JP6110754B2 - 微粒子測定システム - Google Patents

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Description

本発明は、ガス中に含まれる煤などの微粒子量を測定する微粒子測定システムに関する。
従来から、ディーゼルエンジンなどの内燃機関の排ガスに含まれる煤などの微粒子の量を測定する微粒子測定システムが知られている。この微粒子測定システムは、コロナ放電によってイオンを生成し、生成したイオンによって排ガス中の微粒子を帯電させるとともに、微粒子の帯電に使用されなかったイオンを捕捉して、捕捉したイオン量に基づいて(逆に言えば、微粒子に帯電され、補足されなかったイオン量に基づいて)排ガス中の微粒子の量を測定する。捕捉したイオン量は、帯電に使用されたイオン量と相関しており、帯電に使用されたイオン量は、排ガス中の微粒子の量に相関しているため、この微粒子測定システムは、捕捉したイオン量から排ガス流の微粒子の量を測定することができる。
この微粒子測定システムに関して、イオンを発生させるためのイオン源電源回路と、これを囲む電源回路包囲部材と、捕捉したイオン量に相関する信号電流を検出する信号電流検出回路とを外側回路包囲部材で包囲することによって電磁遮蔽する技術が知られている(特許文献1)。また、微粒子の帯電に使用されなかったイオンを捕捉するためにイオンに対して斥力を生じさせる分離用電極を、イオンを噴射するためのノズルを形成するノズル形成部材を貫通させて配置し、分離用電極とノズル形成部材とをセラミック部材によって絶縁する技術が知られている(特許文献2)。
特開2012−220423号公報 特表2012−194078号公報
しかしながら、上記先行技術によっても、微粒子測定システムにおいて、排ガス中の微粒子の量を検出する精度については、なお改善の余地があった。一般的に、微粒子の帯電に使用されたイオン量に相当する電流は非常に小さいため、この電流値を正確に検出することは容易ではない。この問題を解決するための1つの方法として、微粒子測定システムにおいて、この電流値を示すアナログ信号に対する分解能を高めることが考えられる。しかし、この場合、装置のコストが上昇する問題があった。
また、この電流値を正確に検出することが容易ではない他の原因として以下のものがある。微粒子測定システムは、放電のための高電圧の印加や回路絶縁の低下等に起因して、微粒子測定システムの回路内において意図しない微電流(漏れ電流)が流れることがあった。この漏れ電流が発生すると、微粒子の帯電に使用されたイオン量または捕捉されたイオン量に相当する電流として検出した電流値に誤差が生じる問題があった。微粒子測定システムの一例として、絶縁トランスの一次側に電源回路を含み、二次側にイオン発生部やイオン捕捉部を含み、一次側の回路と二次側の回路との間には、微粒子の帯電に使用されたイオン量に相当する電流を二次側に補償電流として供給するとともに、この補償電流の電流値を検出する電流測定回路を備える微粒子測定システムが考えられる。この構成によれば、電流測定回路によって検出された補償電流の電流値から排ガス中の微粒子の量を検出することができる。しかし、この微粒子測定システムの場合、電流測定回路以外の部分において、一次側から二次側に漏れ電流が流れると、補償電流の電流値と、微粒子の帯電に使用されたイオン量に相当する電流の電流値との間に誤差が生じ、排ガス中の微粒子の量を正確に検出できなくなる問題があった。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、コロナ放電によってイオンを発生させるイオン発生部と、ガス中の少なくとも一部の微粒子を、前記イオンを用いて帯電させるための帯電室と、前記微粒子の帯電に使用されなかった前記イオンの少なくとも一部を捕捉する捕捉部と、を備え、前記捕捉部に捕捉されたイオンの量に基づいて前記ガス中の前記微粒子の量を測定する微粒子測定システムが提供される。この微粒子測定システムは、前記イオン発生部から発生されたイオンの量と、前記捕捉部に捕捉されたイオンの量との差分のイオン量に相当する電流値を示す第1の信号を出力する信号出力回路と、前記信号出力回路に接続される制御回路と、を備え、前記信号出力回路は、前記第1の信号を前記制御回路に伝送するための第1のラインと、前記第1の信号を増幅器によって増幅させた第2の信号を前記制御回路に伝送するための第2のラインと、を備え、前記制御回路は、前記第1の信号または第2の信号の少なくともいずれかに基づいて前記ガス中の前記微粒子の量を検出することを特徴としている。
この構成によれば、信号出力回路は、低感度信号としての第1の信号を制御回路に伝送するための第1のラインと、第1の信号を増幅器によって増幅させた高感度信号としての第2の信号を前記制御回路に伝送するための第2のラインと、を備えているため、装置側において、これらの信号に対する分解能を高めることなく、排ガス中に含まれる微粒子の量を検出する精度の向上を図ることができる。すなわち、本実施形態の微粒子測定システムによれば、第2の信号を用いることによって排ガス中に含まれる微粒子の量の検出精度を高めることができ、第2の信号が微粒子測定システムの読み取り可能範囲に含まれなときには、第1の信号を用いることによって、排ガス中に含まれる微粒子の量の検出することができる。
(2)上記形態の微粒子測定システムはさらに、前記コロナ放電に用いられる電力の電圧変換をおこなう絶縁トランスであって、二次側が前記イオン発生部に接続される絶縁トランスと、前記絶縁トランスの一次側の基準電位を示す一次側基準電位配線と、前記絶縁トランスの二次側の基準電位を示す二次側基準電位配線と、備え、前記捕捉部は、前記二次側基準電位配線に接続されており、前記信号出力回路は、前記一次側基準電位配線と、前記二次側基準電位配線と、前記制御回路と、にそれぞれ接続され、前記一次側基準電位配線と前記二次側基準電位配線との電位差に基づいて得られる信号を前記第1の信号として前記制御回路に伝送することを特徴としていてもよい。
この構成によれば、信号出力回路は、一次側基準電位配線と二次側基準電位配線との電位差に基づいて、イオン発生部から発生されたイオンの量と、捕捉部に捕捉されたイオンの量との差分のイオン量に相当する電流値を示す第1の信号を容易に出力することができる。
(3)上記形態の微粒子測定システムにおいて、前記信号出力回路は、第1のオペアンプを含んで構成されており、前記第1のオペアンプの一方の入力端子は、前記一次側基準電位配線に接続され、前記第1のオペアンプの他方の入力端子は、前記二次側基準電位配線に接続され、前記第1のオペアンプの出力端子は、前記第1のラインを介して前記制御回路に接続されるとともに、抵抗部を介して前記二次側基準電位配線に接続されていることを特徴としていてもよい。
この構成によれば、信号出力回路は、第1のオペアンプを含んで構成されているため、一次側基準電位配線と二次側基準電位配線との電位差に基づいて第1の信号を容易に出力することができる。また、第1のオペアンプの出力端子が抵抗部を介して二次側基準電位配線に接続されているため、一次側基準電位配線と二次側基準電位配線との電位差を補償するための補償電流を二次側基準電位配線に容易に供給することができる。
(4)上記形態の微粒子測定システムにおいて、前記信号出力回路は、前記増幅器として第2のオペアンプを用いた差動増幅回路を含んで構成されており、前記第2のオペアンプの一方の入力端子は、前記第1のオペアンプの出力端子に接続され、前記第2のオペアンプの他方の入力端子は、前記一次側基準電位配線に接続され、前記第2のオペアンプの出力端子は、前記第2のラインを介して前記制御回路に接続されていることを特徴としていてもよい。
この構成によれば、信号出力回路は、第2のオペアンプを含んで構成されているため、第1の信号を増幅させた第2の信号を容易に出力することができる。
(5)上記形態の微粒子測定システムにおいて、前記信号出力回路は、前記増幅器として第3のオペアンプを用いた差動増幅回路を含んで構成されており、前記第3オペアンプの一方の入力端子は、前記第1のオペアンプの出力端子に接続され、前記第3のオペアンプの他方の入力端子は、前記制御回路から延びるフィードバック用配線に接続され、前記第3のオペアンプの出力端子は、前記第2のラインを介して前記制御回路に接続され、前記制御回路は、前記イオン発生部がイオンを発生していないときに、前記第2ラインを介して入力される前記第2の信号をオフセット値として読み込み、前記オフセット値から更新補正信号を算出し、前記イオン発生部がイオンを発生しているときに、前記更新補正信号を前記フィードバック用配線に出力することによって、前記第2のラインを介して入力される前記第2の信号を補正することを特徴としていてもよい。
この構成によれば、信号出力回路は、第3のオペアンプの入力端子に更新補正信号が入力するように構成されているため、出力する第2の信号からオペアンプの誤差(バイアス電流やオフセット電圧による誤差等)の影響を低減させることができる。
(6)上記形態の微粒子測定システムにおいて、前記信号出力回路は、前記増幅器として第4のオペアンプを用いた差動増幅回路を含んで構成されており、前記第4オペアンプの一方の入力端子は、前記第1のオペアンプの出力端子に接続され、前記第4のオペアンプの他方の入力端子は、前記第1のオペアンプの誤差を補償するための補償信号を保持する補償信号保持部に接続され、前記第4のオペアンプの出力端子は、前記第2のラインを介して前記制御回路に接続されていることを特徴としていてもよい。
この構成によれば、信号出力回路は、第4のオペアンプの入力端子に補償信号が入力するように構成されているため、出力する第2の信号からオペアンプの誤差(バイアス電流やオフセット電圧による誤差等)の影響を低減させることができる。
(7)上記形態の微粒子測定システムにおいて、前記制御回路は、前記イオン発生部がイオンを発生していないときに、前記第1のオペアンプから出力される前記第1の信号を補償信号として前記補償信号保持部に保持させ、前記イオン発生部がイオンを発生しているときに、前記補償信号保持部に保持させている補償信号を前記第4のオペアンプに供給することを特徴としていてもよい。
この構成によれば、第4のオペアンプの入力端子には、イオン発生部がイオンを発生していないときの第1の信号が補償信号として入力されるため、第4のオペアンプが出力する第2の信号からオペアンプの誤差(バイアス電流やオフセット電圧による誤差等)の影響を容易に低減させることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、微粒子センサ、微粒子検出方法、微粒子測定システムを備える内燃機関、この内燃機関を備えた車両などの形態で実現することができる。
第1実施形態に係る微粒子測定システムの全体構成を説明するための説明図である。 微粒子センサの先端部の概略構成を模式的に示した説明図である。 電気回路部の概略構成を例示した説明図である。 イオン電流測定回路の概略構成を例示した説明図である。 コロナ電流測定回路の概略構成を例示した説明図である。 第2実施形態に係るイオン電流測定回路の概略構成を例示した説明図である。 第2実施形態のセンサ制御部による微粒子測定処理の動作の流れを例示したフローチャートである。 第3実施形態に係るイオン電流測定回路の概略構成を例示した説明図である。 第3実施形態のセンサ制御部による微粒子測定処理の動作の流れを例示したフローチャートである。
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態に係る微粒子測定システム10の全体構成を説明するための説明図である。図1(a)は、微粒子測定システム10を搭載した車両500の概略構成を例示した説明図である。図1(b)は、車両500に取り付けられた微粒子測定システム10の概略構成を例示した説明図である。微粒子測定システム10は、微粒子センサ100と、ケーブル200と、センサ駆動部300とを含んで構成され、内燃機関400から排出される排ガスに含まれる煤などの微粒子の量を測定する。内燃機関400とは、車両500の動力源であり、ディーゼルエンジン等によって構成されている。
微粒子センサ100は、内燃機関400から延びる排ガス配管402に取り付けられるとともに、ケーブル200によってセンサ駆動部300と電気的に接続されている。本実施形態では、微粒子センサ100は、フィルタ装置410(例えば、DPF(Diesel particulate filter))よりも下流側の排ガス配管402に取り付けられている。微粒子センサ100は、排ガスに含まれる微粒子の量に相関する信号をセンサ駆動部300に出力する。
センサ駆動部300は、微粒子センサ100を駆動させるとともに、微粒子センサ100から入力される信号に基づいて、排ガス中の微粒子の量を検出する。センサ駆動部300が検出する「排ガス中の微粒子の量」とは、排ガス中の微粒子の表面積の合計に比例する値であってもよいし、微粒子の質量の合計に比例する値であってもよい。または、排ガスの単位体積中に含まれる微粒子の個数に比例する値であってもよい。センサ駆動部300は、車両500側の車両制御部420と電気的に接続されており、検出した排ガス中の微粒子量を示す信号を車両制御部420に出力する。車両制御部420は、センサ駆動部300から入力される信号に応じて、内燃機関400の燃焼状態や、燃料配管405を介して燃料供給部430から内燃機関400に供給される燃料の供給量などを制御する。車両制御部420は、例えば、排ガス中の微粒子量が所定量よりも多い場合には、フィルタ装置410の劣化や異常を車両500の運転手に警告するように構成されていてもよい。センサ駆動部300と車両制御部420は、それぞれ電源部440に電気的に接続されており、電源部440から電力が供給される。
図1(b)に示すように、微粒子センサ100は、円筒形状の先端部100eを備えており、この先端部100eが排ガス配管402の内側に挿入された状態で、排ガス配管402の外表面に固定されている。ここでは、微粒子センサ100の先端部100eは、排ガス配管402の延伸方向DLに対してほぼ垂直に挿入されている。先端部100eのケーシングCSの表面には、排ガスをケーシングCSの内部に取り込むための流入孔45と、取り込んだ排ガスをケーシングCSの外部に排出するための排出孔35と、が設けられている。排ガス配管402の内部を流通する排ガスの一部は、流入孔45を介して先端部100eのケーシングCSの内部に取り込まれる。取り込まれた排ガス中に含まれる微粒子は、微粒子センサ100が生成するイオン(ここでは、陽イオン)によって帯電される。帯電した微粒子を含む排ガスは、排出孔35を介してケーシングCSの外部に排出される。ケーシングCSの内部の構成や、微粒子センサ100の具体的な構成については後述する。
微粒子センサ100の後端部100rには、ケーブル200が取り付けられている。ケーブル200は、第1の配線221と、第2の配線222と、信号線223と、空気供給管224と、を束ねた構成を備えている。ケーブル200を構成する配線221〜223と、配管224は、それぞれ可撓性の部材によって構成されている。第1の配線221、第2の配線222、および、信号線223は、センサ駆動部300に電気的に接続され、空気供給管224は、空気供給部800に接続されている。
センサ駆動部300は、センサ制御部600と、電気回路部700と、空気供給部800とを備えている。センサ制御部600と電気回路部700との間、および、センサ制御部600と空気供給部800との間はそれぞれ電気的に接続されている。
センサ制御部600は、マイクロコンピュータを含んで構成されており、電気回路部700と、空気供給部800とを制御する。また、センサ制御部600は、電気回路部700から入力される信号から排ガス中の微粒子の量を検出し、排ガス中の微粒子量を表す信号を車両制御部420に出力する。
電気回路部700は、第1の配線221および第2の配線222を介して、微粒子センサ100を駆動するための電力を供給する。また、電気回路部700は、信号線223を介して微粒子センサ100から排ガスに含まれる微粒子の量に相関する信号が入力される。電気回路部700は、信号線223から入力される信号を用いて、排ガス中の微粒子量に応じた信号をセンサ制御部600に出力する。これらの信号の具体的な内容については後述する。
空気供給部800は、ポンプ(図示しない)を含んで構成されており、センサ制御部600からの指示に基づいて、空気供給管224を介して、高圧空気を微粒子センサ100に供給する。空気供給部800から供給される高圧空気は、微粒子センサ100の駆動させるときに用いられる。なお、空気供給部800が供給するガスの種類は空気以外であってもよい。
図2は、微粒子センサ100の先端部100eの概略構成を模式的に示した説明図である。微粒子センサ100の先端部100eは、イオン発生部110と、排ガス帯電部120と、イオン捕捉部130と、を備えている。ケーシングCSは、イオン発生部110、排ガス帯電部120、および、イオン捕捉部130の3つの機構部がこの順に先端部100eの基端側(図2の上方)から先端側(図2の下方)に向かって(微粒子センサ100の軸線方向に沿って)並んだ構成を有している。ケーシングCSは、導電性部材によって形成され、信号線223(図1)を介して二次側グランドSGL(図3)に接続されている。
イオン発生部110は、排ガス帯電部120に供給するイオン(ここでは陽イオン)を発生させるための機構部であり、イオン発生室111と、第1の電極112とを含んで構成されている。イオン発生室111は、ケーシングCSの内側に形成された小空間であり、内周面には空気供給孔55とノズル41とが設けられ、内部には第1の電極112が突出した状態で取り付けられている。空気供給孔55は、空気供給管224(図1)と連通しており、空気供給部800(図1)から供給される高圧空気をイオン発生室111に供給する。ノズル41は、排ガス帯電部120との間を区画する隔壁42の中心部付近に設けられた微小孔(オリフィス)であり、イオン発生室111で発生したイオンを排ガス帯電部120の帯電室121に供給する。第1の電極112は、棒状の外形を備え、先端部が隔壁42と近接するようにして基端部がセラミックパイプ25を介してケーシングCSに固定されている。第1の電極112は、第1の配線221(図1)を介して電気回路部700(図1)に接続されている。
イオン発生部110は、電気回路部700から供給される電力を用いて、第1の電極112を陽極とし、隔壁42を陰極として、直流電圧(例えば、2〜3kV)を印加する。イオン発生部110は、この電圧の印加によって、第1の電極112の先端部と、隔壁42との間にコロナ放電を生じさせることによって、陽イオンPIを発生させる。イオン発生部110において発生した陽イオンPIは、空気供給部800(図1)から供給される高圧空気とともに、ノズル41を介して排ガス帯電部120の帯電室121に噴射される。ノズル41から噴射される空気の噴射速度は音速程度とすることが好ましい。
排ガス帯電部120は、排ガスに含まれる微粒子を陽イオンPIによって帯電させるための部位であり、帯電室121を備えている。帯電室121は、イオン発生室111と隣接する小空間であり、ノズル41を介してイオン発生室111と連通している。また、帯電室121は、流入孔45を介して、ケーシングCSの外部と連通し、ガス流路31を介してイオン捕捉部130の捕捉室131と連通している。帯電室121は、ノズル41から陽イオンPIを含む空気が噴射されたときに内部が負圧になり、流入孔45を介してケーシングCSの外部の排ガスが流入するように構成されている。そのため、ノズル41から噴射された陽イオンPIを含む空気と、流入孔45から流入した排ガスとは、帯電室121の内部において混合される。このとき、流入孔45から流入した排ガスに含まれる煤S(微粒子)の少なくとも一部には、ノズル41から供給される陽イオンPIが帯電される。帯電した煤Sと帯電に供されなかった陽イオンPIとを含む空気は、ガス流路31を介してイオン捕捉部130の捕捉室131に供給される。
イオン捕捉部130は、煤S(微粒子)の帯電に使用されなかったイオンを捕捉するための部位であり、捕捉室131と、第2の電極132とを含んで構成されている。捕捉室131は、帯電室121と隣接する小空間であり、ガス流路31を介して帯電室121と連通している。また、捕捉室131は、排出孔35を介して、ケーシングCSの外部と連通している。第2の電極132は、略棒状の外形を備え、長手方向がガス流路31を流通する空気の流通方向(ケーシングCSの延伸方向)に沿うようにしてケーシングCSに固定されている。第2の電極132は、第2の配線222(図1)を介して電気回路部700(図1)に接続されている。第2の電極132は、100V程度の電圧が印加されており、煤Sの帯電に供されなかった陽イオンの捕捉を補助する補助電極として機能する。具体的には、イオン捕捉部130は、電気回路部700から供給される電力によって、第2の電極132を陽極とし、帯電室121及び捕捉室131を構成するケーシングCSを陰極とした電圧が印加されている。これにより、煤Sの帯電に用いられなかった陽イオンPIは、第2の電極132から斥力を受けて、その移動方向が第2の電極132から離れる方向へと反らされる。移動方向が反らされた陽イオンPIは、陰極として機能する捕捉室131やガス流路31の内周壁に捕捉される。一方、陽イオンPIが帯電された煤Sは、陽イオンPIの単体と同様に第2の電極132から斥力を受けるが、質量が陽イオンPIと比較して大きいため、斥力によってその進行方向に与えられる影響が、単体の陽イオンPIに比較して小さい。そのため、帯電した煤Sは、排ガスの流れに従って、排出孔35からケーシングCSの外部へと排出される。
微粒子センサ100は、イオン捕捉部130における陽イオンPIの捕捉量に応じた電流の変化を示す信号を出力する。センサ制御部600(図1)は、微粒子センサ100から出力された信号に基づいて、排ガス中に含まれる煤Sの量を検出する。微粒子センサ100から出力される信号から排ガス中に含まれる煤Sの量を算出する方法については後述する。
図3は、電気回路部700の概略構成を例示した説明図である。電気回路部700は、一次側電源回路710と、絶縁トランス720と、コロナ電流測定回路730と、イオン電流測定回路740と、第1の整流回路751と、第2の整流回路752と、を備えている。
一次側電源回路710は、電源部440から供給される電力(ここでは、直流電力)を昇圧して絶縁トランス720に供給するとともに、絶縁トランス720を駆動させる。一次側電源回路710は、放電電圧制御回路711と、トランス駆動回路712とを備えている。放電電圧制御回路711は、DC/DCコンバータを含んで構成され、センサ制御部600の制御によって、絶縁トランス720に供給される電力の電圧値を任意に変更可能に構成されている。ここでは、センサ制御部600は、第1の配線221を介して微粒子センサ100の第1の電極112に供給される入力電流Iinの電流値が予め設定された目標電流値(例えば、5μA)となるように絶縁トランス720に供給される電力の電圧値を制御する。この制御の方法については後述する。これにより、イオン発生部110において、コロナ放電によって発生する陽イオンPIの発生量を一定にすることができる。
トランス駆動回路712は、絶縁トランス720の一次側のコイルに流れる電流の方向を切り換え可能なスイッチを含んで構成されており、このスイッチの切り換えによって絶縁トランス720を駆動させる。本実施形態では、絶縁トランス720の回路方式は、プッシュプルとして構成されているが、絶縁トランス720の回路方式は、これに限定されず、例えば、ハーフブリッジやフルブリッジなどであってもよい。
絶縁トランス720は、一次側電源回路710から供給される電力に対して電圧変換をおこない、変換後の電力(ここでは、交流電力)を二次側の整流回路751、752に供給する。絶縁トランス720は、2次側のコイル構成によって、第1の整流回路751に供給される電力と、第2の整流回路752に供給される電力とで、増幅率が異なるように設定することができる。本実施形態の絶縁トランス720は、一次側のコイルと二次側のコイルとが物理的に接触しておらず、磁気によって結合するように構成されている。絶縁トランス720の一次側の回路としては、一次側電源回路710のほか、センサ制御部600や電源部440が含まれる。絶縁トランス720の二次側の回路としては、微粒子センサ100や整流回路751、752が含まれる。コロナ電流測定回路730とイオン電流測定回路740は、絶縁トランス720の一次側の回路と二次側の回路との間に跨がる回路であり、両方の回路にそれぞれ電気的に接続されている。コロナ電流測定回路730は、後述するように、絶縁トランス720の一次側の回路に電気的に接続される回路部分と、二次側の回路に電気的に接続されている回路部分との間が物理的に絶縁されている。ここでは、一次側の回路の基準電位を示すグランド(接地配線)を「一次側グランドPGL」とも呼び、二次側の回路の基準電位を示すグランドを「二次側グランドSGL」とも呼ぶ。絶縁トランス720は、一次側のコイルの端部が一次側グランドPGLに接続され、二次側のコイルの端部が二次側グランドSGLに接続されている。信号線223は、一方の端部がケーシングCSに接続され、他方の端部が二次側グランドSGLに接続されている。
整流回路751、752は、絶縁トランス720から出力された交流電力を整流するとともに、直流電力に変換する。第1の整流回路751は、ショート保護用抵抗753を介して第1の電極112に接続されており、変換した直流電力を第1の配線221を介して第1の電極112に供給する。すなわち、第1の整流回路751から供給される直流電圧は、ほぼ第1の電極112における放電電圧となり、第1の整流回路751から供給される直流電流は、第1の電極112に入力される入力電流Iinとなる。第2の整流回路752は、ショート保護用抵抗754を介して第2の電極132に接続されており、変換した直流電圧を第2の配線222を介して第2の電極132に印加する。
コロナ電流測定回路730は、配線761、762を介して信号線223に接続され、配線763を介してセンサ制御部600に接続されている。配線761と配線762は、信号線223に設けられたシャント抵抗230を間に挟んでそれぞれ信号線223に接続されている。コロナ電流測定回路730は、信号線223をケーシングCSから二次側グランドSGLに向けて流れる電流(Idc+Itrp)の電流値を示す信号Sdc+trpをセンサ制御部600に出力する。ここで「電流値を示す信号」とは、電流値を直接的に示す信号に限定されず、電流値を間接的に示す信号も該当する。例えば、信号から得られる情報に演算式やマップを適用することによって電流値を特定できる信号も「電流値を示す信号」に含まれる。
後述の式(1)に示すように、信号線223を流れる電流(Idc+Itrp)の電流値は、入力電流Iinの電流値とほぼ等しい。式(1)の漏洩電流Iescは、信号線223を流れる電流(Idc+Itrp)のおよそ1/106倍程度大きさであり、入力電流Iinの変動を監視するにあたっては実質的に無視することができるためである。入力電流Iinの電流値とイオン発生部110のコロナ電流の電流値とは等しいことから、信号線223を流れる電流(Idc+Itrp)の電流値は、コロナ電流の電流値とほぼ等しいといえる。このことから、コロナ電流測定回路730は、イオン発生部110のコロナ電流の電流値を示す信号Sdc+trpをセンサ制御部600に出力しているといえる。
センサ制御部600は、コロナ電流測定回路730から入力される信号Sdc+trpに応じて、入力電流Iinの電流値が目標電流値となるように、放電電圧制御回路711を制御する。すなわち、コロナ電流測定回路730とセンサ制御部600は、コロナ電流(=入力電流Iin)の電流値を一定にするための定電流回路を構成する。コロナ電流の電流値は、イオン発生部110における陽イオンPIの発生量と相関するため、この定電流回路によってイオン発生部110における陽イオンPIの発生量が一定に保たれる。
イオン電流測定回路740は、イオン捕捉部130において捕捉されずに流出した陽イオンPIに相当する電流(Iesc)電流値を検出するとともに、流出した陽イオンPIに相当する電流(Ic)を二次側の回路に供給する。イオン電流測定回路740は、配線771を介して二次側の信号線223に接続されるとともに、配線772および配線773を介して一次側のセンサ制御部600に接続される。また、イオン電流測定回路740は、配線775を介して一次側グランドPGLに接続されている。イオン電流測定回路740は、配線772を介して、イオン捕捉部130において捕捉されずに流出した陽イオンPIの量に相当する電流値を示す信号SWescをセンサ制御部600に出力する。また、イオン電流測定回路740は、配線773を介して、信号SWescを増幅させた高感度信号としての信号SSescをセンサ制御部600に出力する。本実施形態のイオン電流測定回路740は、特許請求の範囲の「信号出力回路」に該当する。また、本実施形態の信号SWescは、特許請求の範囲の「第1の信号」に該当し、信号SSescは、特許請求の範囲の「第2の信号」に該当する。また、本実施形態の配線772は、特許請求の範囲の「第1のライン」に該当し、配線773は、特許請求の範囲の「第2のライン」に該当する。
イオン電流測定回路740がイオン捕捉部130において捕捉されずに流出した陽イオンPIに相当する電流の電流値を検出する方法について説明する。ここでは、第1の配線221から第1の電極112に供給される電流を「入力電流Iin」と呼ぶほか、コロナ放電により、第1の電極112から隔壁42を介してケーシングCSに流れる電流を「放電電流Idc」と呼び、コロナ放電により発生した陽イオンPIのうち、煤Sの帯電に用いられ、ケーシングCSの外部へと漏洩する陽イオンPIの電荷に相当する電流を「漏洩電流Iesc」と呼び、ケーシングCSに捕捉された陽イオンPIの電荷に相当する電流を「捕捉電流Itrp」と呼ぶ。これらの4つの電流は、下記の式(1)の関係が成り立つ。
in=Idc+Itrp+Iesc ・・・(1)
放電電流Idcと捕捉電流Itrpは、ケーシングCSから信号線223を介して二次側グランドSGLに流れるため、信号線223の流れる電流値から放電電流Idcと捕捉電流Itrpの合計の値を検出することができる。また、入力電流Iinは、上述のように、定電流回路によって一定に制御されている。従って、入力電流Iinの電流値と、信号線223を流れる電流(Idc+Itrp)の電流値との差から漏洩電流Iescの値を算出することができる。すなわち、漏洩電流Iescは、下記式(2)によって算出することができる。
esc=Iin−(Idc+Itrp) ・・・(2)
図4は、イオン電流測定回路740の概略構成を例示した説明図である。イオン電流測定回路740は、第1のオペアンプAMP1と、第2のオペアンプAMP2と、第5のオペアンプAMP5と、抵抗値が既知の抵抗RE1〜RE5と、を含んで構成されている。
第1のオペアンプAMP1の一方の入力端子は、配線771および信号線223を介して二次側グランドSGLに接続されており、他方の入力端子は、配線775を介して一次側グランドPGLに接続されている。第1のオペアンプAMP1の出力端子は、配線772を介してセンサ制御部600に接続されている。また、第1のオペアンプAMP1の出力端子は、配線772の一部と配線LI1を介して第2のオペアンプAMP2の一方の入力端子に接続され、配線772の一部と配線LI2を介して配線771に接続されている。配線LI1には、抵抗RE1が設けられ、配線LI2には、抵抗RE2が設けられている。本実施形態の抵抗RE2は、特許請求の範囲の「抵抗部」に該当する。
第2のオペアンプAMP2の一方の入力端子は、配線LI1の一部と配線772を介して第1のオペアンプAMP1に接続され、他方の入力端子は、配線LI3と配線775を介して一次側グランドPGLに接続されている。配線LI3には、抵抗RE3と第5のオペアンプAMP5とが設けられており、抵抗RE3と第5のオペアンプAMP5との間には、配線LI4が接続されている。配線LI3は、抵抗RE4が設けられた配線LI4を介して配線LI1に接続されている。第5のオペアンプAMP5は、出力側の電流変化による電圧変化を抑えるためのボルテージフォロアとして構成されている。第2のオペアンプAMP2の出力端子は、配線773を介してセンサ制御部600に接続され、配線773と配線LI5を介して配線LI3に接続されている。配線LI5には、抵抗RE5が設けられている。
漏洩電流Iescが発生すると、二次側グランドSGLの基準電位は、漏洩電流Iescの大きさに応じて、一次側グランドPGLの基準電位よりも低下する。これは、一次側電源回路710を含む一次側から微粒子センサ100に供給されるエネルギー(電力)と、信号線223を介して微粒子センサ100から出力されるエネルギー(電力)との間に、漏洩電流Iescに対応するエネルギー分の差異が生じるためである。漏洩電流Iescの発生により、二次側グランドSGLの基準電位と一次側グランドPGLの基準電位との間に差異が生じると第1のオペアンプAMP1は、この差異に応じた電圧を出力する。第1のオペアンプAMP1が出力する電圧は、漏洩電流Iescの電流値に相関するため、この電圧値は、漏洩電流Iescの電流値を示す信号SWescとして配線772を介してセンサ制御部600に出力される。また、第1のオペアンプAMP1が出力する電圧は、配線LI2から抵抗RE2を介することによって、補償電流Icとして配線771に供給される。この補償電流Icは、漏洩電流Iescと電流値が等しく、二次側の回路を構成する配線771に供給されることで、二次側グランドSGLの基準電位と一次側グランドPGLの基準電位との間の差異を補償する。
第2のオペアンプAMP2は、第1のオペアンプAMP1から入力される信号SWescを増幅させた信号SSescをセンサ制御部600に出力する。第2のオペアンプAMP2は、差動増幅回路として構成されており、一方の入力端子から入力される信号SWescとしての電圧と、他方の入力端子から入力される一次側グランドPGLの基準電位との差分に応じた電圧を出力する。すなわち、第2のオペアンプAMP2は、入力された信号SWescの電圧値に対して所定の増幅率(例えば、103倍)で増幅させた電圧を信号SSescとしてセンサ制御部600に出力する。
センサ制御部600は、イオン電流測定回路740から入力される低感度信号としての信号SWescと、高感度信号としての信号SSescから排ガス中に含まれる煤Sの量を検出する。漏洩電流Iescの電流値を示すこれらの信号から排ガス中に含まれる煤Sの量を検出する方法については、特に限定されないが、例えば、センサ制御部600は、信号の電圧値と排ガス中の煤Sの量との対応関係が示されているマップや、信号の電圧値と排ガス中の煤Sの量との関係式を記憶していれば、これらを用いることによって、排ガス中に含まれる煤Sの量を算出することができる。
本実施形態のセンサ制御部600は、信号SWescおよび信号SSesとして入力されるアナログ信号としての電圧値を所定の分解能(例えば、8ビット)によってデジタル値として取得する。また、センサ制御部600は、入力される信号SSescと信号SWescのいずれにおいても電圧値の読み取り可能な範囲(フルスケールの範囲)が同じ大きさとなるように構成されている。
高感度信号としての信号SSescは、低感度信号としての信号SWescに比べて、漏洩電流Iescの電流値に対する感度(分解能)が高い。例えば、信号SWescの1Vが漏洩電流Iescの1nAに相当するのに対して、信号SSescの1Vは漏洩電流Iescの1pAに相当する。一方、センサ制御部600における信号SSesc,SWescの電圧の分解能(最小識別可能電位差)は等しい(例えば、0.02V)。従って、センサ制御部600の電圧分解能に相当する漏洩電流Iescの電流値は、信号SSescでは小さく(例えば、0.02pA)、信号SWescでは大きい(例えば、0.02nA)。換言すれば、センサ制御部600は、信号SSescから、信号SWescに比べて、漏洩電流Iescのより小さな変動を検出することが可能である。
よって、信号SSescから取得できる排ガス中の煤Sの量は、信号SWescから取得できる排ガス中の煤Sの量よりも最小識別可能単位が小さく精度が高い。一方、センサ制御部600の読み取り可能な電圧範囲(例えば、0〜5V)は、信号SWescの電圧範囲の全体が含まれるように設定されている。そのため、信号SWescよって測定可能な排ガス中の煤Sの量の範囲は、信号SSescによって測定可能な排ガス中の煤Sの量の範囲よりも広く、排ガス中の煤Sの量が、信号SWescの全電圧範囲に相当する範囲内であれば、その全範囲において煤Sの量を測定することができる。
このことから、センサ制御部600は、信号SSescの電圧値が読み取り可能範囲にある場合には、信号SSescから排ガス中の煤Sの量を精度良く測定し、信号SSescの電圧値が読み取り可能範囲にない場合には、広い範囲で測定可能な信号SWescから排ガス中の煤Sの量を測定することができる。これにより、微粒子測定システム10は、排ガス中に含まれる煤Sの量を精度良く測定することができ、また、排ガス中に含まれる煤Sの量によらず確実に測定することができる。
図5は、コロナ電流測定回路730の概略構成を例示した説明図である。コロナ電流測定回路730は、入力側と出力側との間が絶縁されたいわゆる光結合式のアイソレーションアンプとして構成されている。コロナ電流測定回路730の入力側は電気回路部700(図3)の二次側に属し、出力側は電気回路部700の一次側に属している。コロナ電流測定回路730は、二次側オペアンプ731と、A/Dコンバータ732と、発光部733と、受光部734と、一次側オペアンプ735と、D/Aコンバータ736とを備えている。
二次側オペアンプ731の2つの入力端子は、配線761と配線762にそれぞれ接続されており、出力端子は、A/Dコンバータ732に接続されている。二次側オペアンプ731は、配線761と配線762との電位差を増幅してA/Dコンバータ732に出力する。配線761と配線762との電位差は、抵抗値が既知のシャント抵抗230(図3)の両側の電位差であり、信号線223(図3)を流れる電流の電流値と相関する。すなわち、二次側オペアンプ731は、信号線223(図3)を流れる電流の電流値を示すアナログの電圧信号を増幅させてA/Dコンバータ732に出力する。A/Dコンバータ732は、二次側オペアンプ731と発光部733に接続されており、二次側オペアンプ731から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して発光部733に出力する。
発光部733は、LEDを含んで構成されており、A/Dコンバータ732と二次側グランドSGLに接続されている。発光部733は、A/Dコンバータ732から出力されたデジタルの電圧信号を光信号に変換する。受光部734は、フォトダイオードを含んで構成されており、一次側オペアンプ735と一次側グランドPGLに接続されている。受光部734は、発光部733から出力される光信号を電流信号に変換して一次側オペアンプ735に出力する。このように、発光部733と受光部734との間は、電気的、物理的に絶縁されており、光によって信号の伝達がおこなわれる。
一次側オペアンプ735は、受光部734とD/Aコンバータ736に接続されており、電流−電圧変換回路を含んで構成されている。一次側オペアンプ735は、受光部734から出力された電流信号を電圧信号に変換してD/Aコンバータ736に出力する。D/Aコンバータ736は、一次側オペアンプ735と配線763に接続されており、一次側オペアンプ735から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して配線763を介してセンサ制御部600(図3)に出力する。コロナ電流測定回路730は、上述の構成を備えることによって、一次側と二次側との間の絶縁を保ちつつ、二次側の信号線223から入力された信号を一次側のセンサ制御部600に出力することができる。
以上説明した第1実施形態の微粒子測定システム10(図3、4)によれば、イオン電流測定回路740は、低感度信号としての信号SWescをセンサ制御部600に伝送するための配線772と、信号SWescを増幅させた高感度信号としての信号SSescをセンサ制御部600に伝送するための配線773と、を備えているため、センサ制御部600において、これらの信号に対する分解能を高めることなく、排ガス中に含まれる微粒子の量を検出する精度の向上を図ることができる。すなわち、本実施形態の微粒子測定システム10によれば、信号SSescを用いることによって排ガス中に含まれる微粒子の量の検出精度を高めることができ、信号SSescが微粒子測定システム10の読み取り可能範囲に含まれていないときには、信号SWescを用いることによって、排ガス中に含まれる微粒子の量の検出することができる。
また、第1実施形態の微粒子測定システム10(図3)によれば、絶縁トランス720の一次側と二次側にそれぞれ接続されている2つの電気測定回路(コロナ電流測定回路730とイオン電流測定回路740)のうち、コロナ電流測定回路730は、アイソレーションアンプとして構成され、一次側と二次側との間が物理的に絶縁されている。そのため、本実施形態の微粒子測定システム10では、一次側の回路と二次側の回路とを電気的に接続しているのは、イオン電流測定回路740だけの構成となっており、イオン電流測定回路740以外の部分において、一次側から二次側に漏れ電流が発生することを抑制することができる。イオン電流測定回路740以外の部分における漏れ電流の発生を抑制することで、イオン電流測定回路740において、二次側に供給される補償電流Icの電流値と、漏洩電流Iescの電流値との間の誤差を低減することができる。よって、本実施形態の微粒子測定システム10によれば、排ガス中に含まれる煤Sの量を検出する精度の向上を図ることができる。
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態に係るイオン電流測定回路740Aの概略構成を例示した説明図である。第2実施形態のイオン電流測定回路740Aは、第1実施形態のイオン電流測定回路740と比較すると、イオン電流測定回路740Aとセンサ制御部600とを接続する配線として配線774が追加されている点と、信号SSescをセンサ制御部600に出力するオペアンプ(第3のオペアンプAMP3)の一方の入力端子がこの配線774に接続されている点と、第1のオペアンプAMP1の一方の入力端子と一次側グランドPGLとの間にオフセット電圧(例えば、0.5V)を発生させるための電源PWRが配置されている点が異なる。本実施形態の配線774は、特許請求の範囲の「フィードバック用配線」に該当する。
第2実施形態のイオン電流測定回路740Aは、センサ制御部600に出力する信号SSescから、オペアンプの誤差(バイアス電流やオフセット電圧による誤差等)の影響を低減できるように構成されている。イオン電流測定回路740Aは、第1のオペアンプAMP1と、第3のオペアンプAMP3と、抵抗値が既知の抵抗RE2、RE6〜RE8と、D/AコンバータDAC1とを含んで構成されている。
第1のオペアンプAMP1と、配線771〜773、775、配線LI2の構成は、第1実施形態の第1のオペアンプAMP1と、配線771〜773、775、配線LI2の構成(図4)と比較すると、第1のオペアンプAMP1の一方の入力端子が電源PWRを介して一次側グランドPGLに接続されている点のみが異なり、それ以外の点は同様である。第1のオペアンプAMP1の一方の入力端子は、電源PWRを介して一次側グランドPGLに接続されているため、一次側グランドPGLの基準電位に対して所定値分(例えば、0.5V)だけオフセットされた電位が入力される。二次側グランドSGLは、一次側グランドPGLの基準電位に対しインピーダンスが高いため、二次側グランドSGLの基準電位へ、このオフセット電位が重畳される。よって、漏洩電流Iescの発生による二次側グランドSGLの基準電位と一次側グランドPGLの基準電位の差異と同様な相関性を有することができる。よって、センサ制御部600は、第1のオペアンプAMP1から出力される信号SWescから排ガス中の煤Sの量を算出することができる。一方、第1のオペアンプAMP1の一方の入力端子にオフセット電圧を入力することによって、第1のオペアンプAMP1の両入力端子間の電位差を、第1のオペアンプAMP1において誤差(バイアス電流やオフセット電圧による誤差等)の生じにくい電位差範囲に近づけるように調整することができる。これにより、第1のオペアンプAMP1の誤差に起因する信号SWescの電圧値の出力誤差の発生を抑制することができる。
第3のオペアンプAMP3は、第1実施形態の第2のオペアンプAMP2(図4)に対応しており、第1のオペアンプAMP1から入力される信号SWescを増幅させた信号SSescをセンサ制御部600に出力する。第3のオペアンプAMP3の一方の入力端子は、配線LI6と配線772の一部を介して第1のオペアンプAMP1に接続され、他方の入力端子は、配線774を介してセンサ制御部600に接続されている。配線774には抵抗RE6とD/AコンバータDAC1とが設けられている。第3のオペアンプAMP3の出力端子は、配線773を介してセンサ制御部600に接続され、配線773と配線LI7を介して配線774に接続されている。配線LI7には抵抗RE7が設けられており、抵抗RE7と配線774との間には配線LI8が接続されている。配線LI7は、抵抗RE8が設けられた配線LI8を介して一次側グランドPGLに接続されている。
第3のオペアンプAMP3は、配線774を介してセンサ制御部600から更新補正信号Scorが入力される。第3のオペアンプAMP3は、差動増幅回路として構成されており、一方の入力端子から入力されるこの更新補正信号Scorとしての電圧と、他方の入力端子から入力される信号SWescとしての電圧との差分に応じた電圧を信号SSescとして出力する。更新補正信号Scorは、センサ制御部600からデジタルの電圧信号として出力され、D/AコンバータDAC1によってアナログ信号に変換された後、第3のオペアンプAMP3に入力される。更新補正信号Scorは、第3のオペアンプAMP3から出力される信号SSescを補正するようにセンサ制御部600によって電圧値が調整されている。具体的には、更新補正信号Scorは、第3のオペアンプAMP3から出力される信号SSescに、2つのオペアンプ(第1のオペアンプAMP1と第3のオペアンプAMP3)の誤差(バイアス電流やオフセット電圧による誤差等)がキャンセルされるように、その電圧値がセンサ制御部600によって調整されている。そのため、第3のオペアンプAMP3は、更新補正信号Scorと信号SWescから、オペアンプの誤差が抑制された信号SSescを出力することができる。センサ制御部600が更新補正信号Scorを算出する手順を含む微粒子測定処理の動作の流れを以下に説明する。
図7は、第2実施形態のセンサ制御部600による微粒子測定処理の動作の流れを例示したフローチャートである。ここでは、センサ制御部600は、図示しない記憶部を備えており、そこに初期値としての更新補正信号Scorが記憶されているものとして説明する。センサ制御部600は、まず、記憶部に記憶されている更新補正信号Scorを更新するタイミングとして予め設定されている算出開始条件を満たしているか否かの判断をおこなう(ステップS110)。算出開始条件としては、任意の条件を設定することができる。例えば、内燃機関400(図1)の始動直前や、内燃機関400の停止直後、前回算出時から一定期間が経過した後、等を例示することができる。センサ制御部600は、算出開始条件を満たしていないと判断すると(ステップS110:NO)、更新補正信号Scorを算出するための後述の処理(ステップS120〜S140)をスキップする。
一方、センサ制御部600は、算出開始条件を満たしていると判断すると(ステップS110:YES)、絶縁トランス720(図3)の駆動を停止させて、微粒子センサ100(図3)のコロナ放電を停止させる(ステップS120)。なお、内燃機関400の始動直前時など、コロナ放電を発生させていない状態が算出開始条件として設定されている場合には、このステップはスキップされる。
センサ制御部600は、コロナ放電を停止させた状態で、第3のオペアンプAMP3から入力される信号SSescの電圧値をオフセット値として取得する(ステップS130)。すなわち、コロナ放電が発生しておらず、排ガス中の煤Sの量に対応する漏洩電流Iescが発生していない(漏洩電流Iesc=0)状態における信号SSescの電圧値は、2つのオペアンプのバイアス電流やオフセット電圧による信号SSescの電圧値の誤差量を表しているものと考えられる。なお、センサ制御部600は、オフセット値を取得するとき、配線774から第3のオペアンプAMP3の出力電圧がある一定の値(初期値)となるように配線774に印加する電圧を調整する。
センサ制御部600は、オフセット値から更新補正信号Scorを算出し、図示しない記憶部に記憶させる(ステップS140)。上述のように、オフセット値は、信号SSescの電圧値の誤差量(オフセット量)と相関している。一方、更新補正信号Scorも、信号SSescからこの誤差量(オフセット量)をキャンセルしつつ、信号SWescを増幅させるための信号であるため、この誤差量(オフセット量)と相関している。すなわち、オフセット値と更新補正信号Scorの電圧値との間には相関関係があり、オフセット値と更新補正信号Scorは、その関係が対応マップや演算式によって定義することができる。センサ制御部600は、これらの対応マップや演算式を参照することによって、オフセット値から更新補正信号Scorを算出することができる。センサ制御部600は、算出した更新補正信号Scorの電圧値を図示しない記憶部に記憶させる。
排ガス中の煤Sの量を測定するために、センサ制御部600は、絶縁トランス720(図3)を駆動させて、微粒子センサ100のコロナ放電を開始させる(ステップS150)。また、センサ制御部600は、配線774(図6)を介して、記憶部に記憶した更新補正信号Scorを第3のオペアンプAMP3に出力する(ステップS160)。これにより、センサ制御部600は、第3のオペアンプAMP3から入力される信号SSescを用いて、精度良く排ガス中の煤Sの量を測定することができる(ステップS170)。
以上説明した第2実施形態の微粒子測定システム10(図3、6)によれば、イオン電流測定回路740Aは、第3のオペアンプAMP3の入力端子に更新補正信号Scorが入力されるように構成されている。また、入力される更新補正信号Scorは、信号SSescから、オペアンプの誤差(バイアス電流やオフセット電圧による誤差等)をキャンセルできるように調整されている。よって、本実施形態の微粒子測定システム10によれば、出力する信号SSescからオペアンプによる誤差等の影響を低減させることができる。これにより、例えば、第1のオペアンプAMP1や第3のオペアンプAMP3などのオペアンプに製造時の個体差や経年劣化による誤差が生じても、イオン電流測定回路740Aが出力する信号SSescからこれらによる誤差の影響を抑制することができる。
C.第3実施形態:
図8は、第3実施形態に係るイオン電流測定回路740Bの概略構成を例示した説明図である。第3実施形態のイオン電流測定回路740Bは、第1実施形態のイオン電流測定回路740と比較すると、サンプリングホールド回路SHC1を備えている点と、イオン電流測定回路740Bとセンサ制御部600とを接続する配線として配線774が追加されている点と、信号SSescをセンサ制御部600に出力するオペアンプ(第4のオペアンプAMP4)の一方の入力端子がサンプリングホールド回路SHC1に接続されている点と、第1のオペアンプAMP1の一方の入力端子と一次側グランドPGLとの間にオフセット電圧(例えば、0.5V)を発生させるための電源PWRが配置されている点が異なる。本実施形態のサンプリングホールド回路SHC1は、特許請求の範囲の「補償信号保持部」に該当する。
第3実施形態のイオン電流測定回路740Bは、第2実施形態のイオン電流測定回路740Aと同様に、センサ制御部600に出力する信号SSescからオペアンプによる誤差(バイアス電流やオフセット電圧による誤差等)の影響を低減できるように構成されている。イオン電流測定回路740Bは、第1のオペアンプAMP1と、第4のオペアンプAMP4と、第6のオペアンプAMP6と、第7のオペアンプAMP7と、抵抗値が既知の抵抗RE2、RE10〜RE13と、サンプリングホールド回路SHC1とを含んで構成されている。
第1のオペアンプAMP1と、配線771〜773、775、配線LI2は、第1実施形態の第1のオペアンプAMP1と、配線771〜773、775、配線LI2と対応している。第3実施形態の第1のオペアンプAMP1の出力端子は、配線772を介してセンサ制御部600に接続されるとともに、配線772の一部と配線LI10を介して第4のオペアンプAMP4の一方の入力端子に接続されている。また、第1のオペアンプAMP1の出力端子は、配線772の一部と配線LI10の一部と配線LI11を介して配線775に接続されるとともに、配線772の一部と配線LI12を介してサンプリングホールド回路SHC1に接続されている。配線LI11には、抵抗RE11と、バッファ回路としての第6のオペアンプAMP6とが設けられている。そして、前述したように漏洩電流Iescが発生すると電源PWRの電位が重畳された二次側グランドSGLの基準電位の変動が発生するため、第1のオペアンプAMP1は、この差異に応じた電圧を信号SWescとして出力する。
第4のオペアンプAMP4は、第1実施形態の第2のオペアンプAMP2(図4)に対応しており、第1のオペアンプAMP1から入力される信号SWescを増幅させた信号SSescをセンサ制御部600に出力する。第4のオペアンプAMP4の一方の入力端子は、配線LI10と配線772の一部を介して第1のオペアンプAMP1に接続され、他方の入力端子は、配線LI13を介してサンプリングホールド回路SHC1に接続されている。配線LI13には、抵抗RE12と、バッファ回路としての第7のオペアンプAMP7とが設けられている。第4のオペアンプAMP4の出力端子は、配線773を介してセンサ制御部600に接続されている。
サンプリングホールド回路SHC1は、第1のオペアンプAMP1の誤差(バイアス電流やオフセット電圧による誤差等)を補償するための回路であり、スイッチSWと、コンデンサCONと、を含んで構成されている。スイッチSWは、例えば、n型のMOSFETなどのトランジスタを含んで構成されており、ゲートが配線774を介してセンサ制御部600に接続され、ソースが配線LI13に接続され、ドレインが配線LI12に接続されている。スイッチSWは、配線774を介してセンサ制御部600から信号Sswが入力されると、配線LI12側からコンデンサCONに電流が流れて電荷がチャージされる。コンデンサCONは、一方の端部がオペアンプAMP7の入力端子(非反転入力端子)に接続され、他方の端部が一次側グランドPGLに接続されており、スイッチSWを介して第1のオペアンプAMP1から出力される信号SWescの電圧を保持可能に構成されている。後述するように、センサ制御部600は、微粒子センサ100のコロナ放電を停止させているときに第1のオペアンプAMP1から出力される信号SWescを補償信号としてその電圧をコンデンサCONに保持させる。センサ制御部600は、微粒子センサ100のコロナ放電を開始する前には、コンデンサCONの電荷が配線LI12側へ流れないようにスイッチSWをオフにし、コンデンサCONに保持させた補償信号(電荷)を第7のオペアンプAMP7を介して第4のオペアンプAMP4の入力端子(反転入力端子)に出力する。
第4のオペアンプAMP4は、差動増幅回路として構成されており、サンプリングホールド回路SHC1から補償信号として入力される電圧と、第1のオペアンプAMP1から入力される信号SWescとしての電圧との差分に応じた電圧を信号SSescとして出力する。補償信号の電圧は、コロナ放電を停止させて漏洩電流Iescが発生していない(漏洩電流Iesc=0)状態における信号SWescの電圧値であるため、第1のオペアンプAMP1のバイアス電流やオフセット電圧による誤差量を表しているものと考えられる。そのため、第4のオペアンプAMP4は、サンプリングホールド回路SHC1から補償信号として入力される電圧と、第1のオペアンプAMP1から入力される信号SWescから、第1のオペアンプAMP1の誤差が抑制された信号SSescを出力することができる。センサ制御部600がサンプリングホールド回路SHC1に電圧を保持させる手順を含む微粒子測定処理の動作の流れを以下に説明する。
図9は、第3実施形態のセンサ制御部600による微粒子測定処理の動作の流れを例示したフローチャートである。ここでは、サンプリングホールド回路SHC1は、補償信号として予めコンデンサCONに所定の電圧を保持しているものとして説明する。センサ制御部600は、まず、サンプリングホールド回路SHC1に新たに補償信号としての電圧を保持させるタイミングとして予め設定されている保持開始条件を満たしているか否かの判断をおこなう(ステップS210)。保持開始条件としては、任意の条件を設定することができる。センサ制御部600は、保持開始条件を満たしていないと判断すると(ステップS210:NO)、サンプリングホールド回路SHC1に新たに電圧を保持させるための後述の処理(ステップS220、S230、S240)をスキップする。
一方、センサ制御部600は、保持開始条件を満たしていると判断すると(ステップS210:YES)、絶縁トランス720の駆動を停止させて、微粒子センサ100におけるコロナ放電を停止させる(ステップS220)。センサ制御部600は、コロナ放電を停止させた状態で、サンプリングホールド回路SHC1に信号Sswを出力し、第1のオペアンプAMP1から出力された信号SWescの電圧をコンデンサCONへチャージさせて保持させる(ステップS230)。すなわち、センサ制御部600は、排ガス中の煤Sの量に対応する漏洩電流Iescが発生していない(漏洩電流Iesc=0)状態における信号SWescの電圧をサンプリングホールド回路SHC1に保持させる。
その後、センサ制御部600は、サンプリングホールド回路SHC1への信号Sswの出力を停止し、コンデンサCONの電荷が配線LI12側へ流れないようにスイッチSWをオフする(ステップS240)。次に、センサ制御部600は、排ガス中の煤Sの量を測定するために、絶縁トランス720を駆動させて、微粒子センサ100におけるコロナ放電を開始させる(ステップS250)。これにより、サンプリングホールド回路SHC1は、保持した電圧を補償信号として第7のオペアンプAMP7を介して第4のオペアンプAMP4に出力する。これにより、センサ制御部600は、第4のオペアンプAMP4から入力される信号SSescを用いて、精度良く排ガス中の煤Sの量を測定することができる(ステップS260)。
以上説明した第3実施形態の微粒子測定システム10(図3、8)によれば、イオン電流測定回路740Bは、第4のオペアンプAMP4の入力端子にサンプリングホールド回路SHC1から補償信号が入力するように構成されている。また、入力される補償信号は、信号SSescから、第1のオペアンプAMP1の誤差をキャンセルできるように構成されている。よって、本実施形態の微粒子測定システム10によれば、出力する信号SSescから第1のオペアンプAMP1(バイアス電流やオフセット電圧による誤差等)の影響を低減させることができる。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D−1.変形例1:
本実施形態のセンサ制御部600(図3、4、6、8)は、信号SSescの電圧値が読み取り可能範囲にある場合には、信号SSescから排ガス中に含まれる煤Sの量を測定し、信号SSescの電圧値が読み取り可能範囲にない場合には、信号SWescから排ガス中の煤Sの量を測定するものとして説明した。しかし、センサ制御部600が2つの信号から排ガス中に含まれる煤Sの量を測定する方法は上記に限定されない。例えば、センサ制御部600は、2つの信号からそれぞれ算出した排ガス中の煤Sの量の平均値を出力するように構成されていてもよい。また、2つの信号のうちのいずれを使うか任意に切り換え可能に構成されていてもよい。
D−2.変形例2:
第1実施形態として示した微粒子測定システム10の構成は例示であり、本発明は、第1実施例で示した微粒子測定システム10の構成以外の構成であっても実現することができる。例えば、微粒子測定システム10は、第2の電極132を備えていなくてもよい。また、微粒子測定システム10は、イオン発生部110が微粒子センサ100の内側ではなく、微粒子センサ100とは別体として構成されていてもよい。また、コロナ電流測定回路730は、光結合式のアイソレーションアンプではなく、磁気結合式や容量結合式のアイソレーションアンプであってもよい。
D−3.変形例3:
本実施例のセンサ制御部600は、コロナ電流測定回路730から出力される信号Sdc+trpに基づいて入力電流Iinの電流値が目標電流値となるように、放電電圧制御回路711を制御するものとして説明したが、センサ制御部600の構成はこれに限定されない。例えば、センサ制御部600は、コロナ電流測定回路730から出力される信号Sdc+trpのほか、イオン電流測定回路740から出力される信号Sescを用いて放電電圧制御回路711を制御するように構成されていてもよい。信号Sdc+trpは、電流(Idc+Itrp)の電流値を示し、信号Sescは、電流(Iesc)の電流値を示している。そのため、上記式(1)に示すように、この2つの信号を用いることにより、センサ制御部600は、入力電流Iinの電流値を検出する精度をより高めることができる。
D−4.変形例4:
第1実施形態の微粒子測定システム10は、コロナ放電により第1の電極112と隔壁42との間で陽イオンを発生させる構成としたが、微粒子測定システム10は、コロナ放電により陰イオンを発生させる構成としてもよい。例えば、第1の電極112、隔壁42の正負の接続先を変更することにより、第1の電極112と隔壁42との間で陰イオンを発生させせることができる。
10…微粒子測定システム
25…セラミックパイプ
31…ガス流路
35…排出孔
41…ノズル
42…隔壁
45…流入孔
55…空気供給孔
100…微粒子センサ
110…イオン発生部
111…イオン発生室
112…第1の電極
120…排ガス帯電部
121…帯電室
130…イオン捕捉部
131…捕捉室
132…第2の電極
200…ケーブル
221…第1の配線
222…第2の配線
223…信号線
224…空気供給管
230…シャント抵抗
300…センサ駆動部
400…内燃機関
402…排ガス配管
405…燃料配管
410…フィルタ装置
420…車両制御部
430…燃料供給部
440…電源部
500…車両
600…センサ制御部
700…電気回路部
710…一次側電源回路
711…放電電圧制御回路
712…トランス駆動回路
720…絶縁トランス
730…コロナ電流測定回路
731…二次側オペアンプ
733…発光部
734…受光部
735…一次側オペアンプ
740…イオン電流測定回路
741…オペアンプ
751…第1の整流回路
752…第2の整流回路
753、754…ショート保護用抵抗
761〜763、771〜774…配線
800…空気供給部
AMP1〜7…第1〜7のオペアンプ
SHC1…サンプリングホールド回路
LI10〜LI14…配線
RE1〜RE12…抵抗
CS…ケーシング
SW…スイッチ
SGL…二次側グランド
PGL…一次側グランド
CON…コンデンサ
PWR…電源

Claims (7)

  1. コロナ放電によってイオンを発生させるイオン発生部と、
    ガス中の少なくとも一部の微粒子を、前記イオンを用いて帯電させるための帯電室と、
    前記微粒子の帯電に使用されなかった前記イオンの少なくとも一部を捕捉する捕捉部と、を備え、
    前記捕捉部に捕捉されたイオンの量に基づいて前記ガス中の前記微粒子の量を測定する微粒子測定システムであって、
    前記イオン発生部から発生されたイオンの量と、前記捕捉部に捕捉されたイオンの量との差分のイオン量に相当する電流値を示す第1の信号を出力する信号出力回路と、
    前記信号出力回路に接続される制御回路と、を備え、
    前記信号出力回路は、前記第1の信号を前記制御回路に伝送するための第1のラインと、前記第1の信号を増幅器によって増幅させた第2の信号を前記制御回路に伝送するための第2のラインと、を備え、
    前記制御回路は、前記第1の信号または第2の信号の少なくともいずれかに基づいて前記ガス中の前記微粒子の量を検出することを特徴とする微粒子測定システム。
  2. 請求項1に記載の微粒子測定システムはさらに、
    前記コロナ放電に用いられる電力の電圧変換をおこなう絶縁トランスであって、二次側が前記イオン発生部に接続される絶縁トランスと、
    前記絶縁トランスの一次側の基準電位を示す一次側基準電位配線と、
    前記絶縁トランスの二次側の基準電位を示す二次側基準電位配線と、備え、
    前記捕捉部は、前記二次側基準電位配線に接続されており、
    前記信号出力回路は、前記一次側基準電位配線と、前記二次側基準電位配線と、前記制御回路と、にそれぞれ接続され、前記一次側基準電位配線と前記二次側基準電位配線との電位差に基づいて得られる信号を前記第1の信号として前記制御回路に伝送することを特徴とする微粒子測定システム。
  3. 請求項2に記載の微粒子測定システムにおいて、
    前記信号出力回路は、第1のオペアンプを含んで構成されており、
    前記第1のオペアンプの一方の入力端子は、前記一次側基準電位配線に接続され、
    前記第1のオペアンプの他方の入力端子は、前記二次側基準電位配線に接続され、
    前記第1のオペアンプの出力端子は、前記第1のラインを介して前記制御回路に接続されるとともに、抵抗部を介して前記二次側基準電位配線に接続されていることを特徴とする微粒子測定システム。
  4. 請求項3に記載の微粒子測定システムにおいて、
    前記信号出力回路は、前記増幅器として第2のオペアンプを用いた差動増幅回路を含んで構成されており、
    前記第2のオペアンプの一方の入力端子は、前記第1のオペアンプの出力端子に接続され、
    前記第2のオペアンプの他方の入力端子は、前記一次側基準電位配線に接続され、
    前記第2のオペアンプの出力端子は、前記第2のラインを介して前記制御回路に接続されていることを特徴とする微粒子測定システム。
  5. 請求項3に記載の微粒子測定システムにおいて、
    前記信号出力回路は、前記増幅器として第3のオペアンプを用いた差動増幅回路を含んで構成されており、
    前記第3オペアンプの一方の入力端子は、前記第1のオペアンプの出力端子に接続され、
    前記第3のオペアンプの他方の入力端子は、前記制御回路から延びるフィードバック用配線に接続され、
    前記第3のオペアンプの出力端子は、前記第2のラインを介して前記制御回路に接続され、
    前記制御回路は、
    前記イオン発生部がイオンを発生していないときに、前記第2ラインを介して入力される前記第2の信号をオフセット値として読み込み、前記オフセット値から更新補正信号を算出し、
    前記イオン発生部がイオンを発生しているときに、前記更新補正信号を前記フィードバック用配線に出力することによって、前記第2のラインを介して入力される前記第2の信号を補正することを特徴とする微粒子測定システム。
  6. 請求項3に記載の微粒子測定システムにおいて、
    前記信号出力回路は、前記増幅器として第4のオペアンプを用いた差動増幅回路を含んで構成されており、
    前記第4オペアンプの一方の入力端子は、前記第1のオペアンプの出力端子に接続され、
    前記第4のオペアンプの他方の入力端子は、前記第1のオペアンプの誤差を補償するための補償信号を保持する補償信号保持部に接続され、
    前記第4のオペアンプの出力端子は、前記第2のラインを介して前記制御回路に接続されていることを特徴とする微粒子測定システム。
  7. 請求項6に記載の微粒子測定システムにおいて、
    前記制御回路は、
    前記イオン発生部がイオンを発生していないときに、前記第1のオペアンプから出力される前記第1の信号を補償信号として前記補償信号保持部に保持させ、
    前記イオン発生部がイオンを発生しているときに、前記補償信号保持部に保持させている補償信号を前記第4のオペアンプに供給することを特徴とする微粒子測定システム。
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