JP6098208B2 - サーミスタ素子及びその製造方法 - Google Patents
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例えば、図6及び図7に示すように、表面に亜酸化銅膜6aが形成されたジュメット線のリード線6が、サーミスタ素体2の表裏面に形成された表面電極103に固着用導電性接着剤7で接着され、周囲を封止ガラスであるモールド材8で覆ったものが検討されている。
なお、特許文献2では、固着用耐熱導電性電極内の金属成分がガラス封着の加熱時に、厚膜電極内に拡散して抵抗値がばらつくことを防ぐため、サーミスタ素体上の厚膜電極上に別のブロック電極を塗布する方法が提案されている。
上述したように、リード線からサーミスタ素体に拡散した金属元素(Cu等)によってサーミスタ特性が変化してしまうため、これら金属元素の拡散を防ぐことが必要である。例えば、特許文献2の技術のように、表面電極の上に金属元素の拡散を抑える中間層を設けることが考えられるが、この場合、固着用導電性接着剤と中間層との間及び中間層とサーミスタ表面電極との間に、異種接合界面がサーミスタ素体上すべての面に新たに生じることにより電気的接合安定性および機械的接合安定性が低下する恐れがあった。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るサーミスタ素子は、チップ状又は板状のサーミスタ素体と、該サーミスタ素体の表裏面に形成された一対の第1の電極膜と、一対の前記第1の電極膜の表面に前記サーミスタ素体の稜線部上の領域を除いて形成された一対の無機絶縁層と、一対の前記無機絶縁層の表面から前記サーミスタ素体の稜線部上の領域に露出した前記第1の電極膜にまで形成された一対の第2の電極膜と、一対の前記第2の電極膜の表面の中央部に設置された一対のリード線と、前記リード線と前記第2の電極膜とを固定する固着用導電性接着剤とを備えていることを特徴とする。
なお、無機絶縁層の厚みが厚いほど拡散量は低下すると考えられることから、無機絶縁層の厚みを厚くすることは結果的には拡散特性を低下させるのと同義であり、無機絶縁層の厚みは厚ければなお望ましい。
Agは対象金属と固溶体を形成し難く、500℃においては特にFe,Niに対して固溶はほとんどしないことが知られており、またCuに対しても固溶量は5%以下と少ないため、Agを主成分とすることで拡散特性を抑制させることができる。一方、さらなる抑制対策としてAgにPd等を添加することで合金化し融点を上げることができ、拡散速度を低下させることが可能になる。すなわち、このサーミスタ素子では、第2の電極膜が、Agを主成分とする物質からなるので、リード線に含まれるFe,Ni,Cuに対して特に有効に拡散を抑制することができる。
すなわち、このサーミスタ素子では、サーミスタ素体が、ペロブスカイト型酸化物を含有する金属酸化物焼結体であるので、高温安定性に優れたペロブスカイト型酸化物系のサーミスタ素体における金属元素拡散の影響を抑制でき、サーミスタ特性を安定して得ることができる。
すなわち、このサーミスタ素子の製造方法では、第2の電極膜を形成する前に、サーミスタ素体をバレル研磨して該サーミスタ素体の稜線部上の領域に形成された無機絶縁層を除去するので、バレル研磨によってサーミスタ素体の稜線部上の領域に形成された無機絶縁層だけを効率的に除去することができ、高い量産性を得ることができる。
すなわち、本発明に係るサーミスタ素子によれば、無機絶縁層の表面からサーミスタ素体の稜線部上の領域に露出した第1の電極膜にまで形成された第2の電極膜を備えているので、前記稜線部上の領域にまで形成された第2の電極膜を介して電気的接続を行うと共にリード線を強固に接合させ、さらに無機絶縁層がリード線から直下への金属元素の拡散を抑制してサーミスタ素体へ侵入することを防止できる。
したがって、本発明のサーミスタ素子は、プロセス条件や高温での使用による抵抗値の経時変化が少なく安定したサーミスタ特性を得ることができ、例えば自動車エンジン周りの触媒温度や排気系温度を検出する高温測定用センサとして好適である。
また、本発明に係るサーミスタ素子の製造方法によれば、バレル研磨によってサーミスタ素体の稜線部上の領域に形成された無機絶縁層だけを効率的に除去することができ、高い量産性を得ることができる。
このサーミスタ素体2は、チップ状又はフレーク状に形成されており、その上下面に上記第1の電極膜3、無機絶縁層4及び第2の電極膜5が形成されている。
上記リード線6は、いわゆるジュメット線であり、Fe,Ni,Cu等の金属元素を構成成分として含有しており、表面に亜酸化銅膜6aが形成されている。
上記無機絶縁層4は、リード線6の金属成分の拡散を遮断する目的で無機絶縁材料(ガラス)が採用される。
上記第2の電極膜5は、リード線6に含まれる金属元素の内部への拡散特性が第1の電極膜3よりも低い材料で形成されている。例えば、第2の電極膜5は、Ag,Pdの少なくとも一種を含んだ金属膜で形成されている。
上記固着用導電性接着剤7は、例えばAuペーストが使用される。また、上記モールド材8は例えばガラス材が採用される。
次に、このサーミスタ素体2の上下面に形成された第1の電極膜3上にガラスを塗布して焼成し、無機絶縁層4を形成する。この形成方法(ディッピング法)を詳述すれば、平板上にガラスペーストを20〜100μm(例えば30μm程度)に薄く引き延ばし、そのガラスペーストに上記チップ状のサーミスタ素体2を浸漬(ディップ)し、上下面の一方の面にガラスペーストを塗布する。
次に、塗布したガラスペーストを150℃5分の乾燥後に、反対側の面も同様に塗布、乾燥し、850℃のベルト炉で焼成する。なお、この無機絶縁層4は、サーミスタ素体2の側面まで一部が回り込んで、サーミスタ素体2の稜線部上の領域を覆って形成される。この際、無機絶縁層4が、サーミスタ素体2の側面全体を覆っても構わない。また、焼成後の無機絶縁層4の膜厚は、10〜50μm程度が望ましい。
さらに、サーミスタ素体2が、ペロブスカイト型酸化物を含有する金属酸化物焼結体であるので、高温安定性に優れたペロブスカイト型酸化物系のサーミスタ素体2における金属元素拡散の影響を抑制でき、サーミスタ特性を安定して得ることができる。
その結果、本発明の実施例では、抵抗値変化率が0.2%以下と良好であることが確認された。これに対し、比較として評価した従来例では、耐熱試験による特性変化率が1%程度と大きくなっていた。したがって、本発明の構造では、Cuの拡散が抑制され、耐熱信頼性が向上しており、高温下でも特性劣化が小さく高精度に計測できる温度センサ素子が得られていることがわかる。
Claims (4)
- チップ状又は板状のサーミスタ素体と、
該サーミスタ素体の表裏面に形成された一対の第1の電極膜と、
一対の前記第1の電極膜の表面に前記サーミスタ素体の稜線部上の領域を除いて形成された一対の無機絶縁層と、
一対の前記無機絶縁層の表面から前記サーミスタ素体の稜線部上の領域に露出した前記第1の電極膜にまで形成された一対の第2の電極膜と、
一対の前記第2の電極膜の表面の中央部に設置された一対のリード線と、
前記リード線と前記第2の電極膜とを固定する固着用導電性接着剤とを備え、
前記第2の電極膜が、前記リード線に含まれる金属元素の内部への拡散特性が前記第1の電極膜よりも低い材料で形成されていることを特徴とするサーミスタ素子。 - 請求項1に記載のサーミスタ素子において、
前記リード線が、Fe,Ni,Cuを含む材質からなり、
前記第2の電極膜が、Agを主成分とする物質からなることを特徴とするサーミスタ素子。 - 請求項1又は2に記載のサーミスタ素子において、
前記サーミスタ素体が、ペロブスカイト型酸化物を含有する金属酸化物焼結体であることを特徴とするサーミスタ素子。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のサーミスタ素子を製造する方法であって、
チップ状又は板状のサーミスタ素体の表裏面に一対の第1の電極膜を形成する工程と、
一対の前記第1の電極膜の表面に前記サーミスタ素体の稜線部上の領域を除いて一対の無機絶縁層を形成する工程と、
一対の前記無機絶縁層の表面から前記サーミスタ素体の稜線部上の領域に露出した前記第1の電極膜にまで一対の第2の電極膜を形成する工程と、
一対の前記第2の電極膜の表面の中央部に一対のリード線を設置し前記リード線と前記第2の電極膜とを固着用導電性接着剤で固定する工程とを有し、
前記第2の電極膜を形成する前に、前記サーミスタ素体をバレル研磨して該サーミスタ素体の稜線部上の領域に形成された前記無機絶縁層を除去することを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。
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