JP5176378B2 - 転がり摺動部材およびこれを用いた転動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、農業機械、建設機械および鉄鋼機械、直動装置などに使用される転がり軸受などを構成する転がり摺動部材およびこれを用いた転動装置に係り、特にトランスミッションやエンジンなどのように潤滑油を介して異物が混入する可能性の高い環境下や、特に大きな接触応力が作用したり、無潤滑下などといった過酷な環境下においても好適に使用可能な転がり摺動部材およびこれを用いた転動装置に関する。
ダイヤモンドライクカーボン(以下適宜「DLC」と称す)は、その表面がダイヤモンドに準ずる硬さを有し、摺動抵抗も摩擦係数が0.2以下と二硫化モリブデンやフッ素樹脂と同様に小さいことから、従来から潤滑性材料として使用されている。
例えば、磁気ディスク装置においては、磁気素子または磁気ディスクの表面に数十オングストロームのDLC膜を形成することにより、磁気素子と磁気ディスクとの間の潤滑性を高めて磁気ディスクの表面を保護している。
また、このような特異な表面の性質から、DLCは転がり摺動部材の新たな潤滑性材料として注目されており、近年、各種機械の軸受への潤滑性の付与に利用されている。例えば、以下の特許文献1などには、軌道輪の軌道面や転動体の表面に金属を含有するDLC膜を備えた転がり軸受が開示されている。この転がり軸受においては、前記DLC膜により接触応力が緩和されるようになっている。
また、以下の特許文献2〜7などに示すように、CVD法,プラズマCVD法,イオンビーム形成法,イオン化蒸着法,非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリング法等によって、軌道輪の軌道面や転動体の表面にDLC膜を形成した転がり軸受等の転動装置が知られている。
一方、トランスミッションやエンジンなどのように潤滑油中で用いられる転がり軸受にあっては、その潤滑油中に金属の切粉や削り屑、あるいはバリおよび摩擦粉などの異物が混入している場合が多く、このような異物がその転がり軸受の軌道輪や転動体に損傷を与え、転がり軸受の寿命の大幅な低下をもたらすことが良く知られている。
このような異物混入潤滑下における寿命低下は、異物の噛み込みによって形成された圧痕縁の盛り上がり部(エッジ部)における応力集中が主な原因とされている。
そのため、例えば、以下の特許文献8や特許文献9では、軸受の転がり表面層の炭素の含有量や残留オーステナイト量、および炭窒化物の含有量などを適正値にすることによって、異物の噛み込みによって形成された圧痕のエッジ部における応力の集中を緩和してクラックの発生を抑え、転がり軸受の寿命を向上させるような技術が開示されている。
すなわち、異物混入による寿命低下は、異物の噛み込みによって形成された圧痕縁の盛り上がり部における応力集中が原因と考えられていることから、軌道面もしくは転動面を硬くして圧痕そのものを形成させ難くすると同時に、圧痕が形成された場合であっても、圧痕縁の盛り上がり部における残留オーステナイトの応力集中軽減効果を最大限活用する
ことによって長寿命化を図るようにしている。
また、一般に転がり軸受は、軌道面と転動面との間における転がり運動により繰り返し接触応力を受けるようになっており、特にこの転がり軸受のうち、円すいころ軸受のあっては、ころの転動面が内外輪の軌道面に接触し、ころ端面が内輪の案内つばと接触するため、ころ端面とつば部との間ではすべり運動を伴うようになっている。
そのため、これらの転がり軸受を構成する軸受材料には、硬くて負荷に耐え、転がり疲労寿命が長く、かつすべりに対する耐摩耗性が良好であることなどが要求され、一般的に軸受鋼であればSUJが使用される。また、肌焼鋼であればSCR420相当の鋼材を焼入れあるいは浸炭窒化または浸炭処理した後、焼入れして硬さをHRC58〜64とすることにより、必要とされる寿命や耐摩耗性を確保するようにしている。
しかしながら、このような転がり軸受は、玉軸受においては差動すべり、ころ軸受においてはころのスキューあるいはつば部におけるすべり接触などといった大きな負荷が伴うため、潤滑条件が厳しい場合には、焼付きや摩耗などが生じることがある。
そのため、この対策として例えば以下の特許文献10などでは、潤滑膜が破れ表面の直接的な接触が生じる場合には、耐焼付き性や耐摩耗性を向上させるためにモリブデンジアルキルジチオカーバメイトなどの極圧添加剤を潤滑油に添加するなどして転がり軸受などの焼付きや摩耗などを防止するようにしている。
国際公開WO99/14512号公報 特開平9−144764号公報 特開2000−136828号公報 特開2000−205277号公報 特開2000−205279号公報 特開2000−205280号公報 特開2003−56575号公報 特許第2138103号 特許第2128328号 特公平5−79280号公報
ところで、トランスミッションやエンジンなどでは一般に燃費改善のために低粘度の潤滑油が使用されているが、このような環境下で用いられる軸受にあっては、潤滑能力が乏しいため、前記特許文献8や9などのような工夫を施しても、金属接触が頻繁に起こって表面基点型の剥離が起こり易くなり、要求される寿命を満足しない場合もあり、さらなる改良が望まれている。
そのため、このような環境下で用いられる軸受として前記特許文献1〜7などに示したような潤滑性に優れたダイヤモンドライクカーボン層を備えた軸受の適用が検討されている。
しかしながら、前記特許文献1〜7などに示した異物混入による対策は殆ど考慮されていないため、前述したようにトランスミッションやエンジンなどのように異物が多く含まれている環境下でそのまま使用することは不適当である。
一方、前記特許文献7に開示されている技術によれば、繰り返し応力によるDLC膜の剥離が生じ難いので、転がり軸受などの転動装置のように大きな接触応力が作用するような条件下や無潤滑下においても使用可能であるが、さらに大きな接触応力が作用するような条件下での使用を考えると、さらなる改良が望まれる。
そして、このような破損が起こる原因としては、以下の2点が考えられる。
先ず、1点目は、鋼とDLC膜との密着性を向上させるために介在された金属中間層の脆性化の問題である。すなわち、金属中間層を構成する金属と、DLC膜を構成する炭素とが結合して脆さを有する金属カーバイドが生成するため、金属中間層が脆性化してDLC膜が破損し易くなるためである。そして、この金属中間層が1種の金属で構成されている場合は、金属カーバイドの脆さが大きいため、破損の要因となり易い。
2点目は、DLC膜は、応力が作用しても非常に変形し難い性質を有しているという問題である。DLC膜は硬く高弾性であるので、ステンレスや軸受鋼などのような等価弾性定数の小さい金属材料に被覆されていると、両者の等価弾性定数の違いから母材の変形にDLC膜が追従することができずにDLC膜が破損する場合がある。
また、母材とDLC膜の界面における密着力が不十分であると、DLC膜全体が母材から剥離するおそれもある。
そこで、本発明は前記のような従来技術が有する問題点を解決するために案出されたものであり、その第1の目的は低粘度の潤滑剤の環境下や異物混入の可能性が高い条件下においても好適に使用可能な転がり摺動部材およびこれを用いた転動装置を提供するものである。
また、本発明の第2の目的は、大きな接触応力が作用するような条件下や無潤滑下においても好適に使用可能な転がり摺動部材およびこのような転がり摺動部材を用いた潤滑性に優れた転動装置を提供するものである。
〔発明1〕
前記課題解決するために請求項1に対応する発明1の発明は、
相手部材との間で相対的な転がり接触またはすべり接触が生じる転がり摺動部材において、下記の5つの条件を満足することを特徴とする転がり摺動部材である。
条件1:前記相手部材との接触面においては、鋼製の母材に潤滑性を有するダイヤモンドライクカーボン層が被覆されている。
条件2:前記母材のうち前記ダイヤモンドライクカーボン層が被覆されている部分は、表面粗さRaが「0.006μm以上0.4μm以下」である。
条件3:前記ダイヤモンドライクカーボン層は、表面側から、主に炭素(C)からなるカーボン層(D5)、主にタングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)あるいはシリコン(Si)のうちいずれか1種以上の元素と炭素(C)とからなる複合カーボン層(D4)、主にタングステン(W)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)のうちいずれか1種以上の元素からなる中間層(D3)、主にタングステン(W)、シリコン(Si)、モリブデン(Mo)あるいはチタン(Ti)のうち何れか1種以上の元素とクロム(Cr)とからなる複合金属層(D2)、主にクロム(Cr)からなる金属層(D1)の5つの層を順に積層してなる。
条件4:前記カーボン層(D5)の厚さが「0.5μm以上3.0μm以下」である。
条件5:前記ダイヤモンドライクカーボン層の等価弾性定数が「100GPa以上280GPa以下」である。
そして、本発明の転がり摺動部材は、このような5つの条件を満足とすることにより、トランスミッションやエンジンなどのように低粘度の潤滑剤の環境下や異物混入の可能性が高い条件下においても優れた耐久性および安定性を発揮することができるため、長寿命化が可能となる。
また、このダイヤモンドライクカーボン層は後述するように優れた密着性を発揮できるため、大きな接触応力が作用する転動装置を構成する部材などにも好適に適用することができる。さらに摩耗や発熱も少ないため、繰り返し応力に対しても優れた耐久性を発揮することができる。
すなわち、先ず本発明の転がり摺動部材は、条件1に示すように前記相手部材との接触面においては、鋼製の母材に潤滑性を有するダイヤモンドライクカーボン層(DLC層)が被覆されていることからトランスミッションなどのように低粘度の潤滑剤の環境下においても優れた潤滑性を発揮することができる。
さらに、条件2に示すように母材のうちダイヤモンドライクカーボン層が被覆されている部分の表面粗さRaが「0.006μm以上0.4μm」以下であるため、鋼製の母材とダイヤモンドライクカーボン層(金属層(D1))とが十分な面積で接触できるので、ダイヤモンドライクカーボン層の剥離が生じ難くなる。
ここで、この条件2においてダイヤモンドライクカーボン層が被覆される母材の表面粗さRaを「0.006μm以上0.4μm以下」と規定した理由は、表面粗さRaが「0.006μm(6nm)」未満であると、鋼製の母材とダイヤモンドライクカーボン層の金属層(D1)との接触面積が小さすぎて十分な密着力が確保できなくなるおそれがあるからである。一方、表面粗さRaが「0.4μm(400nm)」を超えると、その影響を受けてダイヤモンドライクカーボン層の最表面までも粗くなり、相手部材との接触時にダイヤモンドライクカーボン層の表面に油膜が形成され難くなってそのダイヤモンドライクカーボン層の剥離や音響の増大が生じるおそれがあるからである。
従って、このような不都合がより生じ難くするためには、条件2で規定するように母材のうちダイヤモンドライクカーボン層が被覆されている部分の表面粗さRaは「0.006μm以上0.4μm以下」とする必要があり、さらに好ましくは、「0.05μm以上0.2μm以下」、最も好ましくは「0.05μm以上0.18μm以下」である。
そして、このような母材の粗さを決める加工方法としては、研削加工、切削加工、ショット加工、ラップ加工、バニシング加工、バレル加工、ホーニング加工、電解研磨加工、化学研磨加工等の加工法を単独もしくは適宜組み合わせて適用できる。
例えば、転がり軸受の軌道面のように、転がり摺動方向が一定のものには、転がり摺動方向に測定した場合の粗さが小さくなるような研削目を有する仕上げ研削加工等が好ましい。また、例えば深溝玉軸受の転動体のように、転がり摺動方向が一定方向に定まらないものについては、ショット加工等により、特定の方向に測定した場合の粗さが同程度になるようにすることが好ましい。
また、本発明の転がり摺動部材は、条件3に示すように前記ダイヤモンドライクカーボン層は、表面側から、主に炭素(C)からなるカーボン層(D5)、主にタングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)あるいはシリコン(Si)のうちいずれか1種以上の元素と炭素(C)とからなる複合カーボン層(D4)、主にタングステン(W)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)のうちいずれか1種以上の元素からなる中間層(D3)、主にタングステン(W)、シリコン(Si)、モリブデン(Mo)あるいはチタン(Ti)のうち何れか1種以上の元素とクロム(Cr)とからなる複合金属層(D2)、主にクロム(Cr)からなる金属層(D1)の5つの層を順に積層してなるため、条件5に示すようにそのダイヤモンドライクカーボン層の等価弾性定数を「100GPa以上280GPa以下」とすることができる。
すなわち、そのダイヤモンドライクカーボン層の等価弾性定数を「100GPa以上280GPa以下」とすることによって、母材である鋼の等価弾性定数との差が小さくなるため、母材の変形に追従してそのダイヤモンドライクカーボン層が変形し易くなる。この結果、母材とダイヤモンドライクカーボン層との密着性が向上し、容易に破損や剥離などが生じなくなる。
ここで、ダイヤモンドライクカーボン層の等価弾性定数を「100GPa以上280GPa以下」と規定したのは、その等価弾性定数が「280GPa」を超えると鋼からなる母材よりも、ダイヤモンドライクカーボン層の方が過大な等価弾性係数を有することになるため、繰り返し応力が作用した際の母材の変形にダイヤモンドライクカーボン層が追従することが困難となって破損や剥離などが生じ易くなるからである。また、反対にその等価弾性定数が「100GPa」を下回るとダイヤモンドライクカーボン層の硬さが不十分となって摩耗が生じ易くなるからである。
また、条件3のダイヤモンドライクカーボン層のうちの複合金属層(D2)が、タングステン(W)、シリコン(Si)、モリブデン(Mo)あるいはチタン(Ti)のうち何れか1種以上の元素とクロム(Cr))で構成されているので、これらの金属と炭素とが結合して金属カーバイドが生成されたとしても、金属カーバイドの脆さが小さくなるため、繰り返し応力やせん断力が負荷されてもダイヤモンドライクカーボン層が破損し難くなる。
また、このダイヤモンドライクカーボン層は条件4に示すように、カーボン層(D5)の厚さを「0.5μm以上3.0μm以下」としたため、その機能や摺動部材の材料特性を長期に亘って維持することができる。
すなわち、このカーボン層(D5)の厚さが「0.5μm」未満であると、摩耗によりそのカーボン層(D5)が消失してその機能を失ってしまい易くなり、反対に「3.0μm」を超えると荷重負荷時に表面での変形量が増加してしまうなど、摺動部材の材料特性が変化してしまうからである。従って、このカーボン層(D5)の厚さは、好ましくは「0.5μm以上2.5μm」以下であり、より好ましくは「1.0μm以上2.2μm」以下、さらに好ましくは「1.0μm以上2.0μm以下」である。
また、本発明のダイヤモンドライクカーボン層のような薄膜については、通常の方法ではその弾性定数を測定することができないため、本発明においては以下の方法により測定された弾性定数を用いる。
すなわち、押し込み深さを少なくともダイヤモンドライクカーボン層の厚さ内として微小硬度計による測定を行い、得られた荷重−除荷曲線により等価弾性定数を求める。例えば、ダイヤモンドライクカーボン層の厚さが「2μm」である場合は、押し込み荷重を「0.4〜50mN」の間で適宜設定して測定を行う。なお、後述する実施例においてはエリオニクス社製の微小硬度計を使用し、押し込み荷重を「50mN」として測定した等価弾性定数を用いる。
この他の等価弾性定数の測定方法としては、フィッシャー社製の微小硬度測定装置を用いる方法がある。この方法においては、(マイクロ)ビッカース硬度計は使用せず、静電容量で制御できる微小硬度計またはナノインデンテータを用いることが望ましい。なおかつ押し込み深さはダイヤモンドライクカーボン層の厚さ内とする必要がある。そして、前記微小硬度計またはナノインデンテータにより得られた荷重−除荷曲線の弾性変形量から等価弾性定数を求める。
なお、HRC60の鋼炭素クロム鋼(SUJ2)の表面の等価弾性定数を上記の方法により求めると「250GPa」となり、通常カタログなどに記載されている「210GPa」よりも大きい結果となる。これは、上記の方法が微小な押し込み領域における測定であることから、SUJ2の表面の加工硬化層の影響を受けるためである。
また、このダイヤモンドライクカーボン層を構成する各層は、それぞれ前述した成分からなるものであるが、これら成分以外にその製造過程などにおいて不可避的に混入する不純物を含むことはいうまでもない。
〔発明2〕
また、請求項2に対応する発明2の発明は、
請求項1に記載の転がり摺動部材において、前記複合カーボン層(D4)中の炭素の割合が、前記金属層(D1)側から前記カーボン層(D5)側に向かって徐々に増加していることを特徴とする転がり摺動部材である。
これによって、ダイヤモンドライクカーボン層と鋼製の母材との密着性が向上し、ダイ
ヤモンドライクカーボン層自体の剥離を防止することができる。
〔発明3〕
また、請求項3に対応する発明3の発明は、
請求項1または2に記載の転がり摺動部材において、さらに下記の条件6を満足することを特徴とする転がり摺動部材。
条件6:前記母材の等価弾性定数eに対する、前記ダイヤモンドライクカーボン層の各層の等価弾性定数(カーボン層(D5:e5)、カーボン複合層(D4:e4)、中間層(D3:e3)、金属複合層(D2:e2)、金属層(D1:e1)との間には、以下の関係が成り立つ。
0.6≦e5/e≦1.4かつ
0.6≦e4/e≦1.4かつ
0.6≦e3/e≦1.5かつ
0.6≦e2/e≦1.5かつ
0.6≦e1/e≦1.5
このように母材の等価弾性定数eに対する、前記ダイヤモンドライクカーボン層(D)の各層(カーボン層(D5)、カーボン複合層(D4)、中間層(D3)、金属複合層(D2)、金属層(D1))の等価弾性定数(カーボン層(e5)、カーボン複合層(e4)、中間層(e3)、金属複合層(e2)、金属層(e1))をすべて満足するこれによって、ダイヤモンドライクカーボン層(D)と鋼製の母材との密着性が向上し、ダイヤモンドライクカーボン層の剥離を防止することができる。
〔発明4〕
また、請求項4に対応する発明4の発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の転がり摺動部材において、さらに下記の条件7を満足することを特徴とする転がり摺動部材である。
条件7:前記カーボン層(D5)の厚さt5に対する、前記複合カーボン層(D4)の厚さt4と、前記中間層(第3層)の厚さt3と、前記複合金属層(D2)の厚さt2と、前記金属層(D1)の厚さt1との間には、以下の関係が成り立つ。
0.1≦t4/t5≦0.3かつ
0.1≦t2/t5≦0.3かつ
0.1≦t3/t5≦0.3かつ
0.1≦t1/t5≦0.3
このようにダイヤモンドライクカーボン層のカーボン層(D5)の厚さt5に対する、前記複合カーボン層(D4)の厚さt4と、前記複合金属層(D2)の厚さt2と、前記中間層(D3)の厚さt3と、前記金属層(D1)の厚さt1との関係をこのように規定すれば、ダイヤモンドライクカーボン層を構成する各層間の密着性が良くなり、高荷重が負荷された場合でも各層間で剥離が生じ難くなる。
ここで、複合カーボン層(D4)の厚さt4と、複合金属層(D2)の厚さt2がカーボン層(D5)の厚さの「0.1(0.1倍)」未満であると、急激に物性が変化することとなって上下各層との密着性が悪くなってしまうからであり、反対に「0.3(0.3倍)」を超えると、これら各層が脆化し、その内部で内部起点による層間剥離が発生してしまう可能性が大きくなるからである。
さらに、中間層(D3)の厚さt3と複合金属層(D2)の厚さt2がカーボン層(C1)の厚さの「0.1倍」未満であると、複合金属層(D2)との密着が十分でなくなり、剥離が生じ易くなるからであり、反対に「0.3倍」を超えるとダイヤモンドライクカーボン層全体が厚くなりすぎて摺動部材表面の材料特性が変化してしまうからである。
〔発明5〕
また、請求項5に対応する発明5の発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の転がり摺動部材において、前記ダイヤモンドライクカーボン層は、非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングにより形成されたものであることを特徴とする転がり摺動部材である。
これによって、鋼製の母材上に前述したように5層からなる前記ダイヤモンドライクカーボン層を容易かつ確実に形成することができる。
また、このような物理的成膜法は、CVD法、プラズマCVD法、イオンビーム形成法、イオン化蒸着法などと比較して好適な等価弾性係数および強度を有するダイヤモンドライクカーボン層が得られやすいので、転動装置のような大きな接触応力が作用する装置を構成する部品に対して好適である。
〔発明6〕
また、請求項6に対応する発明6の発明は、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の転がり摺動部材において、前記ダイヤモンドライクカーボン層は、その最表面の表面粗さRaが0.2μm以下であることを特徴とする転がり摺動部材である。
これにより、特に摺動時に生じ易い異音の発生を防止することができる。すなわち、条件1のように鋼製の母材に潤滑性を有するダイヤモンドライクカーボン層を被覆することにより、低潤滑下や枯渇潤滑下であっても十分な潤滑作用を発揮することができるため、その表面粗さは、潤滑作用の面から特に問題とはならないが、その粗さが大きすぎると音響面で問題となる。そのため、最表面粗さRaの上限値を「0.2μm以下」とした。また、表面粗さRaの下限値は、特に限定はないが、おおむね、母材の表面粗さの1割程度である。これは、ダイヤモンドライクカーボン層の成膜能力・成膜条件・母材の粗さによって決まってくる。
〔発明7〕
また、請求項7に対応する発明7の発明は、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の転がり摺動部材において、前記ダイヤモンドライクカーボン層の等価弾性定数は、前記母材の等価弾性定数の0.6以上1.5倍以下であることを特徴とする転がり摺動部材である。
これにより、さらに、母材とダイヤモンドライクカーボン層との密着性が向上し、容易に破損や剥離などが生じなくなる。より好ましくは、母材の等価弾性定数の「0.6以上1.4倍以下」である。
さらに、このダイヤモンドライクカーボン層を形成する前記5層のいずれもが、母材の等価弾性定数の「0.6以上1.5倍以下」の等価弾性定数を有することが好ましい。より好ましくは、「0.6以上1.4倍以下」である。
〔発明8〕
また、請求項8に対応する発明8の発明は、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の転がり摺動部材において、前記ダイヤモンドライクカーボン層の複合カーボン層(D4)の厚さt4と、金属層(D1)の厚さt1の比t4/t1は、0.25〜1.0の範囲であることを特徴とする転がり摺動部材である。
これにより、トランスミッションやエンジンなどのように、低粘度の潤滑剤の環境下や異物混入の可能性が高い条件下においても優れた耐久性を示す。すなわち、この範囲であれば、ダイヤモンドライクカーボン層の密着性にも、異物による表面の変形等に対する耐久性にも優れた皮膜が得られる。
〔発明9〕
一方、請求項9に対応する発明9の発明は、
外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外側に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,および前記転動体のうち少なくとも1つを、請求項1〜8のいずれか1項に記載の転がり摺動部材としたことを特徴とする転動装置である。
このような構成であれば、転動装置を構成する転がり摺動部材のダイヤモンドライクカーボン層は大きな接触応力が作用しても破損しにくいので、大きな接触応力が作用するような条件下や無潤滑下において使用されても長寿命である。
なお、本発明の転動装置としては、転がり軸受,直動案内軸受(リニアガイド装置),ボールねじ,直動ベアリング等があげられる。
そして、前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合は内輪、同じく直動案内軸受の場合は案内レール、同じくボールねじの場合はねじ軸、同じく直動ベアリングの場合は軸を、それぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合は外輪、同じく直動案内軸受の場合はスライダ、同じくボールねじの場合はナット、同じく直動ベアリングの場合は外筒を、それぞれ意味する。
本発明によれば、トランスミッションやエンジンなどように低粘度の潤滑剤の環境下や異物混入の可能性が高い条件下においても優れた潤滑性および耐久性を発揮することができるため、信頼性の向上と長寿命化を図ることが可能となる。
また、密着性に優れたダイヤモンドライクカーボン層を備えているため、転がり軸受などのような大きな接触応力が作用する転動装置を構成する部材などにも好適に適用することができる。
さらに摩耗や発熱も少ないため、繰り返し応力に対しても優れた耐久性を発揮することができる。
次に、本発明に係る転がり摺動部材および転動装置の実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る転動装置の一実施形態であるスラスト玉軸受10の構成を示す縦断面図であり、図2は図1のA部分を拡大して示した部分拡大断面図、図3は図2に示す部分拡大断面部分の各層の構成を示す概念図である。なお、図3はあくまでも各層の積層順ならびにその組成を示すものであって各層の膜厚比を示すものではない。
先ず、図1に示すようにこのスラスト玉軸受10は、軌道面1aを有する内輪1(転がり摺動部材)と、軌道面1aに対向する軌道面2aを有する外輪2(転がり摺動部材)と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の玉3(転がり摺動部材)と、両軌道面1a,2a間に複数の玉3を軸受の円周方向に亘って等配に保持する保持器4(転がり摺動部材)と、を備えている。
この内輪1,外輪2,および玉3は、SUJ2等の鋼製から形成されており、またその内輪1および外輪2の寸法は内径25mm、外径52mm、厚さ18mmで、軌道面1a,2aの横断面形状は、玉3の直径の54%の曲率半径を有する円弧状となっている。
そして、この内輪1,外輪2と玉3とは相互に転がり接触またはすべり接触し、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,および玉3の転動面3aがその接触面に相当する。
これらの接触面においては、内輪1,外輪2,玉3の母材に、潤滑性を有しかつ等価弾性定数が「100GPa以上280GPa以下」であるダイヤモンドライクカーボン層(D)が、「0.5μm〜3μm」程度の厚さで被覆されている。
そして、母材のうちダイヤモンドライクカーボン層(D)が被覆されている部分の表面粗さRaは、「0.006μm以上0.4μm以下」となっている。
さらに、このダイヤモンドライクカーボン層(D)は、図2および図3に示すように、表面側から順に、主に炭素(C)からなるカーボン層(D5)、主にタングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)あるいはシリコン(Si)のうちいずれか1種以上の元素と炭素(C)とからなる複合カーボン層(D4)、主にタングステン(W)またはシリコン(Si)のうちいずれか1種以上の元素からなる中間層(D3)、タングステン(W)あるいはシリコン(Si)のうちいずれか1種以上の元素とクロム(Cr)とからなる複合金属層(D2)、主にクロム(Cr)からなる金属層(D1)の5層を積層してなっている。
ここで、このような5つの層からなるダイヤモンドライクカーボン層(D)を形成方法の一例について、外輪2を例に説明する。なお、このダイヤモンドライクカーボン層(D)は、外輪2のみならず、図1に示すように内輪1や玉3あるいは保持器4にも同様に形成しても良いことはいうまでもない。
先ず、油分を脱脂した外輪2を株式会社神戸製鋼所製のアンバランスドマグネトロンスパッタリング装置504(以下、「UBMS装置」と称す)に設置し、アルゴンプラズマによるスパッタリングを用いて外輪2を構成する鋼製の母材の表面のうち、軌道面2aとなる部分にボンバード処理を15分間施す。
そして、図3に示すようにクロム(Cr)およびタングステン(W)あるいはシリコン(Si)をターゲットとして、母材の表面のうち軌道面2aとなる部分にクロム(Cr)をスパッタリングして成膜し、第1の層である金属層(D1)を厚さ「1.0〜1.5μm」程度に形成した後、引き続きさらにタングステン(W)とシリコン(Si)をスパッタリングして第2の層である複合金属層(D2:W−Cr、Si−Cr、W−Si−Cr)を形成する。
次に、このターゲット中からクロム(Cr)を除いてタングステン(W)あるいはシリコン(Si)のスパッタリングを続けて第3の層である中間層(D3:W、Si、W−Si)を形成した後、さらに炭素(C)とチタン(Ti)とモリブデン(Mo)をターゲットとしたスパッタリングを開始する。
このようなスパッタリングによって、前記2種類の金属(W、Si)と新たな金属(Ti、Mo)と炭素(C)とが結合した金属カーバイドからなる複合カーボン層(D4:W−C、Si−C、W−Si−C、Ti−C、Mo−C、Ti−Mo−C、W−Ti−C、W−Mo−C、Si−Ti−C、Si−Mo−C、Ti−Mo−Si−C、Ti−Mo−W−C、Si−Mo−W−C、Ti−Si−W−C、Mo−Ti−Si−W−C)が、中間層(D3)の上に形成される。なお、この複合カーボン層(D4)は、これら4種類の金属(Mo、Ti、Si、W)と炭素(C)を用いることができるが、金属としてタングステン(W)と(Si)シリコンのいずれあるいは両方だけを用いても良い。
さらに、前記2種類の金属のスパッタ効率を徐々に減少させながら、炭素(C)のスパッタ効率を徐々に増加させる。そして、これら4種類の金属(Mo、Ti、Si、W)のスパッタリングを終了し、炭素(C)のスパッタリングのみを継続して、その複合カーボン層(D4)の上に第5の層であるカーボン層(D5)を形成する。
なお、これら各層(D1〜D5)の膜厚調整は、スパッタリング時間を調整することで容易に行うことができる。また、各層の等価弾性定数は、バイアス電圧を調整することで容易に制御することができる。
そして、このようなスパッタリングによって形成されるダイヤモンドライクカーボン層(D)にあっては、主にクロム(Cr)のみで構成された第1の層である金属層(D1)から主に炭素(C)のみで構成された第5の層であるカーボン層(D5)に向かって各層(D1〜D5)の組成が連続的に徐々に変化するようになる。
従って、各層(D1〜D5)間の密着性が向上し、その結果、最表面に位置する潤滑性に優れたカーボン層(D5)と母材である鋼との密着性が大幅に向上することになる。
また、このようなダイヤモンドライクカーボン層(D)を形成するためのUBMS装置は、スパッタリングに用いるターゲットを複数装着でき、各ターゲットのスパッタ電源を独立に制御することにより、各成分のスパッタ効率を任意に制御することができるので、上記のような成膜に好適である。例えば、前記複合カーボン層(D4)およびカーボン層(D5)を成膜する工程においては、金属ターゲットのスパッタ電源(DC電源)の電力を低減させながら、同時にカーボンターゲットのスパッタ電源(DC電源)の電力を増加させれば良い(このとき、外輪2には負のバイアス電圧を印加する)。
ここで、グロー放電発光分析装置(島津製作所株式会社製のGDLS−9950)を使用して、ダイヤモンドライクカーボン層(D)を形成する元素を分析した結果を、図4の測定チャートに示す。なお、図4の測定チャートの横軸は、このダイヤモンドライクカーボン層(D)の表面からの深さを示し、「0nm」がダイヤモンドライクカーボン層(D)の表面を意味している。また、縦軸は、その深さ位置における各元素の含有量を示している。
図示するように、最表面に位置するカーボン層(D5)についてはその炭素(C)の含有量は、全体に亘ってほぼ100%に近いが、その下の層である複合カーボン層(D4)にあっては、その炭素(C)の割合が、深くなるに従って徐々に減少しているような成分となっていることが分かる。
そして、この炭素(C)の割合が減少するに反比例してタングステン(W)やシリコン(Si)などの金属の割合が増え、その下の層である中間層(D3)で最大になる。
さらに、その下の層である複合金属層(D2)になると、このタングステン(W)やシリコン(Si)などの金属の割合が深くなるに従って徐々に減少、それに伴ってクロム(Cr)の割合が徐々に増加し、その下の層である母材表面上の金属層(D1)に至っては、その組成の殆どがクロム(Cr)になっていることが分かる。
なお、この深さ方向の各元素の情報は、アルゴンガスを使用した放電によって得ているため、母材である鋼とダイヤモンドライクカーボン層(D)との界面において、各元素の含有量を示す曲線がブロードとなっている。また、鋼とダイヤモンドライクカーボン層(D)との界面が「8000nm」付近に位置していることから、このチャートからはダイヤモンドライクカーボン層(D)の厚さは「約8μm」であることが読み取れるが、この分析法は直径「2mm」の円形部分について放電発光により分析するため、深さ方向の精度上約「8μm」となって現れるものであって、実際のダイヤモンドライクカーボン層(D)の厚さは「2.2μm」である。
また、膜厚については、それぞれの層を成す成分が85〜90%を超える箇所、もしくは85〜90%を下回る箇所を境界として求めることも可能である。
また、本実施形態は、本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施の形態に限定されるものではない。例えば、本実施の形態においては、非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングによりダイヤモンドライクカーボン層(D)を成膜したが、パルスレーザーアーク蒸着法やプラズマCVD法等を用いることもできる。ただし、等価弾性定数および塑性変形硬さ等を独立に制御することが容易な非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングが最も好適である。
また、本実施の形態においては、スラスト玉軸受を例示して説明したが、本発明の転動装置は様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、深みぞ玉軸受,アンギュラ玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
さらに、本実施の形態においては、転動装置として転がり軸受を例示して説明したが、本発明の転動装置は、他の様々な種類の転動装置に対して適用することができる。例えば、直動案内軸受,ボールねじ,直動ベアリング等の他の転動装置にも好適に適用可能である。
また、母材となる鋼としては、所定の等価弾性定数を有するものであれば、鋼種や熱処理等に限定はない。ステンレス鋼、浸炭鋼、浸炭窒化鋼等が使用可能である。
次に、本発明の具体的実施例を比較例と共に説明する。
(第1実施例)
先ず、最初の実施例として以下のようなスラスト玉軸受を用い、これを以下のような異物が混入した潤滑油下で稼働させてその剥離寿命比を測定した。
軸受寸法:φ25×φ25(スラスト玉軸受)
回転速度:15000min−1
荷重:900kg
潤滑油:VG68タービン油
混入異物(組成):Fe3C系粉
硬さ:Hv870
粒径:74〜147μm
混入量:前記潤滑油中に300ppm
試験個数:10個
試験停止条件は、このスラスト玉軸受の振動値が初期振動の「5倍」となった場合、あるいは潤滑油温度が「150℃」となった場合とした。その理由は、正常な状態であれば潤滑が良好に行われるため、潤滑油温度もせいぜい数十℃であるが、ダイヤモンドライクカーボン層(D)が破損して下地の露出が生ずると、金属接触が起こって発熱して潤滑油温度が異常上昇してすぐに「150℃」に達するものと考えたからである。
なお、本実施例においては、ダイヤモンドライクカーボン層(D)の厚さを、1.0μm以上2.0μm以下の間とした。また、ダイヤモンドライクカーボン層(D)が被覆されている部分の表面粗さは、0.03μmRaから0.15μmRaとした。また、このダイヤモンドライクカーボン層(D)の成膜後の最表面の粗さは、母材の表面粗さと同じであった。
Figure 0005176378
表1は、このような条件下における剥離寿命比の実験結果を示したものである。ここで表1の実施例1〜10は、本発明で規定する条件をすべて満たしたスラスト玉軸受の実験結果であるのに対し、表1の比較例1、2は、本発明で規定する条件を外れたスラスト玉軸受の実験結果を示したものである。
表1に示すように、本発明に係る実施例1〜10は、その剥離寿命比が最低でも「7.1」(実施例10)であり、比較例に比べて少なくとも3倍以上の値を示した。特に実施例3、4、5にあっては、「12.0」といった極めて優れた剥離寿命比を発揮することができた。
そして、このように優れた剥離寿命比を発揮できる各条件を分析してみると、複合カーボン層(D4)の厚さt4と金属層(D1)の厚さt1との薄膜比(t4/t1)に関しては、「0.25≦t4/t1≦1.0」となる範囲で長寿命傾向を示すことが分かる。
また、この複合カーボン層(D4)の厚さt4と金属層(D1)の厚さt1との薄膜比(t4/t1)の好ましい範囲は、「0.3≦t4/t1≦0.95」であり、さらに好ましくは「0.5≦t4/t1≦0.9」であることが分かる。
また、軌道面中心線粗さ(μmRa)に関しては、軌道面は滑らかであればあるほど好ましく、具体的には「0.08」μm以下であることが好ましいことが分かった。
(第2実施例)
次に、本発明の第2の具体的実施例を比較例と共に説明する。
先ず、以下のようなスラスト平板ころ軸受を用い、これを以下のような条件下で稼働させてその焼付き寿命比を測定した。いずれも、ダイヤモンドライクカーボン層(D)の厚さは「1〜3μm」、ダイヤモンドライクカーボン層(D)が被膜されている部分の表面粗さは「0.006μmRa以上0.2μmRa以下」であり、そのダイヤモンドライクカーボン層(D)の最表面の粗さは、同じく「0.006μmRa以上0.2μmRa以下」とした。
軸受寸法(スラスト平板):φ62
PCD:38.5mm
回転速度:2500min−1
面圧:4.0GPa
潤滑油:VG68相当鉱油
試験個数:10個
試験停止条件は、このスラスト平板ころ軸受の振動値が初期振動の「5倍」となった場合、あるいは潤滑油温度が「150℃」となった場合に焼付き判定して停止した。その理由は、前記第1実施例と同様である。
Figure 0005176378
表2は、このような条件下における焼付き寿命比の実験結果を示したものである。
ここで、表2の実施例1〜26は、本発明で規定する条件をすべて満たした軸受の実験結果であるの対し、表2の比較例1、2は、本発明で規定する条件を外れた軸受の実験結果を示したものである。そして、これら各例の試験結果(焼付き寿命比)は、比較例1の試験結果(焼付き寿命比「2.2」)を基準として算出した。
表2に示すように、比較例1および2は、いずれもその等価弾性定数が本発明に規定する条件(100GPa以上280GPa以下)を外れるものであり、同様にその焼付き寿命比は低いものであった。
これに対し、本発明で規定する条件を満たした実施例1〜26は、その焼付き寿命比が比較例1の焼付き寿命比「2.2」に比べて最低でも「6.5」(実施例1)であり、比較例に比べて極めて高い値を示した。
そして、このように優れた焼付き寿命比を発揮できる各条件を分析してみると、このダイヤモンドライクカーボン層(D)に対する複合カーボン層(D4)の膜厚割合に関しては、「0.1〜0.2」の範囲で最も優れた長寿命傾向を示すことが分かる。
また、表2からも分かるようにこのダイヤモンドライクカーボン層(D)の等価弾性定数が「100GPa以上280GPa以下」の範囲で優れた耐久性を発揮することが分かる。
(第3実施例)
次に、本発明の第3の具体的実施例を比較例と共に説明する。
先ず、以下のようなスラスト玉軸受を用い、これを以下のような条件下で稼働させてその剥離寿命比を評価した。
軸受寸法:φ25×φ52
回転速度:1500min−1
荷重:900kg
潤滑油:VG68タービン油
試験個数:10個
実験内容は、このスラスト玉軸受を連続して作動させながら24時間ごとに試験を中断してその軌道面を観察した。そして、その表面のダイヤモンドライクカーボン層(D)の剥離の有無を確認し、剥離があれば終了、ない場合は引き続き継続して実験を行った。
なお、ダイヤモンドライクカーボン層(D)の厚さは「1〜2μm」、母材表面および最表面の粗さは「0.006μmRa以上0.2μmRa以下」とした。
Figure 0005176378
表3は、このような条件下における剥離寿命比の実験結果を示したものである。
ここで、表3の実施例1〜8は、本発明で規定する条件をすべて満たした軸受の実験結果であるの対し、表3の比較例1、2は、本発明で規定する条件を外れた軸受の実験結果を示したものである。そして、これら各例の試験結果(剥離寿命比)は、比較例1の試験結果(剥離寿命比「1.0」)を基準として算出した。
表1に示すように、比較例1および2は、いずれもカーボン層(D5)の厚さt1が本発明に規定する条件(0.5μm以上2.0μm以下)を外れるものであり、その剥離寿命比はいずれも低いものであった。
これに対し、本発明で規定する条件を満たした実施例1〜8は、その剥離寿命比が比較例1の剥離寿命比「1.0」に比べて最低でも「8.0倍」(実施例4)であり、いずれのケースも比較例1、2に比べて高い値を示した。
(第4実施例)
次に、本発明の第4の具体的実施例を説明する。
図1に示したスラスト玉軸受とほぼ同形状の以下のような軸受を用い、これを以下のような条件下で稼動させてダイヤモンドライクカーボン層の剥離寿命を評価した。いずれの試験においても、内輪軌道面1aおよび外輪軌道面2aにダイヤモンドライクカーボン層(D)を被覆した。
軸受寸法:φ25×φ52
荷重:900kg
回転数:1500min−1
潤滑油:VG68タービン油
このスラスト玉軸受を連続して作動させながら24時間ごとに試験を中断してその軌道面を観察した。そして、表面のダイヤモンドライクカーボン層(D)の剥離の有無を確認し、剥離があれば終了、ない場合は引き続き継続して実験を行った。
先ず、このダイヤモンドライクカーボン層(D)の最表面に位置するカーボン層(D5)の厚さを「1.0μm」、その他の複合カーボン層(D4)、中間層(D3)、複合金属層(D2)、金属層(D1)の厚さをそれぞれ「0.2μm」として、母材の表面粗さおよび各層の等価弾性定数を変えて成膜したダイヤモンドライクカーボン層(D)の剥離寿命比を以下の表4に示した。
なお、この剥離寿命比は、同表の比較例1の試験結果を基準(1.0)として示した。また、各層の等価弾性定数は、スパッタによる成膜中に処理物に印加するバイアス電圧により制御した。また、複合カーボン層(D4)、中間層(D3)、複合金属層(D2)を構成する金属には、タングステン(W)を用いた。また、母材および最表面の粗さは「0.45μmRa以下」とした。
Figure 0005176378
表4に示すように、本発明(請求項1〜3)で規定する条件をすべて満たした実施例1〜8は、いずれも優れた剥離寿命比を発揮した。これに対し、母材の表面粗さRaの条件を満たさない比較例1,2は、いずれも剥離寿命比が低かった。また、母材の等価弾性定数eに対する各層の等価弾性係数(e1〜e5)の比が、本発明(請求項3)で規定する条件を満たさなかった比較例3〜8は、いずれも実施例1〜8に比較して大幅に剥離寿命比が低かった。
次に,母材の中心線粗さを「0.05μmRa」、母材に対する各層の等価弾性定数の比を、それぞれ「0.9倍」として、カーボン層(D5)の厚さ(t5)およびそれに対する各層(D4〜D1)の厚さ(t4〜t1)の比を様々変えて成膜したダイヤモンドライクカーボン層(D)の剥離寿命比を以下の表5に示した。
なお、この剥離寿命比は、同表の比較例1の試験結果を基準(1.0)として示した。また、各層(D4〜D1)の厚さ(t4〜t1)はスパッタの時間により制御した。また、複合カーボン層(D4)、中間層(D3)、複合金属層(D2)を構成する金属には、タングステン(W)を用いた。また、最表面の粗さは母材表面粗さと同様に「0.05μmRa以下」とした。
Figure 0005176378
表5に示すように、本発明(請求項1,2,4)で規定する条件をすべて満たした実施例1〜8は、いずれも優れた剥離寿命比を発揮した。これに対し、カーボン層(D5)の厚さが条件を満たさない比較例1は、剥離寿命比が低かった。また、カーボン膜(D5)の厚さ(t5)に対する各層(D4〜D1)の厚さ(t4〜t1)の比が、本発明(請求項4)で規定する条件を満たさなかった比較例2〜8は、いずれも実施例1〜8に比較して大幅に剥離寿命比が低かった。
さらに、複合カーボン層(D4)、中間層(D3)、複合金属層(D2)を構成する金属を変えて成膜したダイヤモンドライクカーボン層(D)、およびクロム単体およびシリコン単体からなる中間層(D3)とカーボン層(D5)の2層からなるダイヤモンドライクカーボン層の剥離寿命比を以下の表6に示した。
なお、剥離寿命比は同表の比較例1に示すカーボン層(D5)のみのダイヤモンドライクカーボン層(D)の剥離寿命を基準とした。また、母材の表面粗さは「0.05μm」、母材に対する各層(D5〜D1)の等価弾性定数の比はそれぞれ「0.9倍」、カーボン層(D5)の厚さ(t5)は「1.0μm」、その他の層の厚さは「0.2μm」とした。
Figure 0005176378
表6の比較例1〜3に示すように、カーボン単層あるいは金属単体からなる中間層だけを有するダイヤモンドライクカーボン層は,短寿命であるのに対し、本発明の5層からなるダイヤモンドライクカーボン層(D)は非常に長寿命であることが分かる。特に、中間層(D3)の上下3層(D2、D3、D4)を構成する金属にシリコンあるいはタングステンを用いた場合には、さらに剥離寿命比が長く、なかでもシリコンを用いた場合には、著しい効果が現れている。
本発明に係る転動装置の一実施形態であるスラスト玉軸受の構成を示す縦断面図である。 図1のA部分を拡大して示した部分拡大断面図である。 図1のA部分の層の構成を示す概念図である。 ダイヤモンドライクカーボン層を形成する元素を分析した測定チャートである。
符号の説明
10…スラスト玉軸受(転動装置)
1…内輪(転がり摺動部材)
1a…軌道面
2…外輪(転がり摺動部材)
2a…軌道面
3…玉(転がり摺動部材)
3a…転動面
4…保持器(転がり摺動部材)
D…ダイヤモンドライクカーボン層
D1…金属層
D2…複合金属層
D3…中間層
D4…複合カーボン層
D5…カーボン層

Claims (9)

  1. 相手部材との間で相対的な転がり接触またはすべり接触が生じる転がり摺動部材において、下記の5つの条件を満足することを特徴とする転がり摺動部材。
    条件1:前記相手部材との接触面においては、鋼製の母材に潤滑性を有するダイヤモンドライクカーボン層が被覆されている。
    条件2:前記母材のうち前記ダイヤモンドライクカーボン層が被覆されている部分は、表面粗さRaが0.006μm以上0.4μm以下である。
    条件3:前記ダイヤモンドライクカーボン層は、表面側から、主に炭素(C)からなるカーボン層(D5)、主にタングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)あるいはシリコン(Si)のうちいずれか1種以上の元素と炭素(C)とからなる複合カーボン層(D4)、主にタングステン(W)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)のうちいずれか1種以上の元素からなる中間層(D3)、主にタングステン(W)、シリコン(Si)、モリブデン(Mo)あるいはチタン(Ti)のうち何れか1種以上の元素とクロム(Cr)とからなる複合金属層(D2)、主にクロム(Cr)からなる金属層(D1)の5つの層を順に積層してなる。
    条件4:前記カーボン層(D5)の厚さが、0.5μm以上3.0μm以下である。
    条件5:前記ダイヤモンドライクカーボン層の等価弾性定数が100GPa以上280GPa以下である。
  2. 請求項1に記載の転がり摺動部材において、
    前記複合カーボン層(D4)中の炭素の割合が、前記金属層(D1)側から前記カーボン層(D5)側に向かって徐々に増加していることを特徴とする転がり摺動部材。
  3. 請求項1または2に記載の転がり摺動部材において、さらに下記の条件6を満足することを特徴とする転がり摺動部材。
    条件6:前記母材の等価弾性定数eに対する、前記ダイヤモンドライクカーボン層の各層の等価弾性定数(カーボン層(D5:e5)、カーボン複合層(D4:e4)、中間層(D3:e3)、金属複合層(D2:e2)、金属層(D1:e1)との間には、以下の関係が成り立つ。
    0.6≦e5/e≦1.4かつ
    0.6≦e4/e≦1.4かつ
    0.6≦e3/e≦1.5かつ
    0.6≦e2/e≦1.5かつ
    0.6≦e1/e≦1.5
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の転がり摺動部材において、さらに下記の条件7を満足することを特徴とする転がり摺動部材。
    条件7:前記カーボン層(D5)の厚さt5に対する、前記複合カーボン層(D4)の厚さt4と、前記中間層(D3)の厚さt3と、前記複合金属層(D2)の厚さt2と、前記金属層(D1)の厚さt1との間には、以下の関係が成り立つ。
    0.1≦t4/t5≦0.3かつ
    0.1≦t2/t5≦0.3かつ
    0.1≦t3/t5≦0.3かつ
    0.1≦t1/t5≦0.3
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の転がり摺動部材において、
    前記ダイヤモンドライクカーボン層は、非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングにより形成されたものであることを特徴とする転がり摺動部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の転がり摺動部材において、
    前記ダイヤモンドライクカーボン層は、その最表面の表面粗さRaが0.2μm以下であることを特徴とする転がり摺動部材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の転がり摺動部材において、
    前記ダイヤモンドライクカーボン層の等価弾性定数は、前記母材の等価弾性定数の0.6以上1.5倍以下であることを特徴とする転がり摺動部材。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の転がり摺動部材において、
    前記ダイヤモンドライクカーボン層の複合カーボン層(D4)の厚さt4と、金属層(D1)の厚さt1の比t4/t1は、0.25以上1.0以下の範囲であることを特徴とする転がり摺動部材。
  9. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外側に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,および前記転動体のうち少なくとも1つを、請求項1〜8のいずれか1項に記載の転がり摺動部材としたことを特徴とする転動装置。
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