JP6100348B1 - 乗客コンベアの手摺り駆動スプロケット及びそれを用いた乗客コンベア - Google Patents
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【課題】手摺り駆動スプロケットの直径を変化させて手摺りベルトの走行速度を調整できる乗客コンベアの手摺り駆動スプロケットを提供する。【解決手段】円板型のスプロケット本体102と回転軸104と、スプロケット本体100の外周に沿って設けられた固定傾斜面110と、固定傾斜面110に対向するように配された円環状の調整部材112と、調整部材112に設けられ、固定傾斜面110と対向するように設けられた移動傾斜面114と、固定傾斜面110と移動傾斜面114との間に配された断面形状がV字型の円環部材106とを有する。【選択図】 図3
Description
本発明の実施形態は、乗客コンベアの手摺り駆動スプロケット及びそれを用いた乗客コンベアに関するものである。
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアの手摺りベルトは、手摺り駆動スプロケットによって駆動し、この手摺り駆動スプロケットは、踏段を駆動させる主駆動スプロケットと同期して回転している。手摺りベルトの走行速度は、踏段と同期するように手摺り駆動スプロケットの回転数及び直径が設定されている。
しかし、乗客コンベアを設置する現地において、手摺り駆動スプロケットの回転数や直径を変化させることができず手摺りベルトの走行速度を調整できないという問題点があった。
そこで本発明の実施形態は、上記問題点に鑑み、手摺り駆動スプロケットの直径を変化させて手摺りベルトの走行速度を調整できる乗客コンベアの手摺り駆動スプロケット及びそれを用いた乗客コンベアを提供することを目的とする。
本発明の実施形態は、円板型のスプロケット本体と、前記スプロケットの中心に設けられた回転軸と、前記スプロケット本体の外周に沿って設けられた固定傾斜面と、前記スプロケット本体の外周にある固定傾斜面に対向するように配された円環状の調整部材と、前記調整部材に設けられ、前記固定傾斜面と対向するように設けられた移動傾斜面と、前記スプロケット本体の外周の固定傾斜面と、前記調整部材の移動傾斜面との間に配された断面形状がV字型で、かつ、弾性を有する円環部材と、を有し、前記調整部材は、前記スプロケット本体の外周に所定の等角度毎に螺合されたボルトで固定され、前記調整部材と前記スプロケット本体との間には、前記調整部材を前記スプロケット本体とは反対側に付勢する弾性体が、所定の等角度毎に設けられ、前記弾性体は、隣接する前記ボルトの間に設けられている、乗客コンベアの手摺り駆動スプロケットである。
また、本発明の実施形態は、建屋に支持アングルによって支持されるトラスと、前記トラスの一端部に設けられた機械室と、前記トラス内の長手方向に沿って配され、かつ、無端状に連結された複数の踏段と、前記踏段の左右両側に立設された欄干と、前記欄干の上部を走行する無端状の手摺りベルトと、前記機械室内に配され、前記踏段を駆動させるための左右一対の主駆動スプロケットと、前記主駆動スプロケットと同期して回転し、前記手摺りベルトが掛け渡された上記実施形態の手摺り駆動スプロケットと、を有する乗客コンベアである。
以下、本発明の一実施形態のエスカレータ10を図1〜図4に基づいて説明する。
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の構造について、図1に基づいて説明する。図1はエスカレータ10を側面から見た説明図である。
エスカレータ10の構造について、図1に基づいて説明する。図1はエスカレータ10を側面から見た説明図である。
エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて支持されている。
トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18、左右一対の主駆動スプロケット24,24、左右一対の手摺り駆動スプロケット100,100が設けられている。この駆動装置18は、モータ20と、減速機と、この減速機の出力軸に取り付けられた出力スプロケットと、この出力スプロケットにより駆動する駆動チェーン22と、モータ20の回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスクブレーキとを有している。この駆動チェーン22により左右一対の主駆動スプロケット24,24が回転する。左右一対の主駆動スプロケット24,24と左右一対の手摺り駆動スプロケット100,100とは、不図示の連結ベルトにより連結されて同期して回転する。また、上階側の機械室14内部には、モータ20やディスクブレーキなどを制御する制御部50が設けられている。
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内には、左右一対の従動スプロケット26,26が設けられている。上階側の左右一対の主駆動スプロケット24,24と下階側の左右一対の従動スプロケット26,26との間には、左右一対の無端の踏段チェーン28,28が掛け渡されている。左右一対の踏段チェーン28,28には、複数の踏段30が等間隔で取り付けられている。モータ20が回転すると踏段30の前輪301は、トラス12に固定された不図示の案内レールを走行し、後輪302はトラス12に固定された案内レール25を走行する。
トラス12の左右両側には、左右一対の欄干36,36が立設されている。この欄干36の上部に手摺りレール39が設けられ、この手摺りレール39に沿って無端状の手摺りベルト38が移動する。欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられ、正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。
欄干36の側面下部には、スカートガード44が設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。上下階のスカートガード44の内側面には、操作盤52,56、スピーカ54,58がそれぞれ設けられている。
手摺りベルト38は、上階側のインレット部46から正面スカートガード40内に侵入し、案内ローラ群64を介して手摺り駆動スプロケット100に掛け渡され、その後、案内ローラ群66を介してスカートガード44内を移動し、下階側のインレット部48から正面スカートガード42外に表れる。そして、手摺りベルト38は、手摺り駆動スプロケット100が主駆動スプロケット24と共に回転することにより踏段30と同期して移動する。また、回転する手摺り駆動スプロケット100に走行する手摺りベルト38を押圧するための押圧部材70を有する。
上階側の左右一対のスカートガード44,44の乗降口であって、機械室14の天井面には、上階側の乗降板32が水平に設けられている。下階側の左右一対のスカートガード44,44の乗降口であって、機械室16の天井面には、下階側の乗降板34が水平に設けられている。上階側の乗降板32の先端には櫛歯状のコム60が設けられ、このコム60に踏段30が侵入する。また、下階側の乗降板34の先端にも櫛歯状のコム62が設けられている。
(2)手摺り駆動スプロケット100の構造
次に、手摺り駆動スプロケット100の構造について図2〜図5に基づいて説明する。なお、手摺り駆動スプロケット100は、「シーブ」とも呼ばれる。
次に、手摺り駆動スプロケット100の構造について図2〜図5に基づいて説明する。なお、手摺り駆動スプロケット100は、「シーブ」とも呼ばれる。
手摺り駆動スプロケット100は、円板型のスプロケット本体102と、スプロケット本体102の中央を貫通する回転軸104、円環型の調整部材112、円環部材106を有している。
図4に示すように、円板型のスプロケット本体102の外周部の片面に沿って円環型の凹部108が設けられている。凹部108の外周部には、固定傾斜面110が形成されている。
図4に示すように、円環型の調整部材112が、円環型の凹部108に配される。円環型の調整部材112の外周部の片面には、移動傾斜面114が形成されている。移動傾斜面114と固定傾斜面110とは相対向する位置に配される。
図3、図4に示すように、円環型の調整部材112と円板型の手摺り駆動スプロケット100の間にはゴム製の円環部材106が嵌め込まれている。円環部材106の断面形状はV字型であって、固定傾斜面110と移動傾斜面114との間に位置している。
図2に示すように、円環型の調整部材112には、等角度(45°)毎にボルト116が螺合し、このボルト116の先端は、スプロケット本体102に螺合している。8本のボルト116を締めることにより、円環部材106を挟んだまま、調整部材112をスプロケット本体106に固定できる。
円環型の調整部材112と円板型のスプロケット本体106との間には、弾性体であるコイルバネ118が配されている。図5に示すように、スプロケット本体106に挿入孔120が設けられ、この挿入孔120にコイルバネ118が挿入され、そのコイルバネ118を塞ぐようにして調整部材112が固定されている。コイルバネ118が取り付けられている位置は、隣接するボルト116,116が取り付けられている中央部分に設けられている(図2参照)。8個のコイルバネ118により、8本のボルト116を締め付けてもそれを付勢して、調整部材112を手摺り駆動スプロケット100とは反対側に押圧している。
図2に示すように、手摺り駆動スプロケット100の下側外周部には、上記したように押圧部材70が配されている。押圧部材70は、円弧型の基台72に複数の押圧ローラ74が所定間隔毎に回転自在に配され、全ての押圧ローラ74が、手摺り駆動スプロケット100の下外周部に架け渡された手摺りベルト38を外方から径内方向(中心方向)に押圧する。
円弧型の基台72の下端部は、トラス12に固定され、基台72の上端部は、バネ支持部材78を介してトラス12に固定されている。バネ支持部材78は、コイルバネ80、雄ネジ棒82、固定端84及び移動端86、ナット88とより構成されている。図2に示すように、バネ支持部材78の雄ネジ棒82の下端が基台72の上端部に固定され、雄ネジ棒82の上端に移動端86が嵌合し、移動端86には縮む方向に付勢力を有するコイルバネ80の上端が固定されている。コイルバネ80の下端には固定端84が固定され、この固定端84は、トラス12に固定されている。移動端86が、ナット88の締め付け具合によって雄ネジ棒82に沿って移動し、コイルバネ80の付勢力が変化する。これにより、基台72の複数の押圧ローラ74が手摺り駆動スプロケット100の径内方向へ押圧する力を調整できる。
図2に示すように、手摺り駆動スプロケット100の上階側には、上記したように案内ローラ群64がトラス12に設けられている。案内ローラ群64は、円弧型の基台92に複数の案内ローラ92が回転自在に配され、インレット部46から手摺り駆動スプロケット100の下外周部に手摺りベルト38を案内する。
図2に示すように、手摺り駆動スプロケット100の下階側には、上記したように案内ローラ群66がトラス12に設けられている。案内ローラ群92は、円弧型の基台94に複数の案内ローラ96が回転自在に配され、手摺り駆動スプロケット100の下外周部から引き出された手摺りベルト38を下階側に向かって案内する。
(3)手摺り駆動スプロケット100の動作状態
手摺り駆動スプロケット100の動作状態について説明する。手摺りベルト38の走行抵抗の大小により、踏段30と手摺りベルト38の走行速度に差が生じることがある。特に、上階と下階の間の距離が大きい階高のエスカレータ10においてはその差が拡大していく傾向にある。そのため、本実施形態では、手摺り駆動スプロケット100の直径を変化させることによってこの差を調整できる。
手摺り駆動スプロケット100の動作状態について説明する。手摺りベルト38の走行抵抗の大小により、踏段30と手摺りベルト38の走行速度に差が生じることがある。特に、上階と下階の間の距離が大きい階高のエスカレータ10においてはその差が拡大していく傾向にある。そのため、本実施形態では、手摺り駆動スプロケット100の直径を変化させることによってこの差を調整できる。
手摺り駆動スプロケット100が回転すると、押圧部材70によって手摺り駆動スプロケット100に押圧された手摺りベルト38が走行する。この場合に、手摺り駆動スプロケット100の直径(シーブ径)が大きくなれば、その外周部における回転速度が早くなり、手摺りベルト38の走行速度が早くなる。手摺り駆動スプロケット100の直径(シーブ径)が小さくなれば、その外周部における回転速度が遅くなり、手摺りベルト38の走行速度が遅くなる。
手摺りベルト38の走行速度が遅い場合には、ボルト116を締めて、固定傾斜面110と移動傾斜面114との距離を短くする。これによって、断面V字型の円環部材106は外側に押し出され、手摺り駆動スプロケット100の直径が大きくなり、手摺りベルト38の走行速度が早くなる。このとき、コイルバネ118によって調整部材112は常に外方に付勢されているため、ボルト116の締め付けによって調整部材112が移動し過ぎることはない。
手摺りベルト38の走行速度が早い場合には、ボルト116を緩めて、固定傾斜面110と移動傾斜面114との距離を大きくする。これによって、断面V字型の円環部材106は内側に移動し、手摺り駆動スプロケット100の直径が小さくなり、手摺りベルト38の走行速度が遅くなる。このとき、コイルバネ118によって調整部材112は常に外方に付勢されているため、ボルト116を緩めることによって調整部材112が移動し過ぎることはない。
なお、上記説明は、左右一対の手摺り駆動スプロケット100の一方についてのみ説明したが、他方も踏段60と手摺りベルト38との間に走行速度に差がある場合には、同じように調整できる。また、踏段60と手摺りベルト38との走行速度が同じ場合には、片側の手摺り駆動スプロケット100については調整する必要がない。
(4)効果
本実施形態によれば、ボルト116を締め付けたり緩めたりするだけで、手摺りベルト38の走行速度を調整できる。
本実施形態によれば、ボルト116を締め付けたり緩めたりするだけで、手摺りベルト38の走行速度を調整できる。
また、左右一対の手摺り駆動スプロケット100において、片側の手摺り駆動スプロケット100のみの直径を変更でき、片側の手摺りベルト38の走行速度だけを調整できる。
また、ボルト116の締め付けたり緩めたりしても、コイルバネ118で常に調整部材112を外方に押圧しているため、円環部材106は、ボルト116の締め付けた位置で固定される。
また、円環部材106が破損しても、ゴム製の円環部材106を交換すればよい。
(5)変更例
上記実施形態では、ボルト116を45°毎に8本設けたが、これに限らず等角度毎であれば8個以上であってもよい。
上記実施形態では、ボルト116を45°毎に8本設けたが、これに限らず等角度毎であれば8個以上であってもよい。
また、上記実施形態では、エスカレータ10に適用して説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10・・・エスカレータ、38・・・手摺りベルト、100・・・手摺り駆動スプロケット、102・・・スプロケット本体、104・・・回転軸、106・・・円環部材、108・・・凹部、110・・・固定傾斜面、112・・・調整部材、114・・・移動傾斜面、116・・・ボルト、118・・・コイルバネ、120・・・挿入孔
Claims (7)
- 円板型のスプロケット本体と、
前記スプロケットの中心に設けられた回転軸と、
前記スプロケット本体の外周に沿って設けられた固定傾斜面と、
前記スプロケット本体の外周にある固定傾斜面に対向するように配された円環状の調整部材と、
前記調整部材に設けられ、前記固定傾斜面と対向するように設けられた移動傾斜面と、
前記スプロケット本体の外周の固定傾斜面と、前記調整部材の移動傾斜面との間に配された断面形状がV字型で、かつ、弾性を有する円環部材と、
を有し、
前記調整部材は、前記スプロケット本体の外周に所定の等角度毎に螺合されたボルトで固定され、
前記調整部材と前記スプロケット本体との間には、前記調整部材を前記スプロケット本体とは反対側に付勢する弾性体が、所定の等角度毎に設けられ、
前記弾性体は、隣接する前記ボルトの間に設けられている、
乗客コンベアの手摺り駆動スプロケット。 - 前記円環部材は、ゴム製である、
請求項1に記載の乗客コンベアの手摺り駆動スプロケット。 - 建屋に支持アングルによって支持されるトラスと、
前記トラスの一端部に設けられた機械室と、
前記トラス内の長手方向に沿って配され、かつ、無端状に連結された複数の踏段と、
前記踏段の左右両側に立設された欄干と、
前記欄干の上部を走行する無端状の手摺りベルトと、
前記機械室内に配され、前記踏段を駆動させるための左右一対の主駆動スプロケットと、
前記主駆動スプロケットと同期して回転し、前記手摺りベルトが掛け渡された請求項1に記載の手摺り駆動スプロケットと、
を有する乗客コンベア。 - 前記手摺りベルトを、前記手摺り駆動スプロケットに押圧する複数の押圧ローラを有し、
複数の前記押圧ローラが円弧状の押圧基台に回転自在に固定されている、
請求項3に記載の乗客コンベア。 - 前記手摺りベルトを、前記手摺り駆動スプロケットの外周部に案内する複数の第1案内ローラを有し、
複数の前記第1案内ローラが円弧状の第1案内基台に回転自在に固定されている、
請求項4に記載の乗客コンベア。 - 前記手摺りベルトを、前記手摺り駆動スプロケットの外周部から前記欄干の外方に案内する複数の第2案内ローラを有し、
複数の前記第2案内ローラが円弧状の第2案内基台に回転自在に固定されている、
請求項5に記載の乗客コンベア。 - 前記乗客コンベアは、エスカレータ、又は、動く歩道である、
請求項3に記載の乗客コンベア。
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