JP6117453B1 - ローヤルゼリー分画の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ローヤルゼリーを水で溶出し残差を得ること、得られた残差を50%エタノールで溶出し残差を得ること、次いで、得られた残差を99.5%エタノールで溶出し溶出各分を得ることを含む、ローヤルゼリー分画の製造方法に関する。

Description

本発明は、ローヤルゼリー分画の製造方法に関する。
認知症には、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症等が含まれ、認知症の60〜70%がアルツハイマー型認知症といわれている。アルツハイマー型認知症には、初老期発症型のアルツハイマー病(AD、若年性アルツハイマー病とも言われる。)と老年期発症型のアルツハイマー型老年期認知症(SDAT)とが含まれる。一般にはATDを発症年齢65歳で分け、65歳以前の発症のアルツハイマー病(AD)と、65歳以降の発症のアルツハイマー型老年期認知症(SDAT)と年齢で区別している。ADでは、記憶を司る海馬や嗅内皮質が最も早期に冒されやすいことが知られている。
ADでは記憶障害のうち特に、エピソード記憶が障害されやすい。エピソード記憶には海馬と嗅内皮質が重要である。嗅内皮質は海馬と大脳新皮質を橋渡しする役目があり、記憶は海馬から嗅内皮質を通って大脳皮質に蓄えられていく。しかしADでは早期から嗅内皮質が障害されるため、記憶を大脳皮質に蓄えることができなくなる。
海馬における長期増強(LTP)は記憶と学習において重要なメカニズムのひとつとされている。また、ADなどの認知機能障害などにおいては、様々な要因によりシナプス可塑性障害が起こり、その結果LTPが抑制されることによって記憶障害が引き起こされることが報告されている。このシナプス可塑性に重要な分子標的のひとつがcAMP応答配列結合タンパク質(CREB)のリン酸化とそれに続くCRE依存的転写活性である。可溶性のアミロイドβ(Aβ)オリゴマーは、ADの初期の認知機能障害の原因と信じられている。このAβオリゴマーは、海馬神経細胞において記憶形成と密接に関連するCRE依存的転写活性を抑制する。
cAMP/PKA/ERK/CREB依存的シグナル伝達経路は、脳の記憶・学習能力と密接に関連することが証明されている。近年、脳内におけるアミロイドβタンパク質(Aβ)の蓄積に起因する神経の変性・脱落に加えて、可溶性Aβによる神経細胞死を伴わないシナプス可塑性障害は、アルツハイマー病(AD)における記憶障害の原因の一つと理解されるようになってきた。例えば、学習および記憶形成の細胞機構の一つと考えられている海馬グルタミン酸シナプスにおける神経伝達の長期増強(LTP)は、シナプス可塑性の代表的な例である。AβはPKA/CREBシグナル伝達を阻害して、このLTPの発生を抑制することが知られている。つまり、このようなAβによるシグナル伝達阻害を改善または抑制する生理活性物質を含有する食品は、ADの改善・予防に有用であると考えられる。
ADの患者の大脳には、老人斑と神経原線維変化が現れる。大脳皮質では、まず老人斑が現れ、次いで神経原線維変化が現れる。このため、当初は、ADの原因は、老人斑であると考えられていた。しかし、老人斑を消しても記憶障害を改善することができなかったとの臨床研究の結果から、老人斑は、ADの原因ではなく結果であると結論された。より最近は、可溶性アミロイドβ(Aβ)オリゴマーが、ADの早期に現れる記憶障害の原因であると考えられている。
近年、ADの原因物質であるAβオリゴマーを分解するシステムが海馬で発見された。より具体的には、Aβオリゴマー分解酵素(ネプリライシン)を作る海馬神経細胞と、ネプリライシンの働きを強くする因子(ソマトスタチン)を作る海馬神経細胞からなるAβオリゴマー蓄積抑制システムが発見された。
Aβは、42のアミノ酸からなる分子であり、何らかの原因で構造変化が起こり、これが2つ集まって、Aβオリゴマーができる。このAβオリゴマーには、海馬にある神経細胞に傷害を与えて、記憶障害や細胞死を起こす毒性があることが証明されている。さらに、海馬や大脳皮質で神経原線維変化を誘導する活性もある。しかも、この分解酵素の働きや、その活性増強因子の発現は、老化やADに伴って減弱する。したがって、海馬のAβオリゴマー分解システムを回復・強化することができる機能性食品の開発が望まれている。
凍結ローヤルゼリーが、神経細胞モデル(PC12−D)に対する、CRE依存性転写促進作用を有することが知られていた(特許文献1)。しかし、インビボでの記憶を司る海馬を構成する細胞に対する作用は、確認されていない。また、ローヤルゼリーのどのようなフラクションが、より有効であるのかも知られていない。
WO2009/154197
本発明は、従来技術に比べてより高いCRE依存性転写促進作用を有するローヤルゼリー分画の製造方法を提供する。
本発明は、以下に関する。
[1]ローヤルゼリーを水で溶出し残差を得ること、得られた残差を50%エタノールで溶出し残差を得ること、次いで、得られた残差を99.5%エタノールで溶出し溶出各分を得ることを含む、ローヤルゼリー分画の製造方法、
[2]ローヤルゼリーを含む、海馬のAβオリゴマー分解システムを回復・強化するための組成物、
[3] ローヤルゼリーが、[1]の方法によって得られたローヤルゼリー分画である、[2]に記載の組成物。
本発明のローヤルゼリー分画は、アルツハイマー病の予防及び/又は治療に有用である。
ローヤルゼリー原乳をDMSOに溶解したサンプルは、PBS(−)溶解原乳と比べて強いCRE依存的転写促進活性を示す。左は、PBS(−)溶解原乳であり、右は、DMSO溶解原乳である。値は、平均±SEM(n=4)で示した。コントロールに対して、***は、p<0.001であり、**は、p<0.01である。MK−801は、10μMであり、ノビレチン(nobiletin)は、30μM処置である。 ローヤルゼリー原乳の水溶性フラクション以外のフラクション(Fr.2,3,4)にも転写促進活性が確認された。全てのペアについて事後チューキー検定を伴う一元配置分散分析を行った。各ローヤルゼリーフラクションは、100μg/mlで処置した。ノビレチン(nobiletin)は、30μM処置である。値は、全ての実験で平均±SEM(n=4)で示した。コントロールに対して、****は、p<0.0001であり、**は、p<0.01である。 図3は、ローヤルゼリー原乳及びそのフラクションの記憶と関連する転写の促進活性である。全てのペアについて事後チューキー検定を伴う一元配置分散分析を行った。値は、平均±SEM(n=4)で示した。コントロールに対して、****は、p<0.0001であり、*は、p<0.05である。原乳フラクションは、100μg/mlであり、ノビレチン(nobiletin)は、30μM処置である。 図4は、ローヤルゼリー原乳の分画方法である。水溶性画分は、PBS(−)に溶解し、その他は、DMSOに溶解し、活性を評価した。 図5は、ローヤルゼリーの凍結乾燥粉末(FD末)と各フラクションの記憶と関連する転写の促進活性である。全てのペアについて事後チューキー検定を伴う一元配置分散分析を行った。値は、平均±SEM(n=4)で示した。コントロールに対して、***は、p<0.001であり、**は、p<0.01であり、*は、p<0.05である。FD120329(フリーズドライ粉末100μg/ml及び各フラクション100100μg/ml)に対して、##は、p<0.01であり、###は、p<0.001である。ノビレチン(30μM)に対して、$$$は、p<0.001であり、$は、p<0.05である。 図6は、ローヤルゼリーのフラクション3の記憶と関連する転写の促進活性である。全てのペアについて事後チューキー検定を伴う一元配置分散分析を行った。値は、平均±SEM(n=4)で示した。コントロールに対して、****は、p<0.0001であり、*は、p<0.05である。Fr.1〜4は、100μg/mlであり、ノビレチン(nobiletin)は、30μM処置である。 図7の左は、ローヤルゼリーの原乳及びフラクション3のAβオリゴマーの作用に対する抑制効果である。全てのペアについて事後チューキー検定を伴う一元配置分散分析を行った。30μMアミロイドβ処理細胞に対して、***は、p<0.001であり、*は、p<0.05である。原乳フラクションは、100μg/mlであり、ノビレチン(nobiletin)は、30μM処置である。 図7の右は、AβのCRE依存的転写活性に及ぼす影響である。スチューデントのt検定を用いた。コントロールに対して、***は、p<0.001である。 図8は、初代培養海馬神経細胞におけるローヤルゼリーのフラクション3のCRE依存的転写活性に及ぼす影響である。全てのペアについて事後チューキー検定を伴う一元配置分散分析を行った。値は、平均±SEM(n=4)で示した。コントロールに対して、***は、p<0.001である。 図9は、成体マウス中脳(黒質・腹側被蓋野)ドパミン神経におけるローヤルゼリー原乳とフラクション3によるドパミン合成律速酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)及びリン酸化コフィリンの発現レベルである。8mg/kgのローヤルゼリーの第3画分又は0.5g/kgのローヤルゼリー原乳を1週間経口投与後、還流固定し薄切切片を作成し、中脳組織を染色した。リン酸化コフィリンレベル及びチロシン水酸化酵素の発現増大が認められた。スケールバーは、300μmである。 図10は、培養海馬神経のネプリライシンのmRNA発現レベルに対するローヤルゼリー原乳(100μg/ml)の効果である。各mRNAレベルを、βアクチンによって標準化した。値は、平均±SEMで示した。コントロール(空カラム)に対して、***は、p<0.001である。ベヒクル(充填カラム)に対して、###は、p<0.001である。nは3である。CNTは、コントロールであり、CSは、10μMシクロソマトスタチンである。 図11は、培養海馬神経におけるソマトスタチン、ネプリライシン、NGF及びBDNFのmRNA発現レベルに対するローヤルゼリーフラクション3の効果である。各mRNAレベルを、βアクチンによって標準化した。値は、平均±SEMで示した。コントロールに対して、***は、p<0.001であり、**は、p<0.01である。nは3である。SMTは、ソマトスタチンであり、NPLは、ネプリライシンである。 図12は、成体マウス海馬神経におけるローヤルゼリー原乳とローヤルゼリーフラクション3によるソマトスタチンの発現の増強を示す。スケールバーは200μmである。矢印の先の染色されている部分がソマトスタチンの発現を示す。 図13は、成体マウス海馬神経におけるローヤルゼリー原乳とローヤルゼリーフラクション3によるソマトスタチンの発現の増強を示す。下段は、上段の点線で囲んだ部分の拡大図である。 図14は、成体マウス海馬神経におけるローヤルゼリー原乳とローヤルゼリーフラクション3によるソマトスタチンの発現の増強を示す。1〜3は、それぞれ、図13の拡大図のコントロール、ローヤルゼリーフラクション3、ローヤルゼリー原乳に対応する。免疫組織化学染色結果における各処置群のソマトスタチン陽性神経細胞を個別に解析し、ソマトスタチン発現レベルを縦軸に示した。1.黒丸はコントロール群30細胞、2.黒四角はローヤルゼリーフラクション3処置群32細胞、3.黒三角はローヤルゼリー原乳処置群30細胞の解析結果を示した。ローヤルゼリーフラクション3、ローヤルゼリー原乳処置群ともに*** p < 0.001対コントロール(Tukey’s multiple comparison testを用いた有意差検定)。 老齢マウス海馬におけるRJ原乳経口投与によるソマトスタチンの発現増強効果。17か月齢C57BL6系統老齢マウスにおけるRJ原乳0.5g/kgの1週間経口投与は、脳組織切片の免疫組織化学的解析において、大脳皮質および海馬(矢印)におけるソマトスタチンの発現レベルを増強させた。スケールバーは200μmである。 老齢マウス海馬におけるRJ原乳経口投与によるネプリライシンの発現増強効果。同上マウスにおけるRJ原乳0.5g/kgの1週間経口投与は、大脳皮質および海馬(矢印)におけるネプリライシンの発現レベルを増強させた。スケールバーは200μmである。
本発明の製造方法によって得られるローヤルゼリーの画分は、認知障害改善のための、医薬品、医薬部外品または食品などに配合することができる。
医薬品の形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤などが挙げられる。これら医薬品は、通常の医薬製造における添加剤を使用して製造することができる。
本発明の認知障害改善剤の投与量は特に限定されないが、たとえば、経口投与の場合には一日あたり10〜60mg/kg体重、好ましくは一日あたり20mg/kg体重であり、非経口投与の場合には一日あたり2〜6mg/kg体重、好ましくは2〜3mg/kg体重である。上記投与量は1日1回または2〜3回に分けて投与することができ、年齢、病態、症状により適宜増減することもできる。
添加剤の具体例としては、ラクトース、デキストリン、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ソルビトール、結晶性セルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられ、これらを単独または適宜組合わせて使用することができる。これら医薬品は、日本薬局方の記載に従い、各々の医薬品の形態に適した方法で製造することができる。また、香味料、着色料、甘味料など適宜使用することもできる。これら添加剤の含有量は当業者に適切に選択され得る。
医薬部外品の形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ゼリー剤、ドリンク剤などが挙げられる。これら医薬部外品は、通常の医薬部外品製造における添加剤を使用して製造することができる。さらに、これら医薬部外品は、例えばビタミン類などの他の有効成分を含有することもできる。また、甘味料、香味料、着色料、酸化防止剤などの添加剤を単独または適宜組み合わせて使用することもできる。これら医薬部外品は、当業者に周知の方法で製造することができる。
食品の形態としては、麺、パスタ、顆粒、錠果、ゼリー、液体(飲料)などが挙げられる。これら食品は、様々な食品材料を適宜使用して製造することができる。食品材料の具体例は、米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、スイートポテト、大豆粉、海藻粉、水飴、乳糖、グルコース、果糖、スクロース、マンニトールなどであり、これらを単独または適宜組み合わせて使用することができる。必要に応じて水などの使用により所望の形状にすることができる。さらに、香味料、着色料、甘味料、食用油、ビタミン類などを適宜添加することもできる。
また、本発明は、本発明のローヤルゼリーの画分を、認知障害の改善の必要がある対象に投与することを含む、認知障害の治療及び/又は予防方法、より具体的には、に関する。
以下に本発明を実施例で具体的に説明するが、これはその代表例を示すものであって、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
海馬とよばれる脳の部位は、身の回りの出来事や言葉を記憶する脳の高次機能に不可欠である。認知症の最大の原因疾患であるアルツハイマー病の初期にはこの海馬の神経細胞の機能障害が起こることが知られている。
海馬での記憶形成と関連する転写活性を指標にローヤルゼリーの作用を調べてみた。ネズミの脳の海馬から神経細胞を取り出して2週間培養し、その後培養液に新鮮なローヤルゼリー原乳を添加すると、海馬の神経細胞は応答して転写活性を上昇させた。さらに活性成分を濃縮して神経細胞を処置すると、応答は一層強くなることが観察された。今回の研究から、ローヤルゼリーは記憶と関連する海馬神経細胞の活性を強化する作用をもつことが示された。
分画方法
1.オープンカラム(直径25mm×全長550mm)にダイヤイオン(HP−20、20g)を充填し、2〜3時間水を流し続け平衡化させた。
2.上清(フラクション3)をエバポレーターで1ml〜2mlになるまで濃縮し、全量をカラムに充填した。
3.水(100ml)を少しずつカラムに加え、溶出させ、画分を得た。
4.50%エタノール(100ml)を少しずつカラムに加え、溶出させ、画分を得た。
5.99.5%エタノール(100ml)を少しずつカラムに加え、溶出させ、画分を得た。
6.メタノール(100ml)を少しずつカラムに加え、溶出させ、各分を得た。
7.上記の2〜5で得られた画分を減圧下にて溶媒を留去し、収量を測定した。
以下に、各画分の収量を示す。
14日間培養した海馬神経細胞系での評価結果
RJ原乳のフラクション3を再分画したサンプル(Fr.3−1,Fr.3−2,Fr.3−3,Fr.3−4)について海馬の記憶形成と関連する活性を促進するか検証した。100μg/mLの処置濃度ではFr.3−1,Fr.3−2,Fr.3−3,Fr.3−4の全てにおいて促進活性を認めた。しかしながら、各フラクションの収量を考慮すると、Fr.3−3に最も強い活性があると算出される(図8)。
ローヤルゼリー及び各フラクションを14日間培養した海馬神経細胞系で評価した。
1.48時間後に採取した新鮮なローヤルゼリー原乳に濃度依存的なCRE依存的転写促進活性が認められた。
2.海馬神経細胞培養系においてローヤルゼリー原乳にCRE依存的転写促進活性を認めた。
3.100μg/mlのローヤルゼリー原乳のフラクション2及び3に、とりわけ、フラクション3において極めて強いCRE依存的転写促進活性が認められた。しかも、その転写促進効果は、30μMノビレチンよりも強力であり、コントロール群の7倍であった。
4.ローヤルゼリーのフリーズドライ粉末に原乳のフラクションを添加すると、転写活性は増大した。
5.ローヤルゼリー原乳及びフラクション3は、Aβオリゴマーの抑制作用を抑制した。
成体マウス中脳(黒質・腹側被蓋野)ドパミン神経におけるローヤルゼリー原乳とフラクション3によるドパミン合成律速酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)及びリン酸化コフィリンの発現レベルを検討した。8mg/kgのローヤルゼリーの第3画分又は0.5g/kgのローヤルゼリー原乳を1週間経口投与後、還流固定し薄切切片を作成し、中脳組織を染色した。リン酸化コフィリンレベル及びチロシン水酸化酵素の発現増大が認められた(図9)。
Aβオリゴマー分解酵素(ネプリライシン)を発現する海馬神経細胞とネプリライシンの働きを増強する因子(ソマトスタチン)を発現する海馬神経細胞において、ローヤルゼリー原乳及びそのフラクションはネプリライシンとソマトスタチンの発現を増強した。したがって、ローヤルゼリーは、海馬のAβオリゴマーの分解システムを回復・強化することができる。
ローヤルゼリー原乳は、ソマトスタチン受容体依存的にネプリライシンmRNAレベルを上昇させた。ソマトスタチン−ネプリライシン系の活性評価系として海馬神経培養系を用いた。非選択的ソマトスタチン受容体遮断薬であるシクロソマトスタチン(cyclosomatostatin、CS)はRJによるネプリライシンmRNAの発現増強を抑制した(図10)。
ローヤルゼリー原乳フラクション3は、ネプリライシン、その活性増強因子であるソマトスタチン、NGF、及びBDNFのmRNAレベルを上昇させた(図11)。
ローヤルゼリー原乳及びフラクション3の作用について、インビボで検討した。8mg/kgのローヤルゼリーフラクション3又は0.5g/kgのローヤルゼリー原乳を1週間経口投与後、還流固定し、薄切切片を作製し、海馬組織染色を行った。その結果、ソマトスタチンの免疫反応及び陽性反応の増加が認められた(図12、13、14)。
老齢のマウス海馬におけるネプリライシン及びその増強因子であるソマトスタチンの発現に対するローヤルゼリー原乳の影響を免疫組織化学的に解析した。C57BL/6Nマウス(17月齢、雄)に、ローヤルゼリー原乳(生理食塩液抽出物500mg/kg)を7日間経口投与した。その結果、老齢マウス海馬においてローヤルゼリー原乳によるネプリライシン及びソマトスタチンの発現の増強が認められた(図15、16)。

Claims (2)

  1. ローヤルゼリーを水で溶出し残渣を得ること、
    得られた残渣を50%エタノールで溶出し残渣を得ること、次いで、
    得られた残渣を99.5%エタノールで溶出し溶出画分を得ること
    を含む、ローヤルゼリー分画の製造方法。
  2. 請求項1の方法によって得られたローヤルゼリー分画を含む、海馬のAβオリゴマー分解システムを回復・強化するための組成物。
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