JP6396881B2 - 微粒子測定システム - Google Patents

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Description

本発明は、被測定ガスに含まれる煤などの微粒子の量を測定する微粒子測定システムに関する。
従来、被測定ガス(例えば、内燃機関から排出される排気ガスなど)に含まれる微粒子(例えば煤)の量を測定する微粒子測定システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
微粒子測定システムは、被測定ガスに晒されて、微粒子を検出する微粒子センサを備えている。微粒子センサは、イオン発生部と、帯電室と、捕捉部と、を備えている。また、微粒子センサは、当該微粒子センサを駆動させるセンサ駆動部と接続されて使用に供される。
そして、微粒子測定システムは、コロナ放電によりイオン発生部で発生させたイオンを用いて、帯電室にて被測定ガス中の少なくとも一部の微粒子にイオンを帯電させて帯電微粒子を生成し、帯電微粒子の量(言い換えれば、捕捉部にて捕捉したイオンの量)に基づいて微粒子の量を測定する。詳細には、センサ駆動部に設けられた微粒子演算部が、センサ制御部にコロナ放電用絶縁トランスにおける一次側コイルの基準電位を示す一次側基準電位と、コロナ放電用絶縁トランスにおける二次側コイルの基準電位を示す二次側基準電位との間に流れる信号電流であって、帯電微粒子の量に応じて流れる信号電流を検出し、この信号電流を用いて微粒子の量を演算(測定)する。
特開2013−195069号公報
しかし、上述のような微粒子測定システムでは、微粒子センサに微粒子(煤など)が付着すると、微粒子量の測定精度が低下したり、微粒子量の測定ができなくなるという問題があった。また、微粒子センサに接続されるセンサ駆動部を構成する回路部品の経時劣化や回路部品間の絶縁劣化等によっても、微粒子量の測定精度が低下したりすることがある。
つまり、例えば、微粒子センサに付着した微粒子等によって、微粒子センサを構成する絶縁部材の絶縁抵抗値が低下すると、一次側基準電位と二次側基準電位との間に流れる信号電流に不正電流が重畳する虞がある。また、センサ駆動部における回路部品の経時劣化や回路部品間の絶縁劣化に起因して、上記信号電流に不正電流が重畳する虞がある。
本発明は、微粒子を測定するにあたり不正電流による測定精度の低下を抑制する微粒子測定システムを提供することを目的とする。
本発明の1つの局面における微粒子測定システムは、微粒子を検出する微粒子センサと、微粒子センサを駆動させるセンサ駆動部と、を備えて、被測定ガス中の前記微粒子の量を測定する微粒子測定システムであって、微粒子センサは、イオン発生部と、帯電室と、捕捉部と、を備えており、センサ駆動部は、コロナ放電用絶縁トランスと、コロナ放電制御部と、微粒子演算部と、電圧変換停止部と、補正情報取得部と、補正部と、を備える。
イオン発生部は、コロナ放電によってイオンを発生する。帯電室は、被測定ガス中の少なくとも一部の微粒子にイオンを用いて帯電させて帯電微粒子を生成するために備えられる。捕捉部は、イオン発生部で発生させたイオンのうち微粒子の帯電に使用されなかったイオンの少なくとも一部を捕捉する。
コロナ放電用絶縁トランスは、一次側コイルおよび二次側コイルを有し、コロナ放電に用いられる電力の電圧変換を行う絶縁トランスであって、二次側コイルがイオン発生部に接続される。
微粒子演算部は、コロナ放電用絶縁トランスにおける一次側コイルの基準電位を示す一次側基準電位とコロナ放電用絶縁トランスにおける二次側コイルの基準電位を示す二次側基準電位との間に流れる信号電流であって、帯電微粒子の量に応じて流れる信号電流を検出し、この信号電流を用いて微粒子の量を演算する。コロナ放電制御部は、捕捉部から二次側基準電位に流れる二次側電流を検出し、二次側電流を用いてイオン発生部から発生されるイオンの量を予め定められた目標値に近づけるように、コロナ放電用絶縁トランスからイオン発生部に供給される電力量を制御する。
電圧変換停止部は、コロナ放電用絶縁トランスによる電圧変換を停止させる。補正情報取得部は、電圧変換停止部による電圧変換の停止時において、微粒子演算部で検出される信号電流または微粒子演算部で演算される微粒子の量を補正用情報として取得する。補正部は、コロナ放電用絶縁トランスによる電圧変換の実行時において、微粒子演算部で検出される信号電流または微粒子演算部で演算された微粒子の量を、補正用情報を用いて補正する。
電圧変換停止部によりコロナ放電用絶縁トランスによる電圧変換が停止されている場合には、イオン発生部でのイオンの発生が停止される。このような状況下では、帯電室にて帯電微粒子が生成されないため、帯電微粒子の量に応じて信号電流が変化することはない。
しかし、微粒子センサに付着した微粒子等を介して不正電流が発生したり、センサ駆動部側の影響によって不正電流が発生すると、その不正電流が信号電流に重畳し、信号電流として検出されることになる。このため、電圧変換停止部による電圧変換の停止時において、微粒子演算部で検出される信号電流または微粒子演算部で演算される演算結果(微粒子の量)は、不正電流に応じて変化することになる。つまり、補正情報取得部で取得される補正用情報は、不正電流が反映されたものである。
このことから、補正用情報を用いて、微粒子演算部で検出される信号電流または微粒子演算部で演算された微粒子の量を補正することで、不正電流の影響を抑えつつ、微粒子を測定することができる。
よって、この微粒子測定システムは、電圧変換停止部と、補正情報取得部と、補正部と、を備えて、補正用情報を用いて微粒子演算部で検出される信号電流または微粒子の量を補正することで、不正電流の影響を抑えつつ微粒子を測定できるため、微粒子を測定するにあたり不正電流による測定精度の低下を抑制することができる。
上述の微粒子測定システムにおいては、電圧変換停止部は、外部からの停止許可信号を受信したときに電圧変換を停止させる構成であってもよい。
外部からの停止許可信号として、例えば、被測定ガス中に微粒子が含まれない時期(あるいは、微粒子が少ない時期)を通知する信号を受信することで、被測定ガス中に微粒子が含まれない時期(あるいは、微粒子が少ない時期)であるか否かを判定することが可能となる。これにより、微粒子が発生しやすい時期(換言すれば、微粒子測定の必要性が高い時期)を避けて、補正用情報を取得することができる。
よって、この微粒子測定システムによれば、微粒子測定の必要性が高い時期における微粒子測定の停止時間が長くなることを回避できるため、微粒子の測定精度が低下することを抑制できる。
次に、上述の微粒子測定システムにおいては、電圧変換停止部は、予め定められた停止周期毎に電圧変換を停止させる構成であってもよい。
このように周期的に電圧変換を停止することで、補正用情報を周期的に取得することができ、停止周期毎に更新される補正用情報に基づいて微粒子の量を補正することができる。これにより、長期間にわたり微粒子を測定する用途においても、補正用情報が停止周期毎に更新されるため、微粒子センサの状態変化(換言すれば、微粒子などの付着状況の変化)が生じても、微粒子の量を適切に補正することができる。
よって、この微粒子測定システムによれば、微粒子センサでの微粒子などの付着状況の変化が生じても、微粒子の量を適切に補正することができ、微粒子の測定精度が低下することを抑制できる。
次に、上述の微粒子測定システムにおいては、微粒子センサは、内燃機関の排気管に取り付けられており、電圧変換停止部は、内燃機関の稼働累積時間が予め定められた停止時間を超えると電圧変換を停止させる構成であってもよい。
内燃機関の排気管に取り付けられた微粒子センサは、排気ガスに含まれる煤などの微粒子が付着することがあり、内燃機関の稼働時間が長くなるほど、このような微粒子の付着が発生しやすくなる。
このため、内燃機関の稼働累積時間が停止時間を超えるタイミングで電圧変換を停止し、補正用情報を取得することで、微粒子センサの経時劣化やセンサ駆動部の経時劣化に応じた補正用情報を取得することができる。これにより、微粒子センサにおける微粒子の付着状況に応じた補正用情報を取得することができ、微粒子の量を適切に補正することができ、内燃機関から排出される被測定ガスとしての排気ガス中の微粒子の量を長期間にわたって精度良く検出することができる。
本発明の微粒子測定システムによれば、補正用情報を用いて微粒子の量を補正することで、不正電流の影響を抑えつつ微粒子を測定できるため、微粒子を測定するにあたり不正電流による測定精度の低下を抑制することができる。
第1実施形態に係る微粒子測定システムの全体構成を説明するための説明図であり、(a)は、微粒子測定システム10を搭載した車両500の概略構成を例示した説明図であり、(b)は、車両500に取り付けられた微粒子測定システム10の概略構成を例示した説明図である。 微粒子センサの先端部の概略構成を模式的に示した説明図である。 電気回路部の概略構成を例示した説明図である。 イオン電流測定回路の概略構成を例示した説明図である。 コロナ電流測定回路の概略構成を例示した説明図である。 微粒子測定処理の処理内容を表したフローチャートである。 取得時期判定処理の処理内容を表したフローチャートである。 第2微粒子測定処理の処理内容を表したフローチャートである。 第2取得時期判定処理の処理内容を表したフローチャートである。
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
本実施形態に係る微粒子測定システムの構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る微粒子測定システム10の全体構成を説明するための説明図である。図1(a)は、微粒子測定システム10を搭載した車両500の概略構成を例示した説明図である。図1(b)は、車両500に取り付けられた微粒子測定システム10の概略構成を例示した説明図である。
微粒子測定システム10は、微粒子センサ100と、ケーブル200と、センサ駆動部300とを含んで構成され、内燃機関400から排出される排ガスに含まれる煤などの微粒子の量を測定する。内燃機関400とは、車両500の動力源であり、ディーゼルエンジン等によって構成されている。
微粒子センサ100は、内燃機関400から延びる排ガス配管402に取り付けられるとともに、ケーブル200によってセンサ駆動部300と電気的に接続されている。本実施形態では、微粒子センサ100は、排ガス配管402のうちフィルタ装置410(例えば、DPF(Diesel particulate filter ))よりも下流側部分に取り付けられている。微粒子センサ100は、排ガスに含まれる微粒子の量に相関する信号をセンサ駆動部300に出力する。
センサ駆動部300は、微粒子センサ100を駆動させるとともに、微粒子センサ100から入力される信号に基づいて、排ガス中の微粒子の量を検出(測定)する。センサ駆動部300が検出する「排ガス中の微粒子の量」とは、排ガス中の微粒子の表面積の合計に比例する値であってもよいし、微粒子の質量の合計に比例する値であってもよい。または、排ガスの単位体積中に含まれる微粒子の個数に比例する値であってもよい。センサ駆動部300は、車両500側の車両制御部420と電気的に接続されており、検出した排ガス中の微粒子量を示す信号を車両制御部420に出力する。
車両制御部420は、センサ駆動部300から入力される信号に応じて、内燃機関400の燃焼状態や、燃料配管405を介して燃料供給部430から内燃機関400に供給される燃料の供給量などを制御する。車両制御部420は、例えば、排ガス中の微粒子量が所定量よりも多い場合には、フィルタ装置410の劣化や異常を車両500の運転手に警告するように構成されていてもよい。センサ駆動部300と車両制御部420は、それぞれ電源部440に電気的に接続されており、電源部440から電力が供給される。
図1(b)に示すように、微粒子センサ100は、円筒形状の先端部100eを備えており、この先端部100eが排ガス配管402の内側に挿入された状態で、排ガス配管402の外表面に固定されている。ここでは、微粒子センサ100の先端部100eは、排ガス配管402の延伸方向DLに対してほぼ垂直に挿入されている。先端部100eのケーシングCSの表面には、排ガスをケーシングCSの内部に取り込むための流入孔45と、取り込んだ排ガスをケーシングCSの外部に排出するための排出孔35と、が設けられている。排ガス配管402の内部を流通する排ガスの一部は、流入孔45を介して先端部100eのケーシングCSの内部に取り込まれる。取り込まれた排ガス中に含まれる微粒子は、微粒子センサ100が生成するイオン(ここでは、陽イオン)によって帯電する。帯電した微粒子を含む排ガスは、排出孔35を介してケーシングCSの外部に排出される。ケーシングCSの内部の構成や、微粒子センサ100の具体的な構成については後述する。
微粒子センサ100の後端部100rには、ケーブル200が取り付けられている。ケーブル200は、第1配線221と、第2配線222と、信号線223と、空気供給管224と、を束ねた構成を備えている。ケーブル200を構成する配線221〜223と、空気供給管224は、それぞれ可撓性の部材によって構成されている。第1配線221、第2配線222、および、信号線223は、センサ駆動部300の電気回路部700に電気的に接続され、空気供給管224は、センサ駆動部300の空気供給部800に接続されている。
センサ駆動部300は、センサ制御部600と、電気回路部700と、空気供給部800と、を備えている。センサ制御部600と電気回路部700との間、および、センサ制御部600と空気供給部800との間はそれぞれ電気的に接続されている。
センサ制御部600は、マイクロコンピュータを含んで構成されており、電気回路部700と、空気供給部800と、を制御する。また、センサ制御部600は、電気回路部700から入力される信号から排ガス中の微粒子の量を検出(測定)し、排ガス中の微粒子量を表す信号を車両制御部420に出力する。
電気回路部700は、第1配線221および第2配線222を介して、微粒子センサ100を駆動するための電力を供給する。また、電気回路部700は、信号線223を介して微粒子センサ100から排ガスに含まれる微粒子の量に相関する信号が入力される。電気回路部700は、信号線223から入力される信号を用いて、排ガス中の微粒子量に応じた信号をセンサ制御部600に出力する。これらの信号の具体的な内容については後述する。
空気供給部800は、ポンプ(図示しない)を含んで構成されており、センサ制御部600からの指示に基づいて、空気供給管224を介して、高圧空気を微粒子センサ100に供給する。空気供給部800から供給される高圧空気は、微粒子センサ100の駆動に用いられる。なお、空気供給部800が供給するガスの種類は空気以外であってもよい。
[1−2.微粒子センサ]
図2は、微粒子センサ100の先端部100eの概略構成を模式的に示した説明図である。
微粒子センサ100の先端部100eは、イオン発生部110と、排ガス帯電部120と、イオン捕捉部130と、を備えている。ケーシングCSは、イオン発生部110、排ガス帯電部120、および、イオン捕捉部130の3つの機構部が、この順に先端部100eの基端側(図2の上方)から先端側(図2の下方)に向かって(微粒子センサ100の軸線方向に沿って)並んだ構成を有している。ケーシングCSは、導電性部材によって形成され、信号線223(図1)を介して二次側グランドSGL(図3)に接続されている。
イオン発生部110は、排ガス帯電部120に供給するイオン(ここでは陽イオン)を発生するための機構部であり、イオン発生室111と、第1電極112と、を含んで構成されている。イオン発生室111は、ケーシングCSの内側に形成された小空間であり、内周面には空気供給孔55とノズル41とが設けられ、内部には第1電極112が突出した状態で取り付けられている。空気供給孔55は、空気供給管224(図1)と連通しており、空気供給部800(図1)から供給される高圧空気をイオン発生室111に供給する。ノズル41は、イオン発生部110と排ガス帯電部120との間を区画する隔壁42の中心部付近に設けられた微小孔(オリフィス)であり、イオン発生室111で発生したイオンを排ガス帯電部120の帯電室121に供給する。第1電極112は、棒状の外形を備え、先端部が隔壁42と近接するようにして基端部がセラミックパイプ25を介してケーシングCSに固定されている。第1電極112は、第1配線221(図1)を介して電気回路部700(図1)に接続されている。
イオン発生部110は、電気回路部700から供給される電力により、第1電極112を陽極とし、隔壁42を陰極として、電圧(例えば、2〜3kV)が印加されるよう構成されている。イオン発生部110は、この電圧の印加によって、第1電極112の先端部と、隔壁42との間にコロナ放電を生じさせることによって、陽イオンPIを発生する。イオン発生部110において発生した陽イオンPIは、空気供給部800(図1)から供給される高圧空気とともに、ノズル41を介して排ガス帯電部120の帯電室121に噴射される。ノズル41から噴射される空気の噴射速度は音速程度としてもよい。
排ガス帯電部120は、排ガスに含まれる微粒子を陽イオンPIによって帯電させるための部位であり、帯電室121を備えている。帯電室121は、イオン発生室111と隣接する小空間であり、ノズル41を介してイオン発生室111と連通している。また、帯電室121は、流入孔45を介して、ケーシングCSの外部と連通し、ガス流路31を介してイオン捕捉部130の捕捉室131と連通している。帯電室121は、ノズル41から陽イオンPIを含む空気が噴射されたときに内部が負圧になり、流入孔45を介してケーシングCSの外部の排ガスが流入するように構成されている。そのため、ノズル41から噴射された陽イオンPIを含む空気と、流入孔45から流入した排ガスとは、帯電室121の内部において混合される。このとき、流入孔45から流入した排ガスに含まれる煤S(微粒子)の少なくとも一部には、ノズル41から供給される陽イオンPIが帯電される。帯電した煤Sと帯電に供されなかった陽イオンPIとを含む空気は、ガス流路31を介してイオン捕捉部130の捕捉室131に供給される。
イオン捕捉部130は、煤S(微粒子)の帯電に使用されなかったイオンを捕捉するための部位であり、捕捉室131と、第2電極132と、を含んで構成されている。捕捉室131は、帯電室121と隣接する小空間であり、ガス流路31を介して帯電室121と連通している。また、捕捉室131は、排出孔35を介して、ケーシングCSの外部と連通している。第2電極132は、略棒状の外形を備え、長手方向がガス流路31を流通する空気の流通方向(ケーシングCSの延伸方向)に沿うようにしてケーシングCSに固定されている。第2電極132は、第2配線222(図1)を介して電気回路部700(図1)に接続されている。第2電極132は、ケーシングCSとは電気的に絶縁されている。
第2電極132は、100V程度の電圧が印加されており、煤Sの帯電に供されなかった陽イオンの捕捉を補助する補助電極として機能する。具体的には、イオン捕捉部130は、電気回路部700から供給される電力によって、第2電極132を陽極とし、帯電室121及び捕捉室131を構成するケーシングCSを陰極とした電圧が印加されている。これにより、煤Sの帯電に用いられなかった陽イオンPIは、第2電極132から斥力を受けて、その移動方向が第2電極132から離れる方向へと反らされる。移動方向が反らされた陽イオンPIは、陰極として機能する捕捉室131やガス流路31の内周壁に捕捉される。一方、陽イオンPIが帯電された煤Sは、陽イオンPIの単体と同様に第2電極132から斥力を受けるが、質量が陽イオンPIと比較して大きいため、斥力によってその進行方向に与えられる影響が、単体の陽イオンPIに比較して小さい。そのため、帯電した煤Sは、排ガスの流れに従って、排出孔35からケーシングCSの外部へと排出される。
微粒子センサ100は、イオン捕捉部130における陽イオンPIの捕捉量に応じた電流の変化を示す信号を出力する。センサ制御部600(図1)は、微粒子センサ100から出力された信号に基づいて、排ガス中に含まれる煤Sの量を検出する。微粒子センサ100から出力される信号から排ガス中に含まれる煤Sの量を算出する方法については後述する。
[1−3.電気回路部]
図3は、電気回路部700の概略構成を例示した説明図である。
電気回路部700は、電源回路710と、絶縁トランス720と、コロナ電流測定回路730と、イオン電流測定回路740と、第1整流回路751と、第2整流回路752と、を備えている。
電源回路710は、第1電源回路710aと、第2電源回路710bと、を備える。絶縁トランス720は、第1絶縁トランス720aと、第2絶縁トランス720bと、を備える。
第1電源回路710aは、電源部440から供給される電力を昇圧して第1絶縁トランス720aに供給するとともに、第1絶縁トランス720aを駆動させる。第1電源回路710aは、第1放電電圧制御回路711aと、第1トランス駆動回路712aと、を備えている。第1放電電圧制御回路711aは、センサ制御部600の制御によって、第1絶縁トランス720aに供給される電力の電圧値を任意に変更可能に構成されている。ここでは、センサ制御部600は、第1配線221を介して微粒子センサ100の第1電極112に供給される入力電流Iinの電流値が予め設定された目標電流値Ita(例えば、5μA)となるように第1絶縁トランス720aに供給される電力の電圧値を制御する。この制御の方法については後述する。これにより、イオン発生部110において、コロナ放電によって発生する陽イオンPIの発生量を一定にすることができる。
第1トランス駆動回路712aは、第1絶縁トランス720aの一次側のコイルに流れる電流の方向を切り換え可能なスイッチを含んで構成されており、このスイッチの切り換えによって第1絶縁トランス720aを駆動させる。本実施形態では、第1絶縁トランス720aの回路方式は、プッシュプルとして構成されているが、第1絶縁トランス720aの回路方式は、これに限定されず、例えば、ハーフブリッジやフルブリッジなどであってもよい。
第1絶縁トランス720aは、第1電源回路710aから供給される電力に対して電圧変換をおこない、変換後の電力を二次側の第1整流回路751に供給する。本実施形態の第1絶縁トランス720aは、一次側のコイルと二次側のコイルとが物理的に接触しておらず、磁気によって結合するように構成されている。第1絶縁トランス720aの一次側の回路としては、第1電源回路710aのほか、センサ制御部600や電源部440が含まれる。第1絶縁トランス720aの二次側の回路としては、微粒子センサ100や第1整流回路751が含まれる。
第2電源回路710bは、電源部440から供給される電力を昇圧して第2絶縁トランス720bに供給するとともに、第2絶縁トランス720bを駆動させる。第2電源回路710bは、第2放電電圧制御回路711bと、第2トランス駆動回路712bと、を備えている。第2放電電圧制御回路711bは、センサ制御部600の制御によって、第2絶縁トランス720bに供給される電力の電圧値を任意に変更可能に構成されている。ここでは、センサ制御部600は、第2配線222を介して微粒子センサ100の第2電極132に印加される電圧が予め定められた目標電圧値(例えば、100V)となるように、第2絶縁トランス720bに供給される電力の電圧値を制御する。
第2トランス駆動回路712bは、第2絶縁トランス720bの一次側のコイルに流れる電流の方向を切り換え可能なスイッチを含んで構成されており、このスイッチの切り換えによって第2絶縁トランス720bを駆動させる。本実施形態では、第2絶縁トランス720bの回路方式は、プッシュプルとして構成されているが、第2絶縁トランス720bの回路方式は、これに限定されず、例えば、ハーフブリッジやフルブリッジなどであってもよい。
第2絶縁トランス720bは、第2電源回路710bから供給される電力に対して電圧変換をおこない、変換後の電力を二次側の第2整流回路752に供給する。本実施形態の第2絶縁トランス720bは、一次側のコイルと二次側のコイルとが物理的に接触しておらず、磁気によって結合するように構成されている。第2絶縁トランス720bの一次側の回路としては、第2電源回路710bのほか、センサ制御部600や電源部440が含まれる。第2絶縁トランス720bの二次側の回路としては、微粒子センサ100や第2整流回路752が含まれる。
コロナ電流測定回路730、イオン電流測定回路740は、絶縁トランス720(第1絶縁トランス720a,第2絶縁トランス720b)の一次側の回路と二次側の回路との間に跨がる回路であり、両方の回路にそれぞれ電気的に接続されている。コロナ電流測定回路730は、後述するように、絶縁トランス720(第1絶縁トランス720a,第2絶縁トランス720b)の一次側の回路に電気的に接続される回路部分と、二次側の回路に電気的に接続されている回路部分との間が物理的に絶縁されている。ここでは、一次側の回路の基準電位を示すグランド(接地配線)を「一次側グランドPGL」とも呼び、二次側の回路の基準電位を示すグランドを「二次側グランドSGL」とも呼ぶ。
絶縁トランス720(第1絶縁トランス720a,第2絶縁トランス720b)は、一次側のコイルの端部が一次側グランドPGLに接続され、二次側のコイルの端部が二次側グランドSGLに接続されている。信号線223は、一方の端部がケーシングCSに接続され、他方の端部が二次側グランドSGLに接続されている。
第1整流回路751は、ショート保護用抵抗753を介して第1電極112に接続されており、変換した電力を第1配線221を介して第1電極112に供給する。すなわち、第1整流回路751から供給される電圧は、ほぼ第1電極112における放電電圧となり、第1整流回路751から供給される電流は、第1電極112に入力される入力電流Iinとなる。第2整流回路752は、ショート保護用抵抗754を介して第2電極132に接続されており、変換した電圧を第2配線222を介して第2電極132に印加する。
イオン電流測定回路740は、イオン捕捉部130において捕捉されずに流出した陽イオンPIに相当する電流(Iesc)の電流値を検出するとともに、流出した陽イオンPIに相当する電流(補償電流Ic)を二次側の回路に供給する。イオン電流測定回路740は、配線771を介して二次側の信号線223(詳細には、信号線223のうちケーシングCSとシャント抵抗230との間)に接続されるとともに、配線772および配線773を介して一次側のセンサ制御部600に接続される。また、イオン電流測定回路740は、配線775を介して一次側グランドPGLに接続されている。イオン電流測定回路740は、配線772を介して、イオン捕捉部130において捕捉されずに流出した陽イオンPIの量に相当する電流値を示す信号SWescをセンサ制御部600に出力する。また、イオン電流測定回路740は、配線773を介して、信号SWescを増幅させた高感度信号としての信号SSescをセンサ制御部600に出力する。
コロナ電流測定回路730は、配線761、762を介して信号線223に接続され、配線763を介してセンサ制御部600に接続されている。配線761と配線762は、信号線223に設けられたシャント抵抗230を間に挟んでそれぞれ信号線223に接続されている。コロナ電流測定回路730は、信号線223をケーシングCSから二次側グランドSGLに向けて流れる二次側電流(Idc+Itrp+Ic)の電流値を示す信号Sdc+trp+cをセンサ制御部600に出力する。ここで「電流値を示す信号」とは、電流値を直接的に示す信号に限定されず、電流値を間接的に示す信号も該当する。例えば、信号から得られる情報に演算式やマップを適用することによって電流値を特定できる信号も「電流値を示す信号」に含まれる。なお、イオン電流測定回路740から供給(補充)される補償電流Icは、ケーシングCSから流出した陽イオンPIに相当する電流に相当するため、この補償電流Icを加えた形でケーシングCSから二次側グランドSGLに流れる二次側電流の電流値、即ちシャント抵抗230に流れる二次側電流(Idc+Itrp+Ic)の電流値は、入力電流Iinの電流値と等しくなる。
センサ制御部600は、コロナ電流測定回路730から入力される信号Sdc+trp+cを用いて、入力電流Iinの電流値が目標電流値Itaとなるように、第1放電電圧制御回路711aを制御する。すなわち、コロナ電流測定回路730とセンサ制御部600は、コロナ電流(=入力電流Iin)の電流値を一定にするための定電流回路を構成する。コロナ電流の電流値は、イオン発生部110における陽イオンPIの発生量と相関するため、この定電流回路によってイオン発生部110における陽イオンPIの発生量が一定に保たれる。
イオン捕捉部130で捕捉されずに流出した陽イオンPIに相当する電流の電流値を、イオン電流測定回路740で検出する方法について説明する。
ここでは、第1配線221から第1電極112に供給される電流を「入力電流Iin」と呼ぶほか、コロナ放電により、第1電極112から隔壁42を介してケーシングCSに流れる電流を「放電電流Idc」と呼び、コロナ放電により発生した陽イオンPIのうち、煤Sの帯電に用いられ、ケーシングCSの外部へと漏洩する陽イオンPIの電荷に相当する電流を「信号電流Iesc」と呼び、ケーシングCSに捕捉された陽イオンPIの電荷に相当する電流を「捕捉電流Itrp」と呼ぶ。これらの4つの電流は、下記の[数1]に示す式(1)の関係が成り立つ。
Figure 0006396881
ここで、信号電流Iescは、イオン電流測定回路740が出力する、流出した陽イオンPIに相当する電流(補償電流Ic)に相当する電流値を示す信号である。そこで、イオン電流測定回路740が、この補償電流Icを検出することで、イオン捕捉部130において捕捉されずに流出した陽イオンPIに相当する電流(Iesc)の電流値を検出することができる。なお、補償電流Icは、一次側グランドPGLと二次側グランドSGLとの差分値を示す信号でもある。
[1−4.イオン電流測定回路]
図4は、イオン電流測定回路740の概略構成を例示した説明図である。
イオン電流測定回路740は、第1オペアンプAMP1と、第2オペアンプAMP2と、第3オペアンプAMP3と、抵抗値が既知の抵抗RE1〜RE5と、を含んで構成されている。
第1オペアンプAMP1の一方の入力端子は、配線771および信号線223(シャント抵抗230を含む)を介して二次側グランドSGLに接続されており、他方の入力端子は、配線775を介して一次側グランドPGLに接続されている。第1オペアンプAMP1の出力端子は、配線772を介してセンサ制御部600に接続されている。なお、第1オペアンプAMP1の他方の入力端子には、一次側グランドPGLに対して一定の基準電圧(例えば、0.5V)を与える電源Vrefが接続されている。第1オペアンプAMP1に基準電圧を入力することで、第1オペアンプAMP1の2つの入力端子間の電位差を、誤差(バイアス電流やオフセット電圧等による誤差)の生じにくい電位差範囲に近づけることができる。また、第1オペアンプAMP1の出力端子は、配線772の一部と配線LI1を介して第2オペアンプAMP2の一方の入力端子に接続され、配線772の一部と配線LI2を介して配線771に接続されている。配線LI1には、抵抗RE1が設けられ、配線LI2には、抵抗RE2が設けられている。
第2オペアンプAMP2の一方の入力端子は、配線LI1の一部と配線772を介して第1オペアンプAMP1に接続され、他方の入力端子は、配線LI3と配線775を介して一次側グランドPGLに接続されている。配線LI3には、抵抗RE3と第3オペアンプAMP3とが設けられており、抵抗RE3と第3オペアンプAMP3との間には、配線LI4が接続されている。配線LI3は、抵抗RE4が設けられた配線LI4を介して配線LI1に接続されている。第3オペアンプAMP3は、出力側の電流変化による電圧変化を抑えるためのボルテージフォロアとして構成されている。第2オペアンプAMP2の出力端子は、配線773を介してセンサ制御部600に接続されるとともに、配線773と配線LI5を介して配線LI3に接続されている。配線LI5には、抵抗RE5が設けられている。
信号電流Iescの発生により、二次側グランドSGLの基準電位と一次側グランドPGLの基準電位との間に差異が生じると第1オペアンプAMP1は、この差異に応じた電圧を出力する。第1オペアンプAMP1が出力する電圧は、信号電流Iescの電流値に相関するため、この電圧値は、信号電流Iescの電流値を示す信号SWescとして、配線772を介してセンサ制御部600に出力される。
また、第1オペアンプAMP1が出力する電圧は、配線LI2から抵抗RE2を介することによって、補償電流Icとして配線771に供給される。この補償電流Icは、上述したように信号電流Iescと電流値が等しく、二次側の回路を構成する配線771に供給されることで、二次側グランドSGLの基準電位と一次側グランドPGLの基準電位との間の差異を補償する。
第2オペアンプAMP2は、第1オペアンプAMP1から入力される信号SWescを増幅させた信号SSescをセンサ制御部600に出力する。第2オペアンプAMP2は、差動増幅回路として構成されており、一方の入力端子から入力される信号SWescとしての電圧と、他方の入力端子から入力される一次側グランドPGLの基準電位との差分に応じた電圧を出力する。すなわち、第2オペアンプAMP2は、入力された信号SWescの電圧値に対して所定の増幅率(例えば、10倍)で増幅させた電圧を信号SSescとしてセンサ制御部600に出力する。
センサ制御部600は、イオン電流測定回路740から入力される低感度信号としての信号SWescと、高感度信号としての信号SSescと、を用いて排ガス中に含まれる煤Sの量を検出する。信号電流Iescの電流値を示すこれらの信号を用いて排ガス中に含まれる煤Sの量を検出する方法については、特に限定されない。例えば、センサ制御部600は、信号の電圧値と排ガス中の煤Sの量との対応関係が示されているマップや、信号の電圧値と排ガス中の煤Sの量との関係式を記憶していれば、これらを用いることによって、排ガス中に含まれる煤Sの量を算出することができる。
本実施形態のセンサ制御部600は、信号SWescおよび信号SSescとして入力されるアナログ信号としての電圧値を所定の分解能(例えば、8ビット)によってデジタル値として取得する。また、センサ制御部600は、入力される信号SSescと信号SWescのいずれにおいても電圧値の読み取り可能な範囲(フルスケールの範囲)が同じ大きさとなるように構成されている。
高感度信号としての信号SSescは、低感度信号としての信号SWescに比べて、信号電流Iescの電流値に対する感度(分解能)が高い。例えば、信号SWescの1Vが信号電流Iescの1nAに相当するのに対して、信号SSescの1Vは信号電流Iescの1pAに相当する。一方、センサ制御部600における信号SSesc,SWescの電圧の分解能(最小識別可能電位差)は等しい(例えば、0.02V)。従って、センサ制御部600の電圧分解能に相当する信号電流Iescの電流値は、信号SSescでは小さく(例えば、0.02pA)、信号SWescでは大きい(例えば、0.02nA)。換言すれば、センサ制御部600は、信号SSescから、信号SWescに比べて、信号電流Iescのより小さな変動を検出することが可能である。
よって、信号SSescを用いて取得できる排ガス中の煤Sの量は、信号SWescを用いて取得できる排ガス中の煤Sの量よりも最小識別可能単位が小さく精度が高い。一方、センサ制御部600の読み取り可能な電圧範囲(例えば、0〜5V)は、信号SWescの電圧範囲の全体が含まれるように設定されている。そのため、信号SWescを用いて測定可能な排ガス中の煤Sの量の範囲は、信号SSescを用いて測定可能な排ガス中の煤Sの量の範囲よりも広く、排ガス中の煤Sの量が、信号SWescの全電圧範囲に相当する範囲内であれば、その全範囲において煤Sの量を測定することができる。
このことから、センサ制御部600は、信号SSescの電圧値が読み取り可能範囲にある場合には、信号SSescを用いて排ガス中の煤Sの量を精度良く測定し、信号SSescの電圧値が読み取り可能範囲にない場合には、広い範囲で測定可能な信号SWescを用いて排ガス中の煤Sの量を測定することができる。
[1−5.コロナ電流測定回路]
図5は、コロナ電流測定回路730の概略構成を例示した説明図である。
コロナ電流測定回路730は、入力側と出力側との間が絶縁されたいわゆる光結合式のアイソレーションアンプとして構成されている。コロナ電流測定回路730の入力側は電気回路部700(図3)の二次側に属し、出力側は電気回路部700の一次側に属している。コロナ電流測定回路730は、二次側オペアンプ731と、A/Dコンバータ732と、発光部733と、受光部734と、一次側オペアンプ735と、D/Aコンバータ736と、を備えている。
二次側オペアンプ731の2つの入力端子は、配線761と配線762にそれぞれ接続されており、出力端子は、A/Dコンバータ732に接続されている。二次側オペアンプ731は、配線761と配線762との電位差を増幅してA/Dコンバータ732に出力する。配線761と配線762との電位差は、抵抗値が既知のシャント抵抗230(図3)の両側の電位差であり、信号線223(図3)を流れる電流(二次側電流(Idc+Itrp+Ic))の電流値と相関する。すなわち、二次側オペアンプ731は、信号線223(図3)を流れる電流の電流値を示すアナログの電圧信号を増幅させてA/Dコンバータ732に出力する。
A/Dコンバータ732は、二次側オペアンプ731と発光部733に接続されており、二次側オペアンプ731から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して発光部733に出力する。
発光部733は、LEDを含んで構成されており、A/Dコンバータ732と二次側グランドSGLに接続されている。発光部733は、A/Dコンバータ732から出力されたデジタルの電圧信号を光信号に変換する。
受光部734は、フォトダイオードを含んで構成されており、一次側オペアンプ735と一次側グランドPGLに接続されている。受光部734は、発光部733から出力される光信号を電流信号に変換して一次側オペアンプ735に出力する。このように、発光部733と受光部734との間は、電気的、物理的に絶縁されており、光によって信号の伝達がおこなわれる。
一次側オペアンプ735は、受光部734とD/Aコンバータ736に接続されており、電流−電圧変換回路を含んで構成されている。一次側オペアンプ735は、受光部734から出力された電流信号を電圧信号に変換してD/Aコンバータ736に出力する。D/Aコンバータ736は、一次側オペアンプ735と配線763に接続されており、一次側オペアンプ735から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して配線763を介してセンサ制御部600(図3)に出力する。コロナ電流測定回路730は、上述の構成を備えることによって、一次側と二次側との間の絶縁を保ちつつ、二次側の信号線223から入力された信号を一次側のセンサ制御部600に出力することができる。
[1−6.センサ制御部で実行される処理]
センサ制御部600は、マイクロコンピュータを含んで構成されており、各種処理を実行する。
センサ制御部600は、各種処理の1つとして、イオン電流測定回路740からの信号SSescおよび信号SWescを用いて煤Sの量を演算する微粒子測定処理を実行する。なお、微粒子測定処理には、イオン電流測定回路740からの信号に基づいて測定したイオン電流Aを、補正用情報Bを用いて補正するステップが含まれている。
ここで、微粒子測定処理の処理内容について説明する。図6は、微粒子測定処理の処理内容を表したフローチャートである。微粒子測定処理は、センサ制御部600が起動されると、予め定められた周期(例えば、100mSec周期)で繰り返し実行される。
微粒子測定処理が実行されると、まず、S110(Sはステップを表す)では、補正情報取得フラグFaがセット状態(Fa=1)であるか否かを判断し、肯定判定する場合にはS150に移行し、否定判定する場合にはS120に移行する。
なお、補正情報取得フラグFaは、イオン電流を補正するための補正用情報を取得するタイミングであるか否かを表す内部フラグである。補正情報取得フラグFaは、取得時期判定処理にて補正用情報の取得時期であると判定されると、セット状態(Fa=1)に設定される。
ここで、取得時期判定処理の処理内容について説明する。図7は、取得時期判定処理の処理内容を表したフローチャートである。取得時期判定処理は、センサ制御部600が起動されると、予め定められた周期(例えば、100mSec周期)で繰り返し実行される。
取得時期判定処理が実行されると、まず、S210(Sはステップを表す)では、車両制御部420から停止許可信号Sstを受信したか否かを判定しており、肯定判定するとS220に移行し、否定判定すると本処理を終了する。
なお、車両制御部420は、内燃機関400の運転状態が排ガス中に煤が発生しがたい運転状態である時に、センサ制御部600に対して停止許可信号Sstを送信する。
S210で肯定判定されてS220に移行すると、S220では、補正情報取得フラグFaをセット状態(Fa=1)に設定する。
S210で否定判定されるか、S220の処理が終了すると、取得時期判定処理が終了する。このような取得時期判定処理は、予め定められた周期毎に繰り返し実行される。
微粒子測定処理の説明に戻り、S110で否定判定されてS120に移行すると、S120では、イオン電流測定回路740から入力される低感度信号SWescと高感度信号SSescとを用いて、信号電流Iescに相当するイオン電流Aを測定する。
次のS130では、S120で得られたイオン電流Aを補正用情報Bを用いて補正することで、補正後イオン電流A’を演算する。なお、補正用情報Bは、センサ制御部600の記憶部(RAMなど)に記憶されており、S130で記憶部から補正用情報Bを読み取り、補正後イオン電流A’の演算に利用している。なお、後述するS160にて補正用情報Bが得られていない場合には、補正用情報Bとしてデフォルト値(例えば、B=500[pA])を用いて補正する。
次のS140では、補正後イオン電流A’を用いて排ガス中に含まれる煤Sの量を演算する。
なお、センサ制御部600の記憶部(RAMなど)には、例えば、補正後イオン電流A’と排ガス中の煤Sの量との対応関係が示されているマップや、補正後イオン電流A’と排ガス中の煤Sの量との関係式などが記憶されている。S140では、記憶部に記憶されたマップや関係式などを用いて、排ガス中に含まれる煤Sの量を演算することができる。
センサ制御部600は、演算により得られた煤Sの量(微粒子の量)に関する情報を、車両制御部420に対して出力する。
S110で肯定判定されてS150に移行すると、S150では、絶縁トランス720(第1絶縁トランス720a,第2絶縁トランス720b)をOFF状態に設定し、第1絶縁トランス720aおよび第2絶縁トランス720bによる電圧変換を停止させる。
これにより、イオン発生部110での陽イオンPIの発生が停止されるともに、第2電極132への電圧の印加が停止される。このような状況下では、帯電室121にて陽イオンPIによる煤S(微粒子)への帯電が行われない(つまり、帯電微粒子が生成されない)ため、信号電流Iescが変化することはない。
次のS160では、イオン電流測定回路740から入力される低感度信号SWescと高感度信号SSescとを用いて、信号電流Iescに相当する電流値を演算して、その演算結果を補正用情報Bとして取得する。また、S160では、得られた補正用情報Bをセンサ制御部600の記憶部(RAMなど)に記憶する処理を行う。
次のS170では、絶縁トランス720(第1絶縁トランス720a,第2絶縁トランス720b)をON状態に設定し、第1絶縁トランス720aおよび第2絶縁トランス720bによる電圧変換を再開させる。
これにより、イオン発生部110での陽イオンPIの発生が再開されるともに、第2電極132への電圧の印加が再開される。そして、煤Sの帯電に使用されたイオンに応じて変化する信号電流Iesc(換言すれば、帯電微粒子の量に応じて変化する信号電流Iesc)が発生する。
次のS180では、補正情報取得フラグFaをリセット状態(Fa=0)に設定する。
S140またはS180の処理が終了すると、微粒子測定処理が終了する。このような微粒子測定処理は、予め定められた周期毎に繰り返し実行される。
上述のように、微粒子測定処理および取得時期判定処理を実行することで、車両制御部420からの停止許可信号Sstの受信タイミングに応じて補正用情報Bを取得するとともに、その補正用情報Bを用いてイオン電流Aを補正することで、補正後イオン電流A’を得ることができる。
[1−7.効果]
以上説明したように、本実施形態の微粒子測定システム10は、センサ制御部600において微粒子測定処理を実行する。
微粒子測定処理には、第1絶縁トランス720aおよび第2絶縁トランス720bによる電圧変換を停止させるステップ(S150)と、補正用情報Bを取得するステップ(S160)と、イオン電流Aを補正用情報Bを用いて補正するステップ(S130)と、が含まれている。
S150が実行されて、第1絶縁トランス720aおよび第2絶縁トランス720bによる電圧変換が停止されている場合には、イオン発生部110での陽イオンPIの発生が停止されるともに、第2電極132への電圧の印加が停止される。
しかし、微粒子センサ100に付着した微粒子等(煤など)を介して不正電流が発生すると、その不正電流が信号電流として検出されることになる。このため、第1絶縁トランス720aおよび第2絶縁トランス720bによる電圧変換の停止時に、イオン電流測定回路740から入力される低感度信号SWescと高感度信号SSescは、不正電流に応じて変化することになる。このため、S160で取得される補正用情報Bは、不正電流が反映されたものである。
このことから、補正用情報Bを用いて、S120で検出されるイオン電流A(信号電流Iesc)を補正し、補正後イオン電流A’を用いて煤Sの量を演算する(S140)ことで、不正電流の影響を抑えつつ、煤Sの量(微粒子の量)を測定することができる。
よって、微粒子測定システム10は、補正用情報Bを用いてイオン電流Aを補正して補正後イオン電流A’を取得することで、不正電流の影響を抑えつつ煤Sの量(微粒子の量)を測定できるため、煤Sの量を測定するにあたり不正電流による測定精度の低下を抑制することができる。
次に、微粒子測定システム10は、センサ制御部600にて取得時期判定処理および微粒子測定処理を実行している。取得時期判定処理では、車両制御部420から停止許可信号Sstを受信した場合に、補正情報取得フラグFaをセット状態(Fa=1)に設定する。微粒子測定処理では、補正情報取得フラグFaがセット状態に設定されると、絶縁トランス720(第1絶縁トランス720a,第2絶縁トランス720b)をOFF状態に設定し(S150)、信号電流Iescに相当する電流値の演算結果を補正用情報Bとして取得する。
つまり、微粒子測定システム10においては、取得時期判定処理および微粒子測定処理を実行するセンサ制御部600が、車両制御部420から停止許可信号Sstを受信した場合に、絶縁トランス720をOFF状態に設定して、絶縁トランス720による電圧変換を停止させるように構成されている。
なお、車両制御部420は、内燃機関400の燃焼状態や燃料の供給量などを制御しており、内燃機関の運転状態が、排ガス中に煤Sが含まれない運転状態(あるいは、煤Sが少ない運転状態)であるか否かを判定できる。そして、車両制御部420は、排ガス中に煤Sが含まれない時(あるいは、煤Sが少ない時)に、センサ制御部600に対して停止許可信号Sstを送信する。このようにして、車両制御部420は、絶縁トランス720による電圧変換の停止許可時期をセンサ制御部600に対して通知する。
このため、センサ制御部600は、車両制御部420から停止許可信号Sstを受信することで、排ガス中に煤Sが含まれない時期(あるいは、煤Sが少ない時期)であるか否かを判定することが可能となる。これにより、センサ制御部600は、煤Sが発生しやすい時期(換言すれば、煤Sの量を測定する必要性が高い時期)を避けて、補正用情報Bを取得することができる。
よって、微粒子測定システム10によれば、煤Sの量を測定する必要性が高い時期における煤Sの測定停止時間が長くなることを回避できるため、煤Sの測定精度が低下することを抑制できる。
[1−8.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
微粒子測定システム10が微粒子測定システムの一例に相当し、微粒子センサ100が微粒子センサの一例に相当し、センサ駆動部300がセンサ駆動部の一例に相当し、イオン発生部110がイオン発生部の一例に相当し、帯電室121が帯電室の一例に相当し、イオン捕捉部130が捕捉部の一例に相当する。
第1絶縁トランス720aがコロナ放電用絶縁トランスの一例に相当し、センサ制御部600およびコロナ電流測定回路730がコロナ放電制御部の一例に相当する。
S120を実行するセンサ制御部600およびイオン電流測定回路740が微粒子演算部の一例に相当し、S110およびS150を実行するセンサ制御部600が電圧変換停止部の一例に相当し、S160を実行するセンサ制御部600が補正情報取得部の一例に相当し、S130を実行するセンサ制御部600が補正部の一例に相当する。
[2.第2実施形態]
上記実施形態では、微粒子測定処理での判定処理(絶縁トランスをOFF状態に設定するか否か、あるいは、補正用情報Bを取得するか否かの判定処理(S110))が、補正情報取得フラグFaの状態のみに基づいて判定する判定処理であるが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
判定方法が異なる微粒子測定処理としては、例えば、補正情報取得フラグFaの状態に加えて、装置の初期起動時であるか否かに基づいて判定する判定処理を有する第2微粒子測定処理が挙げられる。
そこで、第2実施形態として、第1実施形態の微粒子測定システムにおいて、微粒子測定処理に代えて第2微粒子測定処理を実行するセンサ制御部を有する微粒子測定システムについて説明する。
なお、第2実施形態の微粒子測定システムは、第1実施形態と比べて、微粒子測定処理が第2微粒子測定処理に置き換えられた点以外には相違が無いため、第2微粒子測定処理を中心に説明し、同一の構成については説明を省略する。
ここで、第2微粒子測定処理の処理内容について説明する。図8は、第2微粒子測定処理の処理内容を表したフローチャートである。第2微粒子測定処理は、第1実施形態の微粒子測定処理と同様に、センサ制御部600が起動されると、予め定められた周期(例えば、100mSec周期)で繰り返し実行される。
第2微粒子測定処理が実行されると、まず、S310(Sはステップを表す)では、補正情報取得フラグFaがセット状態(Fa=1)であるか否か、およびこの微粒子測定システム(またはセンサ制御部)の初期起動時であるか否かを判断し、補正情報取得フラグFaがセット状態(Fa=1)の場合、または微粒子測定システム(またはセンサ制御部)の初期起動時である場合には肯定判定し、それ以外の場合には否定判定する。そして、S310にて肯定判定する場合にはS150に移行し、S310にて否定判定する場合にはS120に移行する。
ここで、微粒子測定システム(またはセンサ制御部)の初期起動時であるか否かの判定は、微粒子測定システム(またはセンサ制御部)の起動後、S310の初回実行時であるか否かに基づいて判定しており、S310の初回実行時である場合にはS310での判定結果は肯定判定となる。
この後のS120〜S180での各処理内容は、第1実施形態の微粒子測定処理のS120〜S180と同様であるため、説明を省略する。
このような第2微粒子測定処理を実行するセンサ制御部を有する微粒子測定システムにおいては、微粒子測定システム(またはセンサ制御部)の起動後、第2微粒子測定処理のS310の初回実行時である場合には、補正情報取得フラグFaの状態に関わらず、補正用情報Bを取得する処理(S160)を実行する。
なお、微粒子測定システム(センサ制御部)は、内燃機関の起動に伴い起動することから、第2微粒子測定処理のS310では、内燃機関400の起動直後であるか否かを判定することができる。
これにより、第2微粒子測定処理を実行する微粒子測定システムは、車両制御部420からの停止許可信号Sstを待つことなく、自身の起動直後(換言すれば、内燃機関の起動直後)に、補正用情報Bを取得することができる。このため、前回起動時から長期間が経過した後の起動であっても、起動直後に微粒子センサの最新状態に応じた補正用情報Bを取得することができ、イオン電流Aを適切に補正することができる。
また、この微粒子測定システムは、起動直後に補正用情報Bを取得するのみならず、車両制御部420から停止許可信号Sstを受信した場合にも補正用情報Bを取得することから、微粒子センサの状態変換(不正電流の変化)に応じて補正用情報Bを更新することができる。
よって、この微粒子測定システムは、起動直後の微粒子センサの状態やその後の微粒子センサの状態変化(不正電流の変化)に応じて、補正用情報Bを取得できるとともに補正後イオン電流A’を取得できるため、煤Sの量を測定するにあたり不正電流による測定精度の低下を抑制することができる。
[3.第3実施形態]
上記実施形態では、取得時期判定処理において、補正情報取得フラグFaをセット状態(Fa=1)に設定するか否かを、車両制御部420から停止許可信号Sstを受信したか否かに基づき判定しているが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
判定方法が異なる取得時期判定処理としては、例えば、微粒子測定システム(センサ制御部)の稼働時間に基づいて、補正情報取得フラグFaをセット状態(Fa=1)に設定するか否かを判定する第2取得時期判定処理が挙げられる。
そこで、第3実施形態として、第1実施形態の微粒子測定システムにおいて、取得時期判定処理に代えて第2取得時期判定処理を実行するセンサ制御部を有する微粒子測定システムについて説明する。
なお、第3実施形態の微粒子測定システムは、第1実施形態と比べて、取得時期判定処理が第2取得時期判定処理に置き換えられた点以外には相違が無いため、第2取得時期判定処理を中心に説明し、同一の構成については説明を省略する。
ここで、第2取得時期判定処理の処理内容について説明する。図9は、第2取得時期判定処理の処理内容を表したフローチャートである。第2取得時期判定処理は、第1実施形態と同様に、センサ制御部600が起動されると、予め定められた周期(例えば、100mSec周期)で繰り返し実行される。
第2取得時期判定処理が実行されると、まず、S410(Sはステップを表す)では、累積時間カウンタNを1加算する処理(N=N+1)を実行する。
なお、累積時間カウンタNは、微粒子測定システム(センサ制御装置)の記憶部のうち、システム停止時にも記憶内容を保持できる不揮発性の記憶部に記憶されており、第2取得時期判定処理のS410が実行される毎に値が加算される。このため、累積時間カウンタNは、微粒子測定システム(センサ制御装置)の稼働累積時間に応じた値を示すと共に、内燃機関の稼働累積時間に応じた値を示す。
次のS420では、累積時間カウンタNと予め定められた累積判定値Nthとを比較し、累積時間カウンタNが累積判定値Nthよりも大きい場合には肯定判定し、累積時間カウンタNが累積判定値Nthと同じか小さい場合には否定判定する。そして、S420にて肯定判定する場合にはS430に移行し、S420にて否定判定する場合には第2取得時期判定処理を終了する。
なお、本実施形態の累積判定値Nthには「1×10」が設定されている。これにより、累積判定値Nthと第2取得時期判定処理の実行周期(100mSec)との乗算で得られる停止時間Tth(=Nth×100mSec)が経過する毎に、S420で肯定判定される。
S420で肯定判定されてS430に移行すると、S430では、補正情報取得フラグFaをセット状態(Fa=1)に設定する。
次のS440では、累積時間カウンタNをリセットする(N=0)。
S420で否定判定されるか、S440の処理が終了すると、第2取得時期判定処理が終了する。このような第2取得時期判定処理は、第1実施形態と同様に、予め定められた周期毎に繰り返し実行される。
このような第2取得時期判定処理を実行するセンサ制御部を有する微粒子測定システムにおいては、内燃機関の稼働累積時間T1(=N×100mSec)が停止時間Tthを超えると(S420で肯定判定)、補正情報取得フラグFaをセット状態に設定する(S430)。すると、微粒子測定処理にて、絶縁トランス720による電圧変換を停止させる処理(S150)と、補正用情報Bを取得する処理(S160)が実行される。
内燃機関400の排ガス配管402に取り付けられた微粒子センサ100は、排気ガスに含まれる煤などの微粒子が付着することがあり、内燃機関400の稼働時間が長くなるほど、このような微粒子の付着が発生しやすくなる。
このため、内燃機関400の稼働累積時間T1が停止時間Tthを超えるタイミングで、電圧変換を停止し、補正用情報Bを取得することで、微粒子センサ100における煤S(微粒子)の付着状況や微粒子センサ100の経年劣化状態に応じた補正用情報Bを取得することができる。これにより、微粒子センサ100における煤Sの付着状況に応じた補正用情報Bを取得することができ、微粒子センサ100における煤Sの付着状況や経年劣化状態に応じて、煤Sの量を適切に補正することができる。
よって、第3実施形態の微粒子測定システムによれば、微粒子センサ100での煤Sなどの付着状況や経年劣化状態に応じて煤Sの量を適切に補正することができ、煤Sの測定精度が低下することを抑制できる。
[4.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、微粒子測定処理での判定処理(絶縁トランスをOFF状態に設定するか否か、あるいは、補正用情報Bを取得するか否かの判定処理(S110))は、上記の各形態に限定されるものではない。上記以外の判定処理としては、例えば、微粒子測定システム(センサ制御装置)の1回の稼働期間中において、予め定められた停止周期毎に補正用情報Bを取得するように判定を行う判定処理が挙げられる。
このように周期的に電圧変換を停止することで、補正用情報Bを周期的に取得することができ、停止周期毎に更新される補正用情報Bに基づいて微粒子(煤S)の量を補正することができる。これにより、長期間にわたり微粒子を測定する用途においても、補正用情報が停止周期毎に更新されるため、微粒子センサの状態変化(換言すれば、微粒子などの付着状況の変化)が生じても、微粒子の量を適切に補正することができる。
よって、この微粒子測定システムによれば、微粒子センサでの微粒子などの付着状況の変化が生じても、微粒子の量を適切に補正することができ、微粒子の測定精度が低下することを抑制できる。
次に、上記実施形態では、補正用情報Bに関して、絶縁トランス720がOFF状態時の信号電流Iesc(イオン電流A)を補正用情報Bとして取得する形態について説明したが、このような形態に限定されるものではない。例えば、信号電流Iesc(イオン電流A)ではなく、微粒子の量(煤Sの量)を補正用情報Bとして取得し、補正用情報Bを用いて微粒子の量(煤Sの量)を補正する形態であってもよい。
具体的には、絶縁トランス720による電圧変換停止時には、信号電流Iesc(イオン電流A)を用いて微粒子の量を演算するとともに、その微粒子の量を補正用情報Bとして設定する。そして、絶縁トランス720による電圧変換実行時には、信号電流Iesc(イオン電流A)を用いて微粒子の量を演算するとともに、その微粒子の量を補正用情報Bを用いて補正することで、「補正後微粒子の量」を得るという形態であってもよい。
また、上記実施形態では、微粒子センサ100として第2電極132を有する形態について説明したが、第2電極132を省略して微粒子センサを構成するようにしてもよい。第2電極132を省略しても、帯電微粒子の量に応じて微粒子の量を測定することは可能であり、第2電極132を省略した分だけ微粒子センサをシンプルな構成にできる。その場合には、電気回路部700から、第2電源回路710b、第2絶縁トランス720b、第2整流回路752、ショート保護用抵抗754、第2配線222についても省略してもよい。
また、微粒子測定システムを構成する微粒子センサは、イオン発生部が排ガス帯電部の外側に並んで設けられる構成に限られることはなく、例えば、イオン発生部が排ガス帯電部内に配置される構成であってもよい。さらに、微粒子測定システムを構成する微粒子センサとしてイオン発生部を排ガス帯電部内に配置する場合には、センサ駆動部から空気供給部を省略し、微粒子センサは、帯電室に空気供給部による高圧空気の供給を行わない構成を採るようにしてもよい。このような微粒子センサとしては、例えば、本願の出願人が出願している特開2015−129711号公報に開示されたセンサ構造を適用することが可能であり、その開示内容の全体は参照によりここに組み込まれる。また、コロナ電流測定回路は、光結合式のアイソレーションアンプに限られることはなく、例えば、磁気結合式や容量結合式のアイソレーションアンプであってもよい。
10…微粒子測定システム、100…微粒子センサ、110…イオン発生部、111…イオン発生室、112…第1電極、120…排ガス帯電部、121…帯電室、130…イオン捕捉部、131…捕捉室、132…第2電極、300…センサ駆動部、400…内燃機関、402…排ガス配管、420…車両制御部、600…センサ制御部、700…電気回路部、710…電源回路、710a…第1電源回路、710b…第2電源回路、711a…第1放電電圧制御回路、711b…第2放電電圧制御回路、712a…第1トランス駆動回路、712b…第2トランス駆動回路、720…絶縁トランス、720a…第1絶縁トランス、720b…第2絶縁トランス、730…コロナ電流測定回路、740…イオン電流測定回路、CS…ケーシング、PGL…一次側グランド、PI…陽イオン、SGL…二次側グランド。

Claims (1)

  1. 微粒子を検出する微粒子センサと、前記微粒子センサを駆動させるセンサ駆動部と、を備えて、被測定ガス中の前記微粒子の量を測定する微粒子測定システムであって、
    前記微粒子センサは、
    コロナ放電によってイオンを発生するイオン発生部と、
    前記被測定ガス中の少なくとも一部の微粒子に前記イオンを用いて帯電させて帯電微粒子を生成するための帯電室と、
    前記イオン発生部で発生させた前記イオンのうち前記微粒子の帯電に使用されなかった前記イオンの少なくとも一部を捕捉する捕捉部と、
    を備えており、
    前記センサ駆動部は、
    一次側コイルおよび二次側コイルを有し、前記コロナ放電に用いられる電力の電圧変換を行う絶縁トランスであって、前記二次側コイルが前記イオン発生部に接続されるコロナ放電用絶縁トランスと、
    前記コロナ放電用絶縁トランスにおける前記一次側コイルの基準電位を示す一次側基準電位と前記コロナ放電用絶縁トランスにおける前記二次側コイルの基準電位を示す二次側基準電位との間に流れる信号電流であって、前記帯電微粒子の量に応じて流れる信号電流を検出し、前記信号電流を用いて前記微粒子の量を演算する微粒子演算部と、
    前記捕捉部から前記二次側基準電位に流れる二次側電流を検出し、前記二次側電流を用いて前記イオン発生部から発生されるイオンの量を予め定められた目標値に近づけるように、前記コロナ放電用絶縁トランスから前記イオン発生部に供給される電力量を制御するコロナ放電制御部と、
    を備えており、
    さらに、前記センサ駆動部は、
    前記コロナ放電用絶縁トランスによる電圧変換を停止させる電圧変換停止部と、
    前記電圧変換停止部による電圧変換の停止時において、前記微粒子演算部で検出される前記信号電流または前記微粒子演算部で演算される前記微粒子の量を、補正用情報として取得する補正情報取得部と、
    前記コロナ放電用絶縁トランスによる電圧変換の実行時において、前記微粒子演算部で検出される前記信号電流または前記微粒子演算部で演算された前記微粒子の量を、前記補正用情報を用いて補正する補正部と、
    を備え
    前記微粒子センサは、内燃機関の排気管に取り付けられており、
    前記電圧変換停止部は、前記内燃機関の稼働累積時間が予め定められた停止時間を超えると前記電圧変換を停止させる、
    微粒子測定システム。
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