以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態以降において、既に説明した実施形態の構成と同様または類似する構成については、既に説明した実施形態の符号と同一の符号を付し、また、説明を省略することがある。また、既に説明した実施形態の構成と対応(類似)する構成について、既に説明した実施形態の構成に付した符号とは異なる符号を付した場合においても、特に断りがない事項については、対応する構成について既に説明された事項と同様である。
実施形態の光コネクタおよび光伝送モジュールは、いずれの方向が上方または下方とされて使用されてもよい。以下では、位置関係等を説明する際に、図中に定義した直交座標系(xyz)を参照することがあり、また、z方向の正側を上方として、上面等の語を用いることがある。
<第1の実施形態>
図1(a)、図1(b)および図2は、本発明の第1の実施形態に係る光コネクタ1および光伝送モジュール3の外観を示す斜視図である。図1(a)は、非接続状態をz方向の正側から示しており、図1(b)は、非接続状態をz方向の負側から示しており、図2は、接続状態をz方向の正側から示している。
光伝送モジュール3は、プラグアセンブリ5と、該プラグアセンブリ5と光学的に接続されるレセプタクルアセンブリ7とを有している。
図1(a)に示すように、プラグアセンブリ5には、例えば、発光素子9Pおよび受光素子11Pが接続されている。また、レセプタクルアセンブリ7には、例えば、発光素子9Rおよび受光素子11Rが接続されている。プラグアセンブリ5とレセプタクルアセンブリ7とが接続されることにより、発光素子9Pと受光素子11Rとが接続され、発光素子9Rと受光素子11Pとが接続される。なお、光伝送モジュール3は、これらの発光素子や受光素子を含んで定義されてもよい。
プラグアセンブリ5は、光ケーブル13と、光ケーブル13の一端を保持するプラグ15(プラグフェルール)とを有している。なお、発光素子9Pおよび受光素子11Pは、光ケーブル13のプラグ15側とは反対側の一端に直接または間接に接続されている。
レセプタクルアセンブリ7は、基板17と、基板17に設けられた光導波路帯19と、光導波路帯19の一端側に設けられたレセプタクル21(レセプタクルフェルール)と、レセプタクル21を基板17に固定するための保持具23とを有している。なお、発光素子9Rおよび受光素子11Rは、光導波路帯19のレセプタクル21側とは反対側の一端に直接または間接に接続されている。
プラグ15がレセプタクル21によって位置決めされることによって光ケーブル13と光導波路帯19とは接続される。なお、光コネクタ1は、プラグ15、レセプタクル21および保持具23を含んで構成されている。各部材の具体的構成は、以下のとおりである。
光ケーブル13は、複数の光ファイバ25を有している。各光ファイバ25は、特に図示しないが、コアおよびクラッド、ならびに必要に応じて被膜を有している。光ファイバ25の直径は適宜に設定されてよいが、例えば、直径が100μm〜200μmである。なお、複数の光ファイバ25は、プラグ15外において、シースによって覆われて束ねられていてもよいし、束ねられていなくてもよい。複数の光ファイバ25は、例えば、少なくともプラグ15の内部において径方向に一列に配列されている。
基板17は、例えば、リジッド式のプリント配線基板によって構成されている。基板17は、例えば、平板状に形成されており、第1主面17aと、その背面の第2主面17bと、これら主面の外周に位置する複数(通常は4つ)の側面17cとを有している。なお、発光素子9Rおよび受光素子11Rは、基板17に実装されていてもよいし、基板17とは別個に設けられていてもよい。
光導波路帯19は、基板17の第1主面17aに設けられた複数の光導波路27を有している。光導波路27は、光ファイバと同様に、不図示のコアおよびクラッドを有している。なお、光導波路27は、スラブ型、埋め込み型、半埋め込み型等の適宜な方式のものとされてよい。光導波路27の端面は、側面17cにおいて露出している(図3および図4(a)参照)。複数の光導波路27は、少なくとも側面17cから露出する端面側において、径方向に、かつ、側面17cに沿う方向(y方向)に、一列に配列されている。なお、側面17cは、少なくとも光導波路27の端面を露出させる範囲が、基板17の平面視において直線状に形成されている。
プラグ15は、例えば、光ケーブル13を保持する本体部29と、本体部29から突出するピン31とを有している。一方、レセプタクル21には、光導波路27の端面を露出させる露出孔21aと、露出孔21aの開口方向と同一方向に開口するピン用穴21bとが形成されている。そして、本体部29が露出孔21aに挿入されるとともに、ピン31がピン用穴21bに挿入されることにより、プラグ15は、レセプタクル21に対して位置決めされ、ひいては、光ケーブル13と光導波路27とが接続される。具体的には、以下のとおりである。
本体部29は、例えば、樹脂により形成されている。また、本体部29は、例えば、全体として概ね一定の厚さの薄型な形状に形成されている。その平面視における外形の大きさは、例えば、1辺が数mm〜2cmである。本体部29は、基部29aと、基部29aの前面(レセプタクル21に対向する対向面29aa)から突出する突部29bと、基部29aの側面から突出する被係止部29cとを有している。
基部29aは、例えば、概ね薄型直方体に形成されている。突部29bは、例えば、基部29aよりも幅(y方向)が小さい概ね薄型直方体に形成されており、対向面29aaの中央から突出している。被係止部29cは、例えば、基部29aよりも長さ(x方向)が小さい薄型直方体に形成されており、基部29aの側面の後方側部分から突出している。
光ファイバ25は、基部29aおよび突部29bに対してレセプタクル21への挿入方向(x方向)に挿通されており、その端面は、突部29bの先端面において露出している(図3および図4(a)参照)。突部29bの先端面は、平面状に形成されており、光ファイバ25の端面は、y方向に一列に配列されている。そして、突部29bがレセプタクル21の露出孔21aに挿入され、突部29bの先端面が基板17の側面17cに当接すると、光ファイバ25と光導波路27とが接続される。被係止部29cは、後述する他の実施形態において、他の部材との係合に寄与する部分であり、本実施形態においては、省略されてもよい。
ピン31は、例えば、金属により形成されている。ピン31は、例えば、断面形状が円形であり、直線状に延びている。なお、ピン31は、根元から先端まで一定の径であってもよいし、先端が細くされるなどされていてもよい。ピン31は、基部29aの対向面29aaから突部29bの突出方向と同一方向に突出している。また、ピン31は、光ファイバ25の配列方向において、突部29bを挟むように2つ設けられている。ピン31の先端は、突部29bの先端面よりも根元側(挿入方向とは反対側)に位置している。
本体部29は、例えば、ピン31が配置された金型内に溶融樹脂が充填されることによって、概ね全体が一体的に形成される。従って、基部29a(少なくとも対向面29aaを含む部分)および突部29bは、一体的に形成されている。
なお、本体部29は、複数部材から構成されてもよい。例えば、本体部29の後部は、突部29bおよび基部29aの前部とは別部材であってもよい。また、例えば、本体部29は、ピン31および/または光ファイバ25をz方向において挟み込んだ状態で互いに接着される2部材を含んで構成されてもよい。ただし、この場合も、基部29aの前部および突部29bは、光ファイバ25のz方向の正側および/または負側において、一体的に形成される。
レセプタクル21は、例えば、樹脂によりその全体が一体形成されている。ただし、レセプタクル21は、複数の部材が接着されて構成されていてもよい。レセプタクル21は、基板17の第1主面17a上に位置する延在部21cと、基板17の側面17cに対してプラグ15側に位置し、プラグ15に対向する前面部21dとを有している。
延在部21cは、レセプタクル21の基板17に対する位置決め等に寄与する部分である。延在部21cは、例えば、第1主面17aに重なる概ね板状に形成されている。延在部21cが第1主面17aに重ねられることにより、レセプタクル21は、基板17に対してz方向の位置決めがなされる。
また、特に図示しないが、例えば、延在部21cの第1主面17a側の面にx方向に延びる凹溝が形成され、第1主面17aに前記の凹溝に対してy方向に嵌合する突部が形成されることにより、レセプタクル21は、y方向において位置決めされる。なお、突部は、樹脂、金属またはセラミック等の適宜な材料によって形成されてよい。また、突部は、接着材によって固定されたり、溶着されたりするなど、適宜な方法によって基板17に固定されてよい。
前面部21dは、全体として概ね枠状に形成されており、その開口は露出孔21aを構成している。また、前面部21dには、ピン用穴21bも形成されている。前面部21dの後端面は、基板17の側面17cに当接しており、これにより、レセプタクル21はx方向において位置決めされる。
露出孔21aは、前面部21dをx方向に貫通しており、側面17cに位置する光導波路27の端面をレセプタクル21の外部に露出させている。露出孔21aの断面形状は、プラグ15の突部29bの断面形状に対応しており、本実施形態では矩形である。露出孔21aのプラグ15側の開口端は、突部29bを挿入しやすいようにプラグ15側ほど拡径している(傾斜面が形成されている。)。
ピン用穴21bの断面形状は、プラグ15のピン31の断面形状に対応しており、本実施形態では円形である。ピン用穴21bは、ピン31を収容可能な深さを有していればよい。本実施形態では、ピン用穴21bは、前面部21dをx方向に貫通している。
保持具23は、1枚の板金に対してプレス加工を施すことにより形成され、復元力により基板17とレセプタクル21とを挟み込むことにより、レセプタクル21を基板17に対して固定している。具体的には、以下のとおりである。
保持具23は、レセプタクル21の上面(延在部21cの基板17とは反対側の面、x方向の正側の面)に当接する第1当接部23aと、基板17の第2主面17bに当接する第2当接部23bと、これらを連結する連結部23cとを有している。
第1当接部23aの概略形状は、例えば、レセプタクル21の上面に重なる板状とされている。また、例えば、第1当接部23aの連結部23cとは反対側の端部には、レセプタクル21側に突出する突部が形成され、レセプタクル21に当接している。これにより、第1当接部23aにおいて、レセプタクル21に対する接触位置は一定とされている。
第2当接部23bの概略形状は、例えば、基板17の第2主面17bに重なる板状とされている。また、例えば、第2当接部23bの連結部23cとは反対側の端部には、基板17側に突出する突部が形成され、基板17に当接している。これにより、第2当接部23bにおいて、基板17に対する接触位置は一定とされている。
連結部23cの概略形状は、例えば、レセプタクル21の前面部21dの前面(プラグ15側の面)のうちの露出孔21aおよびピン用穴21bの外側部分に重なる板状とされている。なお、前面部21dの前面において、連結部23cが重なる部分は、露出孔21aおよびピン用穴21bが形成されている部分よりも低くされており(x方向の正側に位置しており)、その段差は、連結部23cのy方向の位置決めに寄与している。
保持具23は、弾性変形されていない状態において、第1当接部23a(の端部の突部)と第2当接部23b(の端部の突部)との距離が、レセプタクル21の上面と基板17の第2主面17bとの距離よりも短い。従って、第1当接部23aと第2当接部23bとでレセプタクル21と基板17とを挟み込むと、保持具23は弾性変形した状態となり、復元力を生じる。この復元力により、レセプタクル21は基板17側へ付勢され、レセプタクル21の基板17からの脱落が抑制される。
また、保持具23は、レセプタクル21に対して係合する係合部23dを有している。係合部23dは、例えば、連結部23cから前面部21dの側面に沿ってx方向の正側に延びている。そして、係合部23dには、前面部21dの側面に形成された爪部21eに係合する孔部が形成されている。係合部23dが前面部21dの爪部21eに対してx方向の正側から負側へ係合することにより、保持具23がx方向の負側へ脱落してしまうことが抑制される。
さらに、保持具23は、第1当接部23aからレセプタクル21とは反対側(x方向の正側)へ突出する第1突出部23fと、第2当接部23bから基板17とは反対側(x方向の負側)へ突出する第2突出部23gとを有している。これらは、後述する実施形態において、他の部材との係合に寄与する部分であり、本実施形態においては省略されてもよい。
なお、本実施形態では、保持具23は、z方向において対称の形状となっており、いずれがレセプタクル21側または基板17側とされてもよいようになっている。ただし、保持具23は、z方向において非対称とされていてもよい。
図3(a)〜図3(d)は、プラグ15がレセプタクル21に挿入されていく様子を説明する模式的な平面図である。ただし、レセプタクル21については、第1主面17aの位置における断面図としている。また、図4(a)は、図3(d)のIVa−IVa線における断面図である。
図3(a)は、プラグ15をレセプタクル21に挿入する前の状態を示している。既に述べたように、プラグ15において、突部29bの先端面は、ピン31の先端よりも挿入方向側(x方向の正側)に位置している。また、露出孔21aのプラグ15側の開口端と、ピン用穴21bのプラグ15側の開口端とは同一位置となっている。
従って、図3(b)に示すように、プラグ15をレセプタクル21に近づけていくと、まず、突部29bの露出孔21aへの挿入が開始される。この際、露出孔21aのプラグ15側の部分にはプラグ15側ほど拡径するよう傾斜面が形成されていることから、プラグ15とレセプタクル21とがy方向またはz方向においてずれていても、プラグ15は、露出孔21aに誘い込まれて円滑に挿入されていく。すなわち、プラグ15とレセプタクル21とのy方向およびz方向のずれは解消されていく。
そして、図3(c)に示すように、突部29bは、露出孔21aのうち径が一定の部分に到達する。すなわち、突部29bと露出孔21aとの隙間は、所定の範囲内に収まる。これと概ね同時、または、それ以降に、ピン31のピン用穴21bへの挿入が開始される。なお、突部29bの先端面とピン31の先端との距離d(図3(a))は、このような作用が得られるように適宜に設定されている。
その後、図3(d)および図4(a)に示すように、突部29bの先端面は、基板17の側面17cに当接する。また、ピン31がピン用穴21bに嵌合することによって、プラグ15とレセプタクル21とはy方向およびz方向において位置決めされる。これにより、光ファイバ25の端面と光導波路27の端面とは対向状態(当接状態を含む)とされ、光学的に接続される。
図4(b)は、図3(d)の領域IVbを拡大して示す模式図である。
ピン31の径とピン用穴21bの径は、製造誤差を考慮して設計される。そのため、製造の精度に起因するばらつきが生じても、ピン31がピン用穴21bに挿入可能であるように、製造の精度と同等またはこれよりも若干大きい差で、ピン31の直径は、ピン用穴21bの直径よりも小さく設計されている。従って、ピン31とピン用穴21bの内周面との間には隙間c2が生じる。隙間c2は、ピン31の直径とピン用穴21bの直径との差として定義される場合、例えば、設計値で約1μmである。
一方、突部29bと露出孔21aの内周面との間にも隙間c1が生じる。この隙間c1は、意図的に隙間c2よりも大きくされている。従って、光コネクタ1においては、最終的には、ピン31およびピン用穴21bによって位置決めがなされ、突部29bおよび露出孔21aは、この位置決めを補助する役割を担うことになる。隙間c1が、突部29bのy方向(またはz方向)の直径と、露出孔21aのy方向(またはz方向)の直径との差として定義される場合、例えば、隙間c2が設計値で約1μmであるのに対して、隙間c1は設計値で約50μmである。
このように、最終的にはピン31およびピン用穴21bによって位置決めがなされることから、突部29bおよび露出孔21aの製造の精度は、ピン31およびピン用穴21bの製造の精度に比較して、低くすることができる。例えば、ピン31およびピン用穴21bの製造の精度が1μm以下であるのに対して、突部29bおよび露出孔21aの製造の精度は、50μm未満である。
図4(c)は、図4(a)と同一範囲の側面図である。ただし、レセプタクル21の図示は省略している。
ピン31は、突部29bの側方(y方向)に位置しており、突部29bの厚みの範囲内に収まっている。また、ピン31は、例えば、z方向において、光ファイバ25付近に位置しており、少なくとも一部が基板17(光導波路27を含む)の厚みの範囲内に収まっている。すなわち、挿入方向に見て、ピン31(ピン用穴21b)と基板17とは少なくとも一部が重なっている。
以上のとおり、本実施形態によれば、光コネクタ1は、光導波路27が設けられた基板17に固定されるレセプタクル21と、光ファイバ25を保持し、レセプタクル21に位置決めされるプラグ15とを有している。レセプタクル21には、光導波路27の端面を露出させる露出孔21aと、露出孔21aの開口方向に開口しているピン用穴21bと、が設けられている。プラグ15は、レセプタクル21に対向する対向面29aaと、対向面29aaから突出し、対向面29aaと一体的に形成され、先端面において光ファイバ25の端面を露出させており、露出孔21aに挿入される突部29bと、対向面29aaに設けられ、ピン用穴21bに嵌合されるピン31と、を有している。突部29bの先端面は、ピン31の先端よりも挿入方向側に位置している。
従って、ピン31によって位置決め可能であり、特許文献1のようにプラグ全体をレセプタクルに嵌合させる場合に比較して、高精度に成形乃至は加工される必要がある部分を少なくすることができる。その結果、容易に高精度な位置決めが可能となる。
その一方で、ピン31は、突部29bよりも突出していないことから、何らかの部材がピン31に接触することが突部29bによって抑制され、ひいては、ピン31に変形が生じるおそれが低減される。その結果、安定して高精度な位置決めが可能である。
また、光ファイバ25を保持する突部29bがピン31よりも突出するように設けられることによって、光ファイバ25および光導波路27の接続位置は、ピン31よりも前方(x方向の正側)に位置する。すなわち、ピン31は、基板17の側面17cよりも手前(x方向の負側)に位置する。従って、特許文献2のように、基板17の上にピン31が位置するようにピン31を配置する必要はない。その結果、ピン31の設計の自由度が向上し、例えば、プラグ15の低背化が期待される。
別の観点では、突部29bの先端面がピン31の先端よりも挿入方向側に位置していることから、突部29bの先端面と基板17の側面17cとの当接がピン31と側面17cとの当接に阻害されることがない。すなわち、突部29bの先端面を基板17の側面17cに確実に当接させることができる。その結果、例えば、突部29bの先端面にて露出する光ファイバ25の端面と、基板17の側面17cにて露出する光導波路27の端面とを当接させ、これらを確実に光結合させることができる。
また、本実施形態では、突部29bの露出孔21aへの挿入が進み、両者の隙間が所定の大きさまで小さくなってから、ピン31のピン用穴21bへの挿入が開始される(図3(b)〜図3(d))。
すなわち、ピン31のピン用穴21bへの挿入は、突部29bおよび露出孔21aによって、挿入方向に直交する方向(y方向およびz方向)の位置決めが、ある程度なされた後に開始される。従って、ピン31のピン用穴21bへの挿入が円滑になされる。その結果、作業性が向上する。また、ピン31がレセプタクル21の前面に当接されて変形するおそれも低減される。変形のおそれの低減によって、安定して高精度の位置決めがなされる。
また、本実施形態では、ピン31とピン用穴21bとの隙間c2が突部29bと露出孔21aとの隙間c1よりも小さい。
従って、位置決めは、最終的にはピン31およびピン用穴21bによってなされ、突部29bおよび露出孔21aは、上述のように、ピン31の保護や位置決めの補助等に寄与する。また、突部29bの露出孔21aに対する摺動量が低減されることから、プラグ15のレセプタクル21への接続に対する抵抗(摩擦抵抗)が低減されて作業性が向上し、また、突部29bまたは露出孔21aの内面にてカスが発生することが抑制される。さらに、上述のように、突部29bと露出孔21aとの隙間が所定の大きさまで小さくなってからピン31がピン用穴21bに挿入される場合においては、嵌合精度が粗い1次の誘い込みの後に、嵌合精度が高い2次の誘い込みがなされることになる。そのため、突部29bの露出孔21aへの挿入、および、これに続くピン31のピン用穴21bへの挿入は、最初からピン31をピン用穴21bに挿入する場合に比較して円滑になされ、かつ、最終的にはピン31およびピン用穴21bによって高精度な位置決めがなされる。すなわち、全体として円滑かつ高精度に位置決めがなされることになる。
また、本実施形態では、ピン31は2以上設けられており、突部29bは2つのピン31の間に配置されている。
従って、突部29bに保持された光ファイバ25は、ピン31が両側に位置することによって高精度に位置決めがなされる。また、一方のピン31に対して突部29bとは反対側から何らかの部材が接触する場合でも、他方のピン31は突部29bに保護される。その結果、1本のピン31の変形が複数のピン31による位置決めに及ぼす影響が緩和される。
また、本実施形態では、突部29bは、2以上の光ファイバ25を径方向に配列した状態で保持しており、突部29bおよびピン31は、その2以上の光ファイバ25の配列方向において並んで配置されている。
従って、プラグ15は、2以上の光ファイバ25の配列方向に直交する方向の大きさ(z方向の幅)を小さくすることができる。すなわち、プラグ15は、薄型化ないしは低背化が可能である。
また、本実施形態では、光コネクタ1は、折り曲げられた1枚の板金からなり、復元力によりレセプタクル21および基板17をその重ね合わせ方向に挟み込む保持具23を更に有している。
従って、接着剤を用いる必要はなく、レセプタクル21の基板17に対する着脱(交換)が容易である。また、ボルトおよびナットに比較して、部品点数の削減、構成の簡素化、小型のレセプタクル21への適用容易性が期待される。
また、本実施形態では、突部29bは樹脂により形成されており、ピン31は金属により形成されている。
従って、全体として安価にしつつ、ピン31の強度を確保して、安定して高精度な位置決めが可能である。
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る光コネクタ201および光電気複合伝送モジュール202(光伝送モジュール203)を非接続状態で示す斜視図である。また、図6は、図5の一部をy方向に見た図である。
光コネクタ201は、その一部として第1の実施形態の光コネクタ1を含み、また、光電気複合伝送モジュール202(光伝送モジュール203)は、その一部として第1の実施形態の光伝送モジュール3を含んでいる。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の応用例と捉えられてもよい。
光電気複合伝送モジュール202を含む光電気複合モジュールは、基板に電子部品等が設けられることによって構成された複数の基板アセンブリを相互に接続した構造体からなる。基板アセンブリ相互の信号伝達は、電気信号および光信号によってなされる。このような光電気複合モジュールは、例えば、コンピュータシステムを構成している。
光電気複合伝送モジュール202は、光電気複合モジュールのうち信号伝達に係る構成を指す。光伝送モジュール203は、狭義には、光電気複合伝送モジュール202のうち、光信号の伝達に係る構成を指す。ただし、光伝送モジュール3は、電気信号の伝達に係る構成を含んで定義されてもよい。以下では、後者の定義に従って、光伝送モジュール203の語を使用する。
光伝送モジュール203は、基板アセンブリとして、ミッドプレーンアセンブリ241と、ミッドプレーンアセンブリ241に対して垂直に接続される複数(図1では1つのみ図示)のブレードアセンブリ243とを有している。そして、ミッドプレーンアセンブリ241とブレードアセンブリ243との接続は、電気の伝送路同士を接続する電気コネクタ245と、光の伝送路同士を接続する光コネクタ201とによってなされる。
ミッドプレーンアセンブリ241は、ミッドプレーン255と、ミッドプレーン255の主面に設けられ、電気コネクタ245を構成する電気プラグ247と、ミッドプレーン255の主面に設けられ、光コネクタ201を構成する光プラグ251と、光プラグ251に保持された複数(本実施形態では4本)の光ケーブル13とを有している。なお、ミッドプレーンアセンブリはコンピュータシステムでの取付位置によってはバックプレーンアセンブリとも呼ばれる。双方の機能は、基本的に大差は無い。
また、ブレードアセンブリ243は、ブレード257と、ブレード257に積層的に固定された基板17と、ブレード257に設けられ、電気コネクタ245を構成する電気レセプタクル249と、基板17に設けられ、光コネクタ201を構成する光レセプタクル253とを有している。基板17には、複数の光ケーブル13と光学的に接続される複数の光導波路帯19が設けられている。
なお、特に図示しないが、ブレード257にはIC等の電子部品(光電変換素子を含むものとする)が実装されている。ミッドプレーン255および基板17にもIC等の電子部品が実装されていてもよい。光ケーブル13に直接または間接に接続された発光素子9Pおよび受光素子11Pは、ミッドプレーン255に設けられていてもよいし、ミッドプレーン255とは別に設けられていてもよい。光導波路帯19に直接または間接に接続された発光素子9Rおよび受光素子11Rは、ブレード257および基板17のいずれかに設けられていてもよいし、これらとは別に設けられていてもよい。
電気プラグ247は、ミッドプレーン255の主面に設けられている。一方、電気レセプタクル249は、ブレード257の端部に設けられている。ブレード257をミッドプレーン255の主面に垂直な向きにした状態で、電気プラグ247の複数のピン状の端子は、電気レセプタクル249の不図示の複数の穴部(内部には端子が配置されている)に対してブレード257に沿う方向(x方向)に差し込まれ、嵌合する。これによって、機械的な結合および電気的な接続がなされる。
基板17は、いわゆるメザニンボードとして設けられており、ブレード257に対して積層的に配置され、ねじ等によってブレード257に対して固定されている。基板17とブレード257との間の信号伝達は、光および/または電気によってなされる。その電気的または光学的な接続は、例えば、公知の方法と同様になされてよい。例えば、基板17とブレード257との光学的な接続は、これら基板に公知の光コネクタを介して接続された光ケーブルによってなされてよい。
光プラグ251は、ミッドプレーン255の主面に直交する方向を挿入方向として、ミッドプレーン255の主面に設けられている。一方、光レセプタクル253は、基板17の第1主面17aに沿う方向を挿入方向として、基板17の端部に設けられている。そして、上述のように電気プラグ247を電気レセプタクル249に差し込む際には、光プラグ251も光レセプタクル253に対して差し込まれ、嵌合する。これによって、光ケーブル13と光導波路帯19とが光学的に接続される。
図7は、光プラグ251を示す斜視図である。
光プラグ251は、光ケーブル13を保持する本体部251mと、本体部251mに並列に設けられたポスト251nとを有している。これらはいずれも光レセプタクル253の穴部(後述)に挿入されて、光ケーブル13と光導波路帯19との位置決め(接続)に利用される。
本体部251mは、胴部251aと、胴部251aの先端から突出する複数の突端251bとを有している。光ケーブル13は、その先端が突端251bに保持されて、突端251bの先端から露出している。
複数の突端251bは、胴部251aの幅方向(y方向)において配列されている。各突端251bは、例えば、幅方向だけでなく、厚み方向(z方向)においても胴部251aよりも小さい。
ポスト251nは、例えば、胴部251aの幅方向(y方向)の両側に1対設けられており、胴部251aの先端と概ね同等の位置まで突出している。ポスト251nの先端は、光レセプタクル253の穴部への挿入が容易化されるように先細っている。
図8(a)および図8(b)は、一部の部材を取り外して示す光プラグ251の斜視図である。
図7および図8に示されるように、光プラグ251は、複数の第1の実施形態のプラグ15と、複数のプラグ15を保持するプラグハウジング259と、これらの間に介在する弾性部材261とを有している。第1の実施形態のプラグ15がプラグハウジング259から突出することによって、突端251bが構成されている。
プラグハウジング259は、例えば、複数の部材を組み合わせて構成されており、上述した胴部251aおよびポスト251nを構成している。胴部251aは、例えば、樹脂からなる複数の部材を組み合わせることによって構成されており、ポスト251nは、例えば、金属によって構成されている。これらの複数の部材は、ねじ、係合部または接着剤を適宜に用いて互いに連結され、また、ミッドプレーン255に取り付けられている。
プラグハウジング259は、ミッドプレーン255の主面に沿う方向において、所定の遊びの範囲内で移動可能にミッドプレーン255に取り付けられていることが好ましい。すなわち、フローティング構造が採用されていることが好ましい。フローティング構造の採用によって、電気コネクタ245によるミッドプレーン255とブレード257との位置決めが光コネクタ201による光ケーブル13と光導波路帯19との位置決めに及ぼす影響が抑制される。
プラグハウジング259の先端には開口が形成されており、当該開口からプラグ15の先端側部分が突出している。具体的には、基部29aの先端側の一部(対向面29aa含む)、突部29bおよびピン31がプラグハウジング259の外部に露出している。被係止部29cは、プラグハウジング259の前面部の内側に係合して、プラグ15が開口から抜け落ちることを抑制することに寄与している。
弾性部材261は、プラグ15をプラグハウジング259に対して先端側へ付勢している。弾性部材261は、例えば、圧縮コイルばねである。
図9(a)は、光レセプタクル253を示す斜視図である。図9(b)は、一部の部材を取り外して示す光レセプタクル253を示す斜視図である。
光レセプタクル253は、複数の第1の実施形態のレセプタクル21と、複数のレセプタクル21を基板17に固定する保持具23(図9では不図示)と、レセプタクル21を覆うレセプタクルハウジング263とを有している。保持具23は、第1の実施形態において説明したものと同様のものである。
レセプタクルハウジング263には、レセプタクル21をレセプタクルハウジング263の外部に露出させるハウジング孔263hが形成されている。ハウジング孔263hは、光プラグ251の胴部251aが嵌合する形状および大きさとされている。
また、レセプタクルハウジング263には、光プラグ251のポスト251nが嵌合するポスト用穴263nが形成されている。ポスト用穴263nは、レセプタクルハウジング263のうち、光プラグ251側(x方向負側)へ突出するように構成された部分に形成されており、ポスト用穴263nの光プラグ251側の開口端は、ハウジング孔263hの光プラグ251側の開口端よりも光プラグ251側へ位置している。ポスト用穴263nの断面形状は、ポスト251nの断面形状に対応しており、本実施形態では円形である。ポスト用穴263nの光プラグ251側の端部は、ポスト251nを挿入しやすいように光プラグ251側ほど拡径している(傾斜面が形成されている。)。
従って、光プラグ251を光レセプタクル253に近づけると、まず、ポスト251nのポスト用穴263nへの挿入が開始される。このとき、ポスト251nが先細っており、また、ポスト用穴263nが開口端ほど拡径していることから、光プラグ251と光レセプタクル253とがy方向またはz方向においてずれていても、ポスト251nは、ポスト用穴263nに誘い込まれて円滑に挿入されていく。すなわち、光プラグ251と光レセプタクル253とのy方向およびz方向のずれは解消されていく。
そして、ポスト251nおよびポスト用穴263nとの隙間が所定の大きさまで小さくなると、光プラグ251の本体部251mの挿入が開始される。具体的には、突端251b(プラグ15)からハウジング孔263hに挿入され(ただし、摺動しない)、次に、本体部251mの胴部251aがハウジング孔263hに嵌合する。
この嵌合状態で更に挿入が進むと、プラグ15がレセプタクル21に到達する。そして、第1の実施形態の説明において述べたように、プラグ15とレセプタクル21とが接続される。すなわち、突部29bが露出孔21aに挿入され、さらには、ピン31がピン用穴21bに嵌合される。
このように、本実施形態では、ポスト251nおよびポスト用穴263nによる誘い込み、胴部251aおよびハウジング孔263hによる誘い込み、突部29bおよび露出孔21aによる誘い込み、および、ピン31およびピン用穴21bによる誘い込みが順次行われる。これらの位置決め精度は、例えば、順次高くなるようにされている。
プラグハウジング259の先端の開口がプラグ15の基部29aの断面形状よりも大きく形成されることなどによって、プラグ15は、y方向およびz方向において、所定の遊びの範囲内でプラグハウジング259に対して移動可能とされている。この遊びの大きさは、突部29bと露出孔21aとの隙間c1(または隙間c2)よりも大きくされている。
従って、プラグハウジング259およびレセプタクルハウジング263による位置決め(ポスト251nおよびポスト用穴263nによる位置決め、ならびに、胴部251aおよびハウジング孔263hによる位置決め)は、プラグ15およびレセプタクル21による位置決め(突部29bおよび露出孔21aによる位置決め、ならびに、ピン31およびピン用穴21bによる位置決め)に及ぼす影響が抑制されている。
レセプタクルハウジング263は、基板17に対して適宜に位置決めされ、固定されてよい。例えば、レセプタクルハウジング263は、基板17の第1主面17aおよび側面17cに当接されて位置決めされている。そして、レセプタクルハウジング263および基板17は、これらに挿通されたねじ265(図5)、および、ねじ265に螺合する不図示のナットによって互いに固定されている。
保持具23の第1突出部23f(図1(a))は、レセプタクルハウジング263の基板17側の面に形成された不図示の溝部に挿入されている。これにより、保持具23およびレセプタクル21は、基板17に強固に保持固定され、レセプタクル21に外力が加わっても基板17からの脱落が抑制される。すなわち、レセプタクルハウジング263は、レセプタクル21を基板17(光導波路帯19)に固定することに寄与している。なお、レセプタクルハウジング263は、直接に、または、板ばね等を介して間接的に、レセプタクル21を基板17の第1主面17aに対して押圧していてもよい。
以上のとおり、第2の実施形態において、光コネクタ201または光伝送モジュール203は、第1の実施形態の光コネクタ1および光伝送モジュール3を含んでいる。従って、第1の実施形態と同様の効果が奏される。例えば、高精度な位置決めの容易化もしくは安定化または光コネクタの低背化が期待される。
また、第2の本実施形態では、光コネクタ201は、レセプタクルハウジング263と、プラグハウジング259とを有している。レセプタクルハウジング263は、ハウジング孔263hが形成されており、当該ハウジング孔263hから露出孔21aを露出させた状態でレセプタクル21を光導波路27に固定する。プラグハウジング259は、突部29bおよびピン31を露出させた状態で、ピン31とピン用穴21bとの隙間c2よりも大きい遊びで突部29bに直交する方向(y方向およびz方向)に移動可能にプラグ15を保持し、ハウジング孔263hに嵌合される。
従って、光コネクタ201は、第1の実施形態の光コネクタ1に比較して大きく、接続の作業性の観点等において有利である。その一方で、レセプタクル253は、位置決めに寄与するレセプタクル21と、レセプタクル21の固定に寄与するレセプタクルハウジング263との2部材に分けられていることから、位置決めに寄与する部材が小型化されている。その結果、位置決めに寄与する部分を高精度に成形することが容易化される。
<第3の実施形態>
図10は、本発明の第3の実施形態に係る光コネクタ301および光伝送モジュール303を非接続状態で示す斜視図である。
光コネクタ301は、その一部として第1の実施形態の光コネクタ1を含み、また、光伝送モジュール303は、その一部として第1の実施形態の光伝送モジュール3を含んでいる。なお、第3の実施形態は、第1の実施形態の応用例と捉えられてもよい。
光コネクタ301は、第2の実施形態の光コネクタ201と同様に、第1の実施形態の光コネクタ1に対して主としてハウジングを付加した構成とされている。ただし、第2の実施形態の光コネクタ201は、基板と基板とを接続するための構成とされていたのに対して、本実施形態の光コネクタ301は、光ケーブル13と基板17とを接続するための構成とされている。具体的には、以下のとおりである。
光コネクタ301は、光ケーブル13を保持するプラグ351と、基板17に固定されたレセプタクル353とを有している。
レセプタクル353は、基本的には、第2の実施形態のレセプタクル253と同様の構成とされてよい。すなわち、レセプタクル353は、第1の実施形態のレセプタクル21(図9(b))と、保持具23(図1)と、レセプタクル21を基板17に固定するレセプタクルハウジング363とを有している。
なお、図10の例では、レセプタクルハウジング363に第2の実施形態のポスト用穴263nは形成されておらず、また、レセプタクルハウジング363は1つのレセプタクル21(光導波路帯19)にのみ対応する形状および大きさとされている。さらに、レセプタクルハウジング363は、細部の形状も第2の実施形態のレセプタクルハウジング263と異なっている。
ただし、レセプタクルハウジング363は、第2の実施形態のレセプタクルハウジング263と全く同一のものとされてもよい。さらに、この場合、複数のプラグ351が一のレセプタクルハウジング363に接続されてもよい。
図11は、プラグ351の分解斜視図である。
プラグ351は、1本の光ケーブルアレイ13(またはリボン光ファイバ、またはテープ光ファイバ)と1つのプラグ15のみを保持している点、および、ミッドプレーン255に固定されるための構成を有していない点を除いては、基本的には、第2の実施形態のプラグ251と同様の構成とされてよい。
具体的には、プラグ351は、第1の実施形態のプラグ15と、プラグ15を保持するプラグハウジング359と、プラグハウジング359に対してプラグ15を付勢する弾性部材261とを有している。
プラグハウジング359は、基部29aの前方側の一部、突部29bおよびピン31を露出させた状態で、プラグ15を保持している。また、プラグ15は、y方向およびz方向において、突部29bと露出孔21aとの隙間c1(または隙間c2)よりも大きい遊びで、プラグハウジング359に対して移動可能である。
以上のとおり、第3の実施形態において、光コネクタ301または光伝送モジュール303は、第1の実施形態の光コネクタ1および光伝送モジュール3を含んでいる。従って、第1の実施形態と同様の効果が奏される。例えば、高精度な位置決めの容易化もしくは安定化または光コネクタの低背化が期待される。
また、第3の実施形態において、光コネクタ301または光伝送モジュール303は、第1の実施形態のプラグ15を保持するプラグハウジング359と、第1の実施形態のレセプタクル21を基板17に固定するレセプタクルハウジング363とを有している。従って、例えば、第2の実施形態と同様に、光コネクタ全体としての大きさを作業が容易なものとしつつ、位置決めに寄与するレセプタクル21を小型化して、高精度成形を可能とすることができる。
<第4の実施形態>
図12は、本発明の第4の実施形態に係る光コネクタ401および光伝送モジュール403の外観を示す斜視図である。
光コネクタ401は、その一部として第1の実施形態の光コネクタ1を含み、また、光伝送モジュール403は、その一部として第1の実施形態の光伝送モジュール3を含んでいる。なお、第4の実施形態は、第1の実施形態の応用例と捉えられてもよい。
光コネクタ401は、第3の実施形態の光コネクタ301と同様に、第1の実施形態の光コネクタ1に対して主としてハウジングを付加した構成とされ、また、光ケーブル13と基板17とを接続するための構成とされている。ただし、本実施形態の光コネクタ401は、プラグがレセプタクルから脱落するおそれが低減されるとともに、意図的にプラグをレセプタクルから抜くときには、簡便に抜くことができる構成とされている。具体的には、以下のとおりである。
光伝送モジュール403は、プラグアセンブリ405と、該プラグアセンブリ405と光学的に接続されるレセプタクルアセンブリ407とを有している。本実施形態では、レセプタクルアセンブリ407は、複数(より具体的には2つ)のプラグアセンブリ405と接続可能である。
以下では、プラグアセンブリ405に関して、レセプタクルアセンブリ407側を(x方向の正側)を前方といい、その反対側を後方ということがある。同様に、レセプタクルアセンブリ407に関して、プラグアセンブリ405側(x方向の負側)を前方といい、その反対側を後方ということがある。
プラグアセンブリ405の構成は、第1の実施形態のプラグ15を保持するハウジングの構成を除いては、第1又は第3の実施形態のプラグアセンブリと同様である。また、レセプタクルアセンブリ407の構成は、第1の実施形態のレセプタクル21を基板17に固定するハウジングの構成を除いては、第1又は第3の実施形態のレセプタクルアセンブリと同様である。
図13は、光コネクタ401および光伝送モジュール403の分解斜視図である。
プラグ451は、例えば、第1の実施形態のプラグ15と、プラグ15を保持するプラグホルダー465と、プラグホルダー465の後端を塞ぐプラグホルダーロック467と、プラグ15を付勢する弾性部材261(スプリング)と、プラグホルダー465を覆うプラグカバー469とを有している。
プラグホルダー465は、例えば、第1の実施形態のプラグ15を収容可能に、前面および後面が開放された中空形状に形成されている。その外形は、例えば、概略、薄型の直方体状である。プラグ15は、プラグホルダー465の後方からプラグホルダー465に挿入されてプラグホルダー465に収容される。プラグ15のうち突部29b、ピン31および基部29aの先端側部分はプラグホルダー465の前方の開口から露出する(図14参照)。この際、プラグ15の被係止部29cはプラグホルダー465内の適宜な部位に対して前方へ係合する。プラグホルダー465の内部空間は、例えば、プラグ15のうちプラグホルダー465に収容される部分よりも若干大きく形成されており、プラグ15は、プラグホルダー465に対して所定の遊びの範囲内でx方向、y方向およびz方向において移動可能である。なお、y方向およびz方向の遊びは比較的微小である。
プラグホルダーロック467は、プラグホルダー465の後方の開口を塞ぎ、また、係合部またはねじ等によってプラグホルダー465に固定される。すなわち、第1の実施形態のプラグ15は、プラグホルダー465およびプラグホルダーロック467からなる部材に収容される。
弾性部材261は、例えば、コイルばねにより構成されている。弾性部材261は、圧縮された状態で、プラグホルダーロック467と第1の実施形態のプラグ15との間に介在し、プラグホルダー465およびプラグホルダーロック467に対してプラグ15を前方へ付勢する。
プラグカバー469は、例えば、プラグホルダー465を収容可能に、前面および後面が開放された中空形状に形成されている。その外形は、例えば、概略、薄型の直方体状である。プラグカバー469は、プラグ451の上面、下面および側面(2つ)を構成しており、その面積は、例えば、プラグ451のこれら4面全体の面積の1/3以上乃至は半分以上である。プラグホルダー465は、図13に示した位置関係とは逆に、プラグカバー469の前方からプラグカバー469に挿入されて収容される。その後、プラグホルダーロック467がプラグホルダー465に固定される。
レセプタクル453は、第1の実施形態のプラグ15の位置決めに供される第1の実施形態のレセプタクル21と、レセプタクル21を基板17に固定する保持具23と、レセプタクル21を覆うレセプタクルハウジング463と、レセプタクルハウジング463を基板17に固定するねじ265およびナット266とを有している。なお、本実施形態では、2つのプラグ451をレセプタクル453に接続可能であることに対応して、レセプタクル453は、レセプタクル21および保持具23を2つずつ有している。
レセプタクルハウジング463は、後述する被係合部463bが設けられている点を除いては、概略、第2又は第3の実施形態のレセプタクルハウジング463と同様でよい。なお、図示の例では、レセプタクルハウジング463には、第2の実施形態のポスト用穴263nは形成されておらず、また、細部の形状も第2又は第3の実施形態のレセプタクルハウジングと異なっているが、これらの点についても、第2又は第3の実施形態と同様とされてもよい。
レセプタクルハウジング463のハウジング孔463aには、プラグホルダー465が嵌合する。すなわち、プラグホルダー465は、第2又は第3の実施形態のプラグハウジングに相当する部分である。
プラグ451およびレセプタクル453を構成する部材は、他の実施形態と同様に、樹脂、セラミック、金属等の適宜な材料によって構成されてよい。ただし、プラグホルダー465のうち、少なくとも後述するプラグ451のレセプタクル453からの抜けを低減する部位は、樹脂または金属等の弾性変形可能な材料によって構成されている。また、弾性部材261や保持具23も金属等の弾性変形可能な材料によって構成されている。
図14(a)は、プラグ451を通常状態で示す斜視図であり、図14(b)は、プラグ451をロック解除状態で示す斜視図である。
プラグカバー469は、第1の実施形態のプラグ15、プラグホルダー465およびプラグホルダーロック467に対して、図14(a)にて位置する前進限と、図14(b)にて位置する後退限との間で前後方向に移動可能である。
プラグカバー469は、前進限では、例えば、前側の縁部がプラグホルダー465の側面に形成された前進ストッパ465aに当接することにより、それ以上の前進が規制される。また、プラグカバー469は、後退限では、例えば、後側の縁部がプラグホルダーロック467の上面に形成された後退ストッパ467aに当接することにより、それ以上の後退が規制される。
この他、プラグカバー469の内面とプラグホルダー465の外面に凹凸を形成して後退限を規定してもよい。例えば、プラグカバー469は、上下方向において、前方部分の径が後方部分の径よりも小さくされており、内面に段差が形成されている(図18参照)。一方、プラグホルダー465の上面及び下面には、プラグカバー469の後方部分に収容され、プラグカバー469が後退限に位置したときに上記の段差に対して前方へ係合する後退ストッパ467b(図18参照)が形成されている。
なお、後退限ストッパは、プラグカバー469に加えられる力がプラグホルダー465の一の面のみに集中しないように、上下両側に1対、および/または、左右両側に1対設けられることが好ましい。前進限ストッパも同様である。
図15は、プラグ451の一部(図14(a)において領域XVで示す部分)の分解斜視図であり、図16(a)は、前記一部を通常状態で示す図(図14(a)の一部拡大図)であり、図16(c)は、前記一部をロック解除状態で示す図(図14(b)の一部拡大図)である。
プラグホルダー465は、プラグ451のレセプタクル453からの抜けを低減するための係合部465bを有している。係合部465bは、例えば、前後方向に長い板に穴または切り欠きが形成された形状である。すなわち、係合部465bは、互いに平行に延びる2本の梁465baと、2本の梁465baに架け渡された係合本体部465bbとを有している。梁465baは、例えば、後方(x方向負側)の端部が固定端とされ、前方の端部が自由端とされ、いわゆる片持ち梁状に支持されている。係合本体部465bbは、2本の梁465baの自由端同士を接続している。
係合部465bの先端には、前方ほどプラグ451の内側(図15及び図16では下方)に位置する傾斜面465bcが形成されている。傾斜面465bcの傾斜角度は適宜に設定されてよい。また、傾斜面465bcは、平面とされてもよいし、一定の曲率の曲面とされてもよいし、曲率が変化する曲面とされてもよい。
一方、レセプタクル453(より具体的にはレセプタクルハウジング463)には、図15において2点鎖線で示すように、被係合部463b(図12も参照)が形成されている。被係合部463bが2本の梁465ba間(被係合部463bの穴)に挿入されることにより、係合本体部465bbおよび被係合部463bは、プラグ451のレセプタクル453からの抜けを阻止する方向に係合する。すなわち、係合部465bは、レセプタクル453に対して後方へ係合する。
プラグカバー469は、係合部465bをプラグ451の内側(図15および図16では下方)に変位させて、係合部465bと被係合部463bとの係合を解除するための係合解除部469bを有している。
係合解除部469bは、係合部465bの穴をプラグカバー469の外部へ露出させるように、係合部465bの穴を挟んで2つ設けられている。各係合解除部469bは、例えば、プラグカバー469の中空状の本体部分の縁部から前方へ延びる長尺形状に形成されている。また、各係合解除部469bにおいて、2つの係合解除部469b間側、かつ、プラグ451の内側(プラグホルダー465側)の角部には、切り欠き部469bbが形成されている。2つの切り欠き部469bbは、係合部465bを収容可能な、また、係合部465bを前後方向において案内可能なガイド溝を構成している。
このガイド溝には、通常状態(図16(a))(またはプラグカバー469を少し後方へ位置させたとき)において係合部465bの先端に当接する傾斜面469baを有している。傾斜面469baは、前方ほどプラグ451の内側(図15および図16では下方)に位置するように傾斜している。傾斜面469baの傾斜角度は適宜に設定されてよい。また、傾斜面469baは、平面とされてもよいし、一定の曲率の曲面とされてもよいし、曲率が変化する曲面とされてもよい。
図17(a)、図17(b)、図17(c)および図17(d)は、図16(a)および図16(b)のXVIIa-XVIIa線、XVIIb-XVIIb線、XVIIc-XVIIc線およびXVIId-XVIId線における断面図であり、図17(e)は図17(c)から図17(a)へ移行する途中を示す断面図である。
図14(a)、図16(a)および図17(a)に示すように、プラグカバー469が前進限に位置する通常状態においては、プラグホルダー465の係合部465bの先端は、例えば、プラグカバー469の係合解除部469bの傾斜面469baの最も後方(x方向の負側)に位置している。なお、係合部465bの先端は、傾斜面469baに当接していなかったり、傾斜面469baの最も後方の位置よりも少し前方に当接したりしていてもよい。また、図17(b)に示すように、この通常状態においては、被係合部463bは、2つの梁465ba間に挿入されて、係合本体部465bbに対して係合している。
次に、図14(b)、図16(b)および図17(c)に示すように、プラグカバー469を後方へ移動させると、係合部465bの先端は、傾斜面469baを摺動し、傾斜面469baによってプラグ451の内側(これらの図では下方へ)へ押されて変位する。これにより、図17(d)に示すように、係合部465bと被係合部463bとの係合が解除される。なお、係合部465bの先端の傾斜面465bcは、傾斜面469baによって係合部465bの先端を確実にプラグ451の内側へ押し下げることに寄与する。
上述のように係合解除部469bの傾斜面469baによって係合部465bの先端を変位させるときには、係合部465bの梁465baは弾性変形(撓み)を生じる。すなわち、梁465baは、係合部465bの先端を傾斜面469baに対してプラグ451の外側(図17等では上方)へ押し付ける復元力を生じる。
従って、図17(e)に示すように、プラグカバー469をプラグホルダー465に対して後方へ移動させる力を無くすと、係合部465bの先端は、梁465baの復元力によって傾斜面469baを後方へ摺動する。すなわち、梁465baの復元力によって、プラグカバー469およびプラグホルダー465は、図17(a)の状態に自動復帰する。
以上の説明では、係合部465b、被係合部463bおよび係合解除部469bについて、光コネクタ401の上方に関して説明したが、上方と同様に、光コネクタ401の下方においても、係合部465b、被係合部463bおよび係合解除部469bが設けられている(図18参照)。係合部465b、被係合部463bおよび係合解除部469bは、例えば、上方のものと下方のものとで、x軸方向に延びる第1の実施形態のプラグ15の中心線に対して互いに180°回転対称の形状および位置とされている。
図18(a)〜図18(c)は、光コネクタ401の作用を説明する、図14のXVIII−XVIII線に対応する断面図である。
図18(a)は、光コネクタ401の非接続状態を示している。この状態において、プラグカバー469は、例えば、前進限に位置している。従って、プラグホルダー465の係合部465bの先端は、プラグカバー469の係合解除部469bの傾斜面469baの最も後方に位置している。この状態から、光コネクタ401のユーザは、例えば、プラグカバー469を指または治具によって保持(例えば上下方向において挟持)し、プラグ451をレセプタクル453に対して前方へ移動させる(近づける)。
図18(b)は、プラグ451のレセプタクル453への嵌合(挿入)が完了した状態を示している。図18(a)から図18(b)に至る過程においては、第1の実施形態のプラグ15の、レセプタクルハウジング463のハウジング孔463aへの挿入、プラグホルダー465のハウジング孔463aへの挿入、プラグ15の突部29bの、第1の実施形態のレセプタクル21の露出孔21aへの挿入、および、プラグ15のピン31の、レセプタクル21のピン用穴21bへの挿入が順次開始され、これらの挿入によって、光ケーブル13と光導波路帯19とのy方向およびz方向の位置決めがなされる。また、突部29bの先端面は、基板17の側面17cに当接し、x方向において位置決めされる。この際の接触圧は、弾性部材261の付勢力によって規定される。
また、上記の挿入の過程においては、レセプタクルハウジング463の被係合部463bの傾斜面463ba(図17(b)および図17(d)も参照)が、プラグカバー469の2つの係合解除部469bの隙間を介して係合部465bの先端に当接する。傾斜面463baは、プラグ451側ほどプラグ451の上下方向内側に位置するように傾斜している。従って、係合部465bは、被係合部463bの傾斜面463baによってプラグ451の上下方向内側へ押されて変位し、その後、被係合部463bが係合部465bの係合本体部465bbを通過すると、梁465baの復元力によって元の位置に復帰して、被係合部463bに対して係合する。この係合は、既に述べたように、第1の実施形態のプラグ15(光ケーブル13および光導波路帯19)の上方および下方の双方において行われる。なお、係合部465bの先端の傾斜面465bcは、被係合部463bの傾斜面463baによって係合部465bの先端を確実にプラグ451の内側へ押し下げることに寄与する。
また、上記の挿入の過程においては、プラグ451は、レセプタクル453から挿入に対する抵抗力を受ける。抵抗力は、摺動抵抗や係合部465bを変位(弾性変形)させるための力である。第1の実施形態のプラグ15に作用する抵抗力は、プラグ15を保持しているプラグホルダー465およびプラグホルダーロック467に伝えられる。プラグホルダー465およびプラグホルダーロック467に作用する(伝えられるもの含む)抵抗力は、プラグホルダー465の前進ストッパ465a(図14)を介してプラグカバー469に伝えられる。従って、ユーザは、プラグカバー469のみを保持して、プラグ451をレセプタクル453に挿入することができる。
図18(c)は、プラグ451をレセプタクル453から引き抜く前段階を示している。この前段階では、プラグカバー469が後退限へ後退させられている。従って、既に述べたように、係合解除部469bの傾斜面469baによって係合部465bはプラグ451の上下方向の内側へ変位させられており、係合部465bと被係合部463bとの係合が解除されている。
その後、プラグ451はレセプタクル453から引き抜かれる。この際、プラグ451を差し込むときと同様に、プラグ451は、レセプタクル453から摺動抵抗を受ける。プラグ15に作用する抵抗力は、第1の実施形態のプラグ15を保持しているプラグホルダー465およびプラグホルダーロック467に伝えられる。プラグホルダー465およびプラグホルダーロック467に作用する(伝えられるもの含む)抵抗力は、プラグホルダーロック467の後退ストッパ467a(図14)を介してプラグカバー469に伝えられる。従って、挿入時と同様に、ユーザは、プラグカバー469のみを保持して、プラグ451をレセプタクル453から引き抜くことができる。
第1の実施形態のプラグ15およびプラグホルダー465が引き抜かれ、これらに作用する抵抗力が無くなると、プラグホルダー465に対してプラグカバー469を後方へ移動させる力が無くなることになる。従って、図17(e)を参照して説明したように、係合部465bの復元力によってプラグホルダー465とプラグカバー469とは図18(a)の状態に自動復帰する。
以上のとおり、本実施形態では、光コネクタ401は、光導波路27と固定されるレセプタクル453と、光ファイバ25と固定され、レセプタクル453との位置決めによって光導波路27と光ファイバ25とを光学的に接続するプラグ451とを有している。プラグ451は、光ファイバ25と固定されており、レセプタクル453に対する前方への移動によってレセプタクル453と嵌合する第1の実施形態のプラグ15(より具体的には突部29bおよびピン31)と、プラグ15に連結されており、プラグ15と嵌合状態にあるレセプタクル453に対して後方へ係合可能な係合部465bと、係合部465bをその係合を解除する方向へ変位させながら、プラグ15に対して後方へ移動可能なプラグカバー469と、を有している。
従って、プラグカバー469を後方へ移動させる操作によって簡単に係合部465bの係合を解除することができる。しかも、この操作は、プラグ451(プラグ15)をレセプタクル453から引き抜く(嵌合を解除する)操作に通じる。すなわち、プラグカバー469を後退させるワンアクションで係合解除と引き抜きとを行うことができ、極めて簡単にプラグ451をレセプタクル453から取り外すことができる。
また、本実施形態では、プラグカバー469は、係合部465bに対して後方へ当接可能であり、かつ、前方ほど、係合を解除するために係合部465bが変位すべき方向へ位置する傾斜面469baを有している。
従って、係合部465bの変位は、係合部465bと傾斜面469baとの摺動によって実現される。すなわち、傾斜面469baを形成する極めて簡素な構成で係合部465bの変位が実現される。その結果、例えば、プラグ451の小型化や低コスト化等が期待される。
また、本実施形態では、プラグカバー469は、プラグ451の上面、下面および側面(各面の少なくとも一部)を構成する中空形状(筒形状)である。
従って、指または治具によるプラグカバー469の把持によってプラグ451全体を保持することが容易である。その結果、上述したワンアクションによる係合解除および引き抜きが一層好適に行われる。また、プラグカバー469の構造的強度も確保されやすく、例えば、プラグ451の抜き差しの際のプラグ451の破損も低減される。
また、本実施形態では、プラグ451は、第1の実施形態のプラグ15に連結されており、プラグカバー469が係合部465bの係合を解除していない位置にあるときにプラグカバー469が前方へ係合する前進ストッパ465aと、プラグ15に連結されており、プラグカバー469が係合部465bの係合を解除している位置にあるときにプラグカバー469が後方へ係合する後退ストッパ467aと、を有している。
従って、プラグ451をレセプタクル453に挿入する力を、プラグカバー469から前進ストッパ465aを介して第1の実施形態のプラグ15へ確実に伝えることができ、また、プラグ451をレセプタクル453から引き抜く力を、プラグカバー469から後退ストッパ467aを介してプラグ15へ確実に伝えることができる。その結果、上述したワンアクションによって係合解除および引き抜きを行う操作が一層好適になされる。もちろん、これらストッパは、プラグカバー469のプラグ15やプラグホルダー465等からの脱落および紛失を防止することにも寄与する。
また、本実施形態では、係合部465bは、光導波路27および光ファイバ25に対してこれらの接続方向に交差(好ましくは直交)する方向(z方向)の両側それぞれに設けられている。
従って、プラグ451は、光導波路27と光ファイバ25との接続位置付近を支点として上下に揺動することが低減され、ひいては、光ファイバ25のプラグ451に保持されている部分が光導波路27に対して上下に傾斜することが低減される。ここで、光伝送路同士の接続は、電気的な接続とは異なり、光の漏れを低減するために、光伝送路同士が互いに直線状に突き合わされることが好ましい。従って、係合部465bが上下の双方に設けられていることによって、光の漏れが低減された好適な接続がなされる。
また、本実施形態では、レセプタクル453は横一列に配列された複数(本実施形態では2つ)のプラグ451と接続可能である。係合部465bは、光導波路27および光ファイバ25に対して、これらの接続方向に交差(好ましくは直交)するとともに複数のプラグ451の配列方向に交差(好ましくは直交)する方向(z方向)に位置している。
従って、レセプタクル453が複数のプラグ451に対して少なくとも一部が共通化されるとともに、係合部465bが複数のプラグ451間に配置されないことから、複数のプラグ451間の距離を短くして、複数のプラグ451を高密度に配列することが可能となる。複数のプラグ451を横方向において高密度に配列した場合、指または治具をプラグカバー469の上下面に当接させてプラグ451の抜き差しをすることになる。その当接位置と係合部465bとが近接することから、例えば、係合部465bに力を伝えやすくなり、円滑にプラグ451の引き抜きを行うことがきる。
また、本実施形態では、レバーやボタン等のロック構造がプラグ451の外観に現れていない。従って、例えば、機器内の奥まった位置や見え難い場所で作業する場合、作業者はプラグカバー469を持って抜くだけで抜去できるので、極めて作業性に優れる。また、外観が平面状にできる(凹凸を少なくできる)ので、作業時に衣服やツール、ファイバー等が引っかかり難い。その結果、プラグ451の破損や不用意なコネクタの抜けを防止できる。
なお、以上の実施形態において、光導波路27は第1光伝送路の一例であり、基板17は基体の一例であり、光ファイバ25は第2光伝送路の一例であり、プラグカバー469はスライダの一例である。また、第1光伝送路として光ファイバ25、第2光伝送路として光導波路27を用いてもよい。
(第1変形例)
図19(a)は、第1変形例に係るプラグ501を示す斜視図である。
プラグ501は、第2〜第4実施形態と同様に、第1の実施形態とプラグ15と同様の狭義のプラグ515と、プラグ515を保持する不図示のハウジング(第2〜第4のいずれのハウジングでもよい。)と、このハウジングに対してプラグ515を付勢する弾性部材261と、を有している。
しかし、狭義のプラグ515は、第1の実施形態のプラグ15とは異なり、弾性部材261を固定するための固定用突部503を有している。固定用突部503は、例えば、プラグ515の後端面から後方へ、且つ、光伝送路の接続方向(光伝送路のコア端面に直交する方向)に平行に突出するピン状である。コイルばねである弾性部材261は、固定用突部503が挿通されるように取り付けられる。なお、固定用突部503の長さは、例えば、プラグ515がハウジングに保持されて圧縮された状態の弾性部材261の長さ以下である。
このような構成によれば、弾性部材261の少なくとも一部が固定用突部503によって光伝送路の接続方向に案内されることから、弾性部材261の付勢力の向きの、光伝送路の接続方向からのずれが低減される。その結果、各製品における接続損失が低減され、また、複数の製品間の接続損失のばらつきも低減される。
(第2変形例)
図19(b)は、第2変形例に係るプラグ501を示す斜視図である。
プラグ601は、第1変形例の固定用突部503に代えて、狭義のプラグ615に固定用凹部603を形成したものである。固定用凹部603は、例えば、プラグ615の後端面に開口しており、且つ、光伝送路の接続方向に平行に深さ方向へ進行している。コイルばねである弾性部材261(コイルばね以外とすることも可能である)は、固定用凹部603に挿通される。なお、固定用凹部603の深さは、例えば、プラグ615がハウジングに保持されて圧縮された状態の弾性部材261の長さ以下である。
このような構成によれば、第1変形例と同様に、弾性部材261の少なくとも一部が固定用凹部603によって光伝送路の接続方向に案内されることから、弾性部材261の付勢力の向きの、光伝送路の接続方向からのずれが低減される。その結果、各製品における接続損失が低減され、また、複数の製品間の接続損失のばらつきも低減される。さらに、第2変形例では、弾性部材261の少なくとも一部が狭義のプラグ615内に収納されることから、プラグ615の後端面とハウジングとの隙間を小さくして、プラグ601を小型化することができる。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
ピン(ピン用穴)の数は適宜に設定されてよい。ただし、簡素な構成で高精度に位置決めする観点からは、ピンは、2本であることが好ましい。また、ピンの突部または基体に対する位置も適宜に設定されてよい。例えば、ピンは、複数の光ファイバを保持する突部に対して、その複数の光ファイバの配列方向に対して直交する方向に位置してもよい。また、例えば、ピンは、挿入方向に見て、基体(基板)よりも上、または、基体よりも下に位置してもよい。
突部および露出孔は、ピンがピン用穴に挿入される前に粗い位置合わせをする機能を有していなくてもよい。例えば、突部の露出孔への挿入は、ピンのピン用穴への挿入開始以後になされてもよいし、突部および露出孔の隙間は、挿入が進むにつれて小さくなるように設定されていなくてもよい。
1枚の板金からなり、復元力によりレセプタクルを基体に固定する保持具は、本発明の必須の要件ではない。例えば、レセプタクルは、接着剤によって基体に固定されてもよいし、保持具なしで、レセプタクルハウジングによって基体に押し付けられて基体に固定されてもよい。
本願からは、第4の実施形態のスライダ(プラグカバー469)による係合解除を特徴とする以下の別発明を抽出可能である。
(別発明1)
第1光伝送路に対して固定される第1コネクタ部材と、
第2光伝送路に対して固定され、前記第1コネクタ部材との位置決めによって前記第1光伝送路と前記第2光伝送路とを光学的に接続する第2コネクタ部品と、
を有し、
前記第2コネクタ部品は、
前記第2光伝送路に対して固定されており、前記第1コネクタ部品に対する前方への移動によって前記第1コネクタ部品と嵌合可能な位置決め部と、
前記位置決め部に連結されており、前記位置決め部と嵌合している状態の前記第1コネクタ部品に対して後方へ係合可能な係合部と、
前記係合部をその係合を解除する方向へ変位させながら、前記位置決め部に対して後方へ移動可能なスライダと、を有している
光コネクタ。
上記の別発明に関して、レセプタクル453は第1コネクタ部品の一例であり、プラグ451は第2コネクタ部品の一例であり、狭義のプラグ15(プラグ本体)、突部29bまたはピン31は位置決め部の一例である。上記の別発明においても、本発明の好適な態様が種々適用されてよい。当該別発明においては、以下のように実施されてもよい(一部に関しては本発明にも当てはまる。)。
光コネクタは、光ファイバと、基板に設けられた光導波路とを接続するものに限定されない。例えば、光コネクタは、光ファイバ同士を接続するものであってもよいし、光導波路同士(基板同士)を接続するものであってもよい。また、光ファイバを保持するコネクタ部品は、基板に固定されているものであってもよい。光コネクタによって接続される第1光伝送路の本数および第2光伝送路の本数は、それぞれ1本であってもよい。
第1コネクタ部品および第2コネクタ部品は、一方の概ね全体が他方に挿入されるタイプ(プラグおよびレセプタクル)に限定されない。例えば、第1コネクタ部品および第2コネクタ部品は、互いの先端面同士が突き合わされるとともに、一方に設けられたピンが他方に挿入されるタイプのものであってもよい。
第2コネクタ部品の位置決め部は、第1コネクタ部品に挿入されるものに限定されず、第1コネクタ部品の少なくとも一部が挿入されるもの(穴部を構成するもの)であってもよい。別の観点では、プラグが挿入されるレセプタクル、乃至は、ピン用穴が形成されたコネクタ部品に、係合部およびスライダが設けられてもよい。
第1コネクタ部品は、複数の第2コネクタ部品を接続可能である必要は無い。すなわち、第1コネクタ部品は、一つのみの第2コネクタ部品と接続可能に構成されていてもよい。逆に、第1コネクタ部品は、3以上の第2コネクタ部品と接続可能であってもよい。なお、光コネクタの高密度配置は、一つのみの第2コネクタ部品と接続可能な第1コネクタ部品を複数配列することによっても可能である。
実施形態では、係合部(465b)は、位置決め部(プラグ15)を保持する部材(プラグホルダー465)に設けられ、位置決め部に対して遊びの範囲内で移動可能に連結された。ただし、係合部は、位置決め部に直接に固定(位置決め部と一体的に形成される場合を含む)されてもよい。なお、連結の語は、固定も含むものとする。
係合部の形状は、穴(切り欠き)を有するものに限定されず、例えば、爪状のものであってもよい。係合部の数は適宜に設定されてよく、2つに限定されず、1つのみでもよいし、3つ以上であってもよい。また、係合部の位置は、光伝送路に対して上方または下方(径方向に配列された複数の光伝送路に対して交差(直交)する方向、および/または、基板の主面に対して交差(直交)する方向)となる位置に限定されない。例えば、係合部は、光伝送路に対して側方(y方向)に位置してもよい。
係合部が光伝送路の接続方向に交差(直交)する方向の両側にそれぞれ設けられる場合において、この交差する方向も、上下方向に限定されず、左右方向(y方向)であってもよい。また、係合部が光伝送路の接続方向に交差(直交)する方向の両側にそれぞれ設けられる場合において、2つの係合部は、前後方向に延びる所定の軸(例えば第2コネクタ部品が保持する全ての第2光伝送路の断面中心を通る軸)に対して互いに180°回転対称の形状および位置とされなくてもよい。
スライダの形状は、第2コネクタ部品の上面、下面および側面を構成する中空形状に限定されない。例えば、スライダの形状は、上面および/または下面にのみスライドスイッチ状に露出する形状とされてもよい。
スライダの後退によって係合部を変位させるための機構は、傾斜面によるものに限定されない。例えば、揺動可能な梃子状に設けられた係合部の一端を第1コネクタ部品に係合させ、スライダを係合部の他端に当接させるようにしてもよい。また、係合部の変位に傾斜面が利用される場合において、傾斜面はスライダではなく、係合部に設けられてもよい。
係合部を係合解除のために変位させる方向は、コネクタ部品の内側への方向に限定されない。例えば、変位させる方向は、コネクタ部品の外側への方向であってもよいし、コネクタ部品の外周面に沿う方向であってもよい(例えば、係合部が上面および/または下面に設けられている場合に係合部を側方へ変位させたり、係合部が側面に設けられている場合に上方または下方に係合部を変位させたりしてもよい)。