JP2007231304A - 薄膜の製造方法及び製造装置、並びに成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた特性を有する薄膜を効率よく製造することができる技術及び前記薄膜を基体上に成形した成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】基体上に薄膜を成膜する処理と、永久磁石により生成した磁場にマイクロ波を放射することにより生成したECRプラズマを薄膜に照射する処理とを別々に行って、基体上に成膜した薄膜に前記ECRプラズマを効率よく照射することにより、ECRプラズマを有効に利用して基体上に優れた特性を有する薄膜を効率よく製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた特性を有する薄膜を効率よく製造することができる方法及び装置、並びに前記薄膜を基体上に成形した成形体の製造方法に関する。
近年、ガラスや半導体などの耐熱性を有する基板だけでなく、耐熱性のない基板(例えば、プラスチック、フィルムなど)に対しても特性に優れた膜を成形させるための技術の開発が行われている。
例えば、特許文献1,2には、膜を形成させるための粒子を堆積しながら、マイクロ波と磁場により生成したECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマを同時に照射し、特性(例えば、結晶性、緻密性など)に優れた膜を効率的に成形する技術が開示されている。しかしながら、これらの技術では、ECRゾーン(ECR領域;周波数2.45GHzのマイクロ波であれば磁束密度875Gの磁場により生成)とマグネットとの間に基板をセットするため、ECRプラズマが基板に照射される範囲が磁石近傍に限られ狭く、ECRプラズマが基板上方に拡散し、プラズマの有効利用効率が低い。その為、プラズマの照射時間を長く取るためには、成膜スピードを遅くして均一膜を形成させなければならない。その結果として、生産効率が悪いという問題がある。
特開2003−166056号公報 特開2003−301268号公報
そこで、本発明は、優れた特性を有する薄膜を効率よく製造することができる技術及び前記薄膜を基体上に成形した成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意努力した結果、基体上に薄膜を成膜する処理と、マイクロ波と磁場により生成したECRプラズマを照射する処理とを別々に行って、ECRプラズマを成膜した薄膜に効率よく照射させたところ、基体上に優れた特性を有する薄膜を効率よく製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る薄膜の製造方法は、薄膜を成膜する成膜工程と、マイクロ波と磁場により生成したECRプラズマを前記薄膜に照射する照射工程と、を含む。なお、前記成膜工程と前記照射工程とは真空槽内で連続的に行うこととしてもよい。
また、本発明に係る、基体と薄膜とを有する成形体の製造方法は、上述の薄膜の製造方法により基体上に薄膜を成形することを特徴とする。
さらに、本発明に係る薄膜製造装置製造装置は、薄膜を成膜する成膜部と、マイクロ波と磁場により生成したECRプラズマを前記薄膜に照射するECRプラズマ照射部と、を備える。前記磁場を発生させる磁石は、前記磁石により形成されるECRゾーンのうち、磁石側方に形成される部分をカバーできる大きさの磁石カバーで覆われていることが好ましい。
本発明によれば、優れた特性を有する薄膜を効率よく製造することができる技術及び前記薄膜を基体上に成形した成形体の製造方法を提供することができる。
上記知見に基づき完成した本発明を実施するための形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。
==本発明に係る薄膜製造装置==
図1は、本発明の実施形態として説明する基体上に薄膜を製造する装置の構成例を示す図である。図1aは成膜装置100、ECRプラズマ照射装置200などを備えた薄膜製造装置1000を、図1bは複数台の成膜装置100、ECRプラズマ照射装置200などを備えた薄膜製造装置1000を、図1cは複数台の成膜装置100、複数台のECRプラズマ照射装置200などを備えた薄膜製造装置1000を、それぞれ示す。なお、成膜装置100とECRプラズマ照射装置200との配置は、所望の膜構成に応じて適宜変更してもよい。
成膜装置100は、ガラス、プラスチックなどの基体の表面上に薄膜を成膜する装置である。成膜装置100としては、例えば、DCスパッタリング装置、RFスパッタリング装置、DMS(デュアルマグネトロンスパッタリング;Dual Magnetron Sputtering)装置、反応性スパッタリング装置、イオンプレーティング装置、プラズマCVD装置などの既存の装置を用いることができる。
基体としては、板状の基板を例に挙げることができるが、板状の基板に限らず、その他の形状などであっても構わない。薄膜としては、酸化物膜を例に挙げることができるが、酸化物膜に限らず、窒化物膜、あるいは窒化物膜と酸化物膜の複合膜などであっても構わない。
ECRプラズマ照射装置200は、前記成膜装置100により成膜した被膜に、マイクロ波と磁場により生成したECRプラズマを照射する装置である。ECRプラズマ照射装置200は、例えば、ヘリカルアンテナと永久磁石を備えたECRプラズマ照射装置であってもよいし、スロットアンテナと永久磁石を備えたECRプラズマ照射装置などであってもよい。
図2に本発明の一実施形態として説明するヘリカルアンテナと永久磁石を備えたECRプラズマ照射装置200aの構成図を示す。また、図3に本発明の別の一実施形態として説明するスロットアンテナと永久磁石を備えたECRプラズマ照射装置200bの構成図を示す。なお、図2及び図3中の矢印は基体10の進行方向を示し、既存の搬送手段(例えば、搬送ローラなど)によって搬送される。
図2に示すように、ECRプラズマ照射装置200aは、上述の成膜装置100によって基体10上に成膜された膜の表面にアーチ状ミラー磁場を生成するためのマグネット配列210、前記アーチ状ミラー磁場にマイクロ波を放射するためのヘリカルアンテナ220、マイクロ波発生装置(図示しない。)によって生成されたマイクロ波を前記ヘリカルアンテナ220に導入する同軸導波管230などを備える。
上述のマグネット配列210は、成膜装置100によって基体10上に成膜された膜の上方に設置されている。マグネット配列210は、図2に示すように、ヨーク211、複数の永久磁石212などにより構成されている。ヨーク211は、基体10の面と略平行に、複数の永久磁石212の一方の磁極端上に載置されている。
マグネット配列210は、図2に示すように、磁石カバー213で覆われている。磁石カバー213の上面は、ヨーク211の上に配置され、磁石カバー213の底面は、ヨーク211とは反対側の、複数の永久磁石212の磁極端(複数の永久磁石212の下端側)に配置されている。磁石カバー213の底面は、複数の永久磁石212により形成されるECRゾーンのうち、永久磁石212側方に形成される部分(永久磁石212の下端面よりも上方側に位置する部分)をカバーできる大きさ(好ましくは最小面積)で構成されている。なお、磁石カバー213は、例えば、アルミニウム、銅等の熱伝導性を有する非磁性体の物質で構成されている。
このように、熱伝導性を有する非磁性体の材料で、複数の永久磁石212により形成されるECRゾーンのうち、永久磁石212側方に形成される部分をカバーできる大きさに作られた磁石カバー213で、複数の永久磁石212の下端面をカバーした磁場発生装置を用いることにより、基体10上にプラズマを効率よく発生させることができるようになる。なお、複数の永久磁石212により形成される上述のECRゾーンは、磁場設計により既存のソフトウェア(例えば、エルフ社のELF/MAGICなど)を用いて解析することができる。
マグネット配列210は、図4に示すように、基体10の表面に向かって磁極がS極又はN極と交互に配置されるように、複数の永久磁石212を略垂直に設置したものであってもよいし、図5に示すように、3本の棒状の磁石から成り、両側の2本の棒状の磁石をその両端で互いに連結して枠状とし、中央の棒状の磁石を囲ったもの(いわゆるレーストラック状のもの)であってもよい。図5に示す両側の2本の棒状の磁石の基体10側の磁極がN極(S極)である場合には、中央の棒状の磁石の基体10側の磁極はS極(N極)と異なる。なお、マグネット配列210は、基体10の幅方向(基体10の面において、基体10の進行方向に対して垂直方向を意味する。)に振動できるように構成されていてもよい。これにより、基体10上の薄膜にECRプラズマを略均一に照射することが可能となる。
上述のヘリカルアンテナ220は、基体10の進行方向又は逆方向に向かって同軸導波管230に設置されている。ヘリカルアンテナ220は、1つだけ備えることとしてもよいが、図6に示すように、複数個備えることとしてもよい。また、ヘリカルアンテナを複数個備える同軸導波管230は、図6aに示すように、マグネット配列210の片側に設置することとしてもよいが、図6bに示すように、マグネット配列210の両側にそれぞれ設置することとしてもよい。なお、ヘリカルアンテナ220に同軸導波管230から導入するマイクロ波を発生させるマイクロ波発生装置は、周波数が2.45GHzであるものを1又は複数台用いることが好ましい。これにより、放電が難しい低圧(0.01〜1Pa)でも磁場効果とECR効果により効率よくプラズマを発生させることが可能となる。
また、図3に示すように、ECRプラズマ照射装置200bは、基体10上に成膜した膜表面にカプス磁場を生成するための複数の永久磁石240、前記磁場にマイクロ波を放射するための1又は複数の穴が設けられたスロットアンテナ250、マイクロ波発生装置(図示しない。)によって生成されたマイクロ波を前記スロットアンテナ250に導入するための1又は複数の導波管260などで構成されている。
なお、本実施の形態において、ECRプラズマ照射装置200は、ECRゾーン(図2及び図3において点線で示す高磁場領域)から離れたECRプラズマ発生領域で、成膜装置100によって基体10上に成膜された薄膜にECRプラズマを効率的に照射できるように設置されている。
以上のような成膜装置100及びECRプラズマ照射装置200を本発明に係る薄膜製造装置1000に備えさせることにより、基体10上に薄膜を成膜した後、ECRプラズマの照射時間をコントロールして薄膜にECRプラズマを効率よく照射することができるようになり、優れた特性(例えば、結晶性、光触媒特性(特に親水性)など)を有する薄膜を効率よく製造することが可能となる。従って、大面積の基体10、例えば板状の基板に対して特性に優れた薄膜を均一に成形した成形体を製造することが可能となる。
また、上述のECRプラズマ照射装置200は低温(どの基材も変形しない温度;40〜100℃)で基体10上の薄膜を処理することができるので、低温で基体10上に薄膜を成膜することが可能な成膜装置100(例えば、DMSスパッタリング装置、RFスパッタリング装置など)を備える薄膜製造装置1000は、フィルムやプラスチックなどの耐熱性のない基体10に対しても特性に優れた薄膜を成形することが可能となる。
さらに、本発明に係る薄膜製造装置1000は、薄膜と基体10との間に1又は複数の膜(層)を形成させるための成膜装置をさらに備えることとしてもよいし、前記成膜装置によって1又は複数の膜(層)に照射するECRプラズマを生成するためのECRプラズマ生成装置をさらに備えることとしてもよい。これにより、多層膜の成形も可能となる。なお、前記膜としては、例えば、SiO、ZrO、Nb、ZnO、WO、SnO、ITO、PZTなどの酸化物膜、Si4、TiNなどの窒化物膜、あるいはそれらの膜を複数有する複合膜を挙げることができる。
また、現在、実用化されている基板水平搬送型のインライン・マグネトロンプラズマスパッタリングシステムなどのインラインシステムに、本発明の薄膜製造装置1000を備えることとしてもよい。図7に本発明の一実施形態として説明する薄膜製造装置1000を備えたインラインシステムの模式図を示す。また、図8に本発明の一実施形態において、インラインシステムにより製造される基体10上の膜構造の例を示す。
インラインシステム上のゾーン1〜3には、基体10上に下地層20を形成するための成膜装置100、下地層20上に酸化物層30を形成するための成膜装置100、及び、酸化物層30にECRプラズマを照射するためのECRプラズマ照射装置200がそれぞれ設置されている。なお、ゾーン1〜ゾーン3には、下地層20を形成する成膜装置100、酸化物層30を形成する成膜装置100、及びECRプラズマ照射装置200をそれぞれに設置することとしてもよいし、ゾーン1に下地層20を形成する成膜装置100を、ゾーン2に酸化物層30を形成する成膜装置100を、ゾーン3にECRプラズマ照射装置200をそれぞれ設置することとしてもよい。なお、下地層20を形成する成膜装置100、酸化物層30を形成する成膜装置100、及びECRプラズマ照射装置200の配置は、所望の膜構成に応じて適宜変更してもよい。このようなインラインシステムを用いることにより、基体10上に1層の膜又は2層以上の多層膜を成形することができる。ここで、多層膜中には、特定の機能を有する層やその層の性能をより向上させる層などを含ませることとしてもよい。例えば、酸化物膜として、光触媒膜のアナターゼ型結晶構造を有するTiO光活性膜やZrO、Nb、ZnO、WO、SnO、ITO、PZTなど、下地層として、ソーダガラスのNaイオン拡散を防止するSiOやTiNなど、耐候性が高くかつ機械的強度の高い機能膜としてZrO、Siなどを挙げることができる。
なお、本発明に係る薄膜製造装置1000により薄膜を製造させる基体10としては、例えば、ガラス、セラミック、プラスチック、金属材料、フィルム、シート、半導体、布などの基材からなるものを挙げることができる。前記フィルム又はシートとしては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(MMA)、ポリアクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネートなどの公知の材質からなるものを挙げることができる。
==本発明に係る薄膜製造方法==
次に、本発明に係る薄膜の製造方法について説明する。
本発明に係る薄膜の製造方法は、基体10上に薄膜を成膜する成膜処理と、マイクロ波と磁場により生成したECRプラズマを前記薄膜に照射する照射処理とを別々に順次行うことを特徴とする。このように成膜した薄膜にECRプラズマを後照射することにより、基体10上に優れた特性を有する薄膜を効率よく製造することが可能となる。従って、大面積の基体10、例えば板状の基板に対して特性に優れた薄膜を均一に成形した成形体を製造することが可能となる。また、基体10を加熱することなしに低温で薄膜を形成させて、低温でECRプラズマを照射することにより、耐熱性のないフィルムやプラスチックなどの基体10に優れた特性を有する薄膜をコーティングすることができるようになる。
基体10表面の薄膜の成膜方法としては、例えば、DCスパッタ法、RFスパッタ法、DMSスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などの既存の方法に従って行うことができる。前記薄膜としては、例えば、TiO、Nb、ZnO、WO、SnO、ITO、PZT、ZrO、Al、SiO、ITO、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の基体10をコーティングできる公知の酸化物の膜、Si4、TiNなどの窒化物の膜、あるいはそれらの膜を複数有する複合膜を挙げることができる。前記酸化物膜の成膜処理は、酸素ガス、アルゴンガス、窒素ガス、あるいはこれらの混合ガス中で行うことができるが、基体10に成膜する酸化物膜をより結晶化させるためには高純度の酸素ガス中(好ましくは100%の酸素中)で行うことが望ましい。
前記ECRプラズマの照射方法としては、ボンベからプラズマ生成用ガスが供給された真空容器内で、基体10を成膜した膜側に配置された永久磁石により磁場を生成してプラズマ保持領域を前記膜表面に形成し、前記領域にマイクロ波を放射することにより生成するECRプラズマを前記膜に照射できる方法であればどのようなものでもよく、例えば、上述したヘリカルアンテナと永久磁石を備えたECRプラズマ照射装置200a(図2参照)、スロットアンテナと永久磁石を備えたECRプラズマ照射装置200b(図3参照)などのECRプラズマ照射装置200を用いて行うことができる。なお、前記プラズマ生成用ガスとしては、例えば、アルゴンガス、酸素ガス、窒素ガスなどの公知のガスを用いることができるが、基体10に成膜する酸化物膜を結晶化させるために高純度の酸素ガス中(好ましくは100%の酸素中)で行うことが望ましい。
なお、上述のECRプラズマの照射は、基体10表面に薄膜を成膜した後に大気中にさらすことなく、連続的に行うことが好ましい。これにより、基体10上により優れた特性を有する膜を製造することが可能となる。
また、本発明に係る薄膜製造方法は、基体10と薄膜との間に1又は複数の膜(層)を形成する工程をさらに含ませることとしてもよいし、基体10と薄膜との間に形成した1又は複数の膜(層)にECRプラズマを照射する工程をさらに含ませることとしてもよい。これにより、基体10上に多層膜を成形することが可能となる。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1]
ソーダライムシリケートガラス板(45cm×60cm×厚み3mm)をよく洗浄した後、DMSプラズマスパッタリング装置(独FEP社製)を用いて、100%の酸素ガス中で、ソーダライムシリケートガラス板の表面に下地層としてSiOを、下地層上に酸化物層としてTiOをそれぞれ被覆した。その後、図9に示すように、コイル有効径が36mmのヘリカルアンテナ220、図5に示す永久磁石(幅380mm×奥行き200mm×高さ50mm)を有するマグネット配列210、磁石カバー213などを備えるECRプラズマ照射装置200によりECRプラズマを上述の酸化物層に照射して、サンプル1〜16を製造した。また、対照サンプルとして、ECRプラズマを酸化物層に照射していないものを準備した。
なお、SiOの膜厚は、サンプル9が20nmで、サンプル16が8nmで、それ以外は10nmとした。また、TiOの膜厚、TiOの成膜条件、及びECRプラズマ照射条件はそれぞれ表1に示す。表1中の投入電力(W/cm)は、式:投入電力=ヘリカルコイルアンテナ照射電力(W)/永久磁石の中心を基に計算した磁気回路有効面積(350cm×170cm)により算出した。
Figure 2007231304
[実施例2]
実施例1により製造したサンプル1〜16、及び対照サンプルに対して膜の親水性を純水の接触角を測定することにより評価した。なお、純水の接触角は、成膜後、初期及び、膜面に1mW/cmの強度のブラックライト(紫外線)を24時間照射した後、直ちに水滴接触角を測定することにより求めた。その結果を表2に示す。また、サンプル16に対しては、X線回折装置(株式会社マックサイエンス社製MO3XHF22)を用いて膜の結晶構造を調べた。その結果を図10に示す。
Figure 2007231304
表2に示すように、サンプル1〜16の全てにおいて膜の親水性が優れていることが明らかになった。また、サンプル5の結果から、ECRプラズマの照射時間が短くても親水特性に優れた酸化物膜を得ることができることがわかった。
さらに、図10に示すように、膜厚が薄いサンプル16が、ルチル型結晶の(101)面、及びアナターゼ型結晶の(110)面近傍に夫々ピーク群が観察された。TiOからなる酸化物膜の表面がアナターゼ、及びルチルの混合物からなることが示唆された。
以上のことから、上述のように成膜処理及びECRプラズマ照射処理を行うことにより、短時間で結晶性に優れた酸化物膜を製造できることが示唆された。また、上述のように成膜処理及びECRプラズマ照射処理を行っても基板自体の温度は30〜60℃の範囲内であったことから、耐熱性のない基体に対しても本発明の製造方法が適用できることが示唆された。
本発明の一実施形態において、薄膜製造装置の構成を示す図である。 本発明の一実施形態において、ヘリカルアンテナと永久磁石を備えたECRプラズマ照射装置の構成を示す図である。 本発明の一実施形態において、スロットアンテナと永久磁石を備えたECRプラズマ照射装置の構成を示す図である。 本発明の一実施形態において、複数の永久磁石を備えるマグネット配列の概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態において、いわゆるレーストラック状のマグネット配列の概略構成を示す図である。 本実施の一形態において、ヘリカルアンテナを複数個備える同軸導波管の概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態において、薄膜製造装置を備えたインラインシステムの概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態において、インラインシステムにより製造される基板上の膜構造を示す図である。 本発明の一実施例において、サンプル1〜16を製造する際に用いたECRプラズマ照射装置の概略構成を示す図である。 本発明の一実施例において、サンプル16のX線回折結果を示す図である。
符号の説明
10 基体
20 下地層
30 酸化物層
100 成膜装置
200,200a,200b ECRプラズマ照射装置
210 マグネット配列
211 ヨーク
212,240 永久磁石
213 磁石カバー
220 ヘリカルアンテナ
230 同軸導波管
250 スロットアンテナ
260 導波管
1000 薄膜製造装置

Claims (5)

  1. 薄膜を成膜する成膜工程と、マイクロ波と磁場により生成したECRプラズマを前記薄膜に照射する照射工程と、を含むことを特徴とする薄膜の製造方法。
  2. 前記成膜工程と前記照射工程とを真空槽内で連続的に行うことを特徴とする請求項1に記載の薄膜の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法により、基体上に薄膜を成形することを特徴とする、基体と薄膜とを有する成形体の製造方法。
  4. 薄膜を成膜する成膜部と、マイクロ波と磁場により生成したECRプラズマを前記薄膜に照射するECRプラズマ照射部と、を備えることを特徴とする薄膜製造装置。
  5. 前記磁場を発生させる磁石が、前記磁石により形成されるECRゾーンのうち、磁石側方に形成される部分をカバーできる大きさの磁石カバーで覆われていることを特徴とする請求項4に記載の薄膜製造装置。

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