JP6098519B2 - 支持ロールを用いた板ガラスの成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、支持ロールを用いた板ガラスの成形方法に関する。
板ガラスの成形方法として、フロート法が広く用いられている。フロート法は、浴槽内に収容される溶融金属(例えば、溶融スズ)上に導入された溶融ガラスを所定方向に流動させ、帯板状の溶融ガラスリボンとする方法である。溶融ガラスリボンは、水平方向に流動する過程で冷却された後、リフトアウトロールによって溶融金属から引き上げられ、徐冷炉内で徐冷され、板状ガラスとなる。板状ガラスは、徐冷炉から搬出された後、切断機によって所定の寸法形状に切断され、製品である板ガラスとなる。
また、別の成形方法として、フュージョン法も知られている。フュージョン法は、樋状部材の左右両側の上縁から溢れ出した溶融ガラスを、樋状部材の左右両側面に沿って流下させ、左右両側面の交線である下縁で合わせることにより、帯板状の溶融ガラスリボンとする方法である。溶融ガラスリボンは、鉛直方向下方に移動しながら、徐冷され、板状ガラスとなる。板状ガラスは、切断機によって所定の寸法形状に切断され、製品である板ガラスとなる。
ところで、平衡厚さより薄い状態にある溶融ガラスリボンは、幅方向に収縮しようとする。収縮が過大であると、製品である板ガラスの厚さが目標の厚さよりも厚くなってしまう。
そこで、従来から、溶融ガラスリボンの幅方向の収縮を抑制するため、溶融ガラスリボンを支持する支持ロールが用いられている(例えば、特許文献1参照)。支持ロールは、溶融ガラスリボンの幅方向両側に複数対配置され、溶融ガラスリボンに対し幅方向に張力を加える。
支持ロールは、溶融ガラスリボンの表面と接触する回転部材を先端部に有する。回転部材は、例えば円盤状であって、外周に、歯車状の凹凸部を有する。凹凸部の凸部が溶融ガラスリボンに食い込むことにより、溶融ガラスリボンの収縮が抑制される。
特開2008−239370号公報
従来の回転部材は、ステンレス鋼(日本工業規格(JIS)でSUSと表される鋼材)または炭素鋼(日本工業規格(JIS)でSCと表される鋼材)で主に構成されるので、溶融ガラスリボンに食い込む凸部の先端が変形しやすく、耐久性に問題があった。
回転部材は内部が水冷されているものの、ガラスと接触しているときに接触部の温度が上昇する。従来材料である炭素鋼やステンレスでは高温での強度が不足しており、何らかの変動で凸部に大きな応力がかかった場合や、長期的にはクリープや高温疲労により変形する。凸部が変形すると溶融ガラスリボンのスティック起点になり、トラブル原因となってしまったり、グリップ力が低下し安定して板ガラスを成形できないなどの問題が生じる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、耐久性に優れた支持ロールを用いた板ガラスの成形方法を提供することを目的とする。
上記目的を解決するため、本発明は、
支持ロールを用いて、帯板状の溶融ガラスリボンの幅方向収縮抑制する工程を有する板ガラスの成形方法において、
前記支持ロールは、前記溶融ガラスリボンと接触する回転部材を先端部に有し、
前記回転部材は、本体部と、該本体部の外周に沿って設けられる複数の凸部とを備え、
前記回転部材のうち少なくとも前記凸部が工具鋼で形成され、前記凸部の先細り状部分の先端部の幅が2mm以下であり、
前記溶融ガラスリボンの粘度が10 6.5 〜10 13 dPa・sの領域に前記支持ロールを用いることを特徴とする板ガラスの成形方法を提供する。
本発明によれば、耐久性に優れた支持ロールを用いた板ガラスの成形方法を提供することができる。

本発明の一実施形態による板ガラスの成形装置を示す一部断面図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。 本発明の一実施形態による支持ロールを示す正面図である。 図3のIV−IV線に沿った断面の一部拡大図である。 回転部材の凸部を説明する図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。以下の図面において、同一のまたは対応する構成には、同一のまたは対応する符号を付して、説明を省略する。
(板ガラスの成形装置および成形方法)
図1は、本発明の一実施形態による板ガラスの成形装置を示す一部断面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
板ガラスの成形装置10は、フロートバス20を有する。フロートバス20は、溶融金属(例えば、溶融スズ)Sを収容する浴槽22、浴槽22の外周上縁に沿って設置される側壁24、および側壁24に連結され、浴槽22の上方を覆う天井26などで構成される。天井26には、浴槽22と天井26との間に形成される空間28に、還元性ガスを供給するガス供給路30が設けられている。また、ガス供給路30には、加熱源としてのヒータ32が挿通されており、ヒータ32の発熱部32aが浴槽22の上方に配置されている。
上記成形装置10を用いた成形方法は、溶融金属(例えば、溶融スズ)S上に導入された溶融ガラスを所定方向に流動させることにより、帯板状の溶融ガラスリボンGとする方法である。溶融ガラスリボンGは、所定方向(図2中、X方向)に流動する過程で冷却された後、リフトアウトロールによって溶融スズSから引き上げられ、徐冷炉内で徐冷され、板状ガラスとなる。板状ガラスは、徐冷炉から搬出された後、切断機によって所定の寸法形状に切断され、製品である板ガラスとなる。
フロートバス20内の空間28は、溶融スズSの酸化を防止するため、ガス供給路30から供給される還元性ガスで満たされている。還元性ガスは、例えば、水素ガスを1〜15体積%、窒素ガスを85〜99体積%含んでいる。フロートバス20内の空間28は、側壁24の隙間などから大気が混入するのを防止するため、大気圧よりも高い気圧に設定されている。
フロートバス20内の温度分布を調節するため、ヒータ32は、例えば、溶融ガラスリボンGの流動方向(X方向)および幅方向(Y方向)に間隔をおいて複数設けられ、マトリックス状に配置されている。ヒータ32の出力は、溶融ガラスリボンGの流動方向(X方向)上流側ほど、溶融ガラスリボンGの温度が高くなるように制御される。また、ヒータ32の出力は、溶融ガラスリボンGの温度が幅方向(Y方向)に均一になるように制御される。
また、板ガラスの成形装置10は、フロートバス20内の溶融ガラスリボンGが幅方向に収縮するのを抑制するため、溶融ガラスリボンGを支持する支持ロール40を有する。支持ロール40は、図2に示すように、溶融ガラスリボンGの幅方向両側に複数対配置され、溶融ガラスリボンGに対し幅方向(図中、Y方向)に張力を加える。
支持ロール40は、溶融ガラスリボンGと接触する回転部材50を先端部に有する。回転部材50は、溶融ガラスリボンGの上面に食い込み、溶融ガラスリボンGが幅方向に収縮しないように、溶融ガラスリボンGの幅方向端部を支持する。回転部材50が回転することによって、溶融ガラスリボンGが所定方向に送り出される。
(支持ロール)
図3は、本発明の一実施形態による支持ロールを示す正面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿った断面の一部拡大図である。図5は、回転部材の凸部を説明する図であり、図5(a)は凸部の先細り状部分の断面を示し、図5(b)は凸部のピッチと高さを示す。
支持ロール40は、主に、回転部材50と、連結部材60と、軸部材70とで構成される。
軸部材70は、冷媒流路を内部に有しており、冷媒流路を流れる冷媒によって冷却され、ステンレス鋼(日本工業規格(JIS)でSUSと表される鋼材)や炭素鋼(日本工業規格(JIS)でSCと表される鋼材)などの金属材料で形成されてよい。軸部材70の外周には、断熱材等を巻き付けてもよい。
軸部材70は、例えば、2重管であって、内管および外管で構成される。内管の内側空間と、内管の外周面と外管の内周面との間に形成される空間とで冷媒流路が構成される。
冷媒としては、水などの液体、または、空気などの気体が用いられる。冷媒は、内管の内側空間を通り、連結部材60および回転部材50の内側空間に供給された後、内管の外周面と外管の内周面との間に形成される空間を通り、外部に排出される。外部に排出された冷媒は、冷却器で冷却され、再び、内管の内側空間に還流されてもよい。なお、冷媒の流れ方向は逆方向であってもよい。
軸部材70は、図1に示すように、側壁24を貫通しており、フロートバス20の外部において、モータや減速機などで構成される駆動装置34に接続されている。駆動装置34が作動することによって、軸部材70の中心軸線を中心に、軸部材70、連結部材60、および回転部材50が一体的に回転する。
連結部材60は、軸部材70と回転部材50を連結する部材である。連結部材60は、軸部材70の冷媒流路と連通する内側空間を内部に有している。連結部材60は、例えば筒状であって、連結部材60の軸部材70側の端部の外径および内径が、それぞれ、軸部材70の外管の外径および内径と同じである。連結部材60は、軸部材70の外管と突き合わされ、例えば溶接によって、同軸的に連結されている。連結部材60は軸部材70と溶接が容易な材質であることが好ましく、同一材料で形成されることがより好ましい。
(回転部材)
回転部材50は、図3に示すように、円盤状であって、回転部材50の中心軸線と軸部材70の中心軸線とは同一直線上にある。
回転部材50は、図1に示すように、外周にて、溶融ガラスリボンGの表面(本実施形態では、上面)と接触する。回転部材50が回転することによって、溶融ガラスリボンGが所定方向に送り出される。
回転部材50は、図4に示すように、内部に、冷媒流路としての内側空間51を有する。この内側空間51は、回転部材50の背面側に形成される開口部を介して、連結部材60の内側空間と連通している。
回転部材50は、図3に示すように、円盤状の本体部53と、本体部53の外周に沿って設けられる複数の凸部54とを一体的に有する。複数の凸部54は、周方向に等間隔で設けられている。
各凸部54は、溶融ガラスリボンGに食い込みやすいように、先細り状(例えば、四角錐状)であってよい。
凸部54の前記先細り状部分の軸部材70に垂直な面に対する角度AまたはB(図5(a))は、溶融ガラスリボンGに対するグリップ力を考慮すると45°以下が好ましく、30°以下がより好ましく、25°以下がさらに好ましい。また前記先細り状部分の強度を考慮すると、角度A又はBは15°以上が好ましい。
凸部54の前記先細り状部分の先端部の幅C(図5(a))は、溶融ガラスリボンGに対するグリップ力を考慮すると2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。前記先端部は必ずしも直線状である必要はなく、曲線状あるいは複合形状を呈していてもよい。
凸部54のピッチD(図5(b))は、溶融ガラスリボンGに対するグリップ力を考慮すると6.5mm以下が好ましく、5.5mm以下がより好ましい。また前記先細り状部分の強度や加工性を考慮すると、ピッチDは1.5mm以上が好ましく、2.5mm以上がより好ましい。
凸部54の高さE(図5(b))は、溶融ガラスリボンGに対するグリップ力を考慮すると4mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましい。また前記先細り状部分の強度や加工性を考慮すると、高さEは8mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましい。
図3に示す凸部54は、本体部53の外周に2列(図4参照)形成されているが、3列以上形成されてもよいし、1列のみ形成されてもよい。
本発明の支持ロールを後述する800℃〜1000℃の領域で使用する場合は、溶融ガラスリボンGの冷却防止を考慮すると、凸部54は1〜2列形成されるのが好ましい。
また回転部材50の半径は、連結部材60と溶融ガラスリボンGとの接触防止や軸部材70の水平性を考慮すると、100mm以上が好ましく、150mm以上がより好ましく、180mm以上がさらに好ましく、回転部材50と溶融ガラスリボンGとの位置調整や回転部材50の回転速度の微調整を考慮すると350mm以下が好ましく、300mm以下がより好ましく、270mm以下がさらに好ましい。
回転部材50のうち少なくとも凸部54が工具鋼、好ましくは熱間ダイス鋼で形成される。なお、本実施形態では、本体部53も工具鋼で形成されている。
ここで、「熱間ダイス鋼」とは、JIS G4404に記載の「SKD」のうち、「熱間金型用」の合金工具鋼を意味する。
工具鋼としては、特に限定はなく、例えば日本工業規格(JIS)でSKS、SKD、SKT、SKHと表される鋼材等を使用できる。工具鋼には、例えばSKS4、SKS41、SKS42、SKS43、SKS44、SKS1、SKS11、SKS2、SK21、SKS5、SKS51、SKS7、SKS8、SKS3、SKS31、SKS93、SKD1、SKD11、SKD12、SKD2、SKD4、SKD5、SKD6、SKD61、SKT1、SKT2、SKT3、SKT4、SKT5、SKT6、SKH2、SKH3,SKH4A、SKH4B、SKH40、SKH5、SKH51、SKH52、SKH53、SKH54、SKH55,SKH56、SKH57、SKH58、SKH59、SKH10等やこれらの材種から改良された各社の開発鋼が使用できる。このような開発鋼は、Feを主成分とし、好ましくはCの含有量が0.3質量%〜2.5質量%、Siの含有量が0〜1.1質量%、Mnの含有量が0〜1.1質量%、Niの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が0〜13.5質量%、Moの含有量が0〜5.0質量%、Vの含有量が0〜4.0質量%、Wの含有量が0〜10.0質量%、Coの含有量が0〜10.0質量%である。熱間ダイス鋼としては、特に限定されなく、SKD61や各社の改良鋼材が使用できる。このような熱間ダイス鋼は、Feを主成分とし、好ましくはCの含有量が0.3質量%〜0.5質量%、Siの含有量が0.3質量%〜1.20質量%、Mnの含有量が0.4質量%〜0.9質量%、Niの含有量が0〜1.8質量%、Crの含有量が1.3質量%〜5.50質量%、Moの含有量が0.4質量%〜2.7質量%、Vの含有量が0.2質量%〜1.7質量である。加工性やコストの観点から、熱間ダイス鋼はSKD61であることが好ましい。SKD61は、Feを主成分とし、日本工業規格(JIS)に規定されているように、Cの含有量が0.35質量%〜0.42質量%、Siの含有量が0.80質量%〜1.20質量%、Mnの含有量が0.25質量%〜0.50質量%、Pの含有量が0〜0.030質量%、Sの含有量が0〜0.020質量%、Crの含有量が4.80質量%〜5.50質量%、Moの含有量が1.00質量%〜1.50質量%、Vの含有量が0.80質量%〜1.15質量%の鋼材であり、不可避的に含有される不純物を更に含んでも良い。SKD61は、国際規格(ISO 4957:1999)においてX40CrMoV5−1と表されることもある。
工具鋼は、SUSやSCなどの従来の材料に比べて、高温強度が高いので、溶融ガラスリボンGに食い込む凸部54の変形を抑制でき、回転部材50の耐久性を向上できる。
また、工具鋼は、SUSやSCなどの従来の材料に比べて、高温強度が高いので、凸部54が溶融ガラスリボンGに食い込みやすくなるよう、凸部54を尖鋭化できる。この効果は、フロートバス20内の下流側ほど、溶融ガラスリボンGが冷えて硬くなるので、顕著であり、従来使用できなかった温度領域において、支持ロール40の使用が可能となる。
回転部材50は、図4に示すように、外表面の少なくとも一部に、耐食性に優れた保護膜55を有してもよい。特にクロム窒化物または金属クロムを含む保護膜55を有することが好ましい。クロム窒化物および金属クロムは、溶融スズSの飛沫や蒸気に対する耐食性が熱間ダイス鋼よりも高いので、回転部材50の耐スズ性を向上できる。
保護膜55は、凸部54の外表面を覆っており、本体部53の外表面の一部を覆っている。
保護膜55の成膜方法としては、例えば、メッキ法、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンコーティング法、溶射法などがあり、凸部54の形状などに応じて適宜選択される。例えば、凸部54を尖鋭化する場合、蒸着法やスパッタリング法やイオンコーティング法などのドライコーティング法が好ましい。
回転部材50は、連結部材60と溶接などで一体化され、1つの部品として供給される。成形装置10が設置される工場において、上記部品をストックしておけば、凸部54が変形したとき、上記部品の交換によって、支持ロール40の修理が可能である。この修理は、連結部材60と軸部材70との溶接部分を切断し、上記部品を交換した後、連結部材60と軸部材70の外管とを溶接して行われる。上記部品の交換時に、軸部材70は再利用され、繰り返し用いられてよい。
(支持ロールの用途)
支持ロール40は、特に限定されないが、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)用の板ガラスの成形に用いられる。
近年、FPDの薄型化が進行しており、FPD用の板ガラスの薄板化が進行している。そのため、溶融ガラスリボンGの厚さが薄くなっており、溶融ガラスリボンGの幅方向の収縮力が強くなると共に、溶融ガラスリボンGの成形温度が高くなっている。
本発明の支持ロール40は、溶融ガラスリボンGの成形性を考慮すると、溶融ガラスリボンGの粘度が10[dPa・s]〜1013[dPa・s]の領域で用いることが好ましい。すなわち前記無アルカリガラスの場合は、溶融ガラスリボンGの温度が800℃〜1400℃の領域で用いることが好ましい。従来は溶融ガラスリボンGの粘度が106.5[dPa・s]〜1013[dPa・s]の領域1、すなわち前記無アルカリガラスの場合は、溶融ガラスリボンGの温度が800℃〜1000℃の領域1では安定したグリップが困難であったが、本発明の支持ロール40は、前記領域1であっても安定したグリップが可能なため、少なくとも前記領域1で用いるとより好ましい。
本実施形態の支持ロール40は、上述の如く、溶融ガラスリボンGに食い込む凸部54の高温強度が高いので、また、凸部54の尖鋭化が可能であるので、FPD用の板ガラスの成形に適している。
製品である板ガラスの種類は、特に限定されないが、例えば、無アルカリガラスであってよい。無アルカリガラスは、アルカリ金属酸化物(NaO、KO、LiO)を実質的に含有しないガラスである。無アルカリガラス中のアルカリ金属酸化物の含有量の合量(NaO+KO+LiO)は、例えば0.1%以下であってよい。
無アルカリガラスは、例えば、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO:50〜73%、好ましくは50〜66%、Al:10.5〜24%、B:0〜12%、MgO:0〜10%、好ましくは0〜8%、CaO:0〜14.5%、SrO:0〜24%、BaO:0〜13.5%、ZrO:0〜5%を含有し、MgO+CaO+SrO+BaO:8〜29.5%、好ましくは9〜29.5%を含有するものである。
無アルカリガラスは、歪点が高く溶解性を考慮する場合は好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO:58〜66%、Al:15〜22%、B:5〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜9%、SrO:3〜12.5%、BaO:0〜2%を含有し、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜18%を含有するものである。
無アルカリガラスは、高歪点を考慮する場合は好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、SiO:54〜73%、Al:10.5〜22.5%、B:0〜5.5%、MgO:0〜10%、CaO:0〜9%、SrO:0〜16%、BaO:0〜2.5%、MgO+CaO+SrO+BaO:8〜26%を含有するものである。
以上、本発明の一実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は上記の実施形態およびその変形例に制限されることはない。本発明の範囲を逸脱することなく、上記の実施形態およびその変形例に種々の変形および置換を加えることができる。
例えば、本実施形態の支持ロール40は、フロートバス20内の一部の領域でのみ使用されてもよく、例えば下流側の支持ロールとして使用されてもよい。下流側では、溶融ガラスリボンが冷えて硬くなるので、グリップ性が問題となりやすいからである。
また、本実施形態の支持ロール40は、フロート法で用いられるが、他の成形方法で用いられてもよく、例えばフュージョン法で用いられてもよい。
フュージョン法の場合、支持ロールの回転部材は、円柱状または円筒状であって、溶融ガラスリボンを表側および裏側から挟持するように2つ1組で用いられる。2つの支持ロールからなる支持ロール群が溶融ガラスリボンの幅方向両側に複数対配置される。
また、フュージョン法の場合、板ガラスの成形装置は、溶融ガラスが連続的に供給される樋状部材を有する。樋状部材の左右両側の上縁から溢れ出した溶融ガラスは、樋状部材の左右両側面に沿って流下し、左右両側面が交わる下縁で合流し、一体化することにより、溶融ガラスリボンとなる。溶融ガラスリボンは、複数対の支持ロール群によって、幅方向に張力が加えられ、幅方向の収縮を抑えられながら、下方に送り出される。
また、本実施形態の回転部材50は、保護膜55を有するが、保護膜55を有していなくてもよい。
また、本実施形態の軸部材70の内管は、外管の内側に配置されているが、連結部材60の内側または回転部材50の内側まで延びていてもよい。延びていると、連結部材60の内側空間または回転部材50の内側空間51における冷媒の流れが整流され、連結部材60や回転部材50の冷却効率が高まる。
以下に、実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例1では、図3および図4に示す支持ロールを、フロートバス内の溶融ガラスリボンに接触させ、溶融ガラスリボンに食い込む凸部の変形の有無を調べた。
支持ロールの回転部材としては、本体部および凸部がSKD61(日立金属社製、DAC)で構成されるものを用いた。SKD61の強度はロックウェル硬さ(HRC)が30〜40のものを使用した。表面にはドライコーティング法により、クロム窒化物の保護膜が成膜された。
凸部の変形の有無は、溶融ガラスリボンと回転部材を連続的に100日間接触させた後、目視により確認した。その結果、実施例1では、凸部の変形が認められなかった。
一方、比較例1では、回転部材の本体部および凸部が、SKD61の代わりに、S25Cで構成される他は、実施例1と同様の条件下で試験を行った。
試験の結果、比較例1では、凸部の先端が曲がっており、凸部の変形が認められた。
これにより、実施例1によれば、耐久性に優れた支持ロールを提供できることが確認された。
本発明は、支持ロール、支持ロールを有する板ガラスの成形装置、および支持ロールを用いた板ガラスの成形方法に好適である。
本出願は、2011年11月17日に日本国特許庁に出願された特願2011−251275に基づくものであり、その出願を優先権主張するものであり、その出願の全ての内容を参照することにより包含するものである。
10 板ガラスの成形装置
20 フロートバス
40 支持ロール
50 回転部材
53 本体部
54 凸部
55 保護膜
G 溶融ガラスリボン

Claims (6)

  1. 支持ロールを用いて、帯板状の溶融ガラスリボンの幅方向収縮抑制する工程を有する板ガラスの成形方法において、
    前記支持ロールは、前記溶融ガラスリボンと接触する回転部材を先端部に有し、
    前記回転部材は、本体部と、該本体部の外周に沿って設けられる複数の凸部とを備え、
    前記回転部材のうち少なくとも前記凸部が工具鋼で形成され、前記凸部の先細り状部分の先端部の幅が2mm以下であり、
    前記溶融ガラスリボンの粘度が10 6.5 〜10 13 dPa・sの領域に前記支持ロールを用いることを特徴とする板ガラスの成形方法
  2. 前記工具鋼が熱間ダイス鋼である請求項1に記載の板ガラスの成形方法
  3. 前記熱間ダイス鋼がSKD61である請求項2に記載の板ガラスの成形方法
  4. 前記回転部材は、外表面の少なくとも一部に、クロム窒化物または金属クロムを含む保護膜を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の板ガラスの成形方法
  5. 前記回転部材は、円盤状であって、フロートバス内の溶融ガラスリボンと接触する部材
    である請求項1〜4のいずれか一項に記載の板ガラスの成形方法
  6. 前記板ガラスは、フラットパネルディスプレイ用の板ガラスである請求項1〜5のいずれか一項に記載の板ガラスの成形方法
JP2013544199A 2011-11-17 2012-10-24 支持ロールを用いた板ガラスの成形方法 Active JP6098519B2 (ja)

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