以下、本発明の一実施形態に係る冷凍装置としての空気調和装置1について図面を参照して説明する。
<空気調和装置の全体構成>
空気調和装置1は、少なくとも1つの熱源ユニット2(室外ユニット2)と、少なくとも1つの利用ユニット3(室内ユニット3)とを備える。図1に示す本実施形態では、空気調和装置1は、1つの熱源ユニット2と、複数の利用ユニット3a,3bとを含むいわゆるマルチ型の空気調和装置である。マルチ型の空気調和装置1は、建物内における複数の室内空間を空調するために使用される。空気調和装置1が設置される建物の規模に応じて、熱源ユニット2の個数、利用ユニット3の個数が適宜設定される。
空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転は、コントローラ50により制御される。空気調和装置1の冷媒回路は、液側連絡配管45及びガス側連絡配管46を介して熱源ユニット2と利用ユニット3a,3bとが接続されることによって構成されている。冷媒回路は、主冷媒回路4と、分岐路(バイパス路)44とを含む。冷媒回路は、利用側冷媒回路と、熱源側冷媒回路とを含む。
液側連絡配管45及びガス側連絡配管46は、空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する場合には、その設置場所や熱源ユニット2と利用ユニット3との組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。
<利用ユニット>
利用ユニット3は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。各利用ユニット3は、主冷媒回路4の一部を構成する利用側冷媒回路を有する。各利用側冷媒回路は、図1に示すように、利用側熱交換器31と、利用側膨張弁63と、これらを接続する冷媒配管とを有する。各利用ユニット3は、利用側ファン32をさらに有する。
各利用側膨張弁63は、利用側冷媒回路内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、利用側冷媒回路の液配管に設けられている。利用側膨張弁63としては、例えば弁開度を調整可能な電動膨張弁を用いることができる。
各利用側熱交換器31は、例えば伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィンアンドチューブ型熱交換器を例示することができるが、これに限定されない。各利用側熱交換器31は、冷房運転時には蒸発器として機能し、暖房運転時には凝縮器として機能する。
利用側ファン32は、利用側熱交換器31に室内空気を供給するとともに熱交換後の空気を室内に供給する。利用側ファン32は、風量を変化させることが可能な送風機構である。利用側ファン32は、羽根車を回転させるファンモータ32aを有する。
<熱源ユニット>
熱源ユニット2は、冷媒回路の一部を構成する熱源側冷媒回路を有する。熱源側冷媒回路は、図1に示すように、少なくとも1つの圧縮機21と、熱源側熱交換器22と、四路切換弁25と、熱源側膨張弁61と、過冷却熱交換器23と、液側閉鎖弁27と、ガス側閉鎖弁28と、これらを接続する冷媒配管とを有する。熱源ユニット2は、さらに熱源側ファン26、分岐路44などを有する。分岐路44には、過冷却熱交換器23に分流される冷媒量を調節する過冷却膨張弁62が設けられている。熱源ユニット2は、例えば建物外に設置される。
熱源ユニット2は、複数の圧縮機21,21を有していてもよく、1つの圧縮機21のみを有していてもよい。図1に示すように、本実施形態では、熱源ユニット2が2つの圧縮機21,21を有する場合を例示している。
2つの圧縮機21,21は、冷媒回路において互いに並列に接続されている。具体的に、2つの圧縮機21,21は、吸入側ガス管42及び吐出側ガス管43に対して並列に接続されている。吸入側ガス管42の下流側端部において2つに分岐した吸入側分岐管42a,42bが2つの圧縮機21,21の吸入側にそれぞれ接続されている。2つの圧縮機21,21の吐出側には、吐出側ガス管43の上流側端部において2つに分岐した吐出側分岐管43a,43bがそれぞれ接続されている。
複数の圧縮機21,21において、例えば、ある圧縮機21を可変容量圧縮機とし、別の圧縮機21を固定容量圧縮機とすることができるが、この組み合わせには限定されない。可変容量圧縮機は、モータ21aがインバータ制御されて容量が段階的又は連続的に可変となるものであり、固定容量圧縮機は、モータ21aが一定回転数で駆動するものである。
熱源側熱交換器22としては、例えば伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィンアンドチューブ型熱交換器を例示することができるが、これに限定されない。熱源側熱交換器22のガス側は四路切換弁25を介して圧縮機21に接続され、液側は熱源側膨張弁61に接続されている。熱源側熱交換器22は、冷房運転時には凝縮器として機能し、暖房運転時には蒸発器として機能する。
熱源側ファン26は、熱源側熱交換器22に供給する熱源としての室外空気の風量を変化させることが可能な送風機構である。熱源側ファン26は、羽根車を回転させるファンモータ26aを有する。ファンモータ26aは、図略のインバータ回路を介して電力の供給を受けて駆動されるように構成されており、周波数を変化させることによって、熱源側ファン26の風量を変えることができる。
熱源側膨張弁61は、冷媒回路内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために液配管41に設けられている。熱源側膨張弁61としては、例えば弁開度を調整可能な電動膨張弁を用いることができる。
四路切換弁25は、接続状態を切り換えることによって冷房運転と暖房運転とを切り換えることができる。冷房運転時には、四路切換弁25は、圧縮機21の吐出側と熱源側熱交換器22とを接続しつつ、圧縮機21の吸入側とガス側連絡配管46とを接続する(図1における実線の接続状態)。暖房運転時には、四路切換弁25は、圧縮機21の吐出側とガス側連絡配管46とを接続しつつ、圧縮機21の吸入側と熱源側熱交換器22とを接続する(図1における破線の接続状態)。
液側閉鎖弁27は、液側連絡配管45との接続口に設けられた弁であり、ガス側閉鎖弁28は、ガス側連絡配管46との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁27は、液配管41によって過冷却熱交換器23を介して熱源側膨張弁61に接続されている。ガス側閉鎖弁28は、ガス配管42によって四路切換弁25を介して圧縮機21に接続されている。
分岐路44は、主冷媒回路4の液配管41から分岐して主冷媒回路4の吸入側ガス配管42に接続されている。具体的に、本実施形態では、分岐路44の一端は、熱源側膨張弁61と過冷却熱交換器23との間の液配管41に接続されており、分岐路44の他端は、四路切換弁25と圧縮機21との間の吸入側ガス配管42に接続されているが、これに限定されない。分岐路44の他端は、例えば圧縮機21に接続されていてもよい。
過冷却膨張弁62は、分岐路44の前記一端と過冷却熱交換器23との間に設けられている。過冷却熱交換器23は、液配管41を流れる冷媒を過冷却するためのものである。過冷却熱交換器23としては、例えば二重管熱交換器が挙げられるが、これに限定されない。過冷却熱交換器23では、主冷媒回路4の液配管41(熱源側冷媒回路の液配管41)を流れる冷媒と、過冷却膨張弁62を通過した後の分岐路44を流れる冷媒とが熱交換する。
<コントローラ>
コントローラ50は、冷媒回路を制御して冷房運転、暖房運転などを制御する。コントローラ50は、後述する各種センサから受信する検出信号に基づいて運転を制御する。また、コントローラ50は、利用ユニット3の操作を行う図略のリモコンとの間で制御信号のやりとりをする。コントローラ50は、熱源ユニット2に設けられていてもよく、利用ユニット3に設けられていてもよい。また、コントローラ50は、機能別に熱源ユニット2と利用ユニット3に分かれて設けられていてもよい。
図2に示すように、コントローラ50は、例えば図略のマイクロコンピュータ、記憶部(メモリ)57などを備える。また、コントローラ50は、モータ制御部51と、切換弁制御部52と、膨張弁制御部53と、湿り判定部54と、状態報知部55と、時間計測部56と、故障判定部58とを、機能として有する。
モータ制御部51は、圧縮機21のモータ21aの回転数、熱源側ファン26のモータ26aの回転数、利用側ファン32のモータ32aの回転数などを制御する。切換弁制御部52は、四路切換弁を制御する。膨張弁制御部53は、熱源側膨張弁61の開度(EVM)、過冷却膨張弁62の開度(EVT)、利用側膨張弁63の開度(EV)などを制御する。湿り判定部54は、冷媒の湿り状態について判定する。状態報知部55は、警告の報知、異常の報知などを行う。時間計測部56は、湿り判定、異常判定などの制御において時間を計測する。故障判定部58は、センサの故障を判定する。
<センサ>
次に、空気調和装置1に設けられたセンサ類について説明する。
空気調和装置1は、圧縮機21の吸入ガス圧力(LP)を検出する低圧圧力センサ81と、圧縮機21の吐出ガス圧力(HP)を検出する高圧圧力センサ82とを有する。高圧圧力センサ82は、圧縮機21と四路切換弁25との間の吐出側ガス配管43に設けられている。具体的に、高圧圧力センサ82は、吐出側分岐管43a,43bが合流した後の吐出側ガス配管43に設けられている。
低圧圧力センサ81は、主冷媒回路4の吸入側ガス配管42に設けられている。具体的に、低圧圧力センサ81は、圧縮機21と四路切換弁25との間の吸入側ガス配管42に設けられている。
また、空気調和装置1は、第1温度センサ71と、第2温度センサ72と、分岐路温度センサ73と、吸入側温度センサ74と、外気温度センサ75と、吐出側温度センサ76,76と、液側温度センサ78(利用側熱交換器液側温度センサ78)と、ガス側温度センサ79(利用側熱交換器ガス側温度センサ79)と、室内温度センサ80とを有する。
第1温度センサ71は、主冷媒回路4の液配管41を流れる冷媒の温度(Tf)を検出する。本実施形態では、第1温度センサ71は、熱源側熱交換器22と熱源側膨張弁61との間の液配管41に設けられているが、これに限られない。第1温度センサ71は、熱源側膨張弁61と過冷却熱交換器23との間の液配管41に設けられていてもよい。
第2温度センサ72は、過冷却熱交換器23と利用側熱交換器31との間において主冷媒回路4の液配管41を流れる冷媒の温度(Tsc)を検出する。分岐路温度センサ73は、過冷却熱交換器23の下流側において分岐路44を流れる冷媒(過冷却熱交換器23を通過した冷媒)の温度(Tsh)を検出する。
吸入側温度センサ74は、主冷媒回路4の吸入側ガス配管42を流れ、圧縮機21に吸入される冷媒の温度(Ts1)を検出する。本実施形態では、吸入側温度センサ74は、吸入側ガス配管42に設けられている。
吐出側温度センサ76,76は、圧縮機21から吐出されて主冷媒回路4の吐出側ガス配管43を流れる冷媒の温度を検出する。具体的に、一方の吐出側温度センサ76は、一方の吐出側分岐管43aを流れる冷媒の温度を検出し、他方の吐出側温度センサ76は、他方の吐出側分岐管43aを流れる冷媒の温度を検出する。
外気温度センサ75は、熱源ユニット2内に吸い込まれる外気の温度(Ta)を検出する。
液側温度センサ78は、利用側熱交換器31の液側における冷媒の温度(Th2)を検出する。ガス側温度センサ79は、利用側熱交換器31のガス側における冷媒の温度(Th3)を検出する。室内温度センサ80は、室内の空気の温度(Th1)を検出する。
本実施形態では、各温度センサとしては、例えばサーミスタを用いることができるが、これに限定されない。
<空気調和装置の動作>
次に、空気調和装置1の冷房運転と暖房運転の動作についてそれぞれ説明する。
冷房運転時には、四路切換弁25が図1において実線で示される第1状態に設定される。すなわち、圧縮機21の吐出側が熱源側熱交換器22のガス側に接続され、圧縮機21の吸入側が利用側熱交換器31,31のガス側に接続される。
この状態において、利用側ファン32,32、圧縮機21及び熱源側ファン26を起動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され圧縮されて高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、四路切換弁25を経由して熱源側熱交換器22に送られて、熱源側ファン26によって供給される室外空気と熱交換する。これにより、高圧のガス冷媒は凝縮して高圧の液冷媒となる。
熱源側膨張弁61を通過した冷媒の一部は、主冷媒回路4の液配管41を通って過冷却熱交換器23の1次側通路に流入し、熱源側膨張弁61を通過した冷媒の残りは、主冷媒回路4の液配管41から分岐して分岐路44に流入し、過冷却膨張弁62において減圧される。過冷却膨張弁62において減圧された冷媒は、過冷却熱交換器23の2次側通路に流入して1次側通路を流れる液冷媒を冷却する。過冷却熱交換器23の2次側通路を通過した冷媒は、吸入側ガス配管42に流入する。過冷却熱交換器23の1次側通路を通過して冷却された液冷媒は、液側閉鎖弁27及び液側連絡配管45を経由して、利用ユニット3a,3bに送られる。
利用ユニット3a,3bに送られた低圧の液冷媒(又は気液二相状態の冷媒)は、さらに利用側膨張弁63,63を通過する際に減圧され、利用側熱交換器31,31に送られる。利用側熱交換器31,31に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内空気と熱交換を行うことによって、蒸発して低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、ガス側連絡配管46を経由して熱源ユニット2に送られ、ガス側閉鎖弁28及び四路切換弁25を経由して、圧縮機21に吸入される。なお、利用側膨張弁63,63の開度は、例えば冷媒の過熱度(利用側熱交換器出口の過熱度)に基づいて調節される。
次に、暖房運転について説明する。暖房運転時には、四路切換弁25が図1において破線で示される第2状態に設定される。すなわち、圧縮機21の吐出側が利用側熱交換器31,31のガス側に接続され、圧縮機21の吸入側が熱源側熱交換器22のガス側に接続される。
この状態において、利用側ファン32,32、圧縮機21及び熱源側ファン26が起動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され圧縮されて高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、四路切換弁25、ガス側閉鎖弁28及びガス側連絡配管46を経由して利用ユニット3a,3bに送られる。利用ユニット3a,3bに送られた高圧のガス冷媒は、利用側熱交換器31,31において、室内空気と熱交換する。これにより、高圧のガス冷媒は凝縮して高圧の液冷媒となる。
高圧の液冷媒は、利用側膨張弁63,63を通過する際に、利用側膨張弁63,63の開度に応じて減圧される。
利用側膨張弁63,63を通過した冷媒は、液側連絡配管45を経由して熱源ユニット2に送られる。熱源ユニット2に送られた液冷媒は、液側閉鎖弁27を経由して過冷却熱交換器23の1次側通路に流入する。1次側通路に流入した液冷媒は、過冷却膨張弁62において減圧されて過冷却熱交換器23の2次側通路を流れる冷媒によって冷却される。
過冷却熱交換器23の1次側通路を通過した液冷媒は、熱源側膨張弁61を通過する際に開度に応じてさらに減圧され、熱源側熱交換器22に流入する。熱源側熱交換器22に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、熱源側ファン26によって供給される室外空気と熱交換する。このとき、低圧の気液二相状態の冷媒は、蒸発して低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、四路切換弁25を経由して圧縮機21に吸入される。なお、熱源側膨張弁61の開度は、例えば冷媒の過熱度(吸入過熱度又は吐出過熱度)に基づいて調節される。
<制御例>
以下、空気調和装置1の制御例について説明する。
本実施形態では、圧縮機21を保護するために、圧縮機21に吸入される冷媒又は圧縮機21から吐出される冷媒の状態を検知して、冷媒が所定の湿り状態であると判定された場合には、冷媒の湿り状態が、例えば図略のリモコンへの表示や音を出すことなどによってユーザーに報知される湿り検知制御を実行する(制御例1,2)。
また、冷媒が所定の湿り状態であると判定された場合、その判定が部品故障に起因していることも考えられる。そこで、本実施形態では、冷媒の湿り状態の判定に加えて、さらに部品故障の有無を検知する部品故障検知制御を実行する(制御例3〜7)。
制御例3,4は、温度センサの故障を検知する制御であり、制御例5,6は、膨張弁の故障を検知する制御であり、制御例7は、利用ユニット3の異常を検知する制御である。本実施形態では、部品故障検知制御として制御例3〜7を例に挙げて説明するが、部品故障検知制御は、これらの制御例に限定されない。また、部品故障検知制御には、制御例3〜7の5つの制御がすべて含まれていることが好ましいが、これに限定されず、制御例3〜7の少なくとも1つの制御が含まれていればよい。
以下、各制御例について具体的に説明する。なお、制御例の説明の前に、湿り検知の判定に利用される過熱度について説明する。
<過熱度>
湿り検知制御では、冷媒の過熱度に基づいて冷媒の湿り状態が判定される。湿り状態の判定に利用される過熱度は、圧縮機21に吸入される冷媒の過熱度(吸入過熱度)、又は圧縮機21から吐出される冷媒の過熱度(吐出過熱度)である。
冷媒の吐出過熱度(SH)は、吐出側温度センサ76により検出される冷媒の吐出温度(HTd)から、高圧圧力センサ82により検出される吐出ガス圧力(HP)を冷媒の飽和温度に換算した圧力相当飽和温度(Tcg)を差し引くことによって得られる(SH=HTd−Tcg)。ただし、吐出過熱度(SH)の算出方法はこれに限定されない。
また、冷媒の吸入過熱度(SH)は、吸入側温度センサ74により検出される冷媒の吸入温度(Ts1)から、低圧圧力センサ81により検出される吸入ガス圧力(LP)を冷媒の飽和温度に換算した圧力相当飽和温度(Te)を差し引くことによって得られる(SH=Ts1−Te)。ただし、吸入過熱度(SH)の算出方法はこれに限定されない。
例えば、冷房運転時には、冷媒の吸入過熱度(SH)は、吸入側温度センサ74により検出される冷媒の温度(Ts1)から、液側温度センサ78により検出される冷媒の温度(Th2)を差し引くことによって得られる。
また、暖房運転時には、冷媒の吸入過熱度(SH)は、吸入側温度センサ74により検出される冷媒の温度(Ts1)から、低圧圧力センサ81により検出される吸入ガス圧力(LP)を冷媒の飽和温度に換算した圧力相当飽和温度(Teg)を差し引くことによって得られる。
以下、制御例1〜7について説明する。なお、制御例1,2においては、湿り状態の判定に吐出過熱度(SH)を用いる場合を例に挙げて説明するが、これに限定されない。
<制御例1:湿り検知制御>
制御例1において、コントローラ50は、冷媒が所定の湿り状態であるか否かを判定する湿り検知制御を実行する。湿り検知制御では、冷媒が所定の湿り状態であると判定された場合、状態報知部55は、圧縮機湿り警報を発報してユーザーに圧縮機21に吸入される冷媒が湿り状態にあること又は湿り状態になる可能性があることを報知する。報知手段としては、湿り状態を例えばリモコンに表示すること、音を出すことなどが例示できるが、これらに限定されない。
また、コントローラ50は、冷媒が所定の湿り状態であると判定された場合、判定後の制御を湿り状態の程度に応じて決定することも可能である。例えば、コントローラ50は、判定された湿り状態が軽度である場合には、空気調和装置1の運転を継続する制御を実行してもよい。また、判定された湿り状態が比較的重度である場合には、空気調和装置1の運転を停止する制御を実行するのが好ましい。
制御例1では、冷媒の湿り状態を判定する基準値がコントローラ50の記憶部57に記憶されている。基準値としては、例えば過熱度基準値SH1(℃)、時間基準値t1(分)などが挙げられる。これらの基準値は、製品が工場から出荷される前に予め設定されていてもよく、また、製品が現地に設置されるときに設定されてもよく、また、製品が現地に設置された後に、ユーザーが必要に応じて設定してもよい。
過熱度基準値(SH1)は、湿り状態を判定する基準となる温度である。また、時間基準値(t1)は、湿り状態を判定する基準となる時間である。
制御例1は、冷房運転、暖房運転などの通常運転中に実行される。図3に示す湿り検知制御では、コントローラ50の湿り判定部54は、運転中の圧縮機21の吐出過熱度(SH)が過熱度基準値(SH1)以下であるか否か(又は過熱度基準値(SH1)より小さいか否か)を判定する。時間計測部56は、この条件が満たされている時間を計測する。そして、この時間が時間基準値(t1)以上となった場合には、湿り判定部54は、湿り状態であると判定し、状態報知部55は、圧縮機湿り警報を発する。
また、吐出過熱度SH(HTd−Tcg)の判定は、圧縮機21の運転開始から所定時間経過した後から行われるのが好ましい。
また、圧縮機湿り警報の具体的な発報手段としては、例えば図略のリモコンへの表示や音を出すことなどが例示できるが、これらに限定されない。
<制御例2:湿り検知制御>
制御例2では、2段階の発報をする点で制御例1と異なっている。制御例2では、上述した制御例1の圧縮機湿り警報の判定に加え、圧縮機湿り異常の判定も含む2段階の判定が行われる。制御例2の湿り検知制御では、圧縮機湿り異常は、冷媒の湿り状態が上述した圧縮機湿り警報に比べて重度である場合に発報される。なお、圧縮機異常は、圧縮機警報に比べて冷媒が重度の湿り状態にあるので、圧縮機異常の条件及び圧縮機警報の条件の両方を満たす場合には、圧縮機警報よりも優先的に発報される。
制御例2において2段階の制御として、次のような使い分けがなされる場合を例示できる。例えば、圧縮機湿り警報の条件が満たされたと判定された場合、圧縮機湿り警報が発報されてユーザーに圧縮機21に冷媒の湿り状態が報知され、空気調和装置1の運転は継続される。これに対し、圧縮機湿り異常の条件が満たされたと判定された場合、圧縮機異常が発報されてユーザーに圧縮機21に冷媒の湿り状態が報知され、空気調和装置1の運転が停止される。なお、2段階の制御はこれに限定されない。
制御例2では、冷媒の湿り状態を判定する基準値として、第1過熱度基準値SH1(℃)、第2過熱度基準値SH2(℃)、第1時間基準値t1(分)、第2時間基準値t2(分)などが記憶部57に記憶されている。
第1過熱度基準値(SH1)及び第1時間基準値(t1)は、制御例1で説明した圧縮機湿り警報の判定に用いられる過熱度基準値(t1)及び時間基準値(t1)と同様に、圧縮機湿り警報の判定に用いられる。第2過熱度基準値(SH2)及び第2時間基準値(t2)は、圧縮機湿り異常の判定に用いられる。
第2過熱度基準値(SH2)は、第1過熱度基準値(SH1)よりも小さい値に設定される。
また、第2時間基準値(t2)は、比較的重度の湿り状態を判定するためのものであるから、比較的短い時間に設定されるのが好ましい。このため、第2時間基準値(t2)は、第1時間基準値(t1)よりも小さい値に設定されるのが好ましい。ただし、第2時間基準値(t2)は、第1時間基準値(t1)よりも大きな値に設定されていてもよい。
制御例2では、制御例1で説明した圧縮機湿り警報の判定に加え、さらに圧縮機湿り異常の判定が並行して実行される。
図3に示す湿り検知制御では、コントローラ50の湿り判定部54は、運転中の圧縮機21の吐出過熱度(SH)が過熱度基準値(SH2)以下であるか否か(又は過熱度基準値(SH2)より小さいか否か)を判定する。時間計測部56は、この条件が満たされている時間を計測する。そして、この時間が時間基準値(t2)以上となった場合には、湿り判定部54は、湿り状態であると判定し、状態報知部55は、圧縮機湿り異常を発報し、モータ制御部51は、圧縮機21の運転を停止する。
<制御例3:温度センサ故障検知制御>
次に、空気調和装置1の故障検知制御について説明する。制御例1、制御例2などの湿り検知制御において冷媒が所定の湿り状態であると判定された場合であっても、その判定が部品故障に起因していることも考えられる。そこで、制御例3の故障検知制御では、湿り状態を判定する制御に加えて、さらに部品故障の有無を判定する制御も実行する。
制御例3によって分岐路温度センサ73(Tsh)の故障が判定できる理由について具体的に説明する。例えば分岐路温度センサ73の故障が原因で分岐路温度センサ73により検知される温度(Tsh)が実際の温度よりも大きな値となった場合には、過冷却熱交ガス側の過熱度(Tsh−Te)が実際の過熱度よりも大きな値となる。そして、過熱度(Tsh−Te)が予め定められた目標範囲を超える場合(上限値よりも大きい場合)には、膨張弁制御部53は、過熱度(Tsh−Te)を小さくするために過冷却膨張弁62(EVT)の開度を大きくする制御を実行する。これにより、分岐路44に流入する冷媒の流量が増加する。
分岐路44に流入する冷媒の流量が増加することにより過熱度(Tsh−Te)が目標範囲内に調節されたことが検知される。しかし、分岐路温度センサ73が上記のように故障している場合(検知される温度(Tsh)が実際の温度よりも大きな値となっている場合)、分岐路44に流入する冷媒の流量が増加することによって、実際には過冷却熱交ガス側出口における冷媒が湿り状態となることがある。
そこで、制御例3では、吐出過熱度(SH)が過熱度基準値(SH2)以下である(又は過熱度基準値(SH2)より小さい)という湿り判定条件に加え、さらに、分岐路温度センサ73の検出値(Tsh)が高圧側検出部の検出値以上であるという温度判定条件が含まれている。
温度判定条件について説明する。二重管熱交換器などの過冷却熱交換器23において、過冷却熱交換器23のガス側は過冷却熱交換器23の液側に温められるので、ガス側温度は液側温度以上になることはない。言い換えると、過冷却熱交換器23の2次側通路(ガス側通路)を流れる冷媒の温度は、過冷却熱交換器23の1次側通路(液側通路)を流れる冷媒の温度以上になることはない。制御例3では、この温度関係を利用して温度センサの故障の有無を判定する。
高圧側検出部としては、第1温度センサ71(Tf)、第2温度センサ72(Tsc)が挙げられる。したがって、故障判定部58は、分岐路温度センサ73により検出される温度(Tsh)が第1温度センサ71により検出される温度(Tf)以上である場合に、分岐路温度センサ73が故障していると判定してもよく、また、温度(Tsh)が第2温度センサ72により検出される温度(Tsc)以上である場合に、分岐路温度センサ73が故障していると判定してもよい。また、図1において、例えば熱源側膨張弁61(EVM)と過冷却熱交換器23との間に図略の第3温度センサが設けられている場合には、温度(Tsh)が第3温度センサにより検出される温度以上である場合に分岐路温度センサ73が故障していると判定してもよい。
また、制御例3において運転モードに応じた好ましい形態は次の通りである。冷房運転時には、第1温度センサ71により検出される温度(Tf)は第2温度センサ72により検出される温度(Tsc)よりも高い。したがって、冷房運転時においては、分岐路温度センサ73の故障判定は、分岐路温度センサ73の温度(Tsh)と第1温度センサ71の温度(Tf)とを比較することにより行われるのが好ましい。これにより、故障判定の精度をより高めることができる。
一方、暖房運転時には、第2温度センサ72により検出される温度(Tsc)は第1温度センサ71により検出される温度(Tf)よりも高い。したがって、暖房運転時においては、分岐路温度センサ73の故障判定は、分岐路温度センサ73の温度(Tsh)と第2温度センサ72の温度(Tsc)とを比較することにより行われるのが好ましい。これにより、故障判定の精度をより高めることができる。
図4は、制御例3の故障検知制御の一例を示す図であるが、故障検知制御はこの図例に限定されるものではない。制御例3は、冷房運転、暖房運転などの通常運転中に実行される。
図4に示す故障検知制御では、低圧側検出部の故障の判定、具体的には低圧側検出部のうち分岐路温度センサ73(過冷却熱交サーミスタ)の故障の判定が行われる。この制御例3では、圧縮機21の吐出側における冷媒の吐出過熱度(SH)が過熱度基準値(SH1又はSH2)以下であるか否か、及び分岐路温度センサ73の検出値(Tsh)が高圧側検出部の検出値以上であるか否かを判定する。これらの判定条件に加えて、制御例3では、故障の判定条件として、さらに、過冷却膨張弁62の開度が全開に近いという条件などが含まれていてもよい。
時間計測部56は、上記判定条件が満たされている時間を計測する。そして、この時間が時間基準値(t3)以上となった場合には、故障判定部58は、分岐路温度センサ73が故障していると判定し、状態報知部55は、故障異常を発する。
<制御例4:温度センサ故障検知制御>
制御例4は、主冷媒回路4における低圧側の温度センサ、すなわち吸入側温度センサ74(Ts1)の故障を検知するための制御である。
制御例4によって吸入側温度センサ74の故障が判定できる理由について具体的に説明する。暖房運転において、例えば吸入側温度センサ74の故障が原因で吸入側温度センサ74により検知される温度(Ts1)が実際の温度よりも大きな値となった場合には、検知される吸入過熱度(Ts1−Te)が実際の吸入過熱度よりも大きな値となる。そして、吸入過熱度(Ts1−Te)が予め定められた目標範囲を超える場合(上限値よりも大きい場合)には、膨張弁制御部53は、吸入過熱度(Ts1−Te)を小さくするために熱源側膨張弁61(EVM)の開度を大きくする制御を実行する。これにより、熱源側熱交換器22に流入する冷媒の流量が増加する。
熱源側熱交換器22に流入する冷媒の流量が増加することにより吸入過熱度(Ts1−Te)が目標範囲内に調節されたことが検知される。しかし、吸入側温度センサ74が上記のように故障している場合(検知される温度(Ts1)が実際の温度よりも大きな値となっている場合)、熱源側熱交換器22に流入する冷媒の流量が増加することによって、実際には熱源側熱交換器22の出口における冷媒が湿り状態となることがある。
そこで、制御例4では、吐出過熱度(SH)が過熱度基準値(SH1又はSH2)以下である(又は過熱度基準値(SH1又はSH2)より小さい)という湿り判定条件に加え、さらに、吸入側温度センサ74の検出値(Ts1)が外気温度センサ75の検出値(Ta)以上であるという温度判定条件が含まれている。
温度判定条件について説明する。暖房運転時における熱源側熱交換器22において、冷媒は外気に温められるので、熱源側熱交換器22の出口温度(熱源側熱交換器22の出口における冷媒の温度)は、外気温度以上になることはない。制御例4では、この温度関係を利用して温度センサの故障の有無を判定する。
したがって、制御例4では、吸入側温度センサ74により検出される温度(Ts1)が外気温度センサ75により検出される温度(Ta)以上であるという温度判定条件が、吸入側温度センサ74の故障判定条件に含まれている。
図5は、制御例4の故障検知制御の一例を示す図であるが、故障検知制御はこの図例に限定されるものではない。制御例4は、暖房運転中に実行される。
図5に示す制御例4では、暖房運転において、圧縮機21の吐出側における冷媒の吐出過熱度(SH)が過熱度基準値(SH1又はSH2)以下であるか否か、及び吸入側温度センサ74の検出値(Ts1)が外気温度センサ75の検出値(Ta)以上であるか否かを判定する。これらの判定条件に加えて、制御例4では、故障の判定条件として、さらに、吸入過熱度(Ts1−Teg)が所定値以上であるという条件、熱源側膨張弁61の開度が全開に近いという条件などが含まれていてもよい。なお、Tegとは、低圧圧力センサ81により検出される吸入ガス圧力(LP)を冷媒の飽和温度に換算した圧力相当飽和温度である。
時間計測部56は、上記判定条件が満たされている時間を計測する。そして、この時間が時間基準値(t4)以上となった場合には、故障判定部58は、吸入側温度センサ74が故障していると判定し、状態報知部55は、故障異常を発する。
<制御例5:膨張弁故障検知制御>
次に、空気調和装置1の故障検知制御のうち、膨張弁の故障検知制御について説明する。制御例1、制御例2などの湿り検知制御において冷媒が所定の湿り状態であると判定された場合であっても、その判定が膨張弁の故障に起因していることも考えられる。そこで、制御例5の膨張弁の故障検知制御では、湿り状態を判定する制御に加えて、さらに熱源側膨張弁61(EVM)の故障の有無を判定する制御も実行する。
制御例5によって熱源側膨張弁61(EVM)の故障が判定できる理由について具体的に説明する。暖房運転において、例えば熱源側膨張弁61の故障が原因で熱源側熱交換器22に流入する冷媒の流量調節が適切に実行されない場合には、吸入過熱度又は吐出過熱度に基づいて膨張弁制御部53が熱源側膨張弁61の開度を絞る命令を出す制御を実行しても、湿り状態であるという検知が解消されないことがある。
そこで、制御例5では、吐出過熱度(SH)が過熱度基準値(SH1又はSH2)以下である(又は過熱度基準値(SH1又はSH2)より小さい)という湿り判定条件に加え、さらに、膨張弁制御部53が熱源側膨張弁61の開度を所定の開度X1以下に調節するという開度条件が含まれている。所定の開度X1は、例えば熱源側膨張弁61の最低開度に設定されるが、これに限定されない。
そして、故障判定部58は、熱源側膨張弁61の開度が所定の開度X1以下に調節される制御がなされても湿り状態であると判定され、且つその他の判定条件が満たされる場合には、熱源側膨張弁61が故障していると判定する。具体的には次の通りである。
図6は、制御例5の故障検知制御の一例を示す図であるが、故障検知制御はこの図例に限定されるものではない。制御例5は、暖房運転中に実行される。
図6に示す制御例5では、暖房運転において、圧縮機21の吐出側における冷媒の吐出過熱度(SH)が過熱度基準値(SH1又はSH2)以下であるか否か、及び熱源側膨張弁61の開度が所定の開度X1以下(全閉に近い状態)であるか否かを判定する。これらの判定条件に加えて、制御例5では、故障の判定条件として、さらに、吸入過熱度が所定値以下であるという条件などが含まれていてもよい。
時間計測部56は、上記判定条件が満たされている時間を計測する。そして、この時間が時間基準値(t5)以上となった場合には、故障判定部58は、熱源側膨張弁61が故障していると判定し、状態報知部55は、故障異常を発する。
<制御例6:膨張弁故障検知制御>
次に、過冷却膨張弁62(EVT)の故障検知制御について説明する。制御例1、制御例2などの湿り検知制御において冷媒が所定の湿り状態であると判定された場合であっても、その判定が膨張弁の故障に起因していることも考えられる。そこで、制御例6の膨張弁の故障検知制御では、湿り状態を判定する制御に加えて、さらに過冷却膨張弁62(EVT)の故障の有無を判定する制御も実行する。
制御例6によって過冷却膨張弁62(EVT)の故障が判定できる理由について具体的に説明する。例えば過冷却膨張弁62の故障が原因で過冷却熱交換器23の2次側通路(ガス側通路)に流入する冷媒の流量調節が適切に実行されない場合には、吸入過熱度又は吐出過熱度に基づいて膨張弁制御部53が過冷却膨張弁62の開度を絞る命令を出す制御を実行しても、湿り状態であるという検知が解消されないことがある。
そこで、制御例6では、吐出過熱度(SH)が過熱度基準値(SH1又はSH2)以下である(又は過熱度基準値(SH1又はSH2)より小さい)という湿り判定条件に加え、さらに、膨張弁制御部53が過冷却膨張弁62の開度を所定の開度X3以下に調節するという開度条件が含まれている。所定の開度X3は、例えば過冷却膨張弁62の最低開度に設定されるが、これに限定されない。
そして、故障判定部58は、過冷却膨張弁62の開度が所定の開度X3以下に調節される制御がなされても湿り状態であると判定され、且つその他の判定条件が満たされる場合には、過冷却膨張弁62が故障していると判定する。具体的には次の通りである。
図7は、制御例6の故障検知制御の一例を示す図であるが、故障検知制御はこの図例に限定されるものではない。制御例6は、冷房運転、暖房運転などの通常運転中に実行される。
図7に示す制御例6では、圧縮機21の吐出側における冷媒の吐出過熱度(SH)が過熱度基準値(SH1又はSH2)以下であるか否か、及び過冷却膨張弁62の開度が所定の開度X3以下(全閉に近い状態)であるか否かを判定する。これらの判定条件に加えて、制御例6では、故障の判定条件として、さらに、過冷却熱交換器21の出口過熱度が所定値以下であるという条件などが含まれていてもよい。
時間計測部56は、上記判定条件が満たされている時間を計測する。そして、この時間が時間基準値(t6)以上となった場合には、故障判定部58は、過冷却膨張弁62が故障していると判定し、状態報知部55は、故障異常を発する。
<制御例7:利用ユニット異常検知制御>
次に、制御例7として、利用ユニット3(室内ユニット3)の異常検知制御について説明する。空気調和装置1の制御において、利用側膨張弁63の開度を絞る命令を出す制御を実行しても過熱が付かない(湿り状態であるという検知が解消されない)ことがある。この場合には、例えば利用側膨張弁63(電動弁63)の故障、図略のエアフィルタの詰まりなどが生じている可能性がある。また、利用ユニット3の出口の過熱度(Th3−Th2)は付いているが、熱源側ユニット2(室外ユニット2)の吸入側(Ts1)が湿っているときは、液側温度センサ78(Th2)及び/又はガス側温度センサ79(Th3)が故障していると考えられる。制御例7では、利用側膨張弁63の故障、エアフィルタ詰まり、温度センサ78,79の故障などの故障原因を全てひとまとめにして利用ユニット3の異常と判定する。すなわち、利用ユニット3のシステム全体のどこかに異常があると判定する。
図8は、制御例7の故障検知制御の一例を示す図であるが、故障検知制御はこの図例に限定されるものではない。制御例7は、冷房運転中に実行される。図8に示す制御例7では、冷房運転時において、圧縮機21の吐出側における冷媒の吐出過熱度(SH)が過熱度基準値(SH1又はSH2)以下であるか否か(又は過熱度基準値(SH1又はSH2)より小さいか否か)、及び利用ユニット判定条件を満たすか否かを判定する。
利用ユニット判定条件としては、例えば図8に示すような条件が挙げられるが、これに限定されない。図8に示す図例では、利用ユニット判定条件として2つの条件が含まれている。
1つ目の条件には、サーモオンされている利用ユニット3のうちの少なくとも1つにおいて、利用側熱交換器31の出口の過熱度(Th3−Th2)が所定値未満であることが含まれている。また、1つ目の条件には、さらに、利用側膨張弁63の開度(EV)が所定値未満(全閉に近い状態)であることなどが含まれていてもよい。
2つ目の条件には、サーモオンされている利用ユニット3のうちの少なくとも1つにおいて、ガス側温度センサ79により検知される温度(Th3)が室内温度センサ80により検知される温度(Th1)よりも大きいこと、又は温度(Th3)が温度(Th1)に所定値を足した値よりも大きいことが含まれている。また、2つ目の条件には、さらに、利用側膨張弁63の開度(EV)が所定値以上(全開に近い状態)であることが含まれている。
時間計測部56は、上記判定条件が満たされている時間を計測する。そして、この時間が時間基準値(t7)以上となった場合には、故障判定部58は、利用ユニット3のうちの少なくとも1つに異常があると判定し、状態報知部55は、故障異常を発する。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
例えば、前記実施形態では、冷凍装置として空気調和装置1を例に挙げて説明したが、これに限定されず、本発明は、例えばヒートポンプ給湯機、コンテナ用冷凍装置などの他の冷凍装置に適用することもできる。
前記実施形態では、複数の利用ユニットを含むマルチ型空気調和装置を例に挙げて説明したが、これに限定されない。利用ユニットの数が1つである空気調和装置であってもよい。また、熱源ユニットの数は1つに限定されず、複数の熱源ユニットを含む冷凍装置であってもよい。
前記実施形態では、分岐路44は、主冷媒回路4の液配管41から分岐して主冷媒回路4の吸入側ガス配管42に接続される場合を例示したが、これに限定されず、主冷媒回路4の液配管41から分岐して圧縮機21に接続されていてもよい。
前記実施形態では、制御例1,2において湿り状態の判定に吐出過熱度(SH)を用いる場合を例に挙げて説明したが、湿り検知制御においては、吐出過熱度に代えて吸入過熱度を用いて冷媒の湿り状態を検知してもよい。
前記実施形態では、制御例3において、低圧側検出部としての分岐路温度センサ73の故障の判定について説明したが、例えば分岐路44に低圧側検出部としての図略の圧力センサが設けられている場合には、制御例3は、この圧力センサの故障判定にも適用できる。この場合、故障判定には、この圧力センサにより検出される圧力を冷媒の飽和温度に換算した圧力相当飽和温度が用いられる。
同様に、制御例3において、高圧側検出部として第1温度センサ71、第2温度センサ72が用いられる場合を例示したが、これらの温度センサの付近に設けられる圧力センサを高圧側検出部としてもよい。
前記実施形態では、制御例4において、第2低圧側検出部としての吸入側温度センサ74の故障の判定について説明したが、この温度センサ74の付近に設けられる圧力センサを第2低圧側検出部としてもよい。