JP2009256841A - 光触媒機能を有する金属酸化物微粒子含有アクリル系繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた抗菌、防汚、消臭機能を有し、耐久性に優れ、且つ、アクリル系繊維の繊維特性を保持した光触媒機能を有する金属酸化物微粒子含有アクリル系繊維を開発する。
【解決手段】アクリロニトリル単位を少なくとも50質量%含有するアクリル系共重合体(A)と、共重合体(A)と非相溶性であり、且つ、共通の溶剤に可溶な重合体(B)とが、質量比でアクリル系共重合体(A)/重合体(B)が95〜50/5〜50の範囲で含まれるアクリル系繊維において、光触媒機能を有する平均粒子径10〜100nmの金属酸化物微粒子(C)が重合体(A)中に含有されているアクリル系繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた抗菌性、防汚性、消臭性を有し、且つ、アクリル系繊維の繊維特性を保持した光触媒機能を有する金属酸化物微粒子を含有するアクリル系繊維に関するものである。
アクリル系繊維に、抗菌機能、防汚機能、消臭機能などを付与することは以前から行われている。一般的にこれらの機能を付与する方法としては、抗菌剤、消臭剤、防汚剤、または光触媒活性を有する金属酸化物などをアクリル系繊維内に導入または、後加工処理することが主として行われている。例えば、特許文献1には、緻密層と多孔質層が交互に配列した多層構造繊維において、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子が緻密層に含有されている機能性繊維が開示されている。この機能性繊維は、金属酸化物微粒子が多層構造繊維の緻密層側に含有することで紡績性、染色性などの加工性に優れ、且つ、光触媒機能が有効に活用できるとしている。しかし、この機能性繊維は、光触媒機能において優れた性能を有しているが、性能の発現に伴い、基材である繊維自体が分解されるため繊維物性及び染色堅牢度などが低下するという問題がある。
また、特許文献2には消臭機能を付与するため、アクリロニトリル系重合体にアクリロニトリル系重合体と混和性があり、且つ、相溶性がある重合体を複合し、且つ、平均粒子径0.5〜10μmのケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩及びアミノ化合物を導入する方法が開示されおり、アクリロニトリル系重合体と非相溶性がある重合体により、繊維の消臭性能を高め、更に金属塩及びアミノ化合物により様々な臭気を消臭できるとしている。しかしながら、この方法によると、金属塩の粒径が大きいため十分な性能を得られず、更には、剤を効率的に活用するための剤存在部位の制御はできておらず、剤を有効に活用しているとはいえない。また、光触媒活性を有する金属酸化物を含有することについてはなんら触れられていない。
また、特許文献3には、鞘芯構造繊維の鞘部に光触媒を導入し、各性能を効率的に発現させるとしている。しかし、この方法では光触媒性能は発現するものの、光触媒が繊維鞘部に局在化されているため、各工程通過時に機台を磨耗により劣化させてしまうという問題があった。
特開2006−104605号公報 特開平9−291416号公報 特開2005−9034号公報
本発明の目的は、優れた抗菌、防汚、消臭機能を有し、耐久性に優れ、且つ、アクリル系繊維の特性を保持した光触媒機能を有する金属酸化物微粒子を含有するアクリル系繊維を開発することにある。
本発明者は、上述の目的を達成するために鋭意検討を継続した結果、アクリル系共重合体と、当該共重合体と非相溶性の重合体からなり、且つ、アクリル系共重合体に金属酸化物粒子を含有することによって、上記特性を有するアクリル系繊維の開発に成功した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
即ち、本発明は、優れた抗菌、防汚、消臭機能を有し、耐久性に優れ、且つ、アクリル系繊維の特性を保持した下記(1)〜(4)記載の光触媒機能を有する金属酸化物微粒子含有アクリル系繊維を提供するものである。
(1)アクリロニトリル単位を少なくとも50質量%含有するアクリル系共重合体(A)と、共重合体(A)と非相溶性であり、且つ、共通の溶剤に可溶な重合体(B)とが、質量比率[(A)/(B)]で95〜50/5〜50含まれるアクリル系繊維において、光触媒機能を有する平均粒子径10〜100nmの金属酸化物微粒子(C)が重合体(A)中に含有されているアクリル系繊維。
(2)金属酸化物微粒子(C)が酸化チタン若しくは二酸化ケイ素含有アナターゼ型酸化チタンである上記(1)に記載のアクリル系繊維。
(3)金属酸化物微粒子(C)が1〜20質量%含有されている上記(1)または(2)に記載のアクリル系繊維。
(4)重合体(B)がセルロース誘導体である上記(1)〜(3)に記載のアクリル系繊維。
本発明の光触媒機能を有する特定の粒子径をもつ粒子からなる金属酸化物微粒子を含有するアクリル系繊維は、長期に渡って劣化を受けないだけでなく、当該金属酸化物微粒子がアクリル系共重合体とそれと非相溶性の重合体からなる繊維におけるアクリル系共重合体中に含有されているため、アンモニア、各種の有機酸、アルデヒド類の分解物、あるいは大腸菌等の菌類などとの接触面積が大きいことから、消臭、除菌、汚れの分解等、光触媒機能が充分に発揮される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアクリル系繊維を構成するアクリロニトリル単位を主要な構成成分とするアクリル系共重合体(A)は、通常のアクリル系繊維の製造に用いられるアクリロニトリル系重合体であればよく特に限定されない。そのモノマーの構成は、少なくとも50質量%のアクリロニトリル単位を含有していることが必要である。これによりアクリル系繊維本来の繊維特性を維持している。
アクリロニトリルと共重合するモノマーとしては、通常アクリル系繊維においてアクリル系重合体を構成するモノマーであれば特に限定されない。例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどに代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピルなどに代表されるメタクリル酸エステル類、さらにアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
また、アクリロニトリル系重合体にp−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸、及びこれらのアルカリ塩を共重合することは、染色性の改良のために好ましい。
重合体(B)は、共重合体(A)と非相溶性であり、且つ、共通の溶媒に可溶なものであることが重要である。非相溶性とは共重合体(A)の溶液と重合体(B)の溶液とを混合した時、両者が互いに溶解せずに相分離しているか、または、成型中に共重合体(A)と重合体(B)が相分離すること、もしくは共重合体(A)と重合体(B)を混合混練したのちも互いに均一ブレンドされず相分離していることを意味する。重合体(B)は2種以上の重合体を使用することも可能であるが、この場合も重合体(A)と非相溶性であり、且つ、共通の溶媒に可溶なものであることが必要である。共重合体(A)の溶液と重合体(B)の溶液とを混合した際の相分離確認は、一般的な方法、例えば、位相差光学顕微鏡等で行うことができ、溶液状態で相分離していればよい。
上記重合体(B)としては、セルロース誘導体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアルキレングリコール、ポリアミド、ポリイミド等を主成分とする共重合体などである。これら重合体(B)と共重合体(A)とが相分離し界面が存在することで、金属酸化物微粒子(C)とアンモニア、アルデヒド等の分解物あるいは大腸菌等の菌類などとの接触面積が増加し、その機能が十分に発現される。
更にこれら重合体(B)の中でも特にセルロース誘導体等のアクリル繊維に比べて親水性が高いものが好ましい。親水性が高いものは、上述の接触面積が増加するのに加えて、水分子との親和性が高いために、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子の活性をより効果的に発現することができる。
また、その共重合体(A)と重合体(B)の質量比率は、共重合体(A)/重合体(B)=95〜50/5〜50である。重合体(B)が5質量%より少ない場合は、優れた機能性を発現することは難しく、また50質量%より多い場合には、紡糸性が不良になる、もしくは繊維物性面で劣り、紡績工程など製品加工工程の通過性が悪化する。より好ましくは、共重合体(A)/重合体(B)=93〜60/7〜40である。
また、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子(C)は、紫外線又は可視光線照射によりその表面で電子と正孔が発生し、周囲の水や酸素から強力な酸化力を有する活性酸素を発生させる物質である。具体的には、Se、Ge、Si、Ti、Zn、Cu、Al、Sn、Ga、In、P、As、Sb、C、Cd、S、Te、Ni、Fe、Co、Ag、Mo、Sr、W、Cr、Ba、Pbなどの酸化物などであって水に不溶のものが挙げられる。これらの中でも酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、及び酸化タングステンから選ばれる1種を単独で又は2種以上組み合わせたものが好適である。より好ましくは、酸化チタンおよび二酸化ケイ素含有アナターゼ型酸化チタンである。酸化チタンおよび二酸化ケイ素含有アナターゼ型酸化チタンは、光触媒の凝集抑制効果があると共に、基材の光照射により劣化を防ぐ効果がある。
更に、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子(C)は重合体(A)側に含有していることが望ましい。重合体(A)は、アクリロニトリル単位を主要な構成成分としているため、光照射により劣化を起こしにくくなる。重合体(B)に含有していても性能は発現するが、繊維特性を維持することが難しい。
光触媒活性を有する金属酸化物微粒子(C)の粒子径は、平均一次粒子径として10〜100nmの範囲にあることが必要である。好ましくは20〜95nmの範囲である。平均一次粒子径が小さいほど光触媒としての活性は高く、更には界面へと効果的に局在化することが可能となる。しかし、平均一次粒子径が10nm未満の場合、繊維に含有させる際の取り扱い性、及び分散性に問題を生ずる可能性がある。一方、平均一次粒子径が100nmを超える場合には、十分な機能が得られない可能性がある。
また、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子(C)の量は、必要とされる消臭性、抗菌、抗黴性、防汚性等の能力に応じて広い範囲から選択できる。該微粒子の量が少ないと、必要な能力が得られない場合があり、また多すぎると紡糸性および、または繊維物性面で劣り、紡績工程など製品加工工程の通過性が悪化するため、繊維全体量中に1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは、3〜17質量%である。また、本発明の繊維の断面形状、単繊維繊度には特に制限はない。
本発明の光触媒含有アクリル系繊維は、次の紡糸方法によって得られる。まず、共重合体(A)、重合体(B)をそれぞれ同一の有機溶剤に溶解して調整する。この有機溶剤としては、アクリル系繊維の紡糸で一般的に使用される有機溶剤を使用することが可能であり、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトンなどを用いることができる。各紡糸原液の固形分濃度、温度は、特に制限はないが、固形分濃度が低過ぎると紡糸後の繊維中にボイドが発生しやすく、結果として繊維物性を低下や生産性の低下につながる為、各紡糸原液中の固形分濃度は10質量%以上であることが好ましい。
各紡糸原液は、例えばスタティックミキサーのような混練機を用い、紡糸ラインの途中で混合することが可能である。光触媒活性を有する金属酸化物微粒子(C)はビーズミルなどの分散機を用いて分散した後、重合体(A)の原液中に導入する。重合体(A)の紡糸原液中に導入するか、重合体(A)を溶剤と混合し紡糸原液を調整する際に導入することも可能である。
また、必要に応じて各紡糸原液内に染料、顔料などの着色剤、更に性能を高めるための抗菌剤、消臭剤などの機能剤などを添加することも可能である。
次に、混合した紡糸原液を、ノズル口金を通して吐出させ凝固し繊維化する。凝固浴の溶剤濃度、温度には特に制限はないが、溶剤濃度は20〜70質量%、温度は20〜60℃が好ましい。凝固浴濃度を20質量%以上とすることで、紡糸性を一定のレベルに保つころができ、また70質量%未満とすることで、凝固浴中での接着繊維の発生などを抑制することができる。また、凝固浴の温度は20〜60℃とすることで紡糸性と繊維物性を良好に保つことが可能となる。より性能を上げるためには、繊維表面に皺の発生し易い条件で紡糸することが望ましい。その濃度は、30〜60質量%、温度は30℃〜45℃の条件である。
凝固浴を出た糸条は、60℃以上の熱水中で3.5〜8.0倍、好ましく4.0〜6.0倍で延伸、脱溶媒され、引き続き、油剤付与、乾燥工程した後に緩和処理を施される。延伸倍率が3.5倍以上であれば、十分な繊維物性のアクリル系繊維が得られ、8.0倍未満にとどめることで紡糸での安定性を一定に保つことができる。また、乾燥、緩和処理は、従来アクリル系繊維の製造に用いられる、熱ロールやネットプロセスによる乾燥とアニール、熱板緩和、スチーム緩和といった緩和方法を単独あるいは組み合わせて行うことができる。また、乾燥工程後に100℃以上の乾熱下で更に延伸することも可能である。
更にこの繊維に後加工処理を実施することにより各機能性を向上させることも可能である。
得られた繊維は、長繊維状態でそのまま用いられるか、短繊維にカットして用いることも可能である。また、糸状で使用するだけではなく、カットしたものを水中に分散させ抄紙して使用したり、ウエッブに高水圧を加えて割繊と交絡を施してシートとして使用することも可能である。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例における各性能評価等は以下の手法により実施した。
[紡糸操業性]
8時間紡糸する間に、一度も延伸、糸切れ等が発生せず安定して紡糸できた場合を○とした。また、2〜3回糸切れが発生した場合を△とし、それ以上の糸切れが発生した場合を×とした。
[抗菌性]
繊維状の試料を40mgずつ採取し、スクリューキャップ付き石英セルに挿入した。その試料の入った石英セルを、オートクレーブ(トエー工業(株)製、製品名:BS−245)を用いて121℃で15分滅菌し、石英セルを無菌状態にした。滅菌後、安全キャビネット内で石英セルのキャップを開放状態のまま60分間乾燥させた。
各試料に、ペプトン(Becton Dickinson社製)0.98%と酵母エキス(Becton Dickinson社製)0.49%、及び、塩化ナトリウム(マナック(株)製)0.49%を用いて調製したペプトン水で、1±0.3×105 CFU/mlに調節した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)懸濁液を作製し、20μlを接種して密栓した。そして、37±1℃の恒温器(K.KMEDA FUSA MANUFACTORY製)内で18時間培養した。その際、20cm離れたところから丸型蛍光灯(日立製作所製、製品名:ナイスボール3波長形昼白色23w)を用いて光を18時間照射した。デジタル照度計(タスコジャパン(株)製、製品名:TMS870)を用いて蛍光灯の照度を測定したところ、2,360ルクスであった。
その後、培養後の石英セルに、塩化ナトリウム0.84%とTween80 0.20%を用いて調製した洗い出し用生理食塩水を2.0ml加え、黄色ブドウ球菌を振とう分散させた。各々の分散液を、原液から塩化ナトリウム0.84%を用いて調製した生理食塩水で107 倍まで希釈したものを得た。日水製薬(株)製、マッコンキー寒天培地(顆粒)を用いて99.9%に調製した培地に、各々の濃度に希釈した菌液を接種後平板とした。その際、培地を4分割して1つの区画に同じ希釈濃度の菌液を各々5μlずつ5箇所に滴下する方法を用いた。その後、37±1℃の恒温器内で48時間シャーレを倒置培養した。培養後の生育したコロニー数を計測し、希釈倍率を乗じて菌数を算出した。
[セルフクリーニング性]
スクリューキャップ付き石英セル(10×10×45mm)の中に、メチレンブルー(C16183 S・Cl・3H2 O)を100mg/lに希釈したメチレンブルー水溶液とワタ状の繊維107mgを、均一に浸漬されるように交互に5回に分けて挿入し、両者ともセル上部にまで達するようにして、密栓した。なお、繊維の挿入量をセル容量あたりに換算すると0.022g/cm3 となる。
この試料に、所定距離で横方向から、ブラックライト(東芝(株)、製品名:FL20S‐BLB20W×二本)を用いて、紫外線を照射した。色相変化の確認のために、紫外線照射前、紫外線1時間照射後、3時間照射後、6時間照射後、そして24時間後の計5回の写真を撮影した。また、その際、分光光度計(島津製作所、製品名:UV-3100)を用いて繊維の反射率をセルに入ったまま測定し、波長620nmの反射率を読み取った。反射率が高いほど、セルの液が透明であり、性能が高いといえる。
なお、ブラックライト照射の際に、デジタル式紫外線強度計(米国ウルトラバイオレット社、製品名:UVX型)を用いて、測定波長365nm、310nm、254nmの紫外線量を各々測定したところ、各々、1.36mW/cm2 、0.98mW/cm2 、0.07mW/cm2 であった。
[消臭性]
予め56×40cmのポリエチレン製チャック袋に活性炭とシリカゲルを入れた布袋を入れておき、送風機を用いて15リットル程度の空気を封入した。これを24時間以上放置して、臭いと水分を吸着させて純粋な空気を得た。そして、20リットルのテドラーバッグに得られた純粋な空気を計量ポンプを用いて20リットル封入した。その後、室温下で28.0〜30.0%のアンモニア水溶液の入った500ml容量のガラス瓶の上部空間より2.0ml注射器を用いて2.0mlを吸引し、20リットルの純粋な空気の入ったテドラーバッグに注入した。さらに、24時間放置した後、バッグ内のアンモニアガスをアンモニア検知管を用いて測定し、60±2ppmになるように純粋な空気とアンモニアガスを注入して調整した。5リットルのテドラーバッグ(アズワン(株)製、ラボランテドラーバッグ(一つ口)5L)に、試料を1±0.0001g入れた。試料の入った5リットルのテドラーバッグに、60±2ppmに調整したアンモニアガスを計量ポンプを用いて流量500ml/minで3リットル注入した。注入開始直後から10分、30分、1時間、3時間、6時間、24時間後のテドラーバッグ内のアンモニアガス濃度をガステック(株)製検知管式気体測定器にアンモ二ア検知管を挿入して測定した。
なお、アンモニアは悪臭防止法に指定される特定悪臭22物質の一つである。排泄臭や肉の腐敗臭、タバコ臭など様々な不快臭の臭気成分であるため、消臭評価に用いた。
[繊維強度低下率]
光沢のある滑らかな紙片に、繊維の両端に接着剤を塗布して張り付け、試料繊維両端の接着剤塗布部を厚紙で多い、ブラックライトを40時間照射した。そして、照射前後の試料繊維の強度をJIS L−1015「化学繊維ステープル試験方法」に従って測定した。すなわち、標準時試験における定速伸長形(1分間当たりつかみ間隔の100%伸長速度)条件で繊維強度(cN/dtex)を測定した。なお、ブラックライト照射の際に、デジタル式紫外線強度計(米国ウルトラバイオレット社、製品名:UVX型)を用いて、測定波長365nm、310nm、254nmの紫外線量を各々測定したところ、各々、1.36mW/cm2 、0.98mW/cm2 、0.07mW/cm2 であった。
[実施例1〜6 比較例1〜5]
アクリロニトリル94質量%、酢酸ビニル5.5質量%、メタリルスルホン酸ナトリウム0.5質量%からなるアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、固形分濃度25%の共重合体(A)を調整した。また、重合体(B)として市販のセルロースジアセテート(ダイセル化学工業製:MI品種)、またはポリ塩化ビニル(信越化学工業製:TK−1000品種)をジメチルアセトアミドに溶解し、固形分濃度25%の原液調整した。また、光触媒活性を有する金属酸化物微粒子として、二酸化ケイ素含有アナターゼ型酸化チタン(昭和電工(株)製:商品名ジュピターF4S05F)または、光触媒酸化チタン(日本触媒社製:SX−T1品種)をジメチルアセトアミドに溶解し、ビーズミルにて分散し、重合体(B)に導入した。各原液を表1の組成になるように調整し混合紡糸原液とした。調整した混合紡糸原液を80℃に加熱し孔数1000、孔径0.08mmの紡糸口を用いてジメチルアセトアミド50質量%水溶液の凝固浴中へ吐出、繊維化した後、95℃の熱水中で延伸、脱溶媒を行い、続けて油剤付与、乾燥緻密化を行い130℃加圧水蒸気下で緩和することにより単繊維繊度2.2dtexの光触媒含有アクリル系繊維を得た。
得られた繊維についてJAFET標準洗剤にて油剤を落とした後、先に示した各性能評価を実施した。評価結果を表2に示す。
なお、比較例6は、特許文献1に記載の光触媒活性を有する機能性繊維でできたパイル布帛を入手し各機能性を測定したものである。
Figure 2009256841
Figure 2009256841

Claims (4)

  1. アクリロニトリル単位を少なくとも50質量%含有するアクリル系共重合体(A)と、共重合体(A)と非相溶性であり、且つ、共通の溶剤に可溶な重合体(B)とが、質量比率[(A)/(B)]で95〜50/5〜50含まれるアクリル系繊維において、光触媒機能を有する平均粒子径10〜100nmの金属酸化物微粒子(C)が重合体(A)中に含有されているアクリル系繊維。
  2. 金属酸化物微粒子(C)が酸化チタン若しくは二酸化ケイ素含有アナターゼ型酸化チタンである請求項1に記載のアクリル系繊維。
  3. 金属酸化物微粒子(C)が1〜20質量%含有されている請求項1または2に記載のアクリル系繊維。
  4. 重合体(B)がセルロース誘導体である請求項1〜3いずれかに記載のアクリル系繊維。
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