JP6118660B2 - 食器洗い機用洗浄剤 - Google Patents
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Description
食器洗い機では、洗浄及び濯ぎの際、数リットルの温水がノズルから強く噴き出されながら循環する。また、食器洗い機による洗浄には、一般に、専用の洗浄剤(食器洗い機用洗浄剤)が用いられる。
食器洗い機用洗浄剤の低泡性が不充分であると、食器洗い機の運転中に泡が溢れ出る「オーバーフロー」と呼ばれる現象や、循環する水の中に泡が絡むことによって充分な噴射力が得られない「エア噛み」と呼ばれる現象が起きて、食器洗い機が異常停止したり、又は、故障したりするおそれがある。
また、泡抑制剤としてシリコーン化合物と特定の短鎖(炭素数6〜10)アミン界面活性剤との組合せを採用した、自動の皿洗浄組成物に用い得る液状洗剤が提案されている(特許文献1参照)。
かかる節電モードを選択し、オキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル等を含有する従来の食器洗い機用洗浄剤を用いて洗浄を行った場合では、洗浄力が不充分であった。
しかしながら、陰イオン界面活性剤は起泡性が高く、食器洗い機による洗浄では、陰イオン界面活性剤を加えることで、泡が立ちやすくなる問題があった。
これに対し、泡抑制剤として公知のシリコーン化合物を用いる場合、陰イオン界面活性剤による泡立ちを抑えるにはその使用量を多くする必要があり、それに伴って濯ぎ後に食器等に残存するおそれがある。また、特許文献1に記載の泡抑制剤(シリコーン化合物と特定の短鎖(炭素数6〜10)アミン界面活性剤との組合せ)を陰イオン界面活性剤と併用しても、泡立ちを抑える効果(抑泡性)は充分に得られない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低泡性を確保しつつ、油汚れに対して優れた洗浄力を有する食器洗い機用洗浄剤、を課題とする。
本発明の食器洗い機用洗浄剤の剤形は、(a)成分と(b)成分とを含有するものであれば特に限定されず、粉粒状やタブレット状等の固体でもよく液体でもよい。
(a)成分は、下記一般式(a−1)で表される化合物(アルキルアミドアミン)である。
R1におけるアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、それぞれ13〜21であり、抑泡効果がより高まることから、好ましくは炭素数が15〜21であり、より好ましくは炭素数が15〜19である。
前記式(a−1)中、R2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表す。R2におけるヒドロキシアルキル基中のヒドロキシ基の数は、1つでも2つ以上でもよい。なかでも、R2としては、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
R3におけるアルキレン基の炭素数は、1〜4であり、好ましくは炭素数が1〜3であり、より好ましくは炭素数が2又は3であり、特に好ましくは炭素数が3である。
R4及びR5におけるアルキル基の炭素数は、それぞれ1〜4であり、好ましくは炭素数が1〜3であり、より好ましくは炭素数が1又は2であり、特に好ましくは炭素数が1である。なかでも、R4及びR5は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、互いに同一であることが好ましい。
これらの中でも、抑泡効果がより得られやすいことから、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドがより好ましく、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドがさらに好ましく、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドが特に好ましい。
食器洗い機用洗浄剤中、(a)成分の含有量は、該洗浄剤の全質量に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%がさらに好ましい。
(a)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、抑泡効果が高まる。一方、(a)成分の含有量が好ましい上限値以下であれば、油汚れに対する洗浄力が維持されやすいとともに、抑泡効果も得られやすくなる。
(b)成分は陰イオン界面活性剤である。
(b)成分としては、例えば、スルホン酸塩タイプ、硫酸エステル塩タイプ、カルボン酸塩タイプ、リン酸エステル塩タイプが挙げられる。
スルホン酸塩タイプとしては、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレン硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
硫酸エステル塩タイプとしては、アルキル硫酸エステル塩、アルケニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
カルボン酸塩タイプとしては、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、スルホコハク酸塩、アミノ酸系陰イオン界面活性剤等が挙げられる。
リン酸エステル塩タイプとしては、アルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
また、(b)成分は、炭素数8〜18のアルキル基を有するもの、又は、炭素数8〜18のアルケニル基を有するものが好ましく、なかでも炭素数8〜18のアルキル基を有するものがより好ましい。該アルキル基又は該アルケニル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
(b)成分を構成する塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩(モノエタノールアンモニウム)、ジエタノールアミン塩(ジエタノールアンモニウム)、トリエタノールアミン塩(トリエタノールアンモニウム)等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩などが挙げられる。
上記のなかでも、(b)成分としては、油汚れに対する洗浄力が良好であり、低泡性を確保しやすいことから、スルホン酸塩タイプ、硫酸エステル塩タイプが好ましく、スルホン酸塩タイプが特に好ましい。
その中でも、油汚れに対する洗浄力が特に高まることから、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレン硫酸塩及びジアルキルスルホコハク酸塩からなる群より選ばれる1以上が好ましく、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩がより好ましく、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩がさらに好ましく、アルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましく、アルカンスルホン酸塩が最も好ましい。
(b)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力が高まる。一方、(b)成分の含有量が好ましい上限値以下であれば、(a)成分による抑泡効果が得られやすくなる。
a/b比が好ましい下限値以上であると、(a)成分による抑泡効果が発揮されやすくなる。一方、a/b比が好ましい上限値以下であると、油汚れに対する洗浄力が高まる。
本発明において「(a)成分/(b)成分で表される質量比」とは、食器洗い機用洗浄剤中の(b)成分の含有質量に対する、(a)成分の含有質量の割合を表す。
本発明の食器洗い機用洗浄剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上述した(a)成分及び(b)成分以外の成分を配合してもよい。
本発明の食器洗い機用洗浄剤は、前記(a)成分及び前記(b)成分に加えて、(c)成分:キレート剤をさらに含有することが好ましい。(c)成分をさらに含有することで、ガラスコップ等の曇り汚れに対する洗浄力、及び、茶渋汚れに対する洗浄力が高まる。
(c)成分には、高分子キレート剤又は低分子キレート剤のいずれも用いることができる。
高分子キレート剤としては、例えば、ポリアクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸又はその塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体又はその塩、メタクリル酸−マレイン酸共重合体又はその塩、エチレン−マレイン酸共重合体又はその塩等が挙げられる。
高分子キレート剤を構成する塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
なかでも、高分子キレート剤は、アクリル酸−マレイン酸共重合体又はその塩が好ましい。アクリル酸とマレイン酸との共重合比(モル比)は、好ましくはアクリル酸/マレイン酸=75/25〜50/50であり、好ましい重量平均分子量は1万以上10万以下である。
尚、高分子キレート剤についての重量平均分子量は、標準物質をポリアクリル酸ナトリウムとしたゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される値を示す。
低分子キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、β−アラニン二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、クエン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、L−グルタミン酸二酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸、セリン二酢酸、アスパラギン二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、トリポリリン酸、又はこれらの塩などが挙げられる。
低分子キレート剤を構成する塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
なかでも、低分子キレート剤は、曇り汚れ及び茶渋汚れに対する洗浄力が共に高まりやすいことから、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、β−アラニン二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、クエン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、L−グルタミン酸二酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸、セリン二酢酸、アスパラギン二酢酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1以上が好ましい。
また、低分子キレート剤としては、曇り汚れ及び茶渋汚れに対する洗浄力がより高まることから、クエン酸、L−グルタミン酸二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、又はこれらの塩が好ましく、クエン酸又はその塩が特に好ましい。
上記のなかでも、(c)成分としては、低分子キレート剤を用いることが好ましい。
食器洗い機用洗浄剤中、(c)成分の含有量は、該洗浄剤の全質量に対して10〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましく、12〜25質量%がさらに好ましく、12〜20質量%が特に好ましい。
(c)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、曇り汚れに対する洗浄力、及び、茶渋汚れに対する洗浄力が高まる。一方、(c)成分の含有量が好ましい上限値を超えても、洗浄力向上の効果は頭打ちとなり、コスト高となる。
かかる任意に配合してもよい成分としては、特に限定されず、これまで食器を洗浄するための洗浄剤に配合されている成分が挙げられる。
たとえば、(a)成分及び(b)成分以外の界面活性剤、ハイドロトロープ、酸化防止剤、pH調整剤、着色剤、酵素、香料等を用いることができる。
但し、食器洗い機においては、洗浄中の泡立ちを抑える必要がある。このため、食器洗い機用洗浄剤中、(a)成分及び(b)成分とこれら以外の界面活性剤との合計の含有量を、該洗浄剤の全質量に対して12質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましく、8質量%以下とすることがさらに好ましい。
加えて、全界面活性剤中の(a)成分及び(b)成分の含有量は、全界面活性剤の合計の質量に対し、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、100質量%であってもよい。(a)成分及び(b)成分の含有量が好ましい下限値以上であれば、食器洗い機により食器等の洗浄処理を行う際、泡立ちが低く保たれる。加えて、油汚れ等に対する洗浄力が高まる。
本発明の食器洗い機用洗浄剤は、従来公知の方法により製造できる。
液体状の食器洗い機用洗浄剤の製造方法としては、溶媒と、(a)成分と、(b)成分と、必要に応じて任意成分と、を混合することにより調製される。
「水混和性有機溶媒」とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解する有機溶媒をいう。水混和性有機溶媒としては、水と混合した際に均一な溶液となるものであればよく、そのなかでも、炭素数2〜4の一価アルコール、炭素数2〜4の多価アルコール、グリコールエーテル等が挙げられる。
炭素数2〜4の1価アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等が挙げられる。
炭素数2〜4の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
本発明において、食器洗い機用洗浄剤のpH(25℃)は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値を示す。
本発明の食器洗い機用洗浄剤のpHの調整には、好ましくは無機アルカリ剤、有機アルカリ剤などのpH調整剤が用いられる。無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられ、なかでも洗浄剤の保存安定性が向上しやすいことから、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物が好ましい。有機アルカリ剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ジエチレントリアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン等のアミン化合物などが挙げられ、なかでも洗浄剤の保存安定性が向上しやすいことから、モノエタノールアミンが好ましい。
固体状の食器洗い機用洗浄剤の水分含量は、特に限定されず、8質量%以下であることが好ましい。
粉粒状の食器洗い機用洗浄剤の嵩密度は、0.3g/cm3以上が好ましく、0.5〜1.2g/cm3がより好ましく、0.6〜1.1g/cm3がさらに好ましい。この嵩密度は、JIS−K3362により測定される値である。
粉粒状の食器洗い機用洗浄剤の平均粒子径は、200〜1500μmが好ましく、300〜1200μmがより好ましい。該平均粒子径が好ましい下限値未満では、粉塵が発生しやすく、一方、好ましい上限値を超えると、水に溶解又は分散しにくくなる。
該分級操作では、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩を順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回のサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機(株式会社飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させる。その後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定する。そして、受け皿と各篩との質量頻度を積算し、積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きを「aμm」とし、aμmよりも一段大きい篩の目開きを「bμm」とする。また、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算値を「c%」とし、aμmの篩上の質量頻度を「d%」とする。そして、下式(1)により平均粒子径(50質量%粒径)を求め、これを試料の平均粒子径とする。
本発明の食器洗い機用洗浄剤は、食器洗い機の機種や、食器等の汚れの程度に応じて、その使用量等を変えて使用すればよい。
該洗浄剤を用いて食器洗い機により洗浄対象物を洗浄する方法としては、洗浄とすすぎの各工程をいずれも有する方法が挙げられる。
好ましい洗浄方法としては、たとえば、常温(好ましくは5〜30℃程度)の水道水を食器洗い機庫内に導入して調製される洗浄液を、好ましくは35〜60℃まで2〜3℃/minで昇温しながら洗浄対象物を洗浄する工程(以下「洗浄工程」という。)と、洗浄後の洗浄対象物を、常温の水道水ですすぐ工程(以下「すすぎ(1)工程」という。)と、常温の水道水を、好ましくは50〜80℃まで2〜3℃/minで昇温しながら、前記すすぎ(1)工程後の洗浄対象物をさらにすすぐ工程(以下「すすぎ(2)工程」という。)と、を有する方法が挙げられる。
洗浄工程においては、食器洗い機用洗浄剤の1回の使用量を、水道水約3リットルに対して3〜9gとすることが好ましい。
洗浄工程での洗浄時間は、3〜50分間とすることが好ましく、より好ましくは5〜30分間である。すすぎ(1)工程でのすすぎ時間は、0.5〜10分間とすることが好ましく、より好ましくは1〜7分間である。すすぎ(2)工程でのすすぎ時間は、3〜50分間とすることが好ましく、より好ましくは5〜30分間である。
かかる効果が得られる理由は定かではないが、洗浄液中での(b)成分の配列を、(a)成分が崩してしまうことで、泡膜が不安定化されるため、と推察される。
本発明の食器洗い機用洗浄剤によれば、ひどい油汚れに対しても、高い洗浄効果が発揮される。
本発明に係る洗浄剤は、食器洗い機用として好適なものであり、特に、標準コース(通常モード)よりも低温条件下で洗浄を行う際、例えば、通常モードに比べて水温が10℃程度低い「低温コース」や「ゆとりコース」等の節電モードで食器等を洗う際に適した洗浄剤である。
表1〜3に示す配合組成に従い、後述の製造方法(未配合の成分がある場合、その成分は配合しない。)により、各例の洗浄剤をそれぞれ調製した。
表中の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
表中、「適量」は、pH調整剤として用いた1N水酸化ナトリウムの添加量を示す。
「バランス」は、各例の洗浄剤に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。
「a/b比」は、(a)成分/(b)成分で表される質量比と同義であり、洗浄剤中の(b)成分の含有質量に対する、(a)成分の含有質量の割合を意味する。
以下に、表中に示した成分について説明する。
a−1:C14ジメチルアミノプロピルアミド(合成品);一般式(a−1)中のR1=炭素数13の直鎖状のアルキル基、R2=水素原子、R3=プロピレン基((CH2)3)、R4=メチル基、R5=メチル基。
a−2:C18ジメチルアミノプロピルアミド(東邦化学株式会社製、商品名「カチナールMPAS」);一般式(a−1)中のR1=炭素数15の直鎖状のアルキル基である分子(C16)と、R1=炭素数17の直鎖状のアルキル基である分子(C18)と、の質量比でC16:C18=3:7の混合物。R2=水素原子、R3=プロピレン基((CH2)3)、R4=メチル基、R5=メチル基。
a−3:C22ジメチルアミノプロピルアミド(合成品);一般式(a−1)中のR1=炭素数21の直鎖状のアルキル基、R2=水素原子、R3=プロピレン基((CH2)3)、R4=メチル基、R5=メチル基。
a−4:C18ジエチルアミノエチルアミド(日光ケミカルズ株式会社製、商品名「NIKKOL アミドアミンSV」);一般式(a−1)中のR1=炭素数15の直鎖状のアルキル基である分子(C16)と、R1=炭素数17の直鎖状のアルキル基である分子(C18)との混合物。R2=水素原子、R3=エチレン基、R4=エチル基、R5=エチル基。
a−5:C18ジエチルアミノプロピルアミド(合成品);一般式(a−1)中のR1=炭素数17の直鎖状のアルキル基、R2=水素原子、R3=プロピレン基((CH2)3)、R4=エチル基、R5=エチル基。
a’−1:シリコーンコンパウンド(東レ・ダウコーニング社製、商品名「2−4248S」)。
a’−2:C8ジメチルアミノプロピルアミド(合成品);一般式(a−1)中のR1=炭素数7の直鎖状のアルキル基、R2=水素原子、R3=プロピレン基((CH2)3)、R4=メチル基、R5=メチル基。
a’−3:C10ジメチルアミノプロピルアミド(合成品);一般式(a−1)中のR1=炭素数9の直鎖状のアルキル基、R2=水素原子、R3=プロピレン基((CH2)3)、R4=メチル基、R5=メチル基。
a’−4:C12ジメチルアミノプロピルアミド(合成品);一般式(a−1)中のR1=炭素数11の直鎖状のアルキル基、R2=水素原子、R3=プロピレン基((CH2)3)、R4=メチル基、R5=メチル基。
a’−5:C24ジメチルアミノプロピルアミド(合成品);一般式(a−1)中のR1=炭素数23の直鎖状のアルキル基、R2=水素原子、R3=プロピレン基((CH2)3)、R4=メチル基、R5=メチル基。
a’−6:ヤシ油EO(エチレンオキシド)付加型アンモニウムクロライド(ライオン・アクゾ株式会社製、商品名「エソカードC25」);陽イオン界面活性剤。
a−1(C14ジメチルアミノプロピルアミド)の合成例:
容量3Lの四つ口フラスコ内に、ミリスチン酸メチル(分子量228.4)907.0g(3.97mol)と、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA、分子量102.2)121.6g(1.19mol)とを仕込み、反応容器内を窒素で2回減圧置換した後、185℃へ昇温した。180℃到達時を反応開始として1.5時間熟成した後、DMAPA(分子量102.2)405.7g(3.97mol)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、7時間熟成を行い、その後、195℃まで昇温し、過剰のDMAPAを減圧除去(2.4kPa到達後1hr処理)することで、ミリスチン酸(C14)ジメチルアミノプロピルアミド1183gを得た。
b−1:第2級アルカンスルホン酸ナトリウム(クラリアントジャパン株式会社製、商品名「HOSTAPUR SAS 30A」)。
b−2:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(テイカ株式会社製、商品名「テイカパワーL121」)。
b−3:C12,13ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数2);シェル社製の原料アルコール(商品名「ネオドール23」、炭素数12のアルコール/炭素数13のアルコール=40/60(質量比)の混合物、直鎖率80質量%)を使用。
b’−1:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(炭素数12のアルコールと炭素数13のアルコールとの混合物に、エチレンオキシド平均3モル及びプロピレンオキシド平均3モルがそれぞれ付加したもの)(ライオン株式会社製、商品名「NNAEP−3030」)。
c−1:クエン酸ナトリウム2水和物(扶桑化学工業株式会社製、商品名「精製クエン酸ナトリウムL」)。
c−2:メチルグリシン二酢酸(BASF社製、商品名「Torilon M」)。
c−3:アクリル酸/マレイン酸共重合物ソーダ塩(株式会社日本触媒製、商品名「アクアリックTL−400」)。
アミラーゼ:ノボザイムズジャパン株式会社製、商品名「ターマミルウルトラ300L」。
プロテアーゼ:ノボザイムズジャパン株式会社製、商品名「サビナーゼ16XL」。
pH調製剤:水酸化ナトリウム(鶴見曹達株式会社製)。
水:イオン交換水。
(実施例1〜34、比較例1〜9)
表1〜3の組成に従い、以下のようにして各例の洗浄剤(液体状)0.8kgをそれぞれ調製した。
まず、容量1Lビーカー内で、水に(c)成分を溶解し、これらの合計量が組成物全体の50質量%となるようにキレート剤水溶液を調製した。(c)成分を用いていない場合(実施例27)は、容量1Lビーカー内に、組成物全体の50質量%分の水を入れた。
別途、容量1Lビーカー内で、75℃に調整した水と、(a)成分又は(a’)成分と、(b)成分又は(b’)成分と、を混合し、これらの合計量が組成物全体の40質量%となるように界面活性剤液を調製した。
次いで、75℃に加温した前記キレート剤水溶液をアジホモミキサー6000rpmで撹拌しながら、75℃に調整した前記界面活性剤液の全量を加え、その後、30秒間撹拌して、(a)成分又は(a’)成分と、(b)成分又は(b’)成分と、を含有する混合液を得た。
この混合液を25℃まで冷却した後、pH調製剤として1N水酸化ナトリウムを用いて組成物のpH(25℃)が7.0になるように調整した。次いで、酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ)を加えて撹拌し、組成物全体が100質量%となるように残りの水を加えて撹拌することにより液体状の洗浄剤を得た。
組成物のpH(25℃)は、25℃に調整した液体状の洗浄剤を、ガラス電極式pHメーター(HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定した。測定方法は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠して行った。
ただし、実施例16は参考例である。
各例の洗浄剤について、以下に示す評価方法によって各評価を行い、その結果を表1〜3に併記した。
食器洗い機として、自動食器洗い乾燥機(パナソニック株式会社製、機種NP−40SX2)を用いた。各評価において、洗浄処理は、該自動食器洗い乾燥機に設定されている標準コース(節電モード又は通常モード)で運転することにより行った。節電モードとは、通常モードと比較して、洗浄工程での水温が15℃低く設定されている。該標準コース(節電モード)の内容を以下に示す。
該自動食器洗い乾燥機に洗浄剤6g(水道水3Lに対し)を投入した後、約5℃の水道水を庫内に導入して調製される洗浄液を40℃まで2〜3℃/minで昇温しながら20分間洗浄を行い、該洗浄液を排水する。次いで、新たな水道水を導入し、すすぎ(2分間/回)と排水との繰返し3回を行う。排水後、新たな水道水を導入し、70℃まで2〜3℃/minで昇温しながらすすぎ1回(最終すすぎ)20分間を行い、排水後、温風を循環させながら食器等を乾燥する。
前記自動食器洗い乾燥機に洗浄剤6gを投入し、前記標準コース(通常モード)にて運転を行った。
洗浄開始から水温が50℃に達した時点で運転を止めると同時に扉を開け、その15秒後に庫内の泡立ちを測定した。
その際、庫内の3箇所をランダムに選択し、物さしで該箇所の泡高(mm)をそれぞれ測定し、これらの平均値を求めた。この泡高が10mm以下であれば合格とした。
油汚れとして、牛脂/ラード/バター/サラダ油=3/3/3/1(質量比)の混合油とレトルトカレー(ボンカレーゴールド21辛口)とを用いた。
前記混合油3g及び前記レトルトカレー6gをそれぞれ全体に付着させて汚染したポリプロピレン製弁当箱(縦110mm、横170mm、高さ35mm)を、前記自動食器洗い乾燥機に装填し、洗浄剤6gを投入して標準コース(節電モード)で洗浄処理を施した。
洗浄処理の後、ポリプロピレン製弁当箱の仕上がり具合を観察し、下記の評価基準に基づいて、油汚れに対する洗浄力を評価した。評価点が3点以上であれば合格とした。
(評価基準)
4点:油汚れが完全に除去されていた。
3点:若干油汚れが残っていたが、洗い直す必要がないレベルであった。
2点:油汚れが残っており、洗い直す必要があるレベルであった。
1点:油汚れがべっとりと残っていた。
ガラスコップ(上径63mm、下径53mm、高さ100mm)を前記自動食器洗い乾燥機に装填し、炭酸ナトリウム1.2gを機内に入れ、洗浄〜すすぎの全工程を、30度硬水を用いて行い、曇り汚れ(白化物)が付着したガラスコップを得た。
この曇り汚れが付着したガラスコップを、前記自動食器洗い乾燥機に装填し、洗浄剤6gを投入して標準コース(節電モード)で洗浄処理を施した。
洗浄処理の後、ガラスコップの仕上がり具合を観察し、下記の評価基準に基づいて、ガラスの曇り汚れに対する洗浄力を評価した。評価点が3点以上であれば合格とした。
(評価基準)
4点:白化物が完全に除去されていた。
3点:部分的にかすかに白化物が認められたが、実使用上、問題の無いレベルであった。
2点:白化物の残留が目視で若干認められ、全体的に透明感が失われていた。
1点:白化物がほとんど除去されずに残っていた。
紅茶を飲み干した後、温度25℃、相対湿度50%RH条件下で一晩放置した紅茶汚垢の付いたコーヒーカップ(内径70mm、高さ70mm)3個を、前記自動食器洗い乾燥機に装填し、洗浄剤6gを投入して標準コース(節電モード)で洗浄処理を施した。
洗浄処理の後、コーヒーカップの仕上がり具合を観察し、下記の評価基準に基づいて、茶渋汚れに対する洗浄力を評価した。コーヒーカップ3個の評価の平均点が3.0点以上であれば合格とした。
(評価基準)
4点:汚れが完全に除去されていた。
3点:若干の汚れが認められたが、洗い直す必要がないレベルであった。
2点:汚れが残っており、洗い直す必要があるレベルであった。
1点:汚れがほとんど除去されずに残っていた。
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