JP6110126B2 - 非磁性体からなる中間層上に形成された薄膜 - Google Patents

非磁性体からなる中間層上に形成された薄膜 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜によって被覆された薄膜被覆部材及びその作製方法に関する。
基材の耐摩耗性、耐候性、耐酸性・耐アルカリ性、ガスバリア性、防汚性等を向上させるために、基材表面を湿式のめっきプロセスではなく、ドライプロセスであるプラズマプロセスを利用して形成された非晶質炭素膜等の薄膜で被覆する表面処理技術が知られている。しかし、特に基材が樹脂、ゴム、ステンレス鋼、又は、アルミニウムやアルミニウム合金等の軟質金属からなる場合には、基材と薄膜との硬度差が大きいため、薄膜が基材から剥離しやすいという問題が指摘されている。そこで、薄膜を基材表面に密着性良く形成することが望まれている。
薄膜を基材表面に密着性良く形成することを意図した特許出願の例として、特開2004−346353号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、アルミニウム基材の表面に、無電解Ni−Pめっき層を介して非晶質炭素膜を形成する成膜方法が開示されている。この特許文献1の成膜方法においては、非晶質炭素膜の成膜時に無電解Ni−Pめっき膜に熱処理を加えて無電解Ni−Pめっき層を結晶化させることにより、基材から非晶質炭素膜に向かって膜の硬度を段階的に増大させ、これにより非晶質炭素膜と下層との密着性を向上させている。また、特開平3−134184号公報(特許文献2)にも、アルミニウム基材と硬質膜との間に形成された無電解Ni−Pめっき層を加熱して硬化させることにより、基材側から表面に向かって硬度を段階的に増加させ、硬質膜と下層との密着性を向上させることが開示されている。
特開2004−346353号公報 特開平3−134184号公報
しかしながら、基材上に形成した無電解Ni−Pめっき膜に熱処理を加えて無電解Ni−Pめっき層を結晶化させた場合、無電解Niめっき層が磁性体化してしまう。このように磁性体化した無電解Niめっき層上に薄膜をプラズマプロセスを用いて成膜する場合、プラズマや電子線の制御に用いる電界やマグネトロン(磁界)によって磁性体化された無電解Niめっき層が磁石化し、この磁石化した無電解Niめっき層上に前述したプラズマプロセスを用いて形成される薄膜は、均質に形成することが困難となってしまう。
そこで、本発明の様々な実施形態は、プラズマプロセスによって形成される薄膜をより均質・効果的に形成することを目的の一つとする。本発明の様々な実施形態の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
本発明の一実施形態に係る薄膜被覆部材は、基材と、前記基材上に形成され非磁性体からなる中間層と、前記中間層上に電界及び/又は磁界を用いたプラズマプロセスによって形成された薄膜と、を備える。したがって、中間層が非磁性体からなるため、薄膜をプラズマプロセスによって形成する際に中間層が磁石化してしまうのを抑制し、中間層上に薄膜を均質・効果的に形成することができる。
こうした本発明の一実施形態に係る薄膜被覆部材において、前記中間層は、前記基材よりも硬度が大きく、前記薄膜は、前記中間層よりも硬度が大きいものとすることもできる。こうすることにより、基材から薄膜へと段階的に硬くなるから、薄膜の密着性がより良好となる。
こうした本発明の一実施形態に係る薄膜被覆部材において、前記中間層は、リンの含有量が10wt%以上であって、前記薄膜を形成する際に180℃未満に保たれることによって前記薄膜被覆部材の完成体においてアモルファス状となる無電解Ni−Pめっき層であるものとすることもできる。こうすることにより、中間層としての無電解Niめっき層が結晶構造を有する場合と比較して、アモルファス状の無電解Ni−Pめっき層はより大きい延伸性を有するから、薄膜の密着性がより良好となる。
本発明の一実施形態に係る薄膜被覆部材の作製方法は、基材を準備する工程と、前記基材上に非磁性体からなる中間層を形成する工程と、前記中間層上に電界及び/又は磁界を用いたプラズマプロセスによって薄膜を形成する工程と、を備える。したがって、作製される薄膜被覆部材は、中間層が非磁性体からなるため、薄膜をプラズマプロセスによって形成する際に中間層が磁石化してしまうのを抑制し、中間層上に薄膜を均質・効果的に形成することができる。
本発明の様々な実施態様によって、プラズマプロセスによって形成される薄膜をより均質・効果的に形成することができる。
本発明の一実施形態に係る薄膜被覆部材を模式的に示す図 試料1の断面の写真 実施例2の摩耗回数に応じた摩擦係数の変化を示すグラフ 比較例2の摩耗回数に応じた摩擦係数の変化を示すグラフ
図1は、本発明の一実施形態に係る薄膜被覆部材1の断面を模式的に示す模式図である。図示のとおり、薄膜被覆部材1は、基材10と、基材10の一方の表面に形成され非磁性体からなる中間層20と、中間層20の基材10と反対側の表面にプラズマプロセスによって形成された薄膜30とを備える。このように、本発明の一実施形態に係る薄膜被覆部材1は、基材10、中間層20、及び薄膜30が、この順に積層されて構成される。
一実施形態における基材10は、様々な材料で形成することができる。基材10は好適には非磁性体からなる。また、基材10が磁性体からなる場合には、薄膜30を形成する際に、前処理として磁性体のキューリ温度を超える温度まで基材10を加熱し、基材10の磁性を除去しながら薄膜30を形成することが好ましい。
一実施形態における基材10は、例えば、アクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリプロピレン、塩化ビニール ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)、ポリフェニリンオキサイド、モノマーキャスティングナイロン、シリコーン樹脂等、その他様々な樹脂、様々なゴム、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム、スズ、銅、金、銀、白金等の金属、又はこれらの合金、非磁性のステンレス鋼等の合金等、ガラス、アルミナ、ジルコニア等の非磁性のセラミクス等とすることができる。また、基材10の材料としてアルミニウム合金を用いることもでき、アルミニウム合金には、例えば、AC系、ADC系、及びAJ系に属する様々なアルミニウム合金が含まれる。
一実施形態において、中間層20を導電体(金属、又は、体積電気抵抗率が10Ω・cm以下の素材等)とすることもできる。中間層20を導電体とすることにより、従来はプラズマプロセスでの処理が困難であった樹脂やゴム、セラミクスなどの絶縁性の基材10からも、簡便且つ効果的、効率的に薄膜被覆部材1を作製することが可能となる。
ここで、基材に電圧を印加し、帯電した高エネルギー状態のプラズマイオン等を基材に加速しながら衝突させることによって、基材表層の密着性を向上させるプラズマクリーニングや活性化、またその後の薄膜の形成を行う一般的なプラズマプロセス(RFプラズマCVD法、直流プラズマCVD法等)において、基材が樹脂やゴム、ガラス、セラミクスなどの絶縁物よりなる場合、絶縁物の基材自体に電圧を印加してプラズマイオン等をこの絶縁物基材に加速しながら衝突させることは極めて困難である。従って、絶縁物基材にプラズマプロセスを用いて薄膜を形成する場合には、電圧を印加可能な導電性の補助電極(例えば金属電極)を基材の一方の面に密着させて配置し、この補助電極に電圧を印加することで、補助電極に接する面の反対側の面に帯電したプラズマイオン等を僅かに加速しながら衝突させたり、絶縁物基材の表層に拡散してくるプラズマ(イオンや電気的に中性なラジカル)によって基材表層にプラズマ処理(表面改質や薄膜の形成)を行う等、不十分、非効率な処理方法を採用せざるを得ない。こうした不十分、非効率な処理方法を採用すると、導電性基材に電圧を印加する場合と比較して、表面改質処理が不完全になったり、形成される薄膜の膜質や基材への密着力が不十分になってしまうことがある。また、このように補助電極を使用する場合では、絶縁物基材の補助電極に接する面をプラズマ処理することができない。さらに、絶縁物基材が厚みのある立体構造物、又は複雑な形状の基材である場合には、前述した補助電極を使用してプラズマイオン等を僅かに加速しながら衝突させる方法ですら採用することが困難である。
一方、一実施形態においては、中間層20を導電体、例えば無電解Ni−Pめっき層とすることにより、絶縁物からなる基材10であっても、基材10(又は中間層20)に十分な電圧を印加しながら薄膜30を形成することが可能となる。なお、無電解Niめっき層は、複雑な立体形状の基材10であってもその表層に一様に形成することが可能であり、こうした無電解Niめっき層を中間層20として絶縁性の基材10の表層に形成することによって、絶縁性の立体形状の基材10を基材として一実施形態における薄膜被覆部材1を作製することができる。
また、基材10が樹脂やゴム等の絶縁体からなる場合、極性を有するプラズマイオンの堆積や基材10に加えられる印加電圧等によってチャージアップが発生し、異常放電を惹起して基材10を損傷してしまうという問題も生じ得る。一実施形態においては、中間層20を導電体とすることにより、薄膜30をプラズマプロセスで形成する際に、導電性の中間層20によってチャージアップした電荷をアースなどに除去することが可能となり、異常放電を抑制し、薄膜30の損傷やピンホールの発生を抑制することができる。
さらに、薄膜被覆部材1の中間層20を導電性とすることにより、薄膜被覆部材1の使用に際して発生する静電気等を中間層20を通じてアース等に通電除去することもできる。また、基材10がフィルム状の巻物(ロール状)である場合、フィルム自体のハンドリング時に大量の静電気が発生し、プラズマ成膜装置内でのフィルムの円滑な走行が静電気によって阻害され、シワや折れを防止する必要が生じることがあるが、フィルム状の基材10に導電性の皮膜を形成してアース機能を付与することにより、こうした問題を抑制することもできる。
特に、一実施形態における基材10が非常に軟らかく絶縁性の樹脂やゴムからなり、摺動摩擦によって静電気を発生する場合において、中間層20を導電性とすることで、プラズマプロセスによって形成する非晶質炭素膜等の絶縁層を薄膜30とする場合であっても、薄膜被覆部材1が摺動することにより発生する静電気を導電性の中間層20を介して効率的に除電することが可能となる。よって、この場合、基材10である樹脂やゴムに耐摩耗性と共に静電気除電性を付与することが可能となる。このように、特に摩擦によって静電気が発生しやすく耐摩耗性に乏しい樹脂やゴム等の基材10から構成される薄膜被覆部材1は、外部との摩擦摺動用途に供される機械部品、例えば、部品搬送用のパーツフィーダやインデックスキャリア、ワイパーブレードや攪拌用のプロペラ、部品整列や加工用の部品形状に合わせて彫り込みが形成されたパレット、パッキンやOリングなどのシール材、各種歯車、軸、複写機やプリンタ等のガイドやミシンのガイド、部品の挿入や搬送用のガイド等のガイド部材、ガイドローラ、ベアリング、蝶番、ノブ(摘みしろ)、電子携帯機器等の筐体(マウスを含む)等として、好適に適用され得る。
一実施形態における薄膜被覆部材1の適用例として、基材10が、スクリーン印刷において印刷用孔版の印刷パターン貫通口に印刷用インクを加圧充填、転写するための樹脂やゴムからなる印刷用スキージである場合には、スキージを印刷用孔版の面に対して摩擦摺動させる際に静電気が発生し、蓄積された静電気の放電によって転写印刷されたインク(特に金属成分を含む導電性インク)に静電気が作用し、印刷シートに転写印刷されたインクパターンを破壊、変形させてしまうことが生じ得る。こうしたスキージ基材を一実施形態における薄膜被覆部材1の基材10として適用し、スキージ基材に対して、例えば、非磁性の無電解Niめっきからなる中間層20、さらに非晶質炭素膜からなる薄膜30を形成することで、樹脂やゴムからなるスキージ基材に対して、非晶質炭素膜の耐摩耗性を付与しつつ、非晶質炭素膜の低い摩擦係数や低い相手材攻撃性、さらには電子部品の電極印刷用として一般的なCu、Ag、Ni等の軟質金属含有インク(ペースト)等に対する優れた軟質金属凝着付着防止性により、摩擦対象物である印刷用孔版の変形や損傷を抑制し、印刷パターン位置精度、その他印刷品質の劣化を抑制しつつ、さらに摩擦により発生する静電気による印刷物の破壊、変形を抑制することが可能となる。さらに、ウレタンゴム等の素材よりなるスキージ基材は、印刷用インクの含有する溶剤などを吸収し膨潤し易く膨潤変形を生じ得るが、中間層20を形成し、さらに非晶質炭素膜等の薄膜30を形成し、加えて非晶質炭素膜等を撥水撥油性とし、又は非晶質炭素膜等の表層に撥水撥油層を付与することによって、こうした膨潤変形を抑制することが可能となり、スキージ基材の膨潤、変形に起因する印刷用孔版へのインク充填性の変動等、印刷精度の低下を抑制することが可能となる。
このように薄膜被覆部材1を印刷用スキージに適用する場合において、基材10に適度な変形(しなり)が必要な場合には、基材10の一方の端を保持するスキージホルダから印刷用孔版に接触する側のスキージの先端刃先(スキージのエッジ部)までの範囲のうち一定部分については中間層20及び/又は薄膜30を形成しないようにすることも可能である。
このように薄膜被覆部材1を印刷用スキージに適用する場合において、さらに、基材10の表層に対し、印刷用インク濡れ性(濡れ広がりや粘着性、印刷用インクへのスキージング時のローリング性)を向上させるために大きな表面自由エネルギーを付与することが要求される場合がある。このような場合、薄膜30(基材10の最表層)をSiO×、TiO×等を含有する薄膜とすることが有効である。本発明の一実施形態においては、中間層20を非磁性体からなるものとすることにより、前述したように、SiO×、TiO×等を含有する薄膜30をより均質に形成することが可能である。
一実施形態における薄膜被覆部材1の他の適用例として、基材10が、溶剤やスラリーなどが塗布されたPETフィルムからなるグリーンシートの樹脂又はゴム製の搬送用ローラ、グラビア印刷版、凹/凸版等の場合において、搬送用ローラ基材のグリーンシートの面に対する摩擦摺動時に静電気が発生し、この静電気によってグリーンシートに塗布されたスラリーを破壊、変形させてしまう場合がある。搬送ローラ基材に対して、例えば、非磁性の無電解Niめっきからなる中間層20、さらに非晶質炭素膜からなる薄膜30を形成することで、樹脂やゴムからなる搬送ローラ基材に対して、非晶質炭素膜の耐摩耗性を付与しつつ、非晶質炭素膜の低い摩擦係数や低い相手材攻撃性、さらには電子部品の電極印刷用として一般的なCu、Ag、Ni等の軟質金属含有インク(ペースト)等に対する優れた軟質金属凝着付着防止性により摩擦対象物であるグリーンシートの変形や損傷を抑制し、さらに摩擦により発生する静電気によるスラリー等の破壊、変形を抑制することが可能となる。さらに、樹脂やゴムからなる搬送ローラ基材は、溶剤の浸透による膨潤変形を生じ得るが、中間層20を形成し、さらに非晶質炭素膜等の薄膜30を形成し、加えて非晶質炭素膜等を撥水撥油性とし、又は非晶質炭素膜等の表層に撥水撥油層を付与することによって、こうした膨潤変形を抑制することが可能となり、搬送ローラ基材の膨潤、変形による周速の変動等に起因する搬送精度の低下(被搬送フィルムへのシワの発生等の不具合)を抑制することが可能となる。
また、基材10が樹脂やゴムなどの有機物(有機合成材料)等よりなる場合には、光触媒性の二酸化チタン膜や酸化亜鉛膜などを薄膜30として基材10に直接形成すると、光触媒作用(例えば二酸化チタン膜に光が照射されることによって励起電子や正孔が形成され、形成された電子や正孔がスーパーオキシドラジカルアニオンやヒドロキシルラジカル等の酸化還元活性種を生成する作用)によって、有機物よりなる基材10自体が劣化してしまう場合がある。一実施形態においては、有機物等よりなる基材10と前述した光触媒性の薄膜30の中間に、例えば金属めっき層よりなる中間層20が存在するため、中間層20を基材10の保護層とすることが可能となり、さらには、白金などのめっき皮膜を形成することで光触媒である薄膜30で発生する電荷の取り出し電極とすることも可能となる。
また、一実施態様において、基材10がポリエチレン(耐熱温度80〜90℃)等、耐熱性に乏しい樹脂やゴムからなる場合には、各種樹脂やゴムの耐熱温度以下で薄膜被覆部材1を作製することにより、加熱による基材10の変形を防止することができる。さらに、基材10がアルミニウム、又はアルミニウム合金等の金属よりなる場合には、約300℃未満で薄膜被覆部材1を作製することにより、基材10が高温になることを抑制できる。これにより、基材10の機械特性の劣化、酸化、変色、及び加熱による応力変形等を抑制することができる。また、例えば、基材10がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる場合、アルミニウム及びアルミニウム合金の再結晶温度は概ね200℃〜260℃付近であるため、約200℃未満で薄膜被覆部材1を作製することにより、基材10の再結晶化による変形を防止することができる。こうした低温での薄膜30の形成は、薄膜30を形成するプラズマプロセスを間欠的に行うことにより行うことができ、又は、基材10がフィルム状等の薄いものであって薄膜30を形成する面の反対側の面からでも冷却することが可能である場合には、基材10を冷却しながら薄膜30を形成することによって可能となる。
一実施形態における基材10は、前述した通り様々な素材より形成することができ、又、様々な形状とすることができ、例えば、平板状、直方体、立方体、円筒状、球状、複雑に3次元加工された立体構造物等とすることができる。
一実施形態における薄膜被覆部材1は、基材10を非磁性体からなるものとし、この基材10上に非磁性体である中間層20を形成し、この上層にさらに薄膜30を形成することで構成することもできる。例えば、磁力線が透過できる金属平板等のワークの一方の面に、N極、S極が隣接して交互に並ぶように永久磁石を配置し、このワークの反対面にプラズマプロセスにて非晶質炭素膜などの薄膜を形成すると、磁石のN極から平板であるワークを透過して薄膜形成面に出た後、再度ワークを透過して隣接する磁石のS極に達する磁力線の強弱(プラズマ密度の濃淡)に従って、ワークの薄膜形成面に形成された非晶質炭素膜等の濃淡(厚さのばらつき)が発生することが観察できる。即ち、ワークが磁性を帯びる場合、ワークの形成する磁力線にプラズマプロセスが影響されることが確認できる。
このことは、マグネトロンプラズマスパッタリング装置等のスパッタリングターゲットの背面に磁石を備えるものにおいて、このターゲットの表層に背面の磁石の磁力線の影響で「エロージョン」と呼ばれる縞模様が観察されること等からも確認できる。プラズマ成膜装置ではこのような現象を積極的に導入し、基材への成膜を効率的に行うためにプラズマ密度の制御を行うことも当業者に知られている。一実施形態における中間層20は非磁性体からなるため、電界や磁界等を利用したプラズマプロセス(装置)によって薄膜30を形成する場合に、中間層20が磁石化して薄膜30の均質な形成を妨げることを防止することができる。
非磁性体からなる中間層20としては、強磁性金属に不純物を添加して非磁性体としためっき層、非磁性金属のめっき層、及び非磁性の樹脂素材等からなる層を挙げることができる。強磁性金属に不純物を添加しためっき層としては、例えば、無電解Ni−Pめっき又は無電解Ni−Bめっきからなる無電解ニッケルめっき層を挙げることができる。非磁性金属のめっき層としては、例えば、無電解Cu、Auめっき層、又は、電解Cu、Sn、Ag、Cr、Pt、Auめっき層、さらには各非磁性の無電解めっき層上に各非磁性の電解めっき層を形成した複合層等、さらには非磁性にて形成される各めっきの合金めっき層を挙げることができる。また、こうした金属のめっき層はドライプロセスによるめっき層(例えば、プラズマドライプロセスによって形成されるアモルファス状のステンレス層等)とすることもできる。樹脂からなる中間層20としては、例えば、導電性樹脂(導電性ポリマー)であるポリピロール等を挙げることができる。
中間層20を無電解ニッケルめっき層とする場合、無電解ニッケルめっき層は、無電解めっき法により基材10の表面に成膜される。一実施形態において、無電解ニッケルめっき層は、薄膜被覆部材1の完成体においてアモルファス構造を有する。無電解ニッケルめっき層は、例えば、無電解Ni−Pめっき又は無電解Ni−Bめっきからなり、一実施形態においては、無電解Ni−Bめっき層を無電解Ni−Pめっき層の表面に形成し、中間層20を無電解Ni−Pめっき層と無電解Ni−Bめっき層とからなる2層構造に構成してもよい。無電解ニッケルめっき層の硬度は、アモルファス状であるため約500〜600Hvであり、熱線膨張係数は概ね13×10−6/℃である。
強磁性体として析出した無電解ニッケルめっき層、または電解ニッケルめっき層等の元来強磁性体のものを中間層20として使用する場合、中間層20が磁力を帯びてしまうと上述した問題が生じ得るため、Niのキューリ温度である354℃付近以上にまで加熱して、Niの磁性を除去しながらプラズマプロセスにて薄膜30を形成する必要が生じる。こうした高温加熱の結果、例えば、基材10が樹脂やゴムなどの耐熱性の低い基材である場合には、基材の破壊、損傷が生じ、例えば基材10が、再結晶温度が354℃以下に存在するアルミニウム基材、アルミニウム合金基材等である場合には、再結晶化による歪みが生じ、さらには高温加熱に伴う無電解ニッケルめっき層自体の延伸性(じん性)の低下を招くおそれが生じる。さらに、例えば一般的に広く普及しているマグネトロン方式のプラズマ成膜装置において、強磁性体のニッケルめっき層からなる中間層20は、装置に配置された磁界制御用の磁石からの磁界の影響を常に受けて磁化するため、真空装置への装着以降、基材を前述したNiのキューリ温度である354℃付近以上にまで継続的に加熱して中間層20を非磁性としたままで薄膜30の形成を完了させる必要が生じ、著しい非経済性が発生してしまう。
一実施形態における中間層20は、非磁性で形成された無電解ニッケルめっき層を使用し、さらに後の薄膜30も、非磁性で形成された無電解ニッケルめっき層が磁性体化しない比較的低温なプラズマプロセス温度を保って形成されるため、経済的であり、かつ、高温加熱による基材10や中間層20の損傷、劣化、変質、変形等を抑制することができる。
一実施形態における中間層20は、基材10の用途・用法に応じて、また、基材10への中間層20の密着強度等を考慮して、様々な厚さに形成され得る。例えば、中間層20を無電解ニッケルめっき層とする場合、通常、0.1〜40μmの厚さに形成される。また、無電解ニッケルめっき層は、薄膜被覆部材1においてアモルファス状であるため、膜中に結晶構造の欠陥が存在しない。その結果、基材10に優れた耐候性を付与することができる。後述する薄膜30には、プラズマプロセスでのアーキング、異物の付着などに起因するピンホールが形成されることが多く、酸やアルカリ、溶剤などがそのピンホールから基材10に浸透して基材10を腐食、膨潤させることがある。一実施形態における薄膜被覆部材1において中間層20をアモルファス状の無電解ニッケルめっき層とする場合、薄膜30にピンホールが形成された場合であっても酸やアルカリ、溶剤等の基材10への侵入を防止し、基材10を保護するとともに、中間層20、薄膜30の剥離を抑制することができる。
樹脂やゴムからなる印刷用スキージ、特にウレタンゴム等非常に柔らかく、加える応力に対して変形量の大きな基材10に対して、一実施形態における非磁性で且つ非晶質であり、結晶Niに比べ延伸性の高い無電解ニッケルめっき中間層20を概ね200nm程度の膜厚で形成する場合、無電解ニッケルめっき中間層20が基材10に確実に密着した状態で、その面上に細かなクラックが発生した状態とすることもできる。クラックの発生している中間層20上に、さらにスパッタリング薄膜や蒸着薄膜からなるセラミクス硬質膜に比べ2〜3%と大きな延伸性を有する非晶質炭素膜等よりなる薄膜30を形成することで、樹脂やゴムからなるスキージ基材10がその印刷時の使用(スキージング)に際して大きく変形しても、延伸性に優れた非晶質炭素膜等の薄膜30の耐摩耗性をスキージ基材10に付与し、印刷用孔版への繰り返し摩擦によるスキージの変形による薄膜30の剥離を抑制することが可能となる。
一実施形態において、中間層20を、例えば、アモルファス状の無電解ニッケルめっき層の表面にSnめっき層を形成した複合層とすることもできる。Snめっき層は、融点が230℃付近と低いため、プラズマプロセスで高温に加熱された場合にはその使用が困難であるが、一実施形態において、例えばP含有量が10wt%の無電解Ni−Pめっき皮膜よりなる中間層20は、プラズマプロセスで200℃以上の高温では加熱されないため、中間層20の上層の「第2の中間層」としてSnめっき層を使用することが容易となる。
特にアモルファス状の無電解ニッケルめっき層を中間層20とし、非晶質炭素膜を薄膜30とする場合、非晶質炭素膜を例えば0.5〜1μm以上に厚く形成すると無電解ニッケルめっき層との密着性が悪いため、前述したようにSnめっき層の無電解ニッケルめっき層上への追加形成によって非晶質炭素膜との密着性を改善することができる。一般的には、ニッケルめっき層上にはクロムめっき層が形成されることが多いが、クロムめっきは電解に使用する電流値が大きく、基材の電極接点部に「焦げ」などの変質部分を形成してしまったり、極めて強い毒性を持つ6価クロムの使用や、電解中に発生する大量の水素によって基材に脆性をもたらす等、多くの課題を有する。一方、Snめっき層は軟らかい金属層ではあるものの、炭素と同じ第4族の元素であり、数ミクロン程度の薄膜で密着用中間層として形成した場合、無電解ニッケルめっき層と非晶質炭素膜層の双方への密着性が良く、薄膜被覆部材1自体の耐摩耗性を損なうことなく無電解ニッケルめっき層上に非晶質炭素膜層を密着良く形成することが可能となる。
本発明の一実施形態において、基材10と中間層20との密着性を向上させるために、基材10と中間層20との間にプライマー層として亜鉛置換層を設けることもできる。亜鉛置換層は、公知の任意の方法で成膜することができる。亜鉛置換層の厚さは他の層(基材10、中間層20、薄膜30)に比して非常に薄く、例えば、約50〜200nmである。基材10の表面に陽極酸化皮膜を形成して基材10と上層との絶縁を確保する場合には、亜鉛置換層は、この陽極酸化皮膜の上に形成される。亜鉛置換層の熱線膨張係数は、約26×10−6/℃である。
また、亜鉛置換層に代えて、基材10の表面にPdなどの触媒を付与しても良い。また、亜鉛置換層に代えて、基材10の表面に、各種スパッタリング法や蒸着法等の乾式めっき法で形成される非磁性金属薄膜、又は、各種非磁性の湿式めっき皮膜等の様々な密着層を設けることもできる。これらの密着層は、単一の層であってもよく,複数の層が積層されたものであってもよい。例えば、基材10がアルミニウム、又は、アルミニウム合金からなる場合には、基材10の表層に陽極酸化皮膜を形成し、その後亜鉛置換層を形成することで当該陽極酸化皮膜を絶縁性を付与するプライマー層として用いてもよい。また、亜鉛置換層に代えて、無電解Cuめっき又は電解Cuめっきをプライマー層として用いてもよい。無電解Cuめっき又は電解Cuめっきは、粗面化された基材10に形成されてもよい。また、無電解Cuめっきを形成するために、基材10の表面にPdなどの触媒を付与しても良い。
無電解Ni−Pめっき層は、約260℃を超えるとアモルファス構造から結晶構造への移行が起こり、延性の著しい低下と硬度の向上が起こる(電気鍍金研究会編、「無電解めっき―基礎と応用」、日刊工業新聞社、1994年5月30日、p.37参照)。無電解Ni−Pめっき層におけるリン(P)の比率が低いと、無電解Ni−Pめっき層はアモルファス構造ではなく結晶構造として析出することがあるので、無電解Ni−Pめっき層におけるPの比率を8wt%以上とするのが好ましい。また、無電解Ni−Pめっき層の成膜処理、及び、無電解Ni−Pめっき層成膜後の処理(電解ニッケル層や薄膜30の成膜等)をいずれも約260℃未満で行うことにより、アモルファス構造で析出した無電解Ni−Pめっき層が結晶化することを防止する。
無電解Ni−Pめっき皮膜を中間層20とする場合、無電解Ni−Pめっき皮膜に含有されるPの濃度を概ね8wt%以上となるように調整することで、無電解Ni−Pめっき層を成膜された状態(加熱されない状態)において非磁性とすることができる。一実施形態における中間層20を無電解ニッケルめっき層とする場合において、無電解ニッケルめっき層が高温に加熱されないので、無電解ニッケルめっき層は、薄膜被覆部材1に成膜された状態において(完成された薄膜被覆部材1の構成層として)非磁性体とすることができる。特に、無電解Ni−Pめっき層よりなる中間層20の成膜後の洗浄、乾燥、水素脆性抑制のための加熱など、さらに薄膜30を形成する際のプラズマプロセス温度等の全ての加熱処理を約260℃未満で行う場合には、無電解ニッケルめっき層に含有されるPの濃度を概ね11〜12wt%以上となるように調整することで、無電解ニッケルめっき層を薄膜被覆部材1に成膜された状態において非磁性とすることができる。また、無電解Ni−Pめっき層成膜後の前述した加熱処理を約200℃未満で行う場合には、無電解ニッケルめっき層に含有されるPの濃度を概ね10wt%以上となるように調整することで、無電解ニッケルめっき層を薄膜被覆部材1に成膜された状態において非磁性とすることができる。このように、加熱温度(即ち、無電解ニッケルめっき層上に後に形成される薄膜30を形成する際のプラズマプロセス温度)に対してPの含有量を適宜調整することで、無電解ニッケルめっき層を常に非磁性体とすることでき、薄膜被覆部材1が磁石化することを防止することができる。この結果、マグネトロン(磁界)にてプラズマや電子線を制御した薄膜成膜装置を用いて薄膜30を形成する場合であっても、無電解ニッケルめっき層が磁石化しないため、薄膜30を均質に形成することができる。また、一実施形態における薄膜被覆部材1を、永久磁石や電磁石などを使用する磁気選別機、磁気を用いて部品を搬送する部品搬送用フィーダ、静電チャック機構、又は磁石チャック機構等の部品取り扱い装置等に使用した場合に、搬送ワークや金属ごみがフィーダに張り付くことを防止でき、また、搬送電子部品や機器に磁石による不具合が発生することを防止できる。
無電解Ni−Bめっき層は、約300℃を超えるとアモルファス状構造から結晶構造への移行が起こり、無電解Ni−Pめっき層と同様に延性の著しい低下と硬度の向上が起こる。無電解Ni−Bめっき層におけるホウ素(B)の比率が低いと、無電解Ni−Bめっき層は非磁性体としてではなく磁性体として析出することがあるため、一実施態様において、無電解Ni−Bめっき層におけるBの比率を3wt%以上とすることで、めっきの析出状態から非加熱において非磁性とすることができる。一実施形態においては、無電解Ni−Bめっき層におけるBの比率を6wt%以上とすることで成膜し、さらに無電解Ni−Bめっき層成膜後の処理(洗浄、乾燥、水素脆性抑制のため加熱など、さらに薄膜30の成膜等)を約300℃未満で行うことにより、前述した非磁性体で析出した無電解Ni−Bめっき層が磁性体化することを防止する。
中間層20を無電解Ni−Pめっき層とする場合、無電解Ni−Pめっき層の加熱による水素脆性除去は、一般に、150℃以上の熱処理(ベーキング処理)により行われる。そこで、基材10が金属や耐熱性の高い樹脂やゴムであって、150℃以上の加熱に耐えるものである場合において、無電解Ni−Pめっき層に含有されるPの濃度を予め概ね12wt%以上とした場合は、薄膜30を、150〜260℃未満の任意の温度で成膜することができる。この温度範囲で薄膜30を成膜することにより、無電解ニッケルめっき層の結晶構造化を抑制するとともに、無電解ニッケルめっき層の水素脆性を抑制することもできる。
薄膜30は、一実施形態において、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの非晶質炭素膜、Si含有非晶質炭素膜、Ti含有非晶質炭素膜などの各種金属元素含有非晶質炭素膜、TiAlN、AlN、TiCN、TiC、TiN、CrC、CrN、SiCなどの硬質膜、さらにはSiO、TiOなどからなる。これらの薄膜30は、例えば、PVD法やCVD法により、中間層20表面に成膜される。これらの材料からなる薄膜30が前述した硬質膜である場合の硬度は、概ね1000〜4000Hvである。当該硬質膜の熱線膨張係数は、様々ではあるが、軟質基材の樹脂やゴム(例えばモノマーキャスティングナイロン樹脂の8×10−5/℃)、アルミニウム(23×10−6/℃)やマグネシウム(25×10−6/℃)に比べ、著しく小さな値を示すものが多く、例えばDLC膜などの非晶質炭素膜で概ね2×10−6/℃前後、炭化ケイ素(SiC)で概ね6.6×10−6/℃である。薄膜30は、基材の用途、中間層20への密着力、薄膜自体に発現させる特性(例えば光触媒機能)に応じて様々な厚さに形成されるが、一態様においては10nm〜10μmに形成され、他の態様においては0.1μm〜3μmに形成される。
なお、薄膜30の膜質や膜厚バラツキを厳格に管理する場合、薄膜30自体も材質が非磁性であるものを選択することが好ましい。または、薄膜30の素材が磁性体である場合には、磁性体である薄膜30が基材10に形成されると共に磁化され得るため、磁性体のキューリ温度を超える温度でのプラズマプロセスとすることが好ましい。
このように構成された一実施形態における薄膜被覆部材1は、基材10と薄膜30との間に中間層20を備えるため、薄膜30に加えられる応力を、中間層20により緩和して基材10に伝えることができる。これにより、基材10に加わる応力を減少させ、基材10の変形を抑制することができる。その結果、基材10の変形に起因して薄膜30が基材10から剥離することを抑制できる。このように、一実施形態における薄膜30が非晶質炭素膜等の硬質膜である薄膜被覆部材1においては、部材表面に硬質膜が形成される一方、部材内部は柔軟な構造を維持しているため、「浸炭」と同様に、耐摩耗性と高靱性とが両立している。
また、一実施形態における薄膜被覆部材1において薄膜30が硬質膜の場合には、基材10側から硬質の薄膜30側に向かって、硬度が段階的に増加するようにするのが好ましい。基材10側から硬質の薄膜30側に向かって硬度が段階的に増加すると共に(例えば、アルミニウム合金基材10:約50〜200Hv、ポリカーボネート樹脂基材10:R110〜120(ロックウェル硬さ)、無電解ニッケルめっき中間層20:500〜600Hv、薄膜30:1000〜4000Hv)、熱線膨張係数が段階的に減少するため(例えば、アルミニウム合金基材10:23×10−6/℃、ポリカーボネート樹脂基材10:6.6×10−5/℃、無電解ニッケルめっき中間層20:13×10−6/℃、薄膜30、例えば非晶質炭素膜の場合:2×10−6/℃)、硬度及び熱線膨張係数の層間での変化が緩やかとなり、隣接する層同士の剥離を抑制することができる。このように、一実施形態における薄膜被覆部材1は、中間層20により基材10の変形を抑制するとともに、層間の硬度及び熱線膨張係数が緩やかであるため、基材10に薄膜30を密着性良く形成できる。特に、中間層20をアモルファス構造の無電解ニッケルめっき層とする場合には、特許文献1や特許文献2に代表される従来の硬質膜被覆部材と比較しても基材10と薄膜30との密着性が向上する。
次に、本発明の一実施形態に係る薄膜被覆部材1の作製方法について説明する。まず、基材10の表面に中間層20を形成する。中間層20を無電解ニッケルめっき層とする場合、無電解Ni−Pめっき法により形成することができる。基材10と中間層20との間に亜鉛置換層を形成する場合には、亜鉛置換層が形成された基材10を、ニッケルイオンと次亜リン酸イオンが入っためっき液に浸漬して、亜鉛置換層の上にNi−Pめっきを形成させる。当業者に明らかなように、めっき液中のニッケルイオンと還元剤である次亜リン酸イオンが接触すると、アルミニウム基材が触媒となって脱水素分解を生じ、この脱水素分解により生成された水素原子が、亜鉛置換層の上に吸着されて活性化する。この活性化した水素原子がめっき液中のニッケルイオンに接触してニッケルを金属に還元するので、ニッケルが亜鉛置換層の表面に析出する。また、活性化した水素原子は、めっき液中の次亜リン酸イオンとも反応し、このイオン中のリンを還元して、還元したリンをニッケルと合金化する。そして、この析出したニッケルが触媒となって前述のニッケルの還元めっき反応が継続して進行する。すなわちニッケルの自己触媒作用によりめっきが継続進行する。この自己触媒作用により、アルミニウム基材の亜鉛置換層表面にめっき液が流通する空隙があれば、亜鉛置換層表面に均一にめっき被膜を形成することができる。また、めっき被膜の厚さはめっき時間と比例するので、めっき時間の制御を通じてめっき被膜の厚さを管理することができる。また、無電解Ni−Bめっき層は、ニッケルイオンと還元剤であるアミンボランなどのホウ素系薬剤とを含有する無電解めっき液を用いることにより、無電解Ni−Pめっき層と同様の手法で形成される。
さらに一実施形態における薄膜被覆部材1の作製方法において、例えば樹脂からなる基材10の表面と無電解ニッケルめっき皮膜の密着性を高めるための前処理として、樹脂基材10の表面を予めクロム酸エッチング、液体ホーニング、UV照射とアルカリ粗化処理を組み合わせた処理などで粗化することも可能であり、さらにPdなどのメッキ形成核となる物質を予め基材10の表層に塗布することも可能である。
薄膜30は、基材10の耐熱温度などを考慮し、プラズマCVD法等のCVD(化学的蒸着)法やスパッタリング法等の物理的蒸着(PVD)法等の様々な方法で形成される。一実施形態において用いられるプラズマCVD法には、高圧DCマイクロパルスプラズマCVD法、高圧パルスプラズマCVD法、高周波放電を用いる高周波プラズマCVD法、直流放電を利用する直流プラズマCVD法、及びマイクロ波放電を利用するマイクロ波プラズマCVD法が含まれる。直流プラズマCVD法においては、連続して通電を行うため、冷却装置によって基材の温度制御を行うことが望ましい。プラズマPVD法には、各種のスパッタリング法及び真空蒸着法が含まれる。本発明の一態様においては薄膜30の成膜工程において、無電解ニッケルめっき層が所定温度(例えば、リンの含有量が10wt%以上の無電解Ni−Pめっき層の場合は200℃、さらにはリンの含有量が11wt%以上の無電解Ni−Pめっき層である場合は260℃)以上になって磁性体化することを防止するために、成膜中のワークを適宜冷却することができる。例えば、一実施形態においては、成膜中のワークの温度を監視し、所定温度(例えば前記200℃、260℃)に達する前に、プラズマ形成プロセスを中断し、ワークを自然冷却させ、ワークが十分に冷却された後にプラズマ形成プロセスを再開することができる。また、他の実施形態においては、ワークを冷却する冷却装置を用い、プラズマプロセス中に、ワークを冷却することができる。さらに他の実施形態においては、プラズマ発生装置のパルス電源のデューティー比を調整することにより、ワークの温度が所定温度(例えば、前記200℃、260℃、さらには基材10に関する制約として、樹脂やゴムなど低温熱変形部材の変形温度)以上にならないように調整することができる。例えば、高圧DCマイクロパルスプラズマCVD法を用いて薄膜30を成膜する場合には、電源のDuty比を2%〜10%の範囲で制御できるため、成膜温度を低温に制御しやすい。また、低温スパッタリング装置においては、冷媒を伴う冷却機構上にワークを設置することができるので、ワークの無電解ニッケルめっき層の部分を所定温度(例えば前記200℃、約260℃)未満に保ったままPVD法にて薄膜30を成膜することができる。
以下、本発明の様々な実施形態における薄膜被覆部材1の実施例を説明する。以下の実施例は、例示であり、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではない。
1.中間層(無電解ニッケルめっき皮膜)の磁性の検証
まず、基板として、ガラスエポキシ基板(幅40mm、長さ100mm、厚さ1mm)を準備した。ガラスエポキシ基板表面と無電解ニッケルめっき皮膜の密着性を高めるための前処理として、基板表面を(1)クロム酸エッチングしたもの、(2)液体ホーニングしたもの、(3)UV照射とアルカリ粗化処理を組み合わせた処理をしたもの、を作成した。その後、これら(1)〜(3)の基板に公知の方法で無電解ニッケルめっき処理を行い、それぞれの基板に概ね以下の膜厚の無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。
(1)118.4nm
(2)115.2nm
(3)161.2nm
この無電解ニッケルめっき皮膜は、リン濃度を10wt%とし、かつ、めっき洗浄後の乾燥温度は150℃未満で行うことにより、形成された(1)〜(3)の無電解ニッケル皮膜が磁性体化しないようにした。
続いて、上述した(1)〜(3)の試料と同様に無電解ニッケルめっき皮膜を形成した後、日本化学産業株式会社製のスルファミン酸ニッケルめっき液を用いて公知の方法でさらに電解ニッケルめっき皮膜を500nm形成し、めっき洗浄後の乾燥温度は150℃未満で行ったものを準備し、比較例1とした。
さらに、株式会社大倉産業製のマグネット(D180 No.234)を準備し、上述した(1)〜(3)及び比較例1に接触させ、引き離す際に磁力による吸引が起こるか否かの確認を行った。その結果、(1)〜(3)については吸引力は発生しなかったが、比較例1については磁石に吸い寄せられることが確認でき、同様のニッケルめっき皮膜において(1)〜(3)のみが磁性体化していないことを確認できた。
2.薄膜(非晶質炭素膜)形成後の磁性の検証
(高圧DCパルスプラズマCVD装置による非晶質炭素膜の形成)
次に(1)〜(3)の基材及び比較例1に非晶質炭素膜を次の方法で形成した。まず基材をイソプロピルアルコールに浸漬し、次いで超音波洗浄を1分間行った。その後、高圧DCパルスプラズマCVD装置のパルス電圧を印加可能な金属板の上に各基材をセットし、180℃で変色するサーモラベルを(3)の試料の表層に添付した。次に高圧DCパルスプラズマCVD装置を7×10−4Paまで真空排気した後、ガス流量30SCCM、ガス圧2Paのアルゴンガスプラズマを用い、印加電圧−3kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μsの条件で、基材を約5分クリーニングした。
次に、このCVD装置からアルゴンガスを排気した後、基材を約10分間放置して自然降温させた。続いて、CVD装置に流量30SCCM、ガス圧2Paのテトラメチルシランを導入し、印加電圧−4.5kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μsの条件で概ね550nmのシリコンを含む密着用中間層としての非晶質炭素膜を無電解ニッケルめっき層上に形成した。この密着用中間層の成膜は、プラズマによる温度上昇を防止するため、最後の成膜分を除いて10分間連続で成膜し、その後15分間は自然冷却を行う方法を繰り返すことで行っている。次に、CVD装置内のテトラメチルシランガスを排気した後、基材を20分間放置して自然降温させた。続いて、流量30SCCM、ガス圧2PaのアセチレンをCVD装置内へ導入し、印加電圧−5kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μsの条件で、水素と炭素とからなる非晶質炭素膜を成膜した。この非晶質炭素膜の成膜は、プラズマによる温度上昇を防止するため、最後の成膜分を除いて10分間連続で成膜し、その後15分間は自然冷却を行う方法を繰り返すことによって行っている。
非晶質炭素膜形成後の各試料を成膜装置から取り出し、前述したサーモラベルが変色していないことを確認し、プラズマプロセスの温度が180℃に達していないことを確認した。また、株式会社大倉産業製のマグネット(D180 No.234)を再度準備し、(1)〜(3)、並びに比較例1に接触させ、引き離す際に磁力による吸引が起こるか否かを確認した。その結果、(1)〜(3)については吸引力、また磁石を接近させた際の反発力は発生しなかったが、比較例1については磁石に吸い寄せられることが確認できた。(1)の断面の電子顕微鏡写真を図2に示す。写真下側からガラスエポキシ樹脂、白く光る細い層がニッケルめっき層、その上部が密着用中間層(シリコンを含む非晶質炭素膜)、その上が水素と炭素とからなる非晶質炭素膜層である。
(マグネトロンRFプラズマCVD装置による非晶質炭素膜の形成)
次に(1)〜(3)の基材に非晶質炭素膜を次の方法で形成した。まず基材をイソプロピルアルコールに浸漬し、次いで超音波洗浄を1分間行った。その後、一方の極がアースに接続され、プラズマ電力を入力する側の他方電極下に、Si単位で残留磁束線密度〔Br〕が1,230〜1,290mTであるネオジウム磁石(永久磁石)をN極、S極の順で並べて配置し、N極からの磁力線が処理対象ワーク(基材)の表層を経由しS極に戻るように設定し、真空成膜装置内の各位置におけるプラズマ密度をマグネトロン方式で制御する公知のマグネトロンRFプラズマCVD装置のアース側の極に各基材をセットし、Niのキューリ温度(354℃)より低い100℃で変色するサーモラベルを(3)の試料の表層に添付し、(1)〜(3)の試料に対して膜厚が概ね100nmとなるように非晶質炭素膜を形成した。
非晶質炭素膜形成後の各試料(1)〜(3)をマグネトロンRFプラズマCVD装置から取り出し、前述したサーモラベルが変色していないことを確認し、プラズマプロセスの温度が100℃に達していないことを確認した。また、株式会社大倉産業製のマグネット(D180 No.234)を再度準備し、(1)〜(3)に接触させ、引き離す際に磁力による吸引が起こるか否かを確認した。その結果、(1)〜(3)について吸引力、また磁石を接近させた際の反発力は発生しなかった。
3.摩擦摩耗試験
次に、上述した高圧DCパルスプラズマCVD装置にて非晶質炭素膜を形成した(3)の試料を実施例2とし、前述した(1)〜(3)で使用したものと同じ未処理のガラスエポキシ基板(無電解ニッケルめっき、及び非晶質炭素膜を形成していない)を準備し比較例2として、摩擦磨耗試験を行った。摩擦摩耗試験は、新東科学株式会社製のトライボギアHHS−2000を用い、常温、無潤滑にて以下の測定条件により、試料の非晶質炭素膜が形成された面上で、直径2.0mmの超鋼球の圧子を繰り返し往復させながら試料表面の摩擦係数を測定した。この摩擦係数の測定は、加減重往復測定により実施した。
測定条件
・測定距離:20mm
・測定速度:5mm/sec
・荷重:600g(一定荷重)
・往復回数:100回
摩耗回数に応じた摩擦係数の変化を図3(実施例2)、図4(比較例2)に示す。比較例2のグラフから、摩擦開始から10往復までの間に0.4μに達する急激な摩擦係数の上昇が確認できる。一方、実施例2の方は100往復の摩擦磨耗試験が終了するまでほぼ0.1μと非晶質炭素膜特有の安定した低い摩擦係数が確認でき、基材ならびに表層に形成した非晶質炭素膜に損傷がなく、耐摩耗性、摺動性が大幅に向上していることが確認できる。直径2mmという小さい直径の圧子に対して600gの荷重は樹脂素材にとって非常に大きい荷重である。なお、実施例2と同様サイズの基板のA5052アルミニウム合金基材も実施例2と同じ処理にて同様の非晶質炭素膜を形成し、同様の摩擦磨耗試験を実施したが、摩擦回数が17往復時点で異音を伴い、摩擦係数が0.8μまで上昇した時点で試験を途中終了している。
4.中間層(ポリピロール)の磁性の検証
次に、基板として、ガラスエポキシ基板(幅40mm、長さ100mm、厚さ1mm)を準備した。続いて、丸菱油化工業製のポリピロール「PPY−12」を固形分濃度5.90%となるように、PPY−12(導電性高分子)19%に対して、イオン交換水36%、IPA(イソプロピルアルコール)16%、CL−27(丸菱油化工業製架橋剤)1%、BI−159(丸菱油化工業製バインダー)28%の割合で配合した。続いて準備したガラスエポキシ基板にディップ法により前述したポリピロール「PPY−12」を塗布し、マッフル炉にて150℃で10秒間加熱した後、炉から取り出し自然乾燥させた。ポリピロール「PPY−12」(固形分濃度5.90%)の電気抵抗が×10Ω・cm程度であり、ガラスエポキシ基板の電気抵抗が概ね×1012Ω・cm以上あることを考慮すると大幅な導電性をガラスエポキシ基板表層に付与できることになる。
続いて、株式会社大倉産業製のマグネット(D180 No.234)を準備し、上述したポリピロールを塗布したガラスエポキシ基板に接触させ、引き離す際に磁力による吸引が起こるか否かの確認を行った。その結果、磁石の吸引力が発生しないことを確認した。
5.薄膜(非晶質炭素膜)形成後の磁性の検証
さらにポリピロールを塗布したガラスエポキシ基板に非晶質炭素膜を次の方法で形成した。まず基材をイソプロピルアルコールに浸漬し、次いで超音波洗浄を1分間行った。その後、基材を設置する極がアースに接続され、3cm離れた他方のプラズマ電力を入力する側の電極下にネオジウム磁石(永久磁石)をN極、S極の順で並べて配置し、N極からの磁力線がS極に戻るように配置したマグネトロン方式のRFプラズマCVD装置に各基材をセットし、キューリ温度より低い100℃で変色するサーモラベルを試料の表層に添付し、膜厚が概ね100nmとなるように非晶質炭素膜を形成した。
非晶質炭素膜形成後のポリピロールを塗布したガラスエポキシ基板をマグネトロンRFプラズマCVD装置から取り出し、前述したサーモラベルが変色していないことを確認し、プラズマプロセスの温度が100℃に達していないことを確認した。株式会社大倉産業製のマグネット(D180 No.234)を再度準備し、ポリピロールを塗布したガラスエポキシ基板に接触させ、引き離す際に磁力による吸引が起こるか否かを確認した。その結果、ポリピロールを塗布したガラスエポキシ基板については吸引力、また磁石を接近させた際の反発力は発生しなかった。
本明細書において説明した薄膜被覆部材及びその作製方法は例示であり、その構成、材料、形成方法に対して、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。本明細書において具体的に説明した以外にも、目的に応じた表面処理を適宜行うことができる。
1 薄膜被覆部材
10 基材
20 中間層
30 薄膜

Claims (10)

  1. 樹脂及び/又はゴムから成る基材と、
    前記基材上に形成され導電性の非磁性体からなる中間層と、
    前記中間層上に電界及び/又は磁界を用いたプラズマプロセスによって形成された絶縁性の薄膜と、を備える薄膜被覆部材であって、
    前記中間層は、リンの含有量が10wt%以上であり、前記薄膜を形成する際に180℃未満に保たれることによって前記薄膜被覆部材の完成体においてアモルファス状となる無電解Ni−Pめっき層である薄膜被覆部材。
  2. 前記基材は、非磁性体からなる請求項1記載の薄膜被覆部材。
  3. 前記基材は、外部との摩擦摺動用途に供される機械部品、印刷用スキージ、又は搬送用ローラである請求項1又は2記載の薄膜被覆部材。
  4. 前記薄膜は、非磁性体からなる請求項1ないし3いずれか記載の薄膜被覆部材。
  5. 請求項1ないし4いずれか記載の薄膜被覆部材であって、
    前記中間層は、前記基材よりも硬度が大きく、
    前記薄膜は、前記中間層よりも硬度が大きい、
    薄膜被覆部材。
  6. 前記中間層は、前記薄膜被覆部材の完成体において非磁性である請求項1ないし5いずれか記載の薄膜被覆部材。
  7. 前記薄膜は、非晶質炭素膜Si若しくはTiの少なくとも一方を含む非晶質炭素膜、又は、Ti、AlN、TiCN、TiC、TiN、TiAlN、CrC、CrN、SiC、及び、SiOX又はTiOXからなる群より選択された1種以上の素材で構成された膜である請求項1ないしいずれか記載の薄膜被覆部材。
  8. 前記薄膜は、二酸化チタン又は酸化亜鉛からなる光触媒層である請求項1ないしいずれか記載の薄膜被覆部材。
  9. 請求項1記載の薄膜被覆部材であって、
    前記基材は、外部との摩擦摺動用途に供される機械部品であり、
    前記薄膜は、非晶質炭素膜、又は、Si若しくはTiの少なくとも一方を含む非晶質炭素膜である、
    薄膜被覆部材。
  10. 樹脂及び/又はゴムから成る基材を準備する工程と、
    前記基材上に導電性の非磁性体からなる中間層を形成する工程と、
    前記中間層上に電界及び/又は磁界を用いたプラズマプロセスによって絶縁性の薄膜を形成する工程と、
    を備える薄膜被覆部材の作製方法であって、
    前記中間層は、リンの含有量が10wt%以上であり、前記薄膜を形成する際に180℃未満に保たれることによって前記薄膜被覆部材の完成体においてアモルファス状となる無電解Ni−Pめっき層である薄膜被覆部材の作製方法。

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