以下、本発明の一実施形態に係る椅子について、図面を参酌しつつ説明する。
椅子は、図1〜図3に示すように、脚1と、該脚1に取り付けられた基台部2(図2及び図3参照)と、該基台部2上に配置された座3と、座3の後方から起立した背凭れ4であって、前後方向における起立位置と傾動位置との間で傾動可能に設けられた背凭れ4と、座3の左右両側の上方位置に配置された肘掛け5とを備える。
かかる椅子は、背凭れ4が傾動可能に設けられるに伴って種々の機構を備える。すなわち、椅子は、図3〜図5に示す如く、背凭れ4の後傾動作と座3の動作を連動させるシンクロロッキング機構6を備える。また、椅子は、図6及び図7に示す如く、後傾した背凭れ4を起立位置に戻す反力を発生させる反力発生部材70を含む後傾反力発生機構7と、該反力発生部材70を予め変形させて背凭れ4を起立位置に戻す反力の大きさを変更する反力調整機構8とを備える。
図1〜図3に戻り、脚1は、脚支柱10と、脚支柱10から放射状に突出した複数の脚羽根11,…とを備える。本実施形態において、脚1は、複数の脚羽根11,…の先端に取り付けられたキャスタ12,…を備える。
脚支柱10は、図2及び図3に示す如く、筒状の支柱本体13と、支柱本体13に内挿されたガススプリング14であって、座3を昇降させるガススプリング14とを備える。支柱本体13は、両端開口を上下に位置させている。これに伴い、複数の脚羽根11,…は、支柱本体13の外周面から延出し、平面視放射状に配置されている。
ガススプリング14は、支柱本体13内に配置されるシリンダ140と、軸線方向に移動可能に設けられたピストンロッド141とを備える。シリンダ140には、ガスが封入されている。ピストンロッド141は、軸線方向に移動可能に設けられたもので、シリンダ140内に配置されるピストン(図示しない)であって、シリンダ140の内部空間を二つの部屋に区画するピストンと、一端がシリンダ140内でピストンに連結される一方、他端側がシリンダ140の外側に突出した棒状のロッド142とを備える。
ガススプリング14は、ピストンによって区画された二つの部屋でガスを行き来させることで、ピストンロッド141が軸線方向に移動し、全体的に伸縮するようになっている。本実施形態において、ガススプリング14は、常態において、二つの部屋間でのガスの行き来を阻止し、ピストンロッド141の移動を規制(ロック)するようになっている。これに伴い、ガススプリング14は、図3に示す如く、ロッド142の他端に突出して設けられたロック解除ボタン143を備え、ロック解除ボタン143をロッド142内に押し込むことで、ピストンロッド141の移動の規制を解除できるようになっている。ロック解除ボタン143は、肘掛け5に設けられた後述のロック解除レバー92により操作される。
基台部2は、アルミダイキャスト等による成型品である。基台部2は、図4〜図6に示すように、脚支柱10のロッド142に嵌着されるボス部20(図6参照)と、該ボス部20の上端に連結された第一フレーム部21であって、ボス部20を囲う平面視半円弧状の第一フレーム部21と、第一フレーム部21の両端から前方に延出する一対の第二フレーム部22,22と、一対の第二フレーム部22,22の前端部同士を連結した第三フレーム部23と、第三フレーム部23の上面に設けられた第一軸支部24であって、後述する第一軸60を支持する第一軸支部24と、第一フレーム部21と第二フレーム部22,22との境界付近に設けられた第二軸支部25であって、後述する第二軸61を支持する第二軸支部25とを備える。
基台部2は、第三フレーム部23が第一フレーム部21よりも当該椅子の前後方向の前側(前方)に位置するように配置される。第一軸支部24及び第二軸支部25は、上下方向において異なる位置に配置されている。本実施形態において、前側の第一軸支部24が後側の第二軸支部25よりも高い位置に配置されている。
座3は、図2に示す如く、基台部2の上方に配置される座受部30と、座受部30の上面に重ね合わされる座本体部31とを備える。
座受部30は、アウターシェルと称し得る形態を有し、合成樹脂により一体に成型されている。座受部30は、後述する第三軸62を軸支する第三軸支部32であって、下面に設けられた第三軸支部32と、後述する第四軸63を軸支する第四軸支部33であって、下面に設けられた第四軸支部33とを備える。
第三軸支部32は、当該座受部30の前端側に配置され、第四軸支部33は、第三軸支部32よりも後端側に配置される。本実施形態において、第四軸支部33は、座受部30の略中央に配置されている。
座本体部31は、図3に示す如く、座受部30の上面に取り付けられたインナーシェル(図示しない)と、該インナーシェル上に配されたクッション34と、該クッション34の外面に張られた座用張地35とを備える。
インナーシェルは、合成樹脂により一体に成型されている。クッション34は、発泡ウレタン等により形成されている。クッション34の上面には、前後方向に並ぶ複数本の溝36,…が設けられている。
座用張地35は、袋状に形成され、クッション34を被覆可能に構成される。座用張地35には、クッション34に形成された溝36に対応した複数の線状37が形成されている。複数の線状37は、エンボス加工により形成されたもので、座用張地35でクッション34を被覆した状態で、クッション34の溝36に上方から重なり合うように形成されている。
背凭れ4は、樹脂製の背シェル40と、該背シェル40を支持する背支持部材41と、背シェル40の表面側に張られた背凭れ用張地42とを備える。
背シェル40は、左右方向に湾曲し、背凭れ面を形成している。本実施形態において、背シェル40は、前方側に配置されるシェル本体400と、シェル本体400の上端に連続した折り返し部401であって、シェル本体400の後方側に湾曲した折り返し部401と、折り返し部401と連続した垂下部402であって、シェル本体400と間隔をあけて配置された垂下部402とを備える。
背シェル40は、上下方向に延びるスリット状の開口部403であって、左右方向に間隔をあけて配置された複数の開口部403を有する。本実施形態において、複数の開口部403のそれぞれは、シェル本体400から垂下部402にかけて形成されている。これらの複数の開口部403は、背シェル40の弾性変形を助長させ、背凭れ4(背シェル40)のクッション性を向上させる。
背支持部材41は、シェル本体400の後方に配置される。背支持部材41の上端部は、背シェル40における垂下部402の下端部に連結されている(図2参照)。背支持部材41は、上下方向に伸びる複数のリブ404であって、左右横並びに配置された複数のリブ404を有する。これにより、背支持部材41は、柔軟な背シェル40を剛性的に支持している。
背凭れ用張地42は、通気性及び透光性を有した布材を主体に構成され、背シェル40のほぼ全域を覆い隠せるように寸法設定及び形状設定されている。
背凭れ4は、上述の如く、前後方向に傾動可能に設けられる。これに伴い、本実施形態に係る椅子は、背凭れ4を支持する背凭れ支持体43であって、基台部2に回転可能に連結される背凭れ支持体43を備える。
背凭れ支持体43は、基台部2から後上方に延出させた左右一対の背支持アーム430,430と、一対の背支持アーム430,430の上端部431,431同士を連結する上連結材432と、各背支持アーム430の基端部内側面に沿って配置される一対の背支持ブラケット433,433であって、第二軸61を介して基台部2に回転自在に取り付けられた一対の背支持ブラケット433,433と、一対の背支持ブラケット433,433同士を連結する下連結材434とを備える。
一対の背支持アーム430,430のそれぞれは、樹脂成型品であり、基台部2に回動可能に支持されている。より具体的には、一対の背支持アーム430,430のそれぞれは、前後方向に延びる前後方向延出部435と、前後方向延出部435の後端から連続して上方に伸びる起立部436とを備える。
各背支持アーム430は、前後方向延出部435の前端部に設けられた軸装部437であって、基台部2に支持された第二軸61の端部に外側から嵌め合わされる軸装部437を備える。背支持アーム430,430は、起立部436の上端部に上連結材432を取り付けるためのアーム突出部438を有する。これに伴い、上連結材432の両端部は、左右両側にある一対の背支持アーム430,430のアーム突出部438に重ね合わされ、該アーム突出部438にねじ(図示しない)を介して固定されている。
軸装部437は、図4及び図5に示すように、第二軸61の端部を嵌合させるべく内方にのみ開口させた軸穴439を有する。具体的には、第二軸61の端部及び軸穴439は、ブッシュ441を介して相対回転可能に嵌合されている。
各背支持アーム430,430は、下連結材434に重ね合わされるカバー部440であって、軸装部437の近傍から相手方の背支持アーム430に向けて延出したカバー部440を備える。カバー部440は、ねじ(図示しない)を介して下連結材434に固定されている。
一対の背支持ブラケット433,433のそれぞれは、第二軸61を介して基台部2に回動可能に支持されている。より具体的には、一対の背支持ブラケット433,433は、基台部2(第一フレーム部21)を挟んで配置される。一対の背支持ブラケット433,433は、基端と先端とを有するアーム状に形成され、基端部が基台部2の第二軸支部25に支持された第二軸61に回転自在に支持されている。
下連結材434は、一対の背支持ブラケット433,433に跨るように配置されている。すなわち、下連結材434の両端部は、一対の背支持ブラケット433,433に連結されている。そして、上述の如く、下連結材434がカバー部440に固定されることで、一対の背支持ブラケット433,433は、背支持アーム430に連結された状態になっている。
これにより、下連結材434及び背支持ブラケット433,433は、合成樹脂製の背支持アーム430,430とともに、背凭れ支持体43の骨格として機能する。本実施形態に係る背凭れ支持体43は、上連結材432によって背シェル40を支持し、着座者の体重の作用による背シェル40の前後方向へのたわみを制御する。
肘掛け5は、図1〜図3に示す如く、左右一対の背支持アーム430,430のそれぞれに連設され、背支持アーム430から前方に向けて延出するように設けられている。本実施形態において、肘掛け5は、背支持アーム430と一体的に形成されている。これにより、椅子は、座3の左右両側の上方位置に一対の肘掛け5,5を有する。
上述の如く、本実施形態に係る椅子は、図3に示す如く、座3を昇降させるガススプリング14であって、ロッド142の移動(座3の昇降)の規制を解除するロック解除ボタン143を有するガススプリング14を備える。これに伴い、椅子は、ロック解除ボタン143を遠隔操作するためのロック解除装置9を備える。
ロック解除装置9は、図4、図5、及び図7に示す如く、ロック解除ボタン143を押圧するための押圧部90を有する解除アーム91と、肘掛け5に設けられたロック解除レバー92であって、引き操作可能に設けられたロック解除レバー92(図1及び図2参照)と、解除アーム91とロック解除レバー92とを作動的に接続する操作線93とを備える。
解除アーム91は、先端と基端とを有し、先端側に押圧部90を有する。解除アーム91の基端部は、第二軸61に軸支されている。ロック解除レバー92は、座3の左右両側に設けられた一対の肘掛け5,5のうちの一方の肘掛け(本実施形態においては右側の肘掛け)5に装備されている(図1及び図2参照)。ロック解除レバー92は、先端と基端とを有し、基端側を支点にして回動可能に設けられている。
操作線93は、引っ張り力を伝達可能な線材であり、本実施形態では、ワイヤが採用されている。操作線93は、ロック解除レバー92と基台部2との間に敷設され、一端がロック解除レバー92に接続される一方、他端側が解除アーム91に接続されている。本実施形態において、操作線(ワイヤ)93は、管状のスリーブS1に挿通されている。スリーブS1は、操作線93と同様に、ロック解除レバー92と基台部2との間に敷設され、一端がロック解除レバー92の近傍に固定され、他端側が解除アーム91の近傍に固定されている。これに伴い、操作線93は、スリーブS1に案内されつつ長手方向に往復移動可能に設けられている。
これにより、ロック解除装置9は、ロック解除レバー92の操作力を解除アーム91に伝達し、第二軸61を支点に解除アーム91を回転させるようになっている。すなわち、ロック解除装置9は、ロック解除レバー92による遠隔操作により、押圧部90がロック解除ボタン143を押圧する状態と押圧部90によるロック解除ボタン143に対する押圧を解除した状態とに切り替え可能に構成されている。
シンクロロッキング機構6は、図2に示す如く、リンク機構であり、基台部2の第一軸支部24に支持された第一軸60と、基台部2の第二軸支部25に支持された第二軸61と、座3の第三軸支部32に支持された第三軸62と、座3の第四軸支部33に支持された第四軸63と、第一軸60と第三軸62とに連結された第一リンク64,64と、第二軸61と第四軸63とに連結された第二リンク65,65とを備える。
第一軸60、第二軸61、第三軸62、及び第四軸63のそれぞれは、左右横方向に延びている。第一軸60は、第一軸支部24に自己の軸心周りで回転自在に支持されている。第二軸61は、第二軸支部25に固定されている。第三軸62は、第三軸支部32に自己の軸心周りで回転自在に支持されている。第四軸63は、第四軸支部33に固定されている。
第一リンク64,64は、図4及び図5に示す如く、左右幅方向に間隔をあけて二つ設けられている。一方の第一リンク64は、第一軸60の一端部と第三軸62の一端部とに連結され、他方の第一リンク64は、第一軸60の他端部と第三軸62の他端部とに連結されている。第一リンク64,64は、第一軸60及び第三軸62のそれぞれを支点に傾倒可能に設けられている。本実施形態において、第一軸60及び第三軸62の支持態様が上述の通りであるため、第一リンク64は、第一軸60に回転不能に連結される一方、第三軸62に回転自在に連結されている。
第二リンク65,65は、左右幅方向に間隔をあけて二つ設けられている。一方の第二リンク65は、第二軸61の一端部と第四軸63の一端部とに連結され、他方の第二リンク65は、第二軸61の他端部と第四軸63の他端部とに連結されている。第二リンク65,65は、第二軸61及び第四軸63のそれぞれを支点に傾倒可能に設けられている。
本実施形態において、第二軸61及び第四軸63の支持態様が上述の通りであるため、第二リンク65は、第二軸61に回転自在に連結される一方、第四軸63に回転自在に連結されている。本実施形態において、背支持アーム430が第二軸61に回転自在に連結されているため、第二リンク65は、背支持アーム430と一体的に形成されている。すなわち、第二リンク65は、背支持アーム430の軸装部437の外面から延出している。これにより、背支持アーム430及び第二リンク65は、共通した軸周りで回転可能に設けられている。
シンクロロッキング機構6は、図8に示す如く、第一リンク64及び第二リンク65の傾動により、第一リンク64及び第二リンク65に支持された座3を昇降させる。本実施形態において、上述の如く、第二リンク65が背支持アーム430と一体的に形成されているため、背凭れ4に着座者の体重が作用して背凭れ4が後傾動作するに伴い、座3を上昇させる一方、着座者の姿勢変更等で座3に着座者の体重が作用して座3が下降するに伴い、背凭れ4を起立させるようになっている。
本実施形態に係る椅子において、第一リンク64の有効長さ寸法(第一軸60と第三軸62との軸心間距離)L1と、第二リンク65の有効長さ寸法(第二軸61と第四軸63との軸心間距離)L2とは、同寸法になっている。第一リンク64及び第二リンク65のそれぞれは、これらを介して連結された座3と基台部2とが最も接近した状態(座3が最下降位置にある状態)で、前傾姿勢となるように設けられている。そして、この状態において、第一リンク64の前傾度合いが第二リンク65の前傾度合いよりも大きくなるようになっている。すなわち、本実施形態に係る椅子は、上述の如く、背支持アーム430が第二軸61に回転自在に連結されているため、背凭れ4を後傾させていない状態において、第一リンク64の水平線に対する傾斜角度αが第二リンク65の水平線に対する傾斜角度βよりも小さくなっている。
また、第一リンク64の基台部2に対する回転中心が第二リンク65の基台部2に対する回転中心よりも高い位置になっている。換言すれば、第一軸60の軸心が第二軸61の軸心よりも距離h分高い位置になっている。また、背支持アーム430が基台部2における脚支柱10よりも前側の部位に枢支されている。換言すれば、背支持アーム430の軸装部437が側面視において脚支柱10よりも前側に位置する第二軸61に支持されている。これにより、シンクロロッキング機構6は、背凭れ4の後傾動作によって、座3の前部が持ち上がる寸法γ1は、座3の後部が持ち上がる寸法γ2よりも多くなっている。
このように、本実施形態に係るシンクロロッキング機構6は、着座者の体重の作用で座3を上昇及び下降させる体重感知式であり、背凭れの後傾動作に伴わせて座を傾動させる通常のシンクロロッキング機構とは異なり、図8に二点鎖線で示すように、背凭れ4の後傾動作に伴わせて座3を傾動させつつ着座者の体重に抗して座3を持ち上げるように構成されている。
後傾反力発生機構7は、上述の如く、反力発生部材70を含む。本実施形態において、反力発生部材70は、コイルバネである。これに伴い、後傾反力発生機構7は、図9に示す如く、コイルバネ(反力発生部材)70の両端を受ける一対のバネ受部材71,72と、一対のバネ受部材71,72を接離可能に連結する連結ガイド機構73とを備える。
後傾反力発生機構7は、基台部2の下方に配置される。一方のバネ受部材(以下、第一バネ受部材という)71は、前後方向に移動可能に基台部2に支持される。より具体的に説明する。第一バネ受部材71は、コイルバネ70の一端を支持する第一バネ支持部710と、第一バネ支持部710の両側から延出した一対のガイド部711,711とを備える。第一バネ支持部710は、プレート状に形成され、一方の面でコイルバネ70の一端を支持する。一対のガイド部711,711は、第一バネ支持部710の左右両端から外方に延出している
これに伴い、基台部2の第三フレーム部23は、第一バネ支持部710を前後方向で移動可能に収容する収容スペース26と、収容スペース26の両側にガイド部711を前後方向に案内する一対のガイド溝27,27とを有する。第一バネ受部材71は、第一バネ支持部710が収容スペース26内に配置されるとともに、ガイド部711,711がガイド溝27,27に配置される。これにより、第一バネ受部材71は、傾いたり回転したりすることなく前後方向に移動可能な状態で基台部2に支持されている。
他方のバネ受部材(以下、第二バネ受部材という)72は、背凭れ4の骨格的な機能を果たす背支持ブラケット433,433に直接的又は間接的に連結される。
より具体的に説明する。本実施形態において、後傾反力発生機構7は、図4及び図5に示す如く、背凭れ4の後傾動作に伴ってコイルバネ(反力発生部材70)70を押圧する押圧体74を備える。押圧体74は、一対の背支持ブラケット433,433のそれぞれから前方に延出した一対のアーム74a,74aと、左右横方向に延びる連結棒74bであって、一対のアーム74a,74a同士を連結した連結棒74bとを備える。
背支持ブラケット433とアーム74aとは、一体的に形成されており、第二軸61を共通の回転支点として回転可能になっている。連結棒74bは、第二軸61に対して間隔をあけて平行又は略平行に配置され、前方側にあるアーム74a,74aの先端部同士を連結している。
これに伴い、第二バネ受部材72は、図9に示す如く、コイルバネ70の他端を支持する第二バネ支持部720と、連結棒74bに係止可能に形成された係止片721とを備える。第二バネ支持部720は、プレート状に形成され、一方の面(前側の面)でコイルバネ70の他端を支持する。これに伴い、係止片721は、第二バネ支持部720の他方の面(後側の面)から後方に延出している。本実施形態において、係止片721は、左右横方向に間隔をあけて二つ設けられている。係止片721のそれぞれは、連結棒74bを嵌合する切り欠き状の連結棒嵌合部722を有する。
これにより、第二バネ受部材72は、連結棒嵌合部722に連結棒74bを嵌合することで、押圧体74を介して背支持ブラケット433,433に連結される。
連結ガイド機構73は、第二バネ受部材72の第二バネ支持部720の他方の面に連結されたガイド体730と、第一バネ受部材71の第一バネ支持部710の他方の面に連結されたガイド棒731であって、第二バネ受部材72に向けて延出し、ガイド体730に軸心方向に移動可能に挿入されたガイド棒731とを備える。連結ガイド機構73は、コイルバネ70の内部に配置される。すなわち、連結ガイド機構73は、ガイド棒731がコイルバネ70と同心になるように設けられている。これにより、第一バネ受部材71及び第二バネ受部材72は、コイルバネ70が伸縮したときに、コイルバネ70の反発力を受けつつガイド棒731の軸線に沿って移動する。
上記構成の後傾反力発生機構7は、押圧体74を介してコイルバネ70の反発力を背凭れ4の後傾動作に対する反力として作用させる。すなわち、後傾反力発生機構7は、背凭れ4が後傾動作したときに、押圧体74がコイルバネ70を押圧し、その押圧によって生じるコイルバネ70の反発力を背凭れ4に対して作用させる。
反力調整機構8は、図7に示す如く、所定の軸線周りで回転可能な回転カム800によって反力発生部材(コイルバネ)70に対して背凭れ4の起立位置において異なる大きさの初期変形を与えるものであり、操作部81(図1〜図3参照)から操作線83を介して回転カム800を回転させるように構成されている。
より具体的に説明する。反力調整機構8は、所定の軸線周りで回転可能な回転カム800を含むカム機構80であって、回転カム800の回転に伴ってコイルバネ(反力発生部材)70に対して異なる力を加えるカム機構80と、着座者が操作可能な領域に配置された操作部81(図1〜図3参照)と、入力された直線力を回転力に変換して該回転力を回転カムに伝達する伝達機構82と、操作部81と伝達機構82とを接続し、操作部81に対する操作力を直線力として伝達機構82に伝達する操作線83とを備える。
カム機構80は、図7及び図9に示す如く、回転カム800と、回転カム800の回転中心となる軸体801であって、基台部2に回転自在に支持される軸体801とを備える。
カム機構80は、後傾反力発生機構7に隣接して配置される。より具体的に説明する。回転カム800は、周面(外周面)の一部を第一バネ支持部710の他方の面に接触させている。軸体801は、回転カム800の回転中心位置を貫通している。そして、軸体801は、左右方向に延びるように配置され、両端部が基台部2に回転自在に支持されている。
具体的に説明すると、図10に示す如く、基台部2の第三フレーム部23は、回転カム800を収容可能なカム収容スペース28であって、収容スペース26の前方側で該収容スペース26と連続したカム収容スペース28と、カム収容スペース28の左右両側に設けられた軸受部29,29であって、軸体801を回転自在に支持する軸受部29,29とを有する。
これに伴い、回転カム800がカム収容スペース28に配置された状態で、回転カム800を貫通した軸体80が軸受部29,29に回転可能に軸支されている。これにより、軸体801が基台部2(軸受部29,29)に支持され、コイルバネ70の反発力が回転カム800に作用したときに回転カム800が定位置で維持するようになっている。
回転カム800は、図11に示す如く、回転中心CLからの距離D1,D2,D3,D4を周方向の異なる位置で異にする周面を有する。具体的には、回転カム800の周面は、周方向に間隔をあけて配置された四つのカム面C1,C2,C3,C4と、周方向に間隔をあけて配置された四つのロック面R1,R2,R3,R4であって、周方向で隣り合うカム面C1,C2,C3,C4同士を繋ぐ四つのロック面R1,R2,R3,R4とを有する。四つのカム面C1,C2,C3,C4のそれぞれは、湾曲凸面状に形成されている。四つのカム面C1,C2,C3,C4のそれぞれは、回転中心CLからの距離D1,D2,D3,D4が異なる。また、本実施形態において、四つのカム面C1,C2,C3,C4のそれぞれは、曲率中心及び曲率半径を異にする。四つのロック面R1,R2,R3,R4のそれぞれは、平面状に形成されている。
本実施形態において、回転カム800は、カム面として、第一カム面C1と、第一カム面C1に対して周方向の一方側で隣り合う第二カム面C2と、第二カム面C2に対して周方向の一方側で隣り合う第三カム面C3と、第三カム面C3に対して周方向の一方側で隣り合うとともに、第一カム面C1に対して周方向の他方側で隣り合う第四カム面C4とを有する。第一カム面C1、第二カム面C2、第三カム面C3、第四カム面C4のそれぞれに対する回転中心CLからの距離D1,D2,D3,D4は、第一カム面C1、第二カム面C2、第三カム面C3、第四カム面C4の順(D1<D2<D3<D4)に長くなっている。
これに伴い、第一カム面C1と第四カム面C4とを繋ぐロック面R4から回転中心CLまでの距離は、第一カム面C1と第二カム面C2とを繋ぐロック面R1から回転中心CLまでの距離よりも短く、且つ、第三カム面C3と第四カム面C4とを繋ぐロック面R3から回転中心CLまでの距離よりも短くなっている。また、第一カム面C1と第二カム面C2とを繋ぐロック面R1から回転中心CLまでの距離は、第二カム面C2と第三カム面C3とを繋ぐロック面R2から回転中心CLまでの距離よりも短く、第二カム面C2と第三カム面C3とを繋ぐロック面R2から回転中心CLまでの距離は、第三カム面C3と第四カム面C4とを繋ぐロック面R3から回転中心CLまでの距離よりも短くなっている。
従って、図12(a)〜図12(c)に示す如く、回転カム800が周方向に回転し、第一バネ受部材71と密接するカム面C1,C2,C3,C4又はロック面R1,R2,R3,R4が変更する度に、回転カム800による後傾反力発生機構7の押し込み量が変化する。
これにより、回転カム800が移動することで、回転カム800の周面と密接した第一バネ受部材71が移動するコイルバネ70の伸縮方向に移動する。すなわち、第一バネ受部材71は、回転カム800の回転に追従してコイルバネ70の伸縮方向に移動する従動カムとして機能する。従って、カム機構80(反力調整機構8)は、回転カム800が周方向の一方側に回転にするに伴い、コイルバネ70を支持した第一バネ受部材71が移動することで、後傾反力発生機構7(コイルバネ70)に作用する力を増加させる。なお、第一カム面C1は、中心距離CLからの距離D1が最短であるのに対し、第四カム面C4は、中心距離CLからの距離D4が最長であるため、第一バネ受部材71と密接するカム面が第四カム面C4から第一カム面C1に変更されたときは、回転カム800による後傾反力発生機構7の押し込み量が小さくなり、後傾反力発生機構7(コイルバネ70)に作用する力は減少する。
そして、上述の如く、回転カム800の周面は、隣り合うカム面C1,C2,C3,C4を繋ぐ平面状のロック面R1,R2,R3,R4を有するため、第一バネ受部材71と密接するカム面C1,C2,C3,C4が変更されるとき、一旦平面状のロック面R1,R2,R3,R4と平面状の第一バネ支持部710の他方の面とが面接触する。これにより、回転カム800の回転が一時的に規制され、回転カム800の不用意な回転(後傾反力発生機構7の反力発生部材70の不用意な変形(弾性変形))が阻止される。これに対し、隣り合うロック面R1,R2,R3,R4同士を繋ぐカム面C1,C2,C3,C4が、湾曲凸面状(曲面状)に形成されているため、上述の如く、一時的に回転の阻止された回転カム800を意図的に回転させようとしたとき、その回転が円滑になる。
操作部81は、図1〜図3に示す如く、肘掛け5に設けられている。上述の如く、ロック解除レバー92が一方の肘掛け5に装備されるに伴い、操作部81は、他方の肘掛け5に装備されている。
操作部81は、操作レバー810を備える。より具体的には、操作部81は、図13に示す如く、操作レバー810と、操作レバー810を回転可能に支持する支軸811とを備える。操作レバー810は、先端と基端とを有し、先端と基端との間に操作線83を連結する操作線連結部812を有する。これにより、支軸811は、操作レバー810の基端部を支持する。
これにより、操作レバー810は、基端側を支点にして回動可能に設けられ、先端側を上方に向けて引上げるように操作される。操作レバー810は、肘掛け5の先端部下面に取付けられているため、操作レバー810に指を掛けて肘掛け5の先端部全体を握るようにすることで、操作レバー810の先端部を引上げることができ、反力調整という比較的大きな操作力が必要となっても力を加えやすく、容易に操作できる構造となっている。
また、操作部81は、操作レバー810の操作に伴い、操作線連結部812に接続された操作線83を前方に引き込むようになっている。すなわち、操作レバー810は、先端部を引き上げるように操作されることで、支軸811を支点に回動するため、操作線連結部812も支軸811を支点に回動する。これにより、操作線連結部812が初期位置から移動することになるため、操作線連結部812に接続された操作線83が操作線連結部812の移動量に応じて引き操作されるようになっている。
伝達機構82は、操作部81に対して一操作する度に、回転カム800に対して所定の回転角度で回転する回転力を伝達するように構成される。
本実施形態に係る伝達機構82は、図14に示す如く、軸体801を介して回転カム800に回転力を伝達する回転体84と、回転体84に回転トルクを伝達するトルク伝達部材85とを備える。
回転体84は、円板状に形成され、外周面に複数の切欠き部84aを有する。切欠き部84aは、回転カム800のカム面C1,C2,C3,C4(ロック面R1,R2,R3,R4)の数と対応した数で設けられる。本実施形態において、回転カム800は、四つのカム面C1,C2,C3,C4を有するため、回転体84は四つの切欠き部84aを有する。複数(四つ)の切欠き部84aは、周方向で等間隔に配置される。
切欠き部84aは、回転体84の中心線を通過した仮想面と一致する立面S1と、立面S1に対して傾斜した傾斜面S2とによって区画されている。複数の切欠き部84aのそれぞれを画定する傾斜面S2は、協働して切欠き部84aを形成する立面S1に対して同位に設けられる。すなわち、傾斜面S2は、立面S1に対して周方向の一方側に設けられる。そして、立面S1は、回転体84の接線方向に作用する力を伝達する伝達面として機能する。回転体84は、軸体801の一端部に固定され、回転カム800と同心で回転するように設けられている。
トルク伝達部材85は、回転体84の外周面に重なるように配置された弾性変形可能な帯状部材850であって、一端部に回転体84の切欠き部84aの立面S1に掛止可能な爪部850aを有する帯状部材850と、操作線83が連結される操作線連結部851を有する支持アーム852であって、帯状部材850に連結されるとともに、軸体801に回転可能に取り付けられた支持アーム852とを備える。
支持アーム852は、回転体84を挟んで二つ設けられる。二つの支持アーム852,852のそれぞれは、基端部が軸体801に回転自在に連結されるとともに、先端側が帯状部材850を挟んだ状態で該帯状部材850に連結されている。本実施形態において、操作線連結部851は、支持アーム852,852の先端部に設けられている。
これにより、トルク伝達部材85は、軸体801を回転中心にして回転するようになっている。すなわち、トルク伝達部材85は、操作レバー810の操作によって操作線83が引っ張られたときの引っ張り力の作用により、軸体801を回転中心にして回転するようになっている。
本実施形態に係る伝達機構82は、操作レバー810の操作が解除されたときに、トルク伝達部材85を元の位置に復帰させる復帰用バネ853を備える。復帰用バネ853には、捻りコイルバネが採用されており、操作レバー810の操作によって回転する方向とは反対方向にトルク伝達部材85を付勢する。
上記構成の伝達機構82は、図15(a)及び図15(b)に示す如く、操作レバー810の操作によって操作線83が引っ張られると、その引張り力を帯状部材850の爪部850aが回転体84の切欠き部84aの立面S1に伝達する。これにより、操作レバー810の操作量(操作線83の引っ張り量)に応じて回転体84を所定の回転角度で回転させ、軸体801を介して回転体84に連結された回転カム800も所定の回転角度(本実施形態においては切欠き部84aの数に応じて90°)で回転させる。
そして、伝達機構82は、操作レバー810の操作が解除されると、図15(c)に示す如く、復帰用バネ853の付勢により、トルク伝達部材85が逆回転して元の位置に復帰するようになっている。なお、帯状部材850が弾性変形可能に構成されているため、トルク伝達部材85が逆回転する(元の位置に復帰)に当たり、切欠き部84a内にある爪部850aが傾斜面S2に沿って移動し、切欠き部84aからの離脱が可能となっている。
そして、伝達機構82は、図14に示す如く、トルク伝達部材85が元の位置に復帰した状態で、爪部850aが別の切欠き部84aに嵌まり込むようになっている。これにより、操作レバー810の操作(引き操作)が繰り返し行われることで、伝達機構82は、回転カム800を所定の回転角度で順々に回転させる。これにより、第一バネ受部材71に対して当接するカム面C1,C2,C3,C4が順々に変更される結果、後傾反力発生機構7の反力発生部材70が段階的に変形(圧縮)する。すなわち、背凭れ4の後傾動作可能な荷重範囲が段階的に変更可能となる。
操作線83は、操作レバー810の操作力(引っ張り力)をトルク伝達部材85に伝達できるものであれば、種々のものを採用できるが、本実施形態においては、耐久性を考慮してワイヤが採用されている。操作線83は、図7及び図13に示す如く、伝達機構82と他方の肘掛け5との間に敷設され、一端が操作レバー810に接続され(図13参照)、他端がトルク伝達部材85に接続されている(図7参照)。本実施形態において、操作線(ワイヤ)83は、図7に示す如く、管状のスリーブS2に挿通されている。スリーブS2は、操作線83と同様に、伝達機構82と他方の肘掛け5との間に敷設され、一端が操作レバー810に近傍に固定され、他端がトルク伝達部材85に近傍に固定されている。これに伴い、操作線83は、スリーブS2に案内されつつ長手方向に往復移動可能に設けられている。
本実施形態の椅子は、上述の如く、背凭れ4の後傾のし易さが段階的に変更可能となっているため、図13及び図16に示す如く、その背凭れ4の後傾動作可能な荷重範囲(後傾反力発生機構7による反力の強さ)を確認可能とした反力表示装置100を備える。
反力表示装置100は、肘掛け5に設けられた窓部101と、窓部101の配置に対応するように肘掛け5に内装された反力表示体102であって、一方向に移動可能に設けられた反力表示体102と、反力表示体102を一方向の一方側から付勢する付勢部材103と、反力表示体102を後傾反力発生機構7の反力発生部材70の変形態様(背凭れ4に対する反力の状態)と連動させるための連動線104とを備える。
窓部101は、肘掛け5の上面に設けられた開口部に対して嵌めこまれた透明な樹脂プレートにより構成される。反力表示体102は、図16に示す如く、一方向に長手をなし、窓部101と対向する面に、後傾反力発生機構7の反発力(背凭れ4に対する反力)の強度に関する情報が印刷等により表示されている。反力表示体102に表示される情報の数は、背凭れ4に対する反力の強さの切換え可能な段階数と一致している。本実施形態において、回転カム800がカム面C1,C2,C3,C4を四つ有し、後傾反力発生機構7の反発力(背凭れ4に対する反力)を四段階で切り替えるようになっているため、反力表示体102には、四つの情報(最強、強、中、弱の四つの文字情報)が長手方向に整列して表示されている。反力表示体102は、四つの情報のうちの一つの情報が窓部101と対向する(窓部101から一つの情報を視認できる)ように配置される。これにより、背凭れ4の反力の強度に関する情報が肘掛け5の上面等の視認しやすい位置に表示されるため、背凭れ4に対する反力の状況を容易に確認することができる。また、本実施形態においては、背凭れ4の反力の強度に関する情報が操作レバー810の近傍に表示されるため、その表示を確認しつつ操作レバー810の操作を行うこともできる。
本実施形態において、反力表示体102は、肘掛け5内に設けられたガイド(採番しない)に案内されることで、肘掛け5内で前後方向に移動するように設けられている。付勢部材103には、反力表示体102を移動させることのできる程度の反発力(極めて小さな反発力)を発生するものであればよく、本実施形態においては、弾性係数の小さなコイルバネが採用されている。コイルバネ103の一端は、肘掛け5内に設けられたバネ受(採番しない)に支持される一方、コイルバネ103の他端は、反力表示体102の一端に当接している。付勢部材103は、圧縮状態で配置されており、反力表示体102の配置に関係なく、反力表示体102を常時付勢する。
連動線104には、種々の線材を採用することができ、本実施形態においては、耐久性を考慮してワイヤが採用されている。連動線104は、図9、図13及び図16に示す如く、肘掛け5と後傾反力発生機構7とに跨るように敷設され、一端が反力表示体102の一端に接続され(図16参照)、他端が反力調整機構8による反力調整に伴う移動端となる後傾反力発生機構7の第一バネ受部材71に接続されている(図9参照)。本実施形態において、連動線(ワイヤ)104は、管状のスリーブS3に挿通されている。スリーブS3は、連動線104と同様に、肘掛け5と後傾反力発生機構7とに跨るように敷設され、一端が反力表示体102の近傍に固定され、他端が椅子の前方に向いて後傾反力発生機構7の近傍に固定されている。これに伴い、連動線104は、スリーブS3に案内されつつ長手方向に往復移動可能に設けられている。
これにより、上記構成の反力表示装置100は、後傾反力発生機構7におけるコイルバネ70の変形量(圧縮量)の相違で第一バネ受部材71の位置が変化したときに、反力表示体102の配置が変更し、窓部101から視認可能な反力表示体102に情報が変更されるようになっている。すなわち、図9に示す如く、後傾反力発生機構7におけるコイルバネ70の変形量(圧縮量)が小さなときに、第一バネ受部材71が椅子の前方側に位置し、連動線104が椅子の後方側から前方を向いた状態で第一バネ受部材71に接続されているため、第一バネ受部材71に接続された連動線104も前方側に引っ張られる。
これに伴い、連動線104に接続された反力表示体102も引っ張られて移動する結果、反力表示体102の情報のうち背凭れ4に対する反力が最大よりも小さなことを示す情報が窓部101と対応した配置になる。これに対し、図12(a)〜図12(c)に示す如く、後傾反力発生機構7(コイルバネ70)に対する力が大きなとき(力が段階的に大きくなったとき)に、後傾反力発生機構7(コイルバネ70)に対する力の小さな状態よりも第一バネ受部材71が後方側に位置するため、第一バネ受部材71に接続された連動線104に対する引っ張りが弱まり、連動線104に接続された反力表示体102は付勢部材103の付勢によって移動する。その結果、反力表示体102の情報のうち背凭れ4に対する反力が最小よりも大きなことを示す情報が窓部101と対応した配置になる。なお、連動線104が椅子の前方側から後方を向いた状態で第一バネ受部材71に接続される場合、背凭れ4に対する反力(後傾反力発生機構7(コイルバネ70)の変形量)の大小関係と反力表示体102の情報の配置関係が逆になるため、この場合、反力表示体102に表示される情報の並び順が上記の並び順の逆にされる。
本実施形態において、回転カム800の周面が、回転中心からの距離を異にする四つのカム面C1,C2,C3,C4を有するため、回転カム800を回転させたときに、後傾反力発生機構7の第一バネ受部材71が四段階で位置変更することになる。
これに伴い、図16に示す反力表示装置100において、第一カム面C1と第四カムC4との間にあるロック面R4が第一バネ受部材71(第一バネ支持部710)に当接しているときに、「弱」の情報が窓部101と対応し、第一カム面C1と第二カムC2との間にあるロック面R1が第一バネ受部材71(第一バネ支持部710)に当接しているときに、「中」の情報が窓部101と対応する。また、第二カム面C2と第三カムC3との間にあるロック面R2が第一バネ受部材71(第一バネ支持部710)に当接しているときに、「強」の情報が窓部101と対応し、第三カム面C3と第四カムC4との間にあるロック面R3が第一バネ受部材71(第一バネ支持部710)に当接しているときに、「最強」の情報が窓部101と対応する。
以上のように、本実施形態に係る椅子は、起立位置と後傾位置との間で後傾動作可能な背凭れ4と、背凭れ4の後傾動作と座の動作を連動させるシンクロロッキング機構6と、後傾した背凭れ4を起立位置に戻す反力を発生させる反力発生部材70と、該反力発生部材70を予め変形させて背凭れ4を起立位置に戻す反力の大きさを変更する反力調整機構8とを備え、該反力調整機構8は、所定の軸線周りで回転可能な回転カム800によって反力発生部材70に対して背凭れ4の起立位置において異なる大きさの初期変形を与えるものであり、操作部81から操作線83を介して回転カム800を回転させるように構成される。
かかる椅子によれば、着座者が操作部81を操作したとき、その操作力が操作線83を介して回転カム800に作用し、回転カム800が所定の軸線周りで回転する。これにより、回転カム800の回転に伴って反力発生部材70の初期変形量が変化し、該反力発生部材70における初期変形量に対応した反発力が起立位置にある背凭れ4に対する反力として作用する。このように、上記構成の椅子の反力調整機構8は、着座者が操作可能な領域に配置された操作部81に対する操作によって回転カム800の遠隔操作できるため、着座者が着座した姿勢のままで背凭れ4に対する反力を調整することができる。
より具体的に説明すると、本実施形態に係る椅子は、背凭れ4の後傾動作に座を連動させるシンクロロッキング機構6と、加えられた力に応じた反発力を発生する反力発生部材70(コイルバネ)70を含む後傾反力発生機構7であって、反力発生部材70の反発力を後傾した背凭れ4を起立状態にする反力として作用させる後傾反力発生機構7と、反力発生部材70に対して力を加える反力調整機構8であって、反力発生部材70に加える力を変更可能に構成された反力調整機構8とを備え、反力調整機構8は、所定の軸線周りで回転可能な回転カム800を含むカム機構80であって、回転カム800の回転に伴って反力発生部材70に対して異なる力を加えるカム機構80と、着座者が操作可能な領域に配置された操作部81と、入力された直線力を回転力に変換して該回転力を回転カム800に伝達する伝達機構82と、操作部81と伝達機構82とを接続し、操作部81に対する操作力を直線力として伝達機構82に伝達する操作線83とを備える。
従って、本実施形態に係る椅子によれば、着座者が操作部81を操作したとき、その操作力は、操作線83を介して伝達機構82に直線力として入力される。これに伴い、伝達機構82は、操作力(入力された直線力)を回転力としてカム機構80の回転カム800に伝達し、回転カム800が所定の軸線周りで回転する。その結果、回転カム800は、回転量に応じた力を反力発生部材70に加える。これにより、力に応じて発生する反力発生部材70の反発力が背凭れ4に対する反力として作用する。
このように、上記構成の椅子の反力調整機構8は、着座者が操作可能な領域に配置された操作部によるカム機構80(回転カム800)の遠隔操作により、着座者が着座したままで背凭れ4に対する反力を調整することができる。また、回転カム800が所定の軸線周りで回転するだけで、反力発生部材70に加えられる力が変更されるため、従来のように人の手でハンドルを何回転もさせるといった煩雑な作業を行う必要もない。
従って、本実施形態に係る椅子は、背凭れ4に対する反力を調整するときの操作性を向上させるとともに労力負担を軽減することができるといった優れた効果を奏する。
また、シンクロロッキング機構6は、背凭れ4の後傾動作に伴って少なくとも座の一部を上昇させる。従って、着座者が後傾姿勢から起立姿勢に姿勢変更する際、座3の少なくとも一部が着座者の体重を受けて下降し、この座の下降に伴って背凭れ4が起立しようとする。すなわち、着座者の体重自体を背凭れ4の起立反力に転換させることができる。
これにより、背凭れ4に対する反力(後傾反力)を発生させる作用をシンクロロッキング機構6にも分担させることができる。これに伴い、後傾反力発生機構7の負担が軽減される結果、後傾反力発生機構7の反力発生部材70に従来のものと比べて小さな反力を発生させるものを使用することができる。これに伴い、反力発生部材70に力を加える回転カム800を回転させる回転力を小さくでき、結果的に操作部81を操作するために必要な操作力を小さくできる。
そして、回転カム800は、周方向の異なる位置で回転中心からの距離を異にする周面を有し、該周面の一部で反力発生部材70を直接付勢するように配置されているため、回転カム800が一定位置で回転すると、周面における反力発生部材70を付勢する部位が変更され、回転カム800による反力発生部材70に対する押し込み量が変化する。従って、上記構成の反力調整機構8は、回転カム800を一定位置で回転させるだけで、反力発生部材70に加える力を変更することができる。
さらに、伝達機構82は、操作部81に対して一操作する度に、回転カム800に対して所定の回転角度で回転する回転力を伝達するように構成されるため、操作部81に対する操作を複数回行うことで、回転カム800が所定の回転角度で順送りに回転する。従って、操作部81に対する操作の回数に応じて反力発生部材70に加える力を変更することができる。
また、本実施形態に係る椅子は、背凭れ4の後傾動作に伴って反力発生部材70を押圧する押圧体74を備え、反力発生部材70は、加えられた力に応じて一方向に伸縮し、その伸縮量に応じて反力を発生させるものであり、回転カム800は、一方向における反力発生部材70の一端側を付勢し、押圧体74は、背凭れ4が後傾動作したときに、一方向における反力発生部材70の他端側を付勢するように構成されているため、背凭れ4が後傾動作したときに、反力発生部材70の反発力が押圧体74を介して背凭れ4に対する反力として作用する。従って、着座者が後傾姿勢から起立姿勢に姿勢変更するときに、背凭れ4が着座者の姿勢に追従し、着座者が背凭れ4から離れたときには、背凭れ4が起立状態に復帰する。
そして、本実施形態に係る椅子は、肘掛け5を備え、操作部81は、肘掛け5に設けられているため、着座者が操作部81を容易に操作することができる。
また、本実施形態に係る椅子は、後傾反力発生機構7と連動する反力表示装置100を備えているため、無造作に操作レバー810が操作されても、その状況が如何なる状況であるのかを把握することができる。
なお、本発明に係る椅子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記実施形態において、伝達機構82の回転体84の立面S1が当該回転体84の中心線を通過するように形成されたが、これに限定されない。例えば、回転体84の立面S1は、その延長線が回転体84の中心線から外れた位置を通過するように形成されてもよい。すなわち、回転体84の立面S1は、トルク伝達部材85を回転させる際、爪部850aが外れない程度の角度で形成さればよく、回転体84の周面と立面S1で挟まれる部分の角度が90度以下の鋭角であることが望ましい。また、立面S1とともに切欠き部84aを画定する傾斜面S2は、平面に限定されるものではなく、例えば、回転体84の外周周面と連続した湾曲面で構成されてもよい。この場合は、切欠き部84aという概念が無くなり、段差という概念になる。
例えば、上記実施形態において、反力調整機構8の伝達機構82が、軸体801を介して回転カム800に回転力を伝達する回転体84であって、外周面上に切欠き部84aを有する回転体84と、回転体84の外周面上に回転体84の外周面に重なるように配置された弾性変形可能な帯状部材850であって、一端部に回転体84の切欠き部84aの立面S1に掛止可能な爪部850aを有する帯状部材850を有するトルク伝達部材85とを備えたが、これに限定されない。
例えば、伝達機構82は、図17及び図18に原理図を示す如く、カム機構80の軸体801の一端に連結される第一トルク伝達体820と、第一トルク伝達体820と同心で配置される第二トルク伝達体821と、第二トルク伝達体821を軸心回りで回転可能で、且つ軸心方向に移動可能に支持する支持体822と、操作線83が接続される操作線接続部824aを有するアーム824であって、第二トルク伝達体821に連結されたアーム824と、第二トルク伝達体821を第一トルク伝達体820に向けて付勢するとともに、第二トルク伝達体821を操作線83による引き操作方向とは反対方向に付勢する付勢部材823とを備えてもよい。
この場合、第一トルク伝達体820及び第二トルク伝達体821の互いに対向する面には、軸心の周囲に該軸心に沿った立面S3と、立面S3に連続した傾斜面S4とが交互に形成され、第一トルク伝達体820及び第二トルク伝達体821の互いに対向する面同士が噛み合うように構成される。また、アーム824は、先端部と基端部とを有し、先端部に操作線接続部824aを有し、操作線接続部824aが第二トルク伝達体821の径方向外方に位置するように設けられる。
かかる構成によれば、操作レバー810が操作されて操作線83が引っ張られると、その引っ張り力が第二トルク伝達体821に作用し、第二トルク伝達体821の立面S3に密接する第一トルク伝達体820の立面S3に伝達される、これにより、第一トルク伝達体820に回転トルクが作用し、第二トルク伝達体821が自身の軸心周りで回転する。これに伴って第二トルク伝達体82に連結された軸体801及び回転カム800が周方向の一方側に回転し、第一バネ受部材71と密接するカム面C1,C2,C3,C4が変更する。
これに対し、操作レバー810の操作が解除されると、操作線83による引っ張りが解消され、付勢部材823の付勢力によって第二トルク伝達体821が周方向の他方側に回転する。このとき、第二トルク伝達体821の傾斜面S4が第一トルク伝達体820の傾斜面S4上を摺接しつつ第二トルク伝達体821の自身の立面S3が第一トルク伝達体820の立面S3が離間する。すなわち、第二トルク伝達体821は、軸心方向で第一トルク伝達体820から離間しつつ周方向の他方側に回転する。
そして、第二トルク伝達体821の立面S3が当初密接していた立面S3と隣り合う別の立面S3を乗り越えると、付勢部材823の付勢力によって第二トルク伝達体821が第一トルク伝達体820側に移動し、第一トルク伝達体820及び第二トルク伝達体821の互いに対向する面同士が噛み合う。従って、この場合においても、操作レバー810の操作を繰り返すことで、第一バネ受部材71に密接するカム面C1,C2,C3,C4が変更する。なお、この場合、第一トルク伝達体820及び第二トルク伝達体821のそれぞれには、回転カム800の周面上に設けられる数に対応した数の立面S3及び傾斜面S4が設けられる。
上記実施形態において、後傾反力発生機構7の第一バネ受部材71に密接した回転カム800が回転することで、反力発生部材70であるコイルバネ70に加わる力が変更されたが、これに限定されない。
例えば、カム機構80は、図19及び図20(a)に示す如く、回転カム802と、反力発生部材70に連結された従動カム803とを備えてもよい。
この場合、回転カム802は、周方向に並んで配置された複数の回転カム面Ca,…であって、それぞれが回転カム802の回転中心となる軸線の延びる方向に対して交差する方向に延びる平面状又は曲面状をなして軸線方向の異なる位置に配置された複数の回転カム面Ca,…を有し、従動カム803は、回転カム802の複数の回転カム面Ca,…と対応した複数の従動カム面Cb,…を有すればよい。
かかる構成によれば、回転カム802における複数の回転カム面Ca,…は、回転カム802の回転中心周りで螺旋状に配置される。また、従動カム803の複数の従動カム面Cb,…は、回転カム802の複数の第一カム面Caと対応するように、回転カム802の回転中心となる軸線周りで螺旋状に配置される。
これに伴い、図20(b)に示す如く、伝達機構82から伝達された回転力によって回転カム802が回転すると、回転カム802の複数の回転カム面Caと従動カム803の複数の従動カム面Cbとが軸線周りで位置ずれする。すなわち、当初当接していた回転カム面Caと従動カム面Cbとが回転カム802の回転中心周りで位置ずれし、回転カム面Caが異なる従動カム面Cbに乗り移る。
そして、回転カム面Ca及び従動カム面Cbは、回転カム802の回転中心となる軸線の延びる方向に対して交差する方向に延びているため、上述の如く、回転カム面Caが異なる従動カム面Cbに乗り移る度に、従動カム803が段階的に反力発生部材70側へと移動する。すなわち、従動カム803は、回転カム802の回転に従動し、コイルバネ70の軸線方向に移動する。その結果、回転カム802による反力発生部材70に対する押し込み量が変化する。従って、上記構成の反力調整機構8は、回転カム802を一定位置で段階的に回転させるだけで、反力発生部材70に加える力を変更することができる。
この場合、図19に示す如く、従動カム803を第一バネ受部材71に兼用することができ、これに伴って、連結ガイド機構73は、従動カム803(第一バネ受部材71)又は第一バネ受部材71の何れか一方から延出したガイド棒731のみで構成し、従動カム803(第一バネ受部材71)又は第一バネ受部材71の何れか他方にガイド棒731を軸心方向に移動可能で且つ相対回転不能に挿入されてもよい。なお、図19のガイド棒731は、第一バネ受部材71から延出し、第二バネ受部材72にガイド棒731を挿入する穴(図示しない)が設けられている。そして、ガイド棒731の先端部の外周と、第二バネ受部材72の孔の内周面にセレーション(採番しない)が形成され、ガイド棒731が軸心方向に移動可能で且つ軸心周りで回転不能な状態で第二バネ受部材72に挿入されている。
また、上述の場合、回転カム802が従動カム803と同心で回転しつつ軸心方向にも移動できるように、回転カム802及び従動カム803の相対回転中心となる中心軸体804を回転カム802及び従動カム803に挿入しておくことが好ましい。また、回転カム802の不用意な位置ずれ(回転)を防止すべく、回転カム802の各回転カム面Ca,…に凸部又は凹部の何れか一方(図19においては凹部802a)を設けるとともに、従動カム803の各従動カム面Cb,…に凸部又は凹部の何れか他方(図19においては凸部803a)を設け、回転カム面Caと従動カム面Cbとが密接した状態で凸部803aと凹部802aとが嵌合するようにすることが好ましい。
そして、カム機構80が回転カム802と従動カム803とで構成される場合、回転カム802は、コイルバネ70の軸心と同方向に延びる軸心回りで回転させる必要があるため、伝達機構82についても、上記実施形態と異なる態様のものが採用される。
例えば、伝達機構82は、基台部2の第三フレーム部23に回転カム802の回転軸線方向に移動可能に挿入される筒状のスライド部材825と、スライド部材825に挿入された回転軸体826と、スライド部材825と回転軸体826とを相対的に離間させる方向に付勢する付勢部材827とを備えたものを採用し得る。
この場合、回転軸体826は、小径部826aと大径部826bとを有する段付軸状に形成される。回転軸体826は、小径部826a側からスライド部材825に挿入され、スライド部材825の一端から突出した小径部826aが回転カム802に同心で連結される。これに伴い、付勢部材827は、スライド部材825の一端と大径部826bとの間に介装される。
そして、スライド部材825は、内方に突出したピン825aを有し、回転軸体826の大径部826bには、ピン825aに案内される案内部828が形成される。案内部828は、小径部826aの存在する一端側から反対の他端側に延びる第一ガイド面828aであって、他端側に向かうにつれて周方向に湾曲した第一ガイド面828aと、他端側にある第一ガイド面828aの終端から一端に向けて延びる第二ガイド面828bであって、コイルバネ70の軸心と同方向に延びる第二ガイド面828bとが、周方向に交互に形成される。回転軸体826は、定位置で自身の中心軸線を回転中心にして回転可能に配置される。
これに伴い、回転軸体826は、大径部826bの端面(小径部826aとの接続面とは反対側の面)には、自身の中心軸線と一致する位置に基台部2(第三フレーム部23)と点接触可能な凸部(採番しない)が設けられている。これにより、基台部2との接触抵抗を低減し、回転軸体826の回転の円滑性が確保されている。
かかる伝達機構82は、スライド部材825に操作線83(図19において図示しない)が接続され、操作レバー810が操作されたときに、操作線83がスライド部材825を軸線に沿って大径部826b側に引っ張るようになっている。
これにより、この伝達機構82は、スライド部材825が大径部826b側に移動するのに合わせ、ピン825aが第一ガイド面828aに当たるようになっている。第一ガイド面828aは、上述の如く、他端側に向かうにつれて周方向に湾曲しているため、図20(b)に示す如く、ピン825aが第一ガイド面828aに接触しつつ直線状に移動することで、回転軸体826は定位置に位置しつつ軸心周りで回転する。
これにより、回転軸体826に連結された回転カム802も所定の回転角度で回転する。そして、操作レバー810に対する操作が解除されると、操作線83による引っ張り力が開放される結果、スライド部材825は、付勢部材827の付勢によりピン825aが第二ガイド面828bに沿って元の位置に復帰する。このとき、ピン825aは第二ガイド面828bの範囲を超えた位置に有るが凹部802aと凸部803aは嵌合しきっておらず、次にこの2つが嵌合することで回転軸体826がさらに回転し、ピン825aは隣合う第一ガイド面828aの面に移る。従って、操作レバー810の操作とその解除とを繰り返すと、スライド部材825が直線上で往復移動して、回転軸体826が所定の回転角度で順次回転する。従って、この場合においても、上記実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
上記実施形態において、力に応じて一方向に伸縮し、その伸縮量に応じた反発力を発生させる反力発生部材70としてコイルバネ70が採用されたが、これに限定されない。例えば、力に応じて一方向に伸縮し、その伸縮量に応じて反発力を発生させる反力発生部材70としてガススプリングが採用されてもよい。
また、上記実施形態において、力に応じて一方向に伸縮し、その伸縮量に応じて反発力を発生させる反力発生部材70を含む後傾反力発生機構7が採用されたが、これに限定されない。例えば、図21及び図22に示す如く、後傾反力発生機構7は、反力発生部材70として複数の板状又は棒状の長尺バネ70a,70b,70c,70dを備え、少なくとも何れか一つの長尺バネ70a,70b,70c,70dの反発力を背凭れ4の反力として作用させるようにしたものであってもよい。
この種の後傾反力発生機構7を採用する場合、図22に示す如く、座3の座受部30は、前後方向の特定位置Pから前方に配置された前座受部30aと、前後方向の特定位置Pから後方に配置された後座部30bとを備え、前座受部30aと後座受部30bとが特定位置Pを支点に傾動可能に連結される。そして、前座受部30aは、脚1に取り付けられた基台部2の斜め上前方に延びるフレーム部200に連結される一方、後座受部30bは、背凭れ4(基台部2に傾動自在に取り付けられた背凭れ支持体43)に回転可能にピン結合される。これにより、背凭れ4の傾動に追従して座3のうちの後座受部30bが前座受部30aとの枢結位置を支点にして傾動する。
これに伴い、長尺バネ70a,70b,70c,70dは、前座受部30aと後座受部30bとに跨るように配置され、一端側が前座部に固定される一方、他端が後座受部30bに固定される。これにより、上記構成の後傾反力発生機構7は、背凭れ4が傾動に対応して後座受部30bが連動(傾動)したときに、長尺バネ70a,70b,70c,70dに曲げ作用が生じ、その曲げ作用による反発力を背凭れ4に対する反力として作用させる。
そして、この種の後傾反力発生機構7を対象とする反力調整機構8は、複数の長尺バネ70a,70b,70c,70dのそれぞれに対応して配置される複数の回転カム800a,800b,800c,800dと、複数の回転カムの共通の回転中心となる回転軸801であって、複数の回転カムが固定された回転軸801とを備える。
複数の回転カム800a,800b,800c,800dは、図23(a)〜図23(d)に示す如く、互いに形状を異にしたもので、回転軸801に対する取り付け姿勢も異にしている。これにより、反力調整機構8は、回転軸801を回転させることで、回転カム800a,800b,800c,800dによって力が加えられる長尺バネ70a,70b,70c,70dの数や組み合わせが変わり、その結果、背凭れ4に対する反力を変更できるようになっている。
かかる反力調整機構8は、回転軸801を回転させることで、回転カム800a,800b,800c,800dによって力が加えられる長尺バネ70a,70b,70c,70dの数や組み合わせが変わるため、複数の長尺バネ70a,70b,70c,70dのそれぞれが同種のものであってもよいが、図22に示す反力調整機構8は、回転カム800a,800b,800c,800dによって力が加えられる長尺バネ70a,70b,70c,70dの組み合わせのバリエーション、すなわち、変化させる力のパターン数を多くできるように、反力発生部材70として長さの異なる複数の長尺バネ70a,70b,70c,70dが配置されている。この場合においても、回転軸801を段階的に回転させることで、背凭れ4の反力を変更できるため、回転軸801には、上記実施形態で採用した伝達機構82を連結することで、上記実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
上記実施形態において、回転カム800が、四つのカム面C1,C2,C3,C4と、周方向に間隔をあけて配置された四つのロック面R1,R2,R3,R4であって、周方向で隣り合うカム面C1,C2,C3,C4同士を繋ぐ四つのロック面R1,R2,R3,R4とを有したが、これに限定されない。例えば、回転カム800は、二つ以上のカム面と、周方向に間隔をあけて配置された二つ以上のロック面であって、周方向で隣り合うカム面同士を繋ぐ二つ以上のロック面とを有してもよい。すなわち、回転カム800は、背凭れ4に対する反力の変更段数に応じた数のロック面と、該ロック面の数と対応した数のカム面とを有するものであればよい。そして、このように、回転カム800がロック面及びカム面のそれぞれを二つ以上有する場合であって、反力表示装置100が装備される場合、反力表示体102に表示される情報は、ロック面の数、すなわち、背凭れ4に対する反力の強さの切換え可能な段階数と一致した数で設けられる。
上記実施形態において、操作部81が引き操作可能な操作レバー810を備えたが、これに限定されない。例えば、図22に示す如く、操作部81は、回転操作可能な回転ハンドル813を備えてもよい。この場合、操作部81は、操作線83を巻き欠ける(巻き付ける)ドラム(図示しない)であって、回転ハンドル813の回転操作に連動して回転するドラムを備えればよい。このようにすれば、回転ハンドル813の回転操作に伴ってドラムが回転し、その回転量に応じてドラムに対する操作線83の巻き掛け量(引っ張り量)が変化するため、上記実施形態と同様に回転カム800,800a,800b,800c,800cを所定の回転角度で回転させることができる。
上記実施形態において、背凭れ4の後傾動作に伴って座3を連動させるシンクロロッキング機構6として、背凭れ4の起立状態で前倒姿勢をとり、背凭れ4の後傾動作によって起立する第一リンク64及び第二リンク65を用いた前後リンク方式(基台部2、第一リンク64、第二リンク65及び座受部30の四節リンク方式)が採用されたが、これに限定されない。体重感知式のシンクロロッキング機構としては、背凭れの後傾動作に伴って、座の前部が基台部に対して上方あるいは後ろ斜め上方にスライドする前スライド方式や、座の前部が上昇し、座の後部が下降する回動方式であってもよい。