。
この場合、レート変換部17−2は、TS2を51スロットに相当するレートになるようにレート変換する。これにより、多重化部12は、64QAM方式の搬送波1により伝送される系統1のスーパーフレームを構成する各フレームに、17スロットずつ同じスロット位置にTS2のパケットを割り当てることができる。
図18に示したフレーム・スロット割当部16の処理を示すフローチャートにて具体的に説明する。フレーム・スロット割当部16は、図18に示したステップS1809において、1スーパーフレームにて伝送可能なパケット数(データスロット数)が系統1では52×3=156、系統2では52×4=208であるから、TS1の容量294(追加スロット数を加算した場合も含む)を1スーパーフレームにて伝送することができない。したがって、フレーム・スロット割当部16は、ステップS1811において、TS1をSTB対応でないTSに設定する。
一方、フレーム・スロット割当部16は、ステップS1806〜ステップS1810において、TS2の容量50が、系統1のスーパーフレーム中のフレーム数3の整数倍でないから、その不足スロット数1を追加スロット数に設定し、TS2の容量50に追加スロット数1を加算した合計数51を系統1の1スーパーフレームにて伝送可能であるから、TS2の容量51を新たな容量に設定し、TS2をSTB対応のTSに設定する。
フレーム・スロット割当部16は、ステップS1901において、TS1の容量294及びTS2の容量51から、TS1,2の各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数を、TS1,2の容量に合わせるように、かつ、STB対応のTS2に対してはフレーム毎に同じスロット数17になるように決定する。また、フレーム・スロット割当部16は、ステップS1902において、TS1,2の各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数から、TS1,2の各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット位置を、任意に、かつ、STB対応のTS2に対してはフレーム毎に同じスロット位置(フレーム末尾17個のスロット位置)になるように決定する。
つまり、フレーム・スロット割当部16は、STB対応のTS2のパケットを割り当てる系統1のスーパーフレームにおける第1,2,3のフレーム中のスロット数17,17,17及びスロット位置(フレーム末尾17個のスロット位置)を決定し、STB対応でないTS1のパケットを割り当てる系統1のスーパーフレームにおける第1,2,3のフレーム中のスロット数35,35,34及びスロット位置を決定し、TS1のパケットを割り当てる系統2のスーパーフレームにおける第1,2,3,4のフレーム中のスロット数48,48,47,47及びスロット位置を決定する。
以上のように、実施例3の送信装置1−3によれば、フレーム・スロット割当部16が、予め設定された搬送波1〜Nの伝送速度情報に基づいて、系統毎のスーパーフレーム中のフレーム数及びフレーム位置を任意に決定し、予め設定された伝送すべきTS1〜Mの容量から、同じTSのスロット数がスーパーフレーム中のフレーム数の整数倍になり、かつ、同じTSがスーパーフレーム中でフレーム毎に同じスロット位置に配置されるように、各パケットを割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数及びスロット位置を決定するようにした。また、フレーム・スロット割当部16が、各パケットに割り当てるスーパーフレームにおけるフレーム中のスロット数及びスロット位置を決定する際に、同じTSのスロット数がスーパーフレーム中のフレーム数の整数倍にならない場合には、整数倍にしたときに生じる不足分の空きスロットをそのTSに含めるようにした。そして、レート変換部17−1〜17−Mが、フレーム・スロット割当部16から対応するTS1〜Mの容量情報(TSのスロット数及び追加スロット数)を入力し、元のTSに空きスロットが追加された場合、入力したTS1〜Mに対して追加スロット数分のヌルパケットを挿入(追加)してレートを変換するようにした。そして、PCR書き換え部15−1〜15−Mが、スロット割当情報に基づいて、後述する受信装置2−3において、当該TSを含むスーパーフレームを合成し、合成後の信号に含まれる当該TS以外のパケットをヌルパケットに置き換え、当該TSを含む合成後の信号を出力することを想定した場合に、入力したTS1〜MのPCRに対するPCR補正値ΔPCRjを計算し、元のPCRに加算して新たなPCRを求め、新たなPCRを含むTS1〜Mを出力するようにした。そして、多重化部12が、スロット割当情報に基づいて、多重フレームヘッダ、及び新たなPCRを含むTS1〜Mのパケットを多重化し、スーパーフレームを生成するようにした。このようにして生成された各系統のスーパーフレームは、変調された後、異なる搬送波1〜Nにより送信される。
これにより、送信装置1−3により伝送された搬送波1〜Nを、既存のSTBにて受信することができる。
また、実施例1の送信装置1−1と同様に、単一の搬送波の伝送容量を超える容量のTS1〜Mを分割してスーパーフレームに多重化し、複数の搬送波を用いて伝送する場合に、全てのスーパーフレームを同期させることが可能となる。また、送信装置1−3から搬送波1〜Nを用いて送信されたスーパーフレームを受信する受信装置2−3は、同期した複数のスーパーフレームから所望のTSを取得することが可能となる。
また、実施例2の送信装置1−2と同様に、送信装置1−3のPCR書き換え部15−1〜15−Mが、受信装置2−3により出力される所望のTSのレート(合成後の信号に対し、所定位置のパケットをヌルパケットに置き換えた場合のレート)を考慮したPCRに予め書き換えるから、受信装置2−3において、所望のTSが割り当てられたスロット数に関わらず、一定のレートにて所望のTSを出力することができる。
〔受信装置/実施例3〕
次に、実施例3の受信装置について説明する。実施例3の受信装置は、図13に示した実施例2による受信装置2−2と同じ構成部を備え、同じ処理を行う。実施例3の受信装置2−3によれば、既存のSTBとの互換性をもたせることができると共に、実施例2と同様の効果を奏する。
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。前記実施例1〜3では、シンボル速度が等しい複数の搬送波を用いる場合の例であり、フレーム・スロット割当部10,16は、搬送波1〜Nの伝送速度情報として、系統毎の搬送波1〜Nにおける1シンボルあたりの伝送ビット数(例えば、64QAMの変調方式の場合6ビット、256QAMの変調方式の場合8ビット)を入力し、系統毎のスーパーフレームの周期が同じになるように、スーパーフレーム中のフレーム数を決定するようにした。これに対し、シンボル速度が異なる複数の搬送波を用いる場合には、フレーム・スロット割当部10,16は、搬送波1〜Nの伝送速度情報として、系統毎のシンボル速度(bps(bits per second))を入力し、シンボル速度に基づいて、系統毎のスーパーフレームの周期が同じになるように、スーパーフレーム中のフレーム数を決定する。例えば、伝送速度情報として、系統1のシンボル速度が系統2のシンボル速度の2倍である場合、系統1のスーパーフレーム中のフレーム数は、系統2のスーパーフレーム中のフレーム数に対して2倍になるように決定される。