JP6111240B2 - 電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、携帯機器(携帯型電子機器)のカバー部材として用いられる携帯機器用カバーガラスと、ポインティングデバイスなどのタッチセンサにおける内部基板のカバー部材として用いられるタッチセンサ用カバーガラスとを含む電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法に関する。
電子機器として、例えば携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルスティルカメラ、ビデオカメラ等の携帯機器の外装の一部をなすカバー部材には、携帯機器用カバーガラス(電子機器用カバーガラス)が用いられている。近年、携帯機器の薄型化や高機能化に加え、意匠性の観点から考案される様々な形状の携帯機器の筐体および表示画面に対応すべく、様々な形状のカバーガラスが作製されている
このような携帯機器用カバーガラスの基材であるガラス基板の外縁に何ら処理が施されていないとするならば、主表面と端面との境界線が鋭利となって、その境界線からクラックやチッピング(欠け)が生じやすいために所要の機械的強度が得られない場合がある。タッチパネル機能を備えた携帯機器に用いられる携帯機器用カバーガラスのガラス基板には、特に高い機械的強度が要求される。従来、携帯機器用カバーガラスのガラス基板の主表面と端面と間に介在する介在面(面取り面)を形成することが知られている。介在面の形成方法としては、研磨ブラシを用いた方法が知られている(特許文献1)。この方法によれば、ガラス基板の積層体に対して積層方向に直交する方向に研磨ブラシを回転させ、積層体の端面にブラシを接触させることによって、研磨ブラシの線材がガラス基板の外縁に接触して介在面が形成される。
特開2009−256125号公報
上述した特許文献1に記載された介在面の形成方法では、所定の径を有する研磨ブラシを使用しているため、研磨ブラシによって介在面を形成する上で外形上の制限がある。例えば、携帯機器用カバーガラスが携帯電話機に使用される場合には、携帯機器用カバーガラスのガラス基板に音声入出力用に比較的小さな開口が設けられることがある。そのような開口には研磨ブラシを挿入できない場合が多い。これと同様に、携帯機器用カバーガラスのガラス基板の外縁において曲率が小さい部分(平面視切り欠き状の部分)が設けられることがあり、この場合にも、研磨ブラシの線材が積層体の端面に十分に接触できない場合がある。
また、上述した研磨ブラシを使用する方法では、研磨ブラシによる線材がガラスの基板の端部に接触することによってマイクロクラックを生じさせる場合があり、このマイクロクラックがガラス基板の機械的強度を低下させる要因になりうる。
なお、このような問題は、携帯機機器用カバーガラスのガラス基板の製造工程のみならず、タッチセンサ用カバーガラスのガラス基板を含む電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造工程でも生じうる。
よって、発明の1つの側面では、ガラス基板の外形形状の制約を受けることなく、ガラス基板の機械的強度を向上させることができる電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題に直面した発明者は、エッチング処理によって電子機器用カバーガラスの介在面を形成できる方法を見出した。この方法によれば、介在面を形成するに際し研磨ブラシを使用することがないので、端面及び介在面を含む端部に対する線材の接触によってマイクロクラックを生じさせることがなく、高い機械的強度を維持することができる。また、エッチング処理による介在面の形成では、処理対象となるガラス基板の外形形状に対する制約がない。そのため、如何なる外形形状のガラス基板であっても介在面を形成することができる。これに加えて、マイクロクラックなどが存在するダメージ層がガラス基板の端部に形成されている場合には、エッチング処理によって、そのダメージ層を除去することにより、ガラス基板の機械的強度を向上させることができる。
本発明の第1の観点は、上記携帯機器用カバーガラスの製造方法において、一対の主表面と、前記一対の主表面に対して直交する方向に沿って配置された端面、及び前記一対の主表面と前記端面との間に配置された一対の介在面を含む端部とを有する電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板の前記主表面の面方向外側へ向けて前記ガラス基板の前記端面から突出する突出部を有し耐エッチング性を有する一対の保護材が前記一対の主表面のそれぞれに設けられた前記ガラス基板に対して、エッチング液を相対的に移動させて、前記端部に存在しうるダメージ層を除去するように前記ガラス基板の前記端部を溶解するとともに、前記一対の介在面を前記ガラス基板に形成するエッチング処理工程、を含むことを特徴とする。
上記電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法において、前記一対の保護材の端面が前記ガラス基板の前記端面と同一平面をなすように前記一対の保護材を前記ガラス基板に形成する保護材形成工程、をさらに含み、前記エッチング処理工程では、前記ガラス基板の前記端面の位置が前記主表面の面方向内側へ変化するように、前記一対の保護材同士の間で前記ガラス基板を前記エッチング液に溶解させることによって、前記一対の保護材に前記突出部を形成して、前記ガラス基板の前記端部を溶解するとともに、前記一対の介在面を前記ガラス基板に形成してもよい。
上記電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法において、前記ダメージ層の表層面は、機械加工により形成された機械加工面であってもよい。特に、機械加工されたガラス基板の端部は靭性が低く、マイクロクラックなどが存在するダメージ層が形成されやすく、このダメージ層を除去することにより、ガラス基板の機械的強度を向上させることができる。
上記電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法において、前記エッチング処理工程は、複数の前記ガラス基板が積層された状態で行われるようにしてもよい。
上記電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法において、前記エッチング処理工程の前に行われ、前記ガラス基板及び前記保護材に前記ガラス基板の厚さ方向に貫通する開口を機械加工により形成する開口形成工程、をさらに含み、前記エッチング処理工程では、前記開口の内壁部に存在しうるダメージ層を除去するように前記開口を広げる方向へ前記ガラス基板を溶解してもよい。
本発明の第2の観点は、一対の主表面と、前記一対の主表面に対して直交する方向に沿って配置された端面を含む端部とを有し、前記一対の主表面を貫通する開口が機械加工により形成された電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法であって、耐エッチング性を有する一対の保護材が前記一対の主表面のうち前記開口を除く部分にそれぞれに設けられた前記ガラス基板に対して、エッチング液を相対的に移動させて、前記開口の内壁部に存在しうるダメージ層を除去するように前記開口を広げる方向へ前記ガラス基板を溶解するエッチング処理工程、を含むことを特徴とする。
上記電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法において、前記エッチング処理工程後に行われ、イオン交換による化学強化を行う化学強化工程をさらに含み、前記エッチング処理工程では、前記開口の内壁部に存在しうるダメージ層を起因とする前記化学強化工程での前記ガラス基板の破損を抑えるように、エッチング処理の取しろが予め決められていてもよい。
上記電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法において、前記エッチング処理工程では、前記ガラス基板を前記エッチング液に浸漬し、前記ガラス基板の厚さ方向に対して平行に揺動させることによって、前記ガラス基板に対して、エッチング液を相対的に移動させてもよい。
実施形態のカバーガラスのガラス基板の斜視図。 実施形態のカバーガラスのガラス基板の端部の断面拡大図。 実施形態のカバーガラスの製造方法における各工程を示す図。 切断工程後のガラス基板の積層体の斜視図。 形状加工工程後のガラス基板の積層体の斜視図。 エッチング処理工程で使用されるエッチング装置の概略を示す図。 ガラス基板の積層体の端部形状のエッチングによる経時変化を示す図。 ガラス基板の積層体の端部形状に対するエッチング作用を説明する図。
(1)実施形態の携帯機器(電子機器)用カバーガラス(以下、適宜「カバーガラス」という。)
本実施形態のカバーガラスの好ましい利用形態は例えば、携帯型電子機器、特に携帯電話機(携帯機器)の表示画面の保護のために用いられるカバーガラスである。本実施形態のカバーガラスは所望の形状であってよく、同一の形状のガラス基板に対して公知の印刷法によって多層の印刷層を主表面上に形成することで作製される。ガラス基板は、機器の落下あるいは表示画面への操作入力(タッチパネル機能としての操作入力)に対する仕様を満足させるべく、薄くかつ高い強度を有するガラスからなる必要があるため、イオン交換処理による化学強化がなされている。
図1A及び図1Bに、本実施形態のカバーガラスのガラス基板の外観の一例を示す。図1Aは例示的なガラス基板1の斜視図であり、図1Bは図1Aに示すガラス基板1の端部(縁部)の断面を拡大した図である。ガラス基板1の板厚Tは特に限定されないが、カバーガラスが組み付けられる各種機器の重量増大の抑制や、機器の薄型化の観点から、通常は、1mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることがより好ましい。なお、板厚Tの下限値は、ガラス基板の機械的強度を確保する観点から、0.1mm以上とすることが好ましい。ガラス基板1の外形形状は、組み込み対象となる携帯機器に応じて適宜設定されうる。図1Aに例示するように、ガラス基板1には、必要に応じて、例えばレシーバやマイク等の音声入出力用の開口1hが形成される。なお、ガラス基板の端部に、主表面の面方向中心側へ窪む(平面視切り欠き状の)凹部を設けてもよい。
本実施形態のガラス基板は例えば、(1)ダウンドロー法やフロート法等を利用した板状ガラスの作製に用いられるSiOと、Alと、LiOおよびNaOから選択される少なくとも1種のアルカリ金属酸化物と、を含むアルミノシリケートガラス、(2)フロート法等を利用した板状ガラスの作製に用いられるソーダライムガラスなど、公知のガラス材料を用いることが好適である。ガラス基板の表面側および裏面側の表層部分にはそれぞれ、化学強化によって圧縮応力層が形成されている。この圧縮応力層は、ガラス基板を構成するガラス材料に元々含まれるアルカリ金属の一部を、よりイオン半径の大きなアルカリ金属に置換した変質層である。例えば、本実施形態のガラス基板を構成するガラス材料に含まれるナトリウムイオンがカリウムイオンに置換される。
アルミノシリケートガラスとしては、板状ガラスの製造性、機械的強度、化学的耐久性等の実用上の観点等から、ケイ素、アルミニウム、及びナトリウムのそれぞれの酸化物を最低限含み、特に酸化ケイ素の含有量が多く、酸化アルミニウムの含有量が相対的に少ないガラスあることがより好ましい。なお、このようなアルミノシリケートガラスとしては、例えば、SiOが58〜75重量%、Alが4〜20重量%、LiOが0〜10重量%、NaOが4〜20重量%を主成分として含有するアルミノシリケートガラスを用いることができる。
図1Bに示すように、本実施形態のガラス基板1は、一対の主表面1pと、一対の主表面1pに対して直交する方向に沿って配置された端面1tと、一対の主表面1pと端面1tとの間に配置された一対の介在面1cとを有する。端面1t及び一対の介在面1cは、ガラス基板1の端部をなしている。介在面1cは、カバーガラスの製造工程上、あるいはカバーガラスの携帯機器への組付け時において、マイクロクラックが生じることによる強度低下を回避するために設けられている。介在面1cと同様に、ガラス基板1には、開口1hの内壁面1wと一対の主表面1pとの間にも介在面が形成されている。
また、図1Bに示すように、実施形態のカバーガラスのガラス基板の端部において、主表面1pと介在面1cとの境界部b11,b12、及び介在面1cと端面1tとの境界部b21,b22は、いずれも丸みを帯びた形状となっている。
(2)実施形態のカバーガラスのガラス基板の製造方法
以下、本実施形態の携帯機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法について説明する。図2は、本実施形態の携帯機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法における各工程を順に示す図である。以下、各工程について説明する。
(2−1)板状ガラス積層工程
板状ガラス積層工程は、例えばダウンドロー法やフロート法により作製された所定のサイズの大判の板状ガラスを、保護材を介在させながら積層することによって板状ガラスの積層体を作製する工程である。
板状ガラスの間に介在させる保護材は、所定の接着強度があり、また後で剥離させることができる仮着材であることが好ましい。保護材として仮着材を用いることで、積層体を構成する各板状ガラスが分離し難くなるため、積層体の取り扱いが容易となる。そのような仮着材として、例えば紫外線硬化樹脂(UV硬化樹脂)は、所定の波長の紫外線の照射で容易に固化するため接着作業が容易であるという利点がある。紫外線硬化樹脂として、温水、有機溶媒もしくは熱により接着した板状ガラスを容易に剥離させることができるものが好ましい。なお、仮着材としては紫外線硬化樹脂のほか、ワックス、光硬化樹脂、可視光線硬化樹脂等も使用しうる。ワックスは、所定の温度で軟化して液状になり常温で固形状となるので、接着・分離作業が容易である。
このような仮着材はロール状で設けられてもよく、大判の板状ガラスの一面全体に仮着材のロールを回転させて仮付けして切断し、次にその仮着材の上に次の板状ガラスを載置させることを繰り返す。板状ガラスの積層枚数は例えば10〜100枚程度である。仮着材がUV硬化樹脂の場合には、板状ガラスの積層体に対して紫外線を照射して仮着材を硬化させる。なお、仮着材の代わりにスペーサを貼付する場合には、樹脂材料、繊維材料、ゴム材料、金属材料、セラミック材料の薄厚のスペーサを使用することができる。
保護材は、後述するエッチング処理工程で使用されるエッチング液に触れることになるため、エッチング液に対しては溶解・除去されない性質を有する(つまり、耐エッチング性を有する)ものであることが好ましい。エッチング液としてフッ化水素酸を主成分とする場合には、保護材はフッ化水素酸に対して難溶性または不溶性であることが好ましい。
なお、保護材として仮着材を使用する場合、保護材のガラス基板の主表面に対する接着強度はJIS K6849およびJIS R3202に準じた平面引張接着強度に関する測定条件で0.1〜10MPaの範囲にあることが好ましい。上記接着強度の範囲の下限は、ガラス基板同士が分離しないように保持し続けるのに最小限の接着強度によって定まり、上記接着強度の範囲の上限は、後述するエッチング処理工程においてガラス基板の端部に介在面が形成できるようにするための最大限の接着強度によって定まる。
また、仮着材の厚さが例えば200μm以上の場合等、厚過ぎる場合には、後の切断工程等でのガラスのチッピング(欠け)が問題となる上、樹脂の使用量が増加するためにコスト上昇の要因になり、仮着材の厚さが例えば5μm以下の場合等、薄過ぎる場合には、ガラス基板からの剥離が困難となる場合がある。よって、仮着材の厚さは10〜200μmであることが好ましく、10〜50μmであればさらに好ましい。
(2−2)切断工程
次に、大判の板状ガラスが積層された積層体を円板カッター(ダイヤモンドディスク)によって縦横に分割(切断)して、小片のガラス基板の積層体を作製する。この小片のガラス基板の大きさは、最終的に得られるカバーガラスよりも少し大きい程度である。切断工程によって得られた小片のガラス基板の積層体10Aの斜視図を図3に示す。図3に示すように、積層体10Aは、保護材100Aとガラス基板1Aが順に積層された構造となっている。切断工程後の積層体10Aの側面では、保護材100Aとガラス基板1Aの端面が同一平面をなしている。
(2−3)開口形成工程
次に、ガラス基板の積層体10Aに対して、カバーガラスに設けられるべき開口1hに対応する開口を機械加工により形成する。なお、カバーガラスに開口が不要であれば、開口形成工程も不要である。開口形成工程では、例えばドリル等の機械的加工手段を用いて所望の形状の開口をNC加工により形成する。
(2−4)形状加工工程
次に形状加工工程を行う。形状加工工程は、ガラス基板の積層体10Aの外形がカバーガラスの外形形状となるように、積層体10Aに対して機械加工を行う工程である。形状加工工程では、例えばグラインダ等を用いてガラス基板の積層体10Aの外縁を研削加工(NC加工)して、所望の外形形状にする。形状加工工程によって得られたガラス基板の積層体10Bの例示的な斜視図を図4に示す。図4に示すように、積層体10Bは、保護材100Bとガラス基板1Bが順に積層された構造となっている。切断工程後の積層体10Bの側面では、保護材100Bとガラス基板1Bの端面が同一平面をなしている。形状加工後のガラス基板の端面は、比較的粗い表面性状の機械加工面となっている。図4に示す積層体10Bでは、開口形成工程で形成された開口10Hの一例が示されている。
(2−5)エッチング処理工程(端部処理工程)
エッチング処理工程は、積層体10Bを構成する各々のガラス基板1Bの端部に対し、図5に示すエッチング処理装置20を用いてエッチング処理を施す工程である。エッチング処理工程では、図5に示すエッチング処理装置20を用いて、積層体10Bを構成する各々のガラス基板1Bの端面の加工によりダメージを受けたダメージ層のエッチングと介在面の形成とを同時に行う。
エッチング処理装置20について図5を参照して説明する。図5に示すように、エッチング処理装置20では、エッチング液L1によって満たされた液槽3が設けられる。エッチング液L1としては、少なくともフッ化水素酸を含むものであれば特に限定されないが、必要に応じて、硫酸あるいは塩酸等、酸解離定数がフッ化水素酸よりも大きい酸を添加剤として加えてもよい。
液槽3内には、ガラス基板の積層体10Bを保持する保持機構や、バブリング機構等の槽内液循環装置や、積層体10Bを揺動するためのアクチュエータ(図示せず)を含む揺動機構5が設けられていることが好ましい。揺動機構5による積層体10Bの好ましい揺動例は、図5に矢印で示すように積層体10Bの積層方向(つまり、ガラス基板の厚さ方向)に、所定の揺動量及び一定時間当たりの所定の揺動回数で積層体10Bを揺動させることである。
積層体10Bにおいて、液槽3内のエッチング液に接触するガラス基板の端面からエッチングが進行するが、エッチングの進行に伴い反応生成物として不溶性あるいは難溶性の塩(例えば、M[AlF],M[AlF、M:アルカリ金属、アルカリ土類金属)が生ずる。この不溶性あるいは難溶性の塩は、積層体10Bの揺動、さらにはエッチング処理装置20の液循環システムによってガラス基板の端面から除去されうる。エッチング処理装置20の液循環システムは、液槽3の上部に設けられるオーバーフロー槽4と、配管8と、エッチング液から反応生成物を除去するためのフィルタリング装置6と、循環ポンプ7とから構成されている。
この液循環システムでは、液槽3内のエッチング液が液槽3からオーバーフロー槽4に移動し、配管8を通じてフィルタリング装置6に送られる。そして、フィルタリング装置6によってエッチングによる反応生成物が捕捉・除去される。反応生成物が除去されたエッチング液は、循環ポンプ7により液槽3の底面から再び液槽3内に戻される。ここで、フィルタリング装置は、反応生成物をエッチング液から選択的に除去するための装置である。また、フィルタリング装置は、エッチング液から反応生成物を選択的に除去可能な構成、例えば、遠心分離による選択的除去や、沈殿槽による選択的除去などを実現可能な装置構成であることが好ましい。
ガラス基板の積層体10Bの揺動機構5、及び液循環システムを採用することによって、積層体10Bのガラス基板の端部にエッチングの反応生成物が堆積し難くなるため、エッチング後のエッチング面に対するスクラブ洗浄等の物理的な処理が不要となる。そのため、本工程では、エッチング後のスクラブ洗浄等の物理的な処理によって生じうるガラス基板の端部に対する機械的損傷の可能性を無くすことができる。
以下、図6を参照して、エッチング処理工程におけるエッチングの進行について説明する。図6において、ステップS1〜S3は介在面形成工程におけるガラス基板1Bの端部形状の変化を概念的に示す図である。図6のステップS1は、初期状態の(つまり、形状加工工程後の)積層体10Bを示しており、積層体10Bを構成する保護材100Bとガラス基板1Bの端面は、前工程である形状加工工程における機械加工によって同一面(機械加工面)となっている。
エッチング処理工程では先ず、適切な濃度の添加剤を含むように調製したエッチング液でエッチング処理装置20の液槽3内を満たし、揺動機構5により所定の揺動量、揺動回数で積層体10Bを一定時間(例えば、3分間)揺動させる。例示的なエッチング液は、液総量1kgあたり、10molのフッ化水素酸と、添加剤として1.0molの硫酸とを含む。その結果、図6のステップS2に示すように、積層体10Bを構成する各ガラス基板1Bの端面1tからエッチングが進行する。つまり、保護材100Bは耐エッチング性を有しているために溶解・除去されないが、エッチング液に触れているガラス基板1Bの端面1tは、ステップS1の状態よりも溶解・除去される。
エッチングの進行に伴って、例えば、ガラス基板1Bの端面1tは、保護材100Bの端面よりも例えば20〜200μm程度内側まで溶解・除去される。つまり、図6のステップS2に示すように、積層体10Bを構成する各ガラス基板1Bの端面1tの位置が主表面1pの面方向内側へ変化するように、各ガラス基板1Bに設けられた一対の保護材100B同士の間で前記ガラス基板を前記エッチング液に溶解させることによって、一対の保護材100Bに突出部100j(ガラス基板の端面1tを基準として外側に突出した保護材100Bの部分)が形成される。
さらに、エッチング処理装置20の揺動作用によって、保護材100Bとガラス基板1Bの界面(図6にBDで示す。)にエッチング液が分子レベルで内側に浸透することで、図6のステップS3に示すように介在面1cが形成される。このとき、実質的に等方性エッチングがなされるため、主表面1pと介在面1cとの境界部、及び介在面1cと端面1tとの境界部は、いずれも丸みを帯びた形状となる(図1Bを参照)。
なお、開口形成工程にて開口10Hが形成された場合には、開口内にもエッチング液が充満しているため、介在面形成工程によって、積層体10Bを構成する各ガラス基板1Bの開口の内壁面と主表面との間に介在面が形成される。
エッチング処理装置20の揺動作用を、概略的に図7に示す。エッチング処理装置20において、積層体10Bに対して上下方向、つまり、ガラス基板の厚さ方向に対して平行に揺動が行われると、保護材100Bの突出部100jが形成されているために、図7に示すように、積層体10Bが下方向に移動するときにはガラス基板の端面1tに向けたエッチング液の流動F1が生じ、積層体10Bが上方向に移動するときにはガラス基板の端面1tに向けたエッチング液の流動F2が生じる。これによって、保護材100Bとガラス基板1Bの界面BD(図6参照)に沿ってエッチング液が分子レベルで内側に浸透し、主表面1pと端面1tに介在する部分を溶解・除去する。その結果、主表面1pと端面1tとの間に介在面1cが形成される。形成される介在面1cの面内方向の幅(面取り量)は、例えば50〜100μm程度である。
上述したエッチング処理工程では、積層体10Bをエッチング液内で揺動させることで、積層体10Bを構成する各ガラス基板1Bの端面を化学研磨すると同時に、各ガラス基板1Bの介在面を形成することができる。ガラス基板1Bの端面の化学研磨によって端面の外観の仕上がりが良好になるとともに、前工程で生じうるマイクロクラックを含むダメージ層を除去できる。また、ガラス基板1Bの介在面の形成によって、物理的なダメージによるガラス基板の角部分の応力集中を回避でき、物理的なダメージによる強度低下を回避できる。さらに、上述したエッチング処理工程では、単一のエッチング処理によってガラス基板の端部に存在しうるダメージ層除去と介在面の形成とを行うことでき、製造工程が簡略化できるという利点がある。
ここで、エッチング処理工程では、開口の内壁部に存在しうるダメージ層を起因とする化学強化工程でのガラス基板の破損を抑えるように、エッチング処理の取しろが予め決められている。このエッチング工程での開口の内壁部の取しろ(溶解量)は、ガラス基板1Bの端面1tの場合と同様に、20〜200μmとしても良い。また、より確実にダメージ層を除去するために50μm以上とし、生産効率を高めるために100μm以下とすることが好ましい。
なお、本実施形態のように、ガラス基板の端面のダメージ層除去の化学研磨と介在面の形成とを同時に行うことができる点は、特に従来技術と比較して有利である。例えば、特開昭57−34049号公報には、従来の介在面の形成方法が記載されているが、この形成方法によれば、隣接するガラス基板の間に介在するスペーサの端部を予め、ガラス基板の端部から内側へ所定の距離だけオフセットさせるようにしている(第2図のt)。このような方法では、様々な形状のガラス基板を多品種作製する場合に、ガラス基板の様々な形状に応じたスペーサをそれぞれ用意し、かつガラス基板の全縁に亘って一定の距離だけ内側へオフセットされるようにスペーサを正確にガラス基板に配置させなければならない。このような正確な配置は、製造上極めて非効率となりうる。
また、上記エッチング処理は、例えば図1Aに例示した開口1hを備えた携帯機器用カバーガラスのガラス基板に対して特に有効である。積層体10Bの開口10Hの開口面積によっては研磨ブラシを挿入することができず、研磨ブラシによる開口内の介在面の形成ができない場合があるが、本実施形態のエッチング処理によれば、ガラス基板の外周縁部と同様に、ガラス基板の開口内の内壁面をエッチングするとともに内壁面と主表面との間に介在面を形成させることができる。
なお、積層体10Bの開口10H内で十分にエッチング液を流動させて開口内の介在面を良好に形成させるためには、積層体10Bの積層方向の揺動量を制御することが好ましい。例えば、揺動条件として、エッチング処理工程の対象となるガラス基板と保護材の厚さの和(図5に示す例では、積層体10Bの積層方向の長さ)の2倍以上であり、揺動回数は1〜60回/分であるのが好ましい。また、揺動回数は、エッチング液の循環効果をより高めるために10〜30回/分であるのがより好ましい。
なお、エッチング処理装置20において、積層体10Bの揺動方向は上述した方向に限られず、他の揺動方向でもよい。例えば、ガラス基板1Bの主表面と平行な方向(つまり、前後左右の方向)に揺動させてもよい。ガラス基板あるいはその積層体に対してエッチング液を相対的に移動させればよく、その揺動方向は問わない。ガラス基板に対してエッチング液を相対的に移動させることで、端面に向けたエッチング液の流動が生ずるため、それによって保護材とガラス基板の界面にエッチング液が浸透し、介在面が形成される。
また、ガラス基板あるいはその積層体に対してエッチング液を相対的に移動させればよいので、エッチング処理工程に用いる装置は、図5に示した浸漬式のエッチング処理装置20に限られない。例えば、シャワー方式のエッチング装置を用いてもよく、エッチング液をガラス基板の端部に向けて噴出させることで端面に向けたエッチング液の流動を生じさせてもよい。このような装置によってもガラス基板の介在面を形成することができる。
(2−6)剥離工程
剥離工程は、ガラス基板の積層体10Bを1枚ずつ剥離し、積層体10Bから個々のガラス基板を分離する工程である。剥離工程における剥離方法は保護材の特性に依存するが、例えば、紫外線硬化樹脂からなる保護材(仮着材)の中には、温水(摂氏80〜90度)の環境下で剥離するタイプの保護材が存在する。そのような場合には、積層体10Bを温水を含む容器内に浸漬させることで、積層体10Bを1枚ごとのガラス基板に剥離(分離)することができる。
(2−7)化学強化工程
次に、化学強化工程を行う。
化学強化工程では、ガラス基板を複数枚、カセット(ホルダー)に装填し、溶融塩を含む化学強化処理液にカセットを浸漬させる。これにより、ガラス基板に含まれる1種以上のアルカリ金属を、溶融塩のアルカリ金属との間でイオン交換処理を行い、ガラス基板の表層部分に圧縮応力層を形成する。
溶融塩の組成および温度、ならびに、浸漬時間は、ガラス基板のガラス組成や、ガラス基板の表層部分に形成する圧縮応力層の厚み等に応じて適宜選択できるが、ガラス基板のガラス組成が上述したアルミノシリケートガラスやソーダライムガラスであれば、化学強化処理液の処理温度を通常500℃以下とする低温型イオン交換法を利用することが好ましい。これは、イオン交換をガラスの徐冷点以上の温度域で行う高温型イオン交換法では、低温型イオン交換法ほど大きな強度が得られず、また、強化処理中に溶融塩によってガラス表面が浸食され透明性が損なわれやすいため、携帯機器用カバーガラスに適したガラス基板が得られにくいことによる。例えば、本実施形態の化学強化工程では、溶融塩の組成および温度、ならびに、浸漬時間は、下記に例示する範囲から選択することが好ましい。
・溶融塩の組成 :硝酸カリウム、または、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの混塩
・溶融塩の温度 :320℃〜470℃
・浸漬時間 :3分〜600分
(2−8)最終洗浄工程
最終洗浄工程では、例えば、化学強化後のガラス基板を複数枚パレットに載せた状態で行われる酸洗浄、アルカリ洗浄、純水によるリンス洗浄、IPA(イソプロピルアルコール)による洗浄の少なくともいずれかを含む。
以下に、本発明を実施例によりさらに説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1〜3及び比較例1]
ケイ素、アルミニウム、及びナトリウムのそれぞれの酸化物を最低限含み、特に酸化ケイ素の含有が多く、酸化アルミニウムの含有量が相対的に少ないアルミノシリケートガラスをダウンドロー法により、板厚0.5mmの板状ガラスに成形した。このダウンドロー法により形成された板状ガラスの主表面の表面粗さ(算術平均粗さRa)を、原子間力顕微鏡により調べたところ10nmであった。
上記板状ガラスを370mm×470mmのサイズの矩形のガラス基板に切り出し、切り出したガラス基板を、その表面に仮着材としての紫外線硬化樹脂材を均一に貼り付けた上で積層して積層体を作製した。さらに積層体に可視光線を照射させて樹脂材を硬化させ、積層されたガラス基板が分離しないようにした。なお、実施例の積層体として、表1に示すように、異なる接着強度の仮着材を用いた複数の積層体を用意した。
[実施例1〜3及び比較例1の積層体]
・ガラス基板の積層枚数:20枚
・仮着材:紫外線硬化樹脂材
・仮着材の厚さ:約20μm
実施例の積層体を作製後、図5に示したエッチング処理装置を用い、積層体を構成する各ガラス基板の端部に対してエッチング処理を行った。エッチング処理条件は以下のとおりとした。
[エッチング処理条件]
・エッチング液:液総重量1kgあたりのHFの物質量10mol、及びHSOの物質量2.0mol
・エッチング液の温度:30℃
・循環される流量:10L/分
・揺動時間:5分
・揺動量:100mm(p-p)
・揺動回数:30回/分
なお、比較例の積層体に対しては、図5に示したエッチング処理装置のエッチング液に浸漬させたのみであり、揺動をさせなかった。
エッチング処理後、実施例及び比較例の積層体をエッチング処理装置から取り出し、温水(摂氏80〜90度)に浸漬させて複数のガラス基板に分離した。このとき、各ガラス基板の表面に異常は見られなかった。得られたガラス基板について、介在面の面取り量と、4点曲げ強度とを測定して評価した。介在面の面取り量と4点曲げ強度の測定方法及び評価基準は、以下の通りとした。
ガラス基板の端部をレーザ顕微鏡により200倍に拡大して、介在面の面取り量を測定し、50〜100μmの場合に「○」、20〜50μmの場合に「△」、20μm以下の場合に「×」と評価した。「○」又は「△」が合格である。
エッチング処理の効果を確認するため未強化ガラスを使用し、アイコーエンジニアリング(株)製精密荷重測定機MODEL-1311VRを用いて、JIS−R1601に準じた4点曲げ試験法により破壊荷重を測定し、ガラス基板の4点曲げ強度を算出した。そして、4点曲げ強度が300N以上である場合を「○」、200〜300Nの範囲である場合を「△」、200N以下である場合を「×」とした。「○」又は「△」が合格である。なお、評価サンプルの外形サイズは100.4mm×47.4mmである。
Figure 0006111240
表1に示すように、積層体を揺動させながらエッチングを行う(つまり、ガラス基板に対してエッチング液を相対的に移動させる)ことで、評価項目がすべて良好となる場合があることが分かる。また、表1に示すように、介在面の形状及び4点曲げ強度の点から、仮着材の接着強度は、10MPa以下であるのが良いことが分かる。これは、仮着材の接着強度が10MPa以下である場合には、仮着材とガラス基板の主表面との粘着度合いが低くエッチング液が浸透しやすいためであると考えられる。
また、形状加工工程後のエッチング処理工程を省略し、他の工程を実施例1と同一条件で作製したガラス基板について、実施例1と同様に、4点曲げ試験法により破壊荷重を測定したところ、4点曲げ強度が200N未満であり、機械加工によるダメージ層がガラス基板の機械的強度に顕著に影響していることが確認できた。
[実施例4及び比較例2]
実施例1の製造条件を変更して、開口付のガラス基板を作成した。具体的に、実施例1で作成した370mm×470mmのサイズのガラス基板の積層体を121.7mm×63.7mmのサイズに切り出し、切り出した積層体の長手方向の一端から30mm間隔をおいて1.1mm×9.8mmの平面視長孔状の開口を機械的加工手段により形成した。そして、実施例4では、実施例1と同様のエッチング条件により、外周と開口の内壁部に0.1mmの取しろでエッチング処理を施した。このエッチング処理後のサンプルの外形サイズは121.5mm.×63.5mmとなり、開口のサイズは1.3mm×10.0mmとなった。この後に、エッチング処理後の積層体を温水(摂氏80〜90度)に浸漬させて複数のガラス基板に分離し、各ガラス基板に化学強化を施し、ガラス基板を作成した。
比較例2では、実施例4の開口形成工程とエッチング処理工程との順番を入れ替えて、1.3mm×10.0mmのサイズの開口を実施例4の場合と同じ箇所に形成し、他の工程は実施例4と同一の条件でガラス基板を作成した。そして、実施例4及び比較例2で作成したガラス基板に対して、次の落球試験及び静圧試験を行い、これらの試験結果を表2に記載する。なお、落球試験及び静圧試験の試験枚数は、実施例4及び比較例2でいずれも10枚であり、表2には、平均値を記載する。
[落球試験]
開口を有するステンレス製受け冶具でガラス基板の外周の全周を2mm幅で支持した状態で、ガラス基板の開口の中心部に向けて、重量32g、直径20mmの鉄球を50mmの高さから落とし、ガラス基板に割れや欠けが生じるまで高さを上げて、ガラス基板に割れや欠けが生じた高さを測定した。
[静圧試験]
外径40mm、内径30mmのリング状のステンレス製受け冶具の上に、測定対象のガラス基板の開口の中心が受け治具のリングの中心に位置するようにガラス基板を載置し、その上方から、直径10mmの先端半球状のステンレス製の押し冶具で押圧しガラス基板が割れた際の破壊加重を静圧強度として測定した。
Figure 0006111240
表2に示すように、実施例4では比較例2に対して、落球試験及び静圧試験ともに、明らかに機械的強度が高いことが確認できた。これは、ガラス基板に開口を機械的加工手段により形成した後のエッチング処理によって、ガラス基板における開口の内壁部のダメージ層が除去されているためである。
ここで、実施例4の方式で作成したガラス基板では、化学強化工程における歩留まりが約98%であった。これに対して、比較例2の方式で作成したガラス基板では、化学強化工程における歩留まりが約45%であった。具体的に、比較例2の方法で作成したガラス基板では、化学強化工程の際にスリット周辺の欠けやひび割れなどの破損が生じたことが確認された。これは、化学強化の際のガラス基板の熱膨張や、化学強化の際のイオン交換に伴う応力変化によって、ドリルなどの機械加工による開口形成の際に開口の内壁部のダメージ層のマイクロクラックが進展したためである。なお、開口の内壁部のみならず、ガラス基板の外周においてもダメージ層をエッチング処理で除去しない場合には、ダメージ層の影響によって化学強化工程での歩留まりが大幅に低下することが確認された。
従って、機械加工方式で外形加工及び開口形成の少なくともいずれか一方を行う場合、機械加工に伴うダメージ層をエッチング処理によって除去する必要があり、機械加工に伴うダメージ層をエッチング処理で除去することによって、機械的強度のみならず、化学強化工程での歩留まりを向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更してもよい。
例えば、上述した実施形態では、複数のガラス基板の積層体を対象として、開口形成工程、形状加工工程、及びエッチング処理工程を行う例について説明した。しかしながら、本発明の加工方式は、このような積層方式に限るものではなく、1枚のガラス基板単位で各工程を行う方式(枚葉方式)でもよい。また、開口形成工程及び形状加工工程の少なくとも一方を枚葉方式で行った後、ガラス基板を積層して、積層体をエッチング処理してもよい。
さらに、開口形成工程を経て予め開口が形成されたガラス基板(非積層体)に対して、エッチング処理してもよい。具体的に、予め開口が形成されたガラス基板に対して、耐エッチング性を有する一対の保護材を一対の主表面のうち開口を除く部分にそれぞれに設けて、その後に、エッチング液をガラス基板に対して相対的に移動させて、開口の内壁部に存在しうるダメージ層を除去するように開口を広げる方向へガラス基板をエッチング処理してもよい。
また、上述した実施形態では、本発明を携帯機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法に適用した例について説明した。しかしながら、本発明は、タッチセンサにおける内部基板のカバー部材として用いられるタッチセンサ用カバーガラスのガラス基板の製造方法に適用してもよい。

Claims (8)

  1. 一対の主表面と、前記一対の主表面に対して直交する方向に沿って配置された端面、及び前記一対の主表面と前記端面との間に配置された一対の介在面を含む端部とを有する電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法であって、
    前記ガラス基板の前記主表面の面方向外側へ向けて前記ガラス基板の前記端面から突出する突出部を有し耐エッチング性を有する一対の保護材が前記一対の主表面のそれぞれに設けられた前記ガラス基板に対して、エッチング液を相対的に移動させて、前記端部に存在するダメージ層を除去するように前記ガラス基板の前記端部を溶解するとともに、前記一対の介在面を前記ガラス基板に形成するエッチング処理工程と、
    前記エッチング処理工程の前に行われ、前記ガラス基板及び前記保護材に前記ガラス基板の厚さ方向に貫通する開口を機械加工により形成する開口形成工程と、
    を含み、
    前記エッチング処理工程では、前記開口の内壁部に存在するダメージ層を除去するように前記開口を広げる方向へ前記ガラス基板を溶解する
    ことを特徴とする電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  2. 前記一対の保護材の端面が前記ガラス基板の前記端面と同一平面をなすように前記一対の保護材を前記ガラス基板に形成する保護材形成工程、
    をさらに含み、
    前記エッチング処理工程では、前記ガラス基板の前記端面の位置が前記主表面の面方向内側へ変化するように、前記一対の保護材同士の間で前記ガラス基板を前記エッチング液に溶解させることによって、前記一対の保護材に前記突出部を形成して、前記ガラス基板の前記端部を溶解するとともに、前記一対の介在面を前記ガラス基板に形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  3. 前記ダメージ層の表層面は、機械加工により形成された機械加工面である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  4. 大判の板状ガラスを保護材を介在させながら積層することによって板状ガラスの積層体を作製する板状ガラス積層工程と、
    前記大判の板状ガラスが積層された積層体を分割して、小片のガラス基板の積層体を作製する切断工程と、をさらに含み、
    前記形状加工工程は、前記小片のガラス基板の積層体の外形がカバーガラスの外形形状となるように機械加工を行い、
    前記エッチング処理工程は、複数の前記ガラス基板が積層された状態で行われる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  5. 記エッチング処理工程では、前記ガラス基板の端面の位置が主表面の面方向内側へ変化するように前記ガラス基板を溶解する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに1項に記載の電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  6. 一対の主表面と、前記一対の主表面に対して直交する方向に沿って配置された端面を含む端部とを有し、前記一対の主表面を貫通する開口が機械加工により形成された電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法であって、
    耐エッチング性を有する一対の保護材が前記一対の主表面のうち前記開口を除く部分にそれぞれに設けられた前記ガラス基板に対して、エッチング液を相対的に移動させて、前記開口の内壁部に存在するダメージ層を除去するように前記開口を広げる方向へ前記ガラス基板を溶解するエッチング処理工程、
    を含むことを特徴とする電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  7. 前記エッチング処理工程後に行われ、イオン交換による化学強化を行う化学強化工程
    をさらに含み、
    前記エッチング処理工程では、前記開口の内壁部に存在するダメージ層を起因とする前記化学強化工程での前記ガラス基板の破損を抑えるように、エッチング処理の取しろが予め決められている
    ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
  8. 前記エッチング処理工程では、前記ガラス基板を前記エッチング液に浸漬し、前記ガラス基板の厚さ方向に対して平行に揺動させることによって、前記ガラス基板に対して、エッチング液を相対的に移動させる
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器用カバーガラスのガラス基板の製造方法。
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