JP6117379B2 - エンテロウイルス71の低温適応温度感受性株および低温適応温度感受性ウイルス株を発展させるプロセス - Google Patents

エンテロウイルス71の低温適応温度感受性株および低温適応温度感受性ウイルス株を発展させるプロセス Download PDF

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Description

配列提出
[0001]本出願は、電子形式の配列表とともに提出されている。配列表は、2577224PCTSequenceListing.txtと題され、2013年1月11日に作成され、そしてサイズは21kbである。配列表の電子形式での情報は、その全体が本明細書に援用される。
[0002]本発明は、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株に、特に低温適応温度感受性エンテロウイルス71株EV71:TLLβP20およびEV71:TLLαP20に関する。本発明はまた、低温適応温度感受性ウイルス株、特にRNAウイルス株を発展させるプロセスにも関する。
[0003]本発明の背景を明らかにするため、または実施に関するさらなる詳細を提供するため、本明細書で用いる刊行物および他の資料は、本明細書に援用され、そして便宜上、それぞれ、参考文献一覧にグループ分けされる。
[0004]手足口病(HFMD)は、本質的にエンテロウイルスA種に属するヒト・エンテロウイルス群によって引き起こされる。これらのうち、エンテロウイルス71(EV71)およびコクサッキーウイルスA16(CA16)は、HFMD症例の90%以上を引き起こす原因である。HFMDを引き起こすのに加え、EV71は、特に幼い小児において、死を伴う、重度の神経学的疾患を引き起こすことが知られてきている。
[0005]ヒト・エンテロウイルス71(EV71)は、およそ30nmのサイズの小型の非エンベロープウイルスで、約7,450ヌクレオチドの一本鎖プラス鎖RNAゲノムを持つ。該ウイルスは、ピコルナウイルス科内のエンテロウイルス属のもと、ヒト・エンテロウイルスA種と分類される(Alexanderら、1994;Melnick、1996)。EV71は、3つの主要なゲノグループ(A、B、およびCと示される)に分けられ、そしてゲノグループBおよびCは、主要カプシドタンパク質(VP1)遺伝子の系統発生分析に基づいて、さらに、サブゲノグループB1〜B5およびC1〜C5に細分割される(Bibleら、2008)。EV71は、主に、幼児および幼い小児における、手足口病(HFMD)、無菌性髄膜炎、脳炎およびポリオ様麻痺を含む、一連の臨床疾患に関連づけられてきている(Alexanderら、1994;Melnick、1996)。該ウイルスはまず、無菌性髄膜炎の小児から、米国カリフォルニア州で単離され、そして続いて、エンテロウイルス属の新規血清型として性質決定された(Schmidtら、1974)。最初の単離から数年で、該ウイルスによる、合併症を伴うHFMDの大流行が世界の多様な地域で報告された(Blombergら、1974;Kennettら、1974;Deibelら、1975;Hagiwaraら、1978)。
[0006]近年、EV71感染は、神経毒性EV71の流行性および散発性大流行の発生後、世界中で、特にアジア太平洋地方で、大きな公衆衛生上の負荷および懸念となってきている。EV71の神経毒性は、705例のポリオ様疾患を引き起こし、44人の死亡を生じた、1975年のブルガリアでの大流行中に、最初に大きな世界的注目を浴びた(Chumakovら、1979;Shindarovら、1979)。同様の性質の大流行が、1978年にハンガリーで起き、そしてポリオ様疾患の多くの症例および47人の死亡を生じた(Nagyら、1982)。続いて、EV71に関連するいくつかのより穏やかなCNS疾患の流行が、ニューヨーク、香港、オーストリアおよびフィラデルフィアで報告されてきている(Chomnaitreeら、1958;Samudaら、1987;Gilbertら、1988;Haywardら、1989)。日本において、EV71の2回の流行が起こり、大部分の症例はHFMDによって特徴付けられ、そしてCNS疾患の発生率は低かった(Tagayaら、1981;Ishimaruら、1980;Hagiwaraら、1983)。1997年、マレーシアで非常に神経毒性が高いEV71によるHFMDの大規模大流行が起こり、そして48人の死亡が引き起こされた。より大きな大流行が1998年、台湾で起こり、10万例を超すHFMD、405例の重症感染、ならびに神経原性心不全および肺浮腫を伴う急性脳幹脳脊髄炎による78人の死亡があった(Lumら、1998a;Lumら、1998b;Changら、1998;Yanら、200;Liuら、2000;Wangら、2000)。2008年、126人の死亡を伴う、総数488,955例のHFMDが、中華人民共和国本土で記録された(Chinese center、2008)。2009年、HFMD症例の数は、1,155,525例に増え、353例の死亡者を伴ったと報告された(Yangら、2011)。2010年、中国は、過去最大の大流行を経験し、170万を超えるHFMD症例、重度の神経学的合併症を伴う27,000人の患者、および905人の死亡が生じた。3回の大流行すべてにおいて、神経学的合併症および死亡を伴う重症例のほぼすべては、EV71によるものであった(Zengら、2012)。
[0007]現在、EV71感染のウイルス毒性および発症の分子決定要因はなお完全には理解されていない。重度の感染および関連する神経学的合併症の臨床的治療に関して認可された抗ウイルス薬剤もなく、また再発性大流行を制御しそして防止するための使用に利用可能なワクチンもない。制御および防止戦略に関して、特に発展途上国で使用するための費用効率的なワクチンの開発が、最優先であり、そして非常に緊急性がある。研究および開発中の、EV71に対する多様なタイプのワクチンは、齧歯類またはサルにおいて、免疫反応を誘発するようである(Wuら、2001;Aritaら、2005;Chiuら、2006;Aritaら、2007;Tungら、2007;Chungら、2008;Chenら、2008;Ongら、2010;Chenら、2011;LeeおよびChang、2010;Xhangら、2010)。VP1カプシドに基づくウイルス様粒子ワクチンおよびサブユニットペプチドワクチンは、さらなる研究および開発の価値がある、実行可能な潜在的ワクチン戦略であり続けているが、開発の非常に広範な過去の経験、ならびに不活化注射可能ソークおよび生弱毒化経口セービン・ポリオウイルスワクチンを使用して野生型ポリオウイルス感染が制御されそして根絶間近であることに基づいて、注射可能不活化および経口弱毒化EV71ワクチンは、最も有望な候補のままである(Zhangら、2010)。
[0008]現在、市場には、EV71による感染および手足口病に対して小児を保護するために利用可能なワクチンがない。最近の情報に基づけば、注射可能不活化EV71ワクチンを開発するプロセスにある、中華人民共和国の2施設、シンガポールの1施設および台湾の1施設がある(プレスリリースおよび個人的通信)。H.シミズ博士が率いる日本・東京の国立感染症研究所のエンテロウイルス部門は、1980年代から、サルにおけるEV71の発症および潜在的候補経口生弱毒化EV71ワクチンとしてのEV71の温度感受性株に関して徹底的な研究を行ってきている(Aritaら、2005;Aritaら、2007)。そのサル研究におけるEV71の温度感受性株の潜在的なワクチン候補はすべて、静脈内接種後、野生型ウイルスに比較して、より低い度合いではあるが、なお、神経侵襲およびCNSの組織病理学的病変を引き起こすことが可能であった。
[0009]生弱毒化ワクチンは、イギリスの医師、エドワード・ジェンナーが、天然痘の破壊的な疾患に対して、牛痘ウイルスを用いて小児にワクチン接種を始めた18世紀にさかのぼる、ワクチン接種の最初の成功した方法の1つに相当する。生弱毒化ワクチンは、疾患を引き起こせないように弱毒化されているが、なお防御性免疫反応は誘導する、生きたウイルスまたは微生物を用いる。伝統的で、古典的、そして遺伝的な方法は、生弱毒化ワクチンとして使用するため、ウイルスおよび微生物を弱毒化する際に、ある程度成功してきた44−48。伝統的な方法は、ヒトにおいて非病原性である天然存在関連生物を用い、例えば牛痘またはワクシニアウイルスを用いる。古典的な方法は、組織培養または苛酷な(harsh)液体培地などの、弱毒化させる条件下で、病原性ウイルスまたは微生物を何周期か増殖させることを伴う。遺伝的方法は、現代の分子バイオテクノロジーを利用して、ゲノムを操作し、病原性を減少させる(Huygelen、1997;Robinson、2008;Colemanら、2008;Lauringら、2010;Kenneyら、2011)。弱毒化のマーカーとしての温度感受性表現型ウイルスを得る古典的な方法において、より低い温度でインキュベーションされた適切な細胞においてウイルスを培養することによって、プラークアッセイ技術を通じて、野生型ウイルスをプラーク選択する。選択されたウイルス株を続いて、ターゲティングされるより低いインキュベーション温度で、反復継代する(Hagiwaraら、1982;HashimotoおよびHagiwara、1983;RichmanおよびMurphy、1997)。
[0010]特定のin vitro細胞培養条件において、表現型的および遺伝的安定性を保持し、そして静脈内接種後、サルにおいて神経毒性を示さない、ウイルス疾患を治療するために使用可能なウイルス株を発展させることが望ましい。細胞培養において、連続継代後に得られる、RNAウイルスを含むウイルスの低温適応温度感受性株を発展させることもまた望ましい。
[0011]本発明は、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株に、特に、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株EV71:TLLβP20およびEV71:TLLαP20に関する。本発明はまた、低温適応温度感受性ウイルス株、特にRNAウイルス株を発展させるプロセスにも関する。
[0012]したがって、1つの側面において、本発明は、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を提供する。1つの態様において、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株は、本明細書に記載するようなEV71:TLLβP20である。別の態様において、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株は、本明細書に記載するようなEV71:TLLαP20である。
[0013]本発明のエンテロウイルス71株は、表現型マーカーとして温度感受性を用いて、エンテロウイルス71を弱毒化する方法によって調製される。方法は、ウイルスの生物学的増殖特性を変化させて、30℃未満のインキュベーション温度での最適な複製のために適応させるin vitro実験室プロセスである。以下に詳細に記載する適応プロセスは、ウイルスの最適複製のために選択されるターゲット温度が達成されるまで、ウイルスを培養するインキュベーション温度を増分で低下させる体系的な段階的方式で行われる。
[0014]第二の側面において、本発明は、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含む組成物を提供する。1つの態様において、組成物は、本明細書記載のウイルス株の有効量を含む。別の態様において、組成物は、1またはそれより多い生理学的または薬学的に許容されうるキャリアーを含む。さらなる態様において、組成物はワクチンである。当業者に周知の技術を用いて、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含有するワクチンを調製する。こうしたワクチンは、当業者に周知の技術を用いて、ワクチンを被験体、例えばヒト被験体に投与することによって、親ウイルス株に対する免疫を提供するために有用である。
[0015]第三の側面において、本発明は、被験体、例えばヒト被験体において防御免疫反応を誘発する方法であって、予防的または療法的または免疫学的に有効な量の、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71を、被験体に投与する工程を含む、前記方法を提供する。1つの態様において、防御免疫反応は、エンテロウイルス71によって引き起こされる疾患に対して、被験体を防御する。1つの態様において、疾患は手足口病である。別の態様において、疾患は無菌性髄膜炎である。さらなる態様において、疾患は脳炎である。さらなる態様において、疾患はポリオ様麻痺である。1つの態様において、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を、ワクチンとして投与する。さらなる態様において、被験体は、野生型エンテロウイルス71に曝露されている。別の態様において、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株の投与は、被験体、例えばヒト被験体が、エンテロウイルス71関連疾患に罹患することを防止する。さらなる態様において、被験体は、野生型エンテロウイルス71株に曝露されている。さらなる態様において、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株の投与は、ウイルス感染被験体、例えばヒト被験体における、エンテロウイルス71関連疾患の開始を遅らせるかまたはその進行速度を遅延させる。
[0016]第四の側面において、本発明は、表現型マーカーとして温度感受性を用いて、ウイルスを弱毒化する方法を提供する。この側面にしたがって、該方法は、低温適応温度感受性ウイルス株を発展させる。本発明の方法は、ウイルスの生物学的増殖特性を変化させて、30℃未満のインキュベーション温度での最適な複製のために適応させるin vitro実験室プロセスである。適応プロセスは、ウイルスの最適複製のために選択されるターゲット温度が達成されるまで、ウイルスを培養するインキュベーション温度を増分で低下させる体系的な段階的方式で行われる。したがって、本発明にしたがって、方法は、以下の工程を含む:(i)親野生型ウイルスの参照ストックを調製し、(ii)親野生型ウイルスの参照ストックに感染させた細胞の培養物を、より高い感染多重度(MOI)および約34℃〜約36℃、好ましくは約34℃のインキュベーション温度で5回またはそれより多い継代数分、より低いMOIの接種物および完全CPEを得るための各継代のより短いインキュベーション期間を用いて、各継代で完全細胞変性効果(CPE)が得られるまでインキュベーションし、(iii)先の工程の結果生じたウイルスに感染させた細胞の培養物を、より高いMOIおよび先の工程よりも約1℃〜約3℃低いインキュベーション温度で5回またはそれより多い継代数分、より低いMOIの接種物および完全CPEを得るための各継代のより短いインキュベーション期間を用いて、各継代で完全細胞変性効果(CPE)が得られるまでインキュベーションし、そして(iv)ウイルスの最適複製のために選択されるターゲット温度が達成されるまで、インキュベーション温度を増分で低下させる体系的な段階的方式で、工程(iii)を反復する。1つの態様において、ターゲット温度は約26℃〜約29℃、好ましくは約28℃である。1つの態様において、増分で低下するインキュベーション温度は、約1℃〜約2℃低下する温度である。
[0017]1つの態様において、親野生型ウイルスの参照ストックは、約36℃〜約38℃、好ましくは約37℃の温度で、1回または2回の継代分、完全細胞変性効果(CPE)が得られるまで、野生型ウイルスに感染した細胞の培養物をインキュベーションすることによって、調製される。産生されるウイルスを含有する培養上清アリコットをバイアルまたは他の適切な保存デバイス中に入れる。この培養上清は、親野生型ウイルスの参照ストックとして働く。参照親野生型ウイルスを続く弱毒化プロセスに用いる。別の態様において、親野生型ウイルスの参照ストックのアリコットは、適切な温度、例えば−80℃で保存される。
[0018]1つの態様において、ウイルスは任意のウイルスである。別の態様において、ウイルスはRNAウイルスである。さらなる態様において、RNAウイルスは、プラス鎖RNAウイルスである。さらなる態様において、ウイルスはピコルナウイルス科のメンバーである。別の態様において、ウイルスはエンテロウイルス属のメンバーである。1つの態様において、ウイルスはエンテロウイルス71(EV71)である。別の態様において、ウイルスはコクサッキーウイルスA16(CA16)である。本発明の方法は、限定されるわけではないが、EV71およびCA16の低温適応温度感受性株を含む、これらのウイルスいずれかの低温適応温度感受性ウイルス株を産生する際に有用である。
[0019]1つの態様において、ウイルスに感染させる細胞は、ウイルスの増殖を可能にする任意の細胞である。好ましい態様において、細胞はVero細胞(ATCC CCL−81)である。1つの態様において、細胞は、細胞の増殖に適した培地中での通常の継代によって維持される。細胞がVero細胞である態様において、Vero細胞は、10%ウシ胎児血清(FCS)を補充したダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中で培養される。1つの態様において、1%FCSを補充したDMEM中で維持されたVero細胞を、親野生型ウイルスの産生、ウイルス培養、弱毒化、力価決定、および温度感受性表現型の評価のために用いる。別の態様において、インキュベーション温度を連続低下させる際に、複製のため、ウイルス株を適応させるために、DMEMに1%FCSを補充する。
[0020]本発明はまた、本明細書記載の方法によって産生されるウイルスの低温適応温度感受性株にも関する。本明細書記載の方法によって産生される低温適応温度感受性ウイルスは、当業者に周知の技術を用いたワクチンの産生に有用である。こうしたワクチンは、当業者に周知の技術を用いて、被験体にワクチンを投与することによって、親ウイルス株に対する免疫を提供するために有用である。
[0021]図1aは、エンテロウイルス71(EV71:TLLβP20)の静脈内用量を投与した4日後にサルの血液から得られ、該ウイルスに特異的である商業的モノクローナル抗体を用いた間接的免疫蛍光アッセイによって、陽性に染色された、末梢血単核細胞(矢印)を示す。
[0022]図1bは、エンテロウイルス71株の検出のために特異的なオリゴヌクレオチドプライマー対を用いて、免疫4日後のサル(2202F、2891F)から得た組織の一工程RT−PCR増幅産物。RT−PCR増幅産物の予期されるサイズは427bpである。2つのゲル中のレーンは以下の通りである。ゲル1:レーン1:100bp DNAラダー;レーン2:2202F−心臓;レーン3:2202F−脾臓;レーン4:2202F−リンパ節;レーン5:2202F−腎臓;レーン6:2202F−肝臓;レーン7:2891F−心臓;レーン8:2891F−脾臓;レーン9:2891F−リンパ節;レーン10:2891F−腎臓;レーン11:2891F−肝臓;レーン12:2202F−脳幹(橋);レーン13:2202F−脳幹(延髄);レーン14:2202F−皮質(脳回);レーン15:2202F−脊髄(頸部);レーン16:2202F−脊髄(腰部);レーン17:2202F−脊髄(胸部);レーン18:2891F−脳幹(延髄);レーン19:2891F−脳幹(橋);レーン20:2891F−皮質(左小脳)。ゲル2:レーン21:100bp DNAラダー;レーン22:2891F−皮質(右小脳);レーン23:2891F−脊髄(頸部);レーン24:2891F−脊髄(腰部);レーン25:2891F−脊髄(胸部);レーン26:テンプレート不含対照;レーン27:100bp DNAラダー。
[0023]本発明は、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株に、特に低温適応温度感受性エンテロウイルス71株EV71:TLLβP20およびEV71:TLLαP20に関する。本発明はまた、低温適応温度感受性ウイルス株、特にRNAウイルス株を発展させるプロセスにも関する。
[0024]したがって、1つの側面において、本発明は、低温適応温度感受性株を提供する。1つの態様において、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株は、本明細書に記載するようなEV71:TLLβP20である。別の態様において、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株は、本明細書に記載するようなEV71:TLLαP20である。EV71:TLLβP20は、ブダペスト条約の条項のもとに、2012年10月25日、10801 University Boulevard, Manassas, Virginia 20110, USAに位置するアメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託され、そして寄託番号PTA−13285を割り当てられた。EV71:TLLαP20は、ブダペスト条約の条項のもとに、2012年10月25日、アメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託され、そして寄託番号PTA−13284を割り当てられた。
[0025]本発明のエンテロウイルス71株は、表現型マーカーとして温度感受性を用いて、エンテロウイルス71を弱毒化する方法によって調製される。該方法は、ウイルスの生物学的増殖特性を変化させて、30℃未満のインキュベーション温度での最適な複製のために適応させるin vitro実験室プロセスである。適応プロセスは、ウイルスの最適複製のために選択されるターゲット温度が達成されるまで、ウイルスを培養するインキュベーション温度を増分で低下させる体系的な段階的方式で行われる。本明細書に開示するように、(i)親野生型ウイルスの参照ストックを調製し、(ii)親野生型ウイルスの参照ストックに感染させた細胞の培養物を、より高い感染多重度(MOI)および約34℃のインキュベーション温度で5回またはそれより多い継代数分、より低いMOIの接種物および完全CPEを得るための各継代のより短いインキュベーション期間用いて、各継代で完全細胞変性効果(CPE)が得られるまでインキュベーションし、(iii)先の工程の結果生じたウイルスに感染させた細胞の培養物を、より高いMOIおよび先の工程よりも約1℃〜約3℃低いインキュベーション温度で5回またはそれより多い継代数分、より低いMOIの接種物および完全CPEを得るための各継代のより短いインキュベーション期間を用いて、各継代で完全細胞変性効果(CPE)が得られるまでインキュベーションし、そして(iv)ウイルスの最適複製のために選択されるターゲット温度が達成されるまで、インキュベーション温度を増分で低下させる体系的な段階的方式で、工程(iii)を反復する。1つの態様において、ターゲット温度は約26℃〜約29℃、好ましくは約28℃である。
[0026]1つの態様において、親野生型ウイルスの参照ストックは、約36℃〜約38℃の温度で、好ましくは約37℃で、1回または2回の継代分、野生型ウイルスに感染した細胞の培養物を、完全細胞変性効果(CPE)が得られるまでインキュベーションすることによって、調製される。産生されるウイルスを含有する培養上清アリコットをバイアルまたは他の適切な保存デバイス中に入れる。この培養上清は、親野生型ウイルスの参照ストックとして働く。参照親野生型ウイルスを、続く弱毒化プロセスに用いる。別の態様において、親野生型ウイルスの参照ストックのアリコットは、適切な温度、例えば−80℃で保存される。
[0027]1つの態様において、ウイルスに感染させる細胞は、ウイルスの増殖を可能にする任意の細胞である。好ましい態様において、細胞はVero細胞(ATCC CCL−81)である。1つの態様において、細胞は、細胞の増殖に適した培地中での通常の継代によって維持される。細胞がVero細胞である態様において、Vero細胞は、10%ウシ胎児血清(FCS)を補充したダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中で培養される。1つの態様において、1%FCSを補充したDMEM中で維持されたVero細胞を、親野生型ウイルスの産生、ウイルス培養、弱毒化、力価決定、および温度感受性表現型の評価のために用いる。別の態様において、インキュベーション温度を連続低下させる際に、複製のため、ウイルス株を適応させるために、DMEMに1%FCSを補充する。
[0028]1つの態様において、ウイルスが完全細胞変性効果(CPE)を得たら直ちに、ウイルスを含有する清澄化された培養上清を得て、そして細胞、例えばVero細胞の連続する新鮮な新規培養フラスコのそれぞれの中に、この上清を渡すことによって、ウイルスをプロセスの各工程で継代する。別の態様において、ウイルスを含有する培養上清を、より低いインキュベーション温度への各々連続した変化の開始時に、20の、より高い感染多重度(MOI)で渡す。接種後3日以内に、Vero細胞において、完全CPEを引き起こすことが可能であることが認識された後、続いて、より低い5〜10のMOIに減少させる前に、新鮮な集密(confluent)単層Vero細胞を含有する新規培養フラスコに、少なくともさらに3回の継代に渡って、同じMOIでウイルスを接種する。5〜10のより低いMOIで接種後3日以内に、完全CPEを引き起こすことが可能であることが認識されたら、5〜10のMOIで少なくともさらに3回継代させた後、次いで、弱毒化プロセスは、続いてより低いインキュベーション温度の次の相に移る。各継代に必要な日数は、ウイルスがどれだけ迅速に増分で低下するインキュベーション温度の各相に適応するかに応じる。当業者は、完全CPEに到達したのがいつか、容易にわかるであろう。本発明の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を調製するための方法のさらなる詳細を以下に記載する。
[0029]第二の側面において、本発明は、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含む組成物を提供する。1つの態様において、組成物は、本明細書記載のウイルス株の有効量を含む。別の態様において、組成物は、1またはそれより多い生理学的または薬学的に許容されうるキャリアーを含む。さらなる態様において、組成物はワクチンである。当業者に周知の技術を用いて、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含有するワクチンを調製する。こうしたワクチンは、当業者に周知の技術を用いて、ワクチンを被験体、例えばヒト被験体に投与することによって、親ウイルス株に対する免疫を提供するために有用である。
[0030]本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を、被験体において防御免疫反応を誘発するか、または被験体がウイルス関連疾患に罹患することを防止するか、あるいはエンテロウイルス関連疾患の開始を遅らせるかまたはその進行速度を遅延させるために用いる場合、1またはそれより多い生理学的または薬学的に許容されうるキャリアーをさらに含む組成物の形で被験体に投与する。薬学的に許容されうるキャリアーは、当業者に周知であり、そして限定されるわけではないが、これには、1またはそれより多い0.01M〜0.1Mおよび好ましくは0.05Mリン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、または0.9%生理食塩水が含まれる。こうしたキャリアーにはまた、水性または非水性溶液、懸濁物、およびエマルジョンも含まれる。水性キャリアーには、水、アルコール溶液/水溶液、エマルジョンまたは懸濁物、生理食塩水および緩衝媒体が含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油、および注射可能有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル溶液、および固定油が含まれる。静脈内ビヒクルには、液体および栄養補充剤、電解質補充剤、例えば、リンゲルのデキストロースに基づくものなどが含まれる。固形組成物は、非毒性固形キャリアー、例えばグルコース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、セルロースまたはセルロース誘導体、炭酸ナトリウムおよび炭酸マグネシウムを含むことも可能である。エアロゾル中での投与のため、例えば肺および/または鼻内送達のため、好ましくは、非毒性界面活性剤、例えばC6〜C22脂肪酸または天然グリセリドのエステルまたは部分エステル、および噴霧剤とともに配合される。鼻内送達を容易にするため、レシチンなどのさらなるキャリアーが含まれてもよい。薬学的に許容されうるキャリアーは、さらに、活性成分の貯蔵期間および/または有効性を増進させる、微量の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、保存剤および他の添加剤、例えば抗微生物剤、酸化防止剤、およびキレート剤を含んでもよい。本組成物は、当該技術分野に周知であるように、被験体への投与後、活性成分の迅速、持続または遅延放出を提供するように配合可能である。
[0031]第三の側面において、本発明は、被験体、例えばヒト被験体において防御免疫反応を誘発する方法であって、予防的または療法的または免疫学的に有効な量の、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を、被験体に投与する工程を含む、前記方法を提供する。したがって、本発明はまた、被験体において防御免疫反応を誘発する際に使用するための、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株または低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含む組成物も提供する。本発明はまた、被験体において防御免疫反応を誘発するための薬剤製造のための、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株または低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含む組成物の使用も提供する。1つの態様において、防御免疫反応は、エンテロウイルス71によって引き起こされる疾患に対して、被験体を防御する。1つの態様において、疾患は手足口病である。別の態様において、疾患は無菌性髄膜炎である。さらなる態様において、疾患は脳炎である。さらなる態様において、疾患はポリオ様麻痺である。1つの態様において、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を、ワクチンとして投与する。さらなる態様において、被験体は、野生型エンテロウイルス71に曝露されている。エンテロウイルス71に「曝露される」は、感染が生じうるような、エンテロウイルス71との接触を意味する。別の態様において、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株の投与は、被験体、例えばヒト被験体が、エンテロウイルス71関連疾患に罹患することを防止する。したがって、本発明はまた、被験体、例えばヒト被験体が、エンテロウイルス71関連疾患に罹患することを防止する際に使用するための、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株または低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含む組成物も提供する。本発明はまた、被験体、例えばヒト被験体が、エンテロウイルス71関連疾患に罹患することを防止するための薬剤製造のための、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株または低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含む組成物も提供する。さらなる態様において、被験体は、野生型エンテロウイルス71株に曝露されている。さらなる態様において、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株の投与は、ウイルス感染被験体、例えばヒト被験体における、エンテロウイルス71関連疾患の開始を遅らせるかまたはその進行速度を遅延させる。したがって、本発明はまた、ウイルス感染被験体、例えばヒト被験体において、エンテロウイルス71関連疾患の開始を遅らせるかまたはその進行速度を遅延させる際に使用するための、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株または低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含む組成物も提供する。本発明はまた、ウイルス感染被験体、例えばヒト被験体において、エンテロウイルス71関連疾患の開始を遅らせるかまたはその進行速度を遅延させるための薬剤製造のための、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株または低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含む組成物も提供する。
[0032]本明細書において、「投与する」は、当業者に知られる多様な方法および送達系のいずれかを用いて送達することを意味する。投与は、例えば、腹腔内、脳内、静脈内、経口、経粘膜、皮下、経皮、皮内、筋内、局所、非経口、移植を通じて、クモ膜下腔内、リンパ内、病変内、心臓周囲、または硬膜外で実行可能である。剤または組成物はまた、エアロゾル中で、例えば肺および/または鼻内送達のために投与可能である。投与は、例えば、1回、複数回、および/または1またはそれより多い延長された期間に実行可能である。
[0033]被験体における防御免疫反応誘発は、例えば、被験体に一次用量のワクチンを投与し、適切な期間の後、ワクチンの1またはそれより多い続く投与を続けることによって達成可能である。ワクチンの投与間の適切な期間は、当業者によって容易に決定可能であり、そして通常、約数週間から数ヶ月である。本発明は、しかし、投与の任意の特定の方法、経路または頻度には限定されない。
[0034]「予防的に有効な用量」または「免疫学的に有効な用量」は、ウイルス感染する傾向があるかまたはウイルス関連障害に罹患する傾向がある被験体に投与した際、被験体がウイルスに感染するかまたは障害に罹患することを防御する免疫反応を、被験体において誘導する、ワクチンの任意の量である。被験体を「防御する」ことは、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも10倍、被験体がウイルスに感染する可能性を減少させるか、または被験体における障害開始の可能性を減少させることを意味する。例えば、被験体がウイルスに感染する1%の可能性を有する場合、被験体がウイルスに感染する可能性の2倍の減少は、ウイルスに感染する可能性が0.5%である被験体を生じるであろう。最も好ましくは、「予防的に有効な用量」は、被験体がウイルスに感染することを完全に防止するかまたは被験体において障害の開始を完全に防止する免疫反応を、被験体において誘導する。
[0035]任意の本免疫法および療法の特定の態様は、被験体に、少なくとも1つのアジュバントを投与することをさらに含むことも可能である。「アジュバント」は、抗原の免疫原性を増進させ、そして被験体において免疫反応をブーストするのに適した任意の剤を意味するものとする。タンパク質および核酸に基づくワクチンの両方で使用するために適した、特定のアジュバントを含む多くのアジュバント、ならびに抗原とアジュバントを組み合わせる方法が当業者に周知である。タンパク質免疫で使用するために適したアジュバントには、限定されるわけではないが、ミョウバン、フロイントの完全アジュバント(FCA)、フロイントの不完全アジュバント(FIA)、ミョウバンアジュバント、サポニンに基づくアジュバント、例えばQuil AおよびQS−21等が含まれる。
[0036]本発明はまた、表現型マーカーとして温度感受性を用いて、ウイルスを弱毒化する方法も提供する。この側面にしたがって、方法は、低温適応温度感受性ウイルス株を発展させる。本発明の方法は、ウイルスの生物学的増殖特性を変化させて、30℃未満のインキュベーション温度での最適な複製のために適応させるin vitro実験室プロセスである。適応プロセスは、ウイルスの最適複製のために選択されるターゲット温度が達成されるまで、ウイルスを培養するインキュベーション温度を増分で低下させる体系的な段階的方式で行われる。
[0037]したがって、本発明にしたがって、方法は、以下の工程を含む:(i)親野生型ウイルスの参照ストックを調製し、(ii)親野生型ウイルスの参照ストックに感染させた細胞の培養物を、より高い感染多重度(MOI)および約34℃〜約36℃、好ましくは約34℃のインキュベーション温度で5回またはそれより多い継代数分、より低いMOIの接種物および完全CPEを得るための各継代のより短いインキュベーション期間を用いて、各継代で完全細胞変性効果(CPE)が得られるまでインキュベーションし、(iii)先の工程の結果生じたウイルスに感染させた細胞培養を、より高いMOIおよび先の工程よりも約1℃〜約3℃低いインキュベーション温度で5回またはそれより多い継代数分、より低いMOIの接種物および完全CPEを得るための各継代のより短いインキュベーション期間を用いて、各継代で完全細胞変性効果(CPE)が得られるまでインキュベーションし、そして(iv)ウイルスの最適複製のために選択されるターゲット温度が達成されるまで、インキュベーション温度を増分で低下させる体系的な段階的方式で、工程(iii)を反復する。1つの態様において、ターゲット温度は約26℃〜約29℃、好ましくは約28℃である。1つの態様において、増分で低下するインキュベーション温度は、約1℃〜約2℃低下する温度である。
[0038]1つの態様において、親野生型ウイルスの参照ストックは、約36℃〜約38℃の温度で、好ましくは約37℃で、1回または2回の継代分、野生型ウイルスに感染した細胞の培養物を、完全細胞変性効果(CPE)が得られるまでインキュベーションすることによって、調製される。産生されるウイルスを含有する培養上清アリコットをバイアルまたは他の適切な保存デバイス中に入れる。この培養上清は、親野生型ウイルスの参照ストックとして働く。参照親野生型ウイルスを、続く弱毒化プロセスに用いる。別の態様において、親野生型ウイルスの参照ストックのアリコットは、適切な温度、例えば−80℃で保存される。
[0039]1つの態様において、ウイルスが完全細胞変性効果(CPE)を得たら直ちに、ウイルスを含有する清澄化された培養上清を得て、そして細胞、例えばVero細胞の連続する新鮮な新規培養フラスコのそれぞれの中に、この上清を渡すことによって、ウイルスをプロセスの各工程で継代する。別の態様において、ウイルスを含有する培養上清を、より低い温度のインキュベーションへの各々連続した変化の開始時に、20の、より高い感染多重度(MOI)で渡す。接種後3日以内に、Vero細胞において、完全CPEを引き起こすことが可能であることが認識された後、続いて、より低い5〜10のMOIに減少させる前に、新鮮な集密単層Vero細胞を含有する新規培養フラスコに、少なくともさらに3回の継代に渡って、同じMOIのウイルスを接種する。5〜10のより低いMOIで接種後3日以内に、完全CPEを引き起こすことが可能であることが認識されたら、5〜10のMOIで少なくともさらに3回継代させた後、次いで、弱毒化プロセスは、続いてより低いインキュベーション温度の次の相に移る。各継代に必要な日数は、ウイルスがどれだけ迅速に、増分で低下するインキュベーション温度の各相に適応するかに応じる。当業者は、完全CPEに到達したのがいつか、容易にわかるであろう。
[0040]1つの態様において、ウイルスは任意のウイルスである。別の態様において、ウイルスはRNAウイルスである。さらなる態様において、RNAウイルスは、プラス鎖RNAウイルスである。さらなる態様において、ウイルスはピコルナウイルス科のメンバーである。別の態様において、ウイルスはエンテロウイルス属のメンバーである。1つの態様において、ウイルスはエンテロウイルス71(EV71)である。別の態様において、ウイルスはコクサッキーウイルスA16(CA16)である。本発明の方法は、限定されるわけではないが、EV71およびCA16の低温適応温度感受性株を含む、これらのウイルスいずれかの低温適応温度感受性ウイルス株を産生する際に有用である。
[0041]1つの態様において、ウイルスに感染させる細胞は、ウイルスの増殖を可能にする任意の細胞である。好ましい態様において、細胞はVero細胞(ATCC CCL−81)である。1つの態様において、細胞は、細胞の増殖に適した培地中での通常の継代によって維持される。細胞がVero細胞である態様において、Vero細胞は、10%ウシ胎児血清(FCS)を補充したダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中で培養される。1つの態様において、1%FCSを補充したDMEM中で維持されたVero細胞を、親野生型ウイルスの産生、ウイルス培養、弱毒化、力価決定、および温度感受性表現型の評価のために用いる。別の態様において、インキュベーション温度を連続低下させる際に、複製のため、ウイルス株を適応させるために、DMEMに1%FCSを補充する。
[0042]本発明はまた、本明細書記載の方法によって産生されるウイルスの低温適応温度感受性株にも関する。本明細書記載の方法によって産生される低温適応温度感受性ウイルスは、当業者に周知の技術を用いたワクチンの産生に有用である。こうしたワクチンは、当業者に周知の技術を用いて、被験体にワクチンを投与することによって、親ウイルス株に対する免疫を提供するために有用である。
[0043]本発明の方法は、ピコルナウイルス科およびエンテロウイルス属の低温適応温度感受性ウイルスの産生に適用可能である。適用可能性は、本明細書において、増分で低下するインキュベーション温度で、細胞培養中の連続継代後に得られたEV71(TLLα)およびEV71(TLLβ)の低温適応温度感受性株の産生によって立証されてきている。EV71(TLLβ)株は、特定のin vitro細胞培養条件において、表現型的および遺伝的安定性を保持し、そして静脈内接種後、サルにおいて神経毒性を示さない。適用可能性はまた、増分で低下するインキュベーション温度で、細胞培養中の連続継代後に得られた低温適応温度感受性CA16の産生によっても立証されてきている。
[0044]本発明はまた、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株で、被験体を免疫するためのキットも提供する。該キットは、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、薬学的に許容されうるキャリアー、アプリケーター、および使用のための指示資料を含む。本発明には、当業者に知られるキットの他の態様も含まれる。指示は、本明細書記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株の投与を指示するために有用な、任意の情報を提供可能である。
[0045]本発明の実施は、別に示さない限り、当該技術分野の技術範囲内である、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA、遺伝学、免疫学、細胞生物学、細胞培養およびトランスジェニック生物学の慣用技術を使用する。例えば、Maniatisら, 1982, Molecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー); Sambrookら, 1989, Molecular Cloning, 第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー); SambrookおよびRussell, 2001, Molecular Cloning, 第3版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー); GreenおよびSambrook, 2012, Molecular Cloning, 第4版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー); Ausubelら, 1992, Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons, 定期的改訂を含む); Glover, 1985, DNA Cloning(IRL Press, Oxford); Russell, 1984, Molecular biology of plants: a laboratory course manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー); Anand, Techniques for the Analysis of Complex Genomes, (Academic Press, ニューヨーク, 1992); GuthrieおよびFink, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology(Academic Press, ニューヨーク, 1991); HarlowおよびLane, 1988, Antibodies, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー); Nucleic Acid Hybridization(B. D. HamesおよびS. J. Higgins監修 1984); Transcription And Translation(B. D. HamesおよびS. J. Higgins監修 1984); Culture Of Animal Cells(R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987); Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press, 1986); B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);論文、Methods In Enzymology(Academic Press, Inc., N.Y.); Methods In Enzymology, Vols. 154および155(Wuら監修), Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(MayerおよびWalker監修, Academic Press, London, 1987); Handbook Of Experimental Immunology, 第I〜IV巻(D. M. WeirおよびC. C. Blackwell監修, 1986); Riott, Essential Immunology, 第6版, Blackwell Scientific Publications, オックスフォード, 1988; Fireら, RNA Interference Technology: From Basic Science to Drug Development, Cambridge University Press, ケンブリッジ, 2005; Schepers, RNA Interference in Practice, Wiley−VCH, 2005; Engelke, RNA Interference(RNAi): The Nuts & Bolts of siRNA Technology, DNA Press, 2003; Gott, RNA Interference, Editing, and Modification: Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology), Human Press, ニュージャージー州トトワ, 2004; Sohail, Gene Silencing by RNA Interference: Technology and Application, CRC, 2004を参照されたい。
[0046]本発明は、以下の実施例に言及することによって記載され、該実施例は、例示のために提供され、そしていかなる方式でも本発明を限定することを意図されない。当該技術分野に周知の標準的技術、または以下に特に記載する技術を利用した。
実施例1
ヒト・エンテロウイルス71(EV71)の低温適応温度感受性株を発展させるための材料および方法
[0047]細胞、ウイルスおよび低温適応プロセス:10%ウシ胎児血清(FCS)を補充したダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中の定期的な継代によって維持されたVero細胞(ATCC CCL−81)を、ウイルス培養、弱毒化、力価決定および温度感受性表現型の評価に用いた。手足口病(HFMD)を提示した患者の、それぞれ、口腔分泌物、糞便および脳幹標本からVero細胞において単離された遺伝子型C1、B3およびB4に属する3つのEV71単離体を、先に記載される技術にしたがって、1回プラーク精製した(Dougherty、1964)。プラーク精製後、Vero細胞において37℃で2回継代した後、それぞれ親野生型株と称されるウイルスストックを調製した。すべてのウイルスストックおよびそれぞれの継代株を、−80℃フリーザー中で保存した。
[0048]1%FCSを含有するDMEM中の若い新鮮な集密単層Vero細胞を用いて、34℃の最初の低いインキュベーション温度から始めて、連続して低下するインキュベーション温度中、複製に関してウイルス株を適応させた。ウイルスが完全細胞変性効果(CPE)を達成したら直ちに、Vero細胞の連続する新鮮な新規培養フラスコのそれぞれの中に、ウイルスを含有する清澄化された培養上清を渡した。ウイルスを含有する培養上清を、より低い温度のインキュベーションへの各々連続した変化の開始時に、20の、より高い感染多重度(MOI)で渡した。接種後3日以内に、Vero細胞において、完全CPEを引き起こすことが可能であることが認識された後、続いて、より低い5〜10のMOIに減少させる前に、新鮮な集密単層Vero細胞を含有する新規培養フラスコに、さらに3回の継代に渡って、同じMOIでウイルスを接種した。5〜10のより低いMOIで接種後3日以内に、完全CPEを引き起こすことが可能であることが認識されたら、少なくともさらに3回継代させた後、次いで、弱毒化プロセスは、次の続いてより低いインキュベーション温度に移った。本実施例において、エンテロウイルス71の低温適応温度感受性株を発展させるための、連続して増分低下するインキュベーション温度は、34℃、32℃、30℃、29℃、および28℃であった。
[0049]ウイルス力価決定:重要でない修飾を伴い、世界保健機構のポリオ実験室マニュアル2004に記載される方法にしたがって、Vero細胞におけるマイクロ力価決定アッセイによって、ウイルス力価を決定し、そしてReedおよびMuench(1938)の方法にしたがって、ミリリットルあたり50%細胞培養物感染用量(CCID50)としてウイルス力価を計算した。簡潔には、ウイルス凝集物を分散させるため、等体積のクロロホルムでの処理後、1%FCSを含有するDMEM中、清澄化ウイルス上清の10倍連続希釈を作製した。96ウェル平底組織培養プレート中のVero細胞単層(ウェルあたり10細胞)に、各ウイルスストックの100μlの連続希釈を接種し、そして各それぞれのインキュベーション温度で、5%COの周囲環境中で5日間インキュベーションした後、CPEの存在に関して観察した。
[0050]温度感受性アッセイ:2つのアプローチを用いて、28℃、37℃および39.5℃のインキュベーション温度でのVero細胞におけるウイルス株の増殖特性を評価した。第一のアプローチは、ウイルス株が、感染細胞において、完全CPEを引き起こすために要する日数を評価し(複製動力学)、そして第二のアプローチは、各特定の試験温度でインキュベーションした細胞において、ウイルス株の力価を評価した。簡潔には、第一のアプローチにおいて、類似の日齢の集密単層Vero細胞を含有する3つのT−25組織培養フラスコの増殖培地を維持培地(1%FCSを含むDMEM)に置き換えた。次いで、それぞれのインキュベーターに1時間入れることによって、各フラスコ中の培地を、試験しようとする明記する温度に平衡化させ、そして続いて、10感染多重度(MOI)の用量のウイルス株を接種した。10日間の培養終了時にCPEが認められない場合、上清を単層Vero細胞の新規フラスコ内に渡し、そして同様にさらに10日間インキュベーションした。第二の継代後にCPEが認められない場合、ウイルス複製がないと解釈した。第二のアプローチにおいて、100μlあたり10細胞の密度のVero細胞懸濁物を、3つの96ウェル細胞培養プレートの各ウェル内に植え付け、そして37℃で5%COの周囲環境中、インキュベーションした。次いで、10時間インキュベーションした後、それぞれのインキュベーターに1時間入れることによって、各細胞培養プレートを、試験しようとする明記する温度に平衡化させた。続いて、各ウェル中の細胞にウイルス株の10倍連続希釈100μlを接種した後、それぞれの温度のインキュベーターに移し、そして5日間インキュベーションした後、CPEの存在に関して観察した。
[0051]遺伝的安定性および温度感受性アッセイ:明記する培養環境および細胞タイプで培養したウイルス株の遺伝的安定性を評価するため、ウイルス株を、5 MOIのウイルス接種物で、細胞培養において、さらに20回継代し、そして28℃のインキュベーション温度でインキュベーションした。20回の継代が終了した際、上述のように、28℃、37℃および39.5℃のインキュベーション温度で培養することによって、温度感受性表現型特性に関してウイルス株を評価した。続いて、それぞれのゲノムの完全ヌクレオチド配列を配列決定し、そしてそれぞれの親野生型ウイルスの完全ゲノムに関して分析した。
[0052]安定低温適応温度感受性ウイルス株に対して、温度感受性アッセイの復帰を行った。選択した株を、37℃の温度で5%COの周囲環境中、単層Vero細胞中で5回継代した。各継代で、10 MOIのウイルス接種物を用いた。各継代で得たウイルス株を、温度感受性アッセイに関して上述したものと類似の方法によって、28℃、37℃および39.5℃のインキュベーション温度で、Vero細胞において増殖特性に関して評価した。37℃の培養温度の各連続継代でウイルス株の完全ゲノムを配列決定し、そして分析した。
[0053]RNA抽出、RT−PCRおよび配列決定:商業的に入手可能なウイルスRNA抽出キット(Qiagen、ドイツ)を用いて、完全CPEの感染細胞の培養液から、ウイルスゲノムRNAを抽出した。Superscript II RNAポリメラーゼ(Invitrogen、米国)を用いて、EV71特異的プライマーで、第一鎖合成を行い、そして続いて、GoTaq Green PCR混合物(Promega、米国)を用いて、18の縮重プライマー対で、PCRを行った。BigDye Terminator配列決定キット(Applied Biosystems、米国)を用いて、生成された断片を配列決定した。標準的T4 DNAリガーゼ(Fermentas、米国)を用いて、5’−コルジセピン・ブロッキング・アダプターDT88(5’−GAA GAG AAG GTG GAA ATG GCG TTT TTG G−コルジセピン−3’;配列番号1)を、EV71 cDNAの5’端に連結することによって、5’RACEを行って、5’−UTRウイルス配列を決定し、そしてその後、DT88相補的プライマー(5’−CCA AAA CGC CAT TTC CAC CTT CTC TTC 3’;配列番号2)およびEV71特異的プライマー(5’−ATT CAG GGG CCG GAG GAC TAC−3’;配列番号3)を用いて、標準的PCRを行った。3’−RACEもまた行って、オリゴdTプライマーを用い、3’−UTRウイルス配列を決定した(Liら、2005)。
[0054]分子クローニングおよびプラスミド精製:多義配列を持つ断片を、pZero−2プラスミド(Invitrogen、米国)にクローニングし、そしてTOP10大腸菌(E. coli)細胞(Invitrogen、米国)内に形質転換した。商業的に入手可能なプラスミド・ミニプレップ・キット(Qiagen、ドイツ)を用いて、各形質転換体の少なくとも10コロニーから、クローニングしたEV71断片を含有するプラスミドを抽出し、そして続いて、クローニングした断片の配列を決定した。
[0055]European Molecular Biology Open Software Suite(EMBOSS; http://mobyle.pasteur.fr/cgi−bin/portal.py?#forms::merger)(Riceら 2000)を用いて、得た断片配列を併合した。プログラム、BioEdit配列整列エディタv.7.0.9.0(Hall、1997)を用いて、併合した配列をEV71株3799−SIN−98の参照配列(GenBank寄託番号DQ341354.1)と整列させた。
[0056]サル研究:EV71の選択した低温適応温度感受性株(EV71:TLLβP20)の安全性および免疫原性に関するサル研究を、DUKE−NUS、シンガポールの動物施設を基盤とする研究者らが請け負った(contracted)。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)およびサル免疫不全ウイルスに感染していない7匹のカニクイザル(cynomolgus monkeys)(Macaca fascicularis)、雌3匹(2202F、2207F、2891F)および雄4匹(0791M、2247M、2889M、2890M)、平均体重3.23kg(範囲2.44〜4.11、SD=0.7)を用いて、安定低温適応温度感受性EV71:TLLβP20の安全性および免疫原性を研究した。EV71に対する結合(間接的免疫蛍光)および中和抗体の非存在に関して、7匹のサルすべてをあらかじめスクリーニングした。研究およびすべての動物手技は、DUKE−NUS、シンガポールのバイオセイフティおよび動物取り扱いおよび倫理委員会によって認可された。ウイルス接種および観察、動物飼育および剖検は、委員会の指針にしたがって行われた。
[0057]ケタミンでの軽い麻酔下で、1mlのウイルス接種物を右伏在静脈内に静脈内接種した。3匹のサル(2889M、0791Mおよび2891F)には、サルあたり10 CCID50でEV71:TLLβP20の静脈内用量を投与し、別の3匹(2890M、2202Fおよび2247M)には各10 CCID50を投与し、そして7番目のサルは陰性対照として働いた。臨床的疾病、特に神経学的徴候に関して、毎日2回サルを観察し、そして移植温度センサーによって体温を記録した。各サルから糞便を毎日収集し、そして後にウイルス単離するため、マイナス80℃フリーザー中で保管した。各々異なるウイルス用量の接種物から1匹ずつ、2匹のサルを、接種4日後(PI)、深い麻酔下で屠殺した。剖検時、組織病理学的およびウイルス学的分析のために、中枢神経系(CNS)、非神経組織および血液の多様な部分を収集した。8日PIに、別の類似のセットの2匹のサルを屠殺し、そして剖検時、組織病理学的およびウイルス学的分析のために、同じタイプの組織および血液を収集した。14日PI、抗EV71抗体の評価のために血液試料を収集した後、残った2匹のサルに、それぞれ、同等のブースター用量のEV71:TLLβP20を投与した。ブースター用量を投与した16日後、これらを安楽死させ、そして剖検時に組織病理学的研究のためにCNS組織を収集した。
[0058]組織学および免疫組織化学:CNS組織標本(大脳、小脳、基底核、脳幹および脊髄)および非神経組織(リンパ節、脾臓、肝臓、腎臓、肺および心臓)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の10%ホルマリンで固定し、そして固定後、パラフィン中に包埋した。脊髄を水平に、頸部で10回、胸部で8回、そして腰部で10回、それぞれ切片作製した。パラフィン切片、6μm厚を、パラフィン除去および再水和プロセス後、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)で、そしてLuxol−fastブルー/クレシル・バイオレット(クリューバー−バレラ法)で染色した。
[0059]サルからの抗原検出およびウイルス単離:血液標本を単純およびヘパリン処理試験管の両方で収集した。Ficoll−PaqueTM PLUS(GE Healthcare、スウェーデン)を用いて、ヘパリン処理血液から、末梢血単核細胞(PBMC)を採取した。無菌PBSで2回洗浄した後、商業的検出モノクローナル抗体(カタログ番号3360、Light Diagnostics、米国)を用いた間接的免疫蛍光アッセイによって、EV71抗原の検出のため、テフロンコーティングスライドのウェル上に、PBMC懸濁物のアリコットを植え付けた。単層Vero細胞を含有する24ウェル細胞培養プレートのウェル内に、PBMC懸濁物を接種することによって、ウイルス単離を行った。50μlおよび100μlの血清を、単層Vero細胞を含有する24ウェル培養プレートの各ウェル内に接種することによって、各血清標本上でのウイルス単離を行った。無菌PBSを2回交換して、サル組織を軽く洗浄し、そしてクラスIIバイオセイフティキャビネット内で、乳鉢および乳棒を用いてすりつぶすことによって、組織をホモジナイズした。DMEM中で調製した組織ホモジネート(10%、w/v)を1000gで10分間遠心分離することによって清澄化した。清澄化した上清を0.22ミクロン・シリンジフィルターを通じて濾過し、そして濾液100μlおよび200μlを接種することによって、ウイルス単離を行った。10%糞便懸濁物をPBS中で作製し、そして1000gで10分間遠心分離することによって清澄化した。0.22ミクロン・シリンジフィルターを通して濾過した後、100μlおよび200μl糞便濾液を接種することによって、ウイルス単離を行った。サル試料に対するすべてのウイルス単離作業を2つ組で行い、接種細胞培養物の1つのセットは28℃でインキュベーションし、そして他方は37℃でインキュベーションした。
[0060]分子検出および完全ゲノム配列決定:商業的ウイルスRNA抽出および精製キット(Qiagen、ドイツ)を用いて、血清、PBMCおよび清澄化組織ホモジネートからウイルスゲノムRNAを抽出した。商業的一工程RT−PCRキット(Qiagen、ドイツ)およびすべてのEV71遺伝子型のVP1遺伝子の近位3番目を増幅するコンセンサス・オリゴヌクレオチド・プライマー対(センス:5’−CACCCTTGTGATACCATGGATCAG−3’(配列番号4);アンチセンス:5’−GTGAATTAAGAACRCAYCGTGTYT−3’(配列番号5))を、組織からの抽出後の分子増幅およびEV71特異的ウイルスRNA検出に用いた。EV71:TLLβの完全ゲノム配列に基づく配列特異的プライマー18対を用いて、4日および8日PIに得た2匹のサルの血清に存在するEV71の完全ゲノムを増幅し、そして配列決定した。直接配列決定による優れた配列読み取りを生じるのに失敗したPCR増幅断片は、いずれも、pZero−2(Invitrogen、米国)にクローニングされ、そしてTOP10大腸菌に形質転換された。各形質転換体から少なくとも10のコロニーを選択し、そして挿入物を所持する精製プラスミドに対して、配列決定を行った。
[0061]血清結合および中和抗体アッセイ:遺伝子型B3のEV71に感染したVero細胞を、完全CPEに近い状態で採取し、そして無菌PBSで5回洗浄した。最後の洗浄後、感染細胞の懸濁物を、およそ4の感染細胞対1の非感染細胞の比率で、洗浄非感染Vero細胞懸濁物と混合した。250細胞を含有する10マイクロリットルの混合細胞懸濁物を、12ウェル・テフロンコーティングスライドの各ウェル上に注意深く重層し、そして温かいプレート上で乾燥させた。乾燥したスライドを冷アセトン中で10分間固定し、そして社内抗原として用いて、間接的免疫蛍光アッセイにより、IgMに関して1:10、およびIgGに関して1:20の初期希釈から始めて、EV71結合抗体に関してアッセイした。抗EV71 IgM力価に関するアッセイにおいて、サル血清を適切な濃度のプロテインA(Invitrogen、米国)で処理して、無菌PBSでの連続2倍希釈を実行する前に、IgGを除去した。
[0062]重要でない修飾を伴い、世界保健機構のポリオ実験室マニュアル2004に記載される方法にしたがって、Vero細胞を用いたマイクロ中和アッセイによって、サルの中和抗体力価を決定した。中和に用いたEV71の各遺伝子型の濃度は、100μlあたり100 CCID50であった。96ウェル平底培養プレートを用いて、ウイルス中和アッセイを行った。1:10希釈から開始して、100μl DMEM(1%FCS)の体積で、各血清試料の連続2倍希釈を2つ組で調製した。100 CCID50 EV71を含有するDMEM(1%FCS)中のウイルス作業ストックの等体積(100μl)を希釈血清の各ウェルに添加して、そして37℃で2時間インキュベーションした。インキュベーション後、250細胞を含有するDMEM(10%FCS)中の100μlのVero細胞懸濁物を、各ウェルに添加した。96ウェル培養プレートを注意深く密封し、そして5%COの周囲環境中、37℃でインキュベーションした。各ウェルにおいて、Vero細胞に影響を及ぼすCPEの存在に関して、最長8日目まで、プレートを毎日読み取った。CPEを示さない最高希釈のウェルによって、各血清試料の中和抗体の力価を決定した。
実施例2
エンテロウイルス71の低温適応温度感受性株(EV71:TLLα、EV71:TLLαP20、EV71:TLLβ、EV71:TLLβP20およびEV71:TLLβP40)の表現型および遺伝子型特性に関する結果
[0063]低温適応株を得るために用いた元来の3つの親EV71ウイルスは、10 MOIのウイルス接種物および37.5℃のインキュベーション温度で、接種後3日以内に、Vero細胞において、完全CPEを引き起こした。同じウイルス接種物で、元来の親EV71ウイルスは、39.5℃のインキュベーション温度で5日以内に、Vero細胞において、完全CPEを引き起こした。しかし、37.5℃で培養したVero細胞の最初の2回の継代から得られるすべての3つの元来の親EV71ウイルスは、10 MOIのウイルス接種物および28℃のインキュベーション温度で、Vero細胞において、CPEを引き起こさなかった。また、28℃で10日間の培養終了時、ブラインド継代後に、CPEはまったく見られなかった。接種されたVero細胞におけるウイルス複製の非存在は、さらに、間接的免疫蛍光アッセイによる、EV71に対する商業的検出モノクローナル抗体を用いた10日培養終了時に、培養上清液における懸濁された細胞存在の陰性染色によって、さらに裏付けられた。
[0064]インキュベーション温度を連続して低下させる90回を超える継代の後、3つの継代EV71株はすべて、≦5 MOIのウイルス接種物および28℃のインキュベーション温度で、接種3日以内に、Vero細胞において、完全CPEを引き起こすことが可能であった。100回の継代まで、28℃のインキュベーション温度で、ウイルス株をさらに継代した。100回の継代時、患者の口腔液、脳幹組織および糞便標本から単離した元来のEV71由来のウイルス株を、それぞれ、EV71:TLL、EV71:TLLαおよびEV71:TLLβと称した。温度感受性アッセイにおいて、3つの低温適応株はすべて、10 MOIのウイルス接種物を用いて、28℃のインキュベーション温度で、2日以内に、Vero細胞において、完全CPEを引き起こしたが、37℃のインキュベーション温度では、完全CPEを達成するのに4日間かかった。39.5℃のインキュベーション温度で、培養10日後、3つの株すべてに関して、CPEはまったく見られなかった。しかし、EV71:TLLは、39.5℃でインキュベーションしたVero細胞の新鮮フラスコ内にブラインド継代した後、培養10日目に、2+ CPEを生じた。39.5℃でインキュベーションしたVero細胞の新鮮フラスコ内にさらに2回ブラインド継代した後でさえ、EV71:TLLαおよびEV71:TLLβに関してCPEはまったく見られなかった。EV71:TLLαまたはEV71:TLLβのいずれかを接種され、培養上清から採取された懸濁細胞は、ブラインド継代から得られたものを含めて、各々、10日間培養終了時に、EV71検出モノクローナル抗体での陽性免疫蛍光染色を生じなかった。EV71:TLLを接種した培養上清から採取されたおよそ1%の懸濁細胞は、陽性染色を生じたが、培養10日後、CPEはまったく見られなかった。
[0065]28℃および37℃のインキュベーション温度を用いて、3つの低温適応株のウイルス複製力価をアッセイし、そしてアッセイを少なくとも4回反復した。EV71:TLLの力価は、それぞれ、28℃および37℃で力価決定する培養をインキュベーションした際、1X10 CCID50/mlおよび2〜3X10 CCID50/mlであった。EV71:TLLαは、28℃のインキュベーション温度で、1X10 CCID50/mlの力価を生じ、そして37℃で、1〜2X105.5〜6 CCID50/mlの力価を生じた。EV71:TLLβは、28℃のインキュベーション温度で、2〜5X10 CCID50/mlの力価を生じ、そして37℃で、1X10 CCID50/mlの力価を生じた。
[0066]EV71:TLLαおよびEV71:TLLβの低温適応の安定性を、28℃のインキュベーション温度および10 MOIのウイルス接種物で、Vero細胞において、さらに20回の継代に渡って、両方のウイルス株を継代することによって、評価した。さらに20回の継代の後、EV71:TLLαは、2日PI以内に28℃でインキュベーションした細胞において、完全CPEを引き起こしたが、2回のブラインド継代の後であっても、37℃でインキュベーションした細胞において、CPEを引き起こすのに失敗した。28℃のインキュベーション温度で、1X10 CCID50/mlのウイルス力価を達成する能力を維持した。EV71:TLLβは、さらなる20回の継代後、28℃および37℃のインキュベーション温度両方で、増殖動力学およびウイルス力価に関して、同じ低温適応表現型を維持した。同じ培養条件下で、さらに20回継代(100回の継代からさらに40回の継代)することによって、EV71:TLLβの低温適応の安定性をさらに評価し、そして類似の低温適応温度感受性表現型を維持することが見出された。
[0067]各完全CPEで、37℃でインキュベーションしたVero細胞において、連続6回ウイルスを継代することによって、低温適応温度感受性表現型からの復帰の評価を行った。28℃、37℃および39.5℃のインキュベーション温度での増殖動力学およびウイルス力価に関して、37℃でインキュベーションしたそれぞれの培養各々から得られるウイルスの増殖特性を表1に示す。ウイルスは、37℃でインキュベーションした細胞において、3回連続継代後、39.5℃のインキュベーション温度で、Vero細胞において、生存感染粒子を産生することが不可能なままであり(陽性免疫蛍光染色細胞を欠き)、そして6回目の反復継代で、39.5℃のインキュベーション温度で、細胞培養物において、完全CPEを引き起こすことが不可能なままであった。
表1
37℃でインキュベーションしたVero細胞を6回連続継代した後のEV71:TLLβP20の低温適応温度感受性表現型からの復帰の評価
Figure 0006117379
増殖特性および各継代でのウイルスの力価を、Vero細胞において、28℃、37℃および39.5℃のインキュベーション温度で、培養するかまたは力価決定した。
P1:継代1
IFA:間接的免疫蛍光アッセイ
[0068]EV71:TLLαおよびEV71:TLLβ、さらに20回継代した後のそれぞれの株(EV71:TLLαP20およびEV71:TLLβP20)および元来の親野生型の完全ゲノムを配列決定し、そして分析した。EV71:TLLαP20のヌクレオチド配列を配列番号6に示す。EV71:TLLβP20のヌクレオチド配列を配列番号7に示す。EV71:TLLα、EV71:TLLαP20および元来の親野生型の間の遺伝子各セグメントでのヌクレオチド変化の数を表2に示す。元来の親野生型、EV71:TLLβ、EV71:TLLβP20およびEV71:TLLβP40(さらなる40継代)の間のヌクレオチド変化の数を表3に示す。37℃のインキュベーション温度での6回の連続継代による温度感受性復帰研究から得られるウイルス株の完全ゲノムもまた配列決定し、そしてEV71:TLLβP20のものに比較したヌクレオチド変化の数を表4に示す。
表2
元来の親野生型ウイルスの完全ゲノムと比較した、EV71:TLLαおよびEV71:TLLαP20のゲノムセグメント各々で生じる、ヌクレオチド(NT)および対応するアミノ酸(AA)突然変異の数
Figure 0006117379
表3
元来の親野生型ウイルスのゲノムと比較した、EV71:TLLβ、EV71:TLLβP20およびEV71:TLLβP40のゲノムセグメント各々で生じる、ヌクレオチド(NT)および対応するアミノ酸(AA)突然変異の数
Figure 0006117379
表4
EV71:TLLβP20のゲノムと比較した、温度感受性復帰研究由来のウイルス株のゲノムセグメント各々で生じる、ヌクレオチド(NT)および対応するアミノ酸(AA)突然変異の数
Figure 0006117379
実施例3
ヒト・エンテロウイルス71の低温適応温度感受性株(EV71:TLLβP20)のサル研究に関する結果
[0069]臨床的知見:研究したサルの臨床状態および体温測定に関する一般的な観察を1日2回、朝および夕方に行った。全体を通して、すべてのサルは、活発であり、そして正常に摂食しているとわかった。いずれのサルも、いかなるわずかな局所神経学的欠陥、例えば脚弱、振戦または異常な運動も発展させなかった。1X10 CCID50/mlの静脈内用量を投与された1匹のサル(2247M)が接種3日後に一過性の低等級の発熱(39.3℃)を示したことを除いて、こうした事例はなかった。サルが深い麻酔下で屠殺される時点まで、再体重測定に際して、体重喪失したサルはいなかった。
[0070]剖検および組織学的知見:全体の死後病変は、剖検時、すべてのサルに関して見られなかった。異常な組織学的知見は、組織病理検査のために収集したすべてのサル組織に関して見られなかった。
[0071]ウイルス学的研究:サル血清、PBMC、糞便試料およびすべての剖検組織に対し、28℃および37℃のインキュベーション温度で、Vero細胞を用いて、ウイルス単離を行った。培養10日後、ブラインド継代にもかかわらず、サル試料のいずれからもウイルスは単離されなかった。RT−PCRによってEV71に関して陽性の試験結果を得た血清、PBMC試料および組織ホモジネートに関して、Vero細胞においてさらに1回のブラインド継代を行った。ウイルス単離には失敗したが、商業的モノクローナル抗体を用いた間接的免疫蛍光アッセイ(図1a)によって、4日PIに収集した、2匹のサル、2891F(EV71:TLLβP20の1X10 CCID50を投与)および2890M(EV71:TLLβP20の1X10 CCID50を投与)のヘパリン処理血液から得たいくつかのPBMCにおいて、EV71抗原が検出された。8日PIに収集したサルのヘパリン処理血液から採取したPBMCには、ウイルス抗原は検出されなかった。
[0072]RT−PCRによって、4日および8日PIの両方に収集したすべてのサルの血清試料において、EV71特異的ゲノム配列が検出された。非神経組織のうち、EV71ゲノム配列が、2匹のサル(2202Fおよび2891F)の脾臓ホモジネート中にのみ検出された(図1b)。神経組織ホモジネートのいずれにも、EV71ゲノム配列は検出されなかった。4日および8日PIの両方に収集した2匹のサル(2889Mおよび2890M)の血清試料に存在するEV71:TLLβP20のゲノムを抽出し、そして完全に配列決定した。EV71:TLLβP20のゲノムと比較した、血清に存在するウイルス株のゲノムセグメント各々に生じるヌクレオチド(NT)および対応するアミノ酸(AA)突然変異または復帰の数を表5に示す。
表5
EV71:TLLβP20の完全ゲノムと比較した、4日および8日PIに収集した2匹のサル(2889Mおよび2890M)の血清試料中に存在するEV71のゲノムセグメント各々で生じる、ヌクレオチド(NT)および対応するアミノ酸(AA)突然変異の数
Figure 0006117379
[0073]サル体液性免疫反応:静脈内EV71:TLLβP20を投与されたサル血清における結合抗体(IgMおよびIgG)の存在に関するアッセイを、抗原として社内調製感染Vero細胞を用いた間接的免疫蛍光アッセイによって実行した。同等の静脈内ブースター用量を投与する前に、14日PIに、そして30日PI(ブースターの16日後)に収集した2匹の残りのサル(2889Mおよび2890M)の血液中に存在する抗EV71 IgMおよびIgGの力価を表6に示す。
表6
抗原として社内調製感染Vero細胞を用いた間接的免疫蛍光アッセイによって決定した際の、静脈内EV71:TLLβP20を投与した後のサルの結合抗体(IgMおよびIgG)の力価
Figure 0006117379
[0074]マイクロ中和アッセイによって、EV71遺伝子型A(BrCr)、B3、B4、B5、C1およびC5に対する、14日および30日PIに収集した2匹のサルの血清試料における中和抗体力価を決定した。EV71遺伝子型各々に対するサル血清の中和抗体のそれぞれの力価を表7に示す。
表7
マイクロ中和アッセイによって決定した際の、静脈内EV71:TLLβP20を投与した後の、2匹のサルの血清におけるEV71のいくつかの遺伝子型(A、B3、B4、B5、C1およびC5)に対する中和抗体の力価。
Figure 0006117379
実施例4
ヒト・コクサッキーウイルスA16の低温適応温度感受性株を発展させるための材料および方法
[0075]材料および方法:10%ウシ胎児血清(FCS)を補充したダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中の定期的な継代によって維持されたVero細胞(ATCC CCL−81)を、コクサッキーウイルスA16のウイルス培養、弱毒化、力価決定および温度感受性の評価に用いた。弱毒化プロセスのための親野生型コクサッキーウイルスA16(CA16)は、手足口病(HFMD)を有する患者の口腔分泌物から得られる。該ウイルスは、先に記載する技術にしたがって、1回プラーク精製された。プラーク精製後、Vero細胞において37℃で2回継代した後、それぞれ親野生型株と称されるウイルスストックを調製した。すべてのウイルスストックおよびそれぞれの継代株を、−80℃フリーザー中で保存した。
[0076]1%FCSを含有するDMEM中の若い新鮮な集密単層Vero細胞を用いて、34℃の最初のより低いインキュベーション温度から始めて、連続して低下する温度中、複製に関して元来の野生型CA16を適応させた。完全細胞変性効果(CPE)時に、Vero細胞各連続新規培養フラスコ内への継代を行った。連続してより低いインキュベーション温度に変化させる際に、20の、より高い感染多重度(MOI)で継代して、そして接種後3日以内に、完全CPEを引き起こすことが可能であることが認識された後、少なくともさらに3回継代した後、続いて、より低い5〜10のMOIに減少させた。5〜10のMOIで接種後3日以内に、完全CPEを引き起こすことが可能であることが認識されたら、少なくともさらに3回継代した後、続いて連続して低いインキュベーション温度に移った。各連続継代の培養上清を、後日、分析のため、マイナス80℃フリーザー中に保存した。
[0077]ウイルス力価決定:重要でない修飾を伴い、世界保健機構のポリオ実験室マニュアル2004に記載される方法にしたがって、Vero細胞におけるマイクロ力価決定アッセイによって、ウイルス力価を決定し、そしてReedおよびMuench(1938)の方法にしたがって、ミリリットルあたり50%細胞培養物感染用量(CCID50)としてウイルス力価を計算した。簡潔には、ウイルス凝集物を分散させるため、等体積のクロロホルムでの処理後、1%FCSを含有するDMEM中、清澄化ウイルス上清の10倍連続希釈を作製した。96ウェル平底組織培養プレート中のVero細胞単層(ウェルあたり10細胞)に、各ウイルスストックの100μlの連続希釈を接種し、そして各それぞれのインキュベーション温度で、5%COの周囲環境中で5日間インキュベーションした後、CPEの存在に関して観察した。
[0078]温度感受性アッセイ:2つのアプローチを用いて、28℃、37℃および39.5℃のインキュベーション温度でのVero細胞における低温適応ウイルス株の増殖特性を評価した。第一のアプローチは、ウイルス株が、感染細胞において、完全CPEを引き起こすために要する日数を評価し(複製動力学)、そして第二のアプローチは、各特定の試験温度でインキュベーションした細胞において、ウイルス株の力価を評価した。簡潔には、第一のアプローチにおいて、類似の日齢の集密単層Vero細胞を含有する3つのT−25組織培養フラスコの増殖培地を維持培地(1%FCSを含むDMEM)に置き換えた。次いで、それぞれのインキュベーターに1時間入れることによって、各フラスコ中の培地を、試験しようとする明記する温度に平衡化させ、そして続いて、10感染多重度(MOI)の用量のウイルス株を接種した。10日間の培養終了時にCPEが認められない場合、上清を単層Vero細胞の新規フラスコ内に渡し、そして同様にさらに10日間インキュベーションした。第二の継代後にCPEが認められない場合、ウイルス複製がないと解釈した。第二のアプローチにおいて、100μlあたり10細胞の密度のVero細胞懸濁物を、3つの96ウェル細胞培養プレートの各ウェル内に植え付け、そして37℃で5%COの周囲環境中、インキュベーションした。次いで、10時間インキュベーションした後、それぞれのインキュベーターに1時間入れることによって、各細胞培養プレートを、試験しようとする明記する温度に平衡化させた。続いて、各ウェル中の細胞にウイルス株の10倍連続希釈100μlを接種した後、それぞれの温度のインキュベーターに移し、そして5日間インキュベーションした後、CPEの存在に関して観察した。
実施例5
ヒト・コクサッキーウイルスA16の低温適応温度感受性株の細胞におけるウイルス特性に関する結果
[0079]インキュベーション温度を連続して低下させる100回の継代時に、低温適応CA16株は、≦5MOIのウイルス接種物および28℃のインキュベーション温度で、接種3日以内に、Vero細胞において、完全CPEを引き起こすことが可能であったが、37℃のインキュベーション温度では、完全CPEを達成するのに4日間かかった。39.5℃のインキュベーション温度では、CPEはまったく見られなかった。
[0080]28℃および37℃のインキュベーション温度を用いて、CA16の低温適応温度感受性株のウイルス複製力価をアッセイした。CA16の低温適応温度感受性株の力価は、それぞれ、28℃および37℃で力価決定培養プレートをインキュベーションした際、1X10 CCID50/mlおよび1X10 CCID50/mlであった。
[0081]本発明を説明する背景において(特に、以下の請求項の背景において)、用語「a」および「an」および「the」ならびに類似の参照対照の使用は、本明細書に別に示されるか、または背景によって明らかに矛盾しているのでない限り、単数形および複数形の両方を含むと見なされるものとする。用語「含む」、「有する」、「含まれる」および「含有する」は、別に示さない限り、無制限の(open−ended)用語と見なされるものとする(すなわち「限定されるわけではないが含む」を意味する)。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書に別に示さない限り、範囲内に属する各別個の値に個々に言及する簡略化法として働くよう意図され、そして各別個の値は、本明細書に個々に言及されるかのように、本明細書内に取り込まれる。例えば、範囲10〜15が開示された場合、11、12、13、および14もまた開示される。本明細書記載のすべての方法は、本明細書に別に示さない限り、または背景によって明らかに矛盾しているのではない限り、任意の適切な順で、実行可能である。本明細書に提供するあらゆる例、または例示的な言い方(例えば「例えば」)の使用は、単に、本発明の理解をより容易にすることを意図し、そして別に請求しない限り、本発明の範囲に対して限定を課さない。本明細書における言い方のいずれも、任意の非請求要素が、本発明の実施に必須のものであることを示すとは見なされないものとする。
[0082]多様な態様の形で、本発明の方法および組成物を取り込み可能であり、わずかにいくつかのみが本明細書に開示されていることが認識されるであろう。本発明の態様を本明細書に記載し、これには、本発明を実行するため、本発明者らに知られる最適な様式が含まれる。これらの態様の変型は、前述の説明を読むと、一般の当業者には明らかとなりうる。本発明者らは、当業者が、こうした変型を適切に使用することを予期し、そして本明細書に特に記載するものとは異なって本発明が実施されることを意図する。したがって、本発明には、適用可能な法律によって許可されるような、付随する請求項に列挙される主題のすべての修飾および同等物が含まれる。さらに、本明細書に別に示さない限り、または背景によって明らかに矛盾しない限り、すべてのありうる変型における上述の要素の任意の組み合わせが本発明に含まれる。
参考文献一覧
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ある態様において、本発明は以下であってもよい。
[態様1] 低温適応温度感受性エンテロウイルス71株。
[態様2] EV71:TLLβP20である、態様1の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株。
[態様3] EV71:TLLαP20である、態様1の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株。
[態様4] 態様1〜3のいずれか一項の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含む組成物。
[態様5] 薬学的に許容されうるキャリアーをさらに含む、態様4の組成物。
[態様6] アジュバントをさらに含む、態様4または5の組成物。
[態様7] ワクチンである、態様4〜7のいずれか一項の組成物。
[態様8] 被験体において防御免疫反応を誘発する際に使用するための、態様1〜3のいずれか一項の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または態様4〜8のいずれか一項の組成物。
[態様9] 被験体がエンテロウイルス71関連疾患に罹患することを防止する際に使用するための、態様1〜3のいずれか一項の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または態様4〜8のいずれか一項の組成物。
[態様10] エンテロウイルス71感染被験体において、エンテロウイルス71関連疾患の開始を遅らせるかまたはその速度を遅延させる際に使用するための、態様1〜3のいずれか一項の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または態様4〜8のいずれか一項の組成物。
[態様11] 被験体において防御免疫反応を誘発するための薬剤製造のための、態様1〜3のいずれか一項の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または態様4〜8のいずれか一項の組成物の使用。
[態様12] 被験体がエンテロウイルス71関連疾患に罹患することを防止するための薬剤製造のための、態様1〜3のいずれか一項の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または態様4〜8のいずれか一項の組成物の使用。
[態様13] エンテロウイルス71感染被験体において、エンテロウイルス71関連疾患の開始を遅らせるかまたはその速度を遅延させるための薬剤製造のための、態様1〜3のいずれか一項の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または態様4〜8のいずれか一項の組成物の使用。
[態様14] 被験体において防御免疫反応を誘発する方法であって、態様1〜3のいずれか一項の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または態様4〜8のいずれか一項の組成物の、予防的、療法的または免疫学的に有効な量を、被験体に投与する工程を含む、前記方法。
[態様15] 被験体が野生型エンテロウイルス71に曝露されている、態様14の方法。
[態様16] 被験体がエンテロウイルス71関連疾患に罹患することを防止するための方法であって、態様1〜3のいずれか一項の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または態様4〜8のいずれか一項の組成物の、予防的、療法的または免疫学的に有効な量を、被験体に投与する工程を含む、前記方法。
[態様17] 被験体が野生型エンテロウイルス71に曝露されている、態様16の方法。
[態様18] エンテロウイルス71感染被験体において、エンテロウイルス71関連疾患の開始を遅らせるかまたはその速度を遅延させる方法であって、態様1〜3のいずれか一項の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または態様4〜8のいずれか一項の組成物の、予防的、療法的または免疫学的に有効な量を、被験体に投与する工程を含む、前記方法。
[態様19] 被験体がヒト被験体である、態様14〜18のいずれか一項の方法。
[態様20] 低温適応温度感受性エンテロウイルス71株で被験体を免疫するためのキットであって、態様1〜3のいずれか一項の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または態様4〜8のいずれか一項の組成物、薬学的に許容されうるキャリアー、およびその使用のための指示資料を含む、前記キット。
[態様21] アプリケーターをさらに含む、態様20のキット。
[態様22] 低温適応温度感受性ウイルスを産生する方法であって、以下の工程:
(i)親野生型ウイルスの参照ストックを調製し;
(ii)親野生型ウイルスの参照ストックに感染させた細胞の培養物を、より高い感染多重度(MOI)および約34℃〜約36℃、好ましくは約34℃のインキュベーション温度で5回またはそれより多い継代数分、より低いMOIの接種物および完全CPEを得るための各継代のより短いインキュベーション期間を用いて、各継代で完全細胞変性効果(CPE)が得られるまでインキュベーションし;
(iii)先の工程の結果生じたウイルスに感染させた細胞の培養物を、より高いMOIおよび先の工程よりも約1℃〜約3℃低いインキュベーション温度で5回またはそれより多い継代数分、より低いMOIの接種物および完全CPEを得るための各継代のより短いインキュベーション期間を用いて、各継代で完全細胞変性効果(CPE)が得られるまでインキュベーションし;そして
(iv)ウイルスの最適複製のために選択されるターゲット温度が達成されるまで、インキュベーション温度を増分で低下させる体系的な段階的方式で、工程(iii)を反復する;
工程を含む、前記方法。
[態様23] 約36℃〜約38℃、好ましくは約37℃の温度で、1回または2回の継代分、完全細胞変性効果(CPE)が得られるまで、野生型ウイルスに感染した細胞の培養物をインキュベーションすることによって、親野生型ウイルスの参照ストックを調製する、態様22の方法。
[態様24] ウイルスがピコルナウイルス科、好ましくはエンテロウイルス属のメンバーである、態様22または23の方法。
[態様25] ウイルスがエンテロウイルス71またはコクサッキーウイルスA16である、態様24の方法。
[態様26] ターゲット温度が約26℃〜約29℃、好ましくは約28℃である、態様22〜25のいずれかの方法。
[態様27] ウイルスが完全細胞変性効果(CPE)を得たら直ちに、ウイルスを含有する清澄化された培養上清を得て、そして細胞の連続する新鮮な新規培養フラスコのそれぞれの中に、この上清を渡すことによって、ウイルスをプロセスの各工程で継代する、態様22〜26のいずれかの方法。
[態様28] より高いMOIが20である、態様22〜27のいずれかの方法。
[態様29] 新鮮な集密(confluent)単層Vero細胞を含有する新規培養フラスコに、ウイルスが完全CPEを引き起こした後、さらに3回の継代に渡って、20のMOIのウイルスを接種する、態様28の方法。
[態様30] より低いMOIが5〜10である、態様22〜29のいずれかの方法。
[態様31] 新鮮な集密単層Vero細胞を含有する新規培養フラスコに、ウイルスが完全CPEを引き起こした後、少なくともさらに3回の継代に渡って、5〜10のMOIでウイルスを接種する、態様30の方法。
[態様32] 工程(iii)を、前記の少なくともさらに3回の継代の後、5〜10のMOIで、開始するかまたは反復する、態様31の方法。
[態様33] 完全CPEが接種後3日以内に起こる、態様27〜32のいずれか一項の方法。
[態様34] 細胞がVero細胞である、態様22〜33のいずれかの方法。
[態様35] Vero細胞を、ウシ胎児血清(FCS)を補充したダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中で培養する、態様22〜34のいずれかの方法。
[態様36] 培地に1%FCSを補充する、態様35の方法。

Claims (26)

  1. 寄託番号PTA−13285としてアメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託された株EV71:TLLβP20、または寄託番号PTA−13284としてアメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託された株EV71:TLLαP20である、低温適応温度感受性エンテロウイルス71株。
  2. 請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を含む組成物。
  3. 薬学的に許容されうるキャリアーをさらに含む、請求項に記載の組成物。
  4. アジュバントをさらに含む、請求項に記載の組成物。
  5. アジュバントをさらに含む、請求項に記載の組成物。
  6. ワクチンである、請求項に記載の組成物。
  7. ワクチンである、請求項に記載の組成物。
  8. ワクチンである、請求項に記載の組成物。
  9. ワクチンである、請求項に記載の組成物。
  10. 被験体において防御免疫反応を誘発する際に使用するための、請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または請求項2〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 被験体がエンテロウイルス71関連疾患に罹患することを防止する際に使用するための、請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または請求項2〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  12. エンテロウイルス71感染被験体において、エンテロウイルス71関連疾患の開始を遅らせるかまたはその速度を遅延させる際に使用するための、請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または請求項2〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 被験体において防御免疫反応を誘発するための薬剤製造のための、請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または請求項2〜9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  14. 被験体がエンテロウイルス71関連疾患に罹患することを防止するための薬剤製造のための、請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または請求項2〜9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  15. エンテロウイルス71感染被験体において、エンテロウイルス71関連疾患の開始を遅らせるかまたはその速度を遅延させるための薬剤製造のための、請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株、または請求項2〜9のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  16. 被験体がヒト被験体である、請求項13〜15のいずれか1項に記載の使用。
  17. 低温適応温度感受性エンテロウイルス71株で被験体を免疫するためのキットであって、請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株または請求項2〜9のいずれか一項に記載の組成物、薬学的に許容されうるキャリアー、およびその使用のための指示資料、を含む、前記キット。
  18. さらにアプリケーターを含む、請求項17に記載のキット。
  19. 請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株を使用することを含む、ワクチンの製造方法。
  20. 配列番号6または配列番号7に示されるヌクレオチド配列からなる核酸を使用することを含む、ワクチンの製造方法。
  21. ワクチン開発のための、請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株の使用。
  22. ワクチン開発のための、配列番号6または配列番号7に示されるヌクレオチド配列からなる核酸の使用。
  23. ワクチン開発に使用するための請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株。
  24. ワクチン開発に使用するための配列番号6または配列番号7に示されるヌクレオチド配列からなる核酸。
  25. 請求項1に記載の低温適応温度感受性エンテロウイルス71株の使用。
  26. 配列番号6または配列番号7に示されるヌクレオチド配列からなる核酸の使用。
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