上記特許文献1,2に記載の発明によれば、前記波浪力や流体力すなわち波の衝撃力は、沖側から岸側へ向かう波の水平波力、あるいは被覆ブロックを下面側から持ち上げようとする揚圧力などを有する。そのため、波の衝撃力が被覆ブロックに作用すると、捨石マウンド上を被覆ブロックが浮遊移動し、被覆ブロックの設置状態が不安定になって崩壊することがあった。
また、上記特許文献3に記載の発明の如き、被覆ブロックに複数の開口部を設けたものでは、波の揚圧力が被覆ブロックの下面側から開口部を通ってその上面側に通り抜けることで、揚圧力のエネルギーを低減させ、以って、該被覆ブロックが浮き上がることを抑えることができる。しかし、このものでは、水平方向(平面方向)たとえば岸沖方向または沿岸方向から作用する波の衝撃力に対しては、十分な抵抗力を有せず被覆ブロックの設置状態が安定しないことがあった。
さらに、上記特許文献4に記載の発明の如き、被覆ブロック相互間を単に上下係合させたものでは、上下方向への動きをある程度拘束しうるが、被覆ブロックの自重のみに依存して上下係合させているため、被覆ブロック同士の連結強度が十分ではなく、上下方向又は平面方向からの波の衝撃力に対して、被覆ブロックの設置時の安定性が十分確保され難い。その結果、波の衝撃力が上下方向又は平面方向たとえば岸沖方向から被覆ブロックに直接作用した場合、魏被覆ブロック自体が浮き上がる、或は被覆ブロックが位置ズレ又は傾きを生じる等の問題があった。
そこで、本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、捨石の流動を抑え、波や流水による衝撃力(揚圧力)を軽減しつつ、高い消波性能を有し、被覆ブロック同士の連結力を増大させて被覆ブロックの設置安定性を向上させるようにするために解決せられるべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は、該課題を解決することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、浅海、河川等の水底に敷設されるハニカム型被覆ブロックであって、該被覆ブロックは、その中心部を構成する六角形のセンターブロック部と、該センターブロック部の左右両側に互いに前後・左右対称となるよう一体に形成された4つの六角形のサイドブロック部とから成り、前記センターブロック部及び各サイドブロック部には六角形の貫通孔を夫々開穿し、前記被覆ブロックの一側縁部に側面から視て凸状の嵌合部を突設するとともに、前記被覆ブロックの他側縁部に前記嵌合部が水平方向への移動を規制された状態で嵌合可能な側面から視て凹状の被嵌合部を形成し、該被嵌合部の外側には、前記嵌合部が載置可能な受け台を設け、前記被覆ブロックの前後両側には、平面から視て台形状の一対の凹所が互いに対向して形成され、隣り合う前記被覆ブロックの凹所が、六角形状の開口部を形成することを特徴とするハニカム型被覆ブロックを提供する。
この構成によれば、前記被覆ブロックの左側縁部に側面から視て凸状の嵌合部を突設し、且つ、該被覆ブロックの右側縁部に被嵌合部を形成したものを例に挙げて説明すると、被覆ブロック同士を左右隣接して敷設する際、右側の被覆ブロックに設けた側面から視て凸状の嵌合部は、左側の被覆ブロックの被嵌合部に水平方向への移動を規制された状態で嵌合させて固定する。また、前記嵌合部は、左側の被覆ブロックに形成した受け台上に載置して支持する。したがって、凹凸嵌合作用と載置支持作用との相乗作用により、前記被覆ブロック同士は、上下・前後・左右方向への動きが拘束される。また、被覆ブロックの前後両側には、平面視台形状の一対の凹所が互いに対向して形成されているので、複数の被覆ブロックを前後隣り合うように設置した場合、該被覆ブロック同士の間には、前後一対の凹所が合わさって平面視六角形状の空間部(開口部)が形成され、この空間部は六角形の貫通孔と同様の揚圧力低減性能と消波性能を有する。
請求項2記載の発明は、前記被覆ブロックの前記嵌合部は平面視略へ字状に突設されているとともに、該被覆ブロックの被嵌合部は前記嵌合部と対応する平面視略へ字状に凹設されていることを特徴とする請求項1記載のハニカム型被覆ブロックを提供する。
この構成によれば、前記被覆ブロックの嵌合部と被嵌合部の嵌合形状は平面視略へ字状であるので、左右隣接する被覆ブロック同士は、凹凸嵌合の作用力が前後方向と左右方向の2つに分散されて生じ、以って、前後方向及び左右方向への動きがより効果的に拘束される。
請求項3記載の発明は、前記被覆ブロックの前記嵌合部は、前記被覆ブロックの左右方向外側に向かって上方に傾斜する下面を有し、かつ、前記被覆ブロックの前記受け台は、前記嵌合部の下面に対応して上方に傾斜する上面を有することを特徴とする請求項1又は2記載のハニカム型被覆ブロックを提供する。
この構成によれば、前記被覆ブロックの受け台の上面は、前記嵌合部の下面に対応して左右方向外側に向かって上方に傾斜している。そのため、例えば左右隣接する一方の被覆ブロックの受け台上面に、他方の被覆ブロックの嵌合部下面を傾斜状態で載置すると、該被覆ブロックの左右方向への動きが一層確実に拘束される。
請求項4載の発明は、前記被覆ブロックの前後両側の下面には、左右方向に延びる板状の脚部が垂設されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載のハニカム型被覆ブロックを提供する。
この構成によれば、前記被覆ブロックの前後両側の下面には板状の脚部が形成されているので、該被覆ブロックの設置時に、必要に応じて前記脚部を捨石マウンドに埋め込んで設置することができる。
請求項5記載の発明は、前記被覆ブロックの一側縁部の前記嵌合部は、左右方向一側の2つの各サイドブロック部外側に夫々突設され、かつ、前記被覆ブロックの他側縁部の前記被嵌合部は、左右方向他側の2つの各サイドブロック部外側に形成されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のハニカム型被覆ブロックを提供する。
この構成によれば、前記被覆ブロックの一側縁部の嵌合部及び該被覆ブロックの他側縁部の被嵌合部をそれぞれ2つ設けたので、例えば被覆ブロック同士を左右隣接して敷設する際、右側の被覆ブロックの嵌合部2つは、左側の被覆ブロックの被嵌合部2つとそれぞれ嵌合して固定される。つまり、被覆ブロック同士の凹凸嵌合は、同一の側縁部において2箇所で行われ、以って、凹凸嵌合による被覆ブロックの連結強度が著しく増大する。
請求項6記載の発明は、浅海、河川等の水底に、請求項1,2,3,4又は5記載のハニカム型被覆ブロックを沿岸方向及び岸沖方向に複数敷設する方法であって、該被覆ブロックの左右方向が岸沖方向と平行になるよう、該被覆ブロック同士を互いに隣接させて敷き並べる工程と、左右隣接する被覆ブロックのうちの一方に設けた側面から視て凹状の被嵌合部に、他方の被覆ブロックに突設した側面から視て凸状の嵌合部を水平方向への移動を規制された状態で嵌合させて連結する工程と、前記一方の被覆ブロックの受け台上に、前記他方の被覆ブロックの嵌合部を載置する工程とを備えることを特徴とするハニカム型被覆ブロックの敷設方法を提供する。
この方法によれば、左右隣接する被覆ブロック同士は、その一方の被覆ブロックに形成した側面から視て凹状の被嵌合部に、他方の被覆ブロックに設けた嵌合部を嵌合させた状態で岸沖方向に設置する。この場合、一方の被覆ブロックの受け台上には、他方の被覆ブロックの嵌合部を載置させる。したがって、左右隣接する被覆ブロックの前後方向(沿岸方向)への動きが拘束されるのみならず、上下方向及び左右方向(岸沖方向)への動きも確実に拘束される。又、前記被覆ブロックのセンターブロック部及び各サイドブロック部には六角形の貫通孔が開穿されていることにより、該貫通孔に進入した流れが六角形の偶角部に収束し、衝突して打ち消し合って減衰される。
請求項7記載の発明は、中心部を構成する六角形のセンターブロック部と、該センターブロック部の左右両側に互いに前後・左右対称となるよう一体に形成された4つの六角形のサイドブロック部と、を備え、前記被覆ブロックの一側縁部に側面から視て凸状の嵌合部を左右方向一側の2つの各サイドブロック部外側に夫々突設するとともに、前記被覆ブロックの他側縁部に前記嵌合部が水平方向への移動を規制された状態で嵌合可能な側面から視て凹状の被嵌合部を左右方向他側の2つの各サイドブロック部外側に形成し、該被嵌合部の外側には、前記嵌合部が載置可能な受け台を設けたハニカム型被覆ブロックを浅海、河川等の水底に沿岸方向及び岸沖方向に複数敷設する方法であって、複数の被覆ブロックの前後方向が沿岸方向と平行になるよう該被覆ブロックを並べる工程と、沿岸方向に並べられた前記被覆ブロックを1列として、該被覆ブロックを岸沖方向に複数列敷設し、かつ、偶数列の被覆ブロックと奇数列の被覆ブロックとが互いに前後方向にて半ピッチずれた状態で左右隣接するように該被覆ブロックを配列する工程と、左右隣接する被覆ブロックのうちの一方に設けた2つの被嵌合部に夫々、他方の被覆ブロック2つに夫々突設した嵌合部を嵌合させる工程と、前記一方の被覆ブロックの受け台上に、前記他方の被覆ブロックの嵌合部を載置する工程とを備えることを特徴とするハニカム型被覆ブロックの敷設方法を提供する。
この方法によれば、被覆ブロックを岸沖方向に複数列敷設し、かつ、偶数列と奇数列とが互いに前後方向にて半ピッチずれて左右隣接するように該被覆ブロックを配列する。そして、左右隣接する被覆ブロックのうちの一方に設けた2つの被嵌合部に夫々、他方の被覆ブロック2つに突設した嵌合部を嵌合させる。つまり、一方の被覆ブロック1つに対して他方の被覆ブロック2つが左右隣接して、隣接部分において2箇所で凹凸嵌合して連結するので、凹凸嵌合による被覆ブロック同士の連結強度が著しく増大する。
請求項1記載の発明は、前記被覆ブロック同士は、凹凸嵌合作用と載置支持作用との相乗作用により、上下・前後・左右方向への動きが効果的に拘束される。したがって、波の衝撃力が上下・前後・左右方向から前記被覆ブロックに作用しても、当該被覆ブロックの浮上、位置ズレ又は傾きを防止して、被覆ブロックの設置時の安定性が著しく向上する。
又、前記センターブロック部及び各サイドブロック部夫々に六角形の貫通孔を開穿したことにより、該貫通孔に進入した流れが六角形の偶角部に収束し、衝突して打ち消し合って減衰される。そのため、大きな波の揚圧力や滑動力が被覆ブロックに作用したとても、当該被覆ブロックの浮き上がりを一層確実に抑止することができる。また、被覆ブロック同士の間には、前後一対の凹所が合わさって平面視六角形状の開口部が形成されるので、開口部により、進入した流れが六角形の偶角部に収束し、衝突して打ち消し合って減衰され、極めて高い消波効果が発揮される。
請求項2記載の発明は、左右隣接する被覆ブロック同士は、前後方向及び左右方向への動きがより効果的に拘束された状態で凹凸嵌合して連結されるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、大きな波の衝撃力が前後方向及び左右方向から被覆ブロックに作用しても、当該被覆ブロックの浮上、位置ズレ又は傾きをより一層確実に防止して、被覆ブロックの設置安定性を更に高めることができる。
請求項3記載の発明は、被覆ブロックの左右方向の動きが一層確実に拘束されるので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、大きな波の衝撃力が左右方向から被覆ブロックに作用しても、当該被覆ブロックの浮上、位置ズレ又は傾きをより効果的に防止して、被覆ブロックの設置安定性の更なる向上を図ることができる。
請求項4記載の発明は、前記被覆ブロックの設置時に、前記脚部を捨石マウンドに埋め込んで設置できるので、請求項1,2又は3記載の発明の効果に加えて、前記被覆ブロックの不陸(高さ)調整を容易に実施でき、被覆ブロックの設置安定性をより一層向上させることができる。
請求項5記載の発明は、被覆ブロック同士の凹凸嵌合による連結強度が飛躍的に増大するので、請求項1,2,3又は4記載の発明の効果に加えて、特に大きな波や流れの作用によって発生する水平方向の滑動力や揚圧力が前後方向から被覆ブロックに作用しても、当該被覆ブロックの浮上、位置ズレ又は傾きを一層効果的に防止して、被覆ブロックの設置安定性が更に高くなる。
請求項6記載の発明は、左右隣接する被覆ブロックは、前後方向(沿岸方向)への動きが拘束されるのみならず、上下方向及び左右方向(岸沖方向)への動きも拘束されるので、大きな波や流れの作用によって発生する水平方向の滑動力や揚圧力が前後方向に加えて上下方向及び左右方向から前記被覆ブロックに作用しても、当該被覆ブロックの浮上、位置ズレ又は傾きをより確実に防止することができる。
請求項7記載の発明は、被覆ブロック同士の凹凸嵌合による連結強度が増大するので、特に大きな波や流れの作用によって発生する水平方向の滑動力や揚圧力が岸沖方向及び沿岸方向から被覆ブロックに作用しても、当該被覆ブロックの浮上、位置ズレ又は傾きを一層確実に防止して、被覆ブロックの設置安定性が更に高くなる。
本発明は、高い消波機能によって波の衝撃力を軽減し、捨石の移動を抑制しつつ、被覆ブロック同士の全体の連結力を増大させて被覆ブロックの設置安定性を向上させるという目的を達成するために、請求項1記載の発明は、浅海、河川等の水底に敷設されるハニカム型被覆ブロックであって、該被覆ブロックは、その中心部を構成する六角形のセンターブロック部と、該センターブロック部の左右両側に互いに前後・左右対称となるよう一体に形成された4つの六角形のサイドブロック部とから成り、前記センターブロック部及び各サイドブロック部には六角形の貫通孔を夫々開穿し、前記被覆ブロックの一側縁部に側面から視て凸状の嵌合部を突設するとともに、前記被覆ブロックの他側縁部に前記嵌合部が水平方向への移動を規制された状態で嵌合可能な側面から視て凹状の被嵌合部を形成し、該被嵌合部の外側には、前記嵌合部が載置可能な受け台を設け、前記被覆ブロックの前後両側には、平面から視て台形状の一対の凹所が互いに対向して形成され、隣り合う前記被覆ブロックの凹所が、六角形状の開口部を形成することにより実現した。
本発明の形状的な特徴の1つは、平型の被覆ブロックであって、ブロック単体には六角形の貫通した孔が5つ形成されていて、消波目的の異形ブロックとは構造などが異なることである。また、被覆ブロックの前後両側には、例えば台形などの凹所を有しているので、被覆ブロックの前後方向が沿岸方向(岸沖方向と垂直方向)と平行になるように敷設すると、隣り合う被覆ブロック同士の間には、上下方向に開通した六角形の開口部が形成される。
本発明に係る被覆ブロックの消波性能の優位点は、前後左右対称な六角形の貫通した5つの孔を被覆ブロックが有するので、従来構造の被覆ブロックよりも高い消波性能を発揮することができることにある。また、本発明の安定性に関する優位点は、上記六角形の貫通した孔により、波の作用力が効率よく軽減されて、被覆ブロックの設置安定性が高くなることである。さらに、例えば被覆ブロックの左右方向が岸沖方向と平行になるように敷設すると、岸沖方向に隣り合う2つの被覆ブロックの一部分が上下に重なるので、上側の被覆ブロックにより、波力による被覆ブロックの浮き上がりを効果的に防止し得る。
加えて、前記被覆ブロックの上下重なった部分は、岸沖方向において逆勾配、即ち、岸側の部分に対し沖側の部分が上側に重なるので、隣り合う被覆ブロック同士が互いに抜けない構造になっている。さらに、被覆ブロックの重なった部分は、特に相互嵌合して連結する個所が、平面的に所要の嵌合形状、例えば「く」の字型または「V」の字型を呈しているので、被覆ブロック同士は互いに沿岸方向および岸沖方向への動きも有効に拘束される。
以下、本発明に係るハニカム型の被覆ブロックの実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施例1の形態は、浅海底の捨石マウンド上に前記被覆ブロックを岸沖方向及び沿岸方向に複数敷設したものであり、図1は平面図、図2は正面図である。図示例の複数の被覆ブロック10は、浅海の水底に構築した捨石マウンドの表面を被覆すべく、平面方向に複数列敷き並べて設置したものである。被覆ブロック10の単体の構造を図3及び図4に示す。
図3(a)において、被覆ブロック10はコンクリート製であって、図示しない浅海底に構築された捨石マウンドの表面を被覆するものである。前記被覆ブロック10は、枠組された所定形状の型内に、生コンクリートを流し込んで固化した後に、当該型の組枠を取り外して成形品を取り出して製造されたものである。なお、前記被覆ブロック10は、消波目的で製造された従来タイプの異型ブロックとは構造等が異なるものである。
前記被覆ブロック10は、その中央部を構成するセンターブロック部1aと、該センターブロック部1aの左側に一体に形成された左側のサイドブロック部1b,1cと、前記センターブロック部1aの右側に一体に形成された右側のサイドブロック部1d,1eとから成る。被覆ブロック10の平面視形状はハニカム型を呈し、その外周縁部には平面視矩形のテーパ面と平面視三角形のテーパ面とが形成されている。
前記六角形のセンターブロック部1aは、その前後方向両側に互いに平行な二辺(上辺と下辺)を有し、かつ、その左右方向両側に夫々2つの斜辺を有している。該2つの斜辺は前後方向に対し互いに左右逆向きに傾いている。
センターブロック部1aの左側の斜辺2つには、それぞれ左側のサイドブロック部1b,1cが連接され、また、センターブロック部1aの右側の斜辺2つにはそれぞれ右側のサイドブロック部1d,1eが連接されている。これら4つのサイドブロック部1b,1c、1d,1eは前後方向及び左右方向において互いに対称な位置関係を有している。
前記センターブロック部1aおよび4つのサイドブロック部1b,1c,1d,1eの夫々の中央部には、底面から天面に貫通する開口部、即ち、平面視六角形の貫通孔2a,2b,2c,2d,2eが開穿されている。該貫通孔2a,2b,2c,2d,2eにより、各センターブロック部1aおよびサイドブロック部1b,1c,1d,1eに作用する波や流水の衝撃力のエネルギーが減衰されるようになっている。
図3(c)に示すように、左側の各サイドブロック部1b,1cの左側縁部には嵌合部3b,3cが凸設されている。嵌合部3b,3cは夫々、左側のサイドブロック部1b,1cの厚さ方向上部にて左方へ突出し、各嵌合部3b,3cの平面視形状は略へ字状を呈している。
一方、図3(d)に示すように、右側の各サイドブロック部1d,1eの右側縁部には被嵌合部3d,3eが凹設されている。被嵌合部3d,3eは、左側のサイドブロック部1d,1eの厚さ方向上部にて左方へ陥入し、被嵌合部3d,3eの平面視形状は、嵌合部3b,3cの平面視形状に対応する略へ字状を呈している。そのため、被嵌合部3d,3eと嵌合部3b,3cとは、隣接する被覆ブロック10同士間にて左右方向より相互に嵌合し得るように形成されている。
さらに、右側の各サイドブロック部1d,1eは夫々、その右側縁部に平面視ひし形の受け台4d,4eを一体に有し、これら受け台4d,4eは互いに前後方向にて相対向して形成されている。該受け台4d,4eは、右側のサイドブロック部1d,1eの厚さ方向下部にて右方へ延出している。そして、受け台4d,4eの上面は、図3(b)に示すように、内側から外側(被覆ブロックの左右方向外側)にいくに伴い上方へ若干傾斜し、その傾斜度は前記嵌合部3b,3c下面側の傾斜度にほぼ一致している。
前記受け台4d,4eの上面は、前記嵌合部3b,3cの下面を支持し得る寸法・形状を有している。さらに、受け台4d,4e上面の右側端部には縦断面鋭角部βが形成され、縦断面鋭角部βは、前記嵌合部3b,3c下面側の縦断面鋭角部αと嵌合できるように設けられている。
したがって、左右隣接する被覆ブロック10同士を連結する場合は、図5に例示するごとく、左側の被覆ブロック10(L)の受け台4d,4e上に、右側の被覆ブロック10(R)の嵌合部3b,3cを載置するとともに、左側の被覆ブロック10(L)の被嵌合部3d,3eに、右側の被覆ブロック10(R)の嵌合部3b,3cを嵌合させて固定する。また、左側の被覆ブロック10(L)の受け台4d,4e側の縦断面鋭角部βに、右側の被覆ブロック10(R)の嵌合部3b,3c側の縦断面鋭角部αを嵌合させて固定する。
これによって、左右隣接する被覆ブロック10同士は、全体として上下方向、前後方向および左右方向への動きが効果的に拘束され、よって、波や流水の衝撃力のエネルギーが上下方向、前後方向又は左右方向から前記被覆ブロック10に作用したとしても、左右隣接する被覆ブロック10の一方が他方に対して上下方向、前後方向又は左右方向に位置ズレ又は傾きを起こす虞はない。
さらに、前記被覆ブロック10の前側下面には、図4中の斜線で示すように、2つの脚部5b,5dが一体に垂設され、また、前記被覆ブロック10の後側下面にも2つの脚部5c,5eが一体に垂設されている。これら脚部5b,5d及び脚部5c,5eは正面視矩形を呈し、左右方向に長い平板状に形成されている。前側の脚部5b,5dと後側の脚部5c,5eとは夫々、図5に示すように、前記被覆ブロック10の前後方向および左右方向にて互いに対峙して配置されている。さらに、図3(c)、(d)に示すように、脚部5b,5dと脚部5c,5eは側面視で逆台形を呈し、脚部5b,5dと脚部5c,5eの相対峙する内面は、それぞれ下方へ行くに伴い漸次外面側へ傾斜している。このため、脚部5b,5dと脚部5c,5eは、下端側の前後幅が根元側の前後幅に比べて狭くなっている。
さらにまた、被覆ブロック10の前面側には、センターブロック部1aの前辺縁と左側サイドブロック部11bの右辺縁と右側サイドブロック部11dの左辺縁とにより、平面視台形の凹所7が形成されている。同様に、前記被覆ブロック10の後面側にも、センターブロック部1aの後辺縁と左側サイドブロック部1cの右辺縁と右側サイドブロック部11eの左辺縁とにより、平面視台形の凹所8が形成されている。これら凹所7、8は互いに前後方向にて対応して配説されている。
凹所7,8の台形部分は、前後左右対称な六角形の一半の形状部分に相当する形状に一致している。そのため、前後両側の凹所7,8の台形部分を突き合わせると、図1に示すように、前後左右対称な六角形の空間部(開口部)9が形成される。また、被覆ブロック10の4つの隅角部には斜辺縁部が形成されているので、左右隣り合う4つの被覆ブロック10の間にはひし形の空間部(開口部)が形成される。
次に、上記被覆ブロック10の敷設方法について説明する。図1及び図2は、沿岸方向Cに被覆ブロック10を3個並べ、かつ、岸沖方向LR(沿岸方向Cに対し直角方向)にも被覆ブロック10を3個並べたものを例示する。図1及び図2中、矢印Lは岸側を示し、また、矢印Rは沖側を示し、さらに、矢印Cは沿岸方向を示す。
まず、前記被覆ブロック10を岸沖方向LRに1列に並べて敷設する。この場合、被覆ブロック10の左右方向、即ち、図3(a)中矢印Tで示す嵌合方向が、前記岸沖方向LRと平行になるように設置する。つまり、各被覆ブロック10の脚部5b,5dおよび脚部5c,5eが夫々岸沖方向LRに1列に並ぶように、複数の被覆ブロック10を配列して設置する。このとき、左右隣接する被覆ブロック10同士は、互いに凹凸嵌合させた状態で相互連結する。
具体的には、左側の被覆ブロック10の受け台4d,4e上に、右側の被覆ブロック10の嵌合部3b,3c下面を載置する。この場合、左側の被覆ブロック10の凹状の被嵌合部3d,3eに、右側の被覆ブロック10の凸状の嵌合部3b,3cを嵌合させ、かつ、左側の被覆ブロック10の受け台4d,4e側の前記鋭角部βに、右側の被覆ブロック10の嵌合部3b,3c側の前記鋭角部αを嵌合させて固定する。
上記と同様の連結方法により、左右隣接する被覆ブロック10同士を互いに凹凸嵌合させて岸沖方向LRに1列に連結していく。これにより、複数の被覆ブロック10同士は全体として、上下係合のみならず凹凸嵌合による連結力の強化作用により、上下・左右・前後の3方向への動きが拘束されることとなる。
特に、右側の被覆ブロック10の嵌合部3b,3cは、左側の被覆ブロック10の受け台4d,4eにより支持され、かつ、右側の被覆ブロック10の嵌合部3b,3c側の前記鋭角部αは、左側の被覆ブロック10の受け台4d,4e側の前記鋭角部βに嵌合されることにより、前記被覆ブロック10は全体として、前後方向の動きに加えて左右方向及び上下方向の動きも効果的に拘束される。その結果、前記被覆ブロック10に上方向の波の揚圧力、あるいは岸沖方向LRの波の衝撃力が作用しても、左右隣接する被覆ブロック10の何れかが上方向に浮上する、或は岸沖方向LRに位置ズレ又は傾きを起こす虞がない。
本発明は、前記被覆ブロック10の各センターブロック部1aおよびサイドブロック部1b,1c,1d,1eに六角形の貫通孔2a,2b,2c,2d,2eが開穿されている。また、被覆ブロック10の前後両側の凹所7,8が突き合わせられることで、六角形の空間部(開口部)9が形成され、しかも、前後左右隣り合う4つの被覆ブロック10の間にもひし形の空間部(開口部)が形成される。これにより、前記開口部の総面積が増加して被覆ブロック10全体の軽量化を図りつつ、従来構造に比し前記被覆ブロック10の設置時の安定性ないし作業性が向上する。
ここで、被覆ブロック10を設置した状態で、六角形の貫通孔2a,2b,2c,2d,2e内に波や流水が通過する場合、圧力差が発生し、六角形の貫通孔2a、2b、2c,2d,2e内に取り込まれる。この流れは貫通孔2a,2b,2c,2d,2e内や前記開口部内で分散されて、各孔の中で衝突による摩擦が生じ、波や流水の衝撃力のエネルギーが効率よく減衰される。そのため、前記被覆ブロック10の設置安定性が一層向上する。
特に、波や流水の流動力が前記被覆ブロック10の下面側から作用した場合、該被覆ブロック10に上向きの揚圧力が生じるが、このとき、六角形の貫通孔2a,2b,2c,2d,2eを設けることにより、揚圧力が低減できる。また、上向きの揚圧力と下向きの圧力が互いに打ち消し合って、前記被覆ブロック10に対する上下方向の波の流動力のエネルギーが低減される。
図1及び図2に示すように、浅海底の捨石マウンド上に複数の前記被覆ブロック10を岸沖方向LRに連結して1列をなし、かつ、同様の連結態様にて複数の前記被覆ブロック10を沿岸方向Cにも設置することで、全体として被覆ブロック10が複数列敷設される。即ち、前記被覆ブロック10の脚部5b,5d及び脚部5c,5eが岸沖方向LRに並ぶように設置して、1列の前記被覆ブロック10を敷設し、かつ、同様の設置方法により、前記被覆ブロック10を沿岸方向Cにも敷き並べることで、複数列の被覆ブロック10が敷設される。
斯くして、捨石マウンドの表面を被覆すべく、複数の被覆ブロック10を岸沖方向LR及び沿岸方向Cに平面的に並べて敷設するので、捨石マウンドを波や流水の衝撃力のエネルギーから保護することができ、もって、捨石マウンドの表面が凹凸状になることを防止できる。
本実施例2は、実施例1と同様に、浅海底の捨石マウンド上にハニカム型被覆ブロックを岸沖方向及び沿岸方向に複数敷設したものであり、図6は平面図、図7は正面図、図8は右側面図である。
被覆ブロック20の単体の構造を図9及び図10に示す。図9は実施例2に係る被覆ブロック20の単体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は背面図、図10は被覆ブロックの底面図である。
図9(a)において、コンクリート製の被覆ブロック20は外周縁部にテーパ面を有し、中心部は六角形のセンターブロック部11aにより構成されている。センターブロック部11aの左側斜辺縁、右側斜辺縁にはそれぞれ左側のサイドブロック部1b,11c、右側のサイドブロック部11d,11eが連接されている。4つのサイドブロック部11b,11c、11d,11eは前後方向及び左右方向において互いに対称な位置関係を有している。
前記センターブロック部11aおよび4つのサイドブロック部11b,11c,11d,11eの各中央部には、平面視六角形の貫通孔12a,12b,12c,12d,12eが開穿されている。図9(c)に示すように、左側の各サイドブロック部11b,11cの左側縁部には平面視略へ字状の嵌合部13b,13cが凸設され、各嵌合部13b,13cは夫々、前記サイドブロック部11b,11cの厚さ方向上部にて左方へ突出している。各嵌合部13b,13cの下面は緩やかな傾斜度を有し、図9(c)に示すように、内側中央部から前後方向S外側にいくに伴い上方へ若干傾斜している。さらに、図9(b)に示すように、該下面の根元部は外側壁面に対し縦断面鋭角αを有している。
一方、図9(d)に示すように、右側の各サイドブロック部11d,11eの右側縁部には、嵌合部13b,13cと対応する平面視略へ字状の被嵌合部13d,13eが凹設され、各被嵌合部13d,13eは、図9(a)に示すように、前記サイドブロック部11d,11eの厚さ方向上部にて左方へ陥入している。そのため、被嵌合部13d,13eに対し嵌合部13b,13cは、被覆ブロック20の設置時に、左右隣接する被覆ブロック20同士の間にて右方より嵌合し得るように形成されている。
さらに、右側の各サイドブロック部11d,11eはその右側に受け台14d,14eを有し、該受け台14d,14eは、図9(b)に示すように、右側サイドブロック部11d,11eの厚さ方向下部にて右方へ延出しているまた、受け台14d,14eの上面は、内側から外側(右側)にいくに伴い上方へ若干傾斜し、その傾斜度は前記嵌合部13b,13c下面の傾斜度にほぼ一致している。
前記受け台14d,14eの上面は、前記嵌合部13b,13cの下面を支持し得る寸法・形状を有し、前記受け台14d,14eの上面の右側端部に形成された縦断面鋭角部βは、前記嵌合部3b,3c下面側の縦断面鋭角部αと嵌合できるようにこうせいされている。
したがって、図6及び図7に例示する如く、左右隣接する被覆ブロック20(L)、20(R)同士を連結する場合は、左側の被覆ブロック20(L)の受け台14d,14e上に、右側の被覆ブロック20(R)の凸状の嵌合部13b,13cを載置するとともに、左側の被覆ブロック20(L)の凹状の被嵌合部13d,13eに、右側の被覆ブロック20(R)の凸状の嵌合部13b,13cを嵌合させて固定する。また、左側の被覆ブロック20(L)の受け台14d,14eの縦断面鋭角部βに、右側の被覆ブロック20(R)の嵌合部31b,13cの縦断面鋭角部αを嵌合させて固定する。
これによって、左右隣接する被覆ブロック20(L)、20(R)同士は、全体として上下方向、前後方向および左右方向への動きがより効果的に拘束され、その結果、波の衝撃力のエネルギーが上下方向、前後方向又は左右方向から前記被覆ブロック20(L)、20(R)に作用しても、左右隣接する被覆ブロック20(L)、20(R)の一方が他方に対し、上下方向、前後方向又は左右方向に浮上、位置ズレ又は傾きを起こす虞はない。
さらに、図9(b)、(d)に示すように、各被覆ブロック20の前側、後側の下面には正面視矩形の脚部15b,15d、脚部15c,15eが一体に垂設され、前記脚部15b,15d及び脚部15c,15eは平板状に形成されている。さらに、図9(c)、(d)に示すように、脚部15b,15d及び脚部15c,15eは側面視逆台形を呈し、その下端側の前後幅は根元側の前後幅に比べて狭くなっている。
さらにまた、被覆ブロック20の前面側、後面側には夫々、平面視台形の凹所17、18が形成されているため、該凹所17,18を前後突き合わせると、図6に示すように、六角形の空間部(開口部)19が形成される。また、左右隣り合う4つの被覆ブロック20の間にはひし形の空間部(開口部)が形成される。
次に、上記被覆ブロック20の敷設方法について説明するが、本発明は下記の敷設方法の工程順序に限定されない。図6乃至図8は、沿岸方向C及び岸沖方向LRに夫々被覆ブロック20を3個ずつ並べたものを例示する。まず、前記被覆ブロック20を岸沖方向LR及び沿岸方向Cに複数に並べる。この場合、被覆ブロック20の左右方向(嵌合方向)Tが岸沖方向LRと平行になるように設置する。
その際、左右隣接する被覆ブロック20同士は互いに凹凸嵌合させて連結する。具体的には、左側の被覆ブロック20の受け台14d,14e上に、右側の被覆ブロック20の嵌合部13b,13c下面を載置する。また、左側の被覆ブロック20の被嵌合部13d,13eに、右側の被覆ブロック20の嵌合部13b,13cを嵌合させ、かつ、左側の被覆ブロック20の受け台14d,14eの前記鋭角部βに、右側の被覆ブロック20の嵌合部13b,13cの前記鋭角部αを嵌合させて固定する。
上記の連結方法により、左右隣接する被覆ブロック20同士を岸沖方向LRに嵌合連結させていく。このようにして嵌合連結された複数の被覆ブロック20同士は、全体の連結力を強化して上下・左右・前後の3方向への動きをより確実に拘束することができる。その結果、波の衝撃力が上下・左右・前後の3方向の何れから前記被覆ブロック20に作用しても、当該被覆ブロック20が浮上、位置ズレ又は傾きを起こす虞がない。
本実施例2に係る被覆ブロック20は、六角形の貫通孔(開口部)12a,12b,12c,12d,12eを有し、かつ、被覆ブロック20の設置後には六角形の空間部(開口部)19及びひし形の空間部(開口部)が所定箇所に形成される。これにより、被覆ブロック20の単位面積当たりの開口部の総面積が実質的に増加するので、被覆ブロック20全体の軽量化を図りつつ消波性能が飛躍的に高まり、前記被覆ブロック20の設置時の安定性ないし作業性が著しく向上する。
次に、本発明に係る他の実施例3について図11乃至図13に基づき説明する。なお、実施例2と同一の構成要素については、それと同一の符号を付して詳細な説明を省略するものとする。本実施例3の特徴は、前記実施例2に係る被覆ブロックを用いて、岸沖方向LRに沿って複数列の被覆ブロックを敷設し、かつ、偶数列の被覆ブロックと奇数列の被覆ブロックとを半ピッチの距離だけ、即ち、被覆ブロックの前後幅寸法の半分だけずらして配列したことにある。これにより、奇数列の被覆ブロック1つに対して、偶数列の被覆ブロック2つを凹凸嵌合させて連結することができる。
図11は本実施例3の被覆ブロック20の配列態様を示す平面図、図12はその正面図、図13はその右側面図である。以下、被覆ブロック20の敷設方法について説明するが、本発明方法は下記の工程順序に限定されない。図11,12,13では、沿岸方向C及び岸沖方向LRに夫々被覆ブロック20を3個ずつ並べたものを例示する。
まず、複数の被覆ブロック20を沿岸方向Cに1列に並べて敷設する。この場合は、前記被覆ブロック20の嵌合方向(図9(a)の矢印T方向参照)が岸沖方向LRと平行になるように配置する。前記同様に、沖方向Rに向かって2列目、3列目の被覆ブロック20を互いに左右隣接するように配置していく。その際、2列目の被覆ブロック20は、1列目及び3列目の被覆ブロック20に対して、半ピッチ(サイドブロック部11b又は11cの前後幅の長さ)の分だけ、つまり被覆ブロック20の前後幅の半分の寸法だけ沿岸方向Cに位置をずらして配列する。
この配列方法では、左右隣接する3つの被覆ブロック20を互いに凹凸嵌合させて連結する。例えば、図11中に例示するように、1列目の被覆ブロック20(A)の受け台14d上に、2列目であって半ピッチだけその前方に位置する被覆ブロック20(B)の嵌合部13cを載置する。また、1列目の被覆ブロック20の受け台14e上には、2列目であって半ピッチだけその後方に位置する被覆ブロック20(C)の嵌合部13bを載置する。
その際、1列目の被覆ブロック20(A)の被嵌合部13dに、2列目の被覆ブロック20(B)の嵌合部13cを嵌合させるとともに、1列目の被覆ブロック20(A)の被嵌合部13eには、2列目の被覆ブロック20(C)の嵌合部13bを嵌合させる。
また、1列目の被覆ブロック20(A)の受け台14d,14e側の上記鋭角部β,βに夫々、2列目の被覆ブロック20(B)、20(C)の嵌合部13c,13b側の上記鋭角部α,αを嵌合させて固定する。なお、前後隣り合う被覆ブロック20の間には、上下左右対称な六角形の空間部(開口部)19が形成され、また、例えば1列目の被覆ブロック20(A)と2列目の被覆ブロック20(B)、20(C)の間などにもひし形の空間部(開口部)が形成される。
上記の要領により、半ピッチずれて配列された奇数列と偶数列の間において、左右隣接する被覆ブロック20同士を凹凸嵌合させて岸沖方向LRに連結していく。これにより、左右隣接する被覆ブロック20同士は、上下、左右、前後の3方向への動きが確実に拘束されるので、被覆ブロック20同士の全体の連結強度が著しく増大する。その結果、上下・左右・前後の3方向の何れから波の衝撃力が前記被覆ブロック20に作用しても、当該被覆ブロック20が浮上、位置ズレ又は傾きを起こす虞がない。
本実施例3は、上記実施例1,2と同様に、被覆ブロック20に六角形の貫通孔12a,12b、12c,12d,12eを開穿し、かつ、所定の被覆ブロック20同士の間に六角形の空間部(開口部)19、並びにひし形の空間部(開口部)が形成されることにより、前記被覆ブロック20全体の軽量化を図りつつ、前記被覆ブロック20の設置時の作業性、安定性が向上する。加えて、貫通孔12a,12b、12c,12d,12eなどにより、揚圧力を効率的に低減できるので、当該被覆ブロック20の浮き上がりをより効果的に抑制することができる。
叙上の如く本発明によると、前記被覆ブロックの左側縁部に側面から視て凸状の嵌合部を突設し、且つ、前記被覆ブロックの右側縁部に被嵌合部を形成した場合、被覆ブロック同士を左右隣接して敷設するときに、右側の被覆ブロックに設けた側面から視て凸状の嵌合部は、左側の被覆ブロックの被嵌合部に嵌合させて固定する。また、右側の被覆ブロックに設けた嵌合部は、左側の被覆ブロックに形成した受け台上に載置して支持する。したがって、前記凹凸嵌合作用と載置支持作用との相乗作用により、被覆ブロック同士は、上下・前後・左右方向への動きが有効にされる。
斯くして、波の衝撃力が上下・前後・左右方向から前記被覆ブロックに作用しても、当該被覆ブロックの浮上、位置ズレ又は傾きを防止して、被覆ブロックの設置時の安定性が著しく向上する。又、被覆ブロックのセンターブロック部及び各サイドブロック部夫々に六角形の貫通孔を開穿したことにより、該貫通孔に進入した波の衝撃力は、貫通孔内で互いに打ち消されて速やかに減衰する。その結果、たとえ大きな波の揚圧力が被覆ブロックに作用しても、揚圧力を効率的に低減できるので、当該被覆ブロックの浮き上がりを一層確実に抑止することができる。
また、本発明は、前記被覆ブロックの一側縁部に嵌合部を2つ設け、かつ、該被覆ブロックの他側縁部に被嵌合部を2つ設けたものでは、例えば被覆ブロック同士を左右隣接して敷設する際、右側の被覆ブロックの2つの嵌合部は、左側の被覆ブロックの2つの被嵌合部とそれぞれ嵌合して固定される。つまり、側縁部で重合する被覆ブロック同士の凹凸嵌合は、1つの重合部分において2箇所で行われる。したがって、被覆ブロック同士の凹凸嵌合による連結強度が倍増するので、大きな波の衝撃力が前後方向から被覆ブロックに作用しても、当該被覆ブロックの浮上、位置ズレ又は傾きを一層効果的に防止することができる。
さらに、前記被覆ブロックの受け台の上面は、前記嵌合部の下面に対応して左右方向外側に向かって上方に傾斜している。そのため、例えば左右隣接する一方の被覆ブロックの受け台の上面に、他方の被覆ブロックの嵌合部の下面を傾斜状態で載置すると、該被覆ブロックの左右方向への動きが一層確実に拘束される。依って、仮令大きな波の衝撃力が左右方向から被覆ブロックに作用しても、当該被覆ブロックの浮上、位置ズレ又は傾きをより効果的に防止することができる。
さらにまた、前記被覆ブロックの前後両側の下面には板状の脚部が形成されているので、該被覆ブロックの設置時に、必要に応じて前記脚部を捨石マウンドに埋め込んで設置することができる。したがって、前記被覆ブロックの不陸(高さ)調整を容易に実施でき、被覆ブロックの設置安定性をより一層向上させることができる。
また、前記被覆ブロックの前後両側には、一対の凹所が互いに対向して形成されているので、複数の被覆ブロックを前後隣り合うように設置した場合、該被覆ブロック同士の間には、前後一対の凹所に応じた空間部(開口部)が形成され、この空間部は上記貫通孔と同様の揚圧力低減効果と消波性能を有する。その結果、前記空間部内に進入した波の衝撃力は互いに打ち消され、極めて高い消波効果が発揮される。
さらに、本発明の敷設方法によれば、左右隣接する被覆ブロック同士は、その一方の被覆ブロックに形成した側面から視て凹状の被嵌合部に、他方の被覆ブロックに設けた嵌合部を嵌合させた状態で岸沖方向に設置する。この場合、一方の被覆ブロックの受け台には、他方の被覆ブロックの嵌合部下面を載置させる。したがって、左右隣接する被覆ブロックの前後方向(沿岸方向)への動きが拘束されるのみならず、上下方向及び左右方向(岸沖方向)への動きも拘束される。そのため、波や流水の衝撃力が前後方向に加えて上下方向及び左右方向から前記被覆ブロックに作用しても、当該被覆ブロックの浮上、位置ズレ又は傾きを防止することができる。
さらに、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。