JP6105396B2 - 車載用表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載された車載用表示装置に関する技術分野に属する。
従来より、車載用表示装置において、車両周辺の照度(明るさ)を検出して、その照度に基づいて、表示器の輝度を調節するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、車両周辺の照度が高い(明るい)ときには、表示器の輝度を高くし、照度が低いときには、表示器の輝度を低くして、運転者が表示を良好に見えるようにしている。
また、特許文献1では、日向と日陰を繰り返すような道路走行で、車両周辺の照度の変化に対応して表示器の輝度が明減することで運転者が表示を見づらくならないようにするために、高速走行時には、表示器の輝度の変化量を小さくするか、或いは表示器の輝度の変化の速度を遅くする一方、低速走行時には、表示器の輝度の変化量を大きくするか、或いは表示器の輝度の変化の速度を速くするようにしている。
特許第4293049号公報
しかしながら、上記特許文献1のものでは、高速走行時において、車両がトンネル内に進入したときや、トンネルから出てきたときに、表示器の輝度が、車両周辺の照度に対応した適切な輝度とはならないか、又は、その適切な輝度に素早く変化せず、運転者にとって表示が見難くなるという問題がある。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車載用表示装置において、車両がトンネル内に進入したときや、トンネルから出てきたとき等のように、車両周辺の照度の変化が生じても、運転者が表示を良好に見えるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、車両に搭載され、所定の情報を表示する車載用表示装置を対象として、上記所定の情報を表示する表示器と、上記車両周辺の照度を検出する照度検出手段と、上記車両の車速を検出する車速検出手段と、上記照度検出手段により検出された上記照度の変化に対応して、上記表示器の輝度を変化させる輝度調節手段とを備え、上記輝度調節手段は、上記車速検出手段により検出された車速が速いほど、上記照度の変化に対応する、上記表示器の輝度の変化の速度を速くするように構成されている、という構成とした。
上記の構成により、車両の車速が速いほど、車両周辺の照度の変化に対応する、表示器の輝度の変化の速度を速くするので、車両が高速走行時に例えばトンネル内に進入したときには、表示器の輝度が素早く低下して、運転者が表示を眩しく感じるようなことはなく、トンネルから出てきたときには、表示器の輝度が素早く上昇して、運転者が表示を見難いと感じるようなことはなくなる。
上記車載用表示装置において、上記輝度調節手段は、上記照度の変化量が所定閾値よりも大きいときに、該照度の変化に対応して、上記表示器の輝度を変化させるように構成されており、上記所定閾値は、上記変化前の照度が低いほど小さい値に設定されている、ことが好ましい。
このことにより、例えば街灯が所定間隔で設けられた道路を夜間に走行する場合に、所定閾値が大きくて、街灯による照度の変化があったとしても、表示器の輝度は変化せず、この結果、街灯により表示器の輝度が明減するようなことはなくなる。また、例えば日向と日陰を繰り返すような走行シーンでは、上記所定閾値が夜間に比べて小さくなるが、このときの照度の変化量は、上記街灯が設けられた道路を夜間に走行する場合に比べて小さいので、上記所定閾値が小さくても、表示器の輝度が明減するのを防止することができる。上記所定閾値を適切に設定することで、車両の車速が速いほど、照度の変化に対応する、表示器の輝度の変化の速度を速くすることと相俟って、様々な走行シーンにおいて、運転者が表示を良好に見えるようにすることができる。
上記車載用表示装置において、上記輝度調節手段は、上記照度が上昇する側に変化した場合には、上記照度が低下する側に変化した場合に比べて、上記照度の変化に対応する、上記表示器の輝度の変化の速度を速くするように構成されている、ことが好ましい。
すなわち、明るさの変化に対する人の目の適応性としては、暗順応に比べて明順応の方が速い。したがって、照度が上昇する側に変化した場合には、照度が低下する側に変化した場合に比べて、照度の変化に対応する、表示器の輝度の変化の速度を速くすることによって、運転者にとって視認性が良好な表示を提供することができる。
上記車載用表示装置の一実施形態では、上記車両の運転者の車両前方に配置されたコンバイナを備え、上記車載用表示装置は、上記コンバイナにより、上記表示器より出射された表示光の光路を該運転者に向けて反射させることで、該コンバイナの車両前方に上記運転者の視認対象の虚像を形成するヘッドアップディスプレイ装置である。
このようなヘッドアップディスプレイ装置では、表示(上記虚像)の見易さが、特に車両周辺の照度の影響を受け易いが、本発明では、車両周辺の照度に関係なく、運転者が表示(上記虚像)を良好に見えるようにすることができる。よって、本発明の作用効果を有効に発揮させることができる。
以上説明したように、本発明の車載用表示装置によると、車両の車速が速いほど、車両周辺の照度の変化に対応する、表示器の輝度の変化の速度を速くするようにしたことにより、車両周辺の照度の変化が生じても、運転者が表示を良好に見えるようにすることができる。
本発明の実施形態に係る車載用表示装置としてのヘッドアップディスプレイ装置の主として光学系の概略構成を示す、車両右側から見た断面図である。 ヘッドアップディスプレイ装置の外観を示す斜視図であって、コンバイナが使用状態にあるときを示す。 ヘッドアップディスプレイ装置の構成を示す分解斜視図である。 ヘッドアップディスプレイ装置の制御系の構成を示すブロック図である。 コントローラによる表示器の輝度の制御動作を示すフローチャートである。 車両周辺の照度が高い状態から低い状態となり、その後に該低い状態から元の高い状態に変化したときにおける、表示器12の輝度の変化の様子を、高速走行時と該高速走行時よりも車速が低い低速走行時とに分けて示すグラフである。 様々な走行シーンを、照度変化速度と照度変化幅とで分類したマップを示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車載用表示装置としてのヘッドアップディスプレイ装置1の主として光学系の概略構成を示す。このヘッドアップディスプレイ装置1は、自動車等の車両の車室内の前端部に設けられたダッシュボード(インストルメントパネル)の内側でかつ運転者2の前方に配置されていて、車両の車速情報やカーナビゲーション情報等を含む所定の情報を、運転者2のフロントガラス3を通した視界に重ねて表示するための装置である。
上記ヘッドアップディスプレイ装置1は、運転者2の車両前方に配置されるコンバイナ11と、表示光を出射する表示器12とを備えている。表示器12は、本実施形態では、蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display(VFD))で構成されている。表示器12は、これに限らず、例えば液晶表示器等であってもよい。
表示器12からの表示光は、表示器12の車両後側に配設された反射ミラー13により、上側でかつ車両前側に反射されてコンバイナ11に向かい、コンバイナ11により運転者2に向けて(車両後側に)反射される。コンバイナ11は、その車両前方からの光を透過する。したがって、コンバイナ11は、コンバイナ11の車両前方に運転者2の視認対象の虚像5(表示器12による表示画像の虚像)を形成することになる。これにより、運転者2には、コンバイナ11の前方(本実施形態では、フロントガラス3の車両前方)に、上記虚像5が見えることになる。尚、上記虚像5をフロントガラス3上に表示するようにしてもよい。
コンバイナ11は、上記虚像5を形成可能な使用位置と、運転者2が虚像5の視認を行わない不使用位置(図1の二点鎖線の状態を参照)との間で、後述の回動軸11aを中心に回動するようになっている。上記使用位置では、図1に実線で示すように起立した状態となり、上記不使用位置では、コンバイナ11が運転者2の視界を遮らないように、図1に二点鎖線で示すように倒伏した状態となる。
本実施形態では、運転者2が虚像5の視認を行う際には、ON/OFFスイッチ71(図4参照)をONにすることで、上記使用位置となり、該ON/OFFスイッチ71をOFFにすることで、上記不使用位置となるが、これに限らず、例えばイグニッションスイッチに連動させて、自動的に上記使用位置又は上記不使用位置にするようにしてもよい。
また、上記使用位置は、運転者2の調整スイッチ(図示せず)の操作により調整可能であり、運転者2がその体格に合わせて虚像5が見易くなるように調整スイッチ72(図4参照)を操作することで、上記使用位置の上記不使用位置からの回動角度を変更することができるようになっている。
以下、ヘッドアップディスプレイ装置1について、該ヘッドアップディスプレイ装置1が車両に搭載された状態での車両前側、車両後側、車両左側及び車両右側をそれぞれ、前側、後側、左側及び右側という。
図2及び図3に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置1は、表示器12及び反射ミラー13を収容するハウジング21を備えている。このハウジング21は、ロア部材22と、前側及び後側アッパ部材23,24とで構成されている。
ロア部材22は、上側が開放された有底筒状部材で構成されている。このロア部材22の底部における後側の端部には、上記反射ミラー13を支持固定するための反射ミラー支持部22aが上側に突出形成されている。
ロア部材22の底部における反射ミラー支持部22aの前側には、基板アセンブリユニット31が取付固定される。この基板アセンブリユニット31は、プリント基板32と、上記表示器12と、この表示器12に生じる熱を放熱する放熱板33と、プリント基板32を介して表示器12と電気的に接続された、表示器12を駆動するための回路を内蔵する不図示のICチップと、表示器12を支持固定するための表示器支持部材35とを有している。
表示器支持部材35は、プリント基板32に固定される基部35aと、この基部35aの前側の端部、左側の端部及び右側の端部からそれぞれ上側に延びる前側壁部35b、左側壁部35c及び右側壁部35dとを有している。前側壁部35bの前側の面に、表示器12を挟んで放熱板33が取付固定されることで、表示器12が前側壁部35bに支持されることになる。前側壁部35bには、表示器12から反射ミラー13へ向かう表示光が通る略矩形状の表示窓35eが開けられている。尚、表示器支持部材35は、耐熱性が良好な材料(例えば、ガラス繊維入りのPC/PET)からなる。
前側壁部35bは、基部35aの前側の端部から上側に延びた後、表示器12及び放熱板33の上側を覆うように前側に延び、その前側端で再び上側に延びている(図1参照)。これにより、後側アッパ部材24に形成された後述の開口部24bから水等の液体がハウジング21内に入り込んだとしても、その液体が表示器12にかかることはなく、基部35a上に落ちるようになっている。また、左側壁部35c及び右側壁部35dによって、上記液体は、左側壁部35cの左側及び右側壁部35dの右側に浸入することもなく、基部35a上に落ちることになる。
基部35aは、左右方向において中央部が左右両側部よりも低くなるように形成されており、基部35aの左右方向中央部は、前側ほど低くなるように形成されている。基部35aの左右方向中央部における前側端部には、液体排出孔35fが形成されている。この液体排出孔35fは、プリント基板32を貫通する突出部35g(図1参照)に形成されており、基部35a上に落ちた上記液体は、液体排出孔35fを通って、プリント基板32の下側(ロア部材22の底部上)に落ち、そこから、ロア部材22に設けた不図示の排出孔を通してハウジング21外に排出される。
表示器12には、プリント基板32と電気的に接続するための複数の端子12a(図1参照)が下側に突出するように設けられており、これら複数の端子12aが、プリント基板32に形成されたスルーホール(図1では見え難いので、スルーホールの符号を省略しているが、端子12aがプリント基板32を貫通している部分がスルーホールである)にそれぞれ嵌められる。
上記プリント基板32における上記右側壁部35dの右側には、車両周辺の照度(明るさ)を検出する照度検出手段としての照度センサ38が設けられている。この照度センサ38の上側には、後側アッパ部材24の右前側の端部に設けられたライトガイド保持部24aに保持された、アクリル樹脂からなるライトガイド39が位置している。このライトガイド39の上部は、前側アッパ部材23の右後側の端部(ライトガイド保持部24aの上側を覆っている部分)に設けられたライトガイド用孔23aから上側に臨んでいる。そして、ライトガイド39は、前側からの光(フロントガラス3を通って車室内に入ってきた光)を下側に屈折させて上記照度センサ38へと導く。
ロア部材22の底部における基板アセンブリユニット31の左側には、コンバイナ駆動ユニット51が、ロア部材22の底部に対して位置決めされた状態で固定されるようになっている。また、ロア部材22の底部における基板アセンブリユニット31の右側には、コンバイナ11の回動軸11aを支持する支持本体57が、ロア部材22の底部と一体に上方に突出するように設けられている。本実施形態では、支持本体57の上面に、支持本体57とは異なる材料であって摺動性の良好な材料(例えば、POM)からなる支持部材58が2本のネジ59により固定されている。
コンバイナ11には、コンバイナ11が不使用状態にあるときの前端部を上下から挟むように互いに固定された上側部材11b及び下側部材11cが設けられている。下側部材11cの右側端部に、上記回動軸11aが右側に突出するように設けられている。また、図示は省略するが、上側部材11b及び下側部材11cの左側端部には、該両部材11b,11cが合わせられることで、上記コンバイナ駆動ユニット51における後述の出力軸54が嵌合する嵌合孔が形成される。
コンバイナ駆動ユニット51は、コンバイナ11を、上記使用位置と上記不使用位置との間で、回動軸11aを中心に回動させる電動モータ52と、この電動モータ52の回転を減速してコンバイナ11に伝達する減速機構(図示せず)と、これら電動モータ52及び減速機構を覆うケース部材53とを有している。ケース部材53の右側の面における後上部から、上記減速機構の出力軸54が右側に突出している。この出力軸54が、コンバイナ11の上側部材11b及び下側部材11cが合わせられることで形成される上記嵌合孔に嵌合する。出力軸54は、コンバイナ11に回動を伝達するために、断面円形ではなく、断面略D字状に形成されており、上記嵌合孔も、出力軸54に対応した形状をなしている。これにより、電動モータ52が回転すると、上記減速機構を介してコンバイナ11が回動軸11aを中心に回動することになる。
上記減速機構には、コンバイナ11の回動角度位置を検出するためのエンコーダ75(図4参照)が設けられており、後述のコントローラ100(図4参照)が、エンコーダ75からの情報を受けて、コンバイナ11を上記使用位置又は上記不使用位置に停止させる。尚、本実施形態では、電動モータ52は、小型の直流モータであるが、これに限らず、例えばステッピングモータを用いてもよい。
前側アッパ部材23の後側端部には、前側に切り欠かれてなる切欠き部23bが形成されており、この切欠き部23bを通して、コンバイナ11がハウジング21の外側に出ている。コンバイナ11は、上記不使用位置にあるときには、後側アッパ部材24の上面の略全体を覆い、この結果、後側アッパ部材24に形成された開口部24bを覆う。また、コンバイナ11は、上記使用位置にあるときには、開口部24bを開放しかつ該開口部24bの前側にて起立した状態となる。この状態で、反射ミラー13により反射された、表示器12からの表示光が、開口部24bを通ってコンバイナ11に向かい、コンバイナ11により運転者2に向けて反射される。これにより、コンバイナ11は、コンバイナ11の前方に運転者2の視認対象の虚像を形成する。尚、コンバイナ11が上記不使用位置にあるときには、前側アッパ部材23の切欠き部23bが、コンバイナ11の上側部材11bによって塞がれ(図1参照)、コンバイナ11が上記使用位置にあるときには、前側アッパ部材23の切欠き部23bが、コンバイナ11の下側部材11cによって塞がれる(図1及び図2参照)。
後側アッパ部材24の上面の後側部分における左右両端部近傍には、ゴム部材28がそれぞれ配設されている。これらゴム部材28は、コンバイナ11が、上記不使用位置で停止しなかったときに、後側アッパ部材24の上面に当接してコンバイナ11に傷が付くのを防止するためのものである。上記車両の運転手等の乗員がコンバイナ11を手動で動かしたときには、コントローラ100がコンバイナ11の回動位置を認識できなくなるので、コントローラ100は、電動モータ52によって、コンバイナ11を上記不使用位置の側に駆動して上記ゴム部材28に当接させ、このコンバイナ11がゴム部材28に当接した位置(コンバイナ11がそれ以上回動できなくなった位置)を基準にして、上記不使用位置及び上記使用位置を割り出す。
上記支持部材58は、上記回動軸11aが嵌まる、周方向の一部(本実施形態では、上部)が開放部とされた断面U字状の溝部58aを有している。上記2本のネジ59のうちのいずれか1本のネジ59(本実施形態では、前側のネジ59)は、板バネ部材61を支持部材58(支持本体57)に固定する役目も有している。つまり、前側のネジ59は、支持部材58及び板バネ部材61を支持本体57に対して共締めしている。上記板バネ部材61は、溝部58aの開放部を介して該溝部58a内の回動軸11aに接触して該回動軸11aを溝部58a奥側に押圧するように構成されている。この板バネ部材61による回動軸11aの押圧により、回動軸11aを溝部58aから外れないように回動支持するとともに、回動軸11aの径方向の振動(車両から伝わる振動)を抑制する。
図4に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置1は、表示器12(詳細には、上記ICチップ内における表示器12を駆動するための回路)及び電動モータ52の作動を制御するコントローラ100を備えている。このコントローラ100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするものであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)や、プログラム及びデータを格納するメモリ等を備えている。
コントローラ100には、照度センサ38、ON/OFFスイッチ71、調整スイッチ72、エンコーダ75、及び、車両の車速を検出する車速検出手段としての車速センサ76からの情報がそれぞれ入力される。そして、コントローラ100は、ON/OFFスイッチ71、調整スイッチ72及びエンコーダ75からの情報に基づいて、電動モータ52の作動を制御するとともに、照度センサ38及び車速センサ76からの情報に基づいて、表示器12の輝度(つまり虚像5の輝度)を制御する。
以下、コントローラ100による表示器12の輝度の制御について具体的に説明する。
コントローラ100は、照度センサ38により検出された上記照度の変化に対応して、表示器12の輝度を変化させる(車両周辺の照度が高いほど表示器12の輝度を高くする)。このことで、コントローラ100は、上記照度の変化に対応して、表示器12の輝度を変化させる輝度調節手段を構成することになる。
ここで、本実施形態では、コントローラ100は、上記照度の変化量が所定閾値よりも大きいときに、該照度の変化に対応して、表示器12の輝度を変化させるように構成されており、上記照度の変化量が上記所定閾値以下のときには、表示器12の輝度を変化させない。上記所定閾値は、上記変化前の照度が低いほど小さい値に設定されている。
また、コントローラ100は、車速センサ76により検出された車速が速いほど、上記照度の変化に対応する、表示器12の輝度の変化の速度を速くするように構成されている。本実施形態では、上記車速が所定の中速領域(例えば20km/h〜80km/h)にあるときに、車速が速くなるに連れて上記輝度の変化の速度を徐々に速くする(上記輝度の変化の速度を車速に対して線形的に変化させる)。車速が上記中速領域よりも遅い低速領域にあるときには、該中速領域の最小速度に対応する、上記輝度の変化の速度と同じ一定値とし、車速が上記中速領域よりも速い高速領域にあるときには、該中速領域の最大速度に対応する、上記輝度の変化の速度と同じ一定値とする。尚、これに限らず、全速度領域で、車速が速くなるに連れて上記輝度の変化の速度を徐々に速くするようにしてもよい。また、上記輝度の変化の速度を車速に対して段階的に変化させるようにしてもよい。
さらに、コントローラ100は、上記照度が上昇する側に変化した場合には、上記照度が低下する側に変化した場合に比べて、上記照度の変化に対応する、表示器12の輝度の変化の速度を速くするように構成されている。すなわち、明るさの変化に対する人の目の適応性としては、暗順応に比べて明順応の方が速いので、この人の目の適応性に対応して、上記照度が上昇する側に変化した場合と低下する側に変化した場合とで上記輝度の変化の速度を異ならせる。
上記コントローラ100による表示器12の輝度の制御について、図5のフローチャートに基づいて説明する。
すなわち、最初のステップS1で、照度センサ38より、車両周辺の照度(明るさ)情報を取得する。本実施形態では、この照度情報の取得は、所定時間(例えば数十ms)毎に繰り返し行い、照度の4回移動平均をとる。
次のステップS2で、照度の変化量が、変化前の照度に対応して設定された所定閾値よりも大きいか否かを判定する。本実施形態では、照度(上記平均化された照度)の変化量が、変化前の照度に対応する所定閾値を3回連続して超えたときに、照度の変化量が上記所定閾値よりも大きいと判定する。
上記ステップS2の判定がNOであるときには、そのままリターンする一方、ステップS2の判定がYESであるときには、ステップS3に進んで、車速センサ76より車両の車速情報を取得し、次のステップS4で、照度がマイナス側に変化したか否か(明から暗に変化したか否か)を判定する。
上記ステップS4の判定がYESであるとき(明から暗に変化したとき)には、ステップS5に進む一方、ステップS4の判定がNOであるとき(暗から明に変化したとき)には、ステップS9に進む。
上記ステップS5では、上記車速が、低速領域、中速領域及び高速領域のどの領域に属するかを判定する。上記車速が低速領域に属するときには、ステップS6に進んで、低速領域でかつ照度のマイナス側変化に対応した輝度制御を実行し、しかる後にリターンする。また、上記車速が中速領域に属するときには、ステップS7に進んで、中速領域でかつ照度のマイナス側変化に対応した輝度制御を実行し、しかる後にリターンする。さらに、上記車速が高速領域に属するときには、ステップS8に進んで、高速領域でかつ照度のマイナス側変化に対応した輝度制御を実行し、しかる後にリターンする。
ステップS4の判定がNOであるときに進むステップS9では、上記車速が、低速領域、中速領域及び高速領域のどの領域に属するかを判定する。上記車速が低速領域に属するときには、ステップS10に進んで、低速領域でかつ照度のプラス側変化に対応した輝度制御を実行し、しかる後にリターンする。また、上記車速が中速領域に属するときには、ステップS11に進んで、中速領域でかつ照度のプラス側変化に対応した輝度制御を実行し、しかる後にリターンする。さらに、上記車速が高速領域に属するときには、ステップS12に進んで、高速領域でかつ照度のプラス側変化に対応した輝度制御を実行し、しかる後にリターンする。
上記コントローラ100による表示器12の輝度の制御により、例えば図6の最上段に示すように、車両周辺の照度が高い状態(明るい状態)から低い状態(暗い状態)となり、その後に該低い状態から元の高い状態に変化したとき(例えば、車両がトンネル内に進入した後に、トンネルから出たとき)には、表示器12の輝度は以下のように変化することになる。
すなわち、車両周辺の照度が低下する側(マイナス側)に変化し、その変化量が、変化前の照度に対応する所定閾値k1よりも大きくなったとき、表示器12の輝度が低下し始め、このときの車速に対応した速度で表示器12の輝度が変化する。このときの輝度の変化速度については、高速走行時の該変化速度の方が、該高速走行時よりも車速が低い低速走行時の該変化速度よりも速く、車両周辺の照度の上記高い状態に対応する表示器12の輝度から、上記低い状態に対応する表示器12の輝度になるまでの時間は、高速走行時の該時間t1の方が低速走行時の該時間t2よりも短い(t1<t2)。
一方、車両周辺の照度が上記低い状態から上記高い状態に変化するときには、車両周辺の照度が上昇する側(プラス側)に変化し、その変化量が、変化前の照度に対応する所定閾値k2(>k1)よりも大きくなったとき、表示器12の輝度が低下し始め、このときの車速に対応した速度で表示器12の輝度が変化する。このときの輝度の変化速度についても、高速走行時の該変化速度の方が低速走行時の該変化速度よりも速く、車両周辺の照度の上記低い状態に対応する表示器12の輝度から、上記高い状態に対応する表示器12の輝度になるまでの時間は、高速走行時の該時間t3の方が低速走行時の該時間t4よりも短い(t3<t4)。また、輝度の変化速度は、車速が同じであれば、照度が上昇する側の方が照度が低下する側よりも速いので、上記時間t3は上記時間t1よりも短く(t3<t1)、上記時間t4は上記時間t2よりも短い(t4<t2)。
したがって、本実施形態では、車両の車速が速いほど、車両周辺の照度の変化に対応する、表示器12の輝度の変化の速度を速くするので、車両が高速走行時に例えばトンネル内に進入したときには、表示器12の輝度が素早く低下して、運転者2が表示(虚像5)を眩しく感じるようなことはなく、トンネルから出てきたときには、表示器12の輝度が素早く上昇して、運転者2が表示(虚像5)を見難いと感じるようなことはなくなる。
また、車両周辺の照度の変化量が所定閾値よりも大きいときに、該照度の変化に対応して、表示器12の輝度を変化させるようにし、その所定閾値が、上記変化前の照度が低いほど小さい値に設定されているので、例えば街灯が所定間隔で設けられた道路を夜間に走行する場合に、所定閾値が大きくて、街灯による照度の変化があったとしても、表示器12の輝度は変化せず、この結果、街灯により表示器12の輝度が明減するようなことはなくなる。また、例えば日向と日陰を繰り返すような走行シーンでは、上記所定閾値が夜間に比べて小さくなるが、このときの照度の変化量は、上記街灯が設けられた道路を夜間に走行する場合に比べて小さいので、上記所定閾値が小さくても、表示器12の輝度が明減するのを防止することができる。
上記所定閾値を適切に設定することで、車両の車速が速いほど、照度の変化に対応する、表示器12の輝度の変化の速度を速くすることと相俟って、様々な走行シーンにおいて、運転者2が表示(虚像5)を良好に見えるようにすることができる。
様々な走行シーンは、図7に示すように、照度変化速度と照度変化幅とのマップで分類することができる。
図7のマップのA領域は、建物に囲まれた道路を走行するシーン、B領域は、両側壁及び屋根で囲まれたトンネル状の道路のカーブした出口付近を走行するシーン、C領域は、明るい街灯のある道路を走行するシーン、D領域は、前方が明るい日陰を走行するシーン、E領域は、前方が明るい日向を走行するシーン、F領域は、明るいトンネルの入口付近を昼間に走行するシーン、G領域は、明るいトンネルの中央部を昼間に走行するシーン、H領域は、明るいトンネルの出口付近を昼間に走行するシーン、I領域は、明るいトンネルの入口付近を夜間に走行するシーン、J領域は、明るいトンネルの中央部を夜間に走行するシーン、K領域は、明るいトンネルの出口付近を夜間に走行するシーン、L領域は、暗く短いトンネルの入口付近を走行するシーン、M領域は、暗く短いトンネルの出口付近を走行するシーン、N領域は、街路樹の影を走行するシーン、O領域は、道路標識や看板の下を走行するシーン、P領域は、車両周辺の照度があまり変化しない箇所を走行するシーン、Z領域は、周囲に太陽や月を遮るものが何もない道路を長時間(例えば24時間)走行するシーンである。
上記所定閾値の設定(変化前の照度が低いほど小さい値に設定)と、車速に応じた、表示器12の輝度の変化の速度の設定とを適切に行うことにより、いずれの領域の走行シーンでも、表示器12の輝度が、運転者2にとって見易い輝度になることが、実際の車両走行で確認することができた。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、本発明の車載用表示装置として、ヘッドアップディスプレイ装置を例にして説明したが、本発明は、どのような車載用表示装置であってもよく、例えばインストルメントパネルの運転者2側に設けられた表示器を運転者2が直接視認するような車載用表示装置であってもよい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、車両に搭載された車載用表示装置、特にヘッドアップディスプレイ装置に有用である。
1 ヘッドアップディスプレイ装置(車載用表示装置)
2 運転者
5 虚像
11 コンバイナ
12 表示器
38 照度センサ(照度検出手段)
76 車速センサ(車速検出手段)
100 コントローラ(輝度調節手段)

Claims (4)

  1. 車両に搭載され、所定の情報を表示する車載用表示装置であって、
    上記所定の情報を表示する表示器と、
    上記車両周辺の照度を検出する照度検出手段と、
    上記車両の車速を検出する車速検出手段と、
    上記照度検出手段により検出された上記照度の変化に対応して、上記表示器の輝度を変化させる輝度調節手段とを備え、
    上記輝度調節手段は、上記車速検出手段により検出された車速が速いほど、上記照度の変化に対応する、上記表示器の輝度の変化の速度を速くするように構成されていることを特徴とする車載用表示装置。
  2. 請求項1記載の車載用表示装置において、
    上記輝度調節手段は、上記照度の変化量が所定閾値よりも大きいときに、該照度の変化に対応して、上記表示器の輝度を変化させるように構成されており、
    上記所定閾値は、上記変化前の照度が低いほど小さい値に設定されていることを特徴とする車載用表示装置。
  3. 請求項1又は2記載の車載用表示装置において、
    上記輝度調節手段は、上記照度が上昇する側に変化した場合には、上記照度が低下する側に変化した場合に比べて、上記照度の変化に対応する、上記表示器の輝度の変化の速度を速くするように構成されていることを特徴とする車載用表示装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の車載用表示装置において、
    上記車両の運転者の車両前方に配置されたコンバイナを備え、
    上記車載用表示装置は、上記コンバイナにより、上記表示器より出射された表示光の光路を該運転者に向けて反射させることで、該コンバイナの車両前方に上記運転者の視認対象の虚像を形成するヘッドアップディスプレイ装置であることを特徴とする車載用表示装置。
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