以下、一実施形態として、液体を噴射する液体噴射ヘッドを備え、記録媒体の一例としてのシート状をなす用紙に液体を噴射して文字や図形などを含む画像を印刷(記録)する記録装置の一例としての印刷装置について、図を参照して説明する。
図1(a),(b)に示すように、本実施形態の印刷装置11は、後述する本体フレーム70(図5等参照)を含む複数のフレーム部材からなるフレーム構造を備え、これらのフレーム部材に取り付けられた複数の構成部材によって構成され、その筐体が略直方体形状を呈する装置本体12を有している。この装置本体12において、その反重力方向側となる上面側には、スキャナーなどの画像読取部15が配設されている。また、装置本体12内には、用紙Pに対して液体の一例としてのインクを噴射して画像を印刷する記録部の一例としての印刷部20が備えられている。
装置本体12の前面側、すなわち印刷部20によって印刷された用紙Pの排出方向側には、印刷部20などを操作するための操作パネル13が配置されている。操作パネル13はメニュー画面等を表示するための表示部(例えば液晶ディスプレイ)や操作部(例えば操作ボタン)などを備えている。また、操作パネル13は、その上方側に設けられた不図示のヒンジなどの回転機構によって下方側が前方に持ち上げられて開く構成とされ、装置本体12に開閉可能に取り付けられている。
操作パネル13に対して操作部等が設けられた前側とは反対側の後側には、印刷された用紙Pを装置本体12外へ排出する排紙口が装置本体12に配設され、操作パネル13が開くことによって露出する排紙口(不図示)から、用紙Pは図1(a),(b)において白抜き矢印で示すように前方へ排出される。
本実施形態の印刷装置11には、印刷部20に対して供給する用紙Pを収容可能な記録媒体収容部の一例としての給紙カセット30が、操作パネル13の下方において装置本体12に対して挿抜可能に配設されている。給紙カセット30は積層状態で用紙P(P1)を載置可能である。そして、載置された用紙P(P1)は、挿入方向奥側(後側)に配設された用紙Pの供給路の一例としての搬送路に送り出されて搬送されることによって、印刷部20に一枚ずつ供給される。
さらに、印刷装置11には、給紙カセット30から印刷部20へ用紙Pを供給する以外に、装置本体12において操作パネル13が設けられた前側とは反対側の後側の上方部位に、用紙P(P2)を手差しで一枚ずつ供給する手差給紙機構40が備えられている。手差給紙機構40は、用紙P(P2)が差し込まれる開口空間を差込口42として備え、この差込口42を開閉する蓋部材の一例である開閉蓋41が、装置本体12に揺動自在に備えられている。
開閉蓋41は、手差給紙機構40において用紙P(P2)の供給を行わない場合は、差込口42に埃などの異物が入らないように、図1(a)に示すように差込口42を閉じた閉蓋状態とされる。一方、手差給紙機構40において用紙P(P2)を印刷部20へ供給する場合は、開閉蓋41は、図1(a)において矢印Rで示すように後方へ揺動させられることによって、図1(b)に示すように差込口42を開けた開蓋状態とされる。そして、開閉蓋41が開蓋状態とされて露出する差込口42に用紙P(P2)が差し込まれることによって、用紙P(P2)は印刷部20への供給が可能な状態となる。
印刷部20はキャリッジ24と液体噴射ヘッド25とを有し、供給された用紙P(P1,P2)に対して相対移動して印刷を行う。すなわち、装置本体12内には、印刷部20へ搬送される用紙Pの搬送方向と交差する幅方向(これを主走査方向Xとも呼ぶ)に沿って延在する2つの第1レール部材22、第2レール部材23が、主走査方向Xと交差する方向において所定の間隔を空けて装置本体12内に配設されている。なお、図1(a),(b)では、キャリッジ24、第1レール部材22、および第2レール部材23は簡略化されて図示されている。
この2つの第1レール部材22および第2レール部材23に沿って主走査方向Xに移動可能な状態でキャリッジ24が支持されている。すなわち、キャリッジ24は、図示しないキャリッジモーターの駆動に伴って第1レール部材22および第2レール部材23に沿って主走査方向Xにおいて往復移動する。したがって、第1レール部材22および第2レール部材23は、移動するキャリッジ24の案内部材の一例として機能する。ちなみに、本実施形態では、第1レール部材22および第2レール部材23は、それぞれ曲げ加工された金属板が用いられる。
キャリッジ24の重力方向側となる下面側には、インクを噴射する液体噴射ヘッド25が搬送方向における2つの第1レール部材22と第2レール部材23との間に支持されている。そして、キャリッジ24を移動させることで液体噴射ヘッド25を移動させるとともに、移動する液体噴射ヘッド25から用紙Pに対してインクを噴射させる。
用紙Pは、下方から支持台26(図2参照)によって支持されつつ、キャリッジ24の移動に際して、図示しない紙送りモーターによって回転駆動される紙送り駆動ローラー65(図2参照)により、この支持台26上を主走査方向Xと交差する方向(これを副走査方向Yとも呼ぶ)に搬送(間欠移動)される。このキャリッジ24(印刷部20)の主走査方向Xへの移動と用紙Pの副走査方向Yへの間欠移動との双方の移動によって、用紙Pの表面(印刷面)に対して印刷が行われる。そして、印刷が行われた用紙Pは副走査方向Yへ搬送されることによって排紙口から装置本体12外に排出される。なお、印刷部20による印刷に際して液体噴射ヘッド25に供給するインクを収容した複数のインクカートリッジ(不図示)が、装置本体12内に配設されている。
本実施形態の印刷装置11では、このように給紙カセット30および手差給紙機構40の双方から供給される用紙Pを印刷部20へ搬送する用紙搬送路が供給路として設けられている。この用紙搬送路について、図2を参照して説明する。なお、図2では、給紙カセット30には用紙P1が収容されていない状態で、また手差給紙機構40には用紙P2が差し込まれていない開閉蓋41を閉じた状態で、図示されている。また、第1レール部材22および第2レール部材23についてはその一部が断面で図示されている。
図2に示すように、印刷装置11には、装置本体12を構成する複数の第1構成部材51、第2構成部材52、第3構成部材53、第4構成部材54、第5構成部材55、第6構成部材56、第7構成部材57、および第8構成部材58が設けられている。また、回転自在に設けられた第1ローラー61、第2ローラー62、第3ローラー63、および第4ローラー64が設けられている。このうち第1ローラー61は駆動源によって駆動される駆動ローラーであり、他の第2ローラー62、第3ローラー63、第4ローラー64は第1ローラー61の回転によって従動する従動ローラーである。
第1構成部材51および第2構成部材52は、後面が装置本体12の筐体として機能する。また第1構成部材51は、用紙Pの幅方向すなわち主走査方向Xの両側において側壁51H(図3(b)参照)を形成するように、両側が折れ曲った形状とされている。この側壁51Hは、用紙搬送路における用紙Pの幅方向の側壁として機能する。
第1ローラー61は、不図示の駆動源からの駆動力に基づき主走査方向Xに沿う軸線を中心として、第1構成部材51の側壁51Hに回転可能に軸支されている。そして、主走査方向Xに沿う軸線を中心として第1構成部材51に回転自在に軸支された第2ローラー62との間で、また主走査方向Xに沿う軸線を中心として第4構成部材54に回転自在に軸支された第3ローラー63との間で、それぞれ用紙Pを挟持して搬送する。なお、第2ローラー62はリタードローラーとして機能し、第1ローラー61によって給紙カセット30から供給される用紙Pを一枚ずつ搬送する。
これらの各構成部材および各ローラーによって、図2に示すように、搬送方向上流側である給紙カセット30側から搬送方向下流側である印刷部20に向かって順に、用紙Pを搬送する第1搬送路35、第2搬送路36、第3搬送路37がそれぞれ形成される。これらの搬送路を介して、図2において破線矢印K1および破線矢印K3で示すように、用紙P1が印刷部20へ供給される。
すなわち、給紙カセット30に載置された用紙P(P1)は、装置本体12内で主走査方向Xに沿う回動中心33aを中心として揺動する給紙部33の先端に備えられた給紙ローラー34によって、給紙カセット30から分離斜面32に沿って上方へ移動されて第1搬送路35に搬送される。第1搬送路35は第1構成部材51と第8構成部材58との間に形成される。次いで、用紙Pは第1搬送路35の搬送方向下流側に位置する第1ローラー61と第2ローラー62とのローラー対によって挟まれ、第1ローラー61の回転によって第2搬送路36に搬送される。
第2搬送路36は第1ローラー61の外周面と、この外周面と対向するように配設された第3構成部材53(可動部材)の壁面(下面)および第4構成部材54の一部の壁面(下面)によって構成され、湾曲形状の空間領域を有する湾曲経路となっている。第3構成部材53は、その回動軸53aが第2搬送路36における搬送方向上流側で第2構成部材52に回転自在に軸支され、搬送方向下流側の端部53bが回動軸53aを中心に揺動することによって変位可能とされている。そして、このように第3構成部材53が変位することによって、第3構成部材53と第4構成部材54との間が開閉可能とされている。
次いで、用紙Pは第2搬送路36から、この第2搬送路36の搬送方向下流側に設けられた第1ローラー61と第3ローラー63とのローラー対に挟まれて第3搬送路37に搬送される。第3搬送路37は、湾曲経路である第2搬送路36に続いて前方向先下がりの状態で形成され、第4構成部材54の前方側の一部壁面(下面)と、第6構成部材56の下面と、第5構成部材55の前側壁面、および装置本体12の構成部材12aの上面との間に形成される空間領域である。
このように用紙Pが搬送される第3搬送路37に対して、その印刷部20側となる搬送方向下流側において第4搬送路39が連通形成されている。第4搬送路39は、一方(上方)の搬送路壁面が、装置本体12の構成部材12bにおける下面によって構成され、他方(下方)の搬送路壁面が装置本体12の構成部材12aの上面によって構成されている。従って、第3搬送路37へ送り出された用紙Pは、第3搬送路37と連通する第4搬送路39に搬送されることによって装置本体12に回転可能に軸支された紙送り駆動ローラー65と紙送り従動ローラー66とによって挟持され、印刷部20へ搬送される。したがって、少なくとも紙送り駆動ローラー65は、用紙Pを印刷部20へ搬送する搬送部材の一例として機能するとともに、紙送り従動ローラー66とによって搬送部の一例として機能する。
その後、第1レール部材22および第2レール部材23に案内されて主走査方向Xへ往復移動する印刷部20によって、支持台26上を移動する用紙Pの印刷面に対して印刷が行われる。そして印刷が完了した用紙Pは、図2において二点鎖線矢印K4で示すように、装置本体12に回転可能に軸支された排紙駆動ローラー67と排紙従動ローラー68とによって挟持されて副走査方向Yへ搬送され、排出口から排出される。なお、本実施形態において、用紙Pが、排紙駆動ローラー67と排紙従動ローラー68とによって搬送される状態において印刷部20によって印刷が行われる構成である場合は、少なくとも排紙駆動ローラー67も、紙送り駆動ローラー65と同様、用紙Pを印刷部20へ搬送する搬送部材として機能する。また、排紙駆動ローラー67と排紙従動ローラー68とが搬送部の一例として機能する。
ところで、本実施形態の印刷装置11には、第1搬送路35、第2搬送路36、第3搬送路37に加えて、第5搬送路38が、第3搬送路37から第1ローラー61の下側後方に連続形成されている。第5搬送路38は、一方(下方)の搬送路壁面が第7構成部材57の上面および第8構成部材58の前面によって構成され、他方(上方)の搬送路壁面が第1ローラー61の外周壁面によって構成されている。
この第5搬送路38は、印刷装置11において用紙Pに対して両面記録を行う場合、用紙Pの反転搬送に使用される。すなわち、紙送り駆動ローラー65は、不図示の駆動源によって逆方向に回転される。この逆回転によって、用紙Pは、印刷部20において片面(表面)に記録が施された後、副走査方向Yと逆方向である後方に戻され、第1ローラー61と第4ローラー64とのローラー対によって挟持されることによって第5搬送路38に搬送される。したがって、印刷装置11は、印刷部20へ供給される用紙Pの両面に印刷を行うために用紙Pの表裏を反転、つまり印刷面を反転させる機能を有する。
さらに、印刷装置11には、給紙カセット30からの用紙搬送路において、手差給紙機構40から供給される手差し用紙(P2)の搬送路が連結形成されている。すなわち、用紙P2の搬送路は、第3構成部材53と第4構成部材54とによって形成され、差込口42を一端に有する手差搬送路43を有している。そして、この手差搬送路43は、可動部材である第3構成部材53が回動軸53aを中心に回動して、図2において二点鎖線で示すように、第3構成部材53における用紙P1の搬送方向下流側の端部53bと、第3構成部材53よりも上側に位置する第4構成部材54との間が開いた状態になることによって、第2搬送路36と連通する。この連通によって、差込口42から差し込まれた用紙P(P2)は、図2において破線矢印K2および破線矢印K3で示すように、第2搬送路36における搬送経路の途中であって第3ローラー63よりも搬送方向上流側において合流する第2搬送路36を通り、その後、第3搬送路37へ搬送される。
さて、本実施形態の印刷装置11では、給紙カセット30から供給される用紙の搬送路と手差給紙機構40から供給される用紙の搬送路とが、装置本体12から取り外し可能に備えられている。具体的には、第1搬送路35、第2搬送路36、第3搬送路37、第5搬送路38、および手差搬送路43が、操作パネル13側とは反対の後側において、装置本体12に対して後方に引き抜くことによって取り外し可能な着脱ユニット50として構成されている。この構成について、図3(a),(b)を参照して説明する。
図3(a)に示すように、本実施形態では、着脱ユニット50は装置本体12において給紙カセット30の挿入方向(副走査方向Yと反対方向)奥側であって給紙カセット30の上方に配設されている。そして、着脱ユニット50が装置本体12に装着された状態において露出する第2構成部材52の部材面に、ユーザーが指先を挿入して把持動作することでスライド移動する一対の操作部50aが設けられている。ユーザーは、この操作部50aを互いに近づくようにスライド移動させることによって、着脱ユニット50の装置本体12への係止状態が解除され、着脱ユニット50は装置本体12から後方へ抜き取ることが可能とされている。
例えば、図3(b)に示すように、用紙搬送路内でジャム状態となった用紙Pをジャム処理する場合などにおいて、作業者は、操作部50aをスライド移動させて着脱ユニット50を後方に引き抜いて装置本体12から離脱させる。この着脱ユニット50の引き抜きによって、印刷装置11内において着脱ユニット50が占有していた空間領域SPが露出する。従って、作業者は露出された空間領域SPにおいてジャム状態になった用紙Pを視認しながら、形成された空間領域SPへ手を挿入してジャム処理を行うことができる。
もとより、作業者は、ジャム処理後、着脱ユニット50を装置本体12に挿入して装着する。このとき、装着される着脱ユニット50には、第1構成部材51の主走査方向Xの両側に形成された側壁51Hのそれぞれにおいて鍔形状部51G(図3(b)では図面手前のみ図示されている)が凸設されている。この鍔形状部51Gが、装置本体12の構成部材が取り付けられる本体フレーム70における後方側の端部位に形成された壁面部位73Hと壁面部位74Hとの間に隙間無く保持されることによって、着脱ユニット50は本体フレーム70に対して位置決めされた状態で装着される。この着脱ユニット50の装着によって、給紙カセット30あるいは手差給紙機構40から供給される用紙Pは、第3搬送路37から第4搬送路39を介して紙送り駆動ローラー65に対して供給可能となる。したがって、着脱ユニット50は、紙送り駆動ローラー65に対する用紙Pの供給路を形成する媒体供給路形成部材の一例として機能する。なお、ここで言う隙間の無い状態とは、部材の製造ばらつきに起因する隙間が生じた状態も含む。
本実施形態の印刷装置11が備えるフレーム構造では、この着脱ユニット50を位置決めする本体フレーム70に対して、印刷部20の移動を案内する第1レール部材22および第2レール部材23が取り付けられる。次に、第1レール部材22および第2レール部材23が取り付けられた本体フレーム70について、図4を参照して説明する。なお、図4では、説明を容易にするため、印刷装置11において装置本体12や操作パネル13などの筐体を含め複数の構成部材が取り外された状態で図示されている。
図4に示すように、本体フレーム70は装置本体12の筐体を含め複数の構成部材が取り付けられるフレーム部材であって、本実施形態では、この本体フレーム70に対して、主走査方向Xへ移動する印刷部20(キャリッジ24)を案内する第1レール部材22および第2レール部材23が取り付けられる。また、この本体フレーム70には、用紙Pを搬送する紙送り駆動ローラー65および排紙駆動ローラー67の双方が、回転自在に取り付けられる。更に、この本体フレーム70には、用紙Pの支持台26が、紙送り駆動ローラー65と排紙駆動ローラー67との間であって、液体噴射ヘッド25と対向する位置(領域)に取り付けられる。
第1レール部材22は主走査方向X視で略C字形状に折り曲げられた金属板22aと略L字形状に折り曲げられた金属板22bとが結合されて形成され、金属板22aにおいて主走査方向Xに直線状に延びる帯状面22Sが、移動するキャリッジ24の後側の案内面(摺動面)となっている。そして、第1レール部材22(金属板22b)において主走査方向Xに所定の間隔を空けて設けられた2つの孔部22Aに不図示のねじなどの締結部材を挿入したのち本体フレーム70にその締結部材を固定することによって、金属板22bを本体フレーム70に取り付ける。この金属板22bの取り付けによって、第1レール部材22(帯状面22S)は、本体フレーム70に対してその上面側に位置決めされた状態で取り付けられる。したがって、第1レール部材22は、本体フレーム70に取り付けられた状態で、印刷部20の移動方向(主走査方向X)に沿って延在する金属フレーム(第1金属フレーム)の一例として機能する。
一方、第2レール部材23は、主走査方向X視で略L字形状に折り曲げられた金属板で形成され、少なくともその折り曲げによって設けられた主走査方向Xに直線状に伸びる帯状面23Sがキャリッジ24の前側の案内面(摺動面)となっている。そして、第2レール部材23において主走査方向Xに所定の間隔を空けて設けられた孔部23Aに不図示のねじなどの締結部材を挿入したのち本体フレーム70にその締結部材を固定することによって、第2レール部材23は、本体フレーム70に対してその上面側に位置決めされた状態で取り付けられる。したがって、第2レール部材23は、本体フレーム70に取り付けられた状態で、第1レール部材22と同様に、印刷部20の移動方向に沿って延在する金属フレーム(第2金属フレーム)の一例として機能する。
なお、本実施形態では、第1金属フレームとしての第1レール部材22は、印刷部20よりも用紙Pの搬送方向上流側において本体フレーム70に取り付けられ、第2金属フレームとしての第2レール部材23は、印刷部20を挟んで第1レール部材22(第1金属フレーム)とは反対側において本体フレーム70に取り付けられる。
紙送り駆動ローラー65は、その主走査方向Xの両端部分に設けられた軸部65a,65bが、本体フレーム70において上面側に位置決めされるとともに、本体フレーム70に対して回転自在に取り付けられる。また、排紙駆動ローラー67は、その主走査方向Xにおける両端部分に設けられた軸部67a,67bが、本体フレーム70において上面側に位置決めされるとともに、本体フレーム70に対して回転自在に取り付けられる。
もとより、図4において図示が省略されているが、本体フレーム70には、その他の構成部材が取り付けられる。例えば、本体フレーム70には、第2レール部材23を介して操作パネル13が支持される。すなわち、第2レール部材23に対して操作パネル13のヒンジなどの回転機構を有する機構部材が取り付けられ、その機構部材に対して、操作パネル13が取り付けられる。あるいは、本体フレーム70には、排紙駆動ローラーの上方において排紙従動ローラー68(図2参照)を保持する保持部材が排紙駆動ローラー67に対して相対移動可能に取り付けられる。
また、本体フレーム70には、第1レール部材22あるいは第2レール部材が取り付けられる上面側とは反対側の下面側に、印刷部20から排紙される用紙Pを受ける排紙トレイや用紙Pの給紙部33(回動中心33a)が取り付けられる。さらに、給紙カセット30から送り出される用紙Pの分離斜面32や、印刷装置11の動作を制御するメイン基板などが取り付けられる。さらに、本体フレーム70には、第1縦フレーム部位73から主走査方向Xにおいて外側に向かって延設された延設部位が設けられ、その延設部位に対して、液体噴射ヘッド25のメンテナンス装置が取り付けられる。また、第2縦フレーム部位74の主走査方向Xにおける外側には、例えば紙送り駆動ローラー65を回転させる複数の歯車列(輪列)や、印刷装置11の印刷動作に関する制御を司るメイン基板や、制御用の電気信号を中継する中継基板などが取り付けられる。
本実施形態では、このように、第1レール部材22、第2レール部材23、紙送り駆動ローラー65、および排紙駆動ローラー67がそれぞれ取り付けられる本体フレーム70において、それらが取り付けられる本体フレーム70の各部位は、一つの部材に設けられた部位とされている。すなわち、本実施形態では、本体フレーム70の全体が、例えば樹脂成形によって一つの部材として形成されている。このように形成された本体フレーム70について、図5〜図7を参照して説明する。
図5および図6に示すように、本体フレーム70は、副走査方向Yに沿って部材が略板状に延在するベース部位としての第1横フレーム部位71と、この第1横フレーム部位71の主走査方向Xの両側端において、第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74と、を有している。第1縦フレーム部位73と第2縦フレーム部位74は、それぞれ第1横フレーム部位71に対して直交する方向に部材が略板状に延在する部位であって、第1横フレーム部位71とによって、副走査方向Yの手前側から見た形状がH字形状となって形成されている。そして、第1横フレーム部位71は、給紙カセット30と、着脱ユニット50(詳しくは第3搬送路37)および紙送り駆動ローラー65と、の間に位置し、これらを仕切る構成とされている。すなわち、第1横フレーム部位71は、印刷部20において搬送される用紙Pの搬送部と、給紙カセット30とを仕切るベース部位とされている。したがって、第1横フレーム部位71は、給紙カセット30と用紙Pの搬送部との間に必要な隙間に形成されるので、印刷装置11の総厚の増加、つまり印刷装置11の大型化を抑制する。なお、本実施形態では、着脱ユニット50に形成された第3搬送路37および第4搬送路39も搬送部を構成する。
また、第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74において、第1横フレーム部位71よりも副走査方向Yの先側には、第1縦フレーム部位73と第2縦フレーム部位74のそれぞれの上面間を連結するとともに、副走査方向Yに沿って部材が略平板状に延在する第2横フレーム部位72が設けられている。すなわち、第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74と第2横フレーム部位72とは、副走査方向Yの先側から見た形状が略U字形状となって形成されている。
第1縦フレーム部位73には、第1レール部材22が取り付けられる際の位置決め部位73eと、締結部材が固定される凹部位73fとが、第1横フレーム部位71に対して給紙カセット30側とは反対側となる上面側に設けられている。同じく、第1縦フレーム部位73には、第2レール部材23が取り付けられる際の位置決め部位73gと、締結部材が固定される凹部位73hとが、第1横フレーム部位71の上面側に設けられている。また、第2縦フレーム部位74には、第1レール部材22が取り付けられる際の位置決め部位74eと、締結部材が固定される凹部位74fとが、第1横フレーム部位71に対して給紙カセット30側とは反対側となる上面側に設けられている。同じく、第2縦フレーム部位74には、第2レール部材23が取り付けられる際の位置決め部位74gと、締結部材が固定される凹部位74hとが、第1横フレーム部位71の上面側に設けられている。
本実施形態では、位置決め部位73eおよび位置決め部位74eは、それぞれ第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74において第1レール部材22(金属板22b)が取り付けられる際に第1レール部材22の一部が当接する当接部位とされている。また、位置決め部位73gおよび位置決め部位74gは、それぞれ第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74において第2レール部材23が取り付けられる際に第2レール部材23に設けられた不図示の孔と係合する円柱状の凸部位(ダボ)とされている。
そして、図5および図7に示すように、本体フレーム70の第1縦フレーム部位73において、第1レール部材22が取り付けられる際の位置決め部位73eおよび凹部位73fと、第2レール部材23が取り付けられる際の位置決め部位73gおよび凹部位73hとの間は、部材が連続する橋渡し部位とされている。同様に、本体フレーム70の第2縦フレーム部位74において、第1レール部材22が取り付けられる際の位置決め部位74eおよび凹部位74fと、第2レール部材23が取り付けられる際の位置決め部位74gおよび凹部位74hとの間は、部材が連続する橋渡し部位とされている。
さらに、第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74には、紙送り駆動ローラー65の軸部65a,65bを受ける軸受け部位73m,74mが、それぞれ略半円筒面状に窪んだ内面形状で形成されている。また、第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74には、排紙駆動ローラー67の軸部67a,67bを受ける軸受け部位73n,74nが、それぞれ略半円筒面状に窪んだ内面形状で形成されている。
また、第1横フレーム部位71には、支持台26が取り付けられる領域71pよりも副走査方向Yの手前側となる後方側に平面部位71sが設けられている。この平面部位71sの給紙カセット30側と反対側の上面には、副走査方向Yに沿って条線が延伸する凸条部位の一例としてのリブ71Rが複数形成されている。したがって、本体フレーム70は、第1横フレーム部位71の平面部位71sに形成された複数のリブ71Rによって、例えば副走査方向Yに沿った曲げ変形に対する剛性を高めている。なお、本実施形態では、この平面部位71sは、着脱ユニット50が装着されて形成される第3搬送路37の下面、すなわち構成部材12aとして機能する。したがって、平面部位71sの上面は用紙Pの搬送面となり、用紙Pの搬送時に際して、複数のリブ71Rによって用紙Pの搬送抵抗が抑制される。
また、本実施形態では、第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74には、副走査方向Yの手前側となる後方側の端部位に、主走査方向Xにおいて互いに対向する壁面部位73H,74Hがそれぞれ設けられている。この壁面部位73H,74H間に、前述するように、着脱ユニット50(詳しくは、図3に示した側壁51Hに設けられた鍔形状部51G)が隙間の無い状態で保持されることによって、着脱ユニット50は本体フレーム70に対して位置決めされた状態となる。したがって、壁面部位73H,74Hは着脱ユニット50の保持部として機能する。
さらに、図6および図7に示すように、本実施形態の本体フレーム70は、第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74における副走査方向Y側の端部位に設けられた上面部位73Tおよび上面部位74Tが、画像読取部15を取り付け面とされている。すなわち、本実施形態では、画像読取部15は副走査方向Yの手前側となる後方端に設けられた揺動軸部15a(図3(a),(b)参照)を中心に揺動可能な揺動筐体部とされている。そして、画像読取部15は、揺動軸部15aが上面部位73Tおよび上面部位74Tに取り付けられる。なお、上面部位73Tおよび上面部位74Tは断面が多角形(ここでは四角形)の筒状に形成され、画像読取部15など機能部を内装する揺動筐体部の取付部として機能する。
一方、第1縦フレーム部位73の下面部位73Gおよび第2縦フレーム部位74の下面部位74Gは、それぞれ副走査方向Yに沿って略平坦面を形成するように延設され、下面部位73G,74Gからそれぞれ下側に突出する3つの凸部位73F,74Fが、装置本体12(印刷装置11)の脚部とされている。換言すれば、第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74は、印刷装置11の使用時において重力方向となる長さ(高さ)が、装置本体12内にて許容される最大長さで形成されている。
次に、本実施形態の作用について、図8を参照して説明する。
図8に示すように、印刷装置11では、一つの部材で形成された本体フレーム70における第1縦フレーム部位73(第2縦フレーム部位74)に対して、用紙Pの幅方向へのキャリッジ24の移動を案内する第1レール部材22および第2レール部材23が取り付けられる。さらに、用紙Pを搬送する紙送り駆動ローラー65の軸部65a(65b)および排紙駆動ローラー67の軸部67a(67b)が取り付けられる。従って、第1縦フレーム部位73(第2縦フレーム部位74)に取り付けられた、第1レール部材22および第2レール部材23の位置と、紙送り駆動ローラー65および排紙駆動ローラー67の位置との間では、それらの相対的な位置が互いに変わらないように、それらの変位が抑制される。
また、図8において紙面表裏方向に重なるように配置される第1縦フレーム部位73と第2縦フレーム部位74との間では、第1横フレーム部位71および第2横フレーム部位72(図5参照)がこの第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74と連続する一つの部材で形成される。これによって、例えば主走査方向Xを軸中心としたねじり変形に対する剛性が高められる。
したがって、キャリッジ24の主走査方向Xにおける移動は、ねじれが抑制された略平行な移動となる。この結果、例えば、紙送り駆動ローラー65によって搬送される用紙Pに対して、キャリッジ24の移動に伴って移動する液体噴射ヘッド25から噴射される液体の着弾位置は、副走査方向Yにおいて、ずれが抑制される。
なお、本実施形態では、支持台26も本体フレーム70、すなわち第1横フレーム部位71の領域71p(図5参照)に取り付けられる。従って、第1レール部材22および第2レール部材23に対する支持台26の上面位置(距離)の変化が抑制されるので、支持台26上を搬送される用紙Pと、第1レール部材22および第2レール部材23に案内されて移動する液体噴射ヘッド25との間の隙間も、その変動が抑制される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)印刷装置11は、給紙カセット30と用紙Pの搬送路とを仕切るとともに副走査方向Yから見た形状がH字形状である部位(第1横フレーム部位71)を有する本体フレーム70が一つの部材で形成されたことによって、大型化が抑制される。また、用紙Pの幅方向を軸方向とする捻りや搬送方向に沿った曲げに対して高い剛性が得られる。したがって、この高い剛性によって本体フレーム70の振動が抑制され、印刷部20の移動に対する影響や用紙Pの搬送に対する影響が抑制されるので、印刷部20によって高品質の印刷(記録)が可能となる。
(2)印刷部20の移動方向に沿って延在する第1レール部材22あるいは第2レール部材23によって本体フレーム70の剛性が高められるので、印刷部20によって高品質の印刷(記録)が得られる。
(3)用紙Pの搬送方向における印刷部20の両側において、印刷部20の移動方向に沿って第1レール部材22及び第2レール部材23が備えられるので、本体フレーム70の剛性がさらに高められる。したがって、用紙Pに対してその幅方向に安定して移動する印刷部20によって高品質の印刷(記録)が得られる。
(4)本体フレーム70において、第1レール部材22と第2レール部材23との間が、一つの部材が連続する橋渡し部位によって橋渡しされるので、第1レール部材22と第2レール部材23とは、本体フレーム70に対して高い位置精度で取り付けられる。したがって、搬送される用紙Pに対して印刷部20は高い位置精度でその幅方向に移動されるので、移動する印刷部20によって高品質の印刷(記録)が得られる。
(5)印刷部20は、用紙Pの幅方向に延在する第1レール部材22(第2レール部材23)に案内されて移動するので、用紙Pの搬送方向と交差する方向に安定して移動する。したがって、印刷部20は用紙Pに対して高品質の印刷(記録)を行うことができる。
(6)剛性を有する本体フレーム70に取り付けられた紙送り駆動ローラー65は、用紙Pを、印刷部20の移動方向と交差する搬送方向へ、印刷部20に対して高い位置精度で移動させることができる。したがって、用紙Pに対してその幅方向に高い位置精度で移動する印刷部20によって高品質の印刷(記録)が得られる。
(7)剛性を有する本体フレーム70に対して、画像読取部15の揺動軸部15aが取り付けられたり、着脱ユニット50が隙間無く保持されたりするので、印刷装置11において、画像読取部15の揺動や着脱ユニット50の位置ずれに起因する印刷部20の移動や用紙Pの搬送への影響が抑制される。したがって、高品質の印刷(記録)が可能となる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、本体フレーム70は、副走査方向Yにおいて少なくとも第1レール部材22、第2レール部材23、および紙送り駆動ローラー65が取り付けられる範囲に渡って、第1縦フレーム部位73、第2縦フレーム部位74、第1横フレーム部位71、および第2横フレーム部位72が一つの部材で形成されることとしてもよい。
・上記実施形態において、例えば、第1横フレーム部位71によって、第1縦フレーム部位73と第2縦フレーム部位74に固定された第2レール部材23の変位が抑制される剛性を有する構成である場合は、必ずしも第2横フレーム部位72は第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74と一つの部材で形成されなくてもよい。さらに、第2横フレーム部位72を設けなくても差し支えない。
・上記実施形態において、着脱ユニット50は必ずしも用紙Pを反転する搬送路が形成されていなくてもよい。また、手差しで用紙P(P2)を供給する手差給紙機構40が備えられなくてもよい。
・上記実施形態において、第1レール部材22は一つの金属板で形成されていてもよい。また、第1レール部材22と第2レール部材23とが、一体で形成されていてもよい。
・上記実施形態において、本体フレーム70には、第1レール部材22および第2レール部材23のうち少なくとも一方が取り付けられる構成としてもよい。例えばキャリッジ24が第1レール部材22によって支持されて移動案内可能な構成であれば、第2レール部材23は必ずしも取り付けられなくてもよい。
・上記実施形態において、必ずしも本体フレーム70にけるベース部位としての第1横フレーム部位71の上面側に搬送部が下面側に給紙カセット30が配置されなくてもよい。例えば、第1横フレーム部位71の上面側に給紙カセット30を配設し、第1横フレーム部位71の下面側に用紙Pの搬送部を配設する構成であってもよい。
・上記実施形態において、本体フレーム70は、用紙Pの副走査方向Yから見た形状が必ずしもH字形状を有さなくてもよい。例えば、第2横フレーム部位72と同様に、第1横フレーム部位71が第1縦フレーム部位73および第2縦フレーム部位74の上端部や、その逆の下端部に連結形成されていてもよい。要は、用紙Pの幅方向を軸方向とした捻りや、副走査方向Yに沿った曲げに対して高い剛性が得られる形状であればよい。
・上記実施形態において、本体フレーム70には、必ずしも印刷部20へ搬送される用紙Pの搬送面が設けられなくてもよい。この場合、例えば、搬送面を、本体フレーム70とは別の構成部材によって形成すればよい。
・上記実施形態において、本体フレーム70は、必ずしも、紙送り駆動ローラー65に対して用紙Pを供給する供給路が形成された着脱ユニット50を隙間無く保持可能な壁面部位73H,74Hを有さなくてもよい。例えば、第4搬送路39によって搬送される用紙Pの幅方向における位置決めが可能であれば、着脱ユニット50は、本体フレーム70以外の構成部材で位置決めされても差し支えない。
・上記実施形態において、記録媒体は用紙Pに限るものでなく、金属板、樹脂板、布などを材料とする板状部材であってもよい。すなわち、搬送路を搬送可能であって、印刷部20において印刷(記録)が可能な部材であれば、記録媒体の一つとして採用できる。
・上記実施形態において、印刷装置(記録装置)11は画像読取部15に替えて、例えばFAX部などの他の機能部を備えた複合機であってもよい。
・上記実施形態において、記録装置は、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して噴射できる固体を含む)を噴射したり吐出したりして記録を行う流体噴射装置であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射して記録を行う液状体噴射装置であってもよい。また、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置、トナーなどの粉体(粉粒体)を例とする固体を噴射する粉粒体噴射装置(例えばトナージェット式記録装置)であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。なお、本明細書において「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、流体には、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体、粉粒体(粒体、粉体を含む)などが含まれる。