JP2013235690A - 表示装置の製造方法 - Google Patents

表示装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013235690A
JP2013235690A JP2012106476A JP2012106476A JP2013235690A JP 2013235690 A JP2013235690 A JP 2013235690A JP 2012106476 A JP2012106476 A JP 2012106476A JP 2012106476 A JP2012106476 A JP 2012106476A JP 2013235690 A JP2013235690 A JP 2013235690A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
organic
thin film
layer
organic thin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012106476A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaru Kajitani
優 梶谷
Kenji Kasahara
健司 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2012106476A priority Critical patent/JP2013235690A/ja
Priority to PCT/JP2013/061730 priority patent/WO2013168546A1/ja
Priority to TW102115223A priority patent/TW201351636A/zh
Publication of JP2013235690A publication Critical patent/JP2013235690A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K59/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic light-emitting element covered by group H10K50/00
    • H10K59/10OLED displays
    • H10K59/17Passive-matrix OLED displays
    • H10K59/173Passive-matrix OLED displays comprising banks or shadow masks
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • H10K50/81Anodes
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • H10K50/81Anodes
    • H10K50/816Multilayers, e.g. transparent multilayers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K59/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic light-emitting element covered by group H10K50/00
    • H10K59/10OLED displays
    • H10K59/12Active-matrix OLED [AMOLED] displays
    • H10K59/122Pixel-defining structures or layers, e.g. banks
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K71/00Manufacture or treatment specially adapted for the organic devices covered by this subclass
    • H10K71/20Changing the shape of the active layer in the devices, e.g. patterning
    • H10K71/231Changing the shape of the active layer in the devices, e.g. patterning by etching of existing layers
    • H10K71/233Changing the shape of the active layer in the devices, e.g. patterning by etching of existing layers by photolithographic etching
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/85Arrangements for extracting light from the devices
    • H10K50/852Arrangements for extracting light from the devices comprising a resonant cavity structure, e.g. Bragg reflector pair
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K59/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic light-emitting element covered by group H10K50/00
    • H10K59/30Devices specially adapted for multicolour light emission
    • H10K59/35Devices specially adapted for multicolour light emission comprising red-green-blue [RGB] subpixels

Abstract

【課題】酸素プラズマ処理等をおこなうことなく、有機薄膜層を均一な膜厚で形成することのできる表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】支持基板と、隔壁と、複数の有機EL素子とを含み、各有機EL素子は、第1電極、有機薄膜層、第2電極が、支持基板側からこの順で積層されて構成される表示装置の製造方法であって、撥液剤を含む感光性樹脂組成物をフォトリソグラフィ法によってパターン形成することにより形成された隔壁、および第1電極がその上に設けられた支持基板を準備する工程と、シュウ酸、燐酸、酢酸、硝酸および塩化水素の少なくともいずれか1つを含む溶液、または前記感光性樹脂組成物の現像液によって前記第1電極の表面を洗浄する工程と、前記第1電極上に、塗布法によって有機薄膜層を形成する工程と、前記有機薄膜層上に前記第2電極を形成する工程とを含む、表示装置の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は表示装置の製造方法に関する。
表示装置のひとつとして、有機EL(Electro Luminescence)素子を画素の光源として用いた表示装置がある。この画素に用いられる有機EL素子の構成として、マイクロキャビテイ構造(微小共振器構造)を採用したものがある(たとえば特許文献1参照)。このような構成を採用することで、色純度の向上や、所定の視野角範囲内における高輝度化を図ることができる。
特開2002−367770号公報
上述の表示装置には、画素に対応する多数の有機EL素子が所定の支持基板上に整列して配置されている。なお支持基板上には所定の区画を画成するための隔壁が設けられており、多数の有機EL素子は、それぞれ、隔壁によって区画された領域に整列して配置されている。
各有機EL素子は、第1電極、有機薄膜層、第2電極を支持基板側からこの順で積層することにより形成される。
有機EL素子の有機薄膜層はたとえば塗布法によって形成することができる。以下、図11を参照して有機薄膜層の形成方法について説明する。図13(1)に示すようにまず第1電極16および隔壁13が予め形成された支持基板12を用意する。つぎにこの支持基板12において隔壁13に囲まれた領域(凹部)15に有機薄膜層18となる材料を含むインキ17を供給する。供給されたインキ17は隔壁13に囲まれた領域15に収容され(図13(2)参照)、つづいて、インキ17の溶媒が気化することにより有機薄膜層18が形成される(図13(3)参照)。
なお隔壁13がインキ17に対して親液性を示す場合、特定の凹部15に供給されたインキが、隔壁13表面をつたって隣の凹部15にまで流出することがある。このようなインキの流出を防ぐために、隔壁13にはある程度の撥液性を付与する必要がある。
そのためにたとえば隔壁を形成したのちに、フッ素系ガスによるプラズマ処理を隔壁に施すことにより、隔壁に撥液性を付与することがある。しかしながらこの方法では、フッ素系ガスによる反応性生物によって、有機薄膜層が汚染され、有機EL素子の特性が劣化するという問題がある。
そこで、撥液剤を含む感光性樹脂組成物を用いて隔壁を形成することにより、フッ素系ガスによるプラズマ処理を施すことなく隔壁に撥液性を付与するという方法がとられることもある。
このような隔壁を用いて上述の方法で有機薄膜層を形成する場合、かならずしも均一な膜厚の有機薄膜層を形成することができないという問題がある。
不均一な膜厚の有機薄膜層が形成されると、膜厚の薄い部位に電流が集中して流れ、均一な発光が得られなくなるという問題がある。また上述のマイクロキャビテイ構造では発光波長に対応して各有機薄膜層の膜厚を設定するが、意図した膜厚の有機薄膜層が得られず、所期の特性が得られないという問題がある。マイクロキャビテイ構造では、有機薄膜層の膜厚が素子の特性に大きく影響するため、膜厚の面内均一性の向上がとくに求められている。
なお有機薄膜層の膜厚の面内均一性が低下するのは第1電極上の濡れ性にムラがあるためと考えられる。たとえば第1電極上に局所的に濡れ性が悪い部位が存在すると、その部位でインキが弾かれつつ薄膜化するため、膜厚の面内均一性が低下する。そこで、インキを塗布する前に第1電極の濡れ性を向上させるための処理を施すことが考えられる。たとえば酸素プラズマ処理によって第1電極の濡れ性を高めることができる。このように第1電極の濡れ性を高めた後にインキを供給すると、インキが第1電極上で濡れ広がり、均一な膜厚の有機薄膜層が得られる。しかしながら酸素プラズマ処理をおこなうと、隔壁の表面がエッチングされ、当該隔壁の膜厚にばらつきが生じるとともに、隔壁の撥液性が低下する。そうすると、凹部(隔壁によって区切られた領域)内に供給されたインキが溢れ出ることがあり、設計どおりに有機EL素子を形成することができないという問題がある。
したがって本発明の目的は、酸素プラズマ処理等をおこなうことなく、有機薄膜層を均一な膜厚で形成することのできる表示装置の製造方法を提供することにある。
本発明は、支持基板と、この支持基板上において予め設定される区画を画成する隔壁と、この隔壁によって画成される区画にそれぞれ設けられる複数の有機EL素子とを含み、各有機EL素子は、第1電極、有機薄膜層、第2電極が、支持基板側からこの順で積層されて構成される表示装置の製造方法であって、
撥液剤を含む感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によってパターン形成することにより形成された隔壁、および第1電極がその上に設けられた支持基板を準備する工程と、
シュウ酸、燐酸、酢酸、硝酸および塩化水素の少なくともいずれか1つを含む溶液、または前記感光性樹脂組成物の現像液によって前記第1電極の表面を洗浄する工程と、
前記第1電極上に、塗布法によって有機薄膜層を形成する工程と、
前記有機薄膜層上に前記第2電極を形成する工程とを含む、表示装置の製造方法に関する。
本発明によれば、酸素プラズマ処理等をおこなうかわりに、シュウ酸、燐酸、酢酸、硝酸および塩化水素の少なくともいずれか1つを含む溶液、または前記感光性樹脂組成物の現像液によって前記第1電極の表面を洗浄することにより、第1電極の表面の濡れ性を高めるとともに、第1電極の表面全体においてその濡れ性を均一化することができる。これによって、酸素プラズマ処理等をおこなうことなく、有機薄膜層を均一な膜厚で形成することができる。
表示装置1の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 本実施形態の表示装置1の一部を拡大して模式的に示す平面図である。 表示装置の製造方法を説明するための図である。 表示装置の製造方法を説明するための図である。 表示装置の製造方法を説明するための図である。 本実施形態の表示装置1の一部を拡大して模式的に示す平面図である。 表示装置1の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 図9の計算に用いた発光材料のPLスペクトルを示す図である。 マイクロキャビティ構造におけるELスペクトルの正孔注入層の膜厚依存性を示す図である。 本発明の製造方法で作製した有機EL素子のELスペクトルと発光材料のPLスペクトルを比較するための図である。 本発明の製造方法で作製した有機EL素子のELスペクトルと発光材料のPLスペクトルを比較するための図である。 本発明の製造方法で作製した有機EL素子のELスペクトルと発光材料のPLスペクトルを比較するための図である。 表示装置の製造方法を説明するための図である。
本発明は、支持基板と、この支持基板上において予め設定される区画を画成する隔壁と、この隔壁によって画成される区画にそれぞれ設けられる複数の有機EL素子とを含み、各有機EL素子は、第1電極、有機薄膜層、第2電極が、支持基板側からこの順で積層されて構成される表示装置の製造方法であって、撥液剤を含む感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法によってパターン形成することにより形成された隔壁、および第1電極が、その上に設けられた支持基板を準備する工程と、シュウ酸、燐酸、酢酸、硝酸および塩化水素の少なくともいずれか1つを含む溶液、または前記感光性樹脂組成物の現像液によって前記第1電極の表面を洗浄する工程と、前記第1電極上に、塗布法によって有機薄膜層を形成する工程と、前記有機薄膜層上に前記第2電極を形成する工程とを含む、表示装置の製造方法に関する。
表示装置には主にアクティブマトリクス駆動型の装置と、パッシブマトリクス駆動型の装置とがある。本発明は両方の型の表示装置に適用可能であるが、本実施形態では一例としてアクティブマトリクス駆動型の表示装置に適用される表示装置について説明する。
<表示装置の構成>
まず表示装置の構成について説明する。図1は本実施形態の表示装置1の一部を拡大して模式的に示す断面図である。図2は本実施形態の表示装置1の一部を拡大して模式的に示す平面図である。表示装置1は主に、支持基板2と、この支持基板2上において予め設定される区画を画成する隔壁3と、隔壁3によって画成される区画に設けられる複数の有機EL素子4とを含んで構成される。
隔壁3は支持基板2上においてたとえば格子状またはストライプ状に形成される。なお図2では実施の一形態として格子状の隔壁3が設けられた表示装置1を示している。図2中、ハッチングが施された領域が隔壁3に相当する。
支持基板2上には、隔壁3と支持基板2とによって規定される複数の凹部5が設定される。この凹部5が、隔壁3によって画成される区画に相当する。
本実施形態の隔壁3は格子状に設けられる。そのため支持基板2の厚み方向Zの一方から見て(以下、「平面視で」ということがある。)、複数の凹部5がマトリクス状に配置されている。すなわち凹部5は行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yにも所定の間隔をあけて整列して設けられている。各凹部5の平面視における形状はとくに限定されない。たとえば凹部5は、平面視で略矩形状、略楕円状、または小判形状などの形状に形成される。本実施形態では平面視で略矩形状の凹部5が設けられている。なお本明細書において上記の行方向Xおよび列方向Yは、それぞれ支持基板2の厚み方向Zに垂直な方向であって、かつ互いに垂直な方向を意味する。
本実施形態の隔壁3はいわゆる順テーパ形状である。すなわち支持基板2から離間するにしたがって先細状に形成されている。たとえば、列方向Yに延在する隔壁を、その延在方向(列方向Y)に垂直な平面で切断したときの断面形状は、支持基板から離間するにしたがって先細状に形成されている。図1では、略等脚台形形状の隔壁が示されており、上底と、支持基板側の下底とを比べると、下底の方が上底よりも幅広である。なお実際に形成される隔壁の断面は必ずしも台形形状とはならず、台形形状の直線部分および角が丸みを帯び、いわゆるかまぼこ状(ドーム状)に形成されることもある。
隔壁3は、本実施形態では主に有機EL素子が設けられる領域を除く領域に設けられる。なお隔壁3は主に、後述する第1電極6が設けられる領域を除く領域に設けられるが、その端部3aが、第1電極6に重なるように、第1電極6の周縁部上にも形成される。なお隔壁3の端部3aは、第1電極6の全ての周縁部を覆うように形成する必要はない。たとえば後述するストライプ状の隔壁3を形成する場合には、第1電極6の4辺のうちの対向する2辺を隔壁の端部が覆うように隔壁を形成してもよい。本実施形態では隔壁3の端部3aは、第1電極6の全ての周縁部を覆うように形成される。
なお他の実施形態として、隔壁と支持基板との間に、第1電極上に開口を有する絶縁膜をさらに設けてもよい。
有機EL素子4は隔壁3によって画成される区画(すなわち凹部5)に設けられる。本実施形態のように格子状の隔壁3が設けられる場合、各有機EL素子4はそれぞれ各凹部5に設けられる。そのため有機EL素子4は、各凹部5と同様にマトリクス状に配置され、支持基板2上において、行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yにも所定の間隔をあけて整列して設けられている。
本実施形態では3種類の有機EL素子4が設けられる。すなわち(1)赤色の光を出射する赤色有機EL素子4R、(2)緑色の光を出射する緑色有機EL素子4G、および(3)青色の光を出射する青色有機EL素子4Bが設けられる。これら3種類の有機EL素子4R,4G,4Bは、たとえば以下の(I)、(II)、(III)の行を、列方向Yにこの順で繰り返し配置することによって、それぞれ整列して配置される(図2参照)。
(I)赤色有機EL素子4Rが行方向Xにそれぞれ所定の間隔をあけて配置される行。
(II)緑色有機EL素子4Gが行方向Xにそれぞれ所定の間隔をあけて配置される行。
(III)青色有機EL素子4Bが行方向Xにそれぞれ所定の間隔をあけて配置される行。
なお他の実施の形態として、上記3種類の有機EL素子に加えて、たとえば白色の光を出射する有機EL素子がさらに設けられてもよい。また1種類のみの有機EL素子を設けることによって、モノクロ表示装置を実現してもよい。
有機EL素子4は、第1電極、有機薄膜層、第2電極が、支持基板2側からこの順で積層されて構成される。本明細書では第1電極6と第2電極10との間に設けられる層のうち、有機物を含む層を有機薄膜層という。有機EL素子4は有機薄膜層として少なくとも1層の発光層を備える。なお有機EL素子は、1層の発光層に加えて、必要に応じて発光層とは異なる有機薄膜層や無機層をさらに備えることもある。たとえば第1電極6と第2電極10との間には、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、電子輸送層、および電子注入層などが設けられる。また第1電極6と第2電極10との間には2層以上の発光層が設けられることもある。
有機EL素子4は、陽極および陰極からなる一対の電極として、第1電極6と第2電極10とを備える。第1電極6および第2電極10のうちの一方の電極は陽極として設けられ、他方の電極は陰極として設けられる。
本実施形態では一例として、陽極として機能する第1電極6、正孔注入層として機能する第1の有機薄膜層7、発光層として機能する第2の有機薄膜層9、陰極として機能する第2電極10がこの順で支持基板2上に積層されて構成される有機EL素子4について説明する。
本実施形態では3種類の有機EL素子が設けられるが、これらは第2の有機薄膜層(本実施形態では発光層)9の構成がそれぞれ異なる。赤色有機EL素子4Rは赤色の光を放射する赤色発光層9を備え、緑色有機EL素子4Gは緑色の光を放射する緑色発光層9を備え、青色有機EL素子4Bは青色の光を放射する青色発光層9を備える。
本実施形態では第1電極6は有機EL素子4ごとに設けられる。すなわち有機EL素子4と同じ数の第1電極6が支持基板2上に設けられる。第1電極6は有機EL素子4の配置に対応して設けられ、有機EL素子4と同様にマトリクス状に配置される。なお本実施形態の隔壁3は、主に第1電極6を除く領域に格子状に形成されるが、さらにその端部3aが第1電極6の周縁部を覆うように形成されている(図1参照)。
正孔注入層に相当する第1の有機薄膜層7は、凹部5において第1電極6上にそれぞれ設けられる。この第1の有機薄膜層7は、必要に応じて、有機EL素子の種類ごとにその材料または膜厚を異ならせて設けられる。なお第1の有機薄膜層7の形成工程の簡易さの観点から、同じ材料、同じ膜厚で全ての第1の有機薄膜層7を形成してもよい。さらには、後述するようなマイクロキャビティ構造の有機EL素子を形成する場合、発光波長に応じて、第1の有機薄膜層7の膜厚を光共振が生じるように、有機EL素子の種類ごとに調整してもよい。
発光層として機能する第2の有機薄膜層9は、凹部5において第1の有機薄膜層7上に設けられる。上述したように発光層は有機EL素子の種類に応じて設けられる。そのため赤色発光層9は赤色有機EL素子4Rが設けられる凹部5に設けられ、緑色発光層9は緑色有機EL素子4Gが設けられる凹部5に設けられ、青色発光層9は青色有機EL素子4Bが設けられる凹部5に設けられる。
第2電極は有機薄膜層上に設けられるが、本明細書では、層「上」に設けられるとは、下層に接して設けられる形態と、下層とは離間して設けられる形態をとりうる。たとえば有機薄膜層と、この上に設けられる第2電極との間には、所定の無機層が設けられていてもよい。
本実施形態では第2電極10は有機EL素子4が設けられる表示領域において全面に形成される。すなわち第2電極10は、第2の有機薄膜層9上だけでなく、隔壁3上にも形成され、複数の有機EL素子にわたって連続して形成され、全ての有機EL素子4に共通の電極として設けられる。
<表示装置の製造方法>
以下、図3〜図5を参照しつつ表示装置の製造方法について説明する。
(支持基板を準備する工程)
本工程では、撥液剤を含む感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法によってパターン形成することにより形成された隔壁、および第1電極が、その上に設けられた支持基板を準備する。なお本工程では、あらかじめ隔壁および第1電極が設けられた支持基板を用意してもよく、また本工程において隔壁及び/又は第1電極を形成することにより、隔壁および第1電極が設けられた支持基板を用意してもよい。なおアクティブマトリクス型の表示装置の場合、複数の有機EL素子を個別に駆動するための回路が予め形成された基板を、支持基板2として用いることができる。たとえばTFT(Thin Film Transistor)およびキャパシタなどが予め形成された基板を支持基板として用いることができる。
本実施形態ではまず支持基板2上に複数の第1電極6をマトリクス状に形成する。第1電極6は、たとえば支持基板2上の一面に導電性薄膜を形成し、これをフォトリソグラフィー法によってマトリクス状にパターニングすることによってパターン形成される。またたとえば所定の部位に開口が形成されたマスクを支持基板2上に配置し、このマスクを介して支持基板2上の所定の部位に導電性材料を選択的に堆積することにより第1電極6をパターン形成してもよい。第1電極6の材料については後述する。
つぎに、本工程では撥液剤を含む感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法によってパターン形成することにより、その端部が前記第1電極上に接するように、前記隔壁をパターン形成する。本実施形態ではまず撥液剤を含む感光性樹脂組成物を前記支持基板2上に塗布し、隔壁形成用膜8を形成する。前記感光性樹脂組成物の塗布方法としては、たとえばスピンコート法やスリットコート法などをあげることができる。
前記感光性樹脂組成物を前記支持基板上に塗布成膜した後、通常はプリベークを行う。たとえば80℃〜110℃の温度で、60秒〜180秒間、支持基板2を加熱することによってプリベークを行い、感光性樹脂組成物の溶媒を除去する(図3(2)参照)。
つぎに所定のパターンの光を遮光するフォトマスク21を支持基板2上に配置し、このフォトマスク21を介して、隔壁形成用膜8を露光する。感光性樹脂組成物には、ポジ型およびネガ型のものがあるが、本工程ではいずれの感光性樹脂組成物を用いてもよい。ポジ型の感光性樹脂組成物を使用した場合には、隔壁形成用膜8のうち主に隔壁3が形成されるべき部位を除く残余の部位に光を照射する。またネガ型の感光性樹脂組成物を使用した場合には、隔壁形成用膜8のうち主に隔壁3が形成されるべき部位に光を照射する。本工程ではネガ型の感光性樹脂組成物を使用した場合について、図3(3)を参照して説明する。図3(3)に示すように、基板上にフォトマスク21を配置し、このフォトマスク21を介して光を照射することによって、隔壁形成用膜8のうちで主に隔壁3が形成されるべき部位に光を照射する。なお図3(3)では隔壁形成用膜8に照射する光を模式的に矢印記号で示している。
つぎに後述の現像液を用いて現像をおこなう。これによって隔壁3がパターン形成される(図4(1)参照)。現像後、ポストベークをおこなう。たとえば200℃〜230℃の温度で、15分〜60分間、基板を加熱することによってポストベークを行い、隔壁3を硬化する。
このように撥液剤を含む感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法によって隔壁をパターン形成することにより、撥液性の付与された隔壁がえられる。本実施形態に用いられる隔壁の接触角は、たとえばアニソールに対して、25°〜60°が好ましく、30°〜45°がさらに好ましい。
上述したように隔壁の形成に使用される感光性樹脂組成物にはネガ型のものとポジ型のものがある。
(ネガ型の感光樹脂組成物)
ネガ型の感光性樹脂組成物は、光が照射された部位が、現像液に対して不溶化し、残存するものである。
感光性樹脂組成物には一般にバインダー樹脂、架橋材、光反応開始材、溶媒、およびその他の添加剤を配合したものが使用される。
バインダー樹脂は、予め重合されたものである。その例としては、自ら重合性を有しない非重合性バインダー樹脂、重合性を有する置換基が導入された重合性バインダー樹脂が挙げられる。バインダー樹脂は、ポリスチレンを標準としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求められる重量平均分子量が5,000〜400,000の範囲にある。
バインダー樹脂としては、たとえばフェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。バインダー樹脂としては、単量体はそれぞれ単独または2種以上を組み合わせた共重合体を使用することもできる。バインダー樹脂は、上記感光性樹脂組成物の全固形分に対して、質量分率で通常5%〜90%である。
架橋材としては、光を照射することによって光重合開始剤から発生した活性ラジカル、酸などによって重合し得る化合物であって、たとえば、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が挙げられる。架橋材は、分子内に重合性炭素−炭素不飽和結合を1個有する単官能の化合物であってもよいし、重合性炭素−炭素不飽和結合を2個またはそれ以上有する2官能または3官能以上の多官能の化合物であってもよい。上記感光性樹脂組成物において、架橋材は、バインダー樹脂と架橋材との合計量を100質量部とすると、通常0.1質量部以上70質量部以下である。また上記感光性樹脂組成物において光反応開始材は、バインダー樹脂と架橋材との合計量を100質量部とすると、通常1質量部以上30質量部以下である。
(ポジ型の感光樹脂組成物)
一方、ポジ型の感光性樹脂組成物は、光の照射部分が現像液に対して、可溶化するものであり一般的には樹脂と光反応で親水化する化合物を複合化することで構成される。
ポジ型の感光性樹脂組成物は、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリイミドなどの耐薬品性と密着性を有する樹脂と光分解性化合物と組み合わせたものを使用するができる。
(撥液剤)
上記のポジ型またはネガ型の感光性樹脂組成物に含まれる撥液剤としては、フッ素含有化合物、シリコーン含有化合物などを挙げることができ、有機溶剤に対しても優れた撥液性を示すフッ素含有化合物が好ましい。
フッ素化含有化合物としては、たとえば炭素鎖数C1〜C8の直鎖状や分岐状のフルオロアルキル基やフルオロポリエーテル基を有する化合物が例示される。フッ素含有化合物としては、架橋性基を有するポリマーが好ましく、更に好ましくは、炭素鎖数C4〜C6のフルオロアルキル基やフルオロポリエーテル基を有し、かつ架橋性基を有するポリマーである。または現像液に対して可溶性機能を有していることが好ましい。フッ素含有化合物はポリマーに限られず、低分子化合物であっても、現像後の隔壁形成後にも隔壁表面を撥液性を付与する機能を有すものであればよい。
上記の架橋性基は、フッ素含有化合物に架橋性の機能を付与するものであり、エチレン性不飽和結合基や、エポキシ基、水酸基などが例示される。隔壁の形成に使用される感光性樹脂と架橋する機能を有していれば、架橋性基の種類は上記に限定するものではない。
撥液剤の具体例としてはメガファックRS−101、RS−102、RS−105、RS−401、RS−402、RS−501、RS−502、RS−718(以上、DIC社製)、オプツールDAC、オプトエース HPシリーズ(以上ダイキン工業社製)、パーフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記の撥液剤は、1種を単独で用いてもよく、また2種類以上を組み合わせて用いてもよい。撥液剤は、上記感光性樹脂組成物の撥液剤を除く全固形分に対して、質量分率で通常0.1質量部以上3質量部以下である。
(現像液)
現像に使用される現像液としては、たとえば水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液などを挙げることができる。
隔壁3の形状およびその配置は、画素数および解像度などの表示装置の仕様や製造の容易さなどに応じて適宜設定される。たとえば隔壁3の行方向Xまたは列方向Yの幅は、5μm〜50μm程度であり、隔壁3の高さは0.5μm〜5μm程度であり、行方向Xまたは列方向Yに隣り合う隔壁3間の間隔、すなわち凹部5の行方向Xまたは列方向Yの幅は、10μm〜500μm程度である。また第1電極6の行方向Xまたは列方向Yの幅はそれぞれ10μm〜500μm程度である。
(第1電極を洗浄する工程)
本工程では、前記第1電極の表面を洗浄する(図4の(1)、(2)参照)。
図4(1)に示すように、第1電極6上に形成された隔壁形成用膜8は、現像液を用いて現像処理をおこなったとしてもその残渣19が第1電極6上に付着したまま残存することがある。本工程では、第1電極6の表面を洗浄することにより、隔壁形成用膜8の残渣19や汚れを除去し、第1電極6の表面を清浄化する。これによって、第1電極6の表面の濡れ性を高めるとともに、第1電極6の表面全体においてその濡れ性を均一化することができる。
本工程では、シュウ酸、燐酸、酢酸、硝酸および塩化水素の少なくともいずれか1つを含む溶液、または前記感光性樹脂組成物の現像液によって第1電極の表面を洗浄する。
本工程において洗浄に用いる現像液としては、フォトリソグラフィ法によって隔壁を形成するさいに、現像液として使用可能なものを用いることができる。たとえば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液が使用できる。このような現像液を用いることにより、隔壁形成用膜8の残渣19を効率的に除去することができる。なお、本工程において使用する現像液は、隔壁を形成するさいに使用した現像液と同じ組成のものを用いてもよいが、異なる組成のものを用いた場合、現像工程において除去できずに残存する残渣をより効率的に除去することができる。
なお本工程において使用する現像液の濃度は、隔壁を形成するさいに使用する現像液の濃度よりも低い方が好ましい。たとえば隔壁を形成するさいに使用する現像液の濃濃をA(重量%)とし、本工程において使用される現像液の濃度をB(重量%)とすると、「A/B」は1〜25が好ましく、2〜5がさらに好ましい。このような濃度で第1電極を洗浄することにより、隔壁がエッチングされることを抑制することができる。
本工程において洗浄に用いるシュウ酸、燐酸、酢酸、硝酸および塩化水素の少なくともいずれか1つを含む溶液としては、塩酸と塩化第2鉄溶液の混合溶液、塩酸と硝酸の混合溶液、燐酸と硝酸と酢酸との混合溶液、およびシュウ酸水溶液などをあげることができる。
これらは、第1電極の種類に応じて適宜好適なものが選択される。たとえば第1電極が
ITO(Indium Tin Oxide)薄膜から構成される場合、塩酸と塩化第2鉄溶液の混合溶液、塩酸と硝酸の混合溶液、または燐酸と酢酸と硝酸との混合溶液を用いて洗浄することが好ましく、これらの中でも、燐酸と酢酸と硝酸との混合液を用いて洗浄することがさらに好ましい。またたとえば第1電極がIZO(Indium Zinc Oxide)薄膜から構成されている場合、燐酸と酢酸と硝酸との混合溶液や、シュウ酸水溶液を用いて洗浄することが好ましい。
ITOからなる第1電極を、塩酸と塩化第2鉄溶液の混合溶液を用いて洗浄する場合、その濃度は、塩酸5〜25重量%、塩化第2鉄10〜30重量%が好ましく、塩酸17.5重量%、塩化第2鉄20重量%がさらに好ましい。またITOからなる第1電極を、燐酸と酢酸と硝酸との混合溶液を用いて洗浄する場合、その濃度は、燐酸60〜80重量%、酢酸0.1〜20重量%、硝酸0.1〜10重量%が好ましく、燐酸71重量%、酢酸10.5重量%、硝酸2.2重量%がさらに好ましい。
またIZOからなる第1電極を燐酸と酢酸と硝酸との混合溶液を用いて洗浄する場合、その濃度は、燐酸0.1〜20重量%、酢酸0.1〜10重量%、硝酸0.1〜10重量%が好ましく、燐酸7.1重量%、酢酸1.1重量%、硝酸0.2重量%がさらに好ましい。
またIZOからなる第1電極をシュウ酸水溶液を用いて洗浄する場合、その濃度は、1〜10重量%が好ましい。
シュウ酸、燐酸、酢酸、硝酸および塩化水素の少なくともいずれか1つを含む溶液を用いて第1電極の表面を洗浄することにより、隔壁形成用膜8の残渣19や汚れを除去するとともに、場合によっては第1電極6の表面がエッチングされる。これによって、第1電極6の表面の濡れ性を高めるとともに、第1電極6の表面全体においてその濡れ性を均一化することができる。
以上のように第1電極の表面を洗浄することにより、各第1電極6の表面が一様に親液化される。
前記第1電極の表面を洗浄した後に、水洗をおこなうことにより、シュウ酸、燐酸、酢酸、硝酸および塩化水素の少なくともいずれか1つを含む溶液、または前記感光性樹脂組成物の現像液を支持基板上からから取り除くことができる。その後、乾燥をおこなう。
(有機薄膜層を形成する工程)
本工程では少なくとも第1電極6に接して設けられる有機薄膜層(本実施形態では第1層の有機薄膜層)を塗布法によって形成する。本実施形態では、第1の有機薄膜層7および第2の有機薄膜層9を塗布法によって形成する。
なお、上述の第1電極の表面を洗浄する工程が終了してから、第1電極6に接して設けられる有機薄膜層(本実施形態では第1層の有機薄膜層)を形成するためのインキの塗布を開始するまでの時間は、短い方が好ましく、具体的には2時間以内であることが好ましく、30分以内であることがさらに好ましい。なお第1電極の表面を洗浄する工程が終了する時間は、上述の乾燥が完了する時刻であり、インキの塗布を開始する時間は、最初のインキが塗布される時間である。
本工程ではまず第1の有機薄膜層7となる材料を含むインキ22を隔壁3に囲まれた領域(凹部5)に供給する(図4(3)参照)。インキは、隔壁3の形状、成膜工程の簡易さ、および成膜性などを勘案して適宜最適な方法によって供給される。インキはたとえばインクジェットプリント法、ノズルコート法、凸版印刷法、および凹版印刷法などによって供給される。
図5(1)に示すように、隔壁3に囲まれた領域(凹部5)に供給されたインキ22は、第1電極上に濡れ広がるとともに隔壁3の側面にまで広がるが、隔壁3が撥液性を示すため、インキが隣の凹部に溢れ出ることを防ぐことができる。このように、撥液性を示す隔壁を設けることにより、隔壁に囲まれた領域(凹部5)内にインキを確実に収容させることができる。
つぎに、供給されたインキ22を固化することによって第1の有機薄膜層7を形成する(図5(1)参照)。インキの固化は、たとえば自然乾燥、加熱乾燥、真空乾燥によっておこなうことができる。またインキが、エネルギーを加えることによって重合する材料を含む場合、インキを供給した後に、薄膜を加熱したり、薄膜に光を照射したりすることによって、有機薄膜層を構成する材料を重合してもよい。このように有機薄膜層を構成する材料を重合することによって、この有機薄膜層上に有機薄膜層を形成するさいに使用されるインキに対して、有機薄膜層を難溶化することができる。
上述したように第1電極6の表面の濡れ性を高めるとともに、第1電極6の表面全体においてその濡れ性を均一化する処理をおこなったため、インキの溶媒が気化し、薄膜化するさいには、インキは、局所的に弾かれることなく、一様に第一電極上に保持されながら乾燥する。そのため均一な膜厚の第1の有機薄膜層7を形成することができる。
つぎに、発光層として機能する第2の有機薄膜層9を形成する。第2の有機薄膜層9は第1の有機薄膜層7と同様に形成することができる。すなわち赤色発光層9、緑色発光層9、青色発光層9となる材料を含む3種類のインキを、隔壁3に囲まれた領域にそれぞれ供給し、さらにこれを固化することによって各発光層9を形成することができる。
(第2電極を形成する工程)
本工程では有機薄膜層上に第2電極を形成する。本実施形態では第2電極10は、有機EL素子4が設けられる表示領域において全面に形成する。すなわち第2電極10は、第2の有機薄膜層9上だけでなく、隔壁3上にも形成し、複数の有機EL素子にわたって連続して形成する。このように第2電極を形成することにより、全ての有機EL素子4に共通の電極として機能する第2電極10が設けられる。
以上では格子状の隔壁を設けた形態の表示装置について説明したが、上述したように支持基板上にはストライプ状の隔壁を設けてもよい。図6は、ストライプ状の隔壁が設けられた本実施形態の表示装置の一部を拡大して模式的に示す平面図である。同図中、ハッチングが施された領域が隔壁3に相当する。図7は、行方向Xに垂直な平面で表示装置を切断した表示装置の断面形状を示す。なお表示装置を列方向Yに垂直な平面で切断した表示装置の断面形状は、図1と同じである。なお本実施形態の表示装置は前述の実施形態の表示装置と構成がほぼ共通するため、以下では相違する部分についてのみ説明し、対応する部分については同一の参照符号を付して、重複する説明を省略することがある。
ストライプ状の隔壁が設けられる場合、隔壁は、たとえば列方向Yに延在する複数本の隔壁部材から構成される。この隔壁部材は行方向Xに所定の間隔をあけて配置される。ストライプ状の隔壁が設けられた形態では、ストライプ状の隔壁と支持基板とによって、ストライプ状の凹部が規定される。
ストライプ状の隔壁が設けられる場合、有機EL素子4は、列方向Yに延在する各凹部において、列方向Yにそれぞれ所定の間隔をあけて配置される。
第1電極6は、上述の実施形態と同様にマトリクス状に配置される。隔壁3は、その端部3aが、第1電極6の行方向Xの一方の端部と、他方の端部とを覆うように形成される(図1参照)。なお図7に示すように、本実施形態では、第1電極6の列方向Yの端部は、隔壁によって覆われていない。
本実施形態では第1の有機薄膜層7および第2の有機薄膜層9は、それぞれ、列方向Yに延在する各凹部に延在して形成され、複数の有機EL素子にまたがって連なるように形成される。
<有機EL素子の構成>
以下では有機EL素子の構成についてさらに詳しく説明する。有機EL素子は、有機薄膜層として少なくとも1層の発光層を有するが、上述したように一対の電極間にたとえば正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、および電子注入層などを有する。
本実施形態の有機EL素子のとりうる層構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
h)陽極/発光層/電子注入層/陰極
i)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
以下同じ。)
本実施形態の有機EL素子は2層以上の発光層を有していてもよい。上記a)〜i)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極とに挟持された積層体を「構造単位A」とすると、2層の発光層を有する有機EL素子の構成として、以下のj)に示す層構成をあげることができる。なお2つある(構造単位A)の層構成は互いに同じでも、異なっていてもよい。
j)陽極/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極
ここで電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子を発生する層である。
電荷発生層としては、たとえば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜をあげることができる。
また「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の発光層を有する有機EL素子の構成として、以下のk)に示す層構成をあげることができる。
k)陽極/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極
なお記号「x」は、2以上の整数を表し、(構造単位B)xは、構造単位Bがx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
なお電荷発生層を設けずに、複数の発光層を直接積層させた有機EL素子を構成してもよい。
<支持基板>
支持基板には、有機EL素子を製造する工程において化学的に変化しないものが好適に用いられ、たとえばガラス、プラスチック、高分子フィルム、およびシリコン板、並びにこれらを積層したものなどが用いられる。
<陽極>
陽極としては、光透過性を有する電極を用いる。かかる電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物や金属の単層膜および積層膜を用いることができる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO(Indium Tin Oxide)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)から成る金属酸化物や、金、白金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、またはこれらの金属を少なくとも1種類以上を含む合金等が用いられる。また、積層膜の構成としてはITO\Ag\ITO、IZO\Ag\IZO、ITO\APC(AgPdCu合金)\ITO、IZO\APC(AgPdCu合金)\IZO、ITO\AgCu合金\ITO、IZO\AgCu\IZO、ITO\AgMg合金\ITO、IZO\AgMg合金\IZO、などを好適に用いることができる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す構成の有機EL素子では、発光層から放射される光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光に対する反射率の高い材料が好ましい。陰極には、たとえばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表の13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお電子注入層が陰極として用いられることもある。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを挙げることができる。
陽極または陰極の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層は、たとえば上述のように、正孔注入材料を含む溶液を所定の塗布法によって塗布成膜し、さらにこれを乾燥および焼成によって溶媒を揮発させ、固化することによって正孔注入層を形成することができる。有機材料が高分子型でも可溶性低分子型でも塗布法での膜形成であれば本発明の製造方法を適用できる。
正孔注入層の膜厚は、求められる特性および工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。
溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができ、これらを混合したものを用いてもよい。
溶液からの成膜方法としては、前述した正孔中注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができ、長寿命化の観点からは、前述した隣接層形成工程と同様の雰囲気中において成膜することが好ましい。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
正孔輸送層の膜厚は、求められる特性および成膜工程の簡易さなどを考慮して設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、たとえば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお発光層を構成する有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、塗布法によって発光層を形成する場合には、発光層は高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量はたとえば103〜108程度である。発光層を構成する発光材料としては、たとえば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
(色素系材料)
色素系材料としては、たとえば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、たとえばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、たとえばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
電子輸送層の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、およびこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、たとえばLiF/Caなどを挙げることができる。
電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
上述の各有機薄膜層は、たとえばノズルプリンティング法、インクジェットプリンティング法、凸版印刷法、凹版印刷法などの塗布法や、真空蒸着法などによって形成することができる。
なお塗布法では、各有機薄膜層となる有機EL材料を含むインキを塗布成膜し、さらにこれを固化することによって有機薄膜層を形成するが、その際に使用されるインキの溶媒には、たとえばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水などが用いられる。
カラー有機EL表示装置を作製する場合には、RGB各色でたとえば正孔注入層の膜厚を変更することで、各色での最適なマイクロキャビティ効果が得られる。
図9は、図8に示すフォトルミネッセンス(PL)スペクトル(ピーク波長517nm)が得られる緑発光材料を発光層に用いた有機EL素子において、正孔注入層の膜厚を変化させたときの、ELスペクトルをシミュレーションした図である。なおシミュレーションでは、有機EL素子の構成を「陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極」とし、陽極の構成を、ITO\APC\ITO=7nm\18nm\110nmとし、陰極のの構成をNaF\Al=2nm\1500とし、発光層の膜厚を100nmとし、正孔輸送層の膜厚を20nmとして、支持基板2に垂直方向に出射される光のELスペクトルを計算した。
たとえば、正孔注入層が40nmの場合には、ピーク波長526nm、CIE色度座標x=0.216、y=0.731となる。正孔注入層が50nmの場合には、ピーク波長542nm、CIE色度座標x=0.273、y=0.697となる。これら2つの発光色は明らかに異なる色として認識される。
このように、正孔注入層がわずか10nm変化しただけでも、もとの発光材料自体のスペクトルが大きく変化する。これはマイクロキャビティ効果により、視野角一定の条件下では選択的に強められる光波長帯が正孔注入層膜厚によって変化するからである。当然ながら、正孔注入層の膜厚がばらついた有機EL素子で構成した表示装置は、膜厚のばらつきが表示画面の色ムラとなってあらわれるため、製品歩留まりは低下する。
本発明の製造方法によれば、適切な正孔注入層膜厚のマイクロキャビティ構造を形成することが可能であり、所望の色度の有機EL素子を製造することが可能となる。
まず支持基板に近い側から膜厚7nmのITO、18nmのAPC、110nmのITOの順番に積層された薄膜からなる第1電極6が形成されたTFT基板を用意した。(図3(1)参照)。ただし、図3(1)ではITO層とAPC層の境界は省略しており、積層膜全体として第1電極6として図示している。
つぎにネガ型の感光性樹脂溶液(日本ゼオン株式会社製ZPN2464)に撥液剤2(ダイキン製 撥液剤オプトエース(登録商法)HPシリーズ)を混合し、撥液剤を含む感光性樹脂組成物を調整した。撥液剤を除く感光性樹脂組成物の全固形分に対する撥液剤の固形分濃度比{(撥液剤/撥液剤を除く感光性樹脂組成物の全固形分)×100}は0.2%(重量)とした。つぎに、用意したTFT基板の表面上に撥液剤を含む感光性樹脂組成物をスピンコータにより塗布成膜し、さらに、ホットプレート上において110℃で90秒間加熱することによってプリベーク処理を行い、溶媒を蒸発させた(図3(2)参照)。
つぎにプロキシミティ露光機を用いて露光量100mJ/cmで露光し(図3(3)参照)、その後、110℃で60秒間加熱することによって露光後ベーク(PEB)を行い、現像液(株式会社トクヤマ製SD-1(TMAH2.38wt%))を用いて100秒間現像した。さらにポストベークとして230℃で30分間加熱し、樹脂を硬化させ、順テーパ形状の隔壁を形成した(図4(1)参照)。隔壁の膜厚は0.6μmとした。隔壁頂面と純水との接触角は75°、隔壁頂面とアニソールとの接触角は39°であった。また第1電極表面と、純水との接触角は25°であった。なお、隔壁の膜厚を1.0μmになるように形成した時は、逆テーパ形状の隔壁が形成された。本実施例では順テーパの隔壁を用いたが、逆テーパの隔壁を使用してもよい。
つぎに第1の有機薄膜層として正孔注入層を形成した。隔壁の現像に用いたものと同じ現像液(株式会社トクヤマ製SD-1(TMAH2.38wt%))を0.5wt%に純水稀釈し、基板表面を洗浄した。この洗浄によって、第1電極表面と純水との接触角が5°以下にまで低下し、第1電極(ITO薄膜)表面に十分な濡れ性を付与することができた。このときの隔壁頂面とアニソールとの接触角は35°であった。つぎにインクジェット装置(ULVAC社製 Litlex142P)を用いてインキ(固形分濃度1.5重量%のポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)水分散液(バイエル社製 AI4083))を、各凹部に塗布した(図4(3)参照)。隔壁3は撥液性を有しているため、隣の凹部に溢れ出ることなく、隔壁3に囲まれた領域(凹部5)内にインキを収容させることができた。インキは第1電極において局所的に弾かれることなく一様に第一電極上に保持された。この基板を200℃で焼成することにより、均一な膜厚の正孔注入層を形成した(図5(1)参照)。
つぎに第2の有機薄膜層として正孔輸送層を形成した。シクロヘキシルベンゼンと4-メチル-アニソール(別名4-メトキシ−トルエン)の組成比(重量)8:2の混合溶媒に高分子正孔輸送化合物1が0.28重量%の割合となるように混合し、正孔輸送層形成用インキを得た。 前記正孔輸送層形成用インキをインクジェット装置(ULVAC社製 Litrex142P)を用いて所定の凹部内に塗布し、膜厚20nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を窒素雰囲気中で190℃で60分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然冷却させ、正孔輸送層を得た。(正孔輸送層は図5では省略している)
つぎに3種類の発光層を形成した。まず赤色の光を放射する高分子発光材料1を、その濃度が0.8wt%となるように有機溶媒に混合して、赤インキを調整した。同様に、緑色の光を放射する高分子発光材料2を、その濃度が0.8wt%となるように有機溶媒に混合して、緑インキを調整した。そして青色の光を放射する高分子発光材料2を、その濃度が0.8wt%となるように有機溶媒に混合して、青インキを調整した。これら赤、緑、青インキをそれぞれインクジェット装置(ULVAC社製 Litrex142P)を用いて所定の凹部内に塗布した。インキは、接触角の高い隔壁の頂面によって弾かれるため、この頂面を伝わって隣の領域に溢れ出ることが防がれ、凹部内に収容された。この基板を130℃で焼成することにより、均一な膜厚の発光層を形成した(図5(3)参照)。
つぎにNaF(2nm)からなる層、Mg(2nm)からなる層、Al(1500nm)からなる層、Ag(100nm)からなる層を真空蒸着法によって順次積層し、第2電極(陰極)を形成した。その後、封止基板を貼り合せて、有機EL素子を封止し、表示装置を作製した。
なお、各有機EL素子の有機薄膜層は各有機EL素子の種類に応じて、下表に示す膜厚で形成した。
Figure 2013235690
上記のようにして作製された各有機EL素子のELスペクトルを、発光材料のフォトルミネッセンス(PL)スペクトルとともに図10、図11、図12に示す。図10は赤色有機EL素子のELスペクトルおよび赤色発光材料のPLスペクトル、図11は緑色有機EL素子のELスペクトルおよび緑色発光材料のPLスペクトル、図12は青色有機EL素子のELスペクトルおよび青色発光材料のPLスペクトルをそれぞれ示す。なお、各発光材料のPLスペクトルはガラス基板上に発光層のみを形成した試料のPLスペクトルを測定したものである。ELスペクトルはマイクロキャビティ効果により、発光材料のPLスペクトルよりも先鋭化し、ピーク波長がシフトしていることが確認できる。
得られた有機EL素子の発光特性を以下に示す。このように所望の色度座標値が得られていることが確認された。
Figure 2013235690
1 表示装置
2 支持基板
3 隔壁
3a 端部
4 有機EL素子
5 凹部
6 第1電極
7 第1の有機薄膜層(正孔注入層)
8 隔壁形成用膜
9 第2の有機薄膜層(発光層)
10 第2電極
12 支持基板
13 隔壁
15 凹部
16 第1電極
17 インキ
18 有機薄膜層
19 残渣
21 フォトマスク
22 インキ

Claims (1)

  1. 支持基板と、この支持基板上において予め設定される区画を画成する隔壁と、この隔壁によって画成される区画にそれぞれ設けられる複数の有機EL素子とを含み、各有機EL素子は、第1電極、有機薄膜層、第2電極が、支持基板側からこの順で積層されて構成される表示装置の製造方法であって、
    撥液剤を含む感光性樹脂組成物をフォトリソグラフィ法によってパターン形成することにより形成された隔壁、および第1電極がその上に設けられた支持基板を準備する工程と、
    シュウ酸、燐酸、酢酸、硝酸および塩化水素の少なくともいずれか1つを含む溶液、または前記感光性樹脂組成物の現像液によって前記第1電極の表面を洗浄する工程と、
    前記第1電極上に、塗布法によって有機薄膜層を形成する工程と、
    前記有機薄膜層上に前記第2電極を形成する工程とを含む、表示装置の製造方法。
JP2012106476A 2012-05-08 2012-05-08 表示装置の製造方法 Pending JP2013235690A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012106476A JP2013235690A (ja) 2012-05-08 2012-05-08 表示装置の製造方法
PCT/JP2013/061730 WO2013168546A1 (ja) 2012-05-08 2013-04-22 表示装置の製造方法
TW102115223A TW201351636A (zh) 2012-05-08 2013-04-29 顯示裝置之製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012106476A JP2013235690A (ja) 2012-05-08 2012-05-08 表示装置の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013235690A true JP2013235690A (ja) 2013-11-21

Family

ID=49550597

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012106476A Pending JP2013235690A (ja) 2012-05-08 2012-05-08 表示装置の製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2013235690A (ja)
TW (1) TW201351636A (ja)
WO (1) WO2013168546A1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015015762A1 (ja) * 2013-08-01 2015-02-05 パナソニック株式会社 有機発光素子、有機発光表示パネルおよび有機発光表示装置
CN105914220A (zh) * 2015-02-24 2016-08-31 三星显示有限公司 有机发光显示设备
JP2019161091A (ja) * 2018-03-15 2019-09-19 住友ベークライト株式会社 感光性樹脂組成物および有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP2021108318A (ja) * 2019-12-27 2021-07-29 株式会社Joled 有機el素子、有機el表示パネルおよび有機el素子の製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016004910A (ja) * 2014-06-17 2016-01-12 キヤノン株式会社 有機発光装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4611829B2 (ja) * 2005-07-19 2011-01-12 東北パイオニア株式会社 自発光パネルの製造方法、および自発光パネル
JP4618562B2 (ja) * 2006-05-30 2011-01-26 富士電機ホールディングス株式会社 有機elディスプレイの製造方法
JP2010147180A (ja) * 2008-12-17 2010-07-01 Sumitomo Chemical Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP5563888B2 (ja) * 2010-05-12 2014-07-30 三菱電機株式会社 薄膜トランジスタとその製造方法、アクティブマトリックス基板、及び電気光学装置
US8647919B2 (en) * 2010-09-13 2014-02-11 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting display device and method for manufacturing the same

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015015762A1 (ja) * 2013-08-01 2015-02-05 パナソニック株式会社 有機発光素子、有機発光表示パネルおよび有機発光表示装置
JPWO2015015762A1 (ja) * 2013-08-01 2017-03-02 株式会社Joled 有機発光素子、有機発光表示パネルおよび有機発光表示装置
US9698382B2 (en) 2013-08-01 2017-07-04 Joled Inc. Organic light emitting element with increased efficiency of extracting blue light
CN105914220A (zh) * 2015-02-24 2016-08-31 三星显示有限公司 有机发光显示设备
US10847745B2 (en) 2015-02-24 2020-11-24 Samsung Display Co., Ltd. Light emitting display device with conductive protection layers that are apart from each other
US11611055B2 (en) 2015-02-24 2023-03-21 Samsung Display Co., Ltd. Organic light emitting display device with conductive protection layers that are spaced apart from each other and method of manufacturing the same
JP2019161091A (ja) * 2018-03-15 2019-09-19 住友ベークライト株式会社 感光性樹脂組成物および有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP7091735B2 (ja) 2018-03-15 2022-06-28 住友ベークライト株式会社 感光性樹脂組成物および有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP2021108318A (ja) * 2019-12-27 2021-07-29 株式会社Joled 有機el素子、有機el表示パネルおよび有機el素子の製造方法
JP7424830B2 (ja) 2019-12-27 2024-01-30 JDI Design and Development 合同会社 有機el素子、有機el表示パネルおよび有機el素子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
TW201351636A (zh) 2013-12-16
WO2013168546A1 (ja) 2013-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5573616B2 (ja) 表示装置
JP5192828B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス表示素子及びその製造方法
JP2009245736A (ja) 親液撥液パターンの形成方法および有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP6789196B2 (ja) 有機el表示パネル及び有機el表示パネルの製造方法
WO2011122481A1 (ja) 発光装置用基板の製造方法
JP5418487B2 (ja) 表示装置
WO2013168546A1 (ja) 表示装置の製造方法
WO2012002268A1 (ja) 表示装置およびその製造方法
WO2011122445A1 (ja) 発光装置
WO2009122870A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置
WO2011118654A1 (ja) 発光装置の製造方法
JP2010129345A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP2010147180A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP5036680B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP4893839B2 (ja) 発光装置の製造方法
JP6155856B2 (ja) 表示装置
JP2010160945A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法
JP2010160946A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法
WO2009122874A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置