JP6111175B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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Description

本発明は、衣類等の洗濯を行う洗濯機に関し、特に、略水平もしくは前方を上に向けて傾斜させたドラムを備えるドラム式洗濯機に関する。
ドラム式洗濯機は、略水平もしくは前方を上に向けて傾斜させたドラム内に衣類を投入して洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を行うものである。洗い工程、すすぎ工程ではドラムを低速で回転させ、ドラム下方に溜まった衣類を持ち上げて、ドラム上方から落下させるタンブリング動作を行う。このタンブリング動作により、衣類に機械的な力を与えて洗浄およびすすぎを行っている。脱水工程時にはドラムを高速で回転させ、回転による遠心力で衣類から水分を衣類の外に押し出す遠心脱水を行う。
また、洗い工程において、循環ポンプで洗濯槽(外槽)内の洗濯水を汲み上げて衣類にかけ、洗剤が溶けた洗濯水を衣類に満遍なく浸透させる。このように、ドラム式洗濯機は、縦型洗濯機と比較して少ない水でも洗浄性能を確保して、節水することができるようになっている。
下記特許文献1には、貯水が可能な水槽と、通水が可能な孔を有して前記水槽内に回転可能に配設された回転槽と、前記水槽が有する水取出し口と水戻し口を該水槽外部で連通する循環水路と、この循環水路の途中部に設けられた循環ポンプと、前記循環水路と前記循環ポンプとを含んで構成され、水槽内の水を、前記循環ポンプのポンプ作用により前記循環水路を通して吸入して前記水戻し口から前記水槽内へ吐出させて循環させる循環装置とを備えたドラム式洗濯機が開示されている(請求項1参照)。ちなみに、循環ポンプのポンプモータの回転速度を3600rpmより高く設定することが開示されている(請求項4参照)。
特開2009−55999号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、小さいポンプ羽根を使用しながらも、ポンプ羽根の高速回転によって、必要なポンプ性能を得ることを目的としたものである。また、単純に循環ポンプの回転速度を3600rpmより高くしても、静圧が上昇するため騒音が大きくなるばかりでなく、循環流路の耐圧力性を向上させるための大幅な構造変更が必要となる。
そこで、本発明の目的は、循環ポンプの実装性や低騒音を維持しつつ高い循環流量を実現し、洗浄性能の高いドラム式洗濯機を提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明に係るドラム式洗濯機は、内部に水を溜める外槽と、前記外槽内に回転自在に支持され、衣類が収容されるドラムと、前記ドラムを回転駆動するドラムモータと、前記外槽内に給水する給水手段と、前記外槽から水を吸い込み、前記ドラム内に向かって散水する循環ポンプと、前記ドラムモータ、前記給水手段および前記循環ポンプを制御する運転制御手段と、を備えたドラム式洗濯機において、前記循環ポンプの羽根車を収納するケーシング内に水を流入させる吸込みポートの断面積を707mm2以上とし、前記吸込みポートを円形換算したときの直径(d2)と前記羽根車の直径(d1)の比であるd2/d1を0.66以上0.8以下にすると共に、前記吸込みポートの上流側流路の断面積を前記吸込みポートの断面積以上とし、前記外槽の底部から前記外槽の上部へ至る循環流路の断面積を491mm2以上とした上で、前記運転制御手段が、前記循環ポンプを2300rpm以上4200rpm以下の回転数で駆動させ、前記外槽の底部と前記循環ポンプとを接続する配管の内径は、前記循環ポンプと前記外槽の上部とを接続する配管の内径より大きい。

本発明によれば、循環ポンプの実装性や低騒音を維持しつつ高い循環流量が実現でき、結果として洗浄性能の高いドラム式洗濯機を提供できる。
本発明の実施形態のドラム式洗濯乾燥機を示す外観斜視図である。 図1のドラム式洗濯乾燥機の筐体の側板を外してその内部構造を概略的に示す側面図である。 (a)は、図2のIII−III断面図であり、外槽の底部に形成される窪み部の説明図、(b)は、従来のドラム式洗濯乾燥機における外槽の底部に形成される窪み部の説明図である。 (a)は、図1のドラム式洗濯乾燥機における外槽の底部から循環ポンプに向かう循環流路を示す平面図、(b)は、従来のドラム式洗濯乾燥機における外槽の底部から循環ポンプに向かう循環流路を示す平面図である。 図1のドラム式洗濯乾燥機の循環ポンプ及び循環流路を示す斜視図である。 図5の循環ポンプを上方からみた平面図である。 (a)は、外槽カバーに設けられる循環流路を示す斜視図、(b)は、循環ポンプと外槽カバーに設けられる循環流路とを接続する蛇腹ホースを示す斜視図である。 (a)は、外槽カバーに設けられる循環流路を示す平面図、(b)は、循環流路に接続されるノズルの部分拡大図である。 外槽カバーの循環流路に接続されるノズル付近の部分拡大斜視図である。 第1実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機における洗濯運転の運転工程を説明する工程図である。 (a)は循環ポンプの循環流量と洗浄比との関係を示すグラフであり、(b)は循環ポンプの回転数と循環流量との関係を示すグラフである。 (a)は循環ポンプの静圧−流量特性を示すグラフであり、(b)は循環ポンプの吸込みポート径/羽根車径と流量の関係を示すグラフである。 ごわつきの官能評価の実験結果である。 循環ポンプの循環流量と衣類の明度変化量の関係を示すグラフである。 黒ずみの官能評価の実験結果である。 第2実施形態に係るドラム式洗濯機における洗濯運転の運転工程を説明する工程図である。 第3実施形態に係るドラム式洗濯機における洗濯運転の節水を重視した標準コースの運転工程を説明する工程図である。 第3実施形態に係るドラム式洗濯機における洗濯運転のごわつき抑制を重視した特殊コースの運転工程を説明する工程図である。
次に、本発明の実施形態のドラム式洗濯乾燥機について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態のドラム式洗濯乾燥機は、衣類のごわつきを抑えて洗濯仕上りを向上させるために、衣類に加わる機械力を低減させる洗浄を可能とするものである。一般に、機械力を低減させると洗浄性能が低下してしまうところ、本実施形態では、洗濯水の循環流量を大幅に増やして、その洗浄性能を確保する運転を行っている。
まず、主に図1及び図2を参照しながらドラム式洗濯乾燥機の全体構成について説明する。図1は、本実施形態のドラム式洗濯乾燥機Sを示す外観斜視図である。図2は、図1のドラム式洗濯乾燥機の筐体の側板を外してその内部構造を概略的に示す側面図である。以下の説明における前後上下左右の方向は、図1に示す前後上下左右の方向を基準とする。
符号1は、外郭を構成する筐体である。筐体1は、ベース1hの上に取り付けられており、左右の側板1a,1b、前面カバー1c、背面カバー1d、上面カバー1e、下部前面カバー1fで構成されている。左右の側板1a,1bは、コの字型の上補強材36、前補強材37、後補強材(図示せず)で結合しており、ベース1hを含めて箱状の筐体1を形成している。
符号9は、前面カバー1cの略中央に設けた衣類を出し入れするための投入口を塞ぐドアで、前補強材37に設けたヒンジ9cで開閉可能に支持されている。ドア開放ボタン9dを押すことでロック機構(図示せず)が外れて開き、ドア9を前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じる。前補強材37は、後記する外槽2の開口部と同心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
符号6は、筐体1の上部中央に設けた操作パネルで、電源スイッチ39と、操作ボタン12,13と、表示器14と、を備える。操作パネル6は、筐体1の下部に設けた制御装置38と電気的に接続している。
符号19は、筐体1内の上部左側に設けた洗剤容器であり、前部開口から引き出し式の洗剤トレイ7の装着が可能となっている。洗剤類を入れる場合は、洗剤トレイ7を図1中の2点鎖線で示すように引き出す。洗剤容器19は、筐体1の上補強材36に固定されている。また、洗剤容器19の左側面のやや後方に出水口19aを有している。従って、洗剤容器19の底面は出水口19aの位置が最も低くなるようなすり鉢状に形成されている。
洗剤容器19の後側には、給水電磁弁16、風呂水吸水ポンプ17、水位センサ34等の給水関連部品が設けられている。洗剤容器19の上部開口には、給水ユニット15を備える。上面カバー1eには、水道栓からの給水ホース接続口16a、風呂の残り湯の吸水ホース接続口17aが設けられている。
符号3は、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽(ドラム)であり、その外周壁及び底壁に通水及び通風のための多数の貫通孔(図示省略)を有し、前側端面には、衣類を出し入れするための開口部3aが設けられている。開口部3aの外側にはドラム3と一体の流体バランサ(図示省略)を備えている。また、ドラム3の回転中心軸は、水平又は開口部側が高くなるように傾斜している。
符号2は、円筒状の外槽であり、ドラム3を同軸上に内包し、前面は開口し、後側端面の外側中央にはモータ4が取り付けられる。モータ4の回転軸は、外槽2を貫通し、ドラム3と結合している。前面の開口部には、外槽2内への貯水を可能にする外槽カバー2dが設けられている。外槽2は、下側をベース1hに固定されたダンパ5で防振支持されている。符号10はゴム製のベローズであり、ドア9を閉じることで外槽2を水封する。
外槽2の側面後部には、外槽2内へ水や洗剤類を供給する給水口2aが設けられている。給水口2aと洗剤容器19の出水口19aとは、ゴム製の蛇腹ホース20で接続されている。
外槽2の底側内周面には、凹状の窪み部2fが外槽2の軸方向に延在するように設けられている。この窪み部2fの底面は、前側から後側に下がる傾斜面になっており、窪み部2fの後側には排水口21が設けられている。排水口21には継手21aを介して蛇腹ホース22が接続されている。窪み部2fの前側には底部循環水の流入口18が設けられている。
符号26は、排水ホースであり、後記する循環ポンプ24の出水ポート23b(図4(a)参照)にその一端が接続され、その他端側は機外に延出している。符号25は、排水ホース26の機内での延在途中に設けられた排水弁である。
図3(a)は、図2のIII−III断面図であり、外槽の底部に形成される窪み部の説明図、図3(b)は、従来のドラム式洗濯乾燥機における外槽の底部に形成される窪み部の説明図である。
図3(a)に示すように、窪み部2fの上部には、窪み部2fの幅の略半分を覆うように外槽2の外周壁の内周面から連続する隔壁Wが形成されている。隔壁Wはドラム3の脱水時の回転方向Rに対して対向する方向にドラム3の外周面に沿うように延出している。排水口21及び流入口18は、窪み部2fの幅方向の中心からドラム3の回転方向Rにずれた位置に形成されている。これにより排水口21と流入口18の上部には隔壁Wが配置されることとなる。
窪み部2fは、脱水時にドラム3の回転による遠心力で、ドラム3の貫通孔(図示省略)から外槽2の内周面側に向かって水が出ていく際に、ドラム3の回転方向Rと同一方向に流れる水を受け止め、排水口21へ導く。隔壁Wは、窪み部2fへ入った水が再び外槽2内に戻らないように堰き止める作用効果を発揮する。
図3(b)に示す従来のドラム式洗濯乾燥機の窪み部2fの容積が1〜1.5L程度であるのに対して、図3(a)に示す本実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの窪み部2fの容積は、2.5L以上となるように設定されている。
つまり、図3(a)に示す窪み部2fと、図3(b)に示す窪み部2fとの対比から明らかなように、本実施形態での窪み部2fは、外槽2の周方向に幅広に形成されている。この窪み部2fは、外槽2の内径の35%以上の幅となるように設定しても良い。
これにより、ドラム式洗濯乾燥機Sは、従来のドラム式洗濯乾燥機よりも外槽2における貯水量が増大する。この窪み部2fの拡大により、後述する循環ポンプの回転数を高めることで、大流量の洗濯水が循環ポンプに吸い込まれ、循環流量が増大し、結果として衣類の洗浄効率が従来よりも一段と向上する。
次に参照する図4(a)は、図1のドラム式洗濯乾燥機Sにおける外槽の底部から循環ポンプに向かう循環流路を示す平面図、図4(b)は、従来のドラム式洗濯乾燥機における外槽の底部から循環ポンプに向かう循環流路を示す平面図である。
図4(a)に示すように、本実施形態での排水口21の継手21aは、蛇腹ホース22との接続部が排水口21から左側に向かって突出するように形成されている。そして、蛇腹ホース22の一端が継手21aに接続され、蛇腹ホース22の他端が循環ポンプ24の入水ポート23aに接続される。
本実施形態での蛇腹ホース22は、循環流路の一部を構成しており、蛇腹ホース22の内径は、35mm以上、望ましくは37〜50mm程度に設定される。ちなみに、この蛇腹ホース22の内径は、蛇腹の山径(蛇腹の狭小部の内径)で規定される。
また、蛇腹ホース22の長さは、400mm以下、望ましくは150〜300mm程度に設定される。ちなみに、蛇腹ホース22の長さは、継手21aの出口から循環ポンプ24の入水ポート23aの入口までの間で延びる蛇腹ホース22の長さで規定される。
このように、本実施形態では、蛇腹ホース22が継手21aの出口に対して、横方向かつ循環ポンプ24側から接続されているので、継手21aから循環ポンプ24の入水ポート23aの入口に至るまでの長さを短くでき、流路抵抗が小さくなる。また、循環ポンプ24の上流側にある蛇腹ホース22の内径を35mm以上と通常より大きくしたので、この点も流路抵抗の減少につながる。従って、詳細は後で述べるが、循環ポンプ24の回転数を高くすることにより、大流量の洗濯水を吸い込んで、ドラム3内へ循環させることが可能となっている。
ちなみに従来のドラム式洗濯乾燥機での継手21aは、図4(b)に示すように、蛇腹ホース22aとの接続部が排水口21から後側に向かって突出するように形成されている。そして、継手21aと入水ポート23aとの間で延在する従来の蛇腹ホース22aの長さは、460mm程度であり、この従来の蛇腹ホース22aの内径は、30mm程度である。
図4(a)及び(b)中、符号23bは、循環ポンプ24の出水ポートであり、符号44は、外槽カバー2dの後記する循環流路27(図6(a)参照)に向けて水を吐出する吐出ポートであり、符号45は、循環ポンプ24から外槽2(窪み部2f)内に水を送り込む吐出ポートである。
再び図2に戻って、外槽2の後部端面の最下部にはエアトラップ2eが設けられている。エアトラップ2eの下部には外槽2(窪み部2f)と連通する穴2e1が設けられており、エアトラップ2eの上部と水位センサ34とをチューブ35で接続し、外槽2内の水位を検出する。ちなみに、従来のドラム式洗濯乾燥機では、排水口21の後部上方にエアトラップ2eが設けられている。循環水は、排水口21からエアトラップ2eの下方を通り蛇腹ホース22a(図4(b)参照)へ流れる。蛇腹ホース22aの内径は本実施形態での蛇腹ホース22(図4(a)参照)の内径よりも狭小であるこのため、循環流量を増大するとエアトラップ2eの穴2e1下部の流速が高くなり、ベルヌーイの定理によりエアトラップ2e内の圧力が低下して外槽2内の水位を正確に検出できない問題がある。本実施形態では、循環水は排水口21から左側に向かって流れるため(図4(a)参照)、連通穴2e1部の流速が小さく、エアトラップ2e内の圧力低下が発生しないため、外槽2内の水位を正確に検出できる。
外槽2とベース1hとの間には、循環ポンプ24、フィルタケース23、排水弁25が設けられている。フィルタケース23は、前側に開口部を有する円筒状で、内部に着脱可能なフィルタ(図示省略)が装着されており、洗濯水中の異物や糸くずを捕集する。フィルタケース23は、下部前面カバー1fに設けた扉1gを開け、取手23dを回すことでフィルタ(図示省略)を容易に着脱できるようになっている。このフィルタケース23は、作業がしやすいよう前側が高くなるように傾斜している。
循環ポンプ24を中心とする洗濯水の循環系に関しては後に詳しく説明する。
符号29は乾燥ダクトであり、筐体1の背面内側に配置されている。この乾燥ダクト29は、外槽2の後部に設けた吸気口にゴム製の蛇腹ホース29aで接続されている。乾燥ダクト29内には、水冷除湿機構(図示せず)が内蔵されている。
ちなみに、乾燥運転時には、図示しないヒータ、送風ファン等によりドラム3内に温風が吹き込まれ、衣類から水分が蒸発する。高温多湿となった空気は、乾燥ダクト29に吸い込まれ、前記の水冷除湿機構で冷却除湿されて低温空気となり、図示しないヒータで加熱されてからドラム3内に吹き込まれる。なお、ヒータ、水冷除湿機構の代わりにヒートポンプを用いても良い。
次に参照する図5は、図1のドラム式洗濯乾燥機の循環機構を構成する循環ポンプ及び循環流路を示す斜視図であり、図6は循環ポンプを上から見た平面図である。
図5、図6に示すように、循環ポンプ24は、フィルタケース23と一体に形成されるケーシング42と、循環ポンプモータ47とを備えて構成されている。ケーシング42には、前記したように、吸込みポート43、吐出ポート44,45、入水ポート23a、及び出水ポート23bが形成されている。
吸込みポート43は、フィルタケース23とケーシング42を繋ぐ略円形の貫通穴で、循環ポンプ24の羽根車46と同軸に形成されている。
吐出ポート44は、蛇腹ホース41を介して外槽カバー2dの内側周壁に設けられた後述する循環流路27(図7(b)参照)に繋がっている。
なお、この蛇腹ホース41及び循環流路27は、上述の蛇腹ホース22(図4(a)参照)と共に、外槽の底部から外槽の上部へ至る循環流路を構成している。
循環流路27は、外槽カバー2dの上方内側に設けられた後記ノズル27a(図7(a)参照)に接続されている。
吐出ポート45は、蛇腹ホース40を介して継手18aに接続されている。この継手18aは、外槽2の底部の窪み部2f(図3(a)参照)に臨むように形成された流入口18に設けられている。
排水弁25(図2参照)を閉じた状態で、外槽2内に洗濯水を溜め、循環ポンプ24の循環ポンプモータ47が正回転すると、外槽2内の洗濯水は排水口21(図3(a)参照)から蛇腹ホース22を通り、フィルタケース23内のフィルタ(図示省略)で異物が除去される。その後、洗濯水は、吸込みポート43からケーシング42に入り(図6の矢印F)、吐出ポート44から吐出され、循環流路27に送り込まれ、後述するノズル27a(図7(a)参照)からドラム3(図2参照)内に散水される。
循環ポンプ24の循環ポンプモータ47が逆回転すると、外槽2内の洗濯水は排水口21(図3(a)参照)から蛇腹ホース22を通り、フィルタケース23内のフィルタ(図示省略)で異物が除去される。その後、洗濯水は、吸込みポート43からケーシング42に入り、吐出ポート45から吐出され、蛇腹ホース40及び継手18aを介して流入口18から外槽2内に戻る。また、排水弁25(図2参照)が開かれると、外槽2内の洗濯水は、フィルタケース23内のフィルタ(図示省略)を通り、出水ポート23bに接続された排水ホース26から機外へ排水される。
ちなみに、本実施形態での循環ポンプモータ47は、後述する循環流量を確保するために、2000〜4200rpmの回転数で回転可能となっている。この回転数は、後述するように制御装置38(図2参照)で制御されることとなる。
次に参照する図7(a)は、外槽カバーに設けられる循環流路を示す斜視図、図7(b)は、循環ポンプと外槽カバーに設けられる循環流路とを接続する蛇腹ホースを示す斜視図である。図8(a)は、外槽カバーに設けられる循環流路を示す平面図、図8(b)は、循環流路に接続されるノズルの部分拡大図である。図9は、外槽カバーに設けられる循環流路に接続されるノズル付近の部分拡大斜視図である。
図7(a)及び(b)に示すように、循環ポンプ24の吐出ポート44にその一端が接続される蛇腹ホース41は、その他端が循環流路27の入口ポート2gに接続される。この入口ポート2gは、図7(b)に示すように、外槽カバー2dの外周面に形成されている。
本実施形態での循環流路27は、図7(a)に示すように、樹脂製の外槽カバー2dの内側周壁に一体に成形された管状通路で構成されている。この循環流路27は、外槽カバー2dの開口に沿うように形成され、外槽カバー2dの上部に形成されるノズル27aに接続されている。本実施形態の循環流路27の断面形状は、四角形であるが、これに限らず、円形、楕円形、多角形等とすることができる。循環流路27の断面積は、円形のものに換算して直径25mm以上相当のものが望ましい。
本実施形態の循環流路27によれば、外槽カバー2dの内側周壁に設けられているので、従来の、例えば外槽カバー2dの外側周壁に設けられる塩化ビニル管等で形成されるものと異なって、破損するおそれが一段と少なく、また万一破損したとしても外槽2の外側に洗濯水が漏れ出ることは無い。また、循環流路27は、外槽カバー2dに設けた溝部27bに蓋27cを被せて一体化した構成としているので、従来のものよりも部品点数が少なくて済む。
ノズル27aは、循環ポンプ24(図5参照)の吐出ポート44から吐出される洗濯水を外槽カバー2dの上部からドラム3(図2参照)内に向けて噴射するものである。
このノズル27aは、図9に示すように、その開口がスリット状に形成されており、洗濯水を薄膜状に広げて噴射できるようになっており、ドラム内の広い範囲に散水できる。また、洗濯水の循環流量が従来よりも増加するので、このノズル27aのスリット幅(隙間幅)を従来よりも幅広にしても噴射の勢いが弱まることがない。よって、このスリット幅(隙間幅)を3mm以上とすることができ、糸くず等によるノズル27aの閉塞がより確実に防止される。なお、ノズル27aのベローズ10側に整流部27gが形成されており、洗濯水をドラム3の奥側に向かって噴射するようにしてある。これにより、ドラム3内の前側から奥側までの衣類に洗濯水を散水することができる。
また、外槽カバー2dには、循環流路27と連通する小孔Hをノズル27aに隣接するように形成してもよい。洗濯水が循環流路27を通じてノズル27aから噴射される際に、この小孔Hからはベローズ10の裏側に向けて洗濯水が噴射される。この小孔Hから噴射される洗濯水は、ベローズ10の裏側を上部から下部に向かって流れる際に、ベローズ10の裏側に付着した糸くず等を洗い流すことが可能となる。
循環流路27からノズル27aへの接続は、図8(b)の一点鎖線で示すように、なだらかな曲線とした方が、圧力損失が少なくできるため流量を確保するためには好ましい。しかし、矢印50で示す洗濯水は外槽カバー2dの開口に沿って流れてくるため、遠心力で壁27e側に偏った流れ(矢印50a)となり、ドラム3内へ均一に散水されない。そこで、循環流路27をノズル27aの上流で壁27dによって略90度に曲げ、ノズル27aに向かい扇形に開く壁27e、壁28fでノズル27aに接続するように形成した。洗濯水は、壁27dに当たることで流れ方向が急激に曲げられる、さらに、壁27dに当たることで発生する動圧により、壁27f側への循環水を分配することができる。これにより、洗濯水は矢印50a、50bで示す範囲の扇形に広がり、ドラム3内へ均一に噴射され、衣類にむらなく洗濯水を振りかけることができる。
次に、制御装置38(図2参照)について説明する。制御装置38は、マイクロコンピュータ、駆動回路等を備えるとともに、図2に示す操作ボタン12,13のオンオフ信号や各種センサから出力信号の入力回路等も備える。また、マイクロコンピュータは、ユーザの操作や、洗濯工程、乾燥工程での各種情報信号を受ける。マイクロコンピュータは、駆動回路を介して、モータ4、給水電磁弁16、排水弁25、送風ファン(図示省略)等に接続され、これらの開閉、回転、通電を制御する。また、ユーザにドラム式洗濯乾燥機Sに関する情報を知らせるために、表示器14やブザー(図示省略)等も制御する。
≪第1実施形態の運転工程≫
次に、図10を用いて、第1実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程について説明する。図10は、第1実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sにおける洗濯運転(洗い〜すすぎ〜脱水)の運転工程を説明する工程図である。
ステップS1において、制御装置38は、ドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程のコース選択の入力を受け付ける(コース選択)。ここで、使用者は、ドア9を開けて、ドラム3の内部に洗濯する衣類を投入し、ドア9を閉じる。そして、使用者は、操作スイッチ12,13を操作することにより、運転工程のコースを選択し入力する。操作スイッチ12,13が操作されることにより、選択された運転工程のコースが制御装置38に入力される。制御装置38は、入力された運転工程のコースに基づいて、運転パターンデータベースから対応する運転パターンを読み込み、ステップS2に進む。なお、以下の説明において、標準コース(洗い〜すすぎ2回〜脱水)が選択されたものとして説明する。
ステップS2において、制御装置38は、ドラム3に投入された衣類の重量(布量)を検出する工程を実行する(布量センシング)。具体的には、制御装置38は、モータ4を駆動してドラム3を回転させるとともに、衣類重量算出部が注水前の衣類の重量(布量)を算出する。
ステップS3において、制御装置38は、洗剤量・運転時間を算出する工程を実行する(洗剤量運転時間算出)。具体的には、制御装置38は、給水電磁弁16を制御して(例えば、第3電磁弁を開弁して)、外槽2の給水口2aに直接給水する。制御装置38の電導度測定部は、外槽2の内底部に配置された電気伝導度センサ(図示せず)を介して、給水された水の電導度(硬度)を検出する。また、温度センサで、給水された水の温度を検出する。その後、給水電磁弁16を制御して(例えば、第3電磁弁を閉弁して)、外槽2への給水を終了する。
制御装置38の洗剤量・洗い時間決定部は、ステップS2で検出した布量、水の電導度(硬度)、水の温度に基づいて、マップ検索により、投入する洗剤量と運転時間を決定する。そして、制御装置38は、決定された洗剤量・運転時間を表示器14に表示する。なお、外槽2に給水して水の電導度(硬度)および水温を検出するものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、前回運転時の水の電導度(硬度)および水温をマイクロコンピュータの記憶部(図示せず)に記憶しておき、それを用いてもよい。
ステップS4において、制御装置38は、洗剤投入待ち工程を実行する(洗剤投入待ち工程)。例えば、制御装置38は、所定時間待機して、ステップS5に進む。使用者は、待機中に表示器14に表示された洗剤量を参考に、洗剤トレイ7内に洗剤類を入れる。なお、制御装置38は、洗剤トレイ7の開閉を検知する手段(図示せず)を設け、洗剤トレイ7が開けられた後に閉じられた場合、洗剤類が投入されたものとして、ステップS5に進む構成であってもよい。
ステップS5において、制御装置38は、洗剤溶かし工程を実行する(洗剤溶かし工程)。例えば、制御装置38は、給水電磁弁16を制御して(例えば、第1電磁弁を開弁して)、給水管を介して粉末洗剤投入室および液体洗剤投入室に給水する。粉末洗剤投入室および液体洗剤投入室の洗剤と水は、洗剤送出管、蛇腹ホース20、外槽2の後側上部にある給水口2a、外槽2の底壁52内面に形成された給水経路を介して、その出口から外槽2の窪み部2fに流入する。所定水量まで給水すると、制御装置38は、給水電磁弁16を制御して(例えば、第1電磁弁を閉弁して)、給水を停止させる。そして、制御装置38は、洗剤溶かし動作を実行する(洗剤溶かし動作)。具体的には、制御装置38は、循環ポンプ24を所定の回転数で逆回転するように制御して、排水口21から蛇腹ホース22を介して吸い込んだ水と洗剤を、蛇腹ホース40を介して窪み部2fの流入口18から吐出させる。流入口18から吐出された水と洗剤は、窪み部2fを流れ、排水口21へと向かい、循環するようになっている。これにより、水と洗剤が攪拌され、洗剤が水に溶かされるようになっている。所定時間(例えば、10秒)が経過すると、制御装置38は、循環ポンプ24を停止させ、ステップS6に進む。
ステップS6において、制御装置38は、回転給水工程を実行する(回転給水工程)。具体的には、制御装置38は、給水電磁弁16を制御して(例えば、第1電磁弁と第3電磁弁を開弁して)、外槽2内の洗い水の水位を上昇させるとともに、モータ4を制御してドラム3を所定の回転数(例えば40rpm)(図10参照)で回転させ、衣類の入れかえを行うとともに、循環ポンプ24を所定の回転数(例えば3000rpm)(図10参照)で正回転するように制御して、排水口21から吸い込んだ洗剤濃度の高い洗い水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させることにより、ドラム3の内部の衣類に染み込ませる。
そして、外槽2内の洗い水の水位が、所定の水位まで上昇すると、給水を停止させる(例えば、第1電磁弁と第3電磁弁を閉弁する)。回転給水工程を開始して所定時間が経過すると回転給水工程を終了し、ステップS7に進む。
ステップS7において、制御装置38は、予洗い攪拌工程を実行する(第1の攪拌工程)。ここで予洗い攪拌工程とは、洗剤溶かし工程で生成された洗剤濃度の高い洗い水を衣類に浸み込ませる工程である。洗剤濃度の高い洗い水を衣類に多量に浸み込ませることにより、洗浄力が向上する。
具体的には、制御装置38は、循環ポンプ24を所定の回転数(例えば3000rpm)(図10参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだ洗い水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させる。同時に、モータ4を制御してドラム3を所定の回転数(例えば80rpm)(図10参照)で回転させることにより、ドラム3の内部の衣類を遠心力でドラム外周壁内面に張り付け、ドラムの上方から落下したときに発生する機械的な力が加わることを防止する。また、外槽2の円筒面(例えば前から見て外槽2の右側の円筒面)に異常溢水のための溢水口(図示せず)を備えている場合、ドラム3は前から見て右回転(正回転)させることで洗い水が異常溢水のための排水口(図示せず)より流出することを防止でき、望ましい。本実施形態ではドラム3を正回転させるが、前から見て左回転(逆回転)または正逆両方向に回転させてもよい。所定の時間(例えば3分間)が経過すると、制御装置38は、予洗い攪拌工程を終了し、ステップS8に進む。
ステップS8において、制御装置38は、本洗い攪拌工程を実行する(第2の攪拌工程)。ここで、本洗い工程とは、ドラム3の回転によりドラム3内の下方に溜まった衣類を持ち上げて、ドラム3内の上方から落下させることにより、衣類に機械的な力を与えてたたき洗いをする工程である。
具体的には、制御装置38は、循環ポンプ24を所定の回転数(例えば3800rpm)(図10参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだ洗い水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させるとともに、モータ4を制御してドラム3を所定の回転数(例えば40rpm)(図10参照)で回転させることにより、ドラム3の内部の衣類をたたき洗いする。所定の時間(例えば6分間)が経過すると、制御装置38は、本洗い攪拌工程を終了し、ステップS9に進む。
ステップS9において、制御装置38は、排水工程を実行する。制御装置38は、モータ4および循環ポンプ24を停止させ、排水弁25を開弁して外槽2内の洗濯水を排水する。水位センサは、排水中の外槽2内の洗濯水の水位を監視し続ける。水位センサの検知値が所定の水位を下回ると、制御装置38は、排水工程を終了し、ステップS10に進む。
ステップS10において、制御装置38は、脱水1工程を実行する。制御装置38は、排水弁25の開弁を維持した状態において、ドラム3を高速で逆回転させて(例えば1250rpm)(図10)、衣類に含まれる洗濯水を脱水する。所定の時間が経過すると、制御装置38は、脱水1工程を終了し、ステップ11に進む。
ステップS11において、制御装置38は、回転シャワー工程を実行する。制御装置38は、ドラム3を中速で逆回転させつつ(例えば260rpm)(図10)、排水弁25を閉弁し、給水電磁弁16を制御して(例えば、第3電磁弁を開弁して)(図10)、衣類に水を散布する。このときの給水電磁弁16の制御時間は、ステップS2で検出した布量に基づいて決定される。所定の時間が経過すると、給水を停止させる(例えば、第3電磁弁を閉弁して)。循環ポンプ24を所定の回転数(例えば3800rpm)(図10)となるように制御して、排水口21から吸い込んだ洗い水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させ、衣類に含まれる洗剤を希釈する。所定の時間が経過すると循環ポンプ24を停止させ、排水弁25を開弁して外槽2内のすすぎ水を排水する。
ステップS12において、制御装置38は、脱水2工程を実行する。制御装置38は、排水弁25の開弁を維持した状態において、ドラム3を高速で逆回転させて(例えば1250rpm)(図10)、衣類に含まれる洗濯水を脱水する。所定の時間が経過すると、制御装置38は、脱水2工程を終了し、ステップ13に進む。
ステップS13において、制御装置38は、給水工程を実行する。制御装置38は、排水弁25を閉弁し、給水電磁弁16を制御して(例えば、第1電磁弁を開弁して)(図10)、外槽2内にすすぎ水を供給する。所定の水位まで上昇すると、給水を停止させ(例えば、第1電磁弁を閉弁して)、制御装置38は、給水工程を終了し、ステップS14に進む。
ステップS14において、制御装置38は、ソフナー給水工程を実行する。制御装置38は、給水電磁弁16を制御して(例えば、第2電磁弁を開弁して)、外槽2内に柔軟仕上げ剤を含んだすすぎ水を供給するとともに、ドラム3を正逆両方向に回転攪させ、ステップS13で外槽2内に供給されたすすぎ水と柔軟仕上げ剤を混ぜ合わせる。
ステップS15において、制御装置38は、回転給水・補給水工程を実行する。制御装置38は、給水電磁弁16を制御して(例えば第1電磁弁と第3電磁弁を開弁して)、所定の水位まで外槽2に給水する。また、制御装置38は、モータ4を制御してドラム3を回転させ、循環ポンプ24を所定の流量(例えば3000rpm)(図10参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだすすぎ水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させて、衣類に柔軟仕上げ剤を染み込ませる。
ステップS16において、制御装置38は、攪拌工程を実行する。制御装置38は、モータ4を制御してドラム3を回転させ、循環ポンプ24を所定の流量(例えば3800rpm)(図10参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだすすぎ水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させて、衣類をすすぐ。そして、所定の時間が経過すると、制御装置38は、攪拌工程を終了し、ステップS17に進む。
ステップS17において、制御装置38は、排水工程を実行する。制御装置38は、モータ4および循環ポンプ24を停止させ、排水弁25を開弁して外槽2内のすすぎ水を排水する。水位センサは、排水中の外槽2内の洗濯水の水位を監視し続ける。水位センサの検知値が所定の水位を下回ると、制御装置38は、排水工程を終了し、ステップS18に進む。
ステップS18において、制御装置38は、脱水工程を実行する(脱水工程)。具体的には、制御装置38は、排水弁25を開弁させるとともに、モータ4を制御してドラム3を高速で逆回転させ、衣類を遠心脱水する。そして、所定の時間が経過すると、制御装置38は、モータ4を停止させ、排水弁25を閉弁して、洗濯コース(洗い〜すすぎ〜脱水)を終了する。
本洗い攪拌工程(第2の攪拌工程)のドラム3の回転数は、60rpm未満になっている。ドラム3の回転数を60rpm未満にすることにより、ドラム3内の下方に溜まった衣類を持ち上げてドラム3内の上方から落下させるたたき洗いをする。たたき洗いで衣類に加わる落下衝撃(機械力)により洗浄性能を得ている。また、予洗い攪拌工程(第1の攪拌工程)のドラム3の回転数は、60rpm以上になっている。ドラム3の回転数を60rpm以上にすることにより、ドラム3内の衣類は、遠心力によりドラム3の壁面方向に張り付く。即ち、衣類がドラム3内の上方から落下する際に加わる落下衝撃(機械力)が抑制され、「衣類のごわつき」を抑制できる。一般にドラム式洗濯機は、衣類を落下させる、たたき洗いを行うため、縦型洗濯機と比べて衣類がごわつきやすいが、本実施形態によれば、予洗い攪拌工程中の落下衝撃が抑制され衣類がごわつき難くなる。
一方、機械力が抑制されることにより、洗浄性能が低下するおそれがある。これに対し、予洗い攪拌工程(第1の攪拌工程)の循環ポンプ24の回転数は、2300rpm以上になっており、循環流量が従来のドラム式洗濯機よりも多くなっている。これにより、衣類に洗剤濃度の高い洗い水を十分に浸み込ませることができ、洗剤に含まれる界面活性剤や補助剤の作用で汚れが衣類から落ちやすくなる。さらに、ドラム3は60rpm以上の回転数で回転しており、遠心力で衣類がドラム外周壁内面に押し付けられているが、衣類に浸み込んだ洗い水は遠心力で衣類を通過する。このとき汚れの一部は洗い水が衣類を通過するときの流体力で衣類から除去される。このように、予洗い攪拌工程では、衣類に洗剤濃度の高い洗い水が十分に浸透するとともに、遠心力による流体力が作用するため、本洗い攪拌工程の時間を短くしても(機械力を小さくしても)洗浄性能を確保することができるようなっている。なお、ドラム3の回転数を可変、例えば60〜100rpmとしてもよい。こうすることで、遠心力で衣類をドラム外周壁内面へ押し付ける力が変化し、押し洗い効果によりさらに洗浄力を向上させることができる。
ここで、循環ポンプ24の流量(循環流量)と、洗浄性能との関係について、図11を用いて説明する。図11(a)は循環ポンプ24の循環流量と洗浄比(洗浄性能)との関係を示すグラフであり、図11(b)は循環ポンプ24の回転数と循環流量との関係を示すグラフである。ちなみに、洗浄比とは、供試洗濯機の洗浄度と標準洗濯機の洗浄度の比であり、日本工業規格『家庭用電気洗濯機の性能測定方法(JISC9811)』に規定されている。つまり、洗浄比が高いほど、洗浄性能が高くなる。
図11(a)の実線で示すグラフは、本実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sに用いた循環ポンプ24の流量と洗浄比との関係を示すグラフであり、図11(a)の破線は、従来のドラム式洗濯乾燥機の運転工程における洗浄比の値(洗浄比=1.11)を示す。両者の洗濯時間は同一である。
また、図11(b)の実線で示すグラフは、本実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sに用いた循環ポンプ24の回転数と循環流量との関係を示すグラフであり、図11(b)の破線は、従来のドラム式洗濯乾燥機に用いた循環ポンプ24の回転数と循環流量との関係を示すグラフである。図11(b)に示すように、本実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sに用いた循環ポンプ24は、循環流量の最大値が大きな循環ポンプを用いている。
図11(a)に示すように、循環流量が多いほど洗浄比が向上する。しかし、循環流量60L/min付近で洗浄比の上昇が飽和する。また、循環流量が約35L/minで従来のドラム式洗濯機と同等の洗浄比となる。
したがって、循環流量は、35L/min以上60L/min以下とすることが望ましい。循環流量が35L/minより少なくなると、従来のドラム式洗濯機よりも洗浄比が低下して好ましくない。また、循環流量を60L/minよりも多くしても、洗浄比の上昇はわずかであるが、循環ポンプ24の消費電力は増大するので、必要以上に循環流量を増やすことは好ましくない。以上、循環流量で説明してきたが、本実施形態例の循環ポンプ24では、図11(b)を参照すると、循環ポンプの回転数は2300rpm以上3800rpm以下となる。
なお、循環ポンプ回転数は各ステップにおいて常に一定でなくても良く、前述した2300rpm以上3800rpm以下という循環ポンプ回転数の範囲は、各ステップの循環ポンプ回転数の平均値がこの範囲内に含まれることを意味する。例えば、ステップS7の予洗い攪拌工程中に、循環ポンプ24の回転数を2000rpmから3400rpmの間で変化させたとしても、平均値が2300rpm以上であれば良い。なお、循環プンプの回転数を変化させると、シャワーから噴出する洗濯水の散布範囲が変化する。このため、洗濯水を均一に衣類に散布できる。
ここで、循環ポンプ24の循環流量を増加するための方策としては、(1)循環ポンプの回転数を高くする、(2)循環ポンプを高性能化する、(3)循環ポンプを大容量化(大径化)する、(4)循環流路の圧力損失を低減する、などがある。
これらを、図12(a)に示す循環ポンプの静圧−流量特性を示すグラフを用いて説明する。右下がりの曲線は、循環ポンプ24の回転数(rev1、rev2、rev3)における静圧−流量特性を示す。右上がりの曲線は、洗濯水の循環流路の抵抗損失曲線(主に圧力損失)である。
従来のドラム式洗濯乾燥機の循環ポンプの回転数をrev1、循環経路の抵抗損失曲線1とすると、両曲線の交点Aが動作点で、流量Q1、静圧P1となる。ここで、循環流路と循環ポンプの回転数はそのままで循環流量を増やすために、循環ポンプの羽根車46を大径化すると、たとえば、一点鎖線で示す流量−静圧特性となり、動作点がA’に移り流量がQ1’に増加する。しかしながら、羽根車46を大径化すると、循環ポンプが大型化するため、ドラム式洗濯乾燥機へ実装する上でスペースが余計に必要となり、ドラム式洗濯乾燥機の筐体も大型化し、家庭への設置性の悪化につながる。
また、循環ポンプ24を高性能化(効率を上げる。具体的には、ポンプ羽根車の形状最適化やポンプ羽根車46とポンプケーシング42とのすき間を小さくするなど)すると、たとえば、二点鎖線で示す流量−静圧特性となり、動作点がA’、流量をQ1’とすることができる。ただし、ドラム式洗濯機で使用する循環ポンプ24では、洗濯水(循環水)中に糸くずが含まれており、効率を優先したポンプとすると、ポンプ内への糸くず詰まりの可能性が増大するため、高性能化には限界がある。
次に、循環流路と循環ポンプ24はそのままで循環流量を増やすために、循環ポンプ24の回転数をrev2まで上げると動作点はBとなり、流量Q2、静圧P2となる。この場合、静圧が上昇するため、循環流路27や蛇腹ホース41の耐圧力性を向上させる必要があり、循環流路がそのままでは実現困難である。また、回転数が上昇するため、循環ポンプ24の騒音が上昇してしまうという問題もある。このため、回転数のみで循環流量を上げるのは好ましくない。
そこで、本実施形態では循環経路の流路面積を大きくして循環経路の圧力損失を低減し、循環経路の抵抗損失を破線で示す抵抗損失曲線2とし、静圧が従来とほぼ同じP1となるようにした。このときの循環ポンプ24の回転数はrev3で、動作点はCとなる。これにより、循環経路の耐圧力性を従来から変更する必要がない。具体的には、循環流路27の断面積を、円形換算で直径25mm以上(断面積491mm2以上)とした。また、入口ポート23aの断面積が小さい状態のままで流量を増加させようとすると、圧力損失の増加だけでなく、吸込みポート43の圧力が低下しキャビテーションが発生し騒音が急増してしまう。このため、吸込みポート43の断面積は大きいほどよいが、大きすぎるとポンプ性能が低下してしまうため、循環ポンプ24の吸込みポート43の内径を35mmとした。
図12(b)は、吸込みポート43の内径(d2)とポンプ羽根車の直径(d1)の比と循環ポンプ24の流量の関係を示す図である。入口ポート23aの内径が大きくなるにつれて流量が増加するが、内径を大きくしすぎると流量が低下に転ずる。これは、図6の矢印F1で示すように、循環ポンプ24の羽根車46で吐き出された水の一部が再び吸込み側に戻る循環流が発生するからである。本実施形態の循環ポンプでは、d2/d1が0.7から0.8で流量が最大となったことから、羽根車径45mmに対して、吸込みポート43の内径d2を35mm(従来は22.5mm)とした。また、上述の最大循環流量60L/minの場合、d2/d1が0.6以下(d2が27mm以下)でキャビテーションが発生した。このため、吸込みポート43は内径27mm以上(断面積573mm2以上)必要であるが、余裕を見て内径30mm以上(断面積707mm2以上)とした方がよい。なお、吸込みポート43は円形のものに限らない。ここで、吸込みポート43より上流側流路、すなわち、入水ポート23a、蛇腹ホース22及び継手21aは、少なくとも吸込みポート43の断面積以上必要なことはもちろんである。本実施形態では、吸込みポート43の内径を35mm(断面積962mm2)とし、上流側流路の最小内径を40mm(断面積を1257mm2)としてある。
以上のことから、本実施形態では、循環ポンプ24の羽根車46を収納するケーシング42内に水を流入させる吸込みポート43の断面積を707mm2以上とし、この吸込みポート43を円形換算したときの直径(d2)とポンプ羽根車の直径(d1)の比であるd2/d1を0.66以上0.8以下にすると共に、吸込みポート43の上流側流路の断面積を吸込みポート43の断面積以上とし、外槽2の底部から上部へ至る循環流路27の断面積を491mm2以上とした上で、循環ポンプ24の回転数を2300rpm以上3800rpm以下にした。これにより、循環ポンプ24の実装性や低騒音を維持しつつ、35L/min以上の高い循環流量が実現でき、洗浄性能が向上する。
ノズル27aからドラム3内に吐き出された洗濯水は、ドラム3内の衣類内や衣類間のすき間を通り、ドラム3の外周壁に設けた貫通孔を通り外槽2内に流れ出て窪み部2fに戻り、再度循環ポンプ24に吸い込まれる。このとき、窪み部2fに十分な水がないと循環ポンプ24に空気が吸い込まれ、洗濯水の循環が困難となる。このため、本実施形態では窪み部2fの容積を大きくして、吸い込まれる循環水が確保している。
また、衣類の量が多いほど、衣類が保持する水量が増加し、ノズル27aを出てから窪み部2fに戻るまでの時間が長くなる。安定した循環流量を確保するためには、衣類の量が多いほど使用水量を多くする必要がある。しかし、洗いやすすぎの工程中に、一時停止ボタン操作などによりドラム3の回転や循環ポンプ24の回転が停止すると、衣類に含まれている洗濯水が重力で抜けて外槽2の水位が上昇する。循環流量が多いほど水位の上昇が大きくなるが、循環流量が多すぎると異常溢水口から排水されてしまうため、洗濯水が無駄に消費されてしまう。このため、衣類の量が多いほど循環流量が少なくなるようにしてもよい。
衣類の量が多いと、ドラム3の回転で衣類を持ち上げて落下させる時に、他の衣類の重さによる作用が大きく、たたき洗い効果が十分に作用するため、循環流量を多少減らしても洗浄力を確保できる。一方、衣類の量が少ないと他の衣類の重さによる効果が少なくなるため、通常は洗浄力が低下するが、循環流量を多くし十分に衣類に含水させることで、たたき洗い効果を高め洗浄力の低下を抑えることができる。
なお、第1実施形態では、第1の攪拌工程で衣類を張り付かせ、第2の攪拌工程で機械力を働かせる運転としたが、第1の攪拌工程で機械力を働かせ、第2の攪拌工程で衣類を張り付かせる運転を行っても良い。
以上のように、第1実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程によれば、従来20L/min程度であった循環流量を35L/min以上60L/min以下に大幅に高め、スリット状のノズルからドラム内の広範囲に洗濯水を散水している。循環流量を多くすると洗浄比が向上するのは、ドラム3の回転で持ち上げられた衣類全体に十分な洗い水が浸透した状態で、衣類が落下するため、衣類に含まれている洗い水が落下の衝撃で汚れとともに衣類から押し出されるからである(たたき洗い)。また、循環流量が60L/minを超えると洗浄比の上昇がほぼ飽和するのは、衣類が含むことができる水の量には限界があり、必要以上流量を増しても、洗い水は衣類の外側を流れ洗浄に寄与しなくなるからである。また、衣類全体に洗濯水が浸透するため、すすぎにおいても効率よく洗剤成分の希釈が行え、すすぎ性能も向上できる。
一般に、縦型洗濯機は槽の開口部が上面側にあるため高い水位による溜め洗いで洗濯を行うため、ごわつきが少ない。しかし、ドラム式洗濯機は開口部が前面側にあるため水漏れを防ぎつつ水位を高めるのは非常に難しい。そこで、本実施形態では、循環流量を大幅に増やし、たっぷりの洗い水を衣類に含ませることで、たたき洗いの時間を短縮しても洗浄力が確保でき、結果として、衣類のごわつきを低減することが可能となる。すなわち、ドラム式洗濯機の特徴である節水性を悪化させることなく、高洗浄力でごわつきの少ない洗濯を実現できる。
図13は、縦型洗濯機、従来のドラム式洗濯機、本実施形態のドラム式洗濯乾燥機について、タオルを含む試験布3kgを5サイクル洗濯運転し、衣類のごわつきを5段階で官能評価する実験を行った結果である。この図から分かるように、従来のドラム式洗濯機が評価値2であったのに対し、本実施形態のドラム式洗濯乾燥機の評価値は4.1となり、縦型洗濯機並みに、ごわつきが大幅に抑制された。タオルのようなパイル地の洗濯物についても、パイル地がつぶれず立った状態のやわらかい仕上りが実現できる。
次に、ドラム式洗濯機において生じ易い黒ずみの抑制効果について説明する。黒ずみは、主に衣類から除去された汚れの一部が再び衣類に付着する(再汚染現象)ために発生する。ドラム式洗濯機は縦型洗濯機に比べ使用水量が少ないことが特徴である。しかし、衣類の汚れ量と洗浄力が一緒とすると、洗濯水の汚れの濃度はドラム式洗濯機の方が高くなるため、黒ずみやすい。一般的に、ドラム式洗濯機は縦型洗濯機に比べ使用水量が半分程度であり、汚れの濃度が約2倍となる。また、洗濯時間が長いほど黒ずみやすい。
我々の検討によれば、ドラム式洗濯機と縦型洗濯機の洗濯時間をほぼ同じとした場合、ドラム式洗濯機は水量の差(洗濯水の汚れ濃度の差)以上に黒ずむことが多い。これは、洗い方の違いによる要因によるものと考えられる。縦型洗濯機は、洗濯水中に衣類が沈んだ状態で洗濯が行われるのに対して、ドラム式洗濯機の洗濯は、水中の衣類をドラムの回転で水中から空中に持ち上げて、水面に落下させることを繰り返して行われる。衣類から除去された疎水性の汚れは、水面に集まりやすい。この汚れは、衣類が水面を出たり入ったりする時に衣類に再付着し、黒ずみが進行する。
本実施形態のドラム式洗濯機では、洗濯水の循環流量が多いため、空中に出た衣類に大量の洗濯水が吹きつけられる。このため、衣類は洗濯水の膜で覆われたような状態で水中に落下することになり、水面の汚れが再付着しにくく、黒ずみを抑制する効果がある。さらに、上述のように、洗浄力を高める効果もあるため、洗い工程の時間を短くしているため、より一層黒ずみを抑制できる。
図14は、循環流量と黒ずみの関係を示す実験結果の一例である。実験は、人工皮脂汚れやカーボンなどの無機質汚れを付けた衣類と、白い衣類を同時に洗濯することを繰り返した(布量3kg)。図14は、洗濯5サイクル後のデータである。明度変化は、白い衣類の洗濯後の明度から新品の明度を引いた値で、値が大きいほど黒ずみが大きい。図からわかるように、循環流量が多いほど明度変化が少なく、黒ずみにくい。洗浄力だけでなく黒ずみを考慮すると、循環流量は68L/min程度(循環ポンプ回転数4200rpm)まで増やした方が好ましく、本実験条件では黒ずみの発生をほとんど抑えることができる。
図15は、図14と同じ汚れを付けた衣類を洗濯した場合(5サイクル後)の縦型式洗濯機、従来のドラム式洗濯機と、本実施形態のドラム式洗濯乾燥機(図10のS8の本洗い攪拌とS16のすすぎ攪拌時の循環ポンプ回転数を4200rpm(循環流量68L/min)とした場合)の黒ずみ(明度変化)の比較である。この図から分かるように、従来のドラム式洗濯機が明度変化4.5であったのに対し、本実施形態のドラム式洗濯機の明度変化0.1となり、縦型洗濯機並みに黒ずみも大幅に抑制できることが分かる。
≪第2実施形態の運転工程≫
次に、図16用いて、第2実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程について説明する。図16は、第2実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sにおける洗濯運転(洗い〜すすぎ〜脱水)の運転工程を説明する工程図である。
第1実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程(図10参照)と、第2実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程(図16参照)とは、洗い工程の予洗い攪拌から本洗い攪拌までの工程が異なっている。その他の工程(S1〜S6、S10〜S19)(図16参照)は同様であるため、説明を省略する。
ステップS7において、制御装置38は、予洗い攪拌工程を実行する(第1の攪拌工程)。ここで予洗い攪拌工程とは、洗剤溶かし工程で生成された洗剤濃度の高い洗い水を衣類に浸み込ませる工程である。洗剤濃度の高い洗い水を衣類に浸み込ませることにより、洗浄力が向上する。
具体的には、制御装置38は、循環ポンプ24を所定の回転数(例えば3000rpm)(図16参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだ洗い水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させるとともに、モータ4を制御してドラム3を所定の回転数(例えば80rpm)(図16参照)で回転させることにより、ドラム3の内部の衣類をドラム外周壁3d内面に張り付け、ドラムの上方から落下したときに発生する機械的な力が加わることを防止する。また、外槽2の円筒面(例えば外槽2の右側の円筒面)に異常溢水のための溢水口(図示せず)を備えている場合、ドラム3は正回転させることで洗い水が異常溢水のための排水口(図示せず)より流出することを防止でき、望ましい。本実施形態ではドラム3を正回転させるが、逆回転または正逆両回転させてもよい。所定の時間(例えば3分)が経過すると、制御装置38は、予洗い攪拌工程を終了し、ステップS8に進む。
ステップS8において、制御装置38は。補給水工程を実行する。制御装置38は、給水電磁弁を制御して(例えば、第1電磁弁と第3電磁弁を開弁して)、外槽2内に給水する。外槽2内の洗い水の水位が、所定の水位まで上昇すると、給水を停止させ(例えば、第1電磁弁と第3電磁弁を閉弁する)、補給水工程を終了し、ステップS9に進む。
ステップS9において、制御装置38は、本洗い攪拌工程を実行する(第2の攪拌工程)。ここで、本洗い工程とは、ドラム3の回転によりドラム3内の下方に溜まった衣類を持ち上げて、ドラム3内の上方から落下させることにより、衣類に機械的な力を与えてたたき洗いをする工程である。
具体的には、制御装置38は、循環ポンプ24を所定の回転数(例えば3800rpm)(図16参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだ洗い水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させるとともに、モータ4を制御してドラム3を所定の回転数(例えば40rpm)(図16参照)で回転させることにより、ドラム3の内部の衣類をたたき洗いする。所定の時間(例えば6分)が経過すると、制御装置38は、本洗い攪拌工程を終了する。
本実施形態では、予洗い攪拌工程(ステップS7)の後に、補給水工程(ステップS8)を行う。即ち、補給水工程の後に実行する本洗い攪拌工程(ステップS9)の水量は、予洗い攪拌工程の水量よりも多くなっている。外槽2内の洗い水の水量を増やすことにより、衣類から剥がされた汚れを洗い水に分散させることができ、洗い水の汚れ濃度を低くなり、衣類から剥がされた汚れが再び衣類に付着することにより生じる「衣類の黒ずみ」を抑制できる。一般にドラム式洗濯機は、縦型洗濯機と比べて外槽2内の洗濯水が少ないことから、衣類の汚れ具合が高い場合、黒ずみが生じ易いが、本実施形態によれば汚れが薄まって黒ずみが生じ難くなる。
本洗い攪拌工程(第2の攪拌工程)のドラム3の回転数は、60rpm未満になっている。ドラム3の回転数を60rpm未満にすることにより、ドラム3内の下方に溜まった衣類を持ち上げてドラム3内の上方から落下させるたたき洗いをする。たたき洗いで衣類に加わる落下衝撃(機械力)により「衣類のごわつき」が悪化する恐れがある。これに対し、補給水工程(ステップS8)で、外槽2内に給水し、外槽2内の洗い水の水位を上昇させることで、落下衝撃(機械力)が抑制され、「衣類のごわつき」を抑制することができる。
また、予洗い攪拌工程(第1の攪拌工程)のドラム3の回転数は、60rpm以上になっている。ドラム3の回転数を60rpm以上にすることにより、ドラム3内の衣類は、遠心力によりドラム3の壁面方向に張り付く。即ち、衣類がドラム3内の上方から落下する際に加わる落下衝撃(機械力)が抑制され、「衣類のごわつき」を抑制できる。
一方、機械力が抑制されることにより、洗浄性能が低下するおそれがある。これに対し、予洗い攪拌工程(第1の攪拌工程)の水量は本洗い工程の水量より少ないため、洗剤濃度が高い。また、循環ポンプ18の流量は、2300rpm以上になっており、循環流量が多い。このため、高い洗剤濃度の洗い水を十分に衣類に含ませることができ、一層汚れを取れやすくできる。これにより、洗浄性能を確保することができるようなっている。
以上のように、第2実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程によれば、洗浄性能を確保しつつ衣類の黒ずみとごわつきを抑制することができる。
≪第3実施形態の運転工程≫
第1実施形態、第2実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程は、コース選択工程(ステップS1)において、標準コースが選択されたものとして説明したが、使用者が必要に応じて選択した所定のコース(例えば、ごわつき防止コース)が選択されたものとしてもよい。
図17、図18を用いて、第3実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程について説明する。図17は、第3実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sにおける洗濯運転(洗い〜すすぎ〜脱水)において、節水を重視した標準コース(例えば、節水コース)が選択されたときの運転工程を説明する工程図である。図18は、第3実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sにおける洗濯運転(洗い〜すすぎ〜脱水)において、衣類のごわつき抑制を重視した特殊コース(例えば、ごわつき防止コース)が選択されたときの運転工程を説明する工程図である。
第1実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程(図10参照)と、第3実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程(図17参照)とは、洗い工程の回転給水工程からすすぎ2工程のすすぎ攪拌工程までの工程が異なっている。その他の工程(S1〜S5、S17〜S18)(図17参照)は同様であるため、説明を省略する。
ステップS6において、制御装置38は、回転給水工程を実行する(回転給水工程)。具体的には、制御装置38は、給水電磁弁16を制御して(例えば、第1電磁弁と第3電磁弁を開弁して)、外槽2内の洗い水の水位を上昇させるとともに、モータ4を制御してドラム3を所定の回転数(例えば40rpm)(図17参照)で回転させ、衣類の入れかえを行うとともに、循環ポンプ24を所定の回転数(例えば2300rpm)(図17参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだ洗剤濃度の高い洗い水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させることにより、ドラム3の内部の衣類に染み込ませる。
そして、外槽2内の洗い水の水位が、所定の水位まで上昇すると、給水を停止させる(例えば、第1電磁弁と第3電磁弁を閉弁する)。回転給水工程を開始して所定時間が経過すると回転給水工程を終了し、ステップS7に進む。
ステップS7において、制御装置38は、予洗い攪拌工程を実行する。ここで予洗い攪拌工程とは、洗剤溶かし工程で生成された洗剤濃度の高い洗い水を衣類に浸み込ませる工程である。洗剤濃度の高い洗い水を衣類に浸み込ませることにより、洗浄力が向上する。
具体的には、制御装置38は、循環ポンプ24を所定の回転数(例えば2300rpm)(図17参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだ洗い水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させるとともに、モータ4を制御してドラム3を所定の回転数(例えば40rpm)(図17参照)で正逆回転させ、洗剤濃度の高い洗い水を衣類に染み込ませる。所定の時間(例えば3分間)が経過すると、制御装置38は、予洗い攪拌工程を終了し、ステップS8に進む。
ステップS8において、制御装置38は、本洗い攪拌工程を実行する。ここで、本洗い工程とは、ドラム3の回転によりドラム3内の下方に溜まった衣類を持ち上げて、ドラム3内の上方から落下させることにより、衣類に機械的な力を与えてたたき洗いをする工程である。
具体的には、制御装置38は、循環ポンプ24を所定の回転数(例えば2500rpm)(図17参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだ洗い水を外槽2の開口部に設けられた吐出口(図示せず)からドラム3の内部に吐出させるとともに、モータ4を制御してドラム3を所定の回転数(例えば40rpm)(図17参照)で正逆回転させることにより、ドラム3の内部の衣類をたたき洗いする。所定の時間(例えば12分間)が経過すると、制御装置38は、本洗い攪拌工程を終了し、ステップS9に進む。
ステップS9において、制御装置38は、排水工程を実行する。制御装置38は、モータ4および循環ポンプ24を停止させ、排水弁25を開弁して外槽2内の洗濯水を排水する。水位センサは、排水中の外槽2内の洗濯水の水位を監視し続ける。水位センサの検知値が所定の水位を下回ると、制御装置38は、排水工程を終了し、ステップS10に進む。
ステップS10において、制御装置38は、脱水1工程を実行する。制御装置38は、排水弁25の開弁を維持した状態において、ドラム3を逆方向へ高速で回転させて(例えば1250rpm)(図17)、衣類に含まれる洗濯水を脱水する。所定の時間が経過すると、制御装置38は、脱水1工程を終了し、ステップ11に進む。
ステップS11において、制御装置38は、回転シャワー工程を実行する。制御装置38は、ドラム3を逆方向へ中速で回転させつつ(例えば260rpm)(図17)、排水弁25を閉弁し、給水電磁弁16を制御して(例えば、第3電磁弁を開弁して)(図17)、衣類に水を散布する。このときの給水電磁弁16の制御時間は、ステップS2で検出した布量に基づいて決定される。所定の時間が経過すると、給水を停止させる(例えば、第3電磁弁を閉弁して)。循環ポンプ24を所定の回転数(例えば2300rpm)(図17)となるように制御して、排水口21から吸い込んだ洗い水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させる。所定の時間が経過すると循環ポンプ24を停止させ、排水弁25を開弁して外槽2内のすすぎ水を排水する。
ステップS12において、制御装置38は、脱水2工程を実行する。制御装置38は、排水弁25の開弁を維持した状態において、ドラム3を逆方向へ高速で回転させて(例えば1250rpm)(図17)、衣類に含まれる洗濯水を脱水する。所定の時間が経過すると、制御装置38は、脱水2工程を終了し、ステップ13に進む。
ステップS13において、制御装置38は、給水工程を実行する。制御装置38は、排水弁25を閉弁し、給水電磁弁16を制御して(例えば、第1電磁弁を開弁して)(図17)、外槽2内にすすぎ水を供給する。所定の水位まで上昇すると、給水を停止させ(例えば、第1電磁弁を閉弁して)、制御装置38は、給水工程を終了し、ステップS14に進む。
ステップS14において、制御装置38は、ソフナー給水工程を実行する。制御装置38は、給水電磁弁16を制御して(例えば、第2電磁弁を開弁して)、外槽2内に柔軟仕上げ剤を含んだすすぎ水を供給するとともに、ドラム3を正逆両方向に回転攪させ、ステップS13で外槽2内に供給されたすすぎ水と柔軟仕上げ剤を混ぜ合わせる。
ステップS15において、制御装置38は、回転給水・補給水工程を実行する。制御装置38は、給水電磁弁16を制御して(例えば、第1電磁弁と第3電磁弁を開弁して)、所定の水位まで外槽2に給水する。また、制御装置38は、モータ4を制御してドラム3を回転させ、循環ポンプ24を所定の流量(例えば2300rpm)(図17参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだすすぎ水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させて、衣類に柔軟仕上げ剤を染み込ませる。
ステップS16において、制御装置38は、攪拌工程を実行する。制御装置38は、モータ4を制御してドラム3を回転させ、循環ポンプ24を所定の回転数(例えば2300rpm)(図17参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだすすぎ水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させて、衣類をすすぐ。そして、所定の時間が経過すると、制御装置38は、攪拌工程を終了する。
このように、循環ポンプの回転数が2300rpm程度としているため、循環流量が35L/min程度と少なく、衣類に含まれる洗濯水も少ない。このため、水量が少なくても循環ポンプに空気が吸い込まれることがなく、節水運転が可能である。
図18は、第3実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sにおける洗濯運転(洗い〜すすぎ〜脱水)において、特殊コース(例えば、ごわつき防止コース)が選択されたときの運転工程を説明する工程図である。第3実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程(図17参照)と、第3実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程(図18参照)とは、洗い工程の予洗い攪拌工程から本洗い攪拌工程までの工程が異なっている。その他の工程(S1〜S6、S9〜S18)(図17参照)は同様であるため、説明を省略する。
ステップS7において、制御装置38は、予洗い攪拌工程を実行する。制御装置38は、循環ポンプ24を所定の回転数(例えば3200rpm)(図18参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだ洗い水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させるとともに、モータ4を制御してドラム3を所定の回転数(例えば40rpm)(図18参照)で正逆回転させ、洗剤濃度の高い洗い水を衣類に染み込ませる。所定の時間(例えば3分間)が経過すると、制御装置38は、予洗い攪拌工程を終了し、ステップS8に進む。
ステップS8において、制御装置38は、本洗い攪拌工程を実行する。制御装置38は、循環ポンプ24を所定の回転数(例えば3800rpm)(図18参照)となるように制御して、排水口21から吸い込んだ洗い水を外槽2の開口部に設けられたノズル27aからドラム3の内部に吐出させるとともに、モータ4を制御してドラム3を所定の回転数(例えば40rpm)(図18参照)で正逆回転させることにより、ドラム3の内部の衣類をたたき洗いする。所定の時間(例えば9分間)が経過すると、制御装置38は、本洗い攪拌工程を終了する。
ステップ1(S1)において、使用者が運転コースを選択するが、このとき、運転コースの選択により、使用者が必要に応じて、ごわつきを抑制できる。第3実施形態に関わるドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程においては、節水を重視した標準コースと、衣類のごわつき抑制を重視した特殊コースとを、使用者が適宜選択できる。
本実施形態によれば、標準コースは、予洗い攪拌を3分間、本洗い攪拌を12分間実行し、ドラム3を正逆回転させる攪拌工程を、合計15分間実行する。また、特殊コース(例えば、黒ずみ・ごわつき防止コース)では、予洗い攪拌を3分間、本洗い攪拌を9分間実行し、ドラム3を正逆回転させる攪拌工程を、合計12分間実行する。即ち、特殊コースにおいては、標準コースよりもドラム3を正逆回転させる攪拌時間が3分間短く、衣類がドラム3内の上方から落下する際に加わる落下衝撃(機械力)が抑制され、「衣類のごわつき」を抑制できる。また、特殊コースにおいては、標準コースよりも攪拌時間が短いため、衣類から剥がされた汚れが再び衣類に付着する前に水と一緒に排出されるため、「衣類の黒ずみ」を抑制できる。
一方、機械力が抑制されることにより、洗浄性能が低下するおそれがある。これに対し、特殊コースの予洗い攪拌工程、本洗い攪拌工程の循環ポンプ18の流量は、3000rpm以上になっている。これは、標準コースの予洗い攪拌工程、本洗い攪拌工程の循環ポンプ18の回転数より高くなっている。これにより、全体の運転時間を短縮できる効果があるだけでなく、洗い時間が短くなっても洗浄性能を確保できるようなっている。
以上のように、第3実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機Sの運転工程によれば、洗浄性能を確保しつつ衣類のごわつきを抑制することができる。
以上の実施形態では、ドラム式洗濯乾燥機を用いて説明したが、乾燥機能を有しないドラム式洗濯機においても同様である。
2 外槽
3 ドラム
4 モータ(ドラムモータ)
15 給水ユニット(給水手段)
24 循環ポンプ
38 制御装置(運転制御手段)
S ドラム式洗濯乾燥機

Claims (3)

  1. 内部に水を溜める外槽と、
    前記外槽内に回転自在に支持され、衣類が収容されるドラムと、
    前記ドラムを回転駆動するドラムモータと、
    前記外槽内に給水する給水手段と、
    前記外槽から水を吸い込み、前記ドラム内に向かって散水する循環ポンプと、
    前記ドラムモータ、前記給水手段および前記循環ポンプを制御する運転制御手段と、
    を備えたドラム式洗濯機において、
    前記循環ポンプの羽根車を収納するケーシング内に水を流入させる吸込みポートの断面積を707mm2以上とし、
    前記吸込みポートを円形換算したときの直径(d2)と前記羽根車の直径(d1)の比であるd2/d1を0.66以上0.8以下にすると共に、
    前記吸込みポートの上流側流路の断面積を前記吸込みポートの断面積以上とし、
    前記外槽の底部から前記外槽の上部へ至る循環流路の断面積を491mm2以上とした上で、
    前記運転制御手段が、前記循環ポンプを2300rpm以上4200rpm以下の回転数で駆動させ、
    前記外槽の底部と前記循環ポンプとを接続する配管の内径は、前記循環ポンプと前記外槽の上部とを接続する配管の内径より大きいことを特徴とするドラム式洗濯機。
  2. 請求項において、
    前記循環ポンプによる循環流量を35L/min以上68L/min以下としたことを特徴とするドラム式洗濯機。
  3. 請求項1において、
    前記外槽の下部にある窪み部の容積を2.5L以上としたことを特徴とするドラム式洗濯機。
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