JP6101017B2 - 成型用積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、基材フィルム上にクラック伸度が5%以上のハードコート層と低屈折率層とを有する成型用積層フィルムに関する。詳しくはインモールド成型やインサート成型等の成型加工時における変形に追随可能な成型性を有する低反射の成型用積層フィルムに関する。
携帯型パーソナルコンピュータ、モバイル機器、携帯電話、電子手帳等の電子機器筐体の保護や加飾のために、あるいは車載用表示パネルの保護や加飾のために、成型用積層フィルムの使用によるインモールド成型法やインサート成型法が広く用いられるようになってきている。成型用積層フィルムには、成型加工時における変形に追随できるようにクラックが発生せずにある程度伸びる特性が要求されている(例えば、特許文献1〜3)。
特開2009−184284号公報 特開2011−126157号公報 特開2011−148964号公報
近年、成型用積層フィルムは、車載用表示パネルや電子機器筐体等の用途において更に高い性能が求められるようになってきている。具体的には、視感反射率が低く、外光の映り込みやぎらつき感が小さく、また白っぽさ(白濁感)が軽減され透明性が高く、また視覚的に落ち着き感や高級感がある成型用積層フィルムが求められるようになってきている。しかしながら、上記性能を併せもつ成型用積層フィルムは未だ市場に供されていない。
そこで、本発明の課題は、視感反射率が低く、外光の映り込みやぎらつき感が小さく、かつ白っぽさが軽減され透過率が高い成型用積層フィルムを提供することにある。また更に視覚的に落ち着き感や高級感がある成型用積層フィルムを提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の発明によって基本的に達成される。
1)基材フィルム上に、クラック伸度が5%以上であるハードコート層および屈折率が1.47以下である低屈折率層をこの順に有することを特徴とする成型用積層フィルム。
2)前記成型用積層フィルムの伸度が0%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R0)が0.5〜2.5%である、前記1)に記載の成型用積層フィルム。
3)前記成型用積層フィルムの伸度が0%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R0)と、前記成型用積層フィルムの伸度が15%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R15)との差の絶対値が下記式1を満足する、前記1)または2)に記載の成型用積層フィルム。
|R0−R15|≦0.2% ・・・ 式1
4)前記低屈折率層の厚みが50〜200nmの範囲にある、前記1)〜3)のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
5)前記ハードコート層の厚みが0.5μm以上5μm未満である、前記1)〜4)のいずれかに記載の成型用積層フィルム
6)前記基材フィルムがポリエステルフィルムである、前記1)〜5)のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
7)前記基材フィルムと前記ハードコート層との間に、厚みが5〜300nmの樹脂層を有し、前記樹脂層は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂からなる群の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂、架橋剤ならびに粒子を含有する、前記1)〜6)のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
8)前記成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が3.0%未満であり、前記成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値が下記式2を満足する、前記1)〜7)のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
|Hz0a−Hz15a|≦0.3% ・・・ 式2
9)前記成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が3.0%以上20.0%以下であり、前記成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値と、前記ヘイズ値(Hz0)との関係が下記式3を満足する、前記1)〜7)のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
(|Hz0−Hz15|)/Hz0≦0.3 ・・・ 式3
本発明によれば、反射率が低く、外光の映り込みやぎらつき感が小さく、かつ白っぽさ(白濁感)が軽減され透明性が高い成型用積層フィルムを提供することができる。また、本発明の好ましい態様によれば、更に視覚的に落ち着き感や高級感がある成型用積層フィルムを提供することができる。
図1は、本発明の成型用積層フィルムにおけるハードコート層の透過スペクトルの一例を示す。
以下に、本発明について、実施の形態とともに、詳細に説明する。
本発明の成型用積層フィルムは、基材フィルム上に、クラック伸度が5%以上であるハードコート層および屈折率が1.47以下である低屈折率層をこの順に有する。
ここで、クラック伸度とは、基材フィルム上にハードコート層が積層されたハードコート層積層フィルムの片側を固定して引張速度50mm/minで成型用積層フィルムを引っ張ったときに、ハードコート層にクラックが発生するときの伸び率である。
クラック伸度が5%以上であるハードコート層の上に屈折率が1.47以下である低屈折率層を積層することにより、成型加工時にクラックが発生せず、かつ視感反射率が低く、外光の映り込みやぎらつき感が小さく、白っぽさが軽減された透明性が高い成型用積層フィルムを得ることができる。
本発明の成型用積層フィルムの伸度が0%時の低屈折率層側表面の視感反射率(R0)は、0.5〜2.5%の範囲が好ましい。
成型用積層フィルムの視感反射率は小さい方が、白っぽさ(白濁感)が軽減されるが、逆に付着した指紋が目立ち易くなる。従って、相反する上記2つの特性を満足させるという観点から、成型用積層フィルムの伸度が0%時の低屈折率層側表面の視感反射率は、0.7〜2.0%の範囲がより好ましく、0.9〜1.8%の範囲が特に好ましい。
以下の説明において、低屈折率層側表面の視感反射率を単に「視感反射率」と言うことがある。
成型用積層フィルムの伸度が0%時とは、成型用積層フィルムを成型加工する前の状態、即ち成型用積層フィルムを引っ張り延伸する前の状態を意味し、その状態での成型用積層フィルムの視感反射率が成型用積層フィルムの伸度が0%時における視感反射率(R0)である。
成型用積層フィルムの伸度が0%時の視感反射率(R0)を0.5〜2.5%の範囲とすることによって、外光の映り込みやぎらつき感が小さく、白っぽさが軽減されて透明性が高くなる。
本発明の成型用積層フィルムは、成型加工前後における低屈折率層側表面の視感反射率の差が小さいことが好ましい。具体的には、成型用積層フィルムの伸度が0%時(成型加工前に相当)における低屈折率層側表面の視感反射率(R0)と、成型用積層フィルムの伸度が15%時(成型加工後に相当)における低屈折率層側表面の視感反射率(R15)との差の絶対値が前述の式1を満足することが好ましい。つまり、(R0)と(R15)との差の絶対値(|R0−R15|)が0.2%以下であることが好ましい。以下、低屈折率層側表面の視感反射率を単に視感反射率と言う。
ここで、成型用積層フィルムの伸度(M)は、クラック伸度と同様の条件で成型用積層フィルムを引っ張り延伸したときの伸び率であり、延伸前の成型用積層フィルムの寸法(L0)と延伸後の成型用積層フィルムの寸法(L1)から下記式4で算出したものである。
M(%)=(L1−L0)×100/L0 ・・・ 式4
成型用積層フィルムの伸度が0%時における視感反射率(R0)は、前述したとおりである。
成型用積層フィルムの伸度が15%時とは、伸度が15%になるまで成型用積層フィルムを引っ張り延伸したときの状態を意味し、その状態での成型用積層フィルムの視感反射率が成型用積層フィルムの伸度が15%時における視感反射率(R15)である。
成型用積層フィルムは、一般に伸度が大きくなるに伴って光学特性の変化率や表面物性の変化率も大きくなる。従って、成型用積層フィルムの伸度が0%時における視感反射率(R0)と、成型用積層フィルムの伸度が15%時における視感反射率(R15)との差の絶対値が前述の式1を満足するということは、成型用積層フィルムの伸度が15%以下のいずれの伸度においても前述の式1を満足すると言うことである。
このことは、本発明では、成型用積層フィルムの伸度が5%時における視感反射率(R5)および同10%時における視感反射率(R10)と、成型用積層フィルムの伸度が0%時における視感反射率(R0)との差の絶対値が、下記式5、6を満足することをもって検証する。
|R0−R5|≦0.2% ・・・ 式5
|R0−R10|≦0.2% ・・・ 式6
成型用積層フィルムを車載用表示パネルや電子機器筐体等に適用する場合、それらの形状にフィットするように予め成型用積層フィルムはプレフォームされることが多く、そのため1枚の成型用積層フィルムの中で伸度の大きい部分と伸度の小さい部分が混在するようになる。このような成型加工において、成型用積層フィルムの伸度の大きい部分と伸度の小さい部分との視感反射率差が大きくなると視認性が悪化し品質が低下する。
従って、成型用積層フィルムの伸度が0%時の視感反射率(R0)と、成型用積層フィルムの伸度が15%時における視感反射率(R15)との差の絶対値が0.2%以下であることが好ましい。上記視感反射率差の絶対値は0.1%以下であることがより好ましい。
また更に、成型用積層フィルムの伸度が0%時の視感反射率(R0)と、成型用積層フィルムの伸度が20%時における視感反射率(R20)との差の絶対値が0.2%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
[実施態様1]
本発明における好ましい実施態様1は、基材フィルム上にクラック伸度が5%以上であるハードコート層および屈折率が1.47以下である低屈折率層をこの順に有する成型用積層フィルムであって、前記成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が3.0%未満であり、前記成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値が前述の式2(|Hz0−Hz15|≦0.3%)を満足する成型用積層フィルムである。
この実施態様1は、成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が3.0%未満であり、視覚的にクリヤー感が高くかつ視感反射率が小さい成型用積層フィルムである。更に、実施態様1は、成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)は2.5%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましく、1.5%以下が特に好ましい。下限のヘイズ値は0.1%程度である。
実施態様1では、成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)と、成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値(|Hz0−Hz15|)が0.3%以下であることが重要である。成型用積層フィルムを成型加工時に引っ張り延伸したときにハードコート層あるいは低屈折率層にクラックが発生すると、ヘイズ値が上昇する。成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)と、成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値(|Hz0−Hz15|)が0.3%以下であるということは、少なくとも成型用積層フィルムの伸度が15%時では、ハードコート層および低屈折率層にはクラックが発生していないか、もしくはクラックが発生していても軽微でありほとんど目視できないことを意味する。
前述したように、成型用積層フィルムを車載用表示パネルや電子機器筐体等に適用する場合、それらの形状にフィットするように予め成型用積層フィルムはプレフォームされることが多く、そのため1枚の成型用積層フィルムの中で伸度の大きい部分と伸度の小さい部分が混在するようになる。このような成型加工において、成型用積層フィルムの伸度の大きい部分と伸度の小さい部分とのヘイズ値の差が大きくなると視認性が悪化し品質が低下する。
従って、成型用積層フィルムの伸度が0%時のヘイズ値(Hz0)と、成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値が0.3%以下であることが好ましい。上記ヘイズ値の差の絶対値は0.2%以下であることがより好ましい。
前述したように、成型用積層フィルムは一般に伸度が大きくなるに伴って光学特性の変化率や表面物性の変化率も大きくなる。従って、成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)と、成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値が前述の式2を満足するということは、成型用積層フィルムの伸度が15%以下のいずれの伸度においても前述の式2を満足すると言うことである。
このことは、本発明では、成型用積層フィルムの伸度が5%時におけるヘイズ値(Hz5)および同10%時におけるヘイズ値(Hz10)と、成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)との差の絶対値が、それぞれ下記式7、8を満足することをもって検証する。
|Hz0−Hz5|≦0.3% ・・・ 式7
|Hz0−Hz10|≦0.3% ・・・ 式8
実施態様1では、更に成型用積層フィルムの伸度が0%時のヘイズ値(Hz0)と、成型用積層フィルムの伸度が20%時におけるヘイズ値(Hz20)との差の絶対値が0.3%以下であることが好ましく、特に0.2%以下であることがより好ましい。
実施態様1では、成型用積層フィルムの伸度が0%時の視感反射率(R0)が、0.5〜2.5%の範囲が好ましく、0.7〜2.0%の範囲がより好ましく、0.9〜1.8%の範囲が特に好ましい。
また、実施態様1では、成型用積層フィルムの伸度が0%時における視感反射率(R0)と、成型用積層フィルムの伸度が15%時における視感反射率(R15)との差の絶対値が前述の式1を満足することが好ましい。つまり、(R0)と(R15)との差の絶対値(|R0−R15|)が0.2%以下であることが好ましい。更に、上記視感反射率差の絶対値(|R0−R15|)が0.1%以下であることがより好ましい。
また更に、成型用積層フィルムの伸度が0%時の視感反射率(R0)と、成型用積層フィルムの伸度が20%時における視感反射率(R20)との差の絶対値が0.2%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
[実施態様2]
本発明における好ましい実施態様2は、基材フィルム上にクラック伸度が5%以上であるハードコート層および屈折率が1.47以下である低屈折率層をこの順に有する成型用積層フィルムであって、前記成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が3.0%以上20.0%以下であり、前記成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値と、前記ヘイズ値(Hz0)との関係が前述の式3((|Hz0−Hz15|)/Hz0≦0.3)を満足する成型用積層フィルムである。
この実施態様2は、成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が3.0%以上20.0%以下であり、視覚的に落ち着き感と高級感があり、白っぽさが軽減された成型用積層フィルムである。更に、実施態様2では、成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が4.0%以上15.0%以下であることが好ましい。
実施態様2のように一般にヘイズ値が比較的大きくなると、白っぽさが目立ちやすくなるが、ハードコート層上に屈折率が1.47以下である低屈折率層を積層することによって白っぽさが軽減される。
実施態様2では、前述の式3を満足することが重要である。つまり、式3は、伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)に対する伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)の変化率を表しており、この変化率が0.3以下と小さいことが重要である。前述したように成型用積層フィルムを成型加工時に引っ張り延伸したときにハードコート層あるいは低屈折率層にクラックが発生すると、ヘイズ値が上昇する。成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)に対する伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)の変化率が0.3以下であるということは、少なくとも成型用積層フィルムの伸度が15%時では、ハードコート層および低屈折率層にはクラックが発生していないか、もしくはクラックが発生していても軽微でありほとんど目視できないことを意味する。
前述したように、成型用積層フィルムを車載用表示パネルや電子機器筐体等に適用する場合、それらの形状にフィットするように予め成型用積層フィルムはプレフォームされることが多く、そのため1枚の成型用積層フィルムの中で伸度の大きい部分と伸度の小さい部分が混在するようになる。このような成型加工において、成型用積層フィルムの伸度の大きい部分と伸度の小さい部分とのヘイズ値の差が大きくなると(変化率が大きくなると)視認性が悪化し品質が低下する。
従って、成型用積層フィルムの伸度が0%時のヘイズ値(Hz0)に対する成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)の変化率が0.3以下であることが好ましい。更に、上記変化率は0.2以下であることが好ましい。
前述したように、成型用積層フィルムは一般に伸度が大きくなるに伴って光学特性の変化率や表面物性の変化率も大きくなる。従って、成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)に対する成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)の変化率が前述の式3を満足するということは、成型用積層フィルムの伸度が15%以下のいずれの伸度においても前述の式3を満足すると言うことである。
このことは、本発明では、成型用積層フィルムの伸度が0%時のヘイズ値(Hz0)に対する成型用積層フィルムの伸度が5%時におけるヘイズ値(Hz5)の変化率、および成型用積層フィルムの伸度が0%時のヘイズ値(Hz0)に対する成型用積層フィルムの伸度が10%時におけるヘイズ値(Hz10)の変化率が、下記式9、10を満足することをもって検証する。
(|Hz0−Hz5|)/Hz0≦0.3 ・・・ 式9
(|Hz0−Hz10|)/Hz0≦0.3 ・・・ 式10
又更に、実施態様2では、成型用積層フィルムの伸度が0%時のヘイズ値(Hz0)に対する成型用積層フィルムの伸度が20%時におけるヘイズ値(Hz20)の変化率が下記式11を満足することが好ましく、式12を満足することがより好ましい。
(|Hz0−Hz20|)/Hz0≦0.3 ・・・ 式11
(|Hz0−Hz20|)/Hz0≦0.2 ・・・ 式12
実施態様2では、成型用積層フィルムの伸度が0%時の視感反射率(R0)が、0.5〜2.5%の範囲が好ましく、0.7〜2.0%の範囲がより好ましく、0.9〜1.8%の範囲が特に好ましい。
また、実施態様2では、成型用積層フィルムの伸度が0%時における視感反射率(R0)と、成型用積層フィルムの伸度が15%時における視感反射率(R15)との差の絶対値が前述の式1を満足することが好ましい。つまり、(R0)と(R15)との差の絶対値(|R0−R15|)が0.2%以下であることが好ましい。更に、上記視感反射率差の絶対値(|R0−R15|)が0.1%以下であることがより好ましい。
また更に、成型用積層フィルムの伸度が0%時の視感反射率(R0)と、成型用積層フィルムの伸度が20%時における視感反射率(R20)との差の絶対値が0.2%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
[基材フィルム]
本発明における基材フィルムの材料は、特に限定されるものではないが、該材料として、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等が挙げられる。好ましくは、熱、溶剤、折り曲げ等の加工時の負荷に対する耐性が高く、透明性が特に高い点で、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等が挙げられ、より好ましくは、加工性に優れている点でポリエステルが使用される。ポリエステルの中でも特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
基材フィルムの厚みは、50〜300μmの範囲が好ましく、75〜250μmの範囲がより好ましい。
基材フィルムのヘイズ値は、1.0%以下であることが好ましく、0.7%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。ヘイズ値の下限は0%である。ここで、基材フィルムのヘイズ値とは、下記の樹脂層を設ける前の基材フィルム自体のヘイズ値を意味する。基材フィルムのヘイズ値を上記の範囲内にすることによって、成型用積層フィルムの透明性を高めることができる。
基材フィルムのヘイズ値を1.0%以下にするには、基材フィルムに粒子を含有させないことが好ましい。
[樹脂層]
基材フィルムには、少なくともハードコート層が積層される側の面に、基材フィルムとハードコート層との密着力を高めるための樹脂層を設けることが好ましい。特に、基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合は、ポリエチレンテレフタレートフィルムとハードコート層との密着力を高めるために樹脂層を設けることが好ましい。
樹脂層は、樹脂としてポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂からなる群の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂を含有することが好ましく、更に架橋剤ならびに粒子を含有することが好ましい。
上記樹脂としては、少なくともポリエステル樹脂を含むことが好ましい。樹脂層における樹脂の含有量は、樹脂層の固形分総量100質量%に対して60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、特に80質量%以上であることが好ましい。上限は98質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましく、特に95質量%以下が好ましい。
架橋剤としては、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。これらの中でも、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、及びカルボジイミド系架橋剤が好適に用いられる。
樹脂層における架橋剤の含有量は、樹脂層の固形分総量100質量%に対して1〜35質量%の範囲が好ましく、3〜30質量%の範囲がより好ましく、特に5〜25質量%の範囲が好ましい。
粒子としては、無機粒子(コロイダルシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ゼオライト粒子等)や有機粒子(アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ポリエステル系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、ポリアミド系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フッ素系樹脂粒子、あるいは上記樹脂の合成に用いられる2種以上のモノマーの共重合樹脂粒子等)が挙げられる。これらの中でも、コロイダルシリカが好ましく用いられる。
粒子の平均粒子径は、30〜500nmの範囲が好ましく、50〜400nmの範囲がより好ましく、特に50〜300nmの範囲が好ましい。
樹脂層における粒子の含有量は、樹脂層の固形分総量100質量%に対して0.05〜8質量%の範囲が好ましく、1〜5質量%の範囲がより好ましい。
樹脂層の厚みは、5〜300nmの範囲が好ましく、10〜250nmの範囲がより好ましく、特に20〜200nmの範囲が好ましい。
樹脂層の屈折率は、ハードコート層および低屈折率層を積層したときの反射色をニュートラルで無色に近づけるという観点から、1.55〜1.61の範囲が好ましく、1.56〜1.60の範囲がより好ましく、特に1.57〜1.59の範囲が好ましい。
樹脂層は、2層以上の複数層で構成されていてもよい。特に、上記した密着力と反射色の観点から、樹脂層は屈折率が1.55〜1.61の範囲である樹脂層A(基材フィルム側)と屈折率が1.48〜1.54の範囲である樹脂層B(ハードコート層側)とを含むことが好ましい。
樹脂層Aは、屈折率を1.55〜1.61とするために、樹脂として分子中にナフタレン環を含むポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
樹脂層Bは、屈折率を1.48〜1.54とするために、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
樹脂層が2層以上の複数層で構成されている場合、樹脂層Aと樹脂層Bとの間に他の樹脂層(中間樹脂層)を含むことができる。例えば、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂とを含有する中間樹脂層が、樹脂層Aと樹脂層Bとの間に存在していてもよい。
樹脂層が2層以上の複数層で構成されている場合であっても、樹脂層の合計厚みは、前述したように5〜300nmの範囲が好ましく、10〜250nmの範囲がより好ましく、特に20〜200nmの範囲が好ましい。
樹脂層が2層以上の複数層で構成されている場合であっても、前述したように架橋剤および粒子を含有することが好ましい。
また、樹脂層が2層以上の複数層で構成されている場合の製造法としては、複数の層をそれぞれ塗り重ねてもよいし、あるいは、複数の層の成分を含有する1つの塗布液を1回塗布し、それぞれの成分の自己相分離を利用して、複数の層を分離形成する方法を用いてもよい。
[ハードコート層]
本発明のハードコート層は、クラック伸度が5%以上である。つまり、ハードコート層のクラック伸度が5%以上であると言うことは、成型用積層フィルムを車載用表示パネルや電子機器筐体等に適用する際の成型加工時における延伸工程(プレフォーム工程)で、クラックが発生しにくいことを意味する。
従来から一般的に知られているハードコートフィルムにおけるハードコート層のクラック伸度は5%未満であり、成型加工時にクラックが発生する。
本発明のハードコート層のクラック伸度は、8%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、特に15%以上が好ましい。上限のクラック伸度は150%以下が適当であり、100%以下がより好ましく、特に80%以下が好ましい。
成型用積層フィルムの表面に傷が発生するのを抑制するために、ハードコート層は硬度が高いことが好ましく、JIS K5600−5−4(1999年)で定義される鉛筆硬度が、F以上が好ましく、H以上がより好ましい。上限は9H程度である。
ハードコート層の厚みは0.5μm以上5μm未満であることが好ましく、1.0μm以上4.5μ以下であることがより好ましく、特に1.5μm以上4.0μm以下であることが好ましい。
ハードコート層の屈折率は、ハードコート層上に低屈折率層を積層した状態での低屈折率層側表面の視感反射率を0.5〜2.5%の範囲に調整するという観点から、1.50〜1.60の範囲が好ましく、1.50〜1.55の範囲がより好ましい。
ハードコート層は、樹脂として熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましく、特に活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましい。ここで、活性エネルギー線硬化性樹脂とは、紫外線や電子線等の活性エネルギー線によって重合されて硬化される樹脂を意味する。
活性エネルギー線硬化性樹脂を得るための重合性化合物としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基等の重合性官能基を有する化合物(モノマーやオリゴマー)が挙げられる。
ハードコート層は、上記した重合性官能基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物をウェットコーティング法により塗布し、必要に応じて乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化することにより形成されたものであることが好ましい。上記のウェットコーティング法としては、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法等の塗布方法を用いることができる。
クラック伸度が5%以上のハードコート層を形成するために、活性エネルギー線硬化性樹脂を得るための重合性化合物として上記重合性官能基を有するウレタン化合物(例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーもしくはウレタン(メタ)アクリレートモノマー)が好ましく用いられる。特にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく用いられる。
ここで、「ウレタン(メタ)アクリレート・・・」なる括弧書きを含む表現は、「ウレタンアクリレート・・・」と「ウレタンメタクリレート・・・」との化合物を含む。また、以下の説明において、「・・・(メタ)アクリレート」なる括弧書きを含む表現は、「・・・アクリレート」と「・・・メタクリレート」との化合物を含む。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーもしくはウレタン(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的には、共栄化学社製のAT−600、UA−101l、UA−306H、UA−306T、UA−306l、UF−8001、UF−8003等、日本合成化学社製のUV7550B、UV−7600B、UV−1700B、UV−6300B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、新中村化学社製のU−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A、U−2PPA、UA−NDP等、ダイセルユーシービー社製のEbecryl−270、Ebecryl−284、Ebecryl−264、Ebecryl−9260、Ebecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製のUN−3220HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等、三菱レイヨン社製のRQシリーズ、荒川化学工業社製のビームセットシリーズ等が挙げられる。
また、重合性官能基を有するウレタン化合物として、下記1)〜4)の化合物も好ましく用いることができる。
1)下記(a1)成分と(a2)成分を反応させて得られるウレタン化合物
(a1)分子内に2個の水酸基を有するエポキシ(メタ)アクリレート
(a2)ジイソシアネート化合物
2)下記(b1)〜(b3)成分を反応させて得られるウレタン化合物
(b1)分子内に2個の水酸基を有するエポキシ(メタ)アクリレート
(b2)ジイソシアネート化合物
(b3)モノアルコール化合物
3)下記(c1)〜(c3)を反応させて得られるウレタン化合物
(c1)ポリカプロラクトンポリオール
(c2)ジイソシアネート化合物
(c3)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル
4)下記(d1)〜(d3)成分を反応させて得られるウレタン化合物
(d1)分子内に環状骨格を有するジエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸誘導体とから合成された、分子内に2個の水酸基を有するエポキシ(メタ)アクリレート
(d2)分子内に2個の水酸基を有し、分子量が50〜500である(a1)成分以外の化合物
(d3)ジイソシアネート化合物
上記した重合性官能基を有するウレタン化合物の含有量は、ハードコート層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、10〜90質量%の範囲が好ましく、20〜80質量%の範囲がより好ましい。
クラック伸度が5%以上のハードコート層を形成するために、分子中に上記重合性官能基を4個以上含むモノマー(但し、ウレタン化合物は含まない)の含有量は、ハードコート層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が特に好ましい。
上記の分子中に重合性官能基を4個以上含むモノマーとしては、例えばペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)トリアクリレート等が挙げられる。
クラック伸度が5%以上のハードコート層を形成するために、上記したウレタン化合物に加えて分子中に重合性官能基を1〜3個含むモノマーやオリゴマーを含有することが好ましい。このような分子中に重合性官能基を1〜3個含むモノマーやオリゴマーの含有量は、ハードコート層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、5〜60質量%の範囲が好ましく、10〜50質量%の範囲がより好ましい。
このような分子中に重合性官能基を1〜3個含むモノマーやオリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ハードコート層は、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、アセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、メチルベンジルホルメートなどが挙げられる。
また、光重合開始剤は一般に市販されており、それらを使用することができる。例えば、
チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア907、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュア127、イルガキュア500、イルガキュア754、イルガキュア250、イルガキュア1800、イルガキュア1870、イルガキュアOXE01、DAROCUR TPO、DAROCUR1173等、日本シイベルヘグナー(株)製のSpeedcureMBB、SpeedcurePBZ、SpeedcureITX、SpeedcureCTX、SpeedcureEDB、Esacure ONE、Esacure KIP150、Esacure KTO46等、日本化薬(株)製のKAYACURE DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACURE BMS、KAYACURE DMBI等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、ハードコート層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して0.1〜10質量%の範囲が適当であり、0.5〜8質量%の範囲が好ましい。
[実施態様1のハードコート層]
前述した実施態様1では、成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が3.0%未満であり、視覚的にクリヤー感が高くかつ視感反射率が小さい成型用積層フィルムである。
この実施態様1は、比較的クリヤーなハードコート層を設けることによって実現される。つまり、ハードコート層表面の中心線平均粗さRaは50nm未満であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、特に30nm以下であることが好ましい。これによって視覚的にクリヤー感の高い成型用積層フィルムが得られる。下限の中心線平均粗さRaは、1nm程度である。尚、上記ハードコート層表面の中心線平均粗さRaは、基材フィルム上にハードコート層が積層されたハードコート層積層フィルムの伸度が0%時におけるハードコート層表面の中心線平均粗さRaである。
ハードコート層上に積層される低屈折率層は、厚みが50〜200nmであるので低屈折率層を積層した後の低屈折率層表面の中心線平均粗さRaは、ハードコート層表面の中心線平均粗さRaに追従する。従って、実施態様1の低屈折率層表面の中心線平均粗さRaは、50nm未満であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、特に30nm以下であることが好ましい。下限の中心線平均粗さRaは、1nm程度である。尚、上記低屈折率層表面の中心線平均粗さRaは、成型用積層フィルムの伸度が0%時における低屈折率層表面の中心線平均粗さRaである。
上記した比較的クリヤーなハードコート層を形成するには、ハードコート層は平均粒子径が1μm以上の粒子は実質的に含有しないことが好ましい。ここで、ハードコート層が、平均粒子径が1μm以上の粒子は実質的に含有しないとは、ハードコート層に平均粒子径が1μm以上の粒子を意図的に添加しないことを意味する。
[実施態様2のハードコート層]
前述した実施態様2では、伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が3.0%以上20.0%以下であり、視覚的に落ち着き感と高級感があり、白っぽさが軽減された成型用積層フィルムである。
この実施態様2は、表面凹凸が比較的大きいハードコート層を設けることによって実現される。具体的には、ハードコート層表面の中心線平均粗さRaは50nm以上であることが好ましく、70nm以上であることがより好ましく、特に100nm以上であることが好ましい。上限の中心線平均粗さRaは、500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、特に300nm以下が好ましい。尚、上記ハードコート層表面の中心線平均粗さRaは、基材フィルム上にハードコート層が積層されたハードコート層積層フィルムの伸度が0%時におけるハードコート層表面の中心線平均粗さRaである。
ハードコート層上に積層される低屈折率層は、厚みが50〜200nmであるので低屈折率層を積層した後の低屈折率層表面の中心線平均粗さRaは、ハードコート層表面の中心線平均粗さRaに追従する。従って、実施態様の低屈折率層表面の中心線平均粗さRaは、50nm以上であることが好ましく、70nm以上であることがより好ましく、特に100nm以上であることが好ましい。上限の中心線平均粗さRaは、500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、特に300nm以下が好ましい。
尚、上記低屈折率層表面の中心線平均粗さRaは、成型用積層フィルムの伸度が0%時における低屈折率層表面の中心線平均粗さRaである。
表面凹凸が比較的大きいハードコート層を形成する方法として、下記の1)〜3)の方法が挙げられる。
1)ハードコート層に、平均粒子径が0.5〜15μmの粒子をハードコート層の固形分総量100質量%に対して1〜30質量%含有させて、ハードコート層表面に凹凸を形成させる方法。
2)基材フィルム上にハードコート層形成用組成物を塗布後、硬化する前にエンボス加工を施してハードコート層表面に凹凸を形成させる方法。
3)第1成分および第2成分を含むハードコート層形成用組成物を基材フィルム上に塗布した後に、第1成分および第2成分の物性の差に基づいて第1成分と第2成分とが相分離し、表面に凹凸を形成させる方法。
上記1)〜3)の方法について詳しく説明する。
上記1)の方法において、ハードコート層に含有させる粒子としては、例えば、シリカ、シリカ−アルミナ複合酸化物、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム(カルサイト型、バテライト型)、ゼオライト、アルミナ、ヒドロキシアパタイト等の無機粒子、架橋アクリル粒子、架橋PMMA粒子、架橋ポリスチレン粒子、ナイロン粒子、ポリエステル粒子、ベンゾグアナミン・ホルマリン縮合物粒子、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子等の耐熱性高分子粒子、シリカ・アクリル複合化合物のような有機・無機ハイブリッド微粒子が挙げられる。
ハードコート層における粒子の含有量は、ハードコート層の固形分総量100質量%に対して2〜25質量%の範囲が好ましく、3〜20質量%の範囲がより好ましい。
上記2)の方法は、ハードコート層形成用組成物を基材フィルム上に塗布し、乾燥過程もしくは乾燥後で硬化する前に、表面に凹凸加工されたエンボスロールや賦形フィルムを塗布面に押し当てて、ハードコート層表面に凹凸を形成する方法である。
上記3)の方法において、第1成分と第2成分との相分離をもたらす、第1成分および第2成分それぞれの物性の差として、例えばそれぞれの樹脂のSP値、ガラス転移温度(Tg)、表面張力、数平均分子量などが一定の差異を有する場合が挙げられる。
ここでSP値とは、solubility parameter(溶解性パラメーター)の略であり、溶解性の尺度となるものである。SP値は数値が大きいほど極性が高く、逆に数値が小さいほど極性が低いことを示す。
第1成分と第2成分との相分離をもたらす第1成分および第2成分それぞれの物性の差がSP値の差である場合、第1成分のSP値と第2成分のSP値との差は0.5以上であるのが好ましい。このSP値の差が0.8以上であるのがさらに好ましい。このSP値の差の上限は特に限定されないが、一般には15以下である。第1成分のSP値と第2成分のSP値との差が0.5以上ある場合は、互いの樹脂の相溶性が低く、それによりハードコート層形成用組成物の塗布後に第1成分と第2成分との相分離がもたらされると考えられる。
第1成分は少なくとも一種以上の樹脂からなり、第2成分は少なくとも一種以上のモノマー若しくはオリゴマーからなる群から選択されることが好ましい。
第1成分の樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリシラン樹脂、ポリイミド樹脂またはフッ素樹脂を骨格構造に含む樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は、低分子量であるいわゆるオリゴマーであってもよい。(メタ)アクリル樹脂を骨格構造に含む樹脂として、(メタ)アクリルモノマーを重合または共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合した樹脂などが挙げられる。オレフィン樹脂を骨格構造に含む樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体などが挙げられる。ポリエーテル樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にエーテル結合を含む樹脂であり、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリエステル樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にエステル結合を含む樹脂であり、例えば不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。ポリウレタン樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にウレタン結合を含む樹脂である。ポリシロキサン樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にシロキサン結合を含む樹脂である。ポリシラン樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にシラン結合を含む樹脂である。ポリイミド樹脂を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にイミド結合を含む樹脂である。フッ素樹脂を骨格構造に含む樹脂は、ポリエチレンの水素の一部または全部をフッ素で置きかえられた構造を含む樹脂である。樹脂として、上記骨格構造の2種以上からなる共重合体であってもよく、上記骨格構造とそれ以外のモノマーとからなる共重合体であってもよい。
第2成分は、モノマーあるいはオリゴマーであるが、モノマーとしては多官能性モノマー、例えば多価アルコールと(メタ)アクリレートとの脱アルコール反応物、具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーや上記第一成分であげられた樹脂の低分子量物、特に繰り返し単位の数が3〜10であり、重量平均分子量8000未満のものである。オリゴマーとしては、前述の樹脂の骨格構造の2種以上からなる共重合体であってもよく、上記骨格構造とそれ以外のモノマーとからなる共重合体であってもよい。クラック伸度が5%以上であるハードコート層を形成するという観点から、上記の第二成分として少なくともウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることが好ましい。
[紫外線吸収剤]
本発明のハードコート層は、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。特に、ハードコート層の透過スペクトルが、図1に示すように320〜350nmの波長域に透過率が5%以上の透過ピークを有するように、特定の紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。
ハードコート層が上記のような透過スペクトルとなるように、特定の紫外線吸収剤を含有することにより、ハードコート層の初期密着力を高度に維持しながら紫外線暴露後の密着力が改良される。
ハードコート層の透過スペクトルは、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にハードコート層が積層された状態で測定された透過スペクトルである。
一般的なポリエチレンテレフタレートフィルムは、400〜320nmの紫外線領域には、ハードコート層の透過スペクトルに実質的に影響を与えるような吸収を有しないので、本発明では上記の測定法で得られた透過スペクトルをハードコート層の透過スペクトルとする。
本発明におけるハードコート層の特徴的な透過スペクトルについて、図1を参照して説明する。図1は、本発明の成型用積層フィルムにおけるハードコート層の透過スペクトルの一例を示す。
ハードコート層に紫外線吸収剤を含有させることによって、400nm以下の紫外線領域の透過率が急激に大きく低下する。そして、本発明の透過スペクトルの特徴は、320〜350nmの波長域に透過率が5%以上の透過ピーク(符号1)を有する。
本発明において、320〜350nmの波長域に透過率が5%以上の透過ピークを有するとは、透過ピークの波長から370nmの波長域に、透過ピークの透過率より1%以上小さい透過率の領域(ボトム;符号2)を有することを意味する。
ハードコート層における透過スペクトルにおいて、透過ピークは320〜340nmの波長域に存在することが好ましく、特に325〜335nmの波長域に存在することが好ましい。
透過ピークの透過率は、7%以上がより好ましく、8%以上がより好ましく、更に9%以上が好ましく、特に10%以上が好ましい。透過ピークの上限の透過率は40%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。透過ピークの透過率が40%を越えると、紫外線暴露後の密着力が低下する場合がある。
ハードコート層における透過スペクトルにおいて、透過ピークとボトムの透過率差は2%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、特に4%以上が好ましい。上記差の上限は15%以下が好ましく、10%以下が好ましい。
ハードコート層に前述した特徴的な透過スペクトルを付与するには、紫外線吸収剤の種類と添加量を選択する必要がある。紫外線吸収剤として従来から一般的に知られているベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤では、上記した特徴的な透過スペクトルは得られにくい。一方、トリアジン系紫外線吸収剤の中に上記の特徴的な透過スペクトルを付与するものがある。
ハードコート層に含有させる紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤の中から選択することが好ましい。特に、下記一般式1で表されるトリアジン系紫外線吸収剤の中から選択することが好ましい。
Figure 0006101017
上記式中、R〜Rはそれぞれ独立的に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
上記一般式1の中でも、特に下記の一般式2の化合物が好ましい。
Figure 0006101017
式中、R、R、Rはそれぞれ独立的に、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、R、R、R、Rはそれぞれ独立的に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表す。
一般式2の中でも、R、R、Rはそれぞれ、炭素数が1〜12のアルコキシ基であることが好ましい。
上記一般式1もしくは一般式2で表されるトリアジン系紫外線吸収剤を以下に例示する。
2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチロキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ビス((4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ)−フェニル))−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ビス((4−(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシ)−フェニル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−(3’−(メトキシヘプタエトキシ)−2’−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−((メトキシトリエトキシカルボニル)−2−エトキシ)−フェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4’−メトキシフェニル)−4,6−ビス(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン。
紫外線吸収剤の添加量は、ハードコート層の固形分総量100質量%に対して8質量%以下の範囲で選択することが好ましく、7質量%以下の範囲で選択することが好ましく、特に5質量%以下の範囲で選択することが好ましい。下限の添加量は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、特に1.5質量%以上が好ましい。
紫外線吸収剤の添加量が8質量%を越えると、上記した特徴的な透過スペクトルを付与できず、初期密着力が低下することがある。また、紫外線吸収剤の添加量が8質量%を越えると、紫外線吸収剤がブリードアウトするという不都合や耐擦傷性が低下するという不都合が生じることがある。
紫外線吸収剤の添加量が0.5質量%未満であると、上記した特徴的な透過スペクトルを付与できず、紫外線暴露後の密着力が低下することがある。
[低屈折率層]
本発明の低屈折率層は、屈折率が1.47以下である。低屈折率層の屈折率は、更に1.45以下が好ましく、1.43以下がより好ましく、1.40以下が特に好ましい。下限の屈折率は、1.25以上が好ましく、1.30以上がより好ましく、1.33以上が特に好ましい。
成型用積層フィルムの視感反射率は、前述したように0.5〜2.5%の範囲が好ましい。成型用積層フィルムの視感反射率は、低屈折率層の屈折率を調製することによって制御することができる。一般に低屈折率層の屈折率が小さくなると視感反射率も小さくなる。
成型用積層フィルムの視感反射率は小さい方が、白っぽさ(白濁感)が軽減されるが、逆に付着した指紋が目立ち易くなる。従って、相反する上記2つの特性を満足させるという観点から、成型用積層フィルムの視感反射率は、0.7〜2.0%の範囲がより好ましく、0.9〜1.8%の範囲が特に好ましい。
低屈折率層は、熱硬化性あるいは活性エネルギー線硬化性の組成物をウェットコーティング法により塗布し、硬化させた層であることが好ましい。ウェットコーティング法としては前述の塗布方法を用いることができる。
熱硬化性組成物としては、例えばシリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーを主成分とする組成物が挙げられる。このような組成物は、詳細には、シリカ系微粒子のシリカ成分とマトリックスのシロキサンポリマーが反応して均質化したものであり、シリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーは、該シリカ系微粒子の存在下、多官能性シラン化合物を溶剤中、酸触媒により、公知の加水分解反応によって、一旦シラノール化合物を形成し、公知の縮合反応を利用することによって得ることができる。
活性エネルギー線硬化性組成物としては、例えば、紫外線や電子線等の活性エネルギー線によって硬化する重合性化合物と、低屈折率材料として低屈折率無機粒子および/または含フッ素化合物とを含む組成物が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物において、重合性化合物の含有量は組成物の固形分総量100質量%に対して10〜80質量%の範囲が適用であり、20〜70質量%の範囲が好ましく、10〜65質量%の範囲がより好ましい。
重合性化合物は、前述のハードコート層における重合性官能基を有する化合物(モノマーやオリゴマー)と同様の化合物を用いることができる。特に、分子中に重合性官能基を3個以上有する化合物を少なくとも含有することが好ましい。
低屈折率無機粒子としては、シリカやフッ化マグネシウム等の無機粒子が好ましい。更にこれらの無機粒子は中空状や多孔質のものが好ましい。上記無機粒子の屈折率は1.2〜1.35の範囲がより好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物において、低屈折率無機粒子の含有量は組成物の固形分総量100質量%に対して20〜70質量%の範囲が好ましく、30〜60質量%の範囲がより好ましい。
含フッ素化合物としては、含フッ素モノマー、含フッ素オリゴマー、含フッ素高分子化合物が挙げられる。ここで、含フッ素モノマー、含フッ素オリゴマーは、分子中にエチレン性不飽和基とフッ素原子とを有するモノマーやオリゴマーである。
含フッ素モノマー、含フッ素オリゴマーとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、βー(パーフロロオクチル)エチル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類、 ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,2−トリフルオロエチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニルエチレングリコールなどのジ−(α−フルオロアクリル酸)フルオロアルキルエステル類が挙げられる。
含フッ素高分子化合物としては、例えば、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学社製)やM−2020(ダイキン社製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等である。架橋性基付与のためのモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物において、含フッ素化合物の含有量は組成物の固形分総量100質量%に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。上限は90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
低屈折率層は、前述の低屈折率無機粒子と含フッ素化合物を併用する態様も好ましい。この場合の低屈折率無機粒子と含フッ素化合物の含有比率は特に限定されないが、低屈折率無機粒子100質量部に対して、含フッ素化合物は10〜500質量部の範囲が好ましく、20〜400質量部の範囲がより好ましく、特に30〜300質量部範囲が好ましい。
低屈折率層の屈折率は、上記した低屈折率無機粒子や含フッ素化合物の含有量を調整することによって制御することができる。
低屈折率層の厚みは、50〜200nmの範囲が好ましく、60〜150nmの範囲がより好ましく、特に70〜130nmの範囲が好ましく、80〜120nmの範囲が最も好ましい。
低屈折率層の厚みは、成型加工時におけるクラックの発生を抑制するという観点から、上記範囲内で小さいことが好ましい。また、成型加工時におけるクラックの発生を抑制するという観点から、低屈折率層は低屈折率無機粒子を含有することが好ましい。低屈折率層が低屈折率無機粒子を含有することによって、成型加工時のクラックの発生が抑制される。
低屈折率層は、更にエチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物を含有することが好ましい。これによって、更に耐擦傷性が良好となる。
低屈折率層におけるエチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物の含有量は、低屈折率層の固形分総量100質量%に対して1.5質量%以上10質量%未満であることが好ましい。
エチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物としては、分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物が好ましく、特に分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物が好ましい。
具体的には、分子中のポリシロキサン主鎖の両末端にエチレン性不飽和基を有する2官能以上のポリシロキサン化合物が好ましく、特にポリシロキサン主鎖の両末端と側鎖に1個以上のエチレン性不飽和基を有する3官能以上のポリシロキサン化合物が好ましい。
ここで、エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アクリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
エチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物としては、特開2009−84327号公報の製造例1−1〜1−3の化合物、あるいはチッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、同FM−0721、同FM−0725、信越化学工業(株)製のX−24−8201、X−22−174DX、X−22−1602、X22−1603、X−22−2426、X−22−2404、X−22−164A、X−22−164C、X−22−2458、X−22−2459、X−22−2445、X−22−2457、東レ・ダウコーニング(株)製のBY16−152D、BY16−152、BY16−152C、ビックケミー・ジャパン(株)製のBYK−UV3570等の市販品を用いることができる。
[成型用積層フィルム]
本発明の成型用積層フィルムには、基材フィルムのハードコート層が積層された面とは反対面に、帯電防止層、耐摩耗性層、色補正層、印刷層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層などの機能性層を積層してもよい。
また、本発明の成型用積層フィルムは加飾成型、インモールド成型、あるいはインサート成型に好適であり、携帯電話やノートパソコン等の電式機器筐体の外装用フィルムとして、携帯電話のアイコンシートとして、車載用表示パネルの保護フィルムとして好適である。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。尚、実施例で用いた各物性値の評価法を以下に記載する。
(1)ハードコート層のクラック伸度
基材フィルムにハードコート層が積層されたサンプルを常温で1日保管後、長さ110mm×幅20mmの短形に切り出して試験サンプルを作製した。引張試験機(島津製作所社製の「オートグラフAGS−500NX」)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度50mm/minで、引張試験を行った。クラックが発生したときの伸度をクラック伸度とした。それぞれ5回測定し、平均した。測定時の環境は、温度23℃±2℃、相対湿度55%±5%である。
クラック伸度は、引張試験を行う前の寸法(L0)と引張試験を実施してクラックが発生したときの寸法(L1)とから以下の式で求めた。
クラック伸度(%)=(L1−L0)×100/L0
尚、ハードコート層にクラックが発生しているかどうかは、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製の「VK−9700」)にて倍率20倍の反射映像で確認した。
(2)視感反射率の測定
<試料の作成>
成型用積層フィルムを150mm×150mmに切り出し、基材フィルムの低屈折率層とは反対側の面に黒粘着テープを貼り付けて測定用試料を作製した。
<測定>
分光光度計(島津製作所製、UV3150PC)を用いて、測定面から5度の入射角で波長380〜780nmの範囲で反射率(片面反射)を算出し、視感反射率(JIS Z8701−1999において規定されている反射の刺激値Y)を求めた。分光光度計で分光立体角を測定し、JIS Z8701−1999に従って反射率(片面光線反射)を算出する。算出式は以下の通りである。
T=K・ ∫S(λ)・y(λ)・ R(λ) ・dλ (ただし、積分区間は380〜780nm)
T:片面光線反射率
S(λ) :色の表示に用いる標準の光の分布
y(λ) :XYZ表示系における等色関数
R(λ) :分光立体角反射率。
(3)成型用積層フィルムおよび基材フィルムのヘイズ値の測定
JIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−2000」を用いて測定した。測定に際し、ハードコートフィルムのハードコート層Bの表面に光が入射するように配置する。
また、基材フィルムのヘイズ値もJIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−2000」を用いて測定した。
(4)成型用積層フィルムの全光線透過率
JIS−K7361(1997年)に基づき、濁度計NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
(5)ハードコート層および低屈折率層の表面の中心線平均粗さRaの測定
JIS B0601(1982)に基づき、触針式表面粗さ測定器SE−3400((株)小坂研究所製)を用いて測定した。
<測定条件>
送り速さ;0.5mm/S
評価長さ;8mm
カットオフ値λc;
Raが20nm以下の場合、λc=0.08mm
Raが20nmより大きく100nm以下の場合、λc=0.25mm
Raが100nmより大きく2000nm以下の場合、λc=0.8mm
尚、上記測定条件で測定するに際し、まずカットオフ値λc=0.8mmで測定し、その結果、Raが100nmより大きい場合はそのRaを採用する。一方、上記測定の結果、Raが100nm以下の場合は、λc=0.25mmで再測定し、その結果、Raが20nmより大きい場合は、そのRaを採用する。一方、上記の再測定の結果、Raが20nm以下の場合は、λc=0.08mmで測定し、そのRaを採用する。
(6)樹脂層、ハードコート層および低屈折率層の厚みの測定
成型用積層フィルムの断面を超薄切片に切り出し、透過型電子顕微鏡(日立社製H−7100FA型)で加速電圧100kVにて5万倍〜30万倍の倍率でサンプルの断面を観察し、それぞれの層の厚みを測定した。尚、各層の境界が明確でない場合は必要に応じて染色処理を施した。
(7)屈折率の測定
樹脂層、ハードコート層、および低屈折率層のそれぞれの塗布液(あるいは組成物)をシリコンウエハー上にスピンコーターにて塗工して形成した塗膜(乾燥厚み約2μm)について、25℃の温度条件下で位相差測定装置(ニコン(株)製:NPDM−1000)で633nmの屈折率を測定した。
また、基材フィルムの屈折率は、JIS K7105(1981)に準じてアッベ屈折率計で測定し、長手方向および幅方向の屈折率の平均値を基材フィルムの屈折率とした。
(8)ハードコート層に含有する粒子の平均粒子径の測定
ハードコート層の断面を電子顕微鏡(約2万〜5万倍)で観察し、その断面写真から、無作為に選択した30個の有機粒子のそれぞれの最大長さを計測し、それらを平均した値を有機粒子の平均粒子径とした。
(9)樹脂層に含有する粒子の平均粒子径の測定
基材フィルムに積層された樹脂層の表面を、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて倍率一万倍で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(たとえばケンブリッジインストルメント製QTM900)に結び付け、観察箇所を変えてデータを取り込み、合計粒子数5000個以上となったところで次の数値処理を行ない、それによって求めた数平均径dを平均粒径(直径)とした。
d=Σdi /N
ここでdi は粒子の等価円直径(粒子の断面積と同じ面積を持つ円の直径)、Nは個数である。
[実施例1]
下記の要領で成型用積層フィルムを作製した。
<基材フィルム>
厚みが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の両面に、それぞれ下記の樹脂層組成物1を乾燥厚みが90nmとなるように積層して、両面に樹脂層を有するPETフィルム(積層PETフィルム)を作製した。樹脂層を積層する前のPETフィルムのヘイズ値は0.2%、屈折率は1.65であった。樹脂層の屈折率は1.59であった。
<易接着層形成用組成物1>
固形分質量比で、ポリエステル樹脂aを26質量%、ポリエステル樹脂bを54質量%、メラミン系架橋剤を18質量%、粒子を2質量%混合して易接着層形成用組成物1(水分散塗布液)を調製した。
・ポリエステル樹脂a;2,6−ナフタレンジカルボン酸43モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸7モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。
・ポリエステル樹脂b;テレフタル酸38モル%、トリメリット酸12モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。
・メラミン系架橋剤;メチロール基型メラミン架橋剤
・粒子;平均粒子径190nmのコロイダルシリカ。
<ハードコート層の積層>
上記で作製した積層PETフィルムの一方の面に、下記のハードコート層形成用組成物をグラビアコーターで塗工し、90℃で熱風乾燥した後、紫外線(積算光量400mJ/cm)を照射して厚みが3μmのハードコート層を形成した。
<ハードコート層形成用組成物>
荒川化学工業(株)製のUV硬化性ハードコーティング剤「ビームセット1200」に、紫外線吸収剤として2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチロキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンを、ハードコート層の固形分総量100質量%に対して2.4質量%となるように添加して、ハードコート層形成用組成物を調製した。
このハードコート層の屈折率は1.51であった。
<低屈折率層の積層>
ハードコート層上に低屈折率層形成用組成物aをグラビアコーターで塗工し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射して硬化させ、厚みが100nmの低屈折率層(屈折率1.36)を形成して成型用積層フィルムを作製した。
<低屈折率層形成用組成物a>
無機微粒子として中空シリカを固形分で50質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを43質量部、エチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物(信越化学(株)製の「X−22−2457」)を4質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア907)3質量部を、有機溶媒(イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンの混合溶媒)に溶解・分散して、固形分濃度が3質量%の低屈折率層形成用組成物aを調製した。
この低屈折率層の屈折率は1.36であった。
尚、信越化学(株)製のX−22−2457は、エチレン性不飽和基を両末端と側鎖に有する3官能以上のポリシロキサン化合物である。
[比較例1]
実施例1において、低屈折率層を積層しないこと以外は実施例1と同様にして成型用積層フィルムを作製した。
[比較例2]
下記のハードコート層形成用組成物に変更する以外は、実施例1と同様にして成型用積層フィルムを作製した。
<ハードコート層形成用組成物>
日本化薬(株)製のアクリル系ハードコート剤「KAYANOVA FOP−1740」を用いた。このハードコート層の屈折率は1.51であった。
[実施例2]
下記のハードコート層形成用組成物に変更する以外は、実施例1と同様にして成型用積層フィルムを作製した。
<ハードコート層形成用組成物>
荒川化学工業(株)製のUV硬化性ハードコーティング剤「ビームセット1200」に、紫外線吸収剤として2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチロキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンを、ハードコート層の固形分総量100質量%に対して2.4質量%となるように添加し、更に平均粒子径が1.9μmのシリカ粒子をハードコート層の固形分総量100質量%に対して5質量%となるように添加して、ハードコート層形成用組成物を調製した。
このハードコート層の屈折率は1.51であった。
[比較例3]
実施例2において、低屈折率層を積層しないこと以外は実施例2と同様にして成型用積層フィルムを作製した。
[比較例4]
下記のハードコート層形成用組成物に変更する以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを作製した。
<ハードコート層形成用組成物>
日本化薬(株)製のアクリル系ハードコート剤「KAYANOVA FOP−1740」に、平均粒子径が1.9μmのシリカ粒子をハードコート層の固形分総量100質量%に対して5質量%となるように添加して、ハードコート層形成用組成物を調製した。
[実施例3]
実施例1において、低屈折率層形成用組成物を下記の低屈折率層形成用組成物bに変更する以外は実施例1と同様にして成型用積層フィルムを作製した。
<低屈折率層形成用組成物b>
無機微粒子として中空シリカを固形分で36質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを57質量部、エチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物(信越化学(株)製の「X−22−2457」)を4質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア907)3質量部を、有機溶媒(イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンの混合溶媒)に溶解・分散して、固形分濃度が3質量%の低屈折率層形成用組成物bを調製した。
この低屈折率層の屈折率は1.40であった。
[実施例4]
実施例2において、低屈折率層形成用組成物を上記の低屈折率層形成用組成物bに変更する以外は実施例2と同様にして成型用積層フィルムを作製した。
<評価>
上記実施例および比較例で作製した積層フィルムについて、測定および評価した結果を表1、表2に示す。
Figure 0006101017
Figure 0006101017
本発明の実施例1〜4は、伸度が5〜20%に延伸されてもハードコート層にクラックは発生せず、また、伸度が5〜20%であっても伸度が0%に比べて視感反射率、ヘイズ値の変化が極めて小さく、成型用積層フィルムとして優れていることが分かる。
また、本発明の実施例1〜4は、クラック伸度が5%以上であるハードコート層上に屈折率が1.47以下である低屈折率層を積層しているので、視感反射率が0.5〜2.5%の範囲となり、外光の映り込みやギラツキが抑制され、かつ白っぽさ(白濁感)が軽減されている。また、本発明の実施例1〜4は、付着した指紋の視認性が抑制されている。
また、本発明の実施例2、4は、成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値が3.0〜20.0%であるので、落ち着き感と高級感がある。
一方、比較例1、3は、ハードコート層上に低屈折率層が積層されていないので、視感反射率が高く、外光の映り込みやギラツキがあり、また白っぽさ(白濁感)が視認される。また、比較例3は、実施例2、4に比べて視覚的に落ち着き感が劣り、高級感も劣っている。
比較例2および4のハードコート層は、従来から一般的に用いられている高硬度なハードコート層(クラック伸度が5%未満)であり、伸度が5%時で既にクラックが発生し、伸度が0%時に比べてヘイズ値がかなり大きくなっている。
1 透過ピーク
2 ボトム

Claims (9)

  1. ヘイズ値が0.7%以下である基材フィルム上にハードコート層および屈折率が1.47以下である低屈折率層をこの順に有する成型用積層フィルムであって、
    前記成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)が4.0%以上15.0%以下であり、前記成型用積層フィルムの伸度が15%時におけるヘイズ値(Hz15)との差の絶対値と、前記ヘイズ値(Hz0)との関係が下記式1を満足し、
    前記低屈折率層の表面の中心線平均粗さRaが70nm以上500nm以下であることを特徴とする成型用積層フィルム。
    (|Hz0−Hz15|)/Hz0≦0.3 ・・・ 式1
  2. 前記成型用積層フィルムの伸度が0%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R0)が0.5〜2.5%である、請求項1に記載の成型用積層フィルム。
  3. 前記成型用積層フィルムの伸度が0%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R0)と、前記成型用積層フィルムの伸度が15%時における低屈折率層側表面の視感反射率(R15)との差の絶対値が下記式を満足する、請求項1または2に記載の成型用積層フィルム。
    |R0−R15|≦0.2% ・・・ 式
  4. 前記低屈折率層の厚みが50〜200nmの範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
  5. 前記ハードコート層の厚みが0.5μm以上5μm未満である、請求項1〜4のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
  6. 前記基材フィルムがポリエステルフィルムである、請求項1〜5のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
  7. 前記基材フィルムと前記ハードコート層との間に、厚みが5〜300nmの樹脂層を有し、前記樹脂層は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびアクリル樹脂からなる群の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂、架橋剤ならびに粒子を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
  8. 前記成型用積層フィルムの伸度が0%時におけるヘイズ値(Hz0)と、前記成型用積層フィルムの伸度が20%時におけるヘイズ値(Hz20)との差の絶対値と、前記ヘイズ値(Hz0)との関係が下記式3を満足する、請求項1〜7のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
    (|Hz0−Hz20|)/Hz0≦0.2 ・・・ 式3
  9. 加飾成型、インモールド成型、あるいはインサート成型に用いられる、請求項1〜8のいずれかに記載の成型用積層フィルム。
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