JP6110126B2 - 非磁性体からなる中間層上に形成された薄膜 - Google Patents
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Description
まず、基板として、ガラスエポキシ基板(幅40mm、長さ100mm、厚さ1mm)を準備した。ガラスエポキシ基板表面と無電解ニッケルめっき皮膜の密着性を高めるための前処理として、基板表面を(1)クロム酸エッチングしたもの、(2)液体ホーニングしたもの、(3)UV照射とアルカリ粗化処理を組み合わせた処理をしたもの、を作成した。その後、これら(1)〜(3)の基板に公知の方法で無電解ニッケルめっき処理を行い、それぞれの基板に概ね以下の膜厚の無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。
(1)118.4nm
(2)115.2nm
(3)161.2nm
この無電解ニッケルめっき皮膜は、リン濃度を10wt%とし、かつ、めっき洗浄後の乾燥温度は150℃未満で行うことにより、形成された(1)〜(3)の無電解ニッケル皮膜が磁性体化しないようにした。
(高圧DCパルスプラズマCVD装置による非晶質炭素膜の形成)
次に(1)〜(3)の基材及び比較例1に非晶質炭素膜を次の方法で形成した。まず基材をイソプロピルアルコールに浸漬し、次いで超音波洗浄を1分間行った。その後、高圧DCパルスプラズマCVD装置のパルス電圧を印加可能な金属板の上に各基材をセットし、180℃で変色するサーモラベルを(3)の試料の表層に添付した。次に高圧DCパルスプラズマCVD装置を7×10−4Paまで真空排気した後、ガス流量30SCCM、ガス圧2Paのアルゴンガスプラズマを用い、印加電圧−3kVp、パルス周波数10kHz、パルス幅10μsの条件で、基材を約5分クリーニングした。
次に(1)〜(3)の基材に非晶質炭素膜を次の方法で形成した。まず基材をイソプロピルアルコールに浸漬し、次いで超音波洗浄を1分間行った。その後、一方の極がアースに接続され、プラズマ電力を入力する側の他方電極下に、Si単位で残留磁束線密度〔Br〕が1,230〜1,290mTであるネオジウム磁石(永久磁石)をN極、S極の順で並べて配置し、N極からの磁力線が処理対象ワーク(基材)の表層を経由しS極に戻るように設定し、真空成膜装置内の各位置におけるプラズマ密度をマグネトロン方式で制御する公知のマグネトロンRFプラズマCVD装置のアース側の極に各基材をセットし、Niのキューリ温度(354℃)より低い100℃で変色するサーモラベルを(3)の試料の表層に添付し、(1)〜(3)の試料に対して膜厚が概ね100nmとなるように非晶質炭素膜を形成した。
次に、上述した高圧DCパルスプラズマCVD装置にて非晶質炭素膜を形成した(3)の試料を実施例2とし、前述した(1)〜(3)で使用したものと同じ未処理のガラスエポキシ基板(無電解ニッケルめっき、及び非晶質炭素膜を形成していない)を準備し比較例2として、摩擦磨耗試験を行った。摩擦摩耗試験は、新東科学株式会社製のトライボギアHHS−2000を用い、常温、無潤滑にて以下の測定条件により、試料の非晶質炭素膜が形成された面上で、直径2.0mmの超鋼球の圧子を繰り返し往復させながら試料表面の摩擦係数を測定した。この摩擦係数の測定は、加減重往復測定により実施した。
測定条件
・測定距離:20mm
・測定速度:5mm/sec
・荷重:600g(一定荷重)
・往復回数:100回
摩耗回数に応じた摩擦係数の変化を図3(実施例2)、図4(比較例2)に示す。比較例2のグラフから、摩擦開始から10往復までの間に0.4μに達する急激な摩擦係数の上昇が確認できる。一方、実施例2の方は100往復の摩擦磨耗試験が終了するまでほぼ0.1μと非晶質炭素膜特有の安定した低い摩擦係数が確認でき、基材ならびに表層に形成した非晶質炭素膜に損傷がなく、耐摩耗性、摺動性が大幅に向上していることが確認できる。直径2mmという小さい直径の圧子に対して600gの荷重は樹脂素材にとって非常に大きい荷重である。なお、実施例2と同様サイズの基板のA5052アルミニウム合金基材も実施例2と同じ処理にて同様の非晶質炭素膜を形成し、同様の摩擦磨耗試験を実施したが、摩擦回数が17往復時点で異音を伴い、摩擦係数が0.8μまで上昇した時点で試験を途中終了している。
次に、基板として、ガラスエポキシ基板(幅40mm、長さ100mm、厚さ1mm)を準備した。続いて、丸菱油化工業製のポリピロール「PPY−12」を固形分濃度5.90%となるように、PPY−12(導電性高分子)19%に対して、イオン交換水36%、IPA(イソプロピルアルコール)16%、CL−27(丸菱油化工業製架橋剤)1%、BI−159(丸菱油化工業製バインダー)28%の割合で配合した。続いて準備したガラスエポキシ基板にディップ法により前述したポリピロール「PPY−12」を塗布し、マッフル炉にて150℃で10秒間加熱した後、炉から取り出し自然乾燥させた。ポリピロール「PPY−12」(固形分濃度5.90%)の電気抵抗が×106Ω・cm程度であり、ガラスエポキシ基板の電気抵抗が概ね×1012Ω・cm以上あることを考慮すると大幅な導電性をガラスエポキシ基板表層に付与できることになる。
さらにポリピロールを塗布したガラスエポキシ基板に非晶質炭素膜を次の方法で形成した。まず基材をイソプロピルアルコールに浸漬し、次いで超音波洗浄を1分間行った。その後、基材を設置する極がアースに接続され、3cm離れた他方のプラズマ電力を入力する側の電極下にネオジウム磁石(永久磁石)をN極、S極の順で並べて配置し、N極からの磁力線がS極に戻るように配置したマグネトロン方式のRFプラズマCVD装置に各基材をセットし、キューリ温度より低い100℃で変色するサーモラベルを試料の表層に添付し、膜厚が概ね100nmとなるように非晶質炭素膜を形成した。
10 基材
20 中間層
30 薄膜
Claims (10)
- 樹脂及び/又はゴムから成る基材と、
前記基材上に形成され導電性の非磁性体からなる中間層と、
前記中間層上に電界及び/又は磁界を用いたプラズマプロセスによって形成された絶縁性の薄膜と、を備える薄膜被覆部材であって、
前記中間層は、リンの含有量が10wt%以上であり、前記薄膜を形成する際に180℃未満に保たれることによって前記薄膜被覆部材の完成体においてアモルファス状となる無電解Ni−Pめっき層である薄膜被覆部材。 - 前記基材は、非磁性体からなる請求項1記載の薄膜被覆部材。
- 前記基材は、外部との摩擦摺動用途に供される機械部品、印刷用スキージ、又は搬送用ローラである請求項1又は2記載の薄膜被覆部材。
- 前記薄膜は、非磁性体からなる請求項1ないし3いずれか記載の薄膜被覆部材。
- 請求項1ないし4いずれか記載の薄膜被覆部材であって、
前記中間層は、前記基材よりも硬度が大きく、
前記薄膜は、前記中間層よりも硬度が大きい、
薄膜被覆部材。 - 前記中間層は、前記薄膜被覆部材の完成体において非磁性である請求項1ないし5いずれか記載の薄膜被覆部材。
- 前記薄膜は、非晶質炭素膜、Si若しくはTiの少なくとも一方を含む非晶質炭素膜、又は、Ti、AlN、TiCN、TiC、TiN、TiAlN、CrC、CrN、SiC、及び、SiOX又はTiOXからなる群より選択された1種以上の素材で構成された膜である請求項1ないし6いずれか記載の薄膜被覆部材。
- 前記薄膜は、二酸化チタン又は酸化亜鉛からなる光触媒層である請求項1ないし6いずれか記載の薄膜被覆部材。
- 請求項1記載の薄膜被覆部材であって、
前記基材は、外部との摩擦摺動用途に供される機械部品であり、
前記薄膜は、非晶質炭素膜、又は、Si若しくはTiの少なくとも一方を含む非晶質炭素膜である、
薄膜被覆部材。 - 樹脂及び/又はゴムから成る基材を準備する工程と、
前記基材上に導電性の非磁性体からなる中間層を形成する工程と、
前記中間層上に電界及び/又は磁界を用いたプラズマプロセスによって絶縁性の薄膜を形成する工程と、
を備える薄膜被覆部材の作製方法であって、
前記中間層は、リンの含有量が10wt%以上であり、前記薄膜を形成する際に180℃未満に保たれることによって前記薄膜被覆部材の完成体においてアモルファス状となる無電解Ni−Pめっき層である薄膜被覆部材の作製方法。
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