JP4959871B2 - 溶出ステップにおける有機モディファイアでのタンパク質及びペプチドのイオン交換クロマトグラフィー - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は、ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのイオン交換クロマトグラフィー法、及びこのようなイオン交換クロマトグラフィー法を含む工業的方法に関する。
背景
タンパク質及びペプチドの精製及び分析のために、クロマトグラフィーは公知であり、広く用いられる方法である。いくつかの異なるクロマトグラフィー原理が適用されており、これらの中に、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)がある。IECの原理には、2つの異なるアプローチ:イオン交換樹脂上のリガンドの電荷によりアニオン交換及びカチオン交換がある。慣用的なIEC精製法は、通常、1又は複数のもの:平衡化セクション、適用又はローディングセクション、洗浄セクション、溶出セクション、及び再生セクションがある(cf. Remington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990又はRemington : The Science and Practice of Pharmacy 19th Edition (1995))。
【0002】
工業的精製工程におけるIECでの溶出の主要な原理は、ステップ又は直線勾配としての、一定pHでの水性緩衝溶液中の塩成分勾配である(cf. S. Biorn and L. Thim, Activation of Coagulation Factor VII to VIIa, Res. Discl. No. 269, 564〜565, 1986)。無勾配溶出が可能であるが、めったに用いられない。要求される形態に又は溶液中にタンパク質又はペプチドを維持するために、その溶液に有機溶媒又はモディファイアが時折、添加されている(cf. K.H. Jorgensen, Process for Purifying Insulin, US Patent No. 3,907,676, Sept. 23, 1975; and J. Brange, O. Hallund and E. Sorensen, Chemical Stability of Insulin 5. Isolation, Characterisation and Identification of Insulin Transformation Products, Acta Pharm. Nord. 4(4), 223-232, 1992) 。また、標的タンパク質を溶出するためpHの変化を時折、用いることができる(cf. J. Lamy, J. Lamy, J. Weill, Arch. Biochem. Biophys. 193, 140-149, 1979)。
発明の記載
1又は複数の平衡化ステップ、適用又はローディングステップ、洗浄ステップ、溶出ステップ、及び再生ステップからなるいずれかのタンパク質又はペプチドの精製のための上述のIEC技術と対照的に、本発明は、有機モディファイアを含む溶液中の溶出の、次の同じ又は異なるpHでの水溶液中での溶出、任意に次の再生ステップの組合せである新規溶出技術に関する。平衡化溶液及び適用のためのサンプルは、有機モディファイアを含んでも含まなくてもよい。ペプチドの溶出は(有機モディファイアを含まない溶液中の)非変性条件で行う。更に、ペプチドの溶出は単一ピークで行う。
【0003】
従って、広い態様において、本発明は、ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのカチオン交換クロマトグラフィー法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液を含む溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが正の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷より低い局所的又は全体的な正の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより高いpH値で溶出すること
を含む方法に関する。
【0004】
別の広い態様において、本発明は、ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのカチオン交換クロマトグラフィー法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが正の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷より低い局所的又は全体的な正の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより高いpH値で溶出すること
を含む方法に関する。
【0005】
別の広い態様において、本発明は、ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのアニオン交換クロマトグラフィー法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液を含む溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが負の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの負の実効電荷より低い局所的又は全体的な負の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより低いpH値で溶出すること
を含む方法に関する。
【0006】
別の広い態様において、本発明は、ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのアニオン交換クロマトグラフィー法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが負の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの負の実効電荷より低い局所的又は全体的な負の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより低いpH値で溶出すること
を含む方法に関する。
【0007】
本方法の上述の態様において、ステップa)の溶出は、関連する不純物の洗浄ステップも考慮することができる。
【0008】
ステップb)のペプチドの溶出は、(有機モディファイアを含まない溶液中で)非変性条件で行う。これにより、そのペプチドは、水及び任意に塩成分、酸又は塩基、及び/又は緩衝液を含むが、有機モディファイアの存在しない水溶液に溶出される。
【0009】
本発明の一実施形態において、有機モディファイア:水の比は、重量パーセントベースで、1:99〜99:1、例えば1:99〜80:20、20:80〜80:20、30:70〜70:30、35:50〜50:35、又は40:50〜50:40である。これらの範囲の各々が本発明の別の実施形態を構成する。
【0010】
本発明の更なる実施形態において、有機モディファイアは、C1-6 −アルカノール、C1-6 −アルケノール又はC1-6 −アルキノール、尿素、グアニジン、又はC1-6 −アルカン酸(alkanoic acid)、例えば酢酸、C2-6 −グリコール、C3-7 −ポリアルコール含有糖、好ましくは、C1-6 −アルカノール及びC2-6 −グリコール、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール及びヘキシルグリコール最も好ましくはエタノール及び2−プロパノールから選択される。これらの有機モディファイアの各々は本発明の別の実施形態を構成する。
【0011】
本発明の更なる実施形態において、ステップa)の塩成分はいずれかの有機又は無機塩及びそれらの混合物、好ましくはNaCl,KCl,NH4 Cl,CaCl2 、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、酢酸カルシウム又はそれらの混合物、最も好ましくは酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、NaCl,NH4 Cl,KClから選択される。これらの塩成分の各々は、本発明の別の実施形態を構成する。
【0012】
本発明の更なる実施形態において、ステップa)における塩成分の勾配は、塩成分のステップ勾配である。
【0013】
本発明の更なる実施形態において、ステップa)の塩成分は、0.1mmol/kg〜3000mmol/kg、好ましくは1mmol/kg〜1000mmol/kg、より好ましくは5mmol/kg〜500mmol/kg、最も好ましくは20mmol/kg〜300mmol/kgの範囲から選択されるステップ濃度で存在する。これらの範囲の各々が本発明の別の実施形態を構成する。
【0014】
本発明の更なる実施形態において、ステップa)の塩成分勾配は塩成分の直線勾配である。
【0015】
本発明の更なる実施形態において、ステップa)の塩成分は、0.1mmol/kg〜3000mmol/kg、好ましくは1mmol/kg〜1000mmol/kg、より好ましくは5mmol/kg〜500mmol/kg、最も好ましくは20mmol/kg〜300mmol/kgから選択される直線濃度で存在する。これらの直線濃度の各々は本発明の別の実施形態を構成する。
【0016】
本発明の更なる実施形態において、ステップa)に塩成分は存在しない。
【0017】
本発明の更なる実施形態において、ステップb)の塩成分は、いずれかの有機又は無機塩、好ましくはNaCl,KCl,NH4 Cl,CaCl2 、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、酢酸カルシウム又はそれらの混合物、最も好ましくは酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、NaCl,NH4 Cl,KClから選択される。これらの塩成分の各々が本発明の別の実施形態を構成する。
【0018】
本発明の更なる実施形態において、ステップb)の塩成分は、0.1mmol/kg〜3000mmol/kg、好ましくは1mmol/kg〜1000mmol/kg、より好ましくは5mmol/kg〜500mmol/kg、最も好ましくは20mmol/kg〜300mmol/kgの範囲から選択される濃度で存在する。これらの範囲の各々が本発明の別の実施形態を構成する。
【0019】
本発明の更なる実施形態において、ステップb)に塩成分は存在しない。
【0020】
本発明の更なる実施形態において、ステップa)又はb)の緩衝液は、独立して、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液、乳酸緩衝液、グリシルグリシン緩衝液、アルギニン緩衝液、炭酸緩衝液、酢酸緩衝液、グルタミン酸緩衝液、アンモニウム緩衝液、グリシン緩衝液、アルキルアミン緩衝液、アミノエチルアルコール緩衝液、エチレンジアミン緩衝液、トリエタノールアミン、イミダゾール緩衝液、ピリジン緩衝液及びバルビツール酸緩衝液並びにそれらの混合物、好ましくはクエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、グリシン、炭酸ナトリウム、クエン酸カリウム、リン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、炭酸カリウム、トリス−ヒドロキシメチルアミノメタン及びホウ酸並びにそれらの混合物から選択される。これらの緩衝液の各々が本発明の別の実施形態を構成する。
【0021】
本発明の更なる実施形態において、ステップa)の緩衝液は、0.1mmol/kg〜500mmol/kg、好ましくは1mmol/kg〜200mmol/kg、より好ましくは5mmol/kg〜100mmol/kg、最も好ましくは10mmol/kg〜50mmol/kgの範囲から選択される濃度で存在する。これらの範囲の各々が本発明の別の実施形態を構成する。
【0022】
本発明の更なる実施形態において、ステップb)の緩衝液は、0.1mmol/kg〜1000mmol/kg、好ましくは1mmol/kg〜400mmol/kg、最も好ましくは50mmol/kg〜200mmol/kgの範囲から選択される濃度で存在する。これらの範囲の各々が本発明の別の実施形態を構成する。
【0023】
本発明の更なる実施形態において、ステップa)に緩衝液は存在しない。
【0024】
本発明の更なる実施形態において、ステップb)に緩衝液は存在しない。
【0025】
本発明の更なる実施形態において、精製すべきペプチドは、ポリペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、レセプター、vira、並びにそれらの相同体、アナログ及び誘導体、好ましくはグルカゴン、hGH、インスリン、アプロチニン、第VII 因子、TPA、第 VIIa因子、FFR−第VII 因子、ヘパリナーゼ、ACTH、ヘパリン結合タンパク質、コルチコトロピン放出因子、アンギオテンシン、カルシトニン、インスリン、グルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−2、インスリン様成長因子−1、インスリン様成長因子−2、繊維芽細胞成長因子、胃抑制ペプチド、成長ホルモン放出因子、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、セクレチン、エンテロガストリン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ソマトメジン、副甲状腺ホルモン、トロンボポエチン、エリトロポエチン、視床下部放出因子、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、エンドルフィン、エンケファリン、バソプレッシン、オキシトシン、オピオイド、DPPIV、インターロイキン、イムノグロブリン、補体インヒビター、セルピンプロテアーゼインヒビター、サイトカイン、サイトカインレセプター、PDGF、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子レセプター、成長因子並びにそれらのアナログ及び誘導体、より好ましくはグルカゴン、hGH、インスリン、アプロチニン、第VII 因子、第 VIIa因子、FFR−第 VIIa因子、ヘパリナーゼ、グルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−2並びにそれらのアナログ及び誘導体、例えばVal8 GLP−1(7−37),Thr8 GLP−1(7−37),Met8 GLP−1(7−37),Gly8 GLP−1(7−37),Val8 GLP−1(7−36)アミド、Thr8 GLP−1(7−36)アミド、Met8 GLP−1(7−36)アミド、Gly8 GLP−1(7−36)アミド、Arg34GLP−1(7-37)、ヒトインスリン、及びB28IsoAspインスリンから選択される。これらのペプチドの各々が本発明の別の実施形態を構成する。
【0026】
本発明を説明する例として、ヒスチジンはpH約6.5未満で支配的な正の実効電荷を有し、これにより、カチオン交換について、有機溶媒又はモディファイアでの洗浄又は溶出セクションをpH6.5未満で行って、ヒスチジンを失ったトランケートされた形態を除去することができ、そして次に水性溶媒中の標的タンパク質又はペプチドの溶出をpH6.5超で行うことができる。第2の例として、C末端アミノ酸のカルボキシル基はpH約3.1超や支配的な負の実効電荷を有し、これにより、アニオン交換について、有機溶媒での洗浄又は溶出セクションは、pH3.1超で行ってアミドに伸びた形態を除去することができ、そして次に、水性溶媒中の標的タンパク質又はペプチドの溶出はpH3.1超又はそれ未満の両方で行うことができる。第3の例として、アスパラギン酸はpH約4.4超で支配的な負の実効電荷を有し、これにより、アニオン交換のために、有機溶媒での洗浄又は溶出は、pH4.4超で行って、アスパラギン酸を失ったトランケートされた形態を除去することができ、そして次に、水性溶媒中の標的タンパク質又はペプチドの溶出はpH4.4未満で行うことができる。第4の例として、グルタミン酸はpH約4.4超で支配的な負の実効電荷を有し、これにより、アニオン交換のために、有機溶媒での洗浄又は溶出セクションは、pH4.4超で行って、グルタミン酸を失ったトランケートされた形態を除去することができ、そして次に、水性溶媒中の標的タンパク質又はペプチドの溶出はpH4.4未満で行うことができる。第5の例として、γ−カルボキシグルタミン酸はpH約4.4超で支配的な負の実効電荷を有し、アニオン交換のために、有機溶媒での洗浄又は溶出セクションは、pH4.4超で行って特定のグルタミン酸残基の1又は複数のγ−カルボキシル基を失った形態を除去して、そして次に水性溶媒中の標的タンパク質又はペプチドの溶出をpH4.4未満で行うことができる。第6の例として、N末端アミノ酸のアミノ基はpH約8.0未満で支配的な正の実効電荷を有し、これにより、カチオン交換について、有機溶媒での洗浄又は溶出セクションは、pH8.0未満で行って、アシル基が伸びた形態を除去し、そして次に水性溶媒での標的タンパク質又はペプチドの溶出は、pH8.0超又はそれ未満の両方で行うことができる。第7の例として、システインはpH約8.5超で支配的な負の実効電荷を有し、これにより、アニオン交換について、有機溶媒での洗浄又は溶出セクションは、pH8.5超で行って、遊離システイン残基を生ずるほとんど折りたたまれていない形態を除去することができ、そして次に、水性溶媒中の標的タンパク質又はペプチドの溶出は、pH8.5未満で行うことができる。第8の例として、チロシンはpH約10.0超で支配的な負の実効電荷を有し、これにより、アニオン交換について、有機溶媒での洗浄又は溶出セクションは、pH10.0超で行って、チロシン残基を失ったトランケート化形態を除去することができ、そして次に、水性溶媒中の標的タンパク質又はペプチド溶出はpH10.0未満で行うことができる。第9の例として、リシンはpH約10.0未満で支配的な正の実効電荷を有し、これにより、カチオン交換について、有機溶媒での洗浄又は溶出セクションは、pH10.0未満で行って、リシン残基の側鎖中がアシル化された形態を除去し、そして次に水性溶媒中の標的タンパク質又はペプチドの溶出はpH10.0超又はそれ未満で行うことができる。第10の例として、アルギニンはpH約12.0未満で支配的な正の実効電荷を有し、これにより、アニオン交換について、有機溶媒での洗浄又は溶出セクションは、pH12.0未満で行って、アルギニン残基を失ったトランケート化形態を除去することができ、そして次に水性溶媒中の標的タンパク質又はペプチドの溶出は、pH12.0超で行うことができる(これらの例に用いるpKA 値は、L. Stryer. Biochemistry, 3rd edition, W.H. Freeman and Company, New York, Table 2-1, page 21からのものである)。
【0027】
上述の方法の特定のペプチドの例は、カチオン交換クロマトグラフィーによるArg34GLP−1(7-37)及びArg34GLP−1(9-37)、アニオン交換クロマトグラフィーによるヒトインスリン及びB30ヒトインスリンエチルエステル、アニオン交換クロマトグラフィーによるB28IsoAspインスリン及びDesB23−30インスリン、アニオン交換クロマトグラフィーによるプロトロンビン及びdes−γ−カルボキシ−Glyプロトロンビン、アニオン交換クロマトグラフィーによるArg34GLP−1(7-37)及びArg34GLP−1(10-37) 、カチオン交換クロマトグラフィーによるLysB29 −(N−ε(α−テトラデカノイル))−desB30インスリン及びDesB30インスリン、カチオン交換クロマトグラフィーによるLysB29 −(N−ε(α−テトラデカノイル))−desB30インスリン及びLysB29 −(N−ε(α−テトラデカノイル))−Al−(N−ε−(α−テトラデカノイル))−desB30インスリン、カチオン交換クロマトグラフィーによるアプロチニン及びDes−Arg−Pro−アプロチニン、並びにアニオン交換クロマトグラフィーによるグルカゴン(1 − 29)及びグルカゴン(6-29)の分離である。
【0028】
それらペプチドは、そのポリペプチドをコードするDNA配列を含み、そのペプチドの発現を許容する条件下で好適な栄養培地中でそのペプチドを発現することができる宿主細胞を培養し又は発酵させることを含む方法により生産することができ、その後、得られたペプチドはその培養又は発酵ブロスから回収される。以後、培養は、培養及び発酵等;両方を含むものとして用いられよう。
【0029】
細胞を培養するのと用いる培地は、宿主細胞を生長させるために適したいずれの慣用的な培地、例えば好適なサプリメントを含む最小又は複合培地であってよい。好適な培地は、商業的供給元から利用でき、又は公開されている方法(例えばAmerican Type Culture Collectionのカタログ)に従って調製することができる。細胞により生産されたペプチドは、次に、任意に細胞を溶解し、遠心又はろ過により培地から宿主細胞を分離し、塩、例えば硫酸アンモニウムを用いて上清又はろ液のタンパク質成分を沈殿させ、慣用的な精製技術、例えばクロマトグラフィー技術により精製し、必要に応じて本発明によるイオン交換クロマトグラフィーにより精製し、そして次に、分析テスト、例えばPAGE,IEFにかけ、必要に応じて更なる精製にかけ、そして必要に応じて純粋なペプチドを単離することを含む慣用的な手順により培養培地から回収することができる。
【0030】
培養培地からの得られたペプチドの回収の間、本発明によるイオン交換クロマトグラフィーによる精製の前に、ペプチド及び関連する不純物を含む混合物は、任意に、慣用的な技術により、例えばアルキル化、アシル化、エステル形成又はアミド形成等により化学的に修飾することができる。
【0031】
親ペプチドをコードするDNA配列は、好適には、ゲノム又はcDNA起源のもの、例えばゲノム又はcDNAライブラリーを調製し、標準的技術に従って合成オリゴヌクレオチドプローブを用いるハイブリダイゼーションによりペプチドの全部又は一部をコードするDNA配列についてスクリーニングすることにより得られるものであり得る(例えば、Sambrook, J. Fritsch, EF and Maniatis, T. Molecular Cloning : A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989を参照のこと)。そのペプチドをコードするDNA配列は、確立された標準的な方法、例えばBeaucage and Caruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859〜1869 により記載されるホスホアミジト法、又はMatthes et al., EMBO Journal 3 (1984), 801〜805 により記載される方法により合成により調製することもできる。そのDNA配列は、例えばUS4,683,202又はSaiki et al., Science 239 (1988), 487〜491に記載されるように、特定のプライマーを用いてポリメラーゼ鎖反応により調製することもできる。
【0032】
そのDNA配列は、いずれかのベクターに挿入することができ、それは、便利には、組換えDNA法にかけられ、そしてベクターの選択は、しばしば、導入すべき宿主細胞に依存するであろう。これにより、本ベクターは、自己複製ベクター、即ち染色体外存在物として存在するベクターであって、その複製が染色体複製と独立しているもの、例えばプラスミドであり得る。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入した時に、宿主細胞ゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体と一緒に複製するものであってもよい。
【0033】
ベクターは、好ましくは、ペプチドをコードするDNA配列がDNAの転写のために要求される更なるセグメント、例えばプロモーターに作用可能にリンクしている発現ベクターである。プロモーターは、選択された宿主細胞において転写活性を示すいずれのDNA配列であってもよく、宿主細胞に対して同種又は異種のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子から得ることができる。種々の宿主細胞において本発明のペプチドをコードするDNAの転写を指示するための好適なプロモーターの例は当業界、例えばSambrook et al.,前掲において公知である。
【0034】
ペプチドをコードするDNA配列は、必要に応じて好適なターミネーター、ポリアデニル化シグナル、転写エンハンサー配列、及び翻訳エンハンサー配列に作用可能に接続される。本発明の組換えベクターは、ベクターが問題の宿主細胞内で複製するのを可能にするDNA配列を更に含み得る。
【0035】
ベクターは、選択マーカー、例えばその産物が宿主細胞の欠損を補足する遺伝子又は薬剤、例えばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロランフェニコール、ネオマイシン、ヒグロマイシン又はメトトレキセートに対する耐性を与えるものも含み得る。
【0036】
ペプチドを宿主細胞の分泌経路に向かわせるために、(リーダー配列、プレプロ配列又はプレ配列としても知られる)分泌シグナル配列を組換えベクターに供することができる。分泌シグナル配列は正確な読み枠内でペプチドをコードするDNA配列に連結される。分泌シグナル配列はそのペプチドをコードするDNA配列の5′に共通して位置する。分泌シグナル配列は、そのペプチドに通常、関連するものであっても、別の分泌されるタンパク質をコードする遺伝子からのものであってもよい。
【0037】
ペプチドをコードするDNA配列、プロモーター、並びに任意にターミネーター及び/又は分泌シグナル配列各々を連結するため、並びに複製のために必要な情報を含む好適なベクターにそれらを挿入するために用いる手順は当業者に公知である(例えばSambrook et al.,前掲)。
【0038】
DNA配列又は組換えベクターを導入する宿主細胞は、本ペプチドを生産することができるいずれの宿主細胞であってもよく、細菌、vira、例えばバキュロウィルス、イースト、真菌、昆虫細胞及び高等真核細胞がある。公知であり、当業界で用いられている好適な宿主細胞の例は、これらに限らないが、大腸菌、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae) 、又は哺乳動物BHK又はCHO細胞系である。
【0039】
ペプチドのいくつか、特にオリゴペプチドは、慣用的な有機ペプチド合成化学に従って生産することができる。次に、得られた合成混合物は、例えばアルキル化、アシル化、エステル形成又はアミド形成等により、化学的に修飾して精製し、又はそれ自体として精製してから上述の通り化学的に修飾することができる。
【0040】
第 VII a因子の調製
本発明に用いるために適したヒト精製第 VIIa因子は、好ましくは、例えばHagen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83 : 2412〜2416に記載されるような、又は欧州特許第200.421号(Zymo Genetics)に記載されるような、DNA組換え技術によって作られる。組換え技術により生産された第 VIIa因子は、真の第 VIIa因子又は多少改変された第 VIIa因子であり得る。但し、このような第 VIIa因子は、真の第 VIIa因子と実質的に同じ血液凝固についての生物活性を有する。このような改変された第 VIIa因子は、既知の手段により、例えば部位特異的変異誘発により天然のFVII をコードする核酸内のアミノ酸コドンを変化させることにより、又はアミノ酸コドンのいくつかの除去により、第VII 因子をコードする核酸配列を改変することにより生産することができる。
【0041】
第VII 因子は、Broze and Majerus. J. Biol. Chem 255(4) : 1242〜1247, 1980及びHedner and Kisiel, J. Clin. Invest 71 : 1836〜1841, 1983に記載される方法によっても生産することができる。これらの方法は、検出可能な量の他の血液凝固因子なしに第VII 因子を作り出す。なお更に精製された第VII 因子調製物は、最終精製ステップとして更なるゲルろ過を含めることにより得ることができる。次に、第VII 因子は、既知の手段により、例えばいくつかの異なる血漿タンパク質、例えば第XIIa,IXa又はXa因子により活性化FVIIa に変換される。あるいは、Bjoern et al. (Research Disclosure, 269 September 1986, pp. 564〜565)に記載されるように、第VII 因子は、それを、イオン交換クロマトグラフィーカラム、例えばMono Q(登録商標)(Pharmacia fine Chemicals)等に流すことにより活性化することができる。
【0042】
改変又は不活性化F VII a(F VII ai)は、以下の方法により生産することができる:
国際出願WO92/15686は、改変第 VIIa因子、改変第 VIIa因子の生産のためのポリ核酸及び哺乳動物細胞系、並びに血液凝固を阻害するための改変第 VIIa因子を含む組成物に関する。
【0043】
改変第VII 因子は、ビタミンK依存性血漿タンパク質のプレプロペプチド及びglaドメイン、並びにglaドメインのない第VII 因子タンパク質を各々コードする2つの作用可能にリンクした配列コーティング領域を含むポリヌクレオチド分子によりコードされ得る。発現に基づき、そのポリヌクレオチドは血漿第X又はIX因子を有意に活性化せず、組織因子に結合することができない改変第VII 因子をコードする。
【0044】
第 VIIa因子の触媒活性は、触媒中心又は3つ組の化学的誘導化により阻害することができる。誘導化は、第VII 因子を、不可逆的インヒビター、例えば有機リン化合物、スルホニルフルオライド、ペプチドハロメチルケトンもしくはアザペプチドと反応させることにより、又は例えばアシル化により行うことができる。好ましいペプチドハロメチルケトンには、PPACKCD−Phe−Pro−Argクロロメチル−ケトン;引用により本明細書に組み込まれる米国特許第4,318,904号を参照のこと)、D−Phe−Phe−Arg及びPhe−Phe−Argクロロメチルケトン(FFR−cmk);及びDEGRck(ダンシル−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン)がある。
【0045】
第 VIIa因子の触媒活性は、アミノ酸を置換、挿入又は削除することによっても阻害することができる。好ましい実施形態において、アミノ酸置換は、第 VIIa因子触媒部位に寄与するアミノ酸を含む領域として本明細書で定義される第VII 因子触媒3つ組のアミノ酸配列内に行われる。触媒3つ組内の置換、挿入又は欠失は、一般に、触媒部位を形成するアミノ酸で、又はそれに隣接する。ヒト及びウシ第VII 因子において、触媒“3つ組”を形成するアミノ酸は、Ser344 ,Asp242 、及びHis193 (添字のナンバリングは配列中の位置を示す)。他の哺乳動物種からの第VII 因子中の触媒部位は、とりわけ、タンパク質単離及びアミノ酸分析を含む現在利用できる技術を用いて決定することができる。触媒部位は、配列を他のセリンプロテアーゼ、特にその活性部位が先に決定されている引用により本明細書に組み込まれるSigler et al., J. Mol. Biol., 35 : 143〜164 (1968)キモトリプシンの配列とアラインすることによって決定することもでき、そのアラインメントから類似活性部位残基を決定することからも決定することができる。
【0046】
ヒト及びウシ第VII 因子の好ましい実施形態において、活性部位残基Ser344 は改変され、Gly,Met,Thr、又はより好ましくはAlaで置換される。このような置換は、別個に、又はHis193 及びAsp242 を含む触媒3つ組内の他の部位の置換と組み合わせて行うことができよう。
【0047】
第VII 因子内の触媒部位を形成するアミノ酸、例えばヒト及びウシ第VII 因子内のSer344 ,Asp242 、及びHis193 は、置換されても削除されてもよい。本発明において、単一のアミノ酸のみを変化させ、これにより分子の抗原性を増加させ又は組織因子に結合する能力を阻害する可能性を最小にすることが好ましいが、2又はそれ超のアミノ酸変換(置換、付加又は欠失)を行うことができ、そして置換、付加及び削除の組合せも行うことができる。ヒト及びウシ第VII 因子のための好ましい実子形態において、Ser344 は、好ましくはAlaで置換されるが、Gly,Met,Thr又は他のアミノ酸を置換することもできる。AspをGluで置換し、そしてHisをLys又はArgで置換することが好ましい。一般に、置換は、出来る限りタンパク質3次構造を破壊しないよう選択される。引用により本明細書に組み込まれるDayhoff et al.のモデル(Atlas of Protein Structure 1978, Nat'l Biomed. Res. Found., Washington, D.C.)は、他のアミノ酸置換を選択することにおいてガイドとして用いることができる。ヒト、ウシ又は他の種の好適な第VII 因子配列の触媒部位に上述の残基変化を導入し、得られたタンパク質を、触媒活性の阻害の要求されるレベル及び本明細書に記載されるような生ずる抗凝固活性についてテストすることができる。改変された第VII 因子について、その触媒活性は、一般に、対応する種の野生型第VII 因子の触媒活性の約5%未満、より好ましくは約1%未満、実質的に阻害されよう。
【0048】
改変された第VII 因子は、組換えDNA技術の使用を介して生産することができる。
【0049】
アミノ酸配列変化は、種々の技術により行うことができる。DNA配列の改変は、部位特異的変異誘発によるものであってよい。部位特異的変異誘発のための技術は当業界で公知であり、例えばZoller and Smith (DNA 3 : 479〜488, 1984)に記載される。これにより、第VII 因子のヌクレオチド及びアミノ酸配列を用いて、選択された変化を導入することができる。改変された第FVIIa 因子は、化学的方法によって生産することもできる。
FFR−FVIIa(即ちD−Phe−Phe−Arg−FVIIa)
FFRクロロメチルケトンの例
FFRクロロメチルケトンでのFVIIa の活性部位の遮断
クロロメチルケトンでの活性部位セリン及びヒスチジンの遮断は、セリンプロテアーゼの不可逆的不活性化のための公知の方法である。所定のプロテアーゼの遮断を最適化するために、その活性部位と迅速なオン・レートで特異的に反応するクロロメチルケトン誘導体を選択することが重要である。このような誘導体は、問題の特定のセリンプロテアーゼの基質結合ポケットと相互作用するオリゴペプチドのクロロメチルケトン基への結合により開発することができる。
【0050】
グルタミル−グリシル−アルギニンクロロメチルケトン(EGR−ck又はそのダンシル誘導体、DEGK−ck)(S. Higashi, H. Nishimura, S. Fujii, K Takada, S. Iwanaga, (1992) J. Biol. Chem. 267, 17990)又はプロリル−フェニル−アルギニンクロロメチルケトン(PFR−ck)(J.H. Lawson, S. Butenas, K. Mann, (1992), J. Biol. Chem. 267, 4834; J. Contrino, G.A. Hair, M.A. Schmeizl, F.R. Rickles, D.L. Kreutzer (1994) Am. J. Pathol. 745, 1315)がFVIIa の活性部位インヒビターとして適用されている。これらのクロロメチルケトンと比べてFFRckの適用は10〜70倍の比率の増加を示す。
【0051】
FVIIa のFFR−クロロメチルケトン誘導体との反応の特異性は、HPLC及びペプチドマッピングにより検査した。それは、FVIIa がFFR−クロロメチルケトンと、1:1の比で、ヒスチジン193で誘導化された予想産物として98%超を回収することができたことを示した。
【0052】
種々のクロロメチルケトンによるFVIIa の不活性化:
3μM FVIIa を12μMのクロロメチルケトン誘導体と、50mM Tris HCl、100mM NaCl、5mM CaCl2 、0.01% Tween−80、pH7.4中でインキュベートした。サンプルを、示されるように種々の時間間隔で採取し、1mM Ile−Pro−Arg−pNAを含む50mM Tris HCl、100mM NaCl、5mM CaCl2 、0.01% Tween−80、pH7.4中での活性測定のために20倍に希釈した。残存FVIIa 活性を、405nmの吸光度の増加により測定した。
【0053】
通常、本発明によるイオン交換クロマトグラフィーにより精製すべきペプチド及び関連する不純物を含む混合物は、アミノ酸、小ペプチド、大ペプチド、未関連タンパク質、反応物、細胞デブリス、HCP、エンドトキシン、及び/又はviraも、組換えDNA法及び/又は化学修飾法が用いられたか否か、又は有機ペプチド合成化学法が用いられたか否かに依存して含むであろう。
【0054】
これにより、本発明によるIEC法を含む、純粋なペプチドを生産するための、工業的方法のようないずれの方法も、本願の一態様である。
【0055】
従って、本発明は、更なる態様において、ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのカチオン交換クロマトグラフィー法を含む、純粋なペプチドを生産するための工業的方法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが正の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷より低い局所的又は全体的な正の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより高いpH値で溶出すること
を含む方法に関する。
【0056】
本発明は、更なる態様において、ペプチドを単離するための方法であって、
a)混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液を含む溶液中で、直線もしくはステップ勾配で又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが正の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷より低い局所的又は全体的な正の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより高いpH値で溶出すること
を含むカチオン交換クロマトグラフィー法を介して前記ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製し、
そして次に、必要に応じて、分析テスト及び/又は更なる精製にかけ、そして慣用的な方法で前記ペプチドを単離すること
を含む方法に関する。
【0057】
本発明は、更なる態様において、ペプチドを単離するための方法であって、
a)混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ勾配で又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが正の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷より低い局所的又は全体的な正の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより高いpH値で溶出すること
を含むカチオン交換クロマトグラフィー法を介して前記ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製し、
そして次に、必要に応じて、分析テスト及び/又は更なる精製にかけ、そして慣用的な方法で前記ペプチドを単離すること
を含む方法に関する。
【0058】
本発明は、更なる態様において、ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのアニオン交換クロマトグラフィー法を含む、純粋なペプチドを生産するための工業的方法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが負の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの負の実効電荷より低い局所的又は全体的な負の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより低いpH値で溶出すること
を含む方法に関する。
【0059】
本発明は、なお更なる態様において、ペプチドを単離するための方法であって、
a)混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液を含む溶液中で、直線もしくはステップ勾配で又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが負の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの負の実効電荷より低い局所的又は全体的な負の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより低いpH値で溶出すること
を含むアニオン交換クロマトグラフィー法を介して前記ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製し、
そして次に、必要に応じて、分析テスト及び/又は更なる精製にかけ、そして慣用的な方法で前記ペプチドを単離すること
を含む方法に関する。
【0060】
本発明は、なお更なる態様において、ペプチドを単離するための方法であって、
a)混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ勾配で又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが負の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの負の実効電荷より低い局所的又は全体的な負の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより低いpH値で溶出すること
を含むアニオン交換クロマトグラフィー法を介して前記ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製し、
そして次に、必要に応じて、分析テスト及び/又は更なる精製にかけ、そして慣用的な方法で前記ペプチドを単離すること
を含む方法に関する。
【0061】
本明細書に記載される2又はそれ超の実施形態のいずれの可能な組合せも本発明の範囲に含まれる。
【0062】
本明細書に用いる用語“有機モディファイア”は、有機溶媒もしくは水に可溶性である有機化合物又はそれらの混合物を含むことを意図し、そのモディファイアは、1又は複数の不要な関連する不純物及びペプチド並びにイオン交換体の間の有利な及び変化した選択性を誘導する。選択されたモディファイアがこの選択性を誘導するか否かは、通常、1又は複数の不純物に依存するであろうし、試行錯誤によりテストすることができる。有機モディファイアには、これらに限らないが、C1-6 −アルカノール、C1-6 −アルケノール又はC1-6 −アルキノール、尿素、グアニジン・HCl、又はC1-6 −アルカン酸(alkanoic acid)、例えば酢酸、C2-6 −グリコール、C3-7 −ポリアルコール含有糖、又はそれらの混合物がある。
【0063】
単独で又は組み合わせて本明細書に用いる用語“C1-6 −アルカノール”、“C1-6 −アルケノール”又は“C1-6 −アルキノール”は、ヒドロキシル(−OH)が連結した直鎖、分枝鎖又は環形態の示される長さのC1-6 −アルカン、C1-6 −アルケン又はC1-6 −アルキンを含むことを意図する(cf. Morrison & Boyd, Organic Chemistry, 4th ed)。直鎖アルコールの例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、アリルアルコール、n−ブタノール、n−ペンタノール及びn−ヘキサノールである。分枝鎖アルコールの例は2−プロパノール及びtert−ブチルアルコールである。環式アルコールの例はシクロプロピルアルコール及び2−シクロヘキセン−1−オールである。
【0064】
本明細書に用いる用語“C1-6 −アルカン酸”は、式:R′COOH(式中、R′は、H又はC1-5 アルキルである)の基、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、メチル酪酸又は吉草酸を含むことを意図する(cf. Morrison & Boyd, Organic Chemistry, 4th ed.)。
【0065】
本明細書に用いる用語“C1-5 −アルキル”は、1〜5の炭素原子を有する分枝鎖又は直鎖アルキル基を含むことを意図する。典型的なC1-5 −アルキル基には、これらに限らないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル等がある(cf. Morrison & Boyd, Organic Chemistry, 4th ed.)。
【0066】
本明細書に用いる用語“C2-6 −グリコール”は、隣接してもしなくてもよい異なる炭素原子上に2つのヒドロキシル基を含むC2-6 −アルカンを含むことを意図する。典型的なC2-6 −グリコールには、これらに限らないが、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、又は2−メチル−2,4−ペンタンジオールがある(cf. Morrison & Boyd, Organic Chemistry, 4th ed.)。
【0067】
本明細書に用いる用語“C2-6 −アルカン”は、2〜6の炭素原子を有する分枝鎖又は直鎖アルカン基を含むことを意図する。典型的なC2-6 −アルカン基には、これらに限らないが、エタン、プロパン、iso−プロパン、ブタン、iso−ブタン、ペンタン、ヘキサン等がある(cf. Morrison & Boyd, Organic Chemistry, 4th ed.)。
【0068】
本明細書に用いる用語“C3-7 −ポリアルコール含有糖”は、式:HOCH2 (CHOH)n CH2 OH(式中、nは1〜5の整数である)の基、及びモノサッカライド、例えばマンノース、グルコースを含むことを意図する(cf. Morrison & Boyd, Organic Chemistry, 4th ed.)。
【0069】
本明細書に用いる用語“ペプチド”は、ポリペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、並びにそれらの相同体、アナログ及び誘導体を含むことを意図し、これらは、慣用的な組換えDNA技術及び慣用的な合成法により生産することができる。このようなペプチドには、これらに限らないが、グルカゴン、hGH、インスリン、アプロチニン、第VII 因子、TPA、第 VIIa因子(Novo Seven(登録商標)、Novo Nordisk A/S, Bagsvaerd, Denmarkから市販)、第 VIIai因子、FFR−第 VIIa因子、ヘパリナーゼ、ACTH、コルチコトロピン放出因子、アンギオテンシン、カルシトニン、インスリン、グルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−2、インスリン様成長因子−1、インスリン様成長因子−2、胃抑制ペプチド、成長ホルモン放出因子、下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ペプチド、セクレチン、エンテロガストリン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ソマトメジン、副甲状腺ホルモン、トロンボポエチン、エリトロポエチン、視床下部放出因子、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、エンドルフィン、エンケフェリン、バソプレッシン、オキシトシン、オピオイド、GIP、エキセンジン(exendins)、ペプチドヒスチジン−メチオニンアミド、ヘロスペクチン(helospectins)、ヘロデルミン(helodermin)、下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ペプチド関連ペプチド、血管作用性小腸ペプチド及びそれらのアナログがある。ここで、アナログは、親ペプチドの1又は複数のアミノ酸残基が、別のアミノ酸残基により置換されているペプチド、及び/又は親ペプチドの1又は複数のアミノ酸残基が付加されているペプチドを示すのに用いる。このような付加は、親ペプチドのN末端もしくはC末端又は両方で行うことができる。誘導体は、本明細書において、親ペプチドの1又は複数のアミノ酸残基が、例えばアルキル化、アシル化、エステル形成又はアミド形成等により、化学的に修飾されているペプチドを示すのに用いる。
【0070】
本明細書に用いる用語“塩成分”は、いずれかの有機又は無機塩、例えばこれらに限らないが、NaCl,KCl,NH4 Cl,CaCl2 、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、酢酸カルシウム又はそれらの混合物を含むことを意図する(cf. Remington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton. PA, 1990、又はRemington : The Science and Practice of Pharmacy, 19th Edition (1995)、又はAmersham-Pharmacia Biotech からのハンドブック)。
【0071】
本明細書に用いる用語“緩衝液”は、いずれかの緩衝液、例えばこれらに限らないが、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、tris緩衝液、ホウ酸緩衝液、乳酸緩衝液、グリシルグリシン緩衝液、アルギニン緩衝液、炭酸緩衝液、酢酸緩衝液、グルタミン酸緩衝液、アンモニウム緩衝液、グリシン緩衝液、アルキルアミン緩衝液、アミノエチルアルコール緩衝液、エチレンジアミン緩衝液、トリエタノールアミン、イミダゾール緩衝液、ピリジン緩衝液及びバルビツール酸緩衝液、並びにそれらの混合物を含むことを意図する(cf. Remington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990、又はRemington : The Science and Practice of Pharmacy, 19th Edition (1995)、又はAmersham-Pharmacia Biotechからのハンドブック)。
【0072】
出発pH、緩衝液及びイオン強度の選択は、公知技術、例えば慣用的なテスト−チューブ法、例えばAmersham-Pharmacia Biotechからのハンドブックに従って行われる。クロマトグラフィーのイオン交換樹脂は、精製すべき特定のペプチド及び用いる条件、例えばpH、緩衝液、イオン強度等に依存して選択されるが、それらは、当業者に知られており(即ち典型的にはカチオン交換樹脂についてペプチドの等電点(pI)未満のpH、アニオン交換樹脂についてペプチドのpI超のpH、要求されるpHを維持するのに十分な緩衝液強度、及び塩濃度により誘導され得るのに十分に低いイオン強度)、これらに限らないが、Amersham−Pharmacia BiotechからのSepharose樹脂、Sephadex樹脂、Streamline樹脂、及びSource樹脂、BioSepraからのHyperD樹脂、Trisacryl樹脂、及びSpherosil樹脂、TosoHaasからのTSKgel樹脂及びToyopearl樹脂、MerckからのFractogel EMD樹脂、Perseptive BiosystemsからのPoros樹脂、BioRADからのMacro−Prep樹脂、WhatmanからのExpression樹脂等がある。
【0073】
本明細書に用いる用語“有機モディファイア、水、任意に塩成分、及び任意に緩衝液から本質的になる溶液”は、1又は複数の有機モディファイア、水を含み、1又は複数の塩成分を含むか又は塩成分を含まず、1又は複数の緩衝液を含むか又は緩衝液を含まず、そして任意に、当業者が慣用的なイオン交換クロマトグラフィー法に従って添加を考えるであろう1又は複数の更なる慣用的な成分を含む溶液を意味することを意図する。
【0074】
本明細書に用いる用語“関連する不純物”は、ペプチドと異なる局所的又は全体的実効電荷を有する1又は複数の不純物、例えばそれらがペプチドの前に溶出する限り、トランケートされた形態、全ての種類の伸長した形態(余分のアミノ酸、エステルを含む、種々の誘導体等)、脱アミド化形態、不正確にホールディングした形態、シアリル化を含む不要なグリコシル化を伴う形態、“γ−カルボキシグルタミン酸の欠如”等を意味することを意図する。
【0075】
“pH値で”、“同じ又はより低いpH値で”、及び“同じ又はより高いpH値で”とあわせて本明細書で用いられる用語“pH値”は、ステップa)のpH値が一定であっても、又は典型的には3pH単位内で変化し得、そして次にステップb)のpH値がステップa)と同じく一定であるかもしくはpH値を変化させ得、又は一定であるかもしくは典型的には3pH単位内で変化し得る異なるpH値であり得ることを意味することを意図する。このようなpH値は、典型的には、緩衝液及び/又は無機もしくは有機酸又は塩基、例えばHCl,NaOH,H2 O、酢酸、NH3 ,KOH,H2 SO4 、クエン酸の添加により維持され又は変化され得る。
【0076】
ペプチドの負の(又は正の)実効電荷より低い局所的又は全体的な負の(又は正の)実効電荷を有する関連する不純物と合わせて本明細書に用いられる用語“より低い”は、関連する不純物の局所的又は全体的な実効電荷の数値が前記ペプチドの局所的又は全体的な実効電荷の数値より低いことを意味することを意図する。
【0077】
本発明は以下の態様にも関する:
態様1。ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのカチオン交換クロマトグラフィー法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが正の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷より低い局所的又は全体的な正の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより高いpH値で溶出すること
を含む方法。
【0078】
態様2。ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのアニオン交換クロマトグラフィー法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが負の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの負の実効電荷より低い局所的又は全体的な負の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより低いpH値で溶出すること
を含む方法。
【0079】
態様3。重量パーセントに基づく有機溶媒:水の比が1:99〜99:1である態様1又は2に記載の方法。
【0080】
態様4。前記有機モディファイアが、C1-6 −アルカノール、C1-6 −アルケノール又はC1-6 −アルキノール、尿素、グアニジン、又はC1-6 −アルカン酸、C2-6 −グリコール、又はC3-7 −ポリアルコール含有糖から選択される態様1〜3のいずれかに記載の方法。
【0081】
態様5。ステップa)の塩成分が、いずれかの有機又は無機塩、好ましくはNaCl,KCl,NH4 Cl,CaCl2 、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、酢酸カルシウム又はそれらの混合物から選択される態様1〜4のいずれか一に記載の方法。
【0082】
態様6。ステップa)に塩成分が存在しない態様1〜4のいずれか一に記載の方法。
【0083】
態様7。ステップa)の塩成分勾配がステップ又は直線塩成分勾配である態様1〜5のいずれか一に記載の方法。
【0084】
態様8。前記塩成分が0.1mmol/kg〜3000mmol/kgの範囲から選択される濃度で存在する態様7に記載の方法。
【0085】
態様9。ステップb)の塩成分が、いずれかの有機又は無機塩、好ましくはNaCl,KCl,NH4 Cl,CaCl2 、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、酢酸カルシウム又はそれらの混合物から選択される態様1〜8のいずれか一に記載の方法。
【0086】
態様10。ステップb)において、前記塩成分が0.1mmol/kg〜3000mmol/kgの範囲から選択される濃度で存在する態様1〜9のいずれかに記載の方法。
【0087】
態様11。ステップb)に塩成分が存在しない態様1〜8のいずれか一に記載の方法。
【0088】
態様12。ステップa)又はb)の緩衝液が、独立して、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、tris緩衝液、ホウ酸緩衝液、乳酸緩衝液、グリシルグリシン緩衝液、アルギニン緩衝液、炭酸緩衝液、酢酸緩衝液、グルタミン酸緩衝液、アンモニウム緩衝液、グリシン緩衝液、アルキルアミン緩衝液、アミノエチルアルコール緩衝液、エチレンジアミン緩衝液、トリエタノールアミン、イミダゾール緩衝液、ピリジン緩衝液及びバルビツール酸緩衝液及びそれらの混合物から選択される態様1〜11のいずれか一に記載の方法。
【0089】
態様13。ステップa)の緩衝液が、0.1mmol/kg〜500mmol/kgの範囲から選択される濃度で存在する態様1〜12のいずれか一に記載の方法。
【0090】
態様14。ステップb)の緩衝液が0.1mmol/kg〜1000mmol/kgの範囲から選択される濃度で存在する態様1〜13のいずれか一に記載の方法。
【0091】
態様15。ステップa)に緩衝液が存在しない態様1〜11のいずれか一に記載の方法。
【0092】
態様16。ステップb)に緩衝液が存在しない態様1〜11のいずれか一に記載の方法。
【0093】
態様17。ペプチドを単離するための方法であって、
a)混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ塩成分勾配的又は定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが正の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷より低い局所的又は全体的な正の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより高いpH値で溶出すること
を含むカチオン交換クロマトグラフィー法を介して前記ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製し、
そして次に、必要に応じて、分析テスト及び/又は更なる精製にかけ、そして慣用的な方法で前記ペプチドを単離すること
を含む方法。
【0094】
態様18。ペプチドを単離するための方法であって、
a)混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、水、任意に塩成分及び任意に緩衝液から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ塩成分勾配的又は定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが負の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの負の実効電荷より低い局所的又は全体的な負の実効電荷を有するような、緩衝液で任意に維持したpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、塩成分を任意に伴う水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、緩衝液で任意に維持した同じ又はより低いpH値で溶出すること
を含むアニオン交換クロマトグラフィー法を介して前記ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製し、
そして次に、必要に応じて、分析テスト及び/又は更なる精製にかけ、そして慣用的な方法で前記ペプチドを単離すること
を含む方法。
【0095】
態様19。精製すべきペプチドが、ポリペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、レセプター、vira、並びにそれらの相同体、アナログ及び誘導体、好ましくはグルカゴン、hGH、インスリン、アプロチニン、FVII ,TPA,FVIIa ,FFR−FVIIa 、ヘパリナーゼ、ACTH、ヘパリン結合タンパク質、コルチコトロピン放出因子、アンギオテンシン、カルシトニン、インスリン、グルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−2、インスリン様成長因子−1、インスリン様成長因子−2、繊維芽細胞成長因子、胃抑制ペプチド、成長ホルモン放出因子、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、セクレチン、エンテロガストリン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ソマトメジン、副甲状腺ホルモン、トロンボポエチン、エリトロポエチン、視床下部放出因子、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、エンドルフィン、エンケファリン、バソプレッシン、オキシトシン、オピオイド、DPPIV、インターロイキン、イムノグロブリン、補体インヒビター、セルピンプロテアーゼインヒビター、サイトカイン、サイトカインレセプター、PDGF、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子レセプター、成長因子GIP、エキセンジン、ペプチドヒスチジン−メチオニンアミド、ヘロスペクチン、ヘロデルミン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド関連ペプチド、血管作用性小腸ポリペプチド並びにそれらのアナログ及び誘導体、より好ましくはグルカゴン、hGH、インスリン、アプロチニン、FVII ,FVIIa ,FFR−FVIIa 、ヘパリナーゼ、グルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−2並びにそれらのアナログ及び誘導体例えばArg34GLP−1(7-37)、ヒトインスリン、及びB28IsoAspインスリンから選択される態様1〜18のいずれか一に記載の方法。
実施例
本発明は、以下の例により更に説明されるが、それらは、保護の範囲を限定するものとして解釈すべきでない。先の記載及び以下の例において開示される特徴は、別個に、及びいずれかの組合せにおいてその多様な形態で本発明を認識するための材料となり得る。
【0096】
実施例1:
Arg34GLP−1(7-37)を、例えばWO98/08871に記載されるように、慣用的な組換えDNA技術によりイースト(Sacch. cerevisiae)で発現させた。Arg34GLP−1(7-37)発酵ブロスを、慣用的な逆相クロマトグラフィー捕獲ステップにより精製し、次に、Arg34GLP−1(7-37)のpI(等電点)で沈殿させた。そのArg34GLP−1(7-37)及びいくつかの不純物の1つとしてヒスチジン及びアラニン残基を失ったトランケートされた形態、Arg34GLP−1(9-37)を含む沈殿2gを100mLの水に懸濁し、pHを8.2に調節することにより溶解させた。得られた混合物をpH3.4に調節し、ろ過した。そのろ液21mLを、100mLの20mmol/kgクエン酸、75mmol/kg KCl、45%w/wエタノール、pH3.5で平衡化した20mL Source 30S(Amersham Pharmacia Biotech)カラムに適用した。そのトランケートされた形態を、60mLの20mmol/kgクエン酸、87.5mmol/kg KCl、45%w/wエタノール、pH3.5により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、100mLの200mmol/kgトリス−ヒドロキシメチルアミノメタン、pH8.5のステップ勾配により単一ピークで溶出した。クロマトグラムを図1に示す。
【0097】
収集されたピークの同定/確認のためのRP−HPLC分析を、5μm粒子を伴うC18−置換化120Åシリカ(YMC)4.0×250mmカラムで行った。緩衝液Aは7.8%アセトニトリル、pH2.5中0.15M(NH4 )2 SO4 からなり、緩衝液Bは63.4%アセトニトリルを含む。12分の37〜41%のB、次に15分の41〜100%のBの直線勾配を、1mL/分の流速で行った。クロマトグラフィー温度は60℃に維持し、UV検出は、214nmで行った。分析結果は以下の通りであった:
【0098】
【表1】
【0099】
実施例2:
Arg34GLP−1(7-37)発酵ブロスをカチオン交換クロマトグラフィーにより精製し、実施例に記載されるように沈殿させた。
【0100】
Arg34GLP−1(7-37)及び1つの不純物として、そのトランケートされた形態、Arg34GLP−1(9-37)を含む沈殿2gを懸濁し、100mLの20mmol/kgグリシン、pH9.0に溶かして8.4の最終pHとした。得られた混合物をpH3.5に調節し、ろ過した。そのろ液52mLを、60mLの20mmol/kgクエン酸、75mmol/kg KCl、45%w/wエタノール、pH3.5で平衡化した20mL Source 30S(Amersham Pharmacia Biotech)カラムに適用した。そのトランケートされた形態を、60mLの20mmol/kgクエン酸、87.5mmol/kg KCl、45%w/wエタノール、pH3.5のステップ勾配により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、100mLの200mmol/kgグリシン、pH9.0のステップ勾配により単一ピークにおいて溶出した。収集されたピークの同定/確認のためのRP−HPLC分析を実施例1に記載されるように行った。その分析結果は、エタノールを含む洗浄ステップによるトランケートされた形態の選択的除去、及びカチオン交換クロマトグラフィー法を用いることによる水性溶出液中のトランケートされた形態の高い削減を示す。
【0101】
実施例3:
Arg34GLP−1(7-37)発酵ブロスを、慣用的なカチオン交換クロマトグラフィー捕獲ステップ、次に慣用的なRP−HPLC精製ステップにより精製した。Arg34GLP−1(7-37)及び不純物としてトランケート化形態、Arg34GLP−1(9-37)を含むRP−HPLCプールに4容量の水を加えた。得られた溶液175mLをpH3.5に調節し、100mLの20mmol/kgクエン酸、75mmol/kg KCl、45%w/wエタノール、pH3.5で平衡化した20mL Source 30S(Amersham Pharmacia Biotech)カラムに適用した。そのカラムを20mLの平衡化溶液で洗い、そのトランケートされた形態を、75から100mmol/kgのKCl(20mmol/kgクエン酸、45%w/wエタノール、pH3.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、100mLの100mmol/kg Na2 CO3 、pH9.5のステップ勾配により単一ピークにおいて溶出した。クロマトグラムを図4に示す。
【0102】
実施例4:
Arg34GLP−1(7-37)を発現させ、カチオン交換により捕獲し、そして実施例3に記載されるようにRP−HPLCにより精製した。
【0103】
Arg34GLP−1(7-37)及び不純物としてトランケートされた形態、Arg34GLP−1(9-37)を含むRP−HPLCプールに1容量水を加えた。得られた溶液86mLをpH3.5に調節し、100mLの20mmol/kgクエン酸、75mmol/kg KCl、45%w/wエタノール、pH3.5で平衡化した20mL Source 30S(Amersham Pharmacia Biotech)カラムに適用した。そのカラムを20mLの平衡化溶液で洗い、そのトランケートされた形態を、75から100mmol/kgのKCl(20mmol/kgクエン酸、45%w/wエタノール、pH3.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、100mLの100mmol/kg H3 BO3 、100mmol/kg NaCl、pH9.5のステップ勾配により溶出した。
【0104】
実施例5:
Arg34GLP−1(7-37)を、慣用的な逆相クロマトグラフィーにより発酵ブロスから単離し、そして実施例1に記載されるように沈殿させた。
【0105】
Arg34GLP−1(7-37)及びいくつかの不純物の1つとしてトランケートされた形態、Arg34GLP−1(9-37)を含む沈殿10gを500mLの水に懸濁し、8.3にpH調節することにより溶解して、約1.6mg/mLのArg34GLP−1(7-37)濃度にした。得られた溶液5mLをpH3.5に調節し、60mLの0.42%w/wクエン酸、34%w/wエタノール、pH3.5で平衡化した20mL Source 30S(Amersham Pharmacia Biotech)カラムに適用した。そのトランケートされた形態を、0から1.29%w/wのKCl(0.42%w/wクエン酸、34%w/wエタノール、pH3.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、100mLの200mmol/kgグリシン、pH9.5のステップ勾配により単一ピークにおいて溶出した。クロマトグラムを図5に示す。
【0106】
実施例6:
Arg34GLP−1(7-37)を、慣用的な逆相クロマトグラフィーにより発酵ブロスから単離し、実施例1に記載される通り沈殿させた。
【0107】
Arg34GLP−1(7-37)及びいくつかの不純物の1つとしてトランケートされた形態、Arg34GLP−1(9-37)を含む沈殿10gを500mLの水に懸濁し、8.3へのpH調節により溶解して約1.6mg/mLのArg34GLP−1(7-37)濃度にした。得られた溶液5mLをpH3.2に調節し、60mLの0.42%w/wクエン酸、29%w/wエタノール、pH3.5で平衡化した20mL Source 30S(Amersham Pharmacia Biotech)カラムに適用した。そのトランケートされた形態を、0から1.96%w/w KCl(0.42%w/wクエン酸、29%w/wエタノール、pH3.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、100mLの200mmol/kgグリシン、pH9.5のステップ勾配により溶出した。
【0108】
実施例7:
Arg34GLP−1(7-37)を、慣用的な逆相クロマトグラフィーにより発酵ブロスから単離し、実施例1に記載される通り沈殿させた。
【0109】
Arg34GLP−1(7-37)及びいくつかの不純物の1つとしてトランケートされた形態、Arg34GLP−1(9-37)を含む沈殿10gを500mLの水に懸濁し、8.3へのpH調節により溶解して約1.6mg/mLのArg34GLP−1(7-37)濃度にした。得られた溶液5mLをpH3.5に調節し、60mLの0.42%w/wクエン酸、51%w/wエタノール、pH3.5で平衡化した20mL Source 30S(Amersham Pharmacia Biotech)カラムに適用した。そのトランケートされた形態を、0から1.00%w/w KCl(0.42%w/wクエン酸、51%w/wエタノール、pH3.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、100mLの200mmol/kgグリシン、pH9.5のステップ勾配により溶出した。
【0110】
実施例8:
Arg34GLP−1(7-37)を、慣用的な逆相クロマトグラフィーにより発酵ブロスから単離し、実施例1に記載される通り沈殿させた。
【0111】
Arg34GLP−1(7-37)及びいくつかの不純物の1つとしてトランケートされた形態、Arg34GLP−1(9-37)を含む沈殿10gを500mLの水に懸濁し、8.3へのpH調節により溶解して約1.6mg/mLのArg34GLP−1(7-37)濃度にした。得られた溶液5mLをpH3.5に調節し、60mLの0.42%w/wクエン酸、71%w/wエタノール、pH3.5で平衡化した20mL Source 30S(Amersham Pharmacia Biotech)カラムに適用した。そのトランケートされた形態を、0から0.48%w/w KCl(0.42%w/wクエン酸、71%w/wエタノール、pH3.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、100mLの200mmol/kgグリシン、pH9.5のステップ勾配により溶出した。
【0112】
実施例9:
Arg34GLP−1(7-37)を、慣用的な逆相クロマトグラフィーにより発酵ブロスから単離し、実施例1に記載される通り沈殿させた。
【0113】
Arg34GLP−1(7-37)及びいくつかの不純物の1つとしてトランケートされた形態、Arg34GLP−1(9-37)を含む沈殿10gを500mLの水に懸濁し、8.3へのpH調節により溶解して約1.6mg/mLのArg34GLP−1(7-37)濃度にした。得られた溶液5mLをpH3.5に調節し、60mLの0.42%w/wクエン酸、40%w/w 2−プロパノール、pH3.5で平衡化した20mL Source 30S(Amersham Pharmacia Biotech)カラムに適用した。そのトランケートされた形態を、0から0.61%w/w KCl(0.42%w/wクエン酸、40%w/w 2−プロパノール、pH3.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、100mLの200mmol/kgグリシン、pH9.5のステップ勾配により単一ピークにおいて溶出した。クロマトグラムを図6に示す。
【0114】
実施例10:
Arg34GLP−1(7-37)を、慣用的な逆相クロマトグラフィーにより発酵ブロスから単離し、実施例1に記載される通り沈殿させた。
【0115】
Arg34GLP−1(7-37)及びいくつかの不純物の1つとしてトランケートされた形態、Arg34GLP−1(9-37)を含む沈殿10gを500mLの水に懸濁し、8.3へのpH調節により溶解して約1.6mg/mLのArg34GLP−1(7-37)濃度にした。得られた溶液5mLをpH3.5に調節し、24mLの0.42%w/wクエン酸、51%w/wエタノール、pH3.5で平衡化した8mL Poros 50 HS(PE Biosystems)カラムに適用した。そのトランケートされた形態を、0から1.34%w/w KCl(0.42%w/wクエン酸、51%w/wエタノール、pH3.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、40mLの200mmol/kgグリシン、pH9.5のステップ勾配により溶出した。クロマトグラムを図7に示す。
【0116】
実施例11:
Arg34GLP−1(7-37)を、慣用的な逆相クロマトグラフィーにより発酵ブロスから単離し、実施例1に記載される通り沈殿させた。
【0117】
Arg34GLP−1(7-37)及びいくつかの不純物の1つとしてトランケートされた形態、Arg34GLP−1(9-37)を含む沈殿10gを500mLの水に懸濁し、8.3へのpH調節により溶解して約1.6mg/mLのArg34GLP−1(7-37)濃度にした。得られた溶液5mLをpH3.5に調節し、24mLの0.42%w/wクエン酸、40%w/w 2−プロパノール、pH3.5で平衡化した80mL Poros 50 HS(PE Biosystems)カラムに適用した。そのトランケートされた形態を、0から1.34%w/w KCl(0.42%w/wクエン酸、40%w/w 2−プロパノール、pH3.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、40mLの200mmol/kgグリシン、pH9.5のステップ勾配により溶出した。
【0118】
実施例12:
Arg34GLP−1(7-37)を、慣用的な逆相クロマトグラフィーにより発酵ブロスから単離し、実施例1に記載される通り沈殿させた。
【0119】
Arg34GLP−1(7-37)及びいくつかの不純物の1つとしてトランケートされた形態、Arg34GLP−1(9-37)を含む沈殿10gを500mLの水に懸濁し、8.3へのpH調節により溶解して約1.6mg/mLのArg34GLP−1(7-37)濃度にした。得られた溶液5mLをpH3.5に調節し、60mLの0.42%w/wクエン酸、40%w/w 2−メチル−2,4−ペンタンジオール、pH3.5で平衡化した20mL Source 30S(Amersham Pharmacia Biotech)カラムに適用した。そのトランケートされた形態を、0から0.60%w/w KCl(0.42%w/wクエン酸、40%w/w 2−メチル−2,4−ペンタンジオール、pH3.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的ペプチドArg34GLP−1(7-37)を、100mLの200mmol/kgグリシン、pH9.5のステップ勾配により単一ピークにおいて溶出した。クロマトグラムを図9に示す。
【0120】
実施例13:
7.7mg/mLヒトインスリン及び0.8mg/mLヒトインスリンエチルエステル(B30)の混合物を、他所に記載(cf. I. Mollerup, S.W. Jensen, P. Larsen, O. Schou, L. Snel : Insulin, Purification, in M.C. Flickinger, S.W. Drew : Encyclopedia of Bioprocess Technology : Fermentation, Biocatalysis, and Bioseparation, John Wiley & Sons, 1999)されるように慣用的な方法により得た。その混合物は、4mmol/L EDTA、16%w/wエタノール、pH7.5を含んだ。その混合物2mLを、40mLの0.15%w/wトリエタノールアミン、42.5%w/wエタノール、pH7.5で平衡化した20mL TSK−Gel Q−5PW(TosoHaas)カラムに適用した。ヒトインスリンエチルエステル不純物を、0から1.14%w/wのクエン酸ナトリウム3水和物(0.15%w/wトリエタノールアミン、42.5%w/wエタノール、pH7.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的タンパク質、ヒトインスリンを、60mLの2.72%w/wクエン酸ナトリウム3水和物、0.15%w/wトリエタノールアミン、pH7.5のステップ勾配により単一ピークにおいて溶出した。クロマトグラムを図10に示す。
【0121】
実施例14:
ヒトインスリン及びヒトインスリンエチルエステル(B30)の混合物を実施例13に記載される通り得た。その混合物2mLを、40mLの0.15%w/wトリエタノールアミン、42.5%w/wエタノール、pH7.5で平衡化した20mL TSK−Gel Q−5PW(Toso−Haas)カラムに適用した。ヒトインスリンエチルエステル不純物を、0から0.90%w/wのクエン酸ナトリウム3水和物(0.15%w/wトリエタノールアミン、42.5%w/wエタノール、pH7.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的タンパク質、ヒトインスリンを、60mLの100mmol/Lクエン酸、pH3のステップ勾配により単一ピークにおいて溶出した。クロマトグラムを図11に示す。
【0122】
実施例15:
ヒトインスリン及びヒトインスリンエチルエステル(B30)の混合物を実施例13に記載される通り得た。その混合物2mLを、40mLの0.15%w/wトリエタノールアミン、71%w/wエタノール、pH7.5で平衡化した20mL TSK−Gel Q−5PW(Toso−Haas)カラムに適用した。ヒトインスリンエチルエステル不純物を、0から1.63%w/wのクエン酸ナトリウム3水和物(0.15%w/wトリエタノールアミン、71%w/wエタノール、pH7.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的タンパク質、ヒトインスリンを、60mLの2.72%w/wクエン酸ナトリウム3水和物、0.15%w/wトリエタノールアミン、pH7.5のステップ勾配により単一ピークにおいて溶出した。
【0123】
実施例16:
9.0mg/mLヒトインスリン及び0.6mg/mLヒトインスリンエチルエステル(B30)の混合物を実施例13に記載される通り得た。その混合物は、9mg/mLのヒトインスリン濃度で、4mmol/LのEDTA、pH7.5を含んだ。その混合物2mLを、40mLの0.15%w/wトリエタノールアミン、81%w/wエタノール、pH7.5で平衡化した20mL TSK−Gel Q−5PW(Toso−Haas)カラムに適用した。ヒトインスリンエチルエステル不純物を、0から2.18%w/wのクエン酸ナトリウム3水和物(0.15%w/wトリエタノールアミン、81%w/wエタノール、pH7.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的タンパク質、ヒトインスリンを、60mLの2.72%w/wクエン酸ナトリウム3水和物、0.15%w/wトリエタノールアミン、pH7.5のステップ勾配により単一ピークにおいて溶出した。クロマトグラムを図12に示す。
【0124】
実施例17:
ヒトインスリン及びヒトインスリンエチルエステル(B30)の混合物を実施例16に記載される通り得た。その混合物2mLを、40mLの0.15%w/wトリエタノールアミン、51%w/wエタノール、pH7.5で平衡化した20mL TSK−Gel Q−5PW(Toso−Haas)カラムに適用した。ヒトインスリンエチルエステル不純物を、0から1.09%w/wのクエン酸ナトリウム3水和物(0.15%w/wトリエタノールアミン、51%w/wエタノール、pH7.5)の直線勾配により溶出/洗い落とした。標的タンパク質、ヒトインスリンを、60mLの2.72%w/wクエン酸ナトリウム3水和物、0.15%w/wトリエタノールアミン、pH7.5のステップ勾配により単一ピークにおいて溶出した。
Claims (20)
- ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのカチオン交換クロマトグラフィー法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、及び水を含む溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが正の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷より低い局所的又は全体的な正の実効電荷を有するようなpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、有機モディファイアを含まない水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、同じ又はより高いpH値で溶出することを含む方法。 - ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのアニオン交換クロマトグラフィー法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、及び水を含む溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが負の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの負の実効電荷より低い局所的又は全体的な負の実効電荷を有するようなpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、有機モディファイアを含まない水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、同じ又はより低いpH値で溶出することを含む方法。 - ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのカチオン交換クロマトグラフィー法を含む、純粋なペプチドを生産するための工業的方法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、及び水から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが正の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷より低い局所的又は全体的な正の実効電荷を有するようなpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、有機モディファイアを含まない水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、同じ又はより高いpH値で溶出することを含む方法。 - ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製するためのアニオン交換クロマトグラフィー法を含む、純粋なペプチドを生産するための工業的方法であって、
a)前記混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、及び水から本質的になる溶液中で、直線もしくはステップ勾配で、又は塩成分中で定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが負の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの負の実効電荷より低い局所的又は全体的な負の実効電荷を有するようなpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、有機モディファイアを含まない水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、同じ又はより低いpH値で溶出することを含む方法。 - ペプチドを単離するための方法であって、
a)混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、及び水を含む溶液中で、直線もしくはステップ塩成分勾配的又は定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが正の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷より低い局所的又は全体的な正の実効電荷を有するようなpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、有機モディファイアを含まない水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、同じ又はより高いpH値で溶出することを含むカチオン交換クロマトグラフィー法を介して前記ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製することを含む方法。 - ペプチドを単離するための方法であって、
a)混合物の関連する不純物を、有機モディファイア、及び水を含む溶液中で、直線もしくはステップ塩成分勾配的又は定組成的に、及び前記関連する不純物を除去するように、前記ペプチドが負の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの負の実効電荷より低い局所的又は全体的な負の実効電荷を有するようなpH値で溶出し、
b)次に、前記ペプチドを、有機モディファイアを含まない水性溶媒へのステップ的又は直線的変化により、同じ又はより低いpH値で溶出することを含むアニオン交換クロマトグラフィー法を介して前記ペプチド及び関連する不純物を含む混合物からペプチドを精製することを含む方法。 - 前記溶出されたペプチドを分析テスト及び/又は更なる精製に供し、前記ペプチドを単離することをさらに含んでなる、請求項5又は6に記載の方法。
- 前記関連する不純物が除去されるように、前記pH値が、前記ペプチドが正の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷よりも低い正の局所的又は全体的実効電荷を有するような範囲である、請求項1、3又は5に記載の方法。
- 前記関連する不純物が除去されるように、前記pH値が、前記ペプチドが負の局所的又は全体的実効電荷を有し、前記関連する不純物が前記ペプチドの正の実効電荷よりも低い負の局所的又は全体的実効電荷を有するような範囲である、請求項2、4又は6に記載の方法。
- 前記工程a)の溶液が更に塩成分を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程a)の溶液が更に緩衝液を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程a)のpH値が緩衝液で維持される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程b)の有機モディファイアを含まない水性溶媒が更に塩成分を含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 前記工程b)のpH値が緩衝液で維持される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 前記関連する不純物が前記ペプチドと異なる局所的又は全体的実効電荷を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
- 前記関連する不純物が、トランケートされた形態、全ての種類の伸長した形態、余分のアミノ酸、エステルを含む種々の誘導体等、脱アミド化形態、不正確にホールディングした形態、シアリル化を含む不要なグリコシル化を伴う形態、γ−カルボキシグルタミン酸の欠如した形態から選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 前記精製すべきペプチドが、ポリペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、レセプター、vira、並びにそれらの相同体、アナログ及び誘導体から選択される請求項1〜16のいずれか一に記載の方法。
- 前記精製すべきペプチドがグルカゴン、hGH、インスリン、第VII因子、第VIIa因子、第VIIai因子、FFR−第VIIa因子、グルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−2並びにそれらのアナログ及び誘導体から選択される請求項1〜17のいずれか一に記載の方法。
- 重量パーセントに基づく有機モディファイア:水の比が1:99〜99:1である請求項1〜18のいずれか一に記載の方法。
- 前記有機モディファイアが、C1−6−アルカノール、C1−6−アルケノール又はC1−6−アルキノール、尿素、グアニジン、グアニジン−HCl、C1−6−アルカン酸(alkanoicacid)、酢酸、C2−6−グリコール、C 3−7−ポリアルコール、糖及びそれらの混合物から選択される請求項1〜19のいずれか一に記載の方法。
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