JP6110312B2 - インスリンの精製 - Google Patents

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Description

本発明は、タンパク質含有溶液のタンパク質構成成分を分離するため、特に、インスリンペプチドを関連のある不純物に照らして単離するためのクロマトグラフィーによる方法に関する。
組換えタンパク質およびペプチドの、医薬品として使用するための精製は、主として液体クロマトグラフィーによる方法を使用して実施される。クロマトグラフィーによる方法は、それらの固定相の属性により、例えば、疎水性クロマトグラフィー用の樹脂を用いる逆相クロマトグラフィーと特徴付けられるが、いくつかのパラメータ、例として、移動相の組成が、分離に影響を及ぼす。イオン交換クロマトグラフィー(IEC)は、固定相の荷電表面、ならびに移動相の組成に対する緩衝液、塩の使用、およびpHの制御により特徴付けられる。IECは、関連のある不純物および関連のない不純物の両方の分離において非常に効率的であることが証明されているが、いくつかの不純物は、除去するのが依然として非常に困難である場合があり、例えば、同じ電荷の標的ポリペプチドと不純物とが存在する場合に困難が生じる。
GB694530およびGB729670は、キノリンまたはアクリジン様物質、およびフェノール性の物質それぞれの存在下におけるインスリンの結晶化について記載しており、また、亜鉛の存在下におけるインスリンの結晶化についても記載している。
US5,504,188は、pH5.5〜6.5での、(とりわけ)亜鉛イオンの存在下におけるインスリン類似体の結晶(LysPro)の調製について記載している。
WO98/34953は、亜鉛イオンを含有する溶液中の親油性置換基を担持するリジン側鎖を有するタンパク質(インスリンデテミル)の結晶化について記載しており、結晶化は、溶液のpHを酸性からpH7〜10に調節することによって達成される。
US3,907,676は、家畜哺乳動物の膵臓の腺、特に、ブタおよびウシの膵臓の腺から回収されるインスリンであって、約6、000の分子量を有する抗原性のインスリン様物質を、膵臓起源の6、000超の分子量を有する、いくつかの抗原性タンパク質と一緒に含有するインスリンの抗原性を低下させる方法を開示している。水を含有する一価の脂肪族アルコールを溶離剤として使用しながら、好ましくは強塩基性であるアニオン交換体上のカラムクロマトグラフィーに、インスリンを供し、言及された不純物を含有しないかまたは本質的に含有しないインスリンを含有する溶出液画分を収集することによって、抗原性の低下が得られる。
EP1071703は、移動相へのカルシウムイオンの添加により、(とりわけ、インスリンについて)グリコシル化種と非グリコシル化種との間の選択性が、(一価のイオンを利用する)従来のRPCによる方法と比較して改善されることが示されるに至ったことを開示している。
US3,649,456は、RPC様の固定相上のポリペプチドの緩衝液を、水溶液から、塩化カルシウムを含めた、種々の塩が存在する溶液を含有する有機溶媒に交換することを基本的には記載している。
US5,633,350は、イオン交換樹脂上において、カルシウムイオンの存在下で、非K-ビタミン依存性タンパク質からK-ビタミン依存性タンパク質を分離することを記載している。
GB2173503Aは、弱酸性のカチオン交換体を使用する、好ましくは、疎水性マトリックスを用いる、インスリンを精製するための方法を提供することを記載している。インスリンの分画が、溶媒の濃度を酸性のpH範囲で段階的または連続的に変化させることによって得られる。
US4,129,560は、酸性または塩基性のイオン交換体上において、水性緩衝溶媒中のイオン交換体によるクロマトグラフィーにより、会合する傾向がある高分子量ペプチドを精製するための方法について記載しており、この方法は、緩衝溶媒中に非イオン性洗剤を溶解させるステップを含む。
US2005-080000Aは、プレプロインスリンをクロマトグラフィーにより精製するための方法を開示しており、この場合、アニオン交換体上の流水モードの第1のクロマトグラフィー、および続く、カチオン交換体上の吸着モードの第2のクロマトグラフィーにより、より高い分子量の物質が、プレプロインスリンの水溶液から除去される。US2005-080000Aは、インスリンを調製するための方法も開示しており、この方法は、プレプロインスリンを調製するための方法を含む。
US2006-167221Aは、組換えの供給源からのインスリン、特に、酵母中に発現し、酵母が分泌するインスリンの抽出および単離を開示している。有機溶媒を使用して、インスリンペプチドの宿主表面に結合している形態を抽出している。さらに、インスリンの可溶性形態および膜結合性形態を同時に単離および精製するための、培地の浄化、溶媒抽出およびクロマトグラフィーのステップを組み合わせるための手順も開示されている。
US5,278,284は、複合体溶液から貴重なタンパク質を取り出し、貴重なタンパク質を精製された形態で回収する方法について記載しており、この方法は、タンパク質の分子サイズに近い孔径を有するシリカゲル吸着剤を、タンパク質を含有する溶液に添加して、タンパク質を吸着剤上に吸着させるステップと、溶液から吸着剤を分離するステップと、次いで、吸着剤からタンパク質を回収するステップとからなる。
US6,451,987は、ペプチドおよび関連のある不純物を含有する混合物からペプチドを精製するためのイオン交換クロマトグラフィーによる方法、ならびにそのようなイオン交換クロマトグラフィーによる方法を含む産業用の方法を開示している。
GB694530 GB729670 US5,504,188 WO98/34953 US3,907,676 EP1071703 US3,649,456 US5,633,350 GB2173503A US4,129,560 US2005-080000A US2006-167221A US5,278,284 US6,451,987 WO87/06941 WO90/11296 WO91/11457 WO98/08871 EP0699686-A2 EP0708179-A2 WO98/08872 WO99/43708
J.M.Mollerup、Chem.Eng.Technol.、31(2008)864〜874 J.M.Mollerupら、J.Liq.Chromatogr.Rel.Technol.、32(2009)1577〜1597 Amersham-Pharmacia Biotech製の手引き書 Fundamentals of preparative and nonlinear chromatography、Georges Guiochon、Dean G.Shirazi、Attila Felinger、Anita M.Katti、Academic Press、2006
いくつかの(しばしば関連のある)不純物は、除去するまたは低下させるのがしばしば困難である。この困難は、ピークの形状に起因し、例えば、不純物が、ピーク前端または後端において溶出するからである。したがって、目的のタンパク質の純度が不十分となる恐れがある。
本発明は、クロマトグラフィーのピークの形状を制御して、目的のタンパク質の高い充填量をクロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用する際に、不純物、例えば、別の方法によっては除去するのが困難である、関連のある不純物の除去を改善するための手段を提供する。クロマトグラフィーのカラムに適用する(すなわち、充填する)タンパク質含有溶液中に二価または多価の金属イオンを存在させることと、溶離剤のpHを、例えば、目的のタンパク質についての等電点(pI)に基づいて調節することとを組み合わせることによって、ピークの形状を制御し、目的のタンパク質の非常に濃縮されたプールを、精製された形態で収集するのが可能になる。
ピークの形状を制御することにより、目的のタンパク質の充填の増加、したがって、タンパク質の所与の量を精製するための、より高い能力およびより少ない運転を可能にし得ることを、本発明者は見出すに至った。これはまさに、より高いプール濃度を得ることができるからである。
したがって、第一の態様において、本発明は、タンパク質含有溶液のタンパク質構成成分を分離するためのクロマトグラフィーによる方法であって、前記溶液が、インスリンペプチド、および1つまたは複数の二価または多価の金属イオンを含み、前記インスリンペプチドが、二価または多価の金属イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であり、前記方法が、
a.タンパク質含有溶液をクロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用するステップであって、インスリンペプチドの充填が、1リットルのカラム体積当たり少なくとも6.0g(g/Lcv)であるステップと、
b.前記固相材料からインスリンペプチドを、最大でも8.5のpHを有する溶離剤により溶出し、ステップ(a)においてカラムに適用したインスリンペプチドの少なくとも75質量%に相当するインスリンペプチドのプールを収集するステップと
を含む方法に関する。
第二の態様において、本発明は、インスリン含有溶液のタンパク質構成成分を分離するためのクロマトグラフィーによる方法であって、前記溶液が、亜鉛および二価の亜鉛イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であるインスリンペプチドを含み、前記方法が、
a.インスリン含有溶液をアニオン交換クロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用するステップであって、目的のインスリンペプチドの充填が、1リットルのカラム体積当たり少なくとも6.0g(g/Lcv)であるステップと、
b.前記固相材料から目的のインスリンペプチドを、最大でも6.8のpHを有する溶離剤により溶出し、ステップ(a)においてカラムに適用した目的のインスリンペプチドの少なくとも90質量%に相当する目的のインスリンペプチドのプールを収集するステップと
を含む方法に関する。
第三の態様において、本発明は、二価または多価の金属イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であるインスリンペプチドのイオン交換クロマトグラフィーにおいて、
a.インスリンペプチドと関連のある不純物との最適な分離を得るための二価または多価の金属イオンを使用することによって、ピークの形状を制御する方法であって、
二価の金属イオンが、インスリンペプチドの前側にあるピークの形状を確保するために添加されており、この場合、関連のある不純物は、インスリンペプチドの前に溶出する方法に関する。
移動相、すなわち、タンパク質含有溶液中のZn2+の存在により、インスリンのピークプロファイルが、設定した点のpHにおける、若干テーリングする通常のLangmurianプロファイル(図2の細い実線の曲線、pH=6.8)に相当する、高いpHにおける、テーリングピーク(図3の細い点線の曲線、pH=7.2)から、低いpHにおける、フロンティングピークのプロファイル(図1の太い破線の曲線I、pH=6.4)に変化する様子を示す図である。 移動相、すなわち、タンパク質含有溶液中のZn2+の存在により、インスリンのピークプロファイルが、設定した点のpHにおける、若干テーリングする通常のLangmurianプロファイル(図2の細い実線の曲線、pH=6.8)に相当する、高いpHにおける、テーリングピーク(図3の細い点線の曲線、pH=7.2)から、低いpHにおける、フロンティングピークのプロファイル(図1の太い破線の曲線I、pH=6.4)に変化する様子を示す図である。 移動相、すなわち、タンパク質含有溶液中のZn2+の存在により、インスリンのピークプロファイルが、設定した点のpHにおける、若干テーリングする通常のLangmurianプロファイル(図2の細い実線の曲線、pH=6.8)に相当する、高いpHにおける、テーリングピーク(図3の細い点線の曲線、pH=7.2)から、低いpHにおける、フロンティングピークのプロファイル(図1の太い破線の曲線I、pH=6.4)に変化する様子を示す図である。 Zn-バランスに関する実験のクロマトグラムである。
上記で言及したように、本発明は、タンパク質含有溶液のタンパク質構成成分を分離するためのクロマトグラフィーによる方法に関する。特に、目的のタンパク質を関連のある不純物から分離し、同時に、目的のタンパク質の多くを回収することができる産業用に適用可能な方法を提供することを目的とする。そのような関連のある不純物は典型的には、非抗原性である。
一態様において、タンパク質含有溶液のタンパク質構成成分を分離するためのクロマトグラフィーによる方法であって、前記溶液が、インスリンペプチド、および1つまたは複数の二価または多価の金属イオンを含み、前記インスリンペプチドが、二価または多価の金属イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であり、前記方法が、
a.タンパク質含有溶液をクロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用するステップであって、インスリンペプチドの充填が、1リットルのカラム体積当たり少なくとも6.0g(g/Lcv)であるステップと、
b.前記固相材料からインスリンペプチドを、最大でも8.5のpHを有する溶離剤により溶出し、ステップ(a)においてカラムに適用したインスリンペプチドの少なくとも75質量%に相当するインスリンペプチドのプールを収集するステップと
を含む方法が提供される。
他の態様において、インスリン含有溶液のタンパク質構成成分を分離するためのクロマトグラフィーによる方法であって、前記溶液が、亜鉛および二価の亜鉛イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であるインスリンペプチドを含み、前記方法が、
a.インスリン含有溶液をアニオン交換クロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用するステップであって、目的のインスリンペプチドの充填が、1リットルのカラム体積当たり少なくとも6.0g(g/Lcv)であるステップと、
b.前記固相材料から目的のインスリンペプチドを、最大でも6.8のpHを有する溶離剤により溶出し、ステップ(a)においてカラムに適用した目的のインスリンペプチドの少なくとも90質量%に相当する目的のインスリンペプチドのプールを収集するステップと
を含む方法が提供される。
他の態様において、二価または多価の金属イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であるインスリンペプチドのイオン交換クロマトグラフィーにおいて、
a.インスリンペプチドと関連のある不純物との最適な分離を得るための二価または多価の金属イオンを使用することによって、ピークの形状を制御する方法であって、
二価の金属イオンが、インスリンペプチドの前側にあるピークの形状を確保するために添加されており、この場合、関連のある不純物は、インスリンペプチドの前に溶出する方法が提供される。
タンパク質は、酵母発現系を起源とし得る。タンパク質の製造方法において、クロマトグラフィーによる精製が、広範に使用されている。タンパク質は典型的には、化学的改変ステップ、および一連のクロマトグラフィー、特に、カラムクロマトグラフィーによる精製ステップに付され、クロマトグラフィーには、高速液体クロマトグラフィー(または高圧液体クロマトグラフィー、HPLC)、例として、逆相クロマトグラフィー(RPC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、およびイオン交換クロマトグラフィー(IEC)(例えば、アニオン交換クロマトグラフィー(AIEC)もしくはカチオン交換クロマトグラフィー(CIEC))、親和性クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、金属-キレートクロマトグラフィー、偽親和性クロマトグラフィー、ならびに/または混合モードのクロマトグラフィーが含まれる。
カラムクロマトグラフィーを使用するタンパク質精製の原理は、固定相と分離しようとするタンパク質の移動相との間の平衡の差に基づく。固定相と移動相との適切な組合せを使用すると、タンパク質は、カラムから異なる間隔で離れる。本発明の状況においては、カラムに最初に充填する移動相を、二価または多価の金属イオンにより改変すると、ピークの形状の制御に関する改善がもたらされ、それによって、密接に関連のある不純物から、目的のタンパク質が分離されることを見出すに至った。
クロマトグラフィーによる精製の重要なパラメータは、カラムに結合することができる(標的)タンパク質の量により定義される、カラムの処理能力である。カラムの処理能力は、移動相のタンパク質濃度に依存し、移動相のタンパク質濃度の関数としての固定相のタンパク質濃度の描写が、結合等温線と呼ばれる。結合等温線は、凹(クロマトグラフィーのピークがフロンティングする)または凸(クロマトグラフィーのピークがテーリングする)である場合がある[J.M.Mollerup、Chem.Eng.Technol.、31(2008)864〜874]。稀な状況では、s形状の等温線が得られ、この場合、ピークは、低い移動相濃度ではフロンティングし、より高い移動相濃度ではテーリングする[J.M.Mollerupら、J.Liq.Chromatogr.Rel.Technol.、32(2009)1577〜1597]。
Mollerup(J.M.Mollerup、Chem.Eng.Technol.、31(2008)864〜874)は、1つの分子の吸着が別の分子の吸着を促進する協働性が、フロンティングするクロマトグラムをもたらすことができることをすでに示している。
クロマトグラフィーにおいては、小さなプール体積かつ高いプール濃度を得るために、等温線の初期の勾配に近いところで、高い濃度に至る勾配が生じることは興味をそそる。
しかるべき、いくつかの適切なパラメータを見出すに至った。すなわち、
- 二価または多価の金属イオン(例えば、Zn2+)は、等温線を上方へ湾曲させようとする(dq/dcが増加しつつある。qは、固相材料に結合しているタンパク質の濃度であり、cは、溶液中のタンパク質の濃度である)。
- 樹脂上への充填の増加は、下方への湾曲を生じさせる(dq/dcが減少しつつある)。
- 等電点に近いpHでは、正味の電荷が小さく、タンパク質間の反発力は小さい。
- 等電点に近付くにつれて、タンパク質の溶解性は通常減少する。しかし、等電点付近では、自己会合により、溶解性の明らかな増加が生じ得る。
目的のタンパク質
用語「タンパク質」は、ペプチド結合により接続される構成要素のアミノ酸残基の少なくとも10個から構成されるタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドを網羅することを意図する。構成要素のアミノ酸は、遺伝暗号がコードするアミノ酸の群に由来する場合があり、遺伝暗号がコードしない天然のアミノ酸である場合があり、合成のアミノ酸である場合がある。
本明細書においては、用語「アミノ酸残基」は、形式上、ヒドロキシ基が、カルボキシ基から除去されており、かつ/または形式上、水素原子が、アミノ基から除去されているアミノ酸である。
遺伝暗号がコードしない天然のアミノ酸は、例えば、γ-カルボキシグルタメート、オルニチン、リン酸化セリン、D-アラニンおよびD-グルタミンである。合成のアミノ酸は、化学的合成により製造されるアミノ酸、すなわち、遺伝暗号がコードするアミノ酸のD-異性体、例として、D-アラニンおよびD-ロイシン、Aib(α-アミノイソ酪酸)、Abu(α-アミノ酪酸)、Tle(tert-ブチルグリシン)、β-アラニン、3-アミノメチル安息香酸、アントラニル酸を含む。
22個のタンパク質新生アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンである。
したがって、非タンパク質新生アミノ酸は、ペプチド結合を介してペプチド中に組み込まれ得るが、タンパク質新生アミノ酸ではない部分である。例として、(これらに限定されないが)γ-カルボキシグルタメート、オルニチン、リン酸化セリン、D-アミノ酸、例として、D-アラニンおよびD-グルタミンである。合成の非タンパク質新生アミノ酸は、化学的合成により製造されるアミノ酸、すなわち、遺伝暗号がコードするアミノ酸のD-異性体、例として、D-アラニンおよびD-ロイシン、Aib(α-アミノイソ酪酸)、Abu(α-アミノ酪酸)、Tle(tert-ブチルグリシン)、3-アミノメチル安息香酸、アントラニル酸、des-アミノ-ヒスチジン、アミノ酸のベータ類似体、例として、β-アラニン等、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニンまたは4-ピリジルアラニン、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、または(1-アミノシクロ-オクチル)カルボン酸、α-メチルプロリン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、および4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸β-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)-アラニンが挙げられる。
本明細書において用語「目的のタンパク質」を指す場合、この用語は、タンパク質含有溶液(下記を参照されたい)中に存在するタンパク質と比較して、単離、濃縮または精製された形態で得ることが望ましいタンパク質を意味することを意図する。場合によっては、目的のタンパク質は、クロマトグラフィーによる方法のコース中に、特定の明確に定義された変化を受ける場合もある。もちろん、そのような場合には、タンパク質含有溶液中の目的のタンパク質と、結果として生じる形態をとる目的のタンパク質とが、化学的にも構造的にも同一でない場合があることを理解されたい。
クロマトグラフィーによる方法は、二価または多価の金属イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であるタンパク質に特に適していると考えられている。そのようなタンパク質の例として、インスリンペプチド、グルカゴン様ペプチド、エキセンディン、グルカゴン、hGH、アプロチニン、インスリン様増殖因子-1、インスリン様増殖因子-2、胃抑制ペプチド、成長ホルモン放出因子、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、セクレチン、エンテロガストロン(enterogastrin)、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ソマトメジン、副甲状腺ホルモン、トロンボポエチン、エリスロポエチン、視床下部放出因子、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、エンドルフィン、エンケファリン、バソプレシン、オキシトシン、オピオイド(opiod)、GIP、ペプチドヒスチジン-メチオニンアミド、ヘロスペクチン、ヘロデルミン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド関連ペプチド、血管作動性腸管ポリペプチドであり、それらのバリアントが挙げられる(下記を参照)。
現在最も興味深い、目的のタンパク質は、それらのバリアントを含めて、インスリンペプチド、グルカゴン様ペプチドおよびエキセンディンから選択されるタンパク質である。
いくつかの特に興味深い実施形態では、目的のタンパク質は、そのバリアントを含めて、インスリンポリペプチドから選択される。
特に興味深い、タンパク質の群は、Zn2+などの二価の金属イオンの存在下において、自己会合することが可能であるタンパク質によって代表される群である。
用語「バリアント」は、タンパク質に関して本明細書で使用する場合、親タンパク質の類似体、親タンパク質の誘導体(DPP-IV保護型を含む)、または親タンパク質の類似体の誘導体(DPP-IV保護型を含む)である改変されたタンパク質を意味する。
用語「類似体」は、タンパク質を指して本明細書で使用する場合、タンパク質の1つもしくは複数のアミノ酸残基が、その他のアミノ酸残基により置換されており、かつ/または1つもしくは複数のアミノ酸残基が、タンパク質から欠失しており、かつ/または1つもしくは複数のアミノ酸残基が、タンパク質に付加している改変されたタンパク質を意味する。アミノ酸残基のそのような付加または欠失は、タンパク質のN末端で、かつ/またはタンパク質のC末端で生じ得る。類似体を記載するために、2つの異なるかつ単純なシステムが、しばしば使用され、例えば、Arg34-GLP-1(7-37)またはK34R-GLP-1(7-37)(アミノ酸についての標準的な単一文字による略語は、IUPAC-IUB命名法に従って使用される)により、34位の天然に存在するリジンが、アルギニンで置換されているGLP-1類似体が指定される。
用語「誘導体」は、親タンパク質に関して本明細書で使用する場合、少なくとも1つの置換基が、親タンパク質またはその類似体中には存在しない、化学的に改変された親タンパク質またはその類似体、すなわち、共有結合性に改変されている親タンパク質を意味する。典型的な改変は、アミド、炭水化物、アルキル基、アシル基、エステル、ペグ化等である。GLP-1(7-37)の誘導体の例が、Arg34、Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)である。また、誘導体は、問題にしているタンパク質のDPP-IV保護型も含む。
用語「DPP-IV保護型」は、タンパク質を指して本明細書で使用する場合、前記化合物を血漿ペプチダーゼのジペプチジルアミノペプチダーゼ-4(DPP-IV)に対して抵抗性にするために化学的に改変されているタンパク質を意味する。血漿中のDPP-IV酵素が、いくつかのタンパク質(例として、ペプチドホルモン)、例えば、GLP-1、GLP-2、エキセンディン-4等の分解に関与することは公知である。したがって、DPP-IVによる分解速度を低下させるために、相当な努力が払われて、DPP-IV媒介型の加水分解を受けやすいタンパク質の類似体および誘導体が開発されている。一実施形態では、DPP-IV保護型タンパク質は、DPP-IVに対して、GLP-1(7-37)またはエキセンディン-4(1-39)よりも抵抗性である。
用語「ヒトインスリン」は、本明細書で使用する場合、ヒトインスリンホルモンを意味し、その構造および特性は周知である。ヒトインスリンは、A鎖およびB鎖と名付けられている、2つのポリペプチド鎖を有する。A鎖は21個のアミノ酸ペプチドであり、B鎖は30個のアミノ酸ペプチドであり、2つの鎖は、ジスルフィド架橋、すなわち、A鎖の7位におけるシステインとB鎖の7位におけるシステインとの間の第1の架橋、およびA鎖の20位におけるシステインとB鎖の19位におけるシステインとの間の第2の架橋により接続されている。第3の架橋が、A鎖の6位におけるシステインと11位におけるシステインとの間に存在する。
ヒト身体中で、ホルモンが、プロインスリンの単鎖前駆体(プレプロインスリン)として合成され、プレプロインスリンは、配置中の、24個のアミノ酸のプレペプチド、およびそれに続く、86個のアミノ酸を含有するプロインスリンからなる、すなわち、プレペプチド-B-Arg-Arg-C-Lys-Arg-A(式中、Cは、31個のアミノ酸の接続ペプチド(connecting peptide)である)。Arg-ArgおよびLys-Argが、A鎖およびB鎖から接続ペプチドが切断されるための切断部位である。
「インスリン」は、本明細書においては、ヒトインスリン、または別の種に由来するインスリン、例として、ブタもしくはウシのインスリンであると理解されたい。
用語「インスリンペプチド」は、本明細書で使用する場合、インスリン、またはインスリン活性を有する、すなわち、インスリン受容体を活性化するインスリンの類似体もしくは誘導体のいずれかであるペプチド(タンパク質)を意味する。
用語「インスリン類似体」は、本明細書で使用する場合、インスリンの1つもしくは複数のアミノ酸残基が、その他のアミノ酸残基により置換されており、かつ/または1つもしくは複数のアミノ酸残基が、インスリンから欠失しており、かつ/または1つもしくは複数のアミノ酸残基が、インスリンに付加および/もしくは挿入されている改変されたインスリンを意味する。アミノ酸は、好ましくは、遺伝子操作によって、ヌクレオチドのトリプレット(「コドン」)によりコードされ得るアミノ酸である。本明細書においては、アミノ酸を、それらの一般的な3文字コード、好ましくは、Gly、Pro、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Cys、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、Gln、Asn、Glu、Asp、SerおよびThrにより示すことができる。あるいは、1文字コードを使用してもよい。
一実施形態では、インスリン類似体は、親インスリンに対する8つ未満の改変(置換、欠失、付加(挿入を含む)および任意のそれらの組合せ)、それに代わって、親インスリンに対する7つ未満の改変、それに代わって、親インスリンに対する6つ未満の改変、それに代わって、親インスリンに対する5つ未満の改変、それに代わって、親インスリンに対する4つ未満の改変、それに代わって、親インスリンに対する3つ未満の改変、それに代わって、親インスリンに対する2つ未満の改変を含む。
インスリン分子中の改変を、鎖(AまたはB)、位置、および本来のアミノ酸残基を置換しているアミノ酸残基についての1文字コードまたは3文字コードを規定して示す。
「接続ペプチド」または「C-ペプチド」により、単鎖プロインスリン分子のB-C-Aポリペプチド配列の接続部分「C」を意味する。ヒトインスリン鎖においては、C-ペプチドは、B鎖の30位とA鎖の1位とを接続し、その長さは、35アミノ酸残基である。接続ペプチドは、2つの末端二塩基性アミノ酸配列、例えば、Arg-ArgおよびLys-Argを含み、これらは、A鎖およびB鎖から接続ペプチドを切断して離して、二本鎖のインスリン分子を形成するための切断部位として働く。
「desB30」または「B(1-29)」により、B30アミノ酸を欠く天然のインスリンB鎖またはその類似体を意味し、「A(1-21)」は、天然のインスリンA鎖を意味する。したがって、例えば、A21Gly、B28Asp、desB30ヒトインスリンは、A鎖中の21位におけるアミノ酸がグリシンで置換されており、B鎖中の28位におけるアミノ酸がアスパラギン酸で置換されており、B鎖中の30位におけるアミノ酸が欠失しているヒトインスリンの類似体である。
本明細書においては、「A1」、「A2」および「A3」等のような用語はそれぞれ、インスリンのA鎖中の(N末端の終点から数えて)1位、2位および3位等におけるアミノ酸を示す。同様に、B1、B2およびB3等のような用語はそれぞれ、インスリンのB鎖中の(N末端の終点から数えて)1位、2位および3位等におけるアミノ酸を示す。アミノ酸についての1文字コードを使用すると、A21A、A21GおよびA21Qのような用語は、A21位におけるアミノ酸がそれぞれ、A、GおよびQであることを指定する。アミノ酸についての3文字コードを使用すると、対応する表現はそれぞれ、A21Ala、A21GlyおよびA21Glnとなる。
本明細書においては、用語「A(0)」または「B(0)」はそれぞれ、A1またはB1のN末端側にあるアミノ酸の位置を示す。用語A(-1)またはB(-1)はそれぞれ、A(0)またはB(0)のN末端側にある最初のアミノ酸の位置を示す。したがって、順次、A(-2)およびB(-2)はそれぞれ、A(-1)およびB(-1)のN末端側にあるアミノ酸の位置を示し、A(-3)およびB(-3)はそれぞれ、A(-2)およびB(-2)のN末端側にあるアミノ酸の位置を示す。
本明細書においては、用語A(0)またはB(0)はそれぞれ、A1またはB1のN末端側にあるアミノ酸の位置を示す。用語A(-1)またはB(-1)はそれぞれ、A(0)またはB(0)のN末端側にある最初のアミノ酸の位置を示す。したがって、順次、A(-2)およびB(-2)はそれぞれ、A(-1)およびB(-1)のN末端側にあるアミノ酸の位置を示し、A(-3)およびB(-3)はそれぞれ、A(-2)およびB(-2)のN末端側にあるアミノ酸の位置を示す。用語A22またはB31はそれぞれ、A21またはB30のC末端側にあるアミノ酸の位置を示す。用語A23またはB32はそれぞれ、A22またはB31のC末端側にある最初のアミノ酸の位置を示す。したがって、順次、A24およびB33はそれぞれ、A23およびB32のC末端側にあるアミノ酸の位置を示す。
インスリン類似体の例は、B鎖の28位におけるProが、Asp、Lys、Leu、ValもしくはAlaで置換されており、かつ/またはB29位のLysが、Pro、GluもしくはAspで置換されているインスリンである。さらに、B3位のAsnも、Thr、Lys、Gln、GluまたはAspで置換され得る。A21位におけるアミノ酸残基は、Glyで置換され得る。また、1つまたは複数のアミノ酸、例えば、Lys等が、A鎖および/またはB鎖のC末端に付加することもできる。B1位におけるアミノ酸は、Gluで置換され得る。B16位におけるアミノ酸は、GluまたはHisで置換され得る。インスリン類似体のさらなる例が、欠失類似体、例えば、ヒトインスリン中のB30アミノ酸が欠失している類似体(des(B30)ヒトインスリン)、ヒトインスリン中のB1アミノ酸が欠失しているインスリン類似体(des(B1)ヒトインスリン)、des(B28-B30)ヒトインスリンおよびdes(B27)ヒトインスリンである。また、A鎖および/またはB鎖がN末端伸長部を有するインスリン類似体、ならびにA鎖および/またはB鎖がC末端伸長部を有する、例として、2つのアルギニン残基がB鎖のC末端に付加しているインスリン類似体も、インスリン類似体の例である。さらなる例は、言及した突然変異の組合せを含むインスリン類似体である。A14位におけるアミノ酸が、Asn、Gln、Glu、Arg、Asp、GlyまたはHisであり、B25位におけるアミノ酸がHisであり、場合により、1つまたは複数の追加の突然変異をさらに含むインスリン類似体も、インスリン類似体のさらなる例である。また、A21位におけるアミノ酸残基がGlyであり、2つのアルギニン残基が加わって、C末端においてさらに伸長しているヒトインスリンのインスリン類似体も、インスリン類似体の例である。
インスリン類似体のさらなる例として、DesB30ヒトインスリン; AspB28ヒトインスリン; AspB28、desB30ヒトインスリン; LysB3、GluB29ヒトインスリン; LysB28、ProB29ヒトインスリン; GlyA21、ArgB31、ArgB32ヒトインスリン; GluA14、HisB25ヒトインスリン; HisA14、HisB25ヒトインスリン; GluA14、HisB25、desB30ヒトインスリン; HisA14、HisB25、desB30ヒトインスリン; GluA14、HisB25、desB27、desB28、desB29、desB30ヒトインスリン; GluA14、HisB25、GluB27、desB30ヒトインスリン; GluA14、HisB16、HisB25、desB30ヒトインスリン; HisA14、HisB16、HisB25、desB30ヒトインスリン; HisA8、GluA14、HisB25、GluB27、desB30ヒトインスリン; HisA8、GluA14、GluB1、GluB16、HisB25、GluB27、desB30ヒトインスリン;およびHisA8、GluA14、GluB16、HisB25、desB30ヒトインスリンが挙げられる。
用語「インスリン誘導体」は、本明細書で使用する場合、化学的に改変された親インスリンまたはその類似体を意味し、改変は、アミド、炭水化物、アルキル基、アシル基、エステルの結合、ペグ化などの形態である。ヒトインスリンの誘導体の例は、ヒトインスリンB30スレオニンメチルエステル、GlyA21、ArgB31、Arg-アミドB32ヒトインスリン、NεB29-テトラデカノイルdesB30ヒトインスリン、NεB29-テトラデカノイルヒトインスリン、NεB29-デカノイルdesB30ヒトインスリン、NεB29-ドデカノイルdesB30ヒトインスリン、NεB29-3-(2-{2-(2-メトキシ-エトキシ)-エトキシ}-エトキシ)-プロピオニルヒトインスリン、LysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリン)、NεB29-(Nα-(Sar-OC(CH2)13CO)-γ-Glu)desB30ヒトインスリン、NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、NεB29-ヘキサデカンジオイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、NεB29-ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu-アミドdesB30インスリンである。
用語「グルカゴン様ペプチド」は、本明細書で使用する場合、プレプログルカゴン遺伝子に由来する、相同ペプチドであるグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド2(GLP-2)およびオキシントモジュリン(oxynthomodulin)(OXM)、エキセンディン、ならびにそれらの類似体および誘導体を指す。アメリカドクトカゲ(Gila monster)中に見出されるエキセンディンは、GLP-1に相同であり、また、インスリン分泌性の作用も発揮する。エキセンディンの例は、エキセンディン-4およびエキセンディン-3である。
用語「GLP-1ペプチド」は、本明細書で使用する場合、GLP-1(7-37)、GLP-1(7-36)アミド、ならびにそれらの類似体および誘導体を指すことを意図し、これらは、従来の組換えDNAの技法および従来の合成の方法により生成することが可能である。そのようなGLP-1ペプチドとして、これらに限定されないが、本来のグルカゴン様ペプチド-1、例えば、WO87/06941に開示されている、GLP-1(7-37)およびその機能性誘導体を含むペプチド断片等;WO90/11296に開示されている、GLP-1(7-36)およびその機能性誘導体を含むペプチド断片等;WO91/11457に開示されている、活性なGLP-1ペプチドである7-34、7-35、7-36および7-37の類似体等;WO98/08871に開示されている、親油性置換基が少なくとも1つのアミノ酸残基に結合しているGLP-1誘導体等;EP0699686-A2に開示されている、GLP-1のN末端が切り詰められた断片等;ならびにEP0708179-A2に開示されている、N末端のイミダゾール基を含むGLP-1の類似体および誘導体等が挙げられる。
用語「GLP-2ペプチド」は、本明細書で使用する場合、GLP-2(1-35)、GLP-2(1-34)、GLP-2(1-33)、ならびにそれらの類似体および誘導体を指すことを意図し、これらは、従来の組換えDNAの技法および従来の合成の方法により生成することが可能である。そのようなGLP-2ペプチドとして、これらに限定されないが、本来のグルカゴン様ペプチド-2、WO98/08872に開示されている、親油性置換基が少なくとも1つのアミノ酸残基に結合しているGLP-2誘導体、ヒトグルカゴン様ペプチド-2(hGLP-2)、GLP-2(1-30); GLP-2(1-31); GLP-2(1-32); GLP-2(1-33); GLP-2(1-34)、GLP-2(1-35)、Lys20GLP-2(1-33)、Lys20Arg30GLP-2(1-33)、Arg30Lys34GLP-2(1-34)、Arg30Lys35GLP-2(1-35)、Arg30,35Lys20GLP-2(1-35)、Arg35GLP-2(1-35)、Lys20(Nε-テトラデカノイル)GLP-2(1-33); Lys20,30-ビス(Nε-テトラデカノイル)-GLP-2(1-33); Lys20(Nε-テトラデカノイル)Arg30GLP-2(1-33); Arg30Lys35(Nε-テトラデカノイル)GLP-2(1-35); Arg30,35Lys20(Nε-テトラデカノイル)GLP-2(1-35); Arg35Lys30(Nε-テトラデカノイル)GLP-2(1-35); Arg30Lys34(Nε-テトラデカノイル)GLP-2(1-34); Lys20(Nε-(ω-カルボキシノナデカノイル))GLP-2(1-33); Lys20,30-ビス(Nε-(ω-カルボキシノナデカノイル))GLP-2(1-33); Lys20(Nε-(ω-カルボキシノナデカノイル))-Arg30GLP-2(1-33); Arg30Lys35(Nε-(ω-カルボキシノナデカノイル))GLP-2(1-35); Lys30(Nε-(γ-グルタミル(Nα-テトラデカノイル)))hGLP-2、Lys30(Nε-(γ-グルタミル(Nα-ヘキサデカノイル)))hGLP-2、Arg30,35Lys20(Nε-(ω-カルボキシノナデカノイル))GL
P-2(1-35); Arg35Lys30(Nε-(ω-カルボキシノナ-デカノイル))GLP-2(1-35);およびArg30Lys34(Nε-(ω-カルボキシノナデカノイル))GLP-2(1-34)が挙げられる。
用語「エキセンディン」は、本明細書で使用する場合、エキセンディン、ならびに類似体、誘導体およびそれらの断片、例えば、エキセンディン-3および-4を指すことを意図する。エキセンディン、ならびに類似体、誘導体およびそれらの断片は、例えば、WO99/43708に記載されており、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
本発明の1つの目的は、目的のタンパク質に照らして1つまたは複数の関連のある不純物を除去するための方法を提供することである。
用語「関連のある不純物」は、本明細書で使用する場合、目的のタンパク質に構造的に類似する不純物を意味する。関連のある不純物は、目的のタンパク質とは異なる化学的または物理的な構造、例えば、切断された形態、伸長した形態(余分なアミノ酸、種々の誘導体等)、脱アミドされた形態、誤って畳まれた形態、シアリル化を含めた、望まれない(例えば、過剰な、誤ったまたは不十分な)グリコシル化を有する形態、酸と結合した形態、ラセミ化から得られた形態、アシル化が、所望の残基ではなく別の残基上で生じてしまった形態、およびその他を有する。
一実施形態では、そのような関連のある不純物は、目的のタンパク質の前に溶出する。
したがって、用語「関連のない不純物」は、本明細書で使用する場合、関連のある不純物とは異なる不純物を網羅することを意図することになる。
関連のある不純物とは対照的に、関連のない不純物は、抗原性であり得る。
タンパク質含有溶液
クロマトグラフィーによる方法ための出発材料は、目的のタンパク質、例として、それらのバリアントを含めて、インスリンペプチド、グルカゴン様ペプチドおよびエキセンディンから選択されるタンパク質(上記を参照されたい)を含む任意のタンパク質含有溶液であり得る。出発材料は、酵母発現系から直接得られる培地もしくは化学的合成から直接得られる培地であり得、または出発材料を、本発明による方法の前に、いくつかの精製または化学的改変のステップに付すことができる。
いくつかの興味深い実施形態では、タンパク質含有溶液は、1つまたは複数の二価または多価の金属イオンを含む。いずれかの特定の理論に縛られる意図はないが、そのような二価または多価の金属イオンが、目的のタンパク質の自己会合および/または構造的変化を促進し、それにより、クロマトグラフィーによる方法におけるピークの形状が改変され、その結果、密接に関連のある不純物、特に、目的のタンパク質の前に溶出する不純物を、目的のタンパク質から分離することができると現在考えられている。
インスリンの独特の特性は、六量体に会合するその能力であり、この形態で、ホルモンが、生合成および保存の間の化学的および物理的な分解から保護される。インスリンに対するX線結晶学的研究により、六量体は、3回回転軸により関係付けられる3つの二量体からなることが示されている。これらの二量体は、3回軸上に位置するそのコアにおける2つの亜鉛イオンの相互作用を通して密接に会合している。
遷移金属イオンを含めた、二価または多価の金属イオンの適切な例が、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Ni2+、Cu2+、Ba2+、好ましくは、Zn2+から選択される金属イオンである。タンパク質含有溶液中には、二価または多価の金属イオンの2つ以上のタイプが存在してもよく、または1つのタイプのみが存在してもよい。
タンパク質含有溶液中の二価または多価の金属イオンの濃度は典型的には、0.01〜200mM、例として、0.1〜100mM、例えば、0.5〜75mMの範囲である。
二価または多価の金属イオンと目的のタンパク質との間の電荷当量の比(すなわち、目的のタンパク質1分子当たりの当量電荷)は典型的には、0.1:1〜50:1、例として、0.3:1〜20:1、例えば、0.4:1〜15:1または0.5:1〜10:1である。
目的のタンパク質がインスリンペプチドである場合には、二価または多価の金属イオン、例えば、Zn2+イオンとインスリンペプチドとの間の電荷当量の比が、典型的には、1:6〜20:6、例として、2:6〜15:6、例えば、3:6〜10:6または3:6〜5:6または7:6〜9:6である。例示的な例として、インスリン1分子当たりの2つの亜鉛イオンは、二価または多価の金属イオン(Zn2+)とインスリンとの間の電荷当量の比が4:1(すなわち、(2つの亜鉛×2つの電荷/亜鉛):1)であると理解される。Zn2+の存在下において、インスリンは、インスリンペプチドの六量体、ジ-ヘキサマーまたはさらにより大きな複合体を形成することによって、自己会合することが可能であり、これらの複合体は、依然として可溶性であり、インスリンが結晶化する際に活用される。したがって、いくつかの実施形態では、タンパク質含有溶液は、亜鉛を用いて結晶化したインスリンペプチドから得られる。
さらに、タンパク質含有溶液に水を添加することによって、任意の溶媒の濃度を調節するかまたはイオン強度を低下させるのがさらに望ましいまたは必要となる場合もある。pHを適切な緩衝液により調節することができ、目的のタンパク質の溶解性を増加させるために、溶媒、例えば、エタノールを添加することができる。したがってまた、タンパク質含有溶液は、(有機または無機の)溶媒、塩、緩衝剤、改変物質/賦形剤を含むことができる。有機溶媒は、これらに限定されないが、任意の一価の脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノール)、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-プロパノールおよびヘキシレングリコールであり得るであろう。クロマトグラフィーによる精製の任意のセクションについての任意選択の塩構成成分は、これらに限定されないが、NaCl、KCl、NH4Cl、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム等を含めた、任意の塩であってよい。これらに限定されないが、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、TRIS緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、酢酸緩衝液、アンモニウム緩衝液、グリシン緩衝液等を含めた、任意の緩衝液構成成分を使用してよい。一実施形態では、溶媒のpHを、pH5〜pH9の範囲に緩衝する。
また、タンパク質含有溶液の25℃における導電率として示すイオン強度にも役割がある。したがって、いくつかの実施形態では、タンパク質含有溶液の導電率は、0〜100mS/cm、例として、0〜50mS/cm、例えば、0〜30mS/cmまたは0.01〜100mS/cm、例として、0.05〜50mS/cm、例えば、0.1〜30mS/cmの範囲である。
タンパク質含有溶液のpHを典型的には、0〜14、1〜13、2〜12、3〜11または4〜10の範囲に保つ。しかし、多くの場合、タンパク質含有溶液のpHは、溶離剤のpHとおよそ同じである。
クロマトグラフィーによる方法
クロマトグラフィーによる方法の目的は、タンパク質含有溶液のその他の構成要素から、目的のタンパク質を分離すること、または目的のタンパク質を純度のより高い程度で得ること、または少なくとも、1つもしくは複数の不純物の存在を、目的のタンパク質に比して低下させることである。
以下に、クロマトグラフィーによる方法を詳細に記載する。
ステップ(a)
本発明による方法の第1のステップでは、タンパク質含有溶液を、クロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用する。
固相材料を、クロマトグラフィーによる方法のタイプ、例えば、逆相クロマトグラフィー(RPC)、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)、例として、アニオン交換クロマトグラフィー(AIEC)またはカチオン交換クロマトグラフィー(CIEC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、親和性クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、金属-キレートクロマトグラフィー、偽親和性クロマトグラフィー、混合モードのクロマトグラフィー等に従って選択する。したがって、固相材料は、イオン交換クロマトグラフィーの材料(IEC)、逆相クロマトグラフィーの材料(RPC)、疎水性相互作用クロマトグラフィーの材料(HIC)等から選択することができる。好ましくは、イオン交換クロマトグラフィーの材料、特に、アニオン交換クロマトグラフィーの材料を使用する。
イオン交換クロマトグラフィーによる方法が望ましいのであれば、固相材料を、精製しようとする特定のペプチド、および利用する条件、例として、pH、緩衝液、イオン強度等に応じて選択することができ、これらの条件は、当業者に公知である(すなわち、典型的には、カチオン交換樹脂の場合には、ペプチドの等電点(pI)未満のpH、およびアニオン交換樹脂の場合には、ペプチドのpI超のpH、所望のpHを維持するのに十分な緩衝液の強度、ならびに塩濃度により引き起され得る十分に低いイオン強度)。適切な固相材料の非限定的な例は、Sepharose樹脂、Sephadex樹脂、Streamline樹脂、ならびにAmersham-Pharmacia Biotech製のSource樹脂、HyperD樹脂、Trisacryl樹脂、ならびにBioSepra製のSpherosil樹脂、TosoHaas製のTSKgel樹脂およびToyopearl樹脂、Merck製のFractogel EMD樹脂、Perseptive Biosystems製のPoros樹脂、BioRAD製のMacro-Prep樹脂、Whatman製のExpress-ion樹脂等である。
逆相クロマトグラフィーによる方法のためには、固相材料として、任意の種類の置換を場合により有する、クロマトグラフィー用の逆相樹脂のいずれかを選択することができ、それらとして、これらに限定されないが、シリカに基づいた樹脂、例として、Kromasil 100 C18、ポリマーに基づいた樹脂、例として、Amersham Biosciences製のSource、Applied Biosystems製のPoros系の材料、例えば、Poros R1、R2およびR3逆相樹脂、Ciphergen製のセラミックに基づいた樹脂、金属酸化物に基づいた樹脂、ならびにその他が挙げられる。好ましくは、シリカに基づいた樹脂を使用する。平衡化溶液(ステップ(a)の前に、固相材料を平衡化するための溶液)、および適用のためのタンパク質含有溶液は、有機溶媒を含有してもまたは含有しなくてもよい。有機溶媒は、これらに限定されないが、任意の一価の脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノール)、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-プロパノールおよびヘキシレングリコールであり得るであろう。クロマトグラフィーによる精製の任意のセクションについての任意選択の塩構成成分は、これらに限定されないが、NaCl、KCl、NH4Cl、CaCl2、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム等を含めた、任意の塩であってよい。これらに限定されないが、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、TRIS緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、酢酸緩衝液、アンモニウム緩衝液、グリシン緩衝液等を含めた、任意の緩衝液構成成分を使用してよい。一実施形態では、溶媒のpHを、pH5〜pH9の範囲に緩衝する。
一実施形態では、シリカに基づいたクロマトグラフィー用の樹脂、例えば、置換シリカゲル、例として、C4-、C6-、C8-、C12-、C16-、C18-、C20-、フェニル-またはベンゼン-置換シリカゲルを使用して、逆相高速液体クロマトグラフィーによる方法を実施する。別の実施形態では、ポリマー性の基礎材料であるクロマトグラフィー用の樹脂を使用して、逆相高速液体クロマトグラフィーによる方法を実施する。
疎水性相互作用クロマトグラフィーのためには、固相材料は、疎水性リガンド、例として、エチル、ブチル、フェニルまたはヘキシル(これらは、タンパク質との結合に関与するように見える)で置換されたマトリックスである。好ましい材料は、ブチルリガンドおよび/またはフェニルリガンドで置換された材料である。
使用する固相材料は、ビーズ、例えば、0.1〜1000μmの範囲、例えば、1〜100μmの範囲の平均直径を有する粒子状材料の形態で提示されることが最も多い。当業者には明らかであろうが、ポンプ等と共に配置されたHPLCカラム中に、固相材料を適切に整える。
タンパク質含有溶液の、クロマトグラフィーの固相材料のカラムへの適用は典型的には、従来のプロトコールに従って実施する。すなわち、タンパク質含有溶液の濃度、温度、イオン強度等は通常通りであってよく(本明細書において示唆する改変を加える)、疎水性相互作用クロマトグラフィー用の材料を通常通り、洗浄および平衡化してから適用することができる。
目的のタンパク質の充填は、かなり高く、例えば、1リットルのカラム体積当たり、少なくとも6.0gの目的のタンパク質(g/Lcv)であり得、プール体積は、方法におけるピークの形状の改善に起因して、従来の方法と比較して、若干低下することを見出すに至った。いくつかの実施形態では、目的のタンパク質の充填は、少なくとも7.0g/Lcv、もしくは少なくとも8.0g/Lcv、もしくは少なくとも8.5g/Lcv、または6.0〜50g/Lcv、もしくは7.0〜40g/Lcv、もしくは8.0〜30g/Lcv、例として、8.5〜25g/Lcv、例として、9.0〜20g/Lcv、もしくは9.5〜15g/Lcvである。目的のタンパク質の充填は最大で、カラムの処理能力まで充填することができる。カラム体積は典型的には、詰めた膨潤状態のクロマトグラフィーの固相材料の体積に相当する。
本発明の方法は、特に、「大規模な」(または「産業規模の」)目的で実行可能であるが、これに限定されない。したがって、いくつかの重要な実施形態では、方法は、大規模な方法であり、カラム体積が、少なくとも1L、または少なくとも10L、または少なくとも20L、または少なくとも50L、または少なくとも100L、例として、少なくとも500L、例えば、少なくとも1000L、または少なくとも5000Lである。
特に重要な意味をもつわけではないが、カラムおよびタンパク質含有溶液の温度を調節し、その結果、ピークの形状をさらに改善するのが望ましい場合がある。典型的には、温度は、0〜70℃、0〜50℃、例として、2〜30℃である。冷却ジャケットおよび制御された温度の溶液を使用することによって、カラムの温度を、特定の範囲内に保つことができる。
ステップ(b)
この方法は典型的には、全プロセスを中断することなく実施し、第2のステップでは、目的のタンパク質を、固相材料から溶離剤により溶出する。
産業用の精製方法におけるイオン交換クロマトグラフィーの溶出の典型的な原理は、一定のpHの緩衝水溶液中の塩構成成分の勾配であり、勾配は、段階的または直線的のいずれかである。また、均一濃度の溶出も可能である。タンパク質を所望の形態に保つために、または単にタンパク質を溶液中に保つために、有機溶媒または改変物質を溶離剤に添加することができる。また時には、pHの変化を利用して、目的のタンパク質を溶出することもできる。
疎水性相互作用クロマトグラフィーによる方法の場合には、溶出のタイプには、特に重要な意味はなく、したがって、例えば、塩および/または双性イオンの段階的に減少する勾配を含む溶出用緩衝液を用いて溶出すること、塩の直線的に減少する勾配(または勾配-一定-勾配のプロファイルもしくはその他の変型)を用いて溶出すること、あるいはpH勾配を使用すること、あるいは温度勾配またはこれまでに言及したものの組合せを使用することが可能である。それに代わって、カルシウムキレート化化合物(例えば、EDTA、クエン酸、マロン酸等)の勾配、または水より低い極性の溶媒(例えば、エタノール、PEG、2-プロパノール等を含む水溶液)を、溶出用緩衝液として使用することができる。一実施形態では、溶出用緩衝液は、塩を0.7〜2.2Mの範囲の初期濃度で含む。したがって、一実施形態では、溶出用緩衝液は、アンモニウム塩に関する勾配緩衝液であり、勾配緩衝液のアンモニウム塩の初期濃度は、1.7〜2.2Mの範囲であり、勾配緩衝液のアンモニウム塩の最終濃度は、0.0〜1.6Mの範囲である。最終の溶出用緩衝液の導電率は、好ましくは、ステップ(a)のタンパク質含有溶液の導電率よりも低い。多くの場合、ステップ(b)の溶出用緩衝液は、ステップ(a)と同様なpHを有する。
逆相高速液体クロマトグラフィーによる方法のためには、溶出のために使用する溶媒のpHを典型的には、pH4〜pH10の範囲に緩衝する。溶離剤は、アルコールを10%w/w〜80%w/wの濃度で含むことができる。目的のタンパク質、および不純物を、有機溶媒中の段階的、漸近的もしくは直線的に変化する勾配により、または均一濃度で、あるいはこれらを組み合わせて、溶出し、分離することができる。有機溶媒構成成分の勾配は、より低い濃度からより高い濃度に変化させるであろう。また、溶出セクションにおいてpHおよび/または温度を変化させることによる溶出も可能であり得る。
最初のpH、緩衝液およびイオン強度は、周知の技法、例として、従来の試験管による方法に従って選択する。例えば、Amersham-Pharmacia Biotech製の手引き書、またはFundamentals of preparative and nonlinear chromatography、Georges Guiochon、Dean G.Shirazi、Attila Felinger、Anita M.Katti、Academic Press、2006を参照。
一実施形態では、溶離剤は、任意の有機または無機の塩から、好ましくは、NaCl、KCl、NH4Cl、CaCl2、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、酢酸カルシウムまたはそれらの混合物、最も好ましくは、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、NaCl、NH4Cl、KClから選択される塩構成成分を含む。
塩構成成分は典型的には、0.1mM〜3000mM、好ましくは、1mM〜1000mM、より好ましくは、5mM〜500mM、最も好ましくは、20mM〜300mMの濃度で存在する。
また、溶離剤は、例えば、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、tris緩衝液、ホウ酸緩衝液、乳酸緩衝剤、グリシルグリシン緩衝液、アルギニン緩衝液、炭酸緩衝液、酢酸緩衝液、グルタミン酸緩衝液、アンモニウム緩衝液、グリシン緩衝液、アルキルアミン緩衝液、アミノエチルアルコール緩衝液、エチレンジアミン緩衝液、トリ-エタノールアミン、イミダゾール緩衝液、ピリジン緩衝液およびバルビツレート緩衝液、ならびにそれらの混合物、好ましくは、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、グリシン、炭酸ナトリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、グルタミン酸カリウム、炭酸カリウム、tris-ヒドロキシメチルアミノメタンおよびホウ酸、ならびにそれらの混合物から選択される緩衝液を含むこともできる。
緩衝液は典型的には、0.1mM〜500mM、好ましくは、1mM〜200mM、より好ましくは、5mM〜100mM、最も好ましくは、10mM〜50mMの濃度で存在する。
溶離剤のpHは典型的には、最大でも8.5、例として、最大でも8.0、もしくは最大でも7.5、もしくは最大でも7.0、もしくは最大でも6.9、または少なくとも6.8、もしくは少なくとも6.7、もしくは少なくとも6.6、もしくは少なくとも6.5、例えば、4.5〜8.5、または4.5〜8.0、または4.5〜7.5、または4.5〜7.0、例として、4.6〜8.0、または4.6〜7.5、または4.6〜7.0、または4.6〜6.9、または4.7〜7.5、または4.7〜7.0、または4.7〜6.7、または4.8〜7.5、または4.8〜7.0、または4.8〜6.6、または4.9〜6.5、または5.0〜6.4の範囲である。
溶離剤のpHが、目的のタンパク質のpIよりも最大でも2.1単位高い、例えば、最大でも1.9単位より高い、例として、最大でも1.7単位より高い場合には、方法をその上さらに改善することができることを見出すに至った。
用語「pI」または「等電点」は、本明細書で使用する場合、タンパク質の全体的な正味の電荷がゼロであるpH値を意味する。
いくつかの実施形態では、また、溶離剤は、1つまたは複数の二価または多価の金属イオン、例として、上記でタンパク質含有溶液についてさらに言及した金属イオンを含むこともできる。
いずれかの特定の理論に縛られる意図はないが、溶離剤中のそのような二価または多価の金属イオンの存在が、ステップ(a)において引き起こされた、目的のタンパク質の自己会合および/または構造的変化を保存し、それにより、クロマトグラフィーによる方法におけるピークの形状が改変され、その結果、密接に関連のある不純物、特に、目的のタンパク質の前に溶出する不純物を、目的のタンパク質から分離することができると現在考えられている。
遷移金属イオンを含めた、二価または多価の金属イオンの適切な例が、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Ni2+、Cu2+、Ba2+、好ましくは、Zn2+から選択される金属イオンである。溶離剤中には、二価または多価の金属イオンの2つ以上のタイプが存在してもよく、または1つのタイプのみが存在してもよい。
存在する場合には、溶離剤中の二価または多価の金属イオンの濃度は、好ましくは、0.1〜200mM、例として、0.5〜100mMまたは1.0〜60mMの範囲である。
1つの特定の実施形態では、溶離剤が、Zn2+イオンを、例えば、0.01〜200mM、例として、0.1〜100mM、例えば、0.5〜75mMの範囲の濃度で含む。
溶離剤中の二価または多価の金属イオンと目的のタンパク質との電荷当量の比(すなわち、目的のタンパク質1分子当たりの当量電荷)は典型的には、0.1:1〜50:1、例として、0.3:1〜20:1、例えば、0.4:1〜15:1または0.5:1〜10:1である。
目的のタンパク質がインスリンペプチドである場合には、溶離剤中の二価または多価の金属イオン、例えば、Zn2+イオンとインスリンペプチドとの電荷当量の比は典型的には、1:6〜20:6、例として、2:6〜15:6、例えば、3:6〜10:6または3:6〜5:6または7:6〜9:6である。
溶出に関連させて、目的のタンパク質が収集される。したがって、ステップ(a)においてカラムに適用した目的のタンパク質の少なくとも75質量%に相当する目的のタンパク質のプールを収集することが本発明の特色である。いくつかの実施形態では、ステップ(b)において収集する目的のタンパク質のプールは、ステップ(a)においてカラムに適用した目的のタンパク質の少なくとも80質量%、例として、少なくとも85質量%、または少なくとも90質量%、または少なくとも91質量%、または少なくとも92質量%、または少なくとも93質量%、または少なくとも94質量%、または少なくとも95質量%、または少なくとも96質量%に相当する。
本発明の方法により、目的のタンパク質のプールから、密接に関連のあるタンパク質をいずれも除外するのが望ましい。
洗浄ステップを、ステップ(a)の後ではあるがステップ(b)の前に含むのが望ましい場合があることを理解すべきであり、洗浄用緩衝液を溶出ステップ(ステップ(b))の前に使用する。洗浄用緩衝液は典型的には、緩衝剤、典型的には、MES、PIPES、ACES、BES、TES、HEPES、TRIS、ヒスチジン、イミダゾール、グリシン、グリシルグリシン、グリシンアミド、リン酸、酢酸(例えば、酢酸ナトリウム)、乳酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸およびコハク酸の酸および塩からなる群から選択される少なくとも1つの構成成分を含む緩衝剤を含む水溶液である。緩衝剤は、2つ以上の構成成分の混合物を含むことができ、混合物は、特定の範囲のpH値をもたらすことが可能であることを理解すべきである。例として、酢酸と酢酸ナトリウム等を挙げることができる。洗浄ステップ(b)を、1つ、2つまたはいくつかの異なる洗浄用緩衝液を使用することによってまたは勾配洗浄用緩衝液を適用することによって実施することができることをさらに理解すべきである。また、洗浄ステップと溶出ステップとは、個別のステップである必要はないが、特に、溶出ステップにおいて、勾配溶出用緩衝液を活用する場合には、それらを組み合わせることができることにも注目すべきである。
本発明の方法(ステップ(a)および(b))から得られる生成物は、望ましい場合には、さらなる従来の精製および単離のステップを経ることができる。
本発明の現在好ましい実施形態
現在好ましい一実施形態では、本発明は、インスリン含有溶液のタンパク質構成成分を分離するためのクロマトグラフィーによる方法を提供し、前記溶液は、亜鉛および二価の亜鉛イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であるインスリンペプチドを含み、前記方法は、
a.インスリン含有溶液をアニオン交換クロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用するステップであって、目的のインスリンペプチドの充填が、1リットルのカラム体積当たり少なくとも6.0g(g/Lcv)であるステップと、
b.前記固相材料から目的のインスリンペプチドを、最大でも6.8のpHを有する溶離剤により溶出し、ステップ(a)においてカラムに適用した目的のインスリンペプチドの少なくとも90質量%に相当する目的のインスリンペプチドのプールを収集するステップと
を含む。
上記の一実施形態では、二価または多価の金属イオン、例えば、Zn2+イオンとインスリンペプチドとの間の電荷当量の比が、典型的には、1:6〜20:6、例として、2:6〜15:6、例えば、3:6〜10:6または3:6〜5:6または7:6〜9:6である。
本発明を、以下のパラグラフに要約する。
1.タンパク質含有溶液のタンパク質構成成分を分離するためのクロマトグラフィーによる方法であって、前記溶液が、インスリンペプチド、および1つまたは複数の二価または多価の金属イオンを含み、前記インスリンペプチドが、二価または多価の金属イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であり、前記方法が、
a.タンパク質含有溶液をクロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用するステップであって、インスリンペプチドの充填が、1リットルのカラム体積当たり少なくとも6.0g(g/Lcv)であるステップと、
b.前記固相材料からインスリンペプチドを、最大でも8.5のpHを有する溶離剤により溶出し、ステップ(a)においてカラムに適用したインスリンペプチドの少なくとも75質量%に相当するインスリンペプチドのプールを収集するステップと
を含む方法。
2.二価または多価の金属イオンが、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Ni2+、Cu2+、Ba2+、好ましくは、Zn2+から選択される、パラグラフ1に記載の方法。
3.溶液中の二価または多価の金属イオンの濃度が、0.01〜200mM、例として、0.1〜100mM、例えば、0.5〜75mMの範囲である、パラグラフ1または2のいずれか1つに記載の方法。
4.二価または多価の金属イオンとインスリンペプチドとの間の電荷当量の比が、典型的には、0.1:1〜50:1、例として、0.3:1〜20:1、例えば、0.4:1〜15:1または0.5:1〜10:1である、パラグラフ1から3のいずれか1つに記載の方法。
5.タンパク質含有溶液の導電率が、0〜100mS/cm、例として、0〜50mS/cm、例えば、0〜30mS/cmまたは0.01〜100mS/cm、例として、0.05〜50mS/cm、例えば、0.1〜30mS/cmの範囲である、パラグラフ1から4のいずれか1つに記載の方法。
6.固相材料が、イオン交換クロマトグラフィーの材料、特に、アニオン交換クロマトグラフィーの材料等の、イオン交換クロマトグラフィーの材料(IEC)、逆相クロマトグラフィーの材料(RPC)、疎水性相互作用クロマトグラフィーの材料(HIC)から選択される、パラグラフ1から5のいずれか1つに記載の方法。
7.インスリンペプチドの充填が、少なくとも7.0g/Lcv、もしくは少なくとも8.0g/Lcv、もしくは少なくとも8.5g/Lcv、または6.0〜50g/Lcv、もしくは7.0〜40g/Lcv、もしくは8.0〜30g/Lcv、例として、8.5〜25g/Lcv、例として、9.0〜20g/Lcv、もしくは9.5〜15g/Lcvである、パラグラフ1から6のいずれか1つに記載の方法。
8.溶離剤のpHが、最大でも8.5、例として、最大でも8.0、もしくは最大でも7.5、もしくは最大でも7.0、もしくは最大でも6.9、または少なくとも6.8、もしくは少なくとも6.7、もしくは少なくとも6.6、もしくは少なくとも6.5、例えば、4.5〜8.5、または4.5〜8.0、または4.5〜7.5、または4.5〜7.0、例として、4.6〜8.0、または4.6〜7.5、または4.6〜7.0、または4.6〜6.9、または4.7〜7.5、または4.7〜7.0、または4.7〜6.7、または4.8〜7.5、または4.8〜7.0、または4.8〜6.6、または4.9〜6.5、または5.0〜6.4の範囲である、パラグラフ1から7のいずれか1つに記載の方法。
9.溶離剤のpHが、インスリンペプチドのpIよりも最大でも2.1単位高い、例えば、最大でも1.9単位より高い、例として、最大でも1.7単位より高い、パラグラフ1から8のいずれか1つに記載の方法。
10.ステップ(b)において収集したインスリンペプチドのプールが、ステップ(a)においてカラムに適用したインスリンペプチドの少なくとも80質量%、例として、少なくとも85質量%、または少なくとも90質量%、または少なくとも91質量%、または少なくとも92質量%、または少なくとも93質量%、または少なくとも94質量%、または少なくとも95質量%、または少なくとも96質量%に相当する、パラグラフ1から9のいずれか1つに記載の方法。
11.溶離剤中の二価または多価の金属イオンの濃度が、0.1〜200mM、例として、0.5〜100mM、または、1.0〜60mMの範囲である、パラグラフ1から10のいずれか1つに記載の方法。
12.溶離剤中の二価または多価の金属イオンとインスリンペプチドとの間の電荷当量の比が、0.1:1〜50:1、例として、0.3:1〜20:1、例えば、0.4:1〜15:1または0.5:1〜10:1である、パラグラフ1から11のいずれか1つに記載の方法。
13.溶離剤が、Zn2+イオンを、例えば、0.01〜200mM、例として、0.1〜100mM、例えば、0.5〜75mMの範囲の濃度で含む、パラグラフ1から12のいずれか1つに記載の方法。
14.インスリンペプチドが、そのバリアントを含めて、インスリンペプチド、グルカゴン様ペプチドおよびエキセンディンから、特に、そのバリアントを含めて、インスリンペプチドから選択される、パラグラフ1から13のいずれか1つに記載の方法。
15.タンパク質含有溶液が、亜鉛を用いて結晶化したインスリンペプチドから得られる、パラグラフ1から14のいずれか1つに記載の方法。
16.大規模な方法であり、カラム体積が、少なくとも1L、または少なくとも10L、または少なくとも20L、または少なくとも50L、または少なくとも100L、例として、少なくとも500L、例えば、少なくとも1000L、または少なくとも5000Lである、パラグラフ1から15のいずれか1つに記載の方法。
17.インスリンペプチドが、天然に存在するインスリンまたはその類似体であるインスリン誘導体であって、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基または親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に結合された側鎖を有するインスリン誘導体から選択され、側鎖が、一般式:
-W-X-Y-Z
[式中、Wは、
- 側鎖中にカルボン酸基を有し、そのカルボン酸基のうちの1つを用いて、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基と一緒になってもしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と一緒になって、アミド基を形成するα-アミノ酸残基、
- アミド結合を介して一緒になって連結された2、3もしくは4つのα-アミノ酸残基から構成され、アミド結合を介して、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に連結される鎖{Wのアミノ酸残基は、中性の側鎖を有するアミノ酸残基、および側鎖中にカルボン酸基を有する(したがって、Wが、側鎖中にカルボン酸基を有する少なくとも1つのアミノ酸残基を有する)アミノ酸残基の群から選択される}、または
- Xから、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基への共有結合
であり、
Xは、
a)Wが、アミノ酸残基もしくはアミノ酸残基の鎖である場合、下線を引いたカルボニル炭素からの結合を介して、W中のアミノ基とアミド結合が形成する、または
b)Wが、共有結合である場合、下線を引いたカルボニル炭素からの結合を介して、親インスリンのB鎖中のN末端のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基とアミド結合が形成する、
- -CO-;
- -CH(COOH)CO-;
- -N(CH2COOH)CH2 CO-;
- -N(CH2COOH)CH2CON(CH2COOH)CH2 CO-;
- -N(CH2CH2COOH)CH2CH2 CO-;
- -N(CH2CH2COOH)CH2CH2CON(CH2CH2COOH)CH2CH2 CO-;
- -NHCH(COOH)(CH2)4NHCO-;
- -N(CH2CH2COOH)CH2 CO-;または
- -N(CH2COOH)CH2CH2 CO-
であり、
Yは、
- -(CH2)m-{式中、mは、6〜32の範囲の整数である}、
- 1、2または3つの-CH=CH-基および鎖中の炭素原子の総数を10〜32の範囲になすのに十分な数の-CH2-基を含む二価の炭化水素鎖、
- 式-(CH2)vC6H4(CH2)w-{式中、vおよびwが整数であるかまたはそれらのうちの1つがゼロであり、vとwとの和が、6〜30の範囲にある}の二価の炭化水素鎖
であり、
Zは、
- -COOH;
- -CO-Asp;
- -CO-Glu;
- -CO-Gly;
- -CO-Sar;
- -CH(COOH)2;
- -N(CH2COOH)2;
- -SO3H;または
- -PO3H;
である]
を有する、パラグラフ1から16のいずれかに記載の方法。
18.インスリンペプチドが、LysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンである、パラグラフ1から17のいずれかに記載の方法。
19.インスリンペプチドが、
式:
[式中、
Insは、親インスリン部分であり、Q1-Q2-[CH2]n-X1-[CH2]n-Q3-[CH2]n-X2-[CH2]n-Q4-[CH2]n-X3-[CH2]n-Q5-[CH2]n-Zは、置換基であり、この場合、Insが、InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基またはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と、置換基のQ1またはQ2中のCO基との間のアミド結合を介して、置換基に結合し、
それぞれのnは独立に、0、1、2、3、4、5または6であり、
Q1は、
- アミノ酸と側鎖中のカルボン酸とのアミノ酸アミド、または無電荷の側鎖を有するアミノ酸{このアミノ酸アミドまたはアミノ酸は、そのカルボン酸基を用いて、InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基と一緒になってかまたはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と一緒になって、アミド基を形成する}、あるいは
- アミド結合を介して一緒になって連結された、前記の2、3または4つのα-アミノ酸アミドまたはアミノ酸の残基から構成され、-アミド結合を介して-InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基またはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に連結される鎖、あるいは
- 結合
であり、
Q2は、
- -COCH(CONH2)-
- -COCH2N(CH2CONH2)-
- -COCH2N(CH2CONH2)COCH2N(CH2CONH2)
- -COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-
- -COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-
- -COCH2N(CH2CH2CONH2)-
- -COCH2CH2N(CH2CONH2)-
- -COCH2OCH2CONH-
- -CO-((CR5R6)1-6 -NH-CO)1-4-;
- -CO-((CR5R6)1-6 -CO-NH)1-4-、{式中、R5は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3もしくは-CONH2であり得、R6は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3であり得る}、または
- 結合
であり、
ただし、
- Q1またはQ2のうちの少なくとも1つは、結合ではなく、
- nが、0または1であり、X 1 が、結合であり、Q 3 が、(CH 2 CH 2 O) 2 -、(CH 2 CH 2 O) 3 -または(CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 CH 2 O)-である場合には、Q 2 は、-CO-(CH2)2-CO-NH-ではなく、
- Q1またはQ2中のアミンが、置換基の残りと結合を形成する場合には、アミンは、カルボニル基を介して、置換基の残りに結合しなければならず、
Q3、Q4およびQ5は相互に独立に、
- -(CH2)m-{式中、mは、6〜32の範囲の整数である}、
- 1、2もしくは3つの-CH=CH-基および鎖中の炭素原子の総数を4〜32の範囲になすのに十分な数の-CH2-基を含む二価の炭化水素鎖、
- -CO-((CR5R6)1-6-NH-CO)-、
- -(CO-(CR5R6)1-6-CO-NH)1-4-{式中、R5は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3もしくは-CONH2であり得、R6は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3であり得る}、
- -CO-(CH2)0-3-Ar-(CH2)0-3-{式中、Arは、アリーレンもしくはヘテロアリーレンであり得、アリーレンもしくはヘテロアリーレンは、-CH3、-(CH)1-6-CH3、-CONR1R2もしくは-SO2NR1R2(式中、R1およびR2は相互に独立に、H、-CH3もしくは-(CH)1-6-CH3であり得る)からなる群から選択される1つもしくは2つの基で置換され得る}、
- (CH2CH2O)y-、(CH2CH2CH2O)y-、(CH2CH2CH2CH2O)y-、(CH2CH2OCH2CH2CH2CH2O)y-もしくは(CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2O)y-、-(CH2OCH2)y-{式中、yは、1〜20である}、
- -CH3、-(CH)1-6-CH3、-CONR1R2もしくは-SO2NR1R2{式中、R1およびR2は相互に独立に、H、-CH3もしくは-(CH)1-6-CH3であり得る}からなる群から選択される1つもしくは2つの基で置換され得るアリーレンもしくはヘテロアリーレン、
- 式:
-(CH2)s-Y1-(Ar)v1-Y2-(CH2)W-Y3-(Ar)v2-Y4-(CH2)t-Y5-(Ar)v3-Y6-(CH2)Z-
{式中、Arは、上記に従って定義され、Y1〜Y6は相互に独立に、O、S、S=O、SO2もしくは結合であり得、s、w、tおよびzは相互に独立に、ゼロもしくは1〜10の整数であり、したがって、s、w、tおよびzの和は、4〜30の範囲に及び、v1、v2およびv3は相互に独立に、ゼロもしくは1であり得、ただし、Y1〜Y6は、相互に連結せず、構造-O-(CH2)1-O-は生じない}
の鎖、または
- 結合
であり得、
ただし、Q3〜Q5のうちの少なくとも1つは、結合でなく、
X1、X2およびX3は相互に独立に、
- O、
- -C=O、
- 結合、
- NCOR1{式中、R1は、H、-CH3または-(CH)1-6-CH3であり得る}、
-
{式中、Rは、水素、C1-3-アルキル、C2-3-アルケニルまたはC2-3-アルキニルである}
であり、
ただし、
X1、X2およびX3は、Zに結合し得ず、
X1、X2およびX3がOである場合には、X1、X2およびX3は、Q3、Q4およびQ5中のOには直接結合せず、
Zは、-COOH、-CO-Asp、-CO-Glu、-CO-Gly、-CO-Sar、-CH(COOH)2、-N(CH2COOH)2、-SO3H、-OSO3H、-OPO3H2、-PO3H2、-テトラゾル-5-イルまたは-O-W1
{式中、W1は、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、アリーレンまたはヘテロアリーレンは、テトラゾル-5-イル(tetrazo-5-lyl)、-COOH、-SO3H、-(CH2)1-6-SO3H、-(CH2)1-6-O-PO3H2、-CONR3R4または-SO2NR3R4(式中、R3およびR4は相互に独立に、H、-(CH2)1-6-SO3Hまたは-(CH2)1-6-O-PO3H2であり得る)からなる群から選択される1つまたは2つの基で置換され得、ただし、Zが、-O-W1である場合には、Q1は、存在しなければならない}
である]
を有するインスリン誘導体および任意のそのZn2+複合体である、パラグラフ1から16に記載の方法。
20.インスリンペプチドが、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-テトラデカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-トリデカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-β-アラニルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-γ-L-アスパルチルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-ε-アミノヘキサノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-δ-アミノペンタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-10-(4-カルボキシフェノキシ)-デカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-4-[11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイルアミノ]ブチリルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-(3-(3-{4-[3-(7-カルボキシヘプタノイルアミノ)プロポキシ]ブトキシ}プロピルカルバモイル)-プロピオニル-γ-グルタミルアミド)desB30ヒトインスリン、
ΝεB29-ω-カルボキシ-トリデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ウンデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-テトラデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-{4-[10-(4-カルボキシ-フェノキシ)-デカノイルアミノ]-ブチリル}desB30インスリン、
NεB29-{4-[(14-カルボキシ-テトラデカノイルアミノ)-メチル]-ベンゾイル}desB30インスリン、
NεB29-[16-(4-カルボキシ-フェノキシ)-ヘキサデカノイル]desB30インスリン、
NεB29-{4-[(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ベンゾイル]-desB30ヒトインスリンおよびNεB29-{4-[(15-カルボキシ-ペンタデカノイルアミノ)-メチル]-ベンゾイル}-desB30インスリンからなる群から選択される、パラグラフ1から16および19に記載の方法。
21.インスリン含有溶液のタンパク質構成成分を分離するためのクロマトグラフィーによる方法であって、前記溶液が、亜鉛および二価の亜鉛イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であるインスリンペプチドを含み、前記方法が、
a.インスリン含有溶液をアニオン交換クロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用するステップであって、目的のインスリンペプチドの充填が、1リットルのカラム体積当たり少なくとも6.0g(g/Lcv)であるステップと、
b.前記固相材料から目的のインスリンペプチドを、最大でも6.8のpHを有する溶離剤により溶出し、ステップ(a)においてカラムに適用した目的のインスリンペプチドの少なくとも90質量%に相当する目的のインスリンペプチドのプールを収集するステップと
を含む方法。
22.溶液中の亜鉛イオンの濃度が、0.01〜200mM、例として、0.1〜100mM、例えば、0.5〜75mMの範囲である、パラグラフ21に記載の方法。
23.亜鉛イオンとインスリンペプチドとの間の電荷当量の比が、典型的には、0.1:1〜50:1、例として、0.3:1〜20:1、例えば、0.4:1〜15:1または0.5:1〜10:1である、パラグラフ21から22のいずれか1つに記載の方法。
24.インスリン含有溶液の導電率が、0〜100mS/cm、例として、0〜50mS/cm、例えば、0〜30mS/cmまたは0.01〜100mS/cm、例として、0.05〜50mS/cm、例えば、0.1〜30mS/cmの範囲である、パラグラフ21から23のいずれか1つに記載の方法。
25.インスリンペプチドの充填が、少なくとも7.0g/Lcv、もしくは少なくとも8.0g/Lcv、もしくは少なくとも8.5g/Lcv、または6.0〜50g/Lcv、もしくは7.0〜40g/Lcv、もしくは8.0〜30g/Lcv、例として、8.5〜25g/Lcv、例として、9.0〜20g/Lcvもしくは9.5〜15g/Lcvである、パラグラフ21から24のいずれか1つに記載の方法。
26.溶離剤のpHが、最大でも6.8、例として、最大でも6.6、もしくは最大でも6.4、もしくは最大でも6.2、もしくは最大でも6.0、または少なくとも4.0、もしくは少なくとも4.4、もしくは少なくとも4.8、もしくは少なくとも5.0、例えば、4.0〜6.8、または4.4〜6.8、または4.8〜6.8、または4.0〜6.8、例として、4.0〜6.6、または4.0〜6.4、または4.0〜6.2、または4.0〜6.0、または4.4〜6.8、または4.4〜6.6、または4.4〜6.4、または4.8〜6.8、または4.8〜6.6、または4.8〜6.2、または5.0〜6.8または5.0〜6.6の範囲である、パラグラフ21から25のいずれか1つに記載の方法。
27.溶離剤のpHが、目的のタンパク質のpIよりも最大でも2.1単位高い、例えば、最大でも1.9単位より高い、例として、最大でも1.7単位より高い、パラグラフ21から26のいずれか1つに記載の方法。
28.ステップ(b)において収集するインスリンペプチドのプールが、ステップ(a)においてカラムに適用したインスリンペプチドの少なくとも91質量%、または少なくとも92質量%、または少なくとも93質量%、または少なくとも94質量%、または少なくとも95質量%、または少なくとも96質量%に相当する、パラグラフ21から27のいずれか1つに記載の方法。
29.溶離剤中の亜鉛イオンの濃度が、0.1〜200mM、例として、0.5〜100mM、または、1.0〜60mMの範囲である、パラグラフ21から28のいずれか1つに記載の方法。
30.溶離剤中の亜鉛イオンとインスリンペプチドとの間の電荷当量の比が、0.1:1〜50:1、例として、0.3:1〜20:1、例えば、0.4:1〜15:1または0.5:1〜10:1である、パラグラフ21から29のいずれか1つに記載の方法。
31.溶離剤が、Zn2+イオンを、例えば、0.01〜200mM、例として、0.1〜100mM、例えば、0.5〜75mMの範囲の濃度で含む、パラグラフ21から30のいずれか1つに記載の方法。
32.大規模な方法であり、カラム体積が、少なくとも1L、または少なくとも10L、または少なくとも20L、または少なくとも50L、または少なくとも100L、例として、少なくとも500L、例えば、少なくとも1000L、または少なくとも5000Lである、パラグラフ21から31のいずれか1つに記載の方法。
33.1つ、2つまたはいくつかの洗浄用緩衝液を使用する洗浄ステップが、ステップ(a)の後かつ溶出ステップ(b)の前に含まれる、パラグラフ21から32のいずれか1つに記載の方法。
34.洗浄用緩衝液が、MES、PIPES、ACES、BES、TES、HEPES、TRIS、ヒスチジン、イミダゾール、グリシン、グルシルグリシン、グリシンアミド、リン酸、酢酸(例えば、酢酸ナトリウム)、乳酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸およびコハク酸の酸および塩からなる群から選択される少なくとも1つの構成成分を含む緩衝剤を含む水溶液である、パラグラフ21から33のいずれか1つに記載の方法。
35.緩衝剤が、2つ以上の構成成分の混合物を含み、混合物が、特定の範囲のpH値を、例えば、酢酸および/または酢酸ナトリウムとの混合物によりもたらすことが可能である、パラグラフ21から34のいずれか1つに記載の方法。
36.インスリンペプチドが、天然に存在するインスリンまたはその類似体であるインスリン誘導体であって、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基または親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に結合された側鎖を有するインスリン誘導体および任意のそのZn2+複合体から選択され、側鎖が、一般式:
-W-X-Y-Z
[式中、Wは、
- 側鎖中にカルボン酸基を有し、そのカルボン酸基のうちの1つを用いて、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基と一緒になってもしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と一緒になって、アミド基を形成するα-アミノ酸残基、
- アミド結合を介して一緒になって連結された2、3もしくは4つのα-アミノ酸残基から構成され、アミド結合を介して、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に連結される鎖{Wのアミノ酸残基は、中性の側鎖を有するアミノ酸残基、および側鎖中にカルボン酸基を有する(したがって、Wが、側鎖中にカルボン酸基を有する少なくとも1つのアミノ酸残基を有する)アミノ酸残基の群から選択される}、または
- Xから、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基への共有結合
であり、
Xは、
a)Wが、アミノ酸残基もしくはアミノ酸残基の鎖である場合、下線を引いたカルボニル炭素からの結合を介して、W中のアミノ基とアミド結合を形成する、または
b)Wが、共有結合である場合、下線を引いたカルボニル炭素からの結合を介して、親インスリンのB鎖中のN末端のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基とアミド結合を形成する、
- -CO-;
- -CH(COOH)CO-;
- -N(CH2COOH)CH2 CO-;
- -N(CH2COOH)CH2CON(CH2COOH)CH2 CO-;
- -N(CH2CH2COOH)CH2CH2 CO-;
- -N(CH2CH2COOH)CH2CH2CON(CH2CH2COOH)CH2CH2 CO-;
- -NHCH(COOH)(CH2)4NHCO-;
- -N(CH2CH2COOH)CH2 CO-;または
- -N(CH2COOH)CH2CH2 CO-
であり、
Yは、
- -(CH2)m-{式中、mは、6〜32の範囲の整数である}、
- 1、2または3つの-CH=CH-基および鎖中の炭素原子の総数を10〜32の範囲になすのに十分な数の-CH2-基を含む二価の炭化水素鎖、
- 式-(CH2)vC6H4(CH2)w-{式中、vおよびwが整数であるかまたはそれらのうちの1つがゼロであり、したがって、vとwとの和が、6〜30の範囲にある}の二価の炭化水素鎖
であり、
Zは、
- -COOH;
- -CO-Asp;
- -CO-Glu;
- -CO-Gly;
- -CO-Sar;
- -CH(COOH)2;
- -N(CH2COOH)2;
- -SO3H;または
- -PO3H;
である]
を有する、パラグラフ21から35のいずれかに記載の方法。
37.インスリンペプチドが、LysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンである、パラグラフ21から36のいずれかに記載の方法。
38.インスリン含有溶液のタンパク質構成成分を分離するためのパラグラフ21から37のいずれかに記載のクロマトグラフィーによる方法であって、前記溶液が、LysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンおよび二価の亜鉛イオンを含み、前記方法が、
a.インスリン含有溶液をアニオン交換クロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用するステップであって、目的のインスリンペプチドの充填が、1リットルのカラム体積当たり少なくとも6.0g(g/Lcv)であるステップと、
b.前記固相材料から目的のインスリンペプチドを、6.4〜6.8の範囲のpHを有する溶離剤により溶出し、ステップ(a)においてカラムに適用したLysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンの少なくとも90質量%に相当するLysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンのプールを収集するステップと
を含む方法。
39.エタノールおよびトリエタノールアミンを含む洗浄用緩衝液を使用する洗浄ステップが、ステップ(a)の後かつ溶出ステップ(b)の前に含まれる、パラグラフ1および38に記載の方法。
40.インスリンペプチドが、
式:
[式中、
Insは、親インスリン部分であり、Q1-Q2-[CH2]n-X1-[CH2]n-Q3-[CH2]n-X2-[CH2]n-Q4-[CH2]n-X3-[CH2]n-Q5-[CH2]n-Zは、置換基であり、この場合、Insが、InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基またはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と、置換基のQ1またはQ2中のCO基との間のアミド結合を介して、置換基に結合し、
それぞれのnは独立に、0、1、2、3、4、5または6であり、
Q1は、
- アミノ酸と側鎖中のカルボン酸とのアミノ酸アミド、または無電荷の側鎖を有するアミノ酸{このアミノ酸アミドまたはアミノ酸は、そのカルボン酸基を用いて、InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基と一緒になってかまたはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と一緒になって、アミド基を形成する}、あるいは
- アミド結合を介して一緒になって連結された、前記の2、3または4つのα-アミノ酸アミドまたはアミノ酸の残基から構成され、-アミド結合を介して-InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基にかまたはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に連結される鎖、あるいは
- 結合
であり、
Q2は、
- -COCH(CONH2)-
- -COCH2N(CH2CONH2)-
- -COCH2N(CH2CONH2)COCH2N(CH2CONH2)
- -COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-
- -COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-
- -COCH2N(CH2CH2CONH2)-
- -COCH2CH2N(CH2CONH2)-
- -COCH2OCH2CONH-
- -CO-((CR5R6)1-6 -NH-CO)1-4-;
- -CO-((CR5R6)1-6 -CO-NH)1-4-、{式中、R5は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3もしくは-CONH2であり得、R6は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3であり得る}、または
- 結合
であり、
ただし、
- Q1またはQ2のうちの少なくとも1つは、結合ではなく、
- nが、0または1であり、X 1 が、結合であり、Q 3 が、(CH 2 CH 2 O) 2 -、(CH 2 CH 2 O) 3 -または(CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 CH 2 O)-である場合には、Q 2 は、-CO-(CH2)2-CO-NH-ではなく、
- Q1またはQ2中のアミンが、置換基の残りと結合を形成する場合には、アミンは、カルボニル基を介して、置換基の残りに結合しなければならず、
Q3、Q4およびQ5は相互に独立に、
- -(CH2)m-{式中、mは、6〜32の範囲の整数である}、
- 1、2もしくは3つの-CH=CH-基および鎖中の炭素原子の総数を4〜32の範囲になすのに十分な数の-CH2-基を含む二価の炭化水素鎖、
- -CO-((CR5R6)1-6-NH-CO)-、
- -(CO-(CR5R6)1-6-CO-NH)1-4-{式中、R5は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3もしくは-CONH2であり得、R6は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3であり得る}、
- -CO-(CH2)0-3-Ar-(CH2)0-3-{式中、Arは、アリーレンもしくはヘテロアリーレンであり得、アリーレンもしくはヘテロアリーレンは、-CH3、-(CH)1-6-CH3、-CONR1R2もしくは-SO2NR1R2(式中、R1およびR2は相互に独立に、H、-CH3もしくは-(CH)1-6-CH3であり得る)からなる群から選択される1つもしくは2つの基で置換され得る}、
- (CH2CH2O)y-、(CH2CH2CH2O)y-、(CH2CH2CH2CH2O)y-、(CH2CH2OCH2CH2CH2CH2O)y-もしくは(CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2O)y-、-(CH2OCH2)y-{式中、yは、1〜20である}、
- -CH3、-(CH)1-6-CH3、-CONR1R2もしくは-SO2NR1R2{式中、R1およびR2は相互に独立に、H、-CH3もしくは-(CH)1-6-CH3であり得る}からなる群から選択される1つもしくは2つの基で置換され得るアリーレンもしくはヘテロアリーレン、
- 式:
-(CH2)s-Y1-(Ar)v1-Y2-(CH2)W-Y3-(Ar)v2-Y4-(CH2)t-Y5-(Ar)v3-Y6-(CH2)Z-
{式中、Arは、上記に従って定義され、Y1〜Y6は相互に独立に、O、S、S=O、SO2もしくは結合であり得、s、w、tおよびzは相互に独立に、ゼロもしくは1〜10の整数であり、したがって、s、w、tおよびzの和は、4〜30の範囲に及び、v1、v2およびv3は相互に独立に、ゼロもしくは1であり得、ただし、Y1〜Y6は、相互に連結せず、構造-O-(CH2)1-O-は生じない}
の鎖、または
- 結合
であり得、
ただし、Q3〜Q5のうちの少なくとも1つは、結合でなく、
X1、X2およびX3は相互に独立に、
- O、
- -C=O、
- 結合、
- NCOR1{式中、R1は、H、-CH3または-(CH)1-6-CH3であり得る}、または
-
{式中、Rは、水素、C1-3-アルキル、C2-3-アルケニルまたはC2-3-アルキニルである}
であり、
ただし、
X1、X2およびX3は、Zに結合し得ず、
X1、X2およびX3がOである場合には、X1、X2およびX3は、Q3、Q4およびQ5中のOには直接結合せず、
Zは、-COOH、-CO-Asp、-CO-Glu、-CO-Gly、-CO-Sar、-CH(COOH)2、-N(CH2COOH)2、-SO3H、-OSO3H、-OPO3H2、-PO3H2、-テトラゾル-5-イルまたは-O-W1
{式中、W1は、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、アリーレンまたはヘテロアリーレンは、テトラゾル-5-イル、-COOH、-SO3H、-(CH2)1-6-SO3H、-(CH2)1-6-O-PO3H2、-CONR3R4または-SO2NR3R4(式中、R3およびR4は相互に独立に、H、-(CH2)1-6-SO3Hまたは-(CH2)1-6-O-PO3H2であり得る)からなる群から選択される1つまたは2つの基で置換され得、ただし、Zが、-O-W1である場合には、Q1は、存在しなければならない}
である]
を有するインスリン誘導体および任意のそのZn2+複合体である、パラグラフ21から35に記載の方法。
41.インスリンペプチドが、NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-テトラデカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-トリデカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-β-アラニルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-γ-L-アスパルチルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-ε-アミノヘキサノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-δ-アミノペンタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-10-(4-カルボキシフェノキシ)-デカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-4-[11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイルアミノ]ブチリルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-(3-(3-{4-[3-(7-カルボキシヘプタノイルアミノ)プロポキシ]ブトキシ}プロピルカルバモイル)-プロピオニル-γ-グルタミルアミド)desB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-トリデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ウンデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-テトラデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-{4-[10-(4-カルボキシ-フェノキシ)-デカノイルアミノ]-ブチリル}desB30インスリン、
NεB29-{4-[(14-カルボキシ-テトラデカノイルアミノ)-メチル]-ベンゾイル}desB30インスリン、
NεB29-[16-(4-カルボキシ-フェノキシ)-ヘキサデカノイル]desB30インスリン、
NεB29-{4-[(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ベンゾイル]-desB30ヒトインスリンおよびNεB29-{4-[(15-カルボキシ-ペンタデカノイルアミノ)-メチル]-ベンゾイル}-desB30インスリンからなる群から選択される、パラグラフ21〜35および40に記載の方法。
42.二価または多価の金属イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であるインスリンペプチドのイオン交換クロマトグラフィーにおいて、
a.インスリンペプチドと関連のある不純物との最適な分離を得るための二価または多価の金属イオンを使用することによって、ピークの形状を制御する方法であって、
二価の金属イオンが、インスリンペプチドのフロンティングピークの形状を確保するために添加されており、この場合、関連のある不純物は、インスリンペプチドの前に溶出する方法。
43.二価または多価の金属イオンが、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Ni2+、Cu2+、Ba2+、好ましくは、Zn2+から選択される、パラグラフ42に記載の方法。
44.インスリンペプチドが、最大でも6.8、例として、最大でも6.6、もしくは最大でも6.4、もしくは最大でも6.2、もしくは最大でも6.0、または少なくとも4.0、もしくは少なくとも4.4、もしくは少なくとも4.8、もしくは少なくとも5.0、例えば、4.0〜6.8、または4.4〜6.8、または4.8〜6.8、または4.0〜6.8、例として、4.0〜6.6、または4.0〜6.4、または4.0〜6.2、または4.0〜6.0、または4.4〜6.8、または4.4〜6.6、または4.4〜6.4、または4.8〜6.8、または4.8〜6.6、または4.8〜6.2、または5.0〜6.8、または5.0〜6.6の範囲のpHを有する溶離剤を用いて溶出される、パラグラフ42および43に記載の方法。
45.二価または多価の金属イオンの数が、6分子のインスリンペプチド当たり4個超の金属イオンである、パラグラフ42から44のいずれか1つに記載の方法。
46.二価または多価の金属イオンの数が、6分子のインスリンペプチド当たり4.5個超の金属イオンである、パラグラフ42から45のいずれか1つに記載の方法。
47.二価または多価の金属イオンの数が、6分子のインスリンペプチド当たり5個超の金属イオン、6分子のインスリンペプチド当たり5.5個超の金属イオン、6分子のインスリンペプチド当たり6個超の金属イオン、または6分子のインスリンペプチド当たり6.5個超の金属イオンである、パラグラフ42から46のいずれか1つに記載の方法。
48.二価または多価の金属イオンの数が、6分子のインスリンペプチド当たり最高12個の金属イオンである、パラグラフ42から47のいずれか1つに記載の方法。
49.二価または多価の金属イオンとインスリンペプチドとの間の電荷当量の比が、典型的には、0.1:1〜50:1、例として、0.3:1〜20:1、例えば、0.4:1〜15:1または0.5:1〜10:1である、パラグラフ42から48のいずれか1つに記載の方法。
50.インスリン含有溶液の導電率が、0〜100mS/cm、例として、0〜50mS/cm、例えば、0〜30mS/cmまたは0.01〜100mS/cm、例として、0.05〜50mS/cm、例えば、0.1〜30mS/cmの範囲である、パラグラフ42から49のいずれか1つに記載の方法。
51.溶離剤のpHが、目的のタンパク質のpIよりも最大でも2.1単位高い、例えば、最大でも1.9単位より高い、例として、最大でも1.7単位より高い、パラグラフ42から50のいずれか1つに記載の方法。
52.フロンティングピークの形状が制御され、その結果、少なくとも90質量%、または少なくとも91質量%、または少なくとも92質量%、または少なくとも93質量%、または少なくとも94質量%、または少なくとも95質量%、または少なくとも96質量%のインスリンペプチドが、関連のある不純物から分離される、パラグラフ42から51のいずれか1つに記載の方法。
53.溶離剤中の二価または多価の金属イオンの濃度が、0.1〜200mM、例として、0.5〜100mM、または1.0〜60mMの範囲である、パラグラフ42から52のいずれか1つに記載の方法。
54.溶離剤中の二価または多価の金属イオンと目的のタンパク質との間の電荷当量の比が、0.1:1〜50:1、例として、0.3:1〜20:1、例えば、0.4:1〜15:1、または0.5:1〜10:1である、パラグラフ42から53のいずれか1つに記載の方法。
55.溶離剤が、Zn2+イオンを、例えば、0.01〜200mM、例として、0.1〜100mM、例えば、0.5〜75mMの範囲の濃度で含む、パラグラフ42から54のいずれか1つに記載の方法。
56.インスリンペプチドを、亜鉛イオンを用いて自己会合させる、パラグラフ42から55のいずれか1つに記載の方法。
57.インスリンペプチドが、天然に存在するインスリンまたはその類似体であるインスリン誘導体であって、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基または親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に結合された側鎖を有するインスリン誘導体および任意のそのZn2+複合体から選択され、側鎖が、一般式:
-W-X-Y-Z
[式中、Wは、
- 側鎖中にカルボン酸基を有し、そのカルボン酸基のうちの1つを用いて、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基と一緒になってもしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と一緒になって、アミド基を形成するα-アミノ酸残基、
- アミド結合を介して一緒になって連結された2、3もしくは4つのα-アミノ酸残基から構成され、アミド結合を介して、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に連結される鎖{Wのアミノ酸残基は、中性の側鎖を有するアミノ酸残基、および側鎖中にカルボン酸基を有する(したがって、Wが、側鎖中にカルボン酸基を有する少なくとも1つのアミノ酸残基を有する)アミノ酸残基の群から選択される}、または
- Xから、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基への共有結合
であり、
Xは、
a)Wが、アミノ酸残基もしくはアミノ酸残基の鎖である場合、下線を引いたカルボニル炭素からの結合を介して、W中のアミノ基とアミド結合を形成する、または
b)Wが、共有結合である場合、下線を引いたカルボニル炭素からの結合を介して、親インスリンのB鎖中のN末端のα-アミノ基ともしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基とアミド結合を形成する、
- -CO-;
- -CH(COOH)CO-;
- -N(CH2COOH)CH2 CO-;
- -N(CH2COOH)CH2CON(CH2COOH)CH2 CO-;
- -N(CH2CH2COOH)CH2CH2 CO-;
- -N(CH2CH2COOH)CH2CH2CON(CH2CH2COOH)CH2CH2 CO-;
- -NHCH(COOH)(CH2)4NHCO-;
- -N(CH2CH2COOH)CH2 CO-;または
- -N(CH2COOH)CH2CH2 CO-
であり、
Yは、
- -(CH2)m-{式中、mは、6〜32の範囲の整数である}、
- 1、2または3つの-CH=CH-基および鎖中の炭素原子の総数を10〜32の範囲になすのに十分な数の-CH2-基を含む二価の炭化水素鎖、
- 式-(CH2)vC6H4(CH2)w-{式中、vおよびwが整数であるかまたはそれらのうちの1つがゼロであり、したがって、vとwとの和が、6〜30の範囲にある}の二価の炭化水素鎖
であり、
Zは、
- -COOH;
- -CO-Asp;
- -CO-Glu;
- -CO-Gly;
- -CO-Sar;
- -CH(COOH)2;
- -N(CH2COOH)2;
- -SO3H;または
- -PO3H;
である]
を有する、パラグラフ42から56のいずれか1つに記載の方法。
58.インスリンペプチドが、LysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンである、パラグラフ42から57のいずれかに記載の方法。
59.インスリンペプチドが、
式:
[式中、
Insは、親インスリン部分であり、Q1-Q2-[CH2]n-X1-[CH2]n-Q3-[CH2]n-X2-[CH2]n-Q4-[CH2]n-X3-[CH2]n-Q5-[CH2]n-Zは、置換基であり、この場合、Insが、InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基またはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と、置換基のQ1またはQ2中のCO基との間のアミド結合を介して、置換基に結合し、
それぞれのnは独立に、0、1、2、3、4、5または6であり、
Q1は、
- アミノ酸と側鎖中のカルボン酸とのアミノ酸アミド、または無電荷の側鎖を有するアミノ酸{このアミノ酸アミドまたはアミノ酸は、そのカルボン酸基を用いて、InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基と一緒になってかまたはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と一緒になって、アミド基を形成する}、あるいは
- アミド結合を介して一緒になって連結された、前記の2、3または4つのα-アミノ酸アミドまたはアミノ酸の残基から構成され、-アミド結合を介して-InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基またはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に連結される鎖、あるいは
- 結合
であり、
Q2は、
- -COCH(CONH2)-
- -COCH2N(CH2CONH2)-
- -COCH2N(CH2CONH2)COCH2N(CH2CONH2)
- -COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-
- -COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-
- -COCH2N(CH2CH2CONH2)-
- -COCH2CH2N(CH2CONH2)-
- -COCH2OCH2CONH-
- -CO-((CR5R6)1-6 -NH-CO)1-4-;
- -CO-((CR5R6)1-6 -CO-NH)1-4-、{式中、R5は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3もしくは-CONH2であり得、R6は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3であり得る}、または
- 結合
であり、
ただし、
- Q1またはQ2のうちの少なくとも1つは、結合ではなく、
- nが、0または1であり、X 1 が、結合であり、Q 3 が、(CH 2 CH 2 O) 2 -、(CH 2 CH 2 O) 3 -または(CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 CH 2 O)-である場合には、Q 2 は、-CO-(CH2)2-CO-NH-ではなく、
- Q1またはQ2中のアミンが、置換基の残りと結合を形成する場合には、アミンは、カルボニル基を介して、置換基の残りに結合しなければならず、
Q3、Q4およびQ5は相互に独立に、
- -(CH2)m-{式中、mは、6〜32の範囲の整数である}、
- 1、2もしくは3つの-CH=CH-基および鎖中の炭素原子の総数を4〜32の範囲になすのに十分な数の-CH2-基を含む二価の炭化水素鎖、
- -CO-((CR5R6)1-6-NH-CO)-、
- -(CO-(CR5R6)1-6-CO-NH)1-4-{式中、R5は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3もしくは-CONH2であり得、R6は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3であり得る}、
- -CO-(CH2)0-3-Ar-(CH2)0-3-{式中、Arは、アリーレンもしくはヘテロアリーレンであり得、アリーレンもしくはヘテロアリーレンは、-CH3、-(CH)1-6-CH3、-CONR1R2もしくは-SO2NR1R2(式中、R1およびR2は相互に独立に、H、-CH3もしくは-(CH)1-6-CH3であり得る)からなる群から選択される1つもしくは2つの基で置換され得る}、
- (CH2CH2O)y-、(CH2CH2CH2O)y-、(CH2CH2CH2CH2O)y-、(CH2CH2OCH2CH2CH2CH2O)y-もしくは(CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2O)y-、-(CH2OCH2)y-{式中、yは、1〜20である}、
- -CH3、-(CH)1-6-CH3、-CONR1R2もしくは-SO2NR1R2{式中、R1およびR2は相互に独立に、H、-CH3もしくは-(CH)1-6-CH3であり得る}からなる群から選択される1つもしくは2つの基で置換され得るアリーレンもしくはヘテロアリーレン、
- 式:
-(CH2)s-Y1-(Ar)v1-Y2-(CH2)W-Y3-(Ar)v2-Y4-(CH2)t-Y5-(Ar)v3-Y6-(CH2)Z-
{式中、Arは、上記に従って定義され、Y1〜Y6は相互に独立に、O、S、S=O、SO2もしくは結合であり得、s、w、tおよびzは相互に独立に、ゼロもしくは1〜10の整数であり、したがって、s、w、tおよびzの和は、4〜30の範囲に及び、v1、v2およびv3は相互に独立に、ゼロもしくは1であり得、ただし、Y1〜Y6は、相互に連結せず、構造-O-(CH2)1-O-は生じない}
の鎖、または
- 結合
であり得、
ただし、Q3〜Q5のうちの少なくとも1つは、結合でなく、
X1、X2およびX3は相互に独立に、
- O、
- -C=O、
- 結合、
- NCOR1{式中、R1は、H、-CH3または-(CH)1-6-CH3であり得る}、
-
{式中、Rは、水素、C1-3-アルキル、C2-3-アルケニルまたはC2-3-アルキニルである}
であり、
ただし、
X1、X2およびX3は、Zに結合し得ず、
X1、X2およびX3がOである場合には、X1、X2およびX3は、Q3、Q4およびQ5中のOには直接結合せず、
Zは、-COOH、-CO-Asp、-CO-Glu、-CO-Gly、-CO-Sar、-CH(COOH)2、-N(CH2COOH)2、-SO3H、-OSO3H、-OPO3H2、-PO3H2、-テトラゾル-5-イルまたは-O-W1
{式中、W1は、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、アリーレンまたはヘテロアリーレンは、テトラゾル-5-イル、-COOH、-SO3H、-(CH2)1-6-SO3H、-(CH2)1-6-O-PO3H2、-CONR3R4または-SO2NR3R4(式中、R3およびR4は相互に独立に、H、-(CH2)1-6-SO3Hまたは-(CH2)1-6-O-PO3H2であり得る)からなる群から選択される1つまたは2つの基で置換され得、ただし、Zが、-O-W1である場合には、Q1は、存在しなければならない}
である]
を有するインスリン誘導体および任意のそのZn2+複合体である、パラグラフ42から56に記載の方法。
60.インスリンペプチドが、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-テトラデカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-トリデカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-β-アラニルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-γ-L-アスパルチルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-ε-アミノヘキサノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ペンタデカノイル-δ-アミノペンタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-10-(4-カルボキシフェノキシ)-デカノイル-γ-L-グルタミルアミドdesB30ヒトインスリン、
NεB29-4-[11-(4-カルボキシフェニル)ウンデカノイルアミノ]ブチリルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-(3-(3-{4-[3-(7-カルボキシヘプタノイルアミノ)プロポキシ]ブトキシ}プロピルカルバモイル)-プロピオニル-γ-グルタミルアミド)desB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-トリデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-ウンデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-ω-カルボキシ-テトラデカノイル-γ-アミノ-ブタノイルdesB30ヒトインスリン、
NεB29-{4-[10-(4-カルボキシ-フェノキシ)-デカノイルアミノ]-ブチリル}desB30インスリン、
NεB29-{4-[(14-カルボキシ-テトラデカノイルアミノ)-メチル]-ベンゾイル}desB30インスリン、
NεB29-[16-(4-カルボキシ-フェノキシ)-ヘキサデカノイル]desB30インスリン、
NεB29-{4-[(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ベンゾイル]-desB30ヒトインスリンおよびNεB29-{4-[(15-カルボキシ-ペンタデカノイルアミノ)-メチル]-ベンゾイル}-desB30インスリンからなる群から選択される、パラグラフ42から56および59に記載の方法。
61.パラグラフ1から60のいずれかに記載の方法により生成された精製インスリンペプチド。
d=1cmおよびL=25cmの寸法を有するカラムに、GE Healthcare製のSource 30Qを詰める。
30%EtOH中に12g/Lのインスリンペプチド(LysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリン)(pI=4.7)を含有する、<3mS/cmの導電率を有する、pH=7.5のタンパク質含有溶液を、カラムに、8、10および12g/Lcvの充填量で適用する。タンパク質含有溶液は、Znイオンを、6つのインスリン分子当たり2つの亜鉛原子の量で含有する。
42.5%エタノールを含有する2種類の緩衝液、ならびに0mMおよび300mMのNH4Ac(酢酸アンモニウム)を含有する、pH=6.4、6.8および7.2の20mMトリエタノールアミンを、溶出のために使用する。タンパク質含有溶液を適用した後、カラムを、0mM NH4Acを含有する1カラム体積の溶媒を使用して洗浄し、その後、タンパク質を、15カラム体積にわたる30mM〜180mMのNH4Acの塩勾配を使用して溶出する(図1を参照されたい)。収率は、全ての実験について90%超であった。
結果を、図1〜3に示し、下記に、さらに説明する。
図1:pH6.4では、低い充填量および高い充填量(8および12g/L)の両方で、(V-VReg≒-80mLにおける)主要ピークの前に溶出する不純物が、主要ピークから明らかに分離する。およそ-70および-60mL〜0mLからの、収集したプール体積は小さく、プール中の生成物の濃度は高い。
図2:pH6.8では、10g/Lの充填量で、(V-VReg≒-80mLにおける)主要ピークの前に溶出する不純物が、主要ピークから分離する。およそ-80からの、収集したプール体積はより大きく、生成物の濃度は、pH6.4における濃度よりも小さい。
図3:pH7.2では、8g/Lの低い充填量で、不純物が、(V-VReg≒-85mLにおいて)主要ピークの前に溶出しているが、pH6.4における低い充填量で見られるようなベースラインの分離は生じない。充填量が、12g/Lまで増加すると、不純物は、生成物から最早分離しないが、(V-VReg≒-120mLにおいて)生成物で置き換わる。プール体積は大きく、したがって、プール中の濃度は、より低いpH値において見られる濃度よりも低い。
試料を採取して、それぞれの画分中のZn2+の含有量を解析する実験を行った(図4を参照されたい)。これらの試料は、Znが、これらと一緒に溶出していることを示している。
Zn2+が、生成物と一緒に溶出していることが明らかに認められる。
Zn2+が、フィード中には存在するが、溶離剤中には存在しなかった、クロマトグラフィーの運転から採取した試料(試料1〜4)は、Zn2+が、生成物を含有するプール中には、はるかにより高い濃度で存在することを示しており、プール中では、プール付近で採取した試料と比較して、インスリン類似体の濃度が最も高い。このことは、インスリンとZn2+との間の強い相互作用/協働性を示している。
図4のクロマトグラムを、伝統的なLangmurianのクロマトグラムと比較すると、クロマトグラムの後方の部分が、下方に向って凹であり、一方、伝統的なLangmurianのクロマトグラムは、上方に向って凹であることが認められる。このこともまた、これらのpH値において、ピークの形状が、Zn2+の影響を受けることを示している。
タンパク質含有溶液中に二価または多価の金属イオンを存在させることと、溶離剤中のpHを調節することとを組み合わせて、誘引力と反発力とのバランスを保ち、これにより、直線的により高い濃度に達する等温線を生み出すことによって、小さなプール体積かつ高いプール濃度がもたらされる。
クロマトグラム中に、協働性を認めることができ、主要ピークが、フロンティングし、主要ピークの前に溶出する不純物から離れる。
移動相、すなわち、タンパク質含有溶液中のZn2+の存在により、インスリンのピークプロファイルは、設定した点のpHにおける、若干テーリングするLangmurianプロファイルの挙動(図2の細い実線の曲線、pH=6.8)に類似する、高いpHにおける、テーリングピーク(図3の細い点線の曲線、pH=7.2)から、低いpHにおける、フロンティングするピークプロファイル(図1の太い破線の曲線、pH=6.4)に変化する(図1〜3)。高いpHおよび低いpHにおける実験を、高い充填量と低い充填量とにおいて実施するに至った。充填量は、曲線下の面積から理解することができる。一方、pH=6.8における実験は、その他の実験の充填量の間の充填量において行っている。全ての実験を繰り返して、実験結果を確認しており、全てのクロマトグラムを、それらの比較をより容易にするために、プールの収集の終わりに整列させる。除去すべき、重要な意味をもつ不純物は、主要ピークの前に、例えば、pH=6.8において溶出しており、これは、-90mL付近で溶出している。このpHおよび高いpHでは、ピークが、明らかにテーリングしている(急なフロントおよび平らなテール)ことが認められる。高いpHでは、とりわけ、高い充填量において、生成物と不純物との間の分離が非常に悪いことが認められ、高い充填量では、主要ピークの前に溶出する、明確なピークは認められない。低いpHでは、ピークが、フロンティングしており(平らなフロントおよび急なテール)、ベースラインの分離が、不純物と生成物のピークとの間に認められる。この場合には、このフロンティングに、いくつかの利点、すなわち、(a)生成物のピークが、不純物から離れるという利点、(b)プール濃度がより高い(このことは、より高いUV-シグナルから認めることができる)という利点、および(c)カラム上の充填量を増加させ、依然として、不純物を除去することが可能であるという利点がある。
インスリンの自己会合のSEC法による解析
インスリンペプチドの自己会合する能力は、SEC法により解析することができる。解析:Superose 6 PCカラム(0.32×30cm)上の分子ふるいクロマトグラフィー(SEC)により、2mMフェノールを場合により添加した等張10mM tris緩衝生理食塩水を37℃およびpH7.3で使用する;注入体積:20μL;流速:0.05mL/分;ならびに運転時間:130分。第1の基準:ブルーデキストラン(≫5メガダルトン、KAV 0.0)、サイログロブリン(669キロダルトン、KAV 0.28)、フェリチン(440キロダルトン、KAV 0.39)、卵白アルブミン(44.5キロダルトン、KAV 0.56)、リボヌクレアーゼ(13.7キロダルトン、KAV 0.69)、ならびに第2の基準:アルブミン(66キロダルトン、KAV 0.53)、Co(III)インスリン-六量体(35キロダルトン、KAV 0.61)、および単量体インスリン×2(6キロダルトン、KAV 0.73)。ブルーデキストランの保持時間は、17.9分(t0)であり、カラムなしの場合、0.74分(td)であり、アルブミン(HSA)の保持時間は、約34.1分であった。
KAV=(t-to)/(V/f+td-t0)、式中
t:保持時間(分)
t0:ブルーデキストランの保持時間(排除限界)
td;カラムなしの場合のブルーデキストランの保持時間(空体積)
Vt:総カラム体積(mL)
f:流速(mL/分)
データフォーマット:
KAVピーク1 x.xx
面積ピーク1(%) xxx
KAVピーク2 x.xx
面積ピーク2(%) xxx
KAV面積ピーク1を、KAV=0からKAV=0.46(32分)まで、<0.46のKAVについての総面積の相対面積%として測定する。<0.46のKAVは、アルブミンよりも大きな自己会合に相当する。(アルブミンのサイズの)約0.56のKAVピーク1を組み込むことによって、アルブミンのサイズとインスリン六量体のサイズとの間を分離する。
インスリンの受容体結合の解析
インスリンペプチドのヒトインスリン受容体に対する親和性を、SPAアッセイ(シンチレーション近接アッセイ)マイクロタイタープレート抗体捕捉アッセイにより決定した。SPA-PVT抗体結合ビーズ、抗マウス試薬(Amersham Biosciences、カタログ番号PRNQ0017)を、25mlの結合用緩衝液(100mM HEPES、pH7.8;100mM塩化ナトリウム、10mM MgS04、0.025%Tween-20)と混合した。単一のPackard Optiplate(Packard、番号6005190)のための試薬ミックスは、2.4μlの1:5000希釈、精製組換えヒトインスリン受容体-エクソン11;5000cpm/試薬ミックス100μlに相当する量のA14Tyr[125I]-ヒトインスリンのストック溶液;12μlのF12抗体の1:1000希釈物;3mlのSPA-ビーズ;および結合用緩衝液から構成され、計12mlをなす。次いで、計100μlを添加し、希釈系列を、適切な試料から作製する。次いで、希釈系列に、100μlの試薬ミックスを添加し、試料を穏やかに振とうしながら16時間インキュベートした。次いで、相を、1分間の遠心分離により分離し、プレートを、Topcounter中で計数した。GraphPad Prism2.01(GraphPad Software、San Diego、CA)において非線形回帰アルゴリズムを使用して、結合データを適合させた。

Claims (13)

  1. タンパク質含有溶液のタンパク質構成成分を分離するためのクロマトグラフィーによる方法であって、前記溶液が、インスリンペプチド、1つまたは複数の二価または多価の金属イオン、および不純物を含み、前記インスリンペプチドが、二価または多価の金属イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であり、前記方法が、
    a.タンパク質含有溶液をイオン交換クロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用するステップであって、インスリンペプチドの充填が、1リットルのカラム体積当たり少なくとも6.0g(g/Lcv)であるステップと、
    b.前記固相材料からインスリンペプチドを、最大でも6.8のpHを有する溶離剤により溶出し、ステップ(a)においてカラムに適用したインスリンペプチドの少なくとも75質量%に相当するインスリンペプチドのプールを収集するステップと
    を含む方法。
  2. インスリン含有溶液のタンパク質構成成分を分離するためのクロマトグラフィーによる方法であって、前記溶液が、亜鉛および二価の亜鉛イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であるインスリンペプチドならびに不純物を含み、前記方法が、
    a.インスリン含有溶液をアニオン交換クロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用するステップであって、目的のインスリンペプチドの充填が、1リットルのカラム体積当たり少なくとも6.0g(g/Lcv)であるステップと、
    b.前記固相材料から目的のインスリンペプチドを、最大でも6.8のpHを有する溶離剤により溶出し、ステップ(a)においてカラムに適用した目的のインスリンペプチドの少なくとも90質量%に相当する目的のインスリンペプチドのプールを収集するステップと
    を含む方法。
  3. 二価の金属イオンが、Zn2+であり、溶液中の亜鉛イオンの濃度が、0.01〜200mMの範囲である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 亜鉛イオンとインスリンペプチドとの電荷当量の比が、0.1:1〜50:1である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. ステップ(b)において収集したインスリンペプチドのプールが、ステップ(a)においてカラムに適用したインスリンペプチドの少なくとも91質量%、または少なくとも92質量%、または少なくとも93質量%、または少なくとも94質量%、または少なくとも95質量%、または少なくとも96質量%に相当する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. インスリンペプチドが、天然に存在するインスリンまたはその類似体であるインスリン誘導体およびそのZn2+複合体から選択され、
    前記類似体が、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基または親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に結合された側鎖を有し、
    前記側鎖が、一般式:
    -W-X-Y-Z
    [式中、Wは、
    - 側鎖中にカルボン酸基を有し、そのカルボン酸基のうちの1つを用いて、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基と一緒になってもしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と一緒になって、アミド基を形成するα-アミノ酸残基、
    - アミド結合を介して一緒になって連結された2、3もしくは4つのα-アミノ酸残基から構成され、アミド結合を介して、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に連結される鎖{Wのアミノ酸残基は、中性の側鎖を有するアミノ酸残基、および側鎖中にカルボン酸基を有する(したがって、Wが、側鎖中にカルボン酸基を有する少なくとも1つのアミノ酸残基を有する)アミノ酸残基の群から選択される}、または
    - Xから、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基への共有結合であり、
    Xは、
    a)Wが、アミノ酸残基もしくはアミノ酸残基の鎖である場合、下線を引いたカルボニル炭素からの結合を介して、W中のアミノ基とアミド結合を形成する、または
    b)Wが、共有結合である場合、下線を引いたカルボニル炭素からの結合を介して、親インスリンのB鎖中のN末端のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基とアミド結合を形成する、
    - -CO-;
    - -CH(COOH)CO-;
    - -N(CH2COOH)CH2 CO-;
    - -N(CH2COOH)CH2CON(CH2COOH)CH2 CO-;
    - -N(CH2CH2COOH)CH2CH2 CO-;
    - -N(CH2CH2COOH)CH2CH2CON(CH2CH2COOH)CH2CH2 CO-;
    - -NHCH(COOH)(CH2)4NHCO-;
    - -N(CH2CH2COOH)CH2 CO-;または
    - -N(CH2COOH)CH2CH2 CO-
    であり、
    Yは、
    - -(CH2)m-{式中、mは、6〜32の範囲の整数である}、
    - 1、2または3つの-CH=CH-基および鎖中の炭素原子の総数を10〜32の範囲になすのに十分な数の-CH2-基を含む二価の炭化水素鎖、
    - 式-(CH2)vC6H4(CH2)w-{式中、vおよびwが整数であるかまたはそれらのうちの1つがゼロであり、vとwとの和が、6〜30の範囲にある}の二価の炭化水素鎖
    であり、
    Zは、
    - -COOH;
    - -CO-Asp;
    - -CO-Glu;
    - -CO-Gly;
    - -CO-Sar;
    - -CH(COOH)2;
    - -N(CH2COOH)2;
    - -SO3H;または
    - -PO3H;
    である]
    を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. インスリンペプチドが、LysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. インスリン含有溶液のタンパク質構成成分を分離するための請求項1から7のいずれか一項に記載のクロマトグラフィーによる方法であって、前記溶液が、LysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンおよび二価の亜鉛イオンを含み、前記方法が、
    a.インスリン含有溶液をアニオン交換クロマトグラフィーの固相材料のカラムに適用するステップであって、目的のインスリンペプチドの充填が、1リットルのカラム体積当たり少なくとも6.0g(g/Lcv)であるステップと、
    b.前記固相材料から目的のインスリンペプチドを、6.4〜6.8の範囲のpHを有する溶離剤により溶出し、ステップ(a)においてカラムに適用したLysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンの少なくとも90質量%に相当するLysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンのプールを収集するステップと
    を含む方法。
  9. エタノールおよびトリエタノールアミンを含む洗浄用緩衝液を使用する洗浄ステップが、ステップ(a)の後かつ溶出ステップ(b)の前に含まれる、請求項1、2または8に記載の方法。
  10. インスリンペプチドが、
    式:
    [式中、
    Insは、親インスリン部分であり、Q1-Q2-[CH2]n-X1-[CH2]n-Q3-[CH2]n-X2-[CH2]n-Q4-[CH2]n-X3-[CH2]n-Q5-[CH2]n-Zは、置換基であり、この場合、Insが、InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基またはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と、置換基のQ1またはQ2中のCO基との間のアミド結合を介して、置換基に結合しており、
    それぞれのnは独立に、0、1、2、3、4、5または6であり、
    Q1は、
    - アミノ酸と側鎖中のカルボン酸とのアミノ酸アミド、または無電荷の側鎖を有するアミノ酸{このアミノ酸アミドまたはアミノ酸は、そのカルボン酸基を用いて、InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基と一緒になってまたはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と一緒になって、アミド基を形成する}、あるいは
    - アミド結合を介して一緒になって連結された、前記の2、3または4つのα-アミノ酸アミドまたはアミノ酸の残基から構成され、アミド結合を介して、InsのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基またはInsのA鎖もしくはB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に連結される鎖、あるいは
    - 結合
    であり、
    Q2は、
    - -COCH(CONH2)-
    - -COCH2N(CH2CONH2)-
    - -COCH2N(CH2CONH2)COCH2N(CH2CONH2)
    - -COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-
    - -COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-COCH2CH2N(CH2CH2CONH2)-
    - -COCH2N(CH2CH2CONH2)-
    - -COCH2CH2N(CH2CONH2)-
    - -COCH2OCH2CONH-
    - -CO-((CR5R6)1-6-NH-CO)1-4-;
    - -CO-((CR5R6)1-6-CO-NH)1-4-、{式中、R5は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3もしくは-CONH2であり得、R6は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3であり得る}、または
    - 結合
    であり、
    ただし、
    - Q1またはQ2のうちの少なくとも1つは、結合ではなく、
    - nが0または1であり、X1が結合であり、Q3が(CH2CH2O)2-、(CH2CH2O)3-または(CH2CH2OCH2CH2CH2CH2O)-である場合には、Q2は、-CO-(CH2)2-CO-NH-ではなく、
    - Q1またはQ2中のアミンが、置換基の残りと結合を形成する場合には、アミンは、カルボニル基を介して、置換基の残りに結合しなければならず、
    Q3、Q4およびQ5は相互に独立に、
    - -(CH2)m-{式中、mは、6〜32の範囲の整数である}、
    - 1、2もしくは3つの-CH=CH-基および鎖中の炭素原子の総数を4〜32の範囲になすのに十分な数の-CH2-基を含む二価の炭化水素鎖、
    - -CO-((CR5R6)1-6-NH-CO)-、
    - -(CO-(CR5R6)1-6-CO-NH)1-4-{式中、R5は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3もしくは-CONH2であり得、R6は独立に、H、-CH3、-(CH2)1-6CH3であり得る}、
    - -CO-(CH2)0-3-Ar-(CH2)0-3-{式中、Arは、アリーレンもしくはヘテロアリーレンであり得、アリーレンもしくはヘテロアリーレンは、-CH3、-(CH)1-6-CH3、-CONR1R2もしくは-SO2NR1R2(式中、R1およびR2は相互に独立に、H、-CH3もしくは-(CH)1-6-CH3であり得る)からなる群から選択される1つもしくは2つの基で置換され得る}、
    - (CH2CH2O)y-、(CH2CH2CH2O)y-、(CH2CH2CH2CH2O)y-、(CH2CH2OCH2CH2CH2CH2O)y-もしくは(CH2CH2CH2OCH2CH2CH2CH2O)y-、-(CH2OCH2)y-{式中、yは、1〜20である}、
    - -CH3、-(CH)1-6-CH3、-CONR1R2もしくは-SO2NR1R2{式中、R1およびR2は相互に独立に、H、-CH3もしくは-(CH)1-6-CH3であり得る}からなる群から選択される1つもしくは2つの基で置換され得るアリーレンもしくはヘテロアリーレン、
    -式
    -(CH2)s-Y1-(Ar)v1-Y2-(CH2)W-Y3-(Ar)v2-Y4-(CH2)t-Y5-(Ar)v3-Y6-(CH2)Z-
    {式中、Arは、上記の通り定義され、Y1〜Y6は相互に独立に、O、S、S=O、SO2もしくは結合であり得、s、w、tおよびzは相互に独立に、ゼロもしくは1〜10の整数であり、s、w、tおよびzの和は、4〜30の範囲に及び、v1、v2およびv3は相互に独立に、ゼロもしくは1であり得、ただし、Y1〜Y6は、相互に連結せず、構造-O-(CH2)1-O-は生じない}
    の鎖、または
    - 結合
    であり得、
    ただし、Q3〜Q5のうちの少なくとも1つは、結合でなく、
    X1、X2およびX3は相互に独立に、
    - O、
    - -C=O、
    - 結合、
    - NCOR1{式中、R1は、H、-CH3または-(CH)1-6-CH3であり得る}、または、
    -
    {式中、Rは、水素、C1-3-アルキル、C2-3-アルケニルまたはC2-3-アルキニルである}であり、
    ただし、
    X1、X2およびX3は、Zに結合し得ず、
    X1、X2およびX3がOである場合には、X1、X2およびX3は、Q3、Q4およびQ5中のOには直接結合せず、
    Zは、-COOH、-CO-Asp、-CO-Glu、-CO-Gly、-CO-Sar、-CH(COOH)2、-N(CH2COOH)2、SO3H、
    -OSO3H、-OPO3H2、-PO3H2、-テトラゾル-5-イルまたは-O-W1
    {式中、W1は、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、アリーレンまたはヘテロアリーレンは、テトラゾル-5-イル、-COOH、-SO3H、-(CH2)1-6-SO3H、-(CH2)1-6-O-PO3H2、-CONR3R4または-SO2NR3R4(式中、R3およびR4は相互に独立に、H、-(CH2)1-6-SO3Hまたは-(CH2)1-6-O-PO3H2であり得る)からなる群から選択される1つまたは2つの基で置換され得、
    ただし、Zが、-O-W1である場合には、Q1は、存在しなければならない}
    である]
    を有するインスリン誘導体
    およびそのZn2+複合体である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  11. 二価または多価の金属イオンの存在下で、自己会合することおよび/または構造的に変化することが可能であるインスリンペプチドのイオン交換クロマトグラフィーにおいて、インスリンペプチドと関連のある不純物との最適な分離を得るための二価または多価の金属イオンを使用することによって、ピークの形状を制御する方法であって、
    二価の金属イオンが、インスリンペプチドのフロンティングピークの形状を確保するために添加されており、この場合、関連のある不純物は、インスリンペプチドの前に溶出し、
    イオン交換クロマトグラフィーが、最大でも6.8のpHを有する溶離剤を使用して実施される、方法。
  12. インスリンペプチドが、天然に存在するインスリンまたはその類似体であるインスリン誘導体およびそのZn2+複合体から選択され、
    前記類似体が、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基または親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に結合した側鎖を有し、
    前記側鎖が、一般式:
    -W-X-Y-Z
    [式中、Wは、
    - 側鎖中にカルボン酸基を有し、そのカルボン酸基のうちの1つを用いて、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基と一緒になってもしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基と一緒になって、アミド基を形成するα-アミノ酸残基、
    - アミド結合を介して一緒になって連結された2、3もしくは4つのα-アミノ酸残基から構成され、アミド結合を介して、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基に連結される鎖{Wのアミノ酸残基は、中性の側鎖を有するアミノ酸残基、および側鎖中にカルボン酸基を有する(したがって、Wが、側鎖中にカルボン酸基を有する少なくとも1つのアミノ酸残基を有する)アミノ酸残基の群から選択される}、または
    - Xから、親インスリンのB鎖のN末端のアミノ酸残基のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基への共有結合
    であり、
    Xは、
    a)Wが、アミノ酸残基もしくはアミノ酸残基の鎖である場合、下線を引いたカルボニル炭素からの結合を介して、W中のアミノ基とアミド結合を形成する、または
    b)Wが、共有結合である場合、下線を引いたカルボニル炭素からの結合を介して、親インスリンのB鎖中のN末端のα-アミノ基もしくは親インスリンのB鎖中に存在するLys残基のε-アミノ基とアミド結合を形成する、
    - -CO-;
    - -CH(COOH)CO-;
    - -N(CH2COOH)CH2 CO-;
    - -N(CH2COOH)CH2CON(CH2COOH)CH2 CO-;
    - -N(CH2CH2COOH)CH2CH2 CO-;
    - -N(CH2CH2COOH)CH2CH2CON(CH2CH2COOH)CH2CH2 CO-;
    - -NHCH(COOH)(CH2)4NHCO-;
    - -N(CH2CH2COOH)CH2 CO-;または
    - -N(CH2COOH)CH2CH2 CO-
    であり、
    Yは、
    - -(CH2)m-{式中、mは、6〜32の範囲の整数である}、
    - 1、2または3つの-CH=CH-基および鎖中の炭素原子の総数を10〜32の範囲になすのに十分な数の-CH2-基を含む二価の炭化水素鎖、
    - 式-(CH2)vC6H4(CH2)w-{式中、vおよびwが整数であるかまたはそれらのうちの1つがゼロであり、vとwとの和が、6〜30の範囲にある}の二価の炭化水素鎖
    であり、
    Zは、
    - -COOH;
    - -CO-Asp;
    - -CO-Glu;
    - -CO-Gly;
    - -CO-Sar;
    - -CH(COOH)2;
    - -N(CH2COOH)2;
    - -SO3H;または
    - -PO3H;
    である]
    を有する、請求項11に記載の方法。
  13. インスリンペプチドが、LysB29(Nε-ヘキサデカンジオイル-γ-Glu)des(B30)ヒトインスリンである、請求項11または12に記載の方法。
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