JP6115479B2 - 乗物用シート - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、飛行機、船、電車等の乗物に搭載される乗物用シートに関する。
乗物用シートの1つとして、リアシートの後方に荷室フロアが形成される場合に荷室を拡張することができるタイプのものがある。下記特許文献1に記載されている乗物用シートにおいては、シートクッションがその前方下端に左右方向に設けられた支軸のまわりに前後方向に回動可能に取り付けられ、シートバックが荷室フロア前端の左右方向に設けられた支軸のまわりに前後方向に回動可能に取り付けられている。荷室を拡張するためにはシートクッションを支軸のまわりに前方に回動させて退避させ、それによって形成されたスペースにシートバックを前倒させることでシートバックの背面を荷室フロアと同一の水平面として荷室の拡張を図っている。
特開2002−274235号公報
上述の乗物用シートにおいては、荷室を拡張しようとする場合には当該シートのシートクッションは跳ね上げられシートバックはシートクッションがあったスペースに畳み込まれるので着座者が着座していることはできない。
このような問題に鑑み本発明の課題は、着座者がシートに着座しながらそのシートの後方に設けられた荷室を拡張することのできる乗物用シートを提供することにある。
本発明の第1発明は、一端がフロアもしくはシートクッション後部に回動可能に取り付けられ他端がシートバック下部に回動可能に取り付けられた第1リンク部材と、該第1リンク部材より後方の位置で一端がフロアもしくはシートクッション後部に回動可能に取り付けられ他端がシートバック下部に回動可能に取り付けられた第2リンク部材とで前記フロアもしくは前記シートクッションと前記シートバックが連結された乗物用シートであって、前記第1リンク部材の長さは前記第2リンク部材の長さより短く、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材を交差させずに前記シートバックを前後に移動する動作と、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材を交差させて前記シートバックを前記シートクッション上に重ねる動作とが可能とされ、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材を交差させずに前記シートバックを前後に移動する動作の途中で前記シートバックの動きを止めるロック手段が設けられていることを特徴とする。
第1発明によれば、シートバックがフロアもしくはシートクッションに対して2本のリンク部材を介して連結されているので4節リンクが構成されシートバックのシートクッションに対する傾きを標準状態からほとんど変化させること無く前方向に移動させることができる。これによって、着座者がシートに着座しながらそのシート後方の荷室を拡張することができる。
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記ロック手段は、車体もしくは前記シートバックに設けられたストライカに、車体もしくは前記シートバックに設けられたロック機構を係合させるものであることを特徴とする。
第2発明によれば、ストライカとロック機構という簡潔な構造でシートバックのロックが可能となる。
本発明の一実施形態の標準着座状態を説明する図である。 上記実施形態の荷室を拡張した状態を説明する図である。 上記実施形態のシートバックをシートクッション上に折り重ねる過程を説明する図である。 上記実施形態のシートバックをシートクッション上に折り重ねた状態を説明する図である。
図1〜4は、本発明の一実施形態を示す図である。本実施形態は、後部に荷室のある自動車用リアシート(以下「リアシート」という。)に本発明を適用した例を示す。各図中、矢印により自動車用リアシートを自動車のフロアに取り付けた時の自動車の各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
図1に示すように、本実施形態のリアシート10は、シートクッション20とシートバック30から構成される。シートクッション20は金属製のクッションフレーム上にクッション材であるクッションパッドを載置して布帛や皮革等のクッションカバーで覆った構造をしている。シートバック30は金属製のバックフレーム上にクッション材であるバックパッドを載置して布帛や皮革等のバックカバーで覆った構造をしており、上部にヘッドレスト40が取り付けられている。
シートクッション20とシートバック30は第1リンク部材51及び第2リンク部材52で連結されている。第1リンク部材51は鋼板製の部材でありその上端部においてシートバック30下部に設けられた支軸31に対して回動可能に取り付けられ、その下端部においてシートクッション20後部に設けられた支軸21に対して回動可能に取り付けられている。第2リンク部材52は鋼板製の部材でありその上端部においてシートバック30下部に設けられた支軸32に対して回動可能に取り付けられ、その下端部においてシートクッション20後部に設けられた支軸22に対して回動可能に取り付けられている。第1リンク部材51より第2リンク部材52の方が長く、第1リンク部材51の設置位置より第2リンク部材52の設置位置の方が後方になっている。すなわち、シートクッション20後部において第1リンク部材51の支軸21の後方に第2リンク部材52の支軸22が設けられ、シートバック30下部において第1リンク部材51の支軸31の後方上部に支軸32が設けられている。さらに第2リンク部材52は第1リンク部材51よりリアシート10の外側方向に設置されている。これによって第1リンク部材51と第2リンク部材52はお互いに干渉することなく回動が可能である。したがって、第1リンク部材51と第2リンク部材52は側方から見て交差した状態で回動することができる。
シートバック30の車体壁面に近い側の上部にはロック機構60が設置されている。このロック機構60は周知のもので、車体側に設置したストライカを受け入れ可能な凹部を有するベースプレートと凹部との間でストライカを挟持するラッチとラッチをロック状態に保持するポールとを有するものである。一方車体側にはシートバック30に設けられたロック機構60と係合してシートバック30の動きを止めるためのストライカ61および62が設けられている。ストライカ61とストライカ62の位置は上下方向の高さは同じでストライカ61の方がストライカ62より前方である。後述するようにシートバック30のロック機構60がストライカ62に係合している状態が標準の着座状態で、ストライカ61に係合している状態がシートバック30を前方に移動して荷室のスペースを拡大した荷室拡大状態である。なお、ストライカ61とストライカ62はシートバック30のロック機構60と係合する位置と干渉しない位置に移動可能な機構とされている。これによって、ストライカ61にロック機構60を係合させるべくシートバック30を回動させたときにはストライカ62がじゃまにならず、ストライカ62にロック機構60を係合させるべくシートバック30を回動させたときにはストライカ61がじゃまにならないようになっている。
以上のように構成される本実施形態は、以下のように作用する。
図1に示すように、標準の着座状態においては第1リンク部材51と第2リンク部材52は側方から見ていずれも後方に傾いた状態となっている。すなわち、第1リンク部材51はシートクッション20側の支軸21に対してシートバック30側の支軸31は後方上部にある。また同様に、第2リンク部材52はシートクッション20側の支軸22に対してシートバック30側の支軸32は後方上部にある。この第1リンク部材51及び第2リンク部材52の位置状態でシートバック30に設けられたロック機構60は車体側に設けられたストライカ62に係合している。それによってシートバック30は標準の着座状態位置に固定され、荷室およびシートクッション20の座面面積とも標準の広さとなっている。
図1の状態でシートバック30に設けられたロック機構60のロックを解除し、第1リンク部材51と第2リンク部材52を前方に向けて回動させ、シートバック30を前方に移動させてシートバック30に設けられたロック機構60を車体側に設けられたストライカ61に係合させると図2に示す状態となる。この状態では、第1リンク部材51と第2リンク部材52は側方から見ていずれも前方に傾いた状態となっている。すなわち、第1リンク部材51はシートクッション20側の支軸21に対してシートバック30側の支軸31は前方上部にある。また同様に、第2リンク部材52はシートクッション20側の支軸22に対してシートバック30側の支軸32は前方上部にある。この第1リンク部材51及び第2リンク部材52の位置状態でシートバック30に設けられたロック機構60は車体側に設けられたストライカ61に係合している。それによってシートバック30は標準の着座状態位置から前方に移動した位置に固定され、荷室はシートバック30の移動分だけ拡大され、シートクッション20の座面面積はシートバック30の移動分だけ縮小されている。この状態では、着座時の快適性は多少悪化するが荷室の拡大が図られ、従来技術では達成し得なかった着座者が着座しながら荷室の拡大を図るという要求に応えることができるものである。
図1の標準着座状態もしくは図2の荷室拡大状態からシートバック30に設けられたロック機構60のロックを解除しシートバック30を後方に移動させるとシートバック30が前方に回動しながら図3に示す状態になってそれ以上後方に移動しなくなる。このとき第1リンク部材51のシートクッション20に対する支軸21と、シートバック30に対する支軸31と、第2リンク部材52のシートバック30に対する支軸32とが一直線上に並んでいる。これ以上第1リンク部材51および第2リンク部材52を後方に倒そうとしてもこの状態より後方の支軸31と支軸32の仮想軌跡間の距離は、支軸31と支軸32の距離より大きくなることになるので結果としてこれ以上第1リンク部材51および第2リンク部材52を後方に倒すことができない。この位置は第1リンク部材51及び第2リンク部材52の長さやシートクッション20及びシートバック30に対する取り付け位置(支軸の位置)を変化させることにより調整可能である。
図3の状態からシートバック30を前方に倒しながら前方に移動させると図4に示すようにシートクッション20の上にシートバック30が折り重ねられた状態となる。このとき第1リンク部材51と第2リンク部材52は交差した状態になっている。すなわち、図3の状態における第1リンク部材51のシートバック30に対する支軸31の位置は第2リンク部材52のシートバック30に対する支軸32の位置より前方にあるが、図3の状態から図4の状態への移行の過程において支軸32の位置が支軸31の位置より前方となるべく変位する。図4のシートバック30の折り重ね状態においてヘッドレスト40を取り外せばシートバック30の背面は荷室のフロア面とほぼ同一の面となって荷室をさらに拡大することができる。
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.本実施形態では、シートバック30に設けられたロック機構に係合する車体側のストライカとして、標準着座状態に支持するストライカ62と荷室拡大状態に支持するストライカ61の2つを設けたが、ストライカ62とストライカ61の間に他のストライカを設けてもよい。そのことによってさらに細かく荷室の広さと着座部の面積のバランスを図ることができる。また、本実施形態では、シートバック30にロック機構を設け車体側にストライカを設けたがその逆にしてもよい。
2.本実施形態では、本発明を自動車のシートに適用したが、飛行機、船、電車等に搭載のシートに適用しても良い。
10 リアシート
20 シートクッション
30 シートバック
51 第1リンク部材
52 第2リンク部材
60 ロック機構(ロック手段)
61、62 ストライカ(ロック手段)

Claims (2)

  1. 一端がフロアもしくはシートクッション後部に回動可能に取り付けられ他端がシートバック下部に回動可能に取り付けられた第1リンク部材と、該第1リンク部材より後方の位置で一端がフロアもしくはシートクッション後部に回動可能に取り付けられ他端がシートバック下部に回動可能に取り付けられた第2リンク部材とで前記フロアもしくは前記シートクッションと前記シートバックが連結された乗物用シートであって、
    前記第1リンク部材の長さは前記第2リンク部材の長さより短く、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材を交差させずに前記シートバックを前後に移動する動作と、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材を交差させて前記シートバックを前記シートクッション上に重ねる動作とが可能とされ、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材を交差させずに前記シートバックを前後に移動する動作の途中で前記シートバックの動きを止めるロック手段が設けられていることを特徴とする乗物用シート。
  2. 請求項1において、前記ロック手段は、車体に設けられたストライカに前記シートバックに設けられたロック機構を係合させるものであるか、又は、車体に設けられた前記ロック機構に前記シートバックに設けられた前記ストライカを係合させるものであることを特徴とする乗物用シート。




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