JP6115344B2 - エジェクタ - Google Patents

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Description

本発明は、流体を減圧させるとともに、高速度で噴射される噴射流体の吸引作用によって流体を吸引するエジェクタに関する。
従来、エジェクタを備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(以下、エジェクタ式冷凍サイクルという。)が知られている。
この種のエジェクタ式冷凍サイクルでは、エジェクタのノズル部から噴射された高速度の噴射冷媒の吸引作用によって蒸発器から流出した冷媒を吸引し、エジェクタのディフューザ部(昇圧部)にて噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の運動エネルギを圧力エネルギに変換することによって混合冷媒を昇圧させ、圧縮機の吸入側へ流出させている。
これにより、エジェクタ式冷凍サイクルでは、蒸発器における冷媒蒸発圧力と圧縮機の吸入冷媒圧力が略同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、圧縮機の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)を向上させている。
さらに、このようなエジェクタ式冷凍サイクルの具体的構成として、例えば、特許文献1には、2つの蒸発器を備え、冷媒蒸発圧力の高い側の蒸発器から流出した冷媒をエジェクタのノズル部へ流入させ、噴射冷媒の吸引作用によって冷媒蒸発圧力の低い側の蒸発器から流出した冷媒を吸引するサイクル構成のものが開示されている。
特開2012−149790号公報
ところが、本発明者らの検討によれば、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルを実際に作動させると、エジェクタのディフューザ部が所望の冷媒昇圧性能を発揮できず、エジェクタを備えることによるCOP向上効果を充分に得られないことがあった。
そこで、本発明者らがその原因について調査したところ、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルのように蒸発器から流出した気相冷媒をエジェクタのノズル部へ流入させる構成では、(a)噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒が、乾き度の高い気液二相冷媒になってしまうこと、(b)ノズル部内に形成される冷媒通路にて気相冷媒を減圧させながら凝縮させていることが原因であると判った。
以下に、その理由を説明する。まず、(a)噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒が、乾き度の高い気液二相冷媒になってしまうことによって、エジェクタのディフューザ部が所望の冷媒昇圧性能を発揮できなくなってしまう理由について説明する。
その理由は、混合冷媒が比較的乾き度xの高い気液二相冷媒(例えば、乾き度xが0.8以上の気液二相冷媒)になっていると、この気液二相冷媒がディフューザ部近傍あるいはディフューザ部内で衝撃波を発生させてしまい、エジェクタのディフューザ部における冷媒昇圧性能が不安定になってしまうからである。
この衝撃波は、気液二相状態となっている二相流体の流速が、二相音速αh以上(超音速状態)から二相音速αhより低い値(亜音速状態)へ移行する際に発生するものである。
ここで、二相音速αhは、気相流体と液相流体が混合した気液混合状態の流体の音速であって、以下数式F1で定義される。
αh=[P/{α×(1−α)×ρl}]0.5 …(F1)
なお、数式F1中のαはボイド率であって、単位体積あたりに含まれるボイド(気泡)の容積割合を示している。より詳細には、ボイド率αは以下数式F2で定義される。
α=x/{x+(ρg/ρl)×(1−x)}…(F2)
また、数式F1、F2中のρgは気相流体密度、ρlは液相流体密度、Pは二相流体の圧力である。
この衝撃波によってエジェクタのディフューザ部における冷媒昇圧性能が不安定になってしまう原因を、図20、図21を用いて説明する。なお、図20、図21の上段には、一般的なエジェクタの軸方向断面を模式的に図示しているが、図示の明確化のため、後述する実施形態で説明するエジェクタ18と同一または均等の機能を果たす部位には、エジェクタ18と同一の符号を付している。
まず、エジェクタ18のノズル部18aへ比較的乾き度xが低くなっている気液二相冷媒(例えば、乾き度xが0.5以下となっている気液二相冷媒)を流入させる。この場合は、ノズル部18aにて冷媒が等エントロピ的に膨張することにより、ノズル部18aの冷媒噴射口18cから噴射される直前の冷媒の乾き度xは、ノズル部18aへ流入させた冷媒の乾き度xよりも低い値となる。
そして、ノズル部18aの冷媒噴射口18cから噴射された噴射冷媒は、気相状態となっている吸引冷媒と混ざり合うことによって、その流速を低下させながら急激に乾き度xを上昇させる。これにより、図20の太破線で示すように、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の二相音速αhも急激に上昇する。
その結果、ノズル部18aへ比較的乾き度xが低くなっている気液二相冷媒を流入させた場合には、冷媒噴射口18cから噴射された直後に混合冷媒の流速が二相音速αhより低くなり、二相冷媒の流速が超音速状態から亜音速状態へ変化する際に生じる衝撃波は、ノズル部18aの冷媒噴射口18cの極近傍で発生する。このため、衝撃波がディフューザ部18gの冷媒昇圧性能に与える影響は小さい。
次に、ノズル部18aへ比較的乾き度xが高くなっている気液二相冷媒(例えば、乾き度xが0.8以上となっている気液二相冷媒)を流入させると、ノズル部18aの冷媒噴射口18cから噴射される直前の冷媒の乾き度xも高くなる。このため、ノズル部18aへ比較的乾き度xが低くなっている気液二相冷媒を流入させる場合よりも、噴射冷媒が吸引冷媒と混ざり合って混合冷媒となる際の乾き度xの上昇度合が小さくなる。
従って、図21の太破線で示すように、混合冷媒の二相音速αhの上昇度合も小さくなり、混合冷媒が二相音速αhより低い値となる箇所(衝撃波が発生する箇所)が、ノズル部18aへ比較的乾き度xの低い気液二相冷媒を流入させる場合よりも、冷媒噴射口18cから離れやすくなる。
そして、衝撃波の発生する箇所が、冷媒噴射口18cから離れてディフューザ部18gの入口部近傍あるいはディフューザ部18g内へ移動してしまうと、衝撃波の作用によってディフューザ部18g内を流通する混合冷媒の流速が不安定になってしまい、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能が不安定になってしまう。
その結果、エジェクタ18のディフューザ部18gが所望の冷媒昇圧性能を発揮できなくなってしまい、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルでは、エジェクタを備えることによるCOP向上効果を充分に得られなくなってしまう。さらに、本発明者らの検討によれば、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルでは、混合冷媒の乾き度xが0.8以上になっていると、冷媒昇圧性能が不安定になりやすいことが確認されている。
次に、(b)ノズル部内に形成される冷媒通路にて気相冷媒を減圧させながら凝縮させていること、すなわち、後述する実施形態で説明する図3のモリエル線図のd3点からg3点へ至る減圧過程に示すように、ノズル部にて飽和ガス線を跨ぐように冷媒を減圧させていることによって、エジェクタのディフューザ部が所望の冷媒昇圧性能を発揮できなくなってしまう理由について説明する。
その理由は、ノズル部へ流入させる冷媒の圧力が一定の場合、ノズル部へ流入させる冷媒のエンタルピが上昇するに伴って、冷媒噴射口から噴射される直前の冷媒の流速が高くなり、冷媒とノズル部内に形成される冷媒通路との壁面摩擦が増加してしまうからである。
ここで、一般的なエジェクタでは、噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口から冷媒を吸引することによって、ノズル部にて冷媒が減圧される際の運動エネルギの損失を回収している。この際、回収されるエネルギの量(すなわち、図3のΔiejで示されるエンタルピの減少量)は、ノズル部へ流入させる冷媒の圧力が一定の場合、ノズル部へ流入させる冷媒のエンタルピが上昇するに伴って増加する。
また、ノズル部の冷媒噴射口から噴射された直後の噴射冷媒の流速Vの最大値は、以下数式F3で表される。
V=V0+(2×Δiej)0.5…(F3)
なお、V0は、ノズル部へ流入する冷媒の初速である。
従って、ノズル部へ気液二相冷媒よりもエンタルピの高い気相冷媒を流入させると、噴射冷媒の流速Vが高くなりやすく、冷媒とノズル部内に形成される冷媒通路との壁面摩擦も増加しやすくなる。
さらに、ノズル部内に形成される冷媒通路を高速度で流れる気相冷媒が凝縮し、気液密度比の高い気液二相冷媒(例えば、気液密度比が200以上の気液二相冷媒)になってしまうと、冷媒と冷媒通路との壁面摩擦が大きく増加して、冷媒の有する運動エネルギの損失を招いてしまう。このような運動エネルギの損失は、噴射冷媒の流速を低下させてしまい、ディフューザ部における冷媒昇圧性能を低下させてしまう。
本発明では、上記点に鑑み、ノズル部へ蒸発器から流出した冷媒を流入させるエジェクタの冷媒昇圧性能の低下を抑制することを目的とする。
より詳細には、本発明では、ノズル部へ蒸発器から流出した冷媒を流入させるエジェクタにおいて、冷媒昇圧性能を安定化させることによって、冷媒昇圧性能の低下を抑制することを目的とする。
また、本発明では、ノズル部へ蒸発器から流出した冷媒を流入させるエジェクタにおいて、ノズル部における冷媒のエネルギ損失を低減することによって、冷媒昇圧性能の低下を抑制することを別の目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたもので、請求項1に記載の発明では、冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10、10a)に適用されるエジェクタ(18)であって、
第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および噴射冷媒と冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
さらに、ボデー部(18b)の内部空間のうち、冷媒噴射口(18c)から昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
混合部(18e)における冷媒噴射口(18c)から入口部(18h)へ至る距離(La)は、入口部(18h)へ流入する冷媒の流速が二相音速以下となるように決定されており、
冷凍サイクル装置(10、10a)では、第1蒸発器(15)の冷媒出口にノズル部(18a)の入口が直接的に接続されていることを特徴とする。
これによれば、昇圧部(18g)の入口部(18h)へ流入する冷媒の流速が二相音速以下となるように、混合部(18e)における冷媒噴射口(18c)から入口部(18h)へ至る距離(La)が決定されているので、混合冷媒が超音速状態から亜音速状態へ移行する際に発生する衝撃波を混合部(18e)内で生じさせることができる。
従って、昇圧部(18g)内で衝撃波が発生してしまうことを抑制でき、衝撃波の作用によって昇圧部(18g)内を流通する混合冷媒の流速が不安定になってしまうことを抑制できる。その結果、本請求項に記載の発明によれば、ノズル部(18a)へ蒸発器から流出した冷媒を流入させるエジェクタにおいて、昇圧部(18g)における冷媒昇圧性能を安定化させて、冷媒昇圧性能の低下を抑制できる。
また、請求項2に記載の発明によれば、冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10b)に適用されるエジェクタ(18)であって、
第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および噴射冷媒と冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
さらに、ボデー部(18b)の内部空間のうち、冷媒噴射口(18c)から昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
混合部(18e)における冷媒噴射口(18c)から入口部(18h)へ至る距離(La)は、入口部(18h)へ流入する冷媒の流速が二相音速以下となるように決定されており、
冷凍サイクル装置(10b)では、第1蒸発器(15)の冷媒出口に、サイクル内の余剰冷媒を蓄えて気液二相冷媒を流出させる貯液部(19)が接続され、ノズル部(18a)には、貯液部(19)から流出した気液二相冷媒が流入することを特徴とする。
これによれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10、10a、10b)に適用されるエジェクタ(18)であって、
第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および噴射冷媒と冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
さらに、ボデー部(18b)の内部空間のうち、冷媒噴射口(18c)から昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
混合部(18e)における冷媒噴射口(18c)から入口部(18h)へ至る距離(La)は、入口部(18h)へ流入する冷媒の流速が二相音速以下となるように決定されており、
混合部(18e)における冷媒噴射口(18c)から入口部(18h)へ至る距離をLaとし、冷媒噴射口(18c)を含むノズル部(18a)の軸方向垂直断面における、冷媒噴射口(18c)の開口断面積と吸引冷媒が流通する吸引通路(18f)の冷媒通路断面積の合計値を円に換算したときの直径をφDaとしたときに、
La/φDa≦1
となっていることを特徴とする。
これによれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
また、請求項に記載の発明では、冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10、10a)に適用されるエジェクタ(18)であって、
第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および噴射冷媒と冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
さらに、ボデー部(18b)の内部空間のうち、冷媒噴射口(18c)から昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
ノズル部(18a)内に形成される冷媒通路として、冷媒噴射口(18c)へ向かって冷媒通路面積を縮小させる先細部(18i)、および先細部(18i)から冷媒噴射口(18c)へ冷媒を導く噴射部(18j)が設けられており、ノズル部(18a)は、噴射部(18j)の軸方向断面における拡がり角度(θn)が、0°以上となっていることによって、混合部(18e)へ噴射される噴射冷媒を自由膨張させるように形成されており、
冷凍サイクル装置(10、10a)では、第1蒸発器(15)の冷媒出口にノズル部(18a)の入口が直接的に接続されていることを特徴とする。
これによれば、ノズル部(18a)内に形成される冷媒通路の最下流側に噴射部(18j)が設けられており、混合部(18e)へ噴射される噴射冷媒を自由膨張させるので、冷媒通路として冷媒通路面積を徐々に拡大させる末広部等を設けることなく、混合部(18e)にて冷媒を加速することができる。
従って、冷媒と冷媒通路との壁面摩擦を低下させて、冷媒通路を流れる冷媒の有する運動エネルギの損失を抑制することができ、噴射冷媒の流速が低下してしまうことを抑制できる。その結果、蒸発器から流出した冷媒をノズル部へ流入させるエジェクタにおいて、ノズル部(18a)における冷媒のエネルギ損失を低減させて、冷媒昇圧性能の低下を抑制できる。
また、請求項6に記載の発明では、冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10b)に適用されるエジェクタ(18)であって、
第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および噴射冷媒と冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
さらに、ボデー部(18b)の内部空間のうち、冷媒噴射口(18c)から昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
ノズル部(18a)内に形成される冷媒通路として、冷媒噴射口(18c)へ向かって冷媒通路面積を縮小させる先細部(18i)、および先細部(18i)から冷媒噴射口(18c)へ冷媒を導く噴射部(18j)が設けられており、ノズル部(18a)は、噴射部(18j)の軸方向断面における拡がり角度(θn)が、0°以上となっていることによって、混合部(18e)へ噴射される噴射冷媒を自由膨張させるように形成されており、
冷凍サイクル装置(10b)では、第1蒸発器(15)の冷媒出口に、サイクル内の余剰冷媒を蓄えて気液二相冷媒を流出させる貯液部(19)が接続され、ノズル部(18a)には、貯液部(19)から流出した気液二相冷媒が流入することを特徴とする。
これによれば、請求項5に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
また、請求項7に記載の発明では、冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10、10a、10b)に適用されるエジェクタ(18)であって、
第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および噴射冷媒と冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
さらに、ボデー部(18b)の内部空間のうち、冷媒噴射口(18c)から昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
ノズル部(18a)内に形成される冷媒通路として、冷媒噴射口(18c)へ向かって冷媒通路面積を縮小させる先細部(18i)、および先細部(18i)から冷媒噴射口(18c)へ冷媒を導く噴射部(18j)が設けられており、ノズル部(18a)は、噴射部(18j)の軸方向断面における拡がり角度(θn)が、0°以上となっていることによって、混合部(18e)へ噴射される噴射冷媒を自由膨張させるように形成されており、
混合部(18e)は、冷媒流れ下流側に向かって徐々に冷媒通路面積が縮小する円錐台形状と冷媒通路面積を一定とする円柱形状とを組み合わせた形状に形成されており、
混合部(18e)のうち円柱形状の部位のノズル部(18a)の軸方向長さをLbとし、円柱形状の部位の直径をφDbとしたときに、
Lb/φDb≦1
となっていることを特徴とする。
これによれば、請求項5に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
なお、請求項に記載された「噴射部(18j)の軸方向断面における拡がり角度(θn)が、0°以上となっている」とは、拡がり角度(θn)が0°より大きくなっている場合には、噴射部(18j)の形状が冷媒流れ方向に向かって冷媒通路断面積拡大させる形状(例えば、円錐台形状)になっていることを意味し、拡がり角度(θn)が0°となっている場合には、噴射部(18j)の形状が冷媒通路断面積を一定とする形状(例えば、円柱形状)になっていること意味している。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第1実施形態のエジェクタの軸方向断面図である。 第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルを作動させた際の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 第1実施形態のエジェクタのエジェクタ効率を示すグラフである。 第2実施形態のエジェクタの軸方向断面図である。 第3実施形態のエジェクタの軸方向断面図である。 図6のVII−VII断面図である。 第3実施形態のエジェクタのノズル効率を示すグラフである。 第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第5実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルを作動させた際の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 第5実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第5実施形態の貯液タンクの断面図である。 第6実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第7実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第8実施形態のエジェクタの軸方向断面図である。 第9実施形態のエジェクタの軸方向断面図である。 第9実施形態の変形例のエジェクタの軸方向断面図である。 第10実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第10実施形態の変形例のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 一般的なエジェクタ式冷凍サイクルの運転時にエジェクタ内で衝撃波が発生する箇所を説明するための説明図である。 ノズル部へ流入する冷媒の乾き度が比較的高くなる運転時にエジェクタ内で衝撃波が発生する箇所を説明するための説明図である。 一般的なエジェクタ式冷凍サイクルの運転時の混合冷媒の圧力変化を説明するための説明図である。 ノズル部へ流入する冷媒の乾き度が比較的高くなる運転時の混合冷媒の圧力変化を説明するための説明図である。 バレル衝撃波を説明するための説明図である。 エジェクタのノズル部にて凝縮遅れが生じた際の冷媒の状態を示すモリエル線図である。
(第1実施形態)
図1〜図4を用いて、第1実施形態について説明する。本実施形態では、エジェクタ18を備えるエジェクタ式冷凍サイクル10を、車両用冷凍サイクル装置に適用している。具体的には、このエジェクタ式冷凍サイクル10は、車室内へ送風される室内用送風空気を冷却する機能、および車室内に配置された車内冷蔵庫(クールボックス)内へ送風される庫内用送風空気を冷却する機能を果たす。
図1の全体構成図に示すエジェクタ式冷凍サイクル10において、圧縮機11は、冷媒を吸入し、高圧冷媒となるまで圧縮して吐出するものである。具体的には、本実施形態の圧縮機11は、1つのハウジング内に固定容量型の圧縮機構、および圧縮機構を駆動する電動モータを収容して構成された電動圧縮機である。
この圧縮機構としては、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用できる。また、電動モータは、後述する制御装置から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。
さらに、圧縮機11は、プーリ、ベルト等を介して車両走行用エンジンから伝達された回転駆動力によって駆動されるエンジン駆動式の圧縮機であってもよい。この種のエンジン駆動式の圧縮機としては、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整できる可変容量型圧縮機、電磁クラッチの断続により圧縮機の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機等を採用することができる。
また、このエジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。さらに、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11の吐出口側には、放熱器12の冷媒入口側が接続されている。放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と冷却ファン12aにより送風される車室外空気(外気)を熱交換させて、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。冷却ファン12aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
放熱器12の冷媒出口側には、第1減圧手段としての高段側絞り装置13の入口側が接続されている。高段側絞り装置13は、第1蒸発器15出口側冷媒の温度および圧力に基づいて第1蒸発器15出口側冷媒の過熱度を検出する感温部を有し、第1蒸発器15出口側冷媒の過熱度が予め定めた基準範囲内となるように機械的機構によって絞り通路面積を調整する温度式膨張弁である。
高段側絞り装置13の出口側には、高段側絞り装置13から流出した冷媒の流れを分岐する分岐部14の冷媒流入口が接続されている。分岐部14は、3つの流入出口を有する三方継手で構成されており、3つの流入出口のうち1つを冷媒流入口とし、残りの2つを冷媒流出口としたものである。このような三方継手は、管径の異なる配管を接合して形成してもよいし、金属ブロックや樹脂ブロックに複数の冷媒通路を設けて形成してもよい。
分岐部14の一方の冷媒流出口には、第1蒸発器15の冷媒入口側が接続されている。第1蒸発器15は、高段側絞り装置13にて減圧された低圧冷媒と第1送風ファン15aから車室内へ送風される室内用送風空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。第1送風ファン15aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動送風機である。
また、分岐部14の他方の冷媒流出口には、第2減圧手段としての低段側絞り装置16の入口側が接続されている。低段側絞り装置16は、絞り開度が固定された固定絞りであり、具体的には、ノズル、オリフィス、キャピラリチューブ等を採用することができる。
低段側絞り装置16の出口側には、第2蒸発器17の冷媒入口側が接続されている。第2蒸発器17は、低段側絞り装置16にて減圧された低圧冷媒と第2送風ファン17aからクールボックス内へ循環送風される庫内用送風空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。この第2蒸発器17の基本的構成は、第1蒸発器15と同等である。
ここで、第2蒸発器17へ流入する冷媒は、高段側絞り装置13にて減圧された後に、低段側絞り装置16にてさらに減圧されるので、第2蒸発器17における冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)は、第1蒸発器15における冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)よりも低くなる。また、第2送風ファン17aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動送風機である。
次に、第1蒸発器15の冷媒出口側には、エジェクタ18のノズル部18aの入口側が接続されている。エジェクタ18は、第1蒸発器15下流側冷媒を減圧させる減圧手段としての機能を果たすとともに、高速で噴射される噴射冷媒の吸引作用によって冷媒を吸引(輸送)してサイクル内を循環させる冷媒循環手段(冷媒輸送手段)としての機能を果たすものである。
このエジェクタ18の詳細構成については、図2を用いて説明する。エジェクタ18は、ノズル部18aおよびボデー部18bを有して構成されている。まず、ノズル部18aは、冷媒の流れ方向に向かって徐々に先細る略円筒状の金属(例えば、ステンレス合金)等で形成されており、内部に形成された冷媒通路(絞り通路)にて冷媒を等エントロピ的に減圧膨張させるものである。
ノズル部18a内に形成される冷媒通路には、冷媒通路面積が最も縮小した喉部(最小通路面積部)が設けられ、さらに、この喉部から冷媒を噴射する冷媒噴射口18cへ向かって冷媒通路面積が徐々に拡大する末広部が設けられている。つまり、本実施形態のノズル部18aは、いわゆるラバールノズルとして構成されている。
また、本実施形態では、ノズル部18aとして、エジェクタ式冷凍サイクル10の通常運転時に、冷媒噴射口18cから噴射される噴射冷媒が気液二相状態となり、さらに、冷媒噴射口18cから噴射される直前の冷媒の流速が、前述の数式F1で説明した二相音速αh以上(超音速状態)となるものが採用されている。
次に、ボデー部18bは、略円筒状の金属(例えば、アルミニウム)あるいは樹脂で形成されており、内部にノズル部18aを支持固定する固定部材として機能するとともに、エジェクタ18の外殻を形成するものである。より具体的には、ノズル部18aは、ボデー部18bの長手方向一端側の内部に収容されるように圧入等によって固定されている。
また、ボデー部18bの外周側面のうち、ノズル部18aの外周側に対応する部位には、その内外を貫通してノズル部18aの冷媒噴射口18cと連通するように設けられた冷媒吸引口18dが形成されている。この冷媒吸引口18dは、ノズル部18aの冷媒噴射口18cから噴射された噴射冷媒の吸引作用によって第2蒸発器17から流出した冷媒をエジェクタ18の内部へ吸引する貫通穴である。
さらに、ボデー部18bの内部には、冷媒噴射口18cから噴射された噴射冷媒と冷媒吸引口18dから吸引された吸引冷媒とを混合させる混合部18e、冷媒吸引口18dから吸引された吸引冷媒を混合部18eへ導く吸引通路18f、および混合部18eにて混合された混合冷媒を昇圧させる昇圧部としてのディフューザ部18gが形成されている。
吸引通路18fは、ノズル部18aの先細り形状の先端部周辺の外周側とボデー部18bの内周側との間の空間によって形成されており、吸引通路18fの冷媒通路面積は、冷媒流れ方向に向かって徐々に縮小している。これにより、吸引通路18fを流通する吸引冷媒の流速を徐々に増速させて、混合部18eにて吸引冷媒と噴射冷媒が混合する際のエネルギ損失(混合損失)を減少させている。
混合部18eは、ボデー部18bの内部空間のうち、ノズル部18aの軸方向断面においてノズル部18aの冷媒噴射口18cからディフューザ部18gの入口部18hへ至る範囲の空間によって形成されている。さらに、混合部18eにおける冷媒噴射口18cから入口部18hへ至るノズル部18aの軸線方向の距離Laは、入口部18hへ流入する冷媒の流速が二相音速αh以下となるように決定されている。
具体的には、冷媒噴射口18cを含むノズル部18aの軸方向垂直断面における冷媒噴射口18cの円形状の開口断面積と吸引通路18fの円環状の冷媒通路断面積の合計値を円に換算したときの相当直径をφDaとしたときに、以下数式F4を満たすように距離Laが決定されている。
La/φDa≦1…(F4)
なお、本実施形態では、具体的に、La/φDa=1としている。
さらに、本実施形態の混合部18eは、冷媒流れ下流側に向かって冷媒通路面積を縮小させる形状に形成されている。より具体的には、冷媒流れ下流側に向かって徐々に冷媒通路面積を縮小させる円錐台形状と冷媒通路面積を一定とする円柱形状とを組み合わせた形状に形成されている。さらに、ディフューザ部18gの入口部18hの冷媒通路面積が、冷媒噴射口18cの冷媒通路面積よりも小さくなるように形成されている。
また、図2に示すように、混合部18eのうち円柱形状の部位のノズル部18aの軸方向長さをLbとし、円柱形状の部位の直径(ディフューザ部18gの入口部18hの直径に相当)をφDbとしたときに、以下数式F5を満たすように距離Lbが決定されている。
Lb/φDb≦1…(F5)
なお、本実施形態では、具体的に、Lb/φDb=1としている。
ディフューザ部18gは、混合部18eの出口に連続するように配置されて、冷媒通路面積が徐々に拡大するように形成されている。これにより、ディフューザ部18gは、混合部18eから流出した混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換する機能、すなわち、混合冷媒の流速を減速させて混合冷媒を昇圧させる機能を果たす。
より具体的には、本実施形態のディフューザ部18gを形成するボデー部18bの内周壁面の壁面形状は、図2に示すように、複数の曲線を組み合わせて形成されている。そして、ディフューザ部18gの冷媒通路断面積の広がり度合が冷媒流れ方向に向かって徐々に大きくなった後に再び小さくなっていることで、冷媒を等エントロピ的に昇圧させることができる。
エジェクタ18のディフューザ部18gの冷媒出口側には、圧縮機11の吸入口が接続されている。
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。図示しない制御装置は、CPU、ROM、RAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器11、12a、15a、17a等の作動を制御する。
また、制御装置には、車室内温度を検出する内気温センサ、外気温を検出する外気温センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、第1蒸発器15の吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する第1蒸発器温度センサ、第2蒸発器17の吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する第2蒸発器温度センサ、放熱器12出口側冷媒の温度を検出する出口側温度センサ、放熱器12出口側冷媒の圧力を検出する出口側圧力センサ、クールボックスの庫内温度を検出する庫内温度センサ等のセンサ群が接続され、これらのセンサ群の検出値が入力される。
さらに、制御装置の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が制御装置へ入力される。操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、車室内空調を行うことを要求する空調作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ等が設けられている。
なお、本実施形態の制御装置は、その出力側に接続された各種の制御対象機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、制御装置のうち、各制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が各制御対象機器の制御手段を構成している。例えば、本実施形態では、圧縮機11の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が吐出能力制御手段を構成している。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図3のモリエル線図を用いて説明する。まず、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)されると、制御装置が圧縮機11の電動モータ、冷却ファン12a、第1送風ファン15a、第2送風ファン17a等を作動させる。これにより、圧縮機11が冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。
圧縮機11から吐出された高温高圧状態の気相冷媒(図3のa3点)は、放熱器12へ流入し、冷却ファン12aから送風された送風空気(外気)と熱交換し、放熱して凝縮する(図3のa3点→b3点)。
放熱器12から流出した冷媒は、高段側絞り装置13へ流入して等エンタルピ的に減圧される(図3のb3点→c3点)。この際、高段側絞り装置13の絞り開度は、第1蒸発器15出口側冷媒(図3のd3点)の過熱度が予め定めた所定範囲内となるように調整される。
高段側絞り装置13にて減圧された冷媒の流れは、分岐部14にて分岐される。分岐部14にて分岐された一方の冷媒は、第1蒸発器15へ流入して、第1送風ファン15aによって送風された室内用送風空気から吸熱して蒸発する(図3のc3点→d3点)。これにより、室内用送風空気が冷却される。
分岐部14にて分岐された他方の冷媒は、低段側絞り装置16へ流入して、さらに等エンタルピ的に減圧される(図3のc3点→e3点)。低段側絞り装置16にて減圧された冷媒は、第2蒸発器17へ流入して、第2送風ファン17aによって循環送風された庫内用送風空気から吸熱して蒸発する(図3のe3点→f3点)。これにより、庫内用送風空気が冷却される。
また、第1蒸発器15から流出した過熱度を有する気相冷媒は、エジェクタ18のノズル部18aへ流入して等エントロピ的に減圧されて噴射される(図3のd3点→g3点)。そして、この噴射冷媒の吸引作用によって、第2蒸発器17から流出した冷媒が、エジェクタ18の冷媒吸引口18dから吸引される。
ノズル部18aから噴射された噴射冷媒および冷媒吸引口18dから吸引された吸引冷媒は、エジェクタの18の混合部18eにて混合されて、ディフューザ部18gへ流入する(図3のg3→h3点、f3点→h3点)。
ディフューザ部18gでは、冷媒通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の圧力が上昇する(図3のh3点→i3点)。ディフューザ部18gから流出した冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される(図3のi3点→a3点)。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10は、以上の如く作動して、車室内へ送風される室内用送風空気およびクールボックス内へ循環送風される庫内用送風空気を冷却することができる。この際、第2蒸発器17の冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)が、第1蒸発器15の冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)よりも低くなるので、車室内およびクールボックスの庫内を異なる温度帯で冷却することができる。
さらに、エジェクタ式冷凍サイクル10では、エジェクタ18のディフューザ部18gにて昇圧された冷媒を圧縮機11に吸入させるので、圧縮機11の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
ここで、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10のように、エジェクタ18のノズル部18aへ第1蒸発器15から流出した過熱度を有する気相冷媒を流入させる構成では、混合部18eにおける混合冷媒の乾き度xも比較的高い値(例えば、乾き度xが0.8以上)となりやすい。
このように混合冷媒が比較的乾き度xの高い気液二相冷媒になってしまうと、図20、図21を用いて説明したように、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能が不安定になってしまう。
これに対して、本実施形態のエジェクタ18によれば、混合部18eにおけるノズル部18aの冷媒噴射口18cからディフューザ部18gの入口部18hへ至るノズル部18aの軸線方向の距離Laが、入口部18hへ流入する冷媒の流速が二相音速αh以下となるように決定されている。これにより、混合冷媒が超音速状態から亜音速状態へ移行する際に発生する衝撃波を混合部18e内で生じさせることができる。
従って、ディフューザ部18g内で衝撃波が発生してしまうことを抑制でき、衝撃波の作用によってディフューザ部18g内を流通する混合冷媒の流速が不安定になってしまうことを抑制できる。その結果、ノズル部18aへ第1蒸発器15から流出した冷媒を流入させるエジェクタ18であっても、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能を安定化させることができ、エジェクタ18の冷媒昇圧性能の低下を抑制できる。
さらに、上記数式F4を満たすように、距離Laを決定することで、混合冷媒が超音速状態から亜音速状態へ移行する際に発生する衝撃波を混合部18e内で生じさせるだけでなく、エジェクタ18の軸方向長さが不必要に増加してしまうことを抑制できる。
また、本実施形態のエジェクタ18では、混合部18eの形状が、冷媒流れ下流側に向かって徐々に冷媒通路面積を縮小させる形状に形成されている。さらに、ディフューザ部18gの入口部18hの冷媒通路面積を、ノズル部18acの冷媒噴射口18cの冷媒通路面積よりも小さく設定している。
これにより、本実施形態の混合部18eでは、混合冷媒の流速を効果的に減速させるようにして、ディフューザ部18gの入口部18hへ到達するまでに、混合冷媒の流速が二相音速αh以下となるようにしている。
さらに、本発明者らの検討によれば、混合部18eの形状を、冷媒流れ下流側に向かって徐々に冷媒通路面積を縮小させる円錐台形状と冷媒通路面積を一定とする円柱形状とを組み合わせた形状とし、上記数式F5を満たすように、距離Lbを決定することで、混合冷媒の流速を効果的に減速させることができることが判っている。
従って、本実施形態のエジェクタ18によれば、図4に示すように、エジェクタ18におけるエネルギ変換効率(エジェクタ効率ηej)を従来技術に対して大きく向上させることができる。その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、エジェクタ18を備えることによるCOP向上効果を充分に得ることができる。
なお、エジェクタ効率ηejは、以下数式F6にて定義される。
ηej={Δhd×(Gn+Ge)}/(Δiej×Gn)…(F6)
ここで、Gnは、エジェクタ18のノズル部18aから噴射される噴射冷媒の流量であって、第1蒸発器15を流通する冷媒流量である。また、Geは、エジェクタの18の冷媒吸引口18dから吸引される吸引冷媒の流量であって、第2蒸発器17を流通する冷媒流量である。
さらに、Δhdは、図3に示すように、エジェクタ18のディフューザ部18gにて冷媒が等エントロピ的に昇圧された際のエンタルピの増加量であり、Δiejは、図3に示すように、エジェクタ18のノズル部18aにて等エントロピ的に減圧された際のエンタルピの減少量である。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図5に示すように、エジェクタ18の構成を変更した例を説明する。なお、図5では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面においても同様である。
具体的には、本実施形態のエジェクタ18では、ノズル部18a内に形成される冷媒通路として、冷媒噴射口18cへ向かって冷媒通路面積を徐々に縮小させる先細部18iが形成されている。つまり、本実施形態のノズル部18aは、いわゆる先細ノズルとして構成されている。さらに、本実施形態のノズル部18a内に形成される冷媒通路の最下流側には、噴射部18jが形成されている。
噴射部18jは、先細部18iの最下流部から冷媒噴射口18cへ向かって冷媒を導く空間である。従って、噴射部18jのノズル部18aの軸方向断面における拡がり角度θnによって、冷媒噴射口18cから噴射される噴射冷媒の噴霧形状あるいは拡がり方向を変化させることができる。つまり、噴射部18jは、冷媒噴射口18cから噴射される冷媒の噴射方向を規定する空間であると表現することもできる。
さらに、本実施形態では、ノズル部18aの軸方向断面における噴射部18jの拡がり角度θnを0°としている。つまり、本実施形態の噴射部18jは、ノズル部18aの軸方向に延びて、冷媒通路面積を一定とする円柱形状の空間によって形成されている。なお、図5では、角度θnの明確化のために、角度θnを僅かな値(1°程度)として図示している。
また、図5に示すように、ノズル部18a内に形成される冷媒通路のうち噴射部18jが形成される軸方向長さをLcとし、冷媒噴射口18cの開口面積の相当直径をφDcとしたときに、以下数式F7を満たすように距離Lcが決定されている。
Lc/φDc≦1…(F7)
なお、本実施形態では、具体的に、Lc/φDc=0.67としている。Lc/φDc=1としてもよい。
本実施形態のノズル部18aでは、内部に形成される冷媒通路を上記の如く形成することによって、冷媒噴射口18cから混合部18eへ噴射される冷媒を自由膨張させるようにしている。
その他のエジェクタ18およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10を作動させると、第1実施形態と同様に、車室内へ送風される室内用送風空気およびクールボックス内へ循環送風される庫内用送風空気を冷却することができる。
ここで、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10のように、エジェクタ18のノズル部18aへ第1蒸発器15から流出した過熱度を有する気相冷媒を流入させる構成では、冷媒噴射口18cから噴射された直後の噴射冷媒の流速が高くなりやすく、さらに、ノズル部18a内に形成される冷媒通路を流れる冷媒が、気液密度比の高い気液二相冷媒になってしまうことがある。
このような気液密度比の高い気液二相冷媒が、ノズル部18a内に形成される冷媒通路を高速度で流通すると、冷媒と冷媒通路との壁面摩擦が大きく増加して、冷媒の有する運動エネルギの損失を招いてしまうため、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能が低下してしまう。
これに対して、本実施形態のエジェクタ18によれば、先細ノズルとして構成されたノズル部18aに噴射部18jが設けられており、冷媒噴射口18cから混合部18eへ噴射される混合冷媒を自由膨張させるので、ラバールノズルのように末広部を設けることなく、混合部18eにて噴射冷媒を加速することができる。つまり、ラバールノズルの末広部にて冷媒を超音速加速する際に生じる冷媒と冷媒通路との壁面摩擦を生じさせることなく冷媒を加速することができる。
従って、冷媒と冷媒通路との壁面摩擦を低下させて、冷媒通路を流れる冷媒の有する運動エネルギの損失を抑制することができ、噴射冷媒の流速が低下してしまうことを抑制できる。その結果、ノズル部18aへ第1蒸発器15から流出した冷媒を流入させるエジェクタ18であっても、ノズル部18aにおける冷媒のエネルギ損失を低減させて、エジェクタ18の冷媒昇圧性能の低下を抑制できる。
また、本実施形態のエジェクタ18によれば、第1実施形態と同様に、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能を安定化させることができ、エジェクタ18におけるエジェクタ効率ηejを向上させることができる。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、エジェクタ18を備えることによるCOP向上効果を充分に得ることができる。
なお、本実施形態では、ノズル部18aの軸方向断面における噴射部18jの拡がり角度θnを0°とした例を説明したが、冷媒噴射口18cから噴射される冷媒を自由膨張させることができれば、拡がり角度θnを0°よりも大きく設定してもよい。つまり、噴射部18jは、冷媒流れ方向に向かって冷媒通路断面積が徐々に拡大する円錐台形状の空間によって形成されていてもよい。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図6、図7に示すように、エジェクタ18の構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態のエジェクタ18では、ノズル部18a内に形成される冷媒通路のうち喉部(最小通路面積部)よりも冷媒流れ上流側に、冷媒流入口18lから流入した冷媒をノズル部18aの軸周りに旋回させる旋回空間18kを設けている。
より詳細には、この旋回空間18kは、ノズル部18aの冷媒流れ上流側に設けられた筒状部18mの内部に形成されている。従って、この筒状部18mは、特許請求の範囲に記載された旋回空間形成部材を構成しており、本実施形態では、旋回空間形成部材とノズル部が一体的に構成されていることになる。
旋回空間18kは、回転体形状に形成され、その中心軸がノズル部18aと同軸上に延びている。なお、回転体形状とは、平面図形を同一平面上の1つの直線(中心軸)の周りに回転させた際に形成される立体形状である。より具体的には、本実施形態の旋回空間18kは、略円柱状に形成されている。
さらに、冷媒流入口18lと旋回空間18kとを接続する冷媒流入通路18nは、旋回空間18kの中心軸方向から見たときに、図7に示すように、旋回空間18kの内壁面の接線方向に延びている。これにより、冷媒流入口18lから旋回空間18kへ流入した冷媒は、旋回空間18kの内壁面に沿って流れ、旋回空間18k内を旋回する。
ここで、旋回空間18k内で旋回する冷媒には遠心力が作用するので、旋回空間18k内では中心軸側の冷媒圧力が外周側の冷媒圧力よりも低下する。そこで、本実施形態では、通常運転時に、旋回空間18k内の中心軸側の冷媒が飽和ガス線よりも気液二相側となるように、すなわち、旋回空間18k内の中心軸側の冷媒が凝縮を開始するように、旋回空間18k内の中心軸側の冷媒の圧力を低下させている。
このような旋回空間18k内の中心軸側の冷媒圧力の調整は、旋回空間18k内で旋回する冷媒の旋回流速を調整することによって実現することができる。さらに、この旋回流速の調整は、例えば、冷媒流入通路18nの通路断面積と旋回空間18kの軸方向垂直断面積との流路断面積の比率を調整することや、ノズル部18aの上流側に配置される高段側絞り装置13の絞り開度を調整することによって行うことができる。
その他のエジェクタ18およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10を作動させると、第1実施形態と同様に、車室内へ送風される室内用送風空気およびクールボックス内へ循環送風される庫内用送風空気を冷却することができる。
ここで、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10のように、エジェクタ18のノズル部18aへ第1蒸発器15から流出した過熱度を有する気相冷媒を流入させる構成では、前述の如く、エジェクタ18のノズル部18a内に形成される冷媒通路にて冷媒を減圧させながら凝縮させて加速することになる。
このようなエジェクタ18では、冷媒と冷媒通路との壁面摩擦によってエネルギ損失が生じてしまうだけでなく、ノズル部18a内に形成される冷媒通路を流れる気相冷媒を凝縮させる際に、図25のd25点→g25点に示すように、飽和状態になっても直ちに凝縮が始まらず、冷媒が過飽和状態となってしまう凝縮遅れが生じてしまうことがある。
なお、図25は、凝縮遅れが生じている場合の冷媒の状態の変化を示すモリエル線図であって、図3と同一の状態の冷媒には図3と同一の符号(アルファベット)を付して添え字(数字)のみを変更している。このことは、他のモリエル線図でも同様である。
このような凝縮遅れが生じる原因について説明すると、ファンデルワールス力の分子間力を考慮すると、図25のモリエル線図に示すように、気液二相冷媒の等温線は、等圧力線からずれた曲線として描くことができる。
このため、飽和ガス線よりも僅かにエンタルピが減少した領域の冷媒は、同圧力の飽和ガス線上の冷媒よりも温度低下させなければ冷媒を凝縮させることのできない准安定状態となる。従って、ノズル部18aへ気相冷媒を流入させた際には、准安定状態となった冷媒の温度がある程度低下するまで凝縮が開始しない凝縮遅れが生じてしまう。
さらに、凝縮遅れが生じると、ノズル部18aにて冷媒を等エントロピ膨張させる場合に対して噴射冷媒のエンタルピが増加する(図25のΔhxの相当)。このエンタルピの増加量は、冷媒がノズル部18a内に形成される冷媒通路を流通する際に潜熱としてエネルギ放出した潜熱放出量に相当するので、この潜熱放出量が増加してしまうと、ノズル部18a内に形成される冷媒通路を流通する冷媒に衝撃波を発生させてしまう。
そして、冷媒が潜熱放出することによって生じる衝撃波は、噴射冷媒の流速を不安定にさせてしまうので、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能を低下させてしまう。
これに対して、本実施形態のエジェクタ18では、旋回空間18k内で冷媒を旋回させることによって、旋回空間18k内の中心軸側の冷媒に凝縮を開始させて、凝縮核の生成された気液二相冷媒をノズル部18aへ流入させることができる。従って、ノズル部18aにて冷媒に凝縮遅れが生じてしまうことを抑制できる。
その結果、図8に示すように、ノズル部18aにおけるノズル効率ηnozを従来技術に対して大きく向上させることができ、ノズル部18a内に形成される冷媒通路にて冷媒を減圧させながら凝縮させて加速するエジェクタ18であっても、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能の低下を抑制できる。なお、ノズル効率ηnozとは、ノズル部18aにて冷媒の圧力エネルギを運動エネルギへ変換する際のエネルギ変換効率である。
また、本実施形態のエジェクタ18によれば、第1実施形態と同様に、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能を安定化させることができ、エジェクタ18におけるエジェクタ効率ηejを向上させることができる。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、エジェクタ18を備えることによるCOP向上効果を充分に得ることができる。
さらに、本実施形態のエジェクタ18によれば、旋回空間18kへ流入する冷媒が気液二相冷媒になっている場合であっても、旋回空間18k内の中心側の冷媒圧力を低下させてノズル部18aの喉部(最小通路面積部)へ流入する冷媒の沸騰を促進させることができるので、ノズル効率ηnozを向上させることができる。
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、エジェクタ式冷凍サイクルの構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、図9に示すように、放熱器12の出口側に分岐部14を配置し、分岐部14にて分岐された一方の冷媒を高段側絞り装置13にて低圧冷媒となるまで減圧させて、第1蒸発器15の冷媒入口側へ流入させている。また、分岐部14にて分岐された他方の冷媒を低段側絞り装置16にて低圧冷媒となるまで減圧させて、第2蒸発器17の冷媒入口側へ流入させている。
さらに、本実施形態では、高段側絞り装置13の絞り開度よりも低段側絞り装置16の絞り開度が小さく設定されており、高段側絞り装置13における減圧量よりも低段側絞り装置16における減圧量が大きくなっている。従って、第2蒸発器17における冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)は、第1蒸発器15における冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)よりも低くなる。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aを作動させると、図10のモリエル線図に示すように、圧縮機11から吐出された高温高圧状態の気相冷媒(図10のa10点)が、第1実施形態と同様に、放熱器12にて放熱して凝縮する(図10のa10点→b10点)。
放熱器12から流出した冷媒の流れは、分岐部14にて分岐される。分岐部14にて分岐された一方の冷媒は、高段側絞り装置13にて減圧されて(図10のb10点→c10点)、第1蒸発器15へ流入する。分岐部14にて分岐された他方の冷媒は、低段側絞り装置16にて減圧されて(図10のb10点→e10点)、第2蒸発器17へ流入する。以降の作動は第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aを作動させると、第1実施形態と同様に、車室内へ送風される室内用送風空気およびクールボックス内へ循環送風される庫内用送風空気を冷却することができる。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aにおいても、エジェクタ18が第1実施形態と同様の効果を発揮するので、エジェクタ18を備えることによるCOP向上効果を充分に得ることができる。また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aに、第2、第3、第8、第9実施形態に開示されたエジェクタ18を適用してもよい。
(第5実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、エジェクタ式冷凍サイクルの構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10bでは、図11に示すように、高段側絞り装置13として絞り開度が固定された固定絞りを採用し、低段側絞り装置16として温度式膨張弁を採用している。さらに、第1蒸発器15の冷媒出口側とエジェクタ18のノズル部18aの入口側との間に、サイクル内の余剰冷媒を蓄える貯液タンク(貯液部)19を配置している。
この貯液タンク19の詳細構成については、図12を用いて説明する。なお、図12における上下の各矢印は、貯液タンク19を車両に搭載した状態における上下の各方向を示している。
貯液タンク19は、上下方向に延びて両端部が閉塞された円筒状部材で形成された本体部19a、第1蒸発器15から流出した冷媒を本体部19a内へ流入させる冷媒流入ポート19b、本体部19a内から気液二相冷媒をエジェクタ18のノズル部18a側へ流出させる冷媒流出ポート19c等を有して構成されている。
冷媒流入ポート19bは、本体部19aの円筒状側面に接続されており本体部19aの円筒状側面の接線方向に延びる冷媒配管によって構成されている。冷媒流出ポート19cは、本体部19aの軸方向下側端面(底面)に接続されており、本体部19aの内外に亘って本体部19aと同軸上に延びる冷媒配管によって構成されている。
さらに、冷媒流出ポート19cの上端部は、冷媒流入ポート19bの接続部位よりも上方側まで延びている。また、冷媒流出ポート19cの下方側には、本体部19a内に貯留された液相冷媒を、冷媒流出ポート19c内へ流入させる液相冷媒導入穴19dが形成されている。
従って、サイクルを循環する循環冷媒流量が減少し、第1蒸発器15から気液二相冷媒が流出する運転条件では、冷媒流入ポート19bから本体部19a内へ流入した冷媒が本体部19aの円筒状内壁面に沿って旋回して流れ、この旋回流によって生じる遠心力の作用によって冷媒の気液が分離される。
そして、分離された液相冷媒は、重力の作用によって下方側へ落下し、余剰冷媒として本体部19a内に貯留される。一方、分離された気相冷媒は、冷媒流出ポート19cを介してノズル部18aの入口側へ流出する際に、液相冷媒導入穴19dから冷媒流出ポート19c内へ流入した液相冷媒と混合して気液二相冷媒となって流出する。
また、サイクルを循環する循環冷媒流量が増加し、第1蒸発器15から気相冷媒が流出する運転条件では、冷媒流入ポート19bから流入した気相冷媒は気液分離されることなく、冷媒流出ポート19cを介してノズル部18aの入口側へ流出する。この際、冷媒流出ポート19cへ流入した気相冷媒は、液相冷媒導入穴19dから冷媒流出ポート19c内へ流入した液相冷媒と混合して気液二相冷媒となって流出する。
つまり、本実施形態の貯液タンク19は、第1蒸発器15から流出した冷媒を気液二相状態としてノズル部18aの入口側へ流出させる二相化手段を構成している。より具体的には、貯液タンク19は、本体部19aに貯液された液相冷媒と第1蒸発器15から流出した冷媒とを混合させてノズル部18aの入口側へ流出させている。
その他のエジェクタ18およびエジェクタ式冷凍サイクル10bの構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10を作動させると、第1実施形態と同様に、車室内へ送風される室内用送風空気およびクールボックス内へ循環送風される庫内用送風空気を冷却することができる。
ここで、エジェクタ18のノズル部18aへ気相冷媒を流入させる構成のエジェクタ式冷凍サイクルでは、混合部18eにて噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させた混合冷媒の乾き度xも比較的高い値(例えば、乾き度xが0.8以上)となりやすい。
このようなエジェクタ式冷凍サイクルでは、図25を用いて説明したように、凝縮遅れが生じて、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能を低下させてしまうことがある。また、図20、図21を用いて説明したように、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能が不安定になってしまうことがある。
さらに、本発明者らの検討によれば、混合冷媒の乾き度xが上昇して、0.995以上の高乾き度の気液二相冷媒になってしまうと、エジェクタ18のディフューザ部18gが所望の冷媒昇圧性能を発揮できないばかりか、エジェクタ18の冷媒吸引口18dから吸引される吸引冷媒の流量が減少してしまうことがある。
その理由は、高乾き度の気液二相冷媒では、混合冷媒中の液相冷媒が気相冷媒から受ける剪断力が大きくなり、混合冷媒中の液滴(液相冷媒の粒)の平均粒径が小さくなってしまうからである。
混合冷媒中の液滴の平均粒径が小さくなってしまうことによってエジェクタの吸引冷媒流量が低下してしまう原因については、図22、図23を用いて説明する。なお、図22、図23では、上述の図20、図21と同様に、一般的なエジェクタの軸方向断面を模式的に図示している。
まず、エジェクタ18のノズル部18aへ高乾き度となっていない気液二相冷媒を流入させると、噴射冷媒中の気相冷媒は吸引冷媒と混合されながら減速する。これに対して、噴射冷媒中の液相冷媒(すなわち、液滴)については、ノズル部18aの冷媒噴射口18cから噴射された際の慣性力によって増速する。なお、液滴の慣性力は、液滴の重さと冷媒噴射口18cにおける液滴の速度との積算値で表される。
そして、このように液滴が増速することで、混合冷媒の圧力エネルギが速度エネルギに変換され、図22の下段側グラフの実線で示すように、混合冷媒の圧力が冷媒吸引口18dに接続された蒸発器から流出した冷媒の圧力よりも低下させることができる。さらに、この混合冷媒の圧力低下によって、蒸発器から流出した気相冷媒を吸引することができる。
ところが、エジェクタ18のノズル部18aへ高乾き度の気液二相冷媒を流入させると、混合冷媒中の液滴が気相冷媒から受ける抗力が増加してしまうだけでなく、液滴の平均粒径が小さくなり、液滴の重さが軽くなってしまうので、液滴の慣性力も小さくなってしまう。
従って、ノズル部18aへ高乾き度の気液二相冷媒を流入させた際の液滴は、気相冷媒とほぼ同等に速度変化する。このため、混合冷媒中の液滴を充分に増速させることができず、図23の下段側グラフの実線で示すように、混合冷媒の圧力が低下しにくくなってしまう。その結果、エジェクタ18の吸引冷媒流量が低下してしまう。
さらに、混合冷媒が気相冷媒になり、混合部18eの冷媒通路面積が変化しない領域では、噴射冷媒が冷媒噴射口18cから噴射される際に生じる膨張波と噴射冷媒と吸引冷媒が合流する際に生じる圧縮波が衝突しあうことによって、混合冷媒中に、図24に示すような、バレル衝撃波と呼ばれる複数の周期的な衝撃波が生じてしまうことがある。
このようなバレル衝撃波は、混合冷媒の流速を、超音速状態から亜音速状態へ、さらに、亜音速状態から超音速状態へと周期的に変化させるので、混合冷媒の有する速度エネルギを大きく損失させてしまう。従って、バレル衝撃波は、エジェクタ18の吸引冷媒流量を大きく低下させてしまう原因や、エジェクタ18に大きな作動音を生じさせてしまう原因となる。
図24は、バレル衝撃波を説明するための説明図であって、従来技術のエジェクタ18のノズル部18aの冷媒噴射口18c周辺の模式的な拡大断面図である。
これに対して、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10bでは、二相化手段としての貯液タンク19を備えているので、エジェクタ18のノズル部18aへ確実に気液二相冷媒を流入させることができる。従って、凝縮遅れが生じてしまうことを確実に抑制できる。
さらに、ノズル部18aへ気液二相冷媒を流入させて等エントロピ的に減圧させることで、冷媒噴射口18cから噴射される噴射冷媒も確実に気液二相冷媒のとなるので、混合冷媒の乾き度xが上昇してしまうことを抑制できる。従って、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能が不安定になってしまうことや、エジェクタ18の吸引冷媒流量が低下してしまうことを抑制できる。
これに加えて、噴射冷媒の乾き度xを低下させて、混合冷媒の二相音速αhを低下させることができるので、二相冷媒の流速が超音速状態から亜音速状態へ変化する際に生じる衝撃波を気体力学的に弱い衝撃波とすることができる。従って、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能が不安定になってしまうことを効果的に抑制できる。
その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、エジェクタ18のノズル部18aへ第1蒸発器15下流側冷媒を流入させるサイクル構成であっても、COPを充分に向上させることができる。
また、本実施形態では、二相化手段を貯液タンク19によって構成しているので、サイクル構成の複雑化を招くことなく、極めて簡素な構成で、エジェクタ18のノズル部18aへ確実に気液二相冷媒を流入させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、低段側絞り装置16として可変絞り機構である温度式膨張弁を採用し、第2蒸発器17から流出した冷媒が予め定めた基準範囲内となるようにしている。換言すると、本実施形態の低段側絞り装置16の絞り開度は、第2蒸発器17から流出した冷媒が予め定めた基準過熱度以下となるように調整される。
従って、基準過熱度を適切に設定しておくことで、気液二相状態となっている噴射冷媒と基準過熱度以下の気相状態となっている吸引冷媒とを混合させた混合冷媒の乾き度xが上昇してしまうことを確実に抑制できる。さらに、第2蒸発器17から流出した冷媒が飽和気相冷媒あるは気液二相冷媒となるように、低段側絞り装置16の絞り開度を調整してもよい。
また、本実施形態のエジェクタ18によれば、第1実施形態と同様に、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能を安定化させることができ、エジェクタ18におけるエジェクタ効率ηejを向上させることができる。その結果、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10bによれば、エジェクタ18を備えることによるCOP向上効果を充分に得ることができる。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aに、第2、第3、第8、第9実施形態に開示されたエジェクタ18を適用してもよい。
(第6実施形態)
本実施形態では、第5実施形態に対して、図13に示すように、エジェクタ式冷凍サイクルの構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10bでは、貯液タンク19内へ圧縮機11から吐出された気相冷媒を導く吐出冷媒通路20aを追加している。この吐出冷媒通路20aには、貯液タンク19内の冷媒圧力を上昇させないための絞り手段を設けておくことが望ましい。そこで、本実施形態では、吐出冷媒通路20aをキャピラリチューブで構成している。
従って、本実施形態の二相化手段である貯液タンク19は、貯液タンク19に貯液された液相冷媒と圧縮機11から吐出された気相冷媒とを混合させてノズル部18aの入口側へ流出させるように構成されている。その他の構成および作動は第5実施形態と同様である。本実施形態のように二相化手段を構成しても、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aに、第2、第3、第8、第9実施形態に開示されたエジェクタ18を適用してもよい。
(第7実施形態)
本実施形態では、第5実施形態に対して、図14に示すように、エジェクタ式冷凍サイクルの構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10bでは、貯液タンク19内へ放熱器12から流出した液相冷媒を導く凝縮冷媒通路20bを追加している。この凝縮冷媒通路20bには、貯液タンク19内の冷媒圧力を上昇させないための絞り手段を設けておくことが望ましい。そこで、本実施形態では、凝縮冷媒通路20bをキャピラリチューブで構成している。
従って、本実施形態の二相化手段である貯液タンク19は、放熱器12から流出した液相冷媒と第1蒸発器15から流出した気相冷媒とを混合させてノズル部18aの入口側へ流出させるように構成されている。その他の構成および作動は第5実施形態と同様である。本実施形態のように二相化手段を構成しても、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aに、第2、第3、第8、第9実施形態に開示されたエジェクタ18を適用してもよい。
(第8実施形態)
本実施形態では、図15に示すように、第2実施形態のエジェクタ18に対して、第3実施形態と同様に、ノズル部18aの冷媒流れ上流側に設けられた筒状部18mの内部に冷媒流入口18lから流入した冷媒を旋回させる旋回空間18kを設けている。その他のエジェクタ18およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第2実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10を作動させると、第2実施形態と同様に、車室内へ送風される室内用送風空気およびクールボックス内へ循環送風される庫内用送風空気を冷却することができる。
また、本実施形態のエジェクタ18では、第3実施形態と同様に、旋回空間18k内で冷媒を旋回させることによって、凝縮核の生成された気液二相冷媒をノズル部18aへ流入させることができるので、ノズル効率ηnozを向上させることができる。従って、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能の低下を抑制できる。
また、第2実施形態と同様に、ノズル部18aの冷媒噴射口18cから噴射される冷媒を自由膨張させるので、壁面摩擦が増加してしまうことを抑制できる。従って、ノズル部18aにおける冷媒のエネルギ損失を低減させて、エジェクタ18の冷媒昇圧性能の低下を抑制できる。
さらに、第1実施形態と同様に、ディフューザ部18gにおける冷媒昇圧性能を安定化させることができ、エジェクタ18におけるエジェクタ効率ηejを向上させることができる。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、エジェクタ18を備えることによるCOP向上効果を充分に得ることができる。
(第9実施形態)
第8実施形態では、エジェクタ18のノズル部18aとして、噴射部18jの入口部に形成される最小通路面積部の冷媒通路面積が固定された固定ノズルを採用した例を説明したが、本実施形態では、図16に示すように、最小通路面積部の冷媒通路面積を変更可能に構成された可変ノズルを採用した例を説明する。
具体的には、本実施形態のエジェクタ18は、ノズル部18aの冷媒通路面積を変化させる弁体としてのニードル弁18y、このニードル弁18yを変位させる駆動手段としてのステッピングモータ18xを有して構成されている。
ニードル弁18yは、その中心軸がノズル部18aの中心軸と同軸上に配置された針状に形成されている。より具体的には、ニードル弁18yは、冷媒流れ下流側に向かって先細る形状に形成されており、最下流側の先細先端部がノズル部18aの冷媒噴射口18cよりも冷媒流れ下流側に向かって突出するように配置されている。つまり、本実施形態のノズル部18aは、いわゆるプラグノズルとして構成されている。
ステッピングモータ18xは、ノズル部18aの冷媒流入口18l側に配置されており、ニードル弁18yをノズル部18aの軸方向に変位させる。これにより、ノズル部18aの内周壁面とニードル弁18yの外周壁面との間に形成される断面円環状の冷媒通路の面積が変更される。なお、ステッピングモータ18xは、制御装置から出力される制御信号によってその作動が制御される。
その他のエジェクタ18およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第8施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10およびエジェクタ18においても、第8実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態のエジェクタ18によれば、ノズル部18aを可変ノズルとして構成しているので、エジェクタ18のノズル部18aへエジェクタ式冷凍サイクル10の負荷に応じた冷媒流量を流入させることができる。
また、本実施形態のノズル部18aはプラグノズルとして構成されているので、噴射冷媒を冷媒噴射口18cからニードル弁18yの外表面に沿うように混合部18eへ噴射することができる。従って、ノズル部18aへ流入させる冷媒流量が変化しても、噴射冷媒を容易に自由膨張させることができ、冷媒と冷媒通路との壁面摩擦を低下させて、冷媒通路を流れる冷媒の有する運動エネルギの損失を抑制することができる。
また、本実施形態のニードル弁18yは、図16に示すように、旋回空間18k内を貫通するように配置されているので、旋回空間18kで旋回する冷媒とノズル部18aの内壁との摩擦によって凝縮核を生成しやすい。
なお、図16に示すノズル部18aでは、ニードル弁18yとして、冷媒流れ下流側に向かって先細る形状のものを採用しているが、図17に示す変形例のように、ディフューザ部18g側から、冷媒流れ上流側に向かって先細る形状のものを採用してもよい。この場合は、最上流側の先細先端部が噴射部18jよりも先細部18i側へ突出するように配置すればよい。
(第10実施形態)
本実施形態では、第4実施形態に対して、エジェクタ式冷凍サイクル10aの構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、図18に示すように、高段側絞り装置13に代えて、第1減圧手段として高段側エジェクタ131を採用している。
この高段側エジェクタ131の基本的構成は、上述したエジェクタ18と同様である。従って、高段側エジェクタ131もエジェクタ18と同様に、冷媒を減圧させる高段側ノズル部131a、並びに、第1蒸発器15から流出した冷媒を吸引する高段側冷媒吸引口131dおよび混合冷媒を昇圧させる高段側ディフューザ部(高段側昇圧部)131gが形成された高段側ボデー部131bを有して構成されている。
ここで、本実施形態の高段側エジェクタ131の高段側ノズル部131aには、放熱器12にて凝縮した液相冷媒を流入させることができるので、高段側エジェクタ131では、高段側ノズル部131aに乾き度の高い気液二相冷媒が流入することによって高段側ディフューザ部131gが所望の昇圧性能を発揮できなくなってしまうことはない。
そこで、本実施形態では、高段側エジェクタ131として、上述したエジェクタ18と全く同様の構成のものではなく、高段側ノズル部131aに液相冷媒を流入させた際に、エジェクタ式冷凍サイクル10a全体として高いCOPを発揮できるように設定されたものを採用している。
高段側エジェクタ131の高段側ディフューザ部131g出口側には、高段側エジェクタ131の高段側ディフューザ部131gから流出した冷媒の気液を分離する気液分離器21が接続されている。
気液分離器21の液相冷媒流出口には、固定絞り22を介して、第1蒸発器15の冷媒流入口が接続され、第1蒸発器15の冷媒流出口には、高段側エジェクタ131の冷媒吸引口が接続されている。一方、気液分離器21の気相冷媒流出口には、エジェクタ18のノズル部18aの入口側が接続されている。その他の構成は第4実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aを作動させると、放熱器12から流出した液相冷媒の流れが分岐部14にて分岐される。分岐部14にて分岐された一方の冷媒は、高段側エジェクタ131の高段側ノズル部131aへ流入して等エントロピ的に減圧されて噴射される。
そして、この噴射冷媒の吸引作用によって、第1蒸発器15から流出した冷媒が、高段側エジェクタ131の高段側冷媒吸引口131dから吸引される。高段側ノズル部131aから噴射された噴射冷媒と高段側冷媒吸引口131dから吸引された吸引冷媒との混合冷媒は、高段側ディフューザ部131gへ流入して昇圧される。
高段側ディフューザ部131gから流出した冷媒は、気液分離器21へ流入して気液分離される。そして、気液分離器21にて分離された液相冷媒は、固定絞り22を介して第1蒸発器15へ流入する。一方、気液分離器21にて分離された気相冷媒は、エジェクタ18のノズル部18aへ流入する。その他の作動は、第4実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aによれば、第4実施形態と同様の効果を得られるだけでなく、高段側エジェクタ131の昇圧作用によって圧縮機11の消費動力を低減でき、サイクル全体としてのCOPをより一層向上させることができる。
なお、第1減圧手段として高段側エジェクタ131を採用するエジェクタ式冷凍サイクル10aは、図18に示されるサイクル構成に限定されることなく、例えば、図19に示すように構成してもよい。
具体的には、図19に示すエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、高段側エジェクタ131の高段側ディフューザ部131gの出口側に第1蒸発器15の冷媒入口側を接続し、さらに、分岐部(第1分岐部)14の他方の冷媒流出口に、さらに冷媒の流れを分岐する第2分岐部14aを接続している。
そして、第2分岐部14aの一方の冷媒流出口に、固定絞り132を介して第3蒸発器23の冷媒流入口を接続し、第3蒸発器23の冷媒流出口に高段側エジェクタ131の高段側冷媒吸引口131dを接続している。第3蒸発器23は、固定絞り132にて減圧された低圧冷媒と第3送風ファン23aから送風される送風空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
また、第2分岐部14aの他方の冷媒流出口に、低段側絞り装置16を介して第2蒸発器17の冷媒流入口を接続している。その他の構成は第4実施形態と同様である。このようなサイクル構成としても、高段側エジェクタ131の昇圧作用によって、サイクル全体としてのCOPをより一層向上させることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、エジェクタ18を備えるエジェクタ式冷凍サイクル10、10a、10bを車両用冷凍サイクル装置に適用し、第1蒸発器15にて室内用送風空気を冷却し、第2蒸発器17にて庫内用送風空気を冷却するようにした例を説明したが、エジェクタ式冷凍サイクル10〜10bの適用はこれに限定されない。
例えば、車両用冷凍サイクル装置に適用する場合は、第1蒸発器15にて車両前席側へ送風される前席用送風空気を冷却し、第2蒸発器17にて車両後席側へ送風される後席用送風空気を冷却するようにしてもよい。
また、例えば、冷蔵冷凍装置に適用する場合は、第1蒸発器15にて、食品・飲料水等を低温(具体的には、0℃〜10℃)で冷蔵保存する冷蔵室へ送風される冷蔵室用送風空気を冷却し、第2蒸発器17にて、食品等を極低温(具体的には、−20℃〜−10℃)で冷凍保存する冷凍室へ送風される冷凍室用送風空気を冷却するようにしてもよい。
(2)上述の実施形態では、エジェクタ18をエジェクタ式冷凍サイクル10〜10bに適用した例を説明したが、エジェクタ18の適用可能なサイクル構成は、これらに限定されない。
例えば、エジェクタ式冷凍サイクル10〜10bにおいて、エジェクタ18のディフューザ部18gの出口側と圧縮機11の吸入口側との間に、ディフューザ部18gから流出した冷媒の気液を分離し、分離された気相冷媒を圧縮機11の吸入口側へ流出させるアキュムレータを配置してもよい。
また、放熱器12の冷媒出口側に、放熱器12から流出した冷媒の気液を分離して、下流側へ液相冷媒を流出させる受益器を配置してもよい。また、放熱器12から流出した高温冷媒と圧縮機11へ吸入される低温冷媒とを熱交換させる内部熱交換器を配置してもよい。さらに、第2蒸発器17の冷媒出口側とエジェクタ18の冷媒吸引口18dとの間に冷媒圧送用の補助ポンプを設けてもよい。
(3)上述の実施形態では、高段側絞り装置13、低段側絞り装置16として、温度式膨張弁、固定絞り、高段側エジェクタを採用した例を説明したが、高段側絞り装置13、低段側絞り装置16として、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成された電気式の可変絞り機構を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、放熱器12として、圧縮機11吐出冷媒と外気とを熱交換させる熱交換部からなるものを採用した例を説明したが、放熱器12として、圧縮機11吐出冷媒と外気とを熱交換させて圧縮機11吐出冷媒を凝縮させる凝縮部、この凝縮部から流出した冷媒の気液を分離するモジュレータ部、およびモジュレータ部から流出した液相冷媒と外気とを熱交換させて液相冷媒を過冷却する過冷却部を有して構成される、いわゆるサブクール型の凝縮器を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、エジェクタ18のボデー部18b等の構成部材を金属で形成した例を説明したが、それぞれの構成部材の機能を発揮可能であれば材質は限定されない。つまり、これらの構成部材を樹脂にて形成してもよい。
(4)上述の実施形態では、ディフューザ部18gの入口部18hの冷媒通路面積を、ノズル部18acの冷媒噴射口18cの冷媒通路面積よりも小さく設定した例を説明したが、具体的には、冷媒噴射口18cの開口径を入口部18hの開口径よりも小さく設定すればよい。
また、入口部18hの開口径を冷媒噴射口18cの開口径よりも大きく設定した場合は、入口部18hに冷媒通路内へ向かって突出する突起部を設けることによって、入口部18hの冷媒通路面積を、冷媒噴射口18cの冷媒通路面積よりも小さくすればよい。
(5)上述の第9実施形態では、弁体(ニードル弁18y)によってノズル部18a内に形成される冷媒通路の最小通路面積部の冷媒通路面積を変更可能とした例を説明したが、弁体としてノズル部18a内に形成される冷媒通路からディフューザ部18gの内部へ亘って延びる円錐形状のものを採用し、ノズル部18aの最小通路面積部と同時にディフューザ部18gの冷媒通路面積を変更させる構成としてもよい。
(6)上述の実施形態では、冷媒としてR134aを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R600a、R1234yf、R410A、R404A、R32、R1234yfxf、R407C等を採用することができる。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。
(7)また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。例えば、第5〜第7実施形態で説明した二相化手段を第4実施形態で説明したエジェクタ式冷凍サイクル10aに適用してもよい。例えば、第10実施形態で説明したエジェクタ式冷凍サイクル10aのエジェクタ18として、第2、第3、第8、第9実施形態に開示したエジェクタ18を適用してもよい。
(8)上述の実施形態では、放熱器12を冷媒と外気とを熱交換させる室外側熱交換器とし、第1、第2蒸発器15、17を送風空気を冷却する利用側熱交換器として用いているが、逆に、第1、第2蒸発器15、17を外気等の熱源から吸熱する室外側熱交換器として構成し、放熱器12を空気あるいは水等の被加熱流体を加熱する室内側熱交換器として構成するヒートポンプサイクルに本発明を適用してもよい。
10、10a、10 エジェクタ式冷凍サイクル
15、17 第1、第2蒸発器
18 エジェクタ
18a ノズル部
18b ボデー部
18c 冷媒噴射口
18d 冷媒吸引口
18e 混合部
18g ディフューザ部
18h 入口部

Claims (9)

  1. 冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10、10a)に適用されるエジェクタ(18)であって、
    前記第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、
    前記ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって前記第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
    さらに、前記ボデー部(18b)の内部空間のうち、前記冷媒噴射口(18c)から前記昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、前記噴射冷媒と前記吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
    前記混合部(18e)における前記冷媒噴射口(18c)から前記入口部(18h)へ至る距離(La)は、前記入口部(18h)へ流入する冷媒の流速が二相音速以下となるように決定されており、
    前記冷凍サイクル装置(10、10a)では、前記第1蒸発器(15)の冷媒出口に前記ノズル部(18a)の入口が直接的に接続されていることを特徴とするエジェクタ。
    いることを特徴とするエジェクタ。
  2. 冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10b)に適用されるエジェクタ(18)であって、
    前記第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、
    前記ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって前記第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
    さらに、前記ボデー部(18b)の内部空間のうち、前記冷媒噴射口(18c)から前記昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、前記噴射冷媒と前記吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
    前記混合部(18e)における前記冷媒噴射口(18c)から前記入口部(18h)へ至る距離(La)は、前記入口部(18h)へ流入する冷媒の流速が二相音速以下となるように決定されており、
    前記冷凍サイクル装置(10b)では、前記第1蒸発器(15)の冷媒出口に、サイクル内の余剰冷媒を蓄えて気液二相冷媒を流出させる貯液部(19)が接続され、
    前記ノズル部(18a)には、前記貯液部(19)から流出した気液二相冷媒が流入することを特徴とするエジェクタ。
  3. 冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10、10a、10b)に適用されるエジェクタ(18)であって、
    前記第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、
    前記ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって前記第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
    さらに、前記ボデー部(18b)の内部空間のうち、前記冷媒噴射口(18c)から前記昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、前記噴射冷媒と前記吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
    前記混合部(18e)における前記冷媒噴射口(18c)から前記入口部(18h)へ至る距離(La)は、前記入口部(18h)へ流入する冷媒の流速が二相音速以下となるように決定されており、
    前記混合部(18e)における前記冷媒噴射口(18c)から前記入口部(18h)へ至る距離をLaとし、
    前記冷媒噴射口(18c)を含む前記ノズル部(18a)の軸方向垂直断面における、前記冷媒噴射口(18c)の開口断面積と前記吸引冷媒が流通する吸引通路(18f)の冷媒通路断面積の合計値を円に換算したときの直径をφDaとしたときに、
    La/φDa≦1
    となっていることを特徴とするエジェクタ。
  4. 前記ノズル部(18a)内に形成される冷媒通路として、前記冷媒噴射口(18c)へ向かって冷媒通路面積を縮小させる先細部(18i)、および前記先細部(18i)から前記冷媒噴射口(18c)へ冷媒を導く噴射部(18j)が設けられており、
    前記ノズル部(18a)は、前記噴射部(18j)の軸方向断面における拡がり角度(θn)が、0°以上となっていることによって、前記混合部(18e)へ噴射される前記噴射冷媒を自由膨張させるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  5. 冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10、10a)に適用されるエジェクタ(18)であって、
    前記第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、
    前記ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって前記第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
    さらに、前記ボデー部(18b)の内部空間のうち、前記冷媒噴射口(18c)から前記昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、前記噴射冷媒と前記吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
    前記ノズル部(18a)内に形成される冷媒通路として、前記冷媒噴射口(18c)へ向かって冷媒通路面積を縮小させる先細部(18i)、および前記先細部(18i)から前記冷媒噴射口(18c)へ冷媒を導く噴射部(18j)が設けられており、
    前記ノズル部(18a)は、前記噴射部(18j)の軸方向断面における拡がり角度(θn)が、0°以上となっていることによって、前記混合部(18e)へ噴射される前記噴射冷媒を自由膨張させるように形成されており、
    前記冷凍サイクル装置(10、10a)では、前記第1蒸発器(15)の冷媒出口に前記ノズル部(18a)の入口が直接的に接続されていることを特徴とするエジェクタ。
  6. 冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10b)に適用されるエジェクタ(18)であって、
    前記第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、
    前記ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって前記第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
    さらに、前記ボデー部(18b)の内部空間のうち、前記冷媒噴射口(18c)から前記昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、前記噴射冷媒と前記吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
    前記ノズル部(18a)内に形成される冷媒通路として、前記冷媒噴射口(18c)へ向かって冷媒通路面積を縮小させる先細部(18i)、および前記先細部(18i)から前記冷媒噴射口(18c)へ冷媒を導く噴射部(18j)が設けられており、
    前記ノズル部(18a)は、前記噴射部(18j)の軸方向断面における拡がり角度(θn)が、0°以上となっていることによって、前記混合部(18e)へ噴射される前記噴射冷媒を自由膨張させるように形成されており、
    前記冷凍サイクル装置(10b)では、前記第1蒸発器(15)の冷媒出口に、サイクル内の余剰冷媒を蓄えて気液二相冷媒を流出させる貯液部(19)が接続され、
    前記ノズル部(18a)には、前記貯液部(19)から流出した気液二相冷媒が流入することを特徴とするエジェクタ。
  7. 冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)および第2蒸発器(17)を備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10、10a、10b)に適用されるエジェクタ(18)であって、
    前記第1蒸発器(15)から流出した冷媒を気液二相状態となるまで減圧させて冷媒噴射口(18c)から噴射するノズル部(18a)と、
    前記ノズル部(18a)から噴射された噴射冷媒の吸引作用によって前記第2蒸発器(17)から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口(18d)、および前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口(18d)から吸引された吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させる昇圧部(18g)が形成されたボデー部(18b)とを備え、
    さらに、前記ボデー部(18b)の内部空間のうち、前記冷媒噴射口(18c)から前記昇圧部(18g)の入口部(18h)へ至る範囲には、前記噴射冷媒と前記吸引冷媒とを混合させる混合部(18e)が形成されており、
    前記ノズル部(18a)内に形成される冷媒通路として、前記冷媒噴射口(18c)へ向かって冷媒通路面積を縮小させる先細部(18i)、および前記先細部(18i)から前記冷媒噴射口(18c)へ冷媒を導く噴射部(18j)が設けられており、
    前記ノズル部(18a)は、前記噴射部(18j)の軸方向断面における拡がり角度(θn)が、0°以上となっていることによって、前記混合部(18e)へ噴射される前記噴射冷媒を自由膨張させるように形成されており、
    前記混合部(18e)は、冷媒流れ下流側に向かって徐々に冷媒通路面積が縮小する円錐台形状と冷媒通路面積を一定とする円柱形状とを組み合わせた形状に形成されており、
    前記混合部(18e)のうち円柱形状の部位の前記ノズル部(18a)の軸方向長さをLbとし、円柱形状の部位の直径をφDbとしたときに、
    Lb/φDb≦1
    となっていることを特徴とするエジェクタ。
  8. 前記入口部(18h)の冷媒通路面積は、前記冷媒噴射口(18c)の冷媒通路面積よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  9. 前記ノズル部(18a)の冷媒通路面積を変化させる弁体(18y)を備えることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載のエジェクタ。
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