JP2009052694A - 転がり摺動部材及び転動装置 - Google Patents

転がり摺動部材及び転動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】大きな接触応力が作用したり滑りが発生するような条件下や無潤滑下においても好適に使用可能な転がり摺動部材及び転動装置を提供する。
【解決手段】スラスト玉軸受の内輪1,外輪2と玉3との接触面においては、内輪1,外輪2,玉3の母材に潤滑被膜Lが被覆されている。潤滑被膜Lは、表面側のダイヤモンドライクカーボン層Dと、該ダイヤモンドライクカーボン層Dと前記母材との間に形成された中間層Mと、で構成されている。中間層Mは、ケイ素,ゲルマニウム,及びテルルのうち少なくとも1種で構成されており、非晶質である。また、潤滑被膜Lの等価弾性定数は、100GPa以上280GPa以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、潤滑性に優れる転がり摺動部材及び該転がり摺動部材で構成された転動装置に係り、特に、大きな接触応力が作用したり大きな滑りが発生するような条件下や無潤滑下においても好適に使用可能な転がり摺動部材及び転動装置に関する。
ダイヤモンドライクカーボン(以降はDLCと記すこともある)は、その表面がダイヤモンドに準ずる硬さを有し、摺動抵抗も摩擦係数が0.2以下と二硫化モリブデンやフッ素樹脂と同様に小さいことから、従来から潤滑性材料として使用されている。
例えば、磁気ディスク装置においては、磁気素子又は磁気ディスクの表面に数十オングストロームのDLC膜を形成することにより、磁気素子と磁気ディスクとの間の潤滑性を高めて磁気ディスクの表面を保護している。
一方、上記のような特異な表面の性質から、DLCは転がり摺動部材の新たな潤滑性材料として注目されており、近年、軸受への潤滑性の付与に利用されている。
例えば、特許文献1には、軌道輪の軌道面や転動体の表面に金属を含有するDLC膜を備えた転がり軸受が開示されている。この転がり軸受においては、前記DLC膜により接触応力が緩和される。
また、CVD法,プラズマCVD法,イオンビーム形成法,イオン化蒸着法,非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリング法等によって、軌道輪の軌道面や転動体の表面にDLC膜を形成した転がり軸受等の転動装置が知られている(例えば、特許文献2〜7を参照)。
国際公開WO99/14512号公報 特開平9−144764号公報 特開2000−136828号公報 特開2000−205277号公報 特開2000−205279号公報 特開2000−205280号公報 特開2003−56575号公報
特許文献7に記載の技術によれば、繰り返し応力によるDLC膜の破損や母材からのDLC膜の剥離が生じにくいので、転がり軸受等の転動装置は、大きな接触応力が作用するような条件下や無潤滑下においても使用可能であるが、さらに大きな接触応力が作用したり滑りが発生するような条件下での使用を考えると、さらなる改良が望まれる。
上記のような破損が起きる原因としては、以下の2点が考えられる。
まず、1点目は、鋼とDLC膜との密着性を向上させるために介在された金属中間層の脆性化の問題である。すなわち、金属中間層を構成する金属とDLC膜を構成する炭素とが結合して脆さを有する金属カーバイドが生成するため、金属中間層が脆性化して、DLC膜が破損しやすくなるのである。そして、金属中間層が1種の金属で構成されている場合は金属カーバイドの脆さが大きいため、破損の要因となりやすい。
2点目は、DLC膜は、応力が作用しても非常に変形しにくい性質を有しているという問題である。DLCは硬く高弾性であるので、ステンレス鋼や軸受鋼等のような等価弾性定数の小さい金属材料に被覆されていると、両者の等価弾性定数の違いから、母材の変形にDLCが追従することができずに、DLC膜が破損する場合がある。
また、母材とDLC膜の界面における密着力が不十分であると、DLC膜全体が母材から剥離するおそれもある。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、大きな接触応力が作用したり滑りが発生するような条件下や無潤滑下においても好適に使用可能な転がり摺動部材を提供することを課題とする。また、このような転がり摺動部材を備える、潤滑性に優れた転動装置を提供することを併せて課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の転がり摺動部材は、相手部材との間で相対的な転がり接触又はすべり接触が生じる転がり摺動部材において、下記の4つの条件を満足することを特徴とする。
条件1:前記相手部材との接触面においては、鋼製の母材に潤滑被膜が被覆されている。
条件2:前記潤滑被膜は、表面側のダイヤモンドライクカーボン層と、該ダイヤモンドライクカーボン層と前記母材との間に形成された中間層と、で構成されている。
条件3:前記中間層は、ケイ素,ゲルマニウム,及びテルルのうち少なくとも1種で構成されており、非晶質である。
条件4:前記潤滑被膜の等価弾性定数が100GPa以上280GPa以下である。
また、本発明に係る請求項2の転がり摺動部材は、請求項1に記載の転がり摺動部材において、前記中間層は、ケイ素,ゲルマニウム,及びテルルのうち少なくとも1種と炭素とで構成されており、非晶質であることを特徴とする。
このような転がり摺動部材は、鋼製の母材と前記ダイヤモンドライクカーボン層(以降においてはDLC層と記すこともある)との間に非晶質な中間層が介在しているので、潤滑性に優れたDLC層と鋼製の母材との密着性が優れている。また、中間層は結晶面の配向や方向性を有していないため、転がり接触時に前記潤滑被膜に負荷される垂直荷重や剪断に対しての強度が高い。
また、潤滑被膜の等価弾性定数が100GPa以上280GPa以下であり、潤滑被膜が母材に近い等価弾性定数を有しているので、繰り返し応力が作用した場合でも潤滑被膜が母材の変形に追従することが可能となるので、潤滑被膜の破損が生じにくい。
潤滑被膜の等価弾性定数が280GPa超過であると、潤滑被膜の等価弾性定数が鋼よりも大き過ぎるので、繰り返し応力が作用した際の母材の変形に潤滑被膜が追従することが困難となって、潤滑被膜の破損が生じやすくなる。一方、100GPa未満であると、潤滑被膜の硬さが低くなって、摩耗が生じやすくなる。
以上のように、本発明の転がり摺動部材は、大きな接触応力が作用しても破損しにくい潤滑被膜を備えているので、大きな接触応力が作用する装置(例えば、転がり軸受等のような転動装置)を構成する部材等に好適に適用することが可能である。また、優れた潤滑性を有しているので、無潤滑下においても好適に使用することが可能である。そして、焼付き,摩耗,発熱が少ない上、繰り返し応力に対して強く長寿命である。
なお、この潤滑被膜のような薄膜については、通常の方法では弾性定数を測定することはできないため、本発明においては以下の方法により測定された、弾性定数に準拠する等価弾性定数を用いる。すなわち、押し込み深さを少なくとも潤滑被膜の厚さ内として微小硬度計による測定を行い、得られた荷重−除荷曲線により等価弾性定数を求める。
例えば、潤滑被膜の厚さが2μm以下である場合は、押し込み荷重を0.4〜50mNの間で適宜設定して測定を行う。本発明においては、エリオニクス社製の微小硬度計を使用し、押し込み荷重を50mNとして測定した等価弾性定数を用いる。
この他の等価弾性定数の測定方法としては、フィッシャー社製の微小硬度測定装置を用いる方法がある。この方法においては、(マイクロ)ビッカース硬度計は使用せず、静電容量で制御できる微小硬度計又はナノインデンテータを用いることが望ましい。なおかつ、押し込み深さは潤滑被膜の厚さ内とする必要がある。そして、前記微小硬度計又はナノインデンテータにより得られた荷重−除荷曲線の弾性変形量から、等価弾性定数を求める。
なお、HRC60の高炭素クロム鋼(SUJ2)の表面の等価弾性定数を上記の方法により求めると250GPaとなり、通常カタログ等に記載されている210GPaよりも大きい結果となる。これは、上記の方法が微小な押し込み領域における測定であることから、SUJ2の表面の加工硬化層の影響を受けるためである。
さらに、本発明に係る請求項3の転がり摺動部材は、請求項1又は請求項2に記載の転がり摺動部材において、前記潤滑被膜は、非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングにより形成されたものであることを特徴とする。
このような物理的成膜法は、CVD法,プラズマCVD法,イオンビーム形成法,イオン化蒸着法等と比較して、好適な等価弾性定数及び強度を有する潤滑被膜が得られやすいので、転動装置のような大きな接触応力が作用する装置を構成する部品に対して好適である。
さらに、本発明に係る請求項4の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を内面に有して前記内方部材の外側に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配置された転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,及び前記転動体のうち少なくとも1つを、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転がり摺動部材としたことを特徴とする。
このような構成であれば、転動装置を構成する転がり摺動部材の潤滑被膜は大きな接触応力が作用しても破損しにくいので、大きな接触応力が作用するような条件下や無潤滑下において使用されても長寿命である。
なお、本発明の転動装置としては、転がり軸受,直動案内軸受(リニアガイド装置),ボールねじ,直動ベアリング等があげられる。
そして、前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合は内輪、同じく直動案内軸受の場合は案内レール、同じくボールねじの場合はねじ軸、同じく直動ベアリングの場合は軸を、それぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合は外輪、同じく直動案内軸受の場合はスライダ、同じくボールねじの場合はナット、同じく直動ベアリングの場合は外筒を、それぞれ意味する。
本発明の転がり摺動部材及び転動装置は、大きな接触応力が作用したり大きな滑りが発生するような条件下や無潤滑下においても、潤滑被膜の剥離や破損が生じにくく、また焼付きや摩耗が生じにくいので、好適に使用可能である。
本発明に係る転がり摺動部材及び転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る転動装置の一実施形態であるスラスト玉軸受の構成を示す縦断面図であり、図2は、図1のA部分を拡大して示した部分拡大断面図である。
図1のスラスト玉軸受は、軌道面1aを有する内輪1と、軌道面1aに対向する軌道面2aを有する外輪2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の玉3と、両軌道面1a,2a間に複数の玉3を軸受の円周方向にわたって等配に保持する保持器4と、を備えている。
内輪1,外輪2,及び玉3は、SUJ2等の鋼製である。また、内輪1及び外輪2の寸法は内径25mm、外径52mm、厚さ18mmで、軌道面1a,2aの横断面形状は、玉3の直径の54%の曲率半径を有する円弧状である。
そして、内輪1,外輪2と玉3とは相互に転がり接触又はすべり接触し、内輪1の軌道面1a,外輪2の軌道面2a,及び玉3の転動面3aがその接触面に相当する。これらの接触面においては、内輪1,外輪2,玉3の母材に、潤滑性を有する潤滑被膜Lが被覆されている。なお、保持器4の表面のうち内輪1,外輪2,玉3と接触する部分に潤滑被膜Lを被覆しても差し支えない。
さらに、この潤滑被膜Lは、図2に示すように、表面側のダイヤモンドライクカーボン(DLC)層Dと、該DLC層Dと母材との間に形成された中間層Mと、で構成されている。この中間層Mは、ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge),及びテルル(Te)のうち少なくとも1種で構成されており、非晶質である。そして、潤滑被膜Lの等価弾性定数は、100GPa以上280GPa以下となっている。ここで、非晶質である中間層Mは、ケイ素,ゲルマニウム,及びテルルのうち少なくとも1種と炭素と(C)で構成されていてもよい。
なお、非晶質とは、X線回折法を用いた解析により、結晶の格子面を示すピークが存在しないことを意味する。結晶質体及び非晶質体のX線回折パターンを図3に示す。図3の(a)は、SUJ2基板上にスパッタリング法により作製したタングステン膜のX線回折パターンであるが、複数の格子面が存在しており、結晶質であることが分かる。これに対して図3の(b)は、SUJ2基板上にスパッタリング法により作製した炭素膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)のX線回折パターンであるが、基板の鉄を示すピークは存在するものの、炭素膜を構成している炭素を示すピークは確認できない。このことから、この炭素膜は非晶質であることが分かる。
ここで、潤滑被膜Lを形成する方法について、外輪2を例に説明する。なお、潤滑被膜Lは、外輪2のみならず、内輪1,玉3や保持器4に形成しても差し支えない。まず、油分を脱脂した外輪2を株式会社神戸製鋼所製のアンバランスドマグネトロンスパッタリング装置504(以降はUBMS装置と記す)に設置し、アルゴンプラズマによるスパッタリングを用いて、軌道面2aにボンバード処理を15分間施した。
そして、ケイ素をターゲットとして、母材の表面のうち軌道面2aとなる部分にケイ素をスパッタリングして成膜し、非晶質のケイ素からなる中間層Mを形成した。次に、炭素をターゲットとしたスパッタリングを行って、中間層Mの上に炭素からなるDLC層Dを成膜した。
このようにして得られた潤滑被膜Lは、DLC層Dと中間層Mとの密着性が非常に優れているとともに、潤滑性に優れるDLC層Dと母材である鋼との密着性が非常に優れている。
なお、上記の説明においては、中間層Mを構成する元素としてケイ素を使用した例を示したが、ゲルマニウム又はテルルを使用してもよいことは勿論である。また、炭素,ケイ素,ゲルマニウム,及びテルルのうち2種以上の元素を併用してもよい。中間層Mを2種以上の元素で構成する場合には、それぞれをターゲットとしてスパッタリングを行えばよい。その際には、両者のスパッタ効率を制御することにより、両者の組成比が徐々に変化するような構成の中間層も容易に形成できる。
UBMS装置は、スパッタリングに用いるターゲットを複数装着でき、各ターゲットのスパッタ電源を独立に制御することにより、各成分のスパッタ効率を任意に制御することができるので、上記のような成膜に好適である。
潤滑被膜Lの等価弾性定数は、外輪2に印加するバイアス電圧を制御するか、又は導入するガスの分圧を制御することにより、変化させることができる。この導入するガス(アルゴン,水素,メタン等の炭化水素系ガス)の種類や分圧比を制御すれば、潤滑被膜Lの等価弾性定数とともに表面の摺動抵抗を自在にコントロールすることが可能であるので、前記ガスを単独又は混合して導入することにより、目的にあった所望の潤滑被膜Lを形成することができる。さらに、潤滑被膜L及び各層(DLC層D及び中間層M)の厚さは、スパッタ時間により精度よく制御することができる。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては、非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングにより潤滑被膜Lを成膜したが、パルスレーザーアーク蒸着法やプラズマCVD法等を用いることもできる。ただし、等価弾性定数及び塑性変形硬さ等を独立に制御することが容易な非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングが最も好適である。
また、本実施形態においては、スラスト玉軸受を例示して説明したが、本発明の転動装置は様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、深溝玉軸受,アンギュラ玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
さらに、本実施形態においては、転動装置として転がり軸受を例示して説明したが、本発明の転動装置は、他の様々な種類の転動装置に対して適用することができる。例えば、直動案内軸受(リニアガイド装置),ボールねじ,直動ベアリング等の他の転動装置にも、好適に適用可能である。
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。図1のスラスト玉軸受とほぼ同様の構成の軸受において、中間層を構成する元素の種類及び潤滑被膜の等価弾性定数を種々変更したものを用意して(表1を参照)、回転試験により耐久性を調査した。なお、この試験においては、潤滑被膜は内輪及び外輪の軌道面のみに形成し、玉の転動面には形成しなかった。
Figure 2009052694
回転試験においては、24時間毎に軸受の回転を中断して潤滑被膜を観察し、潤滑被膜に剥離が生じていないか確認した。剥離が生じていない場合は回転試験を継続し、剥離が生じていた場合は寿命(剥離寿命)とした。なお、回転試験は、ISO粘度グレードがISO VG68であるタービン油を潤滑剤として用いて行い、回転試験の条件は、アキシアル荷重が8820N、回転速度が1500min-1である。
回転試験の結果を表1に示す。なお、表1の剥離寿命の数値は、比較例1の剥離寿命を1とした場合の相対値で示してある。表1の結果から、実施例1〜7の軸受は長寿命であり、中間層がケイ素又はケイ素及び炭素で構成されている実施例1,2,4,5の軸受は特に長寿命であることが分かる。比較例1の軸受は、潤滑被膜の等価弾性定数が大きすぎたために短寿命であった。また、比較例2〜6の軸受は、中間層が結晶質であるために短寿命であった。
次に、図4に示すようなスラスト針状ころ軸受(内径45mm,外径72mm)を用意して、回転試験により耐久性を調査した。なお、この試験においては、潤滑被膜は内輪及び外輪の軌道面のみに形成し、転動体の転動面には形成しなかった。また、潤滑被膜の内容は、前述のスラスト玉軸受の場合と同様である。
回転試験においては軸受の振動値を測定し、この振動値が回転初期の5倍以上となった時点で焼付きが生じたと判断し、寿命(焼付き寿命)とした。なお、回転試験は、ISO粘度グレードがISO VG10である鉱油を潤滑剤として用いて行い、回転試験の条件は、アキシアル荷重が1960N、回転速度が15000min-1である。
回転試験の結果を表1に示す。なお、表1の焼付き寿命の数値は、比較例1の焼付き寿命を1とした場合の相対値で示してある。表1の結果から、実施例1〜7の軸受は長寿命であり、中間層がケイ素又はケイ素及び炭素で構成されている実施例1,2,4,5の軸受は特に長寿命であることが分かる。比較例1の軸受は、潤滑被膜の等価弾性定数が大きすぎたために短寿命であった。また、比較例2〜6の軸受は、中間層が結晶質であるために短寿命であった。
本発明に係る転動装置の一実施形態であるスラスト玉軸受の構成を示す縦断面図である。 図1のA部分を拡大して示した部分拡大断面図である。 結晶質体及び非晶質体のX線回折パターンである。 スラスト針状ころ軸受の構成を示す部分縦断面図である。
符号の説明
1 内輪
1a 軌道面
2 外輪
2a 軌道面
3 玉
3a 転動面
L 潤滑被膜
D ダイヤモンドライクカーボン層
M 中間層

Claims (4)

  1. 相手部材との間で相対的な転がり接触又はすべり接触が生じる転がり摺動部材において、下記の4つの条件を満足することを特徴とする転がり摺動部材。
    条件1:前記相手部材との接触面においては、鋼製の母材に潤滑被膜が被覆されている。
    条件2:前記潤滑被膜は、表面側のダイヤモンドライクカーボン層と、該ダイヤモンドライクカーボン層と前記母材との間に形成された中間層と、で構成されている。
    条件3:前記中間層は、ケイ素,ゲルマニウム,及びテルルのうち少なくとも1種で構成されており、非晶質である。
    条件4:前記潤滑被膜の等価弾性定数が100GPa以上280GPa以下である。
  2. 前記中間層は、ケイ素,ゲルマニウム,及びテルルのうち少なくとも1種と炭素とで構成されており、非晶質であることを特徴とする請求項1に記載の転がり摺動部材。
  3. 前記潤滑被膜は、非平衡型マグネトロンを用いたスパッタリングにより形成されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転がり摺動部材。
  4. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を内面に有して前記内方部材の外側に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配置された転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材,前記外方部材,及び前記転動体のうち少なくとも1つを、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転がり摺動部材としたことを特徴とする転動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105134789A (zh) * 2015-08-18 2015-12-09 洛阳轴研科技股份有限公司 一种自润滑转台轴承及其轴向游隙配磨方法

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