JP6108145B2 - アクリル系消臭繊維並びにそれを含む紡績糸および織編物。 - Google Patents

アクリル系消臭繊維並びにそれを含む紡績糸および織編物。 Download PDF

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Description

本発明は、日常生活で発生する酢酸、イソ吉草酸、ノネナールおよびアンモニア等の悪臭に対して良好な消臭性能を有するアクリル系消臭繊維並びにそれを含む紡績糸および織編物に関する。
現在、アクリル系合成繊維は、ソフトで暖か味のある風合いを有し、また染色鮮明性に優れているため、衣料や建寝装分野等に幅広く用いられている。また近年では、例えばサニタリー分野等において、毛布、モケット、マット、カーペット、靴下、肌着、シーツ、カーテンなどの編織物製品に消臭性を有するものが強く要望されてきている。
従来、悪臭として問題視されている臭気を消すために、繊維製品に消臭効果を付与する手段として以下のような方法が提案されている。例えば、特許文献1では、セルロースアセテート10〜40質量%、アクリロニトリル系重合体60〜90質量%からなり、繊維軸と直角方向の断面においてセルロースアセテートが島成分、アクリロニトリル系重合体が海成分となる繊維構造を有してなることを特徴とするアクリル系複合繊維が開示されている。
また特許文献2では、鞘部と芯部とを有する芯鞘複合型のアクリル系消臭性繊維であって、前記鞘部はアクリロニトリル系重合体からなり、前記芯部は消臭性微粒子を含有するセルロース誘導体、または消臭性微粒子を含有するセルロース誘導体とアクリロニトリル系重合体との混合体からなることを特徴とするアクリル系消臭性繊維が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、アンモニアに対しての消臭性能が不十分であった。また、特許文献2の方法では、芯部の消臭性微粒子を含有するポリマーを鞘部の消臭性微粒子を含有しないポリマーを覆っているため、消臭性能を得ようとすると、繊維中の消臭成分の含有率を高くしなければならず、その結果、消臭成分の含有率を上げることによるコストアップ、紡糸工程での糸切れ増加および糸切れ増加に起因したコストアップが問題であった。
特開2003−89924号公報 特開2006 −152475号公報
本発明は、上記従来の問題点を解消することを目的として、日常生活で発生する酢酸、イソ吉草酸、ノネナールおよびアンモニア等の悪臭に対して良好な消臭性能を有するアクリル系消臭繊維並びにそれを含む紡績糸および織編物を提供することにある。
本発明の要旨は、アクリロニトリル系重合体60〜90質量%、セルロースアセテート9〜39質量%およびアンモニア消臭性微粒子0.5〜2.5質量%から構成され、繊維軸と直角方向の断面においてセルロースアセテートが島成分、アクリロニトリル系重合体が海成分となる繊維構造を有し、繊維内部に空孔を有するアクリル系消臭繊維にある。
本発明により、日常生活で発生する酢酸、イソ吉草酸、ノネナールおよびアンモニア等の悪臭に対して良好な消臭性能を有するアクリル系消臭繊維並びにそれを含む紡績糸および織編物が提供される。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<アクリロニトリル系重合体60〜90質量%>
本発明のアクリル系消臭繊維は、アクリロニトリル系重合体を60〜90質量%を含み、好ましくは65〜75質量%含むと良い。アクリロニトリル系重合体の含有率が60質量%以上であることで、アクリル系消臭繊維を紡糸する際の糸切れおよび巻き付きなどが少なくなるとともに、繊維物性が向上し紡績工程通過性が良好となり、さらには、当該繊維を使用した織編物のソフト感が良好となる。また、アクリロニトリル系重合体の含有率が90質量%以下であることで、当該繊維を使用した織編物のドライ感が良好となる。
本発明において、アクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリル及びこれと共重合可能な不飽和単量体からなる。このような不飽和単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、若しくはこれらのアルキルエステル類、酢酸ビニル、アクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、さらに目的によってはビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダ、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ソーダ、ソディウムパラスルホフェニールメタリルエーテル等のイオン性不飽和単量体を用いることができる。
<セルロースアセテート9〜39質量%>
本発明のアクリル系消臭繊維は、セルロースアセテートを9〜39質量%含み、好ましくは15〜35質量%含むと良い。セルロースアセテートの含有率が9質量%以上であることで、酢酸、イソ吉草酸およびノネナールに対する消臭性能が良好となり、さらには、当該繊維を使用した織編物のドライ感が良好となる。また、セルロースアセテートの含有率が39%質量以下であることで、アクリル系消臭繊維を紡糸する際の糸切れおよび巻き付きなどが少なくなるとともに、繊維物性が良好となり、紡績工程通過性が良好となる。

本発明のアクリル系消臭繊維に添加されるセルロースアセテートは、アクリル系繊維の紡糸で一般的に用いられる溶剤への溶解性を考慮して、水酸基の74%以上92%未満が酢酸化されているセルロースアセテート(エステル化度は、2.22以上2.76未満。)が用いることが好ましい。
<消臭性微粒子0.5〜2.5質量%>
本発明のアクリル系消臭繊維は、セルロースアセテートを9〜39質量%含むとともに、消臭性微粒子を0.5〜2.5質量%含み、好ましくは消臭性微粒子を1.0〜2.0質量%含むと良い。消臭性微粒子の含有率が0.5質量%以上であることで、セルロースアセテートを含有することでは得られない、アンモニアに対する消臭率が良好となる。消臭性微粒子の含有率が2.5質量%以下であることで、アクリル系消臭繊維を紡糸する際の糸切れおよび巻き付きなどが少なくなるとともに、繊維物性が良好となり、紡績工程通過性が良好となる。
また、本発明に使用する消臭性微粒子としては、Ti、Zn、AI、Sn、Si、Fe、Ca、Mg、Ba、Zr等の金属酸化物、これら金属及び/または金属酸化物を含む無機化合物を主成分とする微粉末、及び水に難溶性の固体酸の微粒子などを用いることができる。このような消臭性微粒子の例として、商品名「ケスモン」NS−10(東亞合成株式会社製、平均粒径2μm)や商品名「ミズカナイト」HF(水澤化学工業株式会社製、平均粒子系2μm)が挙げられる。
<繊維軸と直角方向の断面においてセルロースアセテートが島成分、アクリロニトリル系重合体が海成分となる繊維構造>
本発明のアクリル系消臭繊維は、繊維軸と直角方向の断面において、セルロースアセテートが島成分を、アクリロニトリル系重合体が海成分を形成することが重要である。アクリル系消臭繊維がこのような海島構造を採ることで、脆弱なセルロースアセテートの周囲をアクリロニトリル系重合体が被覆化し、結果として繊維が補強され、単繊維繊度が1.8cN/dtex以上および単繊維伸度が30%以上となり、通常のアクリル繊維と同等の紡績工程通過性が得られる。また、島のサイズは何ら限定されるものではないが、上述の繊維物性を得るためには、島のサイズは小さいほうが有利である。
<セルロースアセテートが連通した構造>
本発明のアクリル系消臭繊維において、繊維軸と直角方向の断面(繊維緯断面)における海島構造は、繊維軸方向の断面(繊維縦断面)において島成分であるセルロースアセテートが全て又は部分的に連通していることが消臭性能を向上する上で好ましい。
<繊維内部に空孔を有する>
本発明のアクリル系消臭繊維は、軽量保温を目的とする用途に使用する場合には、繊維内部に空孔を有することが好ましい。本発明において空孔とは、繊維内部に形成される空隙を示すものであり、空孔の一部が繊維表面に開口していてもよく、また空孔は島と島を連結していてもよい。空孔の形態及びサイズは何ら限定されるものではないが、繊維強度が1.8CN/dTex以上を維持することが好ましいことから、空孔形態によっても異なるが約2〜5μm未満のものが好ましい。
<アクリル系消臭繊維を20質量%以上含む紡績糸>
本発明の紡績糸は、アクリル系消臭繊維を20質量%以上含み、30質量%以上含むことが好ましい。アクリル系消臭繊維を20質量%以上含むことで、酢酸に対する消臭率を80%以上、イソ吉草酸に対する消臭率を85%以上、ノネナールに対する消臭率を75%以上、アンモニアに対する消臭率を70%以上とすることができる。
<アクリル系消臭繊維を20質量%以上含む織編物>
本発明の織編物は、アクリル系消臭繊維を20質量%以上含み、30質量%以上含むことが好ましい。アクリル系消臭繊維を20質量%以上含むことで、酢酸に対する消臭率を80%以上、イソ吉草酸に対する消臭率を85%以上、ノネナールに対する消臭率を75%以上、アンモニアに対する消臭率を70%以上とすることができる。
<織編物の消臭性能>
本発明の織編物は、以下の(1)〜(4)を満足する織編物である。織編物がこれらの消臭率を満たすことで、織編物が汗臭および加齢臭の消臭性能を有することの目安となる。
(1)酢酸に対する消臭率が80%以上
(2)イソ吉草酸に対する消臭85%以上
(3)ノネナールに対する消臭率が75%以上
(4)アンモニアに対する消臭率が70%以上
<本発明のアクリル系消臭繊維の製造方法>
本発明に係るアクリル系消臭性繊維の製造方法の一例を説明する。
本実施形態におけるアクリル系消臭性繊維の製造方法では、まず、アクリロニトリル系重合体の原液、セルロースアセテートの原液および消臭性微粒子のマスターバッチを調整する。このときに、原液またはマスターバッチに使用する溶剤は、共通の溶剤とする。さらに、この溶剤は、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤や、ロダン塩、硝酸などの無機溶剤、その他アクリル系繊維の紡糸で一般的に用いられる溶剤の何れの溶剤でも使用することができるが、回収の容易さを考慮すると有機溶剤を用いることが好ましい。また、このとき用いるアクリロニトリル系重合体、セルロースアセテート、消臭性微粒子については、上記で説明したものを好適に使用することができる。
次に、アクリロニトリル系重合体の原液、セルロースアセテートの原液および消臭性微粒子のマスターバッチを十分に攪拌混合し、紡糸原液を調整する。紡糸原液における固形分濃度若しくは温度、または、溶剤の種類については特に限定されず、必要に応じて適宜変更して紡糸原液の調整を行うことができる。具体的には、紡糸原液における固形分濃度については、紡糸性、生産性などを考慮し、例えば15〜35質量%程度の濃度にすることが好ましい。
次に、上記のように準備した紡糸原液を、紡糸口金を用いてアクリル系消臭繊維中に含まれる消臭性微粒子の含有量が0.5〜2.5質量%、好ましくは1.0〜2.0質量%で、且つセルロースアセテートの含有率が9〜39質量%、好ましくは15〜35質量%となるように紡糸を行う。
紡糸を行う方法に関しては、溶液紡糸であれば特に制限されず、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法のいずれの方法でも用いることができる。例えば、湿式紡糸法により紡糸を行う場合は、紡糸原液を紡糸口金から有機溶剤と水からなる凝固液中に吐出し、凝固液中にて凝固糸を形成する。
そして、上記紡糸によって得られた凝固糸は、その後、延伸、脱溶剤、油剤付与等の各処理が施された後、乾燥緻密化を施すといった従来と同様の工程を行うことができる。さらにその後、必要に応じて、例えば加圧水蒸気下で繊維を熱収縮させる熱収縮処理を行う
こともできる。
以上のようにしてアクリル系消臭性繊維を製造することにより、紡糸時の濾過圧上昇や
ノズル孔詰まりを防止して優れた紡糸操業性で繊維製造を行うことができる。また、アク
リル系繊維が本来有する優れた物性を損なわせることなく、優れた消臭性能を付与することができる。
<本発明の紡績糸の製造方法>
本発明のアクリル系消臭繊維はカットして短繊維とされた後、紡績される。紡績糸の構成は、本発明のアクリル系消臭繊維を100%としても良いし、他の繊維、例えば通常のアクリル系繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等の合成繊維または化学繊維、綿、ウール、絹等の天然繊維と混紡して、アクリル系消臭繊維を20質量%以上含む紡績糸としてもよい。本発明の紡績糸の製造方法は、特に限定はなく、公知の紡績方法、紡績方式にて、本発明の紡績糸を製造することができる。
<本発明の織編物の製造方法>
さらに、前述のようにして製造された本発明の紡績糸は、織編物の構成糸として用いられる。本発明の織編物を得るに当たっては、織組織、編組織、或いは織成方法、編成方法、織機、編機等については特に限定はない。
また、本発明の織編物は、酢酸に対する消臭率が80%以上、イソ吉草酸に対する消臭85%以上、ノネナールに対する消臭率が75%以上、アンモニアに対する消臭率が70%以上を満足することから、例えば、サニタリー分野等において、毛布、モケット、マット、カーペット、靴下、肌着、シーツ、カーテンなどに使用される。

以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中の測定項目は、次の方法に拠った。
(アンモニアまたは酢酸の消臭率測定(検知管法))
テドラーパックに試料(わたは2.4g、編地はたて10cm×よこ10cmに切り取ったもの)を入れ、アンモニアの場合は初発濃度が100ppm、酢酸の場合は初発濃度が50ppmとなるように臭気ガスを3L入れ、2時間後の臭気成分濃度を検知管により測定し、次の式より算出した。
消臭率(%)=((2時間後の空試験濃度−2時間後の試料試験濃度)/2時間後の空試験濃度)×100
(イソ吉草酸またはノネナールの消臭率測定評価(ガスクロマトグラフィー法))
三角フラスコ(内容量:500ml)に試料(編地を6cm×8cmに切り取ったもの)を入れ、イソ吉草酸の場合は初発濃度を38ppm、ノネナールの場合は初発濃度を14ppmとなるように臭気成分の溶液を滴下し、封をし、2時間後シリンジによりフラスコ内ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフでピーク面積を測定し、次の式より算出した。
消臭率(%)=((Sb−Sm)/Sb)×100
ただし、Sb=2時間後の空試験のピーク面積
Sm=2時間の試料試験のピーク面積
(実施例1)
アクリロニトリル93質量%と、酢酸ビニル7質量%からなるアクリロニトリル系重合体を固形分濃度が24質量%となるようにジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」という。)に溶解して、アクリロニトリル系重合体の原液を調製した。
これとは別に、水酸基の74%以上92%未満が酢酸化されているセルロースアセテート(株式会社ダイセル社製)を固形分濃度が18質量%となるようにDMAcに溶解して、セルロースアセテートの原液を調製した。
更に消臭性微粒子として商品名「ケスモン」NS−10(東亞合成株式会社製、平均粒径2μm)をDMAc溶液中にビーズミルにて均一分散して消臭性微粒子のマスターバッチを調製した。
上記アクリロニトリル系重合体の原液と、セルロースアセテートの原液、消臭性微粒子のマスターバッチとを、各成分が以下の表1に示す割合となるようにホモミキサーにて十分に攪拌混合し、紡糸原液を調製した。
このようにして得られた紡糸原液を用いて、孔数20,000で孔径0.06mmφのノズルより、40℃、55質量%のDMAc水溶液中に吐出し、凝固糸とした。この凝固糸に、95℃の熱水中での延伸(延伸倍率5倍)、脱溶剤、油剤付与、乾燥緻密化の各処理を施した。その後、繊維を加圧水蒸気下120℃で緩和熱処理させることにより、単繊維繊度が1.7dtexのアクリル系消臭繊維を得た。
(実施例2〜4)
消臭性微粒子として商品名「ミズカナイト」HF(水澤化学工業株式会社製、平均粒径2μm)を用いた以外、実施例1と同様の方法でアクリル系消臭繊維を得た。
(比較例1、2)
実施例1〜4で調製したアクリロニトリル系重合体の原液と、セルロースアセテートの原液、および消臭性微粒子のマスターバッチを、各成分が表2に示す比率となるようにホモミキサーにて十分に攪拌混合し、芯成分の紡糸原液Aを調製した。
実施例1で調製したアクリロニトリル系重合体の原液を単体で鞘成分の紡糸原液Bとして用い、孔数5,000で孔径0.07mmφの芯鞘型複合紡糸ノズルより、アクリル系消臭繊維中のセルロースアセテートおよび消臭性微粒子の含有率がそれぞれ表2に示す割合となるように、芯成分および鞘成分の紡糸原液吐出比率を設定し、40℃、55質量%のDMAc水溶液中に吐出し凝固させた。この凝固糸に、95℃の熱水中での延伸(延伸倍率5倍)、脱溶剤、油剤付与、乾燥緻密化の各処理を施した。その後、繊維を加圧水蒸気下120℃で緩和熱処理させることにより、単繊維繊度が1.7dtexのアクリル系消臭繊維を得た。
(比較例3〜5)
実施例1〜4で調製したアクリロニトリル系重合体の原液と、セルロースアセテートの原液、および消臭性微粒子のマスターバッチを、各成分が以下の表3に示す割合となるようにホモミキサーにて十分に攪拌混合し、紡糸原液を調製し、実施例1と同様の方法でアクリル系消臭繊維を得た。
このようにして得られた実施例1〜4、比較例1〜5の各アクリル系消臭繊維について、アンモニアおよび酢酸の消臭率を測定し、その結果を表1および表2に示した。更に、繊維製造時の糸切れの発生具合などから、紡糸操業性についても評価を行い、その評価結果を表1および表2に示した。
尚、紡糸操業性の判定は以下により行った。
○:糸切れ、巻付きなどがなく、紡糸性良好
△:糸切れはないが、巻付きが発生し、紡糸性やや不良
×:糸切れが多発し、紡糸性不良
表1から明らかなように、実施例1〜4の各アクリル系消臭繊維は、アンモニアおよび酢酸の両方の消臭性能に優れており、また紡糸操業性も良好であった。
一方、芯鞘型複合繊維とした場合(比較例1、2)は、満足する消臭性能を得るために消臭性微粒子の含有率を高くする必要があるが、消臭性微粒子の含有率を高くするに従い、紡糸操業性が低下する傾向である。
また、消臭性微粒子を含有していない場合(比較例3)はアンモニア消臭性能が低く、セルロースアセテートを含有しない場合(比較例4、5)はアンモニアおよび酢酸の両方の消臭性能が満足するレベルに達していない。
(実施例5)
実施例1のアクリル系消臭繊維と、単繊維繊度1.3dtexのビスコースレーヨン繊維を、混紡率60%/40%の割合で紡績し、毛番手で1/68の紡績糸Aを得た。この紡績糸を用いて22ゲージ丸編み機でフライス生地を編成した。
(実施例6)
アクリル系消臭繊維を実施例3のアクリル系消臭繊維とした以外、実施例5と同様の方法で紡績糸Bを得た。この紡績糸Bを表5に示す配列で交編し、22G丸編機でフライス交編生地を編成した。
(実施例7)
綿100%からなる綿番手で40/1の紡績糸Cを得た。実施例6に記載した紡績糸Bと紡績糸Cとを表5に示す配列で交編し、22G丸編機でフライス交編生地を編成した。
(比較例6)
単繊維繊度1dtexの抗ピルアクリル繊維と、綿繊維を混紡率55%/45%の割合で紡績し、毛番手で1/68の紡績糸Dを得た。実施例6に記載した紡績糸Bと紡績糸Dとを表3に示す配列で交編し、22G丸編機でフライス交編生地を編成した。
このようにして得られた実施例5〜7、比較例6の編地を、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールの消臭性能について上記で説明した方法に従って評価した。その評価結果を以下の表3に示した。
本発明のアクリル系消臭繊維は、日常生活で発生する酢酸、イソ吉草酸、ノネナールおよびアンモニア等の悪臭に対して良好な消臭性能を有し、例えば、サニタリー分野等における、毛布、モケット、マット、カーペット、靴下、肌着、シーツ、カーテンなどに有用である。

Claims (6)

  1. アクリロニトリル系重合体60〜90質量%、セルロースアセテート9〜39質量%およびアンモニア消臭性微粒子0.5〜2.5質量%から構成され、繊維軸と直角方向の断面においてセルロースアセテートが島成分、アクリロニトリル系重合体が海成分となる繊維構造を有し、繊維内部に空孔を有し、前記空孔のサイズが2μm以上5μm未満であるアクリル系消臭繊維。
  2. 繊維軸方向の断面(繊維縦断面)においてセルロースアセテートの島部と別の島部が全て又は部分的に隣接している連通した構造を有する請求項1に記載のアクリル系消臭繊維。
  3. 前記空孔の一部が繊維表面に開口している請求項1又は2に記載のアクリル系消臭繊維。
  4. 請求項1〜3いずれか一項に記載のアクリル系消臭繊維を20質量%以上含む紡績糸。
  5. 請求項1〜3いずれか一項に記載のアクリル系消臭繊維を20質量%以上含む織編物。
  6. 以下の(1)〜(4)を満足する請求項5に記載の織編物。
    (1)酢酸に対する消臭率が80%以上
    (2)イソ吉草酸に対する消臭率85%以上
    (3)ノネナールに対する消臭率が75%以上
    (4)アンモニアに対する消臭率が70%以上
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