以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図14に、本発明の椅子の操作レバーおよびこの操作レバーを備える椅子の実施形態の一例を示す。
本実施形態では、全体構成が図1,図2に示すようになっていると共に本発明に関連する部分の構造が図3,図4に示すようになっている椅子に対して本発明に係る操作レバーが適用された場合を例に挙げて説明する。
また、本発明の説明においては、椅子の座に座った着座者を基準にして「上」及び「下」,「前」及び「後」,並びに「左」及び「右」を定義する(言い換えると、着座者から見たときの「上」及び「下」,「前」及び「後」,並びに「左」及び「右」を意味する)。
本実施形態の椅子は、脚体9と、当該脚体9の上端部分に取り付けられて支持されるメインフレーム1と、当該メインフレーム1に対して回動可能に取り付けられるシンクロフレーム10と、当該シンクロフレーム10に取り付けられる背凭れ8(尚、クッション材及び張地は図示されていない)と、メインフレーム1の上方に配設されて当該メインフレーム1に支持される座7とを有し、座前方支持軸5並びに座後方支持軸6及びシンクロフレーム10を介在させてメインフレーム1に対する背凭れ8の傾動動作と座7の動作とを同期させて連動可能であるように構成される。なお、座後方支持軸6は、図5乃至図8では図示されていない。
本実施形態の椅子は、また、メインフレーム1に対して揺動して背支桿として機能するシンクロフレーム10に取り付けられた背凭れ8が、反力付与装置12によって反発力を受けながら傾動したり、傾動ロック機構によってシンクロフレーム10の揺動動作が制限されることによって傾動不能になって初期位置で固定されたりする。また、メインフレーム1に支持される座7が、脚体9の脚柱9aの伸縮動作によって昇降したり、昇降ロック機構によって脚柱9aの伸縮動作が制限されることによって伸縮不能になって適宜の高さで固定されたりする。
脚体9は、メインフレーム1を介して座7を支持する脚柱9aと、当該脚柱9aが中心部に立設すると共に複数本の脚羽根9bを備える脚ベースと、複数本の脚羽根9bそれぞれの先端部の下面に取り付けられるキャスタ9cとを有する。
脚柱9aは、シリンダと当該シリンダに対して昇降可能であるピストンロッドとを有すると共にピストンロッドの先端に設けられたプッシュバルブ9e(「プッシュピン」とも呼ばれる)を介して操作可能であるロック機構を備えるガススプリングによって構成される。脚柱9aのうちのシリンダが脚ベースの中心部に設けられた貫通孔に嵌合して固定されることによって脚ベースに対して脚柱9a(即ち、ガススプリング)が固定される。
背凭れ8の傾動動作に纏わるロッキング機構は、メインフレーム1と、当該メインフレーム1に対して回転軸4を介して背凭れ8を傾動自在に連結するシンクロフレーム10と、メインフレーム1の後端部に配設されてメインフレーム1とシンクロフレーム10との間に介在してメインフレーム1に対してシンクロフレーム10が立ち上がるように、延いては背凭れ8が立ち上がるように(言い換えると、後傾姿勢から初期の直立姿勢に回復するように)反力を与える反力付与装置12と、シンクロフレーム10の揺動動作を止めて背凭れ8が後傾しないように固定可能とする傾動ロック機構(13,14,15)とを含む仕組みとして構成される。
メインフレーム1は、天板部1Aと、当該天板部1Aの左右両端のそれぞれから連続して下方に延出して左右方向において相互に対向する左右一対の側壁部1B,1Bと、天板部1Aの下方に位置する底板部1Cとを有する。なお、メインフレーム1は、座下前カバー3A及び座下後カバー3Bによって覆われて外観に露出しないように配慮されている。
メインフレーム1の底板部1Cに、脚柱受金具9dが差し込まれて固定される貫通孔(脚柱受金具9dに隠れて図面には表れていない)が形成される。
脚柱受金具9dは、脚体9の脚柱9aの頂部寄りの部分(具体的には、脚柱9aを構成するガススプリングのピストンロッドの先端部寄りの部分)を嵌合させて保持し、脚柱9aに対して固定される。これにより、脚柱受金具9dを介し、脚柱9aとメインフレーム1とが連結され、メインフレーム1が脚柱9aの上端部分に固定されて取り付けられる。
メインフレーム1の天板部1Aの、底板部1Cの貫通孔(図面には表れていない)と上下方向において対向する位置に、脚柱9aの頂部(具体的には、脚柱9aを構成するガススプリングのピストンロッドの先端部に設けられているプッシュバルブ9e)を露出させるための脚柱支持孔1eが形成される。なお、脚柱支持孔1eは、プレス加工によって内側に漏斗状に絞られるようにして形成される。
そして、脚柱受金具9dが底板部1Cの貫通孔と天板部1Aの脚柱支持孔1eとを貫通した状態で、脚柱受金具9dの周壁と貫通孔及び脚柱支持孔1eの周縁部とが溶接によって固着される。
メインフレーム1の左右の側壁部1B,1Bそれぞれの前端部寄りの位置に、座前方支持軸5を左右方向に貫通させて支持する長孔1gが形成される。長孔1gは、メインフレーム1の前端寄りの位置から後ろ斜め上向きを長手方向として形成され、この長手方向に沿って移動可能であるように座前方支持軸5を支持する。
また、メインフレーム1の左右の側壁部1B,1Bのそれぞれに、上記長孔1gの後方且つ底板部1Cの貫通孔(図面には表れていない)及び天板部1Aの脚柱支持孔1eの前方直近の位置に昇降ロック機構の昇降ロック回動軸21を左右方向に貫通させて軸回転可能に支持する孔1hが形成され、さらに、当該孔1hの後方の位置に回転軸4を左右方向に貫通させて軸回転可能に支持する孔1iが形成される。
そして、シンクロフレーム10が、回転軸4により、メインフレーム1に対して回動可能に連結されて取り付けられる。
シンクロフレーム10は、メインフレーム1と背凭れ8とを連結するものであり、前側が回転軸4によってメインフレーム1に対して回動可能に取り付けられると共に後端部に背凭れ8が取り付けられる。これにより、シンクロフレーム10は、メインフレーム1に対して鉛直面に沿って揺動可能であるように連結され、背凭れ8を支持すると共に回転軸4を支点として背凭れ8を傾動させる梃子として機能する。
背凭れ8を支持するシンクロフレーム10は、また、メインフレーム1との間に介在するように備えられる反力付与装置12によって発揮される、背凭れ8が後傾動作する際に当該背凭れ8を元の位置に押し戻そうとする力を背凭れ8に伝達する。
シンクロフレーム10は、左右一対の同一形状の平板状に形成されて左右方向において相互に対向するフレーム部10A,10Aと、これら左右一対のフレーム部10A,10Aの後部側においてこれら左右一対のフレーム部10A,10Aの間に渡って設けられて背凭れ8が取り付けられる背凭れ取付部10Bと、当該背凭れ取付部10Bの前方の位置において左右一対のフレーム部10A,10Aの間に渡って設けられる架橋部10Cとを有する。
シンクロフレーム10の左右一対のフレーム部10A,10Aのそれぞれに、座後方支持軸6を左右方向に貫通させて支持する孔10dが前端部に形成され、当該孔10dの後方の位置に回転軸4を左右方向に貫通させて支持する孔10eが形成され、さらに、当該孔10eの後方且つ架橋部10Cの前端部の位置に傾動ロック機構の傾動ロック回動軸13を左右方向に貫通させて軸回転可能に支持する孔10fが形成される。
座7は、メインフレーム1に支持されて取り付けられる座受部材7Aと、当該座受部材7Aの上面に取り付けられて芯材となる座板と、当該座板の上面及び側面を覆うように当該座板に取り付けられるクッション材と、当該クッション材を覆う張地7Bとを有する。座受部材7Aと座板とは、例えば樹脂によって形成される。なお、座板及びクッション材は、図面には表れていない。
座7は、メインフレーム1の前端部に後ろ斜め上向きを長手方向として形成された左右一対の長孔1g,1gを左右方向に且つこれら長孔1g,1g内を当該長孔1gの長手方向に沿って移動可能に貫通する座前方支持軸5によって前側が支持されると共に、シンクロフレーム10の前端部に形成された左右一対の孔10d,10dを左右方向に貫通する座後方支持軸6(尚、図5乃至図8では図示されていない)によって後側が支持される。
後ろ斜め上向きを長手方向として形成された長孔1g内を前記長手方向に沿って座前方支持軸5が移動することにより、座7の前側は後退しながら上昇したり前進しながら下降したりするように支持される。
座受部材7Aは、下面の前側の位置に形成されて座前方支持軸5と連結する左右一対の軸受部7c,7cと、下面の後側の位置に形成されて座後方支持軸6と連結する左右一対のフック7d,7dとを有する。
これにより、座受部材7Aは、延いては座7は、座前方支持軸5と座後方支持軸6及びシンクロフレーム10とを介してメインフレーム1によって支持されると共に、シンクロフレーム10の揺動(延いては、背凭れ8の傾動)と連動して作動する。
具体的には、着座者が背凭れ8に凭れ掛かると、回転軸4を回動支軸としてシンクロフレーム10が回動して背凭れ8が後傾し、その際、シンクロフレーム10の回動動作に伴って座後方支持軸6及びフック7d,7dを介して座受部材7Aの後側が後ろ向き斜め上方へと引き上げられると共に長孔1g及び座前方支持軸5によって軸受部7c,7cを介して座受部材7Aの前側が後ろ向き斜め上方へと引き上げられて座7全体が持ち上げられ、背凭れ8と座7とが連動してロッキング動作が行われる。
また、背凭れ8が後傾する際に、反力付与装置12により、背凭れ8の後傾動作に対してシンクロフレーム10を介して反発力が与えられる。
一方、着座者が上体を起こそうとする際には、座7が前向き斜め下方へと押し下げられ、その際、フック7d,7d及び座後方支持軸6を介してシンクロフレーム10が回動して背凭れ8が起立させられる。
また、背凭れ8が起立する際に、反力付与装置12により、背凭れ8の起立動作に対してシンクロフレーム10を介して付勢力が与えられる。
背凭れ8は、シンクロフレーム10に対して固定されて取り付けられるシェル部材8Aと、当該シェル部材8Aの前面に取り付けられる背板8Bと、当該背板8Bの前面へと当たる側にクッション材を備える張地とを有する(尚、クッション材を含む張地は図示されていない)。
シェル部材8Aは、背凭れ8として必要とされる強度を確保するため、高い剛性を備える部材として構成される。シェル部材8Aは、高い剛性を備えるようにするため、具体的には例えば、ガラス繊維入りナイロンやポリアセタール(POM),ポリプロピレン(PP),ナイロン等のポリアミド系樹脂などの強化樹脂、或いは、鉄,アルミ合金,ステンレススティール等の樹脂以外の材料が用いられて形成される。
背板8Bは、張地及びクッション材を介在させつつも着座者の上体背面(具体的には、背や腰部背面)を受支える部材であるので、背凭れ8に凭れ掛かった際に着座者の上体背面に馴染んで良好な快適性を実現するため、適度な柔軟性を有する部材として構成される。背板8Bは、適度な柔軟性を有するようにするため、具体的には例えば、ポリプロピレン(PP)やナイロン6(PA6)などの樹脂が用いられて形成される。
すなわち、背凭れ8は、十分な剛性を備えるシェル部材8A,適度な柔軟性を有する背板8B,並びに良好な緩衝性及び通気性を備えるクッション材という三層構造を成すものとして構成される。
シェル部材8Aは、着座者の上体を支持する部分(「上体支持部8d」と表記する)が、側面視及び前後方向縦断面視において上下方向における中程の部分が前向きに凸んで湾曲していると共に、平面視及び横断面視において左右方向における中程の部分が後ろ向きに凹んで湾曲している形状に形成される。なお、シェル部材8Aの側面視において前向きに突出している部分によって着座者の腰部付近をサポートすることが想定されて設計される。
シェル部材8Aの上体支持部8dの下側部分の左右縁部のそれぞれに、これら左右縁部のそれぞれから前向きに突出すると共にサークル状に形成される左右一対の肘掛け部8e,8eが上体支持部8dと一体に形成される。
上述の通りシェル部材8Aは高い剛性を備える部材として構成されるため、肘掛け部8eは肘掛けとして十分な剛性を備える部位として形成されて備えられる。
肘掛け部8eのサークルは、肘載せ部として概ね水平の上辺と、当該上辺の前端から後ろ向き斜め下方へと延びて上体支持部8dの左右縁部の下端へと至る前辺と、当該前辺の後端(言い換えると、下端)と前記上辺の後端との間の上体支持部8dの左右縁部とによって形成される。
なお、後端部一点支持の片持梁状の肘掛けや中間部一点支持の側面視T字状の肘掛けの場合には例えば衣類のポケットなどが引っ掛かってしまうことがあるのに対し、肘掛け部8eがサークル状に形成される場合にはポケットなどが引っ掛かることがないので椅子利用時の快適性の向上が図られる。また、肘掛け部8eがサークル状に形成されることにより、片持梁状やT字状の肘掛けよりも、安定性や強度を向上させることが可能になる。
左右一対の肘掛け部8e,8eそれぞれの上辺(即ち、肘載せ部)の後端は、シェル部材8Aの側面視において前向きに最も突出している部分と連接する。
シェル部材8Aの下端部に、下方に向けて(言い換えると、下端において)開口すると共にシンクロフレーム10の背凭れ取付部10B及びこれの左右両側のフレーム部10A,10Aが嵌め込まれる空間としてフレーム固定部8cが形成される。さらに、シェル部材8Aの前面側からフレーム固定部8cとしての空間へと連通する四つの貫通孔が形成される。
また、シンクロフレーム10の背凭れ取付部10Bに、上記シェル部材8Aのフレーム固定部8cの部分に形成された貫通孔と同じ位置関係で、四つの貫通孔10gが形成される。
そして、シェル部材8Aの下端の開口からシンクロフレーム10の上側部分が差し込まれて背凭れ取付部10Bがフレーム固定部8cへと嵌め込まれた上で、フレーム固定部8cに形成された四つの貫通孔のそれぞれから挿し入れられて背凭れ取付部10Bに形成された貫通孔10gのそれぞれへと至る四本のねじにより、背凭れ取付部10Bに対してフレーム固定部8c(延いては、シェル部材8A)が直接固定される。これにより、シンクロフレーム10を介してメインフレーム1に対して背凭れ8が傾動可能に取り付けられる。
反力付与装置12は、メインフレーム1に対して揺動するシンクロフレーム10へと反力を発揮する機序である。
反力付与装置12は、メインフレーム1の後端部とシンクロフレーム10の中程との間に介在するように且つ回転軸4の後方に配設され、シンクロフレーム10を立ち上がらせる(言い換えると、起立させる)向きに付勢することによって背凭れ8及び座7の作動に対して反発力・反力を与えて初期位置に戻す働きをする。
なお、シンクロフレーム10の後部側が上方に押し上げられて当該シンクロフレーム10の後部側の背凭れ取付部10Bに取り付けられる背凭れ8が上方に一杯まで引き上げられて起立している状態を初期位置とし、例えば図1や図3乃至図6は初期位置である状態を表す。
反力付与装置12は、相互に対向して同軸上に配置されると共に摺動軸(図示省略)によって案内されて相互の間隔を変更可能な一対のマウントと、これら一対のマウントの間に介在すると共にこれら一対のマウントのそれぞれが両端部に嵌合する圧縮コイルばねとを有する。
一対のマウントのそれぞれは、圧縮コイルばねへと挿入される軸部と、当該軸部の反対側に向けて凸む半球状の突部とを有する。
そして、前記マウントの半球状の突部を当接させて位置固定しつつ摺動可能に受支える凹部がメインフレーム1の底板部1Cの後端部とシンクロフレーム10の架橋部10Cとのそれぞれに形成され、これら凹部に前記一対のマウントの半球状の突部のそれぞれが当接して支持される。
ここで、反力付与装置12は、反力の発生と不発生とを(言い換えると、伸縮の可否を)制御する仕組み(即ち、ロック機構)を装置自体としては備えていない。そこで、背凭れ8の傾動動作の可否を制御する仕組みとして傾動ロック機構が設けられる。そして、本実施形態では、当該傾動ロック機構に含まれる回動軸に対して本発明に係る椅子の操作レバーが適用される(言い換えると、傾動ロック機構に含まれる回動軸が本発明に係る椅子の操作レバーによって構成される)。
傾動ロック機構は、背凭れ8を初期位置に固定したり当該固定を解除したりするための仕組みである。すなわち、傾動ロック機構は、回転軸4を回動支軸としてメインフレーム1に対して回動可能であるシンクロフレーム10の回動動作(具体的には、後方への揺動動作)を制限したり許容したりすることにより、当該シンクロフレーム10に取り付けられる背凭れ8の姿勢の固定と当該固定の解除と(言い換えると、背凭れ8の傾動動作の制限と許容と)を制御するものである。
このような傾動ロック機構は、メインフレーム1に対して揺動するシンクロフレーム10へと反力を発揮する仕組みとして本実施形態のようにそれ自体としてはロック機構を備えていない反力付与装置12が用いられる構成態様の場合に特に有用な仕組みである。
本実施形態における傾動ロック機構の一部を構成する椅子の操作レバーは、メインフレーム1に取り付けられて背凭れ8を支持するシンクロフレーム10のうちの左右方向において対向する一対の部材であるフレーム部10A,10Aを左右方向において貫通してこれら一対のフレーム部10A,10Aによって軸回転可能に支持される傾動ロック回動軸13と、当該傾動ロック回動軸13のうちの一対のフレーム部10A,10Aによって支持される区間(言い換えると、一対のフレーム部10A,10Aによって挟まれる区間であり、これら一対のフレーム部10A,10A同士の間の区間)に取り付けられると共に当該傾動ロック回動軸13の軸回転に伴って回動してメインフレーム1に対するシンクロフレーム10の揺動の可否を制御する作用部材である突張り部材14とを有し、傾動ロック回動軸13のうちの少なくとも一対のフレーム部10A,10Aによって支持される区間が真っ直ぐな棒状であるようにしている。
なお、図に示す例では、傾動ロック回動軸13の一方の端部に、傾動操作レバー15が固定されて取り付けられる(但し、図7では傾動操作レバー15は図示されていない)。
傾動ロック回動軸13は、シンクロフレーム10の、左右方向において対向する一対のフレーム部10A,10Aのそれぞれの、架橋部10Cの前端部位置に形成された孔10fを左右方向に貫通し、シンクロフレーム10によって軸回転可能に支持される。
ここで、本発明では、傾動ロック回動軸13のうちの対向する一対のフレーム部10A,10Aによって支持される区間(言い換えると、対向する一対のフレーム部10A,10Aによって挟まれる区間であり、これら対向する一対のフレーム部10A,10A同士の間の区間)に相当・対応する部分が、直線状、つまり真っ直ぐな棒状であることを特徴とする。そして、本実施形態では、傾動ロック回動軸13として、一本の真っ直ぐな棒状の金属線材が用いられる。
なお、本発明の特徴は上述の通り傾動ロック回動軸13のうちの対向する一対のフレーム部10A,10Aによって支持される区間に相当・対応する部分が真っ直ぐな棒状であることであり、他の部分が湾曲していたり屈曲していたりしても構わない。具体的には例えば、傾動ロック回動軸13のうちの、対向する一対のフレーム部10A,10Aの外側に延出している一方の端部が前方や後方などへと折り曲げられ、この折り曲げられた部分がそのまま操作レバーとして用いられたり折り曲げられた部分に操作レバー用の部品が取り付けられたりするようにしても良い。
傾動ロック回動軸13のうちの、左右一対のフレーム部10A,10Aによって挟まれる部分に、突張り部材14が取り付けられる。
突張り部材14は、傾動ロック回動軸13を回動支軸として揺動し、メインフレーム1とシンクロフレーム10との間に突っ支いとして介在してメインフレーム1に対するシンクロフレーム10の揺動を阻止したり当該揺動の阻止を止めてシンクロフレーム10の揺動を許容したりし得るように動作する。
突張り部材14は、傾動ロック回動軸13を貫通させて当該傾動ロック回動軸13に対して取り付けられるための貫通孔14dが形成されている軸貫通部14aと、補強のための複数のリブを備える板状に形成されて軸貫通部14aから延出する突当て部14bとを有する。
突張り部材14の材質は、メインフレーム1とシンクロフレーム10との間に介在してシンクロフレーム10の揺動に対して突っ支いとして機能することができる程度の強度を発揮し得るものであれば、特定の種類に限定されるものではなく、適当なものが適宜選択される。突張り部材14は、具体的には例えば樹脂や金属によって形成される。突張り部材14は、本実施形態では、樹脂によって形成される。
本実施形態の傾動ロック機構は、また、傾動ロック回動軸13の軸心方向における突張り部材14の移動を制限する構造として、突張り部材14の、傾動ロック回動軸13の軸心方向における両側面が、シンクロフレーム10の左右一対のフレーム部10A,10Aによって摺動可能に挟持されるようにしている。
本実施形態の傾動ロック機構は、また、傾動ロック回動軸13を貫通させるための貫通孔14dを突張り部材14が備えると共に当該貫通孔14dの内周面にキー溝14eが形成され、また、つぶし加工によって外周面に形成された突部であるキー13aを傾動ロック回動軸13が備え、突張り部材14の貫通孔14dに挿し入れられた傾動ロック回動軸13のキー13aが突張り部材14のキー溝14eへと係合することによって傾動ロック回動軸13の軸回転に伴って突張り部材14が回動・揺動するようにしている。
つまり、突張り部材14は、傾動ロック回動軸13が軸回転する際に当該傾動ロック回動軸13に対して摺動することなく追従し連動して回動するように当該傾動ロック回動軸13へと取り付けられる。
具体的には、傾動ロック回動軸13の外周面に、レール状の凸部として、軸方向のキー13aが傾動ロック回動軸13と一体に形成される。図に示す例では、傾動ロック回動軸13の外周面の、径方向において対向する位置に一対のキー13a,13aが形成される。キー13aは、傾動ロック回動軸13を構成する金属線材(棒材)に対してつぶし加工が施されて形成される。
また、突張り部材14の貫通孔14dの内周面の、径方向において対向する位置のそれぞれに、キー13aが嵌合する軸方向のキー溝14eが形成される。
上述の構造により、傾動ロック回動軸13と突張り部材14とは、キー13aとキー溝14eとが嵌合し係合することにより、相互に軸回転不能に結合される。
なお、シンクロフレーム10(具体的には、左右一対のフレーム部10A,10Aの間)に対して突張り部材14が配置された状態でキー13aがシンクロフレーム10のフレーム部10Aを通過して突張り部材14の貫通孔14dへと至るように傾動ロック回動軸13が挿し入れられるようにするため、シンクロフレーム10の、傾動ロック回動軸13が挿し入れられる側のフレーム部10Aに形成された孔10fの周縁部のうちのキー13aに対応する位置にキー13aを通過させるための切り込みの凹みが形成される。
なお、傾動ロック回動軸13と突張り部材14との結合の態様は、キー13aとキー溝14eとが嵌合し係合する態様に限定されるものではなく、他の方法によって結合されるようにしても良い。また、突張り部材14が金属によって形成される場合には、傾動ロック回動軸13と突張り部材14とが溶接によって結合されるようにしても良い。
本実施形態の傾動ロック機構は、さらに、突張り部材14の貫通孔14dの内周面に形成されたキー溝14eが貫通孔14dの一方の端面側に突張り部材突当部14gを備え、また、つぶし加工によって外周面に形成された突起13bを傾動ロック回動軸13が更に備え、突張り部材14の貫通孔14dに挿し入れられた傾動ロック回動軸13のキー13aが突張り部材14のキー溝14eの突張り部材突当部14gに突き当たり且つ傾動ロック回動軸13の突起13bがシンクロフレーム10と係止することによって傾動ロック回動軸13の軸心方向の移動が制限されるようにしている。
突張り部材14に形成される軸方向のキー溝14eは、貫通孔14dの一方の端面(即ち、開口面)においては開口している(言い換えると、開放されている)一方で、他方の端面に対しては開口していない(言い換えると、開放されていない)。つまり、キー溝14eは、貫通孔14dの内周面に対し、貫通孔14dの一方の端面から他方の端面の手前までの範囲に形成される。キー溝14eが他方の端面に対して開口しない(開放されない)ように行き止まりとする部分のことを突張り部材突当部14gと呼ぶ。
そして、傾動ロック回動軸13が、突張り部材14の貫通孔14dの一方の端面(即ち、キー溝14eが開口している方の端面)から、キー13aとキー溝14eとの位置が合わせられて挿し入れられる。キー13aは、キー溝14eへと入り込んでキー溝14e内を進み、突張り部材突当部14gに突き当たる。
キー13aが突張り部材突当部14gへと突き当たることにより、傾動ロック回動軸13が突張り部材14の貫通孔14dへと挿し入れられる向きの移動が制限される。
また、傾動ロック回動軸13の外周面の、キー13aと傾動操作レバー15との間に、突起13bが傾動ロック回動軸13と一体に形成される。図に示す例では、傾動ロック回動軸13の外周面の、径方向において対向する位置に一対の突起13b,13bが形成される。突起13bは、傾動ロック回動軸13を構成する金属線材(棒材)に対してつぶし加工が施されて形成される。
そして、シンクロフレーム10のフレーム部10Aに形成されて傾動ロック回動軸13が貫通する孔10fの周縁部の外側面に突起13bが係止することにより、傾動ロック回動軸13が突張り部材14の貫通孔14dへと挿し入れられる向きの移動が更に制限される。なお、必要に応じ、座金やスペーサが、フレーム部10Aの外側面と突起13bとの間に介在するように配設されるようにしても良い。
なお、左右一対のフレーム部10A,10Aのうちの一方のフレーム部10Aから挿し入れられて突張り部材14を貫通して他方のフレーム部10Aから突出する傾動ロック回動軸13の先端寄りの部分にプッシュナット(図示省略)が備え付けられることにより、傾動ロック回動軸13が突張り部材14の貫通孔14dから引き抜かれる向きの移動が制限される。
上述のように、シンクロフレーム10の左右一対のフレーム部10A,10Aに突張り部材14の左右方向における両側面が挟持されることにより、シンクロフレーム10に対して突張り部材14が所定の位置に配置されて位置決めされ且つシンクロフレーム10に対する突張り部材14の左右方向の移動が制限される。この構成によれば、シンクロフレーム10と組み合わせて用いられる別部材が必要とされることなく、シンクロフレーム10に対して突張り部材14が所定の位置に配置されて位置決めされる構造が実現される。
また、シンクロフレーム10の左右一対のフレーム部10A,10Aに左右両側面が挟持されることによって突張り部材14のシンクロフレーム10に対する左右方向の移動が制限され、その上で、突張り部材14のキー溝14eの端部に形成された突張り部材突当部14gにキー13aが突き当たると共にシンクロフレーム10のフレーム部10Aに突起13bが係止し、また、挿し入れられて突出する側に抜け止めのプッシュナットが備え付けられることにより、シンクロフレーム10に対する傾動ロック回動軸13の左右方向の移動が制限される。この構成によれば、溶接やねじ止めが必要とされることなく、シンクロフレーム10への突張り部材14及び傾動ロック回動軸13の組み付けと同時に、シンクロフレーム10に対する左右方向の移動が制限された上で当該シンクロフレーム10に対して傾動ロック回動軸13及び突張り部材14が配設される構造が実現される。
また、突張り部材14の貫通孔14dに形成されたキー溝14eと傾動ロック回動軸13につぶし加工によって形成されたキー13aとが係合することにより、傾動ロック回動軸13に対する突張り部材14の回転が制限される。この構成によれば、溶接やねじ止めが必要とされることなく、シンクロフレーム10への突張り部材14及び傾動ロック回動軸13の組み付けと同時に、傾動ロック回動軸13に対する回転が制限された上で当該傾動ロック回動軸13に対して突張り部材14が取り付けられる構造が実現される。
シンクロフレーム10に支持された傾動ロック回動軸13が軸回転することにより、突張り部材14の板態様の突当て部14bが傾斜姿勢になったり垂直姿勢になったりする。ここで、傾斜姿勢とはメインフレーム1の天板部1Aの上面に対して突当て部14bが傾斜している状態のことであり、垂直姿勢とはメインフレーム1の天板部1Aの上面に対して突当て部14bが垂直になっている状態のことである。なお、例えば図3乃至図7は突張り部材14の突当て部14bが傾斜姿勢である状態を表す。
そして、突当て部14bが傾斜姿勢であるときは、突張り部材14とメインフレーム1の天板部1Aの上面との間に空間が確保され、シンクロフレーム10が揺動するに際して突当て部14bが障害となることがなく、メインフレーム1に対してシンクロフレーム10は揺動可能な状態になる。
一方、突当て部14bが垂直姿勢であるときは、突当て部14bの下端面14c(即ち、軸貫通部14aと連接する側と反対側の端面)がメインフレーム1の天板部1Aの上面に当接し、これによって突当て部14bが突っ支いの板(突っ支い棒)として働き、シンクロフレーム10が揺動するに際して突当て部14bが障害となり、メインフレーム1に対してシンクロフレーム10は揺動不能な状態になる。
すなわち、傾動ロック回動軸13を軸回転させる(図に示す例では、傾動操作レバー15を揺動操作する)ことのみにより、シンクロフレーム10が回動可能であって背凭れ8が後傾可能である状態と、シンクロフレーム10が回動不能であって背凭れ8が初期位置で固定されて後傾不能である状態とが切り換えられる。
突張り部材14の軸貫通部14aの左右方向における端部に設けられた側壁の外側の側面に、シンクロフレーム10のフレーム部10Aに向けて(即ち、左右方向における外側に向けて)突出する半球状の突部14fが形成される。
また、シンクロフレーム10のフレーム部10Aの、突張り部材14の軸貫通部14aの左右側面と対向する側面(即ち、左右方向における内側の側面)に、突張り部材14の突部14fが引っ掛かる程度の二つの凹部10h,10hが形成される。
二つの凹部10h,10hのうちの一方の凹部10hは突張り部材14の突当て部14bが傾斜姿勢であるときの突部14fと対向する位置に形成され、他方の凹部10hは突張り部材14の突当て部14bが垂直姿勢であるときの突部14fと対向する位置に形成される。
突部14fを含む突張り部材14と二つの凹部10h,10hを含むシンクロフレーム10とは、傾動ロック回動軸13が軸回転することによって突張り部材14が回動する際に、突張り部材14の突部14fがシンクロフレーム10のフレーム部10Aの内側の側面上を摺動し得ると共に、突部14fが凹部10hへと入り込んで引っ掛かったり、また、着座者によって或る程度の力で操作されて傾動ロック回動軸13が軸回転しようとするときは突部14fが凹部10hから抜け出したりし得るように、相互に調整されて配設され、且つ、突部14f及び二つの凹部10h,10hが形成される。
そして、突部14fが凹部10hへと入り込んで引っ掛かることにより、その後に着座者によって或る程度の力で傾動ロック回動軸13が操作されるまで、突当て部14bが傾斜姿勢のまま維持されたり垂直姿勢のまま維持されたりする。
突張り部材14側の突部14fとシンクロフレーム10側の二つの凹部10h,10hとによって突張り部材14の突当て部14bが傾斜姿勢や垂直姿勢である状態が維持されるので、背凭れ8に凭れて後傾させるたびに傾動操作レバー15を操作しなければならないという面倒が回避され、また、初期位置で固定されていた背凭れ8が不意に後傾してしまうという危険が防止される。
なお、突部14f及び二つの凹部10h,10hは、軸貫通部14aの左右両側のうちの片側と当該片側と対向するフレーム部10Aの側面との組み合わせ(即ち、左右方向における片方のみ)に設けられるようにしても良く、或いは、軸貫通部14aの左右両側とこれら両側のそれぞれと対向するフレーム部10Aの側面との組み合わせ(即ち、左右方向における両方)に設けられるようにしても良い。
突張り部材14は、さらに、シンクロフレーム10が後傾回動可能な最大傾斜角度を制限し、延いては背凭れ8の最大後傾姿勢を決定するストッパとしても機能する。
突張り部材14がストッパとしても機能することに対応して、メインフレーム1の天板部1Aの後端寄りの位置に左右一対のダンパ1j,1jが設けられる。
そして、突張り部材14の突当て部14bが傾斜姿勢の状態(即ち、シンクロフレーム10が回動可能であって背凭れ8が後傾可能な状態)で背凭れ8が次第に後傾した際に、突当て部14bの板面(具体的には、後面)がメインフレーム1の左右一対のダンパ1j,1jに当接する(言い換えると、突き当たる)ことにより、背凭れ8の後傾が制限され、即ち背凭れ8の最大後傾角度が制限される。
なお、突張り部材14の突当て部14bは、シンクロフレーム10が最大傾斜角度となってメインフレーム1のダンパ1j,1jに当接する(突き当たる)ときに板面(後面;言い換えると、このときの状態では下面)がメインフレーム1の天板部1Aの上面と対向して相互に平行になるように、傾斜姿勢の角度が調整されて配設される。
上述のように、シンクロフレーム10は突張り部材14によって揺動の可否が制御されたり最大傾斜角度が制限されたりすることになり、したがってメインフレーム1は突張り部材14を介して当該突張り部材14が当接し突き当たる部分で背凭れ8の後傾禁止時や後傾停止時の荷重を受けることになるので、背凭れ8の傾動禁止や後傾停止に対応するための(言い換えると、受け止めるための)強度が必要とされる部分が限定的な範囲に集約され、メインフレーム1の強度設計を効率化させることが可能になる。
以上のように構成された操作レバーである傾動ロック回動軸13を含む傾動ロック機構およびこの傾動ロック機構を備える椅子によれば、傾動ロック回動軸13のうちの一対の側壁部1B,1Bによって支持される部分が真っ直ぐな棒状であるようにしているので、入り組んだ設計や手間の掛かる加工や複雑な機序が必要とされることなく、メインフレーム1とシンクロフレーム10との間の突っ支いとして突張り部材14が働くようにしたり働かないようにしたりしてシンクロフレーム10が揺動可能である状態と揺動不能である状態とを切り換え、延いては背凭れ8が傾動可能である状態と傾動不能である状態とを切り換える構造を実現することができる。このため、椅子の背凭れの傾動ロック機構の設計や製造の効率化を図ることが可能になり、また、椅子の背凭れの傾動ロック機構としての汎用性の向上を図ることが可能になる。
また、座7の昇降動作の可否を制御する仕組みとして昇降ロック機構が設けられる。そして、本実施形態では、当該昇降ロック機構に含まれる回動軸に対して本発明に係る椅子の操作レバーが適用される(言い換えると、昇降ロック機構に含まれる回動軸が本発明に係る椅子の操作レバーによって構成される)。
昇降ロック機構は、座7を所望の高さ位置に固定したり当該固定を解除したりするための仕組みである。すなわち、昇降ロック機構は、脚柱9aを構成するガススプリングのロック機構を利用して当該ガススプリングの伸縮動作を制限したり許容したりすることにより、当該脚柱9a(具体的には、ガススプリングのピストンロッド)に取り付けられる座7の高さの固定と当該固定の解除と(言い換えると、座7の昇降動作の制限と許容と)を制御するものである。
本実施形態における昇降ロック機構の一部を構成する椅子の操作レバーは、伸縮自在の脚柱9aの上端部分に取り付けられて座7を支持するメインフレーム1のうちの左右方向において対向する一対の部材である側壁部1B,1Bを左右方向において貫通してこれら一対の側壁部1B,1Bによって軸回転可能に支持される昇降ロック回動軸21と、当該昇降ロック回動軸21のうちの一対の側壁部1B,1Bによって支持される区間(言い換えると、一対の側壁部1B,1Bによって挟まれる区間であり、これら一対の側壁部1B,1B同士の間の区間)に取り付けられると共に当該昇降ロック回動軸21の軸回転に伴って回動して脚柱9aの頂部に設けられている伸縮の可否を制御する仕組みであるプッシュバルブ9eを操作する作用部材である押圧部材22とを有し、昇降ロック回動軸21のうちの少なくとも一対の側壁部1B,1Bによって支持される区間が真っ直ぐな棒状であるようにしている。
なお、図に示す例では、昇降ロック回動軸21の一方の端部に、昇降操作レバー23が固定されて取り付けられる。
昇降ロック回動軸21は、メインフレーム1の、左右方向において対向する一対の側壁部1B,1Bのそれぞれの、底板部1Cの貫通孔(図面には表れていない)及び天板部1Aの脚柱支持孔1eの前方直近位置に形成された孔1hを左右方向に貫通し、メインフレーム1によって軸回転可能に支持される。
ここで、本発明では、昇降ロック回動軸21のうちの対向する一対の側壁部1B,1Bによって支持される区間(言い換えると、対向する一対の側壁部1B,1Bによって挟まれる区間であり、これら対向する一対の側壁部1B,1B同士の間の区間)に相当・対応する部分が、直線状、つまり真っ直ぐな棒状であることを特徴とする。そして、本実施形態では、昇降ロック回動軸21として、一本の真っ直ぐな棒状の金属線材が用いられる。
なお、本発明の特徴は上述の通り昇降ロック回動軸21のうちの対向する一対の側壁部1B,1Bによって支持される区間に相当・対応する部分が真っ直ぐな棒状であることであり、他の部分が湾曲していたり屈曲していたりしても構わない。具体的には例えば、昇降ロック回動軸21のうちの、対向する一対の側壁部1B,1Bの外側に延出している一方の端部が前方や後方などへと折り曲げられ、この折り曲げられた部分がそのまま操作レバーとして用いられたり折り曲げられた部分に操作レバー用の部品が取り付けられたりするようにしても良い。
昇降ロック回動軸21のうちの、左右一対の側壁部1B,1Bによって挟まれる部分に、押圧部材22が取り付けられる。
押圧部材22は、昇降ロック回動軸21を回動支軸として揺動し、脚柱9aを構成するガススプリングのピストンロッドの先端に設けられているプッシュバルブ9eを押下したり当該押下を解除したりし得るように動作する。
押圧部材22は、昇降ロック回動軸21を貫通させて当該昇降ロック回動軸21に対して取り付けられるための貫通孔22cが形成されている軸貫通部22aと、側面視において鉤状に形成されて軸貫通部22aから延出する操作部22bとを有する。
押圧部材22の材質は、揺動の際にプッシュバルブ9eを押下することができる程度の強度を発揮し得るものであれば、特定の種類に限定されるものではなく、適当なものが適宜選択される。押圧部材22は、具体的には例えば樹脂や金属によって形成される。押圧部材22は、本実施形態では、樹脂によって形成される。
本実施形態の昇降ロック機構は、また、昇降ロック回動軸21の軸心方向における押圧部材22の移動を制限する構造として、押圧部材22の、昇降ロック回動軸21の軸心方向における両側面が、メインフレーム1に形成された溝部1fに摺動可能に挟持されるようにしている。
具体的には、メインフレーム1の天板部1Aに、脚柱支持孔1eの天板部1Aにおける開口部の前端と連続して前方へと切り込まれた(言い換えると、平面視において後ろ向きに開口して脚柱支持孔1eの開口と連続する矩形の)溝部1fが形成される。この溝部1fと昇降ロック回動軸21とは、前後方向における位置が同じになるように、つまり平面視において重なるように調整されて配設され形成される。
溝部1fは、昇降ロック回動軸21に取り付けられる押圧部材22の左右方向における両側面を摺動可能に挟持しつつ天板部1Aの上方に操作部22bを突出させるための開口として形成される。
そして、メインフレーム1へと備え付けられる昇降ロック回動軸21のうちの、溝部1fの下方にあたる部分に、押圧部材22が取り付けられる。
本実施形態の昇降ロック機構は、また、昇降ロック回動軸21を貫通させるための貫通孔22cを押圧部材22が備えると共に当該貫通孔22cの内周面にキー溝22dが形成され、また、つぶし加工によって外周面に形成された突部であるキー21aを昇降ロック回動軸21が備え、押圧部材22の貫通孔22cに挿し入れられた昇降ロック回動軸21のキー21aが押圧部材22のキー溝22dへと係合することによって昇降ロック回動軸21の軸回転に伴って押圧部材22が回動・揺動するようにしている。
つまり、押圧部材22は、昇降ロック回動軸21が軸回転する際に当該昇降ロック回動軸21に対して摺動することなく追従し連動して回動するように当該昇降ロック回動軸21へと取り付けられる。
具体的には、昇降ロック回動軸21の外周面に、レール状の凸部として、軸方向のキー21aが昇降ロック回動軸21と一体に形成される。図に示す例では、昇降ロック回動軸21の外周面の、径方向において対向する位置に一対のキー21a,21aが形成される。キー21aは、昇降ロック回動軸21を構成する金属線材(棒材)に対してつぶし加工が施されて形成される。
また、押圧部材22の貫通孔22cの内周面の、径方向において対向する位置のそれぞれに、キー21aが嵌合する軸方向のキー溝22dが形成される。
上述の構造により、昇降ロック回動軸21と押圧部材22とは、キー21aとキー溝22dとが嵌合し係合することにより、相互に軸回転不能に結合される。
なお、メインフレーム1(特に溝部1f)に対して押圧部材22が配置された状態でキー21aがメインフレーム1の側壁部1Bを通過して押圧部材22の貫通孔22cへと至るように昇降ロック回動軸21が挿し入れられるようにするため、メインフレーム1の、昇降ロック回動軸21が挿し入れられる側の側壁部1Bに形成された孔1hの周縁部のうちのキー21aに対応する位置にキー21aを通過させるための切り込みの凹みが形成される。
なお、昇降ロック回動軸21と押圧部材22との結合の態様は、キー21aとキー溝22dとが嵌合し係合する態様に限定されるものではなく、他の方法によって結合されるようにしても良い。また、押圧部材22が金属によって形成される場合には、昇降ロック回動軸21と押圧部材22とが溶接によって結合されるようにしても良い。
本実施形態の昇降ロック機構は、さらに、押圧部材22の貫通孔22cの内周面に形成されたキー溝22dが貫通孔22cの一方の端面側に押圧部材突当部22eを備え、また、つぶし加工によって外周面に形成された突起21bを昇降ロック回動軸21が更に備え、押圧部材22の貫通孔22cに挿し入れられた昇降ロック回動軸21のキー21aが押圧部材22のキー溝22dの押圧部材突当部22eに突き当たり且つ昇降ロック回動軸21の突起21bがメインフレーム1と係止することによって昇降ロック回動軸21の軸心方向の移動が制限されるようにしている。
押圧部材22に形成される軸方向のキー溝22dは、貫通孔22cの一方の端面(即ち、開口面)においては開口している(言い換えると、開放されている)一方で、他方の端面に対しては開口していない(言い換えると、開放されていない)。つまり、キー溝22dは、貫通孔22cの内周面に対し、貫通孔22cの一方の端面から他方の端面の手前までの範囲に形成される。キー溝22dが他方の端面に対して開口しない(開放されない)ように行き止まりとする部分のことを押圧部材突当部22eと呼ぶ。
そして、昇降ロック回動軸21が、押圧部材22の貫通孔22cの一方の端面(即ち、キー溝22dが開口している方の端面)から、キー21aとキー溝22dとの位置が合わせられて挿し入れられる。キー21aは、キー溝22dへと入り込んでキー溝22d内を進み、押圧部材突当部22eに突き当たる。
キー21aが押圧部材突当部22eへと突き当たることにより、昇降ロック回動軸21が押圧部材22の貫通孔22cへと挿し入れられる向きの移動が制限される。
また、昇降ロック回動軸21の外周面の、キー21aと昇降操作レバー23との間に、突起21bが昇降ロック回動軸21と一体に形成される。図に示す例では、昇降ロック回動軸21の外周面の、径方向において対向する位置に一対の突起21b,21bが形成される。突起21bは、昇降ロック回動軸21を構成する金属線材(棒材)に対してつぶし加工が施されて形成される。
そして、メインフレーム1の側壁部1Bに形成されて昇降ロック回動軸21が貫通する孔1hの周縁部の外側面に突起21bが係止することにより、昇降ロック回動軸21が押圧部材22の貫通孔22cへと挿し入れられる向きの移動が更に制限される。なお、必要に応じ、座金やスペーサが、側壁部1Bの外側面と突起21bとの間に介在するように配設されるようにしても良い。
なお、左右一対の側壁部1B,1Bのうちの一方の側壁部1Bから挿し入れられて押圧部材22を貫通して他方の側壁部1Bから突出する昇降ロック回動軸21の先端寄りの部分にプッシュナット(図示省略)が備え付けられることにより、昇降ロック回動軸21が押圧部材22の貫通孔22cから引き抜かれる向きの移動が制限される。
上述のように、メインフレーム1の天板部1Aに形成された溝部1fに押圧部材22の左右方向における両側面が挟持されることにより、メインフレーム1に対して押圧部材22が所定の位置に配置されて位置決めされ且つメインフレーム1に対する押圧部材22の左右方向の移動が制限される。この構成によれば、メインフレーム1と組み合わせて用いられる別部材が必要とされることなく、メインフレーム1に対して押圧部材22が所定の位置に配置されて位置決めされる構造が実現される。
また、メインフレーム1の天板部1Aに形成された溝部1fに左右両側面が挟持されることによって押圧部材22のメインフレーム1に対する左右方向の移動が制限され、その上で、押圧部材22のキー溝22dの端部に形成された押圧部材突当部22eにキー21aが突き当たると共にメインフレーム1の側壁部1Bに突起21bが係止し、また、挿し入れられて突出する側に抜け止めのプッシュナットが備え付けられることにより、メインフレーム1に対する昇降ロック回動軸21の左右方向の移動が制限される。この構成によれば、溶接やねじ止めが必要とされることなく、メインフレーム1への押圧部材22及び昇降ロック回動軸21の組み付けと同時に、メインフレーム1に対する左右方向の移動が制限された上で当該メインフレーム1に対して昇降ロック回動軸21及び押圧部材22が配設される構造が実現される。
また、押圧部材22の貫通孔22cに形成されたキー溝22dと昇降ロック回動軸21につぶし加工によって形成されたキー21aとが係合することにより、昇降ロック回動軸21に対する押圧部材22の回転が制限される。この構成によれば、溶接やねじ止めが必要とされることなく、メインフレーム1への押圧部材22及び昇降ロック回動軸21の組み付けと同時に、昇降ロック回動軸21に対する回転が制限された上で当該昇降ロック回動軸21に対して押圧部材22が取り付けられる構造が実現される。
押圧部材22は、軸貫通部22aを前側とすると共に当該軸貫通部22aから操作部22bが後ろ向きに延出する姿勢で、尚且つ、操作部22bがメインフレーム1に形成された溝部1fを経由してその先端部(即ち、後端部)が脚柱9aの頂部の上方に位置する状態で、軸貫通部22aに昇降ロック回動軸21を貫通させて配設される。
メインフレーム1に支持された昇降ロック回動軸21が軸回転することにより、押圧部材22の操作部22bが前後方向の鉛直面に沿って揺動し、脚柱9aを構成するガススプリングのピストンロッドの先端のプッシュバルブ9eが押下されたり当該押下が解除されたりする。
なお、図に示す例では、操作部22bの先端部(即ち、後端部)の下面に、操作部22bがプッシュバルブ9eを押下したりする際の押圧部材22の操作感を滑らか且つ軽快にするために半球状の突部22fが形成されている。
そして、押圧部材22の操作部22bによって脚柱9aのプッシュバルブ9eが押下された状態であるときは、脚柱9aを構成するガススプリングが伸縮可能な状態になる。
一方、押圧部材22の操作部22bによって脚柱9aのプッシュバルブ9eが押下されていない状態であるときは、脚柱9aを構成するガススプリングが伸縮不能な状態になる。
すなわち、昇降ロック回動軸21を軸回転させる(図に示す例では、昇降操作レバー23を揺動操作する)ことのみにより、脚柱9aが伸縮可能であって座7が昇降可能である状態と、脚柱9aが伸縮不能であって座7が適宜の高さ位置で固定されて昇降不能である状態とが切り換えられる。
以上のように構成された操作レバーである昇降ロック回動軸21を含む昇降ロック機構およびこの昇降ロック機構を備える椅子によれば、昇降ロック回動軸21のうちの一対のフレーム部10A,10Aによって支持される部分が真っ直ぐな棒状であるようにしているので、入り組んだ設計や手間の掛かる加工や複雑な機序が必要とされることなく、脚柱9aの伸縮の可否を制御する仕組みであるプッシュバルブ9eを操作して脚柱9aが伸縮可能である状態と伸縮不能である状態とを切り換え、延いては座7が昇降可能である状態と昇降不能である状態とを切り換える構造を実現することができる。このため、椅子の座の昇降ロック機構の設計や製造の効率化を図ることが可能になり、また、椅子の座の昇降ロック機構としての汎用性の向上を図ることが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では図1,図2に全体構成を示す椅子に本発明が適用されるようにしているが、本発明が適用され得る椅子の具体的な態様や形状は、上述の実施形態におけるものに限られるものではなく、椅子の用途やデザインなどを踏まえて適宜選択される。具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、上述の実施形態では脚体9の態様が放射状に広がる5本の脚羽根9bの先端にキャスタ9cを備えるいわゆる回転脚と呼ばれるものであるが、脚の態様はキャスタを備える回転脚に限定されるものではなく例えば固定脚でも良い。
また、上述の実施形態では全体構成が図1,図2に示すようになっていると共に本発明に関連する部分の構造が図3,図4に示すようになっている椅子に本発明が適用されるようにしているが、本発明が適用され得るメインフレーム1,座受部材7A,シンクロフレーム10などの各構成部材の具体的な形状や態様は、上述の実施形態におけるものに限られるものではなく、椅子の用途やデザインなどを踏まえて適当なものが適宜選択される。具体的には例えば、上述の実施形態では背凭れ8と座7とが連動してロッキング動作を行うものとしてメインフレーム1を含むロッキング機構が構成されているが、本発明は、背凭れ8と座7とが連動することなく各々独立してロッキング動作を行う椅子に適用することも可能である。また、上述の実施形態では昇降ロック回動軸21が左右方向に配設されるようにしているが、昇降ロック回動軸21が前後方向に配設される態様でも構わない。
また、上述の実施形態では、傾動ロック回動軸13を支持する対向する一対の部材がシンクロフレーム10の一対のフレーム部10A,10Aであり、また、昇降ロック回動軸21を支持する対向する一対の部材がメインフレーム1の一対の側壁部1B,1Bであるようにしている。しかしながら、傾動ロック回動軸13を支持する対向する一対の部材はシンクロフレーム10の一対のフレーム部10A,10Aでなくても良く、また、昇降ロック回動軸21を支持する対向する一対の部材はメインフレーム1の一対の側壁部1B,1Bでなくても良く、他の対向する一対の部材によって傾動ロック回動軸13が支持されたり昇降ロック回動軸21が支持されたりするようにしても良い。
また、上述の実施形態では、突張り部材14の左右方向における両側面がシンクロフレーム10の左右一対のフレーム部10A,10Aに摺動可能に挟持されることによって突張り部材14の位置決めがされるようにしたり、押圧部材22の左右方向における両側面がメインフレーム1に形成された溝部1fに摺動可能に挟持されることによって押圧部材22の位置決めがされるようにしたりしている。しかしながら、上述の実施形態におけるような傾動ロック回動軸13の軸心方向における突張り部材14の移動を制限する構造や昇降ロック回動軸21の軸心方向における押圧部材22の移動を制限する構造は本発明において必須の構造ではなく、このような構造と組み合わせられることなく本発明が適用されるようにしても良い。
また、上述の実施形態では、突張り部材14のキー溝14eの端部に形成された突張り部材突当部14gにキー13aが突き当たると共にシンクロフレーム10のフレーム部10Aに突起13bが係止することによって傾動ロック回動軸13が突張り部材14へと挿し入れられる向きの移動が制限されるようにしたり、押圧部材22のキー溝22dの端部に形成された押圧部材突当部22eにキー21aが突き当たると共にメインフレーム1の側壁部1Bに突起21bが係止することによって昇降ロック回動軸21が押圧部材22へと挿し入れられる向きの移動が制限されるようにしたりしている。しかしながら、突張り部材突当部14gにキー13aが突き当たることのみによって傾動ロック回動軸13の軸心方向の移動が制限されるようにしたりフレーム部10Aに突起13bが係止することのみによって傾動ロック回動軸13の軸心方向の移動が制限されるようにしたり、或いは、押圧部材突当部22eにキー21aが突き当たることのみによって昇降ロック回動軸21の軸心方向の移動が制限されるようにしたり側壁部1Bに突起21bが係止することのみによって昇降ロック回動軸21の軸心方向の移動が制限されるようにしたりしても良い。