JP6104160B2 - 種子処理のための組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、植物種子結合タンパク質、好ましくは、抗原結合性の植物種子結合タンパク質を含む、種子処理のための組成物に関する。好ましい実施形態において、種子結合タンパク質は、多糖、好ましくは、ペクチンに結合している。本発明はさらに、植物増強剤を植物種子に結合させるための植物種子結合タンパク質の使用、および植物種子を処理するための方法にも関する。
作物生産は、適切に管理されない場合、種子伝染性および早期の病気および害虫によって、壊滅的な結果となる。これは、発芽種子および新生植物が、特に、生長の早期の段階の間に損傷を受けやすいからである。したがって、種子および新生植物を種子伝染性および土壌伝染性の害虫および病気から適切に保護することが最も重要である。伝統的にこれは、駆除薬を土壌中に直接適用することによって達成されており、駆除薬の大部分は顆粒剤の形態をとる。駆除薬の公衆衛生および環境に対する影響を低下させる試みとして、害虫制御のより最近の進歩は、種子処理のための組成物の形態をとる駆除薬を種子上へ直接適用することを含む。種子および植物を保護し、健全な作物の確立を改善するために、現在、種子を処理するための広範な技術が慣行されている。種子処理のためのこれらの方法は、種子の粉衣、コーティングおよびペレッティングを含む。
種子処理のための適切な組成物を調製するのは、依然として技術的に難しい。これは、このような組成物は、あらゆる範囲の要件を満たさなければならないからである。すなわち、組成物は、活性物質が容易に洗い流されるのを回避するため、および播種の間のほこりの形成を低下させるために、種子表面に良好に付着すべきであるが、同時に、種子が粘着性となって、その結果、種子が相互に付着し、集合体を形成しないように、あるいは、種子が保存容器の壁に粘着することによって、または種子が播種機器を詰まらせることによって、または種子の種まき機を通る流動性が低下し、結果として、種子がまだらにまかれてしまうことによって、種子の保存または取扱いが妨げられないようにするべきである。さらに、組成物は、処理された種子の保存期間および寿命を低下させてはならず、組成物は、種子の発芽に、例えば、まかれた際に、環境からの種子に対する水およびガスの交換を損なうことによって不利な影響を及ぼしてはならず、組成物は、種子処理のための組成物中に存在する活性物質の植物毒性により、種子および実生に損傷を引き起こしてはならない。
発芽時の種子の可触性を確保するために、US2,651,883、US3,707,807およびUS3,598,565は、水溶性ポリマーのコーティングを使用する種子処理のための方法を記載しており、この場合、コーティングは溶解して、種子を環境に暴露させて、発達させるであろう。US3,316,676およびUS4,245,432は、水不溶性であるが水感受性である種子コーティングに関し、コーティングの完全性が、水との接触時に、破壊されまたは崩壊する。これらの方法は、発芽の間の種子とその環境との間の良好な接触を可能にするが、また、種子コーティングの迅速な溶解または崩壊は、種子コーティング中に含有される活性物質の素早い喪失も引き起こす。US5,876,739は、種子のための植物毒性のないポリマーに基づいたフィルムコーティングを記載しており、このコーティングは、長期の期間にわたる殺虫剤の制御放出を可能にする。また、WO2007/103076およびWO2010/107312は、ポリマーに基づいた種子コーティングが潤滑化されて、種まきの間の流動性を促進することができることも記載している。しかし、コーティングは依然として、ポリマーの種子への非特異的な粘着に基づいており、植物増強剤を、過剰にコーティング材料中に組み込まなければならない。
米国特許第2,651,883号明細書 米国特許第3,707,807号明細書 米国特許第3,598,565号明細書 米国特許第3,316,676号明細書 米国特許第4,245,432号明細書 米国特許第5,876,739号明細書 国際公開第2007/103076号 国際公開第2010/107312号
依然として、植物増強剤の植物種子への特異的な結合を可能にし、結果として、薄くかつ透過性のコーティングが得られ、植物増強剤の環境中への望まれない喪失が生じない種子処理のための組成物が求められている。
(発明の要旨)
驚くべきことに、本発明者は、種子処理のための組成物中への植物種子結合タンパク質の組込みが、上記の技術的な問題を解決することができることを見出した。種子結合タンパク質、好ましくは、種子に特異的に結合している抗原結合タンパク質が、種子処理のための組成物中に含まれると、これにより、種子にとって有益な植物増強剤に強力かつ特異的に結合し、一方、依然として、種子とその環境との間の相互作用を可能にして、自然の発芽プロセスを妨げるのを可能な限り減らすことができる組成物をもたらす。
1つの好ましい実施形態において、種子処理のための組成物中に含まれる種子結合タンパク質が、多糖結合タンパク質である。多糖結合タンパク質は、当業者に公知であり、多糖結合タンパク質として、これらに限定されないが、レクチンおよび抗原結合タンパク質が挙げられる。
種子結合タンパク質は、植物増強剤に直接カップリングされ得、または植物増強剤を含む担体にカップリングされ得る。後者の場合は、特定の期間にわたり化合物の緩徐放出が望まれる場合に、とりわけ有用である。
スペクトル画像解析およびリニアアンミキシングを備える共焦点顕微鏡によって画像化された天然アラビドプシス(Arabidopsis)種子へのVHH結合の図である。種子の自己蛍光およびAlexa488スペクトルは記録され、異なる偽色に帰属された。種子はVHH 6D7とインキュベートされ、結合VHHは抗ヒスチジン/Alexa488コンジュゲート抗体で検出された。種子へのVHHの特異的結合シグナルだけが示される。 リンゴ皮の損傷部位へのVHH結合を示す図である。リンゴ皮のディスクは、穿孔器を用いて作製され、種々のVHHとインキュベートされた。結合VHHは、Alexa488蛍光色素に直接コンジュゲートされたモノクローナルマウス抗ヒスチジン抗体とのインキュベーションによって検出された。 ジャガイモ葉穿孔へのVHH 6D7(A)、7A5(B)、7A7(C)、7E9(D)結合および小麦葉条片へのVHH 6D7(E)結合を示す図である。葉穿孔は穿孔器を用いて作製され、VHHとインキュベートされた。条片は小麦葉から切断され、VHHとインキュベートされた。結合VHHは抗ヒスチジン/Alexa488コンジュゲート抗体とのインキュベーションによって検出された。VHHは葉穿孔または葉小片に、主に創傷組織の部位に強く結合していることが認められた。 ニトロセルロース上に配置されたウシ血清アルブミン(BSA)−コンジュゲートオリゴ糖36個(各アレイのカラムA−D)および多糖45個(各アレイのカラムE−I)を含有するアレイ上でのVHHの結合プロファイルを示す図である。各試料はアレイ上のスポット4個(2種の濃度を2回ずつ)によって表される。アレイは、選択されたVHH 5μg/mlで探索され、結合VHHは二次抗ヒスチジンおよび三次酵素−コンジュゲート抗体で検出された。強い結合シグナルが、主にエステル化の程度が低いペクチン上で観察され、ホモガラクツロナンエピトープへの結合を示している。E1 ライムペクチン、DE 11%F1 ライムペクチン、DE 43%G1 ライムペクチン、DE 0%H1 ライムペクチン、DE 16%I2 富RGIIペクチン(赤ワイン)I3 種子粘液(アラビドプシス)H4 RGI#5(ジャガイモ) マイクロカプセルの作物種子への結合を示す図である。米(A)、小麦(B)およびトウロコシ(C)の種子は、蛍光マイクロカプセルに結合した種子結合VHHとインキュベートされた。VHHを含まないマイクロカプセルは、対照条件として各作物種子について示される。 リンゴ皮の損傷部位および損傷したジャガイモ植物葉表面へのマイクロカプセルの結合を示す図である。リンゴ皮およびジャガイモ葉のディスクは、蛍光マイクロカプセルに結合した種子および創傷組織結合VHHとインキュベートされた。マイクロカプセルは、果実の損傷部位または植物の創傷組織に優先的に結合した。
(発明の詳細な説明)
本発明の第1の態様は、植物種子結合タンパク質を含む、種子処理のための組成物である。
用語「種子」および「植物種子」は、本明細書において互換的に使用され、温室内、苗床中または農場において生長させた植物から収穫された種子であって、前記植物から取り出され、任意の穂軸、茎、外皮および周囲の果肉またはその他の種子以外の植物材料から分離されている種子を意味する。このような植物種子に加えてまた、用語「種子」および「植物種子」は、発芽種子、根茎、植物および植物部分の栄養繁殖のために使用される、地下茎、ジャガイモの塊茎または球根等の繁殖用の植物の挿し穂も含むことを意図する。好ましくは、用語「種子」および「植物種子」は、温室内、苗床中または農場において生長させた植物から収穫された種子であって、前記植物から取り出され、任意の穂軸、茎、外皮および周囲の果肉またはその他の種子以外の植物材料から分離されている種子を意味する。さらに、植物種子は、サイズ、重量もしくは発芽能力について選別され、清浄され、殺菌され、駆除され、予備刺激され、増強され、ペレッティングされ、表面を覆われ、丸くされまたはコーティングされ得、発芽することが可能であってもよく、または非発芽性であっても、例えば、照射もしくは加熱により、意図的にさえ不活性化されていてもよい。「植物」は、本明細書で使用する場合、裸子植物および被子植物、単子葉植物および双子葉植物、樹木、果樹、農場作物および野菜作物、ならびに観賞用の種を含む。
「種子結合タンパク質」は、本明細書で使用する場合、種子上の、好ましくは、種子表面上の標的分子に、特異的な分子間相互作用を使用して結合することが可能である、タンパク質性(タンパク質、タンパク質様またはタンパク質含有)分子の全部または一部を意味する。種子結合タンパク質は、天然に存在する分子であり得、天然に存在する分子から誘導され得、または完全に人工的に設計され得る。種子結合タンパク質の、種子上の標的分子への結合は、好ましくは、高い親和性を伴って生じる。用語「親和性」は、本明細書で使用する場合、種子結合タンパク質がその標的分子に結合し、その結果、標的分子と種子結合タンパク質との平衡を、これらの結合により形成される複合体が存在する方向にシフトさせる程度を指す。解離定数は、種子結合タンパク質とその標的分子との間の親和性を説明するために一般に使用される。典型的には、種子結合タンパク質と種子上のその標的分子との間の結合の解離定数は10−5M未満であり、より好ましくは、解離定数は10−6M未満であり、さらにより好ましくは、解離定数は10−7M未満であり、最も好ましくは、解離定数は10−8M未満である。種子結合タンパク質の、種子上の標的分子への結合は、好ましくは、特異的である。「特異的」は、本明細書で使用する場合、種子結合タンパク質が、異なる分子の均一または不均一な混合物中に存在する特定の標的分子に優先的に結合することを意味する。また、特異性は、種子結合タンパク質のその標的分子に対する親和性と、無関係な分子に対する親和性との差としても表され得る。好ましくは、種子結合タンパク質のその標的分子に対する親和性対無関係な分子に対する種子結合タンパク質の親和性の比は10超であり、より好ましくは、前記比は100超であり、最も好ましくは、前記比は1000超である。
「種子処理のための組成物」は、本明細書で使用する場合、個々の種子1つに適用される、または多くの種子に同時に適用される組成物を意味し、この組成物の意図は、種子の発芽を制御することであり、または発芽率に影響を及ぼすことであり、発芽種子および/もしくは新生植物を害虫もしくは病気による攻撃から保護することであり、発芽種子および/もしくは新生植物を雑草もしくはその他の望まれない植物により引き起こされる損傷から保護することであり、実生および新生植物の活力、生長および/もしくは確立を増強することであり、新生作物の収穫高を増強することであり、種子および/もしくは実生による水の取込みおよび/もしくは水の保持に影響を及ぼすことであり、ならびに/またはこの組成物の意図は、種子表面を滑らかにすることによって種子の取扱いを改善することであってもよく、または種子を保存もしくは取扱いの間の損傷から保護することであってもよく、または程度の差はあるが等しいサイズの種子を生成することによって播種を促進することであってもよい。
種子処理のための組成物が種子に強力に結合して、種子への適用の間および/または種子の取扱いの間の組成物の磨耗を回避し、播種の間の飛散を回避し、種子が土壌または繁殖のための別の基質中にまかれたまたは播種された際に、組成物が洗い流されることを回避すべきである。他方、処理された種子の集合体化を引き起こさないため、および/または種子を、保存容器の壁に、または種子処理の間もしくは播種や種まきの間のいずれかに使用されるオペレーターの機器に粘着させないために、種子処理のための組成物は、粘着性であってはならない。本発明による種子結合タンパク質は、種子に高い親和性および特異性で結合し、したがって、種子処理のための組成物中の特に有用な成分である。本発明による種子処理のための組成物は、少なくとも1つの、好ましくは、少なくとも2つの、より好ましくは、3つ以上の、本発明による種子結合タンパク質分子を含む。後に定義されるように、1つまたは複数の種子結合タンパク質分子が、標的化剤を形成することができる。好ましくは、前記標的化剤は、2つ以上の種子結合タンパク質分子の組合せである。
好ましい実施形態において、種子処理のための組成物は、少なくとも1つの植物増強剤をさらに含む。「植物増強剤」は、本明細書で使用する場合、種子の発芽、植物の新生、植物の生長、植物の発達および/または植物の収穫高に有益な影響を及ぼすことが意図される1つまたは複数の活性物質を意味し、植物増強剤として、これらに限定されないが、さらなる定義に従う農芸化学的活性物質、殺菌剤、駆除剤、微生物(窒素を固定するリゾビウム属(Rhizobium)またはアゾスピリルム属(Azospirillum)の細菌等)、植物の成長調節因子(ジベレリン酸等)、(微量)栄養素(硝酸カリウム等)、植物ホルモン(オーキシン等)、鉱物、発芽刺激薬、保水剤、ストレス保護物質もしくは植物誘導物質(Nod因子等)または前述の任意の可能な組合せが挙げられる。植物増強剤は、任意のタイプの製剤として存在することができ、好ましい製剤は、散剤、湿潤性散剤、乳剤、乳剤性濃縮物、粉剤、押出成型顆粒剤、懸濁剤、懸濁剤濃縮物、カプセル懸濁剤または流動性濃縮物である。当業者であれば、2つ以上の植物増強剤を組み合わせるのが好都合であり得ることを理解する。例えば、種子処理のための組成物は、1つもしくは複数の殺真菌剤と1つもしくは複数の殺虫剤との組合せまたは1つもしくは複数の殺線虫剤と1つもしくは複数の肥料との組合せ等を含有することができる。いくつかの植物増強剤を組み合わせる利点は、害虫および/もしくは病気のより広い範囲の制御を得ること、ならびに/または2つ以上の植物増強剤の相乗作用を得ることであり得る。好ましい実施形態において、植物増強剤の濃度が、種子の発芽を阻害せず、発芽種子または生長実生に対して、植物毒性をほとんど示さない、好ましくは、全く示さないように、植物増強剤は、種子処理のための組成物中で使用される。好ましくは、処理される種子の総重量に対する植物増強剤の相対的な濃度は、0.00001−20%の範囲であり、より好ましくは、0.0001−10%の範囲であり、さらにより好ましくは、0.0005−2%の範囲であり、最も好ましくは、0.001−1%の範囲である。
本発明の種子処理のための組成物は、
−湿潤および分散のための添加剤、例として、ポリアクリレート、ポリウレタン等、
−増粘剤、例として、天然のガム(キサンタンガム、アラビアゴム、ガッチガム等)、寒天、アルギン酸塩、キチン、ペクチン等、
−着色剤および効果顔料、例として、染料、光沢剤、および真珠光沢顔料を含めた、顔料、
−泡消剤、例として、ポリエチレングリコール、グリセリン、鉱油系泡抑止剤、シリコーン系泡抑止剤等、
−接着剤、例として、アルキレンオキシドのランダムコポリマーおよびブロックコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、メチルセルロース、パラフィンろう、蜜ろう等、
−固体の担体、例として、カオリン、タルク、珪藻土、方解石等、
−溶媒、例として、水、芳香族炭化水素(例えば、キシレン、ナフタレン)、脂肪族炭化水素、アルコール、植物油等
をさらに含むことができる。
種子処理のための組成物の提供が意図される種子のタイプに応じて、種子が保存されるおよび取り扱われるはずである条件に応じて、種子が発芽し、生長すると予想される土壌の特徴および気候条件に応じて、以下のさらなる添加剤のうちの1つまたは複数が、種子処理のための組成物に添加され得る。添加剤として、これらに限定されないが、uv保護剤、凍結防止剤、保存剤、生物学的制御剤もしくは殺生物剤、界面活性剤、増量剤、捕捉剤、可塑剤、リン脂質、流動剤、融合助剤、ろうおよび/または充填剤(例として、粘土、タルク、ガラス繊維、セルロース、微粉化木材等)が挙げられる。
上記した種子処理のための組成物は、例えば、湿潤性散剤、湿潤性顆粒剤、乳剤性濃縮物、懸濁剤濃縮物、マイクロエマルジョン、カプセル懸濁剤、乾燥マイクロカプセル、錠剤もしくはゲル剤として維持され得、または適切な液体媒体(水、または別の適切な水性、有機もしくは油性の媒体等)中に、懸濁し得、分散し得、乳化され得もしくは別の方法により加えられ得、その結果、安定性を有する本発明の(濃縮)液体組成物を提供し、こうした安定性が、本発明の組成物が適切に保存されるのを可能にし、または(必要ならば、さらなる希釈の後に)種子に適用されるのを可能にする。好ましくは、種子処理のための組成物は、湿潤性散剤もしくは水分散性顆粒剤、流動性溶液、乳剤もしくは乳剤濃縮物、懸濁剤もしくは懸濁剤濃縮物、またはカプセル懸濁剤もしくはカプセル懸濁剤濃縮物の形態をとる。好ましくは、本発明の種子処理のための組成物は、最終的な使用の前に、場合によって(通常、好ましくは)適切な液体濃縮物、乾燥散剤、錠剤、カプセル懸濁剤、スラリーまたは「湿潤固形物」として輸送および/または保存され得、これらは、種子への適用の前に、適切な溶媒、好ましくは、水中に、適切に、希釈され得、分散し得、懸濁し得、乳化され得、または別の方法により適切に再構成され得る。本発明による種子処理のための組成物は、任意の適切なまたは所望の手動のまたは機械的な技法、例として、スプレー、注ぐこと、浸漬、浸すこと、粉衣、コーティング、表面を覆うこと、ペレッティングまたは任意のその他の適切な技法を使用する、種子への適用を可能にする。
1つの好ましい実施形態において、本発明の種子処理のための組成物中に存在する種子結合タンパク質は、本発明の組成物中に存在する植物増強剤または植物増強剤の組合せを種子上に結合させることが可能である。「植物増強剤を植物種子上に結合させることが可能である」は、本明細書で使用する場合、種子結合タンパク質が、植物増強剤を、保存用受器にも適用のための機器にも播種機器にも粘着させないが、植物増強剤を植物種子にしっかり付着させることができるように、種子結合タンパク質が植物種子に結合することを意味する。植物増強剤の植物種子上への結合を可能にするために、1つの単一の種子結合タンパク質または複数の種子結合タンパク質のいずれかが、さらなる定義に従う標的化剤中に含まれる場合であってもまたは含まれない場合であっても、植物増強剤に、共有結合、水素結合、双極子間相互作用、弱いファンデルワールス力または前述の任意の組合せのいずれかによりカップリングされ、結果として、植物増強剤にカップリングされている1つまたは複数の種子結合タンパク質の植物種子への結合をもたらす。
1つまたは複数の種子結合タンパク質が、植物増強剤または植物増強剤の組合せを種子に特異的に結合させる場合、これらの種子結合タンパク質は、処理された種子の種子処理のための組成物が磨耗することおよび飛散により喪失することを低下させ、ならびに/または処理された種子の粘着を低下させ、したがって、種子が凝集する機会または種子が保存容器の壁もしくは種子の取扱い機器や種まき機器や播種機器の壁に粘着する機会を低下させる。好ましくは、本発明による種子処理のための組成物中に存在する1つまたは複数の種子結合タンパク質は、植物種子の発芽を誘発することもなく、植物種子の発芽を遅延させるまたは阻害することもない。好ましくは、本発明による種子処理のための組成物中に存在する1つまたは複数の種子結合タンパク質は、植物毒性を示さず、このことは、こうした種子結合タンパク質が、芽が出ることも、実生もしくは新生植物が発達することも妨げないことを意味する。
別の好ましい実施形態において、種子結合タンパク質は、担体を植物種子上に結合させることが可能である。「担体」は、本明細書で使用する場合、その中にまたは上に(上に)、物質が適切に、組み込まれること、含まれる(included)こと、固定化されること、吸着されること、吸収されること、結合されること、被包されること、包埋されること、つながれることまたは含まれる(comprised)ことが可能である任意の固体、半固体または液体の担体を意味する。特定の実施形態において、植物種子は、担体の膜で完全に覆われ得る。このような担体の非限定的な例として、ナノカプセル、マイクロカプセル、ナノ球体、マイクロスフェア、ナノ粒子、微小粒子、リポソーム、ベシクル、ビーズ、ゲル、弱いイオン性の樹脂製粒子、リポソーム、渦巻形の送達ビヒクル、小型の顆粒剤、顆粒化物質、ナノチューブ、バッキーボール、油中水型乳剤の一部である水の小滴、水中油型乳剤の一部である油の小滴、有機材料、例として、コルク、木材もしくはその他の植物由来の材料(例えば、種子の莢、木片、果肉、球体、ビーズ、シートの形態をとる材料もしくは任意のその他の適切な形態をとる材料)、紙もしくは段ボール、無機材料、例として、タルク、粘土、結晶セルロース、シリカ、アルミナ、ケイ酸塩およびゼオライトが挙げられ、または微生物細胞(例として、酵母細胞)もしくはこれらの適切な画分や断片さえもが挙げられる。「担体を植物種子上に結合させることが可能である」は、本明細書で使用する場合、種子結合タンパク質の植物種子への結合が、担体を前記植物種子に結合させるのに十分強力であり、より好ましくは、担体を前記植物種子に保持するのに十分強力であることを意味する。担体のサイズおよび種子結合タンパク質の親和性に応じて、1つまたは複数の種子結合タンパク質が、植物種子に存在する1つまたは複数の分子に結合し、結果として生じる、結合部位(複数可)に対する種子結合タンパク質のアビディティーが、植物種子上に、担体を強力に結合させること、好ましくは、担体を保持することを確保するように、協働することができる。「保持する」は、本明細書で使用する場合、1つの単一の種子結合タンパク質または2つ以上の種子結合タンパク質の組合せのいずれかの、これまたはこれらの標的分子に対する親和性またはアビディティーにより生じる結合力が、担体の重力によりかかる力およびトルクと、もしあれば、1つまたは複数の外部因子により引き起こされたせん断力によりかかる力およびトルクとの組合せよりも大きいことを意味する。好ましい実施形態において、前記外部因子は、種子処理または種子の取扱いの間に生じる磨耗である。特異的な結合により担体に結合することの、非特異的な結合を上回る1つの特定の利点は、特異的な結合が、担体に適用される外部のせん断力に対してより抵抗性であることである(Cozens−Robertsら、1990年)。好ましくは、「保持」は、抗原結合タンパク質を伴う担体の場合、同一条件下で適用して、前記抗原結合タンパク質を伴わない担体と比較して、(接触の持続時間、1つの種子当たりの担体の数または担体と種子との間の距離として表される)担体と種子との間の接触がより良好であるという事実により評価され得る。1つの好ましい実施形態において、1つまたは複数の種子結合タンパク質により植物種子上に結合している担体は、種子結合タンパク質(複数可)を伴わない同じ担体よりも、植物種子への結合を長い期間維持する。
好ましくは、上記の定義に従う植物増強剤または植物増強剤の組合せは、担体中に含まれる。好ましくは、前記担体はマイクロ担体である。「マイクロ担体」は、本明細書で使用する場合、粒子の直径が、500μm未満であり、好ましくは、250μm未満であり、さらにより好ましくは、100μm未満であり、最も好ましくは、50μm未満である粒子状の担体である。本明細書で使用する場合、マイクロ担体、微小粒子、マイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、ナノカプセルおよびナノ球体は、互換的に使用され得る。(以下の定義に従う)農芸化学的活性物質の送達のためのマイクロ担体が、とりわけ、参照により本明細書に組み込むUS6180141、WO2004004453、WO2005102045およびUS7494526に記載されている。マイクロ担体の特徴は、以下のごとくであり得る。すなわち、マイクロ担体は、農芸化学的活性物質の緩徐放出、農芸化学的活性物質の遅延放出または農芸化学的活性物質の即時放出を可能にする。全てのタイプのマイクロ担体が、これらに特異的な用途を有する。マイクロ担体は当然ながら、共有結合によりつながるのに適している架橋結合可能な残基を含んでもよく、またはマイクロ担体は、誘導体化して、当技術分野で周知の方法に適している架橋結合可能な基を導入してもよい。このような誘導体化は、マイクロ担体の製造の前に、すなわち、前記製造プロセスにおいて使用される原材料のレベルで行ってもよく、マイクロ担体の製造プロセスの間に行ってもよく、またはマイクロ担体の製造に続いて行ってもよい。1つの特定の実施形態において、マイクロ担体上の官能基は、連結剤またはスペーサーに結合していてよく、次いで、連結剤またはスペーサーは、上記の定義に従う種子結合タンパク質に結合している。
好ましくは、種子結合タンパク質は、植物増強剤または担体にカップリングされる。「カップリング」は、本明細書で使用する場合、植物増強剤の保持または植物増強剤を種子結合タンパク質により含有する担体の保持を可能にする任意のカップリングであってよい。カップリングは、共有結合であってもよく、水素結合、双極子間相互作用、弱いファンデルワールス力または前述の任意の組合せによる非共有結合であってもよい。好ましくは、前記カップリングは共有結合である。種子結合タンパク質が、担体の外側表面に存在する任意のタイプの官能基にカップリングされ得る方法は、当業者に明らかである。「官能基」は、本明細書で使用する場合、タンパク質が共有結合され得る任意の化学的な基を意味し、それらとして、これらに限定されないが、カルボキシル基、アミン基、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基またはアルキン基が挙げられる。非限定的な例として、担体の外側表面上のカルボキシル基と種子結合タンパク質のアミン基との間のカルボジイミド結合の形成によるカップリングが適用され得る。種子結合タンパク質は、担体への連結剤があってもまたはなくても、カップリングされ得る。微生物細胞またはファージの場合、本発明による種子結合タンパク質は、微生物細胞またはファージのゲノムによりコードされ得、一方、植物増強剤は、微生物細胞もしくはファージ中に含有される、または微生物細胞もしくはファージに、融合タンパク質としてもしくは化学的連結によってのいずれかでカップリングされる。「連結剤」は、本明細書で使用する場合、当業者に公知の任意の連結剤であってよい。好ましくは、連結剤は、担体上に結合している(さらなる定義に従う)標的化剤中に含まれる場合であってもまたは含まれない場合であっても、種子結合タンパク質(複数可)の柔軟性を増加させており、これにより、種子結合タンパク質(複数可)の植物種子への結合を促進する。このような連結剤の例を、WO0024884およびWO0140310に見出すことができる。
1つまたは複数の種子結合タンパク質は、植物増強剤または植物増強剤の組合せを含む担体を種子に特異的に結合させる場合、好ましくは、処理された種子の種子処理のための組成物が磨耗することおよび飛散により喪失することを低下させ、したがって、担体中に含まれる植物増強剤の喪失を低下させる。
好ましくは、本発明による種子結合タンパク質は、抗原結合タンパク質である。「抗原結合タンパク質」は、本明細書で使用する場合、標的分子に、特異的な分子間相互作用を使用して結合することが可能であるタンパク質性(タンパク質、タンパク質様またはタンパク質含有)分子の全部または一部を意味する。「抗原」は、本明細書で使用する場合、動物において免疫応答を惹起することが可能である分子である。抗原結合タンパク質は、免疫グロブリンに基づいてもよく、またはこれらに限定されないが、微生物タンパク質、プロテアーゼ阻害剤、毒素、フィブロネクチン、リポカリン、単鎖逆平行コイルドコイルタンパク質もしくは反復モチーフタンパク質を含めた、タンパク質中に存在するドメインに基づいてもよい。このような抗原結合タンパク質の非限定的な例が、炭水化物抗原結合タンパク質(CBD)(Blakeら、2006年)、重鎖抗体(hcAb)、単一ドメイン抗体(sdAb)、ミニボディ(minibody)(Tramontanoら、1994年)、ラクダ科重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)、新抗原受容体(new antigen receptor)の可変ドメイン(VNAR)、アフィボディ(affibody)(Nygrenら、2008年)、アルファボディ(alphabody)(WO2010066740)、設計されたアンキリンリピートドメイン(DARPin)(Stumppら、2008年)、アンチカリン(Skerraら、2008年)、ノッチン(Kolmarら、2008年)および工学的に作製されたCH2ドメイン(ナノ抗体;Dimitrov、2009年)である。好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、単一のポリペプチド鎖からなり、翻訳後に修飾されない。より好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、自然免疫系または適応免疫系に由来する。さらにより好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、免疫グロブリンに由来する。最も好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、4つのフレームワーク領域および3つの相補性決定領域、またはこれらの適切な断片のいずれか(この場合、これは、相補性決定領域のうちの少なくとも1つを形成するアミノ酸残基のうちの少なくともいくつかを通常含有する。)を含む。好ましくは、抗原結合タンパク質は、高い収率で、好ましくは、微生物の組換え発現系において産生するのが容易であり、続いて単離および/または精製するのが好都合である。また、好ましくは、抗原結合タンパク質は、保存の間および活用の間の両方において安定でもあり、このことは、抗原結合タンパク質の完全性が、保存条件および/もしくは活用条件の下で維持されることまたは保存条件および/もしくは活用条件の後に取り戻されることを意味し、保存条件および/または活用条件として、高温、凍結融解サイクル、pHまたはイオン強度の変化、UV照射、有害な化学薬品の存在等を挙げることができる。より好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、下記の定義に従う農芸化学的製剤中で安定である。最も好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、周囲温度で最高2年間保存される場合または54℃で少なくとも2週間の期間保存される場合、(さらなる定義に従う)農芸化学的製剤中で安定な状態を維持する。好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、DARPin、ノッチン、アルファボディおよびVHHからなる群から選択される。より好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、アルファボディおよびVHHからなる群から選択される。最も好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、VHHである。
抗原結合タンパク質の、植物種子上の標的分子への結合は、高い親和性を伴って生じる。典型的には、抗原結合タンパク質と種子上の標的分子との間の結合の解離定数は10−5M未満であり、より好ましくは、解離定数は10−6M未満であり、さらにより好ましくは、解離定数は10−7M未満であり、最も好ましくは、解離定数は10−8M未満である。好ましくは、抗原結合タンパク質の、種子部位上のその標的分子への結合は特異的であり、このことは、抗原結合タンパク質が、異なる抗原の均一または不均一な混合物中に存在する特定の抗原に優先的に結合することを意味する。抗原結合タンパク質の結合の特異性が、方法、例として、実施例2に記載するELISAにより解析され得、この方法においては、抗原結合タンパク質のその標的分子への結合が、抗原結合タンパク質の無関係な分子への結合と比較され、抗原結合タンパク質の反応槽への非特異的な粘着と比較される。特定の実施形態において、特異的な結合の相互作用が、試料中の望ましい抗原と望ましくない抗原とを識別し、いくつかの実施形態では、約10倍超から100倍以上(例えば、約1000倍超または約10,000倍超)の差で識別する。抗原結合タンパク質の結合は、1つの特定の植物種の種子に特異的であり得、このことは、このような植物種の種子の中もしくは上に存在する標的分子が、その他の植物種の種子の中もしくは上には存在しないまたははるかにより低い程度でしか存在しないことを意味し;または標的分子が、2つ以上の植物種の種子の中もしくは上に存在する場合には、結合は、2つ以上の植物種の種子に、より一般的であり得る。抗原結合タンパク質の結合は、植物種子の特定の部分もしくは側面に特異的であり得、このことは、植物種子のこのような部分もしくは側面の中もしくは上に存在する標的分子が、植物種子のその他の部分もしくは側面の上には存在しないまたははるかにより低い程度でしか存在しないことを意味し;または結合部位が植物種子全体の上に存在する場合には、結合は、植物種子の全体に、より一般的であり得る。
好ましくは、抗原結合タンパク質の結合部位への結合は、過酷な条件、例として、低いまたは高い温度、低いまたは高いpH、低いまたは高いイオン強度、UV照射、低い水分含量、低い水ポテンシャル、変性を起こす化学薬品の存在等の下でも依然として機能を示す。1つの好ましい実施形態において、前記過酷な条件は、4から9のpH範囲、より好ましくは、3から10のpH範囲、さらにより好ましくは、2から10のpH範囲、最も好ましくは、1から11のpH範囲により定義される。別の好ましい実施形態において、前記過酷な条件は、4−50℃の温度範囲、より好ましくは、0−55℃の温度範囲、さらにより好ましくは、0−60℃の温度範囲により定義される。別の好ましい実施形態において、前記過酷な条件は、50%未満の水分含量、好ましくは、40%未満の水分含量、より好ましくは、30%未満の水分含量、さらにより好ましくは、25%未満の水分含量、最も好ましくは、20%未満の水分含量により定義される。さらに別の好ましい実施形態において、前記過酷な条件は、−0.5MPa未満の水ポテンシャル、好ましくは、−0.75MPa未満の水ポテンシャル、より好ましくは、−1MPa未満の水ポテンシャル、さらにより好ましくは、−1.5MPa未満の水ポテンシャル、最も好ましくは、−2MPa未満の水ポテンシャルにより定義される。さらに別の好ましい実施形態において、前記過酷な条件は、さらなる定義に従う種子処理のための方法においてよく見られる条件と定義される。
好ましくは、本発明による種子処理のための組成物中に存在する種子結合タンパク質の、好ましくは、抗原結合タンパク質の、植物種子への結合は、種子の発芽を妨げない。すなわち、抗原結合タンパク質の植物種子への結合は、種子の発芽を誘発することもなく、植物種子の発芽の遅延または阻害を引き起こすこともない。好ましくは、抗原結合タンパク質の植物種子への結合は、植物毒性を示さず、このことは、抗原結合タンパク質の植物種子への結合が、健全に芽が出ることを妨げて悪影響を及ぼすこと、および種子、実生または新生植物の発達を妨げて悪影響を及ぼすことがないことを意味する。
1つの好ましい実施形態において、本発明による種子処理のための組成物中に存在する種子結合タンパク質、好ましくは、抗原結合タンパク質は、植物細胞壁構成成分に結合する。本明細書において使用する「植物細胞壁構成成分」は、高等植物の中葉、一次細胞壁または二次細胞壁の中に存在し、植物細胞壁の構造に寄与する任意の分子を意味する。中葉は、近隣細胞により共有され、これらを一緒にしてしっかり結び付ける。中葉はペクチンに富む。一次植物細胞壁の主要な化学的構成成分は、セルロースを含む。さらに、一次細胞壁は、2つの群の分枝多糖、すなわち、ペクチンおよび架橋結合性グリカンも含有する。架橋結合性グリカンは、セルロースミクロフィブリルと共にネットワークに編成され、セルロースの引張強度を増加させ、一方、ペクチンの同一の広がりをもつネットワークは、圧迫に抵抗する能力を細胞壁にもたらす。これらのネットワークに加えて、少量のタンパク質が、全ての植物一次細胞壁中に見出され得る。二次植物細胞壁は、細胞が成熟するにつれてしばしば、一次細胞壁内部に堆積し、より早期に発達した一次壁の組成とほとんど同一の組成を時には有する。しかしより一般的には、追加の物質、とりわけ、リグニンが、二次細胞壁中に見出される。リグニンに加えて、時には、クチン、スベリンおよびその他のろう状の材料が、植物細胞壁中に見出される。好ましくは、本発明による種子処理のための組成物中に存在する前記種子結合タンパク質、より好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン性多糖、タンパク質、リグニン、スベリン、クチンまたはろうからなる群から選ばれる植物細胞壁構成成分に結合する。より好ましくは、本発明による種子処理のための組成物中に存在する前記種子結合タンパク質、より好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、ヘミセルロース、ペクチン性多糖、リグニン、スベリンまたはクチンからなる群から選ばれる植物細胞壁構成成分に結合する。最も好ましくは、本発明による種子処理のための組成物中に存在する前記種子結合タンパク質、より好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、ペクチン性多糖に結合する。
好ましくは、本発明による種子処理のための組成物中に存在する種子結合タンパク質、より好ましくは、抗原結合タンパク質は、多糖に結合する。「多糖」は、本明細書で使用する場合、グリコシド結合により一緒につなぎ合わされた単糖の反復単位から形成された、ポリマー性の炭水化物構造であり、これらには、ホモ多糖およびヘテロ多糖が含まれるが、非炭水化物性の単位、例として、糖タンパク質およびリポタンパク質との混合性の構造は含まれない。好ましくは、前記多糖には、その他の化合物が混入しておらず、前記多糖は、少なくとも85%w/w、好ましくは、90%w/w、より好ましくは、95%w/w、さらにより好ましくは、98%w/w、最も好ましくは、99%w/wの純度を有する。2つ以上のタイプの単糖が、多糖中に存在し得る。場合により、反復単位は、軽微な改変を含有してもよい。ホモ多糖は、全ての反復単位が同じタイプの単糖である場合の多糖である。2つ以上の単糖が存在する場合、多糖は、ヘテロ多糖に分類される。構造は、高い複雑性を有する構造に至るまで、直線であってもまたは分枝であってもよい。好ましくは、本発明による種子処理のための組成物中に存在する前記種子結合タンパク質、より好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、ヘテロ多糖に結合する。
多糖は、オリゴ糖とは、これらのサイズ、複雑性および重合度により明確に異なる。多糖は、本明細書で使用する場合、少なくとも10個の単糖単位、好ましくは、少なくとも15個の単糖単位を含む。好ましくは、前記多糖が構造多糖である。構造多糖は、当業者に公知である。構造多糖は、生物または生物の部分の剛性において役割を果たし、構造多糖として、これらに限定されないが、セルロース、グルカン、キシランおよびペクチンが挙げられる。1つの好ましい実施形態において、前記構造多糖は、植物に由来する。
「多糖に結合する」は、本明細書で使用する場合、本発明による種子処理のための組成物中に存在する種子結合タンパク質、好ましくは、抗原結合タンパク質が、多糖構造に、好ましくは、オリゴ糖と交差反応することなく結合することを意味し、オリゴ糖との交差反応は、多糖および関連のオリゴ糖を含む炭水化物マイクロアレイを使用して測定され得る(Obroら、2009年)。
さらに好ましい実施形態において、本発明による種子処理のための組成物中に存在する種子結合タンパク質、より好ましくは、抗原結合タンパク質は、ペクチンに結合しており、最も好ましくは、前記ペクチンは、低エステル化ホモガラクツロナンを含む。ペクチンは、複合多糖の不均一な群を含み、これらの多糖は、骨格中のα−(1−4)連結D−ガラクツロン酸の存在を共有するが、これ以外では、組成、連結および分子間結合の点で異なる。通常、3つのタイプのペクチン性多糖、すなわち、(1)直鎖のα−(1−4)連結D−ガラクツロン酸からなるホモガラクツロナン(HG)、(2)反復単位−4)−α−D−ガラクツロン酸−(1,2)−α−L−ラムノース−(1−を含むラムノガラクツロナンI(RG−I)、および(3)高度に分枝したD−ガラクツロン酸骨格を有するラムノガラクツロナンII(RG−II)が区別される。ガラクツロン酸残基のカルボキシル基のうちのいくつかが、主としてメチルエステルとして、エステル化されている。エステル化度は、0−90%まで変化し得る。50%未満のカルボキシル基がエステル化されているペクチンは通常、「低エステル化」ペクチンと分類される。エステル化度が、ペクチンの物理的特性および化学的特性を強力に決定する。
さらに別の好ましい実施形態において、本発明による種子処理のための組成物中に存在する前記種子結合タンパク質、より好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、4つのフレームワーク領域および3つの相補性決定領域、またはこれらの適切な断片のいずれか(この場合、これは、相補性決定領域のうちの少なくとも1つを形成するアミノ酸残基のうちの少なくともいくつかを通常含有する。)を含む。より好ましくは、本発明による種子処理のための組成物中に存在する前記種子結合タンパク質、より好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、重鎖ラクダ科抗体に由来し、さらにより好ましくは、前記抗原結合タンパク質は、VHH配列を含む。重鎖ラクダ科抗体、およびVHHに由来する配列は、当業者に公知である。ラクダ科抗体は、とりわけ、参照により本明細書に組み込むWO9404678およびWO2007118670に記載されている。最も好ましくは、前記VHHは、配列番号1から配列番号11(VHH 6B5、6D7、6D11、6F2、6H4、7A5、7A7、7E9、8A4、8D6および12C3)もしくはこれらの適切な断片のいずれか(この場合、これは、相補性決定領域のうちの少なくとも1つを形成するアミノ酸残基のうちの少なくともいくつかを通常含有する。)、またはこれらの相同体からなる群から選択される配列を含み、好ましくは、配列番号1から配列番号11(VHH 6B5、6D7、6D11、6F2、6H4、7A5、7A7、7E9、8A4、8D6および12C3)もしくはこれらの適切な断片のいずれか(この場合、これは、相補性決定領域のうちの少なくとも1つを形成するアミノ酸残基のうちの少なくともいくつかを通常含有する。)、またはこれらの相同体からなる群から選択される配列からなる。相同体は、本明細書で使用する場合、それぞれまたは任意のフレームワーク領域およびそれぞれまたは任意の相補性決定領域が、BLASTpアラインメントにおいて測定される場合、参照配列中の対応する領域に対して、少なくとも80%の同一性、好ましくは、少なくとも85%の同一性、より好ましくは、90%の同一性、さらにより好ましくは、95%の同一性を示す場合の配列である(すなわち、FR1_相同体対FR1_参照、CDR1_相同体対CDR1_参照、FR2_相同体対FR2_参照、CDR2_相同体対CDR2_参照、FR3_相同体対FR3_参照、CDR3_相同体対CDR3_参照、およびFR4_相同体対FR4_参照)(Altschulら、1997年;KabatによるFRおよびCDRの定義)。
さらに別の好ましい実施形態において、植物種子は、作物種子である。「作物」または「換金作物」は、本明細書で使用する場合、生長して、食品として、家畜飼料として、燃料の原材料としてまたは任意のその他の経済的目的で収穫される植物の種または亜種を意味する。非限定的な例として、前記作物は、トウモロコシ;穀類、例として、小麦、ライ麦、大麦および燕麦、モロコシ、米;サトウダイコンおよび飼料用ビート;果実、例として、ナシ状果果実(例えば、リンゴおよびナシ)、柑橘類果実(例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツもしくはマンダリン)、核果(例えば、桃、ネクタリンもしくはプラム);木の実(例えば、アーモンドもしくはクルミ)、柔らかい果実(例えば、サクランボ、イチゴ、ブラックベリーもしくはラズベリー);プランテーン科もしくはブドウ、マメ科の作物、例として、ソラ豆、レンズマメ、エンドウおよび大豆;油料作物、例として、ヒマワリ、ベニバナ、菜種、セイヨウアブラナ、ヒマシもしくはオリーブ;ウリ科の植物、例として、キュウリ、メロンもしくはカボチャ;繊維植物、例として、綿、亜麻もしくは麻;燃料作物、例として、サトウキビ、ススキもしくはスイッチグラス;野菜、例として、ジャガイモ、トマト、トウガラシ、レタス、ホウレンソウ、タマネギ、ニンジン、ナス、アスパラガスもしくはキャベツ;観賞用植物、例として、花(例えば、ペチュニア、ペラルゴニウム、バラ、チューリップ、ユリもしくはキク);低木;広葉樹(例えば、ポプラもしくはヤナギ)および常緑樹(例えば、針葉樹);草、例として、芝生(lawn)、芝草(turf)もしくは飼料草;またはその他の有用な植物、例として、コーヒー、茶、タバコ、ホップ、コショウ、ゴムもしくはラテックス植物であり得る。好ましい作物は、トウモロコシ、小麦、モロコシ、ライ麦、大豆、米、綿、セイヨウアブラナ、ヒマワリ、サトウダイコン、ジャガイモ、野菜、花、芝草および飼料草からなる群から選択される。
また、本発明は、本発明による種子処理のための組成物を製造するための方法も網羅し、前記方法は、(i)少なくとも1つの本発明による種子結合タンパク質を、好ましくは、より多くの本発明による種子結合タンパク質を、さらなる定義に従う標的化剤中に含める場合であってもまたは含めない場合であっても、選択するステップ、(ii)前記種子結合タンパク質(複数可)を、植物増強剤または植物増強剤の組合せにカップリングするステップ、ならびに場合によって、(iii)上記の記載に従う(湿潤および分散のための添加剤、増粘剤、着色剤、泡消剤、接着剤、固体の担体ならびに/または溶媒等の)、種子処理のための組成物に適切であり得るさらなる構成成分を添加するステップを含む。好ましくは、前記植物増強剤は、担体中に含まれ、より好ましくは、前記種子結合タンパク質(複数可)は、植物増強剤を含む担体にカップリングされる。
本発明の第2の態様は、植物種子を処理するための方法であり、前記方法は、(1)本発明による種子処理のための組成物を調製するステップ、および(2)前記組成物を種子に適用するステップを含む。
種子処理のための組成物を種子に適用するための方法は、当業者に公知であり、これらの方法として、これらに限定されないが、種子の粉衣、種子を浸すこと、種子のコーティング、フィルムコーティング、多層コーティング、表面を覆うこと、丸くすること、ペレッティングまたは前述の任意の組合せが挙げられる。本発明の種子を処理するための方法には、上記した種子処理のための方法のうちのいずれかを使用して、個々の種子1つに、本発明による種子処理のための組成物を適用すること、またはより多くの種子に同時に、本発明による種子処理のための組成物を適用することが関与する。本発明の種子処理のための組成物は、これ自体として使用され得、または適切な溶媒、好ましくは、水中に、最初に希釈されてから、1つもしくは複数の種子に適用され得る。本発明の組成物を、種子上に、スプレーしても、滴らせてももしくは注いでもよく、または種子を、これらに限定されないが、ドラムコーティング装置、流動床による技法、回転式コーティング装置、回転静止型(rotastatic)種子処理器、ローラーミルによる方法、側口型の皿、タンブル混合機、噴流床等を含めた、適切な機器および技法を使用して、種子処理のための組成物中に浸してももしくは浸漬してもよい。種子は、収穫された状態で処理され得るが、また、種子は、種子処理のための組成物を用いて処理される前に、任意の種類の前処理を受けることもできる。適切な前処理として、これらに限定されないが、清浄化、種子を、サイズ、重量、密度によりもしくは発芽効力により選別すること、種子の殺菌もしくは駆除、および/または種子の予備刺激もしくは発芽前処理を、種子を水中に浸し、種子を再び乾燥する等の方法により行うこともしくは浸透圧調節(osmoconditioning)やその他の適切な方法により行うことが挙げられる。種子は、収穫と種子の播種または種まきとの間の任意の時期に処理され得る。通常、種子は、種子の播種または種まきの前に、種子処理のための組成物を用いて処理され、処理後に、長期間にわたる保存を可能にするために乾燥される。あるいは、種子は、播種または種まきの直前に処理され得、例えば、種子の粉衣は、播種の直前に、先立って穀類種子に適用され得、または種子処理のための組成物は、米の種子が、水田に播種される前に、水中にあらかじめ浸される際に、米の種子に適用され得る。さらに別の場合には、種子処理のための組成物は、播種または種まきと同時に、種子に適用してもまたは種子に非常に近いところに適用してもよく、WO98/25445およびWO2006/112700に記載されているもの等の特別なデバイスおよび方法が、そうするために活用され得る。
好ましくは、種子を処理するための方法は、種子に損傷を与えることもなく、その中に含まれる農芸化学的活性物質または植物増強剤を分解するまたは不活性化させることもないような方法である。別の好ましい実施形態において、種子を処理するための方法は、種子の発芽を誘発することもなく、種子の発芽を遅延させるまたは阻害することもないような方法である。好ましくは、種子を処理するための方法は、種子上に種子処理のための組成物の均等な分布をもたらすような方法であり、またはあるいは、種子表面にわたり、例えば、主に種子の発芽部位において、種子処理のための組成物の非常に特異的な分布をもたらすような方法でもある。さらにより好ましくは、この方法は、種子処理のための組成物中に存在する種子結合タンパク質(複数可)、より好ましくは、抗原結合タンパク質(複数可)が種子に結合するのを可能にするような方法である。
本発明の第三の態様は、4つのフレームワーク領域および3つの相補性領域、またはこれらの適切な断片のいずれかを含むアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗原結合タンパク質を含む(したがって少なくとも1つの相補性決定領域を形成するアミノ酸残基の少なくとも一部を通常含有する。)組成物で処理された植物種子である。
4つのフレームワーク領域および3つの相補性領域、またはこれらの適切な断片のいずれかを含むアミノ酸配列を含む前記抗原結合タンパク質は、好ましくは植物種子に特異的に結合し、より好ましくはそれにより植物増強剤または(既に定義の)植物増強剤の組合せを(担体中に含まれているか否かにかわらず)植物種子に結合させることができる。しかし4つのフレームワーク領域および3つの相補性領域、またはこれらの適切な断片のいずれかを含むアミノ酸配列を含む前記抗原結合タンパク質(種子処理のための組成物中に含まれる。)それ自体が(さらに定義される。)農薬活性物質としても作用できることも想定される。確かに4つのフレームワーク領域および3つの相補性領域、またはこれらの適切な断片のいずれかを含むアミノ酸配列は、非限定的例としてそれ自体が抗真菌性(例えば真菌増殖の妨害により)、殺虫性または殺線虫性(例えば非常に重要な消化酵素活性の阻害により)を有しうる。
好ましくは、4つのフレームワーク領域および3つの相補性領域、またはこれらの適切な断片のいずれかを含むアミノ酸配列を含む少なくとも1つの抗原結合タンパク質を含む種子処理のための前記組成物は、本発明による組成物である。より好ましくは前記抗原結合タンパク質はラクダ科抗体重鎖由来であり、さらにより好ましくは前記抗原結合タンパク質はVHH配列を含み、最も好ましくは前記抗原結合タンパク質は、配列番号1−配列番号11もしくはこれらの適切な断片のいずれか(したがって少なくとも1つの相補性決定領域を形成するアミノ酸残基の少なくとも一部を通常含有する。)またはこれらの相同体からなる群から選択されるVHHである。
本発明による組成物での植物種子の処理は、既に記載の任意の方法を用いて種子の播種前の任意の時期、播種の直前または播種中であってよい。
好ましい一実施形態では、本発明による組成物で処理された種子および/または処理された種子から新生する実生および/または本発明による組成物で処理された種子に非常に近いところに播種された種子および/または本発明による組成物で処理された種子に非常に近いところに播種された種子から新生する実生は、種子伝染性および/または土壌伝染性の病原体から保護される。本明細書において使用される「種子伝染性病原体」は、植物種子と共に、植物種子の表面上でまたは中で運ばれる宿主に感染できる生体(例えば胞子、菌糸、菌核、細胞)を介して植物の病気を引き起こす病原体を意味する。種子伝染性病原体の例は、真菌(例えばチレチア・トリチシ(Tilletia tritici)、ウスチラゴ・ヌーダ(Ustilago nuda))、細菌(例えばシュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae))またはウイルス(例えばレタスモザイクウイルス(lettuce mosaic virus))を含む。本明細書において使用される土壌伝染性病原体は、土壌から植物に来る宿主に感染できる生体(例えば胞子、菌糸、菌核、細胞)を介して植物の病気を引き起こす病原体を意味する。土壌伝染性病原体の例は、真菌(例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani))、細菌(例えばエルウィニア(Erwinia))、ウイルス(例えばレタスネクロティックスタントウイルス(lettuce necrotic stunt virus))および線虫(例えばメロイドギネ(Meloidogyne))を含む。本明細書において使用される「種子伝染性および/または土壌伝染性の病原体から保護される」は、処理された種子または処理された種子から新生する実生が、本発明による組成物を適用されていない種子またはそれらから新生する実生と比較して、種子伝染性および/または土壌伝染性の病原体によって冒されないまたは非常に少ない程度冒されることを意味する。本明細書において使用される「非常に近いところ」は、処理された種子から10cm以内の距離、好ましくは処理された種子から5cm以内の距離、より好ましくは処理された種子から2cm以内の距離、最も好ましくは処理された種子から1cm以内の距離を意味する。
本発明による組成物で処理された種子は、種子処理のための組成物中に存在する(担体中に含まれているか否かにかかわらず)植物増強剤(複数可)に結合した種子結合タンパク質、好ましくは抗原結合タンパク質の種子への高親和性結合から(本発明による組成物を適用されていない種子と比較して種子伝染性および/もしくは土壌伝染性の病原体からの長期間の種子の保護を生じうるならびに/または種子伝染性および/もしくは土壌伝染性の病原体からの処理された種子の適切な保護を提供するために種子処理のための組成物中に存在する必要がある植物増強剤の量の低減をもたらしうる。)恩恵を受ける。好ましくは植物増強剤は、殺真菌剤、殺線虫剤、殺虫剤、殺菌剤または殺ウイルス剤からなる群から選択される。種子伝染性および土壌伝染性の病原体を処理するために適切な農薬活性物質の例は、これだけに限らないがカプタン、チラム、メタラキシル、フルジオキソニル、ジネノコナゾール、イプロジオン、テブコナゾール、カルボキシン、ミクロブタニル、フルトリアホール、トリアジメノール、トリチコナゾール、イミザリル、ビテルタノール、フルオキサストロビン、アゾオキシストロビン、ペンシクロン、トリアゾキシド、マンコゼブおよびPCNBを殺真菌剤として、テルブホス、クロルピリホス、フィプロニル、クロレトキシフォス、テフルトリン、カルボフラン、テブピリミホス、イミダクロプリド、チオメトキサム、シペルメトリン、トリフルムロン、クロラントラニリプロールおよびメチオカルブを殺虫剤として、アバメクチン、チオジカルブおよびアルドキシカルブを殺線虫剤として、ならびにストレプトマイシン、ペニシリン、テトラサイクリン、アンピシリンおよびオキソリニン酸を殺菌剤として含む。同様に好ましくは、種子は、土壌伝染性病原体から(特にライ麦種子を冒す雪腐病などの冬期に雪床下に生じる病原体から)長期間の保護が必要な秋蒔き種子に関して特に有利な緩徐放出または遅延放出のための組成物に含まれる、植物増強剤の1つまたは組合せを含む種子処理のための組成物で処理される。
別の好ましい実施形態では、本発明による組成物で処理された種子からおよび/または処理された種子に非常に近いところ(上に定義のとおり)に播種された種子から新生する実生は、植物の害虫および/または病気によって引き起こされる損傷から保護されうる。本明細書において使用される「植物の害虫および/または病気」は、地面もしくは大気から植物に来る宿主に感染できる生体(例えば胞子、菌糸、昆虫)を介して植物に損傷を引き起こすおよび/または植物の病気を引き起こす病原体を意味する。植物の害虫および/または病気の例は、昆虫、ダニまたはカタツムリ、真菌、ウイルスを含む。本明細書において使用される「植物の害虫および/または病気から保護される」は、処理された種子からまたは処理された種子に非常に近いところ(上に定義のとおり)に播種された種子から新生する実生が、本発明による組成物を適用されていない種子またはそれらから新生する実生と比較して、植物の害虫および/または病気によって冒されないまたは非常に少ない程度で冒されることを意味する。
本発明による組成物で処理された種子は、種子処理のための組成物中に存在する(担体中に含まれているか否かにかかわらず)植物増強剤(複数可)に結合した種子結合タンパク質、好ましくは抗原結合タンパク質の種子への高親和性結合から(本発明による組成物を適用されていない種子と比較して、植物の害虫および/もしくは病気からの長期間の実生の保護を生じうる、ならびに/または処理されたものから新生する実生の適切な保護を提供するために種子処理のための組成物中に存在する必要がある植物増強剤の量の低減をもたらしうる。)恩恵を受ける。好ましくは植物増強剤は、殺線虫剤、殺ダニ剤、ダニ駆除剤、軟体類駆除剤、殺真菌剤、殺菌剤または殺ウイルス剤からなる群から選択される。植物の害虫および/または病気によって引き起こされる損傷から保護するために適切な農薬活性物質の例は、これだけに限らないがメタラキシル、フルジオキシニル、カルベンダジム、イプコナゾール、カルボキシン、チアベンダゾール、フルキノコナゾール、カルプロパミド、フベリダゾール、プロクロラズ、オキサジキシル、プロチオコナゾールおよびチフルザミドを殺真菌剤として、イミダクロプリド、クロチアニジン、チオメトキサム、チオジカルブおよびアルドキシカルブを殺虫剤として含む。同様に好ましくは種子は、浸透移行性活性を有し、実生の根系によって取り込まれ、生長する実生の地上部に輸送され、新生する実生への表面処理農薬組成物を適用する必要性を減少させることができる植物増強剤の1つまたは組合せを含む種子処理のための組成物で処理される。
さらに別の好ましい実施形態では、本発明による組成物で処理された種子および/または、本発明による組成物で処理された種子から新生する実生および/または処理された種子に非常に近いところ(上に定義のとおり)に播種された種子は、雑草および/またはその他の望まれない植物によって引き起こされる損傷から保護されうる。本明細書において使用される「雑草および/またはその他の望まれない植物によって引き起こされる損傷から保護される」は、処理された種子ならびに/または処理された種子からおよび/もしくは処理された種子に非常に近いところ(上に定義のとおり)に播種された種子から新生する実生が、本発明による組成物を適用されていない種子またはそれらから新生する実生と比較して、雑草および/またはその他の望まれない植物によって引き起こされる損傷に冒されないまたは非常に少ない程度で冒されることを意味する。種子処理のための組成物中に含まれる植物増強剤が除草剤である場合そのような保護は直接的であってよく、種子処理のための組成物中に含まれる植物増強剤が安全化剤である場合にそれは間接的であってよく、この場合新生植物の保護は除草剤の葉への適用と共に完了する必要がある。本明細書において使用される「安全化剤」は、除草剤損傷から作物を保護する農薬活性物質(さらに定義されるとおり)である。
本発明による組成物で処理された種子は、種子処理のための組成物中に存在する(担体中に含まれているか否かにかかわらず)植物増強剤(複数可)に結合した種子結合タンパク質、好ましくは抗原結合タンパク質の種子への高親和性結合から(本発明による組成物で処理されていない種子と比較して雑草および/もしくはその他の望まれない植物によって引き起こされる損傷からの長期間の実生の保護を生じうる、ならびに/または処理された種子から新生する実生の適切な保護を提供するために種子処理のための組成物中に存在する必要がある植物増強剤の量の低減をもたらしうる。)恩恵を受ける。好ましくは植物増強剤は、除草剤および安全化剤からなる群から選択される。雑草および/またはその他の望まれない植物によって引き起こされる損傷から保護するための適切な農薬活性物質の例は、これだけに限らないがトリアスルフロンおよびクロマゾンを除草剤としてならびにクロキントセット−メチル、シオメトリニル、フルラゾール、フルキソフェニム、メフェンピル−ジエチル、ナフタリックアンヒドリドおよびオキサベトリニルを安全化剤として含む。
さらに別の好ましい実施形態では、本発明による種子処理のための組成物で処理された種子および/もしくは処理された種子に非常に近いところ(上に定義のとおり)に播種された種子から新生する実生は、増強された収穫高を有しうる。本明細書において使用される「増強された収穫高」は、同一条件下だが対象の方法を適用せずに産生された植物の収穫可能な同じ産生物の収穫高に対する植物の収穫可能な産生物の収穫高における測定可能な程度の増加を意味する。好ましくは収穫高は1%以上増加し、より好ましくは収穫高は1.5%以上増加し、さらにより好ましくは収穫高は2%以上増加し、最も好ましくは収穫高は2.5%以上増加する。収穫高増強化合物は当業者に周知であり、これだけに限らないがオーキシン、ジベリリン、nodファクターなどの植物成長調節剤およびバチルス・サブチリス(Bacilis subtilis)などの微生物を含む。しかし、例えば殺真菌剤、殺虫剤、殺線虫剤および除草剤も収穫高の損失を予防することによる収穫高増強効果を有することは当業者に明らかである。
本発明による組成物で処理された種子は、種子処理のための組成物中に存在する植物増強剤の種子への高親和性結合から(本発明による組成物を適用されていない種子と比較して増強された収穫高を生じうるおよび/または測定可能に増強された収穫高を生じるために種子処理のための組成物中に存在する必要がある植物増強剤の量の低減をもたらしうる。)恩恵を受ける。好ましくは植物増強剤は、肥料、微量栄養素、植物成長調節物質、ストレス保護剤、保水剤、植物誘導物質、微生物剤または植物ホルモンからなる群から選択される。
本発明による組成物で処理された植物種子は、粉衣種子、フィルムコート種子、エンクラスト種子、ミニピル、スタンダードピル、スプリットピルの形態または任意の他の適切な形態であってよい。好ましくは本発明による処理された種子は、発芽能力または作物収穫高を失うことなく長期間保存されうる。好ましくは本発明による組成物で処理された植物種子の発芽は、誘導されず、遅延されず、抑制されない。
好ましい実施形態では植物種子は、上に定義の作物の種子である。より好ましくは植物種子は、トウモロコシ、小麦、モロコシ、ライ麦、大豆、米、綿、セイヨウアブラナ、ヒマワリ、サトウダイコン、ジャガイモ、野菜、花、芝草および飼料草からなる群から選択される作物由来の種子である。
別の好ましい実施形態では植物種子は、改良された作物の種子である。本明細書において使用される「改良された作物」は、遺伝的に改変されたまたはそうでなければ自然選択、マーカー利用選択もしくはゲノム選択または、野生型作物に対して改良された形質を有するようにするための(分子)突然変異育種技術をこれだけに限らないが含む従来の育種方法によって選択された作物を意味する。改良された作物の例は、これだけに限らないがグリホサート耐性作物、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)毒素発現作物、作物の病気耐性変種、増強された収穫高を有するハイブリッド作物変種などを含む。
本発明の第四の態様は、(i)本発明による組成物で種子を処理するステップ、および(ii)処理された種子を播種するステップ、のステップを含む方法であり、前記組成物が:
(a)植物種子を種子伝染性および/もしくは土壌伝染性の病原体から保護する;ならびに/または
(b)処理された種子からおよび/もしくは処理された種子に非常に近いところで生長する植物を害虫および/もしくは病気によって引き起こされる損傷から保護するならびに/または
(c)植物種子ならびに/または処理された種子からおよび/もしくは処理された種子に非常に近いところで生長する植物を雑草および/もしくはその他の望まれない植物によって引き起こされる損傷から保護するならびに/または
(d)処理された種子からおよび/もしくは処理された種子に非常に近いところで生長する植物の収穫高を増強する
方法である。
本発明による種子処理のための組成物で植物種子を処理するステップおよび次いでこれらを播種するステップは(それにより組成物は、そのように処理された種子を種子感染性および/もしくは土壌伝染性の病原体からより良く保護する、ならびに/または新生作物を植物の害虫および/もしくは病気から保護する、ならびに/または種子および/もしくは新生植物を雑草および/またはその他の望まれない植物によって引き起こされる損傷から保護する、ならびに/または収穫高の増強をもたらす)、上に記載の本発明の方法により処理されずに播種された種子と比較してより均一な作物の生長および収穫およびしたがって改善された作物の品質に全て寄与できる。
本発明の第五の態様は、4つのフレームワーク領域および3つの相補性決定領域、またはこれらの適切な断片のいずれかを含む(したがって少なくとも1つの相補性決定領域を形成するアミノ酸残基の少なくとも一部を通常含有する。)アミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質である種子結合タンパク質である。
好ましくは前記抗原結合タンパク質は、高収量で容易に(好ましくは微生物組換え発現系において)産生され、続いて簡便に単離および/または精製される。同様に好ましくは前記抗原結合タンパク質は、抗原結合タンパク質の完全性が保存および/または利用条件下(温度上昇、凍結融解サイクル、pHもしくはイオン強度の変化、UV照射、有害化学物質の存在などを含み得る。)で維持されることを意味して、保存中および利用中の両方において安定である。より好ましくは前記抗原結合タンパク質は、下に定義の農薬製剤中において安定である。最も好ましくは前記抗原結合タンパク質は、外気温で2年間まで保存された場合または54℃で少なくとも2週間保存された場合に農薬製剤(さらに定義されるとおり)中で安定を維持する。
抗原結合タンパク質の植物種子上の標的分子への結合は、好ましくは高親和性で生じる:典型的には抗原結合タンパク質と種子上の標的分子との間の結合の解離定数は10−5未満、より好ましくは解離定数は10−6未満、さらにより好ましくは解離定数は10−7未満、最も好ましくは解離定数は10−8未満である。好ましくは抗原結合タンパク質のその標的分子への結合は、さまざまな抗原の均一なまたは不均一な混合物中に存在する特定の抗原に抗原結合タンパク質が優先的に結合することを意味して特異的である。抗原結合タンパク質の結合の特異性は、抗原結合タンパク質のその標的分子への結合が抗原結合タンパク質の無関係な分子への結合とおよび抗原結合タンパク質の反応容器への非特異的粘着と比較される実施例2に記載のELISAなどの方法によって分析されうる。特定の実施形態では特異的結合相互作用は、試料中の望ましい抗原と望まれない抗原との間を、いくつかの実施形態では約10を超えるから100倍以上(例えば約1000または10,000倍を超えて)で識別する。好ましくは抗原結合タンパク質のその標的分子への結合は、低温または高温、低いまたは高いpH、低いまたは高いイオン強度、UV照射、低湿度、低水分ポテンシャル、変性化学物質の存在などの過酷な条件下でさえも機能する。好ましい一実施形態では前記過酷な条件は、pH範囲4から9、より好ましくはpH範囲3から10、さらにより好ましくはpH範囲2から10、最も好ましくはpH範囲1から11によって定義される。別の好ましい実施形態では前記過酷な条件は、温度範囲4−50℃、より好ましくは温度範囲0−55℃、さらにより好ましくは温度範囲0−60℃によって定義される。別の好ましい実施形態では前記過酷な条件は、湿度50%未満、好ましくは湿度40%未満、より好ましくは湿度30%未満、さらにより好ましくは湿度25%未満、最も好ましくは湿度20%未満によって定義される。さらに別の好ましい実施形態では前記過酷な条件は、水分ポテンシャル−0.5MPa未満、好ましくは水分ポテンシャル−0.75MPa未満、より好ましくは水分ポテンシャル−1MPa未満、さらにより好ましくは水分ポテンシャル−1.5MPa未満、最も好ましくは水分ポテンシャル−2MPa未満によって定義される。さらに別の好ましい実施形態では前記過酷な条件は、上に記載の種子処理のための方法において一般的な条件として定義される。
好ましくは前記抗原結合タンパク質は、ラクダ科抗体由来である。より好ましくは前記抗原結合タンパク質は、VHH配列に含まれる。最も好ましくは前記抗原結合タンパク質は、配列番号1−配列番号11(VHH 6B5、6D7、6D11、6F2、6H4、7A5、7A7、7E9、8A4、8D6および12C3)もしくはこれらの適切な断片のいずれかからなる群から選択されるVHH配列またはこれらの相同物に含まれる。好ましくは前記抗原結合タンパク質は植物細胞壁構成成分に結合している。より好ましくは前記抗原結合タンパク質はヘミセルロース、ペクチン多糖、リグニン、スベリンまたはクチンからなる群から選択される植物細胞壁構成成分に結合している。さらにより好ましくは本発明による抗原結合タンパク質は、多糖に結合する。好ましくは前記多糖には、他の化合物が混入しておらず、少なくとも85%w/w、好ましくは90%w/w、より好ましくは95%w/w、さらにより好ましくは98%w/w、最も好ましくは99%w/wの純度を有する。好ましくは前記多糖は、構造多糖および/またはヘテロ多糖である。さらにより好ましくは本発明による前記抗原結合タンパク質は、ペクチンに結合しており、好ましくは前記ペクチンは低エステル化ホモガラクツロナンを含む。
好ましい一実施形態では前記多糖、好ましくは前記ヘテロ多糖または構造多糖、より好ましくは前記ペクチン多糖は、非限定的例としての果汁中のペクチンのように溶液中にある。別の好ましい実施形態では、前記多糖、好ましくは前記ヘテロ多糖または構造多糖、より好ましくは前記ペクチン多糖は、非限定的例としての種子表面などの固体表面中に含まれる。さらに別の好ましい実施形態では、前記多糖、好ましくは前記ヘテロ多糖または構造多糖、より好ましくは前記ペクチン多糖は、植物、塊茎または鱗茎の野菜増殖のために用いられる挿し木などの野菜材料に含まれる。
さらに別の実施形態では、上記抗原結合タンパク質またはこれらの機能性断片のいずれかをコードする核酸配列も本発明の一部である。本発明は、前記アミノ酸配列に基づく人工的結合ドメインを構築するために植物種子、好ましくは植物細胞壁構成成分、より好ましくは(ペクチン)多糖への特異的結合に関与するアミノ酸配列を単離するための、本発明による任意の抗原結合タンパク質の使用も包含する。実際に本発明による抗原結合タンパク質では、フレームワーク領域および相補性決定領域は周知であり、抗原結合タンパク質の誘導体、同様に植物種子への結合、好ましくは同じ植物細胞壁構成成分への、より好ましくは同じ(ペクチン)多糖への結合の研究は、植物種子との、好ましくは植物細胞壁構成成分との、より好ましくは(ペクチン)多糖との結合に関与する必要不可欠なアミノ酸を推定することを可能にする。この知識は、最小抗原結合タンパク質を構築するためおよびこれらの誘導体を作製するために用いられうる。
さらに本発明は、上記抗原結合タンパク質またはこれらの機能性断片のいずれかをコードする核酸配列を含む発現ベクターおよびそのような発現ベクターを発現する宿主細胞も想定する。適切な発現系は、細菌もしくは酵母での構成的および誘導性発現系、バキュロウイルス、セムリキ・フォレストウイルス(Semliki forest virus)およびレンチウイルスなどのウイルス発現系、または昆虫細胞もしくは哺乳動物細胞での一過性形質転換を含む。適切な宿主細胞は、イー・コリ(E.coli)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などを含む。適切な動物宿主細胞は、HEK293、COS、S2、CHO、NSO、DT40などを含む。抗原結合タンパク質のクローニング、発現および/または精製は、当業者に周知の技術により実施されうる。
VHHの天然または合成ライブラリー(そのようなライブラリーの例としてWO9937681、WO0043507、WO0190190、WO03025020およびWO03035694を参照されたい。)は、植物種子への適切な結合剤を含みうるが、本発明の好ましい実施形態は、動物の免疫系を植物細胞壁構成成分に暴露するための数個の植物細胞壁構成成分の1つまたは組合せでのラクダ科種の個体の免疫化を含む。したがって本明細書にさらに記載されるとおり、そのようなVHH配列は、いくつかの植物細胞壁構成成分の1つまたは組合せでラクダ科種を適切に免疫化するステップによって、前記ラクダ科種から適切な生物学的試料(血液試料またはB細胞の任意の試料など)を入手するステップによっておよび前記試料から出発して所望の植物細胞壁構成成分に対するVH配列を生成するステップによって好ましくは生成されうるまたは入手されうる。そのような技術は、当業者に明らかである。所望のVHH配列を入手するためのさらに別の技術は、それ自体が周知である任意の適切な技術を用いて重鎖抗体を発現できるトランスジェニック哺乳動物を適切に免疫化する(すなわち植物細胞壁構成成分に対する免疫応答および/または重鎖抗体を生じさせるための)ステップ、前記トランスジェニック哺乳動物から適切な生物学的試料(血液試料またはB細胞の任意の試料など)を入手するステップおよび次いで前記試料から出発して前記植物細胞壁構成成分に対するVHH配列を生成するステップを含む。例えばこの目的のために、重鎖抗体発現マウスならびにWO02085945およびWO04049794に記載のさらなる方法および技術は使用されうる。
したがって本発明は、本発明による抗原結合タンパク質を生成する方法を包含する。非限定的例として、
(i)動物を植物細胞壁構成成分の複合混合物で免疫化するステップ、および
(ii)多糖に富む植物抽出物に結合する抗原結合タンパク質を選択するステップ;および
(iii)(ペクチン)多糖に特異的に結合する抗原結合タンパク質に関してスクリーニングするステップ
を含む、多糖、好ましくはペクチン多糖に特異的に結合する抗原結合タンパク質を生成するための方法が提供される。
非限定的例として、植物細胞壁構成成分に特異的に結合する抗原結合タンパク質に関するスクリーニングは、それらの表面に重鎖抗体を発現する細胞のセット、収集物もしくはライブラリー(例えば適切に免疫化されたラクダから得られたB細胞)を、もしくはgenIIIとVHHとの融合体をそれらの表面に提示するバクテリオファージをスクリーニングするステップによって、VHH配列の(無処理もしくは免疫)ライブラリーのスクリーニングステップによって、またはVHH配列をコードする核酸配列の(無処理もしくは免疫)ライブラリーのスクリーニングによって例えば実施されることができ、全てそれ自体が周知であるやり方で実施されることができ、方法は場合によって非限定的に例えば親和性成熟のステップ、所望のアミノ酸配列を発現するステップ、所望の植物細胞壁構成成分に対する結合についておよび/もしくは活性についてスクリーニングするステップ、所望のアミノ酸配列もしくは核酸配列を決定するステップ、1つもしくは複数の核酸置換を導入するステップ、適切な多価および/もしくは多特異性形式に形式化するステップ、所望の生物学的および/もしくは生理学的特性についてスクリーニング(すなわち当技術分野において周知の適切なアッセイを用いる。)するステップ、ならびに/またはそのようなステップの1つもしくは複数の任意の組合せを任意の順番でなどの1つまたは複数の他の適切なステップをさらに含むことができる。
本発明の第六の態様は、本発明による種子結合タンパク質の使用である。
好ましい一実施形態では、種子結合タンパク質、好ましくは本発明による抗原結合タンパク質、最も好ましくは配列番号1−11またはこれらの適切な断片のいずれかからなる群から選択されるVHHは、植物増強剤を植物種子に結合させるために用いられる。上に説明の前記種子結合タンパク質、好ましくは前記抗原結合タンパク質は、植物増強剤または植物増強剤を含む担体に結合されることができ、それにより前記種子結合タンパク質、好ましくは前記抗原結合タンパク質は、前記植物増強剤を特異的方法で種子に結合させることができる、好ましくは保持させることができる。しかし、4つのフレームワーク領域および3つの相補性決定領域またはこれらの適切な断片のいずれかを含むアミノ酸配列を含む本発明による植物種子結合タンパク質、特に多糖抗原結合タンパク質が他の使用のために適用されうることは当業者に明らかである。
別の好ましい実施形態では、前記種子結合タンパク質、好ましくは前記抗原結合タンパク質は、試料中の多糖の存在および/または濃度を決定するために用いられる。抗体を用いて化合物、例えば多糖の存在および/または濃度を決定するための方法は、当業者に周知であり、これだけに限らないが免疫沈降、蛍光免疫測定、放射免疫測定(RIA)、酵素結合免疫吸着測定(ELISA)および磁気免疫測定(MIA)を含む。種子結合タンパク質、好ましくは本発明による抗原結合タンパク質は、化合物の検出および/または定量を促進するために標識化されうる。抗原結合タンパク質の標識化は、当業者に周知であり、直接標識化および間接標識化を含む。直接標識化では、抗原結合タンパク質それ自体が、これだけに限らないが呈色標識、蛍光標識、放射活性標識または磁気粒子などの直接検出可能な標識によって標識化される。蛍光標識は、特に有用であり、これだけに限らないがフルオレセインイソチオシアネート(FITC)および他のフルオレセイン誘導体、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)および他のローダミン誘導体、R−ピコエリスリン蛍光タンパク質(R−PE)およびR−PE:シアニン−5およびアロフィコシアニンを含む。代替的に標識化は、間接的方法によっても実行されうる。この場合種子結合タンパク質、好ましくは本発明による抗原結合タンパク質は、検出可能な二次化合物に結合されうる、または、それ自体は直接検出可能ではないが検出可能な二次化合物に結合することによって検出されうるタグに融合もしくは結合される。検出が、これだけに限らないが化合物の連続的結合または結合後の標識の活性化などの一連の事象の結果であってよいことは当業者に明らかである。
本明細書において使用される「試料」は、1つまたは複数の多糖の存在および/または濃度について分析したい全体を代表する一部、一片またはセグメントである。前記試料は、全体から取り出された一部であってよく、または発酵中にバイオセンサーによってオンラインで測定される試料の場合は代表的な地点および/または時点で測定される全体であってもよい。非限定的例として前記試料は、前記多糖のアレルゲン能との関連で、または食品の品質パラメーターを変化させる(保存期間の変化など)多糖の求められるもしくは求められない物理的、化学的または微生物学的特徴との関連で多糖の存在または濃度が決定されるまたは変更される必要がある食品試料であってよい。非限定的例としてペクチン脱エステル化は、成熟中の果実の軟化において重要な役割を演じ(Goulao、2010)、果実軟化事象における脱エステル化の役割を理解することにおいてペクチン構造の決定は必要不可欠である。果実成熟の際にとりわけ有用なペクチン多糖の免疫プロファイリングは、当業者に周知であり、WillatsおよびKnox(1999)によって記載されている。別の例は、食品の保水能力を増大させるためまたは果汁および乳飲料の安定化のためのペクチンの使用である。付加的にペクチンは加工肉の保存期間を増加させることができ(Zheng et al.、1999)、ペクチンは食物繊維としてしばしば用いられる。
別の好ましい実施形態では、前記種子結合タンパク質、好ましくは抗原結合タンパク質は、試料から多糖を単離するために用いられる。多糖の単離は、混合物から多糖を精製するために用いられることができ、混入しているまたは他に望まれない多糖を試料から除去することを目的とする場合がある。化合物を単離するために抗体を用いる方法は、当業者に周知であり、これだけに限らないが免疫沈降および親和性クロマトグラフィーを含む。代替的に種子結合タンパク質、好ましくは本発明による抗原結合タンパク質は、膜濾過または同様の技術において用いられるために膜に結合されうる。具体的な実施形態では抗原結合タンパク質は、精製したい目的のタンパク質に融合されることができ、精製は混合物をマトリクスを含む多糖と接触させるステップによって実行される。前記単離および/または精製の非限定的例は、排水処理において見出されうる。実際にいくつかの果汁加工プラントの排水、特にコーヒー産業の排水は、ペクチンに富み、BODおよびCODが高い。化学的凝固を用いる精製および放射線照射での分解がCODを低下させるために提案されている(Zayas et al.、2007)。しかしこの方法は比較的高価である。免疫親和性工程を用いる精製(Harris、1999)は、有益な副流としてペクチンの回収を可能にする環境に優しい解決策である。種子結合タンパク質、好ましくは本発明による抗原結合タンパク質は、これらの産生費用が低いことおよび悪環境におけるこれらの安定性からこの目的に特に適している。
同様に、本発明によるペクチン抗原結合タンパク質は、ペクチンの産生において用いられうる。古典的産生方法は、原材料(柑橘類果皮など)の抽出、抽出材料からの分離および果汁からのペクチンのアルコール沈殿からなる。沈殿は、非選択的でありペクチンの混合物が生じる。本発明による抗原結合タンパク質の使用は、低費用で特定の画分を精製することを可能にする。
本発明の第七の態様は、少なくとも1つの種子結合タンパク質、好ましくは本発明による抗原結合タンパク質を含む農薬組成物である。
本明細書において使用される「農薬組成物」は、さらに定義される少なくとも1つの農薬活性物質を含み、場合によって農薬の最適な分散、微粒子化、成膜、葉湿潤化、分配、保持および/または取り込みを好都合にする1つまたは複数の添加剤を含む、さらに定義される農薬的使用のための組成物を意味する。非限定的例としてそのような添加剤は、希釈剤、溶媒、アジュバント、界面活性剤、湿潤剤、分離剤、油、展着剤、増粘剤、浸透剤、緩衝剤、酸性化剤、抗沈降剤、凍結防止剤、光保護材、消泡剤、殺生物剤および/またはドリフト調節剤である。
本明細書において使用される「農薬的使用」は、屋外で栽培される作物における使用のために適するおよび/または使用を目的とする上に定義の農薬組成物の使用を含むだけでなく、これだけに限らないが鱗茎、塊茎、果実および種子を含む植物または植物の部分を(例えば有害生物、病気または害虫から)保護するため、植物の生長を調節するため(好ましくは促進または増進するため)および/または植物もしくは収穫される植物の部分(例えば果実、花、種子など)の収穫高を促進するための温室栽培される作物(例えば園芸/草花栽培)もしくは水耕栽培系における使用または公共のもしくは民間の緑地(例えば民間の庭園、公園、運動場)における使用を意味する農薬組成物の使用、さらに家庭用の使用などの施設以外での(例えば家庭用の除草剤もしくは殺虫剤または生地もしくは木材を有害生物によって生じる損傷から保護するための薬剤)使用、または産業用使用(例えば汚染を防ぐためもしくは有害生物による損傷から保存品を保護するための薬剤)または害虫駆除専門家による使用(例えば望まれない昆虫およびげっ歯類などを駆除するための)を意味する農薬組成物の使用も含む。
本明細書において使用される「農薬活性物質」は、上に定義の農薬的使用のために用いられうる任意の活性物質または活性成分(active principle)を意味する。そのような農薬活性物質の例は、当業者に明らかであり、例えば殺虫剤(例えば家庭用殺虫剤を含む接触性殺虫剤、浸透移行性殺虫剤)、ダニ駆除剤、殺ダニ剤、除草剤(例えば家庭用除草剤を含む接触性除草剤、浸透移行性除草剤)、殺菌剤(例えば家庭用殺菌剤を含む接触性殺菌剤、浸透移行性殺菌剤)、殺線虫剤(例えば家庭用殺線虫剤を含む接触性殺線虫剤、浸透移行性殺線虫剤)および他の農薬(例えば殺鳥剤、軟体動物駆除剤、殺魚剤)または殺生物剤(例えば細菌、藻類または巻貝を殺すための薬剤)および生長促進剤;植物ホルモンなどの生長調節剤;微量栄養素、安全化剤;誘引物質;忌避剤;餌(例えば昆虫餌、巻貝餌);として活性な化合物ならびに/または標的植物(例えば保護される植物もしくは調節される植物)においてまたはそれによって遺伝子発現(および/もしくは他の生物学的または生化学的工程)を調節(すなわち増加、減少、阻害、増強および/もしくは誘発)するために用いられる活性成分を含みうる。農薬活性物質は、化学物質および核酸(例えば1本鎖または2本鎖RNA、例えばRNAi技術の内容において使用される。)、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質(種子結合タンパク質または抗原結合タンパク質を含む)および微生物を含む。本明細書において使用される「微生物」は、細菌、真菌、酵母、ウイルスなどを意味する。そのような農薬活性物質の例は、当業者に明らかであり、例えば非限定的に:グリホサート、パラコート、メトラクロール、アセトクロール、メソトリオン、2,4−D,アトラジン、グルホシネート、スルホサート、フェノキサプロップ、ペンジメタリン、ピクロラム、トリフルラリン、ブロモキシニル、クロジナホップ、フルロキシピル、ニコスルフロン、ベンスルフロン、イマゼタピル、ジカンバ、イミダクロプリド、チアメトキサム、フィプロニル、クロルピリホス、デルタメトリン、ラムダ−シハロトリン、エンドスルファン、メタミドホス、カルボフラン、クロチアニジン、シペルメトリン、アバメクチン、ジフルフェニカン、スピノサド、インドキサカルブ、ビフェントリン、テフルトリン、アゾオキシストロビン、チアメトキサム、テブコナゾール、マンコゼブ、シアゾファミド、フルアジナム、ピラクロストロビン、エポキシコナゾール、クロロタロニル、銅殺菌剤、トリフロキシストロビン、プロチオコナゾール、ジフェノコナゾール、カルベンダジム、プロピコナゾール、チオファネート、硫黄、ボスカリドおよび他の周知の農薬またはこれらの任意の適切な組合せ(複数可)を含む。他の適切な農薬は本明細書の開示に基づいて当業者に明らかであり、例えば任意の商業的に入手可能な農薬であってよく、例えばPhillips McDougall,AgriService November 2007 V4.0、Products Section−2006 Market、Product Index 10−20頁に列挙される各化合物を含む。前記農薬活性物質は、これだけに限らないが結晶として、微結晶として、ナノ結晶として、共結晶として、粉末として、顆粒として、粉剤として、錠剤として、ゲルとして、可溶性濃縮物として、乳剤として、可乳化濃縮物として、懸濁剤として、懸濁剤濃縮物として、サスポエマルジョンとして、分散剤として、分散剤濃縮物として、マイクロカプセル懸濁剤としての形態を含むさまざまな形態または当業者に明らかな農薬製剤の任意の他の形態もしくは種類であってよい。農薬活性物質は、そのまま用いられる活性物質または活性成分だけでなく、(外部要因によって過活性化されうる。)不活性形態の前駆体も含む。非限定的例として前駆体は、虫害での植物創傷によって生じるpH変化によって、真菌攻撃によって生じる酵素作用によってまたは温度変化もしくは湿度変化によって活性化されうる。
本発明による農薬組成物は、液体、半流動体または固体形態であってよく、例えばエアロゾル、流動性粉末、水和剤、水和顆粒剤、可乳化濃縮物、懸濁剤濃縮物、マイクロ乳剤、カプセル懸濁剤、乾燥マイクロカプセル、懸濁される錠剤もしくはゲル、分散剤、乳化剤として維持されてよく、または他に保存もしくは適用のために適切な液体媒体(水もしくは他の適切な水性、有機または油性媒体など)に取り込まれてよい。本発明による農薬組成物は、少なくとも1つの、好ましくはそれ以上の本発明による抗原結合タンパク質を含む。本発明による農薬組成物中の本発明による1つまたは複数の抗原結合タンパク質の存在は、農薬活性物質のその作用部位(植物または植物の部分(例えば果実、塊茎もしくは鱗茎)、植物種子または他の植物由来有機材料など)への結合を確実にする一方で、農薬活性物質の保存容器および/または操作者の器具への粘着は回避される。場合によって組成物は、これだけに限らないが希釈剤、溶剤、アジュバント、界面活性剤、湿潤剤、分離剤、油、展着剤、増粘剤、浸透剤、緩衝剤、酸性化剤、抗沈降剤、凍結防止剤、光保護材、消泡剤、殺生物剤および/またはドリフト調節剤など本発明による組成物における使用に適する1つまたは複数のさらなる化合物をさらに含む。
本発明の第八の態様は、本発明による少なくとも1つの抗原結合タンパク質を含む1つまたは複数の多糖の検出および/または濃度の決定のためのキットである。
場合により、キットは抗原結合タンパク質の標識化および/または検出および/または定量のために必要な試薬も含む。
本発明の第九の態様は本発明による少なくとも1つの抗原結合タンパク質を含む、1つまたは複数の多糖の検出および/または濃度決定のためのバイオセンサーである。
好ましくは抗原結合タンパク質は、バイオセンサーの検知層上に固定され、結合の検出は(非限定的例として)光学的、電気化学的、水晶振動子マイクロバランスによって、磁気免疫センサーによってまたはマイクロメカニカルカンチレバーに基づく免疫センサーによってであってよい。抗原結合タンパク質の固定のためおよび抗原−抗原結合タンパク質結合の検出のための技術は当業者に周知であり、特にMarquette and Blum(2006)、Fritz(2008)およびSkottrup et al.,(2008)によって概説されている。
本発明の第十の態様は、化合物の植物種子への結合を可能にする標的化剤であって、前記標的化剤は本発明による少なくとも1つの種子結合タンパク質を含む。
本明細書において使用される「標的化剤」は、少なくとも1つの種子結合タンパク質、好ましくは本発明による抗原結合タンパク質を含む、分子構造物(好ましくはポリペプチド骨格を有する。)である。標的化剤は、その最も簡易な形態において1種類の種子結合タンパク質1つだけからなるが、しかし標的化剤は1つより多い種子結合タンパク質を含むことができ、さらに定義のとおり一価または多価および単一特異性または多特異性であってよい。1種類の1つまたは複数の種子結合タンパク質とは別に、標的化剤は抗原結合タンパク質に化学的に結合または融合されうる他の成分を(N末端にもしくはC末端にまたは内部に融合されるかにかかわらず)さらに含みうる。前記他の成分は、限定することなく標識アミノ酸(例えば蛍光もしくは放射活性標識)または検出可能なアミノ酸(例えば抗体によって検出可能)を含む1つまたは複数のアミノ酸、1つまたは複数の単糖、1つまたは複数のオリゴ糖、1つまたは複数の多糖、1つまたは複数の脂質、1つまたは複数の脂肪酸、1つまたは複数の小分子、または前述の任意の組合せを含む。好ましい一実施形態では、前記他の成分は、前記標的化剤においてスペーサーまたはリンカーとして機能する。
本明細書において使用される「化合物」は、これだけに限らないがタンパク質および酵素などのタンパク質複合体またはこれだけに限らないが既に定義の農薬活性物質を含む化学的化合物を含む任意の化合物、好ましくは活性物質であってよい。好ましくは前記化合物は、既に定義の植物増強剤である。代替として化合物は、担体(好ましくはマイクロ担体)中にまたは上に含まれてよく、前記担体は本発明による少なくとも1つの抗原結合タンパク質を含む1つまたは複数の標的化剤と(既に定義のとおり)結合されうる。本明細書において使用される「担体に含まれる」は、これだけに限らないが包埋、封入および吸着などの手段による結合または含有を意味する。好ましくは担体は、1つまたは複数の化合物が担体中に(例えばナノカプセル、マイクロカプセル、ナノ球体、マイクロ球体、リポソームまたはビヒクルとして)取り込まれうる、封入されうるまたは含まれうるものである。好ましくは担体は、即時型または徐放型または遅効型放出特徴(例えば数分間、数時間、数日間または数週間にわたる。)を有するものである。同様に担体は、経時的に(例えば数分、数時間、数日または数週間にわたり)破裂するまたはゆっくり分解し(例えば高温もしくは低温、日光、高湿度もしくは低湿度または他の環境因子もしくは条件への長期間の暴露により)、担体から化合物を放出する材料(例えばポリマー)で作製されうる。
本発明による標的化剤は、「単一特異性」標的化剤または「多特異性」標的化剤のいずれであってもよい。「単一特異性」標的化剤によっては、単一の抗原結合タンパク質のいずれかを含むまたは2つ以上の異なる抗原結合タンパク質(それぞれは同じ結合部位に対して方向付けられている。)を含む標的化剤が意味される。したがって単一特異性標的化剤は、単一の抗原結合タンパク質を介してまたは複数の抗原結合タンパク質を介してのいずれかで単一の結合部位に結合できる。「多特異性」標的化剤によっては、それぞれ異なる結合部位に対して方向付けられている2つ以上の抗原結合タンパク質を含む標的化剤が意味される。したがって「二重特異性」標的化剤は2つの異なる結合部位に結合でき;「三重特異性」標的化剤は3つの異なる結合部位に結合でき;「多特異性」標的化剤についても同様。同様に本明細書に記載の標的化剤に関して、用語「一価」は、標的化剤が1つの単一抗原結合タンパク質を含むことを示して使用され;用語「二価」は標的化剤が合計2つの単一抗原結合タンパク質を含むことを示して使用され;用語「三価」は標的化剤が合計3つの単一抗原結合タンパク質を含むことを示して使用され;「多特異性」標的化剤についても同様。
本明細書において使用される「植物種子に化合物を結合できる」は、(植物種子への標的化剤に含まれる。)種子結合タンパク質、好ましくは抗原結合タンパク質の結合が前記化合物(好ましくは前記植物増強剤)を植物種子に結合するために、より好ましくは保持する(上に定義のとおり)ために十分に強いことを意味する。好ましくは化合物は担体、より好ましくはマイクロ担体の中または上に含まれる。好ましくは前記標的化剤は、親和性結合によってまたは共有結合によって前記化合物に、さらにより好ましくは前記化合物(好ましくは前記植物増強剤)を含有する前記担体に結合される。
化合物(好ましくは前記植物増強剤)および/または担体を標的化剤に結合する方法は、当業者に周知であり、これだけに限らないが共有結合および親和性結合を含む。共有結合の例は融合タンパク質であり、標的化剤およびタンパク質性の化合物は、好ましくは組換えタンパク質発現の手段によって一体として産生される。融合タンパク質を用いる代替的手法は、例えばFipula(2007)によっておよびBioconjugate Techniques、Hermanson、ed.Academic Press Inc.,San Diego、CA、USA(2008)において記載される共有結合化学を用いる(第二のタンパク質または別の化学的化合物でありうる。)化合物への共有結合のための標的化剤中の残基の化学的架橋結合の使用である。システインなどのスルフヒドリル基を含むアミノ酸残基は、例えばサクシニミジルマレイミドフェニルブチレート(SMPB)などの二重特異性試薬を用いて共有結合されうる。代替的にタンパク質表面に位置するリシン基は、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド(EDC)およびN−ヒドロキシサクシニミド(NHS)を用いて従来のカルボジイミド結合によって第二タンパク質上の活性化カルボキシル基に結合されうる。標的化剤と化合物または担体(化合物が含まれる。)との間の結合は、直接であってよく、またはスペーサーもしくはヒンジ分子が用いられてもよい。そのようなスペーサーの例はWO0024884およびWO0140310において確認されうる。
本発明の好ましい実施形態は、少なくとも1つの種子結合タンパク質、好ましくは本発明による抗原結合タンパク質、最も好ましくは配列番号1−11またはこれらの適切な断片のいずれかからなる群から選択されるVHHを含む標的化剤の、植物増強剤を植物種子に保持するための使用である。好ましくは標的化剤は、種子処理、種子保存、種子操作および/または種子栽植の間に植物増強剤を植物種子に保持するために使用される。好ましくは前記標的化剤は、親和性結合または共有結合によって前記植物増強剤に結合される。さらにより好ましくは、前記標的化剤は、親和性結合または共有結合によって(前記植物増強剤が含まれる。)担体(上に定義のとおり)に結合される。本実施形態は、化合物が(化合物の徐放を確実にするためまたは化合物の存続時間を増加させるために(リゾバクテリア(Rhizobacteria)などの生きた細菌を封入する場合など))マトリクスに封入、包埋または吸着される必要がある場合に特に有用である。
本発明の第十一の態様は、植物増強剤を植物または植物の部分に結合させるための本発明による標的化剤の使用である。
本明細書において使用される「植物の部分」は、無傷の生きたもしくは生長している植物の部分であるか、または無傷の生きた植物から単離されたもしくは分離されたにかかわらず植物の任意の一部を意味し、さらに枯れた植物材料も想定されうる。好ましくは前記植物の部分は、種子、根、果実、球果、鱗茎および茎からなる群から選択される。より好ましくは前記植物の部分は、種子および果実からなる群から選択される。最も好ましくは前記植物の部分は、トウモロコシ、小麦、モロコシ、ライ麦、大豆、米、綿、セイヨウアブラナ、ヒマワリ、サトウダイコン、ジャガイモ、野菜、花、芝草の種子およびリンゴ、ナシ、柑橘類、バナナまたはストーンフルーツツリーの果実の群から選択される。
植物または植物の部分への植物増強剤の結合、好ましくは保持を可能にするために、1つの単一または複数のいずれかの標的化剤は、共有結合によって、水素結合によって、双極子−双極子相互作用によって、弱いファンデルワールス力によってまたは前述の任意の組合せによってのいずれかで植物増強剤に融合または結合される。本明細書において使用される「結合」は、結合する、連結する、粘着する、混合するまたは包含することを意味する。
本発明の好ましい実施形態は、植物もしくは植物の部分に植物増強剤を結合する植物増強剤を保持するための少なくとも1つの種子結合タンパク質、好ましくは本発明による抗原結合タンパク質、最も好ましくは配列番号1−11またはこれらの適切な断片のいずれかからなる群から選択されるVHHを含む標的化剤の使用である。
好ましくは植物増強剤は、担体、好ましくはマイクロ担体中または上に含まれる。好ましくは本発明による標的化剤に含まれる種子結合タンパク質は、前記植物または植物の部分に含まれる植物細胞壁構成成分に結合している。好ましくは植物細胞壁構成成分は、多糖であり、より好ましくは植物細胞壁構成成分は構造的多糖またはヘテロ多糖であり、最も好ましくは前記植物細胞壁構成成分はペクチン多糖である。
好ましい一実施形態では前記植物細胞壁構成成分は、これだけに限らないが収穫方法によってまたは咀嚼昆虫もしくは吸汁昆虫によって生じる創傷などの植物または植物の部分の創傷組織に含まれる。そのような場合では、非限定的例として昆虫を殺す化合物がさらなる損傷を回避するために創傷に標的化されることができ、または殺真菌性化合物もしくは殺真菌性化合物の組合せが傷ついた植物組織の真菌感染を回避するために植物創傷に標的化されうる。より好ましくは前記創傷組織は果実、鱗茎、塊茎または種子に含まれる。
本発明の第十二の態様は、植物細胞壁構成成分を改変するための本発明による標的化剤の使用である。
本明細書において使用される「植物細胞壁構成成分を改変するため」は、これだけに限らないが植物細胞壁構成成分の色、臭気、味もしくは感触を含む外観を変化させること(例えば植物細胞壁構成成分への色素、芳香性もしくは軟化剤の結合によって)、植物細胞壁構成成分複合体混合物中の1つもしくは複数の植物細胞壁構成成分の濃度を増加もしくは減少させること(例えば分解酵素を植物細胞壁構成成分に標的化することによってもしくは特定の植物細胞壁構成成分を除去することによって)、または天然に存在しない完全に新規の植物細胞壁構成成分(「デザイナー植物細胞壁構成成分」)を作製すること(例えばエンド−ラムノガラクツロナンヒドロラーゼ、エンド−ラムノガラクツロナンリアーゼ、エンド−ガラクタナーゼ、エンド−アラビナーゼ、アルビノフラノシダーゼ、ガラクトシダーゼまたはエキソ−ガラクツロシダーゼなどの植物細胞壁修飾酵素を標的化することによって)を意味する。本明細書において使用される「標的」化は、化合物がその作用部位にまたは近くに送達されることを意味する。
植物細胞壁構成成分を改変することは、植物および植物産生物を改善するために、加工特性を改善するためにおよび食物成分または医用材料としての新規材料を生成するために有用であることを証明できる。本発明による標的化剤は、植物細胞壁構成成分の混合物に直接適用される場合またはさらに、参照により本明細書に組み込むWO01/59137に記載の方法を用いるトランスジェニック植物でのインビボの場合のいずれでも植物細胞壁構成成分を改変するために有用でありうる。
好ましい実施形態では本発明による標的化剤は、融合タンパク質である。融合タンパク質は当業者に周知であり、化学的手段(架橋結合によってまたは共有結合によってなど)によってまたは組換えDNA法によってのいずれかで合わせて結合される2つ以上のタンパク質、タンパク質の部分またはペプチドからなる。融合タンパク質は、それらが融合パートナーに特定の機能的特徴を付与する(例えば溶解度の増大または基質特異性の改変)ことから特に有用である。本発明による融合タンパク質は、少なくとも1つの本発明による抗原結合タンパク質を含み、抗原結合タンパク質は特定の特徴(例えば植物細胞壁構成成分に対する親和性)を融合パートナーに提供する。好ましい一実施形態では融合タンパク質に含まれる抗原結合タンパク質は、バイオエタノール産生のための基質混合物中のリグニンへのリグニン分解酵素の標的化などの、融合タンパク質の植物細胞壁構成成分への標的化を可能にする。別の好ましい実施形態では融合タンパク質に含まれる抗原結合タンパク質は、融合タンパク質の精製のために特に有用である任意の種類の固体マトリクス上への融合タンパク質の固定を可能にする(例えばセファロースマトリクス上での精製のための抗原結合タンパク質のセファロースへの結合)。
本発明の最後の態様は、少なくとも1つの本発明による標的化剤を含む農薬組成物である。
好ましくは前記農薬組成物(上に定義のとおり)は、種子処理のための組成物である。好ましくは前記標的化剤は、1つより多い種子結合タンパク質を含む。1つより多い種子結合タンパク質の1つの標的化剤中への組合せは、付加的利益として種子結合がより強いまたはそれがより特異的であるのいずれかを有しうる。
(図面の簡単な説明)
図1は、スペクトル画像解析およびリニアアンミキシングを備える共焦点顕微鏡によって画像化された天然アラビドプシス(Arabidopsis)種子へのVHH結合の図である。種子の自己蛍光およびAlexa488スペクトルは記録され、異なる偽色に帰属された。種子はVHH 6D7とインキュベートされ、結合VHHは抗ヒスチジン/Alexa488コンジュゲート抗体で検出された。種子へのVHHの特異的結合シグナルだけが示される。
図2は、リンゴ皮の損傷部位へのVHH結合を示す図である。リンゴ皮のディスクは、穿孔器を用いて作製され、種々のVHHとインキュベートされた。結合VHHは、Alexa488蛍光色素に直接コンジュゲートされたモノクローナルマウス抗ヒスチジン抗体とのインキュベーションによって検出された。
図3は、ジャガイモ葉穿孔へのVHH 6D7(A)、7A5(B)、7A7(C)、7E9(D)結合および小麦葉条片へのVHH 6D7(E)結合を示す図である。葉穿孔は穿孔器を用いて作製され、VHHとインキュベートされた。条片は小麦葉から切断され、VHHとインキュベートされた。結合VHHは抗ヒスチジン/Alexa488コンジュゲート抗体とのインキュベーションによって検出された。VHHは葉穿孔または葉小片に、主に創傷組織の部位に強く結合していることが認められた。
図4は、ニトロセルロース上に配置されたウシ血清アルブミン(BSA)−コンジュゲートオリゴ糖36個(各アレイのカラムA−D)および多糖45個(各アレイのカラムE−I)を含有するアレイ上でのVHHの結合プロファイルを示す図である。各試料はアレイ上のスポット4個(2種の濃度を2回ずつ)によって表される。アレイは、選択されたVHH 5μg/mlで探索され、結合VHHは二次抗ヒスチジンおよび三次酵素−コンジュゲート抗体で検出された。強い結合シグナルが、主にエステル化の程度が低いペクチン上で観察され、ホモガラクツロナンエピトープへの結合を示している。
E1 ライムペクチン、DE 11%
F1 ライムペクチン、DE 43%
G1 ライムペクチン、DE 0%
H1 ライムペクチン、DE 16%
I2 富RGIIペクチン(赤ワイン)
I3 種子粘液(アラビドプシス)
H4 RGI#5(ジャガイモ)
図5は、マイクロカプセルの作物種子への結合を示す図である。米(A)、小麦(B)およびトウロコシ(C)の種子は、蛍光マイクロカプセルに結合した種子結合VHHとインキュベートされた。VHHを含まないマイクロカプセルは、対照条件として各作物種子について示される。
図6は、リンゴ皮の損傷部位および損傷したジャガイモ植物葉表面へのマイクロカプセルの結合を示す図である。リンゴ皮およびジャガイモ葉のディスクは、蛍光マイクロカプセルに結合した種子および創傷組織結合VHHとインキュベートされた。マイクロカプセルは、果実の損傷部位または植物の創傷組織に優先的に結合した。
[実施例1]
VHHの生成および選択
ジャガイモ葉破砕物または小麦葉破砕物でのラマの免疫化
表面露出植物材料に対する免疫応答を発生させる目的で、ラマをジャガイモ葉破砕物または小麦葉破砕物で次のとおり免疫化した:ジャガイモ植物(ソラナム・ツベロサム(Solanum tuberosum)変種デシリー(Desiree))または小麦植物(トリチカム・エスチバム(Triticum aestivum)変種ボルド(Boldus))由来の葉破砕物を葉を液体窒素中で凍結するステップおよび微粉末が得られるまで前記葉を乳鉢および乳棒で破砕するステップによって調製した。ブラッドフォードタンパク質アッセイを総タンパク質濃度を決定するために用いた。一定分量を作製し、−80℃保存し、懸濁液を免疫化に用いた。
ラマは、標準的手順に従って破砕ジャガイモ葉または破砕小麦葉の6回の筋肉内注射で1週間間隔で免疫化した。ラマ3匹「407928」「Chilean Autumn」および「Niagara」は破砕したジャガイモ葉で免疫化し、別のラマ2匹「33733」および「Organza」は破砕した小麦葉で免疫化した。ラマ「407928」および「33733」は、アジュバントLQ(Gerbu)を用いて免疫化し、ラマ「Chilean Autumn」「Niagara」および「Organza」はフロイントの不完全アジュバント(FIA)を用いて免疫化した。ラマ「407928」および「33733」の免疫化のための用量は0、7、14、21、28、36日目のそれぞれについて総タンパク質1mgであり、PBLは40日目に採取した。40日目のPBL採取時にラマ「407928」および「33733」の血清を採取した。ラマ「Chilean Autumn」「Niagara」および「Organza」の免疫化のための用量は0日目に総タンパク質100μgおよび7、14、21、28および35日目に50μgであった。0日目、25日目および38日目のPBL採取時にラマ「Chilean Autumn」「Niagara」および「Organza」の血清を採取した。
ライブラリー構築 − 免疫化した各ラマから別々のVHHライブラリーを作製した。RNAを末梢血リンパ球から単離し、製造者の説明書に従ってランダムヘキサマープライマーおよびSuperscript III(Invitrogen)を用いるcDNA合成が続いた。第一PCRをフォワードプライマーミックス[call001(5’−gtcctggctgctcttctacaagg−3’)およびcall001b(5’−cctggctgctcttctacaaggtg−3’)の1:1比]およびリバースプライマーcall002(5’−ggtacgtgctgttgaactgttcc−3’)を用いてVHHおよびVHを増幅するために実施した。VHH断片の単離後、第二PCRをフォワードプライマーA6E(5’−gatgtgcagctgcaggagtctggrggagg−3’)およびリバースプライマー38(5’−ggactagtgcggccgctggagacggtgacctgggt−3’)を用いて実施した。PCR断片を制限酵素PstlおよびEco91l(Fermentas)を用いて消化し、ベクターpMES4(GenBank:GQ907248.1)中のplll遺伝子の上流にライゲートした。ライゲーション産物を標準的プロトコールに従ってエタノール沈殿させ、水中に再懸濁し、TG1細胞内に電気穿孔処理した。ライブラリーサイズは、独立クローン1E+08個から6E+08個の範囲であった。ライブラリーから無作為に選んだクローンについての単一コロニーPCRをライブラリーの挿入百分率を評価するために実施した。80%の挿入百分率を有した免疫化ラマ「Organza」由来のライブラリーを除く全てのライブラリーが≧90%の挿入百分率を有した。ラマ「407928」「33733」「Chilean Autumn」「Niagara」および「Organza」についてライブラリーをそれぞれ27、28、29、31、32と番号付けた。各ライブラリー由来のファージを標準的プロトコールに従ってVCSM13ヘルパーファージを用いて作製した。
植物細胞壁構成成分に富む抽出物または葉全体についてのファージ選択
植物細胞壁構成成分に富むジャガイモ葉抽出物をジャガイモ植物茎から条片に切除されたクチクラおよび接着表皮から調製した。植物細胞壁構成成分に富む小麦葉抽出物を小麦鞘葉から条片に切除されたクチクラおよび接着表皮から調製した。ペクチン多糖に富む抽出物をCDTAを用いて抽出した(Moller et al.,2007)。条片を液体窒素中で凍結し、微粉末が得られるまで乳鉢および乳棒で挽いた。ペクチン多糖に富む抽出物を、挽いた材料1g当たり10mlの50mM CDTA pH6.5を用いて微粉末を再懸濁し、4℃で30分間回転撹拌((head−over−head rotation))することによって調製した。抽出物および不溶性材料をフィルターに適合するシリンジを用いて分離した。抽出物は微量遠心分離機での20,000g、5分間の遠心分離によってさらに澄ませた。
ジャガイモ表皮CDTA抽出物についての第1回選択は、0.1M炭酸緩衝液pH8.3中に10倍または1000倍希釈したジャガイモ表皮CDTA抽出物でコートした(第1回および第2回選択の両方とも)96ウェルプレート(Maxisorp、Nunc)のウェルで実施した。コーティングは、4℃で一晩実施した。ウェルをPBS/0.05%Tween−20で3回洗浄し、PBS中の5%スキムミルク(5%MPBS)でブロックした。ファージを2.5%MPBSに懸濁し、各ウェルについておよそ2E+11cfuを用いた。室温で2時間ウェルに結合させた後、未結合のファージをPBS/0.05%Tween−20およびPBSでの十分な洗浄によって除去した。結合ファージをPBS中0.1mg/mlトリプシン(Sigma)、室温、30分間で溶出させた。溶出したファージを過剰量のAEBSFトリプシン阻害剤(Sigma)を含むポリプロピレン96ウェルプレート(Nunc)に移した。濃縮を評価するために標的でコートしたウェルからのファージの力価をブランクウェルからのファージの力価と比較した。ファージを標準的手順に従って新鮮TG1細胞を用いて増幅した。第1回選択での濃縮は、ライブラリー27、28、29、31、32のそれぞれについて1E+03、20、20、15および5倍であり、第2回選択では全てのライブラリーについて>100倍であった。小麦表皮CDTA抽出物についての選択は、ジャガイモ表皮CDTA抽出物についての選択と同様に実施したが、ウェルは第1回および第2回の選択回両方において20倍および2000倍希釈小麦表皮CDTA抽出物でコートした。第1回選択での濃縮は、ライブラリー27、28、29、31、32のそれぞれについて>100、>10、1、10および5倍であった。第2回選択での濃縮は、ライブラリー29については>10倍ならびにライブラリー27、28、31および32については>100倍であった。ジャガイモ葉についての選択は、1回目は葉粒子を、2回目は葉全体を用いる2回連続の選択で実施した。ライブラリー27、28、29、30、31および32を葉についての選択のために用いた。第1回選択のための葉粒子は、Ultra−Turrax T25ホモジナイザーを用いてジャガイモ葉をPBS中に混合することによって調製した。葉粒子は懸濁液から遠心分離によって回収した。本明細書において「葉破砕物可溶性画分」と称される上清は、細胞内構成成分に富むと想定され、細胞内エピトープへの結合剤と競合させるためにファージ選択中の溶液において用いた。ライブラリーファージを葉破砕物可溶性画分と2%MPBS中で回転撹拌を用いて室温、30分間、予備インキュベートした。混合物を葉粒子に添加し、回転撹拌して室温、2時間、インキュベートした。結合したファージを伴う葉粒子を遠心分離によって回収し、上清を廃棄した。結合したファージを伴う葉粒子をPBSでの持続的洗浄によって十分に洗浄した。洗浄は、葉粒子をPBS中に再懸濁するステップ、葉粒子を遠心沈殿するステップおよび上清を廃棄するステップによって実施した。ファージの溶出およびTG1の感染は既に記載のとおり実施した。第2回選択のために未処理葉の全体を用いた。葉を2%MPBS中のファージ溶液で上下を逆に浮かせてインキュベートし、ファージを室温、2時間結合させた。葉をPBSを含む新たなチューブに移すことによって葉を十分に洗浄した。結合したファージの溶出は水中の100mM TEAで実施し、溶出したファージを含む溶液を溶出したファージ容積の半量の1M Tris pH7.5を用いて中和した。TG1の感染は既に記載のとおり実施した。
選択結果からの単一コロニーの選択 − 個々のクローンをジャガイモ表皮CDTA抽出物についての第1回および第2回選択から選んだ:全てのライブラリーから第1回および第2回選択の両方の後に合計321個のクローンを選んだ。小麦表皮CDTA抽出物についての選択から、全てのライブラリーから第2回選択後にクローン合計162個を選んだ。ジャガイモ葉選択から、ライブラリー27、28、29、31および32からの第2回選択後にクローン合計184個を選んだ。新鮮TG1細胞に系列希釈した溶出ファージを感染させ、LBアガー;2%グルコース;100μg/mlアンピシリン上に蒔いた。単一コロニーを1ウェル当たり100μlの2×TY;10%グリセロール;2%グルコース;100μg/mlアンピシリンを含む96ウェルプレートに選び入れた。プレートを37℃でインキュベートし、マスタープレートとして−80℃で保存した。
[実施例2]
VHHの特徴付け
単一位置結合ELISA − 単一位置結合ELISAを植物抽出物に結合するクローンを同定するために用いた。ELISA用にVHH含有抽出物を次のとおり調製した。1ウェル当たり100μlの2×TY、2%グルコース、100μg/mlアンピシリンを含む96ウェルプレートをマスタープレートから播種し、37℃で一晩増殖させた。1ウェル当たり25μlの一晩培養物を1ウェル当たり1mlの2×TY、0.1%グルコース、100μg/mlアンピシリンを含む新たな96ウェルディープウェルプレートに播種するために用いた。振盪インキュベーター中での37℃、3時間の増殖後、IPTGを最終濃度1mMまで添加し、組換えVHHが4時間の追加的インキュベーション中に産生された。細胞を3,000g、20分間の遠心分離によって遠沈し、−20℃で一晩保存した。細胞ペレットを融解し、短くボルテックスし、1ウェル当たり125μlの室温PBSを添加した。細胞を室温、15分間、ELISA振盪プラットホームで再懸濁した。プレートを3,000gで20分間遠心分離し、1ウェル当たり100μlのVHH含有抽出物をポリプロピレン96ウェルプレート(Nunc)に移し、さらなる使用まで−20℃で保存した。
ジャガイモ表皮CDTA抽出物選択由来のクローンの結合を、1ウェル当たり100μlの0.1M炭酸pH8.3中、30倍希釈ジャガイモおよび30倍希釈小麦の表皮CDTA抽出物でコートしたELISAプレートを用いて、ジャガイモ表皮CDTA抽出物および小麦表皮CDTA抽出物の両方について分析した。小麦表皮CDTA抽出物選択由来のクローンの結合を、1ウェル当たり100μlの0.1M炭酸pH8.3中、20倍希釈小麦表皮CDTA抽出物でコートしたELISAプレートを用いて分析した。4℃で一晩コートおよび翌日継続して室温で1時間コートした後、プレートをPBS/0.05%Tween−20で3回洗浄し、PBS中5%スキムミルクで1.5時間ブロックした。プレートを空にし、1ウェル当たり90μlの1%MPBSで満たした。各クローンからVHH含有抽出物10μlを抗原コートウェル(複数可)およびブランクウェルに添加した。VHHを室温、1時間結合させ、未結合VHHをPBS/0.05%Tween−20で3回洗浄するステップによって除去した。結合VHHを1%MPBS/0.05%−Tween−20中のモノクローナルマウス抗ヒスチジン抗体(Abd Serotec)および1%MPBS/0.05%−Tween−20中のアルカリホスファターゼでコンジュゲートしたウサギ抗マウスIgG全分子抗体(RaM/AP)での連続的インキュベーションで検出した。未結合抗体を各抗体インキュベーション後にPBS/0.05%Tween−20で3回洗浄するステップによって除去した。プレートを追加的にPBSで2回洗浄し、pNPP二ナトリウム六水和物基質(Sigma)100μlを各ウェルに添加した。
405nmでの吸光度を測定し、標的コートウェル(複数可)および非標的コートウェルに結合したVHHの比を各クローンについて算出した。クローンの23%が2より大きな比を有し、これらのクローンをより詳細な特徴付けのために最初に選んだ。1.15から2の間の比を有し、全クローンの10%を占める第二群のクローンは、後に再検討した。1.15より低い比を有するクローンはさらには分析しなかった。
全葉選択由来のクローンのために適合ELISAを開発した。上下を逆に浮かせた葉ディスクを抗原でコートしたウェルの代わりに用いた。インキュベーションは抽出物ELISAと同様であった。基質とのインキュベーション後に葉ディスクをピンセットを用いてウェルから取り出し、405nmでの吸光度を測定した。各クローンから得られたシグナルを、一次抗体インキュベーションを行わない葉ディスクを含むウェルから得られたシグナルと比較し、比を算出した。表皮抽出物選択から見出され、特徴付けられた葉表面結合抗体を陽性対照抗体として用いた。1.5より大きな比を有するVHHを配列決定によってさらに分析した。
単一コロニーPCRおよび配列決定 − 単一コロニーPCRおよび配列決定をELISA陽性クローンについて次のとおり実施した。ELISA陽性クローンを含むマスタープレートウェル由来の培養物を滅菌水中に10倍希釈した。これらの希釈クローンから5μlを、フォワードプライマーMP57(5’−ttatgcttccggctcgtatg−3’)およびリバースプライマーGIII(5’−ccacagacagccctcatag−3’)を用いるPCRのための鋳型として用いた。PCR産物を、プライマーMP57(VIB Genetic Service Facility、University of Antwerp、Belgium)を用いるサンガー配列決定法によって配列決定した。植物細胞壁構成成分に富む抽出物についての選択からVHH 6D7、VHH 7A5、VHH 6B5、VHH 6D11、VHH 6F2、VHH 6H4、VHH 7A7、VHH 7E9、VHH 8A4およびVHH 8D6が見出された。クローンVHH 6B5、VHH 6D11、VHH 6F2、VHH 6H4はVHH 7A5の単一アミノ酸変種である。VHH 7E9はVHH 7A7の単一アミノ酸変種である。VHH 8A4およびVHH 8D6は相互に単一アミノ酸変種である。葉粒子および全葉についての選択からVHH 12C3が見出された。
抗体産生および精製 − VHHをイー・コリ サプレッサー株TG1または非サプレッサー株WK6において標準的手順に従って産生した(Fritz et al.,NucleicAcidsResearch、Volume 16 Number 14 1988)。簡潔にはコロニーストリークを作製し、単一コロニーから一晩培養物を2×TY;2%グルコース;100μg/mlアンピシリン中に接種した。一晩培養物を2×TY;0.1%グルコース;100μg/mlアンピシリンの新鮮培養物に1:100で接種するために用いた。振盪インキュベーターで37℃、3時間増殖させた後、IPTGを最終濃度1mMまで添加し、組換えVHHは4時間の追加的インキュベーションの間に産生された。細胞を遠沈し、元の培養物容積の1/50のペリプラズム抽出緩衝液(50mMリン酸 pH7;1M NaCl;1mM EDTA)中に再懸濁し、回転撹拌して4℃、一晩インキュベートした。スフェロプラストを3,000g、4℃、20分間の遠心分離によって遠沈した。上清を新たなチューブに移し、再度3,000g、4℃、20分間の遠心分離した。ヘキサヒスチジンタグVHHをペリプラズム抽出物から抽出容積の1/15のTALON金属親和性レジン(Clontech)を製造者の説明書に従って用いて精製した。精製VHHを濃縮し、Vivaspin 5kDa分子量カットオフ(MWCO)デバイス(Sartorius Stedim)を製造者の説明書に従って用いてPBSに対して透析した。
[実施例3]
植物種子へのVHH結合
未処理作物種子へのVHHの結合 − VHH抗体断片の多種多様な作物種子への結合をトウモロコシ、トマト、米および小麦の種子を用いて調査した。トマト、米および小麦の種子は、PBS中1%BSA中に2.5−5μg/mlヘキサヒスチジンタグVHHを含有する溶液中で4回反復でインキュベートし、96ウェル0.45μmディープウェル濾過プレート(Millipore)で1時間、ELISA振盪プラットホーム上で穏やかに揺らしてインキュベートした。対照条件は、無関係の非種子結合VHHでのインキュベーションおよびVHHを含有しないインキュベーションを含んだ。非結合VHHを含む溶液は、濾過プレートセットアップ(Millipore)を用いて除いた。結合VHHをPBS中1%BSA中のモノクローナルマウス抗ヒスチジン抗体(Abd Serotec)およびPBS中1%BSA中のアルカリホスファターゼでコンジュゲートしたウサギ抗マウスIgG全分子抗体(RaM/AP)(Sigma)での連続的インキュベーションで検出した。各抗体インキュベーションの間に5回の連続的洗浄を実施した。洗浄は、PBSでELISA振盪プラットホーム上で穏やかに揺らすインキュベーションによって実施した。洗浄溶液は濾過プレートセットアップを用いて除いた。pNPP二ナトリウム六水和物基質(Sigma)を各ウェルに添加し、基質の色が明確に可視化されるまで反応させた(5−25分間)。基質を濾過プレートセットアップを用いて回収し、405nmでの吸光度を測定し、種子結合VHHのシグナルをブランク種子および無関係の対照VHHで処理した種子での基質の色と比較した。米、小麦およびトマトなどの作物種子への明確で再現可能なVHH結合が観察された、すなわちVHH 7A7および12C3(表1を参照されたい。)。
同様のアッセイをVHH抗体断片のトウモロコシ種子への結合を調査するために実施した。トウモロコシ種子を、PBS中1%BSA中に2.5−5μg/mlヘキサヒスチジンタグVHHを含有する溶液中で4回反復でインキュベートし、2ml反応チューブまたは12ウェルプレートのウェルで1時間、ELISA振盪プラットホーム上で穏やかに揺らしてインキュベートした。対照条件は、無関係の非種子結合VHHでのインキュベーションおよびVHHを含有しないインキュベーションを含んだ。非結合VHHを含む溶液は、真空吸引システムを用いて除いた。結合VHHをPBS中1%BSA中のモノクローナルマウス抗ヒスチジン抗体(Abd Serotec)およびPBS中1%BSA中のアルカリホスファターゼでコンジュゲートしたウサギ抗マウスIgG全分子抗体(RaM/AP)(Sigma)での連続的インキュベーションで検出した。各抗体インキュベーションの間に5回の連続的洗浄を実施した。洗浄は、PBSでELISA振盪プラットホーム上で穏やかに揺らすインキュベーションによって実施した。洗浄溶液は真空吸引を用いて除いた。pNPP二ナトリウム六水和物基質(Sigma)を各チューブまたはウェルに添加し、基質の色が明確に可視化されるまで反応させた(5−25分間)。基質を回収し、405nmでの吸光度を測定し、種子結合VHHのシグナルをブランク種子および無関係な対照VHHで処理した種子での基質の色と比較した。トウモロコシなどの作物種子への明確で再現可能なVHH結合が観察された、すなわちVHH 7A7(表1を参照されたい。)。選択およびスクリーニングは植物種子については実施されていないにもかかわらず、VHHが特定の植物種子への明確で特異的な結合を示すことが認められたことは驚くべきことである。
Figure 0006104160
アラビドプシス種子へのVHHの結合 − 種子へのVHHの結合を固定および非固定のアラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)種子で分析し、顕微鏡で分析した。種子は、50mM 1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)、5mM MgSO4、5mMエチレングリコール四酢酸(EGTA)中の4%パラホルムアルデヒド中、室温で30分間インキュベートするステップによって固定した。固定後種子をPBS中で3回洗浄した。PBSでの3回洗浄を抗体断片で標識化する前に未変性種子に実施した。PBSをウェルから除去し、5%MPBS中の5μg/ml VHHの溶液を添加し、60−90分間インキュベートした。未結合VHHをPBSで5回洗浄するステップによって除去した。結合VHHはAlexa−488蛍光色素(Abd Serotec)に直接コンジュゲートしたモノクローナルマウス抗ヒスチジン抗体との5%MPBS中での1時間のインキュベーションで検出した。未結合抗体をPBSで5回洗浄するステップによって除去した。種子を18ウェルμスライドに置き、顕微鏡によって分析した。VHH 6D7について例示されるとおり種子表面への種々のVHHの明確な結合が観察された(図1)。
[実施例4]
創傷植物組織へのVHHの結合
損傷したリンゴ皮へのVHHの結合 − 損傷したリンゴ皮ディスクへのVHHの結合を調査した。未処理リンゴ皮のディスクをリンゴ皮を穿孔器で穿孔するステップによって調製した。一連のリンゴ皮ディスクをリンゴ皮ディスクの外側表面に切り込みを作るステップによって意図的に傷つけた。損傷したリンゴ皮への各抗体の結合を対照としての未処理リンゴ皮との比較で各抗体について別々のインキュベーションにおいて調査した。リンゴ皮ディスクをPBSを含むマルチウェルプレートのウェルに上下を逆に置いた。PBSをウェルから除去し、新鮮PBSを各ウェルに添加した。この洗浄サイクルを2回繰り返した。PBS中1%BSA中に5μg/ml VHHを含有する溶液を皮ディスクに添加し、60−90分間インキュベートした。未結合VHHをPBSで5回洗浄するステップによって除去した。結合VHHはAlexa−488蛍光色素(Abd Serotec)に直接コンジュゲートしたモノクローナルマウス抗ヒスチジン抗体とのPBS中1%BSA中での1時間のインキュベーションで検出した。未結合抗体をPBSで5回洗浄するステップによって除去した。リンゴ皮ディスクをペトリ皿に置き、マクロズーム顕微鏡系(Nikon)で顕微鏡によって分析した。VHH 6D7およびVHH 7A7などいくつかのVHHでは、リンゴ皮ディスクの主に損傷領域への結合が認められた(図2)。
創傷植物葉へのVHHの結合 − 非固定ジャガイモ葉ディスクおよび小麦葉条片へのVHHの結合を調査した。葉ディスクは新鮮ジャガイモ葉を穿孔器で穿孔するステップによって作製した。小麦葉小片は、およそ0.25cmに葉小片を切断するステップによって調製した。葉ディスクおよび葉小片をPBSを含む96ウェルプレートのウェルに置いた。PBSをウェルから除去し、新鮮PBSを各ウェルに添加した。この洗浄サイクルを2回繰り返した。ジャガイモ葉ディスクおよび小麦葉小片を5%MPBS中に5μg/ml VHHを含有する溶液に移し、60−90分間インキュベートした。未結合VHHをPBSで5回洗浄するステップによって除去した。結合VHHはAlexa−488蛍光色素(Abd Serotec)に直接コンジュゲートしたモノクローナルマウス抗ヒスチジン抗体との5%MPBS中での1時間のインキュベーションで検出した。未結合抗体をPBSで5回洗浄するステップによって除去した。葉ディスクを8ウェルμスライドに置き、顕微鏡によって分析した。VHH 6D7、7A5、7A7および7E9は葉ディスクまたは葉小片に、主に創傷組織(葉の穿孔または切り込みによって生じた)の部位に強く結合することが認められた(図3)。
[実施例5]
ELISAでの多糖に富む植物抽出物へのVHHの結合
ELISAでのさまざまな植物種抽出物および大豆可溶性多糖へのVHH結合 − ジャガイモ植物(ソラナム・ツベロサム変種デシリー)、小麦植物(トリチカム・エスチバム変種ボルド)、ドクムギ植物(ロリウム・ペレンネ(Lolium perenne))、エンドウ豆植物(ピサム・サチバム(Pisum sativum))、イヌホオズキ植物(ソラナム・ニグラム(Solanum nigrum))由来植物葉抽出物へのおよび大豆可溶性多糖へのVHH結合をELISAで分析した。細胞壁多糖に富んだ全葉抽出物をCDTAを用いて抽出した(Moller et al.,2007)。葉を液体窒素中で凍結し、微粉末が得られるまで乳鉢および乳棒で破砕した。細胞壁多糖に富んだ抽出物を挽いた材料1g当たり10mlの50mM CDTA pH6.5を用い、4℃で30分間回転撹拌して微粉末を再懸濁することによって調製した。抽出物および不溶性材料をフィルターに適合するシリンジを用いて分離した。抽出物は微量遠心分離機で20,000g、5分間の遠心分離によってさらに澄ませた。粗大豆可溶性多糖をNakamura et al.(2002)によって記載された方法により抽出し、次いで50mM CDTA緩衝液pH6.5中に溶解した。ELISAプレートをPBS中30倍希釈CDTA抽出物で4℃、一晩コートした。翌日室温で1時間コーティングを継続した。プレートをPBS/0.05%Tween−20で3回洗浄し、PBS中5%スキムミルクで1−2時間ブロックした。精製VHHの5μg/ml希釈物を1%MPBS/0.05%−Tween−20中に調製した。抗体希釈物を植物抽出物でコートしたプレートに移し、VHHを1時間、室温で結合させた。結合VHHを1%MPBS/0.05%−Tween−20中のモノクローナルマウス抗ヒスチジン抗体(Abd Serotec)およびアルカリホスファターゼでコンジュゲートしたウサギ抗マウスIgG全分子抗体(RaM/AP)(Sigma)での連続的インキュベーションで検出した。未結合抗体を各抗体インキュベーション後にPBS/0.05%Tween−20で3回洗浄するステップによって除去した。プレートを追加的にPBSで2回洗浄し、pNPP二ナトリウム六水和物基質(Sigma)100μlを各ウェルに添加した。405nmでの吸光度を測定した(表2を参照されたい。)。VHHは、ジャガイモ、小麦、ドクムギ、エンドウ豆、イネ科草および大豆可溶性多糖抽出物へのさまざまな特異性を有する結合を明確に示す。大豆については、CDTA可溶性ペクチン画分がラムノガラクツロナンおよびキシロガラクツロナンから構成されており、ホモガラクツロナンでは構成されないことが記載されている(Huisman et al.,2001)。本ELISA設定では、特徴付けられていない粗抽出物が用いられていることから、さまざまな試料への結合は定性的に評価され、異なる抽出物間の直接比較はなされなかった。
Figure 0006104160
[実施例6]
ELISAでの植物細胞壁構成成分へのVHH結合
ELISAでのペクチン多糖へのVHH結合 − さまざまなペクチン種への精製VHHのアレイの結合をELISAで分析した。ELISAプレート(Maxisorp、Nunc)を1ウェル当たり100μlのPBS中の100μg/ml 70−75%エステル化リンゴペクチン(Sigma)、柑橘類果実由来≧80%エステル化ペクチン、柑橘類果実由来20−34%エステル化ペクチン(Sigma)または陰性対照としてのアラビアゴム(Sigma)でコートした。プレートを4℃で一晩コートし、コーティングは翌日室温で1時間継続した。プレートをPBS/0.05%Tween−20で3回洗浄し、PBS中5%スキムミルクで1時間ブロックした。精製VHHを1%MPBS/0.05%−Tween中に3μg/mlに希釈し、ペクチンコートプレートに添加し、VHHを1時間、室温で結合させた。結合VHHを1%MPBS/0.05%−Tween−20中のモノクローナルマウス抗ヒスチジン抗体(Abd Serotec)およびアルカリホスファターゼをコンジュゲートしたウサギ抗マウスIgG全分子抗体(RaM/AP)(Sigma)での連続的インキュベーションで検出した。未結合抗体を各抗体インキュベーション後にPBS/0.05%Tween−20で3回洗浄するステップによって除去した。プレートを追加的にPBSで2回洗浄し、pNPP二ナトリウム六水和物基質(Sigma)100μlを各ウェルに添加した。405nmでの吸光度を測定し、結合を得た結合プロファイルを全てのクローンに関して比較した(表3Aを参照されたい。)。多様で異なる結合パターンがさまざまなVHHに関して観察された。
ELISA滴定でのペクチン多糖へのVHH結合 − 1ウェル当たり100μlのPBS中100μg/ml 70−75%エステル化リンゴペクチン(Sigma)または柑橘類果実由来20−34%エステル化ペクチン(Sigma)でコートしたELISAプレート(Maxisorp Nunc)上でVHHの滴定を実施した。プレートは4℃で一晩コートし、コーティングは翌日室温で1時間継続した。プレートをPBS/0.05%Tween−20で3回洗浄し、PBS中5%スキムミルクで1時間ブロックした。精製VHHの4倍系列希釈物をポリプロピレン96ウェルプレートで1%MPBS/0.05%−Tween−20中に調製した。抗体濃度は3μg/mlから12ng/mlの範囲であった。抗体希釈物をペクチンコートプレートに移し、VHHを1時間、室温で結合させた。結合VHHを1%MPBS/0.05%−Tween−20中のモノクローナルマウス抗ヒスチジン抗体(Abd Serotec)およびアルカリホスファターゼをコンジュゲートしたウサギ抗マウスIgG全分子抗体(RaM/AP)(Sigma)での連続的インキュベーションで検出した。未結合抗体を各抗体インキュベーション後にPBS/0.05%Tween−20で3回洗浄するステップによって除去した。プレートを追加的にPBSで2回洗浄し、pNPP二ナトリウム六水和物基質(Sigma)100μlを各ウェルに添加した。405nmでの吸光度を測定し、抗体濃度の関数としてプロットした(表3Bおよび3Cを参照されたい。)。VHH 7A5、VHH 7A7およびVHH 6D7は、ELISAで用量依存的様式で低エステル化ペクチンに結合していた。高エステル化ペクチンでの結合シグナルは、VHH 7A5およびVHH 7A7に関して低エステル化ペクチンより低かった。VHH 6D7はELISAで高エステル化ペクチンに有意な結合を示さなかった。VHH 7A5、VHH 7A7およびVHH 6D7の低エステル化ペクチンへの優先的結合はアレイデータと一致する(図4)。
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[実施例7]
オリゴ糖および多糖アレイ上のVHHの結合
VHHでのオリゴ糖および多糖のアレイの探索 − 植物特異的オリゴ糖および多糖のアレイを、選択されたVHHによるエピトープ分類結合のさらなる解明のために用いた。ウシ血清アルブミン(BSA)コンジュゲートオリゴ糖36個および多糖45個をニトロセルロース上に配置した。アレイ上で各試料はスポット4個(2種の濃度を2回ずつ)によって表される。オリゴ糖および多糖のアレイは、選択されたVHHの5μg/mlで探索され、結合VHHは二次抗ヒスチジンおよび三次アルカリホスファターゼ−コンジュゲート抗体で検出した。個々のアレイの写真を撮り、さまざまなVHHインキュベーションについてヒートマップを記録した(図4)。結合データは、異なるエステル化の程度を有する(スポットG1、E1、H1、F1についてそれぞれ0%、11%、16%、43%)ライムペクチン試料に全てのVHHが結合したことからそれらが高度に特異的なペクチン結合剤であることを示した。純度が低いラムノガラクツロナンII試料(スポットI2)への結合は、この試料中に存在するペクチンドメインによっておそらく生じた。選択されたVHHがメチルエステル化の程度が低いペクチンに優先的に結合することは、ホモガラクツロナン(HG)エピトープへの結合を示唆している。興味深いことにVHH結合パターンは、同じアレイで検査された周知の従来の抗体結合パターン(すなわちJIM5(Knox et al.,1990;Willats et al.,2000;Clausen et al.,2003)、JIM7(Knox et al.,1990;Willats et al.,2000;Clausen et al.,2003)、JIM8(Pennell et al.,1991)、JIM13(Knox et al.,1991;Yates,1996)、LM10(McCartney et al.,2005)、LM15(Marcus et al.,2008)、LM18(Verhertbruggen et al.,2009)、LM19(Verhertbruggen et al.,2009)、LM20(Verhertbruggen et al.,2009))とは異なっていた。
[実施例8]
マイクロカプセルに結合したVHHの植物種子への結合
VHH機能化ポリウレアマイクロカプセルを生成する目的で、ベンジルベンゾエート中1.5%Uvitex OB(Ciba)のコア、および表面に露出するカルボキシル基のために取り込まれたリシンを含むシェルを有するマイクロカプセルにVHHを結合させた。ベンジルベンゾエート中1.5%Uvitex OBのコアは、マイクロカプセルの蛍光可視化のために用いられる。マイクロカプセルの産生後、マイクロカプセルを水で洗浄し水中にカプセル懸濁物として保存する。VHHの結合の前に、96ウェルディープウェル濾過プレート(Millipore)および真空マニホールド(Millipore)を用いてマイクロカプセルをMES/NaCl緩衝液(0.1M MES/0.5M NaCl pH6)で洗浄した。VHHのパネルをMES/NaCl緩衝液に透析し、最終濃度10−70μMまで添加し、マイクロカプセルと15−30分間インキュベートした。1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミドハイドロクロリド(EDC)(Pierce)をMES/NaCl緩衝液に溶解し、最終濃度50mMまで迅速に添加した。VHHを室温、2時間の継続的撹拌を伴うインキュベーションによって結合させた。結合反応は、グリシンまたはTris緩衝液pH7.5を最終濃度100mMまで添加するステップおよび室温、30分間のインキュベーションによって停止させた。非結合VHHをディープウェル回収プレートを用いる濾過プレートセットアップを用いて回収した。マイクロカプセルをPBSで3回洗浄し、PBS中に再懸濁し、使用まで4℃で保存した。マイクロカプセルがペクチン結合VHHの結合によって機能化されたことを実証するために、マイクロカプセルのアラビドプシス・タリアナ種子への結合実験を実施した。この目的のために種子を、VHH結合マイクロカプセルと、ブランクマイクロカプセルとまたはマイクロカプセルを含ませずにインキュベートした。マイクロカプセルの種子への結合を顕微鏡的および蛍光定量的に分析した。簡潔には、アラビドプシス・タリアナ種子1ウェル当たり4個をポリプロピレン96ウエルプレート(Nunc)のウェルに入れた。各条件は、1ウェル当たり種子4個で4ウェルからなる4回反復で実施した。マイクロカプセルおよそ3.8E+04個を含むマイクロカプセル懸濁液25μlを各ウェルに添加し、ELISA振盪プラットホームで室温、1時間インキュベートした。マイクロカプセルを再懸濁する慎重なピペッティングによって未結合マイクロカプセルを種子から洗浄除去し、上清を廃棄した。PBSでの洗浄を3回実施した。結合したマイクロカプセルを有する種子を18ウェルμスライド(lbidi)に移し、落射蛍光を用いて顕微鏡的に分析した。Uvitex OBをエタノールを用いて結合マイクロカプセルから遊離させ、上清を回収し、蛍光を測定した。種子だけを含むウェルから放出された蛍光をブランクマイクロカプセルとインキュベートした種子を含むウェルおよびVHH 6D7と結合したマイクロカプセルとインキュベートした種子を含むウェルと比較した。平均蛍光測定値(標準偏差)は種子とVHH 6D7を有するマイクロカプセルとを含むウェル、種子とブランクマイクロカプセルとを含むウェルおよび種子だけを含むウェルについてそれぞれ30441(±12934)、8722(±4024)および1784(±238)であり、本発明によるVHHが植物種子にマイクロカプセルを結合させるために用いられうること、および本発明によるVHHを有さないマイクロカプセルとの比較において植物種子に保持されるマイクロカプセル内容物の量をこの結合が実質的に増加させることを実証している。
未処理作物種子へのVHH機能化マイクロカプセルの結合 − 作物種子へのマイクロカプセルの結合を米、小麦およびトウモロコシの種子ならびにVHH 7A7およびVHH 7A5と結合したVHH機能化マイクロカプセルを用いて調査した。Uvitex OBを含有するコアを有する蛍光マイクロカプセルを1ml当たりマイクロカプセル1E+05個に希釈した。種子およびマイクロカプセルを回転撹拌で室温、1時間、PBS中または1%BSA/PBS中で米および小麦ならびにトウモロコシの種子についてそれぞれインキュベートした。非結合マイクロカプセルをPBSで洗浄するステップによって除去した。結合したマイクロカプセルを有する種子を結合したマイクロカプセルについてマクロズーム顕微鏡系(Nikon)上で分析した。DAPIフィルターをUvitex OBマイクロカプセルを可視化するために用いた。VHH結合マイクロカプセルに対する対照は、VHHが結合されていないブランクマイクロカプセルを含んだ。VHHを含まないブランクマイクロカプセルと比較してVHH 7A7またはVHH 7A5を有する有意に多いマイクロカプセルが米および小麦の種子に結合することが見出された(米については図5Aを小麦については5Bを参照されたい。)。VHHを含まないブランクマイクロカプセルと比較してVHH 7A7を有する有意に多いマイクロカプセルがトウモロコシ種子に結合することが見出された(図5Cを参照されたい。)。定量的測定のためにトウモロコシ種子に結合したマイクロカプセルからUvitex OBを遊離させた。1つの条件当たり3個のトウモロコシ種子を結合したVHH 7A7を有するマイクロカプセルとインキュベートした。マイクロカプセル種子結合を既に記載のとおり実施した。Uvitex OBを種子結合マイクロカプセルから100%エタノール中で5分間強く振盪するインキュベーションによって遊離させた。上清を回収し、溶液中蛍光をFluostar Optima apparatus(BMG Labtech)を用いて測定した。VHH結合マイクロカプセルに対する対照は、VHHが結合されていないブランクマイクロカプセルおよびマイクロカプセル有さない種子を含んだ。種子に結合したマイクロカプセルの数を、マイクロカプセルの標準的濃度系列を測定する手段によって算出した。VHH 7A7と結合したトウモロコシ種子について算出されたマイクロカプセル数は3.1E+02であった。ブランクマイクロカプセルまたは無関係の対照VHHを有するマイクロカプセルについて算出されたマイクロカプセル数はそれぞれ10および91であり、本発明によるVHHが植物種子にマイクロカプセルを結合させるために用いられうることおよびこの結合が本発明によるVHHを含まないマイクロカプセルと比較して植物種子に保持されるマイクロカプセルの数を実質的に増加させることを実証している。
植物増強剤を含むVHH機能化マイクロカプセルの未処理作物種子への結合 − 次に植物増強剤を含むVHH機能化マイクロカプセルが米および小麦の作物種子に結合および保持されうるかどうかを調査した。したがってピレスロイド殺虫剤ラムダ−シハロトリンをベンジル−ベンゾエート中に溶解し、最終負荷量40%まで機能化ポリウレアマイクロカプセル中に封入した。これらのマイクロカプセルを続いて本実施例の最初の段落に記載したものと同様の方法を用いて種子結合タンパク質と結合させた。10個の米および小麦の種子をPBS中に1ml当たりマイクロカプセル1E+05個を含有するマイクロカプセル懸濁液と個々に回転撹拌で1時間、室温でインキュベートした。未結合マイクロカプセルをPBSで洗浄するステップによって除去した。結合したマイクロカプセルを有する洗浄した種子をガラスバイアルに移し、マイクロカプセルをラムダシハロトリンを遊離するためにアセトン中に溶解した。試料を#0.05%トリフェニルホスフェートを内部標準として含むヘキサンの添加によって希釈した。ラムダ−シハロトリンの量を較正溶液と比較してGC/MS−MSによって決定した。ラムダ−シハロトリン0.34mg/kg(マイクロカプセル1.3E+04個に相当する。)がVHH 6D7と結合されたマイクロカプセルで処理した米種子上で測定され、一方ラムダ−シハロトリン0.25mg/kg(マイクロカプセル9.6E+03個に相当する。)だけが米種子に対する低い親和性を有する対照VHHと結合されたマイクロカプセルで処理した米種子上に検出された。同様にラムダ−シハロトリン0.53mg/kg(マイクロカプセル2.0E+05個に相当する。)がVHH 6D7と結合されたマイクロカプセルで処理した小麦種子上で測定され、一方ラムダ−シハロトリン0.43mg/kg(マイクロカプセル1.7E+04個に相当する。)だけが小麦種子に対する低い親和性を有する対照VHHと結合されたマイクロカプセルで処理した小麦種子上に検出された。これらの結果に基づいて、本発明者らは本発明によるVHHがマイクロカプセルに含まれる植物増強剤(この場合:ラムダ−シハロトリン)を種子表面に効率的に結合および保持させることが可能であることならびに種子上に存在する植物増強剤の量が用いられるVHHの結合親和性および特異性と関連することを結論付けた。
本発明による(植物増強剤を含む)種子処理組成物の有効性が次の:最初に本発明による種子処理のための組成物(植物増強剤を含む)を1つまたは複数の適切な種子に適用し、続いて前記処理された種子を土壌または土壌を含む鉢に播種し、最後に種子または実生(浸透移行性植物増強剤の場合)に存在する植物増強剤の量を経時的に適切な分析方法を用いて決定する、のとおり評価されうることは当業者に明らかである。本発明による組成物で処理した種子に存在する植物増強剤の量が、本発明による種子結合タンパク質を欠いた類似する種子処理組成物で処理した種子に存在する植物増強剤の量よりも多いことは認められる。代替的に、播種された処理種子は土壌伝染性病原体に暴露され、または新生実生(emergent seedling)は害虫または病原体に暴露され、新生植物に生じる損傷は、これだけに限らないが冒された植物の部分の外観検査を含む当業者に周知の任意の適切な方法を用いて経時的にモニターされる。本発明による組成物で処理した実生への損傷の量は、本発明による種子結合タンパク質を欠いた類似する種子処理のための組成物で処理した実生への損傷より少ないことが認められる。
[実施例9]
マイクロカプセルに結合されたVHHの損傷果実および創傷植物組織への結合
リンゴ皮ディスクでの結合アッセイをVHH機能化マイクロカプセルの損傷果実への結合を調査するために用いた。ジャガイモ葉ディスクでの結合アッセイをVHH機能化マイクロカプセルの創傷植物組織への結合を調査するために用いた。未処理リンゴ皮のディスクを、リンゴ皮を穿孔器で穿孔するステップによって調製した。一連のリンゴ皮ディスクをリンゴ皮ディスクの外側表面に切り込みを作るステップによって意図的に傷つけた。未処理ジャガイモ葉(変種デシリー)のディスクを穿孔器で葉を穿孔するステップによって調製した。一連のジャガイモ葉ディスクをジャガイモ葉ディスクの上側表面に切り込みを作るステップによって意図的に傷つけた。さまざまな結合VHHを有するマイクロカプセルの結合を、各条件について別々のインキュベーションにおいて調査した。リンゴ皮ディスクまたはジャガイモ葉ディスクをマルチウェルプレートのウェルに上を向けて置いた。Uvitex OBを含有するマイクロカプセルを適切な密度で0.05%Tween−20を含むPBS中の1%スキムミルク中に希釈した。マイクロカプセルをリンゴ皮およびジャガイモ葉のディスクに添加し、1時間、マイクロカプセルを定着および結合させた。未結合マイクロカプセルを0.05%Tween−20を含むPBSで洗浄するステップによって除去した。リンゴ皮およびジャガイモ葉のディスクを結合マイクロカプセルについてマクロズーム顕微鏡系(Nikon)上で分析した。DAPIフィルターをUvitex OBマイクロカプセルを可視化するために用いた。VHH結合マイクロカプセルに対する対照は、VHHが結合されていないブランクマイクロカプセルおよび無関係なVHHが結合されたマイクロカプセルを含む。Uvitex OBマイクロカプセルでのリンゴ皮およびジャガイモ葉のディスク結合アッセイの結果に基づいて、本発明のVHHのいくつか(例えばVHH 6D7)が、マイクロカプセルを果実の損傷部位または植物上の創傷組織に特異的に結合および保持させることが可能であると証明されたことが見出された(図6)。
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Claims (16)

  1. 植物種子結合タンパク質を含む、種子処理のための組成物であって、前記植物種子結合タンパク質は、ペクチンに結合する、抗体またはの機能性断片である、組成物。
  2. 前記植物種子結合タンパク質が、植物増強剤を植物種子に結合させることが可能である、請求項1に記載の種子処理のための組成物。
  3. 前記植物種子結合タンパク質が、担体を植物種子上に結合させることが可能である、請求項1に記載の種子処理のための組成物。
  4. ペクチンが、ホモガラクツロナンを含み、前記ホモガラクツロナンの0〜50%のカルボキシル基がエステル化されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の種子処理のための組成物。
  5. 前記植物種子結合タンパク質がラクダ科抗体から得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の種子処理のための組成物。
  6. 前記植物種子結合タンパク質がVHH配列を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の種子処理のための組成物。
  7. 前記VHHが、配列番号1から配列番号11からなる群から選択される配列を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の種子処理のための組成物。
  8. 前記植物種子が作物種子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の種子処理のための組成物。
  9. 前記作物が、トウモロコシ、小麦、モロコシ、ライ麦、大豆、米、綿、セイヨウアブラナ、ヒマワリ、サトウダイコン、ジャガイモ、野菜、花、芝草および飼料草からなる群から選択される、請求項8に記載の種子処理のための組成物。
  10. 植物種子を処理するための方法であって、(1)請求項1〜9のいずれか1項に記載の種子処理のための組成物を調製するステップ、および(2)前記組成物を植物種子に適用するステップを含む、方法。
  11. (i)種子を、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物を用いて処理するステップ、および(ii)処理された種子を播種するステップを含む方法であって、前記組成物が、
    (a)植物種子および/もしくは新生実生を種子伝染性および/もしくは土壌伝染性の病原体から保護し、ならびに/または
    (b)処理された種子からおよび/もしくは処理された種子に非常に近いところで生長する植物を、害虫および/もしくは病気により引き起こされる損傷から保護し、ならびに/または
    (c)植物種子、ならびに/または処理された種子からおよび/もしくは処理された種子に非常に近いところで生長する植物を、雑草ならびに/またはその他の望まれない植物により引き起こされる損傷から保護し、ならびに/または
    (d)処理された種子からおよび/もしくは処理された種子に非常に近いところで生長する植物の収穫高を増強する、
    方法。
  12. 植物増強剤を植物種子に結合させるための植物種子結合タンパク質の使用であって、前記植物種子結合タンパク質は、ペクチンに結合する抗体またはその機能性断片である、使用
  13. 少なくとも1つの植物種子結合タンパク質を含む、農薬組成物であって、前記植物種子結合タンパク質は、ペクチンに結合する抗体またはその機能性断片である、農薬組成物
  14. 植物増強剤を植物または植物の部分に結合させるための標的化剤の使用であって、前記標的化剤は、少なくとも1つの植物種子結合タンパク質を含み、前記植物種子結合タンパク質は、ペクチンに結合する抗体またはその機能性断片である、使用
  15. 的化剤を含む農薬組成物であって、前記標的化剤は、少なくとも1つの植物種子結合タンパク質を含み、前記植物種子結合タンパク質はペクチンに結合する抗体またはその機能性断片である、農薬組成物
  16. 種子処理のための組成物である、請求項15に記載の農薬組成物。
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