JP3876848B2 - 摺動機構およびそれを用いた電力開閉装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、基体上に薄膜を形成して成る二つの機械部品が互いに摺動面で摺動する構成の摺動機構およびそれを用いた電力開閉装置に関し、特に、当該摺動機構の耐摩耗性および摺動性の向上を、従来よりも低コストで実現する手段に関する。摺動性が良いというのは、換言すれば、摩擦係数が小さい(低い)ことである。
【0002】
このような摺動機構は、例えば、(a)自動車や農作業機等のエンジン(例えば内燃機関)のシリンダとピストンリング、コネクティングロッドとその軸受等のような摺動部や軸受部等を構成する摺動機構、(b)旋盤やボール盤等の切削機械の摺動部や軸受部等を構成する摺動機構、(c)スイッチ、遮断器(例えば真空遮断器やガス遮断器)、開閉器、断路器、接触器等の電力開閉装置の操作機構部(例えば操作リンク機構)等を構成する摺動機構、等に利用することができる。
【0003】
【従来の技術】
上記のような摺動機構の耐摩耗性および摺動性を向上させるために、各機械部品を構成する基体上に薄膜を形成することは従来から行われている(例えば、特許文献1および2参照)。基体には、鉄系材料が用いられることが多い。薄膜には、通常は基体よりも高硬度の薄膜が用いられる。例えば、CrNやTiN等のセラミック薄膜が用いられる。このような薄膜を形成(コーティング)することによって、摺動機構の耐摩耗性および摺動性が向上する。それに伴って、無潤滑油化も可能になる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−88484号公報(段落番号0002〜0005)
【特許文献2】
特開平4−73833号公報(第1頁左欄、図6)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、上記摺動機構の耐摩耗性および摺動性を十分に高めるために、両方の機械部品共に、その基体の表面を鏡面研磨して、両方の基体の表面の表面粗さを非常に小さくしていた。表面粗さを最大高さRmax で表せば、両方の基体ともRmax を0.8μm程度以下(三角記号で表せば▽▽▽▽)にして、鏡面研磨状態にしていた。上記特許文献1にも、基体の表面粗さRz を0.1μm以上1μm未満にすることが記載されている。
【0006】
しかし、両方の基体の表面を鏡面研磨するとなると、研磨に多くの手間(工程や時間等)がかかり、研磨のコストが嵩み、ひいては摺動機構やそれを用いた装置のコストが嵩むという課題がある。
【0007】
そこでこの発明は、耐摩耗性および摺動性が良く、しかも低コスト化が可能な摺動機構およびそれを用いた装置を提供することを主たる目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る摺動機構は、それぞれが基体上に薄膜を形成して成る二つの機械部品を有していて、両機械部品が互いに薄膜表面の摺動面で接して摺動する構成の摺動機構において、前記二つの機械部品は摺動面の曲率半径を互いに異にしており、かつ、曲率半径の大きい方の機械部品の基体の表面であって、少なくとも前記摺動面下に位置する領域の表面の表面粗さを、最大高さRmax で表したとき、6.3<Rmax ≦25[μm]とし、曲率半径の小さい方の機械部品の基体の表面であって、少なくとも前記摺動面下に位置する領域の表面の表面粗さを、最大高さRmax で表したとき、Rmax ≦0.8[μm]としていることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、両方の基体の表面粗さを鏡面研磨状態にする場合よりも、摺動機構の耐摩耗性および摺動性が良くなることが実験によって確かめられた。しかもこの構成によれば、両方の基体の表面粗さを鏡面研磨状態にする場合に比べて、基体の表面研磨の手間が省けることになり、研磨の低コスト化ひいては摺動機構の低コスト化が可能になる。
【0010】
この発明に係る電力開閉装置は、その電気回路の開閉に供される操作機構部に、上述したような摺動機構を用いていることを特徴としている。
【0011】
この電力開閉装置によれば、上述した理由によって、摺動機構ひいてはそれを用いた操作機構部の耐摩耗性および摺動性が良くなるので、装置の機械的な性能が良くなり、信頼性も向上し、かつ寿命が延びて長期間に亘って安定して動作させることができる。しかも、上述した理由によって、摺動機構ひいてはそれを用いた操作機構部の低コスト化が可能になるので、装置の低コスト化をも実現することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係る摺動機構の一例を部分的に示す概略断面図である。この摺動機構2は、それぞれが基体6上に薄膜8を形成して成る二つの機械部品4を有している。各薄膜8の表面に摺動面10をそれぞれ有している。そして、両機械部品4が互いに薄膜8の表面の摺動面10で接して摺動する構成をしている。
【0013】
そして、この摺動機構2では、両機械部品4の基体6の表面であって、少なくとも前記摺動面10の下に位置する領域(換言すれば、摺動面10に対向する領域。以下同じ)の表面粗さを、従来例と違って、互いに異なる表面粗さにしている。摺動面10の下に位置する領域以外の領域の表面粗さは、任意である。摺動に直接関与しないからである。
【0014】
このような摺動機構2の用途の例は、先に示したとおりである。
【0015】
両機械部品4の基体6の材質は、例えば、ステンレス鋼SUS440C、クロムモリブデン鋼SCM435、溶接構造用圧延鋼SM490A等の鉄系金属である。それ以外に、アルミニウムや銅等の非鉄系金属、高分子材料やゴム等の非金属等でも良い。両基体6の材質は、互いに同種でも良いし、異種でも良い。用途等に応じて選定すれば良い。
【0016】
機械部品4の基体6と薄膜8との間に、例えば図4に示す例のように、メッキ層12を設けても良い。そのようにすれば、メッキ層12の存在によって、機械部品4の耐食性が向上する。これは基体6がステンレス鋼以外の鉄系金属の場合には特に効果がある。これは両方の機械部品4について行っても良いし、一方の機械部品4にのみ行っても良い。メッキ層12は、例えば硬質クロムメッキ層である。基体6が鋼のように耐食性が低い材質の場合でも、メッキ層12として硬質クロムメッキ層を設けると、機械部品4の耐食性は、基体6にステンレス鋼を用いた場合と同等になる。
【0017】
基体6に対する薄膜8の密着性を強化するために、メッキ層12の代わりに、基体6と薄膜8との間に、例えばタングステン、チタン等から成る中間層を設けても良い。
【0018】
各基体6の表面の研磨方法としては、例えば、電解研磨、機械研磨等が採り得る。
【0019】
両機械部品4の薄膜8は、例えば、CrN、TiN、TiC、TiCN、ZrN、TaN、TiAlN等のセラミック薄膜でも良いし、ダイヤモンド状カーボン(Diamond Like Carbon:DLC)薄膜でも良い。両薄膜8の材質は、互いに同種でも良いし、異種でも良い。用途等に応じて選定すれば良い。
【0020】
このような薄膜8の形成方法(コーティング方法)としては、例えば、公知のイオンプレーティング法、マルチアークイオンプレーティング法、プラズマCVD法、イオンビーム照射と薄膜形成とを併用する方法、イオンビームスパッタ法等が採り得る。
【0021】
両機械部品4の摺動面10の形状は、図1では一例として平面で示しているが、これに限られるものではなく、他の形状、例えば円筒面、球面等の曲面でも良い。両摺動面10の形状は、両方とも平面または曲面でも良いし、一方が平面、他方が曲面でも良い。用途等に応じて選定すれば良い。
【0022】
上記のように両機械部品4の基体6の表面であって、少なくとも摺動面10下に位置する領域の表面粗さを、互いに異なる表面粗さにすることによって、両方の基体6の表面粗さを互いに同一にする(具体的には、両方の基体6とも表面粗さを小さくする)場合よりも、摺動機構2の耐摩耗性および摺動性が良くなる。その理論は、ミクロの世界のこともあって必ずしも明確ではないが、上記結果は実験によって確かめられたものである(以下の実施形態においても同様)。この実験の幾つかの例を、後述する実施例の項において説明する。
【0023】
しかもこの構成によれば、基体6の表面粗さを両方共に小さくする必要はないので、従来のように両方共に小さくする場合に比べて、摺動機構2の低コスト化が可能になる。つまり、基体6の表面研磨を簡略化して研磨の手間を省くことができるので、研磨の低コスト化が可能になり、ひいては摺動機構2の低コスト化が可能になる(以下の実施形態においても同様)。
【0024】
表面粗さは、より具体的には、二つの機械部品4の内で、一方の機械部品4の基体6の前記領域の表面の表面粗さを、最大高さRmax で表したとき、0.8<Rmax ≦25[μm](これは三角記号二つ▽▽または三つ▽▽▽に相当する)とし、他方の機械部品4の基体6の前記領域の表面の表面粗さを、最大高さRmax で表したとき、Rmax ≦0.8[μm](これは三角記号四つ▽▽▽▽に相当する)とするのが好ましい。大きい方の表面粗さは、6.3<Rmax ≦25[μm](これは三角記号二つ▽▽に相当する)としても良いし、0.8<Rmax ≦6.3[μm](これは三角記号三つ▽▽▽に相当する)としても良い。最大高さRmax の定義は、JIS B 0601に記載のとおりである。
【0025】
このようにすれば、両方の基体6の表面粗さを鏡面研磨状態(これは三角記号四つ▽▽▽▽に相当する)にする場合よりも、摺動機構2の耐摩耗性および摺動性を良くすることができる。しかも、両方の基体6の表面粗さを鏡面研磨状態にする場合に比べて、摺動機構2の低コスト化が可能になる。
【0026】
二つの機械部品4が摺動面10の曲率半径を互いに異にしている場合、当該曲率半径の大きい方の機械部品4の基体6の前記領域の表面の表面粗さを、当該曲率半径の小さい方の機械部品4の基体6の前記領域の表面の表面粗さよりも粗くするのが好ましい。摺動面10の形状が平面の場合は、その曲率半径は無限大であり、この明細書では、曲率半径が大きい場合に含まれている。
【0027】
このようにすれば、表面粗さの関係を上記とは逆にする場合よりも、摺動機構2の耐摩耗性および摺動性を良くすることができる。
【0028】
この場合の表面粗さは、より具体的には、曲率半径の大きい方の機械部品4の基体6の前記領域の表面の表面粗さを0.8<Rmax ≦25[μm]とし、曲率半径の小さい方の機械部品4の基体6の前記領域の表面の表面粗さをRmax ≦0.8[μm]とするのが好ましい。大きい方の表面粗さは、6.3<Rmax ≦25[μm]としても良いし、0.8<Rmax ≦6.3[μm]としても良い。
【0029】
このようにすれば、両方の基体6の表面粗さを鏡面研磨状態にする場合よりも、摺動機構2の耐摩耗性および摺動性を良くすることができる。しかも、両方の基体6の表面粗さを鏡面研磨状態にする場合に比べて、摺動機構2の低コスト化が可能になる。
【0030】
図2および図3に、基体6の研磨方向Aと摺動方向Bとの関係の例を示す。図2は両方向A、Bが互いに平行の場合、図3は互いに垂直の場合である。
【0031】
この場合、前記二つの機械部品4の内で、基体6の前記領域の表面の表面粗さが小さい方の機械部品4は、図3に示すように、基体6の前記領域の表面の表面粗さが大きい方の機械部品4の当該表面の研磨方向Aに対して垂直方向Bに動くように構成しても良い
【0033】
但し、基体6の表面の研磨方向および摺動方向は、上記例に限られるものではなく、それ以外でも良い。例えば、研磨方向に対して摺動方向は斜めであっても良い。また、研磨方向は、一定ではなくランダムな方向であっても良い。
【0034】
上記のような摺動機構2は、電気回路を開閉する電力開閉装置の、当該開閉に供される操作機構部に用いても良い。例えば、前記特許文献2に記載されているような真空遮断器等の接触子の開閉操作を行う操作リンク機構に用いても良い。より具体的には、例えば、当該操作リンク機構を構成するカムとレバーとに、上記摺動機構2を用いても良い。
【0035】
そのようにすれば、上述した理由によって、摺動機構2ひいてはそれを用いた操作機構部の耐摩耗性および摺動性が良くなるので、電力開閉装置の機械的な性能が良くなり、信頼性も向上し、かつ寿命が延びて長期間に亘って安定して動作させることができる。しかも、上述した理由によって、摺動機構2ひいてはそれを用いた操作機構部の低コスト化が可能になるので、電力開閉装置の低コスト化をも実現することができる。
【0036】
【実施例】
上記摺動機構2を構成する一方の機械部品4としてピン状機械部品4aを採用し、他方の機械部品4として平板状機械部品4bを採用して、図5に示すような原理のピン・オン・ディスク試験機(レスカ社製フリクションプレーヤーFRP4000)を用いて、摺動性および耐摩耗性の試験を行った。即ち、矢印Cに示すように往復円運動を行う回転台20上に平板状機械部品4bを載せて固定し、その表面に、球面状先端部14(球面曲率半径2.5mm)を有するピン状機械部品4aを圧力F=160kgf/mm2 で圧接した。球面状先端部14と円運動の中心22との間の距離Lを5mmとし、中心角α=30°で5000回の往復円運動(即ち往路、復路共に5000回ずつ)をさせた。これによって摺動部は往復円弧運動をする。この5000回は、摺動距離に換算すると26mに相当する。
【0037】
摺動性については、円弧運動をさせている間、終始、摩擦係数を測定した。その場合、摩擦係数は、摺動初期では高くその後安定するので、この安定領域の平均値で評価した。耐摩耗性については、試験終了後に摩耗状態を目視、段差計およびマイクロスコープによって評価した。これらの結果を表1中にまとめて示す。なお、耐食性については、表1中に示していないけれども、各例において、中性塩水噴霧試験で48時間後錆発生無しということを確認している。
【0038】
【表1】
Figure 0003876848
【0039】
各例の基体6の材質、基体6の表面粗さ、基体6上の薄膜8の種類および膜厚、基体6と薄膜8間のメッキ層12の有無、材質および厚さ、ならびに、平板状機械部品4bの基体4の表面の研磨方向に対するピン状機械部品4aの摺動方向については、表1中に示すとおりである。三角記号で表した表面粗さと最大高さRmax との関係は前述のとおりである。メッキ層12の記載のあるものは、それをピン状機械部品4aと平板状機械部品4bの両方に設けている。薄膜8の種類および膜厚は、ピン状機械部品4aと平板状機械部品4bとで互いに同じにした。摺動方向が垂直というのは、図3で説明したとおりである。摺動方向を記入していない例は、平板状機械部品4bの基体表面が鏡面研磨状態に近くてその研磨方向を目視で特定できなかったからである。
【0040】
従来例1では、摩擦係数は0.22と比較的良好であり、摩耗状態も良好であった。しかし、摩擦係数の目標値は0.2以下であり、これをクリアしていない。また、二つの基体の表面粗さが▽▽▽▽であることから、研磨のコストが嵩むという課題がある。
【0041】
従来例2も、従来例1と同様に、摩擦係数は0.22と比較的良好であり、摩耗状態も良好であった。しかし、摩擦係数の目標値は0.2以下であり、これをクリアしていない。また、二つの基体の表面粗さが▽▽▽▽であることから、研磨のコストが嵩むという課題がある。
【0042】
実施例1では、摩擦係数は0.15と非常に良好であり、摩耗状態も極めて良好であった。この摩擦係数は目標値である0.2以下をクリアしている。両方の基体の表面粗さが▽▽▽▽である従来例1よりも良い結果が得られている。しかも、一方の基体の表面粗さが▽▽であることから、そのぶん研磨のコストを低減することができるという利点もある。
【0043】
実施例2も、摩擦係数は0.14と非常に良好であり、摩耗状態も極めて良好であった。この摩擦係数は目標値である0.2以下をクリアしている。両方の基体の表面粗さが▽▽▽▽である従来例2よりも良い結果が得られている。しかも、一方の基体の表面粗さが▽▽であることから、そのぶん研磨のコストを低減することができるという利点もある。
【0044】
比較例1は、実施例1と表面粗さの関係を逆にしたものである。その結果、摩擦係数は0.42と悪くなり、摩耗状態も不良であった。
【0045】
この比較例1と上記実施例1とを比べれば分かるように、曲率半径の大きい平板状機械部品4bと曲率半径の小さいピン状機械部品4aとの摺動形態においては、実施例1のように、曲率半径の大きい平板状機械部品4bの基体の表面粗さを、曲率半径の小さいピン状機械部品4aの基体の表面粗さよりも粗くする(即ち、最大高さRmax を大きくする)方が、比較例1のように逆の関係にする場合よりも、摩擦係数および摩耗状態が良くなるという結果が得られる。実施例3と比較例2との関係からも、これと同様の結果が得られることが分かる。これは、曲率半径の小さい方の基体の表面粗さを粗くすると、曲率半径が小さいことが影響して、ミクロ的に見て、粗い山の一部分に荷重の集中が起こりやすくなるからではないかと考えられる。
【0046】
従来例3〜比較例2は、上記従来例1〜比較例2にそれぞれ対応しており、薄膜を3μm厚のCrNから0.5μm厚のダイヤモンド状カーボン(DLC)に変更したこと以外に違いはない。
【0047】
従来例3および4は、摩擦係数の目標値0.2以下をなんとかクリアしているけれども、従来例1および2と同様、研磨のコストが嵩むという課題がある。
【0048】
実施例3および4では、実施例1および2と同等の良好な結果が得られている。
【0049】
比較例2では、上記比較例1と同様、悪い結果が得られた。
【0050】
【発明の効果】
この発明は、上記のとおり構成されているので、次のような効果を奏する。
【0054】
請求項に記載の発明によれば、両方の基体の表面粗さを鏡面研磨状態にする場合よりも、摺動機構の耐摩耗性および摺動性を良くすることができる。しかも、両方の基体の表面粗さを鏡面研磨状態にする場合に比べて、基体の表面研磨の手間が省けることになり、研磨の低コスト化ひいては摺動機構の低コスト化が可能になる。
【0056】
請求項に記載の発明によれば、メッキ層の存在によって、当該機械部品の耐食性が向上する。
【0057】
請求項に記載の発明によれば、上述した理由によって、摺動機構ひいてはそれを用いた操作機構部の耐摩耗性および摺動性が良くなるので、電力開閉装置の機械的な性能が良くなり、信頼性も向上し、かつ寿命が延びて長期間に亘って安定して動作させることができる。しかも、上述した理由によって、摺動機構ひいてはそれを用いた操作機構部の低コスト化が可能になるので、電力開閉装置の低コスト化をも実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る摺動機構の一例を部分的に示す概略断面図である。
【図2】基体の研磨方向と摺動方向とが平行の場合の例を示す概念図である。
【図3】基体の研磨方向と摺動方向とが垂直の場合の例を示す概念図である。
【図4】摺動機構を構成する機械部品の他の例を部分的に示す概略断面図である。
【図5】実施例で用いたピン・オン・ディスク試験機の原理を示す概念図である。
【符号の説明】
2 摺動機構
4 機械部品
4a ピン状機械部品
4b 平板状機械部品
6 基体
8 薄膜
10 摺動面
12 メッキ層

Claims (3)

  1. それぞれが基体上に薄膜を形成して成る二つの機械部品を有していて、両機械部品が互いに薄膜表面の摺動面で接して摺動する構成の摺動機構において、前記二つの機械部品は摺動面の曲率半径を互いに異にしており、かつ、曲率半径の大きい方の機械部品の基体の表面であって、少なくとも前記摺動面下に位置する領域の表面の表面粗さを、最大高さRmax で表したとき、6.3<Rmax ≦25[μm]とし、曲率半径の小さい方の機械部品の基体の表面であって、少なくとも前記摺動面下に位置する領域の表面の表面粗さを、最大高さRmax で表したとき、Rmax ≦0.8[μm]としていることを特徴とする摺動機構。
  2. 前記二つの機械部品の少なくとも一方の機械部品は、その基体と薄膜との間にメッキ層を更に有している請求項1に記載の摺動機構。
  3. 電気回路を開閉する電力開閉装置において、当該開閉に供される操作機構部に、請求項1または2に記載の摺動機構を用いていることを特徴とする電力開閉装置。
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