JP6111468B2 - 有機発光素子、有機発光表示パネルおよび有機発光表示装置 - Google Patents

有機発光素子、有機発光表示パネルおよび有機発光表示装置 Download PDF

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Description

本開示は、有機材料の電界発光現象を利用して発光する有機発光素子に関し、特に青色光を発光する有機発光素子に関する。
近年、発光型のディスプレイとして、基板上に有機発光素子を行列方向に複数配列した有機EL発光パネルが実用化されている。
この有機ELパネルの構成として、基板の上に駆動回路(例えば、TFT(Thin Film Transistor)素子を含む)が設けられ、その駆動回路の上に絶縁層が設けられ、さらに複数の有機発光素子が配列されてなるものが一般的に知られている。
そして各有機発光素子は、基板上の絶縁層の上に設けられた陽極、この陽極上に設けられた有機発光材料からなる発光層及び機能層の積層体、その上に設けられた透明導電性の陰極を基本構造として備えている。
透明導電性の陰極としては、従来から一般的に、ITO(Indium Tin Oxide)に代表される透明導電材料が用いられている。また、機能層としては、発光層と陽極との間に、ホール注入層、ホール輸送層などが設けられ、発光層と陰極との間に、電子注入層、電子輸送層などが設けられている。
このような有機発光素子は、電流駆動型の発光素子であって、駆動時には、陽極と陰極との間に電圧が印加され、発光層に注入されるホールと電子が再結合するのに伴って発光する。
フルカラー表示の有機発光パネルにおいては、このような有機発光素子が、RGB各色のサブピクセルを形成し、隣り合うRGBのサブピクセルの組み合わせで一画素が形成されている。
このような有機発光パネルにおいて、高精細化に適した製品の開発が望まれ、そのための開発が進められている。
また、有機発光パネルにおいて、消費電力の低減や長寿命化の観点から、各発光素子からの光取り出し効率を向上させることも望まれている。
この光取り出し効率を向上させるために、例えば特許文献1に示されるように、各色の有機発光素子に共振器構造を採用する技術も知られている。共振器構造の採用は、有機発光素子における光取り出し効率を高める上で有効である。
国際公開第2012/020452号 特開2010−34030号公報 特開2012−9148号公報
本開示は、青色発光の有機発光素子において、透明陰極(透明電極)のシート抵抗値を低減することができ、且つ、色度が良好な青色発光を高い取り出し効率で取り出せるものを提供する。
本開示の一態様にかかる有機発光素子は、入射された光を反射する第1電極と、第1電極に対向して配置され、入射された光を透過する第2電極と、第1電極と第2電極との間に配置され、少なくとも青色光を出射する有機発光層と、第1電極と有機発光層との間に配置され、1または2以上の層からなる第1機能層と、有機発光層と第2電極との間に配置され、1または2以上の層からなる第2機能層と、を備えている。
そして、有機発光層から出射された青色光の一部が、第1機能層を通じて第1電極に入射され、第1電極により反射された後、第1機能層、有機発光層、前記第2機能層を通じて外部に出射される第1光路と、有機発光層から出射された青色光の残りの一部が、第1電極側に進行することなく、第2機能層、第2電極を通じて外部に出射される第2光路と、が形成される。
第1機能層は、光学膜厚が48nm以上62nm以下の範囲内に設定されている。
第2電極は、透明導電材料からなる第1導電層と、金属層と、透明導電材料からなる第2導電層とが有機発光層に近い側からこの順に積層されて構成されている。そして、第1導電層は、屈折率が2.0以上2.4以下であり且つ膜厚が85nm以上97nm以下であり、金属層は、第1導電層との屈折率の差が0以上2.0以下であり、且つ膜厚が2nm以上22nm以下である。
上記一態様にかかる有機発光素子においては、有機発光層から出射される青色光は、第1光路及び第2光路を通って外部に出射される。ここで、第1機能層は、光学膜厚が48nm以上62nm以下の範囲内に設定されており、上記2つの光路を通る光が共振し、色度が良好な青色光を、高い取り出し効率で取り出すことができる。
また、光取り出し側の第2電極は、透明導電材料からなる第1導電層と、金属層と、透明導電材料からなる第2導電層とが積層された構造となっているので、第2電極を透明導電材料だけで構成した場合と比べて、そのシート抵抗値を低減できる。
また、第1透明導電層及び金属層の膜厚を上記の範囲に設定していることによって、青色光の光取り出し効率をさらに高めることができる。
図1は、実施の形態1に係る有機表示パネルの画素構造を模式的に示す断面図である。 図2は、発光素子に形成された光共振器構造における直接光と反射光を示す図である。 図3は、実施の形態に係る表示装置の機能ブロックを示す図である。 図4は、実施の形態に係る表示装置の外観を例示する図である。 図5は、(a)〜(d)のいずれも、実施の形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。 図6は、(a)〜(c)のいずれも、実施の形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。 図7は、(a)は、正孔注入層4の膜厚を変化させたときに、青色発光素子から取り出される光取り出し効率を示すグラフであり、(b)は、正孔注入層4の膜厚を変化させたときに、青色発光素子から取り出される光の色度が変化する様子を示すグラフである。 図8は、ITO/Ag/ITO電極における各層の膜厚とシート抵抗との関係を示す図である。 図9は、シミュレーションに用いた実施例1a,比較例1aにかかる青色発光素子の各層の屈折率、膜厚および光路長を示す図である。 図10は、(a),(b)ともに、実施例1aにかかる青色発光素子について、シミュレーションの結果に基づいて作成した輝度/y値のマッピング図である。 図11は、(a)〜(e)のいずれも、実施例1aにかかる青色発光素子について、シミュレーションの結果に基づいて作成した輝度/y値のマッピング図である。 図12は、(a)は、実施例1aにおいて、共通して輝度/y値が70以上となる第1透明導電層81と金属層82の膜厚範囲を示すマッピング図であり、(b)は、その範囲を楕円でフィッティングした図である。 図13は、シミュレーションに用いた実施例1b、比較例1bにかかる青色発光素子の各層の屈折率、膜厚および光路長を示す図である。 図14は、(a)は実施例1bにかかる青色発光素子について、シミュレーションの結果に基づいて作成した輝度/y値のマッピング図であり、(b)は、その範囲を楕円でフィッティングした図である。 図15は、実施の形態2に係る画素構造を模式的に示す断面図である。 図16は、実施例2にかかる有機発光素子の各層の屈折率、膜厚および光路長を示す図である。 図17は、(a)は、実施例2において、正孔注入層37の膜厚を変化させたときに、青色発光素子から取り出される光取り出し効率を示すグラフであり、(b)は、正孔注入層37の膜厚を変化させたときに、青色発光素子から取り出される光の色度が変化する様子を示すグラフである。 図18は、(a)〜(c)のいずれも、実施例2にかかる青色発光素子について、シミュレーションの結果に基づいて作成した輝度/y値のマッピング図である。 図19は、(a)は、実施例2において、共通して輝度/y値が100以上となる第1透明導電層321と金属層322の膜厚範囲を示すマッピング図であり、(b)は、その範囲を楕円でフィッティングした図である。 図20は、ITO膜の膜厚とシート抵抗との関係を示す図である。
[本開示の基礎となった知見]
有機発光パネルにおいて、良好な画質で画像表示をするために、特に青色の有機発光素子においては、色度が良好で且つ光取り出し効率が高い青色光を得ることが望まれている。従って、上記のように共振器構造を採用した青色の有機発光素子においても、色度が良好な青色光の取り出し効率をさらに向上させることが望まれている。
また、有機発光パネルにおいて、透明陰極をITOのような透明導電材料で形成すると、そのシート抵抗値が高くなり、パネルの中央部においては周囲と比べて印加電圧が降下して、輝度ムラが発生することがある。従って、透明陰極のシート抵抗値を低くすることも課題である。
上述したように、青色発光素子において、共振器構造を採用することによって、青色光の光取り出し効率及び色度Y値(CIE色度系)を良好にすることができる。しかしながら、本開示者は、さらに、パネルの中央部における電圧降下を抑えるべく、また、発光素子から取り出される青色光の光取り出し効率を向上させるべく鋭意検討を行った。
電圧降下を抑制するには、例えば特許文献2に開示されているように、有機ELパネルにおいて、電気抵抗の低い金属からなる線幅5〜10μmのバスバーを、隣接する画素の間に設けることも考えられる。
しかし、高精細の有機ELパネルにおいては、バスバーを設けると、画素の開口率が低下するので、発光素子からの光取出し効率が低下する要因になる。特に、15インチの300〜500ppi超の高精細パネルにおいては、1画素サイズの横幅の大きさは30〜80μmと小さくなる。長寿命化のために開口率を40〜50%以上に維持することを考えると、線幅5〜10μmのスペースを確保することは非常に困難であることが判明した。
そこで、本開示者は、500ppi超の高精細化した有機表示素子において、電圧降下の抑制と光取出し効率向上の両立を図ることを考慮して、透明陰極を低抵抗とする方法を検討した。
ITO膜は、膜厚が50nm程度では、抵抗値(以下、シート抵抗値)が80〜100Ω/□となる(なお、□はSq.を意味する)。その場合、パネル上に配置された画素の位置により輝度ムラを生じるほどの電圧降下を発生させる。
ここで、図20に示されるように、一般的にITOのような透明導電膜においては、その膜厚とシート抵抗値とは反比例の関係にあるので、膜厚を大きく設定すればシート抵抗をある程度低減することは可能である。しかし、図20からもわかるように、ITOからなる透明陰極の膜厚を200nm以上に設定しても、シート抵抗値を40Ω/□以下に下げることは困難である。
また、トップエミッション構造では、有機層の上に透明導電膜を形成するので、透明導電膜を厚く形成すると加熱時間が長くなり、素子にダメージを与えることになる。また、透明陰極の膜厚を厚くすると、総じて透過率が低下し、光取り出し効率の低下が避けられない。従って、実際にITOで製膜できる透明陰極の膜厚には上限がある。
そこで、透明陰極をITO−金属層−ITOによる積層構造とし、ITOの間に金属層を配置することで、低抵抗化を実現することが考えられる。このような構成に関しては、例えば特許文献3に、透明プラスチック上に、第1のITO層(A1),金属層(M)、第2のITO層(A2)を順に積層した積層型透明導電性フィルムが開示されている。
このような3層構造の透明陰極においては、金属層の膜厚が厚くなると、金属層の膜厚に比例してシート抵抗値が低下する。表示装置の高精細化に向けては、表示装置のパネル上に配置された画素の位置による輝度ムラを抑制するためにも、シート抵抗の低抵抗化が必要となる。このため、ある程度の膜厚の金属層が必要になる。しかしながら、金属層が厚くなると光の透過率が低下してしまい、光取り出し効率が低下してしまう。このように、シート抵抗値と光取り出し効率とはトレードオフの関係にある。したがって、従来は、光取り出し効率を犠牲(取り出し効率が小)にしてシート抵抗値を下げるか、これとは逆に、光取り出し効率を優先してシート抵抗値を高くする(画面ムラが生じる)かを、製品仕様等に応じて選択せざるを得ないという課題があった。
そこで、本開示者は、青色発光素子において、透明陰極として、第1透明導電層−金属層−第2透明導電層の3層積層構造を採用しつつ、低いシート抵抗値を確保した上で、さらに、青色発光素子からの青色光取り出し効率を向上させるための検討を行った。具体的には、シミュレーションによって、3層構造の透明導電電極の各層の膜厚を変えて、取り出される青色光の輝度及び色度を算出した。
図8は、透明陰極の層構成と、シート抵抗値、光の透過率との関係を示す図である。この図8において、サンプルのNo.1(サンプル1)は、ITOの単層で透明陰極を構成した場合であり、その他のNo.2乃至No.7は、第1、第2の透明導電層(ITO)の膜厚と金属層(Ag)の膜厚を変化させて3層積層構造としたものである。
図8に示されるように、ITO−Ag−ITOのような積層構造の透明陰極は、単独では金属層(Ag層)の膜厚が厚くなると光透過率は低下するが、後述するシミュレーションの結果(図11など)からわかるように、この積層構造の透明陰極を青色発光素子に組み入れた場合、金属層の膜厚がある程度厚くても、光取り出し効率が良好となるような場合が存在するといった知見が得られた。そして、得られた知見に基づいて本開示に至った。すなわち、本開示は、従来の知見として知られていた、透明陰極の積層構造を構成する金属層と透明導電層の各々の膜厚のみに着眼したのではなく、透明陰極を構成する金属層とこれに隣接する透明導電層との屈折率の差や、透明陰極の積層構造のうち機能層側に配置された第1の透明導電層(第1導電層)の屈折率と膜厚を所定の範囲とし、かつ第1電極側の機能層の光学膜厚を所定の範囲にすることで、金属層がある程度の膜厚を有していても光取り出しが良好となる範囲を、鋭意検討の結果、見い出したものである。
[発明の態様]
本開示の一態様にかかる有機発光素子は、入射された光を反射する第1電極と、第1電極に対向して配置され、入射された光を透過する第2電極と、第1電極と前記第2電極との間に配置され、少なくとも青色光を出射する有機発光層と、第1電極と有機発光層との間に配置され、1または2以上の層からなる第1機能層と、有機発光層と第2電極との間に配置され、1または2以上の層からなる第2機能層と、を備えている。
そして、有機発光層から出射された青色光の一部が、第1機能層を通じて第1電極に入射され、第1電極により反射された後、第1機能層、有機発光層、前記第2機能層、第2電極を通じて外部に出射される第1光路と、有機発光層から出射された青色光の残りの一部が、第1電極側に進行することなく、第2機能層、第2電極を通じて外部に出射される第2光路と、が形成される。
また、光取り出し側の第2電極は、透明導電材料からなる第1導電層と、金属層と、透明導電材料からなる第2導電層とが有機発光層に近い側からこの順に積層された構造となっている。これにより、第2電極を透明導電材料だけで構成した場合と比べて、金属層による導電性向上が得られるので、シート抵抗値を低減できる。
このように共振構造を有し且つ光取り出し側に積層構造の第2電極を有する有機発光素子において、その第1機能層の光学膜厚は、上記2つの光路を通る光を共振させて、色度が良好な青色光を、高い取り出し効率で取り出すことを考慮して、下記(1)〜(3)の各範囲に設定されている。
また、第2電極における第1導電層の屈折率及び膜厚、並びに金属層の屈折率及び膜厚は、(1)〜(3)ごとに、別途記載したように設定されており、それによって色度の良好な青色光の光取り出し効率をさらに高めることができる。
(1)第1機能層の光学膜厚を48nm以上62nm以下に設定する。この光学膜厚は後述する0.5cavに相当する膜厚であり、色度が良好な青色光を、高い取り出し効率で取り出すことができる。
この場合、第1導電層は、屈折率が2.0以上2.4以下であり且つ膜厚が85nm以上97nm以下であり、金属層は、第1導電層との屈折率の差が0以上2.0以下であり、且つ膜厚が2nm以上22nm以下である。
この範囲に設定することよって、色度の良好な青色光の光取り出し効率をさらに高めることができる。
また、第2電極において、第1導電層の膜厚をX3、金属層の膜厚をY3とするとき、X3,Y3が、下記式1の関係式で囲まれた範囲内の値を取ることによって、より確実に青色光の光取り出し向上効果を得ることができる。
[式1]
X3=Rxcosθcosφ−Rysinθsinφ+X0
Y3=Rxcosθsinφ+Rysinθcosφ+Y0
ただし、θは、0≦θ≦2πの範囲で変化する変数パラメータ,
Xo=91.4Yo=10.7, Rx=5.6, Ry=9.6,φ=0
(2)第1機能層の光学膜厚を272nm以上286nm以下に設定する。この光学膜厚は後述する1.5cavに相当する膜厚であり、色度が良好な青色光を、高い取り出し効率で取り出すことができる。
この場合、第1導電層は、屈折率が2.0以上2.4以下であり且つ膜厚が86nm以上97nm以下であり、金属層は、第1導電層との屈折率の差が0以上2.0以下であり、且つ膜厚が8nm以上16nm以下である。この範囲に設定することによって、色度の良好な青色光の光取り出し効率をさらに高めることができる。
また第2電極において、第1導電層の膜厚をX3、金属層の膜厚をY3とするとき、X3,Y3は、下記式2の関係式で囲まれた範囲内の値を取ることによって、より確実に青色光の光取り出し効率を得ることができる。
[式2]
X3=Rxcosθcosφ−Rysinθsinφ+X0
Y3=Rxcosθsinφ+Rysinθcosφ+Y0
ただし、0≦θ≦2π, X0=91.3、Y0=11.9、Rx=5.3、Ry=4.4、φ=0(rad)
(3)第1機能層の光学膜厚を17nm以上33nm以下に設定する。この光学膜厚も後述する0.5cavに相当する膜厚であり、色度が良好な青色光を、高い取り出し効率で取り出すことができる。
この場合、第1導電層は、屈折率が2.0以上2.4以下であり且つ膜厚が35nm以上65nm以下であり、金属層は、第1導電層との屈折率の差が0以上2.0以下であり、且つ膜厚が8nm以上22nm以下である。この範囲に設定することによって、色度の良好な青色光の光取り出し効率をさらに高めることができる。
また第2電極において、第1導電層の膜厚をX3、金属層の膜厚をY3とするとき、X3,Y3は、下記式3の関係式で囲まれた範囲内の値を取ることによって、より確実に青色光の光取り出し効率を得ることができる。
[式3]
X3=Rxcosθcosφ−Rysinθsinφ+Xo
Y3=Rxcosθsinφ+Rysinθcosφ+Yo
ただし、0≦θ≦2π, Xo=50、Yo=15、Rx=15、Ry=5、φ=−9.7(rad)
上記各態様の有機発光素子において、金属層の膜厚は10nm以上であることが、シート抵抗値を低くする上で好ましい。
上記各態様の有機発光素子において、さらに、第2電極を通じて外部に出射される光の色度を補正するために、この光を透過させる青色のカラーフィルタを設けてもよい。上記のように有機発光素子から取り出される青色光はすでに色度が良好なので、カラーフィルタを設けて色度補正をする場合でも、光透過率の高いカラーフィルタを用いて目標とする色度を得ることができる。
本開示の別態様に係る有機発光表示パネルは、上記各態様に係る有機発光素子を備える。本態様に係る有機発光表示パネルは、色度の良好な青色光の光取り出し効率をさらに高めた有機発光表示パネルとすることができる。
また、本開示の別態様に係る有機発光表示装置は、上記態様に係る有機発光表示パネルを備える。本態様に係る有機発光表示装置は、色度の良好な青色光の光取り出し効率をさらに高めた有機発光表示装置とすることができる。
以下、実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1ではトップエミッション構造の有機表示パネルに関して説明する。
[有機表示パネル]
図1は、実施の形態1に係る有機表示パネルの画素構造を模式的に示す断面図である。
この有機表示パネルにおいては、R(赤),G(緑),B(青)各色の発光素子が行方向及び列方向にマトリックス状に規則的に配置されている。
青色の発光素子は、基板1、反射電極(以下、反射陽極)2、透明導電層3、正孔注入層4、正孔輸送層5、有機発光層6b、電子輸送層7、透明電極(以下、透明陰極)8、薄膜封止層9、樹脂封止層10、基板11を含む。緑色の発光素子は、有機発光層6gを除き、青色の発光素子と同様の構成を有する。赤色の発光素子も、有機発光層6rを除き、青色の発光素子と同様の構成を有する。この例では、各色の発光素子において、基板1、電子輸送層7、透明陰極8、薄膜封止層9、樹脂封止層10が共通であり、それ以外の層はバンク12で区分されている。以下、有機発光層6b、6g、6rを合わせて、有機発光層6と記述する。
そして、カラーフィルタ13b,13g,13rが設けられている。
[各層の具体例]
<基板>
基板1は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)基板である。
基板1の材料は、例えば、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラスなどのガラス板及び石英板、並びに、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂などのプラスチック板又はプラスチックフィルム、並びに、アルミナなどの金属板又は金属ホイルなどである。
<バンク>
バンク12は、絶縁性材料により形成されていれば良く、有機溶剤耐性を有していてもよい。また、バンク12はエッチング処理、ベーク処理などされることがあるので、それらの処理に対する耐性の高い材料で形成されても良い。バンク12の材料は、樹脂などの有機材料であっても、ガラスなどの無機材料であっても良い。有機材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などを使用することができ、無機材料として、シリコンオキサイド(SiO2)、シリコンナイトライド(Si34)などを使用することができる。
<反射陽極>
反射陽極2は、基板1に配されたTFTに電気的に接続されており、発光素子の正極として機能すると共に、有機発光層6b,6g,6rから反射陽極2に向けて出射された光を反射する機能を有する。反射機能は、反射陽極2の構成材料により発揮されるものでもよいし、反射陽極2の表面部分に反射コーティングを施すことにより発揮されるものでもよい。反射陽極2は、例えば、Al(アルミニウム)、Ag(銀)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等で形成されている。
<透明導電層>
透明導電層3は、製造過程において反射陽極2が自然酸化するのを防止する保護層として機能する。透明導電層3の材料は、有機発光層6b,6g,6rで発生する光に対して十分な透光性を有する導電性材料により形成されればよく、例えば、ITOやIZOなどであっても良い。室温で成膜しても良好な導電性を得ることができるからである。
<正孔注入層>
正孔注入層4は、正孔を有機発光層6b,6g,6rに注入する機能を有する。例えば、酸化タングステン(WOx)、酸化モリブデン(MoOx)、酸化モリブデンタングステン(Moxyz)などの遷移金属の酸化物で形成される。遷移金属の酸化物で形成することで、電圧−電流密度特性を向上させ、また、電流密度を高めて発光強度を高めることができる。なお、これ以外に、遷移金属の窒化物などの金属化合物も適用できる。
<正孔輸送層>
正孔輸送層5の材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、ブタジエン化合物、ポリスチレン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、テトラフェニルベンジン誘導体が挙げられる。ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物であっても良い。
<有機発光層>
有機発光層6b,6g,6rの材料は、例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質である。
<電子輸送層>
電子輸送層7の材料は、例えば、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ジフェキノン誘導体、ペリレンテトラカルボキシル誘導体、アントラキノジメタン誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリノン誘導体、キノリン錯体誘導体である。
なお、電子注入性を更に向上させる点から、上記電子輸送層を構成する材料に、Na,Ba,Caなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属をドーピングしてもよい。
<透明陰極>
透明陰極8は、有機EL素子の負極として機能する。有機発光層6b,6g,6rで発生した光に対して透光性を有する導電性材料で形成される。
透明陰極8は、透明導電材料からなる第1透明導電層81、金属層82、透明導電材料からなる第2透明導電層83が順に積層されて構成されている。
第1透明導電層81及び第2透明導電層83の材料(透明導電材料)は、ITO(Indium Tin Oxide),IZO(Indium Zinc Oxide)などである。
金属層82の材料は、Ag(銀)をはじめとして、Au(金),Pt(白金),Pd(パラジウム),Ni(ニッケル),Cu(銅),Al(アルミニウム)、あるいはこれら金属の合金を挙げることができる。
<薄膜封止層>
薄膜封止層9は、基板1との間に挟まれた各層が水分や空気に晒されることを防止する機能を有する。薄膜封止層9の材料は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)や樹脂等である。
<樹脂封止層>
樹脂封止層10は、基板1から薄膜封止層9までの各層からなる背面パネルと、カラーフィルタ13b,13g,13rが形成された基板11とを貼り合わせるとともに、各層が水分や空気に晒されることを防止する機能を有する。樹脂封止層10の材料は、例えば、樹脂接着剤等である。
<カラーフィルタ(CF)>
カラーフィルタ13b,13g,13rは、各色の発光素子から出射された光を透過させて、その色度を矯正する機能を有する。
<光共振器構造>
RGB各色の発光素子において、透明陰極8と反射陽極2との間に各色の有機発光層6b,6g,6rが存在し、以下のように、有機発光層6b,6g,6rからの光を共振させて透明陰極8側から出射させる光共振器構造が形成されている。
有機発光層6b,6g,6rにおいて発生した光は、透明陰極8から外部に出射されるが、その光には、有機発光層6b,6g,6rから透明陰極8に向けて直接出射される「直接光」と、有機発光層6b,6g,6rから反射陽極2に向けて出射され、反射陽極2で反射されてから透明陰極8に向かう「反射光」の両方の成分が含まれる。
図2は、発光素子に形成された光共振器構造における直接光と反射光を示す図である。
なお、当図では青色の有機発光層6bを有する青色素子を示しているが、赤色の有機発光層6rを有する赤色素子、緑色の有機発光層6gを有する緑色素子においても同様である。
発光素子の光共振器構造においては、以下の2つの光路が形成される。一方は、有機発光層6から出射された光の一部が、反射陽極2側に進行することなく、透明陰極8側に進行し、透明陰極8を通じて発光素子の外部に出射される第1光路C2である。他方は、有機発光層6から出射された光の残りの一部が、反射陽極2側に進行し、反射陽極2により反射された後、有機発光層6および透明陰極8を通じて発光素子の外部に出射される第2光路C1とが形成される。
基本的には、この直接光と反射光との干渉によって各色に対応する光成分が強め合うように、有機発光層6b、6g、6rと反射陽極2との間の光学膜厚Lが設定される。
この光学膜厚Lは、有機発光層6b,6g,6rと反射陽極2との間に挟まれた3つの機能層(透明導電層3、正孔注入層4、正孔輸送層5)の合計の光学距離(膜厚と屈折率との積で表され、単位は[nm])である。
ただし、本開示者らの研究によれば、青色発光素子において、光取り出し効率が極大値のときに、取り出される青色光の色度が目標色度に近いとはいえず、光取り出し効率が極大値をとる光学膜厚Lからずらして色度y値の小さい青色光を取る出す方が目標色度に近く好ましい傾向がある。
そこで本実施形態においては、後述するように、この光学膜厚Lを、光取り出し効率だけに基づいて決めるのではなく、色度y値も重要視して設定している。すなわち、輝度/y値を指標とし、この指標が高くなるように光学膜厚Lを設定している。
[表示装置の全体構成および外観]
図3は、実施の形態に係る表示装置の機能ブロックを示す図である。図4は、この表示装置の外観を例示する図である。
有機表示装置(有機発光表示装置)15は、有機表示パネル16と、これに接続された駆動制御部17とを有する。有機表示パネル(有機発光表示パネル)16は、上述した青色、緑色、赤色の発光素子を備えた表示パネルであって、その表示面に複数の発光素子がX方向、Y方向にマトリクス状に配列されている。駆動制御部17は、4つの駆動回路18〜21と制御回路22とから構成されている。ただし、有機表示装置15では、有機表示パネル16に対する駆動制御部17の配置については、これに限られない。
制御回路22は、外部から映像信号を入力し、この映像信号に基づいた制御信号を駆動回路(走査線駆動回路)20、21及び駆動回路(信号線駆動回路)18、19へ出力する。
駆動回路20、21は、X方向に配置されている複数の走査線に接続されており、これらの複数の走査線に走査信号を出力することにより、上述した実施の形態1に係る発光素子に対応して設けられるスイッチトランジスタの導通及び非導通を駆動する回路である。
駆動回路18、19は、Y方向に配置されている複数のデータ線に接続されており、上述した映像信号に基づいたデータ電圧を実施の形態1に係る発光素子へ出力する駆動回路である。
有機表示パネル16は、X方向およびY方向へマトリクス状に配置された青色、緑色、赤色を有する複数の発光素子を備え、外部から有機表示装置15へ入力された映像信号に基づいて画像を表示する。
以上のように構成された有機発光表示パネルは、本開示の各態様に係る有機発光素子を備える。これにより、以下の実施形態の説明から明らかにされるように、色度の良好な青色光の光取り出し効率をさらに高めた有機発光表示パネルを実現することができる。
また、以上のように構成された有機発光表示装置は、本開示の各態様に係る有機発光素子を備えた有機発光表示パネルを備える。これにより、以下の実施形態の説明から明らかにされるように、色度の良好な青色光の光取り出し効率をさらに高めた有機発光表示装置を実現することができる。
[有機表示パネルの製造方法]
有機表示パネルの製造方法を図5,図6を参照しながら説明する。
まず、基板1上に反射陽極2を蒸着法やスパッタ法等によって形成する(図5(a))。次に、反射陽極2上に、蒸着法やスパッタ法等により透明導電層3を形成する(図5(b))。このとき、透明導電層3の膜厚を上述した範囲内に適宜調整する。
次に、透明導電層3上に、例えば、スパッタ法等により正孔注入層4を形成し、バンク12を形成し、さらに、正孔注入層4上に、例えば、インクジェット法等により正孔輸送層5を形成する(図5(c))。
次に、正孔輸送層5上に、有機発光層6b,6g,6rを形成する(図5(d))。
次に、有機発光層6b,6g,6r上に電子輸送層7を形成する(図6(a))。
次に、電子輸送層7上に、第1透明導電層81、金属層82、第2透明導電層83を順に積層形成することによって透明陰極8を形成する(図6(b))。
第1透明導電層81及び第2透明導電層83は、例えばITOを、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法などで製膜することによって形成する。
金属層82を構成する金属としては、例えば、銀、金、白金、銅、パラジウム、スズ、ニッケル、アルミニウム、等を挙げることができる。特に、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、ビスマス、銅、アルミニウム、あるいはこれらの金属を1種以上含む合金としてもよい。
金属膜の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法等を挙げることができる。
ここで、透明陰極8を構成する第1透明導電層81、金属層82、第2透明導電層83の膜厚は、上述した範囲内に適宜調整する。
次に、透明陰極8上に薄膜封止層9を形成し、カラーフィルタ13b,13g,13rが形成された基板11を、樹脂封止層10を用いて貼り合わせる(図6(c))。
[有機発光層6と反射陽極2との間の光学膜厚Lについて]
上記のような青色発光素子の共振器構造において、有機発光層6と反射陽極2との間の光学膜厚Lを変化させると、取り出される青色光の光取り出し効率が変化すると共に色度も変化する。
通常は、共振器構造において、光取り出し効率が極大値を示すように第1機能層の光学膜厚Lが調整される。説明の便宜上、光取り出し効率が極大値を示す共振器構造を、第1機能層の膜厚が小さい順に、1st cavity(以下、1st cav.と記述),2nd cavity(以下、2nd cav.と記述)と呼ぶこととする。すなわち、1st cav.は取り出し効率が極大値を示す膜厚の中で最小の膜厚に相当し、2nd cav.は取り出し効率が極大値を示す2番目に小さい膜厚に相当する。
光取り出し効率は2nd cav.のときよりも1st cav.のときの方が高い。
図7(a)は、正孔注入層4の膜厚を0〜200nmの範囲で変化させて、青色発光素子(カラーフィルタはなし)から取り出される光取り出し効率をシミュレーションした一例を示すグラフである。横軸は正孔注入層4の膜厚、縦軸は光取り出し効率を表している。このシミュレーションは、マトリックス法を用いた光学シミュレーションとして知られているものであって、図9に示す実施例1aの青色発光素子において、正孔注入層4の以外の膜厚を一定にして行ったものである。
正孔注入層4の膜厚変化に比例して第1機能層の光学膜厚Lも変化するので、図7(a)のグラフは、第1機能層の光学膜厚Lと、取り出し効率との関係を示すことになる。
図7(b)は、同様に正孔注入層4の膜厚を変化させて(これにより、第1機能層の光学膜厚も変化する)、青色発光素子から取り出される光の色度(CIE色度系のx値及びy値)がどのように変化するかをシミュレーションした結果を示すグラフである。横軸は正孔注入層4の膜厚、縦軸は青色発光素子から取り出される光の色度である。
1st cav.及び2nd cav.のときには、図7(a)に示すように光取り出し効率は高いが、図7(b)に示すように色度y値が大きい。
ここで、青色発光素子から最終的に取り出す青色光の色度としては、y値が0.08程度以下であることが一般的な色度目標とされている。従って青色発光素子から取り出される青色光の色度y値がこの目標色度から遠ければ、カラーフィルタ(CF)で大きく色度補正をする必要がある。その場合、光透過率の低いカラーフィルタを用いざるを得ないので、もとの青色発光素子からの光取り出し効率が大きくても、カラーフィルタ通過後の光取り出し効率は大幅に低下してしまう。
一方、図7(b)に示されるように、正孔注入層4の膜厚(光学膜厚L)を1st cav.,2nd cav.に相当する膜厚から、小さい方に膜厚をずらしたところに、色度y値が十分に小さい膜厚(色度y値が0.08以下となる膜厚)が存在する。この膜厚を0.5cav.に相当する膜厚ということとする。
この0.5cav.に相当する膜厚では、青色発光素子からの取り出し効率は、1st cav.,2nd cav.と比べて小さいが、色度y値が小さいので、このあたりで輝度/y値が極大となる。
同様に、1st cav.に相当する膜厚よりも大きく、2nd cav.に相当する膜厚よりも小さい膜厚であって、色度y値が十分に小さい膜厚(色度y値が0.08以下となる膜厚)を、1.5cav.に相当する膜厚とする。
上記特許文献1に開示されているように、第1機能層の光学膜厚Lは、1st cav.や2nd cav.に相当する膜厚に合わせるよりも、0.5cav.や1.5cav.に相当する膜厚に合わせて、色度y値の小さい青色光を取り出す方が、カラーフィルタ通過後の光取り出し効率を高くできる傾向がある。
このような理由により、本実施の形態では、青色発光素子において、有機発光層6と反射陽極2との間の第1機能層の光学膜厚Lを、0.5cav.または1.5cav.に合わせた共振器構造を採用することとする。
[透明陰極8における各層の膜厚設定]
本実施形態の有機表示パネルでは、青色発光素子において、上記のように青色発光素子から色度y値の小さい青色光が取り出される共振器構造となっている。そして、外部に出射される光(図2の光路C1,光路C2)は、図2に示したように、透明陰極8をそのまま通過して外部に出射される光(光路C3)の他に、透明陰極8において多重反射されて外部に出射される光(光路C4)もある。
ここで、光路C1及び光路C2を進む光の多重反射は、透明陰極8を構成する第1透明導電層81、金属層82および第2透明導電層83の各層においてなされる。そして、多重反射して互いに光干渉するときの干渉効果は、透明陰極8を構成する第1透明導電層81、金属層82および第2透明導電層83の各層の膜厚によって影響を受ける。したがって、青色光の光取り出し効率も、透明陰極8を構成する第1透明導電層81、金属層82および第2透明導電層83の各層の膜厚による影響を受ける。
そこで、本実施形態においては、透明陰極8を構成する第1透明導電層81、金属層82および第2透明導電層83の各層の膜厚は、青色発光素子から取り出される青色光の取り出し効率が高められるように設定されている。この点は、後でシミュレーンに基づいて詳しく説明する。
[透明陰極8を構成する各層の膜厚とシート抵抗値]
図8に示すように、ITO−Ag−ITOの3層からなる透明陰極を、各層の膜厚をいくつかに変えてガラス基板上に形成し、サンプル1〜7を作製した(図8のNo.1〜7)。
そして各サンプル1〜7について、シート抵抗値及び波長525nmの光の透過率を測定した。
各サンプルのシート抵抗値及び透過率は、図8に示す通りである。
サンプル5〜7(NO.5〜7)を比較すると、Ag薄膜の両側に位置するITOの膜厚が、50nm、75nm、25nmと変化しているが、シート抵抗の値はほぼ同じ値である。この結果から、シート抵抗値は両側のITO層の膜厚にはそれほど影響されることがなく、Ag層の膜厚によってほほ決まることが判明した。
これは、透明陰極8のシート抵抗値は、金属層82の膜厚によってほぼ決まり、両側の第1透明導電層81や第2透明導電層83の膜厚にはあまり依存しないことを示している。
また、図8におけるサンプル2(No.2)とサンプル3(No.3)のAgの膜厚及びシート抵抗値から、金属層82の膜厚を10nm以上にすれば、シート抵抗値を10Ω/□以下にできることがわかる。
このように、有機表示パネルにおいて、金属層82の厚みを10nm程度以上に設定することで、透明陰極8のシート抵抗値を10Ω/□以下にできる。これにより、バスバーを設けなくても電圧降下が抑制でき、電圧降下の抑制と光取出し効率向上とを両立するのに寄与する。
[青色発光素子のEL発光シミュレーション]
図9に示す実施例1aにかかる青色発光素子において、透明陰極8はITO−Ag−ITOの3層構造として、第1透明導電層81、金属層82および第2透明導電層83の各層の膜厚を変更しながら、素子から出射される青色発光についてシミュレーションを行った。
このシミュレーションにおいて、反射陽極2はアルミニウム、透明導電層3はIZO、有機発光層6bはサメイション(SUMATION)社製のBP105を用いた。
比較例1aとして、透明陰極8がITOだけからなること以外は、実施例1aと同様の青色発光素子について、素子から出射される青色発光についてシミュレーションを行った。
図9に、シミュレーションで用いた実施例1a及び比較例1aにかかる青色発光素子の各層の屈折率、膜厚(nm)および光学的膜厚(nm)を示している。図9において、光路長は、各層の光学的膜厚であって、各層の屈折率と膜厚とを掛け合わせた値である。
また、このシミュレーションにおいて、共振器構造における正孔注入層4の膜厚は、基本的に0.5cav.に相当する膜厚に設定している。図9においては、正孔注入層4と正孔輸送層5と透明導電層3との膜厚の合計を30nmとしたときを例示して記述している。本シミュレーションでは、正孔注入層4の膜厚を0.5cav.に相当する10〜20nmの範囲で変化させるが、この範囲で変化させることによって、第1機能層(正孔注入層4と正孔輸送層5と透明導電層3とで構成)の光学的膜厚Lは48〜62nmの範囲で変化する。
この理由を以下に説明する。第1機能層の合計膜厚を30nmとし、この合計膜厚を一定にしながら、正孔注入層4、正孔輸送層5、透明導電層3の各々の膜厚を変化させる。この場合、第1機能層の中で屈折率が最も小さい正孔注入層4が第1機能層の全てであったときは、1.6×30nm=48nmであり、一方、第1機能層の中で屈折率が最も大きい透明導電層3が第1機能層の全てであったときは、2.05×30nm=62nmとなる。したがって、第1機能層の合計膜厚を30nmに維持しながら、正孔注入層4、正孔輸送層5、透明導電層3の各々の膜厚を変化させた場合には、第1機能層の光学的膜厚Lは、48nmから62nmの間で変化することとなる。
シミュレーションによって得られた青色光の輝度及び色度から、「輝度/y値」を算出し、得られた「輝度/y値」に基づいて評価を行った。
青色発光素子を評価するのに「輝度/y値」を用いる理由は、上述したように、青色発光素子から出射される青色光は、取り出し効率が高いこと及び色度y値が小さいことの両方が必要だからである。すなわち、青色発光素子から出射される青色光の「輝度/y値」は、取り出し効率と色度(y値)のバランスを評価する指標であって、この指標「輝度/y値」が大きいほど、色度の良好な青色光を効率よく取り出すことができる。
図10(a),(b)、図11(a)〜(e)は、シミュレーションの結果に基づいて作成したマッピング図であって、輝度/y値の範囲ごとに領域を区画している。各々について以下に説明する。
図10(a)は、第1透明導電層81の膜厚と、第2透明導電層83の膜厚を、5nm間隔で変化させて、輝度/y値を直交座標にマッピングし、輝度/y値が50未満の領域、輝度/y値が50以上80未満の領域、輝度/y値が80以上100未満の領域に区画した図である。
図10(b)は、第2透明導電層83の膜厚を5nm間隔で、金属層82の膜厚を1nm間隔で変化させて、輝度/y値を直交座標にマッピングし、輝度/y値が50以上80未満の領域、輝度/y値が80以上100未満の領域に区画した図である。
これらの図10(a),(b)から、輝度/y値は、第2透明導電層83の膜厚にはあまり依存せず、金属層82の膜厚に依存している傾向が見られる。
次に、図11(a)〜(e)は、いずれも、第1透明導電層81の膜厚及び金属層82の膜厚を、各々5nm間隔と1nm間隔で変化させて、輝度/y値を直交座標にマッピングした図であり、輝度/y値が45未満の領域、輝度/y値が45以上70未満の領域、輝度/y値が70以上80未満の領域、輝度/y値が80以上の領域に区画して表示している。
ただし、正孔注入層4の膜厚は、(a)〜(e)の順で大きくなっている。従って、第1機能層の光学膜厚Lもこの順に大きくなっている。
[第1機能層の光学膜厚Lが0.5cav.のときの考察]
図11(c)は、正孔注入層4の膜厚が、上記図7(a),(b)に示す0.5cav.の膜厚範囲の中央(約15nm)のときを示している。本シミュレーションでは、第1機能層の膜厚を一定(30nm)にして、この条件を満たしながら、正孔注入層4と正孔輸送層5と透明導電層3との膜厚を変化させている。各層の屈折率を考慮すると、第1機能層の光学膜厚Lは=2.05×5nm+1.6×15nm+1.7×10nm=51nmとなる。図11(c)は、このときのマッピング図である。
また、図11(a)は、正孔注入層4の膜厚が0.5cav.の膜厚範囲の中央−10nm(すなわち、5nm)のとき、図11(b)は、正孔注入層4の膜厚が0.5cav.の膜厚範囲の中央−5nm(すなわち、10nm)のとき、図11(d)は、正孔注入層4の膜厚が0.5cav.の膜厚範囲の中央+5nm(すなわち、20nm)のとき、図11(e)は、正孔注入層4の膜厚が0.5cav.の膜厚範囲の中央+10nm(すなわち、25nm)のときのマッピング図である。
これらの各マッピング図を見ると、輝度/y値は、第1透明導電層81の膜厚と金属層82の膜厚の両方に依存している傾向が見られる。そこで、これらのマッピング図に基づいて、以下のように輝度/y値が良好な第1透明導電層81の膜厚と金属層82の膜厚の範囲を求めた。
図9に記載のように、比較例1aの青色EL発光素子は、輝度/y値が57であるので、輝度/y値がこの57と比べて十分に大きければ、実施例1aにおいて光取り出し効果が向上しているとみなすことができる。
そこで、図11(a)〜(e)のマッピング図において、輝度/y値が57と比べて1.2倍以上である70以上の範囲(すなわち、70〜80の範囲及び80〜100の範囲)を、光取り出し向上効果を奏する範囲とみなすこととする。
図11(a)〜(e)のマッピング図を比べると、輝度/y値が70以上となる金属層82の膜厚範囲はあまり変わらないが、輝度/y値が70以上となる第1透明導電層81の膜厚範囲は、(a)〜(e)の順に、膜厚が小さくなる方向(図11の紙面左方向)に少しづつ変移している。
このことは、第1機能層の光学膜厚Lが0.5cav.相当の近傍では、その光学膜厚Lを小さい方に変移させると、輝度/y値が70以上となる第1透明導電層81の膜厚範囲は大きい方向(図11で紙面右方向)に若干変移することを示している。
上記図7(a)に示した正孔注入層4の膜厚が0.5cav.に相当する範囲は、図11(b),(c),(d)に示す範囲、すなわち正孔注入層4の膜厚が0.5cav.の膜厚範囲の中央±5nmの範囲に相当する。
そこで、正孔注入層4の膜厚が0.5cavの膜厚範囲の中央−5nmであるときのマッピング図(図11(b))と、正孔注入層4の膜厚が0.5cavの膜厚範囲の中央+5nmであるときのマッピング図(図11(d))とを重ね合わせて、輝度/y値がいずれも70以上となるような第1透明導電層81と金属層82の膜厚の範囲を求めた。
図12(a)はその結果を示すマッピング図であって、第1機能層が0.5cavに相当する膜厚範囲(中央±5nm範囲)において、共通して輝度/y値が略70以上となる第1透明導電層81及び金属層82の膜厚範囲に相当する。
当図において、輝度/y値が70以上となっている第1透明導電層81の膜厚範囲は85nm以上97nm以下であり、輝度/y値が70以上となっている金属層82の膜厚範囲は2nm以上22nm以下である。
従って、正孔注入層4の膜厚(第1機能層の光学膜厚)が0.5cav.相当のときには、第1透明導電層81の膜厚を85nm以上97nm以下の範囲内に設定し、金属層82の膜厚を2nm以上22nm以下の範囲内に設定してもよい。このとき、色度が良好な青色光を効率よく取り出すことができ、比較例1aに対して、輝度/y値を向上させることができる。
また、図12(a)に示した輝度/y値が70以上となる第1透明導電層81及び金属層82の膜厚の範囲を楕円でフィッティングしたところ、図12(b)に示すようになった。このフィッティングした楕円は、下記の式4で表すことができる。
[式4]
X=Rxcosθcosφ−Rysinθsinφ+Xo
Y=Rxcosθsinφ+Rysinθcosφ+Yo
ただし、Xは第1透明導電層81の膜厚、Yは金属層82の膜厚である。
またθは、0≦θ≦2πの範囲で変化する変数パラメータ、
Xo=91.4, Yo=10.7, Rx=5.6, Ry=9.6,φ=0である。
第1機能層の光学膜厚Lが0.5cav.に相当するときには、第1透明導電層81の膜厚Xと、金属層82の膜厚Yが、上記数4で示される楕円で囲まれる範囲内にあれば、輝度/y値が70以上となるので、色度が良好な青色光を高効率で取り出す上で、より好ましい。
[第1機能層の光学膜厚Lが1.5cavのときの考察]
次に、第1機能層の光学膜厚Lが1.5cav.に相当するときについて考察する。
上記図7(a),(b)に示すように、実施例1bは、正孔注入層4の膜厚が1.5cav.に相当する膜厚である以外は、上記実施例1aと同様の構成である(図9を参照)。
上記図7(a),(b)に示すように、正孔注入層4の膜厚が0.5cavに相当する膜厚範囲(実施例1a)と、正孔注入層4の膜厚が1.5cav.に相当する膜厚範囲(実施例1b)とは、140nmの差がある。この差は、光学膜厚では140nm×1.6=224nmとなる。
したがって、第1機能層の光学膜厚Lは、0.5cav.に相当する光学膜厚Lの範囲(48nm〜62nm)に、この224nmを加えた範囲(272nm〜286nm)が、1.5cavに相当する光学膜厚Lの範囲に相当する。
この実施例1bと、透明陰極がITOだけからなる以外は実施例1bと同様の比較例1bについて、青色発光素子についても、素子から出射される青色発光についてシミュレーションを行った。
図13に、シミュレーションで用いた実施例1b及び比較例1bにかかる青色発光素子の各層の屈折率、膜厚(nm)および光学的膜厚(nm)を示している。
図14(a)は、光学膜厚Lが1.5cav.の範囲にある実施例1bの青色発光素子において、輝度/y値が45以上70未満となる第1透明導電層81及び金属層82の膜厚範囲を示すマッピング図である。
図14(a)に示される1.5cav.のときの輝度/y値は、図11,12に示される0.5cav.のときの輝度/y値と比べると、全体的に低い値となっている。これは、図7(a)のグラフに示されるように、光学膜厚Lが1.5cav.に相当するときは、0.5cav.に相当するときと比べると、青色光の取り出し効率が低いためである。
比較例1bの輝度/y値が41であったので、実施例1bにおいて、輝度/y値が45以上であれば、比較例1bと比べて輝度/y値が十分向上することになる。
なお、図14(a)は、光学膜厚Lが1.5cav.に相当する範囲の中央279nmのときのマッピング図であるが、光学膜厚Lが1.5cav.に相当する範囲(272nm〜286nm)においてこれと略同様のマッピング図が得られている。
よって、光学膜厚Lが1.5cav.相当の範囲のときには、図14(a)に示される輝度/y値が45〜70の範囲を、輝度/y値の向上効果が得られる範囲とみなすことができる。
図14(a)のマッピング図で輝度/y値が45〜70となっている範囲は、第1透明導電層81の膜厚が86nm以上97nm以下であり、金属層82の膜厚は8nm以上16nm以下である。
従って、実施例1bにおいて、第1透明導電層81の膜厚及び金属層82の膜厚をこの範囲内に設定してもよい。このとき、比較例1bに対して、輝度/y値を向上させることができる。
次に、図14(a)に示す輝度/y値45〜70の範囲を楕円でフィッティングした。図14(b)はその結果を示す図である。
第1透明導電層81の膜厚をX3、金属層82の膜厚をY3とするとき、フィッティングした楕円の式は下記式5で表される。
[式5]
X3=Rxcosθcosφ−Rysinθsinφ+Xo
Y3=Rxcosθsinφ+Rysinθcosφ+Yo
ただし、0≦θ≦2π, X0=91.3、Y0=11.9、Rx=5.3、Ry=4.4、φ=0(rad)
従って、この楕円の範囲内に第1透明導電層81の膜厚及び金属層82の膜厚を設定すると、輝度/y値の向上効果をより確実に得ることができる。
ここで、図12(a)と図14(a)とを比べると、図12(a)において輝度/y値の向上効果が認められる第1透明導電層81及び金属層82の膜厚範囲と、図14(a)に示した輝度/yの向上効果が認められる膜厚範囲とは概ね一致している。従って、1.5cavのときと0.5cavのときとは、輝度/y値の向上効果が認められる範囲が、ほぼ共通していることになる。
従って、0.5cav、1.5cavのいずれの場合も、上記数4で示される楕円の範囲内に設定すれば、輝度/y値の向上効果が期待できるということもできる。
(第1透明導電層81及び金属層82の材質に関して)
上述したシミュレーションの結果は、第1透明導電層81がITO、金属層82がAgである場合について示したが、第1透明導電層81及び第2透明導電層83の屈折率については、ITOの屈折率(2.1)に近い範囲(屈折率2.0以上2.4以下の範囲)にあれば、同様のシミュレーション結果が得られている。
また、第1透明導電層81及び第2透明導電層83の屈折率と金属層82の屈折率との差についても、ITOの屈折率(2.1)とAgの屈折率(0.1)との差(2.0)以下の範囲にあれば、同様のシミュレーション結果が得られている。
従って、金属層82の材料はITOに限られず、IZO(屈折率2.0)であってもよいし、金属層82の材料は、Agに限らず、Au,Pt,Pd,Ni,Cu,Al、またはこれら金属の合金であってもよい。そして、第1透明導電層81及び第2透明導電層83の屈折率が2.0以上2.4以下であり、第1透明導電層81及び第2透明導電層83の屈折率と金属層82の屈折率との差が0以上2.0以下であれば、第1透明導電層81及び金属層82の膜厚を上述した範囲に設定することによって輝度/y値の向上効果が得られる。
[実施の形態1にかかる青色発光素子による効果のまとめ]
以上のシミュレーション結果に基づくと、青色発光素子において、共振器構造を0.5cavあるいは1.5cavに設定し、透明陰極8を構成する第1透明導電層81と金属層82の各膜厚を、上記の範囲内に設定することによって、輝度/y値を向上する効果が得られることがわかる。
従来は、陰極に金属層を介在させると光取り出し効率が低下すると考えられていた。これに対して、本実施の形態では、透明陰極を構成する金属層とこれに隣接する透明導電層との屈折率の差や、透明陰極を構成する積層構造のうち機能層(第2機能層)側に配置された第1透明導電層(第1導電層)の屈折率と膜厚を所定の範囲とし、かつ第1電極と有機発光層との間に配置される第1機能層の光学膜厚を所定の範囲にすることで、陰極に金属層を介在させていない比較例1a、1bよりも、光取り出し効率を向上させることができることがわかった。
そして、輝度/y値を向上することによって、CF通過後の光取り出し効率を向上させることができる。青色発光素子を低消費電力で駆動できることになる。また青色発光素子を低消費電力で駆動できることは、この素子の長寿命化にもつながる。
また、金属層82の膜厚を10nm程度以上に設定すると、透明陰極8のシート抵抗値を10Ω/□以下にできるので、バスバーを設けなくても、パネル中央部における電圧降下を十分に抑えられる。従って、バスバーの面積を小さくしたり、バスバーを排除(バスバーレス化)して、開口率を向上させることができる。
このように、本実施形態の青色発光素子は、電圧降下の抑制と光取出し効率向上とを両立させるのに有効である。
なお、実際の青色発光素子において、各層の膜厚や光学膜厚は、一般的に平均値±10%程度のばらつきは許容されている。従って、実際の青色発光素子においては、層の膜厚の平均値(ave)が、上記シミュレーションに基づいて得られた各層の膜厚の範囲に該当するように設定すればよい。
(実施の形態2)
上述した実施の形態1ではトップエミッション構造の有機表示パネルについて説明したが、本実施の形態2では、ボトムエミッション構造の有機表示パネルを例に説明する。
有機表示パネルに、R,G,B各色の発光素子がマトリックス状に規則的に配置されている点は実施の形態1と同様である。
図15は、実施の形態2にかかる有機表示パネルにおける1つの青色発光素子を示す図である。
有機表示パネルにおける各発光素子は、基板31の表面上に、透明陰極32,電子輸送層34,有機発光層35,正孔輸送層36,正孔注入層37,反射陽極38が順に積層され、隣接するEL発光素子との間にバンク33が形成されている。
そして、各発光素子において、基板31側から外に(図15の紙面下方に)光が出射されるようになっている。
また、実施の形態1では、第1機能層が透明導電層3,正孔注入層4,正孔輸送層5の3層で構成されていたが、本実施の形態2では、第1機能層が正孔注入層37と正孔輸送層36の2層で構成され、反射陽極38と正孔注入層37との間に透明導電層は存在しない。
この点で本実施の形態2は、実施の形態1とは層構成が異なっているが、他の層は実施の形態1で説明したものと同様である。
すなわち、基板31は実施の形態1で説明した基板1と同様の構成であり、電子輸送層34,有機発光層35,正孔輸送層36,正孔注入層37,反射陽極38についても、実施の形態1で説明した電子輸送層7,有機発光層6,正孔輸送層5,正孔注入層4,反射陽極2と同様の材料で形成されている。
本実施の形態の有機表示パネルにおいても、RGB各色の発光素子において、透明陰極32と反射陽極38との間に各色の有機発光層35が存在し、有機発光層35からの光を共振させて透明陰極32側から出射させる光共振器構造が形成されている。すなわち、光共振器構造において、有機発光層35から出射された光の一部が、透明陰極32側に進行し、基板31から有機発光素子の外部に出射される第1光路C5と、有機発光層35から出射された光の残りの一部が、反射陽極38側に進行し、反射陽極38で反射された後、有機発光層35および透明陰極32を通過して有機発光素子の外部に出射される第2光路C6とが形成される。
[有機発光層35と反射陽極38との間の光学膜厚Lについて]
図16に、実施の形態2に基づくボトムエミッション型の青色発光素子の各層の屈折率、膜厚(nm)および光学的膜厚(nm)を示している。
図17(a)は、この実施の形態2にかかる青色発光素子について、正孔注入層37の膜厚を0〜200nmの範囲で変化させて、青色発光素子から取り出される光取り出し効率をシミュレーションした結果を示すグラフである。横軸は正孔注入層4の膜厚、縦軸は光取り出し効率を表している。このシミュレーションは、図16に示す青色発光素子において、正孔注入層37以外の層は膜厚を一定にして行った。
正孔注入層37の膜厚変化に比例して第1機能層の光学膜厚Lも変化するので、図17(a)のグラフは、第1機能層の光学膜厚Lと、取り出し効率との関係を示すことになる。
図17(b)は、正孔注入層37の膜厚(第1機能層の光学膜厚L)を変化させて、青色発光素子から取り出される光の色度(CIE色度系のx値及びy値)がどのように変化するかをシミュレーションした結果を示すグラフである。横軸は正孔注入層4の膜厚、縦軸は青色発光素子から取り出される光の色度である。
実施の形態1と同様に、本実施の形態2においても、正孔注入層37の膜厚には、0.5 cav.に相当する膜厚が存在する。この0.5 cav.の膜厚では、図17(a)に示すように1st cav.に相当する膜厚と比べると、光取り出し効率は低いが、図17(b)に示すようにy値が小さいので、輝度/y値は極大となる。
そこで、実施の形態2においても、有機発光層35と反射陽極38との間の第1機能層の光学膜厚Lを、0.5cav.相当に設定した共振器構造を採用することとする。
ただし、実施の形態1における0.5 cav.に相当する第1機能層の光学膜厚Lは48nm〜62nmであったが、実施の形態2における0.5 cav.に相当する第1機能層の光学膜厚Lは、より小さい膜厚での範囲(17nm以上33nm)となっている。
このように実施の形態1と実施の形態2とで、0.5 cav.に相当する第1機能層の光学膜厚Lが異なるのは、上記のように両者の層構成に違いがあるためと考えられる。
図16においては、正孔注入層4を0.5cav.の中央値に相当する5nmとし、正孔輸送層36の膜厚を10nmとしたとき、すなわち、第1機能層(正孔輸送層36と正孔注入層37とによって構成)の膜厚を15nmとしたときを例示して記述している。本シミュレーションでは、正孔輸送層36を一定(10nm)にして、正孔注入層37の膜厚を0.5cav.に相当する0〜10nmの範囲で変化させている。この範囲で変化させることによって、第1機能層の光学的膜厚Lは17〜33nmの範囲で変化する。
[透明陰極32]
実施の形態1と同様に、透明陰極32は、透明導電材料からなる第1透明導電層321、金属層322、透明導電材料からなる第2透明導電層323が、有機発光層35側から基板31側に順に積層されて構成されている。
第1透明導電層321及び第2透明導電層323の材料(透明導電材料)は、実施の形態1の第1透明導電層81及び第2透明導電層83の材料と同じく、ITO,IZOなどである。金属層322の材料も、実施の形態1の金属層82と同じく、Ag,Au,Pt,Pd,Ni,Cu,Al、あるいはそれら金属の合金である。
また、透明陰極32における金属層322の膜厚を10nm以上に設定してもよく、それによってシート抵抗値を10Ω/□以下と低くすることができる。
また、詳しくは以下に説明するが、透明陰極32を構成する第1透明導電層321、金属層322及び第2透明導電層323の各層の膜厚も、青色発光素子における輝度/y値が高くなるように設定されている。
[青色発光素子の発光シミュレーション]
シミュレーションに用いた実施例2にかかる青色発光素子は、第1機能層の光学膜厚Lは0.5 cav.に相当するものである。そして、透明陰極32は、ITO−Ag−ITOの3層構造である。
この実施例2にかかる青色発光素子において、透明陰極32を構成する第1透明導電層321、金属層322および第2透明導電層323の各層の膜厚を変えながら、素子から取り出される青色発光についてシミュレーションを行い、輝度/y値を求めた。
その結果、上記実施例1bにおけるシミュレーションの結果と同様に、輝度/y値は、第2透明導電層323の膜厚にはあまり依存することがなく、第1透明導電層321の膜厚と、金属層322の膜厚には依存するという結果が得られた。
図18(a)〜(c)はいずれも、第1透明導電層321の膜厚及び金属層322の膜厚を変化させて、輝度/y値を直交座標にマッピングした図であり、輝度/y値が100未満の領域と、輝度/y値が100以上の領域に区画して表示している。
ただし、正孔注入層37の膜厚は、(a)〜(c)の順で大きくなっている。従って、第1機能層の光学膜厚Lもこの順に大きくなっている。
図18(b)は、正孔注入層37の膜厚が、上記図17(a),(b)に示す0.5cav.の膜厚範囲の中央(5nm)のとき(第1機能層の光学膜厚Lが25nmのとき)のマッピング図である。
図18(a)は、正孔注入層37の膜厚が0.5cavの膜厚範囲の中央−5nmのとき、図18(c)は、正孔注入層37の膜厚が0.5cav.の膜厚範囲の中央+5nmのときのマッピング図である。
上記図17(a)に示した正孔注入層37の膜厚が0.5cav.に相当する範囲は、図18(a),(b),(c)に示す範囲、すなわち正孔注入層37の膜厚が中央値±5nmの範囲に相当する。
図16に示すように、比較例2の青色EL発光素子は輝度/y値が42であるので、輝度/y値が100以上である範囲では、光取り出し効果が2倍以上向上しているということができる。
そして、図18(a)〜(c)の各マッピング図を見ると、輝度/y値が100以上の範囲は、第1透明導電層321の膜厚と金属層322の膜厚の両方に依存している傾向が見られ、また、第1機能層の光学膜厚Lが0.5cav.相当の近傍で、その光学膜厚Lを変移させると、輝度/yが100以上となる第1透明導電層321の膜厚範囲も変移することがわかる。
次に、正孔注入層37の膜厚が0.5cav.の膜厚範囲の中央−5nmであるときのマッピング図(図18(a))と、正孔注入層37の膜厚が0.5cavの膜厚範囲の中央+5nmであるときのマッピング図(図18(c))とを重ね合わせて、いずれも輝度/y値が100以上となるような第1透明導電層321と金属層322の膜厚の範囲を求めた。
図19(a)はその結果を示すマッピング図であって、第1機能層が0.5cavに相当する膜厚範囲(中央±5nmの範囲)において、共通して輝度/y値が略90以上となる第1透明導電層321及び金属層322の膜厚範囲に相当する。
当図において、輝度/y値が90以上となっている第1透明導電層321の膜厚範囲は35nm以上65nm以下であり、輝度/y値が90以上となっている金属層322の膜厚範囲は7nm以上22nm以下である。
従って、正孔注入層37の膜厚(第1機能層の光学膜厚)が0.5cav相当のときには、第1透明導電層321の膜厚を35nm以上65nm以下の範囲内に設定し、金属層322の膜厚を2nm以上22nm以下の範囲内に設定することが、色度が良好な青色光を効率よく取り出す上で好ましい。
また、図19(a)に示した輝度/y値が90以上となる第1透明導電層321及び金属層322の膜厚の範囲を楕円でフィッティングしたところ、図19(b)に示すようになった。このフィッティングした楕円は、下記の式6で表すことができる。
[式6]
X3=Rxcosθcosφ−Rysinθsinφ+Xo
Y3=Rxcosθsinφ+Rysinθcosφ+Yo
ただし、0≦θ≦2π, Xo=50、Yo=15、Rx=15、Ry=6、φ=25(rad)
シミュレーションの結果から、実施例2の青色発光素子において、第1透明導電層321の膜厚と金属層322の膜厚を、上記数6で示される楕円の範囲内に設定すれば、得られる輝度/y値が比較例の2倍以上に高くなること、すなわち色度の良好な青色光の取り出し効率が大幅に向上することがわかる。
そして、青色発光素子の光取り出し効率が向上すると、低消費電力で素子を駆動でき、素子の長寿命化にもつながる。
また、金属層322の膜厚を10nm程度以上に設定すると、透明陰極32のシート抵抗値を10Ω/□以下にできるので、バスバーを設けなくても電圧降下を抑えることができる。
このように、本実施形態にかかる青色発光素子も、パネル中央部における電圧降下の抑制と光取出し効率の向上とを両立させることができる。
なお、実施の形態1と実施の形態2とでは、輝度/y値が高くなる第1透明導電層の膜厚と金属層の膜厚の範囲が異なっている。これは、第1機能層の光学的膜厚Lが互いに異なるためと考えられる。
[第1透明導電層321及び金属層322の材質に関して]
上述したシミュレーションの結果は、第1透明導電層321がITO、金属層322がAgである場合について示したが、第1透明導電層321及び第2透明導電層323の屈折率については、ITOの屈折率(2.1)に近い範囲(屈折率2.0以上2.4以下の範囲)にあれば、同様のシミュレーション結果が得られている。
また、第1透明導電層321及び第2透明導電層323の屈折率と金属層322の屈折率との差についても、ITOの屈折率(2.1)とAgの屈折率(0.1)との差(2.0)以下の範囲にあれば、同様のシミュレーション結果が得られている。
従って、金属層322の材料はITOに限られず、IZO(屈折率2.0)であってもよいし、金属層322の材料は、Agに限らず、Au,Pt,Pd,Ni,Cu,Al、またはこれら金属の合金であってもよい。そして、第1透明導電層321及び第2透明導電層323の屈折率が2.0以上2.4以下であり、第1透明導電層321及び第2透明導電層323の屈折率と金属層322の屈折率との差が0以上2.0以下であれば、第1透明導電層321及び金属層322の膜厚を上述した範囲に設定することによって輝度/y値の向上効果が得られる。
(変形例)
(1)上記実施の形態1,2では、第1機能層が、正孔注入層と正孔輸送層とを含んでいたが、第1機能層は、この構成に限られず、正孔注入層および正孔輸送層の何れかが無くてもよいし、これ以外の機能層が含まれていてもよい。
また、上記実施形態1,2では、第2機能層が電子輸送層から構成されているが、第2機能層の形態はこれに限られず、さらに電子注入層が含まれていてもよい。
(2)上記実施の形態1,2では、TFTが設けられた基板に近い側に陽極、遠い側に陰極が設けられていたが、逆に、TFTが設けられた基板に近い側に陰極、遠い側に陽極が設けられている場合も、同様に実施できる。
(3)上記実施の形態1の有機表示パネルにおいて、カラーフィルタは必ずしもなくてもよい。一方、実施の形態2の有機表示パネルにおいて、光出射側にカラーフィルタを設けてもよい。
以上、本発明の一態様に係る有機発光素子、有機発光表示パネルおよび有機発光表示装置を説明したが、本発明は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
本開示の有機発光素子は、有機EL表示パネル、有機EL発光装置をはじめとして、有機発光装置に広く利用可能である。
1,11,31 基板
2,38 反射陽極
3 透明導電層
4,37 正孔注入層
5,36 正孔輸送層
6,6b,6g,6r,35 有機発光層
7,34 電子輸送層
8,32 透明陰極
9 薄膜封止層
10 樹脂封止層
12,33 バンク
13b,13g,13r カラーフィルタ
15 有機表示装置
16 有機表示パネル
17 駆動制御部
18〜21 駆動回路
22 制御回路
81,321 第1透明導電層
82,322 金属層
83,323 第2透明導電層

Claims (10)

  1. 入射された光を反射する第1電極と、
    前記第1電極に対向して配置され、入射された光を透過する第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、少なくとも青色光を出射する有機発光層と、
    前記第1電極と前記有機発光層との間に配置され、1または2以上の層からなる第1機能層と、
    前記有機発光層と前記第2電極との間に配置され、1または2以上の層からなる第2機能層と、
    を備え、
    前記有機発光層から出射された前記青色光の一部が、前記第1機能層を通じて前記第1電極に入射され、前記第1電極で反射された後、前記第1機能層、前記有機発光層、前記第2機能層、前記第2電極を通じて外部に出射される第1光路と、
    前記有機発光層から出射された前記青色光の残りの一部が、前記第1電極側に進行することなく、前記第2機能層を通じて前記第2電極に進行し、前記第2電極を通じて外部に出射される第2光路と、が形成される有機発光素子であって、
    前記第1機能層は、光学膜厚が48nm以上62nm以下の範囲内に設定され、
    前記第2電極は、
    透明導電材料からなる第1導電層と、金属層と、透明導電材料からなる第2導電層とが前記有機発光層に近い側からこの順に積層されて構成され、
    前記第1導電層は、
    屈折率が2.0以上2.4以下であり且つ膜厚が85nm以上97nm以下であり、
    前記金属層は、
    前記第1導電層との屈折率の差が0以上2.0以下であり、且つ膜厚が2nm以上22nm以下である、
    有機発光素子。
  2. 前記第2電極において、
    第1導電層の膜厚をX3、前記金属層の膜厚をY3とするとき、
    X3,Y3は、下記の関係式で囲まれた範囲内の値を取る、
    請求項1記載の有機発光素子。
    X3=Rxcosθcosφ−Rysinθsinφ+Xo
    Y3=Rxcosθsinφ+Rysinθcosφ+Yo
    ただし、θは、0≦θ≦2πの範囲で変化する変数パラメータ
    Xo=91.4, Yo=10.7, Rx=5.6, Ry=9.6, φ=0(rad)
  3. 入射された光を反射する第1電極と、
    前記第1電極に対向して配置され、入射された光を透過する第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、少なくとも青色光を出射する有機発光層と、
    前記第1電極と前記有機発光層との間に配置され、1または2以上の層からなる第1機能層と、
    前記有機発光層と前記第2電極との間に配置され、1または2以上の層からなる第2機能層と、
    を備え、
    前記有機発光層から出射された前記青色光の一部が、前記第1機能層を通じて前記第1電極に入射され、前記第1電極で反射された後、前記第1機能層、前記有機発光層、前記第2機能層、前記第2電極を通じて外部に出射される第1光路と、
    前記有機発光層から出射された前記青色光の残りの一部が、前記第1電極側に進行することなく、前記第2機能層を通じて前記第2電極に進行し、前記第2電極を通じて外部に出射される第2光路と、が形成される有機発光素子であって、
    前記第1機能層は、光学膜厚が272nm以上286nm以下に設定され、
    前記第2電極は、
    透明導電材料からなる第1導電層と、金属層と、透明導電材料からなる第2導電層とが前記有機発光層に近い側からこの順に積層されて構成され、
    前記第1導電層は、
    屈折率が2.0以上2.4以下であり且つ膜厚が86nm以上97nm以下であり、
    前記金属層は、
    前記第1導電層との屈折率の差が0以上2.0以下であり、且つ膜厚が8nm以上16nm以下である、
    有機発光素子。
  4. 前記第2電極において、
    第1導電層の膜厚をX3、前記金属層の膜厚をY3とするとき、
    X3,Y3は、下記の関係式で囲まれた範囲内の値を取る、
    請求項3記載の有機発光素子。
    X3=Rxcosθcosφ−Rysinθsinφ+Xo
    Y3=Rxcosθsinφ+Rysinθcosφ+Yo
    ただし、θは、0≦θ≦2πの範囲で変化する変数パラメータ
    X0=91.3、Y0=11.9、Rx=5.3、Ry=4.4、φ=0(rad)
  5. 入射された光を反射する第1電極と、
    前記第1電極に対向して配置され、入射された光を透過する第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、少なくとも青色光を出射する有機発光層と、
    前記第1電極と前記有機発光層との間に配置され、1または2以上の層からなる第1機能層と、
    前記有機発光層と前記第2電極との間に配置され、1または2以上の層からなる第2機能層と、
    を備え、
    前記有機発光層から出射された前記青色光の一部が、前記第1機能層を通じて前記第1電極に入射され、前記第1電極で反射された後、前記第1機能層、前記有機発光層、前記第2機能層、前記第2電極を通じて外部に出射される第1光路と、
    前記有機発光層から出射された前記青色光の残りの一部が、前記第1電極側に進行することなく、前記第2機能層を通じて前記第2電極に進行し、前記第2電極を通じて外部に出射される第2光路と、が形成される有機発光素子であって、
    前記第1機能層は、光学膜厚が17nm以上33nm以下に設定され、
    透明導電材料からなる第1導電層と、金属層と、透明導電材料からなる第2導電層とが前記第2機能層側からこの順に積層されて構成され、
    前記第1導電層は、
    屈折率が2.0以上2.4以下であり且つ膜厚が35nm以上65nm以下であり、
    前記金属層は、
    前記第1導電層との屈折率の差が0以上2.0以下であり、且つ膜厚が7nm以上22nm以下である、
    有機発光素子。
  6. 前記第2電極において、
    第1導電層の膜厚をX3、前記金属層の膜厚をY3とするとき、
    X3,Y3は、下記の関係式で囲まれた範囲内の値を取る、
    請求項5記載の有機発光素子。
    X3=Rxcosθcosφ−Rysinθsinφ+Xo
    Y3=Rxcosθsinφ+Rysinθcosφ+Yo
    ただし、θは、0≦θ≦2πの範囲で変化する変数パラメータ
    Xo=50、Yo=15、Rx=15、Ry=6、φ=25(rad)
  7. 前記金属層の膜厚が10nm以上である、
    請求項1〜6のいずれかに記載の有機発光素子。
  8. さらに、前記第2電極を通じて外部に出射される光を透過させる青色のカラーフィルタを備える請求項1〜7のいずれかに記載の有機発光素子。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の有機発光素子を備えた有機発光表示パネル。
  10. 請求項9の有機発光表示パネルを備えた、有機発光表示装置。
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