JP2007015958A - 神経成長因子産生促進剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 豊富な食経験があり、神経成長因子産生促進作用を有する植物由来の破砕物又は抽出物を好ましくは摂取して痴呆や神経障害を防止又は改善する。
【解決手段】 神経成長因子産生促進活性を示すアブラナ科、好ましくはアブラナ属の植物、好ましくはブロッコリー、ケール、キャベツのスプラウト(新芽)の粉砕物又はこれらの植物のスプラウトから溶媒を用いて得られる抽出物、またはこれらを有効成分として含む神経成長因子産生促進剤及び神経成長因子産生促進活性を有する飲食品。
【選択図】 なし
【解決手段】 神経成長因子産生促進活性を示すアブラナ科、好ましくはアブラナ属の植物、好ましくはブロッコリー、ケール、キャベツのスプラウト(新芽)の粉砕物又はこれらの植物のスプラウトから溶媒を用いて得られる抽出物、またはこれらを有効成分として含む神経成長因子産生促進剤及び神経成長因子産生促進活性を有する飲食品。
【選択図】 なし
Description
本発明は、神経成長因子(beta nerve growth factor、以下「ベータNGF」と略記)産生促進活性を有する組成物及びその製造方法並びにベータNGF産生促進剤などに関するものであり、さらに詳しくは、神経系の老化予防や神経障害の進行防止、あるいはこれら疾患の改善等に有効な安全性の高いベータNGF産生促進活性を有する組成物に関するものである。
高齢化社会への移行に伴って老年型痴呆症が増加する傾向にあり、社会的な問題となりつつある。老年型痴呆症の原因となる疾患は数多く知られ、脳器質性障害による痴呆、脳以外の臓器疾患に付随した痴呆、およびストレスによる身体疾患に起因する痴呆に分類される。また、脳器質性障害による痴呆は、原因の違いにより脳血管性痴呆症とアルツハイマー型痴呆症とに分類される。
現在、脳血管性痴呆症に対しては脳血管拡張薬などがある程度の効果を示すことが知られているが、アルツハイマー型痴呆症に対しては、その発症原因が今なお不明であり、適切な治療方法も明らかになっていない。そのため、脳器質性障害による痴呆、特にアルツハイマー型痴呆症に対して有用な医薬や食品の開発が所望されている。
近年、神経細胞から分泌されるベータNGFなどの神経栄養因子が神経変性疾患に対して優れた効果を示すことが見出され、注目を集めている。ベータNGFは、神経組織の成長および機能維持にとって重要かつ必要な因子である。ベータNGFは、末梢神経における知覚および交感神経の、ならびに中枢神経における大細胞性コリン作動性ニューロンの、成熟、分化、および生命維持に不可欠であり、脳損傷時の神経細胞の変性を防ぐという作用を示す。これにより、生体内においてベータNGFレベルを上昇させることは、アルツハイマー型痴呆症及び脳血管性痴呆症のような中枢機能障害、精髄障害、末梢神経損傷、糖尿病性神経障害、並びに筋萎縮変性側索硬化症のような抹消機能障害の治療に有用であると考えられる。
しかし、ベータNGFはモノマーで13000又はダイマーでは26000もの分子量を有するタンパク質であり、血液脳関門を通過することができない。そのため、例えば中枢機能障害の治療を目的とした場合には、脳室内投与が必要となる。さらに、ベータNGFの大量調製も困難である。このようにベータNGF自体の使用には多くの問題があり、ベータNGF自体を用いることは非常に困難である。
ベータNGFが、末梢神経系においては胎生期の知覚および交感神経節神経細胞の分化及び成長を促進し、神経細胞突起の伸長を促すペプチドであること、さらに成熟交感神経細胞にとっては一生を通じて生存および機能維持に不可欠なペプチドであることが知られている。たとえば、幼若動物に抗ベータNGF抗体を連続投与してベータNGFの生理活性を中和した場合には、交感神経節の顕著な萎縮や神経節神経細胞の死滅が観察されている(非特許文献1、2)。この現象は不可逆的であり、ベータNGFの生理的役割の重要性を証明するものである。また、ベータNGFの作用に関する応用研究も行なわれており、ベータNGFが神経軸索の再生にも有効であることが明らかにされている(非特許文献3)。
一方、中枢神経系におけるベータNGFの重要性も知られており、たとえば、中隔から海馬へ投射している神経路を切断したラットの脳室内にベータNGFを投与することによって、中隔のコリン作動性神経細胞の変性、脱落が抑制されること(非特許文献4、5)、老齢ラットの学習、記憶能力がベータNGFの脳室内投与で改善されること(非特許文献6)、脳虚血後に見られる海馬の錐体細胞の遅延性細胞死がベータNGFの前投与により抑制されること(非特許文献7)等が報告されている。
このように、ベータNGFが神経細胞の生存に不可欠な因子であることから、神経疾患や神経細胞障害の進行防止ないしは治療を目的として、ベータNGFの産生を促進する物質の検索が行なわれている。その結果、これまでにカテコールアミン類(非特許文献8)、コリン作動性アゴニスト(特許文献1)、桂皮酸アミド化合物(特許文献2)、ベンゾキノン誘導体(非特許文献9)及びプロペントフィリン(非特許文献10)にベータNGF産生促進作用のあることが報告されている。また、線維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor)、血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor)、トランスフォーミング成長因子アルファ及びベータ(transforming growth factor α and β)、上皮細胞成長因子(epidermal growth factor)及びインシュリン様成長因子(insulin-like growth factor)等のいわゆる細胞増殖因子にもベータNGFの産生を促進する活性が認められている(非特許文献11)。
ベータNGF産生を促進する食品由来の物質又は抽出物としては、ホップ又はアシタバから得られる破砕物又は抽出物(特許文献3)、ローズマリー由来のカルノジン酸(特許文献4)、緑茶由来のテアニン(特許文献5)、ガゴメコンブ由来のフコイダン(特許文献6)、プロタミン(特許文献7)、ブナハリタケ抽出物(非特許文献12)などが知られている。
アブラナ科植物のスプラウトについては、スルフォラファンやインドール−3−カルビノールに代表されるグルコシノレート類が成熟体よりも数十倍以上多く含まれており、高い抗酸化活性(非特許文献13)、ヒト大腸ガン細胞に対してアポトーシスを誘導する活性(非特許文献14) 、ラット乳がん細胞に対する発ガン抑制活性(非特許文献15)などが報告されている。発ガン性物質や薬物は肝臓で作られるフェーズ1酵素群とフェーズ2酵素群によって解毒される。フェーズ1酵素群にはチトクロムP450が含まれ物質の酸化や加水分解を行うが、場合によっては発ガン物質を活性化してしまう。一方、フェーズ2酵素群にはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(Glutathion S-transferase)やキノン還元酵素(Quinon reductase)、UDP-Glucoronosyl transferaseなどが含まれ、これらは発ガン物質を不活性化する。グルコシノレート類にはフェーズ1酵素発現量に影響を与えることなく、フェーズ2酵素群を誘導・活性化させる作用があるといわれている。さらにスルフォラファンにはピロリ菌に対する殺菌効果があり、この菌が原因で引き起こされる胃潰瘍を防ぐことを報告されている。(非特許文献16)
アブラナ科植物のスプラウトまたは成熟体を用いた特許としては、スプラウト抽出物の大腸がん予防効果(特許文献8)、抽出物のグルコシノレートによる高血糖値障害抑制効果(特許文献9)、有害物質の排泄促進効果(特許文献10)及び胃障害の予防効果(特許文献11)、抽出エキスによる線維芽細胞の賦活効果(特許文献12)などが知られている。
R. Levi‐Montalcina他、Physiological Review,48, 534−569, 1968 H. Thoenen他、Physiological Review, 60, 1284−1335, 1980 Rich他、Experimental Neurology, 105, 162−170, 1989 F. Hefti, Journal of Ncuroscience, 6, 2155−2162, 1986 : L. F.Kromer, Science, 235, 214−216, 1987 L. R. Williams他、Proceedings of National Academy of Sciences U. S. A. 83, 9231−9235, 1986 W. Fisher他、Nature, 329, 65−68, 1987 茂野他、医学のあゆみ、第145巻、579−580, 1988 Y.Furukawa他、Journal of Biological Chemistry, 261, 6039−6047,1986 特開昭63−83020号公報
特開平2−104568号公報
R. Takeuchi他、FEBS Letter, 261, 63-66, 1990
I. Shinoda他、Biochemical Pharmacology, 39, 1813−1816, 1990
篠田 他、生化学、第62巻、835頁、1990年
再表2003−006037号公報
特開2001−233835号公報
特開平7−173059号公報
再表2000−062785号公報
特開平5−51325号公報
Okuyama S, TerashimaT, Kawamura Y, Yokogoshi H 、Nutr Neurosci. 7, 741-47,2004
平成8年 食品試験研究成績 計画概要旨集 p109-110
Drug metab. Rev.,2000, 32;395-411
PNAS,1994, 91: 3147-50
PNAS,2002, 99, 7610-15
特開2005−60229号公報
特開2005−47822号公報
特開2005−112788号公報
特開2003−81820号公報
特開2003−238429号公報
アブラナ科植物のスプラウトまたは成熟体を用いた特許としては、スプラウト抽出物の大腸がん予防効果(特許文献8)、抽出物のグルコシノレートによる高血糖値障害抑制効果(特許文献9)、有害物質の排泄促進効果(特許文献10)及び胃障害の予防効果(特許文献11)、抽出エキスによる線維芽細胞の賦活効果(特許文献12)などが知られている。
R. Levi‐Montalcina他、Physiological Review,48, 534−569, 1968 H. Thoenen他、Physiological Review, 60, 1284−1335, 1980 Rich他、Experimental Neurology, 105, 162−170, 1989 F. Hefti, Journal of Ncuroscience, 6, 2155−2162, 1986 : L. F.Kromer, Science, 235, 214−216, 1987 L. R. Williams他、Proceedings of National Academy of Sciences U. S. A. 83, 9231−9235, 1986 W. Fisher他、Nature, 329, 65−68, 1987 茂野他、医学のあゆみ、第145巻、579−580, 1988 Y.Furukawa他、Journal of Biological Chemistry, 261, 6039−6047,1986
豊富な食経験があり、ベータNGF産生促進作用を有する植物由来の破砕物又は抽出物を好ましくは摂取して痴呆や神経障害の防止又は改善が可能となることが期待されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ベータNGFの産生を高めることにより神経細胞の生存と機能維持を促して神経系の老化を予防ないし改善し、また障害を受けた神経細胞に対してはその細胞自身の変成脱落を予防し、神経障害の進行を防止ないし改善する、ベータNGF産生促進活性を有するアブラナ科植物のスプラウトの破砕物又は抽出物を提供することを課題としている。
本発明者らは、ベータNGF産生促進作用を有する植物由来の破砕物又は抽出物の検討を鋭意行い、アブラナ科植物のスプラウトの破砕物又は抽出物にベータNGF産生促進活性があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、アブラナ科植物のスプラウトから得られることを特徴とするベータNGF産生促進活性を有する組成物を要旨とするものであり、好ましくは、アブラナ科植物が、アブラナ属植物であるものである。
別の本発明は、アブラナ科植物のスプラウトを平均粒径1mm以下に破砕して破砕物を得ることを特徴とする前記したベータNGF産生促進活性を有する組成物の製造方法を要旨とするものである。
また、別の本発明は、アブラナ科植物のスプラウトから溶媒を用いて抽出物を得ることを特徴とする前記したベータNGF産生促進活性を有する組成物の製造方法を要旨とするものであり、好ましくは、溶媒が、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、エーテル類及び二酸化炭素からなる群から選ばれる1種の溶媒又は2種以上を混合した溶媒であるものである。
別の本発明は、前記したベータNGF産生促進活性を有する組成物を有効成分とすることを特徴とする神経成長因子産生促進剤を要旨とするものである。
さらに別の本発明は、前記したベータNGF産生促進活性を有する組成物を含有することを特徴とする神経成長因子産生促進活性を有する飲食品を要旨とするものである。
本発明によれば、食経験豊かなアブラナ科植物の破砕物又は抽出物を薬学的組成物や食品組成物として利用することにより、神経系の老化予防や神経障害の進行防止、あるいはこれら疾患の改善が期待できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるアブラナ科植物は、世界中に35属約3000種が存在するといわれ、ダイコン属やワサビ属、アブラナ属、ナズナ属などが含まれる。
アブラナ属としては、ブロッコリー、ケール、キャベツ、メキャベツ、レッドキャベツ、カラシナ、セイヨウカラシナ、ハボタン、アブラナ、ハクサイ、コマツナ、カリフラワー、カブ、チンゲンサイ、ヤマトマナ、カイラン、ノザワナ、タカナ、スズナ、コールラビ、ワサビなどが挙げられる。
ダイコン属としては、ダイコン、カイワレなどが挙げられ、ワサビ属としては、ワサビなど、セイヨウワサビ属としてはホースラディッシュなどが挙げられる。
これらのアブラナ科植物のうち、本発明においてはアブラナ属に属する植物が好ましく、その中でもブロッコリー、ケール、キャベツが好ましい。ブロッコリーは地中海沿岸が原産の緑黄色野菜であり、ケールの改良品といわれる。またブロッコリーを改良したものがカリフラワーである。これらにはグルコシノレート類をはじめビタミンC、カロチン、ビタミンB2、カリウム、カルシウム、クロム、食物繊維などを含み、日本には明治時代の初期に渡来し、現在では食経験の豊かな植物として知られている。
本発明においては、上記したアブラナ科植物のスプラウトを用いることが必須となる。ここでスプラウトとは、一般には野菜の新芽を総称する用語であるが、本発明におけるスプラウトは、発芽2〜5日目の10〜50mmに成長した全草(芽、子葉、種子、根)を含むものである。中でも芽、子葉が特に好ましい。
本発明のベータNGF産生促進活性を有する組成物は、アブラナ科植物のスプラウトから得られるものであって、具体的にはアブラナ科植物のスプラウトを破砕した破砕物または乾燥破砕物や、アブラナ科植物のスプラウトから各種溶媒を用いて抽出した抽出物や該抽出物を濃縮・乾燥したものなどである。
アブラナ科植物のスプラウトを破砕して破砕物を得るには、予めスプラウトを乾燥することが好ましい。乾燥条件は、特に限定されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば常温乾燥、加熱乾燥や凍結乾燥、減圧乾燥、真空乾燥などの方法が利用でき、好ましくは経済的な30〜100℃での加熱乾燥であり、50〜80℃での加熱乾燥がさらに好ましい。乾燥機は、例えばドラムドライヤーや流動層式乾燥機、棚式乾燥機、振動乾燥機、ロータリードライヤーなどの機械装置類が挙げられるが特に限定するものではない。
次いで、乾燥したスプラウトを破砕するが、公知の破砕方法が採用できる。得られる破砕物の粒径が1mm以下になるように破砕することが好ましい。破砕機としては、例えば、乾式石臼式破砕機、ローラーミル、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、ハンマーミルなどが挙げられるが特に限定するものではない。
以上のようにして得られたアブラナ科植物のスプラウトの破砕物は、そのままで、あるいは必要に応じて他の成分を加えることで本発明のベータNGF産生促進活性を有する組成物となる。
また、アブラナ科植物のスプラウトから抽出物を得る際に用いられる抽出溶媒としては、例えば水、二酸化炭素、低級1価アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、低級エステル(酢酸エチル等)、炭化水素(ベンゼン、ヘキサン、ペンタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル等)、アセトニトリル等が挙げられ、それらの1種の溶媒又は2種以上を混合した溶媒を用いることができる。好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、エーテル類、二酸化炭素である。
抽出を行うには、スプラウトに溶媒を添加してもよいが、できれば上記したようにスプラウトを破砕した後、破砕物に対して溶媒を添加するほうが好ましい。
抽出温度は、抽出溶媒が液体状態であり、抽出中にスプラウトが腐敗して変質しない条件であれば特に限定しないが、好ましくは40℃以下であり、さらに好ましくは10℃以下である。抽出温度は使用する溶媒の種類によって適宜選択すればよい。また抽出時間は5時間以上が好ましく、さらに好ましくは1週間以上であり、最も好ましくは20日以上である。
抽出後、破砕物と溶媒との混合物は公知の方法によって固液分離し、抽出液のみを回収すればよい。固液分離する方法としては遠心分離、フィルタープレス、吸引ろ過などが挙げられるが特に限定しない。さらに、必要に応じて抽出液を濃縮・乾燥することもできる。
以上のようにして得られたアブラナ科植物のスプラウトの抽出物は、そのままで、あるいは必要に応じて他の成分を加えることで本発明のベータNGF産生促進活性を有する組成物となる。
組成物に含まれ得る他の成分としては、本発明におけるベータNGF産生促進活性を低下させないものであれば混合することが可能であり、例えば従来から用いられている薬学的に許容された界面活性剤、溶媒、増粘剤、安定剤、保存料、酸化防止剤、香味料、等のような添加剤と混合されることが出来る。
組成物の形態としては、錠剤、液体、カプセル、軟カプセル、ペースト若しくはトローチ、ガム、又は飲用可能な溶液若しくは乳濁液、ドライ経口サプリメント 、ウェット経口サプリメントなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、これらの形態は従来から知られている方法によって作製することができる。
本発明のベータNGF産生促進剤は、上記した本発明のベータNGF産生促進活性を有する組成物を有効成分として含むものである。有効成分の含有量としては、摂取する対象者の年齢、体重などによって変わり得るが、成人1日あたり0.01〜100mg/kg服用できるように含有するのが好ましく、さらに0.1〜10mg/kgが好ましく、0.5〜5mg/kgが最も好ましい。
本発明のベータNGF産生促進剤に含まれる各種添加剤としては、界面活性剤、賦形剤、着色料、保存料、コーティング助剤ならびにこれらの組合せが挙げられる。これら添加剤は、通常の医薬品製造における添加剤であれば特に限定されず、より具体的な例としては、ラクトース、デキストリン、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ソルビトール、結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、ステアリン酸及びその塩、タルクなどの添加剤であり、これらの組合せが挙げられる。さらに、香辛料、甘味料などを添加してもよい。またさらに、必要に応じて他の薬剤や食品粉砕物、食品抽出物を添加してもよい。
本発明のベータNGF産生促進剤の投与剤形も特に限定されず、日本薬局方に従って適切な剤形に製造される。具体的には、カプセル剤、錠剤、粉剤、除放剤などの剤形に製造される。
本発明のベータNGF産生促進活性を有する飲食品は、上記した本発明のベータNGF産生促進活性を有する組成物を含有するものである。有効成分の含有量は1日あたりの摂取量が0.01〜100mg/kgになるようそれぞれの飲食品の形態に合わせて設定すればよく、さらには0.1〜10mg/kgが好ましく、0.5〜5mg/kgが最も好ましい。
本発明のベータNGF産生促進活性を有する飲食品に混合され得る他の材料としては、一般に食品用材料として使用され得るものである。例としては、米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、昆布などから得られる多糖類、大豆や乳製品、動物原料などから得られるタンパク質、グルコース、ラクトース、フルクトース、スクロース、マンニトール、キシリトールや各種オリゴ糖などの糖類、ならびにこれらの組合せが挙げられる。さらに、香辛料、着色料、甘味料、酸味料、食用油、ビタミンや他の食品破砕物、食品抽出物などを添加してもよい。これら適切な材料および添加剤は単独または組合せて使用される。またさらに、必要に応じて水を添加して所望の形状に加工してもよい。
飲食品の具体例としては、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック菓子、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、インスタント食品に本発明の抽出物を添加しても良い。例えば、抽出物を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥したものを、粉末、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に飲食品に含有させることができる。
以下、本発明を試験例によりさらに詳細に説明する。
なお、ベータNGF産生促進活性の測定は以下のようにして行なった。
〔ヒトグリオブラストーマによるベータNGFの産生〕
終濃度が10%FBS(ウシ胎児血清)、110mg/mlピルビン酸ナトリウム、1%NEAA(非必須アミノ酸溶液:インビトロジェン株式会社)を含むEMEM培地に、12.5x104細胞/mlの濃度になるよう調製したヒトグリオブラストーマ(神経膠芽腫)T98G細胞懸濁液を、24穴マルチプレートの各穴に接種し、3日間培養した。その後、5mg/mlのBSA(ウシ血清アルブミン)を含むOpti-MEM培地に交換し、さらに4日間培養した。再度培地交換し、サンプルのDMSO溶液を、所定量添加し、4日間培養した。培養上清を回収し、産生されたベータNGF量を以下のようにして測定した。
〔ヒトグリオブラストーマによるベータNGFの産生〕
終濃度が10%FBS(ウシ胎児血清)、110mg/mlピルビン酸ナトリウム、1%NEAA(非必須アミノ酸溶液:インビトロジェン株式会社)を含むEMEM培地に、12.5x104細胞/mlの濃度になるよう調製したヒトグリオブラストーマ(神経膠芽腫)T98G細胞懸濁液を、24穴マルチプレートの各穴に接種し、3日間培養した。その後、5mg/mlのBSA(ウシ血清アルブミン)を含むOpti-MEM培地に交換し、さらに4日間培養した。再度培地交換し、サンプルのDMSO溶液を、所定量添加し、4日間培養した。培養上清を回収し、産生されたベータNGF量を以下のようにして測定した。
〔培養上清中のベータNGFの測定法〕
ベータNGFの測定はR&Dシステム社の「ベータNGF、Human, DuoSet Kit」を使用した。ポリスチレン製の96穴マルチプレートに、Capture Antibodyとしてマウス抗ヒトベータNGF抗体溶液を各穴に100μlづつ分注し、室温で一夜放置した。マイクロプレートに吸着されなかった抗体を除去後、Wash Buffer(0.05% Tween20を含むPBS)で各穴を3回洗浄した。各穴に300μlのReagent Diluent(1%BSAを含むPBS)を加えて1時間以上、室温でブロッキングをし、Wash Buffer(0.05% Tween20を含むPBS)で各穴を3回洗浄した。標準溶液としてのヒト組み換えベータNGF溶液あるいは、上記の実験により得られた各培養上清100μlを各穴に分注し、室温で2時間放置した後、標準溶液あるいは、培養上清を除去した。さらに各穴を3回づつ洗浄した。Detection Antibodyとしてヒツジ抗ヒトベータNGF抗体溶液を各穴に100μlづつ分注し、室温で2時間放置した後、ホースラーディッシュ由来パーオキシダーゼを各穴に100μlづつ加えて遮光して室温で20分間静置し、Wash Buffer(0.05% Tween20を含むPBS)で各穴を3回洗浄した。各穴にSubstrate Solution(過酸化水素とテトラメチルベンジジンの混合液)を100μlづつ加え室温で20分間反応させた。Stop Solutionとして2Nの硫酸を50μlづつ加え、直ちに吸光度計にて450/540nmの吸光度を測定し、標準曲線よりベータNGF量を算出した。
ベータNGFの測定はR&Dシステム社の「ベータNGF、Human, DuoSet Kit」を使用した。ポリスチレン製の96穴マルチプレートに、Capture Antibodyとしてマウス抗ヒトベータNGF抗体溶液を各穴に100μlづつ分注し、室温で一夜放置した。マイクロプレートに吸着されなかった抗体を除去後、Wash Buffer(0.05% Tween20を含むPBS)で各穴を3回洗浄した。各穴に300μlのReagent Diluent(1%BSAを含むPBS)を加えて1時間以上、室温でブロッキングをし、Wash Buffer(0.05% Tween20を含むPBS)で各穴を3回洗浄した。標準溶液としてのヒト組み換えベータNGF溶液あるいは、上記の実験により得られた各培養上清100μlを各穴に分注し、室温で2時間放置した後、標準溶液あるいは、培養上清を除去した。さらに各穴を3回づつ洗浄した。Detection Antibodyとしてヒツジ抗ヒトベータNGF抗体溶液を各穴に100μlづつ分注し、室温で2時間放置した後、ホースラーディッシュ由来パーオキシダーゼを各穴に100μlづつ加えて遮光して室温で20分間静置し、Wash Buffer(0.05% Tween20を含むPBS)で各穴を3回洗浄した。各穴にSubstrate Solution(過酸化水素とテトラメチルベンジジンの混合液)を100μlづつ加え室温で20分間反応させた。Stop Solutionとして2Nの硫酸を50μlづつ加え、直ちに吸光度計にて450/540nmの吸光度を測定し、標準曲線よりベータNGF量を算出した。
実施例1〔スプラウト抽出物の調製〕
ブロッコリー、ケール、キャベツ、カイワレ、ソバ、緑豆の種子を15℃〜25℃の水に浸漬させ、2〜5日間、間接日光照射にて発芽させた後、芽を10〜30mmに成長させた全草(芽、種子、根)を80℃で熱風乾燥し、回転刃付ブレンダーで破砕処理を行い、1mm以下の破砕物を得た。この破砕物1gに対してエタノール10mlを添加し、4℃にて室温で5時間攪拌して抽出処理を行った。また、ブロッコリーについてはエタノールに代えて水、メタノール、イソプロパノール、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、ジエチルエーテルそれぞれ単独の溶媒を用いて同様の抽出処理を行った。これらの各抽出物を遠心分離(3000rpm、10分間)して上清を回収し、上清を減圧下で乾燥させ、本発明のベータNGF産生促進活性を有する組成物を得た。固形分含量を測定した後、この乾燥物を再度、DMSO(ジメチルスルホキシド)10mlに溶解し、各抽出物の終固形分濃度が100μg/mlになるように加えてベータNGF産生促進活性を測定した。結果を表1に示した。表1の結果から、アブラナ科植物のスプラウトの水、アルコール類及びアセトン抽出物には強いベータNGF産生促進活性があり、中でもブロッコリーが最も効果が高かった。
ブロッコリー、ケール、キャベツ、カイワレ、ソバ、緑豆の種子を15℃〜25℃の水に浸漬させ、2〜5日間、間接日光照射にて発芽させた後、芽を10〜30mmに成長させた全草(芽、種子、根)を80℃で熱風乾燥し、回転刃付ブレンダーで破砕処理を行い、1mm以下の破砕物を得た。この破砕物1gに対してエタノール10mlを添加し、4℃にて室温で5時間攪拌して抽出処理を行った。また、ブロッコリーについてはエタノールに代えて水、メタノール、イソプロパノール、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、ジエチルエーテルそれぞれ単独の溶媒を用いて同様の抽出処理を行った。これらの各抽出物を遠心分離(3000rpm、10分間)して上清を回収し、上清を減圧下で乾燥させ、本発明のベータNGF産生促進活性を有する組成物を得た。固形分含量を測定した後、この乾燥物を再度、DMSO(ジメチルスルホキシド)10mlに溶解し、各抽出物の終固形分濃度が100μg/mlになるように加えてベータNGF産生促進活性を測定した。結果を表1に示した。表1の結果から、アブラナ科植物のスプラウトの水、アルコール類及びアセトン抽出物には強いベータNGF産生促進活性があり、中でもブロッコリーが最も効果が高かった。
実施例2
上記実施例1で得たブロッコリースプラウトのエタノール抽出物DMSO溶液を終固形分濃度が25、50、200μg/mlとなるように加える以外は同様にして、ヒトグリオハイブリドーマT98G細胞を用いてベータNGFを培養上清中に産生させ、ベータNGF量を測定した。結果を表2に示した。表2の結果から、ブロッコリースプラウトのエタノール抽出画分は濃度依存的にベータNGF産生促進活性を有することが明らかである。
上記実施例1で得たブロッコリースプラウトのエタノール抽出物DMSO溶液を終固形分濃度が25、50、200μg/mlとなるように加える以外は同様にして、ヒトグリオハイブリドーマT98G細胞を用いてベータNGFを培養上清中に産生させ、ベータNGF量を測定した。結果を表2に示した。表2の結果から、ブロッコリースプラウトのエタノール抽出画分は濃度依存的にベータNGF産生促進活性を有することが明らかである。
Claims (7)
- アブラナ科植物のスプラウトから得られることを特徴とする神経成長因子産生促進活性を有する組成物。
- アブラナ科植物が、アブラナ属植物である請求項1記載の神経成長因子産生促進活性を有する組成物。
- アブラナ科植物のスプラウトを平均粒径1mm以下に破砕して破砕物を得ることを特徴とする請求項1又は2記載の神経成長因子産生促進活性を有する組成物の製造方法。
- アブラナ科植物のスプラウトから溶媒を用いて抽出物を得ることを特徴とする請求項1又は2記載の神経成長因子産生促進活性を有する組成物の製造方法。
- 溶媒が、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、エーテル類及び二酸化炭素からなる群から選ばれる1種の溶媒又は2種以上を混合した溶媒である請求項4記載の神経成長因子産生促進活性を有する組成物の製造方法。
- 請求項1又は2記載の組成物を有効成分とすることを特徴とする神経成長因子産生促進剤。
- 請求項1又は2記載の組成物を含有することを特徴とする神経成長因子産生促進活性を有する飲食品。
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2005
- 2005-07-06 JP JP2005197663A patent/JP2007015958A/ja active Pending
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